JP2003526376A - 相同組換えを改善する方法 - Google Patents

相同組換えを改善する方法

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JP2003526376A JP2001567365A JP2001567365A JP2003526376A JP 2003526376 A JP2003526376 A JP 2003526376A JP 2001567365 A JP2001567365 A JP 2001567365A JP 2001567365 A JP2001567365 A JP 2001567365A JP 2003526376 A JP2003526376 A JP 2003526376A
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イヴァノフ,エヴゲニ
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トランスカーヨティック・セラピーズ・インコーポレーテッド
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、標的DNA中、例えば細胞の染色体DNA中の選択される部位での改変を促進する方法を特徴とする。該方法は、その部位で:(1)選択されるDNA配列を含む二本鎖DNA配列;(b)相同組換えを増進する剤、例えばRad52タンパク質またはその機能する断片;および(c)非相同端連結を阻害する剤、例えば抗Ku抗体またはKu結合オリゴマーもしくはポリマーなどのKuを不活性化する剤を提供し、そして改変が起こるのを可能にすることを含む。非相同端連結を阻害する剤、例えば抗Ku抗体などのKu不活性化剤は、好ましくは、局所で提供される。構成要素(a)、(b)、および(c)は、好ましくは共に投与してもよいし、または別個に投与してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の背景 療法タンパク質を投与することによって疾患を治療する、現在のアプローチに
は、慣用的な薬剤搬送(例えば静脈内、皮下、または筋内注射)のための療法タ
ンパク質のin vitro産生が、そしてより最近は遺伝子治療が含まれる。
【0002】 療法目的のタンパク質は、療法目的のタンパク質をコードする外因性DNAを
、適切な細胞に導入することによって、産生可能である。例えば、療法タンパク
質をコードする外因性DNAを含むベクターを細胞に導入し、そしてコードされ
るタンパク質を発現させることが可能である。ジーンターゲッティングによって
、内因性細胞遺伝子およびその発現が修飾可能であることもまた、示唆されてき
ている。例えば米国特許第5,272,071号、米国特許第5,641,67
0号、WO 91/06666、WO 91/06667およびWO 90/1
1354を参照されたい。発明の概要 本発明は、部分的に、標的とされる部位で、DNA配列に十分にごく近接して
、相同組換えを増進する剤、例えばRad52、および非相同端連結を阻害する
剤、例えばKu不活性化剤を提供することによって促進される、二本鎖DNA配
列および選択される標的DNA、例えば細胞中の染色体DNA間の相同組換えの
使用に基づく。Rad52およびKu不活性化剤両方の存在下では、非存在下よ
り、より高い率の相同組換えが起こると予測される。さらに、選択されるDNA
配列をテンプレートとして用いて、DNA中の標的とされる部位、例えば細胞中
の染色体DNA中の標的とされる部位を改変することを目的とするジーンターゲ
ッティングは、Rad52タンパク質およびKu不活性化剤、例えば抗Ku抗体
を提供することによって、促進可能であると予測される。Rad52タンパク質
およびKu不活性化剤を、選択されるDNA配列および標的部位にごく近接して
提供することによって、Rad52タンパク質およびKu不活性化剤、例えば抗
Ku抗体の非存在下よりも、ジーンターゲッティングによる、より高い率の改変
が生じる。
【0003】 したがって、1つの側面において、本発明は、標的DNA、例えば細胞の染色
体DNAにおいて選択される部位の改変を促進する方法を特徴とする。該方法は
、その部位で:(a)選択されるDNA配列を含む二本鎖DNA配列;(b)相
同組換えを増進する剤、例えばRad52タンパク質または機能するその断片、
あるいはRad52または機能するその断片をコードするDNA配列;および(
c)非相同端連結を阻害する剤、例えばKuを不活性化する剤を提供し、そして
改変が起こるのを可能にすることを含む。好ましい態様において、部位の改変、
例えば選択されるDNA配列および標的DNA間の相同組換えまたは遺伝子訂正
が、供給される相同組換え増進剤および非相同端連結阻害剤の非存在下で起こる
であろう率より高い率で起こるために、相同組換えを増進する剤の濃度および非
相同端連結を阻害する剤の濃度が、選択されるDNA配列および標的DNA間の
相互作用部位で、十分であるように、構成要素(a)、(b)、および(c)が
提供され、例えば細胞に導入される。非相同端連結を阻害する剤は、好ましくは
、局所に提供される。好ましくは、非相同端連結を阻害する剤は、抗Ku抗体な
どのKu不活性化剤である。
【0004】 構成要素(a)、(b)、および(c)は、好ましくは共に導入してもよいし
、または別個に導入してもよい。さらに、構成要素の2つを共に導入し、そして
第三の構成要素を別個に導入してもよい。例えば、DNA配列および相同組換え
を増進する剤、例えばRad52を共に導入してもよいし、またはDNA配列お
よび非相同端連結を阻害する剤、例えばKu不活性化剤を共に導入してもよい。
別の好ましい態様において、相同組換えを増進する剤および非相同端連結を阻害
する剤を共に導入してもよい。
【0005】 構成要素の2つ、または好ましくはすべてを、複合体として提供してもよい。
好ましい態様において、該方法は、標的DNAと:(a)選択されるDNA配列
を含む二本鎖DNA配列;(b)相同組換えを増進する剤、例えばRad52タ
ンパク質または機能するその断片;および(c)非相同端連結を阻害する剤、例
えば抗Ku抗体またはKu結合オリゴマーもしくはポリマーなどのKu不活性化
剤を含む複合体とを、例えば該複合体を細胞内に導入することによって接触させ
ることを含む。
【0006】 好ましい態様において、1つ、またはそれ以上、好ましくはすべての構成要素
は、局所搬送、例えばマイクロインジェクションによって提供され、そして標的
ゲノムまたは別の核酸から発現されない。特に好ましい態様において、非相同端
連結を阻害する剤、例えばKu阻害剤は、局所搬送、例えばマイクロインジェク
ションによって提供され、そして標的ゲノムまたは別の核酸から発現されない。
【0007】 好ましい態様において、非相同端連結を阻害する剤は:hMre11を不活性
化する剤、例えば抗hMre11抗体またはhMre11結合オリゴマーもしく
はポリマー;hRad50を不活性化する剤、例えば抗hRad50抗体または
hRad50結合オリゴマーもしくはポリマー;Nbs1を不活性化する剤、例
えば抗Nbs1抗体またはhNbs1結合オリゴマーもしくはポリマー;ヒトリ
ガーゼ4(hLig4)を不活性化する剤、例えば抗hLig4抗体またはhL
ig4結合オリゴマーもしくはポリマー;hXrcc4を不活性化する剤、例え
ば抗hXrcc4抗体またはhXrcc4結合オリゴマーもしくはポリマー;R
ap1のヒト相同体(homolog)を不活性化する剤、例えばRap1のヒ
ト相同体に対する抗体またはRap1のヒト相同体に結合するオリゴマーもしく
はポリマー;Sir2304のヒト相同体を不活性化する剤、例えばSir23
04のヒト相同体に対する抗体またはSir2304のヒト相同体に結合するオ
リゴマーもしくはポリマー;Kuを不活性化する剤、例えば抗Ku抗体またはK
u結合オリゴマーもしくはポリマーである。非相同端連結を阻害する剤のいずれ
も、単独で投与してもよいし、または非相同端連結を阻害する1以上の他の剤と
組み合わせて投与してもよい。
【0008】 好ましい態様において、DNA配列は直鎖DNA配列である。好ましい態様に
おいて、直鎖DNA配列は、1以上の一本鎖オーバーハング(類)を有すること
が可能である。
【0009】 好ましい態様において、選択されるDNA配列には、ターゲッティング配列が
隣接する。ターゲッティング配列は、標的に相同であり、例えば標的DNAを改
変しようとする部位または選択されるDNA配列を組み込もうとする部位に隣接
するDNAに相同である。こうした隣接配列は、選択されるDNA配列の1以上
の端、好ましくは両端に、存在することが可能である。2つの隣接配列が存在す
る場合、一方は標的の第一の領域に相同であるべきであり、そして他方は標的の
第二の領域に相同であるべきである。
【0010】 好ましい態様において、DNA配列は、1以上の突出一本鎖端を有し、例えば
突出端の1つまたは両方が、3’端または5’端である。 好ましい態様において、相同組換えを増進する剤は:Rad52タンパク質ま
たは機能するその断片;Rad51タンパク質または機能するその断片;Rad
54タンパク質または機能するその断片;あるいはそれらの組み合わせである。
【0011】 好ましい態様において、相同組換えを増進する剤は、DNA配列に付着し、例
えばDNA配列上にコーティングされる。好ましい態様において、Rad52タ
ンパク質または機能するその断片は、DNA配列に付着し、例えばDNA配列上
にコーティングされる。
【0012】 好ましい態様において、Rad52タンパク質またはその断片はヒトRad5
2(hRad52)である。 好ましい態様において、抗Ku抗体は:抗Ku70抗体;抗Ku80抗体であ
る。好ましい態様において、抗Ku抗体は:ヒト化抗体;ヒト抗体;抗体断片、
例えばFab、Fab’、F(ab’)2またはF(v)断片である。
【0013】 好ましい態様において、少なくとも1つの抗Ku抗体は:DNA配列;Rad
52タンパク質またはその断片に共有結合している。別の好ましい態様において
、少なくとも1つの抗Ku抗体は:DNA配列;Rad52タンパク質またはそ
の断片に非共有結合している。
【0014】 好ましい態様において、抗Ku70抗体および抗Ku80抗体は、例えば複合
体の構成要素として提供される。 好ましい態様において、細胞は:真核細胞である。好ましい態様において、細
胞は真菌、植物または動物起源、例えば脊椎動物起源のものである。好ましい態
様において、細胞は:哺乳動物細胞、例えば初代または二次哺乳動物細胞、例え
ば線維芽細胞、造血幹細胞、筋芽細胞、ケラチン形成細胞、上皮細胞、内皮細胞
、グリア細胞、神経細胞、血液の形成された要素を含む細胞、筋肉細胞およびこ
れらの体細胞の前駆体;形質転換または不死化細胞株である。好ましくは、細胞
はヒト細胞である。本方法に有用な不死化ヒト細胞株の例には、限定されるわけ
ではないが:Bowes黒色腫細胞(ATCC寄託番号CRL 9607)、D
audi細胞(ATCC寄託番号CCL 213)、HeLa細胞およびHeL
a細胞派生物(derivative)(ATCC寄託番号CCL2 CCL2
.1、およびCCL 2.2)、HL−60細胞(ATCC寄託番号CCL 2
40)、HT1080細胞(ATCC寄託番号CCL 121)、Jurkat
細胞(ATCC寄託番号TIB 152)、KB癌腫細胞(ATCC寄託番号C
CL 17)、K−562白血病細胞(ATCC寄託番号CCL 243)、M
CF−7乳癌細胞(ATCC寄託番号BTH 22)、MOLT−4細胞(AT
CC寄託番号1582)、Namalwa細胞(ATCC寄託番号CRL 14
32)、Rafji細胞(ATCC寄託番号CCL 86)、RPMI 822
6細胞(ATCC寄託番号CCL 155)、U−937細胞(ATCC寄託番
号1593)、WI−28VA13下位株2R4細胞(ATCC寄託番号CLL
155)、CCRF−CEM細胞(ATCC寄託番号CCL 119)および
2780AD卵巣癌細胞(Van Der Blickら, Cancer R
es. 48:5927−5932, 1988)と共に、ヒト細胞および別の
種の細胞の融合によって産生されるヘテロハイブリドーマ細胞が含まれる。別の
態様において、不死化細胞株は、ヒト細胞株以外の細胞株、例えばCHO細胞株
、COS細胞株であってもよい。
【0015】 好ましい態様において、構成要素、例えば複合体の構成要素は、マイクロイン
ジェクションによって、細胞に導入される。 1つの好ましい態様において、選択されるDNA配列は、10、8、6、5、
4、3、2未満、または1ヌクレオチド、例えば置換、または欠失、または挿入
により、標的DNAと異なる。
【0016】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、例えば標的配列は、約
10、8、6、5、4、3、2、または1ヌクレオチド、野生型配列と異なる。
好ましくは、突然変異は点突然変異、例えば挿入、欠失または置換による突然変
異である。
【0017】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は、疾
患または機能障害に関連し、例えば該疾患または機能障害を引き起こすか、それ
に貢献するか、それを左右するかまたは調節する。好ましくは、疾患または機能
障害は:嚢胞性線維症;鎌形赤血球貧血;血友病A;血友病B;フォンウィルブ
ランド疾患3型;色素性乾皮症;地中海貧血症;レッシュ−ナイラン(Lesc
h−Nylan)症候群;プロテインC耐性;リソソーム貯蔵疾患、例えばゴシ
ェ病、ファブリー病;ムコ多糖症(MPS)1型(ハーレー−シャイエ(Hur
ley−Scheie)症候群)、MPS II型(ハンター症候群)、MPS
IIIA型(サンフィリオ(Sanfilio)A症候群)、MPS III
B型(サンフィリオB症候群)、MPS IIIC型(サンフィリオC症候群)
、MPS IIID型(サンフィリオD症候群)、MPS IVA型(モルキオ
A症候群)、MPS IVB型(モルキオB症候群)、MPS VI型(マロト
ー−ラリー(Maroteaux−Larry)症候群)、MPS VII型(
スライ症候群)である。
【0018】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして選択されるDN
A配列は突然変異を訂正することが可能な正常野生型配列を含む。 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は嚢胞
性線維症膜貫通制御因子(CFTR)遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は
、CFTRタンパク質コード領域のコドン508のアミノ酸を改変するものであ
り、例えば突然変異は、CFTRタンパク質のコドン508のフェニルアラニン
を除去する、3塩基対インフレーム欠失である。CFTRタンパク質におけるフ
ェニルアラニン−508のこの欠失は、嚢胞性線維症を有する被験者に高い割合
で見られる。したがって、好ましい態様において、野生型CFTR遺伝子に見ら
れるようなフェニルアラニン−508をコードする配列を含む、選択されるDN
A配列を用いて、突然変異CFTR遺伝子を標的とし、そして訂正することが可
能である。
【0019】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異はヒト
β−グロビン遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は、β−グロビン遺伝子の
六番目のコドンのアミノ酸を改変するものであり、例えば突然変異は、β−グロ
ビン遺伝子の六番目のコドンにおけるAからTの置換である。この突然変異は、
β−グロビンタンパク質において、鎌形赤血球貧血を有する被験者に見られる、
グルタミン酸からバリンへの変化を導く。したがって、好ましい態様において、
コドン6で野生型アミノ酸残基をコードする、選択されるDNA、例えば野生型
β−グロビン遺伝子の六番目のコドン内で見られるように、Aを含む、選択され
るDNA配列を用いて、突然変異β−グロビン遺伝子を標的とし、そして訂正す
ることが可能である。
【0020】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は因子
VIII遺伝子中にある。例えば、突然変異は、因子VIII遺伝子のエクソン
23、24、および/またはエクソン25にある可能性がある。好ましくは、突
然変異は、因子VIIIタンパク質コード領域のコード領域のコドン2209で
アミノ酸を改変するものであり、例えば突然変異は、因子VIIIのアミノ酸2
209でアルギニンからグルタミンへの変化を導く、因子VIII遺伝子のエク
ソン24におけるGからAの置換である。好ましくは、突然変異は、因子VII
Iタンパク質コード領域のコード領域のコドン2229でアミノ酸を改変するも
のであり、例えば突然変異は、因子VIIIのアミノ酸2229でトリプトファ
ンからシステインへの変化を導く、因子VIII遺伝子のエクソン25における
GからTの置換である。これらの突然変異は、中程度から重度の血友病Aと関連
付けられてきている。したがって、好ましい態様において、因子VIII遺伝子
のコード領域のコドン2209で野生型アミノ酸をコードするDNA、または因
子VIII遺伝子のコード領域のコドン2229で野生型アミノ酸をコードする
DNAいずれか、あるいは両方を含む、選択されるDNAの配列を用いて、突然
変異因子VIII遺伝子を標的とし、そして訂正することが可能である。
【0021】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は因子
IX遺伝子中にある。例えば、血友病Bを有する被験者において、突然変異の大
部分は、因子IX遺伝子における点突然変異である。したがって、好ましい態様
において、選択されるDNA配列は、血友病Bに関連する因子IX遺伝子中の1
以上の点突然変異を標的とし、そして訂正するため、野生型因子IX遺伝子由来
の少なくとも1つのヌクレオチドを有する1以上のヌクレオチドを含むことが可
能である。
【0022】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異はフォ
ンウィルブランド因子遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は、フォンウィル
ブランド遺伝子のエクソン18における位2679−2684の6シトシン伸長
中の単一シトシン欠失である。この突然変異は、フォンウィルブランド疾患3型
を有する被験者に、かなりの割合で見られる。フォンウィルブランド疾患3型に
関連する他の突然変異、例えば点突然変異もまた、本明細書に記載されるように
、改変可能である。したがって、好ましい態様において、野生型フォンウィルブ
ランド遺伝子に見られる配列、例えばフォンウィルブランド遺伝子の位2679
−2684の6つのシトシンを含む、選択されるDNA配列を用いて、突然変異
フォンウィルブランド遺伝子を標的とし、そして訂正することが可能である。
【0023】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は色素
性乾皮症グループG(XP−G)遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は、X
P−G遺伝子に見られる245塩基対エクソンの位19−21の3アデニン伸長
中の単一アデニン欠失である。この欠失は、色素性乾皮症を導く。したがって、
好ましい態様において、XP−G遺伝子の野生型配列、例えば245塩基対エク
ソンの位19−21の3つのアデニンを含む、選択されるDNAを用いて、突然
変異XP−G遺伝子を標的とし、そして訂正することが可能である。
【0024】 好ましくは、Msh2、Msh6、Msh3、M1h1、Pms2、M1h3
、Pms1などのミスマッチ修復タンパク質を不活性化する剤もまた、提供され
る。剤は、複合体中に含まれていてもよい。
【0025】 別の好ましい態様において、改変は、選択されるDNA配列および標的DNA
、例えば染色体間の相同組換えを含む。 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、1より多いヌクレオチドで
標的DNAと異なり、例えば標的、または選択されるDNA配列が、非対領域、
例えばループアウト領域を有するように、十分な数のヌクレオチドで、標的と異
なる。こうした適用において、Msh2、Msh6、Msh3、M1h1、Pm
s2、M1h3、Pms1もまた、例えば複合体の一部として提供してもよい。
【0026】 好ましい態様において、改変は、標的DNAへの選択される配列の組込みを含
み、そして選択されるDNAは、標的上のあらかじめ選択される要素と、あらか
じめ選択される関係にあるように組み込まれ、例えば一方が制御要素であり、そ
して他方がタンパク質をコードする配列である場合、制御要素が、タンパク質コ
ード配列の発現を制御するよう機能する。選択される組込みを促進する隣接配列
を用いてもよい。選択されるDNA配列は、選択される標的配列、例えば遺伝子
またはコード配列の5’、3’、または該配列内に組み込むことが可能である。
【0027】 好ましい態様において、改変は、選択されるDNA配列の組込みを含み、そし
て選択されるDNA配列は制御配列、例えば外因性制御配列である。好ましい態
様において、制御配列は、1以上の:プロモーター、エンハンサー、上流活性化
配列(UAS)、足場付着領域または転写因子結合部位を含む。好ましい態様に
おいて、制御配列は:メタロチオネイン−I遺伝子、例えばマウスメタロチオネ
イン−I遺伝子由来の制御配列、SV−40遺伝子由来の制御配列、サイトメガ
ロウイルス遺伝子由来の制御配列、コラーゲン遺伝子由来の制御配列、アクチン
遺伝子由来の制御配列、免疫グロブリン遺伝子由来の制御配列、HMG−CoA
レダクターゼ遺伝子由来の制御配列、γアクチン遺伝子由来の制御配列、転写活
性化因子YY1遺伝子由来の制御配列、フィブロネクチン遺伝子由来の制御配列
、またはEF−1α遺伝子由来の制御配列を含む。
【0028】 好ましい態様において、選択されるDNA配列はエクソンを含む。好ましくは
、外因性エクソンは:CAP部位、ヌクレオチド配列ATG、および/または標
的とされる内因性遺伝子とインフレームのコードDNAを含む。
【0029】 好ましい態様において、選択されるDNA配列はスプライス−ドナー部位を含
む。 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、標的に組み込まれた際、内
因性コード配列を制御するよう作用する、外因性制御配列を含む。選択されるD
NA配列は、標的における内因性遺伝子のコード領域の上流、または標的におけ
る内因性遺伝子の内因性制御配列の上流に組み込むことが可能である。別の好ま
しい態様において、選択されるDNA配列は、内因性遺伝子またはコード領域の
下流、あるいはイントロンまたは内因性遺伝子内に組み込むことが可能である。
別の好ましい態様において、選択されるDNA配列は、内因性遺伝子の内因性制
御配列が不活性である、例えば完全にまたは部分的に欠失されるように、組み込
むことが可能である。
【0030】 好ましい態様において、選択されるDNA配列は内因性遺伝子の上流であり、
そして内因性遺伝子の第二のエクソンに連結される。 好ましい態様において、内因性遺伝子は:ホルモン、サイトカイン、抗原、抗
体、酵素、凝固因子、輸送タンパク質、受容体、制御タンパク質、構造タンパク
質または転写因子をコードする。好ましい態様において、内因性遺伝子は、以下
のタンパク質:エリスロポエチン、カルシトニン、成長ホルモン、インスリン、
インスリノトロピン、インスリン様増殖因子、副甲状腺ホルモン、α2−インタ
ーフェロン(IFNA2)、β−インターフェロン、γ−インターフェロン、神
経増殖因子類、FSHβ、TGF−β、腫瘍壊死因子、グルカゴン、骨増殖因子
−2、骨増殖因子−7、TSH−β、インターロイキン1、インターロイキン2
、インターロイキン3、インターロイキン6、インターロイキン11、インター
ロイキン12、CSF−顆粒球(GCSF)、CSF−マクロファージ、CSF
−顆粒球/マクロファージ、免疫グロブリン類、触媒性抗体類、プロテインキナ
ーゼC、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、組織プラス
ミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、アンチトロンビンIII、DNアーゼ、
α−ガラクトシダーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、血液凝固因子V、血液凝固
因子VII、血液凝固因子VIII、血液凝固因子IX、血液凝固因子X、血液
凝固因子XIII、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質A−I、グロビ
ン類、低密度リポタンパク質受容体、IL−2受容体、IL−2アンタゴニスト
類、α−1−アンチトリプシン、免疫反応修飾剤類、β−グルコセラミダーゼ、
α−イズロニダーゼ、α−L−イズロニダーゼ、グルコサミン−N−スルファタ
ーゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、アセチル補酵素A:α−グルコサ
ミン−N−アセチルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−スル
ファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、N−アセチルガラ
クトサミン−6−スルファターゼ、および可溶性CD4のいずれかをコードする
【0031】 好ましい態様において、内因性遺伝子は卵胞刺激ホルモンβ(FSHβ)をコ
ードし、そして選択されるDNA配列は、制御配列、例えばFSHβ遺伝子の制
御配列と配列が異なる制御配列を含む。好ましくは、選択されるDNA配列には
、ターゲッティング配列が隣接し、例えばこうしたターゲッティング配列は、選
択されるDNA配列の1以上の端、好ましくは両端に存在する。好ましい態様に
おいて、ターゲッティング配列は、FSHβコード領域(配列番号1)の5’の
領域に相同である。好ましい態様において、ターゲッティング配列は、FSHβ
コード配列内で、またはFSHβコード配列上流で、相同組換えを指示する。好
ましい態様において、ターゲッティング配列は、ヒトFSHβ配列のヌクレオチ
ド−7454から−1417(番号付けは翻訳開始部位に対する)に対応する配
列番号2由来、またはヒトFSHβ配列のヌクレオチド−696から−155に
対応する配列番号3由来の少なくとも20、30、50、100または1000
の連続するヌクレオチドを含む。
【0032】 好ましい態様において、内因性遺伝子はインターフェロンα2(IFNα2)
をコードし、そして選択されるDNA配列は、制御配列、例えばIFNα2遺伝
子の制御配列と配列が異なる制御配列を含む。好ましくは、選択されるDNA配
列には、ターゲッティング配列が隣接し、例えばこうしたターゲッティング配列
は、選択されるDNA配列の1以上の端、好ましくは両端に存在する。好ましい
態様において、ターゲッティング配列は、IFNα2コード領域の5’の領域に
相同である。好ましい態様において、ターゲッティング配列は、IFNα2コー
ド配列上流の領域内で、相同組換えを指示する。好ましい態様において、ターゲ
ッティング配列は、ヒトIFNα2配列のヌクレオチド−4074から−511
(番号付けは翻訳開始部位に対する)に対応する配列番号4由来の少なくとも2
0、30、50、100または1000の連続するヌクレオチドを含む。例えば
、該配列は:ヒトIFNα2配列のヌクレオチド−4074から−3796に対
応する配列番号7由来の少なくとも20、30、50、または100ヌクレオチ
ド;ヒトIFNα2配列のヌクレオチド−582から−510に対応する配列番
号8由来の少なくとも20、30、または50ヌクレオチド;ヒトIFNα2配
列のヌクレオチド−3795から−583に対応する配列番号9由来の少なくと
も20、30、50、100、または1000ヌクレオチドを含んでもよい。
【0033】 好ましい態様において、内因性遺伝子は顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)
をコードし、そして選択されるDNA配列は、制御配列、例えばGCSF遺伝子
の制御配列と配列が異なる制御配列を含む。好ましくは、選択されるDNA配列
には、ターゲッティング配列が隣接し、例えばこうしたターゲッティング配列は
、選択されるDNA配列の1以上の端、好ましくは両端に存在する。好ましい態
様において、ターゲッティング配列は、GCSFコード領域の5’の領域に相同
である。好ましい態様において、ターゲッティング配列は、GCSFコード配列
内で、またはGCSFコード配列上流で、相同組換えを指示する。好ましい態様
において、ターゲッティング配列は、ヒトGCSF配列のヌクレオチド−6,5
78から101(番号付けは翻訳開始部位に対する)に対応する配列番号5由来
の少なくとも20、30、50、100または1000の連続するヌクレオチド
を含む。例えば、標的配列は、ヒトGCSF遺伝子のヌクレオチド−6,578
から−364に対応する配列番号6由来の20、30、50、100または10
00ヌクレオチドを含んでもよい。
【0034】 別の好ましい態様において、DNA配列はコード領域を含み、例えば選択され
るDNA配列はタンパク質をコードする。好ましい態様において、コード領域は
:ホルモン、サイトカイン、抗原、抗体、酵素、凝固因子、輸送タンパク質、受
容体、制御タンパク質、構造タンパク質または転写因子をコードする。好ましい
態様において、コード領域は、以下のタンパク質:エリスロポエチン、カルシト
ニン、成長ホルモン、インスリン、インスリノトロピン、インスリン様増殖因子
、副甲状腺ホルモン、α2−インターフェロン(IFNA2)、β−インターフ
ェロン、γ−インターフェロン、神経増殖因子類、FSHβ、TGF−β、腫瘍
壊死因子、グルカゴン、骨増殖因子−2、骨増殖因子−7、TSH−β、インタ
ーロイキン1、インターロイキン2、インターロイキン3、インターロイキン6
、インターロイキン11、インターロイキン12、CSF−顆粒球(GCSF)
、CSF−マクロファージ、CSF−顆粒球/マクロファージ、免疫グロブリン
類、触媒性抗体類、プロテインキナーゼC、グルコセレブロシダーゼ、スーパー
オキシドジスムターゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、アン
チトロンビンIII、DNアーゼ、α−ガラクトシダーゼ、チロシンヒドロキシ
ラーゼ、血液凝固因子V、血液凝固因子VII、血液凝固因子VIII、血液凝
固因子IX、血液凝固因子X、血液凝固因子XIII、アポリポタンパク質E、
アポリポタンパク質A−I、グロビン類、低密度リポタンパク質受容体、IL−
2受容体、IL−2アンタゴニスト類、α−1−アンチトリプシン、免疫反応修
飾剤類、β−グルコセラミダーゼ、α−イズロニダーゼ、α−L−イズロニダー
ゼ、グルコサミン−N−スルファターゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ
、アセチル補酵素A:α−グルコサミン−N−アセチルトランスフェラーゼ、N
−アセチルグルコサミン−6−スルファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グ
ルクロニダーゼ、N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ、および可
溶性CD4のいずれかをコードする。
【0035】 好ましい態様において、選択されるDNA配列が内因性制御要素の調節下にあ
るように、該配列を標的内に組み込むことが可能である。選択されるDNAは、
内因性制御配列の下流または内因性遺伝子のコード領域の上流および遺伝子の内
因性制御配列の下流に組み込むことが可能である。別の好ましい態様において、
選択されるDNAは、内因性遺伝子のコード領域が不活性化される、例えば完全
にまたは部分的に欠失されるように、内因性制御配列の下流に組み込むことが可
能である。
【0036】 好ましい態様において、該方法は、ミスマッチ修復タンパク質、例えばMsh
2、Msh6、Msh3、M1h1、Pms2、M1h3、Pms1、または他
のミスマッチ修復タンパク質、あるいはそれらの組み合わせを阻害する剤を導入
することをさらに含む。好ましくは、剤は、ミスマッチ修復タンパク質の発現を
阻害する剤であり、例えば剤はアンチセンスRNAである。好ましい態様におい
て、剤はミスマッチ修復タンパク質に対する抗体である。好ましい態様において
、ミスマッチ修復タンパク質に対する抗体は、複合体に共有または非共有結合し
ている。
【0037】 別の側面において、本発明は、選択されるDNA配列、例えば本明細書記載の
選択されるDNA配列をテンプレートとして用いて、標的DNA、例えば染色体
、例えば本明細書記載の標的DNAでの改変を促進するための組成物、例えば構
成要素の複合体を特徴とする。組成物は:(a)選択されるDNA配列を含む二
本鎖DNA配列;(b)相同組換えを増進する剤、例えばRad52タンパク質
または機能するその断片;および(c)非相同端連結を阻害する剤、例えばKu
を不活性化する剤を含む。該組成物を用いて、例えば組込みによって標的DNA
配列を改変可能である。
【0038】 好ましい態様において、非相同端連結を阻害する剤は:hMre11を不活性
化する剤、例えば抗hMre11抗体またはhMre11結合オリゴマーもしく
はポリマー;hRad50を不活性化する剤、例えば抗hRad50抗体または
hRad50結合オリゴマーもしくはポリマー;Nbs1を不活性化する剤、例
えば抗Nbs1抗体またはhNbs1結合オリゴマーもしくはポリマー;ヒトリ
ガーゼ4(hLig4)を不活性化する剤、例えば抗hLig4抗体またはhL
ig4結合オリゴマーもしくはポリマー;hXrcc4を不活性化する剤、例え
ば抗hXrcc4抗体またはhXrcc4結合オリゴマーもしくはポリマー;R
ap1のヒト相同体を不活性化する剤、例えばRap1のヒト相同体に対する抗
体またはRap1のヒト相同体に結合するオリゴマーもしくはポリマー;Sir
2304のヒト相同体を不活性化する剤、例えばSir2304のヒト相同体に
対する抗体またはSir2304のヒト相同体に結合するオリゴマーもしくはポ
リマー;Kuを不活性化する剤、例えば抗Ku抗体またはKu結合オリゴマーも
しくはポリマーである。非相同端連結を阻害する剤のいずれも、単独で投与して
もよいし、または非相同端連結を阻害する1以上の他の剤と組み合わせて投与し
てもよい。
【0039】 好ましい態様において、DNA配列は直鎖DNA配列である。好ましい態様に
おいて、直鎖DNA配列は、1以上の一本鎖オーバーハング(類)を有すること
が可能である。
【0040】 好ましい態様において、選択されるDNA配列にはターゲッティング配列が隣
接する。ターゲッティング配列は、標的に相同であり、例えば標的DNAを改変
しようとする部位または選択されるDNA配列を挿入しようとする部位に隣接す
るDNAに相同である。こうした隣接配列は、選択されるDNA配列の1以上の
端、好ましくは両端に、存在することが可能である。2つの隣接配列が存在する
場合、一方は標的の第一の領域に相同であるべきであり、そして他方は標的の第
二の領域に相同であるべきである。
【0041】 好ましい態様において、DNA配列は、1以上の突出一本鎖端を有し、例えば
突出端の1つまたは両方が、3’端または5’端である。 好ましい態様において、相同組換えを増進する剤は:Rad52タンパク質ま
たは機能するその断片;Rad51タンパク質または機能するその断片;Rad
54タンパク質または機能するその断片;あるいはそれらの組み合わせである。
【0042】 好ましい態様において、相同組換えを増進する剤は、DNA配列に付着し、例
えばDNA配列上にコーティングされる。好ましい態様において、Rad52タ
ンパク質または機能するその断片は、選択されるDNA配列に付着し、例えば選
択されるDNA配列上にコーティングされる。
【0043】 好ましい態様において、Rad52タンパク質またはその断片はヒトRad5
2(hRad52)である。 好ましい態様において、抗Ku抗体は:抗Ku70抗体;抗Ku80抗体であ
る。好ましい態様において、抗Ku抗体は:ヒト化抗体;ヒト抗体;抗体断片、
例えばFab、Fab’、F(ab’)2またはF(v)断片である。
【0044】 好ましい態様において、少なくとも1つの抗Ku抗体は:選択されるDNA配
列;Rad52タンパク質またはその断片に共有結合している。別の好ましい態
様において、少なくとも1つの抗Ku抗体は:選択されるDNA配列;Rad5
2タンパク質またはその断片に非共有結合している。
【0045】 好ましい態様において、組成物は、抗Ku70抗体および抗Ku80抗体を含
む。 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、10、8、6、5、4、3
、2未満、または1ヌクレオチド、例えば置換、または欠失、または挿入により
、標的DNAと異なる。
【0046】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、例えば標的配列は、約
10、8、6、5、4、3、2、または1ヌクレオチド、野生型配列と異なる。
好ましくは、突然変異は点突然変異、例えば挿入、欠失または置換による突然変
異である。
【0047】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は、疾
患または機能障害に関連し、例えば該疾患または機能障害を引き起こすか、それ
に貢献するか、それを左右するかまたは調節する。好ましくは、疾患または機能
障害は:嚢胞性線維症;鎌形赤血球貧血;血友病A;血友病B;フォンウィルブ
ランド疾患3型;色素性乾皮症;地中海貧血症;レッシュ−ナイラン症候群;プ
ロテインC耐性;リソソーム貯蔵疾患、例えばゴシェ病、ファブリー病;ムコ多
糖症(MPS)1型(ハーレー−シャイエ症候群)、MPS II型(ハンター
症候群)、MPS IIIA型(サンフィリオA症候群)、MPS IIIB型
(サンフィリオB症候群)、MPS IIIC型(サンフィリオC症候群)、M
PS IIID型(サンフィリオD症候群)、MPS IVA型(モルキオA症
候群)、MPS IVB型(モルキオB症候群)、MPS VI型(マロトー−
ラリー症候群)、MPS VII型(スライ症候群)である。
【0048】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして選択されるDN
A配列は突然変異を訂正することが可能な正常野生型配列を含む。 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は嚢胞
性線維症膜貫通制御因子(CFTR)遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は
、CFTRタンパク質コード領域のコドン508のアミノ酸を改変するものであ
り、例えば突然変異は、CFTRタンパク質のコドン508のフェニルアラニン
を除去する、3塩基対インフレーム欠失である。CFTRタンパク質におけるフ
ェニルアラニン−508のこの欠失は、嚢胞性線維症を有する被験者に高い割合
で見られる。したがって、好ましい態様において、野生型CFTR遺伝子に見ら
れるようなフェニルアラニン−508をコードする配列を含む、選択されるDN
A配列を用いて、突然変異CFTR遺伝子を標的とし、そして訂正することが可
能である。
【0049】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異はヒト
β−グロビン遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は、β−グロビン遺伝子の
六番目のコドンのアミノ酸を改変するものであり、例えば突然変異は、β−グロ
ビン遺伝子の六番目のコドンにおけるAからTの置換である。この突然変異は、
β−グロビンタンパク質において、鎌形赤血球貧血を有する被験者に見られる、
グルタミン酸からバリンへの変化を導く。したがって、好ましい態様において、
コドン6で野生型アミノ酸残基をコードする、選択されるDNA、例えば野生型
β−グロビン遺伝子の六番目のコドン内で見られるように、Aを含む、選択され
るDNA配列を用いて、突然変異β−グロビン遺伝子を標的とし、そして訂正す
ることが可能である。
【0050】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は因子
VIII遺伝子中にある。例えば、突然変異は、因子VIII遺伝子のエクソン
23、24、および/またはエクソン25にある可能性がある。好ましくは、突
然変異は、因子VIIIタンパク質コード領域のコード領域のコドン2209で
アミノ酸を改変するものであり、例えば突然変異は、因子VIIIのアミノ酸2
209でアルギニンからグルタミンへの変化を導く、因子VIII遺伝子のエク
ソン24におけるGからAの置換である。好ましくは、突然変異は、因子VII
Iタンパク質コード領域のコード領域のコドン2229でアミノ酸を改変するも
のであり、例えば突然変異は、因子VIIIのアミノ酸2229でトリプトファ
ンからシステインへの変化を導く、因子VIII遺伝子のエクソン25における
GからTの置換である。これらの突然変異は、中程度から重度の血友病Aと関連
付けられてきている。したがって、好ましい態様において、因子VIII遺伝子
のコード領域のコドン2209で野生型アミノ酸をコードするDNA、または因
子VIII遺伝子のコード領域のコドン2229で野生型アミノ酸をコードする
DNAいずれか、あるいは両方を含む、選択されるDNA配列を用いて、突然変
異因子VIII遺伝子を標的とし、そして訂正することが可能である。
【0051】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は因子
IX遺伝子中にある。例えば、血友病Bを有する被験者において、突然変異の大
部分は、因子IX遺伝子における点突然変異である。したがって、好ましい態様
において、選択されるDNA配列は、血友病Bに関連する因子IX遺伝子中の1
以上の点突然変異を標的とし、そして訂正するため、野生型因子IX遺伝子由来
の少なくとも1つのヌクレオチドを有する1以上のヌクレオチドを含むことが可
能である。
【0052】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異はフォ
ンウィルブランド因子遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は、フォンウィル
ブランド遺伝子のエクソン18における位2679−2684の6シトシン伸長
中の単一シトシン欠失である。この突然変異は、フォンウィルブランド疾患3型
を有する被験者に、かなりの割合で見られる。フォンウィルブランド疾患3型に
関連する他の突然変異、例えば点突然変異もまた、本明細書に記載されるように
、改変可能である。したがって、好ましい態様において、野生型フォンウィルブ
ランド遺伝子に見られる配列、例えばフォンウィルブランド遺伝子のエクソン1
8の位2679−2684の6つのシトシンを含む、選択されるDNA配列を用
いて、突然変異フォンウィルブランド遺伝子を標的とし、そして訂正することが
可能である。
【0053】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は色素
性乾皮症グループG(XP−G)遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は、X
P−G遺伝子に見られる245塩基対エクソンの位19−21の3アデニン伸長
中の単一アデニン欠失である。この欠失は、色素性乾皮症を導く。したがって、
好ましい態様において、XP−G遺伝子の野生型配列、例えばXP−G遺伝子の
245塩基対エクソンの位19−21の3つのアデニンを含む、選択されるDN
Aを用いて、突然変異XP−G遺伝子を標的とし、そして訂正することが可能で
ある。
【0054】 別の好ましい態様において、選択されるDNA配列は、1より多いヌクレオチ
ドで標的DNAと異なり、例えば標的、または選択されるDNA配列が、非対領
域、例えばループアウト領域を有するように、十分な数のヌクレオチドで、標的
と異なる。好ましくは、Msh2、Msh6、Msh3、M1h1、Pms2、
M1h3、Pms1、またはそれらの組み合わせなどのミスマッチ修復タンパク
質を不活性化する剤もまた、組成物に含んでもよく、例えば該剤を複合体に含ん
でもよい。
【0055】 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、標的DNA上のあらかじめ
選択される要素と、あらかじめ選択される関係にあるように組み込まれることが
可能であるように、隣接配列を有する。例えば、選択されるDNAが制御配列で
あり、そして標的DNAがタンパク質をコードする場合、隣接配列は、制御要素
がタンパク質コード配列の発現を制御するよう機能するように、組み込むであろ
うものである。選択される組込みを促進する隣接配列を用いることが可能である
。選択されるDNA配列は、選択される標的配列、例えば標的中の遺伝子または
コード領域の5’、3’、または該領域内に組み込まれることが可能であるよう
な隣接配列を有することが可能である。
【0056】 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、制御配列、例えば外因性制
御配列を含む。好ましい態様において、制御配列は、1以上の:プロモーター、
エンハンサー、UAS、足場付着領域または転写因子結合部位を含む。好ましい
態様において、制御配列は:メタロチオネイン−I遺伝子、例えばマウスメタロ
チオネイン−I遺伝子由来の制御配列、SV−40遺伝子由来の制御配列、サイ
トメガロウイルス遺伝子由来の制御配列、コラーゲン遺伝子由来の制御配列、ア
クチン遺伝子由来の制御配列、免疫グロブリン遺伝子由来の制御配列、HMG−
CoAレダクターゼ遺伝子由来の制御配列、γアクチン遺伝子由来の制御配列、
転写活性化因子YY1遺伝子由来の制御配列、フィブロネクチン遺伝子由来の制
御配列、またはEF−1α遺伝子由来の制御配列を含む。
【0057】 好ましい態様において、選択されるDNA配列はエクソンを含む。好ましくは
、外因性エクソンは:CAP部位、ヌクレオチド配列ATG、および/または標
的とされる内因性遺伝子とインフレームのコードDNAを含む。
【0058】 好ましい態様において、選択されるDNA配列はスプライス−ドナー部位を含
む。 好ましい態様において、外因性制御配列を有する、選択されるDNA配列を含
む組成物は、選択されるDNA配列が、内因性配列の発現を制御するよう機能す
るように、標的内に組み込まれるような、隣接配列を有してもよい。選択される
DNAは、標的において、内因性遺伝子またはコード配列のコード領域上流の標
的に組み込むことが可能であるし、あるいは標的において、内因性遺伝子または
コード配列の内因性制御配列上流の標的に組み込むことが可能である。別の好ま
しい態様において、選択されるDNA配列は、内因性遺伝子の内因性制御配列が
不活性である、例えば完全にまたは部分的に欠失されるように、標的中に組み込
むことが可能である。選択されるDNA配列は、内因性遺伝子またはコード領域
の下流の標的に組み込むことが可能であるし、あるいは内因性遺伝子のイントロ
ン内に組み込むことが可能である。
【0059】 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、制御配列、例えばFSHβ
遺伝子の制御配列と配列が異なる制御配列を含む。好ましくは、選択されるDN
A配列には、ターゲッティング配列が隣接し、例えばこうしたターゲッティング
配列は、選択されるDNA配列の1以上の端、好ましくは両端に存在する。好ま
しい態様において、ターゲッティング配列は、FSHβコード領域(配列番号1
)の5’の領域に相同である。好ましい態様において、ターゲッティング配列は
、FSHβコード配列内で、またはFSHβコード配列上流で、相同組換えを指
示する。好ましい態様において、ターゲッティング配列は、ヒトFSHβ配列の
ヌクレオチド−7454から−1417(番号付けは翻訳開始部位に対する)に
対応する配列番号2由来、またはヒトFSHβ配列のヌクレオチド−696から
−155に対応する配列番号3由来の少なくとも20、30、50、100また
は1000の連続するヌクレオチドを含む。
【0060】 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、制御配列、例えばIFNα
2遺伝子の制御配列と配列が異なる制御配列を含む。好ましくは、選択されるD
NA配列には、ターゲッティング配列が隣接し、例えばこうしたターゲッティン
グ配列は、選択されるDNA配列の1以上の端、好ましくは両端に存在する。好
ましい態様において、ターゲッティング配列は、IFNα2コード領域の5’の
領域に相同である。好ましい態様において、ターゲッティング配列は、IFNα
2コード配列上流の領域内で、相同組換えを指示する。好ましい態様において、
ターゲッティング配列は、ヒトIFNα2配列のヌクレオチド−4074から−
511(番号付けは翻訳開始部位に対する)に対応する配列番号4由来の少なく
とも20、30、50、100または1000の連続するヌクレオチドを含む。
例えば、該配列は:ヒトIFNα2配列のヌクレオチド−4074から−379
6に対応する配列番号7由来の少なくとも20、30、50、または100ヌク
レオチド;ヒトIFNα2配列のヌクレオチド−582から−510に対応する
配列番号8由来の少なくとも20、30、または50ヌクレオチド;ヒトIFN
α2配列のヌクレオチド−3795から−583に対応する配列番号9由来の少
なくとも20、30、50、100、または1000ヌクレオチドを含んでもよ
い。
【0061】 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、制御配列、例えばGCSF
遺伝子の制御配列と配列が異なる制御配列を含む。好ましくは、選択されるDN
A配列には、ターゲッティング配列が隣接し、例えばこうしたターゲッティング
配列は、選択されるDNA配列の1以上の端、好ましくは両端に存在する。好ま
しい態様において、ターゲッティング配列は、GCSFコード領域の5’の領域
に相同である。好ましい態様において、ターゲッティング配列は:GCSFコー
ド配列内で;またはGCSFコード配列上流で、相同組換えを指示する。好まし
い態様において、ターゲッティング配列は、ヒトGCSF配列のヌクレオチド−
6,578から101(番号付けは翻訳開始部位に対する)に対応する配列番号
5由来の少なくとも20、30、50、100または1000の連続するヌクレ
オチドを含む。例えば、標的配列は、ヒトGCSF遺伝子のヌクレオチド−6,
578から−364(番号付けは翻訳開始部位に対する)に対応する配列番号6
由来の20、30、50、100または1000ヌクレオチドを含んでもよい。
【0062】 別の好ましい態様において、DNA配列はコード領域を含み、例えばDNA配
列はタンパク質をコードする。好ましい態様において、コード領域は:ホルモン
、サイトカイン、抗原、抗体、酵素、凝固因子、輸送タンパク質、受容体、制御
タンパク質、構造タンパク質または転写因子をコードする。好ましい態様におい
て、コード領域は、以下のタンパク質:エリスロポエチン、カルシトニン、成長
ホルモン、インスリン、インスリノトロピン、インスリン様増殖因子、副甲状腺
ホルモン、α2−インターフェロン(IFNA2)、β−インターフェロン、γ
−インターフェロン、神経増殖因子類、FSHβ、TGF−β、腫瘍壊死因子、
グルカゴン、骨増殖因子−2、骨増殖因子−7、TSH−β、インターロイキン
1、インターロイキン2、インターロイキン3、インターロイキン6、インター
ロイキン11、インターロイキン12、CSF−顆粒球(GCSF)、CSF−
マクロファージ、CSF−顆粒球/マクロファージ、免疫グロブリン類、触媒性
抗体類、プロテインキナーゼC、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドジ
スムターゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、アンチトロンビ
ンIII、DNアーゼ、α−ガラクトシダーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、血
液凝固因子V、血液凝固因子VII、血液凝固因子VIII、血液凝固因子IX
、血液凝固因子X、血液凝固因子XIII、アポリポタンパク質E、アポリポタ
ンパク質A−I、グロビン類、低密度リポタンパク質受容体、IL−2受容体、
IL−2アンタゴニスト類、α−1−アンチトリプシン、免疫反応修飾剤類、β
−グルコセラミダーゼ、α−イズロニダーゼ、α−L−イズロニダーゼ、グルコ
サミン−N−スルファターゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、アセチル
補酵素A:α−グルコサミン−N−アセチルトランスフェラーゼ、N−アセチル
グルコサミン−6−スルファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダ
ーゼ、N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ、および可溶性CD4
のいずれかをコードする。
【0063】 好ましい態様において、選択されるDNA配列が、標的内に組み込まれる際、
内因性制御要素の調節下にあるように、隣接配列を有してもよい。選択されるD
NAは、内因性制御配列の下流または内因性遺伝子のコード領域の上流および遺
伝子の内因性制御配列の下流に組み込むことが可能である。別の好ましい態様に
おいて、選択されるDNAは、内因性遺伝子のコード領域が不活性化される、例
えば完全にまたは部分的に欠失されるように、内因性制御配列の下流に組み込む
ことが可能である。
【0064】 好ましい態様において、組成物、例えば複合体は、細胞に導入する。好ましく
は、細胞は真核細胞である。好ましい態様において、細胞は真菌、植物または動
物起源、例えば脊椎動物起源のものである。好ましい態様において、細胞は:哺
乳動物細胞、例えば初代または二次哺乳動物細胞、例えば線維芽細胞、造血幹細
胞、筋芽細胞、ケラチン形成細胞、上皮細胞、内皮細胞、グリア細胞、神経細胞
、血液の形成された要素を含む細胞、筋肉細胞およびこれらの体細胞の前駆体;
形質転換または不死化細胞株である。好ましくは、細胞はヒト細胞である。本方
法に有用な不死化ヒト細胞株の例には、限定されるわけではないが:Bowes
黒色腫細胞(ATCC寄託番号CRL 9607)、Daudi細胞(ATCC
寄託番号CCL 213)、HeLa細胞およびHeLa細胞派生物(ATCC
寄託番号CCL2 CCL2.1、およびCCL 2.2)、HL−60細胞(
ATCC寄託番号CCL 240)、HT1080細胞(ATCC寄託番号CC
L 121)、Jurkat細胞(ATCC寄託番号TIB 152)、KB癌
腫細胞(ATCC寄託番号CCL 17)、K−562白血病細胞(ATCC寄
託番号CCL 243)、MCF−7乳癌細胞(ATCC寄託番号BTH 22
)、MOLT−4細胞(ATCC寄託番号1582)、Namalwa細胞(A
TCC寄託番号CRL 1432)、Rafji細胞(ATCC寄託番号CCL 86)、RPMI 8226細胞(ATCC寄託番号CCL 155)、U−
937細胞(ATCC寄託番号1593)、WI−28VA13下位株2R4細
胞(ATCC寄託番号CLL 155)、CCRF−CEM細胞(ATCC寄託
番号CCL 119)および2780AD卵巣癌細胞(Van Der Bli
ckら, Cancer Res. 48:5927−5932, 1988)
と共に、ヒト細胞および別の種の細胞の融合によって産生されるヘテロハイブリ
ドーマ細胞が含まれる。別の態様において、不死化細胞株は、ヒト細胞株以外の
細胞株、例えばCHO細胞株、COS細胞株であってもよい。
【0065】 好ましい態様において、組成物は、ミスマッチ修復タンパク質、例えばMsh
2、Msh6、Msh3、M1h1、Pms2、M1h3、Pms1、または他
のミスマッチ修復タンパク質、あるいはそれらの組み合わせを阻害する剤をさら
に含む。好ましくは、剤は、ミスマッチ修復タンパク質の発現を阻害する剤であ
り、例えば剤はアンチセンスRNAである。好ましい態様において、剤はミスマ
ッチ修復タンパク質に対する抗体である。好ましい態様において、ミスマッチ修
復タンパク質に対する抗体は、組成物の1つ以上の構成要素に共有または非共有
結合している。
【0066】 別の側面において、本発明は、タンパク質を提供する方法を特徴とする。該方
法は:本明細書に記載される方法によって作成された細胞を提供し、そして細胞
がタンパク質を発現することを可能にすることを含む。
【0067】 別の好ましい態様において:該方法は:改変のため、標的とされる部位に、以
下の構成要素:(a)選択されるDNA配列を含む二本鎖DNA配列;(b)相
同組換えを増進する剤、例えばRad52タンパク質または機能するその断片;
および(c)非相同端連結を阻害する剤、例えばKu不活性化剤が導入されてい
る細胞を提供し、そして細胞がタンパク質を発現することを可能にすることを含
む。タンパク質の発現は、例えば、DNAにコードされるタンパク質の発現を可
能にすることによって、またはタンパク質の発現を活性化することによって、起
こることが可能である。
【0068】 好ましい態様において、部位の改変、例えば選択されるDNA配列および標的
DNA間の相同組換えまたは遺伝子訂正が、供給される相同組換え増進剤および
非相同端連結阻害剤の非存在下で起こるであろう率より高い率で起こるために、
相同組換えを増進する剤の濃度および非相同端連結を阻害する剤の濃度が、選択
されるDNA配列および標的DNA間の相互作用部位で、十分であるように、構
成要素(a)、(b)、および(c)が提供され、例えば細胞に導入される。非
相同端連結を阻害する剤は、好ましくは、局所に提供される。
【0069】 好ましい態様において、構成要素(a)、(b)、および(c)は、共に導入
してもよいし、または別個に導入してもよい。さらに、構成要素の2つを共に導
入し、そして第三の構成要素を別個に導入してもよい。例えば、DNA配列およ
び相同組換えを増進する剤、例えばRad52を共に導入してもよいし、または
DNA配列および非相同端連結を阻害する剤、例えばKu不活性化剤を共に導入
してもよい。別の好ましい態様において、相同組換えを増進する剤および非相同
端連結を阻害する剤を共に導入してもよい。
【0070】 構成要素の2つ、または好ましくはすべてを、複合体として提供してもよい。
好ましい態様において、該方法は、標的DNAと:(a)選択されるDNA配列
を含む二本鎖DNA配列;(b)相同組換えを増進する剤、例えばRad52タ
ンパク質または機能するその断片;および(c)非相同端連結を阻害する剤、例
えばKuを不活性化する剤を含む複合体とを、例えば該複合体を細胞内に導入す
ることによって接触させることを含む。
【0071】 好ましい態様において、1つ、またはそれ以上、好ましくはすべての構成要素
は、局所搬送、例えばマイクロインジェクションによって提供され、そして標的
ゲノムまたは他の核酸から発現されない。特に好ましい態様において、非相同端
連結を阻害する剤、例えば抗Ku抗体などのKu不活性化剤は、局所搬送、例え
ばマイクロインジェクションによって提供され、そして標的ゲノムまたは他の核
酸から発現されない。
【0072】 好ましい態様において、非相同端連結を阻害する剤は:hMre11を不活性
化する剤、例えば抗hMre11抗体またはhMre11結合オリゴマーもしく
はポリマー;hRad50を不活性化する剤、例えば抗hRad50抗体または
hRad50結合オリゴマーもしくはポリマー;Nbs1を不活性化する剤、例
えば抗Nbs1抗体またはhNbs1結合オリゴマーもしくはポリマー;ヒトリ
ガーゼ4(hLig4)を不活性化する剤、例えば抗hLig4抗体またはhL
ig4結合オリゴマーもしくはポリマー;hXrcc4を不活性化する剤、例え
ば抗hXrcc4抗体またはhXrcc4結合オリゴマーもしくはポリマー;R
ap1のヒト相同体を不活性化する剤、例えばRap1のヒト相同体に対する抗
体またはRap1のヒト相同体に結合するオリゴマーもしくはポリマー;Sir
2304のヒト相同体を不活性化する剤、例えばSir2304のヒト相同体に
対する抗体またはSir2304のヒト相同体に結合するオリゴマーもしくはポ
リマー;Kuを不活性化する剤、例えば抗Ku抗体またはKu結合オリゴマーも
しくはポリマーである。非相同端連結を阻害する剤のいずれも、単独で投与して
もよいし、または非相同端連結を阻害する1以上の他の剤と組み合わせて投与し
てもよい。
【0073】 好ましい態様において、DNA配列は直鎖DNA配列である。好ましい態様に
おいて、直鎖DNA配列は、1以上の一本鎖オーバーハング(類)を有すること
が可能である。
【0074】 好ましい態様において、選択されるDNA配列にターゲッティング配列が隣接
する。ターゲッティング配列は、標的に相同であり、例えば標的DNAを改変し
ようとする部位または選択されるDNA配列を組み込もうとする部位に隣接する
DNAに相同である。こうした隣接配列は、選択されるDNA配列の1以上の端
、好ましくは両端に、存在することが可能である。2つの隣接配列が存在する場
合、一方は標的の第一の領域に相同であるべきであり、そして他方は標的の第二
の領域に相同であるべきである。
【0075】 好ましい態様において、DNA配列は、1以上の突出一本鎖端を有し、例えば
突出端の1つまたは両方が、3’端または5’端である。 好ましい態様において、相同組換えを増進する剤は:Rad52タンパク質ま
たは機能するその断片;Rad51タンパク質または機能するその断片;Rad
54タンパク質または機能するその断片;あるいはそれらの組み合わせである。
【0076】 好ましい態様において、相同組換えを増進する剤は、DNA配列に付着し、例
えばDNA配列上にコーティングされる。好ましい態様において、Rad52タ
ンパク質または機能するその断片は、選択されるDNA配列に付着し、例えば選
択されるDNA配列上にコーティングされる。
【0077】 好ましい態様において、Rad52タンパク質またはその断片はヒトRad5
2(hRad52)である。 好ましい態様において、抗Ku抗体は:抗Ku70抗体;抗Ku80抗体であ
る。好ましい態様において、抗Ku抗体は:ヒト化抗体;ヒト抗体;抗体断片、
例えばFab、Fab’、F(ab’)2またはF(v)断片である。
【0078】 好ましい態様において、少なくとも1つの抗Ku抗体は:選択されるDNA配
列;相同組換えを増進する剤、例えばRad52タンパク質またはその断片に共
有結合している。別の好ましい態様において、少なくとも1つの抗Ku抗体は:
選択されるDNA配列;相同組換えを増進する剤、例えばRad52タンパク質
またはその断片に非共有結合している。
【0079】 好ましい態様において、複合体は、例えば複合体の構成要素として提供される
、抗Ku70抗体および抗Ku80抗体を含む。 好ましい態様において、細胞は:真核細胞である。好ましい態様において、細
胞は真菌、植物または動物起源、例えば脊椎動物起源のものである。好ましい態
様において、細胞は:哺乳動物細胞、例えば初代または二次哺乳動物細胞、例え
ば線維芽細胞、造血幹細胞、筋芽細胞、ケラチン形成細胞、上皮細胞、内皮細胞
、グリア細胞、神経細胞、血液の形成された要素を含む細胞、筋肉細胞およびこ
れらの体細胞の前駆体;形質転換または不死化細胞株である。好ましくは、細胞
はヒト細胞である。本方法に有用な不死化ヒト細胞株の例には、限定されるわけ
ではないが:Bowes黒色腫細胞(ATCC寄託番号CRL 9607)、D
audi細胞(ATCC寄託番号CCL 213)、HeLa細胞およびHeL
a細胞派生物(ATCC寄託番号CCL2 CCL2.1、およびCCL 2.
2)、HL−60細胞(ATCC寄託番号CCL 240)、HT1080細胞
(ATCC寄託番号CCL 121)、Jurkat細胞(ATCC寄託番号T
IB 152)、KB癌腫細胞(ATCC寄託番号CCL 17)、K−562
白血病細胞(ATCC寄託番号CCL 243)、MCF−7乳癌細胞(ATC
C寄託番号BTH 22)、MOLT−4細胞(ATCC寄託番号1582)、
Namalwa細胞(ATCC寄託番号CRL 1432)、Rafji細胞(
ATCC寄託番号CCL 86)、RPMI 8226細胞(ATCC寄託番号
CCL 155)、U−937細胞(ATCC寄託番号1593)、WI−28
VA13下位株2R4細胞(ATCC寄託番号CLL 155)、CCRF−C
EM細胞(ATCC寄託番号CCL 119)および2780AD卵巣癌細胞(
Van Der Blickら, Cancer Res. 48:5927−
5932, 1988)と共に、ヒト細胞および別の種の細胞の融合によって産
生されるヘテロハイブリドーマ細胞が含まれる。別の態様において、不死化細胞
株は、ヒト細胞株以外の細胞株、例えばCHO細胞株、COS細胞株であっても
よい。
【0080】 好ましい態様において、構成要素、例えば複合体の構成要素は、マイクロイン
ジェクションによって、細胞に導入される。 好ましい態様において、方法は、ミスマッチ修復タンパク質、例えばMsh2
、Msh6、Msh3、M1h1、Pms2、M1h3、Pms1、または他の
ミスマッチ修復タンパク質、あるいはそれらの組み合わせを阻害する剤を導入す
ることをさらに含む。好ましくは、剤は、ミスマッチ修復タンパク質の発現を阻
害する剤であり、例えば剤はアンチセンスRNAである。好ましい態様において
、剤はミスマッチ修復タンパク質に対する抗体である。好ましい態様において、
ミスマッチ修復タンパク質に対する抗体は、複合体に共有または非共有結合して
いる。
【0081】 好ましい態様において、タンパク質はin vitroで発現される。他の好
ましい態様において、細胞は被験者、例えばヒトにおいて提供され、そしてタン
パク質は被験者において発現される。好ましい態様において、タンパク質は被験
者において発現され、そして細胞は自己、同種異系、異種である。選択されるD
NAは、in vivoで細胞に導入してもよいし、または細胞を被験者から除
去し、選択されるDNAをex vivoで導入し、そして細胞を被験者に戻し
てもよい。
【0082】 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、10、8、6、5、4、3
、2未満、または1ヌクレオチド、例えば置換、または欠失、または挿入により
、標的DNAと異なる。
【0083】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、例えば標的配列は、約
10、8、6、5、4、3、2、または1ヌクレオチド、野生型配列と異なる。
好ましくは、突然変異は点突然変異、例えば挿入、欠失または置換による突然変
異である。
【0084】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は、疾
患または機能障害に関連し、例えば該疾患または機能障害を引き起こすか、それ
に貢献するか、それを左右するかまたは調節する。好ましくは、疾患または機能
障害は:嚢胞性線維症;鎌形赤血球貧血;血友病A;血友病B;フォンウィルブ
ランド疾患3型;色素性乾皮症;地中海貧血症;レッシュ−ナイラン症候群;プ
ロテインC耐性;リソソーム疾患、例えばゴシェ病、ファブリー病;ムコ多糖症
(MPS)1型(ハーレー−シャイエ症候群)、MPS II型(ハンター症候
群)、MPS IIIA型(サンフィリオA症候群)、MPS IIIB型(サ
ンフィリオB症候群)、MPS IIIC型(サンフィリオC症候群)、MPS
IIID型(サンフィリオD症候群)、MPS IVA型(モルキオA症候群
)、MPS IVB型(モルキオB症候群)、MPS VI型(マロトー−ラリ
ー症候群)、MPS VII型(スライ症候群)である。
【0085】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして選択されるDN
A配列は突然変異を訂正することが可能な正常野生型配列を含む。 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は嚢胞
性線維症膜貫通制御因子(CFTR)遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は
、CFTRタンパク質コード領域のコドン508のアミノ酸を改変するものであ
り、例えば突然変異は、CFTRタンパク質のコドン508のフェニルアラニン
を除去する、3塩基対インフレーム欠失である。CFTRタンパク質におけるフ
ェニルアラニン−508のこの欠失は、嚢胞性線維症を有する被験者に高い割合
で見られる。したがって、好ましい態様において、野生型CFTR遺伝子に見ら
れるようなフェニルアラニン−508をコードする配列を含む、選択されるDN
A配列を用いて、突然変異CFTR遺伝子を標的とし、そして訂正することが可
能である。
【0086】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異はヒト
β−グロビン遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は、β−グロビン遺伝子の
六番目のコドンのアミノ酸を改変するものであり、例えば突然変異は、β−グロ
ビン遺伝子の六番目のコドンにおけるAからTの置換である。この突然変異は、
β−グロビンタンパク質において、鎌形赤血球貧血を有する被験者に見られる、
グルタミン酸からバリンへの変化を導く。したがって、好ましい態様において、
コドン6で野生型アミノ酸残基をコードする、選択されるDNA、例えば野生型
β−グロビン遺伝子の六番目のコドン内で見られるように、Aを含む、選択され
るDNA配列を用いて、突然変異β−グロビン遺伝子を標的とし、そして訂正す
ることが可能である。
【0087】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は因子
VIII遺伝子中にある。例えば、突然変異は、因子VIII遺伝子のエクソン
23、24、および/またはエクソン25にある可能性がある。好ましくは、突
然変異は、因子VIIIタンパク質コード領域のコード領域のコドン2209で
アミノ酸を改変するものであり、例えば突然変異は、因子VIIIのアミノ酸2
209でアルギニンからグルタミンへの変化を導く、因子VIII遺伝子のエク
ソン24におけるGからAの置換である。好ましくは、突然変異は、因子VII
Iタンパク質コード領域のコード領域のコドン2229でアミノ酸を改変するも
のであり、例えば突然変異は、因子VIIIのアミノ酸2229でトリプトファ
ンからシステインへの変化を導く、因子VIII遺伝子のエクソン25における
GからTの置換である。これらの突然変異は、中程度から重度の血友病Aと関連
付けられてきている。したがって、好ましい態様において、因子VIII遺伝子
のコード領域のコドン2209で野生型アミノ酸をコードするDNA、または因
子VIII遺伝子のコード領域のコドン2229で野生型アミノ酸をコードする
DNAいずれか、あるいは両方を含む、選択されるDNA配列を用いて、突然変
異因子VIII遺伝子を標的とし、そして訂正することが可能である。
【0088】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は因子
IX遺伝子中にある。例えば、血友病Bを有する被験者において、突然変異の大
部分は、因子IX遺伝子における点突然変異である。したがって、好ましい態様
において、選択されるDNA配列は、血友病Bに関連する因子IX遺伝子中の1
以上の点突然変異を標的とし、そして訂正するため、野生型因子IX遺伝子由来
の少なくとも1つのヌクレオチドを有する1以上のヌクレオチドを含むことが可
能である。
【0089】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異はフォ
ンウィルブランド因子遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は、フォンウィル
ブランド遺伝子のエクソン18における位2679−2684の6シトシン伸長
中の単一シトシン欠失である。この突然変異は、フォンウィルブランド疾患3型
を有する被験者に、かなりの割合で見られる。フォンウィルブランド疾患3型に
関連する他の突然変異、例えば点突然変異もまた、本明細書に記載されるように
、改変可能である。したがって、好ましい態様において、野生型フォンウィルブ
ランド遺伝子に見られる配列、例えばフォンウィルブランド遺伝子のエクソン1
8の位2679−2684の6つのシトシンを含む、選択されるDNA配列を用
いて、突然変異フォンウィルブランド遺伝子を標的とし、そして訂正することが
可能である。
【0090】 好ましい態様において、標的DNAは突然変異を含み、そして突然変異は色素
性乾皮症グループG(XP−G)遺伝子中にある。好ましくは、突然変異は、X
P−G遺伝子に見られる245塩基対エクソンの位19−21のアデニン伸長中
の単一アデニン欠失である。この欠失は、色素性乾皮症を導く。したがって、好
ましい態様において、XP−G遺伝子の野生型配列、例えばXP−G遺伝子の2
45塩基対エクソンの位19−21の3つのアデニンを含む、選択されるDNA
を用いて、突然変異XP−G遺伝子を標的とし、そして訂正することが可能であ
る。
【0091】 別の好ましい態様において、改変は、選択されるDNA配列および標的DNA
、例えば染色体間の相同組換えを含む。 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、1より多いヌクレオチドで
標的DNAと異なり、例えば標的、または選択されるDNA配列が、非対領域、
例えばループアウト領域を有するように、十分な数のヌクレオチドで、標的と異
なる。こうした適用において、Msh2、Msh6、Msh3、M1h1、Pm
s2、M1h3、Pms1、またはそれらの組み合わせもまた、例えば複合体の
一部として提供してもよい。
【0092】 好ましい態様において、改変は、標的DNAへの選択される配列の組込みを含
み、そして選択されるDNAは、標的上のあらかじめ選択される要素と、あらか
じめ選択される関係にあるように組み込まれ、例えば一方が制御要素であり、そ
して他方がタンパク質をコードする配列である場合、制御要素が、タンパク質コ
ード配列の発現を調節するよう機能する。選択される組込みを促進する隣接配列
を用いてもよい。選択されるDNA配列は、選択される標的配列、例えば遺伝子
またはコード配列の5’、3’、または該配列内に組み込むことが可能である。
【0093】 好ましい態様において、改変は、選択されるDNA配列の組込みを含み、そし
て選択されるDNA配列は、制御配列、例えば外因性制御配列である。好ましい
態様において、制御配列は、1以上の:プロモーター、エンハンサー、UAS、
足場付着領域または転写因子結合部位を含む。好ましい態様において、制御配列
は:メタロチオネイン−I遺伝子、例えばマウスメタロチオネイン遺伝子由来の
制御配列、SV−40遺伝子由来の制御配列、サイトメガロウイルス遺伝子由来
の制御配列、コラーゲン遺伝子由来の制御配列、アクチン遺伝子由来の制御配列
、免疫グロブリン遺伝子由来の制御配列、HMG−CoAレダクターゼ遺伝子由
来の制御配列、γアクチン遺伝子由来の制御配列、転写活性化因子YY1遺伝子
由来の制御配列、フィブロネクチン遺伝子由来の制御配列、またはEF−1α遺
伝子由来の制御配列を含む。
【0094】 好ましい態様において、選択されるDNA配列はエクソンを含む。好ましくは
、外因性エクソンは:CAP部位、ヌクレオチド配列ATG、および/または標
的とされる内因性遺伝子とインフレームのコードDNAを含む。
【0095】 好ましい態様において、選択されるDNA配列はスプライス−ドナー部位を含
む。 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、標的に組み込まれた際、内
因性遺伝子の発現を制御するよう作用する、外因性制御配列を含む。選択される
DNAは、標的において、内因性遺伝子のコード領域の上流、または標的におい
て、内因性遺伝子またはコード領域の内因性制御配列の上流に組み込むことが可
能である。別の好ましい態様において、選択されるDNAは、内因性遺伝子また
はコード領域の下流、あるいはイントロンまたは内因性遺伝子内に組み込むこと
が可能である。別の好ましい態様において、内因性遺伝子の内因性制御配列は不
活性であり、例えば完全にまたは部分的に欠失される。
【0096】 好ましい態様において、選択されるDNA配列は内因性遺伝子の上流であり、
そして内因性遺伝子の第二のエクソンに連結される。 好ましい態様において、内因性遺伝子は:ホルモン、サイトカイン、抗原、抗
体、酵素、凝固因子、輸送タンパク質、受容体、制御タンパク質、構造タンパク
質または転写因子をコードする。好ましい態様において、内因性遺伝子は、以下
のタンパク質:エリスロポエチン、カルシトニン、成長ホルモン、インスリン、
インスリノトロピン、インスリン様増殖因子、副甲状腺ホルモン、α2−インタ
ーフェロン(IFNA2)、β−インターフェロン、γ−インターフェロン、神
経増殖因子類、FSHβ、TGF−β、腫瘍壊死因子、グルカゴン、骨増殖因子
−2、骨増殖因子−7、TSH−β、インターロイキン1、インターロイキン2
、インターロイキン3、インターロイキン6、インターロイキン11、インター
ロイキン12、CSF−顆粒球(GCSF)、CSF−マクロファージ、CSF
−顆粒球/マクロファージ、免疫グロブリン類、触媒性抗体類、プロテインキナ
ーゼC、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、組織プラス
ミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、アンチトロンビンIII、DNアーゼ、
α−ガラクトシダーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、血液凝固因子V、血液凝固
因子VII、血液凝固因子VIII、血液凝固因子IX、血液凝固因子X、血液
凝固因子XIII、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質A−I、グロビ
ン類、低密度リポタンパク質受容体、IL−2受容体、IL−2アンタゴニスト
類、α−1−アンチトリプシン、免疫反応修飾剤類、β−グルコセラミダーゼ、
α−イズロニダーゼ、α−L−イズロニダーゼ、グルコサミン−N−スルファタ
ーゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、アセチル補酵素A:α−グルコサ
ミン−N−アセチルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−スル
ファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、N−アセチルガラ
クトサミン−6−スルファターゼ、および可溶性CD4のいずれかをコードする
【0097】 好ましい態様において、内因性遺伝子は卵胞刺激ホルモンβ(FSHβ)をコ
ードし、そして選択されるDNA配列は、制御配列、例えばFSHβ遺伝子の制
御配列と配列が異なる制御配列を含む。好ましくは、選択されるDNA配列には
、ターゲッティング配列が隣接し、例えばこうしたターゲッティング配列は、選
択されるDNA配列の1以上の端、好ましくは両端に存在する。好ましい態様に
おいて、ターゲッティング配列は、FSHβコード領域(配列番号1)の5’の
領域に相同である。好ましい態様において、ターゲッティング配列は、FSHβ
コード配列内で、またはFSHβコード配列上流で、相同組換えを指示する。好
ましい態様において、ターゲッティング配列は、ヒトFSHβ配列のヌクレオチ
ド−7454から−1417(番号付けは翻訳開始部位に対する)に対応する配
列番号2由来、またはヒトFSHβ配列のヌクレオチド−696から−155に
対応する配列番号3由来の少なくとも20、30、50、100または1000
の連続するヌクレオチドを含む。
【0098】 好ましい態様において、内因性遺伝子はインターフェロンα2(IFNα2)
をコードし、そして選択されるDNA配列は、制御配列、例えばIFNα2遺伝
子の制御配列と配列が異なる制御配列を含む。好ましくは、選択されるDNA配
列には、ターゲッティング配列が隣接し、例えばこうしたターゲッティング配列
は、選択されるDNA配列の1以上の端、好ましくは両端に存在する。好ましい
態様において、ターゲッティング配列は、IFNα2コード領域の5’の領域に
相同である。好ましい態様において、ターゲッティング配列は、IFNα2コー
ド配列上流の領域内で、相同組換えを指示する。好ましい態様において、ターゲ
ッティング配列は、ヒトIFNα2配列のヌクレオチド−4074から−511
(番号付けは翻訳開始部位に対する)に対応する配列番号4由来の少なくとも2
0、30、50、100または1000の連続するヌクレオチドを含む。例えば
、該配列は:ヒトIFNα2配列のヌクレオチド−4074から−3796に対
応する配列番号7由来の少なくとも20、30、50、または100ヌクレオチ
ド;ヒトIFNα2配列のヌクレオチド−582から−510に対応する配列番
号8由来の少なくとも20、30、または50ヌクレオチド;ヒトIFNα2配
列のヌクレオチド−3795から−583に対応する配列番号9由来の少なくと
も20、30、50、100、または1000ヌクレオチドを含んでもよい。
【0099】 好ましい態様において、内因性遺伝子は顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)
をコードし、そして選択されるDNA配列は、制御配列、例えばGCSF遺伝子
の制御配列と配列が異なる制御配列を含む。好ましくは、選択されるDNA配列
には、ターゲッティング配列が隣接し、例えばこうしたターゲッティング配列は
、選択されるDNA配列の1以上の端、好ましくは両端に存在する。好ましい態
様において、ターゲッティング配列は、GCSFコード領域の5’の領域に相同
である。好ましい態様において、ターゲッティング配列は、GCSFコード配列
内で、またはGCSFコード配列上流で、相同組換えを指示する。好ましい態様
において、ターゲッティング配列は、ヒトGCSF配列のヌクレオチド−6,5
78から101(番号付けは翻訳開始部位に対する)に対応する配列番号5由来
の少なくとも20、30、50、100または1000の連続するヌクレオチド
を含む。例えば、標的配列は、ヒトGCSF遺伝子のヌクレオチド−6,578
から−364(番号付けは翻訳開始部位に対する)に対応する配列番号6由来の
20、30、50、100または1000ヌクレオチドを含んでもよい。
【0100】 別の好ましい態様において、DNA配列はコード領域を含み、例えばDNA配
列はタンパク質をコードする。好ましい態様において、コード領域は:ホルモン
、サイトカイン、抗原、抗体、酵素、凝固因子、輸送タンパク質、受容体、制御
タンパク質、構造タンパク質または転写因子をコードする。好ましい態様におい
て、コード領域は、以下のタンパク質:エリスロポエチン、カルシトニン、成長
ホルモン、インスリン、インスリノトロピン、インスリン様増殖因子、副甲状腺
ホルモン、β−インターフェロン、γ−インターフェロン、神経増殖因子類、F
SHβ、TGF−β、腫瘍壊死因子、グルカゴン、骨増殖因子−2、骨増殖因子
−7、TSH−β、インターロイキン1、インターロイキン2、インターロイキ
ン3、インターロイキン6、インターロイキン11、インターロイキン12、C
SF−顆粒球、CSF−マクロファージ、CSF−顆粒球/マクロファージ、免
疫グロブリン類、触媒性抗体類、プロテインキナーゼC、グルコセレブロシダー
ゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキ
ナーゼ、アンチトロンビンIII、DNアーゼ、α−ガラクトシダーゼ、チロシ
ンヒドロキシラーゼ、血液凝固因子V、血液凝固因子VII、血液凝固因子VI
II、血液凝固因子IX、血液凝固因子X、血液凝固因子XIII、アポリポタ
ンパク質E、アポリポタンパク質A−I、グロビン類、低密度リポタンパク質受
容体、IL−2受容体、IL−2アンタゴニスト類、α−1−アンチトリプシン
、免疫反応修飾剤類、β−グルコセラミダーゼ、α−イズロニダーゼ、α−L−
イズロニダーゼ、グルコサミン−N−スルファターゼ、α−N−アセチルグルコ
サミニダーゼ、アセチル補酵素A:α−グルコサミン−N−アセチルトランスフ
ェラーゼ、N−アセチルグルコサミン−6−スルファターゼ、β−ガラクトシダ
ーゼ、β−グルクロニダーゼ、N−アセチルガラクトサミン−6−スルファター
ゼ、および可溶性CD4のいずれかをコードする。
【0101】 好ましい態様において、選択されるDNA配列は、内因性制御配列の下流また
は内因性遺伝子のコード領域の上流および遺伝子の内因性制御配列の下流の標的
内に組み込むことが可能である。別の好ましい態様において、選択されるDNA
配列は、内因性遺伝子のコード領域が不活性である、例えば欠失されるように、
内因性制御配列の下流に組み込むことが可能である。
【0102】 別の側面において、本発明は、本明細書に記載される方法のいずれかによって
作成される細胞を特徴とする。 別の側面において、本発明は、本明細書に記載される方法のいずれかによって
、細胞において、遺伝子のタンパク質コード配列の発現を改変する方法を特徴と
する。
【0103】 好ましい態様において、該方法は、制御配列を含むDNA配列を有する、本明
細書記載の複合体を、細胞内に導入し;標的とされるゲノム配列の改変を可能に
して、相同組換え細胞を産生する条件下に、細胞を維持し;そして制御配列の調
節下、遺伝子のタンパク質コード配列の発現を可能にする条件下で、相同組換え
細胞を維持することを含む。
【0104】 制御配列の調節下、遺伝子のタンパク質コード配列の発現を可能にする条件下
で、相同組換え細胞を維持して、それにより、遺伝子のタンパク質コード配列の
発現を改変する。
【0105】 用語「相同」は、本明細書において、ターゲッティング配列および標的部位が
、相同組換えを経ることが可能であるように、標的部位、例えば染色体DNA標
的部位と同一であるか、または十分に類似であるターゲッティング配列を指す。
相同組換えが有用な頻度で発生可能である限り、小さい割合の塩基対ミスマッチ
は許容可能である。
【0106】 本明細書において、用語「野生型」は、疾患または機能障害に関連しない、例
えば該疾患または機能障害を引き起こさず、それに貢献せず、それを左右せずま
たは調節しない配列を指す。
【0107】 本明細書において、「複合体」は、構成要素が共有または非共有結合によって
カップリングされる、安定な会合を指す。 本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明から、そして請求項から明
らかであろう。発明の詳細な説明 相同組換えを増進する剤 選択されるDNA配列および標的DNA、例えば染色体DNA間の相同組換え
を促進するため、選択されるDNA配列と共に、相同組換えを増進する剤を提供
することが可能である。相同組換えを増進する剤は、1以上の以下の機能:1)
選択されるDNA配列および組込みに選択される部位間の相同認識を増加させる
機能;2)選択されるDNA配列および組込みに選択される部位間の相同対形成
を増加させる機能;3)組換えDNA配列間の鎖侵入および鎖交換の効率を増加
させる機能;4)組換えの成熟産物への中間構造のプロセシング効率を増加させ
る機能を有する。
【0108】 相同組換えを増進する剤は、二本鎖DNA配列を含む混合物中で、細胞に導入
可能であるし、DNA配列の投与直前または直後に導入可能であるし、またはD
NA配列上に付着させ、例えばコーティングすることが可能である。相同組換え
を増進する剤、例えばRad52、例えばhRad52、またはその断片で、全
DNA配列をコーティングすることが可能であるし、あるいはDNA配列の1以
上の端をコーティングすることが可能であり、例えばDNA配列の1以上の突出
一本鎖端をコーティングすることが可能である。好ましくは、相同組換えを増進
する剤は、DNA配列の突出一本鎖3’端または5’端の少なくとも部分をコー
ティングする。
【0109】 相同組換えを増進する剤の例には:Rad52または機能するその断片;Ra
d51または機能するその断片;Rad54または機能するその断片;あるいは
これらのタンパク質またはこれらのタンパク質の断片の2以上の組み合わせが含
まれる。相同組換えを増進する剤はまた、細胞内でも発現可能であるし、例えば
、上述の剤のいずれかをコードする核酸配列を細胞に導入することが可能である
【0110】 Rad51断片が機能的であるかどうかの決定は、既知の技術によって、行う
ことが可能である。例えば、Rad51断片の機能性は、例えばBaumann
ら(1996)Cell 87:757−766に記載されるように、当該技術
分野に知られるin vitroアッセイにおいて、相同対形成および鎖交換を
仲介する能力に基づいて、決定可能である。簡潔には、hRad51をまず、環
状ssDNAとプレインキュベーションし、そしてその後、32P標識直線二重鎖
DNAを添加する。連結分子の形成および鎖交換の量は、電気泳動によって、決
定可能である。さらに、Rad51断片の機能性は、Bensonら(1994
)EMBO J. 13:5764−5771に記載されるように、ATPの存
在下で、ニック形成された二重鎖に結合し、電子顕微鏡によって視覚化可能であ
る、らせん核タンパク質フィラメントを形成する能力に基づいて、決定可能であ
る。Rad51の機能性はまた、機能するRad51タンパク質を欠く細胞にお
いて、DNA修復および相同組換えにおける欠陥を軽減する能力に基づいても、
決定可能である。したがって、その非存在下に比較した際、上述のアッセイにお
いて、陽性の影響を与えるのであれば、Rad51断片が機能するかどうか、決
定可能である。さらに、Rad51断片によって与えられる陽性の影響の度合い
は、全長Rad51によって与えられる陽性の影響の度合いに比較可能である。
【0111】 Rad54断片の機能性は、当該技術分野に知られるアッセイ、例えばSwa
gemakersら(1998)J. Biol. Chem. 273:28
292−28297に記載されるアッセイにおいて、dsDNAの存在下でAT
Pを加水分解する能力に基づいて、決定可能である。さらに、Rad54断片の
機能性は、機能するRad54タンパク質を欠く細胞において、DNA修復およ
び相同組換えにおける欠陥を軽減する能力に基づいて、決定可能である。
【0112】 Rad52および機能するその断片 標的DNAにおける選択される部位、例えば染色体DNAにおける選択される
部位のDNA配列と共に提供されるRad52は、その非存在下で生じるであろ
うより、より高い率の部位の改変、例えば相同組換えを提供することが可能であ
る。理論によって束縛されることは望ましくないが、Rad52は以下の機能:
1)ヌクレアーゼ分解から全DNA配列を保護する機能;2)ヌクレアーゼ分解
から、DNA配列の突出一本鎖端、例えば3’テールを保護する機能;3)DN
A配列および組込みのため選択される部位間の相同認識を増加させる機能;並び
に4)DNA配列および組込みのため選択される部位間の相同対形成を増加させ
る機能の1以上を提供することが可能であると考えられる。
【0113】 Rad52は、Rad52の単離または遺伝子操作法によるコード配列の発現
を含む、いくつかの方法で、得ることが可能である。例えばVan Dykeら
(1999)Nature 398:728は、Sf9細胞からのhRad52
の産生および精製を記載する。多様な種のRad52のヌクレオチド配列が知ら
れる。例えばShenら(1995)Genomics 25(1):199−
206(ネズミおよびヒトRad52);Murisら(1994)Mutat
. Res. 315(3):295−305(ネズミおよびヒトRad52)
;Parkら(1995)J. Biol. Chem. 270(26):1
5467−15470(ヒトRad52)を参照されたい。
【0114】 Rad52の断片は、例えばRad52またはその部分をコードする配列の発
現によるか、あるいは遺伝子活性化による(好ましい方法)か、タンパク質分解
的消化によるか、あるいは化学的合成による、いくつかの方法で、産生可能であ
る。Rad52の内部または末端断片は、Rad52をコードする核酸の一端(
末端断片のため)または両端(内部断片のため)由来の1以上のヌクレオチドを
除去することによって、生成することが可能である。突然変異誘発DNAの発現
は、Rad52ポリペプチド断片を生じる。したがって、「末端噛み取り(en
d−nibbling)」エンドヌクレアーゼまたは多様な制限酵素での消化は
、Rad52断片のアレイをコードするDNAを生成することが可能である。R
ad52タンパク質の断片をコードするDNAはまた、ランダム剪断、制限消化
または上に論じた方法の組み合わせによっても、生成することが可能である。
【0115】 Rad52断片はまた、慣用的メリフィールド固相f−Mocまたはt−Bo
c化学反応などの、当該技術分野に知られる技術を用いて、化学的に合成するこ
とが可能である。例えば、Rad52ペプチドは、断片の重複を含まない望まし
い長さの断片に任意に分割するか、または望ましい長さの重複断片に分割するこ
とが可能である。
【0116】 Rad52断片が機能するかどうかの決定は、既知の技術によって、行うこと
が可能である。例えば、Rad52断片がヌクレアーゼ分解に対して保護するこ
とが可能であるかどうか決定するため、ヌクレアーゼ、例えばエクソヌクレアー
ゼまたはエンドヌクレアーゼの導入前に、末端標識直線化二本鎖DNA配列、例
えば32P標識直線化二本鎖DNA配列をRad52断片とインキュベーションす
ることが可能である。その後、放出された標識、例えば32Pの量を決定すること
が可能である。放出された標識の量は、Rad52断片がヌクレアーゼ分解に対
して保護する能力の指標として役立つ。さらに、Rad52断片の機能性は、連
結分子形成を刺激する能力に基づいて、決定可能である。Rad52断片の機能
性は、Bensonら(1998)Nature 391:401−404に記
載されるようなhRad51駆動連結分子形成の刺激によって、in vitr
oで解析可能である。簡潔には、hRad51をまず、環状ssDNAとプレイ
ンキュベーションし、そしてその後、32P標識直線二重鎖DNAを添加する。連
結分子の形成は、電気泳動によって決定可能である。Rad52の添加は、Ra
d52の非存在下の連結分子形成に比較した際、連結分子の形成を刺激する。し
たがって、非存在下の連結分子形成に比較した際、連結分子形成を刺激するなら
ば、Rad52断片が機能するかどうか、決定可能である。さらに、Rad52
断片による刺激の度合いは、全長Rad52刺激の度合いに比較可能である。さ
らに、Rad52断片の機能性は、Park(1995)J. Biol. C
hem. 270:15467−15470に記載されるように、培養サル細胞
で過剰発現させた際、電離放射線に対する耐性を増加させ、そして相同組換えの
率を増加させる能力に基づいて、決定可能である。
【0117】 非相同端連結を阻害する剤 非相同端連結を阻害する剤を用いて、非存在下で生じるであろうより、より高
い率で、標的DNAにおける選択される部位に、DNA配列を提供することが可
能である。非相同端連結は、二本鎖端間での不正確な融合を導く可能性があり、
例えば再連結端は、挿入または欠失を有する可能性がある。非相同端連結を阻害
する剤は、非相同端連結経路に関与する分子の発現および/または活性を阻害す
るいかなる剤であってもよい。例えば、Mre11、Rad50およびNbs1
の複合体は、非相同端連結に関与する。したがって、例えばこの複合体の形成を
阻害することによって、例えばこれらのタンパク質のいずれかに結合するか、ま
たはこれらのタンパク質のいずれかの発現を阻害することによって、非相同端連
結を阻害することが可能である。さらに、非相同端連結に関与する他のタンパク
質には、Kuタンパク質、例えばKu70またはKu80、リガーゼ4(Lig
4)およびXrcc4が含まれる。
【0118】 Ku不活性化剤 標的DNA中の選択される部位、例えば染色体DNA中の選択される部位で、
DNA配列と共に、Ku不活性化剤を提供すると、その非存在下で生じるであろ
うより、より高い率の部位の改変、例えば相同組換えを提供することが可能であ
る。Kuは、DNA不連続点に結合するおよそ70kDaおよび80kDaのヘ
テロ二量体であり、そして非相同端連結による二本鎖切断修復に役割を果たす。
「Ku80」はまた、「Ku86」とも称される可能性がある。
【0119】 Ku不活性化剤は、Ku発現またはKu活性を阻害することが可能である。好
ましくは、Ku不活性化剤は、KuまたはKuをコードするヌクレオチド配列と
相互作用し、例えばそれと結合し、Ku発現またはKu活性を阻害する。好まし
くは、Ku依存非相同端連結が阻害される。Ku阻害剤はKu70、Ku80ま
たは両方を阻害することが可能である。
【0120】 Kuを不活性化するのに使用可能な剤には、抗Ku抗体およびKu結合分子、
例えばKuに結合するランダム生成ペプチド、Ku結合オリゴマーおよびポリマ
ー、並びにアンチセンスKu核酸分子が含まれる。好ましくは、Kuを不活性化
する剤は、抗Ku抗体およびKu結合分子などの局所投与可能な剤、例えばKu
に結合するランダム生成ペプチド、およびKu結合オリゴマーまたはポリマーで
ある。
【0121】 好ましくは、Ku不活性化剤は、Kuと相互作用し、例えば結合する。Kuタ
ンパク質と相互作用する剤は、改変部位で、Kuを局所的に不活性化することが
可能である。
【0122】 例えば、DNA配列および標的とされるDNAにごく近接して、Ku不活性化
剤を細胞に導入し、そしてそれにより、相同組換え部位で、局所的にKuを阻害
する。Ku不活性化剤は、二本鎖DNA配列を含む混合物中で、細胞に導入可能
であるし、DNA配列の投与直前または直後に導入可能であるし、あるいはDN
A配列またはDNA配列と関連するタンパク質、例えばRad52またはその断
片に共有結合することが可能である。細胞はまた、抗Ku抗体またはアンチセン
スKu核酸分子などのKu不活性化剤とプレインキュベーションすることが可能
である。
【0123】 抗Ku抗体 抗Ku抗体またはその断片を用いて、Kuに結合させ、そしてそれによりKu
活性を減少させることが可能である。抗Ku抗体は、改変部位で、局所的にKu
と相互作用するが、細胞において一般的にKu発現を阻害しないように、投与す
ることが可能である。抗Ku抗体には抗Ku70および抗Ku80抗体が含まれ
る。
【0124】 Kuタンパク質、またはその一部もしくは断片を免疫原として使用し、ポリク
ローナルおよびモノクローナル抗体調製のための標準的な技術を用いて、Kuに
結合する抗体を生成することが可能である。全長Kuタンパク質が使用可能であ
るし、あるいはKuの抗原性ペプチド断片が免疫原として使用可能である。
【0125】 典型的には、KuまたはKuペプチドを用いて、適切な被験者(例えばウサギ
、ヤギ、マウスまたは他の哺乳動物)を免疫原で免疫することによって、抗体を
調製する。適切な免疫原性調製は、例えば、Kuをコードする配列の発現によっ
て、または遺伝子活性化によって得られるKuタンパク質、あるいは化学的に合
成されたKuペプチドを含むことが可能である。例えば、明白に本明細書にその
全体が援用される、米国特許第5,460,959号;および係属米国出願US
SN 08/334,797;USSN 08/231,439;USSN 0
8/334,455;およびUSSN 08/928,881を参照されたい。
Kuのヌクレオチドおよびアミノ酸配列が知られ、そして例えばTakiguc
hiら(1996) Genomics 35(1):129−135に記載さ
れている。調製は、フロイントの完全または不完全アジュバントなどのアジュバ
ント、あるいは同様の免疫刺激性剤をさらに含むことが可能である。免疫原性K
u調製を用いた適切な被験者の免疫は、ポリクローナル抗Ku抗体反応を誘導す
る。
【0126】 抗Ku抗体またはその断片は、Ku不活性化剤として使用可能である。抗Ku
抗体断片の例には、ペプシンなどの酵素で抗体を処理することによって生成可能
な、F(v)、Fab、Fab’およびF(ab’)2断片が含まれる。用語「
モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、本明細書におい
て、Kuの特定のエピトープと免疫反応することが可能な抗原結合部位の1つの
種のみを含む抗体分子集団を指す。したがってモノクローナル抗体組成物は、典
型的には、免疫反応する特定のKuタンパク質に対する単一の結合親和性を示す
【0127】 さらに、標準的組換えDNA技術を用いて作成可能である、ヒトおよび非ヒト
部分両方を含む、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体などの、遺伝的操作法
によって産生された抗Ku抗体が使用可能である。こうしたキメラおよびヒト化
モノクローナル抗体は、当該技術分野に知られる標準的DNA技術、例えばRo
binsonら、国際出願第PCT/US86/02269号;Akiraら、
欧州特許出願184,187;Taniguchi, M.、欧州特許出願17
1,496;Morrisonら、欧州特許出願173,494号;Neube
rgerら、PCT国際公報第WO 86/01533号;Cabillyら、
米国特許第4,816,567号;Cabillyら、欧州特許出願125,0
23;Betterら, Science 240:1041−1043, 1
988;Liuら, PNAS 84 :3439−3443, 1987;L
iuら, J. Immunol. 139:3521−3526, 1987
;Sunら, PNAS 84:214−218, 1987;Nishimu
raら, Canc. Res. 47:999−1005, 1987;Wo
odら, Nature 314:446−449, 1985;およびSha
wら, J. Natl. Cancer Inst. 80:1553−15
59, 1988;Morrison, S.L., Science 229
:1202−1207, 1985;Oiら, BioTechniques
4:214, 1986;Winter、米国特許第5,225,539号;J
onesら, Nature 321:552−525, 1986;Verh
oeyanら, Science 239:1534, 1988;およびBe
idlerら, J. Immunol. 141:4053−4060, 1
988に記載される方法を用いた、遺伝子操作によって、産生可能である。
【0128】 さらに、標準的技術を用いて、Kuに対して向けられるヒトモノクローナル抗
体が作成可能である。例えば、ヒトモノクローナル抗体は、トランスジェニック
マウスまたは抗体産生ヒト細胞を移植した免疫不全マウスにおいて、生成可能で
ある。こうしたマウスを生成する方法は、例えば、Woodら、PCT公報WO
91/00906、Kucherlapatiら、PCT公報WO 91/1
0741;Lonbergら、PCT公報WO 92/03918;Kayら、
PCT公報WO 92/03917;Kayら、PCT公報WO 93/122
27;Kayら、PCT公報94/25585;Rajewskyら、PCT公
報WO 94/04667;Ditullioら、PCT公報WO 95/17
085;Lonberg, N.ら(1994) Nature 368:85
6−859;Green, L.L.ら(1994) Nature Gene
t. :13−21;Morrison, S.L.ら(1994) Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851−6855
;Bruggemanら(1993) Year Immunol :33−
40;Choiら(1993) Nature Genet. :117−1
23;Tuaillonら(1993) PNAS 90:3720−3724
;Bruggemanら(1991) Eur J Immunol 21:1
323−1326;Duchosalら、PCT公報WO 93/05796;
米国特許第5,411,749号;McCuneら(1988) Scienc
241:1632−1639、Kamel−Reidら(1988) Sc
ience 242:1706;Spanopoulou(1994) Gen
es & Development :1030−1042;Shinkai
ら(1992) Cell 68:855−868に記載される。ヒト抗体−ト
ランスジェニックマウスまたはヒト抗体産生細胞もしくは組織を移植した免疫不
全マウスを、Kuまたは抗原性Kuペプチドで免疫し、そしてその後、これらの
免疫マウス由来の脾臓細胞を用いて、ハイブリドーマを生成することが可能であ
る。ハイブリドーマ産生法は公知である。
【0129】 Kuに対するヒトモノクローナル抗体はまた、被験者のリンパ球由来のmRN
Aから調製される、免疫グロブリン軽鎖および重鎖cDNAを用いて、Fabフ
ァージディスプレーライブラリーまたはscFvファージディスプレーライブラ
リーなどのコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリーを構築することによっ
ても、調製可能である。例えば、McCaffertyら、PCT公報WO 9
2/01047;Marksら(1991) J. Mol. Biol. 22 :581−597;およびGriffthsら(1993) EMBO J
12:725−734を参照されたい。さらに、既知のヒト抗体を突然変異さ
せることによって、抗体可変領域のコンビナトリアルライブラリーが生成可能で
ある。例えば、Kuに結合することが知られるヒト抗体の可変領域を、例えばラ
ンダムに改変された突然変異誘発オリゴヌクレオチドを用いて、突然変異可変領
域のライブラリーを生成することによって、突然変異させ、これをその後、Ku
に結合するかスクリーニングすることが可能である。免疫グロブリン重鎖および
/または軽鎖のCDR領域内にランダム突然変異誘発を誘導する方法、ランダム
化した重鎖および軽鎖を組み合わせて、対形成およびスクリーニング法を形成す
る方法は、例えばBarbasら、PCT公報WO 96/07754;Bar
basら(1992)Proc. Nat’l Acad. Sci. USA
89:4457−4461に見出すことが可能である。
【0130】 免疫グロブリンライブラリーは、好ましくは繊維状ファージ由来の、ディスプ
レーパッケージ集団によって発現させ、抗体ディスプレーライブラリーを形成す
ることが可能である。抗体ディスプレーライブラリーを生成するのに特に使用し
やすい方法および試薬の例は、例えば、Ladnerら、米国特許第5,223
,409号;Kangら、PCT公報WO 92/18619;Dowerら、
PCT公報WO 91/17271;Winterら、PCT公報WO 92/
20791;Marklandら、PCT公報WO 92/15679;Bre
itlingら、PCT公報WO 93/01288;McCaffertyら
、PCT公報WO 92/01047;Garrardら、PCT公報WO 9
2/09690;Ladnerら、PCT公報WO 90/02809;Fuc
hsら(1991) Bio/Technology :1370−1372
;Hayら(1992) Hum Antibod Hybridomas :81−85;Huseら(1989) Science 246:1275−
1281;Griffthsら(1993) 上記;Hawkinsら(199
2) J Mol Biol 226:889−896;Clacksonら(
1991) Nature 352:624−628;Gramら(1992)
PNAS 89:3576−3580;Garradら(1991) Bio/
Technology :1373−1377;Hoogenboomら(1
991) Nuc Acid Res 19:4133−4137;およびBa
rbasら(1991) PNAS 88:7978−7982に見出すことが
可能である。ディスプレーパッケージ(例えば繊維状ファージ)表面上にディス
プレーしたら、抗体ライブラリーをスクリーニングし、Kuに結合する抗体を発
現するパッケージを同定し、そして単離する。好ましい態様において、ライブラ
リーの一次スクリーニングは、固定Kuを用いてパニングすることを伴い、そし
て固定Kuに結合する抗体を発現するディスプレーパッケージを選択する。
【0131】 Kuに対するモノクローナル抗体はまた、例えばNeomarkers(カリ
フォルニア州フレモント)からも商業的に入手可能である。 Ku結合分子 Ku結合ペプチド、例えばランダム生成ペプチド、およびKu結合オリゴマー
またはポリマーなどのKuに結合する分子は、Ku不活性化剤として、使用可能
である。こうした分子は、Kuタンパク質に結合し、そして非相同端連結などの
Kuの少なくとも1つの活性を阻害することが可能である。
【0132】 Ku結合オリゴマーの例は、その内容が本明細書に援用されるWO 99/3
3971に示される。こうしたオリゴマーは、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似
体(analog)、または組み合わせで構成可能である。好ましくは、オリゴ
マーはリボヌクレオチドで構成される。これらのKuオリゴマーを用いて、Ku
に結合させるか、またはKuと相互作用するタンパク質を同定することが可能で
ある。これらのオリゴマーを用いてKu結合ペプチドを同定する方法は、WO
99/33971に記載される。
【0133】 さらに、ランダム生成ペプチドを、Kuに結合する能力に関してスクリーニン
グすることが可能である。例えば、生成された突然変異遺伝子産物をスクリーニ
ングする多様な技術が当該技術分野に知られる。大きな遺伝子ライブラリーをス
クリーニングする技術は、しばしば、遺伝子ライブラリーを複製可能発現ベクタ
ー内にクローニングし、生じたベクターライブラリーで、適切な細胞を形質転換
し、そして望ましい活性、例えばKuへの結合の検出が、その産物を検出する遺
伝子をコードするベクターの、比較的容易な単離を促進する条件下で、遺伝子を
発現させることを含む。以下に記載される技術の各々は、例えばランダム突然変
異誘発技術によって、生成された多数の配列をスクリーニングするための高処理
解析に受け入れられる。
【0134】 ディスプレーライブラリー Ku結合ペプチドをスクリーニングする別のアプローチにおいて、候補ペプチ
ドを細胞またはウイルス粒子表面上にディスプレーし、そして特定の細胞または
ウイルス粒子が、ディスプレーされた産物を介してKuタンパク質に結合する能
力を、「パニングアッセイ」で検出する。例えば、遺伝子ライブラリーを、細菌
細胞の表面膜タンパク質の遺伝子内にクローニングし、そして生じた融合タンパ
ク質をパニングによって検出することが可能である(Ladnerら、WO 8
8/06630;Fuchsら(1991) Bio/Technology
9:1370−1371;およびGowardら(1992) TIBS 18
:136−140)。同様の方式で、検出可能標識リガンドを用いて、潜在的に
機能するペプチド相同体に関してスコア付けが可能である。蛍光標識リガンドを
用いて、リガンド結合活性を保持する相同体を検出可能である。蛍光標識リガン
ドを使用すると、蛍光顕微鏡下で、細胞を視覚的に検査し、そして分離すること
が可能になるか、または細胞の形態が許す場合、蛍光活性化細胞分取によって、
分離することが可能になる。
【0135】 遺伝子ライブラリーは、ウイルス粒子表面上の融合タンパク質として発現させ
ることが可能である。例えば、繊維状ファージ系において、異質の(forei
gn)ペプチド配列を感染性ファージの表面上に発現させ、それにより2つの有
意な利点を与えることが可能である。まず、これらのファージは、1ミリリット
ルあたり、1013ファージをはるかに越える濃度で、アフィニティーマトリック
スに適用可能であるため、多数のファージを一度にスクリーニングすることが可
能である。第二に、各感染性ファージは、その表面上に遺伝子産物をディスプレ
ーするため、特定のファージが低収量でアフィニティーマトリックスから回収さ
れたら、別の感染周期によって、そのファージを増幅することが可能である。ほ
ぼ同一の大腸菌(E. coli)繊維状ファージ、M13、fd、およびf1
の群が、ファージディスプレーライブラリーにおいて、最も頻繁に用いられる。
ファージgIIIまたはgVIIIコートタンパク質いずれかを用いて、ウイル
ス粒子の最終的なパッケージングを乱すことなく、融合タンパク質を生成するこ
とが可能である。異質のエピトープをpIIIのNH2末端で発現させ、そして
こうしたエピトープを持つファージを、このエピトープを欠く多量の過剰なファ
ージから回収することが可能である(Ladnerら、PCT公報WO 90/
02909;Garrardら、PCT公報WO 92/09690;Mark
sら(1992) J. Biol. Chem. 267:16007−16
010;Griffithsら(1993) EMBO J 12:725−7
34;Clacksonら(1991) Nature 352:624−62
8;およびBarbasら(1992) PNAS 89:4457−4461
)。
【0136】 一般的なアプローチは、大腸菌のマルトース受容体(外膜タンパク質、Lam
B)を、ペプチド融合パートナーとして用いる(Charbitら(1986)
EMBO 5, 3029−3037)。LamB遺伝子をコードするプラス
ミドにオリゴヌクレオチドを挿入し、タンパク質の細胞外ループの1つに融合さ
せたペプチドを産生しておく。これらのペプチドは、リガンド、例えば抗体への
結合に利用可能であり、そして細胞を動物に投与する際、免疫反応を引き出すこ
とが可能である。他の細胞表面タンパク質、例えばOmpA(Schorrら(
1991) Vaccines 91, pp.387−392),PhoE(
Agterbergら(1990) Gene 88, 37−45)、および
PAL(Fuchsら(1991) Bio/Tech 9, 1369−13
72)と共に、巨大細菌表面構造が、ペプチドディスプレー用のビヒクルとして
、利用されてきている。重合して、遺伝子情報の細菌間交換のための繊毛−導管
を形成するタンパク質であるピリンに、ペプチドを融合させてもよい(Thir
yら(1989) Appl. Environ. Microbiol. 5
5, 984−993)。他の細胞と相互作用する際の役割のため、繊毛は、細
胞外環境へのペプチドの提示に有用な支持体を提供する。ペプチドディスプレー
に用いられる別の巨大表面構造は、細菌輸送器官、鞭毛である。サブユニットタ
ンパク質、フラジェリンへのペプチドの融合は、宿主細胞上に多くのペプチドコ
ピーの高密度アレイを提供する(Kuwajimaら(1988) Bio/T
ech. 6, 1080−1083)。他の細菌種の表面タンパク質もまた、
ペプチド融合パートナーとして利用されてきている。例には、スタフィロコッカ
ス属(Staphylococcus)プロテインAおよびナイセリア属(Ne
isseria)の外膜プロテアーゼIgAが含まれる(Hanssonら(1
992) J. Bacteriol. 174, 4239−4245および
Klauserら(1990) EMBO J. 9, 1991−1999)
【0137】 上述の繊維状ファージ系およびLamB系において、ペプチドおよびそのコー
ドDNA間の物理的連結は、その表面上にペプチドを所持する粒子(細胞または
ファージ)内にDNAを包含することによって起こる。ペプチド捕捉は、粒子お
よび内部のDNAを捕捉する。別の計画は、DNA結合タンパク質、LacIを
用いて、ペプチドおよびDNA間の連結を形成する(Cullら(1992)
PNAS USA 89:1865−1869)。この系は、3’端にオリゴヌ
クレオチドクローニング部位を持つLacI遺伝子を含むプラスミドを用いる。
アラビノースによる調節誘導下、LacIペプチド融合タンパク質を産生する。
この融合は、LacIがLacOオペレーター(LacO)として知られる短い
DNA配列に結合する天然の能力を保持する。発現プラスミド上に2コピーのL
acOを備えることによって、LacI−ペプチド融合体は、これをコードする
プラスミドに緊密に結合する。各細胞内のプラスミドは、単一のオリゴヌクレオ
チド配列のみを含み、そして各細胞は、単一のペプチド配列のみを発現するため
、ペプチドは、その合成を指示するDNA配列と特異的にそして安定に会合する
。ライブラリーの細胞を穏やかに溶解し、そしてペプチド−DNA複合体を固定
受容体のマトリックスに曝露し、活性ペプチドを含む複合体を回収する。その後
、会合プラスミドDNAを、増幅のため、再度、細胞に導入し、そしてDNAを
配列決定して、ペプチドリガンドの同一性を決定する。方法の実際的な有用性の
立証として、ドデカペプチドの大きなランダムライブラリーを作成し、そしてオ
ピオイドペプチド、ダイノルフィンBに対して作成されたモノクローナル抗体上
で選択した。すべてダイノルフィンBの6残基部分に対応するコンセンサス配列
によって関連する、ペプチドのコホートを回収した(Cullら(1992)
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89−186
9)。
【0138】 この計画は、時に、ペプチド−オン−プラスミドと称され、ファージディスプ
レー法とは、2つの重要な点で異なる。まず、ペプチドは、融合タンパク質のC
末端に付着し、未結合(free)カルボキシ末端を有するペプチドとして、ラ
イブラリーメンバーのディスプレーを生じる。繊維状ファージコートタンパク質
、pIIIおよびpVIIIはどちらも、そのC末端を通じてファージに係留さ
れ;そして外側に伸長するN末端ドメイン内に、ゲストペプチドが置かれる。い
くつかの設計では、ファージにディスプレーされるペプチドは、融合タンパク質
のちょうどアミノ末端で提示される(Cwirlaら(1990) Proc.
Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87, 6378−63
82)。第二の相違は、ライブラリーに実際存在するペプチド集団に影響を与え
る、一組の生物学的バイアスである。LacI融合分子は、宿主細胞の細胞質に
制限される。ファージコート融合体は、翻訳中に短時間、細胞質に曝露されるが
、内膜を通じて周辺質区画に迅速に分泌され、C末端疎水性ドメインによって膜
に係留されたまま、ペプチドを含むN末端は、ファージ粒子への組み立てを待つ
間、周辺質に突出している。LacIおよびファージライブラリー中のペプチド
は、異なるタンパク質分解活性への曝露の結果、有意に異なる可能性がある。フ
ァージコートタンパク質は、ファージへの取り込みの序幕として、内膜を渡る輸
送およびシグナルペプチダーゼプロセシングを必要とする。特定のペプチドは、
これらの過程に有害な影響を発揮し、そしてライブラリー中で過少提示される(
Gallopら(1994) J. Med. Chem. 37(9):12
33−1251)。これらの特定のバイアスは、LacIディスプレー系の要因
ではない。
【0139】 組換えランダムライブラリーに利用可能な小ペプチドの数は莫大である。10 7 −109の独立クローンのライブラリーが日常的に調製される。1011組換え体
と同程度の大きさのライブラリーが生成されてきているが、この大きさは、クロ
ーンライブラリーの実際的な限界に近づいている。ライブラリーサイズのこの限
界は、ランダム化部分を含むDNAを宿主細菌細胞に形質転換する工程で起こる
。この限界を回避するため、ポリソーム複合体中の新生ペプチドのディスプレー
に基づくin vitro系が最近、開発されてきている。このディスプレーラ
イブラリー法は、現在利用可能なファージ/ファージミドまたはプラスミドライ
ブラリーより、3−6桁大きいライブラリーを産生する可能性を有する。さらに
、ライブラリーの構築、ペプチドの発現、およびスクリーニングは、完全に細胞
不含形式で行う。
【0140】 この方法の1つの適用において(Gallopら(1994) J. Med
. Chem. 37(9):1233−1251)、1012デカペプチドをコ
ードする分子DNAライブラリーを構築し、そして大腸菌S30で発現したライ
ブラリーを、転写/翻訳系とin vitroカップリングした。リボソームを
mRNA上に引き止めるように条件を選択し、かなりの割合のRNAをポリソー
ム中に集積させ、そしてコードRNAにまだ連結している新生ペプチドを含む複
合体を生じた。ポリソームは、より慣用的な組換えペプチドディスプレーライブ
ラリーをスクリーニングするのとほとんど同じ方式で、固定受容体上でアフィニ
ティー精製するのに十分に丈夫である。結合複合体由来のRNAを回収し、cD
NAに変換し、そしてPCRによって増幅して、合成およびスクリーニングの次
の周期のテンプレートを生じる。ポリソームディスプレー法をファージディスプ
レー系とカップリングしてもよい。数周期のスクリーニング後、ポリソームの濃
縮プール由来のcDNAを、ファージミドベクターにクローニングした。このベ
クターは、コートタンパク質に融合したペプチドをディスプレーするペプチド発
現ベクターとして、そしてまたペプチド同定のためのDNA配列決定ベクターと
して、役立つ。ファージ上でポリソーム由来ペプチドを発現させることによって
、この形式の親和性選択法を続けることが可能であるし、あるいはファージEL
ISAにおける結合活性に関して、または完成ファージELISA(Barre
tら(1992) Anal. Biochem 204, 357−364)
における結合特異性に関して、個々のクローン上のペプチドをアッセイすること
が可能である。活性ペプチドの配列を同定するため、ファージミド宿主によって
産生されたDNAを配列決定する。
【0141】 アンチセンスKu核酸配列 Kuをコードするヌクレオチドに対してアンチセンスである核酸分子は、Ku
発現を阻害する不活性化剤として使用可能である。「アンチセンス」核酸には、
Kuをコードする「センス」核酸に相補的である、例えば二本鎖cDNA分子の
コード鎖に相補的であるかまたはmRNA配列に相補的である、ヌクレオチド配
列が含まれる。したがって、アンチセンス核酸は、センス核酸と水素結合を形成
することが可能である。アンチセンス核酸は、全Kuコード鎖に相補的であって
もよいし、またはその部分だけに相補的であってもよい。例えば、Kuをコード
するヌクレオチド配列のコード鎖の「コード領域」にアンチセンスであるアンチ
センス核酸分子が使用可能である。
【0142】 Kuをコードするコード鎖配列が、例えば、Takiguchiら(1996
) Genomics 35(1):129−135およびGenbank寄託
番号L35932に開示されることを考慮し、ワトソンおよびクリック塩基対形
成の規則にしたがって、アンチセンス核酸を設計することが可能である。アンチ
センス核酸分子は、Ku mRNAの全コード領域に相補的であってもよいが、
より好ましくは、Ku mRNAのコードまたは非コード領域の部分に対しての
みアンチセンスであるオリゴヌクレオチドである。例えば、アンチセンスオリゴ
ヌクレオチドは、Ku mRNAの翻訳開始部位を取り巻く領域に相補的であっ
てもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、長さ約5、10、15
、20、25、30、35、40、45または50ヌクレオチドであってもよい
。アンチセンス核酸は、当該技術分野に知られる方法を用いた、化学合成および
酵素連結を用いて、構築可能である。例えば、アンチセンス核酸(例えばアンチ
センスオリゴヌクレオチド)は、天然存在ヌクレオチドを用いて、あるいは分子
の生物学的安定性を増加させるか、またはアンチセンスおよびセンス核酸間に形
成される二重鎖の物理的安定性を増加させるように設計した、多様な修飾ヌクレ
オチドを用いて、化学的に合成可能であり、例えばホスホロチオエート誘導体お
よびアクリジン置換ヌクレオチドが使用可能である。アンチセンス核酸を生成す
るのに使用可能な修飾ヌクレオチドの例には、5−フルオロウラシル、5−ブロ
モウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサ
ンチン、4−アセチルシトシン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウラシル
、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチ
ルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ−D−ガラクトシルケオシ
ン、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルグアニン、1−メチ
ルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグア
ニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−アデニン、7−メチル
グアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−
チオウラシル、ベータ−D−マンノシルケオシン、5’−メトキシカルボキシメ
チルウラシル、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニル
アデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン、プソイドウラ
シル、ケオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオ
ウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸
メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸(v)、5−メチル−2−チオウラ
シル、3−(3−アミノー3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、(ac
p3)w、および2,6−ジアミノプリンが含まれる。あるいは、アンチセンス
核酸は、核酸がアンチセンス方向にサブクローニングされている発現ベクターを
用いて、生物学的に産生可能である(すなわち、挿入核酸から転写されたRNA
は、目的の標的核酸に対してアンチセンス方向のものであろう)。
【0143】 外因性DNA配列 細胞に提供しようとする、例えば導入しようとするDNA配列は、細胞におい
て、標的配列を改変させることが可能である。例えば、10、8、5、4、3、
2未満、または1ヌクレオチド、例えば置換、欠失、または挿入により、標的D
NAと異なる、選択されるDNA配列を導入することが可能である。選択される
DNA配列はまた、1より多いヌクレオチド、標的配列と異なってもよく、例え
ば選択されるDNA配列が、非対領域、例えばループアウト領域を有するよう、
いくつかのヌクレオチド、標的配列と異なる。これらの改変は、標的配列発現を
修飾することが可能である。修飾される配列発現は:細胞において、通常サイレ
ントである(発現されない)配列、例えばコードDNA配列、例えば細胞に通常
見られるコード配列を活性化し;細胞において、正常レベルより低く発現される
配列、例えばコードDNA配列、例えば細胞に通常見られるコード配列の発現を
増加させ;細胞において、通常、欠損型で発現される配列、例えばコードDNA
配列、例えば細胞に通常見られるコード配列を発現させ;細胞の通常のパターン
と異なるように、配列、例えばコードDNA配列、例えば細胞に通常見られるコ
ード配列の制御または誘導パターンを変化させ;配列、例えばコードDNA配列
、例えば細胞に通常見られるコード配列の発現を、細胞における通常の発現レベ
ルより減少させることを含む。
【0144】 10、8、5、4、3、2未満、または1ヌクレオチド、例えば置換、欠失、
または挿入により、標的DNAと異なる、選択されるDNA配列を導入すること
が可能である。例えば、標的とされる配列は、野生型配列と、10、8、5、4
、3、2未満、または1ヌクレオチド、異なる可能性がある。好ましくは、標的
とされる配列は、点突然変異、例えば挿入、欠失または置換から生じる突然変異
により、野生型配列と異なる。好ましくは、標的配列、例えば遺伝子中の突然変
異は、疾患または機能障害に関連し、例えば該疾患または機能障害を調節する。
突然変異、例えば点突然変異が、疾患または機能障害に関連付けられている遺伝
子の例には、限定されるわけではないが、嚢胞性線維症膜貫通制御因子(CFT
R)遺伝子、β−グロビン遺伝子、因子VIII遺伝子、因子IX遺伝子、フォ
ンウィルブランド因子遺伝子、色素性乾皮症グループG(XP−G)遺伝子が含
まれる。標的配列を改変させるため、選択されるDNA配列は、突然変異を訂正
することが可能な正常野生型配列を含んでもよい。本明細書に記載される方法に
したがって改変可能な、いくつかの遺伝子障害および遺伝子がある。
【0145】 別の側面において、選択されるDNA配列はまた、1より多いヌクレオチド、
標的配列と異なってもよく、例えば選択されるDNA配列が、非対領域、例えば
ループアウト領域を有するよう、いくつかのヌクレオチド、標的配列と異なる。
例えば、選択されるDNA配列は、標的のあらかじめ選択される要素と相同組換
えされることが可能であり、例えば一方が制御要素であり、そして他方がタンパ
ク質をコードする配列である場合、制御要素が、タンパク質コード配列の発現を
制御する。選択されるDNA配列は、制御配列、例えば外因性制御配列であって
もよい。制御配列は、プロモーター、エンハンサー、UAS、足場付着領域およ
び転写因子結合部位を含む。さらに、選択されるDNA配列はまた、エクソン、
イントロン、CAP部位、ヌクレオチド配列ATG、マーカー、例えば選択マー
カー、スプライス−ドナー部位および/または標的配列とインフレームのコード
DNAも含むことが可能である。選択されるDNA配列はまた、コード領域、例
えばタンパク質をコードするDNA配列も含むことが可能である。
【0146】 コード配列が内因性であってもよく、例えば選択されるDNA配列は制御配列
であるか、または選択されるDNA配列がコード領域を含んでもよく、すなわち
コード領域は外因性である。コード領域は、多様なタンパク質をコードしていて
もよい。こうしたタンパク質の例には:エリスロポエチン、カルシトニン、成長
ホルモン、インスリン、インスリノトロピン、インスリン様増殖因子、副甲状腺
ホルモン、α2−インターフェロン(IFNA2)、β−インターフェロン、γ
−インターフェロン、神経増殖因子類、FSHβ、TGF−β、腫瘍壊死因子、
グルカゴン、骨増殖因子−2、骨増殖因子−7、TSH−β、インターロイキン
1、インターロイキン2、インターロイキン3、インターロイキン6、インター
ロイキン11、インターロイキン12、CSF−顆粒球(GCSF)、CSF−
マクロファージ、CSF−顆粒球/マクロファージ、免疫グロブリン類、触媒性
抗体類、プロテインキナーゼC、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドジ
スムターゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、アンチトロンビ
ンIII、DNアーゼ、α−ガラクトシダーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、血
液凝固因子V、血液凝固因子VII、血液凝固因子VIII、血液凝固因子IX
、血液凝固因子X、血液凝固因子XIII、アポリポタンパク質E、アポリポタ
ンパク質A−I、グロビン類、低密度リポタンパク質受容体、IL−2受容体、
IL−2アンタゴニスト類、α−1−アンチトリプシン、免疫反応修飾剤類、β
−グルコセラミダーゼ、α−イズロニダーゼ、α−L−イズロニダーゼ、グルコ
サミン−N−スルファターゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、アセチル
補酵素A:α−グルコサミン−N−アセチルトランスフェラーゼ、N−アセチル
グルコサミン−6−スルファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダ
ーゼ、N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ、および可溶性CD4
が含まれる。これらのタンパク質をコードする配列は既知である。
【0147】 用語、外因性は、本明細書に記載される方法によって、細胞に導入される配列
を指す。外因性配列は、細胞に存在する内因性配列と同一の配列または異なる配
列を有することが可能である。
【0148】 好ましくは、DNA配列は直鎖配列である。 ターゲッティング配列または配列類 ターゲッティング配列または配列類は、標的とされる配列、例えば標的とされ
る遺伝子を含む細胞のゲノム内への相同組換えを可能にするDNA配列である。
用語「ターゲッティング配列」および「隣接配列」は、本明細書において、交換
可能に用いられる。ターゲッティング配列は、一般的に、得られるような細胞ゲ
ノムに通常存在するDNA配列に相同である(すなわち細胞DNAに同一である
か、またはターゲッティング配列および細胞DNAが相同組換えを経ることが可
能であるように十分に類似である)DNA配列である。例えば、ターゲッティン
グ配列は:コードまたは非コードDNA、目的の遺伝子の転写開始部位上流にあ
る配列、目的の遺伝子内にある配列、または目的の遺伝子の転写停止部位の下流
にある配列、あるいは先の修飾を通じてゲノムに存在する配列に、十分に相同で
あってもよい。用いるターゲッティング配列または配列類は、選択されるDNA
配列を挿入しようとする部位または標的とされる配列を改変しようとする部位に
照合して選択する。
【0149】 1以上のターゲッティング配列が使用可能である。好ましくは、選択されるD
NA配列には、2つのターゲッティング配列が隣接する。ターゲッティング配列
は、遺伝子またはコード配列内に(エクソンおよび/またはイントロンの配列な
ど)、遺伝子のコード配列にすぐ隣接して(例えばターゲッティング配列および
遺伝子のコード領域間に10、5、4、3、2、1未満のヌクレオチドを含み、
またはさらなるヌクレオチドをまったく含まず)、遺伝子のコード配列上流に(
上流非コード領域の配列または内因性プロモーター配列など)、または遺伝子の
コード配列の上流でそして少し離れて(内因性プロモーターの上流の配列など)
存在してもよい。ターゲッティング配列または配列類は、現在知られるかまたは
配列決定された、標的とされる配列の領域、および/または構造的に性質決定さ
れていないが、当業者によって、制限酵素を用いてマッピングし、そして決定す
ることが可能な、さらに上流の領域を含むことが可能である。
【0150】 ターゲッティング配列を用いて、内因性遺伝子のコード配列にすぐ隣接して、
その上流に、またはかなり離れて、制御配列を含むDNA配列を挿入することが
可能である。あるいはまたはさらに、産生されるRNAまたはタンパク質の構造
または安定性に影響を与える配列を、ターゲッティングによって、置換するか、
除去するか、付加するか、または別の方式で修飾することが可能である。例えば
、RNA分子のRNA安定性要素、スプライス部位、および/またはリーダー配
列を修飾し、RNA分子の機能、安定性、および/または翻訳可能性を改善する
かまたは改変することが可能である。タンパク質の輸送、分泌、または機能特性
を増進するかまたは修飾するため、シグナル配列、プロペプチド配列、活性部位
、および/または構造配列などのタンパク質配列もまた、改変することが可能で
ある。タンパク質配列はまた、突然変異、例えば点突然変異を含むタンパク質を
コードする遺伝子における部位を標的とすることによっても、改変、例えば訂正
可能である。
【0151】 1つの側面において、ターゲッティング配列は、ヒト卵胞刺激ホルモンβ(F
SHβ)の部分に相同であってもよい。FSHは、正常な生殖生理において、卵
母細胞および精子の維持および発生に必須の役割を果たす性腺刺激ホルモンであ
る。FSHは2つのサブユニット、αおよびβを含み、後者は、FSHの生物学
的特異性に関与している。既定のターゲッティング配列が相同である標的部位は
、FSHβ遺伝子のエクソンおよび/またはイントロン内に、FSHβコード領
域の上流にそしてすぐ隣接して、またはFSHβコード領域の上流にそして少し
離れて存在していてもよい。例えば、2つのターゲッティング配列の第一のもの
(または構築物中に1つのターゲッティング配列しかない場合、全ターゲッティ
ング配列)は、FSHβコード配列の上流のゲノム領域由来であってもよい。例
えば、このターゲッティング配列は、配列番号1の部分、例えば位−7,454
から−1,417(配列番号2)または位−696から−155(配列番号3)
に対応する配列由来の少なくとも20、30、50、100、または1000の
連続するヌクレオチドを含んでもよい。2つのターゲッティング配列の第二のも
のは、コード配列上流のゲノム領域を標的としてもよいし(例えば、やはり配列
番号2または3の部分を含んでもよい)、あるいは遺伝子のエクソンまたはイン
トロンを標的としてもよい。FSHβを標的とするのに使用可能な配列は、その
内容が完全に本明細書に援用される、米国特許出願第09/305,639号に
さらに記載される。
【0152】 ターゲッティング配列は、ヒトインターフェロン−α2(IFNα2)の部分
に相同であってもよい。インターフェロン−αは、染色体9の短腕にクラスター
を形成する14の遺伝子を含む複雑な遺伝子ファミリーを構成する。IFNα2
遺伝子を含む、これらの遺伝子のいずれも、イントロンを持たない。インターフ
ェロン−αは、マクロファージ、T細胞およびB細胞と共に、多くの他の細胞種
によって産生される。インターフェロン−αは、かなりの抗ウイルス効果を有し
、そしてパピローマウイルス、B型およびC型肝炎ウイルス、ワクシニア、単純
疱疹ウイルス、帯状水痘疱疹ウイルス(herpes zoster vari
cellosus virus)およびライノウイルスによる感染を治療するの
に有効であることが示されてきている。
【0153】 既定のターゲッティング配列が相同である標的部位は、IFNα2遺伝子のコ
ード領域内に、コード領域の上流にそしてすぐ隣接して、またはコード領域の上
流にそして少し離れて存在していてもよい。例えば、2つのターゲッティング配
列の第一のもの(または構築物中に1つのターゲッティング配列しかない場合、
全ターゲッティング配列)は、IFNα2コード配列の上流のゲノム領域由来で
あってもよい。例えば、このターゲッティング配列は、IFNα2遺伝子のヌク
レオチド−4074から−511に対応する、配列番号4の部分(例えば少なく
とも20、50、100または1000の連続するヌクレオチド)を含んでもよ
い。2つのターゲッティング配列の第二のものは、コード配列自体の上流のゲノ
ム領域を標識としてもよい。例えば、第二のターゲッティング配列は、その3’
端に、IFNα2コード配列の最初の数コドンに同一の外因性コード領域を含ん
でもよい。相同組換えに際して、外因性コード領域を、内因性IFNα2コード
配列の標的とされる部分と組み換える。IFNα2を標的とするのに使用可能な
配列は、その内容が完全に本明細書に援用される、米国特許出願第09/305
,638号にさらに記載される。
【0154】 別の側面において、ターゲッティング配列は、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(
GCSF)の部分に相同であってもよい。GCSFは、好中球/顆粒球細胞系譜
に関係付けられる造血前駆細胞の増殖および分化を刺激するサイトカインである
。GCSFは、化学療法が誘導する好中球減少の予防に、そして骨髄移植と関連
して、日常的に用いられる。慢性特発性および先天性好中球減少障害もまた、G
CSF注射後、改善を示す。既定のターゲッティング配列が相同である標的部位
は、GCSF遺伝子のエクソンおよび/またはイントロン内に、GCSFコード
領域の上流にそしてすぐ隣接して、またはGCSFコード領域の上流にそして少
し離れて存在していてもよい。
【0155】 例えば、構築物中の2つのターゲッティング配列の第一のもの(または構築物
中に1つのターゲッティング配列しかない場合、全ターゲッティング配列)は、
GCSFコード配列の上流のゲノム領域由来であってもよい。例えば、このター
ゲッティング配列は、ヒトGCSF遺伝子のヌクレオチド−6,578から10
1に対応する、配列番号5の部分(例えば位−6,578から−364(配列番
号6)に対応する配列由来の少なくとも20、50、100、または1000の
連続するヌクレオチド)を含んでもよい。構築物中の2つのターゲッティング配
列の第二のものは、コード配列上流のゲノム領域を標的としてもよいし(例えば
、やはり配列番号6の部分を含んでもよい)、あるいは遺伝子のエクソンまたは
イントロンを標的としてもよい。GCSFを標的とするのに使用可能な配列は、
その内容が完全に本明細書に援用される、米国特許出願第09/305,384
号にさらに記載される。
【0156】 制御配列 DNA配列は制御配列を含むことが可能である。制御配列は、1以上のプロモ
ーター(構成または誘導性プロモーター)、エンハンサー、UAS、足場付着領
域またはマトリックス付着部位、陰性制御要素、転写因子結合部位、またはこれ
らの配列の組み合わせを含んでもよい。
【0157】 制御配列は、産生される際、または個体に導入される際、細胞が、産物を発現
するよう誘導可能であるように、誘導性プロモーターを含むことが可能であり、
例えば細胞は該産物を発現しないが、発現するように誘導することが可能である
。制御配列は、制御配列の導入に際して、産物が発現されるように、誘導性プロ
モーターを含むことが可能である。制御配列は、細胞性またはウイルス配列であ
ってもよい。こうした制御配列には、限定されるわけではないが、SV40初期
または後期遺伝子、アデノウイルス主要後期遺伝子、マウスメタロチオネイン−
I遺伝子、伸長因子−1α遺伝子、サイトメガロウイルス遺伝子、コラーゲン遺
伝子、アクチン遺伝子、免疫グロブリン遺伝子、γアクチン遺伝子、転写活性化
因子YY1遺伝子、フィブロネクチン遺伝子、またはHMG−CoAレダクター
ゼ遺伝子の発現を制御するものが含まれる。制御配列は、TATAボックス、C
CAATボックス、AP1、Sp1またはNF−κB結合部位などの転写因子結
合部位を、さらに含むことが可能である。
【0158】 さらなるDNA配列要素 DNA配列はさらに、1以上のエクソンを含むことが可能である。エクソンは
、RNAにコピーされ、そして成熟mRNA分子に存在するDNA配列である。
エクソンは、1以上のアミノ酸をコードし、そして/またはアミノ酸を部分的に
コードする(すなわちコドンの1または2塩基)DNAを含むことが可能である
。あるいは、エクソンは、非コード領域、例えば5’非コード領域に対応するD
NAを含む。外因性エクソンまたはエクソン類が1以上のアミノ酸および/また
はアミノ酸の部分をコードする場合、DNA配列は、転写およびスプライシング
に際して、読み枠が第二のエクソンまたは標的とされる遺伝子のコード領域とイ
ンフレームであるように、設計することが可能である。本明細書において、イン
フレームは、第一のエクソンおよび第二のエクソンのコード配列が、融合した際
、第二のエクソンに由来するmRNAの部分の適切な読み枠を変化させない方式
で、共にヌクレオチドに連結されることを意味する。
【0159】 標的とされる遺伝子の第一のエクソンが、翻訳を開始する配列ATGを含むな
らば、外因性エクソンは、好ましくはATGを含む。さらに、ATGを含む外因
性エクソンは、第二のエクソンおよび標的とされる遺伝子の続くエクソンを含む
mRNAの生じたコード領域がインフレームであるように、1以上のヌクレオチ
ドをさらに含んでもよい。第一のエクソンがATGを含む、こうした標的とされ
る遺伝子の例には、ヒトエリスロポエチン、ヒト成長ホルモン、ヒトコロニー刺
激因子−顆粒球/マクロファージ(hGM−CSF)、およびヒトコロニー刺激
因子−顆粒球(hG−CSF)をコードする遺伝子が含まれる。
【0160】 スプライス−ドナー部位は、1つのエクソンから別のエクソンへのスプライシ
ングを指示する配列である。典型的には、第一のエクソンは、第二のエクソンの
5’にあり、そして第一のエクソンの3’側で、第一のエクソンと重複し、そし
て隣接するスプライス−ドナー部位が、第二のエクソンの5’側にある第二のエ
クソンに隣接するスプライス−アクセプター部位を認識する。スプライス−ドナ
ー部位は:第四および第五位にあるGUが必要とされる、(A/C)AG GU
RAGU(Rはプリンヌクレオチドを示す)と示される特徴的なコンセンサス配
列を有する可能性がある(Jackson(1991) Nucleic Ac
ids Res. 19:3715−3798)。スプライス−ドナーコンセン
サス部位の最初の3塩基は、エクソンの最後の3塩基である。スプライス−ドナ
ー部位は、mRNAスプライシング経路内で、適切な反応を達成する能力によっ
て、機能的に定義可能である。
【0161】 非対スプライス−ドナー部位は、標的とされる配列に存在し、そしてDNA配
列において、非対スプライス−ドナー部位の3’に配置されるスプライス−アク
セプター部位が付随していない、スプライス−ドナー部位である。非対スプライ
ス−ドナー部位は、内因性スプライス−アクセプター部位へのスプライシングを
生じることが可能である。
【0162】 スプライス−アクセプター部位は、スプライス−ドナー部位同様、1つのエク
ソンから別のエクソンへのスプライシングを指示する配列である。スプライシン
グ装置は、スプライス−ドナー部位と組み合わせて作用し、スプライス−アクセ
プター部位を用いて、イントロンの除去を達成する。スプライス−アクセプター
部位は:YYYYYYYYYYNYAG、ここでYはピリミジンいずれかを示し
、そしてNはヌクレオチドいずれかを示す、として示される特徴的な配列を有す
る可能性がある(Jackson(1991) Nucleic Acids
Res. 19:3715−3798)。
【0163】 イントロンは、2つのエクソン間にあり、そしてmRNA分子の形成に際して
、前駆体RNA分子から、スプライシングによって除去される、1以上のヌクレ
オチドの配列として定義される。
【0164】 制御配列は、翻訳を開始するため、ATG開始コドンに連結することが可能で
ある。所望により、CAP部位(制御領域と関連し、そして該領域に利用される
、特定のmRNA開始部位)を制御配列およびATG開始コドンに連結すること
が可能である。あるいは、制御配列に関連し、そして該配列に利用されるCAP
部位は、標的配列に含まれず、そして転写装置が新規CAP部位を提供する。C
AP部位は、通常、TATAボックスのおよそ25ヌクレオチド3’に見出すこ
とが可能である。スプライス−ドナー部位は、ATGにすぐ隣接して、例えば標
的とされる遺伝子の第二のエクソンとインフレームであるために、外因性エクソ
ンに、1以上のヌクレオチドの存在が必要とされない箇所に配置可能である。標
的とされる遺伝子のコード配列とインフレームである、1以上のアミノ酸または
アミノ酸の部分をコードするDNAは、ATGの3’側にすぐ隣接して配置して
もよい。こうしたものとして、スプライス−ドナー部位は、コードDNAの3’
側にすぐ隣接して配置してもよい。
【0165】 DNA配列のコード部分(例えばDNA配列のエクソン1)は、内因性タンパ
ク質のものと同一の、1以上のアミノ酸、および/またはアミノ酸の部分をコー
ドしてもよい。例えば、コードDNA配列は、目的の遺伝子の第一のエクソンに
対応してもよい。あるいは、例えば、目的のタンパク質の第一のエクソンのアミ
ノ酸が、該タンパク質の活性または活性類に重要でない場合、コードDNAは、
目的のタンパク質の第一のエクソンと異なる、1以上のアミノ酸またはアミノ酸
の部分をコードしてもよい。例えば、内因性ヒトエリスロポエチン(EPO)遺
伝子への融合体を構築する場合、ヒト成長ホルモン(hGH)の第一のエクソン
をコードする配列が使用可能である。この例では、hGHエクソン1のEPOエ
クソン2への融合は、機能するハイブリッドシグナルペプチドの形成を生じる。
しかし、コードされるアミノ酸がハイブリッドシグナルペプチドの機能を妨げな
い、ヒトまたは非ヒト起源のいかなるエクソンも使用可能である。
【0166】 望ましい産物が、内因性タンパク質およびDNA配列中のコード配列の融合タ
ンパク質である場合、細胞に取り込まれる外因性コードDNAは、内因性の標的
とされる遺伝子の産物に融合しようとする、翻訳または転写産物に対応するcD
NAの1以上のエクソンまたは配列をコードするDNAを含んでもよい。したが
って、ターゲッティングを用いて、2以上のタンパク質の構造的、酵素的あるい
はリガンドまたは受容体結合特性を1つのポリペプチドに合併させる、キメラま
たは多機能タンパク質を調製することが可能である。例えば、外因性DNA配列
は、例えば標的とされるタンパク質の膜への係留、あるいは細胞分泌を提供する
かまたは改善するシグナルペプチド、リーダー配列、酵素領域、膜貫通ドメイン
領域、補助因子結合領域または他の機能領域をコードしてもよい。通常分泌され
ないが、シグナルタンパク質に融合させて、分泌を提供することが可能なタンパ
ク質の例には、ドーパ・デカルボキシラーゼ、転写制御タンパク質およびチロシ
ンヒドロキシラーゼが含まれる。
【0167】 DNA配列は、天然に存在するか、あるいは遺伝子操作技術または合成法を用
いて産生可能である供給源から得ることが可能である。 標的配列 初代、二次または不死化細胞などの細胞にトランスフェクションした際、DN
A配列は、望ましい産物、例えばタンパク質またはRNAの活性または機能部分
の発現を調節することが可能である。DNA配列はまた、望ましい産物をコード
してもよい。産物は、例えば、ホルモン、サイトカイン、抗原、抗体、酵素、凝
固因子、輸送タンパク質、受容体、制御タンパク質、構造タンパク質、転写因子
、アンチセンスRNA、またはリボザイムであってもよい。さらに、産物は、天
然に生じないタンパク質または核酸(すなわち融合タンパク質または核酸)であ
ってもよい。
【0168】 こうした産物には、エリスロポエチン、カルシトニン、成長ホルモン、インス
リン、インスリノトロピン、インスリン様増殖因子、副甲状腺ホルモン、インタ
ーフェロンβおよびインターフェロンγ、神経増殖因子類、FSHβ、TGF−
β、腫瘍壊死因子、グルカゴン、骨増殖因子−2、骨増殖因子−7、TSH−β
、インターロイキン1、インターロイキン2、インターロイキン3、インターロ
イキン6、インターロイキン11、インターロイキン12、CSF−顆粒球、C
SF−マクロファージ、CSF−顆粒球/マクロファージ、免疫グロブリン類、
触媒性抗体類、プロテインキナーゼC、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキ
シドジスムターゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、アンチト
ロンビンIII、DNアーゼ、α−ガラクトシダーゼ、チロシンヒドロキシラー
ゼ、血液凝固因子V、血液凝固因子VII、血液凝固因子VIII、血液凝固因
子IX、血液凝固因子X、血液凝固因子XIII、アポリポタンパク質Eまたは
アポリポタンパク質A−I、グロビン類、低密度リポタンパク質受容体、IL−
2受容体、IL−2アンタゴニスト類、アルファ−1−アンチトリプシン、免疫
反応修飾剤類、β−グルコセラミダーゼ、α−イズロニダーゼ、α−L−イズロ
ニダーゼ、グルコサミン−N−スルファターゼ、α−N−アセチルグルコサミニ
ダーゼ、アセチル補酵素A:α−グルコサミド−N−アセチルトランスフェラー
ゼ、N−アセチルグルコサミン−6−スルファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、
β−グルクロニダーゼ、N−アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ、お
よび可溶性CD4が含まれる。
【0169】 選択可能マーカーおよび増幅 ターゲッティング事象の同定は、1以上の選択可能マーカー遺伝子の使用によ
って、容易にすることが可能である。これらのマーカーは、DNA配列内に含ま
れてもよいし、または異なる構築物上に存在してもよい。選択可能マーカーは、
2つのカテゴリー:陽性選択可能および陰性選択可能(言い換えると、陽性選択
または陰性選択いずれかのためのマーカー)に分割可能である。陽性選択では、
陽性選択可能マーカーを発現する細胞は、選択剤(neo、キサンチン−グアニ
ン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、dhfr、アデニンデアミ
ナーゼ(ada)、ピューロマイシン(pac)、ハイグロマイシン(hyg)
、カルバミルリン酸シンターゼ、アスパラギン酸トランスカルバミラーゼ、およ
びジヒドロオロターゼグルタミンシンテターゼ(GS)をコードするCAD、多
剤耐性1(mdr1)並びにヒスチジンD(hisD)など)での処理を生き抜
くことが可能であり、ターゲッティング構築物が、宿主細胞ゲノムに組み込まれ
た細胞の選択を可能にする。陰性選択では、陰性選択可能マーカーを発現する細
胞は、選択剤の存在下で破壊される。ターゲッティング事象の同定は、陰性選択
可能マーカーが、外因性DNA配列に連結されるが、ターゲッティング配列に隣
接するように、そして宿主細胞ゲノム中の配列との正しい相同組換え事象が陰性
選択可能マーカーの安定な組込みを生じないように配置されるような、陰性選択
の特性を示す1以上のマーカー遺伝子の使用によって、容易にすることが可能で
ある(Mansourら(1988) Nature 336:348−352
)。この目的に有用なマーカーには、単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼ(TK
)遺伝子、細菌gpt遺伝子、ジフテリア毒素、および細胞生存に必須な遺伝子
をコードするmRNAのアンチセンスRNAまたはリボザイムが含まれる。
【0170】 多様な選択可能マーカーを、初代、二次または不死化細胞に取り込んでもよい
。例えば、薬剤耐性、栄養素要求性、細胞傷害剤に対する耐性または表面タンパ
ク質の発現などの選択可能表現型を与える選択可能マーカーを用いてもよい。使
用可能な選択可能マーカー遺伝子には、neo、gpt、dhfr、ada、p
ac、hyg、CAD、GS、mdr1およびhisDが含まれる。与えられた
選択可能表現型は、レシピエント細胞を同定し、そして単離することを可能にす
る。
【0171】 選択可能マーカーをコードする遺伝子(例えばada、GS、dhfrおよび
多機能CAD遺伝子)は、増加したコピーの選択可能マーカーおよび隣接するゲ
ノム配列を含む細胞の選択を可能にする、付加された特性を有する。この特徴は
、増加したコピーが望ましい、隣接または連結遺伝子のコピー数を有意に増加さ
せるための機構を提供する。改善された選択特性を示すこれらの配列の突然変異
型および増加したコピーを導く他の配列もまた、使用可能である。
【0172】 DNA配列中の構成要素の順序および数は、多様である可能性がある。例えば
、順序は:第一のターゲッティング配列――選択可能マーカー――制御配列――
エクソン――スプライス−ドナー部位――第二のターゲッティング配列であって
もよいし、または代替物において、第一のターゲッティング配列――制御配列―
―エクソン――スプライス−ドナー部位――選択可能マーカーをコードするDN
A――第二のターゲッティング配列であってもよい。構築物を安定に組み込む細
胞は、選択剤での処理を生き抜くであろうし;安定にトランスフェクションされ
た細胞のサブセットは、相同組換え細胞であろう。相同組換え細胞は、PCR、
サザンハイブリダイゼーションおよび表現型スクリーニングを含む、多様な技術
によって、同定可能である。構築物の順序は:第一のターゲッティング配列――
選択可能マーカー――制御配列――エクソン――スプライス−ドナー部位――イ
ントロン――スプライス−アクセプター部位――第二のターゲッティング配列で
あってもよい。
【0173】 あるいは、DNA配列中の構成要素の順序は、例えば:第一のターゲッティン
グ配列――選択可能マーカー1――制御配列――エクソン――スプライス−ドナ
ー部位――第二のターゲッティング配列――選択可能マーカー2であってもよい
し、あるいは、第一のターゲッティング配列――制御配列――エクソン――スプ
ライス−ドナー部位――選択可能マーカー1――第二のターゲッティング配列―
―選択可能マーカー2であってもよい。この配置では、選択可能マーカー2は、
陰性選択の特性を示してもよい。すなわち、選択可能マーカー2の遺伝子産物は
、選択可能マーカー2を発現している細胞を殺す剤(典型的には薬剤または代謝
産物類似体)を含む適切な培地処方中の増殖によって、反対に選択可能である。
選択可能マーカー1に隣接するターゲッティング配列と宿主細胞ゲノム中の相同
配列間の組換えは、選択可能マーカー1の標的とされる組込みを生じ、一方、選
択可能マーカー2は組み込まれない。こうした組換え事象は、選択可能マーカー
1で安定にトランスフェクションされているが、選択可能マーカー2で安定にト
ランスフェクションされていない細胞を生成し、そしてこうした細胞は、選択可
能マーカー1を支持して選択する選択剤および選択可能マーカー2に反対して選
択する選択剤を含む培地中の増殖によって、選択可能である。
【0174】 DNA配列はまた、そのマーカーの増加したコピーを含む細胞の選択を可能に
する、陽性選択可能マーカーも含むことが可能である。こうしたマーカーの増加
したコピーは、隣接するDNA配列の同時増幅を生じる。例えば、構成要素の順
序は:第一のターゲッティング配列――コピー数を増加させる陽性選択可能マー
カー――第二の選択可能マーカー(所望による)――制御配列――エクソン――
スプライス−ドナー部位――第二のターゲッティングDNA配列であってもよい
。活性化される遺伝子は、選択可能マーカー遺伝子の増加したコピーを含む細胞
が、適切な選択可能剤の存在下で、細胞を培養することによって、選択可能であ
る特性を有する、選択可能マーカー遺伝子の包含によって、さらに増加させるこ
とが可能である。活性化される内因性遺伝子は、選択可能マーカー遺伝子とタン
デムに増加されるであろう。活性化される内因性遺伝子を多コピー含む細胞は、
非常に高レベルの望ましいタンパク質を産生することが可能であり、そしてin
vitroタンパク質産生および遺伝子治療に有用である。
【0175】 選択可能および他のマーカー遺伝子は、互いにすぐ隣接している必要はない。 DNA配列/相同組換え増進剤/非相同端連結阻害剤複合体 二本鎖DNA配列および選択される標的DNA、例えば細胞中の染色体DNA
間の相同組換えは、相同組換えを増進する剤、例えばRad52タンパク質、お
よび非相同端連結を阻害する剤、例えばKu不活性化剤(例えば抗Ku抗体)を
、DNA配列および標的とされる部位に十分にごく近接して提供することによっ
て、促進可能である。「十分にごく近接」は、本明細書において、相同組換え増
進剤および/または非相同端連結を阻害する剤の濃度が、標的とされる部位の改
変、例えばDNA配列および標的配列間の相同組換えを、より高い率で提供する
のに十分である、相同組換え増進剤または非相同端連結を阻害する剤、あるいは
両方の導入を指す。いくつかの方法を用いて、DNA配列、相同組換え増進剤、
および非相同端連結を阻害する剤の、互いにごく近接した導入を提供することが
可能である。これらの化合物を互いに、そして標的DNAに、ごく近接して投与
することによって、Rad52およびKu不活性化分子、例えば抗Ku抗体など
の化合物の活性を、相同組換え部位に局在させる。例えば、Ku活性の局所阻害
は、Ku活性の全細胞阻害より好ましい可能性がある。
【0176】 DNA配列、相同組換え増進剤、および非相同端連結を阻害する剤の近接は、
これらの要素を複合体の一部として導入することによって、維持可能である。例
えば、DNA−タンパク質複合体が使用可能である。DNA−タンパク質複合体
の中心は、標的DNAの選択される部位に導入しようとする二本鎖DNA配列で
構成されていてもよい。相同組換え増進剤、例えばRad52タンパク質または
その断片は、DNA配列上、例えばDNA配列の全配列または端のみに、例えば
DNA配列の一本鎖突出端の少なくとも部分上に、付着して、例えばコーティン
グされていてもよい。DNA−タンパク質複合体は、DNA配列または相同組換
え増進剤いずれかに共有結合している、非相同端連結を阻害する剤、例えば抗K
u抗体などのKu不活性化剤をさらに含むことが可能である。非相同端連結を阻
害する剤はまた、DNA配列または相同組換え増進剤に非共有結合していてもよ
い。
【0177】 化合物はまた、DNA配列、相同組換え増進剤および非相同端連結を阻害する
剤を、リポソームまたは小胞中に提供することによって、互いにごく近接して維
持することも可能である。例えば、リポソーム懸濁物はまた、これらの要素の薬
学的に許容しうるキャリアーとしても、使用可能である。リポソーム懸濁物は、
例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるように、当業者に知られ
る方法にしたがって、調製可能である。
【0178】 DNA配列、相同組換え増進剤および非相同端連結を阻害する剤はまた、細胞
にマイクロインジェクションすることが可能な混合溶液の一部であってもよいし
、またはこれらの化合物3つすべてが、細胞に同時に存在するように、これらの
化合物各々を、他のものに続いて、迅速に導入してもよい。1以上のこれらの化
合物を導入する他の方法には、受容体仲介搬送、エレクトロポレーションおよび
リン酸カルシウム沈殿が含まれる。
【0179】 細胞 トランスフェクションしようとする初代および二次細胞は、多様な組織から得
ることが可能であり、そして培養中で維持および増殖可能な細胞種を含む。例え
ば、トランスフェクション可能な初代および二次細胞には、線維芽細胞、ケラチ
ン形成細胞、上皮細胞(例えば乳腺上皮細胞、腸上皮細胞)、内皮細胞、グリア
細胞、神経細胞、血液の形成された要素(例えばリンパ球、骨髄細胞)、筋細胞
およびこれらの体細胞種の前駆体が含まれる。初代細胞は、好ましくは、トラン
スフェクション初代または二次細胞が投与される個体から得られる(すなわち自
己細胞)。しかし、初代細胞は、同一種(すなわち同種異系細胞)または別の種
(すなわち異種細胞)(例えばマウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウ
シ、小鳥、ヒツジ、ヤギ、ウマ)のドナー(レシピエント以外)から得てもよい
【0180】 脊椎動物、好ましくは哺乳動物起源の初代または二次細胞は、外因性DNA配
列、例えば療法タンパク質をコードする外因性DNA配列でトランスフェクショ
ンされ、そしてin vitroおよびin vivo両方で、延長された期間
、コードされる療法タンパク質を、安定に、そして再現可能に産生することが可
能である。さらに、トランスフェクション初代および二次細胞は、生理学的に適
切なレベルで、in vivoで、コードされる産物を発現可能であり、移植後
に細胞を回収し、そして再培養に際して、増殖させ、そしてその移植前特性を示
すことが可能である。
【0181】 あるいは、脊椎動物、好ましくは哺乳動物起源の初代または二次細胞は、制御
配列を含む外因性DNA配列でトランスフェクション可能である。こうした制御
配列の例には、1以上の:プロモーター、エンハンサー、UAS、足場付着領域
または転写結合部位が含まれる。ターゲッティング事象は、DNA配列の制御配
列の挿入を生じ、標的とされる内因性遺伝子をその調節下に置くことが可能であ
る(例えば、プロモーターまたはエンハンサー、あるいは両方を、内因性遺伝子
または制御領域の上流に挿入することによって)。所望により、ターゲッティン
グ事象は、遺伝子の組織特異的陰性制御配列の欠失などの、内因性制御配列の欠
失を、同時に生じることが可能である。ターゲッティング事象は、存在する制御
配列を置換することが可能であり;例えば組織特異的エンハンサーを、天然存在
要素より、より広いかまたはそれと異なる細胞種特異性を有するエンハンサー、
あるいは対応する非トランスフェクション細胞と異なる制御または誘導パターン
を示すエンハンサーで置換することが可能である。これに関連し、天然存在配列
が欠失され、そして新規配列が付加される。あるいは、内因性制御配列は、除去
または置換されないが、内因性制御要素内に外因性配列をターゲッティングする
ことによるなど、ターゲッティング事象によって、破壊されるかまたは無能にさ
れる。相同組換えによる制御配列の導入は、通常発現しない療法タンパク質を発
現する初代または二次細胞を生じる可能性がある。さらに、制御配列のターゲッ
ティングされる導入は、療法タンパク質を作成するかまたは含むが、正常より少
量(生理学的に正常な、より低いレベル未満の量)であるか、または欠損型であ
る細胞に、そして生理学的に正常なレベルで療法タンパク質を作成するが、その
含量または産生を増大させるかまたは増進しようとする細胞に、使用可能である
【0182】 トランスフェクション初代または二次細胞はまた、選択可能表現型を与え、そ
の同定および単離を容易にする、選択可能マーカーをコードするDNA配列もま
た、含んでもよい。安定にDNA配列を発現する、トランスフェクション初代、
二次細胞を産生する方法、こうしたトランスフェクション細胞のクローン性細胞
株および不均質細胞株、クローン性および不均質細胞株を産生する方法、並びに
トランスフェクション初代または二次細胞の集団の使用を通じて、異常なまたは
望ましくない状態を治療するかまたは予防する方法が、本発明の一部である。
【0183】 初代または二次細胞のトランスフェクション、相同組換えおよびクローン性ま たは不均質細胞株の産生 脊椎動物組織は、パンチ生検または目的の初代細胞種の組織供給源を得る、他
の手術法などの標準的方法によって、得ることが可能である。例えば、パンチ生
検は、線維芽細胞またはケラチン形成細胞の供給源として皮膚を得るのに用いる
。初代細胞の混合物は、酵素消化または外植などの既知の方法を用いて、組織か
ら得る。酵素消化を用いた場合、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ、ディスパー
ゼ、プロナーゼ、トリプシン、エラスターゼおよびキモトリプシンなどの酵素が
使用可能である。
【0184】 生じた初代細胞混合物を直接トランスフェクションしてもよいし、またはトラ
ンスフェクションを行う前に、まず培養し、培養プレートから除去し、そして再
懸濁してもよい。初代細胞または二次細胞は、所望により選択可能マーカーをコ
ードするDNAを含む、ゲノムに導入しようとするDNAと合わせ、そしてトラ
ンスフェクションを達成するために処理する。さらに、単独でまたは複合体の一
部として、Rad52タンパク質またはその断片、およびKu不活性化分子、例
えば抗Ku抗体と、初代または二次細胞を合わせる。
【0185】 トランスフェクション初代または二次細胞は、エレクトロポレーションによっ
て、作成可能である。エレクトロポレーションは、適切な電位および電気容量(
および対応する時定数)で行い、初代または二次細胞へのDNA構築物(類)の
進入を生じる。エレクトロポレーションは、広い範囲の電位(例えば50から2
000ボルト)および対応する電気容量に渡って実行可能である。通常、およそ
0.1から500μgの総DNAを用いる。
【0186】 好ましくは、初代または二次細胞は、マイクロインジェクションを用いてトラ
ンスフェクションする。あるいは、リン酸カルシウム沈殿、修飾リン酸カルシウ
ム沈殿およびポリブレン沈殿、リポソーム融合および受容体仲介遺伝子搬送など
の既知の方法を用いて、細胞をトランスフェクションすることが可能である。安
定なトランスフェクション細胞を単離し、そして培養条件下で、そして十分な時
間、培養し、そして継代培養して、安定なトランスフェクション二次細胞を増殖
させ、そしてトランスフェクション二次細胞のクローン性細胞株を産生する。あ
るいは、1より多いトランスフェクション細胞を培養し、そして継代培養し、不
均質な細胞株の産生を生じる。
【0187】 トランスフェクション後、当該技術分野に知られるように(Capecchi
(1989) Science 244:1288−1292)、相同組換えを
可能にする条件下で、細胞を維持する。
【0188】 相同組換え初代または二次細胞は、十分な数の倍加を経て、有効量で、個体に
療法タンパク質を提供するのに十分なサイズのクローン性細胞株または不均質細
胞株いずれかを生じることが可能である。一般的に、例えば、0.1cm2の皮
膚を生検で得て、そしてこれは100,000細胞を含むと考えられ;1つの細
胞を用いて、クローン性細胞株を産生し、そしておよそ27の倍加を経て、1億
の相同組換え二次細胞を産生する。不均質細胞株を、およそ100,000細胞
の元来の相同組換え集団から産生しようとする場合、1億の細胞を産生するのに
10の倍加しか必要とされない。
【0189】 相同組換えクローン性または不均質細胞株に必要とされる細胞の数は多様であ
り、そして限定されるわけではないが、相同組換え細胞の使用、細胞における外
因性DNA配列の機能レベル、細胞における改変されたDNA配列の機能レベル
、相同組換え細胞の移植部位(例えば使用可能な細胞数は、移植の解剖学的部位
によって制限される)、並びに患者の年齢、表面面積、および臨床的状態を含む
、多様な要因に応じる。これらの要因を視野に置くと、成長ホルモン単独欠損症
を有する、そうでなければ健康な10kgの患者にヒト成長ホルモンの療法レベ
ルを搬送するため、およそ1から5億の相同組換え線維芽細胞が必要であろう(
これらの細胞の体積は、ほぼ、患者の親指のごく先端程度である)。
【0190】 いくつかの方法を用いて、本明細書に記載される方法が、細胞において相同組
換えを増進する有効性を決定することが可能である。例えば、細胞、例えばヒト
細胞における非保存的置換を検出するため、実験系を設計することが可能である
。置換は、XhoI部位の一部である、HPRT遺伝子のエクソン3のCGAコ
ドンでのCからTの置換であってもよい。この突然変異は、TGA終結シグナル
を生成し、これは、6−チオグアニン(6−TG)に耐性とスコア付けされる、
HPRT陰性表現型を生じる。この突然変異はまた、対応するXhoI部位の欠
失を伴う。簡潔には、CからTの置換を含むDNA配列は、相同組換えを増進す
る剤およびKuを不活性化する剤を含む複合体の一部として、ヒト線維芽細胞に
マイクロインジェクションすることによって、導入可能である。細胞を培養し、
そして6−TGを含む培地上に細胞を導入する前に、増殖させる。その後、6−
TG耐性クローンをスコア付けし、突然変異DNA配列の存在を決定する。相同
組換え事象の存在は、HPRT特異的プローブを用いて、XhoI消化ゲノムD
NAをサザンブロット解析することによって、検出可能である。結果はまた、突
然変異DNA配列が、相同組換えを増進する剤およびKuを不活性化する剤の非
存在下に導入される、対照細胞と比較することも可能である。
【0191】 相同組換え二次細胞のクローン性細胞株または不均質細胞株の移植 上述のように産生された相同組換え細胞は、既知の方法を用いて、療法タンパ
ク質を搬送しようとする個体に導入可能である。その後、クローン性細胞株また
は不均質細胞株を、既知の方法を用いて、多様な投与経路および多様な部位(例
えば腎被膜下、皮下、中枢神経系(クモ膜下腔内を含む)、血管内、肝臓内、内
臓内、腹腔内(大網内を含む)、または筋内移植)を用い、個体に導入する。個
体に移植されたら、相同組換え細胞は、外因性合成DNAにコードされる療法産
物を産生するか、または相同組換え細胞は、外因性制御配列調節下で、内因性D
NA配列にコードされる療法タンパク質を発現する。例えば、血液に通常見られ
る因子IXの欠損によって引き起こされる出血障害である、血友病Bと診断され
ている個体は、遺伝子治療の候補である。患者に小皮膚生検を行う;これは、外
来に基づいて行うことが可能な、単純な処置である。ほぼマッチの頭の大きさの
皮膚片を、例えば腕の下から取り、そしてこれは除去するのに約1分を要する。
試料をプロセシングし、患者細胞(この場合、線維芽細胞)を単離し、そして失
われた因子IXを産生するように、遺伝子操作する。患者の年齢、体重、および
臨床的状態に基づいて、必要とされる数の細胞を、大規模培養で増殖させる。全
過程は、4−6週間を要するはずであり、そしてこの期間の終わりに、再び外来
で(例えば患者の皮膚下に、これらを注入して戻すことによって)、遺伝子操作
された適切な数の細胞を、個体に導入する。患者はここで、自身の因子IXを産
生することが可能であり、そしてもはや血友病患者ではない。
【0192】 同様のアプローチを用いて、他の異常または疾患を治療することが可能である
。例えば、低身長は、ヒト成長ホルモンを発現する初代または二次細胞を移植す
ることにより、個体にヒト成長ホルモンを投与することによって、治療可能であ
る。
【0193】 この例が示唆するように、使用する細胞は、一般的に、患者特異的に遺伝子操
作された細胞であろう。しかし、同一種の別の個体または異なる種から細胞を得
ることが可能である。こうした細胞の使用は、免疫抑制剤の投与、組織適合性抗
原の改変、または移植細胞の拒絶を防ぐ障壁装置の使用を要する可能性がある。
【0194】 多くの疾患では、これは、単回治療であろうし、そして他のものでは、多数の
遺伝子治療措置が必要とされるであろう。 トランスフェクション初代または二次細胞は、単独で、またはレシピエント被
験者における細胞に対する免疫反応を阻害するための障壁または剤と組み合わせ
て、投与可能である。例えば、免疫抑制剤を被験者に投与し、被験者における正
常反応を阻害するか、または該反応と干渉することが可能である。好ましくは、
免疫抑制剤は、被験者において、T細胞/またはB細胞活性を阻害する免疫抑制
薬剤である。こうした免疫抑制薬剤の例が商業的に入手可能である(例えばシク
ロスポリンAは、Sandoz Corp.、ニュージャージー州イーストハノ
ーバーから商業的に入手可能である)。
【0195】 免疫抑制剤、例えば薬剤は、望ましい療法効果(例えば細胞の拒絶の阻害)を
達成するのに十分な投薬量で、被験者に投与可能である。免疫抑制剤の投薬範囲
は、当該技術分野に知られる。例えばFreedら(1992) N. Eng
l. J. Med. 327:1549;Spencerら(1992) N
. Engl. J. Med. 327:1541;Widnerら(199
2) N. Engl. J. Med. 327:1556を参照されたい。
投薬値は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重などの要因にしたがって、
多様である可能性がある。
【0196】 被験者においてT細胞活性を阻害するのに使用可能な別の剤は、抗体、あるい
はその断片または誘導体である。in vivoでT細胞を枯渇させるかまたは
隔絶することが可能な抗体が当該技術分野に知られる。ポリクローナル抗血清、
例えば抗リンパ球血清が使用可能である。あるいは、1以上のモノクローナル抗
体が、使用可能である。好ましいT細胞枯渇抗体には、細胞表面上のCD2、C
D3、CD4、CD8、CD40、CD40リガンドに結合するモノクローナル
抗体が含まれる。こうした抗体が当該技術分野に知られ、そして例えばアメリカ
ン・タイプ・カルチャー・コレクションから商業的に入手可能である。ヒトT細
胞上のCD3に結合する好ましい抗体は、OKT3(ATCC CRL 800
1)である。
【0197】 レシピエント被験者内でT細胞を枯渇させるか、隔絶するかまたは阻害する抗
体は、移植に際して細胞の拒絶を阻害する用量で、適切な期間、投与することが
可能である。抗体は、好ましくは、薬学的に許容しうるキャリアーまたは希釈剤
(例えば生理食塩水溶液)中で、静脈内投与する。
【0198】 レシピエント被験者において、細胞に対する免疫反応と干渉するか、または該
反応を阻害する別の方法は、免疫障壁を使用することである。「免疫障壁」は、
本明細書において、被験者における投与された細胞および免疫反応に関与する細
胞間の障壁として役立つ装置を指す。例えば、細胞は、移植可能装置中で、投与
することが可能である。移植可能装置は、半透性障壁、すなわち栄養素および産
物が障壁内および障壁外に拡散するが、より大きい免疫系構成要素、例えば抗体
または補体の進入を妨げる障壁の内部に含まれる細胞を含んでもよい。移植可能
装置は、典型的には、マトリックス、例えばヒドロゲル、または細胞を配置する
コアを含む。所望により、半透性コーティングは、ゲルを封入してもよい。ゲル
コア内に配置される場合、投与される細胞は、免疫系の細胞から隔絶されている
はずであり、そして宿主の細胞および細胞傷害性抗体から覆い隠されているはず
である。好ましくは、PLLまたはPLOなどの選択透過性コーティングを用い
る。コーティングはしばしば、レシピエントの免疫系構成要素が進入して、そし
て移植可能装置内の細胞を破壊するのを妨げる、小孔を有する。
【0199】 細胞を被包する多くの方法が当該技術分野に知られる。例えば、産生用の細胞
を被包するため、水可溶性ゴム(gum)を用いて、半透性水不溶性ゲルを得る
被包および他の被包法が、米国特許第4,352,883号に開示される。使用
可能な他の移植可能装置は、米国特許第5,084,350号、米国特許第5,
427,935号、1995年7月27に公表されたWO 95/19743、
米国特許第5,545,423号、米国特許第4,409,331号、米国特許
第4,663,286号、および欧州特許第301,777号に開示される。
【0200】 相同組換え初代および二次細胞および細胞株の使用 相同組換え初代および二次細胞または細胞株は、酵素、ホルモン、サイトカイ
ン、抗原、抗体、凝固因子、アンチセンスRNA、制御タンパク質、転写タンパ
ク質、受容体、構造タンパク質、新規(非最適化)タンパク質および核酸産物、
並びに操作DNAなどの、療法タンパク質のためのビヒクルまたは搬送系として
、広い適用可能性を有する。例えば、相同組換え初代または二次細胞を用いて、
限定されるわけではないが、エリスロポエチン、カルシトニン、成長ホルモン、
インスリン、インスリノトロピン、インスリン様増殖因子、副甲状腺ホルモン、
α2−インターフェロン(IFNA2)、β−インターフェロン、γ−インター
フェロン、神経増殖因子類、FSHβ、TGF−β、腫瘍壊死因子、グルカゴン
、骨増殖因子−2、骨増殖因子−7、TSH−β、インターロイキン1、インタ
ーロイキン2、インターロイキン3、インターロイキン6、インターロイキン1
1、インターロイキン12、CSF−顆粒球(GCSF)、CSF−マクロファ
ージ、CSF−顆粒球/マクロファージ、免疫グロブリン類、触媒性抗体類、プ
ロテインキナーゼC、グルコセレブロシダーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ
、組織プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、アンチトロンビンIII、
DNアーゼ、α−ガラクトシダーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、血液凝固因子
V、血液凝固因子VII、血液凝固因子VIII、血液凝固因子IX、血液凝固
因子X、血液凝固因子XIII、アポリポタンパク質E、アポリポタンパク質A
−I、グロビン類、低密度リポタンパク質受容体、IL−2受容体、IL−2ア
ンタゴニスト類、α−1−アンチトリプシン、免疫反応修飾剤類、β−グルコセ
ラミダーゼ、α−イズロニダーゼ、α−L−イズロニダーゼ、グルコサミン−N
−スルファターゼ、α−N−アセチルグルコサミニダーゼ、アセチル補酵素A:
α−グルコサミン−N−アセチルトランスフェラーゼ、N−アセチルグルコサミ
ン−6−スルファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、β−グルクロニダーゼ、N−
アセチルガラクトサミン−6−スルファターゼ、および可溶性CD4を含む療法
タンパク質を供給することが可能である。
【0201】 本明細書に引用されるすべての特許および参考文献は、その全体が本明細書に
援用される。他の態様が請求項の範囲内である。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US, UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 AA08 AA10 AA20 BA14 BA23 BA30 BA80 CA01 CA02 DA01 DA02 DA03 DA05 DA11 DA12 FA02 FA06 FA20 GA11 HA17 HA20 4B065 AA01X AA58X AA72X AA93X AA93Y AB01 AC14 AC20 BA02 BA16 BA30 CA24 CA43 CA44 CA46 CA53

Claims (75)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞における標的配列の改変を促進する複合体であって:
    二本鎖DNA配列、相同組換え増進剤、および非相同端連結を阻害する剤を含む
    、前記複合体。
  2. 【請求項2】 相同組換え増進剤が:Rad52タンパク質または機能す
    るその断片、Rad51タンパク質または機能するその断片、Rad54タンパ
    ク質または機能するその断片、およびそれらの組み合わせからなる群より選択さ
    れる、請求項1の複合体。
  3. 【請求項3】 相同組換え増進剤がRad52タンパク質または機能する
    その断片である、請求項1の複合体。
  4. 【請求項4】 非相同端連結を阻害する剤が、hMre11を不活性化す
    る剤、hRad50を不活性化する剤、Nbs1を不活性化する剤、hLig4
    を不活性化する剤、hXrcc4を不活性化する剤、およびKuを不活性化する
    剤からなる群より選択される、請求項1の複合体。
  5. 【請求項5】 非相同端連結を阻害する剤がKu不活性化剤である、請求
    項1の複合体。
  6. 【請求項6】 Ku不活性化剤が:抗Ku抗体、Ku結合オリゴマー、お
    よびKu結合ポリペプチドからなる群より選択される、請求項5の複合体。
  7. 【請求項7】 Ku不活性化剤が抗Ku抗体である、請求項5の複合体。
  8. 【請求項8】 DNA配列が直鎖DNA配列を含む、請求項1の複合体。
  9. 【請求項9】 DNA配列に少なくとも1つのターゲッティング配列が隣
    接する、請求項1の複合体。
  10. 【請求項10】 DNA配列が外因性制御配列を含む、請求項1の複合体
  11. 【請求項11】 制御配列がプロモーター、エンハンサー、上流活性化配
    列、足場付着領域または転写因子結合部位である、請求項10の複合体。
  12. 【請求項12】 制御配列がプロモーターおよびエンハンサーである、請
    求項11の複合体。
  13. 【請求項13】 制御配列がプロモーターおよび上流活性化配列である、
    請求項11の複合体。
  14. 【請求項14】 Rad52タンパク質または機能するその断片が、DN
    A配列上にコーティングされている、請求項3の複合体。
  15. 【請求項15】 Rad52タンパク質またはその断片がヒトRad52
    である、請求項3の複合体。
  16. 【請求項16】 抗Ku抗体が抗Ku70抗体である、請求項7の複合体
  17. 【請求項17】 抗Ku抗体が抗Ku80抗体である、請求項7の複合体
  18. 【請求項18】 少なくとも1つの抗Ku抗体が、DNA配列に共有結合
    している、請求項7の複合体。
  19. 【請求項19】 少なくとも1つの抗Ku抗体が、相同組換えを増進する
    剤に共有結合している、請求項7の複合体。
  20. 【請求項20】 複合体が抗Ku70抗体および抗Ku80抗体を含む、
    請求項7の複合体。
  21. 【請求項21】 DNA配列が制御配列を含み、そしてターゲッティング
    配列がFSHβ遺伝子タンパク質コード領域の5’の配列に由来する、請求項9
    の複合体。
  22. 【請求項22】 DNA配列が制御配列を含み、そしてターゲッティング
    配列がIFNα遺伝子タンパク質コード領域の5’の配列に由来する、請求項9
    の複合体。
  23. 【請求項23】 DNA配列が制御配列を含み、そしてターゲッティング
    配列がGCSF遺伝子タンパク質コード領域の5’の配列に由来する、請求項9
    の複合体。
  24. 【請求項24】 ミスマッチ修復タンパク質を阻害する剤をさらに含む、
    請求項1の複合体。
  25. 【請求項25】 細胞の標的DNAにおいて、選択される部位での改変を
    促進する方法であって: 細胞に、二本鎖DNA配列、相同組換えを増進する剤、および非相同端連結を
    阻害する剤を導入し、それによって、染色体DNAの改変を促進し、それによっ
    て、染色体DNAにおいて、選択される部位での改変を促進する ことを含む、前記方法。
  26. 【請求項26】 DNA配列が直鎖DNA配列を含む、請求項25の方法
  27. 【請求項27】 DNA配列に少なくとも1つのターゲッティング配列が
    隣接する、請求項25の方法。
  28. 【請求項28】 DNA配列が外因性制御配列を含む、請求項25の方法
  29. 【請求項29】 制御配列が:プロモーター、エンハンサー、上流活性化
    配列、足場付着領域および転写因子結合部位からなる群より選択される、請求項
    28の方法。
  30. 【請求項30】 制御配列がプロモーターおよびエンハンサーである、請
    求項28の方法。
  31. 【請求項31】 制御配列がプロモーターおよび上流活性化配列である、
    請求項28の方法。
  32. 【請求項32】 相同組換えを増進する剤が:Rad52タンパク質また
    は機能するその断片、Rad51タンパク質または機能するその断片、Rad5
    4タンパク質または機能するその断片、およびそれらの組み合わせからなる群よ
    り選択される、請求項25の方法。
  33. 【請求項33】 相同組換えを増進する剤がRad52タンパク質または
    機能するその断片である、請求項25の方法。
  34. 【請求項34】 Rad52タンパク質または機能するその断片が、DN
    A配列上にコーティングされている、請求項33の方法。
  35. 【請求項35】 Rad52タンパク質または機能するその断片がヒトR
    ad52である、請求項33の方法。
  36. 【請求項36】 非相同端連結を阻害する剤が、hMre11を不活性化
    する剤、hRad50を不活性化する剤、Nbs1を不活性化する剤、hLig
    4を不活性化する剤、hXrcc4を不活性化する剤、およびKuを不活性化す
    る剤からなる群より選択される、請求項25の方法。
  37. 【請求項37】 非相同端連結を阻害する剤がKu不活性化剤である、請
    求項25の方法。
  38. 【請求項38】 Kuを不活性化する剤が、抗Ku抗体、Ku結合オリゴ
    マー、およびKu結合ポリペプチドである、請求項37の方法。
  39. 【請求項39】 Kuを不活性化する剤がKuアンチセンス分子である、
    請求項37の方法。
  40. 【請求項40】 Kuを不活性化する剤が抗Ku抗体である、請求項37
    の方法。
  41. 【請求項41】 抗Ku抗体が抗Ku70抗体である、請求項40の方法
  42. 【請求項42】 抗Ku抗体が抗Ku80抗体である、請求項40の方法
  43. 【請求項43】 少なくとも1つの抗Ku抗体が、DNA配列に共有結合
    している、請求項40の方法。
  44. 【請求項44】 少なくとも1つの抗Ku抗体が、Rad52タンパク質
    またはその断片に共有結合している、請求項40の方法。
  45. 【請求項45】 細胞が真菌、植物または動物起源のものである、請求項
    25の方法。
  46. 【請求項46】 細胞が脊椎動物起源のものである、請求項45の方法。
  47. 【請求項47】 細胞が初代または二次哺乳動物細胞である、請求項46
    の方法。
  48. 【請求項48】 細胞が初代または二次ヒト細胞である、請求項46の方
    法。
  49. 【請求項49】 細胞が不死化哺乳動物細胞である、請求項46の方法。
  50. 【請求項50】 細胞が不死化ヒト細胞である、請求項46の方法。
  51. 【請求項51】 DNA配列、相同組換えを増進する剤および非相同端連
    結を阻害する剤を、複合体として細胞に導入する、請求項25の方法。
  52. 【請求項52】 ミスマッチ修復タンパク質を阻害する剤を導入すること
    をさらに含む、請求項25の方法。
  53. 【請求項53】 ミスマッチ修復タンパク質が:Msh2、Msh6、M
    sh3、M1h1およびPMS2からなる群より選択される、請求項52の方法
  54. 【請求項54】 剤がミスマッチ修復タンパク質の発現を阻害する剤であ
    る、請求項52の方法。
  55. 【請求項55】 剤が抗ミスマッチ修復タンパク質抗体である、請求項5
    4の方法。
  56. 【請求項56】 少なくとも1つの抗ミスマッチ修復タンパク質抗体が、
    DNA配列に共有結合されている、請求項54の方法。
  57. 【請求項57】 少なくとも1つの抗ミスマッチ修復タンパク質抗体が、
    Rad52タンパク質またはその断片に共有結合されている、請求項55の方法
  58. 【請求項58】 DNA配列が制御配列を含み、そしてターゲッティング
    配列がFSHβコード領域の5’の領域に由来する、請求項27の方法。
  59. 【請求項59】 DNA配列が制御配列を含み、そしてターゲッティング
    配列がIFNαコード領域の5’の領域に由来する、請求項27の方法。
  60. 【請求項60】 DNA配列が制御配列を含み、そしてターゲッティング
    配列がGCSFコード領域の5’の領域に由来する、請求項27の方法。
  61. 【請求項61】 標的DNAが、野生型配列と異なる10未満の塩基対を
    有する突然変異を含む、請求項25の方法。
  62. 【請求項62】 突然変異が点突然変異である、請求項61の方法。
  63. 【請求項63】 DNA配列が、突然変異を訂正することが可能な野生型
    配列を含む、請求項62の方法。
  64. 【請求項64】 標的DNAが嚢胞性線維症膜貫通制御因子(CFTR)
    遺伝子である、請求項63の方法。
  65. 【請求項65】 突然変異が、CFTR遺伝子コード領域のコドン508
    にコードされるアミノ酸を変化させる、請求項64の方法。
  66. 【請求項66】 標的DNAがβ−グロビン遺伝子である、請求項63の
    方法。
  67. 【請求項67】 突然変異が、β−グロビン遺伝子コード領域のコドン6
    にコードされるアミノ酸を変化させる、請求項66の方法。
  68. 【請求項68】 標的DNAが因子VIII遺伝子である、請求項63の
    方法。
  69. 【請求項69】 突然変異が、因子VIII遺伝子コード領域のコドン2
    209にコードされるアミノ酸を変化させる、請求項68の方法。
  70. 【請求項70】 突然変異が、因子VIII遺伝子コード領域のコドン2
    229にコードされるアミノ酸を変化させる、請求項68の方法。
  71. 【請求項71】 標的DNAが因子IX遺伝子である、請求項63の方法
  72. 【請求項72】 標的DNAがフォンウィルブランド因子遺伝子である、
    請求項63の方法。
  73. 【請求項73】 標的DNAが色素性乾皮症グループG遺伝子である、請
    求項63の方法。
  74. 【請求項74】 請求項25の方法によって作成される相同組換え細胞。
  75. 【請求項75】 細胞において、遺伝子のタンパク質コード配列の発現を
    改変する方法であって: 細胞に、DNA配列が制御配列を含む請求項1の複合体を導入し; 標的とされるゲノム配列の改変を可能にして相同組換え細胞を産生する条件下
    で、細胞を維持し;そして 制御配列の調節下、遺伝子のタンパク質コード配列の発現を可能にして、それ
    により遺伝子のタンパク質コード配列の発現を改変する条件下で、相同組換え細
    胞を維持する ことを含む、前記方法。
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