JP6011095B2 - 塩及びレジスト組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、酸発生剤として有用な塩、及び当該塩を含有するレジスト組成物などに関する。
リソグラフィー技術による半導体の微細加工に用いられる化学増幅型レジスト組成物は、酸発生剤と、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に溶解し得る樹脂とを含有する。また、近年、当該酸発生剤として分子内に塩基解離性基を有する塩を用いることが検討されている。
かかるレジスト組成物用酸発生剤として例えば、特許文献1には、以下の式(X1)で表される塩が記載されている。
Figure 0006011095
特開2010−107955号公報
酸発生剤として前記式(X1)で表される塩を含有するレジスト組成物を用いて得られるレジストパターンは、CD均一性(CDU)が必ずしも十分ではない場合があった。
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕以下の式(I)で表される塩。
Figure 0006011095
[式(I)中、
は、置換基を有してもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
は、塩基解離性基を表す。
は、水素原子又はヒドロキシ基を表す。
及びXは、それぞれ独立に、式(a−g1)
Figure 0006011095
(式(a−g1)中、
sは0〜2の整数を表す。
10及びA11は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表す。
sが2のとき、複数存在するA10は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
10は、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
sが2のとき、複数存在するX10は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される基を表す。
m1は1又は2を表し、m2は0又は1を表す。但し、m1+m2=2の関係を満たす。
m1が2のとき、複数存在するXは互いに同一であっても異なっていてもよく、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
は、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン及びカルボン酸アニオンからなる群から選ばれる有機アニオンを表す。]
〔2〕前記式(I)のRが、
式(I−R−1)又は式(I−R−2)で表される基である、前記〔1〕記載の塩。
Figure 0006011095
[式(I−R−1)中、
21は炭素数1〜6のフッ素原子を有していてもよいアルキル基を表す。R22は、炭素数1〜3のフッ素原子を有していてもよいアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表す。*はXとの結合手を表す。]
Figure 0006011095
[式(I−R−2)中、
23は炭素数1〜6のフッ素原子を有していてもよいアルキル基を表す。*はXとの結合手を表す。]
〔3〕前記式(I)のX及びXが、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルカンジイル基である、前記〔1〕又は〔2〕記載の塩。
〔4〕前記式(I)のRが、置換基を有してもよいフェニル基である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載の塩。
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載の塩と、
アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に溶解し得る樹脂と
を含有するレジスト組成物。
〔6〕前記樹脂が、以下の式(a1−1)で表される構造単位を有する樹脂である、前記〔5〕記載のレジスト組成物。
Figure 0006011095
[式(a1−1)中、
a1は、酸素原子又は−O−(CH2k1−CO−O−(k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基との結合手を表す。)で表される基を表す。
a4は、水素原子又はメチル基を表す。
a6は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。]
〔7〕さらに、塩基性化合物を含有する、前記〔5〕又は〔6〕記載のレジスト組成物。
〔8〕さらに、溶剤を含有する、前記〔5〕〜〔7〕のいずれか記載のレジスト組成物。
〔9〕(1)前記〔5〕〜〔8〕のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層に露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程、
を含むレジストパターンの製造方法。
本発明の塩によれば、優れたCD均一性(CDU)のレジストパターンを製造し得るレジスト組成物を得ることができる。
本発明の塩は上述のとおり、式(I)で表される。以下、この式(I)で表される塩を場合により、「塩(I)」という。
また、本発明は、当該塩(I)と、
アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に溶解し得る樹脂(以下、場合により「樹脂(A)」という。)とを含有するレジスト組成物(以下、場合により、「本レジスト組成物」という。)を提供する。
また、本レジスト組成物は、さらに、塩基性化合物(以下、場合により「塩基性化合物(C)」という。)及び溶剤(以下、場合により「溶剤(D)」という。)を含有していることが好ましい。
まず、本レジスト組成物の構成成分を、塩(I)、樹脂(A)、必要に応じて本レジスト組成物に含有される塩基性化合物(C)及び溶剤(D)の順に説明し、さらに、本レジスト組成物の調製方法及び本レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法に関して説明する。
本レジスト組成物の構成成分などを説明する前に、本明細書において共通する置換基などを説明する。本明細書では、特に断りのない限り、炭素数を適宜選択しながら、以下の置換基の例示は、同様の置換基を有するいずれの化学構造式においても適用される。脂肪族炭化水素基のうち、アルキル基のように直鎖状又は分岐状をとることができるものは、そのいずれをも含む。立体異性体が存在する場合は、全ての立体異性体を包含する。以下の置換基の例示において、「C」に付して記載した数値は、各々の基の炭素数を示すものである。
さらに、本明細書において、「(メタ)アクリル系モノマー」とは、「CH2=CH−CO−」又は「CH2=C(CH3)−CO−」の構造を有するモノマーの少なくとも1種を意味する。同様に「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリル酸」とは、それぞれ「アクリレート及びメタクリレートの少なくとも1種」並びに「アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも1種」を意味する。
炭化水素基とは、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含する。
脂肪族炭化水素基は、鎖式及び環式の双方を含み、特に定義しない限り、鎖式及び脂環式の脂肪族炭化水素基が組み合わせられたものをも包含する。また、これら脂肪族炭化水素基は、その一部に炭素−炭素二重結合を含んでいてもよいが、飽和の基(脂肪族飽和炭化水素基)が好ましい。
鎖式の脂肪族炭化水素基のうち1価のものとしては、典型的にはアルキル基が挙げられる。該アルキル基の具体例は、メチル基(C)、エチル基(C)、プロピル基(C)、ブチル基(C)、ペンチル基(C)、ヘキシル基(C)、ヘプチル基(C)、オクチル基(C)、デシル基(C10)、ドデシル基(C12)、ヘキサデシル基(C14)、ペンタデシル基(C15)、ヘキシルデシル基(C16)、ヘプタデシル基(C17)及びオクタデシル基(C18)などである。
鎖式の脂肪族炭化水素基のうち2価のものとしては、アルキル基から水素原子を1個取り去ったアルカンジイル基が挙げられる。アルカンジイル基の具体例は、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,2−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基及び2−メチルブタン−1,4−ジイル基などである。
環式の脂肪族炭化水素基(以下、場合により「脂環式炭化水素基」という。)は、典型的には、シクロアルキル基であり、以下に示す単環式及び多環式のいずれをも包含する。
脂環式炭化水素基のうち1価のもののうち、単環式の脂肪族炭化水素基は、以下の式(KA−1)〜(KA−7)で表されるシクロアルカンの水素原子を1個取り去った基などである。
Figure 0006011095
多環式の脂肪族炭化水素基は、以下の式(KA−8)〜(KA−22)で表されるシクロアルカンの水素原子を1個取り去った基である。
Figure 0006011095
脂環式炭化水素基のうち2価のものとしては、式(KA−1)〜式(KA−22)の脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は置換基を有していてもよい。このような置換基としては、そのつど定義するが、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基(C)、エトキシ基(C)、プロポキシ基(C)、ブトキシ基(C)、ペンチルオキシ基(C)、ヘキシルオキシ基(C)、ヘプチルオキシ基(C7)、オクチルオキシ基(C8)、デシルオキシ基(C10)及びドデシルオキシ基(C12)などが挙げられる。
アシル基としては、アセチル基(C)、プロピオニル基(C)、ブチリル基(C)、バレイル基(C)、ヘキサノイル基(C)、ヘプタノイル基(C7)、オクタノイル基(C8)、デカノイル基(C10)及びドデカノイル基(C12)などのアルキル基とカルボニル基とが結合したもの、並びにベンゾイル基(C7)などのアリール基とカルボニル基とが結合したものが挙げられる。
アシルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基及びイソブチリルオキシ基などが挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基(C7)、フェネチル基(C8)、フェニルプロピル基(C9)、ナフチルメチル基(C11)及びナフチルエチル基(C12)などが挙げられる。
アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基(C)、ナフチルオキシ基(C10)、アントリルオキシ基(C14)、ビフェニルオキシ基(C12)、フェナントリルオキシ基(C14)及びフルオレニルオキシ基(C13)などのアリール基と酸素原子とが結合したものが挙げられる。
1価の芳香族炭化水素基としては、典型的には、アリール基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基(C)、ナフチル基(C10)、アントリル基(C14)、ビフェニル基(C12)、フェナントリル基(C14)及びフルオレニル基(C13)などが挙げられる。2価の芳香族炭化水素基は例えば、ここに例示したアリール基から、さらに水素原子1個と取り去ったアリーレン基を挙げることができる。
芳香族炭化水素基も置換基を有することがある。このような置換基はそのつど定義するが、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アルキル基及びアリールオキシ基を挙げることができる。これらのうち、アルキル基は、鎖式脂肪族炭化水素基として例示したものと同じであり、芳香族炭化水素基に任意に有する置換基のうち、アルキル基以外のものは、脂肪族炭化水素基の置換基として例示したものと同じものを含む。
<塩(I)>
上述のとおり、塩(I)は式(I)で表される。
Figure 0006011095
[式(I)中、
は、置換基を有してもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
は、塩基解離性基を表す。
は、水素原子又はヒドロキシ基を表す。
及びXは、それぞれ独立に、式(a−g1)
Figure 0006011095
(式(a−g1)中、
sは0〜2の整数を表す。
10及びA11は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表す。
sが2のとき、複数存在するA10は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
10は、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
sが2のとき、複数存在するX10は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される基を表す。
m1は1又は2を表し、m2は0又は1を表す。但し、m1+m2=2の関係を満たす。
m1が2の時、複数存在するXは互いに同一であっても異なっていてもよく、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
は、有機アニオンを表す。]
以下の説明において、塩(I)から、有機アニオン(A)を除去してなる正電荷を有するものを、場合により「有機カチオン」という。
まず、塩(I)を構成する有機カチオンから説明する。
は、置換基を有してもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基などが挙げられ、中でも、フェニル基及びナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。該置換基としては、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基及びヒドロキシ基などが挙げられ、中でも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
は、塩基解離性基を表す。塩基解離性基とは、レジストパターンを製造するための現像工程において、アルカリ現像液(アルカリ水溶液であり、後述するレジストパターンの製造方法において用いられるアルカリ現像液が挙げられる。)の作用により解離する基をいう。言い換えると、アルカリの作用により分解し、親水性基(アルカリ可溶性基など)が形成し得る基を塩基解離性基という。
このような塩基解離性基は、通常、脱離基を有し、後述するレジストパターンの製造方法における工程(5)において、アルカリ現像液と接触すると、当該脱離基が脱離して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成するものである。
なお、本明細書でいう「解離」とは、結合が切断されて複数の分子が形成されることを意味し、開環反応といった、結合が切断されても複数の分子が形成されない場合は含まない。
前記塩基解離性基は例えば、以下の式(I−R−1)又は式(I−R−2)で表される基が好ましく、式(I−R−2)で表される基がより好ましい。
Figure 0006011095
[式(I−R−1)中、
21は炭素数1〜6のフッ素原子を有していてもよいアルキル基を表す。R22は、炭素数1〜3のフッ素原子を有していてもよいアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表す。*はXとの結合手を表す。]
Figure 0006011095
[式(I−R−2)中、
23は炭素数1〜6のフッ素原子を有していてもよいアルキル基を表す。*はXとの結合手を表す。]
以下、これらの基のそれぞれを式番号に応じて、それぞれ「基(I−R−1)」及び「基(I−R−2)」という。
前記基(I−R−1)は、アルカリ現像液の作用により、親水性基であるカルボキシ基に変換される。一方、前記基(I−R−2)は、アルカリ現像液の作用により、親水性基であるヒドロキシ基に変換される。
21、R22及びR23のフッ素原子を有するアルキル基は、すでに例示した炭素数1〜6のアルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部が、フッ素原子に置換されたものであり、中でも、トリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,1,2,2,3,3−ペプタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基及びペルフルオロヘキシル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基等のペルフルオロアルキル基がより好ましい。
なお、塩(I)が有する塩基解離性基がアルカリの作用により解離するか否かは例えば、以下の方法で確認できる。
例えば、塩(I)を適当な溶剤に溶解し、アルカリ溶液を添加し、加熱する。このような操作により、塩(I)に含まれる塩基解離性基(R)が解離して、該塩基解離性基をヒドロキシ基又はカルボキシル基に変換させることができる。塩基解離性基が解離して生成した化合物を、酸性度測定、NMR測定及びMS測定などに供することにより、当該化合物が、該塩基解離性基が変換されたヒドロキシ基又はカルボキシル基を有していることを確認できる。かかる操作で用いる溶剤は、通常、供試する塩(I)を溶解し得るものが選ばれる。例えば、後に例示する塩(I)を供試する場合、当該溶剤は、ジメチルホルムアミドが好ましい。アルカリ溶液は、当該塩(I)を含有する本レジスト組成物からレジストパターンを製造する際に用いるアルカリ現像液を用いることができる。このアルカリ現像液の具体例については後述する。
として好ましい塩基解離性基の具体例を挙げる。
基(I−R−1)としては例えば、以下の基が挙げられる。
Figure 0006011095
一方、基(I−R−2)としては例えば、以下の基が挙げられる。
Figure 0006011095
及びXは、それぞれ独立に、前記式(a−g1)を表される基(以下、場合により「基(a−g1)」という。)である。
10及びA11の脂肪族炭化水素基は典型的には、アルカンジイル基である。当該アルカンジイル基は、炭素数1〜5の範囲ですでに例示したものを含む。
基(a−g1)は、X10のように、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基等の原子又は原子団を含む2価の基である。
s=0である場合の基(a−g1)は、上述したアルカンジイル基が挙げられる。
sが1又は2である場合、基(a−g1)は、X10のように、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基等の原子又は原子団を含む2価の基である。これらの具体例を以下に示す。
酸素原子を有する基(a−g1)としては、
Figure 0006011095
などが挙げられる(*は結合手を表す)。
カルボニル基を有する基(a−g1)としては、
Figure 0006011095
などが挙げられる(*は結合手を表す)。
カルボニルオキシ基を有する基(a−g1)としては、
Figure 0006011095
などが挙げられる(*は結合手を表す)。
オキシカルボニル基を有する基(a−g1)としては、
Figure 0006011095
などが挙げられる(*は結合手を表す)。
以上、基(a−g1)の具体例を説明したが、これらの中でも、sが0であり、かつA11が炭素数1〜5のアルカンジイル基(より好ましくは、炭素数1〜4のアルカンジイル基)である基、すなわち、アルカンジイル基(さらに好ましくは、メチレン基又はエチレン基)、又は、sが1であり、A10及びA11がそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルカンジイル基であり、かつX10が酸素原子である基がXとして好ましい。後述する塩(I)の製造の観点からは、Rの塩基解離性基の種類によって、好ましいXは次のとおりである。Rが基(I−R−1)のとき、Xとしては、sが1であり、A10及びA11がそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルカンジイル基であり、かつX10が酸素原子である基(a−g1)が好ましい。また、Rが基(I−R−2)のとき、Xとしては、炭素数1〜5のアルカンジイル基が好ましい。一方、Xは炭素数1〜5のアルカンジイル基が好ましく、炭素数1〜4のアルカンジイル基がより好ましく、メチレン基及びエチレン基がさらに好ましい。
以上、塩(I)を構成する有機カチオンに関し、R、R、X及びXのそれぞれについて説明したが、ここで、塩(I)を構成する有機カチオンの具体例を示す。
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
次に、塩(I)を構成する有機アニオン(A)について説明する。
当該有機アニオンは、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン及びカルボン酸アニオンからなる群から選ばれる。これらの中でも、スルホン酸アニオンが好ましく、式(I−A)で表されるスルホン酸アニオンがさらに好ましい。
Figure 0006011095
[式(I−A)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、単結合又は2価の炭素数1〜17の飽和炭化水素基を表し、該2価の飽和炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18のアルキル基又は置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。]
1及びQ2のペルフルオロアルキル基とは、すでに例示した炭素数1〜6のアルキル基において、当該アルキル基に含まれる全ての水素原子がフッ素原子に置き換わったものが該当する。具体的にいえば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基及びペルフルオロヘキシル基などである。ここでは、ペルフルオロアルキル基を、その具体例を挙げて説明したが、Q及びQはそれぞれ独立に、フッ素原子又はトリフルオロメチル基が好ましく、Q及びQはともにフッ素原子がさらに好ましい。
b1の2価の脂肪族飽和炭化水素基は、炭素数1〜17の範囲において、すでに例示したアルカンジイル基、上述の式(KA−1)〜式(KA−22)のいずれかの脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った、2価の脂環式炭化水素基などが挙げられる。当該アルカンジイル基は、直鎖でも分岐していてもよい。また、Lb1のの2価の脂肪族飽和炭化水素基は、炭素数17以下の範囲であれば、アルカンジイル基と、2価の脂環式炭化水素基とを任意に組み合わせた2価の基でもよい。
b1の2価の脂肪族飽和炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基の具体例としては、例えば、以下の式(b1−1)〜式(b1−7)のいずれかで表される基が挙げられる。Lb1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれかで表される基であり、さらに好ましくは式(b1−1)又は式(b1−3)で表される基である。なお、式(b1−1)〜式(b1−7)における結合手を示す*は、その左右を式(I−A)に合わせて記載しており、左側の結合手は、C(Q1)(Q2)の炭素原子(Q1及びQ2に結合している炭素原子)と結合している。以下に示す式(b1−1)〜式(b1−7)の具体例も同様である。
Figure 0006011095
式(b1−1)〜式(b1−7)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜15の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b3は、単結合又は炭素数1〜12の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b4は、炭素数1〜13の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb3及びLb4の合計炭素数の上限は13である。
b5は、単結合又は炭素数1〜14の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b6は、炭素数1〜15の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb5及びLb6の合計炭素数の上限は15である。
b7は、単結合又は炭素数1〜15の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b8は、炭素数1〜16の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb7及びLb8の合計炭素数の上限は16である。
b9は、単結合又は炭素数1〜13の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b10は、炭素数1〜14の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb9及びLb10の合計炭素数の上限は14である。
b11及びLb12は、単結合又は炭素数1〜11の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b13は、炭素数1〜12の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb11、Lb12及びLb13の合計炭素数の上限は12である。
b14及びLb15は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜13の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。
b16は、炭素数1〜14の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表す。但しLb14、Lb15及びLb16の合計炭素数の上限は14である。
式(b1−1)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 0006011095
式(b1−2)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 0006011095
式(b1−3)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 0006011095
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 0006011095
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 0006011095
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 0006011095
式(b1−7)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 0006011095
Yがアルキル基である場合、当該アルキル基は炭素数1〜18の範囲ですでに例示したものを含むが、中でも炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。また、当該アルキル基を構成するメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基に置き換わっていてもよい。
Yが脂環式炭化水素基である場合、炭素数3〜18の範囲ですでに例示したものを含み、当該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基に置き換わっていてもよい。中でも、Yの脂環式炭化水素基としては、以下の式(Y1)〜式(Y11)でそれぞれ表される基が好ましく、当該脂環式炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基に置き換わった基としては、以下の式(Y12)〜式(Y26)でそれぞれ表される基が好ましい。
Figure 0006011095
なかでも、好ましくは式(Y1)〜式(Y19)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)又は式(Y19)で表される基であり、さらに好ましくは式(Y11)又は式(Y14)で表される基である。
Yのアルキル基及び脂環式炭化水素基が任意に有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;ハロゲン原子又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基;アルキル基、脂環式炭化水素基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、アルキル基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1基(式中、Rb1は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す。)などが挙げられる。Yがアルキル基である場合、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基を置換基として有していてもよく、Yが脂環式炭化水素基である場合、アルキル基を置換基として有していてもよい。
なかでも、好ましくは式(Y1)〜式(Y19)のいずれかで表される基であり、より好ましくは式(Y11)、式(Y14)、式(Y15)又は式(Y19)で表される基であり、さらに好ましくは式(Y11)又は式(Y14)で表される基である。
Yのアルキル基及び脂環式炭化水素基が任意に有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子;ヒドロキシ基;ハロゲン原子又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基;アルキル基、脂環式炭化水素基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、アルキル基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1基(式中、Rb1は、炭素数1〜16のアルキル基、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す。)などが挙げられる。Yがアルキル基である場合、炭素数3〜16の脂環式炭化水素基を置換基として有していてもよく、Yが脂環式炭化水素基である場合、アルキル基を置換基として有していてもよい。
前記ハロゲン原子は、すでに例示したもののいずれでもよい。。
前記アルコキシ基は、炭素数1〜12の範囲ですでに例示したものを含むが、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、炭素数1〜18の範囲ですでに例示したものを含む。なお、置換基を有する芳香族炭化水素基としては、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、2,6−ジエチルフェニル基及び2−メチル−6−エチルフェニルなどが挙げられる。
前記アラルキル基及び前記アシル基はそれぞれの炭素数の範囲ですでに例示したものを含む。
Yが置換基を有する脂環式炭化水素基である場合の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
Figure 0006011095
Yは、好ましくは置換基を有していてもよいアダマンチル基であり、より好ましくはアダマンチル基又はオキソアダマンチル基である。
式(I−A)で表される有機アニオンの、Q1、Q2、Lb1及びYについて好適例を示しつつ説明したが、ここで、より好ましい式(I−A)で表される有機アニオンを挙げると、以下の式(b−1−1)〜式(b−1−9)でそれぞれ表されるものが挙げられる。
Figure 0006011095
式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)で表される有機アニオンにおいて、Lb2は前記と同じ意味であり、Rb2及びRb3は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基(好ましくは、メチル基)を表す。ここに示す有機アニオンは、特開2010−204646号公報に記載されている。
さらに好ましい有機アニオンを具体的に示すと以下のとおりである。
Figure 0006011095
以上、塩(I)を、それを構成する有機カチオンと、有機アニオンとに分けて説明したが、当該塩(I)はこれらを任意に組み合わせることができる。この組み合わせを、式(I−c−1)〜式(I−c−76)で表される有機カチオンと、式(I−a−1)〜式(I−a−7)で表される有機アニオンとの組み合わせで表して、表1〜表13にまとめる。
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
表1〜表13により、有機アニオン及び有機カチオンの組み合わせで示した塩(I)の中でも、さらに好ましい塩(I)を具体的に示すと、以下のとおりである。
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
次に、塩(I)の製造方法を、
m1及びm2がともに1であり、Xは、sが1及びX10が酸素原子である基(a−g1)であり、Rが基(I−R−1)である塩(I)[下記式(I1)で表される塩(I)(塩(I1))];
m1が2であり、X及びXはともに、sが1及びX10が酸素原子である基(a−g1)であり、R及びRがともに、基(I−R−1)である塩(I)[下記式(I2)で表される塩(I)(塩(I2))];
m1及びm2がともに1であり、Xは、sが1及びX10が酸素原子である基(a−g1)であり、Rが式(I−R−2)で表される基である塩(I)[下記式(I3)で表される塩(I)(塩(I3))];
m1が2であり、X及びXはともに、sが1及びX10が酸素原子である基(a−g1)であり、R及びRがともに、基(I−R−2)である塩(I)[下記式(I4)で表される塩(I)(塩(I4))]
に分けて説明する。
塩(I1)は、式(I1−b)で表される塩と、該式(I1−b)で表される塩に対して略1当量の式(I1−a)で表される化合物とを塩基触媒の存在下、溶剤中で反応させることにより製造することができる。この反応を反応式の形式で示すと以下のとおりである。
Figure 0006011095
(式中、全ての符号は、それぞれ前記と同義である。)
この反応で用いる溶剤は例えば、アセトニトリルなどである。
塩基触媒としては、トリエチルアミンなどが用いられる。
式(I1−a)で表される化合物は、式(I1−c)で表される化合物と、式(I1−d)で表される化合物とを塩基触媒の存在下、溶剤中で反応させることにより製造することができる。この反応を反応式の形式で示すと以下のとおりである。
Figure 0006011095
(式中、全ての符号は、それぞれ前記と同義である。)
この反応で用いる溶剤は例えば、テトラヒドロフランなどである。
塩基触媒としては、ピリジン及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩などが用いられる。
式(I1−c)で表される化合物は、所望のR21及びR22に応じて、公知の方法により製造したり、市販品を入手したりすれば準備できる。市販品としては例えば、以下で表される化合物などがある。このように容易に入手できる市販品から、容易に式(I1−a)で表される化合物を製造できるという点では、R21は炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基であり、R22が水素原子であると好ましい。
Figure 0006011095
式(I1−d)で表される化合物についても市場から容易に入手できる市販品を用いることができる。市販の式(I1−d)で表される化合物としては、以下で表される化合物などがある。
Figure 0006011095
式(I1−b)で表される塩は、式(I1−e)で表される塩と、式(I1−f)で表される化合物とを触媒存在下、溶剤中で反応させることにより製造することができる。この反応を反応式の形式で示すと以下のとおりである。
Figure 0006011095
(式中、全ての符号は、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
この反応に用いる溶剤は例えば、モノクロロベンゼンなどである。
触媒としては、安息香酸銅(II)などが用いられる。
式(I1−e)で表される塩としては、以下で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0006011095

Figure 0006011095
式(I−f)で表される化合物は、以下で表される化合物などが挙げられる。
Figure 0006011095
塩(I2)は、式(I2−b)で表される塩と、該式(I2−b)で表される塩に対して略2当量の式(I1−a)で表される化合物とを塩基触媒の存在下、溶剤中で反応させることにより製造することができる。この反応を反応式の形式で示すと以下のとおりである。
Figure 0006011095
(式中、全ての符号は、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
この反応で用いる溶媒及び塩基触媒、並びに、式(I1−a)で表される化合物を準備する方法はいずれも、上述の塩(I1)の製造で説明したものと同じである。
塩(I3)は、式(I3−b)で表される塩と、該式(I3−b)で表される塩に対して略1当量の式(I3−a)で表される化合物とを塩基触媒の存在下、溶剤中で反応させることにより製造することができる。この反応を反応式の形式で示すと以下のとおりである。
Figure 0006011095
(式中、A12はアルカンジイル基を表し、A12とR24との合計炭素数は4以下である。その他の符号は、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
この反応に用いる溶剤は例えば、アセトニトリルなどである。
塩基触媒としては、ピリジンなどが用いられる。
式(I3−a)で表される化合物も市場から容易に入手できる市販品を用いることができる。かかる市販品としては、以下で表される化合物などがある。
Figure 0006011095
式(I3−b)で表される塩は、塩(I1)の製造で説明した式(I1−b)で表される塩などが使用できる。
塩(I4)は、式(I4−b)で表される塩と、該式(I4−b)で表される塩に対して略2当量の式(I3−a)で表される化合物とを塩基触媒存在下、溶剤中で反応させることにより製造することができる。この反応を反応式の形式で示すと以下のとおりである。
Figure 0006011095
(式中、全ての符号は、それぞれ前記と同じ意味を表す。)
この反応で用いる溶剤及び塩基触媒、並びに式(I3−a)で表される化合物はいずれも、上述の塩(I3)の製造で説明したものと同じである。
<塩(I)以外の酸発生剤>
単独種又は複数種の塩(I)を、酸発生剤として用いることにより得られる本レジスト組成物は、優れたCD均一性(CDU)のレジストパターンを製造できるが、本レジスト組成物には、塩(I)以外の公知の酸発生剤をさらに用いることもできる。塩(I)以外の酸発生剤としては、イオン性酸発生剤でも、非イオン性発生剤でもよいが、イオン性酸発生剤であると好ましい。以下、本レジスト組成物に含有することができる、塩(I)以外の酸発生剤を場合により、「酸発生剤(B)」という。
酸発生剤(B)としては、例えば、式(B1−1)〜式(B1−20)のいずれかで表されるものが挙げられる。中でもトリフェニルスルホニウムカチオン、トリトリルスルホニウムカチオンを含むものが好ましく、式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)及び式(B1−14)でそれぞれ表される塩がさらに好ましい。
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
<樹脂(A)>
樹脂(A)は上述のとおり、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる特性(以下、場合により「酸作用特性」という。)を有するものである。なお、「酸の作用によりアルカリ水溶液で溶解し得る」とは、「酸との接触前ではアルカリ水溶液に不溶又は難溶であるが、酸との接触後にはアルカリ水溶液に可溶となる」ことを意味する。
酸作用特性を有する樹脂(A)は、その分子内に、脱離基を含む基であり、酸の作用により該脱離基が脱離して親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基(以下、場合により「酸分解性基」という。)を有する。このような樹脂(A)は、酸分解性基を有するモノマー(以下、このモノマーを場合により「モノマー(a1)」といい、該モノマー(a1)由来の構造単位を「構造単位(a1)」という。)を重合することによって製造できる。酸作用特性を有する樹脂(A)を製造する際には、モノマー(a1)を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<酸分解性基>
酸分解性基としては、例えば、式(1)で表される基(酸分解性基(1))、式(2)で表される基(酸分解性基(2))などが挙げられる。
Figure 0006011095
[式(1)中、
a1、Ra2及びRa3(Ra1〜Ra3)は、それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すか、Ra1及びRa2は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。*は結合手を表す。]
Figure 0006011095
[式(2)中、
a1’及びRa2’は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表し、Ra3’は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、Ra2’及びRa3’は互いに結合して炭素数2〜20の2価の炭化水素基を形成する。該1価の炭化水素基及び該2価の炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子に置き換わってもよい。*は結合手を表す。]
酸分解性基(1)のRa1〜Ra3のアルキル基及び脂環式炭化水素基は、各々の炭素数の範囲において、すでに例示したものを含む。ただし、該脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜16の範囲である。
a1及びRa2が互いに結合して2価の炭化水素基を形成する場合とは、−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)で表される基が、以下のいずれかの基となる場合である。該2価の炭化水素基の炭素数は、好ましくは3〜12の範囲である。
Figure 0006011095
酸分解性基(1)としては、例えば、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1〜Ra3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブチル基)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2が結合することで、アダマンチル環を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
酸分解性基(2)のRa1’及びRa2’の炭化水素基は、例えば、アルキル基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基などである。これらの基の具体例もすでに例示したもののうち、炭素数20以下の範囲で同じものを含む。ただし、Ra1'及びRa2'のうち少なくとも1つは水素原子であると好ましい。
酸分解性基(2)の具体例としては、以下の基が挙げられる。
Figure 0006011095
モノマー(a1)は、酸分解性基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマーが好ましく、酸分解性基を有する(メタ)アクリル系モノマーがさらに好ましい。
なかでも、酸分解性基(1)及び/又は酸分解性基(2)を有するモノマー(a1)が好ましく、酸分解性基(1)及び/又は酸分解性基(2)を有するを有する(メタ)アクリル系モノマーが特に好ましい。
酸分解性基を有する(メタ)アクリル系モノマーのうち、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基を有するモノマー(a1)が好ましい。このようなモノマー(a1)を用いて得られる樹脂(A)は、脂環式炭化水素基のような嵩高い構造を有するものとなるので、該樹脂(A)を含有する本レジスト組成物の解像度が一層良好となる傾向がある。
<好適な構造単位(a1)>
かかる脂環式炭化水素基を有するモノマー(a1)を用いて得られる好適な構造単位(a1)を有する樹脂(A)について、さらに詳述する。該樹脂(A)の中でも、式(a1−1)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(a1−1)」という。)又は式(a1−2)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(a1−2)」という。)を有する樹脂(A)が好ましい。かかる樹脂(A)には、構造単位(a1−1)を単独種で有していてもよく、複数種有していてもよく、構造単位(a1−2)を単独種で有していてもよく、複数種有していてもよく、構造単位(a1−1)と構造単位(a1−2)とを合わせて有していてもよい。
Figure 0006011095
[式(a1−1)中、
a1は、酸素原子又は*−O−(CH2k1−CO−O−(k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基との結合手を表す。)で表される基を表す。
a4は、水素原子又はメチル基を表す。
a6は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
式(a1−2)中、
a2は、酸素原子又は*−O−(CH2k1−CO−O−(k1は前記と同義である。)で表される基を表す。
a5は、水素原子又はメチル基を表す。
a7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。]
a1及びLa2は、好ましくは、酸素原子又は、k1が1〜4の整数である*−O−(CH2k1−CO−O−で表される基であり、より好ましくは酸素原子又は*−O−CH2−CO−O−であり、さらに好ましくは酸素原子である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7の脂肪族炭化水素基のうち、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基であり、この炭素数の上限以下の範囲で、すでに例示したものと同じものを含む。Ra6及びRa7の脂肪族炭化水素基はそれぞれ独立に、好ましくは炭素数8以下のアルキル基又は炭素数8以下の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは炭素数6以下のアルキル基又は炭素数6以下の脂環式炭化水素基である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は、好ましくは0又は1である。
構造単位(a1−1)としては、以下の式(a1−1−1)〜式(a1−1−8)のいずれかで表される構造単位が好ましく、式(a1−1−1)〜(a1−1−4)のいずれかで表される構造単位がより好ましい。
Figure 0006011095
Figure 0006011095
これらの構造単位(a1−1)を誘導し得るモノマー(a1)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたものなどが挙げられる。
一方、構造単位(a1−2)としては、以下の式(a1−2−1)〜式(a1−2−12)のいずれかで表される構造単位が好ましい。これらのなかでも、式(a1−2−1)〜式(a1−2−4)及び式(a1−2−9)〜式(a1−2−10)で表される構造単位がより好ましく、式(a1−2−3)又は(a1−2−9)で表される構造単位がさらに好ましい。
Figure 0006011095

Figure 0006011095
構造単位(a1−2)を誘導し得るモノマー(a1)としては、例えば、1−エチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘプタン−1−イル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレート及び1−イソプロピルシクロペンタン−1−イル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
樹脂(A)が構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を有する場合、これらの合計含有割合は、該樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましく、20〜60モル%の範囲が特に好ましい。また、構造単位(a1)として、アダマンチル基を有する構造単位(a1)(特に好ましくは、構造単位(a1−1))を有する場合には、樹脂(A)中の構造単位(a1)の合計(100モル%)に対して、アダマンチル基を有する構造単位(a1)が15モル%以上であることが好ましい。このような含有割合で、アダマンチル基を有する構造単位(a1)を有する樹脂(A)は、該樹脂(A)を含有するレジスト組成物から製造されるレジストパターンのドライエッチング耐性が良好となる傾向がある。なお、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)の合計含有割合を、上述の範囲にするためには、樹脂(A)を製造する際に、全モノマーの使用量に対する、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマーの使用量を調整すればよい。
樹脂(A)が有する構造単位のうち、該樹脂(A)が酸作用特性を有するうえで好ましい構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)について詳述したが、これらの中でも構造単位(a1−1)を樹脂(A)が有していると特に好ましい。
樹脂(A)は、好適な構造単位(a1)である構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)以外の構造単位(a1)を有していてもよい。以下、構造単位(a1−1)及び構造単位(a1−2)以外の構造単位(a1)を、当該構造単位(a1)を誘導するモノマー(a1)を示すことで説明する。
樹脂(A)は、以下の式(a1−3)で表されるモノマー(以下、場合により「モノマー(a1−3)」という。)に由来する構造単位(a1)を有していてもよい。該モノマー(a1−3)に由来する構造単位(a1)を有する樹脂(A)は、その主鎖に剛直なノルボルナン環を含むものとなるので、このような樹脂(A)を含有する本レジスト組成物は、ドライエッチング耐性に優れたレジストパターンを製造できる傾向がある。
Figure 0006011095
式(a1−3)中、
a9は、水素原子、置換基(例えばヒドロキシ基)を有していてもよい炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基、シアノ基、又は−COORa13で表される基を表し、Ra13は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子はヒドロキシ基などに置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。Ra10、Ra11及びRa12は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基を表すか、或いはRa10及びRa11は互いに結合して環を形成している。該脂肪族炭化水素基及に含まれる水素原子はヒドロキシ基などで置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
a9の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基は典型的には、置換基を有していてもよいアルキル基であり、かかるアルキル基のうち、置換基を有さないアルキル基は、その炭素数が1〜8の範囲ですでに例示したものを含む。置換基、特にヒドロキシ基を有する脂肪族炭化水素基(アルキル基)としては例えば、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基などである。Ra13としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、2−オキソ−オキソラン−3−イル基及び2−オキソ−オキソラン−4−イル基などが挙げられる。
a10〜Ra12の脂肪族炭化水素基も典型的には、アルキル基であり、その具体例はRa9の場合と同じである。Ra10とRa11とが結合し、これらが結合する炭素原子とともに形成される環は、シクロへキサン環及びアダマンタン環などである。
モノマー(a1−3)としては例えば、特開2010−204646号公報に記載されたものが用いられる。これらの中でも、以下の式(a1−3−1)、式(a1−3−2)、式(a1−3−3)及び式(a1−3−4)でそれぞれ表されるモノマーが好ましく、式(a1−3−2)又は(a1−3−4)で表されるモノマーがより好ましく、式(a1−3−2)で表されるモノマーがさらに好ましい。
Figure 0006011095
樹脂(A)が、モノマー(a1−3)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(A)は以下の式(a1−4)で表されるモノマー(以下「モノマー(a1−4)」という場合がある。)に由来する構造単位(a1)を有していてもよい。
Figure 0006011095
[式(a1−4)中、
10は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
は0〜4の整数を表す。
11は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表し、lが2以上である場合、複数のR11は互いに同一であっても異なってもよい。
12及びR13はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
a2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基又は単結合を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又は−N(R)−(ただし、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す)で表される基に置き換わっていてもよい。
a3は、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表す。]
「ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基」のうち、アルキル基としては、炭素数が1〜6の範囲ですでに例示したものを含む。ハロゲン原子を有するアルキル基としては、フッ素原子を有するアルキル基が好ましい。その具体例としては、例えば、塩(I)を構成する有機アニオンのQ及びQで説明したペルフルオロアルキル基などである。これらの中でも、R10としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
11のアルコキシ基は、炭素数1〜6の範囲において、すでに例示したものを含むが、中でも、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
11のアシル基及びアシルオキシ基も、その炭素数が2〜4の範囲において、すでに例示したものを含む。
12及びR13の炭化水素基は、その炭素数が1〜12の範囲において、Ya3の炭化水素基は、その炭素数が1〜18の範囲において、すでに例示した脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれかを含む。
a2の脂肪族炭化水素基は2価の鎖式炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基又は、鎖式炭化水素基と脂環式炭化水素基とが組み合わさった2価の基であり、炭素数1〜17の範囲ですでに例示した基を適宜組み合わせた基を挙げることができる。
モノマー(a1−4)としては、例えば、特開2010−204646号公報に記載されたモノマーが挙げられる。中でも、以下の式(a1−4−1)〜式(a1−4−7)のいずれかで表されるモノマーが好ましく、式(a1−4−1)〜式(a1−4−5)のいずれかで表されるモノマーがより好ましい。
Figure 0006011095
樹脂(A)がモノマー(a1−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲が特に好ましい。
他のモノマー(a1)としては、例えば、式(a1−5)で表されるモノマー(以下「モノマー(a1−5)」という場合がある)を用いてもよい。
Figure 0006011095
式(a1−5)中、
31は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
〜Lは、酸素原子、硫黄原子又は*−O−(CH2k4−CO−O−で表される基を表す。ここで、k4は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手である。
1’は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基中に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
s1及びs1’は、それぞれ独立して、0〜4の整数を表す。
式(a1−5)においては、R31は、水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基が好ましい。
は、酸素原子が好ましい。
及びLは、一方が酸素原子、他方が硫黄原子であると好ましい。
s1は、1が好ましい。
s1’は、0〜2の整数が好ましい。
1’は、単結合又は*−CH−CO−O−が好ましい。
モノマー(a1−5)としては、以下のモノマーが挙げられる。
Figure 0006011095
樹脂(A)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜95モル%の範囲が好ましく、3〜90モル%の範囲がより好ましく、5〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
<酸安定構造単位>
樹脂(A)は、酸不安定基を含む構造単位(a1)に加え、酸不安定基を有さない構造単位(以下、場合により「酸安定構造単位」といい、該酸安定構造単位を誘導し得るモノマーを、「酸安定モノマー」という。)を有していると好ましい。該樹脂(A)中、酸安定構造単位は1種のみを有していてもよく、複数種を有していてもよい。
樹脂(A)が酸安定構造単位を有する場合、構造単位(a1)の含有割合を基準にして、酸安定性構造単位の含有割合を定めるとよい。構造単位(a1)の含有割合と酸安定性構造単位の含有割合との比は、〔構造単位(a1)〕/〔酸安定構造単位〕で表して、好ましくは10〜80モル%/90〜20モル%であり、より好ましくは20〜60モル%/80〜40モル%である。このようにすると、樹脂(A)を含有する本レジスト組成物から得られるレジストパターンのドライエッチング耐性がより一層良好になる傾向がある。
次に、酸安定構造単位のうち、好ましいものを説明する。
酸安定構造単位は、ヒドロキシ基又はラクトン環を有する構造単位が好ましい。ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位(以下、場合により「酸安定構造単位(a2)」という。)及び/又はラクトン環を有する酸安定構造単位(以下、場合により「酸安定構造単位(a3)」という。)を有する樹脂(A)は、当該樹脂(A)を含有する本レジスト組成物を基板に塗布したとき、基板上に形成される塗布膜、又は塗布膜から得られる組成物層が基板との間の密着性に優れるため、良好な解像度で、レジストパターンを製造することができる。なお、ここでいう本レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法に関しては後述する。まず、酸安定構造単位として好適な、酸安定構造単位(a2)及び酸安定構造単位(a3)に関して具体例を挙げつつ説明する。
<酸安定構造単位(a2)>
酸安定構造単位(a2)を樹脂(A)に導入する場合、当該樹脂(A)を含有する本レジスト組成物からレジストパターンを製造する際の露光源の種類によって、各々、好適な酸安定構造単位(a2)を選択することができる。すなわち、本レジスト組成物を、KrFエキシマレーザ(波長:248nm)を露光源とする露光、電子線あるいはEUV光などの高エネルギー線を露光源とする露光に用いる場合には、酸安定構造単位(a2)として、フェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位(a2−0)を樹脂(A)に導入することが好ましい。短波長のArFエキシマレーザ(波長:193nm)を露光源とする露光を用いる場合は、酸安定構造単位(a2)として、後述の式(a2−1)で表される酸安定構造単位を樹脂(A)に導入することが好ましい。このように、樹脂(A)が有する酸安定構造単位(a2)は各々、レジストパターンを製造する際の露光源によって好ましいものを選ぶことができるが、樹脂(A)が有する酸安定構造単位(a2)は、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)1種のみを有していてもよく、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)2種以上を有していてもよく、或いは、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)と、それ以外の酸安定構造単位(a2)とを組み合わせて有していてもよい。
酸安定構造単位(a2)の具体例の1つは、以下の式(a2−1)で表されるもの(以下、場合により「酸安定構造単位(a2−1)」という。)である。
Figure 0006011095
式(a2−1)中、
a3は、酸素原子又は*−O−(CH2k2−CO−O−(k2は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手を表す。)で表される基を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
a3は、好ましくは、酸素原子又は、k2が1〜4の整数である*−O−(CH2k2−CO−O−で表される基であり、より好ましくは、酸素原子又は、*−O−CH2−CO−O−であり、さらに好ましくは酸素原子である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
酸安定構造単位(a2−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
Figure 0006011095
以上、例示した酸安定構造単位(a2−1)は、例えば、特開2010−204646号公報に記載された酸安定モノマーから誘導される。これらの中でも、式(a2−1−1)、式(a2−1−2)、式(a2−1−3)又は式(a2−1−4)のいずれかで表される酸安定構造単位がより好ましく、式(a2−1−1)又は(a2−1−3)で表される酸安定構造単位がさらに好ましい。
樹脂(A)が酸安定構造単位(a2−1)を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位に対して、3〜45モル%の範囲が好ましく、5〜40モル%の範囲がより好ましく、5〜35モル%の範囲がさらに好ましい。
次に、ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位のうち、フェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位について説明する。該酸安定構造単位は、以下の式(a2−0)で表されるもの(以下、場合により「酸安定構造単位(a2−0)」という。)が好ましい。
Figure 0006011095
式(a2−0)中、
a30は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の整数である場合、複数のRa31の全部又は一部は同じであってもよい。
a30の「ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基」における「炭素数1〜6のアルキル基」の具体例は、炭素数がこの範囲において、すでに例示したものを含む。「ハロゲン原子を有する炭素数1〜6のアルキル基」とは、該炭素数1〜6のアルキル基に含まれる水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子に置換されたものである。なお、ハロゲン原子の具体例もすでに説明したとおりである。これらのうち、Ra30は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
a31のアルコキシ基の具体例は、炭素数1〜6の範囲で、すでに例示したものを含む。これらのうち、Ra31は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
maは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
maは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0がさらに好ましい。
酸安定構造単位(a2−0)の中でも、以下の式(a2−0−1)、式(a2−0−2)、式(a2−0−3)及び式(a2−0−4)でそれぞれ表されるものが好ましい。かかる構造単位を誘導し得る酸安定モノマーは、例えば、特開2010−204634号公報に記載されている。
Figure 0006011095
p−ヒドロキシスチレンやp−ヒドロキシ−α−メチルスチレンといった酸安定構造単位(a2−0)を誘導し得る酸安定モノマー[以下、場合により「酸安定モノマー(a2)」という。]を、樹脂(A)製造に用いることにより、式(a2−0−1)又は式(a2−0−2)で表される酸安定構造単位(a2−0)を、樹脂(A)に導入することができるが、該酸安定モノマー(a2)にあるフェノール性ヒドロキシ基を例えば、アセチル基のような保護基で保護し、保護化酸安定モノマー(a2)とした後、この保護化酸安定モノマー(a2)を用いて樹脂(A)を製造することもできる。保護化酸安定モノマー(a2)に由来する構造単位を有する樹脂を脱保護処理して、保護基を脱離することにより、酸安定構造単位(a2−0)を有する樹脂(A)を製造できる。ただし、脱保護処理を実施する際には、他の構造単位(a1)を著しく損なわないようにして、該脱保護処理を実施する必要がある。
樹脂(A)が酸安定構造単位(a2−0)を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜90モル%の範囲が好ましく、10〜85モル%の範囲がより好ましく、15〜80モル%の範囲がさらに好ましい。
<酸安定構造単位(a3)>
酸安定構造単位(a3)が有するラクトン環は例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環及びδ−バレロラクトン環のような単環式でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、γ−ブチロラクトン環及びγ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が好ましい。
酸安定構造単位(a3)は好ましくは、以下の式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表されるものである。樹脂(A)は、これらのうち1種のみを有していてもよく、2種以上を有していてもよい。なお、以下の説明においては、式(a3−1)で表されるものを「酸安定構造単位(a3−1)」という場合があり、式(a3−2)で表されるものを「酸安定構造単位(a3−2)」という場合があり、式(a3−3)で表されるものを「酸安定構造単位(a3−3)」という場合がある。
Figure 0006011095
[式(a3−1)中、
a4は、酸素原子又は*−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a18は、水素原子又はメチル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a21は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、p1が2以上の場合、複数のRa21の全部又は一部は同じであってもよい。
式(a3−2)中、
a5は、酸素原子又は*−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
q1は、0〜3の整数を表す。
a22は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、q1が2以上の場合、複数のRa22の全部又は一部は同じであってもよい。
式(a3−3)中、
a6は、酸素原子又は*−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)で表される基を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a20は、水素原子又はメチル基を表す。
r1は、0〜3の整数を表す。
a23は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、r1が2以上の場合、複数のRa23の全部又は一部は同じであってもよい。]
式(a3−1)〜式(a3−3)において、La4〜La6は、式(a2−1)のLa3で説明したものと同じものが挙げられる。
a4〜La6は、それぞれ独立に、酸素原子又は、k3が1〜4の整数である*−O−(CH2k3−CO−O−で表される基が好ましく、酸素原子及び、*−O−CH2−CO−O−がより好ましく、さらに好ましくは酸素原子である。
a18〜Ra21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。なお、p1が2である場合、2つのRa21は互いに同一でも異なっていてもよく、q1が2である場合、2つのRa22は互いに同一でも異なっていてもよく、r1が2である場合、2つのRa23は互いに同一でも異なっていてもよい。
以下、酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)の各々の好適例を示す。
酸安定構造単位(a3−1)の好適例は、以下の式(a3−1−1)、式(a3−1−2)、式(a3−1−3)及び式(a3−1−4)でそれぞれ表されるものである。
Figure 0006011095
酸安定構造単位(a3−2)の好適例は、以下の式(a3−2−1)、式(a3−2−2)、式(a3−2−3)及び式(a3−2−4)でそれぞれ表されるものである。
Figure 0006011095
酸安定構造単位(a3−3)の好適例は、以下の式(a3−3−1)、式(a3−3−2)、式(a3−3−3)及び式(a3−3−4)でそれぞれ表されるものである。
Figure 0006011095
酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)は、特開2010−204646号公報に記載された酸安定モノマーにより誘導できる。上記の酸安定構造単位(a3)の具体例の中でも、式(a3−1−1)、式(a3−1−2)、式(a3−2−3)、式(a3−2−4)で表される酸安定構造単位がより好ましく、式(a3−1−1)又は式(a3−2−3)で表される酸安定構造単位がさらに好ましい。
樹脂(A)が、酸安定構造単位(a3)を有する場合、その合計含有割合は、該樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜70モル%の範囲が好ましく、10〜65モル%の範囲がより好ましく、10〜60モル%の範囲がさらに好ましい。
また、モノマー(a3−1)に由来する構造単位、モノマー(a3−2)に由来する構造単位及びモノマー(a3−3)に由来する構造単位それぞれの含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜60モル%が好ましく、5〜50モル%の範囲がより好ましく、10〜50モル%の範囲がさらに好ましい。
<その他の酸安定構造単位>
樹脂(A)が有する酸安定構造単位として、好適な酸安定構造単位(a2)及び酸安定構造単位(a3)を説明したが、当該樹脂(A)は酸安定構造単位(a2)及び酸安定構造単位(a3)以外の酸安定構造単位を有していてもよい。ここで、酸安定構造単位(a2)及び酸安定構造単位(a3)以外の酸安定構造単位(a4)という。以下、この酸安定構造単位(a4)を、当該酸安定構造単位(a4)を誘導し得る酸安定モノマー(以下、場合により「酸安定モノマー(a4)」という。)を示すことで説明する。
酸安定モノマー(a4)の具体例は例えば、以下の式(a4−1)で表されるモノマー(以下、場合により「モノマー(a4−1)」という。)である。
Figure 0006011095
[式(a4−1)中、
41は、水素原子又はメチル基を表す。
40は、式(a4−g1)で表される基を表す。
Figure 0006011095
(式(a4−g1)中、
ssは0〜2の整数を表す。
41及びA42は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表す。
ssが2のとき、複数存在するA41は、互いに同一であるか相異なる。
40は、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
ssが2のとき、複数存在するX40は、互いに同一であるか相異なる。)
42は、フッ素原子を有する炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。]
42の脂肪族炭化水素基は、典型的にはアルカンジイル基であり、当該アルカンジイル基は直鎖状であっても、分岐していてもよい。当該アルカンジイル基は炭素数1〜5の範囲ですでに例示したものを含むが、中でも、A41としては、炭素数1〜4のアルカンジイル基がより好ましく、エチレン基がさらに好ましい。
式(a4−g1)で表される基(以下、場合により「基(a4−g1)」という。)の具体例を以下に示す。各具体例において、*は結合手を表す。なお、当該基(a4−g1)が酸素原子及びカルボニル基をともに有する場合には、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基の形式で有していると好ましい。
酸素原子を有する基(a4−g1)としては、
Figure 0006011095
などが挙げられる。
カルボニル基を有する基(a4−g1)としては、
Figure 0006011095
などが挙げられる。
カルボニルオキシ基を有する基(a4−g1)としては、
Figure 0006011095
などが挙げられる。
オキシカルボニル基を有する基(a4−g1)としては、
Figure 0006011095
などが挙げられる。
42は、脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子のうち少なくとも一つがフッ素原子で置き換わった基である。脂肪族炭化水素基は、部分的に炭素−炭素不飽和結合を有していてもよいが、炭素−炭素不飽和結合を有さない脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。脂肪族飽和炭化水素基としては、アルキル基(直鎖及び分岐状)及び脂環式炭化水素基並びにアルキル基及び脂環式炭化水素基を組み合わせた脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
42のフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基を具体的に示すと、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ペルフルオロエチルメチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロ)メチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(ペルフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、ペルフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロシクロペンチル基、2−(ペルフルオロブチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキシル基、ペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロペンチルメチル基及びペルフルオロヘキシル基などが挙げられる。
42の脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基が酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基としては、例えば、式(a−g2)で表される基(以下、場合により「基(a−g2)」という。)が挙げられる。
Figure 0006011095
(式(a−g2)中、
51は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
50は、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
50は、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜15の1価の脂肪族炭化水素基を表す。
但し、A50又はA51の少なくともいずれかはフッ素原子を有するものであり、A50及びA51の炭素数の合計は17以下である。)
51がフッ素原子を有する2価の脂肪族炭化水素基である場合、当該脂肪族炭化水素基は典型的には、フッ素原子を有するアルカンジイル基及びフッ素原子を有する2価の脂環式炭化水素基(好ましくは、フッ素原子を有するシクロアルカンジイル基)が挙げられる。フッ素原子を有するアルカンジイル基は、アルカンジイル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものであり、フッ素原子を有する2価の脂環式炭化水素基とは、2価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものである。
ここでモノマー(a4−1)を、R42がフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、A40がエチレン基である場合の具体例で示すと、以下の式(a4−1−1)〜式(a4−1−22)でそれぞれ表されるモノマーが挙げられる。
Figure 0006011095
Figure 0006011095
42のフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基は、アルキル基に含まれる水素原子の全部がフッ素原子で置換されたペルフルオロアルキル基(例えば、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基及びペルフルオロオクチル基など)又はシクロアルキル基に含まれる水素原子の全部がフッ素原子で置換されたペルフルオロシクロアルキル基が好ましい。
42が、ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロシクロアルキル基である化合物は、上述の式(a4−1−3)、式(a4−1−4)、式(a4−1−7)、式(a4−1−8)、式(a4−1−11)、式(a4−1−12)、式(a4−1−15)、式(a4−1−16)、式(a4−1−19)、式(a4−1−20)、式(a4−1−21)及び式(a4−1−22)でそれぞれ表される化合物が該当する。
42としては、ペルフルオロアルキル基がより好ましい。さらに好ましくは、炭素数が1〜6のペルフルオロアルキル基であり、さらにより好ましくは、炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基である。
42が、式(a−g2)で表される基であるモノマー(a4−1)は、以下の式(a4−1’)で表される(以下、場合により「モノマー(a4−1’)」という)。
Figure 0006011095
[式(a4−1’)中、すべての符号はいずれも、前記と同義である。]
モノマー(a4−1’)において、A50及びA51はともにフッ素原子を有することもあるが、どちらか一方がフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であるものが好ましい。さらに、A50がフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であるものが好ましく、なかでも、A50はフッ素原子を有するアルカンジイル基であるものがより好ましく、ペルフルオロアルカンジイル基であるものがさらに好ましい。
42がペルフルオロアルカンジイル基であり、A40がエチレン基であるモノマー(a4−1’)としては、以下の式(a4−1’−1)〜式(a4−1’−46)でそれぞれ表されるモノマーが挙げられる。
Figure 0006011095
Figure 0006011095
Figure 0006011095
50及びA51の炭素数は、それらの合計が17以下である範囲で任意に選択されるが、A51の炭素数は1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。一方、A50の炭素数は4〜15が好ましく、5〜12がより好ましい。さらに好ましいA50は、炭素数6〜12の脂環式炭化水素基であり、シクロヘキシル基及びアダマンチル基がさらにより好ましい。
基(a−g2)を、A51がフッ素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、A50がシクロヘキシル基又はアダマンチル基である場合の好適例で示すと、以下のとおりである。
Figure 0006011095
Figure 0006011095
このような基(a−g2)を有するモノマー(a4−1’)は、上述した具体例の中では、式(a4−1’−7)〜式(a4−1’−42)でそれぞれ表されるものが該当する。
樹脂(A)がモノマー(a4−1)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜20モル%の範囲が好ましく、2〜15モル%の範囲がより好ましく、3〜10モル%の範囲がさらに好ましい。
<樹脂(A)の製造方法>
樹脂(A)は、構造単位(a1)を誘導するモノマー(a1)を、さらに好ましくは、該モノマー(a1)と、酸安定モノマーとを共重合させたものであり、より好ましくは、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマー(a1)と、酸安定構造単位(a2)及び/又は酸安定構造単位(a3)を誘導する酸安定モノマーとを共重合させたものである。また、必要に応じて酸安定モノマーとしてモノマー(a4−1)を用いることもできる。なお、本レジスト組成物を例えば、EUV露光用として用いるうえでは、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマー(a1)と、酸安定構造単位(a2−0)を誘導する酸安定モノマーとを共重合させたものを挙げることができる。
樹脂(A)は、構造単位(a1)として、アダマンチル基を有する構造単位(a1−1)を有することがさらに好ましい。樹脂(A)は、上述したようなモノマーを公知の重合法(例えばラジカル重合法)に供し、重合(共重合)することにより製造できる。
一方、樹脂(X)は好ましくは、モノマー(a4−1)〔モノマー(a4−1’)〕を公知の重合法に供して重合させたものであり、かかる重合〔樹脂(X)の製造〕には、モノマー(a4−1)〔モノマー(a4−1’)〕に加えて、他の酸安定モノマー[例えば、酸安定構造単位(a2)又は酸安定構造単位(a3)を誘導するモノマー]を用い、これらを共重合させたものであってもよい。
樹脂(A)の重量平均分子量は、好ましくは、2,500以上(より好ましくは3,000以上)、50,000以下(より好ましくは30,000以下)である。なお、ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである。この分析の詳細な分析条件は、本願の実施例に記載する。
一方、樹脂(X)を本レジスト組成物に用いる場合、当該樹脂(X)の重量平均分子量は、好ましくは、8,000以上(より好ましくは10,000以上)、80,000以下(より好ましくは60,000以下)である。かかる樹脂(X)の重量平均分子量の測定手段は、樹脂(A)の場合と同様である。
<本レジスト組成物>
本レジスト組成物は上述したように、塩(I)と樹脂(A)とを含有する。
また、本レジスト組成物は、さらに、塩基性化合物(C)や溶剤(D)を含むことが好ましい。
<塩基性化合物(C)>
本レジスト組成物は、塩基性化合物(C)を含有していると好ましい。かかる塩基性化合物(C)は問う技術分野でクエンチャーと呼ばれるものである。塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及びアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンが挙げられる。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)で表される化合物〜式(C8)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006011095
[式(C1)中、
c1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
Figure 0006011095
[式(C1−1)中、
c2及びRc3は、前記と同義である。
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のRc4の全部又は一部は同じであってもよい。]
Figure 0006011095
[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、
c5、Rc6、Rc7及びRc8は、それぞれ独立に、Rc1と同義である。
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc9の全部又は一部は同じであってもよい。]
Figure 0006011095
[式(C5)及び式(C6)中、
c10、Rc11、Rc12、Rc13及びRc16は、それぞれ独立に、Rc1と同義である。
c14、Rc15及びRc17は、それぞれ独立に、Rc4と同義である。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上であるとき、複数のRc14の全部又は一部は同じであってもよい。p3が2以上であるとき、複数のRc15の全部又は一部は同じであってもよい。
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
Figure 0006011095
[式(C7)及び式(C8)中、
c18、Rc19及びRc20は、それぞれ独立に、Rc4と同義である。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のRc18の全部又は一部は同じであってもよい。r3が2以上であるとき、複数のRc19の全部又は一部は同じであってもよい。s3が2以上であるとき、複数のRc20の全部又は一部は同じであってもよい。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンなどが挙げられ、好ましくはジイソプロピルアニリンが挙げられ、特に好ましくは2,6−ジイソプロピルアニリンが挙げられる。
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジンなどが挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリンなどが挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリンなどが挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール及び4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン及び4−メチルピリジンなどが挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン及びビピリジンなどが挙げられる。
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリンなどが挙げられる。
<溶剤(D)>
本レジスト組成物が溶剤(D)を含有する場合、当該溶剤(D)は、塩(I)や樹脂(A)などの種類及びその量に応じ、さらに後述するレジストパターンの製造において、基板上に本レジスト組成物を塗布する際の塗布性が良好となるという点から適宜、最適なものを選ぶことができる。
溶剤(D)としては、例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などを挙げることができる。溶剤(D)は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
<その他の成分>
本レジスト組成物は、塩(I)及び樹脂(A)、好ましくは、塩(I)を含む酸発生剤、樹脂(A)並びに必要に応じて用いられる塩基性化合物(C)及び溶剤(D)を含有するものであるが、必要に応じて用いられる塩基性化合物(C)及び溶剤(D)以外の構成成分を含有していてもよい。この構成成分を「成分(F)」という場合がある。かかる成分(F)としては、本技術分野で公知の添加剤、例えば、樹脂(A)以外の高分子化合物、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤及び染料などである。
<本レジスト組成物の調製方法>
続いて、本レジスト組成物の調製方法を説明する。
好適な本レジスト組成物は、通常、溶剤(D)の存在下で、塩(I)及び樹脂(A)を混合することで調製することができる。さらに、上述のとおり必要に応じて酸発生剤(B)、塩基性化合物(C)及び/又は成分(F)を混合してもよい。塩基性化合物(C)を混合することが好ましい。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂(A)などの種類や樹脂(A)などの溶剤(D)に対する溶解度などに応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合などを用いることができる。
本発明のレジスト組成物を調製する際に用いる各成分の使用量を選択することにより、本発明のレジスト組成物中の各成分の含有量を調節することができる。
本レジスト組成物における酸発生剤の含有割合は、本レジスト組成物の固形分に対して、好ましくは1質量%以上40質量%以下、より好ましくは3質量%以上35質量%以下である。なお、ここでいう固形分とは、本レジスト組成物から溶剤(D)を取り除いたものの合計をいう。該固形分は、本レジスト組成物を液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどの分析に供することにより求めることができる。本レジスト組成物に含有される酸発生剤が実質的に塩(I)のみである場合、ここで説明した「酸発生剤の含有割合」を、「塩(I)の含有割合」に読み替えることができる。
一方、上述のとおり、本レジスト組成物に、塩(I)に加え、塩(I)以外の他の酸発生剤(好ましくは、イオン性酸発生剤であり、特に好ましくは前記酸発生剤(B)である。)を用いる場合には、上述の「酸発生剤の含有割合」は、「塩(I)及び他の酸発生剤の合計含有割合」に読み替えることができる。なお、この場合、酸発生剤全量100質量部に対して、塩(I)は10質量部以上であると好ましく、30質量部以上であると特に好ましい。なお、本発明者らは本レジスト組成物において、酸発生剤として塩(I)と他のイオン性酸発生剤とを併用すると、該他のイオン性酸発生剤のみを酸発生剤として用いたレジスト組成物に比して、フォーカスマージンをさらに向上する傾向があることを見出している。かかる効果の発現理由は定かではなく、本発明者らの独自の知見に基づくものである。
本レジスト組成物における樹脂(A)の含有割合は、本レジスト組成物の固形分を基準に好ましい範囲が定められる。具体的は、該固形分の質量を基準として、樹脂(A)は80質量%以上であることが好ましい。なお、本レジスト組成物は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で樹脂(A)以外の樹脂、すなわち、前記酸作用特性を有しない樹脂(以下、場合により「樹脂(X)」という。)を含有させることもできる。当該樹脂(X)は、好ましくはその分子内にフッ素原子を有するものであり、さらに好ましくは、フッ素原子を有する酸安定モノマーに由来する構造単位を有するものである。より具体的に、この樹脂(X)を例示すると、前記モノマー(a4−1)に由来する構造単位を有する樹脂(X)を挙げることができる。この場合の樹脂(X)において、モノマー(a4−1)に由来する構造単位の含有割合は、樹脂(X)の全構造単位に対して、70〜100モル%の範囲が好ましく、80〜100モル%の範囲がより好ましく、90〜100モル%の範囲がさらに好ましい。
本レジスト組成物において、樹脂(A)に加えて、樹脂(X)を含有させる場合、樹脂(X)の含有割合は、本レジスト組成物の固形分量を基準に、0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜5質量%がより好ましく、0.5〜3質量%がさらに好ましい。
本レジスト組成物に塩基性化合物(C)を含有させる場合、その含有割合は、本レジスト組成物の固形分に対して、好ましくは、0.01〜5質量%程度であり、より好ましく0.01〜3質量%程度であり、特に好ましく0.01〜1質量%程度である。
本レジスト組成物中の溶剤(D)の含有割合は、本レジスト組成物の総質量に対して、90質量%以上、好ましくは92質量%以上、より好ましくは94質量%以上であり、例えば99.9質量%以下、好ましくは99質量%以下である。
本レジスト組成物に成分(F)を含有させる場合、該成分(F)の種類に応じて、適切な含有量を調節可能である。
このように、塩(I)を含む酸発生剤及び樹脂(A)、並びに必要に応じて用いられる樹脂(X)、塩基性化合物(C)、溶剤(D)又は成分(F)の各々を好ましい含有量で混合した後は、孔径0.003〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
<レジストパターンの製造方法>
本レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法を具体的に示すと、
(1)本レジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程
を含む方法を挙げることができる。以下、ここに示す工程の各々を、「工程(1)」〜「工程(5)」のようにいう。
工程(1)における本レジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーターなど、半導体の微細加工のレジスト材料塗布用として広く用いられている塗布装置によって行うことができる。かくして基板上にレジスト組成物からなる塗布膜が形成される。当該塗布装置の条件(塗布条件)を種々調節することで、該塗布膜の膜厚は調整可能であり、適切な予備実験等を行うことにより、所望の膜厚の塗布膜になるように塗布条件を選ぶことができる。本レジスト組成物を塗布する前の基板は、微細加工を実施しようとする種々のものを選ぶことができる。なお、本レジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、反射防止膜を形成したりしてもよい。この反射防止膜の形成には例えば、市販の有機反射防止膜用組成物を用いることができる。
工程(2)においては、基板上に塗布された本レジスト組成物、すなわち塗布膜を乾燥させて、溶剤(D)を除去する。乾燥は、例えば、ホットプレート等の加熱装置を用いた加熱手段(いわゆるプリベーク)、又は減圧装置を用いた減圧手段により、或いはこれらの手段を組み合わせて、該塗布膜から溶剤を蒸発させることにより行われる。乾燥条件は、本レジスト組成物に含まれる溶剤(D)の種類等に応じて選択でき、例えばホットプレートを用いる加熱手段の場合、該ホットプレートの表面温度を50〜200℃程度の範囲にして行うことが好ましい。また、減圧手段では、適当な減圧機の中に、塗布膜が形成された基板を封入した後、該減圧機の内部圧力を1〜1.0×10Pa程度にして行うことが好ましい。かくして塗布膜から溶剤を除去することにより、該基板上には組成物層が形成される。
工程(3)は該組成物層を露光する工程であり、好ましくは、露光機を用いて該組成物層を露光する工程である。露光には、微細加工を実施しようとする所望のパターンが形成されたマスク(フォトマスク)を介して露光が行われる。露光機の露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2エキシマレーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するもの等、種々のものを用いることができる。また、該露光機は液浸露光機であってもよい。また、露光機は、電子線、超紫外光(EUV)を照射するものであってもよい。本明細書において、これらの放射線を照射することを総称して「露光」という場合がある。
マスクを介して露光することにより、該組成物層には露光された部分(露光部)及び露光されていない部分(未露光部)が生じる。露光部の組成物層では該組成物層に含まれる酸発生剤(塩(I)を含む。)が露光エネルギーを受けて酸を発生し、さらに発生した酸との作用により、「アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂」が有する樹脂(A)にある酸不安定基が脱保護反応により親水性基を生じるため、露光部の組成物層にある上記樹脂(A)はアルカリ水溶液に可溶なものとなる。一方、未露光部では露光エネルギーを受けないため、上記樹脂(A)はアルカリ水溶液に対して不溶又は難溶のままとなる。露光部にある組成物層と未露光部にある組成物層とは、アルカリ水溶液に対する溶解性が著しく相違するため、アルカリ水溶液による現像によりレジストパターンを形成することができる。
工程(4)においては、露光後の組成物層に加熱処理(いわゆるポストエキスポジャーベーク)が行われる。かかる加熱処理は前記工程(2)で示したホットプレートを用いる加熱手段等が好ましい。なお、工程(4)において、ホットプレートを用いる加熱手段を行う場合、該ホットプレートの表面温度は50〜200℃程度が好ましく、70〜150℃程度がより好ましい。加熱処理により、上記脱保護反応が促進される。
工程(5)は、加熱後の組成物層を現像する工程であり、好ましくは、加熱後の組成物層を現像装置により現像する。現像する工程で、加熱後の組成物層をアルカリ水溶液と接触させると、露光部の組成物層を該アルカリ水溶液に溶解して除去され、未露光部の組成物層は、基板に残るため、当該基板上にレジストパターンが製造される。
前記アルカリ水溶液としては、「アルカリ現像液」と称される本技術分野で公知のものを用いることができる。該アルカリ水溶液としては例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液や(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液等が挙げられる。
現像後、好ましくは超純水等でリンス処理を行うことが好ましい。さらに基板及びレジストパターン上に残存している水分を除去することが好ましい。
以上のような工程(1)〜工程(5)を含むレジストパターン製造方法によれば、本レジスト組成物の効果により、優れたCD均一性(CDU)のレジストパターンを製造することができる。
<用途>
本レジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)照射用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物として好適である。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
実施例及び比較例中、含有量及び使用量を表す「%」及び「部」は、特記ないかぎり質量基準である。
重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製HLC−8120GPC型、カラムは”TSKgel Multipore HXL−M”3本、溶媒はテトラヒドロフラン)により求めた値である。
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3 + guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
化合物の構造は、質量分析(LCはAgilent製1100型、MASSはAgilent製LC/MSD型)を用い、分子ピークを測定することで確認した。以下の実施例ではこの分子ピークの値を「MASS」で示す。
実施例1[式(I−30)で表される塩の合成]
Figure 0006011095
式(I−30−a)で表される塩2.98部、式(I−30−b)で表される化合物0.58部及びモノクロロベンゼン24.00部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した。その後、式(I−30−c)で表される安息香酸銅0.04部を添加し、100℃程度まで昇温した後、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物を濃縮した後、得られた濃縮物に、クロロホルム40部及びイオン交換水10部を加え、23℃で30分間攪拌した。その後、静置し、分液して有機層を得た。得られた有機層に、イオン交換水10部を加え、23℃で30分間攪拌した。その後、静置し、分液して有機層を得た。このような水洗操作をさらに5回繰り返した。回収された有機層をろ過して不溶物を除去した後、得られたろ液を濃縮した。得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌した。得られた上澄液を除去し、上澄液除去後の残渣をさらに濃縮した。得られた濃縮物をアセトニトリルに溶解した後、濃縮することにより、式(I−30−d)で表される塩1.01部を得た。
Figure 0006011095
式(I−30−f)で表される化合物5.96部、テトラヒドロフラン23.84部及びピリジン5.99部を、23℃で30分間攪拌混合した後、得られた混合物に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩 14.51部及び式(I−30−e)で表される化合物9.45部を添加し、23℃で3時間攪拌した。得られた反応溶液に、酢酸エチル100部及び5%塩酸水溶液16.57部を加え、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより有機層を回収した。回収された有機層に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液65部を加え、23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を洗浄した。このような洗浄操作を2回繰り返した。洗浄後の有機層に、イオン交換水50部を仕込み23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。水洗後の有機層を濃縮した。得られた濃縮物を、カラム分取(カラム分取条件 固定相:メルク社製シリカゲル60−200メッシュ 展開溶媒:n−ヘプタン/酢酸エチル=10/1 容量比)することにより、式(I−30−g)で表される化合物9.84部を得た。
Figure 0006011095
式(I−30−d)で表される塩0.54部、式(I−30−e)で表される化合物0.23部及びアセトニトリル15.00部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、トリエチルアミン0.12部を仕込み、75℃程度で3時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、クロロホルム30部及びイオン交換水20部を加え、23℃で30分間攪拌した。その後、静置し、分液して有機層を得た。このような水洗操作をさらに5回繰り返した。回収された有機層に活性炭0.50部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。次に、得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌した。得られた上澄液を除去し、上澄液除去後の残渣をさらに濃縮した。得られた濃縮物をアセトニトリルに溶解した後、濃縮することにより、式(I−30)で表される塩0.13部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M 389.1
MASS(ESI(−)Spectrum):M 339.1
実施例2[式(I−198)で表される塩の合成]
Figure 0006011095
式(I−30−d)で表される塩0.54部、式(I−30−e)で表される化合物0.46部及びアセトニトリル15.00部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、トリエチルアミン0.24部を加え、75℃で5時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、クロロホルム30部及びイオン交換水20部を加え、23℃で30分間攪拌した。その後、静置し、分液して有機層を得た。このような水洗操作をさらに5回繰り返した。回収された有機層に活性炭0.50部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌した。得られた上澄液を除去し、上澄液除去後の残渣をさらに濃縮した。得られた濃縮物をアセトニトリルに溶解した後、濃縮することにより、式(I−198)で表される塩0.16部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M 579.1
MASS(ESI(−)Spectrum):M 339.1
実施例3[式(I−114)で表される塩の合成]
Figure 0006011095
式(I−30−d)で表される塩1.08部、アセトニトリル25.00部及びピリジン0.16部を、23℃で30分間攪拌混合し、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(I−114−g)で表される化合物0.62部を、1時間かけて添加し、さらに、10℃程度まで温度を上げ、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物に、クロロホルム60部及び2%塩酸水溶液11部を加え、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水30部を仕込み23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。回収された有機層に活性炭0.50部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌した。得られた上澄液を除去し、上澄液除去後の残渣をさらに濃縮した。得られた濃縮物をアセトニトリルに溶解した後、濃縮することにより、式(I−114)で表される塩0.42部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M 345.1
MASS(ESI(−)Spectrum):M 339.1
実施例4[式(I−282)で表される塩の合成]
Figure 0006011095
式(I−30−d)で表される塩1.08部、アセトニトリル25.00部及びピリジン0.32部を、23℃で30分間攪拌混合し、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(I−114−g)で表される化合物1.24部を、1時間かけて添加し、さらに、10℃程度まで温度を上げ、同温度で2時間攪拌した。得られた反応物に、クロロホルム60部及び2%塩酸水溶液11部を加え、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水30部を仕込み23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。回収された有機層に活性炭0.50部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌した。得られた上澄液を除去し、上澄液除去後の残渣をさらに濃縮した。得られた濃縮物をアセトニトリルに溶解した後、濃縮することにより、式(I−282)で表される塩0.58部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M 491.0
MASS(ESI(−)Spectrum):M 339.1
実施例5[式(I−401)で表される塩の合成]
Figure 0006011095
式(I−30−a)で表される塩2.98部、式(I−401−b)で表される化合物0.43部及びモノクロロベンゼン24.00部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した。その後、式(I−30−c)で表される化合物0.03部を添加し、100℃程度まで昇温した後、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物を濃縮した後、得られた濃縮物に、クロロホルム45部及びイオン交換水11.25部を加え、23℃で30分間攪拌した。その後、静置し、分液して有機層を得た。得られた有機層に、イオン交換水11.25部を加え、23℃で30分間攪拌した。その後、静置し、分液して有機層を得た。この水洗操作をさらに5回繰り返した。回収された有機層をろ過した後、得られたろ液を濃縮した。得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル20.12部を加えて攪拌した。得られた上澄液を除去し、上澄液除去後の残渣をさらに濃縮した。得られた濃縮物をアセトニトリルに溶解した後、濃縮することにより、式(I−401−d)で表される塩1.24部を得た。
Figure 0006011095
式(I−401−d)で表される塩1.04部、アセトニトリル25.00部及びピリジン0.16部を、23℃で30分間攪拌混合し、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(I−114−g)で表される化合物0.62部を、1時間かけて添加し、さらに、10℃程度まで温度を上げ、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物に、クロロホルム60部及び2%塩酸水溶液11部を加え、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより回収された有機層に、イオン交換水30部を仕込み23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。回収された有機層に活性炭0.50部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌した。得られた上澄液を除去し、上澄液除去後の残渣をさらに濃縮した。得られた濃縮物をアセトニトリルに溶解した後、濃縮することにより、式(I−401)で表される塩0.51部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M 329.1
MASS(ESI(−)Spectrum):M 339.1
実施例6[式(I−283)で表される塩の合成]
Figure 0006011095
式(I−283−a)で表される塩2.90部、式(I−283−b)で表される化合物0.58部及びモノクロロベンゼン24.00部を反応器に仕込み、23℃で30分間攪拌した。その後、式(I−283−c)で表される安息香酸銅0.04部を添加し、100℃程度まで昇温した後、同温度で1時間攪拌した。得られた反応物を濃縮した後、得られた濃縮物に、クロロホルム40部及びイオン交換水10部を加え、23℃で30分間攪拌した。その後、静置し、分液して有機層を得た。得られた有機層に、イオン交換水10部を加え、23℃で30分間攪拌した。その後、静置し、分液して有機層を得た。この水洗操作をさらに5回繰り返した。回収された有機層をろ過した後、得られたろ液を濃縮した。得られた濃縮物に、tert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌した。得られた上澄液を除去し、上澄液除去後の残渣をさらに濃縮した。得られた濃縮物をアセトニトリルに溶解した後、濃縮することにより、式(I−283−d)で表される塩0.91部を得た。
Figure 0006011095
式(I−283−d)で表される塩0.52部、アセトニトリル20部及びピリジン0.16部を、23℃で30分間攪拌混合し、0℃まで冷却した。同温度を保持したまま、得られた混合物に、式(I−283−e)で表される化合物0.62部を、1時間かけて添加し、さらに、10℃程度まで温度を上げ、同温度で2時間攪拌した。得られた反応物に、クロロホルム60部及び2%塩酸水溶液11部を加え、23℃で30分間攪拌した。静置、分液することにより有機層を回収した。回収された有機層に、イオン交換水30部を仕込み23℃で30分間攪拌し、静置、分液することにより有機層を水洗した。このような水洗操作を5回繰り返した。回収された有機層に活性炭0.50部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌した。得られた上澄液を除去し、上澄液除去後の残渣をさらに濃縮した。得られた濃縮物をアセトニトリルに溶解した後、濃縮することにより、式(I−283)で表される塩0.43部を得た。
MASS(ESI(+)Spectrum):M 491.0
MASS(ESI(−)Spectrum):M 323.0
樹脂の合成
樹脂の合成に使用した化合物を下記に示す。
Figure 0006011095
以下、これらの化合物をその式番号に応じて、「モノマー(a1−1−2)」などという。
合成例1:〔樹脂A1の合成〕
モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−2−3)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(a3−2−3)を、そのモル比〔モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−2−3):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−1−1):モノマー(a3−2−3)〕が、30:14:6:20:30の割合となるように混合し、さらに、このモノマー混合物に、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1.00mol%と3.00mol%となるように添加した。これを73℃で約5時間加熱することにより重合した。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収した。再度、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を2回行うことにより再沈殿精製し、重量平均分子量が8.1×10である樹脂を収率65%で得た。この樹脂は、モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−2−3)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−1−1)、モノマー(a3−2−3)に各々由来する、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A1とする。
Figure 0006011095
合成例2:〔樹脂A2の合成〕
モノマー(a1−1−2)、モノマー(a1−2−3)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−1−1)及びモノマー(a3−2−3)を、そのモル比〔モノマー(a1−1−2):モノマー(a1−2−3):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−1−1):モノマー(a3−2−3)〕が、30:14:6:20:30の割合となるように混合し、さらに、このモノマー混合物に、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1.00mol%と3.00mol%となるように添加した。これを73℃で約5時間加熱することにより重合した。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収した。再度、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を2回行うことにより再沈殿精製し、重量平均分子量が7.8×10である樹脂を収率68%で得た。この樹脂は、モノマー(a1−1−2)、モノマー(a1−2−3)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−1−1)、モノマー(a3−2−3)に各々由来する、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂A2とする。
Figure 0006011095
合成例3:〔樹脂A3の合成〕
モノマー(1−1−2)、モノマー(a2−1−1)及びモノマー(a3−1−1)を、そのモル比〔モノマー(1−1−2):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−1−1)〕が、50:25:25となるように混合し、さらに、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1mol%と3mol%との割合で添加し、これを80℃で約8時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収した。再度、得られた樹脂を、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を3回行うことにより再沈殿精製し、重量平均分子量が約9.2×10である樹脂を収率60%で得た。この樹脂は、モノマー(1−1−2)、モノマー(a2−1−1)及びモノマー(a3−1−1)に各々由来する、以下の各モノマーから導かれる構造単位を有するものであり、これを樹脂A3とする。
Figure 0006011095
合成例4〔樹脂A4の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−2−3)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−2−3)及びモノマー(a3−1−1)を用い、そのモル比(モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−2−3):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−2−3):モノマー(a3−1−1))が、30:14:6:20:30となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.0×10の樹脂A4(共重合体)を収率60%で得た。この樹脂A4は、以下の構造単位を有するものである。
Figure 0006011095
合成例5〔樹脂A5の合成〕
モノマーとして、モノマー(a1−1−3)、モノマー(a1−5−1)、モノマー(a2−1−1)、モノマー(a3−2−3)及びモノマー(a3−1−1)を用い、そのモル比(モノマー(a1−1−3):モノマー(a1−5−1):モノマー(a2−1−1):モノマー(a3−2−3):モノマー(a3−1−1))が、30:14:6:20:30となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.4×10の樹脂A5(共重合体)を収率62%で得た。この樹脂A5は、以下の構造単位を有するものである。
Figure 0006011095
合成例6〔樹脂X1の合成〕
モノマーとして、モノマー(a4−1−7)を用い、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。当該溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.7mol%及び2.1mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。かくして得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量1.8×10の樹脂を収率77%で得た。この樹脂は、以下の構造単位を有するものであり、これを樹脂X1とする。
Figure 0006011095
実施例7〜28、比較例1
<レジスト組成物の調製>
表14に示すように、各成分を混合して、以下の溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
<酸発生剤>
塩(I)
I−30:式(I−30)で表される塩
I−198:式(I−198)で表される塩
I−114:式(I−114)で表される塩
I−282:式(I−282)で表される塩
I−401:式(I−401)で表される塩
I−283:式(I−283)で表される塩
酸発生剤B1−3:
Figure 0006011095
酸発生剤Z1:
Figure 0006011095
<樹脂>
A1:樹脂A1
A2:樹脂A2
A3:樹脂A3
A4:樹脂A4
A5:樹脂A5
X1:樹脂X1
<塩基性化合物(C):クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン
Figure 0006011095
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
2−ヘプタノン 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
<レジストパターンの製造及びその評価>
シリコンウェハに、有機反射防止膜用組成物(ARC−29;日産化学(株)製)を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ780Åの有機反射防止膜を形成した。次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。レジスト組成物を塗布したシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表14の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークし、レジスト膜(組成物層)を形成した。レジスト膜が形成されたシリコンウェハに、液浸露光用ArFエキシマレーザステッパー(XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光)で、コンタクトホールパターン(ホールピッチ150nm/ホール径75nm)を形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。尚、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、前記シリコンウェハを、ホットプレート上にて、表14の「PEB」欄に記載された温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク処理した。次いでこのシリコンウェハを、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
各レジスト組成物からのレジストパターン形成において、ホール径75nmのマスクで形成したパターンのホール径が55nmとなる露光量を実効感度とした。
以上のようなレジストパターンの製造において、以下の項目を評価した。
<CD均一性(CDU)評価>
実効感度において、ホール径75nmのマスクで形成したパターンのホール径を、一つのホールにつき24回測定し、その平均値を一つのホールの平均ホール径とした。同様に同一ウェハ上に形成されたホール径75nmのマスクで形成したレジストパターンの平均ホール径を400箇所測定したものを母集団として求めた標準偏差をCDUとした。結果を表15に示す。
Figure 0006011095
本発明の塩を酸発生剤として含む本レジスト組成物を用いれば、優れたCD均一性(CDU)のレジストパターンを製造することができる。そのため、本レジスト組成物は、半導体の微細加工に有用であり、かかるレジスト組成物を実現できる塩(I)は産業上の利用可能性がある。

Claims (8)

  1. 以下の式(I)で表される塩。
    Figure 0006011095
    [式(I)中、
    は、置換基を有してもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
    は、水素原子又はヒドロキシ基を表す。
    及びXは、それぞれ独立に、式(a−g1)
    Figure 0006011095
    (式(a−g1)中、
    sは0〜2の整数を表す。
    10及びA11は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を表す。
    sが2のとき、複数存在するA10は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
    10は、酸素原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基又はオキシカルボニル基を表す。
    sが2のとき、複数存在するX10は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表される基を表す。
    m1は1又は2を表し、m2は0又は1を表す。但し、m1+m2=2の関係を満たす。
    m1が2のとき、複数存在するXは互いに同一であっても異なっていてもよく、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
    は、式(I−R −1)又は式(I−R −2)で表される基を表す。
    Figure 0006011095
    [式(I−R −1)中、
    21 は炭素数1〜6のフッ素原子を有するアルキル基を表す。R 22 は、炭素数1〜3のフッ素原子を有していてもよいアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表す。
    *はX との結合手を表す。]
    Figure 0006011095
    [式(I−R −2)中、
    23 は炭素数1〜6のフッ素原子を有するアルキル基を表す。*はX との結合手を表す。]
    は、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、スルホニルメチドアニオン及びカルボン酸アニオンからなる群から選ばれる有機アニオンを表す。]
  2. 前記式(I)のX及びXが、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルカンジイル基である請求項記載の塩。
  3. 前記式(I)のRが、置換基を有してもよいフェニル基である請求項1又は2記載の塩。
  4. 請求項1〜のいずれか記載の塩と、
    アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に溶解し得る樹脂とを含有するレジスト組成物。
  5. 前記樹脂が、以下の式(a1−1)で表される構造単位を有する樹脂である請求項記載のレジスト組成物。
    Figure 0006011095
    [式(a1−1)中、
    a1は、酸素原子又は−O−(CH2k1−CO−O−(k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基との結合手を表す。)で表される基を表す。
    a4は、水素原子又はメチル基を表す。
    a6は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
    m1は0〜14の整数を表す。]
  6. さらに、塩基性化合物を含有する請求項4又は5記載のレジスト組成物。
  7. さらに、溶剤を含有する請求項4〜6のいずれか記載のレジスト組成物。
  8. (1)請求項4〜7のいずれか記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
    (2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
    (3)組成物層に露光する工程、
    (4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
    (5)加熱後の組成物層を、現像する工程、
    を含むレジストパターンの製造方法。
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