JP2004003537A - 電動アクチュエータ - Google Patents

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Katsutoshi Nishizaki
西崎 勝利
Shiro Nakano
中野 史郎
Yoshikazu Kuroumaru
九郎丸 善和
Takeshi Matsubara
松原 健
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Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

【課題】コンパクトな構造で大きな出力を発生できる電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】出力シャフト3は操舵補助力発生用電動モータ32のロータ38により覆われる。ロータ38と同軸中心に同行回転するキャリア41により、第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43がロータ38と平行な軸中心に回転可能に支持される。第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43は同軸中心に同行回転する。第1遊星ギヤ42に噛み合う内歯を有する第1リングギヤ44はロータ38を支持するハウジング5aに対して固定される。第2遊星ギヤ43に噛み合う内歯を有する第2リングギヤ45は出力シャフト3と同行回転する。ロータ38と第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43はロータ38軸方向に沿って並列する。キャリア41、両遊星ギヤ42、43、両リングギヤ44、45を有する減速用遊星ギヤ機構33を介してロータ38の回転が出力シャフト3に伝達される。
【選択図】図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動モータのロータの回転を、減速用遊星ギヤ機構を介して出力シャフトに伝達する電動アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
電動モータと減速用遊星ギヤ機構とを備える電動アクチュエータとを備える電動アクチュエータが汎用されている。例えば、その電動アクチュエータにより操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置が用いられている。その電動パワーステアリング装置においては、電動モータの筒状ロータにより出力シャフトであるステアリングシャフトを覆い、そのロータの回転を遊星ギヤ機構を介してステアリングシャフトに伝達している。
【0003】
そのような電動パワーステアリング装置を大きな操舵補助力が必要な中型や大型の車両において用いる場合、モータの大型化によりロータ径を大きくし、また、ロータの回転速度に対するステアリングシャフトの回転速度の比を小さくする必要がある。そこで、その遊星ギヤ機構として第1遊星ギヤと第2遊星ギヤを有する2段遊星ギヤ機構を用いることで、ロータの回転速度に対するステアリングシャフトの回転速度の比を小さくすることが考えられる。
【0004】
例えば特公平4−50227号に開示されている電動パワーステアリング装置に用いられている電動アクチュエータの遊星ギヤ機構は、そのロータに同行回転するよう取り付けられるサンギヤと、サンギヤに噛み合う第1遊星ギヤと、第1遊星ギヤを支持する第1キャリアと、第1キャリアと同行回転する第2サンギヤと、第2サンギヤに噛み合う第2遊星ギヤと、第1遊星ギヤと第2遊星ギヤに噛み合うリングギヤと、第2遊星ギヤを支持する第2キャリアとを有する。その第2キャリアがステアリングシャフトに連結されることで、遊星ギヤ機構を介してロータの回転がステアリングシャフトに伝達される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の電動アクチュエータにおいては、モータのロータと同行回転するサンギヤの外歯に第1遊星ギヤが噛み合い、その第1遊星ギヤにリングギヤが噛み合う。すなわち、ロータの径方向における外方に第1遊星ギヤが配置され、その第1遊星ギヤの径方向における外方にリングギヤが配置されることになる。そのため、ロータの径方向における遊星ギヤ機構の寸法が大きくなる。また、遊星ギヤ機構の構成部品の支持が不安定であると振動や騒音が発生し、部品点数が多くなると組立や加工に要する手間とコストが増大する。さらに、2段遊星ギヤ機構においては入力速度に対する出力速度の比が小さくなると回転伝達効率が急激に低下する。そのため、製造誤差が大きいと回転伝達効率が低下する。
本発明は、上記課題を解決することのできる電動アクチュエータを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電動アクチュエータは、出力シャフトと同行回転する出力部材と、出力シャフトを覆うと共に出力シャフトと同軸心に配置される筒状ロータを有する電動モータと、そのロータを支持するハウジングと、キャリア、第1遊星ギヤ、第1リングギヤ、第2遊星ギヤおよび第2リングギヤを有する減速用遊星ギヤ機構とを備える。そのキャリアはロータと同軸中心に同行回転し、その第1遊星ギヤはキャリアによりロータと平行な軸中心に回転可能に支持され、その第2遊星ギヤは第1遊星ギヤと同軸中心に同行回転すると共にキャリアにより支持され、その第1リングギヤは第1遊星ギヤに噛み合う内歯を有すると共にハウジングに対して固定され、その第2リングギヤは出力シャフトと同行回転すると共に第2遊星ギヤに噛み合う内歯を有し、そのロータと第1遊星ギヤと第2遊星ギヤはロータ軸方向に沿って並列され、その遊星ギヤ機構を介してロータの回転が出力シャフトに伝達される。
本発明によれば、ロータと同軸中心に同行回転するキャリアによって第1遊星ギヤと第2遊星ギヤを支持することで、ロータと第1遊星ギヤと第2遊星ギヤをロータ軸方向に沿って並列させることができる。その第1遊星ギヤと第2遊星ギヤはリングギヤの内歯に噛み合う。よって、ロータの径方向における外方に第1遊星ギヤが配置される場合に比べ、ロータ径方向における遊星ギヤ機構の寸法を小型化できる。この場合、ロータの軸方向から視て、ロータと両遊星ギヤとが互いに重なる部分を有するのが好ましい。これによって径方向寸法をより小さくできる。
【0007】
そのロータの一端側は、そのハウジングにより第1ベアリングを介して支持され、そのロータの他端側は前記キャリアと一体化され、そのキャリアは、そのハウジングにより第2ベアリングを介して支持されるのが好ましい。
これにより、キャリアは第1、第2ベアリングとロータを介してハウジングにより安定して支持されるので、振動や騒音の発生を抑制できる。さらに、ロータとキャリアを共通の第2ベアリングにより支持することで部品点数を少なくし、組立に要する手間とコストを低減できる。
そのロータとキャリアを単一素材から一体成形するのが好ましい。これにより部品点数を低減し、組立に要する手間とコストをより低減できる。
【0008】
図1は、本発明における遊星ギヤ機構の回転伝達効率Eと回転伝達比Jとの関係を示す。図1において、Eはロータから出力シャフトへの回転伝達効率、Rrはロータ回転速度、Rsは出力シャフト回転速度、第1遊星ギヤの歯数をZ1a、第2遊星ギヤの歯数をZ2a、第1リングギヤの歯数をZ1b、第2リングギヤの歯数をZ2bとしてJ=Z1a・Z2b/(Z2a・Z1b)である。なお、Z1b>Z2bである。図1において実線はEとJとの関係を示し、破線はRs/RrとJとの関係を示す。この図1より、Rs/Rrを小さくし、且つ、Eが小さくなり過ぎるのを防止するためには、Jの変動、すなわち遊星ギヤ機構での回転伝達比の変動を抑制する必要があるのを確認できる。よって、そのキャリアは第2ベアリングの内周に圧入され、その第2ベアリングは前記ハウジングの内周に圧入されるのが好ましい。これにより、キャリアの回転中心とロータの回転中心との同心精度が組立誤差により大きくなるの抑制できるので、遊星ギヤ機構の回転伝達比が変動することによる回転伝達効率の低下を防止できる。
そのキャリアを支持する第2ベアリングは、ハウジングの内周に形成された段差と、そのハウジングに圧入された前記第1リングギヤとにより挟み込まれるのが好ましい。これにより、第2ベアリングの振動を抑制でき、しかも第1リングギヤを利用するので部品点数を低減できる。さらに、遊星ギヤ機構により伝達される回転力を受ける第1リングギヤの組立誤差を小さくでき、回転力を伝達する第1遊星ギヤの運動を安定させ、振動や騒音を抑制できる。そのハウジングへの第1リングギヤの圧入は軽圧入とし、ピンによりそのハウジングに対して第1リングギヤを固定するのが好ましい。これにより組み立てを容易に行うことができる。
【0009】
前記第1遊星ギヤの個数は複数とされ、各第1遊星ギヤは前記ロータの周方向において互いに等間隔に配置され、前記第2遊星ギヤの個数は第1遊星ギヤの数と同数とされ、各第2遊星ギヤは前記ロータの周方向において互いに等間隔に配置され、各第1遊星ギヤのモジュールと各第2遊星ギヤのモジュールとは互いに等しくされ、各第1遊星ギヤの歯数は第1遊星ギヤの個数の整数倍とされ、各第2遊星ギヤの歯数は第2遊星ギヤの個数の整数倍とされているのが好ましい。これにより、複数の第1遊星ギヤの回転中心と複数の第2遊星ギヤの回転中心を円周上に等間隔に配置することで、安定し且つ効率の良い回転伝達ができる。
さらに、互いに同行回転する第1遊星ギヤと第2遊星ギヤは、それぞれの周方向における少なくとも一つの歯の位置が互いに等しくされているのが好ましい。これにより、組立工数において第1リングギヤに第1遊星ギヤを噛み合わせた後に、第1遊星ギヤと同行回転する第2遊星ギヤに第2リングギヤを噛み合わせるのが容易になる。よって、組立工数を低減し、組み立て誤差に起因してギヤの噛み合い部に作用するストレスを小さくすることで耐久性を向上し、回転伝達時における部品のアライメントの狂いによる回転伝達効率低下を防止できる。
互いに同行回転する第1遊星ギヤと第2遊星ギヤとが単一素材から歯切り成形されるのが好ましい。これにより、部品点数を低減し、組立に要する手間とコストをより低減できる。
【0010】
そのキャリアに形成されたシャフト支持孔に、そのロータの軸心に平行な軸心を有する支持シャフトの一端が圧入され、その支持シャフトは前記第1遊星ギヤと第2遊星ギヤとに同軸中心に相対回転可能に挿入され、その支持シャフトの他端は、そのキャリアに固定される受け部材に形成されたシャフト支持孔に圧入されるのが好ましい。
これにより、ロータの軸方向から第1遊星ギヤと第2遊星ギヤとを容易にキャリアに組み付けることができる。また、複数の第1遊星ギヤの回転中心と複数の第2遊星ギヤの回転中心を円周上に等間隔に配置する場合、その配置精度を向上できる。よって、組み立て誤差に起因してギヤの噛み合い部に作用するストレスを小さくし、複数の遊星ギヤに伝達荷重を極力均等に配分することで耐久性を向上し、さらなる小型化が可能になる。
【0011】
前記出力部材は、第2リングギヤが圧入される外筒部と、前記出力シャフトが同行回転するように挿入される内筒部と、その外筒部と内筒部とを連結する連結部とを有するのが好ましい。
これにより第2リングギヤと出力シャフトとの連結を容易に且つ精度良く行うことができ、振動や騒音の発生を抑制できる。
その出力部材の外筒部への第2リングギヤの圧入は軽圧入とし、ピンによりその外筒部に対して第2リングギヤを固定するのが好ましい。その内筒部の内周と出力シャフトの外周にセレーションやスプライン等の凹凸を設け、その凹凸を介して内筒部に出力シャフトを同行回転するように圧入するのが好ましい。これにより、さらに組み立てを容易に行うことができると共に振動や騒音の発生を抑制できる。
さらに、その連結部とキャリアとの間に第1、第2遊星ギヤと第1、第2リングギヤとを配置するのが好ましい。これにより小さいスペースに遊星ギヤ機構を配置することができる。
【0012】
第1、第2遊星ギヤ、第1、第2リングギヤは平歯車とするのが好ましい。これにより、組立が容易になり組立工数を大幅に低減できる。あるいは、第1、第2遊星ギヤ、第1、第2リングギヤをハスバ歯車とし、第1遊星ギヤと第1リングギヤの歯すじ方向と第2遊星ギヤと第2リングギヤの歯すじ方向とを互いに逆方向とすることで、第1遊星ギヤと第1リングギヤとの噛み合いにより生じるスラスト力と第2遊星ギヤと第2リングギヤとの噛み合いにより生じるスラスト力とを相殺してもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図2〜図4に示す電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2と、そのステアリングホイール2の操舵により回転するステアリングシャフト(出力シャフト)3と、そのステアリングシャフト3により伝達されるトルクを検出するトルクセンサ4と、その検出トルクに応じて駆動される電動アクチュエータ5と、そのステアリングシャフト3を覆うステアリングコラム6とを備える。そのステアリングシャフト3の回転はステアリングギヤ(図示省略)により舵角が変化するように車輪に伝達される。そのステアリングギヤは公知のものを用いることができ、例えばラックピニオン型ステアリングギヤを用いることができる。
【0014】
図3、図4に示すように、ステアリングシャフト3は筒状第1シャフト3a、筒状第2シャフト3bおよび筒状第3シャフト3cを有する。第1シャフト3aの一端はステアリングホイール2に連結され、他端はピン12を介して第2シャフト3bの一端に連結されている。第2シャフト3bの他端は第3シャフト3cの一端に形成された凹部3c′に挿入されている。第2シャフト3bと第3シャフト3cとにトーションバー15が挿入され、そのトーションバー15の一端が第1シャフト3aと第2シャフト3bとにピン12を介して連結され、他端が第3シャフト3cにピン17を介して連結されている。本実施形態では第2シャフト3bと第3シャフト3cとの相対的な傾きはトーションバー15のみにより規制され、第2シャフト3bと第3シャフト3cとの間に傾き規制のためのブッシュ等は介在しないものとされている。第1シャフト3aはベアリング11を介してステアリングコラム6により支持され、ステアリングコラム6はトルクセンサ4のセンサハウジング4aに圧入されることで固定されている。第2シャフト3bはベアリング14を介してセンサハウジング4aにより支持されている。第3シャフト3cの一端はベアリング18を介してセンサハウジング4aに圧入されたレゾルバ押さえ7により支持され、他端側はニードルベアリング19を介してアクチュエータ5のハウジング5aに圧入されたレゾルバ押さえ39aにより支持されている。そのセンサハウジング4aとアクチュエータ5のハウジング5aは車体に対してブラケット等を介して固定される。これにより、ステアリングシャフト3により伝達される操舵トルクに応じたトーションバー15の捩れにより、第2シャフト3bと第3シャフト3cとは弾性的に相対回転する。図5に示すように、第2シャフト3bの他端外周と第3シャフト3cの凹部3c′の内周とは非円形に沿い、第2シャフト3bと第3シャフト3cの相対回転角が大きくなると互いに当接する。これにより、第2シャフト3bと第3シャフト3cの相対回転範囲が制限されることでトーションバー15の破損が防止される。
【0015】
図3に示すように、トルクセンサ4は、第2シャフト3bの回転角を検出する第1レゾルバ21と、第3シャフト3cの回転角を検出する第2レゾルバ22とを有する。
【0016】
第1レゾルバ21は、第2シャフト3bの外周に同行回転するように嵌め合わされる環状の第1レゾルバロータ21aと、センサハウジング4aの内周に嵌め合わされる環状の第1レゾルバステータ21bとを有する。第1レゾルバロータ21aの内周と第2シャフト3bの外周の中の一方に少なくとも一つの凹部が形成され、他方にその凹部に周方向のクリアランスを介して嵌め合わされる凸部が形成される。これにより第1レゾルバロータ21aの第2シャフト3bに対する周方向における概略の位置決めが行われる。本実施形態では、図6に示すように第1レゾルバロータ21aの内周に形成された凸部21a′が、第2シャフト3bの外周に形成された凹部3b′に嵌め合わされている。その概略の位置決め後に第1レゾルバロータ21aが第2シャフト3bに圧入されることで、第1レゾルバロータ21aと第2シャフト3bは同行回転する。
【0017】
第2レゾルバ22は、第3シャフト3cの外周に同行回転するように嵌め合わされる環状の第2レゾルバロータ22aと、センサハウジング4aの内周に嵌め合わされる環状の第2レゾルバステータ22bとを有する。第2レゾルバロータ22aの内周と第3シャフト3cの外周の中の一方に少なくとも一つの凹部が形成され、他方にその凹部に周方向のクリアランスを介して嵌め合わされる凸部が形成される。これにより第2レゾルバロータ22aの第3シャフト3cに対する周方向における概略の位置決めが行われる。本実施形態では、第2レゾルバロータ22aの内周に形成された凸部22a′に第3シャフト3cの外周に形成された凹部3c″が嵌め合わされている。その概略の位置決め後に第2レゾルバロータ22aが第3シャフト3cに圧入されることで、第2レゾルバロータ22aと第3シャフト3cは同行回転する。
【0018】
第1レゾルバステータ21bと第2レゾルバステータ22bとの間に筒状のスペーサ23が配置されている。第1レゾルバステータ21bとスペーサ23の中の一方に少なくとも一つの凹部が形成され、他方にその凹部にクリアランスを介して嵌め合わされる凸部が形成される。第2レゾルバステータ22bとスペーサ23の中の一方に少なくとも一つの凹部が形成され、他方にその凹部にクリアランスを介して嵌め合わされる凸部が形成される。第1レゾルバステータ21bと第2レゾルバステータ22bとスペーサ23は、センサハウジング4aの内周にクリアランスを介して嵌め合わされる。これにより、第1レゾルバステータ21bの第2レゾルバステータ22bに対する周方向における概略の位置決めが行われる。本実施形態では、第1レゾルバステータ21bと第2レゾルバステータ22bに形成された凹部21b′、22b′に、スペーサ23に一体的に形成された凸部23a′、23b′が嵌め合わされている。その概略の位置決め後に、両レゾルバステータ21b、22bとスペーサ23は、センサハウジング4aに圧入されるレゾルバ押さえ7とセンサハウジング4aの内周に形成された段差4a′とにより挟み込まれ、センサハウジング4aに固定される。
そのスペーサ23に形成される凸部23a′、23b′に代えて、スペーサ23に取り付けたピンを、凸部としてレゾルバステータ21b、22bに形成された凹部に嵌め合わせてもよい。センサハウジング4aへのレゾルバ押さえ7の圧入荷重を組立容易なように小さくし、圧入後にレゾルバ押さえ7の一部をかしめることで塑性変形させてセンサハウジング4aに押し付けてもよい。
【0019】
そのスペーサ23の内周から内方に環状の磁気遮蔽部24が延びる。その磁気遮蔽部24により第1レゾルバ21と第2レゾルバ22との間の磁気遮蔽がなされる。第1レゾルバ21は第2シャフト3bの回転角の変化に対応して位相が変化する交番信号を出力する。第2レゾルバ22は第3シャフト3cの回転角の変化に対応して位相が変化する交番信号を出力する。両レゾルバ21、22の出力信号は信号ケーブルを介して制御装置(図示省略)に入力される。第1レゾルバ21の信号ケーブルと第2レゾルバ22の信号ケーブルは、両レゾルバ21、22の間においてまとめられ、そのまとめられたケーブル25はスペーサ23とセンサハウジング4aに形成された切欠きを介してセンサハウジング4aの外部に引き出されている。
【0020】
図7の(1)〜(4)は、第1レゾルバ21の出力値と時間との関係を実線で、第2レゾルバ22の出力値と時間との関係を破線で示す。図7の(1)は、ステアリングシャフト3が右操舵方向に回転し、ステアリングホイール2側からステアリングシャフト3にトルクが作用する場合を示す。図7の(2)は、ステアリングシャフト3が左操舵方向に回転し、ステアリングホイール2側からステアリングシャフト3にトルクが作用する場合を示す。図7の(3)は、ステアリングシャフト3が右操舵方向に回転し、路面と車輪との摩擦に基づきステアリングシャフト3にトルクが作用する場合を示す。図7の(4)は、ステアリングシャフト3が左操舵方向に回転し、路面と車輪との摩擦に基づきステアリングシャフト3にトルクが作用する場合を示す。なお、ステアリングシャフト3によりトルクが伝達されていない時は第1レゾルバ21の出力の位相と第2レゾルバ22の出力の位相とが一致するように調節する。両レゾルバ21、22の励磁電圧の出力値と変化率が一定値である基準時点から一定時間経過した第1測定時点t1における第1レゾルバ21の出力値をa1、第2レゾルバ22の出力値をb1、その第1測定時点t1から一定時間経過した第2測定時点t2における第1レゾルバ21の出力値をa2、第2レゾルバ22の出力値をb2とする。本実施形態の基準時点は、図7の(1)の場合は第1レゾルバ21の出力が零で減少する時とされ、図7の(2)の場合は第1レゾルバ21の出力が最小で変化しない時とされ、図7の(3)の場合は第2レゾルバ22の出力が零で減少する時とされ、図7の(4)の場合は第2レゾルバ22の出力が最小で変化しない時とされる。
【0021】
制御装置は、その第2測定時点t2における両レゾルバ21、22の出力値とその増減傾向から操舵方向とステアリングシャフト3へのトルクの入力側とを判断し、その判断結果に基づいてステアリングシャフト3の伝達トルクと操舵補助力を演算する。すなわち、a2−a1<0、b2−b1<0、a2−b2<0である場合、ステアリングホイール2側からa2−b2の大きさに対応する右操舵方向のトルクが入力されていると判断する。両レゾルバ21、22の出力差とトルクとの関係は予め求めて記憶し、その記憶した関係と両レゾルバ21、22の出力差とからトルクを求める。そのトルクの大きさに応じた右操舵方向の操舵補助力を、予め定められて記憶したトルクの大きさと操舵補助力との関係から演算する。a2−a1>0、b2−b1>0、a2−b2>0である場合、ステアリングホイール2側からa2−b2の大きさに対応する左操舵方向のトルクが入力されていると判断し、そのトルクの大きさに応じた左操舵方向の操舵補助力を演算する。a2−a1<0、b2−b1<0、a2−b2>0である場合、車輪側からa2−b2の大きさに対応する右操舵方向のトルクが入力されていると判断し、そのトルクの大きさを打ち消す左操舵方向の操舵補助力を演算する。a2−a1>0、b2−b1>0、a2−b2<0である場合、車輪側からa2−b2の大きさに対応する左操舵方向のトルクが入力されていると判断し、そのトルクの大きさを打ち消す右操舵方向の操舵補助力を演算する。制御装置は、その演算した操舵補助力を発生するように電動アクチュエータ5を制御する。
【0022】
図4に示すように、電動アクチュエータ5は、操舵補助力発生用電動モータ32と減速用遊星ギヤ機構33とを備える。ハウジング5aは、ボルト30によって互いに連結される2部材5a′、5a″を有し、一方の部材5a′は上記センサハウジング4aと一体成形されている。そのハウジング5aの内周に固定されるステータ35と、ステアリングシャフト3を覆うと共にステアリングシャフト3と同軸心に配置される筒状ロータ38とを有する。また、本実施形態のモータ32はブラシレスモータとされているので、ロータ38の回転位置検出用レゾルバ39が設けられ、このレゾルバ39の出力信号はケーブル39′を介して制御装置に出力される。
【0023】
遊星ギヤ機構33は、トルクセンサ4とモータ32との間に配置され、キャリア41と、複数の第1遊星ギヤ42と、複数の第2遊星ギヤ43と、第1リングギヤ44と、第2リングギヤ45とを有する。第1遊星ギヤ42の数と第2遊星ギヤ43の数は同数とされ、例えば3とされる。
【0024】
ロータ38の一端側は第1ベアリング36を介してハウジング5aにより支持され、そのロータ38の他端側はキャリア41と一体化されている。そのキャリア41はハウジング5aにより第2ベアリング37を介して支持されている。すなわち、キャリア41は第2ベアリング37の内周に圧入され、第2ベアリング37はハウジング5aの内周に圧入されている。これによりキャリア41はロータ38と同軸中心に同行回転する。本実施形態のキャリア41はロータ38の他端から径方向外方に向かい延びるリング形状を有する。そのロータ38とキャリア41を単一素材から一体成形することで部品点数を低減し、組立に要する手間とコストを低減している。
【0025】
そのキャリア41により複数の第1遊星ギヤ42と、第1遊星ギヤ42と同数の第2遊星ギヤ43が、ロータ38と平行な軸中心に回転可能に支持されている。ロータ38と第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43はロータ軸方向に沿って並列され、各第1遊星ギヤ42はロータ38と第2遊星ギヤ43との間に配置される。各第1遊星ギヤ42はロータ38の周方向において互いに等間隔に配置され、また、各第2遊星ギヤ43もロータ38の周方向において互いに等間隔に配置される。これにより、第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43はステアリングシャフト3の第3シャフト3cを囲むように配置される。
【0026】
各第1遊星ギヤ42と各第2遊星ギヤ43は一つずつ対とされ、対とされた第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43は同軸中心に同行回転する。本実施形態においては、互いに同行回転する第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43は単一素材から歯切り成形され、部品点数と組立に要する手間とコストが低減されている。また、キャリア41に形成された複数のシャフト支持孔41aそれぞれに、ロータ38の軸心と平行な軸心を有する支持シャフト46の一端が圧入される。各支持シャフト46はニードルベアリング47a、47bを介して第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43とに同軸中心に相対回転可能に挿入されている。各支持シャフト46の他端は、環状の受け部材52に形成されたシャフト支持孔52aに圧入される。その受け部材52はキャリア41に、例えば支柱やボルト等の連結部材(図示省略)を介して固定される。各第1遊星ギヤ42のギヤモジュールと各第2遊星ギヤ43のギヤモジュールとは互いに等しくされ、各第1遊星ギヤ42の歯数は第1遊星ギヤ42の個数の整数倍とされ、各第2遊星ギヤ43の歯数は第2遊星ギヤ43の個数の整数倍とされている。複数の第1遊星ギヤ42の回転中心と複数の第2遊星ギヤ43の回転中心を円周上に等間隔に配置することで、安定し且つ効率の良い回転伝達ができる。
【0027】
第1リングギヤ44はハウジング5aの内周に圧入されている。本実施形態では第1リングギヤ44のハウジング5aへの圧入荷重は組立容易なように小さくされ、ピン48によりハウジング5aから抜け止めされている。これにより第1リングギヤ44はハウジング5aに対して固定される。第1リングギヤ44の内歯に各第1遊星ギヤ42が噛み合う。
【0028】
上記第2ベアリング37は、ハウジング5aの内周に形成された段差5bと第1リングギヤ44とにより挟み込まれている。これにより第2ベアリング37の振動を抑制でき、しかも第1リングギヤ44を利用するので部品点数を低減できる。さらに、遊星ギヤ機構33により伝達される回転力を受ける第1リングギヤ44の組立誤差を小さくでき、回転力を伝達する第1遊星ギヤ42の運動を安定させ、振動や騒音を抑制できる。
【0029】
第2リングギヤ45は、ステアリングシャフト3の第3シャフト3cと同行回転する出力部材49に固定されることで、ステアリングシャフト3と同行回転する。その第2リングギヤ45の内歯に各第2遊星ギヤ43が噛み合う。その出力部材49は、内筒部49aと、外筒部49bと、内筒部49aの一端と外筒部49bの一端とを連結する環状連結部49cとを有する。第2リングギヤ45は外筒部49bの内周に圧入されている。本実施形態では第2リングギヤ45の外筒部49bへの圧入荷重は組立容易なように小さくされ、ピン50により外筒部49bから抜け止めされている。第3シャフト3cは内筒部49aの内周に圧入されている。本実施形態では第3シャフト3cの内筒部49aへの圧入荷重は組立容易なように小さくされ、ピン51により内筒部49aから抜け止めされている。これにより出力部材49はステアリングシャフト3に同行回転するように連結される。その連結部49cとキャリア41との間に第1、第2遊星ギヤ42、43と第1、第2リングギヤ44、45が配置されるので、小さいスペースに遊星ギヤ機構33を配置することができる。
【0030】
互いに同行回転する第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43は、それぞれの周方向における少なくとも一つの歯の位置が互いに等しくされている。これにより、第1リングギヤ44に第1遊星ギヤ42を噛み合わせた後に、第1遊星ギヤ42と同行回転する第2遊星ギヤ43に第2リングギヤ45を噛み合わせるのが容易になり、組立工数を低減し、組み立て誤差に起因してギヤの噛み合い部に作用するストレスを小さくすることで耐久性を向上し、回転伝達時における部品のアライメントの狂いによる回転伝達効率低下を防止できる。
【0031】
トルクセンサ4により検出されたトルクに応じて制御装置がアクチュエータ5を制御することで、モータ32の回転は遊星ギヤ機構33を介してステアリングシャフト3に伝達される。これによりステアリングシャフト3により伝達される操舵トルクに応じた操舵補助力が付与される。
【0032】
上記実施形態によれば、ロータ38と同軸中心に同行回転するキャリア41によって第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43を支持することで、ロータ38と第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43をロータ軸方向に沿って並列させることができる。その第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43はリングギヤ44、45の内歯に噛み合う。これにより、ロータ38の径方向における外方に第1遊星ギヤ42が配置される場合に比べ、ロータ径方向における遊星ギヤ機構33の寸法を小型化できる。さらに、ロータ軸方向から視て、ロータ38と両遊星ギヤ42、43とが互いに重なる部分を有することで、より径方向寸法を小さくできる。
また、キャリア41は第1、第2ベアリング36、37とロータ38を介してハウジング5aにより安定して支持されるので、振動や騒音の発生を抑制できる。さらに、ロータ38とキャリア41を共通の第2ベアリング37により支持することで部品点数を少なくし、組立に要する手間とコストを低減できる。
また、キャリア41は第2ベアリング37の内周に圧入され、その第2ベアリング37はハウジング5aの内周に圧入されるので、キャリア41の回転中心とロータ38の回転中心との同心精度が組立誤差により大きくなるの抑制できるので、遊星ギヤ機構33の回転伝達比が変動することによる回転伝達効率の低下を防止できる。
また、支持シャフト46の一端はキャリア41のシャフト支持孔41aに圧入され、他端は受け部材52のシャフト支持孔52aに圧入されるので、ロータ38の軸方向から第1遊星ギヤ42と第2遊星ギヤ43とを容易にキャリア41に組み付けることができる。
さらに、出力部材49の外筒部49bに第2リングギヤ45が圧入され、内筒部49aにステアリングシャフト3が同行回転するように挿入されるので、第2リングギヤ45とステアリングシャフト3との連結を容易に且つ精度良く行うことができ、振動や騒音の発生を抑制できる。
例えば、電動アクチュエータ5のロータ38の内径を20mm、ロータ38の回転速度に対するステアリングシャフト3の回転速度の比を1/10、モータ32の回転速度を3000rpm、最大出力トルクを40Nm、第1遊星ギヤ42の歯数を21枚、第2遊星ギヤ43の歯数を18枚、第1リングギヤ44の歯数を63枚、第2リングギヤ45の歯数を60枚、各ギヤのギヤモジュールを1、基準ラック圧力角を20度、基準ピッチを3.142mmとする。この場合、上記従来の電動パワーステアリング装置における電動モータと遊星ギヤ機構を用いる場合に比べて、回転伝達効率が同一であればアクチュエータ5の外径を35%〜40%、軸方向寸法を10%〜15%低減できる。
【0033】
本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では電動アクチュエータ5のハウジング5aの構成部材5a′をセンサハウジング4aと一体成形したが、図8に示すように別体としてもよい。この場合、内筒部49aの内周とステアリングシャフト3の第3シャフト3cの外周にセレーションやスプライン等の軸方向に沿う凹凸を設け、その凹凸を介して内筒部49aにステアリングシャフト3を同行回転するように圧入するのが好ましい。これにより、組み立てをより容易に行うことができると共に振動や騒音の発生を抑制できる。また、内筒部49aがベアリング18を介してハウジング5aの内周により支持されることで、第3シャフト3cの一端は内筒部49aとベアリング18を介してハウジング5aにより支持される。なお、センサハウジング4aはハウジング5aに例えば圧入により連結される。他は上記実施形態と同様で同様部分は同一符号で示す。
【0034】
また、本発明の電動アクチュエータは電動パワーステアリング装置において用いられるものに限定されず、その発生出力を操舵補助力以外にも利用できる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、コンパクトな構造で大きな出力を発生でき、しかも製造容易で低コスト、低騒音の電動アクチュエータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における遊星ギヤ機構の回転伝達効率と回転伝達比との関係を示す図
【図2】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置の断面図
【図3】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置におけるトルクセンサの断面図
【図4】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置における電動アクチュエータの断面図
【図5】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置の部分横断面図
【図6】本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置におけるトルクセンサの部分断面図
【図7】(1)〜(4)は本発明の実施形態の電動パワーステアリング装置におけるトルクセンサの第1、第2レゾルバの出力値と時間との関係を示す図
【図8】本発明の変形例の電動パワーステアリング装置における電動アクチュエータの断面図
【符号の説明】
3 ステアリングシャフト(出力シャフト)
5a ハウジング
32 モータ
36 第1ベアリング
37 第2ベアリング
38 ロータ
41 キャリア
41a シャフト支持孔
42 第1遊星ギヤ
43 第2遊星ギヤ
44 第1リングギヤ
45 第2リングギヤ
46 支持シャフト
49 出力部材
49a 内筒部
49b 外筒部
49c 連結部
52 受け部材
52a シャフト支持孔

Claims (5)

  1. 出力シャフトと同行回転する出力部材と、
    出力シャフトを覆うと共に出力シャフトと同軸心に配置される筒状ロータを有する電動モータと、
    そのロータを支持するハウジングと、
    キャリア、第1遊星ギヤ、第1リングギヤ、第2遊星ギヤおよび第2リングギヤを有する減速用遊星ギヤ機構とを備え、
    そのキャリアはロータと同軸中心に同行回転し、
    その第1遊星ギヤはキャリアによりロータと平行な軸中心に回転可能に支持され、
    その第2遊星ギヤは第1遊星ギヤと同軸中心に同行回転すると共にキャリアにより支持され、
    その第1リングギヤは第1遊星ギヤに噛み合う内歯を有すると共にハウジングに対して固定され、
    その第2リングギヤは出力シャフトと同行回転すると共に第2遊星ギヤに噛み合う内歯を有し、
    そのロータと第1遊星ギヤと第2遊星ギヤはロータ軸方向に沿って並列され、
    その遊星ギヤ機構を介してロータの回転が出力シャフトに伝達される電動アクチュエータ。
  2. そのロータの一端側は、そのハウジングにより第1ベアリングを介して支持され、
    そのロータの他端側は前記キャリアと一体化され、
    そのキャリアは、そのハウジングにより第2ベアリングを介して支持される請求項1に記載の電動アクチュエータ。
  3. そのキャリアは第2ベアリングの内周に圧入され、その第2ベアリングは前記ハウジングの内周に圧入される請求項2に記載の電動アクチュエータ。
  4. そのキャリアに形成されたシャフト支持孔に、そのロータの軸心に平行な軸心を有する支持シャフトの一端が圧入され、
    その支持シャフトは前記第1遊星ギヤと第2遊星ギヤとに同軸中心に相対回転可能に挿入され、
    その支持シャフトの他端は、そのキャリアに固定される受け部材に形成されたシャフト支持孔に圧入される請求項1〜3の中の何れかに記載の電動アクチュエータ。
  5. 前記出力部材は、第2リングギヤが圧入される外筒部と、前記出力シャフトが同行回転するように挿入される内筒部と、その外筒部と内筒部とを連結する連結部とを有する請求項1〜4の中の何れかに記載の電動アクチュエータ。
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