JP2003525205A - 亜鉛含有歯磨剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 亜鉛含有低ｐＨ歯磨剤組成物は、緩衝剤系を組み込むことにより亜鉛の良好な生体利用性を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の分野】

本発明は、亜鉛含有抗歯石性歯磨剤組成物に関する。詳しくは、本発明は、１
種以上の僅かに溶解性の亜鉛化合物を活性剤として使用する低ｐＨ歯磨剤組成物
に関する。より詳しくは、本発明による歯磨剤組成物は、亜鉛の生体利用性を有
意に高める。

【０００２】

【関連技術の説明】

亜鉛組成物は、歯石を抑制するために歯磨剤組成物へ加えられている。例えば
、Paderへの米国特許第４，１００，２６９号を参照されたい。 ワーナーランバート社のＰＣＴ出願のＷＯ９６／０３１０９は、約３．０〜約
５．５のｐＨを有する防腐性抗う食性歯磨剤を教示する。リン酸、酸性リン酸塩
、安息香酸、及びクエン酸のような食品用の酸を含む酸性化剤は、その歯磨剤を
酸性にする。また、その歯磨剤は、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸−リ
ン酸ナトリウム、一塩基リン酸ナトリウム−二塩基リン酸ナトリウム、酢酸−酢
酸ナトリウム、及び安息香酸−安息香酸塩のような、酸の塩によって緩衝化され
得る。 Ambikeらへの米国特許第４，５４５，９７９号及び第４，５５０，０１８号は
、３．０〜５．０の酸性ｐＨの歯科衛生用組成物、ｐＨ緩衝剤、フッ化物、チモ
ール、ユーカプリトール、サリチル酸メチル、ペパーミント及びスペアミントオ
イルフレーバー、そして５％未満の非ドデシルアルキル硫酸塩を有する硫酸ドデ
シルの、１．０〜２．０重量％の１種以上の高純度アルカリ金属塩を教示する。 Tisserandへのカナダ特許第８３４１３１号は、約３．８〜５．８、最適には
４．０〜５．５、そして最も好ましくは４．０〜４．８の酸性ｐＨ及びフッ化物
を有し；そしてメントール、サリチル酸メチル又はタイムオイルのようなフレー
バーオイル、及び他のフレーバーであってその組成物が炭化水素テルペンを実質
的に含まないものになるフレーバーを含有する歯磨製剤を教示する。Tisserand
によれば、テルペンを含まないのではない精油を約３．８〜５．８のｐＨを有す
るフッ化物歯磨剤に使用する場合、そのフレーバーは３ヶ月も経たぬうちに明ら
かな腐敗臭及び酸味を発する。

【０００３】 これら先行技術は、低ｐＨ練歯磨及び亜鉛を含有する他の歯磨剤組成物を開示
するが、増進された生体利用性亜鉛を送り込むことで、その有効亜鉛含有量を低
下させることができる歯磨剤組成物についての必要性が存在する。亜鉛化合物は
収斂剤となる傾向があると考えられる。したがって、製品中の亜鉛含有量を低下
させることは、その製品の消費者受容性を改善することができる。

【０００４】

【発明の要旨】

本発明は、１種以上の僅かに溶解性の亜鉛化合物を含む歯磨剤組成物に関する
。僅かに溶解性という用語は、亜鉛化合物が約０．５重量％以下の水溶性である
ことを意味する。本発明による歯磨剤組成物は、緩衝剤系及び口内賦形剤をも含
み、ここにおいて、その歯磨剤組成物がｐＨ約３．０〜約５．５を有し、その亜
鉛化合物が少なくとも約２０００ｐｐｍの亜鉛イオンを提供するのに十分な量で
あり、そして生体利用可能である亜鉛イオンの量が少なくとも約１０００ｐｐｍ
である。 本発明による歯磨剤組成物は、亜鉛イオンを含有し、且つ有意かつ意外に高め
られた亜鉛の生体利用性をもたらす緩衝剤を含有する。

【０００５】

【好ましい態様の詳細な説明】

本発明による歯磨剤組成物は亜鉛源を含む。亜鉛は口腔内の歯石を予防するの
に役立つことが知られている。本発明に使用できる亜鉛化合物には、 亜鉛バシトラシン 酸化亜鉛 クエン酸亜鉛 過酸化亜鉛 トリブロモサリチルアニリド亜鉛 リン酸亜鉛 炭酸亜鉛 ピロリン酸亜鉛 フッ化亜鉛 ケイ酸亜鉛 ギ酸亜鉛 ステアリン酸亜鉛 乳酸亜鉛 タンニン酸亜鉛 オレイン酸亜鉛 シュウ酸亜鉛 塩化亜鉛 が含まれる。 好ましい塩は、クエン酸亜鉛、酸化亜鉛、ピロリン酸亜鉛、及びケイ酸亜鉛で
ある。最も好ましい塩は、クエン酸亜鉛である。

【０００６】 亜鉛塩は、組成物の約０．０１〜約１．０重量％の量の亜鉛イオンを提供する
のに十分な量でその組成物に加えられる。好ましくは、組成物に加えられる亜鉛
塩の量は、組成物の約０．０２〜約０．７重量％の量の亜鉛イオンを提供するの
に十分な量である。より好ましくは、組成物に加えられる亜鉛塩の量は、組成物
の約０．０５〜約０．５重量％の量の亜鉛イオンを提供するのに十分な量である
。さらにより好ましくは、組成物に加えられる亜鉛塩の量は、組成物の約０．１
〜約０．３重量％の量の亜鉛イオンを提供するのに十分な量である。 組成物に加えられる亜鉛塩の量は、上に列挙した亜鉛イオンの量を提供するの
に充分であるべきである。使用される亜鉛塩の厳密な量は、当業者にとって容易
に決定されることができ、そしてそれは使用される塩に依存する。

【０００７】 本発明の好ましい態様のためのｐＨは、約３．０〜約５．５である。約５．５
より大きなｐＨは、歯磨剤組成物の防腐活性を低下させることが見出された。 要求される歯磨剤のｐＨは、適する食品用又は医薬用酸性化剤を使用して５．
５を下回るように調整される。これらには、リン酸、安息香酸、クエン酸、又は
他のトリカルボン酸、及びそれらに類したものの１種又はそれらの組合せが含ま
れ得るが、これらに限定されない。本発明における最も好ましい酸性化剤には、
約０．０１〜約３．０重量％、好ましくは約０．１〜約１．５重量％、最も好ま
しくは約０．２〜約０．７５重量％のリン酸；約０．０１〜約１重量％、好まし
くは約０．１〜約０．５重量％、最も好ましくは約０．２〜約０．４重量％の一
塩基リン酸ナトリウム；約０．００１〜約１．０重量％、好ましくは約０．０１
〜約０．５重量％、最も好ましくは約０．０１〜約０．０５重量％の二塩基リン
酸ナトリウム；および、約０．０１〜約１．０重量％、好ましくは約０．０５〜
約０．５重量％、最も好ましくは約０．０８〜約０．３５重量％の安息香酸の諸
混合物が含まれる。加えられる酸性化剤の厳密な量は、最終ｐＨ及び望まれる緩
衝能力に依存するであろう。 製品のｐＨは、これら酸の塩で緩衝化されてもよい。一般的な緩衝剤系には、
リン酸とリン酸ナトリウム塩、又はクエン酸とクエン酸ナトリウムが含まれる。
この発明における使用に適する緩衝剤には、組成物の約１重量％まで、好ましく
は約０．０５％〜約０．７５重量％、そして最も好ましくは約０．１〜約０．５
重量％の量で、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン酸−リン酸ナトリウム、一
塩基リン酸ナトリウム、二塩基リン酸ナトリウム、酢酸−酢酸ナトリウム、コハ
ク酸−コハク酸ナトリウム、アコニット酸−アコニット酸ナトリウム、及び安息
香酸−安息香酸ナトリウムが含まれる。

【０００８】 本発明による歯磨剤組成物は、抗菌剤、及び抗う食活性を提供する１種以上の
フッ化物放出性化合物を含有する。この発明の歯磨剤組成物は、１種以上の次の
歯磨剤添加物、即ち：研磨剤、界面活性剤、結合剤、及び増粘剤、保湿剤、甘味
料、知覚鈍麻剤、フレーバー、着色剤、そして防腐剤も含有するが、これらに限
定されない。前記の活性成分及び添加物は、水和性又は非水和性賦形剤中で混合
されて、固体（すなわち歯磨粉）、半固体（すなわちペーストもしくはゲル）又
は液体を形成する。 本発明は抗菌剤も含み得る。歯磨剤に使用することが知られる抗菌剤の１クラ
スは非カチオン性抗菌剤である。実質的に非水溶性の抗菌剤は、２５℃で、１％
未満、好ましくは０．５％未満、より好ましくは０．１％未満の水溶性を有する
。この発明の歯磨剤組成物に使用される抗菌剤は、本質的に性質が非イオン性で
あるとみなされることができる。しかしながら、多くの適する抗菌性化合物は、
一定のｐＨでイオン化され得る１つ以上のフェノール性ヒドロキシ基を含有する
。この発明の歯磨剤組成物に有用な抗菌剤の一般的クラスのより厳密な説明は、
それらの本性が非カチオン性であるということである。 本発明の歯磨剤組成物に使用し得る非カチオン性抗菌剤のクラスの例は、フェ
ノール及びビスフェノール化合物、ハロゲン化ジフェニルエーテル類、安息香酸
エステル類、及びカルバニリド類である。

【０００９】 ハロゲン化サリチルアニリドが含まれるフェノール系抗菌剤化合物の具体例は
、２−フェニルフェノール、４−クロロフェノール、４−クロロ−２−メチルフ
ェノール、４−クロロ−３−メチルフェノール、４−クロロ−３，５−ジメチル
フェノール、２，４−ジクロロ−３，５−ジメチルフェノール、３，４，５，６
−テトラブロモ−２−メチルフェノール、５−メチル−２−ペンチルフェノール
、４−イソプロピル−３−メチルフェノール、５−クロロ−２−ヒドロキシジフ
ェニルメタン、４’，５−ジブロモサリチルアニリド、３，４’，５−トリクロ
ロサリチルアニリド、３，４’，５−トリブロモサリチルアニリド、２，３，３
’，５−テトラクロロサリチルアニリド、３，３’，４，５’−テトラクロロサ
リチルアニリド、３，５−ジブロモ−３’−トリフルオロメチルサリチルアニリ
ド、５−ｎ−オクタノイル−３’−トリフルオロメチルサリチルアニリドである
。ビスフェノール化合物の中では、２，２’−メチレンビス（３，４，６−トリ
クロロフェノール）、２，２’−メチレンビス（４−クロロフェノール）、２，
２’−メチレンビス（４−クロロ−６−ブロモフェノール）、ビス（２−ヒドロ
キシ−３，５−ジクロロフェニル）スルフィド、ビス（２−ヒドロキシ−５−ク
ロロフェニル）スルフィドである。 これら抗菌剤は、それらの亜鉛誘導体の形態で使用されてもよく、それらの多
くは米国特許第４，０２２，８８０号に記載されている。

【００１０】 ハロゲン化ヒドロキシジフェニルエーテルのクラスの例は、化合物２’，４，
４’−トリクロロ−２−ヒドロキシ−ジフェニル−エーテル、及び２，２’−ジ
ヒドロキシ−５，５’−ジブロモ−ジフェニルエーテルである。 別の周知のクラスの非カチオン性抗菌剤は、ｐ−ヒドロキシ安息香酸のエステ
ル類、とりわけメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル
、ヘキシル、へプチル及びベンジルエステルである。 ３，４，４’−トリクロロカルバニリド、３−トリフルオロメチル−４，４’
−ジクロロカルバニリド、３，３’，４−トリクロロカルバニリドにより代表さ
れるハロゲン化カルバニリドも使用することができる。 他の知られている実質的に非水溶性の非カチオン性抗菌剤、例えば、２，４−
ジクロロベンジルアルコール、３，４−ジクロロベンジルアルコール、及び３−
（４−クロロフェノキシ）−プロパン−１，２−ジオールを使用することもでき
る。 歯磨剤に使用するのに適する上述の抗菌剤は抗生物質ではない。抗生物質は、
耐性菌株が発生する危険を回避するために概して使用されない。抗菌剤は、通常
、歯磨剤の０．０１〜５重量％、好ましくは０．０５〜１重量％の量で使用され
るであろう。もちろん、抗菌剤の混合物も使用し得る。

【００１１】 本発明による歯磨剤組成物は精油も含み得る。精油は、合成されるか、又は蒸
留、搾り出しもしくは抽出によって植物から誘導される揮発性芳香オイルである
。精油は、通常、それらが得られた植物の臭気又は香気を帯びる。精油は、この
発明の歯磨剤組成物に使用される場合、抗歯肉炎活性を提供する。これら精油の
幾つかはフレーバー付与剤としても作用する。この発明の精油には、チモール、
メントール、メチルサリチル酸エステル（冬緑オイル）及びユーカプリトールが
含まれるが、これらに限定されない。化学式５−メチル−２−（１−メチルエチ
ル）フェノールによっても知られているチモールは、Thymus vulgaris Labiatae
及びMonarda punctata Labiataeの精油から得られる。チモールは芳香性臭気及
び味を有する白色結晶粉体である。チモールは有機溶媒には溶けるが、脱イオン
水には僅かしか溶けない。

【００１２】 メントールは、主としてMentha arvensisのオイルから単離される。それの商
業形態では、メントールは、そのオイルの冷却を包含する工程から得られるＬ−
メントール結晶として入手可能である。通常約４０〜約６５％メントールを含有
するペパーミントオイルの分留物は、メントールの他の重要な供給源に該当する
。Ｌ−メントールの合成源も入手可能である。 ユーカリプトールはユーカリの木から誘導される。この精油は、樟脳様臭気及
び清涼味を有するので、薬効を与えるための糖菓製剤中に、メントールのような
他の精油としばしば一緒に組み込まれる。メントールとユーカリプトールとの組
合せは広く使用される。本発明によれば、特に好ましいメントール−ユーカリプ
トール組合せの用途には、練歯磨及び歯磨ゲルのような歯磨剤が含まれる。 サリチル酸メチルは多くの精油中の主成分であり、冬緑（Gaultheria procumb
ens）及びスイート白樺（Betula lenta）のオイルの約９９％を構成する。特有
のリフレッシュ性芳香を有するサリチル酸メチルは、うがい薬、チューインガム
、及び他の口内用及び医薬製剤に広く使用される。 本発明の歯磨剤組成物に使用されることができる精油の量は、約０．４６〜約
０．５６２３％チモール、約０．４６４４〜約０．５６７６％サリチル酸メチル
、約０．３０６〜０．３７４％メントールであり、そして約０．６９７１〜約０
．８５１９％ユーカリプトールは歯肉炎を抑制するのに臨床的効果がある。本発
明によるより好ましい歯磨剤は、約０．５１１２％チモール、約０．５１６０％
サリチル酸メチル、約０．３４％メントール、及び約０．７７４５％ユーカリプ
トールを含有し、そして歯肉炎を抑制するのに臨床的に有効である。

【００１３】 フッ化物放出性化合物は、本発明の歯磨剤組成物に使用され得る。これら化合
物は十分に又は僅かに水溶性であるので水中にフッ化物イオン又はフッ化物含有
イオンを放出するが、組成物中の他の成分とは反応しない。フッ化物放出性化合
物を含有する歯磨剤組成物は虫歯を予防することに役立つことが良く知られてい
る。典型的なフッ化物放出性化合物は、水溶性のアルカリ土類金属、アルカリ金
属又は重金属塩のような無機フッ化物塩である。モノフルオロリン酸ナトリウム
、フッ化ナトリウム、フッ化錫、及びこれら組成の混合物が好ましい。 この発明の歯磨剤組成物中に存在するフッ化物放出性化合物の量は、非毒性で
なければならない。その具体的な量は、使用されるフッ化物放出性化合物の種類
、フッ化物放出性化合物の溶解性、及び歯磨剤組成物の配合に依存する。一般的
には、フッ化物放出性化合物は、８００〜１５００ｐｐｍＦ^-を提供するように
歯磨剤組成物の約１．２重量％まで、好ましくは約０．１〜約１．０重量％、そ
して最も好ましくは約０．１７５〜約０．８重量％の量で存在するであろう。

【００１４】 界面活性剤又は表面活性剤は、液体間の表面張力を減少させる有機化合物であ
るので、口腔全体への組成物の分散を助ける。本発明における界面活性剤は、ア
ニオン性、カチオン性、又は両イオン性であり得る。本発明の口内衛生用組成物
又は歯磨剤組成物は、歯磨剤組成物の約０．５重量％まで；好ましくは約０．１
〜約３．０重量％；そして最も好ましくは約０．２〜約２．０重量％の量で界面
活性剤を含有し得る。 最も好ましい界面活性剤はアニオン性である。これらアニオン性界面活性剤に
は、ラウリル硫酸ナトリウム、及びラウロイルサルコシン酸ナトリウム、メチル
ココイルタウリン酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウムが含まれ
るが、これらに限定されない。好ましい界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムで
ある。本発明による組成物は、５％未満の非ドデシルアルキル硫酸塩を有する硫
酸ドデシルの高純度アルカリ金属塩を実質的に１種も有さない。 両イオン性界面活性剤は、酸又は塩基のいずれとしても挙動する能力を有して
おり、そして第四級イミダゾール誘導体を含む。好ましい両イオン性界面活性剤
には、Rhone-Poulanc, Cranberry, New Jerseyにより製造されるMIRANOL（登録
商標）としても知られている長鎖（アルキル）アミノ−アルキレンアルキル化ア
ミン誘導体が含まれる。

【００１５】 天然及び人工甘味料は、本歯磨剤組成物に使用され得る。甘味料は、天然に存
在する水溶性甘味料、人工水溶性甘味料及び天然に存在する水溶性甘味料から誘
導される変性水溶性甘味料を含む周知の広範な材料から選択され得る。人工水溶
性甘味料には、溶解性サッカリン塩、例えば、ナトリウムもしくはカルシウムサ
ッカリン塩、シクラミン酸塩、３，４−ジヒドロ−６−メチル−１，２，３−オ
キサチアジン−４−オン−２，２−ジオキシドのナトリウム、アンモニウムもし
くはカルシウム塩、３，４−ジヒドロ−６−メチル−１，２，３−オキサチアジ
ン−４−オン−２，２−ジオキシドのカリウム塩（アセスルファーム−Ｋ）、サ
ッカリンのフリー酸形態、Ｌ−アスパラギン酸由来甘味料のようなジペプチドを
ベースとする甘味料が含まれるが、これらに限定されない。ジペプチド甘味料に
は、Ｌ−アスパルチル−Ｌ−フェニルアラニンメチルエステル（アスパルテーム
）、及び米国特許第３，４９２，１３１号に記載される材料、Ｌ−アルファ−ア
スパルチル−Ｎ−（２，２，４，４−テトラメチル−３−チエタニル）−Ｄ−ア
ラニンアミド水和物（アリテーム）、Ｌ−アスパルチル−Ｌ−フェニルグリセリ
ン、Ｌ−アルパルチル−Ｌ−２，５−ジヒドロフェニルグリシン及びＬ−アルパ
ルチル−Ｌ−（１−シクロヘキセン）−アラニンの諸メチルエステルが含まれる
。天然に存在する水溶性甘味料には、７０％ソルビトール溶液としてのソルビト
ール、マンニトール、キシリトール、マルチトールを含む糖アルコール類、水素
化スターチ加水分解物、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されな
い。 天然に存在する水溶性甘味料から誘導される水溶性甘味料には、例えば、スク
ラロースの製品名で知られるスクロースの塩素化誘導体；及びタウマオクスダニ
エリ（thaumaoccous danielli）（タウマチンＩ及びＩＩ）のようなタンパク質
をベースとする甘味料が含まれるが、これらに限定されない。 ソルビトール溶液は、組成物に甘味及びボディを供給するので、望ましい口当
たりを与える。ソルビトール溶液は香気性をも高めるので、味気なさを抑えてさ
わやかで鮮烈な味覚を口内に提供する。それは歯磨剤の固形化も防ぐ。 一般的に、本発明による歯磨剤組成物のあらゆる特定の態様において望まれる
甘味のレベルを提供するために、有効量の甘味料が使用される。この量は、選択
された甘味料及び組成物の最終形態により変動するであろう。普通に存在する甘
味料の量は、歯磨剤組成物の約０．００２５〜約６０重量％である。各種の歯磨
剤ついての量の厳密な範囲は、当業者により容易に決定される。

【００１６】 本発明に使用され得るフレーバーには、歯磨剤分野で知られる天然及び人工香
料が含まれる。適する香料には、ペパーミントのようなミント、オレンジ及びレ
モンのような柑橘類フレーバー、人工バニラ、シナモン、様々な果実フレーバー
、及びそれらに類したものが含まれ得る。アネトール（又はアニス樟脳、ｐ−プ
ロピルアニソール）は、フレーバー付与剤及び防腐剤として広く使用されている
アニス及びフェンネルオイルのフレーバー成分であり、そしてチモールの味気な
さをマスクするのに有用であることが見出された。 フレーバーの量は、通常、最終歯磨剤組成物のタイプ、使用される個々のフレ
ーバー、及び香気の望まれるフレーバーの強さに左右される好みの問題である。
フレーバーは、歯磨剤組成物の約０．０１〜約６重量％であり得る量で好ましく
は使用される。本発明による組成物に使用されるフレーバーは、実質的にテルペ
ンを有しないフレーバー付与オイルを含んでなる。

【００１７】 着色剤は、望まれる色の歯磨剤を製造するために有効な量で使用される。これ
ら着色剤は、歯磨剤組成物の約３重量％までの量で組み込まれ得る。また、着色
剤には、天然食品着色料、及び食品、医薬及び化粧品用途に適する染料が含まれ
る。これら着色剤は、ＦＤ＆Ｃ染料及びレーキ類として知られている。着色材料
は好ましくは水溶性である。実例となる非制限的例には、ＦＤ＆ＣブルーＮｏ．
１、及びＤ＆ＣイエローＮｏ．１０として知られるインジゴ系染料が含まれる。
すべてのＦＤ＆Ｃ着色料及びそれらの対応する化学構造の完全な記載は、Kirk-O
thmer Encyclopedia of Chemical Technology, 3rd Edition, in volume 5 at p
ages 857-884に見出すことができる。好ましい乳白剤、つまり二酸化チタンは、
組成物の約２．０重量％まで、好ましくは約１．０重量％未満、そして最も好ま
しくは約０．４重量％未満の量で組み込まれ得る。

【００１８】 この発明に適する保湿剤には、７０％ソルビトール溶液としてのソルビトール
、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、それらの混合
物、及びそれらに類したものが含まれる。保湿剤は、歯磨剤組成物の約１．０〜
７５．０重量％の量で存在し得る。 この発明での使用に適する研磨物質は、ｐＨの低い組成物と相溶性でなければ
ならず、それには、水和シリカ、アルミナ、又はメタリン酸アルカリ金属が含ま
れる。それらの中でも、この発明による歯磨剤組成物中のシリカ研磨剤には、J.
M.Huber Corp.より製造されるZEODENT（登録商標）(113)、及びW.R.Grace Co.に
より製造されるSYLOID（登録商標）又はSYLODENT（登録商標）が含まれ得る。こ
れら研磨剤は、組成物の約７５重量％まで、好ましくは約５．０〜約４０重量％
、そして最も好ましくは約５．０〜約３０．０重量％の量で使用され得る。

【００１９】 歯磨剤組成物は、ペースト状でも、ゲル状でも、粉体状でも、液体状でもよい
口内賦形剤を含む。また、その組成物は、歯磨剤の具体的形態に依っては、望ま
れるコンシステンシーを提供するために結合剤又はゲル化剤も含むことができる
。ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、キサンタンガム、ゲル化性シリカ、及びそれらに類したもののようなゲル化
剤が、単独で使用されても組合せで使用されてもよい。好ましいゲル化剤系は、
カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、及びゲル化性シリカの混合物で
ある。ゲル化剤は、歯磨剤組成物の約０．５〜３０重量％、好ましくは約５．０
〜１５．０重量％、そして最も好ましくは組成物の約７．０〜約２０重量％で使
用され得る。

【００２０】 この発明の歯磨剤組成物は、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、又はクエン
酸ナトリウム−クエン酸のような、約０．５〜約１０重量％の量で使用され得る
知覚鈍化剤をも含有し得る。 適する保存剤には、安息香酸、ブチル化ヒドロキシアニソール（ＢＨＡ）、ブ
チル化ヒドロキシトルエン（ＢＨＴ）、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロ
ピルパラベン、トコフェロール、及びそれらの混合物が含まれる。保存剤が使用
される場合、一般的には歯磨ゲル組成物の約１．０重量％まで、好ましくは約０
．１〜約１．０重量％の量で存在する。 本発明は、下記の非制限的実施例により更に具体的に示される。それら実施例
並びに本願明細書及び特許請求の範囲中のあらゆる部及びパーセンテージは、特
に断らない限り、最終組成物の重量基準である。

【００２１】

【実施例】実施例１〜２及び比較例１ 表１に列記された成分で歯磨剤組成物を配合した。

【表１】

【００２２】生体利用性試験 本発明による組成物中の亜鉛の生体利用性は、次の方法を使用して測定された
。生体利用性は、６０秒の混合の後に歯磨剤スラリー中に存在する亜鉛イオンの
量である。これは、通常人が歯磨剤組成物をブラッシングにより歯に適用すると
きの時間に近い。テストスラリー： 各々の歯磨剤について、３０ｍｌ平底試験管内の４ｇの歯磨剤に１２ｇの２回
脱イオン化された水を加えて渦流を起こすか又はレアーレス混合装置を使用して
６０秒間かけて分散させることにより１：３歯磨剤−水スラリーを作る。そのス
ラリーのアリコートは直ちにプラスチック製エッペンドルフ微小遠心管内に移さ
れて１２，０００ｒｐｍで遠心分離される。その上澄みのアリコートを、ペレッ
トを揺らさないでピペットで取り出して直ちに下記のような利用性亜鉛について
測定する。利用性亜鉛分析： 各溶液の試料は適切な溶液で希釈されて、同様に用意された標準曲線との比較
によってその亜鉛含有量が決定される。それら溶液中の亜鉛含有量の測定のため
には、亜鉛中空カソードランプが備え付けられたPerkin-Elmer AA Spectrophoto
meter 3030が使用される。その結果を表２に示す。

【００２３】

【表２】

【００２４】 表２に列記された結果に見られるように、実施例１は、比較例と同じ亜鉛量を
有するにもかかわらず、比較例よりも約３０％多い亜鉛をもたらした。加えて、
比較例の半分量の亜鉛量を有する実施例２は、その比較例と同じ量の亜鉛をもた
らすことができた。

【００２５】 動物実験及び臨床試験の双方が歯石低下量を測定するために行われた。ラット歯石 ラット実験は、３週間の期間につき１週当たり５日間について毎朝及び午後に
、各々の組成物を綿棒で個々のラットの歯に使用することにより行われた。歯石
形成は、Francis and Briner, Journal of Dental Research, Vol.48, 1185-119
5(1969)の方法に従って等級化した。その結果を表３に示す。このラット歯石実
験の結果から、この発明の配合物（すなわち実施例２）は、たった１％クエン酸
亜鉛が存在するときでも、歯石形成を低下させることに効果的であったことが示
される。

【００２６】ヒト臨床歯石試験 実施例１及び２による歯磨剤組成物が、臨床試験における歯石抑制についてテ
ストされた。この試験は次の段階からなる。 １．被験者は、全歯石を取り除くために完全な歯科クリーニングを受ける。 ２．被験者は、それから３ヶ月間、試験用プラセボ、クレスト（登録商標）レ
ギュラーを使用する。 ３．被験者は、歯石蓄積のレベルについて評価及び等級付けがなされ、それか
ら均衡の取れた３つの処置グループへ分けられる。 ４．被験者は、全歯石を取り除くために２回目の歯科クリーニングを受ける。 ５．被検者は、３ヶ月間、１％ＺＣＴ、２％ＺＣＴ、又はプラセボ製品のいず
れかを使用する。 ６．被験者は、再び歯石形成のレベルについてVolpe Manhold方法を用いて評
価及び等級付けがなされる。 これら結果も表３に示す。その臨床結果から、本発明の配合物（すなわち実施
例２）は、その配合物中に存在するたった１％クエン酸亜鉛でも、優れた歯石抑
制を提供することが示される。

【００２７】

【表３】

【００２８】 表３に列記された結果に見られるように、比較例と同じ亜鉛量をもたらす実施
例２は、その比較例と同等の歯石低下を達成することができた。 本発明を詳細に且つそれらの具体例を参照しながら説明してきたので、様々な
変更及び改変がそれらの精神及び範囲から逸脱せずに行われ得ることは当業者に
明らかであろう。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ，ＺＷ )，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ， ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＵ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ， ＢＲ，ＣＡ，ＣＮ，ＣＲ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＭ，ＥＥ，Ｇ Ｄ，ＧＥ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ ，ＫＰ，ＫＲ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＴ，ＬＶ，ＭＡ， ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＲＯ，Ｓ Ｇ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＺ，ＶＮ ，ＹＵ，ＺＡ (72)発明者 パリカー，リタ・エム アメリカ合衆国ニュージャージー州07652， パラマス，テザー・レイン 496 (72)発明者 ポッジ，チャールズ アメリカ合衆国ニュージャージー州07834， デンヴィル，リッジウッド・パークウェ イ・ウエスト 28 (72)発明者 コフト，ブルース アメリカ合衆国ニュージャージー州08753， トムズ・リヴァー，クランモア・ドライブ 126 Ｆターム(参考） 4C083 AB011 AB172 AB211 AB212 AB242 AB281 AB472 AC122 AC132 AC271 AC291 AC301 AC302 AC311 AC312 AC472 AC862 AD042 AD272 AD352 AD532 BB44 BB55 CC41

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 歯磨剤組成物であって： 亜鉛化合物； 緩衝剤系；および 口内賦形剤 を含んでなり、該歯磨剤組成物がｐＨ約３．０〜約５．５を有し、該亜鉛化合物
   が少なくとも約２０００ｐｐｍの亜鉛イオンを提供するのに十分な量であり、そ
   して生体利用可能である亜鉛イオンの量が少なくとも約１０００ｐｐｍである歯
   磨剤組成物。
2. 【請求項２】 該ｐＨが約４．５である、請求項１に記載の歯磨剤組成物。
3. 【請求項３】 該緩衝剤系が、酸及び少なくとも１種の対応する塩を含んで
   なる、請求項１に記載の歯磨剤組成物。
4. 【請求項４】 該酸と対応する塩が、クエン酸−クエン酸ナトリウム、リン
   酸−リン酸ナトリウム、一塩基リン酸ナトリウム及び二塩基リン酸ナトリウム、
   酢酸−酢酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム、アコニット酸−アコニ
   ット酸ナトリウム、及び安息香酸−安息香酸ナトリウムからなる群より選ばれる
   、請求項３に記載の歯磨剤組成物。
5. 【請求項５】 該亜鉛化合物が、クエン酸亜鉛、酸化亜鉛、ピロリン酸亜鉛
   、及びケイ酸亜鉛からなる群より選ばれる、請求項１に記載の歯磨剤組成物。
6. 【請求項６】 該亜鉛化合物がクエン酸亜鉛である、請求項５に記載の歯磨
   剤組成物。