JP2004001734A - 船外機 - Google Patents
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Abstract
【課題】犠牲陽極の効果を高めると共に、犠牲陽極の点検・交換を容易にした船外機を提供するにある。
【解決手段】エンジンホルダの上方にシリンダヘッド14およびシリンダブロック15を有するエンジンを設置すると共に、エンジンホルダの下方にオイルパンを設置した船外機において、シリンダヘッド14内に形成される排気ポート22とエンジンホルダ内に形成される排気排出路とをつなぐ排気通路24をシリンダブロック15内に形成し、排気ポート22および排気通路24の周囲にそれぞれが連通する冷却用のウォータジャケット25,28を形成し、このウォータジャケット25,28をエンジンホルダ内の冷却水通路に繋げると共に、これらのウォータジャケット25,28に犠牲陽極30の取付口31を設け、この取付口31の外側から犠牲陽極30を着脱自在に取り付けたものである。
【選択図】 図3
【解決手段】エンジンホルダの上方にシリンダヘッド14およびシリンダブロック15を有するエンジンを設置すると共に、エンジンホルダの下方にオイルパンを設置した船外機において、シリンダヘッド14内に形成される排気ポート22とエンジンホルダ内に形成される排気排出路とをつなぐ排気通路24をシリンダブロック15内に形成し、排気ポート22および排気通路24の周囲にそれぞれが連通する冷却用のウォータジャケット25,28を形成し、このウォータジャケット25,28をエンジンホルダ内の冷却水通路に繋げると共に、これらのウォータジャケット25,28に犠牲陽極30の取付口31を設け、この取付口31の外側から犠牲陽極30を着脱自在に取り付けたものである。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船外機に関する。
【0002】
【従来の技術】
船外機のエンジンには例えば複数のシリンダを上下方向に並設したシリンダブロックを有するものがある。また、シリンダブロックに接合されたシリンダヘッドにはシリンダ毎に吸気ポートおよび排気ポートが形成されている。そして、各排気ポートから排出される排気ガスは共通の排気通路に集合されて船外機外に排出するようになっている。
【0003】
排気通路の形態としては、例えば上記排気ポートとエンジンホルダに形成された排気通路とをシリンダブロック内に形成した排気通路で連通させたものや、エンジンとは別体の排気マニフォールドを設けて排気ポートとエンジンホルダに形成された排気通路とを連通させたものがある。
【0004】
ところで、船外機においては、エンジンの冷却水通路など海水(塩水)が接触する金属部分が海水中に溶け出して腐蝕を発生させることがある。その理由は、船外機の各部材が多種類の金属材料から構成されていることから、海水に接する各部材の金属材料の違いによって電位差を生じるためである。特に、エンジンのシリンダブロックなどに用いられるアルミ合金は他の材料に比べて腐蝕しやすい。
【0005】
そこで、アルミ合金などの主材料よりも更に電位の低い亜鉛などの金属を犠牲陽極として船外機の海水接触部分に設け、シリンダブロックなどの腐蝕を防止している。
【0006】
犠牲陽極の取付位置としては、例えば犠牲陽極を冷却水の取入口付近やロアーケースなどの海面下に配置したものがある。
【0007】
一方、犠牲陽極はその廻りの海水温が低いと溶解性が低下してしまうため、近年、犠牲陽極を排気マニフォールドに形成されたマニフォールド冷却用のウォータジャケット内や、シリンダブロックに形成されたシリンダ冷却用のウォータジャケット内に配置したものもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マニフォールド冷却用やシリンダ冷却用のウォータジャケット内に犠牲陽極を配置した場合、犠牲陽極の点検や交換の度にエンジン分解作業が必要となり、手間やコストがかかって好ましくない。
【0009】
また、犠牲陽極をシリンダブロックより耐食性の優れる排気マニフォールドに取り付けても高い犠牲陽極効果を得ることはできない。
【0010】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、犠牲陽極の効果を高めると共に、犠牲陽極の点検・交換を容易にした船外機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る船外機は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、エンジンホルダの上方にシリンダヘッドおよびシリンダブロックを有するエンジンを設置すると共に、上記エンジンホルダの下方にオイルパンを設置した船外機において、上記シリンダヘッド内に形成される排気ポートと上記エンジンホルダ内に形成される排気排出路とをつなぐ排気通路を上記シリンダブロック内に形成し、上記排気ポートおよび排気通路の周囲にそれぞれが連通する冷却用のウォータジャケットを形成し、このウォータジャケットを上記エンジンホルダ内の冷却水通路に繋げると共に、これらのウォータジャケットに犠牲陽極の取付口を設け、この取付口の外側から上記犠牲陽極を着脱自在に取り付けたものである。
【0012】
また、上述した課題を解決するために、請求項2に記載したように、上記排気ポート冷却用のウォータジャケットまたは上記排気通路のウォータジャケットの少なくともいずれか一箇所に上記犠牲陽極を取り付けたものである。
【0013】
さらに、上述した課題を解決するために、請求項3に記載したように、上記シリンダブロック内に形成されたシリンダ冷却用のウォータジャケットを上記排気通路のウォータジャケットの下流に設け、上記シリンダ冷却用のウォータジャケットに上記犠牲陽極を取り付けたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、この発明を適用した船外機の第一実施形態を示す船外機の左側面図である。図1に示すように、この船外機1はエンジンホルダ2を備え、このエンジンホルダ2の上方にエンジン3が設置される。なお、このエンジン3はその内部にクランクシャフト4を略垂直に配置したバーティカル(縦)型のエンジンである。また、エンジンホルダ2の下方にはオイルパン5が配置されると共に、例えばエンジンホルダ2にはブラケット6が取付けられ、このブラケット6を介して船外機1が図示しない船体のトランサムに装着される。
【0016】
また、この船外機1のエンジン3、エンジンホルダ2およびオイルパン5の周囲はエンジンカバー7によって覆われる。エンジンカバー7は、エンジン3下部、エンジンホルダ2およびオイルパン5の周囲を覆うロアカバー7aと、エンジン3上部を覆うアッパーカバー7bとに上下二分割されて構成される。
【0017】
オイルパン5の下部にはシャフトハウジング8が設置される。エンジンホルダ2、オイルパン5およびシャフトハウジング8内にはドライブシャフト9が略垂直に配置され、その上端部がクランクシャフト4の下端部に連結される。ドライブシャフト9はシャフトハウジング8内を下方に向かって延び、シャフトハウジング8の下部に設けられたギヤケース10内のベベルギヤ11およびプロペラシャフト12を介してプロペラ13を駆動するように構成される。
【0018】
図2は、図1に示す船外機1のエンジン3部分の拡大側面図であり、エンジンカバー7のみを断面で示す。図1および図2に示すように、この船外機1に搭載されるエンジン3は、例えばシリンダヘッド14、シリンダブロック15およびクランクケース16等を組み合わせて構成された水冷4サイクル三気筒エンジンである。
【0019】
エンジン3の最前部、図1および図2においては最も左側に配置されるクランクケース16の後方(右側)にはシリンダブロック15が配置される。また、シリンダブロック15の後方にはシリンダヘッド14が配置される。さらに、エンジン3の前側から左側面に向かってはスタータモータ17aや電装品17b、点火装置17cなどのエンジン機器が配置される。
【0020】
そして、この船外機1のエンジン3は水冷式であって、図1に示すように、ギヤケース10に設けられた取水口18から取り入れられた例えば海水を冷却水としてエンジン3の冷却に用いる。冷却水は、ドライブシャフト9によって駆動されるウォータポンプ19で取水口18から取り入れられ、送水管20を経由してオイルパン5内およびエンジンホルダ2内の冷却水通路21に導かれ、詳細には図示しないが、この冷却水通路21を経てエンジン3内に冷却水が導かれる。
【0021】
図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。また、図4はシリンダブロック15単体の左側面図であり、図5は図4のV矢視図(シリンダブロック15の後面図)である。さらに、図6は図4のVI矢視図(シリンダブロック15の上面図)であり、図7は図4のVII矢視図(シリンダブロック15の下面図)である。
【0022】
図3〜図7に示すように、シリンダブロック15内にはシリンダヘッド14内に形成される排気ポート22とエンジンホルダ2内に形成される排気排出路23(図2参照)とを繋ぐ排気通路24が形成される。この排気通路24の周囲には前記エンジンホルダ2内の冷却水通路21に繋がる排気通路冷却用のウォータジャケット25が形成され、シリンダブロック15の側面に向かって開口したこのウォータジャケット25の開口部25aはシリンダブロック15より耐食性の低い素材から形成される排気カバー26によって塞がれる。
【0023】
なお、排気通路冷却用のウォータジャケット25の下流にはシリンダブロック15内に形成されたシリンダ15a冷却用のウォータジャケット27およびシリンダヘッド14内に形成される排気ポート22冷却用のウォータジャケット28が設けられる。
【0024】
図8は、上記排気カバー26の平面図であり、図9は図8のIX−IX線に沿う断面図である。図8および図9に示すように、上記排気カバー26には犠牲陽極装置29が設けられる。犠牲陽極装置29は、エンジン3に用いられるアルミ合金よりも電位の低い亜鉛などの金属を用いた犠牲陽極30と、この犠牲陽極30を取り付ける犠牲陽極取付口31と、この犠牲陽極30を保持する犠牲陽極ホルダ32とから構成される。
【0025】
排気カバー26には排気通路冷却用のウォータジャケット25に貫通する犠牲陽極取付口31が形成され、この犠牲陽極取付口31は上記犠牲陽極ホルダ32によって例えばボルト33等の固定手段で着脱自在に塞がれる。
【0026】
犠牲陽極30は犠牲陽極取付口31内に配置され、犠牲陽極ホルダ32の内側にボルト34等で一体的に固定される。また、この時犠牲陽極装置29は、図2に示すように、ロアカバー7aとアッパーカバー7bとの割面35より上方に配置されると共に、図9に示すように、その端面が排気通路冷却用ウォータジャケット25内に突出しない様、犠牲陽極30の端面が排気カバー26内壁面より凹む様に取り付けられる。さらに、犠牲陽極30の端面と排気カバー26内壁面との間の犠牲陽極取付口31中心部にはその径方向に渡ってブリッジ部36が架設される。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0028】
シリンダヘッド14内に形成される排気ポート22とエンジンホルダ2内に形成される排気排出路23とを繋ぐ排気通路24をシリンダブロック15内に形成したことにより、排気マニフォールドが不要になってエンジン3の構造が簡素化すると共に、エンジン3のコンパクト化を図ることができる。また、この排気通路24の周囲に排気通路冷却用のウォータジャケット25を形成したことにより、電装品17bなどの排気通路23に近接したエンジン機器に熱害が及ばない。
【0029】
さらに、このウォータジャケット25をシリンダブロック15の側面に向かって開口させ、この開口部25aを排気カバー26で塞ぐようにしたことにより、ウォータジャケット25の形成が簡素化する。
【0030】
一方、排気通路冷却用のウォータジャケット25をエンジンホルダ2内の冷却水通路21に繋げたことにより、ウォータポンプ19からの上がり水が最初にこのウォータジャケット25に導かれる。上がり水はエンジン3各部を冷却してきた戻り水に比べ、格段に水温が低く、排気通路24を充分に冷却できる。
【0031】
また、シリンダブロック15より耐食性の低い素材から形成された排気カバー26に犠牲陽極装置29を取り付けたことにより、犠牲陽極30の効果を最大限に利用できる。
【0032】
さらに、犠牲陽極装置29を、ロアカバー7aとアッパーカバー7bとの割面35より上方の排気カバー26に犠牲陽極ホルダ32を介して着脱自在に取り付けたことにより、エンジン3を分解しなくても犠牲陽極30の点検・交換が可能になる。
【0033】
さらにまた、犠牲陽極30が取り付けられる取付口31の中心部にその径方向に渡ってブリッジ部36を架設したことにより、犠牲陽極30取付時、ウォータジャケット25内に犠牲陽極30が落下するのが防止される。
【0034】
ところで、上述した実施形態においては排気通路冷却用のウォータジャケット25近傍に犠牲陽極装置29を配置した例を示したが、図10(a)および(b)に示すように、シリンダヘッド14内に形成される排気ポート22冷却用のウォータジャケット28やシリンダブロック15内に形成されるシリンダ15a冷却用のウォータジャケット27に犠牲陽極装置29を配置しても良い。なお、整備性の観点から、いずれの場合も犠牲陽極装置29はロアカバー7aとアッパーカバー7bとの割面35より上方に配置されるのが望ましい。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る船外機によれば、犠牲陽極の効果を最大限に利用できてエンジンの腐蝕を防止できると共に、犠牲陽極の点検・交換が容易に行える。また、ウォータジャケット内への犠牲陽極の落下が防止される。
【0036】
さらに、エンジンのコンパクト化を図ることができると共に、排気通路に近接したエンジン機器に熱害が及ばず、また、ウォータジャケットの形成が簡素化する。そして、排気通路の冷却が充分に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る船外機の一実施形態を示す船外機の左側面図。
【図2】図1に示す船外機のエンジン部分の拡大側面図。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図。
【図4】シリンダブロック単体の左側面図。
【図5】図4のV矢視図。
【図6】図4のVI矢視図。
【図7】図4のVII矢視図。
【図8】排気カバーの平面図。
【図9】図8のIX−IX線に沿う断面図。
【図10】(a)および(b)はそれぞれ犠牲陽極の他の取付例を示す図。
【符号の説明】
1 船外機
2 エンジンホルダ
3 エンジン
5 オイルパン
14 シリンダヘッド
15 シリンダブロック
21 エンジンホルダ内の冷却水通路
22 排気ポート
23 排気排出路
24 排気通路
25 排気通路冷却用のウォータジャケット
27 シリンダ冷却用のウォータジャケット
28 排気ポート冷却用のウォータジャケット
30 犠牲陽極
31 犠牲陽極取付口
【発明の属する技術分野】
本発明は、船外機に関する。
【0002】
【従来の技術】
船外機のエンジンには例えば複数のシリンダを上下方向に並設したシリンダブロックを有するものがある。また、シリンダブロックに接合されたシリンダヘッドにはシリンダ毎に吸気ポートおよび排気ポートが形成されている。そして、各排気ポートから排出される排気ガスは共通の排気通路に集合されて船外機外に排出するようになっている。
【0003】
排気通路の形態としては、例えば上記排気ポートとエンジンホルダに形成された排気通路とをシリンダブロック内に形成した排気通路で連通させたものや、エンジンとは別体の排気マニフォールドを設けて排気ポートとエンジンホルダに形成された排気通路とを連通させたものがある。
【0004】
ところで、船外機においては、エンジンの冷却水通路など海水(塩水)が接触する金属部分が海水中に溶け出して腐蝕を発生させることがある。その理由は、船外機の各部材が多種類の金属材料から構成されていることから、海水に接する各部材の金属材料の違いによって電位差を生じるためである。特に、エンジンのシリンダブロックなどに用いられるアルミ合金は他の材料に比べて腐蝕しやすい。
【0005】
そこで、アルミ合金などの主材料よりも更に電位の低い亜鉛などの金属を犠牲陽極として船外機の海水接触部分に設け、シリンダブロックなどの腐蝕を防止している。
【0006】
犠牲陽極の取付位置としては、例えば犠牲陽極を冷却水の取入口付近やロアーケースなどの海面下に配置したものがある。
【0007】
一方、犠牲陽極はその廻りの海水温が低いと溶解性が低下してしまうため、近年、犠牲陽極を排気マニフォールドに形成されたマニフォールド冷却用のウォータジャケット内や、シリンダブロックに形成されたシリンダ冷却用のウォータジャケット内に配置したものもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マニフォールド冷却用やシリンダ冷却用のウォータジャケット内に犠牲陽極を配置した場合、犠牲陽極の点検や交換の度にエンジン分解作業が必要となり、手間やコストがかかって好ましくない。
【0009】
また、犠牲陽極をシリンダブロックより耐食性の優れる排気マニフォールドに取り付けても高い犠牲陽極効果を得ることはできない。
【0010】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、犠牲陽極の効果を高めると共に、犠牲陽極の点検・交換を容易にした船外機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る船外機は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、エンジンホルダの上方にシリンダヘッドおよびシリンダブロックを有するエンジンを設置すると共に、上記エンジンホルダの下方にオイルパンを設置した船外機において、上記シリンダヘッド内に形成される排気ポートと上記エンジンホルダ内に形成される排気排出路とをつなぐ排気通路を上記シリンダブロック内に形成し、上記排気ポートおよび排気通路の周囲にそれぞれが連通する冷却用のウォータジャケットを形成し、このウォータジャケットを上記エンジンホルダ内の冷却水通路に繋げると共に、これらのウォータジャケットに犠牲陽極の取付口を設け、この取付口の外側から上記犠牲陽極を着脱自在に取り付けたものである。
【0012】
また、上述した課題を解決するために、請求項2に記載したように、上記排気ポート冷却用のウォータジャケットまたは上記排気通路のウォータジャケットの少なくともいずれか一箇所に上記犠牲陽極を取り付けたものである。
【0013】
さらに、上述した課題を解決するために、請求項3に記載したように、上記シリンダブロック内に形成されたシリンダ冷却用のウォータジャケットを上記排気通路のウォータジャケットの下流に設け、上記シリンダ冷却用のウォータジャケットに上記犠牲陽極を取り付けたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、この発明を適用した船外機の第一実施形態を示す船外機の左側面図である。図1に示すように、この船外機1はエンジンホルダ2を備え、このエンジンホルダ2の上方にエンジン3が設置される。なお、このエンジン3はその内部にクランクシャフト4を略垂直に配置したバーティカル(縦)型のエンジンである。また、エンジンホルダ2の下方にはオイルパン5が配置されると共に、例えばエンジンホルダ2にはブラケット6が取付けられ、このブラケット6を介して船外機1が図示しない船体のトランサムに装着される。
【0016】
また、この船外機1のエンジン3、エンジンホルダ2およびオイルパン5の周囲はエンジンカバー7によって覆われる。エンジンカバー7は、エンジン3下部、エンジンホルダ2およびオイルパン5の周囲を覆うロアカバー7aと、エンジン3上部を覆うアッパーカバー7bとに上下二分割されて構成される。
【0017】
オイルパン5の下部にはシャフトハウジング8が設置される。エンジンホルダ2、オイルパン5およびシャフトハウジング8内にはドライブシャフト9が略垂直に配置され、その上端部がクランクシャフト4の下端部に連結される。ドライブシャフト9はシャフトハウジング8内を下方に向かって延び、シャフトハウジング8の下部に設けられたギヤケース10内のベベルギヤ11およびプロペラシャフト12を介してプロペラ13を駆動するように構成される。
【0018】
図2は、図1に示す船外機1のエンジン3部分の拡大側面図であり、エンジンカバー7のみを断面で示す。図1および図2に示すように、この船外機1に搭載されるエンジン3は、例えばシリンダヘッド14、シリンダブロック15およびクランクケース16等を組み合わせて構成された水冷4サイクル三気筒エンジンである。
【0019】
エンジン3の最前部、図1および図2においては最も左側に配置されるクランクケース16の後方(右側)にはシリンダブロック15が配置される。また、シリンダブロック15の後方にはシリンダヘッド14が配置される。さらに、エンジン3の前側から左側面に向かってはスタータモータ17aや電装品17b、点火装置17cなどのエンジン機器が配置される。
【0020】
そして、この船外機1のエンジン3は水冷式であって、図1に示すように、ギヤケース10に設けられた取水口18から取り入れられた例えば海水を冷却水としてエンジン3の冷却に用いる。冷却水は、ドライブシャフト9によって駆動されるウォータポンプ19で取水口18から取り入れられ、送水管20を経由してオイルパン5内およびエンジンホルダ2内の冷却水通路21に導かれ、詳細には図示しないが、この冷却水通路21を経てエンジン3内に冷却水が導かれる。
【0021】
図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。また、図4はシリンダブロック15単体の左側面図であり、図5は図4のV矢視図(シリンダブロック15の後面図)である。さらに、図6は図4のVI矢視図(シリンダブロック15の上面図)であり、図7は図4のVII矢視図(シリンダブロック15の下面図)である。
【0022】
図3〜図7に示すように、シリンダブロック15内にはシリンダヘッド14内に形成される排気ポート22とエンジンホルダ2内に形成される排気排出路23(図2参照)とを繋ぐ排気通路24が形成される。この排気通路24の周囲には前記エンジンホルダ2内の冷却水通路21に繋がる排気通路冷却用のウォータジャケット25が形成され、シリンダブロック15の側面に向かって開口したこのウォータジャケット25の開口部25aはシリンダブロック15より耐食性の低い素材から形成される排気カバー26によって塞がれる。
【0023】
なお、排気通路冷却用のウォータジャケット25の下流にはシリンダブロック15内に形成されたシリンダ15a冷却用のウォータジャケット27およびシリンダヘッド14内に形成される排気ポート22冷却用のウォータジャケット28が設けられる。
【0024】
図8は、上記排気カバー26の平面図であり、図9は図8のIX−IX線に沿う断面図である。図8および図9に示すように、上記排気カバー26には犠牲陽極装置29が設けられる。犠牲陽極装置29は、エンジン3に用いられるアルミ合金よりも電位の低い亜鉛などの金属を用いた犠牲陽極30と、この犠牲陽極30を取り付ける犠牲陽極取付口31と、この犠牲陽極30を保持する犠牲陽極ホルダ32とから構成される。
【0025】
排気カバー26には排気通路冷却用のウォータジャケット25に貫通する犠牲陽極取付口31が形成され、この犠牲陽極取付口31は上記犠牲陽極ホルダ32によって例えばボルト33等の固定手段で着脱自在に塞がれる。
【0026】
犠牲陽極30は犠牲陽極取付口31内に配置され、犠牲陽極ホルダ32の内側にボルト34等で一体的に固定される。また、この時犠牲陽極装置29は、図2に示すように、ロアカバー7aとアッパーカバー7bとの割面35より上方に配置されると共に、図9に示すように、その端面が排気通路冷却用ウォータジャケット25内に突出しない様、犠牲陽極30の端面が排気カバー26内壁面より凹む様に取り付けられる。さらに、犠牲陽極30の端面と排気カバー26内壁面との間の犠牲陽極取付口31中心部にはその径方向に渡ってブリッジ部36が架設される。
【0027】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0028】
シリンダヘッド14内に形成される排気ポート22とエンジンホルダ2内に形成される排気排出路23とを繋ぐ排気通路24をシリンダブロック15内に形成したことにより、排気マニフォールドが不要になってエンジン3の構造が簡素化すると共に、エンジン3のコンパクト化を図ることができる。また、この排気通路24の周囲に排気通路冷却用のウォータジャケット25を形成したことにより、電装品17bなどの排気通路23に近接したエンジン機器に熱害が及ばない。
【0029】
さらに、このウォータジャケット25をシリンダブロック15の側面に向かって開口させ、この開口部25aを排気カバー26で塞ぐようにしたことにより、ウォータジャケット25の形成が簡素化する。
【0030】
一方、排気通路冷却用のウォータジャケット25をエンジンホルダ2内の冷却水通路21に繋げたことにより、ウォータポンプ19からの上がり水が最初にこのウォータジャケット25に導かれる。上がり水はエンジン3各部を冷却してきた戻り水に比べ、格段に水温が低く、排気通路24を充分に冷却できる。
【0031】
また、シリンダブロック15より耐食性の低い素材から形成された排気カバー26に犠牲陽極装置29を取り付けたことにより、犠牲陽極30の効果を最大限に利用できる。
【0032】
さらに、犠牲陽極装置29を、ロアカバー7aとアッパーカバー7bとの割面35より上方の排気カバー26に犠牲陽極ホルダ32を介して着脱自在に取り付けたことにより、エンジン3を分解しなくても犠牲陽極30の点検・交換が可能になる。
【0033】
さらにまた、犠牲陽極30が取り付けられる取付口31の中心部にその径方向に渡ってブリッジ部36を架設したことにより、犠牲陽極30取付時、ウォータジャケット25内に犠牲陽極30が落下するのが防止される。
【0034】
ところで、上述した実施形態においては排気通路冷却用のウォータジャケット25近傍に犠牲陽極装置29を配置した例を示したが、図10(a)および(b)に示すように、シリンダヘッド14内に形成される排気ポート22冷却用のウォータジャケット28やシリンダブロック15内に形成されるシリンダ15a冷却用のウォータジャケット27に犠牲陽極装置29を配置しても良い。なお、整備性の観点から、いずれの場合も犠牲陽極装置29はロアカバー7aとアッパーカバー7bとの割面35より上方に配置されるのが望ましい。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る船外機によれば、犠牲陽極の効果を最大限に利用できてエンジンの腐蝕を防止できると共に、犠牲陽極の点検・交換が容易に行える。また、ウォータジャケット内への犠牲陽極の落下が防止される。
【0036】
さらに、エンジンのコンパクト化を図ることができると共に、排気通路に近接したエンジン機器に熱害が及ばず、また、ウォータジャケットの形成が簡素化する。そして、排気通路の冷却が充分に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る船外機の一実施形態を示す船外機の左側面図。
【図2】図1に示す船外機のエンジン部分の拡大側面図。
【図3】図2のIII−III線に沿う断面図。
【図4】シリンダブロック単体の左側面図。
【図5】図4のV矢視図。
【図6】図4のVI矢視図。
【図7】図4のVII矢視図。
【図8】排気カバーの平面図。
【図9】図8のIX−IX線に沿う断面図。
【図10】(a)および(b)はそれぞれ犠牲陽極の他の取付例を示す図。
【符号の説明】
1 船外機
2 エンジンホルダ
3 エンジン
5 オイルパン
14 シリンダヘッド
15 シリンダブロック
21 エンジンホルダ内の冷却水通路
22 排気ポート
23 排気排出路
24 排気通路
25 排気通路冷却用のウォータジャケット
27 シリンダ冷却用のウォータジャケット
28 排気ポート冷却用のウォータジャケット
30 犠牲陽極
31 犠牲陽極取付口
Claims (3)
- エンジンホルダの上方にシリンダヘッドおよびシリンダブロックを有するエンジンを設置すると共に、上記エンジンホルダの下方にオイルパンを設置した船外機において、上記シリンダヘッド内に形成される排気ポートと上記エンジンホルダ内に形成される排気排出路とをつなぐ排気通路を上記シリンダブロック内に形成し、上記排気ポートおよび排気通路の周囲にそれぞれが連通する冷却用のウォータジャケットを形成し、このウォータジャケットを上記エンジンホルダ内の冷却水通路に繋げると共に、これらのウォータジャケットに犠牲陽極の取付口を設け、この取付口の外側から上記犠牲陽極を着脱自在に取り付けたことを特徴とする船外機。
- 上記排気ポート冷却用のウォータジャケットまたは上記排気通路のウォータジャケットの少なくともいずれか一箇所に上記犠牲陽極を取り付けた請求項1記載の船外機。
- 上記シリンダブロック内に形成されたシリンダ冷却用のウォータジャケットを上記排気通路のウォータジャケットの下流に設け、上記シリンダ冷却用のウォータジャケットに上記犠牲陽極を取り付けた請求項1記載の船外機。
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- 2003-05-06 JP JP2003128143A patent/JP2004001734A/ja active Pending
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