JP2004004144A - ハロゲン化銀写真乳剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザー走査露光のようなデジタル露光においても高感度・硬調・低かぶりで迅速処理が可能なハロゲン化銀乳剤を提供する。
【解決手段】塩化銀含有率が89モル%以上100%以下のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤であって、金属原子−カルコゲン原子結合を有する化合物を放出する化合物およびセレン化合物により化学増感が行われたハロゲン化銀写真乳剤。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀乳剤に関し、詳しくはレーザー走査露光のようなデジタル露光や超迅速処理においても高感度で硬調な階調が得られるハロゲン化銀乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラー印画紙を用いたカラープリント分野においてもデジタル化の浸透は目覚しく、例えばレーザー走査露光によるデジタル露光方式は、従来から行われている処理済のカラーネガフィルムからカラープリンターで直接焼付けを行うアナログ露光方式に比べ、飛躍的な普及率の伸びを示している。このようなデジタル露光方式は、画像処理を行うことで高画質が得られる特徴があり、カラー印画紙を用いたカラープリントの品質向上に果たす役割は極めて大きい。また、デジタルカメラの急速な普及に伴って、これらの電子記録媒体から簡易に高画質なカラープリントが得られることも重要な要素であり、これらが更に飛躍的な普及をもたらすと考えられる。
【0003】
カラー印画紙に用いられるハロゲン化銀乳剤は、主として生産性を高める上での迅速処理性の要請から、塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤が用いられている。このような塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤は、一般にレーザー走査露光のような高照度露光で低感軟調化を引き起こし易く、また、かぶり濃度も高く、これらの点を改良する様々な技術が開示されている。
【0004】
この様な要求に対し、化学増感法の果たす役割は大きく、種々の貴金属増感法とカルコゲン増感法が提案されてきた。
【0005】
ハロゲン化銀写真乳剤の化学増感においてセレン増感化合物を用いると高感度で高照度不軌の小さい乳剤が得られることが知られている。このことは、たとえば特開平4―328541や特開平4―335338や特開平4―335346や特開平5−66513や特開平7−140579や特開平8―171168に記載されている。しかし、セレン化合物による化学増感は、当業界で行われている硫黄増感よりは大きな増感効果を示す場合があるが、かぶりの発生が大きく、また、軟調化し易い。これまでに開示された特許の多くは、こういった欠点を改良するものであるが、未だ不十分な結果にとどまっている。また、セレン増感に金増感を併用すると著しい感度増加が得られるが、同時にかぶりもさらに上昇しやすくなり、また、軟調化もしやすくなるのが問題であった。
【0006】
化学増感の最近の技術的な進歩として、従来の貴金族増感剤、カルコゲン増感剤の両者を併用により、貴金族カルコゲン増感を達成するのではなく、カルコゲン原子−金属原子結合を持つ化合物を放出する分子により、化学増感を行う方法が開発された。この方法は、高照度露光の際の感度の増加や階調の硬調化をもたらす。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、レーザー走査露光のようなデジタル露光においても高感度・硬調・低かぶりで迅速処理が可能なハロゲン化銀乳剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、以下の事項及びその好ましい態様により解決することができた。
(1)塩化銀含有率が89モル%以上100%以下のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤であって、金属原子−カルコゲン原子結合を有する化合物を放出する化合物およびセレン化合物により化学増感が行われたことを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
(2)前記金属原子−カルコゲン原子結合を有する化合物が、MCh構造を有する化合物であることを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。但し、ChはS、SeまたはTeを表す。Mは周期律表第4周期から第6周期までの第3族〜第12族の金属元素を表す。
(3)上記金属原子−カルコゲン原子結合を有する化合物を放出する化合物が、AuChイオンを放出する化合物であることを特徴とする(1)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。但し、ChはS、SeまたはTeを表す。
(4) 上記ChがSを表すことを特徴とする、(2)または(3)に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
(5) 上記MCh構造を有する化合物を放出する化合物が、α−チオグルコース金(I)化合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
(6) 上記セレン化合物が、X線光電子分光装置で測定したセレン原子の3d軌道電子の束縛エネルギー値が54.0eV以上65.0eV以下であるセレン化合物により化学増感が行われたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
(7) 上記セレン化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
一般式(1)
【0009】
【化4】
Figure 2004004144
【0010】
式中、Xはセレニウム原子を表す。また、Rは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基、ORまたはN(Rを表し、R’は脂肪族炭化水素基、アリール基または複素環基を表し、Rは、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基または複素環基を表す。N(RのRは同じであっても異なっていても、連結して環を形成してもよい。
(8)セレン化合物が下記一般式(2)であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
一般式(2)
【0011】
【化5】
Figure 2004004144
【0012】
一般式(2)中、Z はセレン原子を表し、R 及びR はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、またはカルバモイル基を表し、Qは脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、または−N(R )(R )を表し、R 及びR は、R 及びRと同義である。また、R 、R 及びQは、それぞれ連結して環を形成してもよい。
(9) 上記セレン化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
一般式(3)
【0013】
【化6】
Figure 2004004144
【0014】
一般式(3)中、Z はセレン原子を表し、R 、R 及びR はそれぞれ脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基またはアミノ基を表す。
(10)上記セレン化合物がセレノシアン酸アルカリ塩またはコロイド状セレンであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
(11) 上記ハロゲン化銀粒子が、塩化銀含有率が89モル%以上99.7モル%以下、臭化銀含有率が0.25モル%以上10モル%以下、沃化銀含有率が0.05モル%以上1モル%以下であり、臭化銀含有相が沃化銀含有相の内側にある沃臭塩化銀粒子であることを特徴とする請求項(1)〜(10)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
(12) 低残色色素を用いたことを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
(13) ハロゲン化銀粒子の形状が平板(アスペクト比2以上)状であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤。
(14) 前記の(1)〜(13)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真乳剤を含むハロゲン化銀カラー写真感光材料
(15) 前記の(14)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料を画像情報に基づいて変調したレーザー光ビームにより、1画素あたりの露光時間が10−4秒よりも短い走査露光をした後に現像処理することを特徴とする画像形成方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。まず本発明に用いられる化合物を説明する。金属原子−カルコゲン原子結合を有する化合物を放出する化合物とは、アニオン性カルコゲニドと金属との結合を有する化合物であり、乳剤に添加した際に加水分解反応や自己分解反応などにより分解して金属−カルコゲン結合種を放出する化合物を表す。放出される金属−カルコゲン結合種は、MChで表されることが好ましい。ここで、カルコゲン原子Chは、硫黄、セレン、テルルを表すが、本発明においては硫黄またはセレンが好ましく、硫黄が最も好ましい。金属原子Mとしては、周期律表第4周期から第6周期までの第3族〜第12族の金属元素を用いるが、この中でも第11族が好ましく、金原子が特に好ましい。このような性質の化合物の中では、金−カルコゲンアニオン種(AuCh)を放出する化合物が好ましい。金−カルコゲンアニオン種を放出する化合物とは、配位結合以外の結合様式によりカルコゲン原子と金(I)とが結合し、かつ乳剤に添加した際に加水分解反応や自己分解反応などにより分解して金−カルコゲンアニオン種を放出する化合物を表す。放出の際の反応温度は、0℃〜100℃が好ましく、0℃〜80℃がより好ましい。このような金−カルコゲンアニオン種を放出する化合物としては、以下に示す一般式(PF1)〜(PF4)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0016】
【化7】
Figure 2004004144
【0017】
式中、ChはS原子、Se原子またはTe原子を表し、LはN原子、S原子、Se原子、Te原子またはP原子を介して金に配位可能な化合物を表す。nは0または1を表す。A はO、SまたはNR を表し、R 〜R はそれぞれ水素原子または置換基を表す。R はR またはR と共に5〜7員環を形成してもよい。X はO、SまたはNRを表す。Y はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、OR 、SR 、またはN(R )R を表す。R 〜R はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。X とY は互いに結合し環を形成してもよい。R10、R10’ およびR11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表すが、R10およびR10’ のうち少なくとも一方は電子求引性基を表す。W は電子求引性基を表し、R12〜R14はそれぞれ水素原子または置換基を表す。W とR12は互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【0018】
式(PF1)〜(PF4)の各基の説明において、置換基とは例えばハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基で、ビシクロアルキル基やトリシクロ構造、活性メチン基なども包含する)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(N原子、O原子、S原子のうち少なくとも一つを含む5〜7員環の、置換もしくは無置換の、飽和もしくは不飽和のヘテロ環であり、単環であっても良いし、更に他のアリール環もしくはヘテロ環と共に縮合環を形成しても良い。例えばピロリル基、ピロリジニル基、ピリジル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラニル基、クロメニル基、チエニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、モルホリニル基など。置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基(及びその塩を含む)、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、シリルオキシ基、ニトロ基、アミノ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルまたはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基(及びその塩を含む)、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、(アルキル、アリール、またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基(及びその塩を含む)、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基(及びその塩を含む)、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などを意味する。なおここで塩とはアルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などの陽イオンやアンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンとの塩を意味する。
【0019】
これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0020】
式(PF1)〜(PF4)において、ChはS原子、Se原子またはTe原子を表すが、本発明においてはS原子またはSe原子が好ましく、S原子である場合が最も好ましい。
【0021】
式(PF1)〜(PF4)において、L はN原子、S原子、Se原子、Te原子またはP原子を介して金に配位可能な化合物を表す。具体的には置換もしくは無置換のアミン類(好ましくは炭素数1〜30の、1級、2級、もしくは3級のアルキルアミン、アリールアミンを意味する。)、5ないし6員の含窒素ヘテロ環類(N、O、S及びCの組合せからなる5ないし6員の含窒素ヘテロ環を意味し、置換基を有していてもよい。このヘテロ環は環内のN原子を介して金に配位してもよいし、置換基を介して金に配位してもよく、例えばベンゾトリアゾール、トリアゾール、テトラゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアゾール、チアゾリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサゾリン、オキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、トリアジン、ピロール、ピロリジン、イミダゾリジン、またはモルホリンが挙げられる。)、チオール類(好ましくは炭素数1〜30のアルキルチオール類、または炭素数6〜30のアリールチオール類もしくはN原子、O原子、S原子のうち少なくとも一つを含む5〜7員環のヘテロ環チオール類)、チオエーテル類(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、またはN原子、O原子、S原子のうち少なくとも一つを含む5〜7員環ヘテロ環基がそれぞれS原子に結合した化合物であり、対称でも非対称でもよい。例えばジアルキルチオエーテル類、ジアリールチオエーテル類、ジヘテロ環チオエーテル類、アルキル−アリールチオエーテル類、アルキル−ヘテロ環チオエーテル類、またはアリール−ヘテロ環チオエーテル類が挙げられる。)、ジスルフィド類(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基もしくはヘテロ環基がS原子に結合したジスルフィド化合物であり、対称でも非対称でもよい。例えばジアルキルジスルフィド類、ジアリールジスルフィド類、ジヘテロ環ジスルフィド類、アルキル−アリールジスルフィド類、アルキル−ヘテロ環ジスルフィド類、またはアリール−ヘテロ環ジスルフィド類が挙げられる。より好ましくは、ジアルキルジスルフィド類、ジアリールジスルフィド類またはアルキル−アリールジスルフィド類である。)、チオアミド類(チオアミドは環構造の一部であってもよいし、非環式チオアミドであってもよい。有用なチオアミド類としては、例えば米国特許4,030,925号、同4,031,127号、同4,080,207号、同4,245,037号、同4,255,511号、同4,266,031号、及び同4,276,364号並びにリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)第151巻、1976年11月、15162項、及び同第176巻、1978年12月、17626項に開示されているものから選ぶことができる。例えばチオ尿素、チオウレタン、ジチオカルバミン酸エステル、4−チアゾリン−2−チオン、チアゾリジン−2−チオン、4−オキサゾリン−2−チオン、オキサゾリジン−2−チオン、2−ピラゾリン−5−チオン、4−イミダゾリン−2−チオン、2−チオヒダントイン、ローダニン、イソローダニン、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン、チオバルビツール酸、テトラゾリン−5−チオン、1,2,4−トリアゾリン−3−チオン、1,3,4−チアジアゾリン−2−チオン、1,3,4−オキサジアゾリン−2−チオン、ベンズイミダゾリン−2−チオン、またはベンズオキサゾリン−2−チオン及びベンゾチアゾリン−2−チオンであり、これらは置換されてもよい。)、セレノール類(好ましくは炭素数1〜30のアルキルセレノール類、アリールセレノール類、またはN原子、O原子、S原子のうち少なくとも一つを含む5〜7員環のヘテロ環セレノール類である。)、セレノエーテル類(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基がSe原子に結合したセレノエーテル化合物であり、Se原子に対して対称置換でも非対称置換でもよく、例えばジアルキルセレノエーテル類、ジアリールセレノエーテル類、ジヘテロ環セレノエーテル類、アルキル−アリールセレノエーテル類、アルキル−ヘテロ環セレノエーテル類、アリール−ヘテロ環セレノエーテル類が挙げられる。好ましくはジアルキルセレノエーテル類、ジアリールセレノエーテル類またはアルキル−アリールセレノエーテル類である。)、ジセレニド類(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基もしくはヘテロ環基がSe原子に結合したジセレニド化合物であり、ジセレニド基に対して対称でも非対称でもよく、例えばジアルキルジセレニド類、ジアリールジセレニド類、ジヘテロ環ジセレニド類、アルキル−アリールジセレニド類、アルキル−ヘテロ環ジセレニド類、またはアリール−ヘテロ環ジセレニド類が挙げられる。好ましくはジアルキルジセレニド類、ジアリールジセレニド類またはアルキル−アリールジセレニド類である。)、セレノアミド類(前述のチオアミド化合物のS原子をSe原子に置き換えた化合物が挙げられる。)、テルロール類(前述のセレノール化合物においてSe原子をTe原子に置き換えた化合物が挙げられる。)、テルロエーテル類(前述のセレノエーテル化合物においてSe原子をTe原子に置き換えた化合物が挙げられる。)、ジテルリド類(前述のジセレニド化合物においてSe原子をTe原子に置き換えた化合物が挙げられる。)、テルロアミド類(前述のチオアミド化合物においてSe原子をTe原子に置き換えた化合物が挙げられる。)、アルキルホスフィン類(好ましくは炭素数1〜20の、1級、2級、もしくは3級のアルキルホスフィン類である。)、アリールホスフィン類(好ましくは炭素数1〜20の、1級、2級、もしくは3級のアリールホスフィン類である。)等を表す。
【0022】
 は好ましくは5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、チオール類、チオエーテル類、チオアミド類、セレノエーテル類、セレノアミド類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類であり、更に好ましくは5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、チオール類、チオエーテル類、チオアミド類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類であり、最も好ましくはチオール類、チオエーテル類、チオアミド類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類である。
【0023】
nは0または1を表す。nは0が好ましい。
【0024】
 、R はそれぞれ好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはヘテロ環チオ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、最も好ましくは水素原子またはアルキル基である。
【0025】
 は好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、最も好ましくはアルキル基またはアリール基である。R は好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基である。
【0026】
 はR もしくはR と共に5〜7員の環構造を形成してもよい。形成される環構造は非芳香族の含酸素、含硫黄または含窒素のヘテロ環となる。またこの環構造は芳香族もしくは非芳香族の炭素環、あるいはヘテロ環と縮環を形成していてもよい。本発明においてはR がR もしくはR と共に5〜7員の環状構造を形成することがより好ましい。
【0027】
本発明において、式(PF1)で表される化合物のうち、好ましくはChがSまたはSeであり、A がO、SまたはNR であり、R 及びR がそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、またはヘテロ環チオ基であり、Rが水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、Rが水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニル基、またはアシル基であり、nが0または1である。nが1の時、Lはチオール類、チオエーテル類、チオアミド類、5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類を表すものである。より好ましくはChがSまたはSeであり、A がOまたはSであり、R 及びR がそれぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、Rがアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、nが0または1である。nが1の時、Lはチオール類、チオエーテル類、チオアミド類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類を表すものである。さらに好ましくはChがSを表し、A がOまたはSを表し、R 及びR がそれぞれ水素原子、アルキル基、またはアリール基であり、R がアルキル基、またはアリール基であり、nが0のものである。特に好ましくはR がR またはR と共に形成した環状構造がグルコース、マンノース、ガラクトース、グロース、キシロース、リキソース、アラビノース、リボース、フコース、イドース、タロース、アロース、アルトロース、ラムノース、ソルボース、ディジトキソース、2−デオキシグルコース、2−デオキシガラクトース、フルクトース、グルコサミン、ガラクトサミン、グルクロン酸などの糖誘導体(式(PF1)におけるA がOの場合)及びその硫黄類似体(式(PF1)におけるAがSの場合)の場合である。これら糖構造においては1位の立体構造が異なるα異性体とβ異性体、および鏡像異性体の関係にあるD体とL体が存在するが、本発明においてはこれら異性体を区別することはない。この場合、好ましい化合物としては、チオグルコース金(I)塩、チオマンノース金(I)塩、チオガラクトース金(I)塩、チオリキソース金(I)塩、セレノグルコース金(I)塩、セレノマンノース金(I)塩、セレノガラクトース金(I)塩、セレノリキソース金(I)塩、またはテルログルコース金(I)塩が挙げられる。特に、α−チオグルコース金(I)化合物が好ましい。
【0028】
式(PF2)において、X は好ましくはOまたはSであり、より好ましくはOである。Y は好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはN原子、O原子、S原子のうち少なくとも一つを含む5〜7員環のヘテロ環基、OR 、SR 、またはN(R )R を表すが、好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、OR 、SR 、またはN(R )R であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、またはN(R )R であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基またはヘテロ環基である。R 〜R はそれぞれ水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基またはアリール基である。
【0029】
式(PF2)において、X とY は互いに結合して環を形成してもよい。この場合に形成される環は3〜7員の含窒素ヘテロ環であり、例えばピロール類、インドール類、イミダゾール類、ベンズイミダゾール類、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、イソオキサゾール類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、インダゾール類、プリン類、ピリジン類、ピラジン類、ピリミジン類、キノリン類、またはキナゾリン類が挙げられる。
【0030】
式(PF2)で表される化合物のうち、好ましくはChがSもしくはSeを表し、X がOまたはSであり、Y がアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、OR 、SR 、またはN(R )R であり、R 〜R がそれぞれアルキル基、アリール基またはヘテロ環基であり、nが0または1である。nが1の時、L はチオール類、チオエーテル類、チオアミド類、5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類を表す。より好ましくはChがSもしくはSeであり、X がOであり、Y がアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、nが0または1である。nが1の時、L はチオール類、チオエーテル類、チオアミド類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類を表す。最も好ましくはChがSであり、X がOであり、Y がアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、nが0である。
【0031】
式(PF3)において、R10およびR10’ の少なくとも一方は電子求引性基を表すが、ここでいう電子求引性基とは、ハメットの置換基定数σp 値が正の値である置換基であり、好ましくはσp 値が0.2以上であり、上限としては1.0以下の置換基を表す。σp 値が0.2以上の電子求引性基の具体例としてはアシル基、ホルミル基、アシルオキシ基、アシルチオ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアルキルホスフィニル基、ジアリールホスフィニル基、ホスホリル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、カルボキシ基(またはその塩)、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルキル基、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルコキシ基、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアリールオキシ基、アシルアミノ基、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルキルアミノ基、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルキルチオ基、σp 値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、σp 値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたヘテロ環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基などが挙げられる。電子求引性基としては好ましくはアシル基、ホルミル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアルキルホスフィニル基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、チオカルボニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、ホスホリル基、カルボキシ基(またはその塩)、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルキル基、σp 値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、σp 値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたヘテロ環基またはハロゲン原子であり、より好ましくはアシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、カルボキシ基、少なくとも2つのハロゲン原子で置換されたアルキル基、σp 値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたアリール基、またはσp 値が0.2以上の他の電子求引性基で置換されたヘテロ環基である。
【0032】
式(PF3)において、R10およびR10’ の両方とも電子求引性基を表すのが好ましい。R11として好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、アシルアミノ基が挙げられる。
【0033】
式(PF3)において、R10、R10’ 、R11は互いに結合して環形成する場合も好ましい。形成される環は、非芳香族の炭素環もしくはヘテロ環であり、5〜7員環が好ましい。R10はアシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、またはスルホニル基が好ましく、R10’ はアシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、イミノ基、N原子で置換したイミノ基、アシルアミノ基、またはカルボニルチオ基が好ましい。
【0034】
式(PF3)で表される化合物のうち、好ましくはChがSまたはSeであり、R10及びR10’ がそれぞれ電子求引性基であり、R11が水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、またはアシルアミノ基であり、nが0または1である。nが1の時、L はチオエーテル類、チオアミド類、5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類である。より好ましくはChがSまたはSeであり、R10及びR10’ がそれぞれ電子求引性基であり、R11が水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、nが0または1である。nが1の時、Lはチオエーテル類、チオアミド類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類である。最も好ましくはChがSであり、R10及びR10’ がそれぞれ電子求引性基であり、R11が水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、nが0である。
【0035】
また、式(PF3)で表される化合物のうち、R10とR10’ が非芳香族の5〜7員の環を形成しているものも好ましく、この時ChがSまたはSeであり、R11が水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基、またはアシルアミノ基であり、nが0または1である。nが1の時、L がチオエーテル類、チオアミド類、5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類のものも好ましい。更に好ましくはR10とR10’ とが非芳香族の5〜7員の環を形成し、ChがSまたはSeを表し、R11が水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、nは0または1である。n が1の時、L はチオエーテル類、チオアミド類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類である。最も好ましくはChがSであり、R10とR10’ とが非芳香族の5〜7員の環を形成し、R11が水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基であり、nが0である。
【0036】
式(PF4)において、W が表す電子求引性基は前述のR10及びR10’ が表す電子吸引性基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0037】
式(PF4)において、R12〜R14としてそれぞれ好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、またはイミド基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基である。
【0038】
 とR12は互いに結合して環を形成してもよい。形成される環は、非芳香族の炭素環もしくはヘテロ環であり、好ましくは5〜7員環である。Wはアシル基、カルバモイル基、オキシカルボニル基、チオカルボニル基、またはスルホニル基が好ましく、R12はアルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基が好ましい。
【0039】
式(PF4)で表される化合物のうち、好ましくはChがSまたはSeであり、W が電子求引性基であり、R12〜R14がそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基であり、nが0または1である。nが1の時、Lはチオエーテル類、チオアミド類、5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類である。より好ましくはChがSまたはSeであり、Wが電子求引性基であり、R12〜R14がそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基であり、nが0または1である。nが1の時、Lはチオエーテル類、チオアミド類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類である。最も好ましくはChがSまたはSeであり、W が電子求引性基であり、R12〜R14がそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基であり、nが0である。
【0040】
また、式(PF4)で表される化合物のうち、W とR12とが互いに結合して非芳香族の5〜7員の環を形成しているものも好ましく、この時ChがSまたはSeを表し、R12がアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基などであり、R13およびR14は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基などであり、nは0または1である。nが1の時、Lはチオエーテル類、チオアミド類、5ないし6員の含窒素ヘテロ環類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類を表すものが好ましい。更に好ましくはChがSもしくはSeを表し、WとR12とが互いに結合して非芳香族の5〜7員の環を形成し、R13およびR14がそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基であり、nが0または1である。nが1の時、Lはチオエーテル類、チオアミド類、アルキルホスフィン類またはアリールホスフィン類を表すものであり、最も好ましくはChがSを表し、WとR12とが互いに結合して非芳香族の5〜7員の環を形成し、R13およびR14はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルホ基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、またはカルバモイル基であり、nが0である。
【0041】
一般式(PF1)〜(PF4)で表される化合物のうち、好ましくは一般式(PF−1)、(PF−2)及び(PF−4)で表される化合物であり、より好ましくは一般式(PF−1)及び(PF−4)で表される化合物であり、最も好ましくは一般式(PF−1)で表される化合物である。
【0042】
次に一般式(PF1)〜(PF4)で表される化合物の具体例を以下に示す。但し本発明はこれらに限定されるものではない。また、立体異性体が複数存在しうる化合物については、その立体構造を限定するものではない。
【0043】
【化8】
Figure 2004004144
【0044】
【化9】
Figure 2004004144
【0045】
【化10】
Figure 2004004144
【0046】
【化11】
Figure 2004004144
【0047】
一般式(PF1)〜(PF4)で表される化合物は、水、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、ケトン類(アセトンなど)、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、グリコール類(メチルプロピレングリコールなど)及びエステル類(酢酸エチルなど)などに溶解して添加してもよく、また公知の分散法で固体分散物(微結晶分散体)として添加してもよい。
【0048】
本発明に使用する金属原子−カルコゲン原子結合を有する化合物を放出する化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るが、ハロゲン化銀1モルあたり1×10−6〜1×10−3モル、好ましくは5×10−6〜1×10−4モルである。より好ましくは1×10−5〜5×10−5モルである。
【0049】
本発明の金属原子−カルコゲン原子結合を有する化合物を放出する化合物は、粒子形成直後から、化学増感終了直前までのどの段階にも添加することができる。好ましい添加時期は、脱塩後から化学増感工程の間である。
【0050】
次に、本発明において用いるセレン化合物について説明する。
セレン化合物として、以下の一般式(1)、(2)または(3)を好ましく用いることができる。
【0051】
一般式(1)
【0052】
【化12】
Figure 2004004144
【0053】
一般式(1)中、Xはセレニウム原子を表す。また、Rは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基、OR またはN(R を表し、R’は脂肪族炭化水素基、アリール基または複素環基を表し、R は、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基または複素環基を表す。N(R のR は同じであっても異なっていても、連結して環を形成してもよい。
【0054】
次に一般式(1)で表わされる化合物について詳細に説明する。一般式(1)において、R、R’およびR で表される脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基である。ここで分岐の脂肪族炭化水素基はその中に一つまたはそれ以上のヘテロ原子を含んだ飽和のヘテロ環を形成するように環化されていてもよい。
【0055】
一般式(1)において、R、R’およびR で表されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基、プロパルギル基、3−ペンチニル基、ベンジル基等が挙げられる。
【0056】
一般式(1)において、R、R’およびR で表されるアリール基は、好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、特に好ましくは炭素数6〜20の単環または縮環のアリール基である。前記アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0057】
一般式(1)において、R、R’およびR で表される複素環基は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子のうち少なくとも一つを含む3〜10員環の飽和もしくは不飽和の複素環基等が挙げられる。これらは単環状であってもよいし、さらに他の芳香環と縮合環を形成してもよい。前記複素環基としては、好ましくは5〜6員環の芳香族複素環基であり、例えばピリジル基、イミダゾリル基、キノリル基、ベンズイミダゾリル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、イソキノリニル基、チアゾリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
【0058】
上記一般式(1)おけるR、R’およびR で表される各基は、置換されていてもよい。該置換基としては以下のものが挙げられる。
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基等)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基等)、ヘテロ環基(例えば、ピリジル基、フリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、モルホリノ基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、2−ナフチルオキシ基等)、アミノ基(例えば、無置換アミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、アニリノ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、ウレイド基(例えば、無置換ウレイド基、N−メチルウレイド基、N−フェニルウレイド基等)、ウレタン基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基等)、スルホニルアミノ基(例えば、メチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基等)、スルファモイル基(例えば、無置換スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基等)、カルバモイル基(例えば、無置換カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等)、スルホニル基(例えば、メシル基、トシル基等)、スルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基等)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基等)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、リン酸アミド基(例えば、N,N−ジエチルリン酸アミド基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基等)、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ホスホノ基、ニトロ基、スルフィノ基、アンモニオ基(例えばトリメチルアンモニオ基等)、ホスホニオ基、ヒドラジノ基等である。これらの基はさらに置換されていてもよい。また置換基が二つ以上あるときは同じでも異なっていてもよい。
【0059】
一般式(1)において、好ましい置換基の組み合わせは、Xがセレニウム原子、Rが脂肪族炭化水素基、アリール基、またはN(R 、R’が脂肪族炭化水素基または複素環基、R が脂肪族炭化水素基、またはアリール基である。
【0060】
一般式(1)においてより好ましい置換基の組み合わせは、Xがセレニウム原子、Rが脂肪族炭化水素基、アリール基、R’がβ位に電子吸引性基を有する脂肪族炭化水素基または複素環基である。ここで電子吸引性基とはTaftの置換基定数σ*値(Taft,R.W.,Jr.“Steric Effect in Organic Chemistry”,John Wiley,New York(1956) pp556〜675に記載されている。)が0.50以上の置換基を表わす。電子吸引性基としては、例えばシアノ基、スルホニル基、アシル基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。電子吸引性基としてさらに好ましいものはTaftの置換基定数σ*値が1.50以上の置換基を表わす。β位に電子吸引性基を有する脂肪族炭化水素基の具体例としては例えば3−オキソシクロヘキシル基、2−シアノエチル基、2−アルコキシカルボニルエチル基、2−アルキルスルホニルエチル基等が挙げられる。
以下に本発明におけるの化合物の具体例を示すが、本発明の化合物はこれに限定されるものではない。
【0061】
【化13】
Figure 2004004144
【0062】
【化14】
Figure 2004004144
【0063】
【化15】
Figure 2004004144
【0064】
【化16】
Figure 2004004144
【0065】
一般式(1)で表される化合物は既に知られている次の文献、S. Patai, Z. Rappoport編、ザ  ケミストリー  オブ  オルガニック  セレニウム  アンド  テルリウム  コンパウンズ(The Chemistry of Organic Selenium and Tellurium Compounds)、第1巻(1986年)、同、第2巻(1987年)、 D. Liotta著、オルガノセレニウム  ケミストリー(Organo− selenium Chemistry),(1987年)等に記載の方法に準じて合成することができる。
【0066】
次に一般式(2)および(3)で表されるセレン化合物について説明する。一般式(2)
【0067】
【化17】
Figure 2004004144
【0068】
一般式(2)中、Z はセレン原子を表し、R 及びR はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、またはカルバモイル基を表し、Qは脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、または−N(R )(R )を表し、R 及びR は、R 及びR と同義である。また、R 、R 及びQは、それぞれ連結して環を形成してもよい。
【0069】
一般式(3)
【0070】
【化18】
Figure 2004004144
【0071】
一般式(3)中、Z はセレン原子を表し、R 、R 及びR はそれぞれ脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、またはアミノ基を表す。
一般式(2)中、R 及びR で表される脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,5ジメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、ソディウムスルホエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、ブトキシプロピル基、エトキシエトキシエチル基、n−ヘキシルオキシプロピル基等)、炭素数3〜18の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、シクロドデシル基等)、炭素数2〜16のアルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等)、炭素数2〜10のアルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基等)、炭素数6〜16のアラルキル基(例えば、ベンジル基等)等が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のフェニル基およびナフチル基(例えば無置換フェニル基、無置換ナフチル基、3,5−ジメチルフェニル、4−ブトキシフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基等)等が挙げられ、ヘテロ環基としては例えばピリジル基、フリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、モルホリル基等が挙げられ、アシル基としては例えばアセチル基、ホルミル基、ベンゾイル基、ピバロイル基、カプロイル基、n−ノナノイル基等が挙げられ、アミノ基としては、例えば無置換アミノ基、メチルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられ、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−ブチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられ、カルバモイル基としては、例えば無置換カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等が挙げられる。ただし、R とR は互いに連結して環を形成してもよい。
【0072】
一般式(2)中のQで表される脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,5ジメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、ソディウムスルホエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、ブトキシプロピル基、エトキシエトキシエチル基、n−ヘキシルオキシプロピル基等)、炭素数3〜18の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、シクロドデシル基等)、炭素数2〜16のアルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等)、炭素数2〜10のアルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基等)、炭素数6〜16のアラルキル基(例えば、ベンジル基等)等が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のフェニル基およびナフチル基(例えば無置換フェニル基、無置換ナフチル基、3,5−ジメチルフェニル、4−ブトキシフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基等)等が挙げられ、ヘテロ環基としては例えばピリジル基、フリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、モルホリル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−ブチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基等が挙げられ、−N(R )(R )としては、R 及びR が、上記R 及びR と同義である。ただし、Q中のR とRは、連結して環を形成してもよく、更にQとR 、またはQとR が互いに連結して環を形成してもよい。
【0073】
また上記一般式(2)中の、R 、R 及びQには可能な限り置換基を有してもよく、その置換基としては、例えばハロゲン原子(フッ素原子、クロル原子、臭素原子、または沃素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状のアルキル基で、ビシクロアルキル基、活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、チオカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基またはその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、N−ヒドロキシウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、チオセミカルバジド基、ヒドラジノ基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、ヒドロキシアミノ基、ニトロ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、メルカプト基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)チオ基、(アルキル,アリール,またはヘテロ環)ジチオ基、(アルキルまたはアリール)スルホニル基、(アルキルまたはアリール)スルフィニル基、スルホ基またはその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基またはその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。なおここで活性メチン基とは2つの電子求引性基で置換されたメチン基を意味し、ここに電子求引性基とはアシル基、アルコシキカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)を意味する。ここで2つの電子求引性基は互いに結合して環状構造をとっていてもよい。また塩とは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属などの陽イオンや、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオンなどの有機の陽イオンを意味する。
これら置換基は、これら置換基でさらに置換されていてもよい。
【0074】
一般式(2)で表される好ましい化合物としては、R 及びR が、それぞれ水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基、ヘテロ環基、及び、アシル基であり、Qが、炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数3〜6の置換もしくは無置換の環状アルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基、または、−N(R)(R)であり、該R 及びR の好ましい例は、R 及びR の好ましい例と同義である。
【0075】
一般式(2)で表されるより好ましい化合物としては、R 及びR が、それぞれ水素原子、炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基であり、Qが炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基、または−N(R)(R)であり、該R 及びR のより好ましい例は、R 及びR のより好ましい例と同義である。
【0076】
一般式(2)で表される更に好ましい化合物としては、Z がセレン原子を表すが、更に好ましい化合物としては、Qが−N(R )(R )の場合である。一般式(2)で表される化合物の具体例を下記に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0077】
【化19】
Figure 2004004144
【0078】
本発明の一般式(2)で表される化合物は、公知の方法、例えばケミカル・レビューズ(Chem.Rev.)55,181−228(1955)、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)24,470−473(1959)、ジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー(J.Heterocycl.Chem.)4,605−609(1967)、「薬誌」82,36−45(1962)、特公昭39−26203号、特開昭63−229449号、OLS−2,043,944号を参考にして合成できる。
【0079】
次に、一般式(3)について詳細に説明する。
一般式(3)中、R 、R 及びR で表される脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,5ジメチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、ソディウムスルホエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、ブトキシプロピル基、エトキシエトキシエチル基、n−ヘキシルオキシプロピル基等)、炭素数3〜18の置換もしくは無置換の環状アルキル基(例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンチル基、シクロドデシル基等)、炭素数2〜16のアルケニル基(例えば、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等)、炭素数2〜10のアルキニル基(例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基等)、炭素数6〜16のアラルキル基(例えば、ベンジル基等)等が挙げられ、アリール基としては、炭素数6〜20の置換もしくは無置換のフェニル基およびナフチル基(例えば無置換フェニル基、無置換ナフチル基、3,5−ジメチルフェニル、4−フロロフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基等)等が挙げられ、ヘテロ環基としては例えばピリジル基、フリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、モルホリル基等が挙げられ、アミノ基としては、例えば無置換アミノ基、メチルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
また、上記一般式(3)中の、R 、R 及びR には可能な限り置換基を有してもよく、その置換基の例としては、上記一般式(2)中のR 、R 及びQに置換してもよい置換基と同義である。
【0080】
一般式(3)で表される化合物として好ましくは、Z がセレン原子を表し、R 、R 及びR が、それぞれ炭素数1〜6の置換もしくは無置換の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基、またはヘテロ環基を表す。
一般式(3)で表される化合物としてより好ましくは、R 、R 及びR が、それぞれ炭素数6〜10の置換もしくは無置換のフェニル基を表す。
以下に一般式(3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0081】
【化20】
Figure 2004004144
【0082】
【化21】
Figure 2004004144
【0083】
本発明の一般式(3)で表される化合物は、公知の方法、例えば、オルガニック・フォスフォラス・コンパウンズ(OrganicPhosphorusCompounds、4巻、1〜73頁)、ジャーナル・ケミカル・ソサイエティーB(J.Chem.Soc.(B),1416頁、1968年)、ジャーナル・オルガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.32巻、1717頁、1967年)、ジャーナル・オルガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.32巻、2999頁、1967年)、テトラヘドロン(Tetrahedron、20、449頁、1964年)、ジャーナル・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.,91巻、2915頁、1969年)等を参考にして合成できる。
【0084】
また、その他のセレン化合物として、セレノシアン酸アルカリ塩を用いることもできる。ここで、アルカリは、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム原子をさすが、特にナトリウム原子とカリウム原子が好ましい。
【0085】
本発明で用いられるセレン化合物の別の一例としてコロイド状セレンがある。コロイド状セレンの製法の一例としては、Journal of Photographi Science 31巻158ページから169ページにわたる論文で記載されたJ.S.Dunnによる方法があるが、これに限定されるわけではない。
【0086】
以上、セレン化合物として、用いることのできる構造を示してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明で用いるセレン化合物は、X線光電子分光装置で測定したセレン原子の3d軌道電子の束縛エネルギー値が54.0eV以上65.0eV以下であることが、硬調化や低カブリの点で好ましい。
【0087】
本発明で用いるセレン増感剤の使用量は、使用するセレン化合物、ハロゲン化銀粒子、化学熟成条件等により変わるが、一般にハロゲン化銀1モル当り10−8〜10−4モル、好ましくは10−7〜10−5モル程度を用いる。また、本発明における化学増感の条件としては、特に制限はないが、pClとしては0〜7が好ましく、0〜5がより好ましく、1〜3が更に好ましい。温度としては40〜95℃が好ましく、50〜85℃がより好ましい。
本発明で用いるセレン化合物は、粒子形成直後から、化学増感終了直前までのどの段階にも添加することができる。好ましい添加時期は、脱塩後から化学増感工程の間である。セレン化合物は、本発明で用いるカルコゲン−金属放出化合物(金属原子−カルコゲン原子結合を有する化合物を放出する化合物)の前後および同時に添加することができる。
【0088】
本発明においては、硫黄増感およびテルル増感および他の金増感や貴金属増感とも併用できる。金増感剤としては、コロイド状硫化金あるいは金の錯安定度定数logβが21以上かつ35以下の金増感剤を好ましく併用することができる。これら以外に、通常用いられる金化合物(例えば、塩化金酸塩、カリウムクロロオーレート、オーリックトリクロライド、カリウムオーリックチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラシアノオーリックアシッド、アンモニウムオーロチオシアネート、ピリジルトリクロロゴールド等)も併用することができる。
【0089】
還元増感剤を併用することも可能であり、具体的には、塩化第1スズ、アミノイミノメタンスルフィン酸、ヒドラジン誘導体、ボラン化合物、シラン化合物、ポリアミン化合物、等が挙げられる。
【0090】
また、本発明においては、ハロゲン化銀溶剤の存在下で、セレン化合物による化学増感を行うのが好ましい。具体的には、チオシアン酸塩(例えば、チオシアン酸カリウム、等)、チオエーテル化合物(例えば、米国特許第3021215号、同3271157号、特公昭58−30571号、特開昭60−136736号等に記載の化合物、特に、3,6−ジチア−1,8オクタンジオール等)、四置換チオ尿素化合物(例えば、特公昭59−11892号、米国特許第4221863号等に記載の化合物、特に、テトラメチルチオ尿素等)、更に、特公昭60−11341号に記載のチオン化合物、特公昭63−29727号に記載のメルカプト化合物、特開昭60−163042号に記載のメソイオン化合物、米国特許第4782013号に記載のセレノエーテル化合物、特願昭63−173474号に記載のテルロエーテル化合物、亜硫酸塩等が挙げられる。特に、これらの中で、チオシアン酸塩、チオエーテル化合物、四置換チオ尿素化合物とチオン化合物は好ましく用いることができる。使用量としては、ハロゲン化銀1モル当り10−5〜10−2モル程度用いることができる。
【0091】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、特定のハロゲン化銀粒子を含む。この粒子の粒子形状は特に制限はないが、実質的に{100}面を持つ立方体、14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)、8面体の結晶粒子、主表面が{100}面または{111}面からなるアスペクト比2以上の平板状粒子からなることが好ましい。アスペクト比とは、投影面積に相当する円の直径を粒子の厚さで割った値である。本発明では、立方体あるいは14面体粒子であることが更に好ましい。
【0092】
本発明のハロゲン化銀乳剤としては、純塩化銀乳剤または、沃臭塩化銀からなる特定のハロゲン化銀粒子を含む乳剤が用いられる。沃臭塩化銀からなる特定のハロゲン化銀粒子を含む乳剤の塩化銀含有率は89モル%〜99.7モル%である必要があり、迅速処理性の観点からは、塩化銀含有率は93モル%〜99.5モル%が好ましく、95モル%〜98.5モル%が更に好ましい。沃臭塩化銀からなる特定のハロゲン化銀粒子を含む乳剤の臭化銀含有率は0.25モル%から10モル%である必要があり、硬調で低かぶり濃度を得ることから臭化銀含有率は0.5モル%〜6モル%であることが好ましく、1モル%〜4モル%であることが更に好ましい。沃臭塩化銀からなる特定のハロゲン化銀粒子を含む乳剤の沃化銀含有率は0.05モル%〜1モル%である必要があり、高照度露光で高感度かつ硬調であることから0.05〜0.6モル%であることが好ましく、0.1〜0.4モル%が更に好ましい。
【0093】
本発明のハロゲン化銀乳剤におけるハロゲン化銀粒子は、臭化銀含有相および/または沃化銀含有相を有することが好ましい。ここで、臭化銀あるいは沃化銀含有相とは、粒子1個当たりのそれぞれの含有率よりも高い部分を表し、臭化銀あるいは沃化銀の濃度が高い部位を意味する。臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相とその周囲とのハロゲン組成は連続的に変化してもよく、また急峻に変化してもよい。このような臭化銀あるいは沃化銀含有相は、粒子内のある部分で濃度がほぼ一定の幅をもった相を形成してもよく、広がりをもたない極大点であってもよい。臭化銀含有相の局所的臭化銀含有率は、5モル%以上であることが好ましく、10〜80モル%であることが更に好ましく、15〜50モル%であることが最も好ましい。沃化銀含有相の局所的沃化銀含有率は、0.2モル%以上であることが好ましく、0.5〜8モル%であることが更に好ましく、1〜5モル%であることが最も好ましい。また、このような臭化銀あるいは沃化銀含有相は、それぞれ粒子内に複数個あってもよく、それぞれの臭化銀あるいは沃化銀含有率が異なってよい。
【0094】
本発明のハロゲン化銀粒子の臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相は、それぞれ粒子を取り囲むように層状にあることが可能である。粒子を取り囲むように層状に形成された臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相は、それぞれの相の中で粒子の周回方向に均一な濃度分布を有することがひとつの好ましい態様である。しかし、粒子を取り囲むように層状にある臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相の中は、臭化銀あるいは沃化銀濃度の極大点または極小点が粒子の周回方向に存在し、濃度分布を有していてもよい。例えば、粒子表面近傍に粒子を取り囲むように層状に臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相を有する場合、粒子コーナーまたはエッジの臭化銀あるいは沃化銀濃度は、主表面と異なる濃度になる場合がある。また、粒子の特定部、例えばコーナーやエッジ、に孤立して存在し、粒子を取り囲んでいない臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相であってもよい。
【0095】
本発明の特定のハロゲン化銀粒子の臭化銀含有相は、粒子の内部に臭化銀濃度極大を有するように層状に形成されていることもできるし、粒子の内部に臭化銀濃度極大を有する部分が孤立して形成されていても良い。また、臭化銀濃度極大を有する部分は1つの粒子に複数個あっても良い。本発明のハロゲン化銀乳剤の沃化銀含有相は粒子の表面に沃化銀濃度極大を有するように層状に形成されていることが好ましい。このような臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相は、より少ない臭化銀あるいは沃化銀含有量で局所濃度を上げる意味から、粒子体積の3%以上30%以下の銀量で構成されていることが好ましく、3%以上15%以下の銀量で構成されていることが更に好ましい。
【0096】
本発明の特定のハロゲン化銀粒子は、臭化銀含有相および沃化銀含有相を両方含むことも好ましい。臭化銀含有相に沃化銀を含有していてもよく、逆に沃化銀含有相に臭化銀を含有していてもよい。臭化銀含有相は沃化銀含有相より内側にあることが必要である。内側にあるとは、臭化銀含有相の一部が内側にあればよく、例えば、粒子内部のあるところから表面にかけて連続して臭化銀相がある場合、沃化銀相が臭化銀相の始まりよりも外側にあれば良い。重要なのは、沃化銀相の始まりよりも内側に臭化銀相の始まりがあることである。また、臭化銀含有相は沃化銀含有相より内側に隣接してあることが本発明の効果を高める上で好ましい。臭化銀濃度極大は沃化銀濃度極大の外側にあっても良いが、臭化銀濃度極大は沃化銀濃度極大の内側にあるほうが、本発明の効果を得る上で好ましい。また、粒子表面側の沃化銀含有相よりも更に外側に、別の臭化銀含有相を設けてもよいし、臭化銀含有相よりも更に内側に、別の沃化銀含有相を設けても良い。
【0097】
高感度化や硬調化などの本発明の効果を発現させるために必要な臭化銀含有量あるいは沃化銀含有量は、臭化銀含有相あるいは沃化銀含有相を粒子内部に形成するほど増加してしまい、必要以上に塩化銀含有量を落として迅速処理性を損なってしまう恐れがある。従って、写真作用を制御するこれらの機能を粒子内の表面近くに集約するために、臭化銀含有相と沃化銀含有相は隣接していることが好ましい。これらの点から、臭化銀含有相は内側から測って粒子体積の50%から100%の位置のいずれかに形成し、沃化銀含有相は粒子体積の85%から100%の位置のいずれかに形成することが好ましい。また、臭化銀含有相は粒子体積の70%から95%の位置のいずれかに形成し、沃化銀含有相は粒子体積の90%から100%の位置のいずれかに形成することが更に好ましい。
【0098】
本発明のハロゲン化銀乳剤に臭化銀あるいは沃化銀を含有させるための臭化物あるいは沃化物イオンの導入は、臭化物塩あるいは沃化物塩の溶液を単独で添加させるか、或いは銀塩溶液と高塩化物塩溶液の添加と併せて臭化物塩あるいは沃化物塩溶液を添加してもよい。後者の場合は、臭化物塩あるいは沃化物塩溶液と高塩化物塩溶液を別々に、または臭化物塩あるいは沃化物塩と高塩化物塩の混合溶液として添加してもよい。臭化物塩あるいは沃化物塩は、アルカリもしくはアルカリ土類臭化物塩あるいは沃化物塩のような溶解性塩の形で添加する。或いは米国特許第5,389,508号明細書に記載される有機分子から臭化物イオンあるいは沃化物イオンを開裂させることで導入することもできる。また別の臭化物あるいは沃化物イオン源として、微小臭化銀粒子あるいは微小沃化銀粒子を用いることもできる。
【0099】
臭化物塩あるいは沃化物塩溶液の添加は、粒子形成の一時期に集中して行ってもよく、またある一定期間かけて行ってもよい。高塩化物乳剤への沃化物イオンの導入位置は、高感度で低被りな乳剤を得る上で制限される。沃化物イオンの導入は、乳剤粒子のより内部に行うほど感度の増加が小さい。故に沃化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から、最も好ましくは85%より外側から行うのがよい。また沃化物塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の98%より内側で、最も好ましくは96%より内側で終了するのがよい。沃化物塩溶液の添加は、粒子表面から少し内側で終了することで、より高感度で低被りな乳剤を得ることができる。一方、臭化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から行うのがよい。
【0100】
粒子内の深さ方向への臭化物あるいは沃化物イオン濃度の分布は、エッチング/TOF−SIMS(Time of Flight − Secondary Ion Mass Spectrometry)法により、例えばPhi Evans社製TRIFTII型TOF−SIMSを用いて測定できる。TOF−SIMS法については、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書二次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999 年発行)に記載されている。エッチング/TOF−SIMS法で乳剤粒子を解析すると、沃化物塩溶液の添加を粒子の内側で終了しても、粒子表面に向けて沃化物イオンがしみ出していることが分析できる。本発明の乳剤は、エッチング/TOF−SIMS法による分析で、沃化物イオンは粒子表面で濃度極大を有し、内側に向けて沃化物イオン濃度が減衰していることが好ましく、臭化物イオンはそれよりも分布の重心が内側にあることが好ましく、更に粒子内部で濃度極大を有することが好ましい。臭化銀の局所濃度は、臭化銀含有量がある程度高ければX線回折法でも測定することができる。
【0101】
本明細書において球相当径は、個々の粒子の体積と等しい体積を有する球の直径で表される。本発明の乳剤は、非常に精密に粒子構造を作る必要があることから、粒子サイズ分布が単分散な粒子からなることが好ましい。本発明の全粒子の球相当径の変動系数は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより更に好ましく、10%以下であることが最も好ましい。球相当径の変動係数とは、個々の粒子の球相当径の標準偏差の、球相当径の平均に対する百分率で表される。このとき、広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
【0102】
本発明のハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の辺長は、0.34μm以下であることが好ましく、0.32μm以下であることが更に好ましい。辺長0.34μmの粒子は球相当径約0.42μmの立方体粒子に相当し、辺長0.32μmの粒子は球相当径約0.40μmの立方体粒子に相当する。
本発明のハロゲン化銀乳剤には、本発明で定義されるハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子(即ち、特定のハロゲン化銀粒子)以外のハロゲン化銀粒子を含んでよい。しかしながら、本発明で定義されるハロゲン化銀乳剤は、全粒子の全投影面積の50%以上が本発明で定義されるハロゲン化銀粒子であることが必要で、80%以上であることが好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
【0103】
本発明のハロゲン化銀乳剤における特定のハロゲン化銀粒子は、イリジウムを含有することが好ましい。イリジウム化合物としては、6個のリガンドを有しイリジウムを中心金属とする6配位錯体が、ハロゲン化銀結晶中に均一に取り込ませるために好ましい。本発明で用いられるイリジウムの一つの好ましい態様として、Cl、BrまたはIをリガンドとして有するIrを中心金属とする6配位錯体が好ましく、6個全てのリガンドがCl、BrまたはIからなるIrを中心金属とする6配位錯体が更に好ましい。この場合、6配位錯体中にCl、BrまたはIが混在していてもよい。Cl、BrまたはIをリガンドとして有するIrを中心金属とする6配位錯体は、臭化銀含有相に含まれることが、高照度露光で硬調な階調を得るために特に好ましい。
【0104】
以下に、6個全てのリガンドがCl、BrまたはIからなるIrを中心金属とする6配位錯体の具体例を挙げるが、本発明におけるイリジウムはこれらに限定されない。
[IrCl2−
[IrCl3−
[IrBr2−
[IrBr3−
[IrI3−
【0105】
本発明で用いられるイリジウムの異なる好ましい態様として、ハロゲンまたはシアン以外のリガンドを少なくとも1個有するIrを中心金属とする6配位錯体が好ましく、HO、OH、O、OCN、チアゾール、置換チアゾール、チアジアゾール、置換チアジアゾール、チアトリアゾールまたは置換チアトリアゾールをリガンドとして有するIrを中心金属とする6配位錯体が好ましく、少なくとも1個のHO、OH、O、OCN、チアゾール、置換チアゾール、チアジアゾール、置換チアジアゾール、チアトリアゾールまたは置換チアトリアゾールをリガンドとして有し残りのリガンドがCl、BrまたはIからなるIrを中心金属とする6配位錯体が更に好ましい。更に、1個もしくは2個の5−メチルチアゾールをリガンドとして有し残りのリガンドがCl、BrまたはIからなるIrを中心金属とする6配位錯体が最も好ましい。
【0106】
以下に、少なくとも1個のHO、OH、O、OCN、チアゾールまたは置換チアゾールをリガンドとして有し残りのリガンドがCl、BrまたはIからなるIrを中心金属とする6配位錯体の具体例を挙げるが、本発明におけるイリジウムはこれらに限定されない。
【0107】
[Ir(HO)Cl2−
[Ir(HO)Cl
[Ir(HO)Br2−
[Ir(HO)Br
[Ir(OH)Cl3−
[Ir(OH)Cl3−
[Ir(OH)Br3−
[Ir(OH)Br3−
[Ir(O)Cl4−
[Ir(O)Cl5−
[Ir(O)Br4−
[Ir(O)Br5−
[Ir(OCN)Cl3−
[Ir(OCN)Br3−
[Ir(thiazole)Cl2−
[Ir(thiazole)Cl
[Ir(thiazole)Br2−
[Ir(thiazole)Br
[Ir(5−methylthiazole)Cl2−
[Ir(5−methylthiazole)Cl
[Ir(5−methylthiazole)Br2−
[Ir(5−methylthiazole)Br
【0108】
本発明の課題は、6個全てのリガンドがCl、BrまたはIからなるIrを中心金属とする6配位錯体、あるいはハロゲンまたはシアン以外のリガンドを少なくとも1個有するIrを中心金属とする6配位錯体の、いずれか一方を単独で使用することで好ましく達成される。しかしながら、本発明の効果を一層高めるためには、6個全てのリガンドがCl、BrまたはIからなるIrを中心金属とする6配位錯体、およびハロゲンまたはシアン以外のリガンドを少なくとも1個有するIrを中心金属とする6配位錯体を併用することが好ましい。更に、少なくとも1個のHO、OH、O、OCN、チアゾールまたは置換チアゾールをリガンドとして有し残りのリガンドがCl、BrまたはIからなるIrを中心金属とする6配位錯体は、この中から2種類のリガンド(H O、OH、O、OCN、チアゾールまたは置換チアゾールから1種とCl、BrまたはIから1種)で構成されている錯体を用いることが好ましい。
【0109】
以上に挙げた金属錯体は陰イオンであり、陽イオンと塩を形成した時にはその対陽イオンとして水に溶解しやすいものが好ましい。具体的には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオンが好ましい。これらの金属錯体は、水のほかに水と混合し得る適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒に溶かして使うことができる。これらのイリジウム錯体は、粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10 モルから1×10−3モル添加することが好ましく、1×10−8モルから1×10−5モル添加することが最も好ましい。
【0110】
本発明において上記のイリジウム錯体は、ハロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるいはそれ以外の溶液中に添加し、粒子形成反応溶液に添加することにより、ハロゲン化銀粒子内に組み込むのが好ましい。また、あらかじめイリジウム錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成してハロゲン化銀粒子に組み込むことも好ましい。さらにこれらの方法を組み合わせてハロゲン化銀粒子内へ含有させることもできる。
【0111】
これらの錯体をハロゲン化銀粒子に組み込む場合、粒子内部に均一に存在させることも行われるが、特開平4−208936号、特開平2−125245号、特開平3−188437号各公報に開示されている様に、粒子表面層のみに存在させることも好ましく、粒子内部のみに錯体を存在させ粒子表面には錯体を含有しない層を付加することも好ましい。また、米国特許第5,252,451号および同第5,256,530号明細書に開示されているように、錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成して粒子表面相を改質することも好ましい。さらに、これらの方法を組み合わせて用いることもでき、複数種の錯体を1つのハロゲン化銀粒子内に組み込んでもよい。上記の錯体を含有させる位置のハロゲン組成には特に制限はないが、6個全てのリガンドがCl、BrまたはIからなるIrを中心金属とする6配位錯体は、臭化銀濃度極大部に含有させることが好ましい。
【0112】
本発明においては、イリジウム以外に他の金属イオンをハロゲン化銀粒子の内部及び/または表面にドープするがことができる。用いる金属イオンとしては遷移金属イオンが好ましく、なかでも、鉄、ルテニウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛であることが好ましい。さらにこれらの金属イオンは配位子を伴い6配位八面体型錯体として用いることがより好ましい。無機化合物を配位子として用いる場合には、シアン化物イオン、ハロゲン化物イオン、チオシアン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、アジ化物イオン、亜硝酸イオン、水、アンモニア、ニトロシルイオン、または、チオニトロシルイオンを用いることが好ましく、上記の鉄、ルテニウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛のいずれの金属イオンに配位させて用いることも好ましく、複数種の配位子を1つの錯体分子中に用いることも好ましい。また、配位子として有機化合物を用いることも出来、好ましい有機化合物としては主鎖の炭素数が5以下の鎖状化合物および/または5員環あるいは6員環の複素環化合物を挙げることが出来る。さらに好ましい有機化合物は分子内に窒素原子、リン原子、酸素原子、または、硫黄原子を金属への配位原子として有する化合物であり、特に好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンであり、さらにこれらの化合物を基本骨格としそれらに置換基を導入した化合物もまた好ましい。
【0113】
金属イオンと配位子の組み合わせとして好ましくは、鉄イオン及びルテニウムイオンとシアン化物イオンの組み合わせである。本発明においては、イリジウムとこれらの化合物を併用することが好ましい。これらの化合物においてシアン化物イオンは、中心金属である鉄またはルテニウムへの配位数のうち過半数を占めることが好ましく、残りの配位部位はチオシアン、アンモニア、水、ニトロシルイオン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ピラジン、または、4,4’−ビピリジンで占められることが好ましい。最も好ましくは中心金属の6つの配位部位が全てシアン化物イオンで占められ、ヘキサシアノ鉄錯体またはヘキサシアノルテニウム錯体を形成することである。これらシアン化物イオンを配位子とする錯体は、粒子形成中に銀1モル当たり1×10−8モルから1×10−2モル添加することが好ましく、1×10−6モルから5×10−4モル添加することが最も好ましい。ルテニウムおよびオスミウムを中心金属とした場合にはニトロシルイオン、チオニトロシルイオン、または水分子と塩化物イオンとを配位子として共に用いることも好ましい。より好ましくはペンタクロロニトロシル錯体、ペンタクロロチオニトロシル錯体、または、ペンタクロロアクア錯体を形成することであり、ヘキサクロロ錯体を形成することも好ましい。これらの錯体は、粒子形成中に銀1モル当たり1×10−10 モルから1×10−6モル添加することが好ましく、より好ましくは1×10−9モルから1×10−6モル添加することである。
【0114】
本発明のハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれ等の前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は、特開昭62−215272号公報の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。更にEP0447647号に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子吸引性基を持つ)も好ましく用いられる。
【0115】
また、本発明において、ハロゲン化銀乳剤の保存性を高めるため、特開平11−109576号公報に記載のヒドロキサム酸誘導体、特開平11−327094号公報に記載のカルボニル基に隣接して、両端がアミノ基若しくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号0036〜0071は本願の明細書に取り込むことができる。)、特開平11−143011号公報に記載のスルホ置換のカテコールやハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸及びこれらの塩など)、米国特許第5,556,741号明細書の一般式(A)で表されるヒドロキシルアミン類(米国特許第5,556,741号明細書の第4欄の第56行〜第11欄の第22行の記載は本願においても好ましく適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる)、特開平11−102045号公報の一般式(I)〜(III )で表される水溶性還元剤は、本発明においても好ましく使用される。
【0116】
また、本発明のハロゲン化銀乳剤には、所望の光波長域に感光性を示す、いわゆる分光感度を付与する目的で、分光増感色素を含有させることができる。青、緑、赤領域の分光増感に用いられる分光増感色素としては、例えば、F.M.Harmer著 Heterocyclic compounds−Cyanine dyes and related compounds (John Wiley & Sons [New York,London] 社刊1964年)に記載されているものを挙げることができる。具体的な化合物の例ならびに分光増感法は、前出の特開昭62−215272号公報の第22頁右上欄〜第38頁に記載のものが好ましく用いられる。また、特に塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤粒子の赤感光性分光増感色素としては特開平3−123340号公報に記載された分光増感色素が安定性、吸着の強さ、露光の温度依存性等の観点から非常に好ましい。本発明においては分光増感色素として低残色(残色が小さい)色素が好ましく用いられる。
【0117】
これらの分光増感色素の添加量は場合に応じて広範囲にわたり、ハロゲン化銀1モル当り、0.5×10−6モル〜1.0×10−2モルの範囲が好ましい。更に好ましくは、1.0×10−6モル〜5.0×0−3モルの範囲である。
【0118】
[ハロゲン化銀写真感光材料]
次に、本発明のハロゲン化銀写真感光材料について説明する。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は黒白でもカラーでも構わないが、好ましくは、ハロゲン化銀カラー写真感光材料に本発明のハロゲン化銀乳剤が使用される。
本発明のハロゲン化銀乳剤が好ましく用いられるハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある)は、支持体上に、イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層とをそれぞれ少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、前記ハロゲン化銀乳剤層のうち少なくとも一層が、本発明のハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とする。本発明において、前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として、及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。
【0119】
本発明の感光材料は、前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する親水性コロイド層、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
【0120】
本発明の感光材料には、従来公知の写真用素材や添加剤を使用できる。
例えば、写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレートなどの透明フィルム、更には、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステル等に磁性層などの情報記録層を設けたものが好ましく用いられる。反射型支持体としては、特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0121】
本発明においてさらに好ましい反射支持体としては、ハロゲン化銀乳剤層を設ける側の紙基体上に微小空孔を有するポリオレフィン層を有しているものが挙げられる。ポリオレフィン層は多層から成っていてもよく、その場合、好ましくはハロゲン化銀乳剤層側のゼラチン層に隣接するポリオレフィン層は微小空孔を有さず(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、紙基体上に近い側に微小空孔を有するポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)から成るものがより好ましい。紙基体及び写真構成層の間に位置するこれら多層若しくは一層のポリオレフィン層の密度は0.40〜1.0g/mlであることが好ましく、0.50〜0.70g/mlがより好ましい。また、紙基体及び写真構成層の間に位置するこれら多層若しくは一層のポリオレフィン層の厚さは10〜100μmが好ましく、15〜70μmがさらに好ましい。また、ポリオレフィン層と紙基体の厚さの比は0.05〜0.2が好ましく、0.1〜0.15がさらに好ましい。
【0122】
また、上記紙基体の写真構成層とは逆側(裏面)にポリオレフィン層を設けることも、反射支持体の剛性を高める点から好ましく、この場合、裏面のポリオレフィン層は表面が艶消しされたポリエチレン又はポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。裏面のポリオレフィン層は5〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましく、さらに密度が0.7〜1.1g/mlであることが好ましい。本発明における反射支持体において、紙基体上に設けるポリオレフィン層に関する好ましい態様については、特開平10−333277号公報、同10−333278号公報、同11−52513号公報、同11−65024号公報、EP0880065号明細書、及びEP0880066号明細書に記載されている例が挙げられる。
【0123】
更に前記の耐水性樹脂層中には蛍光増白剤を含有するのが好ましい。また、前記蛍光増白剤を分散含有する親水性コロイド層を、別途形成してもよい。前記蛍光増白剤として、好ましくは、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系を用いることができ、更に好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系及びベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。使用量は、特に限定されていないが、好ましくは1〜100mg/m である。耐水性樹脂に混合する場合の混合比は、好ましくは樹脂に対して0.0005〜3質量%であり、更に好ましくは0.001〜0.5質量%である。
【0124】
反射型支持体としては、透過型支持体、又は上記のような反射型支持体上に、白色顔料を含有する親水性コロイド層を塗設したものでもよい。また、反射型支持体は、鏡面反射性又は第2種拡散反射性の金属表面をもつ支持体であってもよい。
【0125】
また、本発明の感光材料に用いられる支持体としては、ディスプレイ用に白色ポリエステル系支持体又は白色顔料を含む層がハロゲン化銀乳剤層を有する側の支持体上に設けられた支持体を用いてもよい。更に鮮鋭性を改良するために、アンチハレーション層を支持体のハロゲン化銀乳剤層塗布側又は裏面に塗設するのが好ましい。特に反射光でも透過光でもディスプレイが観賞できるように、支持体の透過濃度を0.35〜0.8の範囲に設定するのが好ましい。
【0126】
本発明の感光材料には、画像のシャープネス等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0,337,490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール系染料)を感光材料の680nmに於ける光学反射濃度が0.70以上になるように添加したり、支持体の耐水性樹脂層中に2〜4価のアルコール類(例えばトリメチロールエタン)等で表面処理された酸化チタンを12質量%以上(より好ましくは14質量%以上)含有させるのが好ましい。
【0127】
本発明の感光材料には、イラジエーションやハレーションを防止したり、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0337490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)を添加することが好ましい。さらに、欧州特許EP0819977号明細書に記載の染料も本発明に好ましく添加される。これらの水溶性染料の中には使用量を増やすと色分離やセーフライト安全性を悪化するものもある。色分離を悪化させないで使用できる染料としては、特開平5−127324号公報、同5−127325号公報、同5−216185号公報に記載された水溶性染料が好ましい。
【0128】
本発明においては、水溶性染料の代わり、あるいは水溶性染料と併用しての処理で脱色可能な着色層が用いられる。用いられる処理で脱色可能な着色層は、乳剤層に直かに接してもよく、ゼラチンやハイドロキノンなどの処理混色防止剤を含む中間層を介して接するように配置されていてもよい。この着色層は、着色された色と同種の原色に発色する乳剤層の下層(支持体側)に設置されることが好ましい。各原色毎に対応する着色層を全て個々に設置することも、このうちに一部のみを任意に選んで設置することも可能である。また複数の原色域に対応する着色を行った着色層を設置することも可能である。着色層の光学反射濃度は、露光に使用する波長域(通常のプリンター露光においては400nm〜700nmの可視光領域、走査露光の場合には使用する走査露光光源の波長)において最も光学濃度の高い波長における光学濃度値が0.2以上3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5以上2.5以下、特に0.8以上2.0以下が好ましい。
【0129】
着色層を形成するためには、従来公知の方法が適用できる。例えば、特開平2−282244号公報の3頁右上欄から8頁に記載された染料や、特開平3−7931号公報の3頁右上欄から11頁左下欄に記載された染料のように固体微粒子分散体の状態で親水性コロイド層に含有させる方法、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法、色素をハロゲン化銀等の微粒子に吸着させて層中に固定する方法、特開平1−239544号公報に記載されているようなコロイド銀を使用する方法などである。色素の微粉末を固体状で分散する方法としては、例えば、少なくともpH6以下では実質的に水不溶性であるが、少なくともpH8以上では実質的に水溶性である微粉末染料を含有させる方法が特開平2−308244号公報の第4〜13頁に記載されている。また、例えば、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法としては、特開平2−84637号公報の第18〜26頁に記載されている。光吸収剤としてのコロイド銀の調製法については米国特許第2,688,601号明細書、同3,459,563号明細書に示されている。これらの方法のなかで微粉末染料を含有させる方法、コロイド銀を使用する方法などが好ましい。
【0130】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、カラーネガフィルム、カラーポジフィルム、カラー反転フィルム、カラー反転印画紙、カラー印画紙等に用いられるが、中でもカラー印画紙として用いるのが好ましい。カラー印画紙は、イエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層ずつ有してなることが好ましく、一般には、これらのハロゲン化銀乳剤層は支持体から近い順にイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色性ハロゲン化銀乳剤層である。
【0131】
しかしながら、これとは異なった層構成を取っても構わない。
イエローカプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層は支持体上のいずれの位置に配置されても構わないが、該イエローカプラー含有層にハロゲン化銀平板粒子を含有する場合は、マゼンタカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層又はシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層よりも支持体から離れた位置に塗設されていることが好ましい。また、発色現像促進、脱銀促進、増感色素による残色の低減の観点からは、イエローカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層より、支持体から最も離れた位置に塗設されていることが好ましい。更に、Blix退色の低減の観点からは、シアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層の中央の層が好ましく、光退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は最下層が好ましい。また、イエロー、マゼンタ及びシアンのそれぞれの発色性層は2層又は3層からなってもよい。例えば、特開平4−75055号公報、同9−114035号公報、同10−246940号公報、米国特許第5,576,159号明細書等に記載のように、ハロゲン化銀乳剤を含有しないカプラー層をハロゲン化銀乳剤層に隣接して設け、発色層とすることも好ましい。
【0132】
本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)及び写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、特開昭62−215272号公報、特開平2−33144号公報、欧州特許EP0,355,660A2号明細書に記載されているもの、特に欧州特許EP0,355,660A2号明細書に記載されているものが好ましく用いられる。更には、特開平5−34889号公報、同4−359249号公報、同4−313753号公報、同4−270344号公報、同5−66527号公報、同4−34548号公報、同4−145433号公報、同2−854号公報、同1−158431号公報、同2−90145号公報、同3−194539号公報、同2−93641号公報、欧州特許公開第0520457A2号明細書等に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料やその処理方法も好ましい。
【0133】
特に、本発明においては、前記の反射型支持体やハロゲン化銀乳剤、更にはハロゲン化銀粒子中にドープされる異種金属イオン種、ハロゲン化銀乳剤の保存安定剤又はカブリ防止剤、化学増感法(増感剤)、分光増感法(分光増感剤)、シアン、マゼンタ、イエローカプラー及びその乳化分散法、色像保存性改良剤(ステイン防止剤や褪色防止剤)、染料(着色層)、ゼラチン種、感光材料の層構成や感光材料の被膜pHなどについては、下記表1に示す特許の各箇所に記載のものが特に好ましく適用できる。
【0134】
【表1】
Figure 2004004144
【0135】
本発明において用いられるシアン、マゼンタ及びイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号公報の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号公報の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目やEP0355,660A2号明細書の第4頁15行目〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29行目〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。
また、本発明はWO−98/33760号の一般式(II)及び(III)、特開平10−221825号公報の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
【0136】
本発明に使用可能なシアン色素形成カプラー(単に、「シアンカプラー」という場合がある)としては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報の一般式(I)又は(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号公報の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号明細書、同第4,916,051号明細書に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号公報、同8−311360号公報、同8−339060号公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0137】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
【0138】
なお、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0139】
本発明に用いられるマゼンタ色素形成カプラー(単に、「マゼンタカプラー」という場合がある)としては、前記の表の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級又は3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3又は6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号明細書や同第294,785A号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該特許の段落番号0009〜0026はそのまま本願に適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854384号明細書、同第884640号明細書に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
【0140】
また、イエロー色素形成カプラー(単に、「イエローカプラー」という場合がある)としては、前記表中に記載の化合物の他に、欧州特許EP0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許EP0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州公開特許第953870A1号明細書、同第953871A1号明細書、同第953872A1号明細書、同第953873A1号明細書、同第953874A1号明細書、同第953875A1号明細書等に記載のピロール−2又は3−イル若しくはインドール−2又は3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
【0141】
本発明に使用するカプラーは、前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(又は不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号明細書)に含浸させて、又は水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。好ましく用いることのできる水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号明細書の第12頁〜30頁に記載の単独重合体又は共重合体が挙げられる。より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定性等の上で好ましい。
【0142】
本発明においては公知の混色防止剤を用いることができるが、その中でも以下に挙げる特許に記載のものが好ましい。
例えば、特開平5−333501号公報に記載の高分子量のレドックス化合物、WO98/33760号明細書、米国特許第4,923,787号明細書等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号公報、特開平10−282615号公報及び独国特許第19629142A1号明細書等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許第19618786A1号明細書、欧州特許第839623A1号明細書、欧州特許第842975A1号明細書、独国特許19806846A1号明細書及び仏国特許第2760460A1号明細書等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
【0143】
本発明においては、紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の特許に記載の化合物を用いることができる。これらは、感光性層又は/及び非感光性に好ましく添加される。例えば、特開昭46−3335号公報、同55−152776号公報、特開平5−197074号公報、同5−232630号公報、同5−307232号公報、同6−211813号公報、同8−53427号公報、同8−234364号公報、同8−239368号公報、同9−31067号公報、同10−115898号公報、同10−147577号公報、同10−182621号公報、独国特許第19739797A号明細書、欧州特許第711804A号明細書及び特表平8−501291号公報等に記載されている化合物を使用できる。
【0144】
本発明の感光材料に用いることのできる結合剤又は保護コロイドとしては、ゼラチンを用いることが有利であるが、それ以外の親水性コロイドを単独であるいはゼラチンとともに用いることができる。好ましいゼラチンとしては、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の不純物として含有される重金属は、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。また、感光材料中に含まれるカルシウム量は、好ましくは20mg/m 以下、更に好ましくは10mg/m以下、最も好ましくは5mg/m 以下である。
【0145】
本発明においては、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌・防黴剤を添加するのが好ましい。さらに、感光材料の被膜pHは4.0〜7.0が好ましく、より好ましくは4.0〜6.5である。
【0146】
本発明においては、感光材料の塗布安定性向上、静電気発生防止、帯電量調節等の点から界面活性剤を感光材料に添加することができる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤があり、例えば特開平5−333492号公報に記載のものが挙げられる。本発明に用いる界面活性剤としては、フッ素原子含有の界面活性剤が好ましい。特に、フッ素原子含有界面活性剤を好ましく用いることができる。これらのフッ素原子含有界面活性剤は単独で用いても、従来公知の他の界面活性剤と併用しても構わないが、好ましくは従来公知の他の界面活性剤との併用である。これらの界面活性剤の感光材料への添加量は特に限定されるものではないが、一般的には、1×10−5〜1g/m 、好ましくは1×10−4〜1×10−1g/m 、更に好ましくは1×10−3〜1×10−2g/m である。
【0147】
本発明の感光材料は、画像情報に応じて光を照射される露光工程と、前記光照射された感光材料を現像する現像工程とにより、画像を形成することができる。本発明の感光材料は、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
【0148】
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極性管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採ってもよく、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
【0149】
本発明の感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式が好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0150】
本発明のハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀カラー写真感光材料は、発光波長420nm〜460nmの青色レーザーのコヒーレント光により像様露光することが好ましい。青色レーザーの中でも、青色半導体レーザーを用いることが特に好ましい。
レーザー光源として具体的には、波長430〜450nmの青色半導体レーザー(2001年3月 第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長 約940nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbOのSHG結晶により波長変換して取り出した約470nmの青色レーザー、半導体レーザー(発振波長 約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbOのSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく用いられる。
【0151】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明の感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては10−4秒以下、更に好ましくは10−6秒以下である。
【0152】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、以下の公知資料に記載の露光、現像システムと組み合わせることで好ましく用いることができる。前記現像システムとしては、特開平10−333253号公報に記載の自動プリント並びに現像システム、特開2000−10206号公報に記載の感光材料搬送装置、特開平11−215312号公報に記載の画像読取装置を含む記録システム、特開平11−88619号公報並びに特開平10−202950号公報に記載のカラー画像記録方式からなる露光システム、特開平10−210206号公報に記載の遠隔診断方式を含むデジタルフォトプリントシステム、などが挙げられる。
【0153】
本発明に適用できる好ましい走査露光方式については、前記の表に掲示した特許に詳しく記載されている。
【0154】
本発明の感光材料をプリンター露光する際、米国特許第4,880,726号明細書に記載のバンドストップフィルターを用いることが好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性が著しく向上する。
本発明においては、欧州特許EP0789270A1明細書や同EP0789480A1号明細書に記載のように、画像情報を付与する前に、予め、黄色のマイクロドットパターンを前露光し、複写規制を施しても構わない。
【0155】
本発明の感光材料の処理には、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、前記の表に掲示した特許に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0156】
本発明のハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀感光材料は、迅速処理適性を有する感光材料として好ましく適用される。迅速処理を行う場合には、発色現像時間は好ましくは30秒以下、更に好ましくは25秒以下6秒以上、より好ましくは20秒以下6秒以上である。同様に、漂白定着時間は好ましくは30秒以下、更に好ましくは25秒以下6秒以上、より好ましくは20秒以下6秒以上である。また、水洗又は安定化時間は、好ましくは60秒以下、更に好ましくは40秒以下6秒以上である。
なお、発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ次の処理工程の漂白定着浴に向けて空気中を搬送されている時間(いわゆる空中時間)との両者の合計を発色現像時間という。同様に、漂白定着時間とは、感光材料が漂白定着液中に入ってから次の水洗又は安定浴に入るまでの時間をいう。また、水洗又は安定化時間とは、感光材料が水洗又は安定化液中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。
【0157】
本発明の感光材料を露光後、現像する方法としては、従来のアルカリ剤と現像主薬を含む現像液で現像する方法、現像主薬を感光材料に内蔵し、現像主薬を含まないアルカリ液などのアクチベーター液で現像する方法などの湿式方式のほか、処理液を用いない熱現像方式などを用いることができる。特に、アクチベーター方法は、現像主薬を処理液に含まないため、処理液の管理や取扱いが容易であり、また廃液処理時の負荷が少なく環境保全上の点からも好ましい方法である。アクチベーター方法において、感光材料中に内蔵される現像主薬又はその前駆体としては、例えば、特開平8−234388号公報、同9−152686号公報、同9−152693号公報、同9−211814号公報、同9−160193号公報に記載されたヒドラジン型化合物が好ましい。
【0158】
また、感光材料の塗布銀量を低減し、過酸化水素を用いた画像増幅処理(補力処理)する現像方法も好ましく用いられる。特に、この方法をアクチベーター方法に用いることは好ましい。具体的には、特開平8−297354号公報、同9−152695号公報に記載された過酸化水素を含むアクチベーター液を用いた画像形成方法が好ましく用いられる。前記アクチベーター方法において、アクチベーター液で処理後、通常脱銀処理されるが、低銀量の感光材料を用いた画像増幅処理方法では、脱銀処理を省略し、水洗又は安定化処理といった簡易な方法を行うことができる。また、感光材料から画像情報をスキャナー等で読み取る方式では、撮影用感光材料などの様に高銀量の感光材料を用いた場合でも、脱銀処理を不要とする処理形態を採用することができる。
【0159】
本発明で用いられるアクチベーター液、脱銀液(漂白/定着液)、水洗及び安定化液の処理素材や処理方法は公知のものを用いることができる。好ましくは、リサーチ・ディスクロージャーItem 36544(1994年9月)第536頁〜第541頁、特開平8−234388号公報に記載されたものを用いることができる。
【0160】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中、「%」は「質量%」を示す。
【0161】
実施例1
(乳剤B−1の調製)
石灰処理ゼラチン7.2%水溶液1200mlをpH2.9、pCl1.7に調整し、硝酸銀を3.25モル含む水溶液と塩化ナトリウムを3.4モル含む水溶液を激しく攪拌しながら45℃で同時に添加混合した。硝酸銀の添加量が85%から100%の時点にかけてハロゲン化銀1モルあたり5%になる量のKBr水溶液を添加した。
硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K [Ru(CN)  ]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりRu量が3×10−5モルになる量を添加した。硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけて、K2 [IrCl6 ]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりIr量が5×10−8モルになる量を添加した。更に硝酸銀の添加が90%終了した時点で、沃化カリウム水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりI量が0.15モル%になる量を激しく混合しながら添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から95%の時点にかけて、K [Ir(5−methylthiazole)Cl ]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりIr量5×10−7モルになる量を添加した。更に、硝酸銀の添加が95%の時点から98%の時点にかけて、K [Ir(H O) Cl ]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりIr量5×10−7モルになる量を添加した。
硝酸銀の添加量が93%の時点にかけてハロゲン化銀1モルあたり0.1%になる量のKI水溶液を30秒かけて添加した。40℃で脱塩処理を施した後、石灰処理ゼラチン260gを加え、pH5.5、pCl1.8に調整した。得られた粒子は球相当径0.32μm、変動係数11%の立方体沃臭塩化銀乳剤であった。
この乳剤を40℃で溶解し、チオスルフォン酸ナトリウムと増感色素AおよびBを添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物をハロゲン化銀1モルあたり1×10−5モルと金増感剤として四塩化金酸ナトリウムを用い60℃にて最適になるように熟成した。40℃に降温後、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールと臭化カリウムを添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤B−1とした。
【0162】
【化22】
Figure 2004004144
【0163】
(乳剤B−2の調製)
乳剤B−1とは、硫黄増感剤および金増感剤の代わりに、カルコゲンー金属放出化合物P1−1をハロゲン化銀1モルあたり4×10−5モル添加した乳剤を調製し、これを乳剤B−2とした。
【0164】
(乳剤B−3の調製)
乳剤B−1とは、硫黄増感剤の代わりに、セレン増感剤ジメチルセレノ尿素をハロゲン化銀1モルあたり1.5×10−6モル添加した乳剤を調製し、これを乳剤B−3とした。
【0165】
(乳剤B−4の調製)
乳剤B−1とは、硫黄増感剤の代わりに、セレン増感剤(3−13)をハロゲン化銀1モルあたり1.5×10−6モル添加した乳剤を調製し、これを乳剤B−4とした。
【0166】
(乳剤B−5の調製)
乳剤B−1とは、硫黄増感剤の代わりに、セレン増感剤、化合物39をハロゲン化銀1モルあたり1.5×10−6モル添加した乳剤を調製し、これを乳剤B−5とした。
【0167】
(乳剤B−6の調製)
乳剤B−1とは、硫黄増感剤の代わりに、セレン増感剤セレノシアン酸カリウムをハロゲン化銀1モルあたり3.0×10−6モル添加した乳剤を調製し、これを乳剤B−6とした。
【0168】
(乳剤B−7の調製)
乳剤B−1とは、硫黄増感剤の代わりに、セレン増感剤コロイド状セレンをハロゲン化銀1モルあたり1.5×10−6モル添加した乳剤を調製し、これを乳剤B−7とした。
(乳剤B−8の調製)
乳剤B−3とは、金増感剤の代わりに、カルコゲンー金属放出化合物P1−1をハロゲン化銀1モルあたり4×10−5モル添加した乳剤を調製し、これを乳剤B−8とした。
(乳剤B−9の調製)
乳剤B−4とは、金増感剤の代わりに、カルコゲンー金属放出化合物P1−1をハロゲン化銀1モルあたり4×10−5モル添加した乳剤を調製し、これを乳剤B−9とした。
【0169】
(乳剤B−10の調製)
乳剤B−5とは、金増感剤の代わりに、カルコゲンー金属放出化合物P1−1をハロゲン化銀1モルあたり4×10−5モル添加した乳剤を調製し、これを乳剤B−10とした。
(乳剤B−11の調製)
乳剤B−6とは、金増感剤の代わりに、カルコゲンー金属放出化合物P1−1をハロゲン化銀1モルあたり4×10−5モル添加した乳剤を調製し、これを乳剤B−11した。
(乳剤B−12の調製)
乳剤B−7とは、金増感剤の代わりに、カルコゲンー金属放出化合物P1−1をハロゲン化銀1モルあたり4×10−5モル添加した乳剤を調製し、これを乳剤B−12とした。
【0170】
(乳剤G−1の調製)
石灰処理ゼラチン3%水溶液1000mlをpH5.5、pCl1.7に調整し、硝酸銀を2.12モル含む水溶液と塩化ナトリウムを2.2モル含む水溶液を激しく攪拌しながら45℃で同時に添加混合した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウムを出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり4.3モル%になる量を激しく混合しながら添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K [Ru(CN) ]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりRu量が3×10−5モルになる量を添加した。硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけて、K2 [IrCl6 ]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりIr量が5×10−8モルになる量を添加した。更に硝酸銀の添加が90%終了した時点で、沃化カリウム水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりI量が0.15モル%になる量を激しく混合しながら添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から95%の時点にかけて、K [Ir(5−methylthiazole)Cl ]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりIr量5×10−7モルになる量を添加した。更に、硝酸銀の添加が95%の時点から98%の時点にかけて、K [Ir(H O) Cl ]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりIr量5×10−7モルになる量を添加した。40℃で脱塩処理を施した後、石灰処理ゼラチン168gを加え、pH5.5、pCl1.8に調整した。得られた粒子は球相当径0.35μm、変動係数10%の立方体塩化銀乳剤であった。
この乳剤を40℃で溶解し、チオスルフォン酸ナトリウムをハロゲン化銀1モルあたり2×10−5モル添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤として(S−2)を用い60℃にて最適になるように熟成した。40℃に降温後、増感色素Dをハロゲン化銀1モルあたり6×10−4モル、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり2×10−4モル、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり8×10−4モル、臭化カリウムをハロゲン化銀1モルあたり7×10−3モル添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤G−1とした。
【0171】
【化23】
Figure 2004004144
【0172】
【化24】
Figure 2004004144
【0173】
(乳剤R−1の調製)
石灰処理ゼラチン3%水溶液1000mlをpH5.5、pCl1.7に調整し、硝酸銀を2.12モル含む水溶液と塩化ナトリウムを2.2モル含む水溶液を激しく攪拌しながら45℃で同時に添加混合した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウムを出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり4.3モル%になる量を激しく混合しながら添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K [Ru(CN) ]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりRu量が3×10−5モルになる量を添加した。硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけて、K [IrCl ]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりIr量が5×10−8モルになる量を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で、沃化カリウム水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりI量が0.1モル%になる量を激しく混合しながら添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から95%の時点にかけて、K [Ir(5−methylthiazole)Cl]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりIr量5×10−7モルになる量を添加した。更に、硝酸銀の添加が95%の時点から98%の時点にかけて、K [Ir(H O) Cl ]水溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モルあたりIr量5×10−7モルになる量を添加した。40℃で脱塩処理を施した後、石灰処理ゼラチン168gを加え、pH5.5、pCl1.8に調整した。得られた粒子は球相当径0.35μm、変動係数10%の立方体沃臭塩化銀乳剤であった。
この乳剤を40℃で溶解し、チオスルフォン酸ナトリウムをハロゲン化銀1モルあたり2×10−5モル添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤として(S−2)を用い60℃にて最適になるように熟成した。40℃に降温後、増感色素Hをハロゲン化銀1モルあたり2×10−4モル、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり2×10−4モル、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり8×10−4モル、化合物Iをハロゲン化銀1モルあたり1×10−3モル、臭化カリウムをハロゲン化銀1モルあたり7×10−3モル添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤R−1とした。
【0174】
【化25】
Figure 2004004144
【0175】
紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆してなる支持体の表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設け、さらに第一層〜第七層の写真構成層を順次塗設して、以下に示す層構成のハロゲン化銀カラー写真感光材料の試料を作製した。各写真構成層用の塗布液は、以下のようにして調製した。
【0176】
第一層塗布液調製
イエローカプラー(ExY−1)57g、色像安定剤(Cpd−1)7g、色像安定剤(Cpd−2)4g、色像安定剤(Cpd−3)7g、色像安定剤(Cpd−8)2gを溶媒(Solv−1)21g及び酢酸エチル80mlに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む23.5質量%ゼラチン水溶液220g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと乳剤B−1を混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
【0177】
第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩(H−1)、(H−2)、(H−3)を用いた。また、各層にAb−1、Ab−2、Ab−3、及びAb−4をそれぞれ全量が15.0mg/m、60.0mg/m2 、5.0mg/m2 及び10.0mg/m2 となるように添加した。
【0178】
【化26】
Figure 2004004144
【0179】
【化27】
Figure 2004004144
【0180】
【化28】
Figure 2004004144
【0181】
【化29】
Figure 2004004144
【0182】
また、緑感性乳剤層および赤感性乳剤層に対し、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを、それぞれハロゲン化銀1モル当り1.0×10−3モルおよび5.9×10−4モル添加した。さらに、第二層、第四層および第六層にも1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを、それぞれ0.2mg/m 、0.2mg/m および0.6mg/m となるように添加した。
赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m添加した。また、第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m 、6mg/m 、18mg/m となるように添加した。また、イラジエーション防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0183】
【化30】
Figure 2004004144
【0184】
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m )を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO ;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン。含有率0.03質量%)、青味染料(群青)を含む]
Figure 2004004144
【0185】
Figure 2004004144
【0186】
Figure 2004004144
【0187】
Figure 2004004144
【0188】
Figure 2004004144
【0189】
Figure 2004004144
【0190】
【化31】
Figure 2004004144
【0191】
【化32】
Figure 2004004144
【0192】
【化33】
Figure 2004004144
【0193】
【化34】
Figure 2004004144
【0194】
【化35】
Figure 2004004144
【0195】
【化36】
Figure 2004004144
【0196】
【化37】
Figure 2004004144
【0197】
【化38】
Figure 2004004144
【0198】
以上のようにして得られた試料を、試料101とした。試料101とは青感性乳剤層の乳剤をそれぞれ表2のように替えた試料も同様に作製し試料102から112とした。
【0199】
【表2】
Figure 2004004144
【0200】
これらの試料の写真特性を調べるために以下のような実験を行った。
各塗布試料に対して高照度露光用感光計(山下電装(株)製HIE型)を用いて、SP−1フィルターを装着し10−4秒高照度階調露光を与えた。また、各塗布試料に対して感光計(富士写真フイルム(株)製FWH型)を用いて、SP−1フィルターを装着し低照度10秒間露光した。
露光後は、以下に示す発色現像処理Aを行った。
【0201】
以下に処理工程を示す。
[処理A]
上記感光材料の試料を127mm巾のロール状に加工し、富士写真フイルム(株)製ミニラボプリンタープロセッサー PP1258ARを用いて像様露光後、下記処理工程にてカラー現像タンク容量の2倍補充するまで、連続処理(ランニングテスト)を行った。このランニング液を用いた処理を処理Aとした。
Figure 2004004144
*感光材料1m当たりの補充量
**富士写真フイルム社製 リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス(3)に装置し、リンス(3)からリンス液を取り出し、ポンプにより逆浸透膜モジュール(RC50D)へ送る。同槽で得られた透過水はリンス(4)に供給し、濃縮水はリンス(3)に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300ミリリットル/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。
(リンスは(1)から(4)へのタンク向流方式とした。)
【0202】
各処理液の組成は以下の通りである。
Figure 2004004144
【0203】
Figure 2004004144
【0204】
Figure 2004004144
【0205】
(実験1)
処理後の各試料のイエロー発色濃度を測定し、10秒低照度露光および10−4秒高照度露光の特性曲線を得た。感度(S)は、最低発色濃度より1.0高い発色濃度を与える露光量の逆数の対数で表し、それぞれの露光での試料101の感度を100とした相対値で表した。値が大きいほど高感度で好ましい。階調(γ)は、濃度0.5と濃度1.5の感度の差で表し、試料101の階調を100とした相対値で表した。値が小さいほど硬調で好ましい。かぶり濃度(Dmin)は、未露光部のイエロー濃度からベースの濃度を引いた値で表し、値が小さいほど白地がきれいで好ましい。上記の試料の10秒感度および10−4秒感度と階調およびかぶりの結果を表3に示した。
【0206】
【表3】
Figure 2004004144
【0207】
試料101と試料102の比較から分かるように、カルコゲン−金属放出化合物は従来の硫黄−金増感より10−4秒の高照度露光で高い感度および硬い階調を与える。
試料101と試料103〜107の比較から分かるように、セレン−金増感は、従来の硫黄−金増感より高照度および低照度の双方で高い感度を与えるものの、かぶりが高い。
しかし、試料103〜107と試料108〜112の比較から分かるように、セレン増感剤に加えて、金増感剤をカルコゲン−金放出化合物に変更により、高照度および低照度の双方で高い感度と硬い階調を保ったまま、かぶりを低減することができ、カラーペーパーに適した乳剤であることが分かる。試料102と試料108〜112の比較から分かるように、本発明の高感化および硬調化の効果は、カルコゲン−金属放出化合物単独の場合より、はるかに高いことが分かる。
【0208】
実施例2
実施例1の試料101とは、写真構成層を下記のように変えて薄層化した試料201を作製した。
Figure 2004004144
【0209】
Figure 2004004144
【0210】
Figure 2004004144
【0211】
Figure 2004004144
【0212】
Figure 2004004144
【0213】
Figure 2004004144
【0214】
【化39】
Figure 2004004144
【0215】
【化40】
Figure 2004004144
【0216】
以上のようにして得られた試料を、試料201とした。試料201とは青感性乳剤層の乳剤をそれぞれ表4のように替えた試料も同様に作製し試料302から306とした。
【0217】
【表4】
Figure 2004004144
【0218】
これらの試料のレーザー走査露光による写真特性を調べるために以下のような実験を行った。
レーザー光源としては、波長約440nmの青色半導体レーザー(2001年3月第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長 約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbOのSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザーおよび波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)を用いた。3色のそれぞれのレーザー光はポリゴンミラーにより走査方向に対して垂直方向に移動し、試料上に、順次走査露光できるようにした。半導体レーザーの温度による光量変動は、ペルチェ素子を利用して温度が一定に保たれることで抑えられている。実効的なビーム径は、80μmで、走査ピッチは42.3μm(600dpi)であり、1画素あたりの平均露光時間は、1.7×10−7秒であった。この露光方式により、グレー発色のセンシトメトリー用の階調露光を与えた。
【0219】
露光された各試料に対し、発色現像処理は以下に示す現像処理に従い、超迅速処理を行った。
【0220】
[処理]
上記感光材料の試料を127mm幅のロール状に加工し、処理時間、処理温度を変えられるように富士写真フイルム(株)製ミニラボプリンタープロセッサーPP350を改造した実験処理装置を用いて感光材料試料に平均濃度のネガティブフイルムから像様露光を行い、下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の0.5倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。
【0221】
Figure 2004004144
(注)*感光材料1mあたりの補充量
**富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス(3)に装着し、リンス(3)からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンスに供給し、濃縮液はリンス(3)に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは(1)から(4)への4タンク向流方式とした。
【0222】
各処理液の組成は以下の通りである。
Figure 2004004144
【0223】
Figure 2004004144
【0224】
Figure 2004004144
【0225】
【化41】
Figure 2004004144
【0226】
処理後の各試料のイエロー発色濃度を測定し、実施例1と同様な実験を行ったところ、本発明の試料208〜212は比較201〜207より、イエロー発色層が低照度および高照度の双方で高感度で、硬調階調を示し、白地がきれいなことが認められた。また、実施例1の結果よりもこの効果は大きく、薄層感光材料をレーザー走査露光し超迅速処理する画像形成に適していることが分かった。
【0227】
【発明の効果】
本発明によれば、レーザー走査露光のようなデジタル露光と超迅速処理において特に高感度、低かぶりで硬調な階調が得られるハロゲン化銀乳剤を得ることができる。

Claims (3)

  1. 塩化銀含有率が89モル%以上100%以下のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤であって、金属原子−カルコゲン原子結合を有する化合物を放出する化合物およびセレン化合物により化学増感が行われたことを特徴とするハロゲン化銀写真乳剤。
  2. 前記金属原子−カルコゲン原子結合を有する化合物が、MCh構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。但し、ChはS、SeまたはTeを表す。Mは周期律表第4周期から第6周期までの第3族〜第12族の金属元素を表す。
  3. 前記セレン化合物が下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
    一般式(1)
    Figure 2004004144
    式中、Xはセレニウム原子を表す。また、Rは水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、複素環基、ORまたはN(Rを表し、R’は脂肪族炭化水素基、アリール基または複素環基を表し、Rは、水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基または複素環基を表す。N(RのRは同じであっても異なっていても、連結して環を形成してもよい。
    一般式(2)
    Figure 2004004144
    一般式(2)中、Z はセレン原子を表し、R 及びR はそれぞれ水素原子、脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アミノ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、またはカルバモイル基を表し、Qは脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、または、−N(R )(R )を表し、R 及びR は、R 及びRと同義である。また、R 、R 及びQは、それぞれ連結して環を形成してもよい。
    一般式(3)
    Figure 2004004144
    一般式(3)中、Z はセレン原子を表し、R 、R 及びR はそれぞれ脂肪族炭化水素基、アリール基、ヘテロ環基またはアミノ基を表す。
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