JP4457417B2 - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は窒化物半導体(InaAlbGa1-a-bN、0≦a、0≦b、a+b≦1)よりなるレーザ素子に関し、特に垂直横モードが単一で、ファーフィールドパターンが良好な窒化物半導体レーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、窒化物半導体レーザ素子の実用化のために多くの研究開発が行われており、種々の窒化物半導体レーザ素子が知られている。
例えば、本発明者等は、実用可能なレーザ素子として、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.37(1998)pp.L309-L312、Part2,No.3B,15 March 1998に、サファイア基板上部に、部分的に形成されたSiO2膜を介して選択成長されたn−GaNよりなる窒化物半導体基板の上に、レーザ素子構造となる窒化物半導体層を複数積層し、サファイア基板を除去して、劈開により共振面を形成することにより、室温での連続発振1万時間以上を可能とする窒化物半導体レーザ素子を発表した。
【0003】
図11に、前記J.J.A.P.に示されるレーザ素子と同様の模式的断面図を示した。この図11に示されるように、窒化物半導体からなる基板上に形成され、p−GaNよりなるp側コンタクト層からp−Al0.14Ga0.86N/GaNの超格子構造よりなるp側クラッド層まで部分的にエッチングして形成されたリッジ形状のストライプを有し、このストライプ上部にp電極が形成され、更にp側クラッド層からn側コンタクト層までをエッチングして露出されたn側コンタクト層にn電極が形成され、窒化物半導体基板の{11−00}面[M面:六角柱状の結晶の側面に相当する面]で劈開し共振面を形成してなる窒化物半導体レーザ素子である。
この窒化物半導体レーザ素子は、劈開により共振面を形成しているので、劈開面が鏡面状となると共に、ドライエッチング等で共振面を形成した場合に生じる共振面から突出した平面部分がなく、共振面から放出されるレーザ光が遮られて乱れず、アスペクト比約4のレーザ光を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レーザ素子の更なる実用化の向上のために種々検討の結果、上記レーザ素子は実用可能な程度に良好なレーザ光を発振するものの、活性層を有するレーザ導波路端面の共振面から放出されるレーザ光の他に、わずかではあるが窒化物半導体基板端面付近から発振しているレーザ光があり、垂直横モードの単一性が十分満足できるものでないことがわかった。このことは、活性層で発生した光が、活性層を有するレーザ導波路を導波し増幅する過程で、わずかに散乱するために生じると考えられる。この光の散乱を防止するには、光閉じこめ層であるn側クラッド層の屈折率を低くしたり、膜厚を更に厚くすることが考えられるが、光を完全に閉じ込める程度にn側クラッド層を調整することは種々の困難な点がある。
レーザ素子を種々の製品に応用する場合、レーザ光が良好な単一のスポットであることがレーザビームの絞りやレンズ設計等において望ましい。
【0005】
そこで、本発明の目的は、垂直横モードの単一化が可能でファーフィールドパターンが良好な窒化物半導体レーザ素子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、以下の構成(1)〜(5)によって本発明の目的を達成することができる。
(1) 窒化物半導体基板上に、n側窒化物半導体層、活性層、p側窒化物半導体層を順に積層形成してなる素子構造を有し、前記p側窒化物半導体層に形成されたリッジ形状のストライプを有し、該ストライプの最上層にp電極を有する窒化物半導体レーザ素子において、前記窒化物半導体基板裏面のリッジ形状のストライプの真下に、少なくともリッジ形状のストライプ幅を有し、活性層を含むレーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光を吸収できる光吸収膜が形成され、n電極が、前記光吸収膜の形成されている部分以外の窒化物半導体基板裏面に形成され、前記光吸収膜及びn電極を被覆するようにメタライズ電極が形成されてなることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
(2) 前記光吸収膜が、Au、Si、Cr、Ge、Mo、W、Ta及びTiの少なくとも2種以上の合金、少なくとも1種以上の積層された金属膜、並びに1種以上の酸化物のいずれかであることを特徴とする(1)に記載の窒化物半導体レーザ素子。
(3) 前記窒化物半導体基板裏面と、光吸収膜及び/又はn電極との間に、活性層を含むレーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光を吸収できる光吸収性半導体層を形成してなることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
(4) 前記光吸収性半導体層が、InαAlβGa1- α - βN(0≦α、0≦β、α+β≦1)からなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
(5) 前記窒化物半導体レーザ素子は、前記窒化物半導体基板側を支持体に設置されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
【0007】
更に、本発明は、以下にその他の好ましい形態である構成(6)、(7)を挙げることができる。
(6) 前記窒化物半導体レーザ素子のメタライズ電極がTi、Pt、Au、Sn、Si、Cr、W及びMoのいずれか1種以上の材料からなる積層又は合金であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
(7) 前記メタライズ電極とn電極及び/又は光吸収膜との間に、Ti、Pt、Au、Cr、W及びMoのいずれか1種以上の材料からなる積層又は合金であるバリア電極が形成されていることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
【0008】
つまり、本発明は、窒化物半導体基板裏面側に、活性層を有するレーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光を吸収できる光吸収膜を、リッジ形状のストライプと対向するように形成してなることにより、漏れ出したレーザ発振波長の光が窒化物半導体基板を導波するのを防止し、垂直横モードが良好な単一モードとなりファーフィールドパターンが良好な窒化物半導体レーザ素子を提供することができる。
【0009】
窒化物半導体基板を有するレーザ素子は、ヒートシンクやリードフレームなどの支持体に、例えばフェースアップでダイボンディングする場合、窒化物半導体基板裏面側にボンディング電極(メタライズ電極)を形成し、このボンディング電極と支持体とを接着させている。しかし、レーザ導波路から漏れ出した光がボンディング電極で反射し、窒化物半導体基板内を光が導波するために、わずかではあるが窒化物半導体基板端面から放出される光があり、主レーザ導波路からのレーザ光の垂直横モードの単一性を低下させる。
【0010】
これに対して、本発明は、少なくともリッジ形状のストライプ幅を有する光吸収膜を、窒化物半導体基板裏面側のリッジ形状のストライプの真下に且つ平行に形成することにより、レーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光が光吸収膜に吸収され、透明な窒化物半導体基板内を漏れ出した光が導波することを防止して窒化物半導体基板端面からの光の放出を抑制でき、垂直横モードが良好な単一となりファーフィールドパターンの良好な窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
【0011】
更に、本発明は、n電極が窒化物半導体基板裏面側に形成されてなる構造とすると、p電極とn電極が同一面に形成されている構造の素子を形成する場合に比べ、垂直横モードが単一なレーザ素子を1枚のウエハから量産することができ好ましい。
更にまた、本発明は、光吸収膜が、Au、Si、Cr、Ge、Mo、W、Ta及びTiの少なくとも2種以上の合金、少なくとも1種以上の積層された金属膜、並びに1種以上の酸化物のいずれかであると、光を良好に吸収でき好ましい。
更にまた、本発明は、光吸収膜が、窒化物半導体とオーミック接触を有するn電極であると、n電極を形成する工程と光吸収膜を形成する工程とを同一工程で行うことができるので、製造工程が簡易化でき好ましい。
更にまた、本発明は、窒化物半導体基板裏面と、光吸収膜及び/又はn電極との間に、活性層を含むレーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光を吸収できる光吸収性半導体層を形成してなると、レーザ導波路から漏れ出した光を更に良好に吸収でき好ましい。
更にまた、本発明は、光吸収性半導体層が、InαAlβGa1-α-βN(0≦α、0≦β、α+β≦1)からなると、光の吸収性が良好であり好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の窒化物半導体レーザ素子は、窒化物半導体基板上に、n側窒化物半導体層、活性層、p側窒化物半導体層を順に積層形成してなる素子構造を有し、p側窒化物半導体層側から基板側にかけてエッチングして形成されたリッジ形状のストライプを有し、ストライプの最上層にp電極を有し、更に、活性層を含むレーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光を吸収できる光吸収膜が、少なくともリッジ形状のストライプの真下であって且つ平行に、少なくともリッジ形状のストライプ幅を有し、素子構造を有する側とは反対の窒化物半導体基板裏面側に形成されてなる。ここで、本発明のおいて、光吸収膜は実質的に少なくともリッジ形状のストライプの真下且つ平行に形成されていればよい。
このように光吸収膜が、窒化物半導体基板裏面側に形成されていると、レーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光が光吸収膜に吸収され、窒化物半導体基板内を導波して放出するのを防止でき、活性層を有するレーザ導波路端面である共振面から放出される光以外の光の放出を抑制でき、レーザ光の垂直横モードを良好な単一性にすることができる。
【0013】
また、本発明の光吸収膜を有する窒化物半導体レーザ素子の形状としては、p電極を有する窒化物半導体基板の同一面にn電極を形成してなる構造や、p電極を有する面とは反対の窒化物半導体基板裏面にn電極を形成してなる構造でもよく、n電極が、窒化物半導体基板裏面に形成されてなる構造であると、1枚のウエハからチップを量産することができる点で好ましい。
【0014】
本発明において、光吸収膜の形成位置としては、上記したように、少なくとも窒化物半導体基板裏面のリッジ形状のストライプのほぼ真下に、リッジ形状のストライプとほぼ平行となるように、少なくともリッジ形状のストライプの幅を有して形成されていればよい。
また本発明において、光吸収膜の幅は、リッジ形状のストライプ幅以上であればよく、窒化物半導体基板裏面全面を覆って形成されていてもよい。また光吸収膜は、リッジ形状のストライプ幅以上であることに加え、リッジ形状のストライプのストライプ長さ(共振器長)を有していることが漏れ出した光を吸収する上で望ましい。このように、光吸収膜の幅などは、レーザ素子の共振器の長さやリッジ形状のストライプの幅などにより種々調整される。また、ストライプを有していないレーザ素子の構造の場合にも、活性層を有するレーザ導波路の発光領域に相当するように窒化物半導体基板裏面に本発明の光吸収膜を形成することができる。
【0015】
本発明において、光吸収膜の膜厚としては、特に限定されないが、レーザ発振波長の光を吸収し易く、また放熱性や製造工程のし易さなどを考慮して、1000〜4000オングストローム、好ましくは1500〜3500オングストローム、より好ましくは2000〜3500オングストロームである。また、2種以上の金属や酸化膜等からなる場合、1種類の金属等からなる複数層の各層の膜厚はそれぞれ上記範囲とし、また製造時間等を考慮してあまり厚膜とならないように調整される。例えば、光吸収膜がn電極を兼ねる複数の金属、Ti/Si/Auからなる場合、それぞれ1000−2000−3000オングストロームの膜厚とし、主にTi/Siにより散乱したレーザ発振波長の光を吸収しAuにより光の吸収をより良好とし更に、Auが光吸収膜の上に形成されるAu−Snからなるメタライズ電極との密着性をより良好にしている。
【0016】
本発明において、光吸収膜をリッジ形状のストライプ幅以上とするのは、レーザ導波路の発光領域が、リッジ形状のストライプを有する場合、およそリッジ形状のストライプ幅内であり、この部分に相当するように窒化物半導体基板裏面に光吸収膜を形成すれば、レーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光を窒化物半導体基板内での導波を防止できる程度に吸収でき、垂直横モードを単一モードにすることができるからである。
また、光吸収膜が窒化物半導体基板裏面全面を覆って形成されていると、漏れ出した光の散乱が大きくなっても良好に光を吸収できる。
また更に、上記したように、光吸収膜がストライプ幅を有していれば効果が得られるので、光吸収膜の材料として、レーザ発振波長の光を吸収できるが窒化物半導体と密着性が弱い場合であっても用いることができ、レーザ発振波長の光を吸収可能な材料の選択性が広がる。更に、光吸収膜の密着性が弱い場合、光吸収膜をストライプ状に形成し、密着性があり熱伝導性があるn電極をストライプ状の光吸収膜以外の窒化物半導体基板裏面に広く形成すると、散乱したレーザ発振波長の光を吸収できるとともに寿命特性やヒートシンク等への熱伝導性の点で好ましい。
【0017】
本発明において、光吸収膜として用いられる材料としては、窒化物半導体基板より屈折率の高い材料でレーザ発振波長の光を吸収できる材料であればよく、例えば、Au、Si、Cr、Ge、Mo、W、Ta及びTiの少なくとも2種以上の合金、少なくとも1種以上の積層された金属膜、並びに1種以上の酸化物等が挙げられる。このような材料を光吸収膜の材料として用いると、散乱したレーザ発振波長の光を良好に吸収でき好ましい。
【0018】
また本発明において、光吸収膜が、窒化物半導体とオーミック接触を有するn電極であると、光吸収膜とn電極を1工程で形成でき、製造工程の簡易化が可能となる。光吸収膜がn電極を兼ねる場合、光吸収膜の形状は、上記したように、少なくともリッジ形状のストライプとほぼ同形以上の形状であればよいが、窒化物半導体基板裏面全面に形成されていると、光を吸収し易くなることに加え、ヒートシンク等への熱伝導性の点で好ましい。
また、光吸収膜がn電極を兼ねる場合、光吸収膜として用いられる材料としてはレーザ発振波長の光を吸収できオーミック接触を有する材料であればよく、例えば上記の光吸収膜の材料の中のオーミック性を有する材料が挙げられ、具体的にはAu、Si、Ge、W、Mo、Tiなどである。また、これらのレーザ発振波長の光を吸収できる金属材料をn電極とする場合、オーミック接触を有していない光吸収膜の材料と組み合わせて用いてもよい。かかる組み合わせを行う場合は、オーミック接触を有していない材料をリッジ形状のストライプ幅と同程度の幅として用いることが抵抗を小さくする上で好ましい。
【0019】
以下に図1(a)〜(c)の光吸収膜を窒化物半導体基板裏面側に形成してなる一実施の形態である窒化物半導体レーザ素子の窒化物半導体基板裏面側の模式的平面図を用いて更に詳細に説明する。
【0020】
図1(a)は、ほぼ中央に点線201で、最上層にp電極を有するリッジ形状のストライプの位置を示してあり、この点線201を覆うように、窒化物半導体基板5裏面に光吸収膜202を形成してなる窒化物半導体レーザ素子の窒化物半導体基板5裏面側を示している。
本発明の光吸収膜202の幅は、図1(a)に示すようにリッジ形状のストライプ幅で光吸収膜202が形成されている場合や、図1(b)に示すように窒化物半導体基板裏面側全面を覆うよな形状で光吸収膜202が形成されている場合等がある。
また、n電極21が光吸収膜202と同一の窒化物半導体基板5裏面に形成される場合、例えば図1(c)に示されるように、光吸収膜202の両側などの光吸収膜202が形成されていない窒化物半導体基板裏面にn電極21が形成される。図1(c)に示すように、ストライプ状に光吸収膜202を形成すると、この場合、光吸収膜202として用いられる材料が、窒化物半導体基板との密着性の弱いものや放熱性の劣るもの等であっても、放熱性や熱伝導性のよいn電極21を選択して用いることで、素子特性を低下させることなく、レーザ導波路から散乱した光を吸収することができる。
また、光吸収膜202がn電極21を兼ねる場合は、図1(a)に示されるようなストライプ状から、図1(b)に示されるように窒化物半導体基板5裏面全面に達するように種々の大きさで形成される。光吸収膜202が電極を兼ねる場合、光吸収膜202が窒化物半導体基板裏面全面に形成されると放熱性の点で好ましい。
【0021】
また、図2のストライプ長さ方向に対して垂直に切断したレーザ素子の模式的断面図に示されるように、レーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光を吸収できる光吸収性半導体層203を、窒化物半導体基板5裏面と、光吸収膜202及び/又はn電極21との間に形成すると、漏れ出したレーザ発振波長の光を光吸収膜202に加えて光吸収性半導体層203によって、良好に光を吸収し垂直横モードの単一化がより良好となり好ましい。
本発明において、光吸収性半導体層203は、少なくとも窒化物半導体基板裏面と光吸収膜202との間に形成されていればよく、n電極21が窒化物半導体基板裏面に形成されている場合は窒化物半導体と光吸収膜202及びn電極21の間に形成される等、種々の形状で形成することができる。
【0022】
また、光吸収性半導体層203は、窒化物半導体基板裏面と光吸収膜202やn電極21との間に形成されていればよく、光吸収性半導体層203と、窒化物半導体基板裏面との間や、光吸収膜202やn電極21との間にその他の層が形成されていてもよい。
光吸収性半導体層203は、上記の如く種々の大きさで形成させることができるが、少なくとも光吸収膜202と窒化物半導体基板5裏面との間に形成され、例えば具体例として図1の(a)、(b)及び(c)のそれぞれに光吸収性半導体層203を形成した図2(a)、(b)及び(c)に示される形態が挙げられる。
図2(a)は、リッジ形状のストライプとほぼ同一の幅を有する光吸収膜202と窒化物半導体基板5との間に光吸収膜202と同一形状の光吸収性半導体層203を形成してなり、図2(b)は、窒化物半導体基板裏面全面に光吸収性半導体層203が形成され、図2(c)は、光吸収膜202とn電極21が窒化物半導体基板5裏面に形成され窒化物半導体基板と光吸収膜202等との間に光吸収性半導体層203が形成されてなる素子構造を有する側の反対側の窒化物半導体基板5等を示すレーザ素子の一部分の模式的断面図である。光吸収性半導体層203が、リッジ形状のストライプ幅のように形成されていると、光吸収性半導体層が窒化物半導体基板とオーミック接触を有しない倍でも、抵抗を小さくできる点で好ましい。
【0023】
光吸収性半導体層としては、活性層を含むレーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光を吸収可能な半導体であればよく、好ましくはInαAlβGa1-α-βN(0≦α、0≦β、α+β≦1)である。光吸収性半導体層がInαAlβGa1-α-βNであると光吸収性が向上し好ましい。
光吸収性半導体層が活性層を有するレーザ導波路から散乱した光を吸収可能とするには、光吸収性半導体層のバンドギャップエネルギーが、活性層のバンドギャップエネルギー以下であり、光吸収性半導体層のIn含有量を活性層の井戸層のIn含有量よりも多くする。なお、発光波長のバンドギャップエネルギーは{(eV)=1240/発光波長(nm)}なる式で算出できる。このように、レーザ素子の活性層の組成などにより、適宜、光吸収性半導体層のIn組成を調整する。
光吸収性半導体層の膜厚としては、レーザ発振波長の光を吸収できる程度の膜厚であればよく、具体的には1000〜4000オングストローム、好ましくは2000〜3500オングストロームである。光吸収膜の膜厚が、上記範囲であるとレーザ発振波長の光を吸収する点で好ましい。
【0024】
本発明において、光吸収膜、基板裏面に光吸収膜及びn電極、または基板裏面と光吸収膜などの間に光吸収性半導体層を形成する場合のそれぞれの形成方法としては、スパッタリング、CVD、蒸着等が挙げられ、光吸収性半導体層の形成はCVD等が挙げられる。
【0025】
また本発明のレーザ素子において、窒化物半導体基板上に形成される素子構造としては特に限定されず、少なくともn側窒化物半導体層、活性層、及びp側窒化物半導体層を有している素子構造が挙げられる。
本発明のレーザ素子の素子構造の一実施の形態としては、例えば、前記Jpn.J.Appl.Phys.Vol.37(1998)pp.L309-L312、Part2,No.3B,15 March 1998に記載されている素子構造や、本出願人が先に出願した特願平10−614号明細書に記載されている光閉じ込め効果の良好なクラッド層等を有する素子構造、後述の実施例で示されている素子構造などを挙げることができる。素子構造に用いられているクラッド層の光閉じ込め効果が良好であると、本発明の光吸収膜と組み合わせることにより、垂直横モードの単一化がより良好となり好ましい。また、クラッド層の光閉じ込めが良好であると、発振しきい値を低下させることができ好ましい。
【0026】
また、本発明において、リッジ形状のストライプの形状としては、特に限定されず、種々の形状のものを用いることができる。
例えば図11に示される前記J.J.A.P.に記載のストライプ形状、本出願人が提案した特願平10−126549号明細書に記載のストライプ幅が4μm〜0.5μmの屈折率導波構造を有するストライプ形状などが挙げられる。
ストライプ幅の狭い構造のレーザ素子は、水平横モードを調整するのに好ましく、上記本発明の光吸収膜との組み合わせにより、より円形に近い単一モードのレーザ光が得られ易くなり好ましい。更にストライプ幅の狭い構造のレーザ素子は、しきい値電流を低下させる点でも好ましい。ストライプ幅の狭い構造を有するレーザ素子の一実施の形態としては、後述の実施例にその一例を示す。
【0027】
また、本発明の窒化物半導体レーザ素子において用いられるp電極としては、特に限定されず、種々のものを用いることができ、リッジ形状のストライプの最上層のp側窒化物半導体層とオーミック接触を有する材料が用いられる。また本発明において用いられるn電極としては、上記のように光吸収膜がn電極を兼ねる場合、例えば上記光吸収膜の材料の中のn側窒化物半導体又は窒化物半導体基板とオーミック接触を有する材料をn電極として用い、光吸収膜がn電極を兼ねない場合はn側窒化物半導体などとオーミック接触を有する種々の材料が用いられる。
【0028】
また、本発明において、メタライズ電極がTi、Pt、Au、Sn、Si、Cr、W及びMoのいずれか1種以上の材料からなる積層又は合金であると、n電極が窒化物半導体基板裏面に形成されている場合、n電極とメタライズ電極とがレーザ素子の動作中に反応してオーミック性が低下することを防止でき、レーザ素子の電圧の上昇の防止をする点で好ましい。
また、本発明において、n電極が窒化物半導体基板裏面に形成されている場合、メタライズ電極とn電極との間に、Ti、Pt、Au、Cr、W及びMoのいずれか1種以上の材料からなる積層又は合金であるバリア電極が形成されていると、n電極とメタライズ電極との反応をより良く防止でき、レーザ素子の電圧の上昇の防止の点で好ましい。
【0029】
本発明において、用いられる窒化物半導体基板の膜厚は、70〜400μm、好ましくは70〜200μm、より好ましくは70〜150μmである。窒化物半導体基板の膜厚が上記範囲であると加工強度を保て、劈開が容易となり好ましい。
また、本発明において、窒化物半導体基板が、窒化物半導体と異なる異種基板上に成長されてなる場合、窒化物半導体基板上に成長される素子構造は異種基板を除去してから、又は除去する前に形成してもよく、好ましくは異種基板を除去してから素子構造を成長させる。また異種基板を除去してから素子構造を成長させる場合、異種基板を除去した面とは反対の窒化物半導体面に素子構造を形成することが好ましい。
【0030】
本発明において用いられる窒化物半導体基板は、いずれの成長方法により形成されたものでもよく、例えばサファイアなどの異種基板上に、低温成長させた薄膜の窒化物半導体層(バッファ層)上に、成長させてなる窒化物半導体基板、又は横方向の成長を利用して選択成長させた窒化物半導体基板等が挙げられる。好ましくは横方向の成長を利用して選択成長させた窒化物半導体を用いると、結晶欠陥の少ない窒化物半導体を基板とすることができ好ましい。
横方向の成長を利用して成長された窒化物半導体基板の成長方法としては、特に限定されず、窒化物半導体を横方向に成長させ結晶欠陥の転位を減少させることが可能な方法であればいずれの方法でもよい。
例えば前記したJ.J.A.P.に記載の方法、本出願人が先に出願した特願平9−290098号明細書に記載の窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板の上に、窒化物半導体を成長させた後、該窒化物半導体の縦方向の成長を抑え、窒化物半導体を横方向のみに成長させ、続いて、縦及び横方向に成長させて形成させる方法等が挙げられる。
【0031】
以下に前記した窒化物半導体基板の成長方法の好ましい一実施の形態を更に説明する。
本発明において、好ましい窒化物半導体基板の成長方法の一実施の形態としては、本出願人が出願した特願平9−290098号明細書に提案の、異種基板の表面で発生する結晶欠陥が窒化物半導体を厚く成長させても窒化物半導体の表面まで連続して転位することを防止し結晶欠陥を減少させるために、異種基板上に窒化物半導体を成長させた後、窒化物半導体の縦方向の成長を抑え、横方向にのみ成長させ、続いて縦と横方向に成長させる方法が挙げられる。この方法で厚膜に成長された窒化物半導体基板は、前記J.J.A.P.に記載の方法で成長させた場合よりも結晶欠陥を少なくすることができる。結晶欠陥の少ない窒化物半導体を基板とすると、その上に成長させる素子構造も結晶欠陥が少なくなり、Alを含有するとクラックの入り易い傾向のあるクラッド層を良好に形成させることができ、活性層を有するレーザ導波路内の光の閉じこめが良好となり、本発明の光吸収膜と組み合わせると垂直横モードがより良好となり好ましい。
【0032】
このような成長方法の具体例としては、下記第1〜第3の工程を有する窒化物半導体の成長方法が挙げられる。
まず、第1の工程で、窒化物半導体と異なる材料よりなる異種基板の上に、第1の窒化物半導体を成長させ、第2の工程で、前記第1の窒化物半導体に部分的に段差を形成して第1の窒化物半導体の端面(形成される段差の内部に露出する部分)を露出させ、段差上面にある第1の窒化物半導体の平面及び段差の異種基板に対して水平な面に保護膜を形成し、続いて、第3の工程で、前記第1の窒化物半導体の端面から第2の窒化物半導体を成長させる。
【0033】
また、本発明の成長方法により得られる結晶が良好で結晶欠陥の少ない第2の窒化物半導体を基板として用いて窒化物半導体素子を作成すると、この上に積層成長させた窒化物半導体素子も同様に、結晶欠陥のほとんどない結晶性の良好な素子となり、結晶欠陥による劣化を著しく防止できライフ時間が向上し、寿命特性の良好な窒化物半導体素子を提供することが可能となる。
【0034】
上記方法により得られる第2の窒化物半導体の結晶欠陥は、1×107個/cm2以下となり、好ましい条件においては5×106個/cm2以下、さらに好ましい条件においては1×106個/cm2以下、最も好ましい条件においては5×105個/cm2以下であることが望ましい。
【0035】
以下、本発明で用いられる窒化物半導体基板となる窒化物半導体の成長方法の一実施形態を段階的に示した模式的断面図である図3〜図6を用いて窒化物半導体の成長方法を説明する。
図3は異種基板1上に、第1の窒化物半導体2を成長させる第1の工程を行った模式的段面図である。
この第1の工程において、用いることのできる異種基板としては、例えば、サファイアC面、R面及びA面のいずれかの面を主面とするサファイア、スピネル(MgA12O4)のような絶縁性基板、SiC(6H、4H、3Cを含む)、ZnS、ZnO、GaAs、Si、及び窒化物半導体と格子整合する酸化物基板等、従来知られている窒化物半導体と異なる基板材料を用いることができる。好ましい異種基板としては、サファイア、スピネルが挙げられる。
【0036】
また、第1の工程において、異種基板1上に第1の窒化物半導体2を成長させる前に、異種基板1上にバッファ層(図示されていない)を形成してもよい。バッファ層としては、AlN、GaN、AlGaN、InGaN等が用いられる。バッファ層は、900℃以下300℃以上の温度で、膜厚0.5μm〜10オングストロームで成長される。このように異種基板1上にバッファ層を900℃以下の温度で形成すると、異種基板1と第1の窒化物半導体2との格子定数不正を緩和し、第1の窒化物半導体2の結晶欠陥が少なくなる傾向がある。
【0037】
第1の工程において、異種基板1上に形成される第1の窒化物半導体2としては、アンドープ(不純物をドープしない状態、undope)のGaN、Si、Ge、及びS等のn型不純物をドープしたGaNを用いることができる。
第1の窒化物半導体2は、高温、具体的には900℃〜1100℃、好ましくは1050℃で異種基板1上に成長される。第1の窒化物半導体2の膜厚は特に限定しないが、段差を形成するためには100オングストローム以上、好ましくは1〜10μm程度、より好ましくは1〜5μmの膜厚で形成することが望ましい。
【0038】
次に、図4は異種基板1上に第1の窒化物半導体2を成長させた後、第1の窒化物半導体2に部分的に第1の窒化物半導体2がわずかに残る程度の深さで段差を形成して、第1の窒化物半導体2の端面を露出させ、図4のように段差上面にある第1の窒化物半導体2の平面及び段差下面の異種基板に対し水平な面に保護膜3及び保護膜4を形成する第2の工程を行った模式的断面図である。
【0039】
第2の工程において、部分的に段差を形成するとは、少なくとも第1の窒化物半導体2の端面が露出されるように、第1の窒化物半導体2の表面から異種基板1方向に窪みを形成してあればよく、第1の窒化物半導体2にいずれの形状で段差を設けてもよく、例えば、ランダムな窪み、ストライプ状、碁盤面状、ドット状に形成できる。
第1の窒化物半導体2に部分的に設けられた段差は、第1の窒化物半導体の途中まで、又は異種基板に達する深さで形成され、この段差の深さは、第1の窒化物半導体2の膜厚や、保護膜4の膜厚等にも左右される値であり、第1の窒化物半導体2の端面から横方向に成長する第2の窒化物半導体5が成長し易いような端面となるように段差が形成されることが好ましい。段差の深さは、第1の窒化物半導体2が残る程度の深さが好ましい。仮に、段差を形成する際に異種基板1が露出されていると、保護膜4の形成時に第1の窒化物半導体2の端面付近に保護膜4が形成しにくいと考えられることから、保護膜4が十分に異種基板の表面を覆ってない場合には、異種基板の表面に第2の窒化物半導体5が成長し、そこから結晶欠陥が発生する可能性があるからである。
段差の具体的な深さは、特に限定せず通常500オングストローム〜5μm程度であれば十分である。
【0040】
段差をストライプ状の形状とする場合、ストライプの形状として、例えばストライプ幅を10〜20μm、ストライプ間隔を2〜5μmのものを形成することができる。
【0041】
第2の工程で段差を設ける方法としては、第1の窒化物半導体を一部分取り除くことができる方法であればいずれの方法でもよく、例えばエッチング、ダイシング等が挙げられる。
【0042】
第2の工程において窒化物半導体をエッチングする方法には、ウエットエッチング、ドライエッチング等の方法があり、平滑な面を形成するには、好ましくはドライエッチングを用いる。ドライエッチングには、例えば反応性イオンエッチング(RIE)、反応性イオンビームエッチング(RIBE)、電子サイクロトロンエッチング(ECR)、イオンビームエッチング等の装置があり、いずれもエッチングガスを適宜選択することにより、窒化物半導体をエッチングしてできる。例えば、本出願人が先に出願した特開平8−17803号公報記載の窒化物半導体の具体的なエッチング手段を用いることができる。
また、エッチングによって段差を形成する場合、エッチング面が、図4に示すように異種基板に対して端面がほぼ垂直となる形状、又は順メサ形状や逆メサ形状でもよく、あるいは第1の窒化物半導体2の端面が階段状になるように形成された形状等でのもよい。
【0043】
第2の工程で、第1の窒化物半導体2が縦方向に成長するのを制御するために、例えば段差の上面にある第1の窒化物半導体2の平面に保護膜3を、段差の下面の異種基板に対してほぼ水平な面に保護膜4を、保護膜としてそれぞれ形成する。段差の形状が階段状である場合は、階段の各段の異種基板にほぼ水平な面に保護膜4をそれぞれ形成する。
第2の工程で用いられる保護膜としては、保護膜表面に窒化物半導体が成長しないか、若しくは成長しにくい性質を有する材料が挙げられる。保護膜として、例えば酸化ケイ素(SiOX)、窒化ケイ素(SiXNY)、酸化チタン(TiOX)、酸化ジルコニウム(ZrOX)等の酸化物、窒化物、またこれらの多層膜の他、1200℃以上の融点を有する金属等をあげることができる。これらの保護膜材料は、窒化物半導体の成長温度600℃〜1100℃の温度にも耐え、その表面に窒化物半導体が成長しないか、成長しにくい性質を有している。保護膜材料を窒化物半導体表面に形成するには、例えば蒸着、スパッタ、CVD等の気相製膜技術を用いることができる。
【0044】
また、第2の工程において、保護膜3及び保護膜4は、段差を第1の窒化物半導体2に形成する方法が、エッチングである場合と、ダイシングである場合とで、形成のされ方が多少異なる。まずエッチングで段差を形成する場合、第1の窒化物半導体2上に保護膜を形成後、その上にレジスト膜を形成しパターンを転写し露光、現像して部分的に保護膜3を形成した後、第1の窒化物半導体2をエッチングすることで段差の形成を行う。続いて段差を形成した第1の窒化物半導体2上、つまり保護膜3及び段差の下面等に更に保護膜を形成し、CF4とO2ガスによるドライエッチングにより、第1の窒化物半導体2の端面部分のみの保護膜をエッチングし、保護膜4を形成する。このように形成すると、例えば図4では、保護膜3は一層として図示されているが、保護膜3上に更に保護膜が形成され2層の保護膜が積層されたような状態になっている。ここで保護膜4を形成する前に、保護膜3を取り除いてから、保護膜3の形成されていた部分と段差の下面とに保護膜を形成してもよく、又は保護膜3を取り除かずに保護膜4を形成してもよい。
次に、ダイシングで段差を形成する場合、第1の窒化物半導体2を上面からダイシング・ソーで第1の窒化物半導体2に段差を形成し、その後、その上に保護膜を形成し、CF4とO2ガスによるドライエッチングにより端面部分の保護膜のみエッチングすることで所望の形状及び位置に保護膜3及び保護膜4を同時に形成する。
【0045】
保護膜3及び保護膜4の膜厚は、特に限定せず、ドライエッチングにより端面を露出させられる膜厚であり、且つ底面を被覆できる膜厚にする必要がある。また、保護膜3と保護膜4の膜厚は、第2の窒化物半導体5が横方向に成長し易いように調整されていることが好ましく、場合によってはそれぞれの膜厚が異なってもよい。
例えば、保護膜3は、薄く形成された方が、第3の工程で成長させる第2の窒化物半導体5が保護膜3と同程度の膜厚となった時、隣接している第2の窒化物半導体5同士が接合し易くなると考えられる。また保護膜4は、比較的厚く(但し、第1の窒化物半導体2の端面が第2の窒化物半導体5が成長される程度に十分露出されている範囲)形成された方が、第2の窒化物半導体5の成長初期において、段差の下面(第1の窒化物半導体の平面又は異種基板面)を十分に覆うことができると共に熱による保護膜4へのピンホールの発生を防止できると考えられる。ピンホールが保護膜に発生すると、ピンホールから第2の窒化物半導体5が縦方向に成長する恐れがあり、結晶欠陥の発生の原因となると考えられる。
第1の窒化物半導体2の縦方向の成長を防止する一実施の形態として、保護膜を形成して行うことを挙げたが、本発明はこれに限定されない。また、横方向から第2の窒化物半導体5を成長させる一実施の形態として第1の窒化物半導体2に窪みを形成して端面を設けることを挙げたが、これに限定されない。
【0046】
次に、図5は、エッチングにより露出された第1の窒化物半導体2の端面から第2の窒化物半導体5を成長させる第3の工程を行った模式的断面図である。
第3の工程においては、第1〜第2の工程により保護膜3及び保護膜4を形成したことにより、第2の窒化物半導体5が成長可能な部分を、第1の窒化物半導体2の端面のみとし、第1の窒化物半導体2の端面から第2の窒化物半導体5が選択的に横方向に成長し始める。そして、成長を続けるうちに、第2の窒化物半導体5が横方向に加え縦方向にも成長をはじめ、窒化物半導体が成長しにくい保護膜上にあたかも成長したかのように、第2の窒化物半導体5は保護膜3及び保護膜4を覆い成長を続け、図6に示す模式的断面図のように、第2の窒化物半導体5が得られる。このように成長初期に成長方向を特定された第2の窒化物半導体5は、厚膜に成長させても、結晶欠陥の極めて少ない非常に良好な結晶性を有する。第2の窒化物半導体5としては、前記第1の窒化物半導体2と同様のものを用いることができる。
【0047】
第1の窒化物半導体2、及び第2の窒化物半導体5を成長させる方法としては、特に限定されないが、MOVPE(有機金属気相成長法)、HVPE(ハライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)等、窒化物半導体を成長させるのに知られている全ての方法を適用できる。好ましい成長方法としては、膜厚が100μm以下ではMOCVD法を用いると成長速度をコントロールし易い。また膜厚が100μm以下ではHVPEでは成長速度が速くてコントロールが難しい。
【0048】
【実施例】
以下に本発明の窒化物半導体レーザ素子の一実施の形態である実施例を示す。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
以下に図7に示される本発明の一実施の形態である窒化物半導体レーザ素子の模式的断面図で示されるレーザ素子を以下のように形成する。
【0049】
(窒化物半導体基板5の形成)
窒化物半導体基板の成長方法の各工程を示した図3〜図6を用いて示す。また実施例1での窒化物半導体基板の成長はMOCVD法を用いて行った。
【0050】
異種基板1として、2インチφ、C面を主面とし、オリフラ面をA面とするサファイア基板1を反応容器内にセットし、温度を510℃にして、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアとTMG(トリメチルガリウム)とを用い、サファイア基板1上にGaNよりなるバッファ層(図示されていない)を約200オングストロームの膜厚で成長させる。
【0051】
バッファ層を成長後、TMGのみ止めて、温度を1050℃まで上昇させる。1050℃になったら、原料ガスにTMG、アンモニア、シランガスを用い、Siを1×1018/cm3ドープしたGaNよりなる第1の窒化物半導体層2を2μmの膜厚で成長させる(図3)。
【0052】
第1の窒化物半導体層2を成長後、ストライプ状のフォトマスクを形成し、スパッタ装置によりストライプ幅15μm、ストライプ間隔3μmのSiO2よりなる保護膜3を1μmの膜厚で形成し、続いて、RIE装置により第1の窒化物半導体層2の途中までエッチングして段差を形成することにより第1の窒化物半導体2の端面を露出させる(図4)。なお、ストライプ方向は、オリフラ面に対して垂直な方向で形成する。
【0053】
第1の窒化物半導体層2に、図4のように段差を形成した後、段差を形成した第1の窒化物半導体2の表面にスパッタ装置により保護膜を形成し、CF4とO2ガスにより、段差を形成したことにより形成された第1の窒化物半導体2の端面部の保護膜のみをエッチングすることにより、保護膜3及び保護膜4を形成する。
【0054】
保護膜3及び保護膜4を形成後、反応容器内にセットし、温度を1050℃で、原料ガスにTMG、アンモニア、シランガスを用い、Siを1×1018/cm3ドープしたGaNよりなる第2の窒化物半導体層5を200μmの膜厚で成長させる(図5及び図6)。
【0055】
第2の窒化物半導体層5を成長後、ウェーハを反応容器から取り出し、SiドープGaNよりなる窒化物半導体基板を得る。
上記で得られたウェーハのサファイア基板1、バッファ層、第1の窒化物半導体2、及び保護膜3、4を研磨、除去し、第2の窒化物半導体層5の表面を露出させ、第2の窒化物半導体層5のみにする。以下第2の窒化物半導体層5を窒化物半導体基板5とする。
【0056】
(素子構造)
上記で得られた窒化物半導体基板5(SiドープGaN)を主面とするウェーハをMOVPE装置の反応容器内にセットし、この異種基板を除去した面と反対側の窒化物半導体基板5の面上に下記各層を形成する。
【0057】
(n側クラッド層43)
次に、Siを1×1019/cm3ドープしたn型Al0.2Ga0.8Nよりなる第1の層、20オングストロームと、アンドープ(undope)のGaNよりなる第2の層、20オングストロームとを交互に100層積層してなる総膜厚0.4μmの超格子構造とする。
【0058】
(n側光ガイド層44)
続いて、Siを1×1017/cm3ドープしたn型GaNよりなるn型光ガイド層44を0.1μmの膜厚で成長させる。
【0059】
(活性層45)
次に、Siを1×1017/cm3ドープのIn0.2Ga0.8Nよりなる井戸層、25オングストロームと、Siを1×1017/cm3ドープのIn0.01Ga0.95Nよりなる障壁層、50オングストロームを交互に積層してなる総膜厚175オングストロームの多重量子井戸構造(MQW)の活性層45を成長させる。
【0060】
(p側キャップ層46)
次に、バンドギャップエネルギーがp側光ガイド層47よりも大きく、かつ活性層45よりも大きい、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型Al0.3Ga0.9Nよりなるp側キャップ層46を300オングストロームの膜厚で成長させる。
【0061】
(p側光ガイド層47)
次に、バンドギャップエネルギーがp側キャップ層46より小さい、Mgを1×1018/cm3ドープしたp型GaNよりなるp側光ガイド層47を0.1μmの膜厚で成長させる。
【0062】
(p側クラッド層48)
次に、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型Al0.2Ga0.8Nよりなる第1の層、20オングストロームと、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなる第2の層、20オングストロームとを交互に積層してなる総膜厚0.4μmの超格子層よりなるp側クラッド層48を形成する。
【0063】
(p側コンタクト層49)
最後に、Mgを2×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層49を150オングストロームの膜厚で成長させる。
【0064】
反応終了後、反応容器内において、ウェーハを窒素雰囲気中、700℃でアニーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化する。アニーリング後、ウェーハを反応容器から取り出し、図7に示すように、RIE装置により最上層のp型コンタクト層49と、p型クラッド層48とをエッチングして、4μmのストライプ幅を有するリッジ形状とし、リッジ表面の全面にNi/Auよりなるp電極51を形成する。
次に、窒化物半導体基板裏面にレジスト膜を形成しマスクパターンを合わせ露光、現像した後、この全面に膜厚5000オングストロームのTi/Alを形成し、リフトオフにより図7に示すようにn電極21を形成する。
p電極51とn電極21を形成後に、窒化物半導体と電極のオーミックコンタクトをとるため熱処理する。
【0065】
次に、図7に示すように、p電極51を除くp側クラッド層48、p側コンタクト層49の表面にSiO2よりなる絶縁膜50を形成し、この絶縁膜50を介してp電極51と電気的に接続したpパッド電極52を形成する。
【0066】
次に、n電極21を形成した窒化物半導体基板裏面に、フォトリソによりn電極21上にレジスト膜を形成し、この上に4000オングストロームの膜厚でCrOを全面に形成後リフトオフにより、図7に示すようにリッジ形状のストライプのほぼ真下に光吸収膜202を形成する。
n電極21と光吸収膜202を形成した後、これの上に、ヒートシンクとのメタライゼーション用にTi/Pt/Au/Au−Snを1000/1000/8000/3000オングストロームの膜厚でメタライズ電極を形成する。
【0067】
その後、p電極51を有する側からウエハの端部にエッジスクライブし、5mmの傷をつけ、続いてブレーキングして素子構造及び窒化物半導体基板5のM面(11−00、六角柱の側面に相当する面)で素子構造及び窒化物半導体基板5を劈開し、共振面を作製する。
【0068】
得られた共振面の両方あるいはどちらか一方にSiO2とTiO2よりなる誘電体多層膜を形成し、最後にp電極に平行な方向で、バーを切断してレーザチップとした。次にチップをフェースアップ(基板とヒートシンクとが対向した状態)でヒートシンクに設置し、pパッド電極52をワイヤーボンディングして、室温でレーザ発振を試みたところ、室温において、閾値電流密度2.0kA/cm2、閾値電圧4.0Vで、発振波長405nmの連続発振が確認され、1000時間以上の寿命を示す。
更に、得られたレーザ素子の垂直横モードは良好な単一モードとなり、窒化物半導体基板端面から放出される光を十分に抑制できる。
【0069】
[実施例2]
図8は本発明の一実施例に係るレーザ素子の構造を示す模式的な断面図でありストライプ導波路に垂直な方向で切断した際の図を示すものである。以下、この図を用いて実施例2を説明する。
実施例1の窒化物半導体の成長方法と同様にして窒化物半導体を成長させ、窒化物半導体基板5として、この窒化物半導体基板5上に下記の素子構造を成長させる。但し、窒化物半導体基板5に、Siをドープせず、窒化物半導体基板5の膜厚を150μmとする。
【0070】
(n側コンタクト層85)
次に、アンモニアとTMG、不純物ガスとしてシランガスを用い、窒化物半導体基板5の上に、1050℃でSiを3×1018/cm3ドープしたGaNよりなるn側コンタクト層85を4μmの膜厚で成長させる。
【0071】
(クラック防止層86)
次に、TMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニアを用い、温度を800℃にしてIn0.06Ga0.94Nよりなるクラック防止層86を0.15μmの膜厚で成長させる。なお、このクラック防止層は省略可能である。
【0072】
(n側クラッド層87)
続いて、1050℃でTMA(トリメチルアルミニウム)、TMG、アンモニアを用い、アンドープAl0.16Ga0.84Nよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させ、続いてTMAを止めて、シランガスを流し、Siを1×1019/cm3ドープしたn型GaNよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させる。それらの層を交互積層して超格子層を構成し、総膜厚1.2μmの超格子よりなるn側クラッド層87を成長させる。
【0073】
(n側光ガイド層88)
続いて、シランガスを止め、1050℃でアンドープGaNよりなるn側光ガイド層88を0.1μmの膜厚で成長させる。このn側光ガイド層88にn型不純物をドープしても良い。
【0074】
(活性層89)
次に、温度を800℃にして、SiドープIn0.05Ga0.95Nよりなる障壁層を100オングストロームの膜厚で成長させ、続いて同一温度で、アンドープIn0.2Ga0.8Nよりなる井戸層を40オングストロームの膜厚で成長させる。障壁層と井戸層とを2回交互に積層し、最後に障壁層で終わり、総膜厚380オングストロームの多重量子井戸構造(MQW)の活性層を成長させる。
【0075】
(p側キャップ層90)
次に、温度を1050℃に上げ、TMG、TMA、アンモニア、Cp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、p側光ガイド層91よりもバンドギャップエネルギーが大きい、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型Al0.3Ga0.7Nよりなるp側キャップ層90を300オングストロームの膜厚で成長させる。
【0076】
(p側光ガイド層91)
続いてCp2Mg、TMAを止め、1050℃で、バンドギャップエネルギーがp側キャップ層90よりも小さい、アンドープGaNよりなるp側光ガイド層91を0.1μmの膜厚で成長させる。
【0077】
(p側クラッド層92)
続いて、1050℃でアンドープAl0.16Ga0.84Nよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させ、続いてCp2Mg、TMAを止め、アンドープGaNよりなる層を25オングストロームの膜厚で成長させ、総膜厚0.6μmの超格子層よりなるp側クラッド層92を成長させる。
【0078】
(p側コンタクト層93)
最後に、1050℃で、p側クラッド層9の上に、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層93を150オングストロームの膜厚で成長させる。
【0079】
以上のようにして窒化物半導体を成長させたウェーハを反応容器から取り出し、最上層のp側コンタクト層の表面にSiO2よりなる保護膜を形成して、RIE(反応性イオンエッチング)を用いSiCl4ガスによりエッチングし、図8に示すように、n電極を形成すべきn側コンタクト層85の表面を露出させる。
【0080】
次に、図9(a)に示すように、最上層のp側コンタクト層93のほぼ全面に、PVD装置により、Si酸化物(主として、SiO2)よりなる第1の保護膜61を0.5μmの膜厚で形成した後、第1の保護膜61の上に所定の形状のマスクをかけ、フォトレジストよりなる第3の保護膜63を、ストライプ幅2μm、厚さ1μmで形成する。
【0081】
次に、図9(b)に示すように第3の保護膜63形成後、RIE(反応性イオンエッチング)装置により、CF4ガスを用い、第3の保護膜63をマスクとして、前記第1の保護膜をエッチングして、ストライプ状とする。その後エッチング液で処理してフォトレジストのみを除去することにより、図9(c)に示すようにp側コンタクト層93の上にストライプ幅2μmの第1の保護膜61が形成できる。
【0082】
さらに、図9(d)に示すように、ストライプ状の第1の保護膜61形成後、再度RIEによりSiCl4ガスを用いて、p側コンタクト層93、およびp側クラッド層92をエッチングして、ストライプ状の導波路領域(この場合、リッジストライプ)を形成する。ストライプを形成する際、そのストライプの断面形状を図8に示すような順メサの形状とすると、横モードがシングルモードとなりやすく非常に好ましい。
【0083】
リッジ形状のストライプを形成後、ウェーハをPVD装置に移送し、図9(e)に示すように、Zr酸化物(主としてZrO2)よりなる第2の保護膜62を、第1の保護膜61の上と、エッチングにより露出されたp側クラッド層92の上に0.5μmの膜厚で連続して形成する。
【0084】
次に、ウェーハをフッ酸に浸漬し、図9(f)に示すように、第1の保護膜61をリフトオフ法により除去する。
【0085】
次に図9(g)に示すように、p側コンタクト層93の上の第1の保護膜61が除去されて露出したそのp側コンタクト層の表面にNi/Auよりなるp電極20を形成する。但しp電極20は100μmのストライプ幅として、この図9(g)に示すように、第2の保護膜62の上に渡って形成する。
更に、一番最初に露出させたn側コンタクト層85の表面にはTi/Alよりなるn電極21をストライプと平行な方向で形成する。
p及びn電極を形成後、窒化物半導体と電極のオーミックコンタクトをとるため熱処理する。
【0086】
次に、p電極20上の全面に連続して、Tiからなる第1の薄膜層31を1000オングストロームの膜厚で形成し、更に図8に示すようにストライプの側面等にも第1薄膜層31を形成する。この連続して形成された第1薄膜層31上に、後の工程で劈開により共振面を形成する際の劈開面に一致しない大きさ、つまり劈開面となる部分の上部を避けて、断続的にAuからなる第2の薄膜層32を8000オングストロームの膜厚で形成し、第1の薄膜層31及び第2の薄膜層32からなるpパッド電極301を形成する。更に、n電極21上にnパッド電極302を形成する。
【0087】
次に、図8に示すように、窒化物半導体基板5裏面のリッジ形状のストライプのほぼ真下に、ストライプとほぼ同一の幅を有する光吸収膜202を実施例1と同様に形成する。更に、光吸収膜202を形成した後、この上から窒化物半導体基板5裏面に、実施例1と同様にTi/Pt/Au/Au−Snを膜厚1000/1000/8000/3000オングストロームの膜厚でメタライズ電極を形成する。
【0088】
以上のようにして、電極、パッド電極及び光吸収膜202等を形成した後、p電極を有する側からウエハの端部の窒化物半導体層のM面方向に5mmのエッジスクライブをし、ブレーキングしてM面で劈開し劈開面に共振面を形成する。
共振面にSiO2とTiO2よりなる誘電体多層膜を形成し、最後にp電極に平行な方向で、バーを切断して図8に示すようなレーザ素子とする。なお共振器長は300〜500μmとすることが望ましい。
【0089】
このレーザ素子をヒートシンクに設置し、それぞれの電極をワイヤーボンディングして、室温でレーザ発振を試みたところ、発振波長400〜420nm、閾値電流密度2.9kA/cm2において室温連続発振が確認され、1000時間以上の寿命を示し、良好な単一モードのレーザ光を得ることができる。
【0090】
[実施例3]
図10は本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造を示す模式的な断面図であり、以下この図10を用いて実施例3について説明する。
【0091】
実施例1と同様にして得られた窒化物半導体の単体を窒化物半導体基板5を用いる。但し、窒化物半導体基板5の膜厚を100μmとする。
次に、この窒化物半導体基板5の異種基板等を除去した面とは反対の面上に、実施例2と同様のクラック防止層86〜p側コンタクト層93までの素子構造を成長させる。
【0092】
p側コンタクト層13成長後、実施例2と同様にして、ストライプ状の第1の保護膜61を形成した後、第2の工程において、エッチングストップを図10に示すn側クラッド層7の表面とする。後は、実施例2と同様にして、ZrO2を主成分とする第2の保護膜62をストライプ導波路の側面と、n側クラッド層7の表面とに形成した後、その第2の保護膜を介してp電極20を形成する。形成されたp電極21上に、ストライプ長さと同一の長さとなるようにTiからなる第1の薄膜層31を膜厚1000オングストロームで、第2の薄膜層32の形状と同様の形状でPtよりなる第3の薄膜層を膜厚1000オングストロームで、及びストライプ長さより短い形状でAuからなる第2の薄膜層32を膜厚8000オングストロームで順に積層形成してなる劈開性の良いpパッド電極301を図10に示すように形成する。第3の薄膜層は図示していないが、第2の薄膜層と同様の形状で形成する。
一方、窒化物半導体基板の裏面側のほぼ全面に、基板とオーミック接触を有するTi/Si/Auからなるn電極を兼ねる光吸収膜202を1000/2000/3000オングストロームの膜厚で形成し、この上にAu−Snからなるメタライズ電極を3000オングストロームの膜厚で形成する。
電極形成後、窒化物半導体基板のM面で劈開して、共振面を作製し、図10に示すような構造のレーザ素子としたところ、実施例2とほぼ同等のLD特性を有するレーザ素子が得られる。
また、レーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光を良好に吸収でき、垂直横モードが良好な単一となり、ファーフィールドパターンの良好なレーザ素子を得ることができる。
【0093】
[実施例4]
実施例3において、図10に示される窒化物半導体基板と光吸収膜との間に、In0.4Ga0.6Nからなる光吸収性半導体層を4000オングストロームの膜厚で、CVDにより形成した他は実施例3と同様にしてレーザ素子を作製した。
得られたレーザ素子は、実施例3とほぼ同様の素子特性を示し、更に光吸収膜に加えて光吸収性半導体層を形成したことにより、実施例3に比べて、垂直横モードの単一化がより良好になる。
【0094】
[実施例5]
図11に示されるレーザ素子において、実施例2と同様に窒化物半導体基板5裏面のリッジ形状のストライプのほぼ真下にストライプ幅と同様の幅の光吸収膜を形成し、この上に実施例2と同様にメタライズ電極を形成する他は同様にしてレーザ素子を作製する。
得られたレーザ素子は、光吸収膜が形成されていない場合に比べ、垂直横モードの単一性が更に向上しファーフィールドパターンの良好なレーザ素子を得ることができる。
【0095】
【発明の効果】
本発明は、垂直横モードの単一化が可能でファーフィールドパターンが良好な窒化物半導体レーザ素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1の(a)〜(c)は、光吸収膜を窒化物半導体基板裏面側に形成してなる一実施の形態である窒化物半導体レーザ素子の窒化物半導体基板裏面側の模式的平面図である。
【図2】図1の窒化物半導体基板と光吸収膜の間に、光吸収性半導体層を形成してなる一実施の形態であるリッジ形状のストライプ方向に垂直に切断した窒化物半導体レーザ素子の一部分である窒化物半導体基板裏面側の模式的断面図である。
【図3】本発明で用いられる窒化物半導体基板を成長させる方法の一実施の形態である各工程において得られる窒化物半導体ウェーハの構造を示す模式的断面図である。
【図4】本発明で用いられる窒化物半導体基板を成長させる方法の一実施の形態である各工程において得られる窒化物半導体ウェーハの構造を示す模式的断面図である。
【図5】本発明で用いられる窒化物半導体基板を成長させる方法の一実施の形態である各工程において得られる窒化物半導体ウェーハの構造を示す模式的断面図である。
【図6】本発明で用いられる窒化物半導体基板を成長させる方法の一実施の形態である各工程において得られる窒化物半導体ウェーハの構造を示す模式的断面図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る実施例1に示される窒化物半導体レーザ素子の模式的断面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る実施例2に示される窒化物半導体レーザ素子の模式的断面図である。
【図9】実施例2でリッジ形状のストライプを形成する方法の各工程を説明するための、各工程においてそれぞれ得られるウェーハの部分的な構造を示す模式的断面図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係る実施例3に示される窒化物半導体レーザ素子の模式的断面図である。
【図11】従来のレーザ素子の構造を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1・・・・異種基板
2・・・・第1の窒化物半導体
3、4・・・・保護膜
5・・・・第2の窒化物半導体(窒化物半導体基板)
202・・・・光吸収膜
Claims (7)
- 窒化物半導体基板上に、n側窒化物半導体層、活性層、p側窒化物半導体層を順に積層形成してなる素子構造を有し、前記p側窒化物半導体層に形成されたリッジ形状のストライプを有し、該ストライプの最上層にp電極を有する窒化物半導体レーザ素子において、
前記窒化物半導体基板裏面のリッジ形状のストライプの真下に、少なくともリッジ形状のストライプ幅を有し、活性層を含むレーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光を吸収できる光吸収膜が形成され、n電極が、前記光吸収膜の形成されている部分以外の窒化物半導体基板裏面に形成され、前記光吸収膜及びn電極を被覆するようにメタライズ電極が形成されてなることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。 - 前記光吸収膜が、Au、Si、Cr、Ge、Mo、W、Ta及びTiの少なくとも2種以上の合金、少なくとも1種以上の積層された金属膜、並びに1種以上の酸化物のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記窒化物半導体基板裏面と、光吸収膜及び/又はn電極との間に、活性層を含むレーザ導波路から漏れ出したレーザ発振波長の光を吸収できる光吸収性半導体層を形成してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記光吸収性半導体層が、InαAlβGa1- α - βN(0≦α、0≦β、α+β≦1)からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記窒化物半導体レーザ素子は、前記窒化物半導体基板側を支持体に設置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記窒化物半導体レーザ素子のメタライズ電極がTi、Pt、Au、Sn、Si、Cr、W及びMoのいずれか1種以上の材料からなる積層又は合金であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記メタライズ電極とn電極及び/又は光吸収膜との間に、Ti、Pt、Au、Cr、W及びMoのいずれか1種以上の材料からなる積層又は合金であるバリア電極が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
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