JP2004006505A - 静電チャック - Google Patents
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Abstract
【解決手段】静電チャック(1)には、絶縁体(7)のチャック面(3)から金属ベース(9)のベース面(11)に到る冷却用ガス穴(13)が設けられている。冷却用ガス穴(13)として、絶縁体(7)内にてチェック面(3)に平行に横穴(15)が形成され、横穴(15)の一端側には、横穴(15)からチャック面3側に向かって垂直に、チャック側経路(17)が設けられ、横穴(15)の他端側にも、横穴(15)からベース面(11)側に向かって垂直に、ベース側経路(19)が設けられている。従って、冷却用ガス穴(13)は、内部で直角に曲がっているので、チェック面(3)側からチャック側経路(17)の内部を見た場合には、ベース側経路(19)は見えず、絶縁体(7)の一部が見えるだけである。
【選択図】図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウェハを製造する際に使用されるドライエッチング装置やイオン注入装置や電子ビーム露光装置などにおいて、半導体ウェハの固定、平面度矯正、搬送用などに用いることができる静電チャックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、静電チャックは、例えば半導体製造装置において、被吸着部材である半導体ウェハ(例えばシリコンウェハ)を固定してドライエッチング等の加工を行ったり、半導体ウェハを吸着固定して反りを矯正したり、半導体ウェハを吸着して搬送するなどの目的で使用されている。
【0003】
また、静電チャックの使用目的の一つには、半導体ウェハを効率よく冷却することがあり、このため、半導体ウェハと静電チャックとの間、詳しくは半導体ウェハと静電チャックの絶縁体(例えばセラミック体)のチャック面との間に、熱伝導の良い冷却用ガス(例えばHeガス)を充填させる方法が提案されている。
【0004】
そして、前記冷却用ガスをチャック面側に供給するために、静電チャックには、通常、冷却用ガスを噴出するためのガス穴が開けられている。
例えば特許第3021217号公報には、セラミック体の裏側のアルミベースにHeガスを流すガス溝を形成し、セラミック体に形成したガス穴をこのガス溝の位置に合わせることによって、Heガスを噴出させる構成が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報の技術では、チャック面側から見た場合、ガス穴からアルミベースの素地が露出した状態となるので、下記の様な不具合が生じることがあった。
【0006】
つまり、上述した状態で、半導体ウェハのエッチングのためにRF(高周波)を印加した場合には、酸化膜のエッチングのように、RFのパワーを上げると、アルミベースが露出した部分にてアーキングが発生することがある。
このアーキングが発生すると、アルミ等が飛散し、そのパーティクルにより半導体ウェハに損傷を与えるので、半導体ウェハの歩留まりが低下するという問題があった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、アーキングを抑制して、例えばアルミ等の飛散を防止することができる静電チャックを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明(静電チャック)は、内部に吸着用電極(内部電極)を有する絶縁体(例えばセラミック体)と前記絶縁体に接合した金属ベース(例えばアルミベース)とを備え、前記絶縁体のチャック面側にて被吸着部材(例えば半導体ウェハ)を吸着する静電チャックにおいて、前記被吸着部材を冷却する冷却用ガスを前記絶縁体のチャック面側に供給するために、前記金属ベース及び前記絶縁層を貫いて冷却用ガス穴を設けるとともに、前記冷却用ガス穴の構造を、前記チャック面側から見た場合に前記金属ベースが見えないようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明では、冷却用ガス穴をチャック面側から見た場合に、金属ベース(従って金属素地)が直接に見えないように構成している。例えば絶縁体にその厚み方向に開けられた穴と金属ベースに開けられた穴とをずらすように構成している。
これにより、例えば半導体ウェハのエッチングのためにRFのパワーを上げた場合でも、冷却用ガス穴(詳しくは金属ベースの冷却用ガス穴)におけるアーキングが発生し難いので、金属ベースの材料等の飛散を防止することができる。その結果、飛散したパーティクル等が被吸着部材に付着することがないので、被吸着部材の歩留まりが向上するという効果がある。
【0010】
(2)請求項2の発明では、前記冷却用ガス穴の前記金属ベース側の開口部を、前記チャック面と反対側の裏面に設けたことを特徴とする。
本発明は、冷却用ガス穴の金属ベース側の開口部の位置を例示したものである。尚、これ以外に、前記開口部を金属ベース側の側面等に設けることも可能である。
【0011】
(3)請求項3の発明では、前記冷却用ガス穴として、前記絶縁体の内部にトンネルを設けるとともに、前記トンネルから前記絶縁体のチャック面に到る経路と、前記トンネルから前記金属ベースの裏面に到る経路とを設け、更に、前記両経路を、その経路方向においてずらして配置したことを特徴とする。
【0012】
本発明は、冷却用ガス穴の構成を例示したものである。本発明では、トンネルから絶縁体のチャック面に到る経路(チャック側経路)と、トンネルから金属ベースの裏面に到る経路(ベース側経路)とが、同軸上になくずれており、しかも、両経路の間に(絶縁体の内部に設けられた)トンネルがあるので、所望の位置に各経路を設けることができる。
【0013】
従って、アーキングを確実に防止できるだけでなく、設計の自由度が高いという利点がある。
(4)請求項4の発明では、前記金属ベースは、アルミニウムを主成分とする材料(例えばアルミ合金)からなることを特徴とする。
【0014】
本発明は、金属ベースの材料を例示したものである。この種の金属ベースは、アルミベースと呼ばれる。
(5)請求項5の発明では、前記絶縁体は、セラミック材料からなることを特徴とする。
【0015】
本発明は、絶縁体の材料を例示したものである。
(6)請求項6の発明では、前記絶縁体は、アルミナを主成分とする材料からなることを特徴とする。
本発明は、セラミック材料を例示したものである。
【0016】
(7)請求項7の発明では、更に、前記被吸着部材を加熱するヒータを備えたことを特徴とする。
本発明では、上述した構成に加えて、更に(例えば絶縁体内部に)ヒータを備えているので、静電チャックの加熱(従って半導体ウェハ等の加熱)を行うことができる。
【0017】
(8)請求項8の発明では、更に、前記吸着用電極に電力を供給する電源を備えたことを特徴とする。
本発明では、上述した構成に加えて、更に吸着用電極に電力を供給する電源を備えているものである。尚、更に、前記ヒータに電力を供給する電源を備えていてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の静電チャックの実施の形態の例(実施例)について説明する。
(実施例1)
ここでは、例えば半導体ウェハを吸着保持できる静電チャックを例に挙げる。
【0019】
a)まず、本実施例の静電チャックの構造について説明する。尚、図1は静電チャックの一部を破断して示す斜視図である、図2は静電チャックの図1におけるA−A断面を示す説明図である。
図1に示す様に、本実施例の静電チャック1は、図1の上方の吸着面(チャック面)3側にて半導体ウェハ5を吸着するものであり、(例えば直径300mm×厚み3mmの)円盤状の絶縁体(誘電体)7と、(例えば直径340mm×厚み20mmの)円盤状の金属ベース9とを、例えばインジウムからなる接合層(図示せず)を介して接合したものである。
【0020】
前記絶縁体7は、その表面に前記チャック面3を有し、例えばアルミナ質の焼結体からなるセラミック体である。また、前記金属ベース5は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属製であり、絶縁体7の全体を載置するように、絶縁体7より大径とされている。
【0021】
図2に示す様に、前記静電チャック1には、絶縁体7のチャック面3から金属ベース9の裏面(ベース面)11に到るトンネルである冷却用ガス穴13が設けられている。この冷却用ガス穴13は、チャック面3にて保持された半導体ウェハ5を冷却するために、窒素等の冷却用ガスを、ベース面11側からチャック面3側に供給するためのものである。
【0022】
前記冷却用ガス穴13は、絶縁体内7にてチェック面3に平行に形成されており、それにより直径1mmの横穴15が構成されている。また、横穴15の一端側(外周側)には、横穴15からチャック面3側に向かって垂直に、直径0.5mmの縦穴(チャック側経路)17が設けられて、チャック面3に開口している。一方、横穴15の他端側(中心側)にも、横穴15からベース面11側に向かって垂直に、直径1mmの縦穴(ベース側経路)19が設けられて、ベース面11側に開口している。
【0023】
従って、本実施例では、この冷却用ガス穴13は、絶縁体7の内部の2箇所にて直角に曲がっているので、チェック面3側からチャック側経路17の内部を見た場合には、ベース側経路19(従って金属ベース9の金属素地)は見えず、絶縁体7の内部の一部(横穴15)が見えるだけである。
【0024】
尚、前記静電チャック1には、前記冷却用ガス穴13が中心から60度の間隔で6箇所に設けられており、そのため、チャック面3には、図1に示す様に、チャック側経路19の開口部21が6箇所に露出している。
また、図2に示す様に、前記絶縁体7において、チェック面3と冷却用ガス穴13の横穴15との間には、一対の内部電極23、25が配置されており、各内部電極23、25は電源27に接続されている。
【0025】
上述した構成の静電チャック1を使用する場合には、電源27を用いて、両内部電極23、25の間に、3kVの直流電圧を印加し、これにより、半導体ウェハ5を吸着する静電引力(吸着力)を発生させ、この吸着力を用いて半導体ウェハ5を吸着して固定する。
【0026】
b)次に、本実施例の静電チャック1の製造方法について、図3に基づいて説明する。
(1)原料としては、主成分であるアルミナ粉末:92重量%に、MgO:1重量%、CaO:1重量%、SiO2:6重量%を混合して、ボールミルで、50〜80時間湿式粉砕した後、脱水乾燥する。
【0027】
(2)次に、この粉末に、メタクリル酸イソブチルエステル:3重量%、ブチルエステル:3重量%、ニトロセルロース:1重量%、ジオクチルフタレート:0.5重量%を加え、更に溶剤として、トリクロール−エチレン、n−ブタノールを加え、ボールミルで混合して、流動性のあるスラリーとする。
【0028】
(3)次に、このスラリーを、減圧脱泡後平板状に流し出して徐冷し、溶剤を発散させて、厚さ0.8mmの第1〜第6アルミナグリーンシート27〜34を形成する。このうち、第1、第2アルミナグリーンシート27、29には、チャック側経路17を形成するための貫通孔35、37を6箇所に開け、第5、第6アルミナグリーンシート33、34には、ベース側経路19を形成するための貫通孔39、40を6箇所に開け、第3、第4アルミナグリーンシート31、32には、横穴15を形成するための長尺の貫通孔41、42を6箇所に開ける。尚、各貫通孔35〜42は、トンネルを型抜き又は機械加工により形成する。
【0029】
(4)また、前記アルミナグリーンシート用の原料粉末中にタングステン粉末を混ぜて、前記と同様な方法によりスラリー状にして、メタライズインクとする。
(5)そして、前記第2アルミナグリーンシート29上に、前記メタライズインクを用いて、通常のスクリーン印刷法により、両内部電極23、25の(図の斜線で示す)パターン43、45を印刷する。
【0030】
(6)次に、前記第1〜第6アルミナグリーンシート27〜34を、各貫通孔35〜42により冷却用ガス穴13が形成されるように位置合わせして、熱圧着し、全体の厚みを約5mmとした積層シートを形成する。
尚、内部電極23、25に関しては、図示しないが、スルーホールにより最下層の第6アルミナグリーンシート34の裏面に引き出して端子を設ける。
【0031】
(7)次に、熱圧着した積層シートを、所定の円板形状(例えば8インチサイズの円板形状)にカットする。
(8)次に、カットしたシートを、還元雰囲気にて、1400〜1600℃にて焼成する。この焼成より、寸法が約20%小さくなるため、焼成後のセラミック体の厚みは、約4mmとなる。
【0032】
(9)そして、焼成後に、研磨によって、セラミック体の全厚みを3mmとするとともに、チャック面3の平面度が30μm以下となる加工する。
(10)次に、端子にニッケルメッキを施し、更にこのニッケル端子をロー付け又は半田付けして、絶縁体7を完成する。
【0033】
尚、この絶縁体7は、その後、金属ベース9上に例えばインジウムを用いて接合され、静電チャック1が完成する。
c)次に、本実施例の効果について説明する。
本実施例では、冷却用ガス穴13をチャック面3側から見た場合に、金属ベース9が直接に見えないように構成している。具体的には、絶縁体7に開けられたチャック側経路17とベース側経路19とを、その軸方向においてずらすように構成している。
【0034】
これにより、チェック面3側からチャック側経路17の内部を見た場合には、ベース側経路19(従って金属ベース9の金属素地)は見えず、絶縁体7の一部が見えるだけである。
そのため、半導体ウェハ5のエッチングのために電源27のパワーを上げた場合でも、冷却用ガス穴13(詳しくは金属ベース9側のベース側経路19の金属素地)におけるアーキングが発生し難いので、金属ベース9の材料等の飛散を防止することができる。その結果、飛散したパーティクル等が半導体ウェハ5に付着することがないので、半導体ウェハ5の歩留まりが向上するという効果がある。
【0035】
また、本実施例では、各アルミナグリーンシート27〜34に、冷却用ガス穴13に対応する貫通孔35〜42を形成し、それらのアルミナグリーンシート27〜34を積層するので、冷却用ガス穴13が途中で大きく曲がっている場合でも、その形成が容易であるという利点がある。
(実施例2)
次に、実施例2について説明するが、前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
【0036】
本実施例の静電チャックは、前記実施例1とは、ヒータの有無が異なる。
図4に本実施例の静電チャック51の断面を示す様に、本実施例の静電チャック51は、前記実施例1と同様に、絶縁体53と金属ベース55とを接合したものであり、その内部には冷却用ガス穴57と内部電極59、61とを備えている。
【0037】
特に本実施例では、絶縁体53の内部の金属ベース55側に、ヒータ63を備えている。
従って、このヒータ63によって絶縁体53を加熱することにより、静電チャック51に吸着された半導体ウェハを加熱することができる。
【0038】
これにより、本実施例の静電チャック51は、半導体ウェハの冷却だけでなくその加熱も可能であり、汎用性が高いという特長を有する。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0039】
例えば本発明は、前記実施例1、2の様なバイポーラ型の静電チャックに限らず、モノポーラ型の静電チャックにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の静電チャックを一部破断して示す斜視図である。
【図2】実施例1の静電チャックのA−A断面を示す説明図である。
【図3】実施例1の静電チャックを分解して示す説明図である。
【図4】実施例2の静電チャックを示す断面図である。
【符号の説明】
1、51…静電チャック
3…チャック面
5…半導体ウェハ
7、53…絶縁体
9、55…金属ベース
13、57…冷却用ガス穴
23、25、59、61…内部電極
Claims (8)
- 内部に吸着用電極を有する絶縁体と前記絶縁体に接合した金属ベースとを備え、前記絶縁体のチャック面側にて被吸着部材を吸着する静電チャックにおいて、
前記被吸着部材を冷却する冷却用ガスを前記絶縁体のチャック面側に供給するために、前記金属ベース及び前記絶縁層を貫いて冷却用ガス穴を設けるとともに、
前記冷却用ガス穴の構造を、前記チャック面側から見た場合に前記金属ベースが見えないようにしたことを特徴とする静電チャック。 - 前記冷却用ガス穴の前記金属ベース側の開口部を、前記チャック面と反対側の裏面に設けたことを特徴とする前記請求項1に記載の静電チャック。
- 前記冷却用ガス穴として、前記絶縁体の内部にトンネルを設けるとともに、前記トンネルから前記絶縁体のチャック面に到る経路と、前記トンネルから前記金属ベースの裏面に到る経路とを設け、
更に、前記両経路を、その経路方向においてずらして配置したことを特徴とする前記請求項2に記載の静電チャック。 - 前記金属ベースは、アルミニウムを主成分とする材料からなることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載の静電チャック。
- 前記絶縁体は、セラミック材料からなることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載の静電チャック。
- 前記絶縁体は、アルミナを主成分とする材料からなることを特徴とする前記請求項5に記載の静電チャック。
- 更に、前記被吸着部材を加熱するヒータを備えたことを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載の静電チャック。
- 更に、前記吸着用電極に電力を供給する電源を備えたことを特徴とする前記請求項1〜7のいずれかに記載の静電チャック。
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