JP2004002404A - 細胞死抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全で優れた細胞死抑制剤の提供。
【解決手段】マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質を含有してなる本発明の細胞死抑制剤は、例えば、心疾患、神経変性疾患、脳血管疾患、中枢神経感染症、外傷性疾患、脱髄疾患、骨・関節疾患、腎疾患、肝疾患、骨髄異形成疾患、動脈硬化症、糖尿病、肺高血圧症、敗血症、炎症性腸疾患、自己免疫性疾患、移植臓器の拒絶時の障害、エイズ、癌などの予防・治療剤などとして有用である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞死抑制剤、細胞死抑制剤のスクリーニングなどに関する。
【0002】
【従来の技術】
細胞死は死に至る過程の特徴からネクローシスとアポトーシスの二種類に分けられる。ネクローシスは、物理的・化学的要因などで不慮に起こる細胞死である。それに対してアポトーシスは、発生過程での形態、組織の形成、ホメオスタシスの維持、生体の防御などに深く関わり、個体の生命維持に重要な役割を持つ細胞の死で、その過程は遺伝子によって制御されている。これら細胞死の過程が先天的または後天的に障害されると、細胞死が過剰に誘発または抑制され、様々な臓器の機能障害を引き起こして病気に至る(最新医学 第54巻、825頁、1999年)。
近年、種々の疾患の発症または進展に、これら細胞死が深く関わっていることが明らかとなってきた(R.Sanders Williams, The New England Journal of Medicine 第341巻、759頁、1999年)。例えば、細胞死の増加に起因する疾患としては、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性など)、虚血性疾患(例、心筋梗塞、心不全、脳卒中、脳梗塞、虚血性急性腎不全など)、骨・関節疾患(例、骨粗鬆症、変形性関節症、リウマチなど)、骨髄異形成疾患(例、再生不良性貧血など)、肝疾患(例、アルコール性肝炎、ウイルス性肝炎など)、糖尿病、エイズなどが挙げられる〔日本臨床、第54巻、1996年;別冊・医学のあゆみ、8頁、1997年など〕。マクロファージ遊走阻止因子(MIF)は、免疫担当細胞や脳下垂体などから生体侵襲に即応して産生される炎症性サイトカインであり、炎症性サイトカインカスケードの上流に位置して炎症反応を制御することが知られている(Annual Reports in Medicinal Chemistry、第33巻、24頁、1998年;Advances in Immunology、第66巻、197頁、1997年)。さらにMIFは脂肪細胞、癌細胞などの増殖、分化に関与し、免疫応答だけでなく様々な生体反応に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつある(International Journal of Molecular Medicine、第2巻、17頁、1998年)。MIFを発現する細胞・組織としては、T細胞、単球・マクロファージ、メサンギウム細胞、尿細管上皮細胞、角膜上皮細胞、肝細胞、卵細胞、セルトリ細胞、ケラチノサイト、骨芽細胞、滑膜細胞、脂肪細胞、アストロサイト、癌細胞、粘膜、脳下垂体などが知られている。MIFがヒトの疾患に関与する例として、リウマチ患者の滑膜液や血清、急性呼吸促迫症候群患者の肺胞洗浄液、腎臓移植を受けた患者の拒絶反応時における尿、および急性心筋梗塞、糖尿病、全身性エリテマトーデス、クローン病、アトピー性皮膚炎患者で血清中のMIF濃度が健常人と比べて顕著に上昇していることを示した報告などが挙げられ、また、MIFの機能を抑制することが症状の改善につながることを示した例として、抗MIF中和抗体を用いた実験例を挙げることができる。即ち、腎炎、肝炎、肺炎、関節炎、エンドドキシンショックなどの動物病態モデルでは、抗MIF中和抗体の投与群で明らかな改善効果が認められているInternational Journal of Molecular Medicine、第2巻、17頁、1998年)。
このMIFと細胞死の関係に関しては、マウスB細胞株で抗IgM抗体によって引き起こされるアポトーシスが、MIFの産生低下によって抑制されることが報告されている(非特許文献1 Microbiology and Immunology、第43巻、61頁、1999年)。しかしながら、マウスB細胞株以外には、MIFと細胞死の関係は知られておらず、さらにMIFが関与する細胞死のメカニズムについての報告はない。
【非特許文献1】
Microbiology and Immunology、第43巻、61頁、1999年
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最近、細胞死の研究、特にアポトーシス研究の発展につれてその誘導を制御する因子が次々と明らかにされてきている。その結果、それら制御因子を標的として探索した低分子化合物などを用いて、直接アポトーシスを抑制する試みが数多く行われるようなってきた。中でもアポトーシスの最終段階で働くカスパーゼを標的にしたカスパーゼ阻害剤の研究が盛んに行われているが、臨床応用されたものはない〔実験医学、第19巻、1726頁、2001年〕。またネクローシスに関してもHSP70などのシャペロンを対象にした研究が行われているが、やはり臨床応用されたものはない(Essays in Biochemistry、第32巻、17頁、1997年)。そのため安全で強力な細胞死抑制剤、およびこの細胞死抑制剤を探索するためのスクリーニング系の開発が切望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上のような状況を鑑み、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)に対するモノクローナル抗体およびMIFに結合する低分子化合物などが、血清除去によるラット初代心筋細胞の細胞死を抑制することを見出した。さらにこのMIFに結合する低分子化合物が、ドキソルビシンやHMG−CoA還元酵素阻害薬による心筋細胞死、NOによる軟骨細胞死などをも抑制することを、およびAntioxidant response element(ARE)制御下にある遺伝子の発現を上昇させることも見出した。 これらの知見に基づいてさらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1) マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質を含有してなる細胞死抑制剤、
(2) マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、マクロファージ遊走阻止因子に対する抗体である上記(1)記載の細胞死抑制剤、
(3) 抗体がモノクローナル抗体である上記(2)記載の細胞死抑制剤、
(3a) モノクローナル抗体が、BWS48−1(FERM BP−7991)で標示されるハイブリドーマ細胞から産生され得るBWS48−1aで標示されるモノクローナル抗体である上記(3)記載の細胞死抑制剤、
(4) マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、式
【化2】
Figure 2004002404
〔式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基または置換基を有していてもよいアミノを示す。〕で表される化合物またはその塩である上記(1)記載の細胞死抑制剤、
(5) マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、メタロポルフィリン類である上記(1)記載の細胞死抑制剤、
(5a) メタロポルフィリン類が、ヘミンまたはヘマチンである上記(5)記載の細胞死抑制剤、
(6) マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、Antioxidant response element制御下にある遺伝子の発現を促進する物質である上記(1)記載の細胞死抑制剤、
(6a)Antioxidant response element制御下にある遺伝子が、ヘムオキシゲナーゼ−1、Liver glutathione S−transferase Ya subunit、Liver glutathione S−transferase Yc subunit、Glutathione S−transferase Yb subunit、Glutathione S−transferase Yc1 subunit、Gammma−glutamylcysteine synthetase、NAD(P)H:quinone reductase、UDP−glucuronosyltransferase, exon 1、Bilirunin−specific UDP−glucuronosyltransferase、またはNAD(P)H−menadione oxidereductaseである上記(6)記載の細胞死抑制剤、
(6b)Antioxidant response element制御下にある遺伝子が、ヘムオキシゲナーゼ−1である上記(6)記載の細胞死抑制剤、
(7) マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、Antioxidant response element制御下にある遺伝子タンパク質の産生を亢進する物質である上記(1)記載の細胞死抑制剤、
(7a)Antioxidant response element制御下にある遺伝子が、ヘムオキシゲナーゼ−1(Heme oxygenase−1)、Liver glutathione S−transferase Ya subunit、Liver glutathione S−transferase Yc subunit、Glutathione S−transferase Yb subunit、Glutathione S−transferase Yc1 subunit、Gammma−glutamylcysteine synthetase、NAD(P)H:quinone reductase、UDP−glucuronosyltransferase, exon 1、Bilirunin−specific UDP−glucuronosyltransferase、またはNAD(P)H−menadione oxidereductaseである上記(7)記載の細胞死抑制剤、(7b)Antioxidant response element制御下にある遺伝子が、ヘムオキシゲナーゼ−1である上記(7)記載の細胞死抑制剤、
(8) マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、Antioxidant response element制御下にある遺伝子タンパク質の活性を促進する物質である上記(1)記載の細胞死抑制剤、
(8a)Antioxidant response element制御下にある遺伝子が、ヘムオキシゲナーゼ−1(Heme oxygenase−1)、Liver glutathione S−transferase Ya subunit、Liver glutathione S−transferase Yc subunit、Glutathione S−transferase Yb subunit、Glutathione S−transferase Yc1 subunit、Gammma−glutamylcysteine synthetase、NAD(P)H:quinone reductase、UDP−glucuronosyltransferase, exon 1、Bilirunin−specific UDP−glucuronosyltransferase、またはNAD(P)H−menadione oxidereductaseである上記(8)記載の細胞死抑制剤、(8b)Antioxidant response element制御下にある遺伝子が、ヘムオキシゲナーゼ−1である上記(8)記載の細胞死抑制剤、
(9) マクロファージ遊走阻止因子を用いることを特徴とする細胞死抑制剤のスクリーニング方法、
(10) 細胞死抑制剤が、Antioxidant response element制御下にある遺伝子の発現を促進する物質である上記(9)記載のスクリーニング方法、
(11) (i) マクロファージ遊走阻止因子および標識されたマクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する化合物を混合した場合、および(ii)試験化合物、マクロファージ遊走阻止因子および標識されたマクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する化合物を混合した場合における、マクロファージ遊走阻止因子に結合した標識化合物の結合量をそれぞれ測定し、比較することを特徴とする上記(9)記載のスクリーニング方法、
(12) マクロファージ遊走阻止因子を含有することを特徴とする細胞死抑制剤のスクリーニング用キット、
(13) マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質を用いることを特徴とするマクロファージ遊走阻止因子の定量方法、
(14) 上記(13)記載の定量方法を用いるマクロファージ遊走阻止因子が関与する疾患の診断方法、
(14a) 疾患が、心疾患、神経変性疾患、脳血管疾患、中枢神経感染症、外傷性疾患、脱髄疾患、骨・関節疾患、腎疾患、肝疾患、骨髄異形成疾患、動脈硬化症、糖尿病、肺高血圧症、敗血症、炎症性腸疾患、自己免疫性疾患、エイズまたは癌である上記(14)記載の診断方法、
(15) 心疾患、神経変性疾患、脳血管疾患、中枢神経感染症、外傷性疾患、脱髄疾患、骨・関節疾患、腎疾患、肝疾患、骨髄異形成疾患、動脈硬化症、糖尿病、肺高血圧症、敗血症、炎症性腸疾患、自己免疫性疾患、移植臓器の拒絶時の障害、エイズもしくは癌の予防・治療剤または移植用臓器の保護剤である上記(1)記載の細胞死抑制剤、
(16) 炎症性腸疾患の予防・治療剤である上記(1)記載の細胞死抑制剤、(17) さらにHMG−CoA還元酵素阻害薬、フィブラート系高脂血症薬および(または)抗癌剤を組み合わせてなる上記(1)記載の細胞死抑制剤、
(18) 哺乳動物に対して、マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質の有効量を投与することを特徴とする細胞死抑制方法、
(18a) 哺乳動物に対して、マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質の有効量を投与することを特徴とする炎症性腸疾患の予防・治療方法、
(19) 細胞死抑制剤を製造するための、マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質の使用、
(19a) 炎症性腸疾患の予防・治療剤を製造するための、マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質の使用などに関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
マクロファージ遊走阻止因子(MIF)に結合する能力を有する物質としては、MIFに結合する能力を有する物質であればいずれでもよい。MIFの機能を調節する物質であってもよい。
MIFに結合する能力を有する物質としては、例えば、(a)MIFに対する抗体、(b)式
【化3】
Figure 2004002404
〔式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基または置換基を有していてもよいアミノを示す。〕で表される化合物またはその塩、(c)メタロポルフィリン類、(d)WO 03/020719号公報に記載されている化合物またはその塩、(e)WO 02/094203号公報に記載されている化合物またはその塩などが挙げられる。
上記(a)のMIFに対する抗体としては、MIFに特異的に反応するものであればよく、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、好ましくはモノクローナル抗体が挙げられる。好ましい具体例としては、BWS48−1(FERM BP−7991)で標示されるハイブリドーマ細胞から産生され得る、BWS48−1aで標示されるモノクローナル抗体などが挙げられる。
【0006】
該抗体は、MIFを抗原として用い、公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
(i)モノクローナル抗体産生細胞の作製
温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にMIF自体、またはMIFおよび担体または希釈剤などとともに投与する。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントまたは不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが挙げられる。マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免疫された温血動物、例えばマウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、標識化MIFと抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔Nature、256巻、495頁 (1975年)〕に従い実施することができる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
【0007】
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄腫細胞が挙げられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施できる。モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、タンパク質抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したタンパク質を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げられる。
モノクローナル抗体の選別は、公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
(ii)モノクローナル抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、公知の方法、例えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
【0008】
〔ポリクローナル抗体の作製〕
ポリクローナル抗体は、公知あるいはそれに準じる方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗原(タンパク質抗原)自体、あるいは免疫抗原(タンパク質抗原)とキャリアータンパク質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物から目的とする抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造することができる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアータンパク質との複合体に関し、キャリアータンパク質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どのようなものをどのような比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なわれる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0009】
上記(b)の式(I)中、Rで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えばアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキルなどが挙げられる。
該「アルキル」としては、例えばC1−6アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)などが挙げられる。
該「シクロアルキル」としては、例えばC3−6シクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど)などが挙げられる。
該「シクロアルキルアルキル」としては、例えばC4−7シクロアルキルアルキル基(例、シクロプロピルメチル、シクロイブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルなど)などが挙げられる。
該「アルケニル」としては、例えばC2−6アルケニル(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニルなど)などが挙げられる。
該「アルキニル」としては、例えばC2−6アルキニル(例えば、エチニル、プロパルギル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ヘキシニルなど)などが挙げられる。
該「アリール」としては、例えばC6−14アリール(例、フェニル、ナフチル、ビフェニル、インダニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチルなど)などが挙げられる。
該「アラルキル」としては、例えばC7−16アラルキル(例、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル、インダニルメチルなど)などが挙げられる。
【0010】
Rで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、芳香族複素環基、オキソ、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなど)、カルボキシ、C1−4アルキル−カルボニル(例、アセチル、プロピオニルなど)、C6−14アリール−カルボニル(例、ベンゾイルなど)、C1−4アルコキシ−カルボニル(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニルなど)、C6−14アリールオキシ−カルボニル(例、フェノキシカルボニルなど)、C7−16アラルキルオキシ−カルボニル(例、ベンジルオキシカルボニルなど)、カルバモイル、モノ−C1−6アルキル−カルバモイル(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイルなど)、ジ−C1−6アルキル−カルバモイル(例、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイルなど)、ハロゲン化されていてもよいC6−14アリール−カルバモイル、5ないし6員複素環カルバモイル(例、2−ピリジルカルバモイル、3−ピリジルカルバモイル、4−ピリジルカルバモイル、2−チエニルカルバモイル、3−チエニルカルバモイルなど)、置換基を有していてもよい5ないし7員飽和環状アミノ−カルボニルなどが挙げられる。このうち、C6−14アリール−カルボニル、C1−4アルコキシ−カルボニル、5ないし6員複素環カルバモイル、5ないし7員飽和環状アミノ−カルボニルなどが好ましい。
【0011】
該「芳香族複素環基」としては、例えば、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員(好ましくは5ないし10員)芳香族複素環から任意の1個の水素原子を除いてできる1価基などが挙げられる。該「5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環」としては、例えば、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[b]フラン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ナフト[2,3−b]チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、β−カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、チアゾール、イソチアゾール、フェノチアジン、イソオキサゾール、フラザン、フェノキサジンなどの芳香族複素環、またはこれらの環(好ましくは単環)が1ないし複数個(好ましくは1または2個)の芳香環(例、ベンゼン環等)と縮合して形成された環などが挙げられる。
該「芳香族複素環基」としては、例えばチエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、キノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、8−キノリル)、イソキノリル(例、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル)、ピラジニル、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル)、ピロリル(例、3−ピロリル)、イミダゾリル(例、2−イミダゾリル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル)、インドリル(例、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル)、ベンゾチアゾリル(例、2−ベンゾチアゾリル)、ベンゾチエニル(例、2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾフラニル(例、2−ベンゾ[b]フラニル、3−ベンゾ[b]フラニル)などが挙げられる。このうち、例えば炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし3個のヘテロ原子を含む5ないし6員の複素環基(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジルなどのピリジル)が好ましい。
【0012】
該「ハロゲン化されていてもよいC6−14アリール−カルバモイル」としては、例えば、1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素、塩素など)を有していてもよいC6−14アリール−カルバモイル(例、フェニルカルバモイル、1−ナフチルカルバモイル、2−ナフチルカルバモイルなど)などが挙げられる。
該「置換基を有していてもよい5ないし7員飽和環状アミノ−カルボニル」の「5ないし7員飽和環状アミノ−カルボニル」としては、例えば、ピロリジン−1−イルカルボニル、ピペリジノカルボニル、ピペラジン−1−イルカルボニル、モルホリノカルボニルなどが挙げられる。該「置換基を有していてもよい5ないし7員飽和環状アミノ−カルボニル」の「置換基」としては、C1−3アルキル(例、メチルなど)、フェニル、ベンジルなどが1ないし2個挙げられる。
該「炭化水素基」は、例えば上記置換基を、置換可能な位置に1ないし5個、好ましくは1ないし3個有していてもよく、置換基数が2個以上の場合、各置換基は同一または異なっていてもよい。
【0013】
Rで示される「置換基を有していてもよい芳香族複素環基」の「芳香族複素環基」としては、例えば、炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1または2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし14員(好ましくは5ないし10員)芳香族複素環から任意の1個の水素原子を除いてできる1価基などが挙げられる。該「5ないし14員(好ましくは5ないし10員)の芳香族複素環」としては、例えば、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[b]フラン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ナフト[2,3−b]チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、プリン、4H−キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、β−カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、チアゾール、イソチアゾール、フェノチアジン、イソオキサゾール、フラザン、フェノキサジンなどの芳香族複素環、またはこれらの環(好ましくは単環)が1ないし複数個(好ましくは1または2個)の芳香環(例、ベンゼン環等)と縮合して形成された環などが挙げられる。
該「芳香族複素環基」としては、例えばチエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、キノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、8−キノリル)、イソキノリル(例、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル)、ピラジニル、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル)、ピロリル(例、3−ピロリル)、イミダゾリル(例、2−イミダゾリル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル)、インドリル(例、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル)、ベンゾチアゾリル(例、2−ベンゾチアゾリル)、ベンゾチエニル(例、2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾフラニル(例、2−ベンゾ[b]フラニル、3−ベンゾ[b]フラニル)などが挙げられる。このうち、例えば炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし3個のヘテロ原子を含む5ないし6員の複素環基(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジルなどのピリジル)が好ましい。
【0014】
Rで示される「置換基を有していてもよい芳香族複素環基」の「置換基」としては、例えば、前記「置換基を有していてもよい炭化水素基」の「置換基」と同様のものが同個数挙げられる。このうち、ヒドロキシなどが好ましい。
【0015】
Rで示される「置換基を有していてもよいアミノ」としては、例えばアミノ、グアニジノ、置換基を有しているアミノ、置換基を有しているグアニジノなどが挙げられる。
該「置換基を有しているアミノ」および「置換基を有しているグアニジノ」の「置換基」としては、例えば、前記Rで示される「置換基を有していてもよい炭化水素基」などが挙げられる。
Rの好ましい例としては、ベンジル、ベンゾイルメチル、3−ピリジルアミノカルボニルメチル、4−クロロフェニルアミノカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、ピペリジノカルボニルメチル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、3−ヒドロキシ−2−ベンゾ[b]フラニル、グアニジノなどが挙げられる。
【0016】
また、式(I)で表される化合物には、式
【化4】
Figure 2004002404
〔式中、XはCHまたは窒素原子、R’はRからX−Hを除いた基を示す。〕で表される互変異性体およびその塩が存在しうる。式(I)で表される化合物またはその塩〔以下、化合物(I)と略記することもある〕は、該互変異性体ならびにその塩、およびこれらと化合物(I)との混合物も含む。
【0017】
式(I)で表される化合物および互変異性体の「塩」としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
化合物(I)として具体的には、後述の参考例1〜5の化合物などが挙げられる。
化合物(I)は、市販品を購入してもよく、あるいは自体公知の方法またはそれに準じた方法により製造できる。
【0018】
上記(c)のメタロポルフィリン類としては、例えば、ヘミン、ヘマチン、Sn(IV) protoporphyrin IX、Zn(II) protoporphyrin IX、Co(III) protoporphyrin IXなどがあげられる。
【0019】
MIFに結合する能力を有する物質は、優れた細胞死抑制作用を有する。例えば、酸化ストレスによる細胞死、血清除去による細胞死、増殖因子の欠乏による細胞死、HMG−CoA還元酵素阻害薬による細胞死、抗癌剤による細胞死、NOによる細胞死、アミロイドβタンパク質による細胞死などを抑制する。
さらに、MIFに結合する能力を有する物質は、Antioxidant response element(ARE)制御下にある遺伝子(例、種々のストレスから細胞を防御する因子の遺伝子等)発現促進作用、ARE制御下にある遺伝子タンパク質(遺伝子産物)の産生亢進(促進)作用または活性促進用などを有する。
ARE制御下にある遺伝子としては、ヘムオキシゲナーゼ−1(Heme oxygenase−1)、Liver glutathione S−transferase Ya subunit、Liver glutathione S−transferase Yc subunit、Glutathione S−transferase Yb subunit、Glutathione S−transferase Yc1 subunit、Gammma−glutamylcysteine synthetase、NAD(P)H:quinone reductase、UDP−glucuronosyltransferase, exon 1、Bilirunin−specific UDP−glucuronosyltransferase、NAD(P)H−menadione oxidereductaseなどが挙げられる。
このようにMIFに結合する能力を有する化合物は、ストレスから細胞を防御する因子を増加させることによって様々な原因による細胞死を強力に抑制する。MIFに結合する能力を有する物質は低毒性であり、細胞死抑制剤として、例えば、心疾患(例、心筋症、心不全、狭心症、心筋梗塞など)、神経変性疾患(例、パーキンソン病、アルツハイマー病、トリプレットリピート病、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、小脳変性、色素性網膜炎など)、脳血管疾患(例、脳梗塞など)、中枢神経感染症(例、HIV脳炎、細菌性髄膜炎など)、外傷性疾患(例、脊髄損傷、脳損傷など)、脱髄疾患(例、多発性硬化症など)、骨・関節疾患(例、骨粗鬆症、変形性関節症、リウマチなど)、腎疾患(例、虚血性急性腎不全、溶血性尿毒症症候群、急性尿細管壊死、水腎症、糸球体腎炎、糖尿病性腎症など)、肝疾患(例、ウィルス性肝炎、アルコール性肝炎など)、骨髄異形成疾患(例、再生不良性貧血など)、動脈硬化症、糖尿病、肺高血圧症、敗血症、炎症性腸疾患、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎など)、移植臓器の拒絶時の障害、エイズ、癌(例、大腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)の予防・治療剤、移植用臓器の保護剤などとして有用である。
MIFに結合する能力を有する物質は、自体公知の方法に従って医薬組成物とし、種々の剤形で哺乳動物(例、ヒト、サル等)に経口的または非経口的に安全に投与しうる。
具体的には、MIFに結合する能力を有する物質を、薬学的に許容される担体と混合し、錠剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などとして経口投与、または、注射剤、坐剤または舌下錠などとして、静脈内、皮下および筋肉内などに非経口投与する。また、舌下錠、マイクロカプセル等の徐放製剤として、舌下、皮下および筋肉内などに投与してもよい。
【0020】
上記薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
上記賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられる。上記滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。上記結合剤の好適な例としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。上記崩壊剤の好適な例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げられる。上記溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油などが挙げられる。上記溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。上記懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子などが挙げられる。上記等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールなどが挙げられる。上記緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコールなどが挙げられる。上記防腐剤の好適な例としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。上記抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸などが挙げられる。
【0021】
MIFに結合する能力を有する物質の投与量は、症状の程度;投与対象の年齢、性別、体重;投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類;有効成分の種類などによって異なり、特に限定されないが、心疾患の治療に用いる場合は、通常、成人に対して一日につき、約10μg〜100mg/kg体重、好ましくは100μg〜50mg/kg体重である。通常1日1〜4回に分けて投与する。
MIFに結合する能力を有する物質の、細胞死抑制剤中の含有量は、剤全体の約0.01ないし100重量%である。
【0022】
本発明の細胞死抑制剤は、HMG−CoA還元酵素阻害薬(例、 シンバスタチン(Simvastatin)、アトロバスタチン(Atorvastatin)など)、フィブラート系高脂血症薬(例、ゲムフィブロジル(Gemfibrozil)など)、抗癌剤(例、イホスファミド(Ifosfamide)、UFT、アドリアマイシン(Adriamycin)、ドキソルビシン(Doxorubicin)、ペプロマイシン(Peplomycin)、シスプラチン(Cisplatin)、シクロフォスファミド(Cyclophosphamide)、5−FU、メトレキセート(Methotrexate)、マイトマイシンC(Mitomycin C)、マイトキサントロン(Mitoxantrone)など)などと併用して用いると、HMG−CoA還元酵素阻害薬、フィブラート系高脂血症薬、抗癌剤などの、正常細胞に障害を及ぼす副作用が軽減される。
【0023】
MIFを用いて細胞死抑制剤をスクリーニングすることができる。
MIFに結合する化合物が種々の細胞の細胞死を抑制することから、MIFに結合する物質を選択することにより、細胞死抑制作用を有する物質を得ることができる。細胞死抑制作用を有する物質として、好ましくはARE制御下にある遺伝子の発現を促進する物質などである。
本発明のスクリーニング方法の具体例としては、表面プラズモンセンサー技術を利用し、MIFに結合する物質をスクリーニングする方法などが挙げられる。 具体的には、ビアコア3000のセンサーチップ表面にMIFを固定化後、チップ表面にリン酸緩衝液(PBS)などに溶解した試験物質を流したときの表面プラズモンの変化を測定することにより、MIFに結合する物質をスクリーニングする。例えば、表面プラズモンの変化の測定値が5レゾナンスユニット以上与える試験物質を、細胞死抑制剤として選択する。
試験物質としては、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、醗酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
【0024】
本発明のスクリーニング方法の具体例として、(i)MIFおよび標識されたMIFに結合する能力を有する化合物(標識化合物)を混合した場合、および(ii)試験化合物、MIFおよび標識されたMIFに結合する能力を有する化合物(標識化合物)を混合した場合における、MIFに結合した標識化合物の結合量をそれぞれ測定、比較することにより、MIFに結合する物質をスクリーニングする方法も挙げられる。
標識化合物の化合物としては、化合物(I)、メタロポルフィリン類、WO 03/020719号公報に記載されている化合物またはその塩、WO 02/094203号公報に記載されている化合物またはその塩などが用いられる。
標識に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質、ランタニド元素、スピン試薬などが挙げられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔H〕、〔14C〕、〔32P〕、〔33P〕、〔35S〕、〔59Fe〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、シアニン蛍光色素(例、Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7(アマシャムバイオサイエンス社製)など)、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。
例えば、上記(ii)において、上記(i)の場合におけるMIFに結合した標識化合物の結合量を、約20%以上、好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上阻害する試験化合物を、MIFに結合する物質(細胞死抑制剤)として選択する。
試験物質としては、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、醗酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
【0025】
本発明のスクリーニング用キットは、MIF、必要に応じて上記標識化合物を含有するものである。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、細胞死抑制作用を有する化合物またはその塩であり、上記と同様な細胞死抑制剤として用いられる。
【0026】
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commission on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA     :デオキシリボ核酸
cDNA    :相補的デオキシリボ核酸
A      :アデニン
T      :チミン
G      :グアニン
C      :シトシン
RNA     :リボ核酸
mRNA    :メッセンジャーリボ核酸
dATP    :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP    :デオキシチミジン三リン酸
dGTP    :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP    :デオキシシチジン三リン酸
ATP     :アデノシン三リン酸
EDTA    :エチレンジアミン四酢酸
SDS     :ドデシル硫酸ナトリウム
NO            :一酸化窒素
【0027】
また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する。
Me      :メチル基
Et      :エチル基
Bu      :ブチル基
Ph      :フェニル基
TC      :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
Tos     :p−トルエンスルフォニル
CHO     :ホルミル
Bzl     :ベンジル
Cl−Bzl     :2,6−ジクロロベンジル
Bom     :ベンジルオキシメチル
Z       :ベンジルオキシカルボニル
Cl−Z    :2−クロロベンジルオキシカルボニル
Br−Z    :2−ブロモベンジルオキシカルボニル
Boc     :t−ブトキシカルボニル
DNP     :ジニトロフェニル
Trt     :トリチル
Bum     :t−ブトキシメチル
Fmoc    :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル
HOBt    :1−ヒドロキシベンズトリアゾール
HOOBt   :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−
1,2,3−ベンゾトリアジン
HONB    :1−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド
DCC     :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0028】
本願明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕
実施例1で使用した5’末端側にNdeI切断部位を含むラットMIFのN末端と一致するセンス鎖の塩基配列を示す。
〔配列番号:2〕
実施例1で使用した5’末端側にSapI切断部位を含むラットMIFのC末端と一致する抗−センス鎖の塩基配列を示す。
〔配列番号:3〕
実施例1で使用した5’末端側にNdeI切断部位を含むマウスMIFのN末端と一致するセンス鎖の塩基配列を示す。
〔配列番号:4〕
実施例1で使用した5’末端側にSapI切断部位を含むマウスMIFのC末端と一致する抗−センス鎖の塩基配列を示す。
【0029】
後述の参考例7で得られたハイブリドーマ細胞BWS48−1は、平成14(2002)年3月28日から、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに、受託番号FERM BP−7991として寄託されている。
【0030】
以下に、参考例、実験例および実施例を示し、本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
以下の参考例中の「%」は特記しない限り重量パーセントを意味する。
H−NMRスペクトルは内部基準としてテトラメチルシランを用いてバリアンGEMINI 200(200MHz)型スペクトルメーターで測定した。全δ値をppmで示す。
その他の本文中で用いられている略号は下記の意味を示す。
s     :シングレット(singlet)
d     :ダブレット(doublet)
dd    :ダブルダブレット(double doublet)
t     :トリプレット(triplet)
q     :クァルテット(quartet)
m     :マルチプレット(multiplet)
J     :カップリング定数(coupling constant)
Hz    :ヘルツ(Hertz)
CDCl  :重クロロホルム
H−NMR :プロトン核磁気共鳴
IR     :赤外吸収スペクトル
【実施例】
【0031】
参考例1
2−(2−ピリジル)−4H−1,3−ベンゾチアジン−4−オン(化合物1)
【化5】
Figure 2004002404
チオサリチル酸メチル(1.6g, 9.51mM)と2−シアノピリジン(1.0g,9.60mM)とをトルエン(2ml)に溶解し、これにトリエチルアミン(2ml,14.4mM)を加え、8時間加熱還流後、トルエンを留去した。残留物にエタノールを加え、析出物を濾取して粗結晶(1.7g)を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:クロロホルム=5:1→クロロホルム)で精製し、表題化合物を結晶として得た(1.0g,43.4%)。
元素分析値 C13OSとして
計算値(%) C:64.98, H:3.36, N:11.66
実測値(%) C:64.93, H:3.31, N:11.59
H−NMR(CDCl)δ:7.50−7.75(m,4H),7.85−8.00(m,1H),8.50−8.60(m,2H),8.70−8.80(m,1H).
IR(KBr):1660cm−1
【0032】
参考例2
2−(3−ピリジル)−4H−1,3−ベンゾチアジン−4−オン
【化6】
Figure 2004002404
チオサリチル酸メチル(1.8g,10.7mM)と3−シアノピリジン(1.1g,10.56mM)とをトルエン(5ml)に溶解し、これにトリエチルアミン(2ml,14.4mM)を加え、48時間加熱還流後、参考例1と同様の操作を行い、表題化合物を結晶として得た(1.1g,43.4%)。
元素分析値 C13OSとして
計算値(%) C:64.98, H:3.36, N:11.66
実測値(%) C:64.97, H:3.33, N:11.63
【0033】
参考例3
2−(4−ピリジル)−4H−1,3−ベンゾチアジン−4−オン
【化7】
Figure 2004002404
チオサリチル酸メチル(2.0g,11.9mM)と4−シアノピリジン(1.2g,11.5mM)とをトルエン(5ml)に溶解し、これにトリエチルアミン(2ml)を加え、22時間加熱還流後、参考例1と同様の操作を行い、表題化合物を結晶として得た(850mg,30.7%)。
元素分析値 C13OSとして
計算値(%) C:64.98, H:3.36, N:11.66
実測値(%) C:65.07,H:3.15, N:11.62
【0034】
参考例4
2−(4−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−1,3−ベンゾチアジン−2−イリデン)酢酸エチル
【化8】
Figure 2004002404
チオサリチル酸メチル(6g,35.7mM)とシアノ酢酸エチル(4g,35.4mM)とをトルエン(10ml)に溶解し、これにトリエチルアミン(5ml,35.8mM)を加えて、7時間加熱還流した。反応液を濃縮し、残留物にエタノールを加えて放置し、析出した結晶を濾取して粗結晶を得た。これをエタノールから再結晶し、表題化合物を針状晶として得た(5.4g,60.7%)。
元素分析値 C1211NOSとして
計算値(%) C:57.82,H:4.45, N:5.62
実測値(%) C:57.86,H:4.36, N:5.51
H−NMR(CDCl)δ:1.31(t,3H,J=7.0Hz),4.22(q,2H,J=7.0Hz),5.57(s,1H),7.35(t,2H,J=7.4Hz),7.50−7.60(m,1H),8.28(d,1H,J=7.4Hz),9.73(s,1H).
IR(KBr)cm−1:1660, 1590, 1580, 1560, 1440, 1295, 1165, 730.
【0035】
参考例5
2−[2−オキソ−2−(1−ピペリジニル)エチリデン]−2,3−ジヒドロ−4H−1,3−ベンゾチアジン−4−オン
【化9】
Figure 2004002404
チオサリチル酸メチル(1.7g,10.1mM)と1−シアノアセチルピペリジン(2.0g,13.1mM)とをトルエン(5ml)に溶解し、これにトリエチルアミン(2ml,14.4mM)を加えて、30時間加熱還流し、反応液を濃縮して粗結晶を得た。これをエタノールから再結晶し、表題化合物を針状晶として得た(730mg,25%)。
元素分析値  C1516Sとして
計算値(%) C:62.48,H:5.59, N:9.71
実測値(%) C:62.22,H:5.58, N:9.65
NMR(CDCl)δ:1.30−1.80(m,6H),3.30−3.70(m,4H),5.30(s,1H),6.90−7.60(m,3H),8.27(dd,1H,J=8Hz,J=2Hz).
IR(KBr)cm−1:1660, 1595, 1560.
【0036】
参考例6
ラットMIFタンパク質およびマウスMIFタンパク質の調製
(1)MIF発現ベクターの構築
T7プロモータ発現プラスミドpET32b(+)(Novagen 社)をSapIとTthIIIで切断後、切断面を平滑末端化して再び環状化することで、pET32b(+)よりSapI切断部位を除去したpET32b−1を得た。次に、pCYB1(IMPACT I: One−Srep Protein Purification System、New England BioLabs社)をNdeIとBglIで切断して、マルチクローニング部位とインテイン−キチンバインディングドメイン融合タンパク質をコードする領域のDNA断片を回収し、このBglI切断部位を平滑末端化した後、pET32b−1のNdeIとEcoRV部位の間に挿入してpET32b−Int−CBDを得た。
次にラットおよびマウスの脳の相補的DNA(cDNA)ライブラリー(GIBCO BRL社)よりMIFをコードする領域をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により増幅した。ラットMIFのcDNA増幅には、5’末端側にNdeI切断部位を含むラットMIFのN末端と一致するセンス鎖(配列番号:1)と5’末端側にSapI切断部位を含むラットMIFのC末端と一致する抗−センス鎖(配列番号:2)を使用した。マウスMIFのcDNA増幅には、5’末端側にNdeI切断部位を含むマウスMIFのN末端と一致するセンス鎖(配列番号:3)と5’末端側にSapI切断部位を含むマウスMIFのC末端と一致する抗−センス鎖(配列番号:4)を使用した。増幅したMIFcDNAはNdeIとSapIで切断後、pET32b−Int−CBDのNdeI切断部位とSapI切断部位の間に挿入して、それぞれMIF−インテイン−キチンバインディングドメイン融合タンパク質発現プラスミドpET32b−rMIF−Int−CBDとpET32b−mMIF−Int−CBDを得た。得られた発現プラスミド内のMIFcDNA配列は、DNAシーケンス・システム(アプライド・バイオシステム社)を用いて確認した。
【0037】
(2)ラットMIFタンパク質の調製
pET32b−rMIF−Int−CBDを大腸菌BL21(DE3)(Novagen)に形質転換した後、アンピシリンを添加したLB培地(1 %トリプトン、0.5 %イーストイクストラクト、0.5 % NaCl)(LBamp培地)に植菌し、37℃で一晩振とう培養した。これをLBamp培地に1 %となるように移し、37℃で約2時間振とう培養した後22℃で約1時間培養し、0.4 mMのイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)を添加して15 ℃でさらに24 時間培養してラットMIF−インテイン−キチンバインディングドメイン融合タンパク質の発現を誘導した。培養終了後、大腸菌を回収し1/10量の0.1 %トライトンX−100を含むカラムバッファー(20 mM Tris−HCl; pH8.0, 500 mM NaCl, 0.1 mM EDTA)に懸濁して超音波破砕した。この菌体破砕液を4 ℃、12000rpmで30分間遠心分離してその上清を回収した。回収した上清は0.1 %トライトンX−100を含むカラムバッファーで平衡化したキチンビーズカラム(New England BioLabs社)を通過させて、MIF−インテイン−キチンバインディングドメイン融合タンパク質をカラムに結合させた後、カラムサイズの10倍容量の0.1 %トライトンX−100を含むカラムバッファーとカラムサイズの10倍容量のカラムバッファーで洗浄して非特異的に結合したタンパク質および随伴する物質を除去した。次にカラム内のバッファーを50 mMのジチオスレイトールを含むカラムバッファーと置換して4 ℃で16 時間以上放置することで、インテインのタンパク質スプライシング活性を利用して融合タンパク質よりMIFタンパク質を切り出した。切り出したMIFタンパク質はカラムバッファーで溶出した後、20 mMの燐酸ナトリウム緩衝液で透析した。
(3)マウスMIFタンパク質の調製
マウスMIFタンパク質を、ラットMIFタンパク質とほぼ同様の方法で取得した。ただし、タンパク質を発現させた大腸菌を破砕する際に懸濁するカラムバッファー(20 mM Tris−HCl; pH8.0, 500 mM NaCl, 0.1 mM EDTA)には0.1 %トライトンX−100を加えなかった。
【0038】
参考例7
モノクローナル抗マウスMIF抗体の作製
(1)抗マウスMIFを産生するハイブリドーマ細胞の調製
(i)免疫
6〜8週令のBALB/C雌マウスに、参考例6で得られたマウスMIFを、それぞれ約50μg/匹となるよう、完全フロイントアジュバントとともに皮下免疫した。以後2週間おきに同量の免疫原を不完全フロイントアジュバントとともに2〜3回追加免疫した。
(ii)マウスMIFを免疫したマウスの抗血清中の抗体価測定
マウスMIFを2週間間隔で2回免疫し、その1週間後に眼底採血を行い血液を採取した。さらに血液を4℃で12,000 rpmで15分遠心した後、上清を回収し抗血清を得た。抗血清中の抗体価を下記の方法により測定した。マウスMIF結合マイクロプレートを作製するため、まず、マウスMIFを2μg/ml含むリン酸緩衝生理食塩水溶液(PBS、pH7.4)を96ウェルマイクロプレートに100μlずつ分注し、4℃で24時間放置した。次に、プレートを0.5%Tween−20を含むPBSで洗浄したのち、ウェルの余剰の結合部位をふさぐため2% BSA(シグマ社製)を含むPBSを200μlずつ分注し、37℃で1時間処理した。
得られた抗マウスMIF結合マイクロプレートの各ウェルにPBSで希釈した抗血清100μlを加え、室温で2時間反応させた。次に、該プレートを0.5%Tween−20を含むPBSで洗浄したのち、HRP標識化抗マウスIgG−gamma(PBSで5,000倍希釈)100μlを加え、室温で1時間反応させた。次に、該プレートを0.5%Tween−20を含むPBSで洗浄したのち、固相上の酵素活性をTMBマイクロウェルパーオキシダーゼ基質システム(KIRKEGAARD&PERRY LAB, INC、フナコシ薬品取り扱い)100μlを加え室温で10分間放置した。反応を1Mリン酸100μlを加えて停止させたのち、450nmの吸収をプレートリーダー(BICHROMATIC、大日本製薬社製)で測定した。
(iii)モノクローナル抗マウスMIF抗体の作製
比較的高い抗体価を示したマウスに対して10〜100μgの免疫原を生理食塩水0.2mlに溶解させたものを静脈内に接種することにより最終免疫を行なった。最終免疫4日後のマウスから脾臓を摘出し、スライドグラスで脾細胞を遊出させメッシュでろ過した。この細胞をイーグルズ・ミニマム・エッセンシャルメデイウム(MEM)に浮遊させ、脾臓細胞浮遊液を得た。細胞融合に用いる細胞として、BALB/Cマウス由来ミエローマ細胞P3−X63.Ag8.U1(P3U1)を用いた(Current Topicsin Microbiology and Imnology、81巻、1頁、1978年)。
細胞融合は、原法(Nature、256巻、495頁、1975年)に準じて行なった。すなわち、脾臓細胞およびP3U1をそれぞれ、血清を含有しないMEMで3度洗浄し、脾臓細胞とP3U1数の比率を5:1になるよう混合して、800回転で15分間遠心を行ない細胞を沈澱させた。上清を充分に除去した後、沈殿を軽くほぐし、45%ポリエチレングリコール(PEG)1500(Sigma社製)を0.3ml加え、37℃温水槽中で7分間静置して融合を行なった。融合後、細胞に毎分2mlの割合でMEMを添加し、合計15mlのMEMを加えた後600回転15分間遠心して上清を除去した。この細胞沈殿物をCM−Bメデイウム(三光純薬)に、P3U1が1ml当り2x10個になるように浮遊し、24穴マルチディッシュ(コースター社製)に1ウェル1mlずつ192ウェルに播種した。播種後、細胞を37℃で5%炭酸ガスインキュベーター中で培養した。24時間後、HAT(ヒポキサンチン 1x10−4M、アミノプテリン 4x10−7M、チミジン 1.6x10−3M)を含んだCM−B培地(HAT培地)を1ウェル当り1mlずつ添加することにより、HAT選択培養を開始した。HAT選択培養は、培養開始3、5、7および9日後に旧液を1ml捨てた後、1mlのHAT培地を添加することにより継続した。ハイブリドーマの増殖は、細胞融合後9〜14日で認められ、培養液が黄変したとき(約1x10セル/ml)、上清を採取し、(ii)に記載の方法に従って抗体価を測定後、細胞のクローニングを行い、ハイブリドーマ細胞BWS48−1を取得した。
このハイブリドーマを、あらかじめミネラルオイル0.5mlを腹腔内投与されたマウス(BALB/C)に1x10セル/匹を腹腔内投与したのち、6〜20日後に抗体含有腹水を採取した。
BWS48−1aで標示されるモノクローナル抗体は、得られた腹水よりプロテイン−Gカラムにより精製した。即ち、腹水6〜20mlを2倍量の結合緩衝液〔20mM リン酸緩衝液(pH7.0)〕で希釈したのち、あらかじめ結合緩衝液で平衡化したリコンビナントプロテイン−G−セファロース(ファルマシア社製)カラムに供し、特異抗体を溶離緩衝液〔0.1Mグリシン緩衝液(pH2.7)〕で溶出した。溶出液をPBSに対して4℃、2日間透析したのち、0.22μmのフィルター(ミリポア社製)により除菌濾過し、4℃あるいは−80℃で保存した。
【0039】
実験例1
MIFと化合物1との結合
参考例6で得られたラットMIFと参考例1で得られた化合物1の結合をBIACORE3000(ビアコア株式会社製)を用いて解析した。
ラットMIFをセンサーチップCM5(ビアコア株式会社製)に固定化後、10μMの化合物1を含むリン酸緩衝液(PBS)をチップ上に流し、表面プラズモン共鳴シグナルの変化をラットMIFに対する化合物の結合として測定した。
結果を図1に示す。
これより化合物1がMIFに結合することがわかる。
【0040】
実験例2
(1)モノクローナル抗体BWS48−1aおよび化合物1の心筋細胞死抑制作用
日本チャールスリバー社より購入した妊娠ウイスター・ラットより新生仔(生後1日以内のもの)を得、これをエーテル麻酔し、70%エタノールで消毒後、ピンセットで心臓を摘出した。摘出した心臓を、リン酸緩衝生理食塩水(タカラ社製、T900)で洗浄後、手術用のハサミで細片化した。この組織片を、リン酸緩衝生理食塩水で4〜5回洗浄し、大部分の血液由来の非心筋細胞を除去した。この新生仔10匹分の組織片に対し、5mlの酵素液〔リン酸緩衝液(1ml)に、トリプシン(1.25mg)(ディフコ社製)およびコラゲナーゼ(0.25mg)(シグマ社製)を溶解したもの〕を加え、37℃に保ちながらスターラーで15分間攪拌した。これに、2.5mlの酵素液を追加し、さらに15分間攪拌し、この操作を2回繰り返した。続いて、10%牛胎仔血清(バイオウィカー社製)を含むMedium 199(ギブコ社製)を、酵素液の1/2量添加して酵素反応を停止させ、これをセルストレイナー(ファルコン社製)で濾過後、400xgで5分間遠心分離して細胞を集めた。
このように集めた新生仔10匹分の細胞を、50mlの10%牛胎仔血清を含むMedium199に懸濁し、100mmシャーレ(イワキ社製)に10mlずつ播種し、5% CO、37℃に設定したCOインキュベーター中で1時間培養した。その後、細胞を回収してセルストレイナーで濾過後、400xgで5分間遠心分離し、ラット新生仔由来の初代心筋細胞を集めた。
次に、ラット新生仔(10匹分)由来の初代心筋細胞を、2mlの低張液〔水(1L)に、NHCl(8.29g)、KHCO(1.0g)およびEDTA/2Na(ethylenediaminetetraacetic acid disodium;同仁化学研究所製)(37mg)を溶かしたもの〕に懸濁し、3分間放置して赤血球を破砕した。これに10mlの10%牛胎仔血清を含むMedium 199を加え、400xgで5分間遠心分離し、ラット新生仔由来初代心筋細胞を集めた。これを10%牛胎仔血清を含むMedium 199に懸濁してセルストレイナーで濾過した。得られた心筋細胞懸濁液の一部を取り、これに0.3%のトリパンブルーを添加し、軽く混合して心筋細胞数を血球計算板を用いて計数した。
このようにして調製したラット新生仔由来初代心筋細胞を3×10個/mlとなるように、10%牛胎仔血清を含むMedium 199に懸濁し、96穴プレートに0.1ml/wellずつ播種し、5% CO、37℃に設定したCOインキュベーター中で1日培養した。これをマイクロミキサー(大洋化学工業社製)で攪拌後、血清を含まないMedium199と3回交換して血清を除去し、被検検体を加え、さらに4日間培養して細胞死を誘導した。被検検体としては、参考例7で得られたモノクローナル抗体BWS48−1aまたは参考例1で得られた化合物1を使用した。
その後、これに牛胎仔血清を10%となるように添加し、5% CO、37℃に設定したCOインキュベーター中でさらに約17時間培養した後、WST−8〔2−(2−methoxy−4−nitrophenyl)−3−(4−nitrophenyl)−5−(2,4−disulfophenyl)−2H−tetrazolium, monosodium salt〕を発色基質とする細胞数計測キット(同仁化学研究所社製)を用いて生細胞数を測定することにより、心筋細胞死抑制作用を調べた。
上記実験を独立して3回行った。
抗体無添加群の生細胞数を1としたときの対照抗体(マウスIgG)およびモノクローナル抗体BWS48−1aの各濃度添加群の生細胞数の平均値(±SD)を図2に示す。
化合物1の細胞死抑制に必要な最小有効濃度の平均値(±SD)は、0.015 ± 0.011μMであった。これは、化合物1を添加しなかったときの平均細胞数に比べて30%増加させるために要求される化合物1の濃度を最小有効濃度とした。
以上の結果より、モノクローナル抗体BWS48−1aおよび化合物1は、心筋細胞死抑制活性を有することがわかる。
(2)ヘミンおよびヘマチンの心筋細胞死抑制作用
上記(1)と同様に調製したラット新生仔由来初代心筋細胞を3×10個/mlとなるように、10%牛胎仔血清を含むMedium 199に懸濁し、96穴プレートに0.1ml/wellずつ播種し、5% CO、37℃に設定したCOインキュベーター中で1日培養した。これをマイクロミキサー(大洋化学工業社製)で攪拌後、血清を含まないMedium 199と3回交換して血清を除去し、被検検体を加え、さらに4日間培養して細胞死を誘導した。被検検体としては、ヘミンまたはヘマチンを使用した。
その後、これに牛胎仔血清を10%となるように添加し、5% CO、37℃に設定したCOインキュベーター中でさらに約17時間培養した後、WST−8を発色基質とする細胞数計測キット(同仁化学研究所社製)を用いて生細胞数を測定することにより、心筋細胞死抑制作用を調べた。
上記実験を独立して3回行った。
被検体無添加群の生細胞数を1としたときのヘミンおよびヘマチンの各濃度添加群の生細胞数の平均値(±SD)を図7に示す。
以上の結果より、ヘミンおよびヘマチンは、心筋細胞死抑制活性を有することがわかる。
【0041】
実験例3
ドキソルビシンで誘導した心筋細胞死に対する抑制作用
実験例2で得られたラット新生仔由来初代心筋細胞を6×10個/mlとなるように、10%牛胎仔血清を含むMedium 199に懸濁し、96穴プレートに0.1ml/wellずつ播種し、5% CO、37℃に設定したCOインキュベーター中で1日培養した。これをマイクロミキサー(大洋化学工業社製)で攪拌後、血清を含まないMedium 199で3回洗浄して血清を除去し、Medium 199と被検検体を加え、3時間培養した。 培養後、ドキソルビシン(DOX:終濃度200μM)を添加し、さらに18時間培養して細胞死を誘導した。その後、牛胎仔血清を10%となるように添加し、5% CO、37℃に設定したCOインキュベーター中でさらに約17時間培養した後、WST−8を発色基質とする細胞数計測キット(同仁化学研究所社製)を用いて生細胞数を測定することにより、心筋細胞死抑制作用を調べた。上記実験は独立して3回行った。なお各実験群の生細胞数は、ドキソルビシン無添加群の生細胞数を1としたときの各実験群の生細胞数の平均値(±SD)で示した。
結果を図3に示す。
これより、化合物1がドキソルビシンで誘導した心筋細胞死に対する抑制活性を有することがわかる。
【0042】
実験例4
スタチンで誘導した心筋細胞死に対する抑制作用
実験例2で得られたラット新生仔由来初代心筋細胞を6×10個/mlとなるように、10%牛胎仔血清を含むMedium 199に懸濁し、96穴プレートに0.1ml/wellずつ播種し、5% CO、37℃に設定したCOインキュベーター中で1日培養した。これをマイクロミキサー(大洋化学工業社製)で攪拌後、血清を含まないMedium 199と3回交換して血清を除去し、シンバスタチン(0.3μM)またはアトロバスタチン(1μM)と化合物1とを加え、さらに3日間培養した。その後、これに牛胎仔血清を10%となるように添加し、5% CO、37℃に設定したCOインキュベーター中でさらに約17時間培養した後、WST−8を発色基質とする細胞数計測キット(同仁化学研究所社製)を用いて生細胞数を測定することにより、スタチンで誘導した心筋細胞死に対する抑制作用を調べた。上記実験は独立して3回行った。なお各実験群の生細胞数は、スタチン無添加群の生細胞数を1としたときの各実験群の生細胞数の平均値(±SD)で示した。
結果を図4および図5に示す。
これより、シンバスタチン(0.3μM)およびアトロバスタチン(1μM)は心筋細胞死を誘導すること、さらに化合物1は、HMG−CoA還元酵素阻害薬で誘導した心筋細胞死に対する抑制活性を有することがわかる。
【0043】
実験例5
血清除去で誘導した血管平滑筋細胞死に対する抑制作用
正常ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(大日本製薬社)を4×10個/mlとなるように、10%牛胎仔血清を含むMCDB131培地(大日本製薬社)に懸濁後、96穴プレートに0.1ml/wellずつ播種し、5% CO、37℃に設定したCOインキュベーター中で1日培養した。これをマイクロミキサー(大洋化学工業社製)で攪拌後、培地を除去し、血清を含まないMCDB131培地および参考例1で得られた化合物1を加え、3日間培養した。培養後、WST−8を発色基質とする細胞数計測キット(同仁化学研究所社製)を用いて生細胞数を測定することにより、心筋細胞死抑制作用を調べた。上記実験は独立して3回行った。なお生細胞数は、化合物1無添加群の生細胞数を1としたときの、各濃度添加群の生細胞数の平均値(±SD)で示した。
結果を図6に示す。
これより化合物1は、血清除去で誘導した血管平滑筋細胞死に対する抑制活性を有することがわかる。
【0044】
実験例6
NOで誘導したヒト関節軟骨細胞死に対する抑制作用
ヒト正常関節軟骨細胞(Clonetics社)を関節軟骨細胞用増殖培地(CGM、Clonetics社)中で単層培養により増殖させた後に、1.2% アルギン酸を含む 155 mMNaCl溶液に 2.0×10個/mlの密度で細胞を懸濁し、22ゲージの注射針を付けた注射筒を用いて直径 2 mmのビーズを作製した。このビーズを関節軟骨細胞用分化培地(CDM、Clonetics社)を添加した 96穴丸底プレート(1 ビーズ/ウェル、ファルコン社製)中でさらに7日間培養後、化合物1(0.1μMまたは1μM)および 10% 牛胎仔血清を含むα−modified minimum essential mediumに換えて48時間培養し、さらに1.5 mMのニトロプルシッドナトリウム(NO発生剤、シグマ社製)を共存させて5時間培養した。対照薬としてカスパーゼ3インヒビター(Z−DEVD−FMK、100 μM、R&Dシステムズ社製)およびカスパーゼ9インヒビター(Z−LEHD−FMK、100 μM、R&Dシステムズ社製)の作用についても同様に調べた。実験終了後に、アルギン酸を除去し、3−(4,5−dimethyl−thiazole−2−yl)− 2,5−diphenyltetrazolium bromide を用いた MTT法により細胞生存率を測定した。結果を表1に示す。
【表1】
Figure 2004002404
表中の数値は、MTT 法測定値から換算した細胞死抑制率の平均値(±SD)を示す。なお、1.5 mM のニトロプルシッドナトリウム添加後の細胞生存率(化合物1または対照薬なし)は 31.9%であった。
化合物1は、NOで誘導したヒト関節軟骨細胞死に対する抑制活性を有することがわかる。
【0045】
実験例7
DNAチップによる遺伝子発現解析
実験例2で得られたラット新生仔由来初代心筋細胞を1.5x10個/mlとなるように10%牛胎仔血清を含むMedium 199に懸濁し、12穴プレート (旭テクノグラス社製)に2ml/wellずつ播種して5 % CO、37℃で1日培養した。これを軽く攪拌後、Medium199培地で3回洗浄して血清を除去し、Medium199培地と化合物1を添加して5% CO、37℃で21時間培養した。次に培養液を除去し、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いてtotal RNAを回収し、これを用いてGeneChip発現解析用アレイ(Rat Genome U34A アレイ:AFFYMETRIX社製)で網羅的な遺伝子の発現解析を行った。各遺伝子の発現上昇率は、化合物無添加時の発現量を1としたときの化合物添加時の発現量で表した。
結果を表2に示す。
【表2】
Figure 2004002404
これより化合物1は、Antioxidant response element(ARE)制御下にある遺伝子の発現を増強することがわかる。
【0046】
実験例8
化合物1のヘムオキシゲナーゼ−1産生増加作用
実験例2で得られたラット新生仔由来初代心筋細胞を1.5×10個/mlとなるように10%牛胎仔血清を含むMedium199に懸濁し、12穴プレート(旭テクノグラス社製)に2ml/wellずつ播種し、5% CO、37℃で1日培養した。これをMedium199培地で3回洗浄して血清を除去し、化合物1を添加して、5% CO、37℃で24時間培養した。培養終了後、心筋細胞をPBS(−)で1回洗浄し、100μlの細胞溶解用緩衝液〔10 mM Tris(hydroxymethyl)aminomethane, pH7.4, 150 mM NaCl,1 mM EDTA・2Na,1 mM ethyleneglycol−bis−(β−aminoethylether〕N,N,N’,N’−tetraacetic acid、0.5 mM (p−aminophenyl)methanesulfonyl fluoride hydrochloride,200μM sodiumβ−Glycerophosphate n−hydrate, 20 mM NaF, 2 mM sodium diphosphate decahydrate, 10 μg/ml aprotinin, 10 μg/ml leupeptin,1 % Triton X−100, 0.5 % Nonidet P40,0.1 % sodium dodesyl sulfate〕を添加した後、セルスクレーパーを用いて細胞残渣をプレートより乖離させてから、細胞溶解用緩衝液を回収した。回収した細胞溶解用緩衝液はサンプル用緩衝液(Tris−SDS−ME Sample Buffer;第一化学薬品製)と等量ずつ混合して、95℃で5分間熱処理した後、マルチゲル(第一化学薬品社製)を用いて、SDSポリアクリルアミド電気泳動を行った。次に、ブロッティング緩衝液〔0.1 M Tris(hydroxymethyl)aminomethane, 0.192 Mグリシン, 20% エタノール〕に10分以上浸しておいたニトロセルロース膜(Hybond−ECL;アマシャム・ファルマシア・バイオテック社製)、ブロッティング用ろ紙、透析膜およびゲルをホライズブロット(ATTO社製)にセットし、100 mA/ゲル(64 cm)で1時間処理してゲル内のタンパク質をニトロセルロース膜に吸着させた。その後、ニトロセルロース膜をブロッキング緩衝液〔5 % スキムミルク粉末を含有するTTBS緩衝液(20 mM Tris−HCl, pH7.6, 0.137 M NaCl, 0.1 % Tween−20)〕に浸し、室温で1時間攪拌してブロッキングを行った。次に、ブロッキング緩衝液で1000〜2000倍希釈した抗HO−1抗体溶液(StressGen社製)に上記のニトロセルロース膜を浸し、4℃で12〜18時間反応させた。反応終了後、このニトロセルロース膜をTTBS緩衝液で3回洗浄し、さらにブロッキング緩衝液で2000倍に希釈したhorseradish peroxidase標識抗ウサギIgG抗体溶液(NEW ENGLAND BioLabs社製)に浸し、室温で1時間反応させた。反応終了後、TTBS緩衝液を用いて3回洗浄し、ウェスタンブロッティング検出試薬(ECL+Plus;アマシャム社製)と、Hyperfilm ECL(アマシャム社製)を用いてタンパク質量を測定した。ヘムオキシゲナーゼ−1タンパク質の産生増加率は、化合物無添加時の産生量を1としたときの化合物添加時の産生量で表した。
結果を表3に示す。
【表3】
Figure 2004002404
これより化合物1はAntioxidant response element (ARE)制御下にある遺伝子の産物の1つであるヘムオキシゲナーゼ−1の産生量を増加させることがわかる。
【0047】
実施例1
化合物1(100mg)、ラクトース(165mg)、コーンスターチ(25mg)、ポリビニールアルコール(4mg)およびステアリン酸マグネシウム(1mg)を用いて、常法により錠剤を製造する。
実施例2
MIFに結合する化合物のスクリーニング
参考例6で得られたラットMIFをセンサーチップCM5(ビアコア株式会社製)に固定化後、10μMの3−[2−(4−オキソ−4H−1,3−ベンゾチアジン−2−イル)−4−ピリジル]プロピオン酸(WO 03/020719記載の実施例308の化合物)を含むリン酸緩衝液(PBS)をチップ上に流し、表面プラズモン共鳴シグナルの変化をラットMIFに対する化合物の結合として測定した。
結果を図8に示す。
これより、MIFに結合する物質として、3−[2−(4−オキソ−4H−1,3−ベンゾチアジン−2−イル)−4−ピリジル]プロピオン酸が選択できた。
【0048】
【発明の効果】
マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質は、低毒性であり、優れた細胞死抑制作用を有する。例えば、酸化ストレスによる細胞死、血清除去による細胞死、増殖因子の欠乏による細胞死、HMG−CoA還元酵素阻害薬による細胞死、抗癌剤による細胞死、NOによる細胞死、アミロイドβタンパク質による細胞死などを抑制する。さらに、ARE制御下にある遺伝子(例、種々のストレスから細胞を防御する因子の遺伝子等)発現を促進、ARE制御下にある遺伝子タンパク質(遺伝子産物)の産生を亢進または活性を促進する。よって、本発明の細胞死抑制剤は、例えば、心疾患(例、心筋症、心不全、狭心症、心筋梗塞など)、神経変性疾患(例、パーキンソン病、アルツハイマー病、トリプレットリピート病、プリオン病、筋萎縮性側索硬化症、小脳変性、色素性網膜炎など)、脳血管疾患(例、脳梗塞など)、中枢神経感染症(例、HIV脳炎、細菌性髄膜炎など)、外傷性疾患(例、脊髄損傷、脳損傷など)、脱髄疾患(例、多発性硬化症など)、骨・関節疾患(例、骨粗鬆症、変形性関節症、リウマチなど)、腎疾患(例、虚血性急性腎不全、溶血性尿毒症症候群、急性尿細管壊死、水腎症、糸球体腎炎、糖尿病性腎症など)、肝疾患(例、ウィルス性肝炎、アルコール性肝炎など)、骨髄異形成疾患(例、再生不良性貧血など)、動脈硬化症、糖尿病、肺高血圧症、敗血症、炎症性腸疾患、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、アトピー性皮膚炎など)、移植臓器の拒絶時の障害、エイズ、癌(例、大腸癌、乳癌、肺癌、前立腺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、胆道癌、脾臓癌、腎癌、膀胱癌、子宮癌、精巣癌、甲状腺癌、膵臓癌、脳腫瘍、血液腫瘍など)などの予防・治療剤、移植用臓器の保護剤などとして有用である。
さらに、本発明の細胞死抑制剤は、HMG−CoA還元酵素阻害薬、フィブラート系高脂血症薬、抗癌剤などと併用して用いると、HMG−CoA還元酵素阻害薬、フィブラート系高脂血症薬、抗癌剤などの、正常細胞に障害を及ぼす副作用が軽減される。
また、本発明のスクリーニングにより、効率よくMIFに結合する物質を選択することができ、低毒性で優れた細胞死抑制剤を提供することができる。
【0049】
【配列表】
Figure 2004002404
Figure 2004002404

【図面の簡単な説明】
【図1】MIFと化合物1の結合結果を示す。図中、縦軸は表面プラズモン共鳴シグナル(レゾナンスユニット)を、横軸は時間(秒)を示す。
【図2】モノクローナル抗体BWS48−1aの心筋細胞死抑制作用結果を示す。図中、□はBWS48−1aを、■は対照抗体を示す。
【図3】ドキソルビシン(DOX)で誘導した心筋細胞死に対する化合物1の抑制作用の結果を示す。
【図4】シンバスタチンで誘導した心筋細胞死に対する化合物1の抑制作用の結果を示す。
【図5】アトロバスタチンで誘導した心筋細胞死に対する化合物1の抑制作用の結果を示す。
【図6】血清除去で誘導した血管平滑筋細胞死に対する化合物1の抑制作用の結果を示す。
【図7】ヘミンおよびヘマチンの心筋細胞死抑制作用結果を示す。図中、□はヘミンを、■はヘマチンを示す。
【図8】MIFに結合する化合物のスクリーニング結果を示す。 図中、縦軸は表面プラズモン共鳴シグナル(レゾナンスユニット)を、横軸は時間(秒)を示す。

Claims (19)

  1. マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質を含有してなる細胞死抑制剤。
  2. マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、マクロファージ遊走阻止因子に対する抗体である請求項1記載の細胞死抑制剤。
  3. 抗体がモノクローナル抗体である請求項2記載の細胞死抑制剤。
  4. マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、式
    Figure 2004002404
    〔式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基または置換基を有していてもよいアミノを示す。〕で表される化合物またはその塩である請求項1記載の細胞死抑制剤。
  5. マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、メタロポルフィリン類である請求項1記載の細胞死抑制剤。
  6. マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、Antioxidant response element制御下にある遺伝子の発現を促進する物質である請求項1記載の細胞死抑制剤。
  7. マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、Antioxidant response element制御下にある遺伝子タンパク質の産生を亢進する物質である請求項1記載の細胞死抑制剤。
  8. マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質が、Antioxidant response element制御下にある遺伝子タンパク質の活性を促進する物質である請求項1記載の細胞死抑制剤。
  9. マクロファージ遊走阻止因子を用いることを特徴とする細胞死抑制剤のスクリーニング方法。
  10. 細胞死抑制剤が、Antioxidant response element制御下にある遺伝子の発現を促進する物質である請求項9記載のスクリーニング方法。
  11. (i) マクロファージ遊走阻止因子および標識されたマクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する化合物を混合した場合、および(ii)試験化合物、マクロファージ遊走阻止因子および標識されたマクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する化合物を混合した場合における、マクロファージ遊走阻止因子に結合した標識化合物の結合量をそれぞれ測定し、比較することを特徴とする請求項9記載のスクリーニング方法。
  12. マクロファージ遊走阻止因子を含有することを特徴とする細胞死抑制剤のスクリーニング用キット。
  13. マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質を用いることを特徴とするマクロファージ遊走阻止因子の定量方法。
  14. 請求項13記載の定量方法を用いるマクロファージ遊走阻止因子が関与する疾患の診断方法。
  15. 心疾患、神経変性疾患、脳血管疾患、中枢神経感染症、外傷性疾患、脱髄疾患、骨・関節疾患、腎疾患、肝疾患、骨髄異形成疾患、動脈硬化症、糖尿病、肺高血圧症、敗血症、炎症性腸疾患、自己免疫性疾患、移植臓器の拒絶時の障害、エイズもしくは癌の予防・治療剤または移植用臓器の保護剤である請求項1記載の細胞死抑制剤。
  16. 炎症性腸疾患の予防・治療剤である請求項1記載の細胞死抑制剤。
  17. さらにHMG−CoA還元酵素阻害薬、フィブラート系高脂血症薬および(または)抗癌剤を組み合わせてなる請求項1記載の細胞死抑制剤。
  18. 哺乳動物に対して、マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質の有効量を投与することを特徴とする細胞死抑制方法。
  19. 細胞死抑制剤を製造するための、マクロファージ遊走阻止因子に結合する能力を有する物質の使用。
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