JP4326837B2 - tert−ブトキシカルボニルアミノ基含有化合物およびトリ(tert−ブトキシカルボニル)化合物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、tert-ブトキシカルボニルアミノ基含有化合物、トリ(tert-ブトキシカルボニル)化合物、およびこれらの利用、特にレジスト組成物におけるプロトン中和剤としての利用に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、次世代の微細加工技術として遠紫外線リソグラフィーが有望視されている。遠紫外線リソグラフィーは、0.3μm以下の加工も可能であり、光吸収の低いレジスト材料を用いた場合、基板に対して垂直に近い側壁を有したパターン形成が可能となる。また、近年、遠紫外線の光源として高輝度なKrFエキシマレーザーを利用する技術が注目されており、これを量産技術として用いるためには、光吸収が低く、高感度なレジスト材料が要望されている。このような観点から、近年開発された酸を触媒とした化学増幅レジスト材料は、感度、解像度、ドライエッチング耐性が高く、優れた特徴を有するもので、遠紫外線リソグラフィーに特に有望なレジスト材料である。
【0003】
化学増幅レジスト材料は、主に光酸発生剤と、酸に敏感に反応する構造のフォトレジスト用重合体(ベースポリマー)を配合して製造される。
【0004】
化学増幅レジスト材料は、上記のベースポリマーと光酸発生剤を主成分とするものではあるが、この他にも種々の材料を添加し、その性能を向上させることが検討されている。たとえば、特許文献1には、露光後遅延安定性向上のため、フェニレンジアミン誘導体を添加することが開示されている。また、特許文献2にもやはり、露光後の遅延を解消するため、カルバメート基を有する窒素化合物を添加することが開示されている。露光後の遅延とは、露光時に発生した酸が、焼付け、現像に至るまでの間に、さらにベースポリマーと反応し、露光部以外でも反応が進行し、その結果、鋭いエッジ形状のレジストパターンを得られなくなる現象をいう。上記の特許文献1におけるジアミン誘導体や特許文献2におけるカルバメート基を有する窒素化合物は、酸拡散抑制剤として作用し、露光後遅延の解消に寄与していると考えられる。
【0005】
一方、化学増幅型レジストは、レジスト材料の調製から使用までの間に、冷暗所で保管中でも光酸発生剤からの酸の発生を完全に抑えることは困難であり、発生したプロトンとベースポリマーとが反応し、レジスト材料が劣化することが欠点として指摘されている。したがって、レジスト材料の保管中における暗反応により発生するプロトンをマイルドに中和、捕捉するプロトン中和剤が求められる。
【0006】
しかし、上記の酸拡散抑制剤やプロトン中和剤は、露光時に酸脱離反応を阻害する可能性がある。すなわち、酸拡散抑制剤やプロトン中和剤の作用が強すぎると、露光時に光酸発生剤から発生した酸がこれらとの反応により消費されてしまい、パターン形成が損なわれる可能性がある。一方、酸拡散抑制剤やプロトン中和剤の作用が弱い場合には、上記の問題は解消しえない。
【0007】
したがって、酸拡散抑制剤やプロトン中和剤(以下、まとめて「プロトン中和剤」と呼ぶ)には、(1)暗反応により発生するプロトンを中和、捕捉し、(2)露光時に光酸発生剤から発生した酸の活性を阻害せず、(3)露光時に発生した酸の拡散を抑制する、という機能が求められる。
【0008】
しかし、これらは相反する機能でもあり、結局、プロトン中和剤においては、これらの諸特性において適度なバランスを有することが要求される。
【0009】
なお、下記式で示されるtert-ブトキシカルボニルアミノ基含有化合物は、CAS No. 500698-45-3に帰属される化合物であるが、該化合物をレジスト組成物の添加剤、特にプロトン中和剤として使用することは知られていない。
【0010】
【化6】
【0011】
【特許文献1】
特開2001−55361号公報
【特許文献2】
特開2001−166476号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような状況に鑑み、レジスト材料保管時の比較的マイルドな条件下では暗反応で発生したプロトンと効率的に反応し、露光時にはプロトンとベースポリマーとの反応を阻害しない、適度な反応性を有し、かつプロトンの拡散を抑制しうるプロトン中和剤ならびに該中和剤を含有するレジスト組成物を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、これらプロトン中和剤として好ましく利用される新規なtert-ブトキシカルボニルアミノ基含有化合物、トリ(tert-ブトキシカルボニル)化合物を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]下記式(1)にて示されるtert-ブトキシカルボニルアミノ基含有化合物:
【0015】
【化7】
【0016】
式(1)中、Xは酸素原子またはイミノ基であり、
YおよびZはそれぞれ独立に、水素、tert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)または炭素数1〜10のアルキル基であり、アルキル基にはカルボキシル基、アミノ基またはtert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)が結合していてもよく、またカルボキシル基およびアミノ基は保護基により保護されていてもよく、かつYおよびZの少なくとも一方はtert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)またはtert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)を含有する基であり、ただし、Xがイミノ基である場合にはYは水素ではない、
tBOCは、下記式で示されるtert-ブトキシカルボニル基である。
【0017】
【化8】
【0018】
[2]下記式(2)にて示されるtert-ブトキシカルボニルアミノ基含有化合物:
【0019】
【化9】
【0020】
式(2)中、Xは酸素原子またはイミノ基であり、
Adはアダマンチル基であり、
tBOCは、tert-ブトキシカルボニル基である。
[3]下記式(3)にて示されるトリ(tert-ブトキシカルボニル)化合物:
【0021】
【化10】
【0022】
式(3)中、tBOCは、tert-ブトキシカルボニル基である。
[4]下記式(1)〜(3)の何れかにより示される化合物からなるプロトン中和剤:
【0023】
【化11】
【0024】
式(1)〜(3)において、tBOCは、tert-ブトキシカルボニル基であり、
式(1)および(2)において、Xは酸素原子またはイミノ基であり、
式(1)において、YおよびZはそれぞれ独立に、水素、tert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)または炭素数1〜10のアルキル基であり、アルキル基にはカルボキシル基、アミノ基またはtert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)が結合していてもよく、またカルボキシル基およびアミノ基は保護基により保護されていてもよく、かつYおよびZの少なくとも一方はtert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)またはtert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)を含有する基であり、
式(2)において、Adはアダマンチル基である。
[5]上記[4]に記載のプロトン中和剤を含有するレジスト組成物。
[6]さらに、有機溶剤と、酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベースポリマーと、酸発生剤とを含有し、ポジ型であることを特徴とする[5]に記載のレジスト組成物。
[7]さらに、溶解阻止剤を含有することを特徴とする[6]に記載のレジスト組成物。
[8]さらに、有機溶剤と、アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベースポリマーと、酸発生剤と、酸によって架橋する架橋剤とを含有し、ネガ型であることを特徴とする[5]に記載のレジスト組成物。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る新規なtert-ブトキシカルボニルアミノ基含有化合物、トリ(tert-ブトキシカルボニル)化合物、およびこれらの利用、特にレジスト組成物におけるプロトン中和剤としての利用について、具体的に説明する。
【0026】
本発明に係る新規なtert-ブトキシカルボニルアミノ基含有化合物は、下記式(1)にて示される(以下、この化合物を「第1の化合物」と呼ぶことがある)。
【0027】
【化12】
【0028】
式(1)中、Xは酸素原子またはイミノ基であり、
YおよびZはそれぞれ独立に、水素、tert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)または炭素数1〜10、好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜5のアルキル基である。なお、該アルキル基にはカルボキシル基、アミノ基またはtert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)が結合していてもよい。またアルキル基に結合したカルボキシル基およびアミノ基は保護基により保護されていてもよい。この場合、保護基は特に限定はされず、種々の公知の保護基、保護剤が用いられる。
【0029】
たとえば、カルボキシル基(−COOH)の場合の保護状態(−COOX)としては、下記のものが挙げられる。なお、下記においては「OX」部位のみを示した。
【0030】
【化13】
【0031】
また、アミノ基の場合は、ウレタン結合を形成する保護形態であってもよく、あるいはアセチル基、ベンゾイル基のようなアシル結合を形成する保護形態であってもよく、また他の保護形態であってもよい。代表的な保護基を以下に示す。
【0032】
【化14】
【0033】
なお、上記第1の化合物において、YおよびZの少なくとも一方はtert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)またはtert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)を含有する基である。ここで、tert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)を含有する基とは、アルキル基にtert-ブトキシカルボニルアミノ基(-NH-tBOC)が結合した基を意味する。
【0034】
ただし、Xがイミノ基である場合にはYは水素ではない。なお、プロトン中和剤として使用する場合には、Xがイミノ基でありYが水素であってもよい。
【0035】
tBOCは、下記式で示されるtert-ブトキシカルボニル基である。なお、以下においては特に示さない限り、X、Y、Z、tBOCは、すべて同じ意味で用いられる。
【0036】
【化15】
【0037】
本発明の第1の化合物において、X、Y、Zの好ましい組み合わせは以下を以下に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
上記化合物の構造は、赤外吸光分析(IR)、1H−NMR、13C−NMRなどの公知の構造分析法により確認することができる。
【0040】
本発明の第1の化合物は、t-BOC-NH-CHY-COOHとH-X-Zで表される化合物との脱水縮合により、以下に示すように合成することができる。
【0041】
【化16】
【0042】
この反応は、脱水縮合剤の存在下で行われる。脱水縮合剤としては、たとえば1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドハイドロクロライド等の公知の脱水縮合剤が特に制限されることなく用いられる。反応条件は、ジクロロメタン等の有機溶媒中で、−10〜80℃、0.5〜50時間程度が好適だが、これに限定されることはない。
【0043】
反応終了後には、有機合成の通常の手法によって、抽出、洗浄、乾燥、ろ過、濃縮、結晶化を行うことが好ましい。
【0044】
また、Yがカルボキシル基やアミノ基を有する場合には、反応に先立って、これらの基を保護基により保護しておくことが好ましい。保護基は、tert-ブトキシカルボニル基(tBOC基)であってもよく、またtBOC基以外の保護基であってもよい。反応終了後に公知の手段により保護基を脱離させてもよく、また脱離させなくてもよい。tBOC基以外の保護基の場合には、脱離後あるいは脱離と同時に、ジ-tert-ブチルジカーボネート(DIBOCTM、アイバイツ社製)を用いた公知の手法によりカルボキシル基やアミノ基をBOC化してもよい。
【0045】
本発明の別の態様に係る新規なtert-ブトキシカルボニルアミノ基含有化合物は、下記式(2)にて示される(以下、この化合物を「第2の化合物」と呼ぶことがある)。
【0046】
【化17】
【0047】
式(2)中、Xは酸素原子またはイミノ基であり、
Adはアダマンチル基であり、
tBOCは、tert-ブトキシカルボニル基である。
【0048】
アダマンチル基は、カルボニル基(CO)に対して、1位または2位、特に1位で結合していることが好ましい。
【0049】
したがって、第2の化合物の特に好ましい例としては以下の化合物が挙げられる。
【0050】
【化18】
【0051】
上記化合物の構造は、赤外吸光分析(IR)、1H−NMR、13C−NMRなどの公知の構造分析法により確認することができる。
【0052】
本発明の第2の化合物は、Ad-COOHとH-X-tBOCで表される化合物との脱水縮合により合成することができる。具体的方法、反応条件等は、前記第1の化合物の調整において説明したものと同様である。
【0053】
本発明に係る新規なトリ(tert-ブトキシカルボニル)化合物は、下記式(3)にて示される(以下、この化合物を「第3の化合物」と呼ぶことがある)。
【0054】
【化19】
【0055】
式(3)中、tBOCは、tert-ブトキシカルボニル基である。
【0056】
上記化合物の構造は、赤外吸光分析(IR)、1H−NMR、13C−NMRなどの公知の構造分析法により確認することができる。
【0057】
本発明の第3の化合物は、N-BOC-ヒドロキシルアミン(tBOC-NHOH)とジ-tert-ブチルジカーボネートとから合成することができる。
【0058】
この反応は、たとえば4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の共存下で行われることが好ましい。反応条件は、テトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒中で、−10〜80℃、0.5〜50時間程度が好適だが、これに限定されることはない。
【0059】
反応終了後には、有機合成の通常の手法によって、抽出、洗浄、乾燥、ろ過、濃縮、結晶化を行うことが好ましい。
【0060】
上記本発明の第1〜3の化合物は、レジスト組成物におけるプロトン中和剤としての有用性が期待される。すなわち、本発明に係るプロトン中和剤は、本発明の第1〜3の化合物を含有してなる。また、前述したように、プロトン中和剤が、式(1)で示されるタイプの化合物を含む場合には、式(1)においてXがイミノ基でありYが水素であってもよい。
【0061】
本発明のプロトン中和剤におけるN-tBOC結合は、比較的マイルドな条件下でプロトンと中和反応して分解し、イソブテン、炭酸ガスおよびアミン化合物を分解生成物として与える。この中和反応は、常温近傍、暗所においても進行するので、化学増幅レジスト材料のプロトン中和剤として用いることができる。化学増幅レジスト材料は酸発生剤を含み、暗所で保管していたとしても、暗反応が必然的に起こり、酸の発生を完全に抑えることは困難である。発生したプロトンはベースポリマーと反応し、レジスト材料の劣化を招くことがあるが、本発明のプロトン中和剤を添加しておくと、暗反応によってプロトンが生成したとしても、上記のようにプロトンが中和されるので、ベースポリマーの劣化を招くこともない。
【0062】
一方、上記中和反応(プロトンとN-tBOC結合との反応)は、化学増幅レジスト材料の通常の露光条件下では、プロトンとベースポリマーとの反応と競合する。しかし、N-tBOC結合の導入割合を適宜に設定しておくことで、プロトンとベースポリマーとの反応を十分に進行させることができ、したがって、レジスト材料としての使用を妨げることはない。
【0063】
また、中和反応(プロトンとN-tBOC結合との反応)により生成したアミン化合物は、プロトンをトラップする作用を有する。このため、露光から焼付け、現像に至るまでの間にプロトンが移動したとしても、露光部以外のベースポリマーに到達する前にトラップされるため、非露光部での反応は防止できる。この結果、露光後遅延安定性が向上することが期待される。
【0064】
したがって、本発明のプロトン中和剤は、レジスト組成物、特に化学増幅レジストにおける貯蔵安定性、露光後遅延安定性を向上するための添加剤として好ましく用いられる。
【0065】
次に本発明に係るレジスト組成物について、ポジ型、ネガ型に分けて説明する。なお、以下の説明においては、上記プロトン中和剤を成分(A)と記載することがある。
【0066】
本発明のポジ型レジスト組成物は、本発明のプロトン中和剤(A)と、(B)有機溶剤と、(C1)酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベースポリマーと、(D)酸発生剤とを含有することができ、さらに、(E)溶解阻止剤を含有することができる。
【0067】
また、本発明のネガ型レジスト組成物は、本発明のプロトン中和剤(A)と、(B)有機溶剤と、(C2)アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベースポリマーと、(D)酸発生剤と、(F)酸によって架橋する架橋剤とを含有することができる。
【0068】
ここで、プロトン中和剤(A)は、一種単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。添加量は任意であるが、一般的にはレジスト組成物中のベースポリマー(C1)または(C2)100重量部に対して0.01〜30重量部、好ましくは0.05〜20重量部が適当である。
【0069】
上記成分(B)有機溶剤、(C1)酸不安定基で保護された酸性官能基を有するアルカリ不溶性又は難溶性の樹脂であって、該酸不安定基が脱離したときにアルカリ可溶性となるベースポリマー、(C2)アルカリ可溶性樹脂であって、架橋剤による架橋によってアルカリ難溶性となるベースポリマー、(D)酸発生剤、(E)溶解阻止剤および(F)酸によって架橋する架橋剤としては、特開2001−166476号公報に記載の各成分が好ましく用いられる。これら成分の配合割合も同公報の記載に準じて適宜に設定できる。特に本発明のレジスト組成物にあっては、レジスト組成物の全量(固形分)100重量部に対して、上記N-tBOC部位が、0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜3重量部、さらに好ましくは0.5〜2重量部の割合で含まれていることが望ましい。
【0070】
本発明の第1および第2の化合物は、側鎖に-CO-O-NH-tBOC部位または-CO-NH-NH-tBOC部位を有し、この部位は、プロトンと中和反応して分解し、イソブテン、炭酸ガスおよび-CO-O-NH2または-CO-NH-NH2を生成する。この分解反応は、150℃程度の加熱によっても起る。したがって、これらの化合物は、潜在性のアミド化合物またはヒドラジド化合物とも把握され、各種機能性材料としての用途展開が期待される。
【0071】
また、-CO-O-NH-tBOC部位は、アルカリケン化によりカルボン酸を生成する。したがって、この性質を利用した用途展開も期待される。
【0072】
【発明の効果】
本発明に係るプロトン中和剤は上記特定の化合物からなり、レジスト材料保管時の比較的マイルドな条件下では暗反応で発生したプロトンと効率的に反応し、露光時にはプロトンとベースポリマーとの反応を阻害しない、適度な反応性を有し、かつプロトンの拡散を抑制しうるので、レジスト材料の貯蔵安定性および露光後遅延安定性を向上するための添加剤として有効である。
【0073】
また、本発明によれば、これらプロトン中和剤として好ましく利用される新規な、tert-ブトキシカルボニルアミノ基含有化合物、トリ(tert-ブトキシカルボニル)化合物が提供される。
【0074】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。本発明はこれにより限定されるものではない。
【0075】
【実施例1】
200 mL 四つ口フラスコに、Boc-Gly-OH (Boc-グリシン)5.26 g (30.0 mmol), N-Boc-ヒドロキシルアミン 3.99 g (30.0 mmol) を入れ、ジクロロメタン 60 mLに溶解した。氷浴下、WSCTM・HCl (1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドハイドロクロライド) 6.90 g (36.0 mmol, 1.2 eq) を加えた。これを室温で 6 時間撹拌し、反応液を 10 % クエン酸、水、飽和食塩水それぞれ 50 mL で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮したところ粗生成物 14.7 g が得られた。これをヘキサン、酢酸エチルから再結晶したところ白色粉体 4.40 g (16.8 mmol, 55.9 %) が得られた。
1H-NMR (DMSO, 270 MHz); δ(ppm) 1.44-1.54 (ds, 18H), 3.87 (d, 2H), 7.45 (t, 1H), 10.8 (br, 1H)
IR (KBr); 1690 (Boc), 1730 cm-1 (C=O 伸縮), 2950 and 2990 cm-1 (C-H 対称逆対称伸縮), 3300 and 3400 cm-1 (N-H)
融点; 89.5-90.0 ℃
上記合成反応は、下記式にて示されると考えられる。
【0076】
【化20】
【0077】
【実施例2】
100 mL ナスフラスコに、Boc-Lys(Boc)-OH (a,e-ジ-Boc-リジン)2.68 g (7.74 mmol)、N-Boc-ヒドロキシルアミン 1.03 g (7.74 mmol) を入れ、ジクロロメタン 40 mL に溶解した。氷浴下、WSCTM・HCl (1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドハイドロクロライド) 1.78 g (9.28 mmol, 1.2 eq) を加えた。これを室温で 2 時間撹拌し、反応液を 10 % クエン酸、水、飽和食塩水それぞれ 50 mL で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮したところ粗生成物 4.03 g が得られた。これを真空乾燥したところ白色粉体 2.39 g (5.51 mmol, 71.2 %) が得られた。
1H-NMR (DMSO, 270 MHz); δ(ppm) 1.46 (s, 27H), 1.68-2.97 (m, 8H), 4.12 (q, 1H), 6.84 (t, 1H), 7.44 (d, 1H), 10.7 (br, 1H)融点; 42-45 ℃
上記合成反応は、下記式にて示されると考えられる。
【0078】
【化21】
【0079】
【実施例3】
100 mL ナスフラスコに、Boc-Lys(Boc)-OH 3.14 g (9.06 mmol)、tert-ブチルカルバゼート 1.20 g (9.06 mmol) を入れ、ジクロロメタン 50 mL に溶解した。氷浴下、WSCTM・HCl (1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドハイドロクロライド) 2.08 g (10.9 mmol, 1.2 eq) を加えた。これを室温で一晩撹拌し、反応液を 飽和炭酸水素ナトリウム、10 % クエン酸、水、飽和食塩水それぞれ 50 mL で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮、真空乾燥したところ白色粉体 3.34 g (7.72 mmol, 85.2 %) が得られた。
1H-NMR (DMSO, 270 MHz); δ(ppm) 1.39 (s, 27H), 1.22-2.97 (m, 8H), 3.97 (br, 1H), 6.83-6.89 (m, 2H), 8.83 (s, 1H), 9.66 (s, 1H)融点; 71-74 ℃
上記合成反応は、下記式にて示されると考えられる。
【0080】
【化22】
【0081】
【実施例4】
50 mL ナスフラスコに、1-アダマンタンカルボキシリックアシッド 2.0 g (11.1 mmol), tert-ブチルカルバゼート 1.47 g (11.1 mmol) を入れ、ジクロロメタン 30 mL に溶解した。氷浴下、WSCTM・HCl (1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドハイドロクロライド) 2.55 g (13.3 mmol, 1.2 eq) を加えた。これを室温で一晩撹拌し、反応液を 飽和炭酸水素ナトリウム、10 % クエン酸、水、飽和食塩水それぞれ 50 mL で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮、真空乾燥したところ白色粉体 2.56 g (8.70 mmol, 78.3 %) が得られた。
1H-NMR (DMSO, 270 MHz); δ(ppm) 1.47 (s, 9H), 1.74-2.13 (m, 15H), 8.61 (br, 1H), 9.22 (br, 2H)
IR (KBr); 1660 and 1720 cm-1 (C=O), 2850 and 2900 and 2950 cm-1 (C-H), 3300 cm-1 (N-H)
融点; 186-186.5 ℃
上記合成反応は、下記式にて示されると考えられる。
【0082】
【化23】
【0083】
【実施例5】
50 mL ナスフラスコに、1-アダマンタンカルボキシリックアシッド 2.0 g (11.1 mmol), N-Boc-ヒドロキシルアミン 1.48 g (11.1 mmol) を入れ、ジクロロメタン 30 mL に溶解した。氷浴下、WSCTM・HCl (1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドハイドロクロライド) 2.55 g (13.3 mmol, 1.2 eq) を加えた。これを室温で一晩撹拌し、反応液を 飽和炭酸水素ナトリウム、10 % クエン酸、水、飽和食塩水それぞれ 50 mL で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮、真空乾燥したところ黄色粘体 2.91 g (9.85 mmol, 88.8 %) が得られた。
1H-NMR (DMSO, 270 MHz); δ(ppm) 1.38 (s, 9H), 1.63-1.98 (m, 15H), 10.4 (br, 1H)
IR (KBr); 1740 cm-1 (C=O), 2850 and 2900 and 2950 cm-1 (C-H), 3300 cm-1 (N-H)
上記合成反応は、下記式にて示されると考えられる。
【0084】
【化24】
【0085】
【実施例6】
100 mL に N-Boc-ヒドロキシルアミン 2.0 g (15.0 mmol), DMAP (4-ジメチルアミノピリジン) 0.183 g (1.50 mmol) をTHF 10 mL に溶解した。そこに THF 20 mL に溶解した ジ-tert-ブチルジカーボネート(DIBOCTM、アイバイツ社製)7.86 g (36.0 mmol) を滴下し、室温で一晩撹拌した。反応液を濃縮し、10 % クエン酸 30 mL を加え、酢酸エチル (50 mL×3) で抽出した。有機層を飽和食塩水 30 mL で洗浄し、乾燥、濾過、濃縮した。析出した結晶をヘキサンで洗浄し、結晶を回収し真空乾燥したところ、白色粉体 4.01 g (12.0 mmol, 80.2 %) が得られた。
1H-NMR (DMSO, 270 MHz); δ(ppm) 1.52 (s, 18H), 1.56 (s, 9H)
IR (KBr); 1740 and 1760 and 1790 cm-1 (C=O 伸縮), 2950 and 2980 cm-1 (C-H 対称逆対称伸縮)
融点; 59.5-60.5 ℃
上記合成反応は、下記式にて示されると考えられる。
【0086】
【化25】
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