JP2004003051A - 異形異繊度異伸度混繊糸 - Google Patents

異形異繊度異伸度混繊糸 Download PDF

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Hiroshi Ishida
石田  央
Kenji Yamashita
山下 賢司
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Abstract

【課題】ハリ、コシ、ドライ感とドレープ性、ソフト感、ふくらみ感の全てを十分に満足することができる異形異繊度異伸度混繊糸であって、高紡糸速度下の条件においても得ることができ、延伸仮撚工程の通過性も良好となる異形異繊度異伸度混繊糸を提供する。
【解決手段】単糸繊度が3dtex以上の太繊度糸群と、単糸繊度が2dtex以下の細繊度糸群を含む熱可塑性樹脂からなる多繊度混繊糸条であり、混繊糸全体に対する太繊度糸群の単糸数の割合が5〜50%であり、細繊度糸群の単糸数の割合が20〜70%であり、かつ、単糸の伸度が下式(1)、(2)、(3)を同時に満足する。
max≦120(%)・・・・・・(1)
min≧80(%)・・・・・・(2)
max−Emin≧20(%)・・・(3)
max:混繊糸を構成する太繊度糸群の平均伸度(%)
min:混繊糸を構成する細繊度糸群の平均伸度(%)
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工性に優れ、得られる織編物にドライ感とソフトなふくらみ感を与える異形異繊度異伸度混繊糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成繊維の欠点であるヌメリ感、ヘタリ感、イラツキなどを除去して、織編物にドライ感やふくらみ感を付与するために単糸の断面形状を異形にしたり、あるいは、ドライ感や軽さを付与するために単糸の繊度を異ならせる試みが種々行われてきた。
【0003】
例えば、これら単糸の断面形状を三角断面や星状の突起を有する断面とした異形断面糸は、従来の合成繊維では得られなかった光沢やヌメリ感のない風合いを有するものとして実施化されている。
しかしながら、これら異形断面糸からなる糸条を何ら工夫することなく織編物とした場合、合成繊維特有のヌメリ感についてはある程度除去できるものの、ドライ感までは有していなかった。
【0004】
また、先に挙げた異形断面糸あるいは、丸断面糸について、糸条間の単糸繊度を異ならせて織編物にハリ、コシ及びソフト感を持たせた異繊度混繊糸、あるいは、熱収縮率の異なる単糸を混繊した異収縮混繊糸も提案されている。
【0005】
これら異繊度混繊糸、あるいは、異収縮混繊糸を用いた織編物のふくらみ感は幾分向上し、中でも、単糸間の繊度を異ならせ、更に、収縮差を付与した異繊度で、かつ、異収縮混繊糸は、繊度差と織編物にした後に熱処理を施したとき、糸長差によって連続または、間欠的に発生するループによる複合効果によって良好なハリ、コシおよびソフト感を具備し、さらには、ふくらみの効果を発現させて天然繊維に近い風合いをかもし出している。この様な提案は、付加価値の高い絹様風合い糸に関して数多く出されており、例えば、特公昭55−22586号あるいは、特開昭57−161163号公報の実施態様などに紹介されている。
【0006】
また、特開昭62−156327号公報には、異繊度混繊糸を構成する太繊度成分と細繊度成分の混合割合を適度に選び、さらには、特定の伸度分布を満足させることによって、ハリ、コシ、ドライ感とドレープ性、ソフト感、ふくらみ感という相反する性能を具備する異繊度異伸度混繊糸が紹介されている。
【0007】
しかしながら、この繊維は、生産性、差別化を考慮して半未延伸糸を高紡糸速度で製造した場合には、太繊度糸を構成する糸条の割合が高く、また、細繊度糸の繊度が細いため、後工程の延伸、仮撚を行うと、捲き取られたチーズに毛羽やループが発生する等、満足する品質を得ることができなかった。すなわち、高紡糸速度下の過酷な製造条件下においては、紡糸操業性、後工程の通過性ともに劣っており、天然のシルクやウールなどの特徴であるドレープ性あるいはソフト感を具備し、かつ、ハリ、コシ、ドライ感をも具備して野趣に富み、良好な品質の織編物を得ることはできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決し、ハリ、コシ、ドライ感とドレープ性、ソフト感、ふくらみ感の全てを十分に満足することができる異形異繊度異伸度混繊糸であって、高紡糸速度下の条件においても得ることができ、延伸仮撚工程の通過性も良好となる異形異繊度異伸度混繊糸を提供することを技術的な課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、単糸繊度が3dtex以上の太繊度糸群と、単糸繊度が2dtex以下の細繊度糸群を含む熱可塑性樹脂からなる多繊度混繊糸条であり、混繊糸全体に対する太繊度糸群の単糸数の割合が5〜50%であり、細繊度糸群の単糸数の割合が20〜70%であり、かつ、単糸の伸度が下式(1)、(2)、(3)を同時に満足することを特徴とする異形異繊度異伸度混繊糸を要旨とするものである。
max≦120(%)・・・・・・(1)
min≧80(%)・・・・・・(2)
max−Emin≧20(%)・・・(3)
max:混繊糸を構成する太繊度糸群の平均伸度(%)
min:混繊糸を構成する細繊度糸群の平均伸度(%)
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の異形異繊度異伸度混繊糸の単糸の構成は、3dtex以上の太繊度群糸と2dtex以下の細繊度群糸が渾然一体となっていることが必要である。すなわち、太繊度糸群を構成する単糸の存在によってハリ、コシあるいは、ドライ感のある風合いを呈し、かつ、細繊度糸群を構成する単糸の存在によってソフト感、ふくらみ感あるいは、ドレープ性を併せ持つ織編物が得られる。
【0011】
太繊度糸群の単糸繊度が3dtex未満では、単糸の断面積が小さいため、単糸にかかる横方向の力、あるいは曲げ、ねじりに対しての反発力が期待できなくなり、ハリ、コシが減少し、さらには、細繊度糸群を構成する単糸との繊度差が少ないので、凹凸感がなくなってヌメリ感のある織編物となるので好ましくない。従って、ハリ、コシあるいはドライ感のある織編物を得るには、その単糸繊度は3dtex以上必要であり、特に、3.5〜5dtexの範囲にすることが好ましい。ただし、太繊度糸群を構成する単糸のみの糸条を織編物にした場合、かえってソフト感あるいはドレープ性が欠けて、剛直な風合いになるので、後述するような割合での混繊糸とすることが好ましい。
【0012】
ハリ、コシあるいはドライ感と同時にソフト感、ふくらみ感を付与するには、単糸繊度が2dtex以下の細繊度糸群の存在が必要である。細繊度糸群を構成する単糸の繊度が2dtex以上では、単糸の断面積が大きくなり、剛直な風合いとなるため好ましくない。このため、単糸繊度は2dtex以下、特に1.7〜1.2dtexの範囲にすることが好ましい。
【0013】
また、本発明においては、混繊糸を構成する各単糸群の伸度分布が次式(1)、(2)、(3)を同時に満足することが必要である。
max≦120(%)・・・・・・(1)
min≧ 80(%)・・・・・・(2)
max−Emin ≧20(%)・・・(3)
maxは太繊度糸群の平均伸度を示し、太繊度糸群を高伸度に、また、Eminを細繊度糸群の平均伸度とし、これを低伸度とする。このときに、低伸度側を構成する細繊度糸群の平均伸度は、80%以上とする必要がある。低伸度糸条群が80%未満となると、延伸、仮撚等の後工程において毛羽の発生等により製品の品質が著しく低下するため好ましくない。
【0014】
一方、高伸度を構成する太繊度糸群の平均伸度は120%以下とする必要がある。120%を超えると、延伸や仮撚時の延伸倍率を高くする必要があるため、低伸度を構成する糸条群の単糸が部分的に切断して毛羽となる。また、低伸度糸条群の伸度にあわせて延伸倍率を設定すると、高伸度糸群の残留伸度が高くなり、染色時に染色筋等が発生し、製品の品位を著しく低下させてしまい好ましくない。
【0015】
さらに、ドライ感とソフト感といった、相反する風合いを発現するために、混繊糸を構成する太繊度糸群の平均伸度(Emax)と細繊度糸群の平均伸度(Emin)との差を20%以上、好ましくは、25%以上の範囲とすることが必要である。
この両糸群の平均伸度の差が20%未満の場合には、必然的に各単糸の配向度が高く、かつ、均一化してしまうために、ソフト感、ナチュラル感が消滅しやすく、好ましくない。
【0016】
また、相反する両風合いをマイルドに発現させるために、混繊糸を構成する太繊度糸と細繊度糸の単糸の中で、伸度の値の最も近い2本の単糸間の伸度差(Ei+1−Ei)を20%以下、好ましくは15%以下と比較的小さく抑制することが好ましい。
【0017】
前述したように、本発明の混繊糸は、単糸繊度が3dtex以上の太繊度糸群を含むため、ドライ感が強くなりすぎ、粗剛感を与えやすい。そこで、前記の如く伸度を規制することにより、このような傾向を抑制し、ソフトな風合いを付与するのである。
伸度が特定の分布を有することにより、合成繊維織編物にありがちな均一性、単調感のない極めてナチュラルな野趣に富んだ織編物を得ることができる。
【0018】
そして、太繊度糸群の単糸数の割合は、ハリ、コシ感のあるソフトな風合いを付与するためには、混繊糸全体に対する5%以上50%以下とする必要があるが、太繊度糸群の単糸数の割合が多くなるにつれてドライ感、粗剛感が強調されやすくなるため、中でも太繊度糸群の単糸数の割合は、20%以下とすることが好ましい。
【0019】
一方、細繊度糸群の単糸数の割合は、20%以上70%以下とする必要がある。細繊度糸群の単糸の割合が減るにしたがって、ソフト感が乏しくなる傾向であり、ドライ感、粗剛感が強調されやすくなるため、細繊度糸群の単糸数の割合は、中でも40%以上とすることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明の混繊糸においては、上記のような割合で細繊度糸群と太繊度糸群を混繊した場合に100%とならない場合、太繊度糸と細繊度糸以外に、中間繊度糸が存在していてもよい。すなわち、3dtex未満、2dtexを超えるものを中間繊度糸とする。
【0021】
そして、太繊度糸群の単糸の断面形状は、下式(4)、(5)を満足する扁平度(F)と突起度(T)を有する特殊異形断面糸であることが好ましい。
扁平度(F):L/W≧4.0・・・・・(4)
突起度(T):0.15≦H/L≦0.55・(5)
ここで、
L:単糸の横断面における最長距離
W:単糸の横断面における最大内接円の半径
H:単糸の最長距離Lの両端部A1及び、A2点を結ぶ直線に対する突起部の先端Bからの垂直距離
を示す。
【0022】
扁平度(F)は、本発明のドライ感、ふくらみ感の向上した織編物を得るのに極めて重要な役割を果たすものである。
従って、扁平度(F)を大きくすることによって、単糸にかかる横方向の力、曲げ、あるいはねじりに対して扁平状の幹部があるために安定となり、単糸の移動や転がりが制限されるので、織り編みの工程あるいはその前工程において、糸条に旋回や衝撃などを加えた場合、単糸間の凸部と凹部同士が結合されにくくなり、充填作用が発生せず空隙率は保持され、本発明の目的とするふくらみ感のある織編物が得られる。
【0023】
このように、単糸同士の凸部と凹部同士が結合されるという充填作用を防止して空隙率を保持するためには、扁平度(F)は4.0以上が必要である。4.0未満の場合、幹部(W)が大きいものとなるか、幹部の長さ(L)が短いものとなり、単糸の断面形状は円形断面の変形に近い形状となるので単糸の移動や転がりの現象が発生し、織編物の工程あるいはその前工程で糸条に旋回や衝撃を加えたりすると充填作用が生じ、ふくらみ感のないヘタリのある織編物となってしまう。
【0024】
しかしながら、扁平度(F)を無制限に大きくすることは、必然的に幹部の幅(W)が小さいものとなるか、幹部の長さ(L)が長いものとなり、糸条に実撚りあるいは仮撚を施したときに、断面形状の変形が生じて堅固な充填作用が生じ、ハリ、コシのないヘタリのある織編物となることがあるので、扁平度(F)は4.5以上とし、7を限界とすることが好ましい。
【0025】
次に、太繊度糸の突起度(T)は、本発明の糸条を用いた織編物の表面を指で滑らした時、引っかかりによって指先に伝わるドライ感の付与、あるいは織編物内の空隙率の向上に効果を示す。
【0026】
突起度(T)は、幹部の長さ(L)に対する突起部の高さ(H)の比であるが、その値は0.15〜0.55の範囲にすることが必要で、幹部の長さ(L)に対して0.55を超えると必然的に突起部の高さ(H)が高いものとなり、単糸にかかる横方向の力、あるいは曲げ、ねじりに対して幹部が不安定となり、転がりによる充填作用で空隙率が低くなり、ヘタリが発生したり、光沢のきついギラツキのある織編物となる。
また、その値が0.15に満たない場合は、幹部に対して突起部が低いので織編物表面の凹凸感が減少してヘタリやヌメリ感のある織編物となる。
【0027】
次に、本発明の断面形状における幹部の長さ(L)、突起部の高さ(H)、幹部の幅(W)について図1を用いて説明する。図1は、本発明の混繊糸を構成する太繊度糸の一実施態様を示す断面模式図である。
まず、実質的に直線上にある2つの突起部間を結ぶ最大長さA1、A2を求め、点A1、A2間の距離を幹部の長さ(L)とする。
次に、幹部の端部A1およびA2点を結ぶ直線に対する他の突起部の先端Bから垂直線を下し交点Pを求め、B、P間の距離を突起部の高さ(H)とする。
次に、幹部分の系内において少なくとも3点に接する内接円を描き、これらの中より最大内接円Sの半径を幹部の幅(W)とする。
【0028】
本発明の混繊糸を構成する各単糸の形状は、太繊度糸の単糸は上記範囲を満足する形状とすることが好ましいが、他の細繊度糸や中間伸度糸の単糸の形状は特に限定されるものではなく、例えば、図2(a)〜(c)に示すようなものが挙げられる。そして、混繊糸を、断面形状が2〜7種異なる単糸から構成するものとすることで、本発明の効果を向上させることができる。
【0029】
また、図3(a)〜(c)に示すものは、図2(a)〜(c)に示す断面形状の単糸を得ることができる紡糸口金の紡糸孔の形状を示すものであり、図3(d)は、図1に示す断面形状の単糸を得るための紡糸口金の紡糸孔の形状を示すものである。
【0030】
なお、本発明の各単糸を形成する熱可塑性重合体としては、ポリエステル、ポリアミドなどが好適に用いられるが、アルカリ減量加工による一層の風合い向上を図るには、ポリエステルが好適である。また、これらの重合体は各種ポリエステルの混合物や共重合体であってもよく、制電、難燃剤などの機能性の付与を目的とした添加剤を加えたものでもよい。
【0031】
本発明の異形異繊度異伸度混繊糸を製造する方法としては、例えば、混繊糸を構成する各糸条を個別の紡糸口金より吐出させ、捲取時に合糸して紡糸工程で混繊糸となす方法があり、また、同一の紡糸口金に、図3に示すような異なる形状の紡糸孔を複数有する口金を用いて溶融紡糸することにより異形異繊度異伸度混繊糸としてもよい。いずれの場合も、高紡糸速度で得ることが好ましく、紡糸速度3000m/分以上とし、半未延伸糸を捲き取ったものとする。
その後、延伸、仮撚工程において後加工を施し、製編織して布帛とする。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。実施例中の各種の値の測定方法、評価方法は次の通りである。
(A) 単糸繊度
混繊糸を10cm程度に切断した後に分繊し、サーチ(株)社製 DENIIR COMPUTER DC−11 を使用して全ての単糸繊度を測定した。
(B) 単糸伸度
混繊糸の単糸を全て分繊し、インストロン型引っ張り試験機を用いて、各単糸を試料長10cm、引っ張り速度10cm/分の条件下で測定した。
(C) 扁平度(F)、突起度(T)
混繊糸を分繊し、単糸の横断面の顕微鏡写真をとり、その写真から測定して求めた。
(D) 加工性
仮撚時の毛羽発生、切れ糸による機台停台回数で下記のように評価し、A評価を合格とした。
A:従来糸と同等
B:従来糸より若干劣るが工業的レベルの加工が可能
C:工業的レベルでの加工が困難なもの
(E) 風合評価
得られた混繊糸を延伸仮撚加工を行い布帛としたものを用い、その布帛のふくらみ感、ソフト感、ドライ感の3つの観点について、評価基準糸(三角断面)と比較して下記のような3段階で官能評価し、C評価を不合格とした。
評価基準糸=繊度110dtex(単糸繊度2.5dtex)
A:評価基準糸よりかなり良好
B:評価基準糸よりやや良い
C:評価基準糸と同等、又はC評価基準糸より劣る
【0033】
実施例1
固有粘度(フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒として、温度20℃で測定した。)が0.68のポリエチレンテレフタレートを、図3(a)〜(d)に示すオリフィスを44孔有する紡糸口金を用いて、紡糸速度3000m/分、紡糸温度290℃、吐出量33g/分で紡糸し、110デシテックス/44フィラメントの半未延伸糸を捲き取った。
そのとき得られた各単糸の断面形状は、図2の(a)〜(c)及び図1に示す断面形状のものであった。なお、図1に示す断面形状のものを太繊度糸とする。これらの単糸を繊度毎に各単糸群に分け、平均単糸繊度、平均単糸伸度、混繊比率、太繊度糸群の断面形状を測定した値を表1に示す。
続いて、得られた混繊糸を供給糸とし、フィラメント用仮撚機を使用して、延伸倍率1.37、熱処理温度160℃、撚り数3670T/Mの条件で仮撚を実施し、得られた仮撚糸を用いて筒編地とした。
得られた編地の加工性及び風合評価を行った。その結果も併せて表1に示す。
【0034】
実施例2〜7、比較例1〜9
実施例1で使用した紡糸口金のオリフィス形状、繊度群の組合せ、各形状の構成数を変更することで混繊糸の単糸繊度、単糸伸度、混繊比率、単糸の断面形状を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様に行い、混繊糸を得た。なお、比較例4においては紡糸速度を2800m/分に変更して行った。
次に、得られた混繊糸に実施例1と同様の条件で延伸・仮撚加工を行い、実施例1と同様にして布帛を得た。
得られた混繊糸の平均単糸繊度、平均単糸伸度、混繊比率、太繊度糸群の断面形状を測定した値を表1に示す。また、得られた布帛の加工性及び風合評価の結果も併せて表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 2004003051
【0036】
表1から明らかなように、実施例1〜7の本発明を満足する混繊糸から得られた布帛は、加工性に優れており、ドライ感とソフトなふくらみ感を兼ね備えた風合いを有するものであった。
一方、比較例1の繊維は、太繊度糸群を構成する単糸の繊度が細いために、ハリ、コシ感がなく、また、細繊度糸群を構成する単糸との繊度差が少ないため、ヌメリ感のある風合いとなり目的とする風合いが得られなかった。比較例2の繊維は、細繊度糸群となる細繊度糸がなく、中間繊度糸と太繊度糸からなるものであったため、得られた布帛はハリ、コシ感が強調され、ソフト感に欠けた風合いを有するものとなった。比較例3の繊維は、細繊度糸群の伸度が低いため、仮撚時に細繊度単糸が部分的に切断し、毛羽が発生するため、加工時の加工性が著しく悪く、また、布帛の品位も悪いものであった。比較例4の繊維は、太繊度糸群の伸度が高いため、仮撚時の延伸倍率を太繊度糸群側に合わせるために延伸倍率を上げると、細繊度糸群側に、毛羽が発生し加工性が劣り、得られる布帛の品位が悪いものであった。また、細繊度糸群側に延伸倍率を合わせるため、延伸倍率を下げると、太繊度糸群の残留伸度が高くなり、染色斑が発生し、得られる布帛が粗悪なものとなった。比較例5の繊維は、太繊度糸群の混繊比率が高いためハリ、コシ感が強調された風合となり、ソフト感に欠けた布帛であった。比較例6の繊維は、細繊度糸群の混繊比率が低いため、ハリ、コシ感が強調された、ソフト感に欠けた風合いを有する布帛であった。比較例7の繊維は、EmaxとEminとの差が小さいため、得られる布帛は、ソフト感、ナチュラル感に欠けた、粗剛感の強い風合いとなり、目的とする風合いを得ることができなかった。比較例8の繊維は、細繊度糸群の混繊比率が高く、また、近似する伸度の最大伸度差が大きすぎるため、得られる布帛は、ナチュラル感に欠けた風合いとなり、目的とする風合いを得ることができなかった。比較例9の繊維は、細繊度糸群のみで構成されているため、ハリ、コシ感がなく、ソフト感のみが強調された風合いとなり、目的とする風合いを得ることができなかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の混繊糸は、高紡糸速度下の条件においても得ることができ、延伸仮撚工程の通過性も良好であり、得られる布帛にハリ、コシ、ドライ感とドレープ性、ソフト感、ふくらみ感の全てを十分に満足する風合を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の混繊糸を構成する太繊度糸の一実施態様を示す断面模式図である。
【図2】本発明の混繊糸の細繊度糸及び中間繊度糸の実施態様を示す断面模式図である。
【図3】図1及び図2の断面形状の単糸を得ることができる紡糸口金の紡糸孔の形状を示す断面模式図である。
【符号の説明】
L 幹部の長さ
W 幹部の幅
H 突起部の高さ

Claims (2)

  1. 単糸繊度が3dtex以上の太繊度糸群と、単糸繊度が2dtex以下の細繊度糸群を含む熱可塑性樹脂からなる多繊度混繊糸条であり、混繊糸全体に対する太繊度糸群の単糸数の割合が5〜50%であり、細繊度糸群の単糸数の割合が20〜70%であり、かつ、単糸の伸度が下式(1)、(2)、(3)を同時に満足することを特徴とする異形異繊度異伸度混繊糸。
    max≦120(%)・・・・・・(1)
    min≧80(%)・・・・・・(2)
    max−Emin≧20(%)・・・(3)
    max:混繊糸を構成する太繊度糸群の平均伸度(%)
    min:混繊糸を構成する細繊度糸群の平均伸度(%)
  2. 混繊糸を構成する太繊度糸群の単糸の横断面形状が、扁平な幹部と突起部とを有し、扁平度(F)と突起度(T)が下式(4)、(5)を満足する請求項1記載の異形異繊度異伸度混繊糸。
    扁平度(F):L/W≧4.0・・・・・(4)
    突起度(T):0.15≦H/L≦0.55…(5)
    L:横断面における最長距離  (mm)
    W:横断面における最大内接円の半径  (mm)
    H:最長距離Lの両端部A1及びA2を結ぶ直線に対する突起部の先端Bからの
    垂直距離    (mm)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008266808A (ja) * 2007-04-17 2008-11-06 Nippon Ester Co Ltd 異繊度異伸度混繊糸
JP2010053491A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Nippon Ester Co Ltd 異形異繊度混繊糸

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