JP2004002225A - プロトン中和剤および該中和剤を含むレジスト組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るプロトン中和剤は、分子中にN−(tBOC)結合を2つ以上有する化合物からなる。該化合物は、分子中に2つ以上の窒素原子を有することが好ましい。
本発明に係るレジスト組成物は、上記プロトン中和剤を含有する。
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、プロトン中和剤および該中和剤を含むレジスト組成物に関し、さらに詳しくは、化学増幅レジスト材料における暗反応を防止するために添加されるプロトン中和剤およびこれを含むレジスト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィーが有望視されている。遠紫外線リソグラフィーは、0.3μm以下の加工も可能であり、光吸収の低いレジスト材料を用いた場合、基板に対して垂直に近い側壁を有したパターン形成が可能となる。また、近年、遠紫外線の光源として高輝度なKrFエキシマレーザーを利用する技術が注目されており、これを量産技術として用いるためには、光吸収が低く、高感度なレジスト材料が要望されている。このような観点から、近年開発された酸を触媒とした化学増幅レジスト材料(特公平2−27660号公報、特開昭63−27829号公報等に記載)は、感度、解像度、ドライエッチング耐性が高く、優れた特徴を有するもので、遠紫外線リソグラフィーに特に有望なレジスト材料である。
【0003】
化学増幅レジスト材料は、主に光酸発生剤と、酸に敏感に反応する構造のフォトレジスト用重合体(ベースポリマー)を配合して製造される。
しかしながら、化学増幅型レジストの欠点として、ポットライフが短いという点が指摘されている。すなわち、レジスト材料の調製から使用までの間に、暗所で保管していたとしても、酸の発生を完全に抑えることは困難であり、発生したプロトンとベースポリマーとが反応してしまい、レジスト材料が劣化することがあった。このような反応は、暗反応とも呼ばれている。
【0004】
暗反応を抑えるためには、プロトン中和剤として塩基性化合物を添加することが有効と考えられている。しかし、暗反応を抑制するためのプロトン中和剤は、露光時において発生するプロトンに対しても反応し、結局レジスト材料の露光性を損なうおそれがある。したがって、レジスト材料の保管中における暗反応を防止でき、かつ露光時には反応を阻害しない、適度な反応性を有するプロトン中和剤が求められる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような状況に鑑み、レジスト材料の保管時のような比較的マイルドな条件下ではプロトンと反応して暗反応を効率的に防止でき、かつ露光時にはプロトンとベースポリマーとの反応を阻害しない、適度な反応性を有するプロトン中和剤ならびに該中和剤を含有するレジスト組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るプロトン中和剤は、分子中にN−(tBOC)結合を2つ以上有する化合物からなる。該化合物は、分子中に2つ以上の窒素原子を有することが好ましい。
式中、tBOCは、下記式で示されるtert−butoxycarbonyl基である。
【0007】
【化3】
【0008】
本発明に係るレジスト組成物は、上記プロトン中和剤を含有する。
レジスト組成物がポジ型である場合には、上記プロトン中和剤に加え、さらに、有機溶剤と、酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベースポリマーと、酸発生剤とを含有する。この場合、溶解阻止剤を含有していてもよい。
【0009】
また、レジスト組成物がネガ型である場合には、上記プロトン中和剤に加え、さらに、有機溶剤と、アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベースポリマーと、酸発生剤と、酸によって架橋する架橋剤とを含有する。
本発明に係るプロトン中和剤は、レジスト材料の保管時のような比較的マイルドな条件下ではプロトンと反応して暗反応を効率的に防止でき、かつ露光時にはプロトンとベースポリマーとの反応を阻害しない、適度な反応性を有するので、化学増幅レジスト材料に好ましく添加される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るプロトン中和剤および該中和剤を含有するレジスト組成物について、具体的に説明する。
本発明に係るプロトン中和剤は、分子中にN−(tBOC)結合を2つ以上、好ましくは3個以上、さらに好ましくは4個以上含まれてなる。ここで、N−(tBOC)結合の数は、窒素原子に直接結合したtBOC基の数に等しい。したがって、1つの窒素原子に二つのtBOC基が結合している場合には、N−(tBOC)結合数は2となる。
【0011】
1分子中におけるN−(tBOC)結合数の上限は特に限定はされない。
ここで、tBOCは、下記式で示されるtert−butoxycarbonyl基である。
【0012】
【化4】
【0013】
このような化合物としては、下記の化合物があげられる。
【0014】
【化5】
【0015】
ここで、R1は、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル、アミノ基などを含んでいてもよい。したがって、R1はtBOC基であってもよい。
特に、本発明に係るプロトン中和剤は、分子中にN−(tBOC)結合を2つ以上有し、かつ2つ以上の窒素原子を有することが好ましい。この場合、2つのtBOC基がそれぞれ別の窒素原子に結合していることが好ましい。このような化合物としては、下記のものを例示できる。
【0016】
【化6】
【0017】
ここで、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基であり、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル、アミノ基などを含んでいてもよい。したがって、R2およびR3はtBOC基であってもよい。また、R2およびR3は互いに結合して環を形成していてもよい。この場合、R2が結合する窒素と、R3が結合する窒素とが、炭素数2〜20の炭化水素基により架橋した構造となる。
【0018】
R4は、二価の炭化水素基であり、具体的には、炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリレン基であり、炭素数6〜20のアルキルアリレン基、炭素数6〜20のアリールアルキレン基等があげられる。
プロトン中和剤の分子量は、好ましくは200〜2000、さらに好ましくは200〜1000程度である。したがって、プロトン中和剤は、高分子化合物であってもよく、たとえば、ポリマーの主鎖に、−N−(tBOC)2または−NH−(tBOC)が結合した高分子化合物であってもよい。
【0019】
また、該化合物の分子量とN−(tBOC)結合数との比(分子量/N−(tBOC)結合数)は、好ましくは105〜1000、さらに好ましくは105〜500、特に好ましくは105〜300である。
このように、本発明に係るプロトン中和剤では、N−(tBOC)結合の存在比率が高い化合物であることが特に好ましい。
【0020】
N−tBOC結合は、比較的マイルドな条件下でプロトンと中和反応して分解し、イソブテン、炭酸ガスおよびアミン化合物を分解生成物として与える。この中和反応は、常温近傍、暗所においても進行するので、化学増幅レジスト材料のプロトン中和剤として用いることができる。化学増幅レジスト材料は酸発生剤を含み、暗所で保管していたとしても、暗反応が必然的に起こり、酸の発生を完全に抑えることは困難である。発生したプロトンはベースポリマーと反応し、レジスト材料の劣化を招くことがあるが、本発明のプロトン中和剤を添加しておくと、暗反応によってプロトンが生成したとしても、ジアミノ化合物の存在によりプロトンが中和されるので、ベースポリマーの劣化を招くこともない。
【0021】
一方、上記中和反応(プロトンとN−tBOC結合との反応)の反応速度は、化学増幅レジスト材料の通常の露光条件下では、プロトンとベースポリマーとの反応速度に比して遅い。したがって、レジスト材料としての使用を妨げることはない。このようなプロトン中和剤の例としては、ジ−t−ブチルイミノジカーボネート(H−N(tBOC)2)があげられる。この化合物の製造法の具体例はたとえばSynthesis Communications, March 1987, p.275−276に記載されている。しかしながら、該文献には、ジ−t−ブチルイミノジカーボネートがプロトン中和剤として用いられうることは何らの記載も無く、特に化学増幅レジストの暗反応防止剤として用いられる点については示唆すらされていない。
【0022】
また、本発明に係るプロトン中和剤の他の製法例としては、ジハロゲノ化合物と、A−N−(tBOC)2(Aは水素または金属原子)で示される第2級アミン化合物またはA−NH−(tBOC)(Aは水素または金属原子)で示される第1級アミン化合物とを反応させ脱ハロゲン化する方法があげられる。
以下、本発明のプロトン中和剤の好ましい例として、下記式(I)で表されるジアミノ化合物について説明し、また脱ハロゲン化反応による該ジアミノ化合物の製造について説明する。
【0023】
本発明のプロトン中和剤として好ましく用いられるジアミノ化合物は、下記式(I)で表される。
【0024】
【化7】
【0025】
nは、1〜3の整数であり、
Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、及びスルホニル基から選ばれる原子又は基を示す。
上記式(I)で表されるジアミノ化合物の特徴は、ベンゼン環上に2つのN,N−ジ(tBOC)置換アミノアルキル基が置換している点にある。2つのN,N−ジ(tBOC)置換アミノアルキル基は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれに置換していてもよいが、好ましくはパラ位に置換している。また、nは、好ましくは1である。
【0026】
したがって、本発明の好ましいジアミノ化合物は、ベンゼン環上にパラ位にN,N−ジ(tBOC)置換アミノメチル基が置換してなる。
前記式(I)で示されるジアミノ化合物のベンゼン核上に置換されている置換基Xは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ニトロ基から選ばれる原子又は基を表す。前記ハロゲン原子は、具体的には、塩素、沃素、臭素、フッ素を挙げることができる。前記アルキル基は、炭素数1〜10の一般式CnH2n +1で表される基である。これらは直鎖状あるいは分枝状のものであり、アルキル基により置換されていても差し支えない。具体的には、メチル、エチル、n−又はi−プロピル、n−又はi−ブチル、n−又はi−ペンチル基又はネオペンチル基等を挙げることができる。前記アリール基は、芳香族炭化水素基である。具体的には、フエニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフエニル基、ナフチル基等を挙げることができる。前記ヘテロ環基は、環を構成する異原子として窒素、硫黄、酸素などを含む環状化合物からなる基である。具体的には、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラゾリル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、イミダゾル基、キナゾリニル基、キノリル基、アクリジニル基、トリアジニル基、インドリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基等を挙げることができる。前記アルケニル基は、CnH2n−1で表される基である。直鎖状又は分岐鎖状であって差し支えない。二重結合の位置は、末端にあっても、またその中間にあっても差し支えない。炭素数は必要に応じて適宜設定して使用することができるが、通常1〜10程度のものが使用される。前記アラルキル基は、芳香族炭化水素の水素原子が脂肪族炭化水素で置換されている基であり、具体的には、ベンジル基、フエネチル基等を挙げることができる。前記アルコキシ基は、アルキル基が酸素と結合した、CnH2n+1Oで表される基であり、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、へキシルオキシ基等を挙げることができる。前記アリーロキシ基は、芳香族炭化水素にO原子が結合している基であり、具体的にはフエニルオキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基等を挙げることができる。
【0027】
これらの中でも特にXは、水素であることが好ましい。
次に上記ジアミノ化合物の製造方法について説明する。原料物質は下記式(II)で示されるジハロゲノ化合物であり、公知化合物である。
【0028】
【化8】
【0029】
(式中、X、nは前記と同様であり、Yはハロゲン原子を示す。)
上記ジハロゲノ化合物の製法は、ベンゼンジカルボン酸を、アルカリ溶液中で硫酸ジアルキル(たとえば硫酸ジメチル)により処理することによりエステル化し、ベンゼンジカルボン酸ジアルキルエステルとした後に、還元処理し、ビス(ヒドロキシアルキル)ベンゼンを製造し、これをハロゲン化処理することにより、得ることができる。原料物質であるジハロゲノ化合物のハロゲン原子Yには、塩素、臭素、沃素及びフッ素の中から適宜選択されて用いられる。通常、原料の得易さや取り扱いの便宜などを考慮して、臭素及び塩素が用いられる。
【0030】
もう一方の原料物質は、A−N−(tBOC)2(Aは水素または金属原子)で示される第2級アミン化合物である。N−(tBOC)2基は、前記本発明の目的物質であるジアミノ化合物のN,N一ジ(tBOC)置換アミノアルキル基を構成するものである。“A”は水素または金属原子であり、金属原子としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等をあげることができる。
【0031】
本発明のジアミノ化合物は、前記原料物質であるジハロゲノ化合物に、A−N−(tBOC)2で示される第2級アミン化合物を反応させ、脱ハロゲン化することにより、製造することができる。反応式を示すと、次の通りである。
【0032】
【化9】
【0033】
反応温度は、室温から加温した状態の温度が採用される。具体的には室温から130℃の範囲の温度が採用される。反応時間は、一般に5〜30時間の範囲の時間が採用される。反応に際して、反応収率を向上させるためには、反応溶液を絶えず攪拌することが好ましい。
Aが水素である場合には、脱ハロゲン化を促進するため、塩基を反応系に存在させることが有効である。この塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の金属水素化物、ナトリウムメトキシド、カリウム−t−ブトキシド等の金属アルコキシド、ナトリウムアミド、カリウムアミド等の金属アミド等を挙げることができる。この反応は、有機溶媒中で行うことが好ましく、有機溶媒としては、アルコール類、エーテル類、芳香族系炭化水素溶媒、ハロゲン系炭化水素溶媒、非プロトン性極性溶媒、及びこれらの混合溶媒が用いられる。アルコール類としては、具体的には、メタノール、エタノール、2−プロパノール、tーブタノール、t−ペンタノール等を挙げることができる。エーテル類としては、ジメトキシエタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。芳香族系炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン等を挙げることができる。ハロゲン系炭化水素溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム等を挙げることができる。非プロトン性溶媒としては、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、HMPA等を挙げることができる。
【0034】
前記の方法により得られる反応生成物は、必要に応じ、通常の有機合成の手法に基づき抽出、濃縮、再結晶を行い精製してもよい。このような方法により精製された目的生成物は、無色の微針状の形状をしており、融点測定、赤外線吸収測定及びNMR測定により確認される。
なお、上記反応において、A−N−(tBOC)2で示される第2級アミン化合物に代えて、A−NH−(tBOC)で示される第1級アミン化合物を用いてもよい。この場合、得られるジアミノ化合物中におけるtBOC基の数は2つになる。また、第1級アミン化合物と第2級アミン化合物とを併用してもよい。
【0035】
上記したようなプロトン中和剤は、レジスト組成物、特に化学増幅レジストにおける暗反応防止のための添加剤として好ましく用いられる。
次に本発明に係るレジスト組成物について、ポジ型、ネガ型に分けて説明する。なお、以下の説明においては、上記プロトン中和剤を成分(A)と記載することがある。
【0036】
本発明のポジ型レジスト組成物は、本発明のプロトン中和剤(A)と、(B)有機溶剤と、(C1)酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベースポリマーと、(D)酸発生剤とを含有することができ、さらに、(E)溶解阻止剤を含有することができる。
【0037】
また、本発明のネガ型レジスト組成物は、本発明のプロトン中和剤(A)と、(B)有機溶剤と、(C2)アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベースポリマーと、(D)酸発生剤と、(F)酸によって架橋する架橋剤とを含有することができる。
ここで、プロトン中和剤(A)は、一種単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。添加量は任意であるが、一般的にはレジスト組成物中のベースポリマー(C1)または(C2)100重量部に対して0.01〜3重量部、好ましくは0.05〜2重量部が適当である。
【0038】
上記成分(B)有機溶剤、(C1)酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベースポリマー、(C2)アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベースポリマー、(D)酸発生剤、(E)溶解阻止剤および(F)酸によって架橋する架橋剤としては、特開2001−166476号公報に記載の各成分が好ましく用いられる。これら成分の配合割合も同公報の記載に準じて適宜に設定できる。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係るプロトン中和剤は、レジスト材料の保管時のような比較的マイルドな条件下ではプロトンと反応して暗反応を効率的に防止でき、かつ露光時にはプロトンとフォトレジスト用重合体との反応を阻害しない、適度な反応性を有するので、レジスト材料のポットライフを維持するための添加剤として有効である。
【0040】
【実施例】
以下に本発明の内容を示す実施例を示す。本発明はこれにより限定されるものではない。
【0041】
【製造例1】
α,α’−ジブロモ−p−キシレン(前記式(II)で表される化合物において、nが1、YがBrであり、ブロモメチル基がパラ位に結合した化合物である。)2.6gを、第2級アミン(HN(COOt−Bu)2)4.4gと60%水素化ナトリウム0.8gとともに、ジメチルホルムアミド60ml中に添加し、50℃で、24時間、次いで、室温で攪拌しつつ、8時間反応を継続させた。反応は薄層クロマトグラフィーで追跡し、反応の終了を紫外可視吸光分析(UV)およびニンヒドリン呈色により確認した。反応終了後、反応液を水300ml中に注加した。次いで酢酸エチルエステル(150ml、100ml、50ml)で抽出した。得られた有機溶媒層を10%クエン酸100mlで一回、飽和食塩水100mlで二回洗浄後、減圧濃縮し、粗体4.5gを得た。この粗体に対し、メタノール40mlを添加し、加温溶解し、一晩放置すると結晶が析出した。濾取、乾燥し、2.2gの目的物を得た。
【0042】
得られた物質の性状は以下に記載する通りであった。この結果、目的生成物は1,4−ビス(N,N−ジ−t−ブトキシカルボニルアミノメチル)ベンゼン(前記一般式(I)でnが1、Xが水素であり、N,N−ジ(tBOC)置換アミノメチル基がパラ位に結合した化合物)であることを確認した。以下、この化合物を「化合物I」と記載することがある。
融点:119.5〜121℃
IR(KBr):1780、1762cm−1
1H−NMR(CDCl3):δ=1.43s(36H、CH 3)
4.74s(4H、ArCH 2N)
7.22s(4H、ArH)
【0043】
【実施例1〜4】
上記製造例1で調製した化合物Iおよび、下記化合物II、III、IVを、それぞれ0.5重量部と、ネガ型レジスト溶液100重量部とを混合し、本発明のレジスト組成物を調製した。
製造直後、製造後1ヶ月および製造後3ヶ月暗所で保存したものを用い、それぞれレジスト形成能を評価したが、差異は認められなかった。
【0044】
【化10】
Claims (7)
- 分子中にN−(tBOC)結合を2つ以上有する化合物が、分子中に2つ以上の窒素原子を有する請求項1に記載のプロトン中和剤。
- 分子中にN−(tBOC)結合を2つ以上有する化合物が、分子中に2つ以上の窒素原子を有する請求項3に記載のレジスト組成物。
- さらに、有機溶剤と、酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベースポリマーと、酸発生剤とを含有し、ポジ型であることを特徴とする請求項3または4に記載のレジスト組成物。
- さらに、溶解阻止剤を含有することを特徴とする請求項5に記載のレジスト組成物。
- さらに、有機溶剤と、アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベースポリマーと、酸発生剤と、酸によって架橋する架橋剤とを含有し、ネガ型であることを特徴とする請求項3または4に記載のレジスト組成物。
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