JP2003521366A - 過飽和溶液中に取り込まれた化合物を含有するリポソーム - Google Patents

過飽和溶液中に取り込まれた化合物を含有するリポソーム

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JP2003521366A JP2001555645A JP2001555645A JP2003521366A JP 2003521366 A JP2003521366 A JP 2003521366A JP 2001555645 A JP2001555645 A JP 2001555645A JP 2001555645 A JP2001555645 A JP 2001555645A JP 2003521366 A JP2003521366 A JP 2003521366A
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Abstract

(57)【要約】 過飽和された溶液中に取り込まれた化合物を有するリポソーム組成物及びそのような組成物を製造する方法が記載される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、リポソーム組成物に関し、そしてリポソームを製造する方法に関す
る。本発明のリポソームは、高い医薬−対−脂質の比をリポソームに提供する、
過飽和溶液中の医薬をそのリポソームの水性コアに取り込んでいる(have
entrapped)。
【0002】 (発明の背景) リポソームは水性の容積を取り込んで含有する、完全に閉じられた脂質二重層
である。リポソームは(単一膜二重層を有する)単積層小胞、又は多積層小胞(
各々が水性層によって次の層から分離されている多膜二重層により特徴づけられ
るたまねぎ状構造)であることができる。二重層(bilayer)は、疎水性
“尾部(テイル)”領域及び親水性“頭部(ヘッド)”領域を有する2つの脂質
単層からなっている。膜二重層のその構造は、脂質単層の疎水性(非極性)“尾
部(テイル)が二重層の中心に向かって配向しており、一方では親水性“頭部(
ヘッド)”が水性相に向かって配向しているような構造である。
【0003】 リポソームの主な用途は、医薬、化粧品、診断薬、生物活性化合物、等のよう
な種々の物質のための担体として役に立つことである。リポソームに取り込まれ
ている場合の親水性剤は、リポソーム構造物、主として内部中心区画中の水性空
間、そして脂質二重層間の空間と一緒になっている。
【0004】 リポソーム医薬配合物は、治療効率を改良し、延長された期間の医薬放出及び
治療活性を提供し、治療比を増大させ、そして恐らくは一定の種類の軽い疾患お
よび病気を治療するために必要とされる医薬の全体的量を減少させることができ
る。再検討のために、ニューヨークのWiley & Sons発行(1988
)のG.GregoriadisによるLiposomes as Drug
Carriers参照。
【0005】 リポソームを造り、そして治療化合物をリポソームに装入するための多くの方
法が存在する。医薬装入のために最も簡単な方法は、乾燥した脂質フイルムが水
溶性医薬を含有する水溶液で水和されてリポソームを形成する、受動的取り込み
(entrapment)による。他の受動的取り込み方法は、予め形成された
リポソームが医薬の水溶液に加えられ、そしてその混合物が、水和を改良し、し
たがって装入を増大させる、凍結乾燥、蒸発により、あるいは多積層小胞の繰り
返しての凍結及び解凍を包含する、凍結−解凍処理により脱水される、脱水−再
水和を包含する。
【0006】 しかしながら一般に、受動的取り込みは医薬取り込みの低い効率を生ずる。低
い医薬−対−脂質の比は、リポソーム配合物を用いて有効な治療を達成させるた
めには重大な欠点であり得る。例えば腫瘍組織の治療のために約80〜140n
mの寸法を有するリポソームが腫瘍組織中への溢出のために必要とされる。その
小さな寸法は、特に医薬が受動的に取り込まれている場合に、そして(又は)医
薬が限られた溶解度を有し、そして(又は)医薬が脂質に対して低い親和性を有
する場合に、医薬装入に制限を課する。低い医薬−対−脂質の比は、必要とされ
る医薬投与量を達成させるために、大きな脂質投与量の投与を必要とする。
【0007】 医薬取り込み効率は、高い脂質濃度を用いることにより、又は脂質成分の特定
の組み合わせにより、一部分改良されることができる。例えば、ドキソルビシン
のような両親媒性アミンは、負電荷を含有するリポソーム膜中に一層有効にカプ
セル化されることができる(Cancer Res.42第4734頁〜第47
39頁(1982))。リポソームとのこの表面静電気医薬の会合は、試験管中
で非常に安定である一方、全身投与の際に、非常に迅速な、殆ど直ちの放出に導
く。
【0008】 したがって、荷電されていないそして非親油性の医薬、そして特に有効な治療
のために効率的に高い医薬−対−脂質の比で水性層中での低い溶解度を有する医
薬の装入は解決の難しい問題を残している。
【0009】 (発明の開示)発明の概要 1つの態様において、本発明は高い医薬−対−脂質の比でリポソームに取り込
まれた(entrapped)親水性化合物を有するリポソーム含有組成物を提
供する。高い医薬−対−脂質の比は、過飽和状態でリポソーム中に取り込まれて
いる医薬に基づいて達成される。
【0010】 本発明の他の態様において、過飽和状態でリポソーム中に取り込まれた親水性
化合物を有するリポソーム含有組成物を製造する方法が提供される。
【0011】 他の態様において、本発明はリポソーム中に過飽和状態で取り込まれた化合物
を有するリポソームを造る方法を包含する。その方法は、(i)選ばれた条件に
応答して少なくとも2倍増大することができる室温水溶解度を有する化合物を選
択し;(ii)リポソーム中に取り込まれたときの化合物の沈殿を阻止するため
に有効なリポソームの寸法を選択し;そして(iii)該リポソーム中に該化合
物をカプセル化する、ことを包含する。
【0012】 なお他の態様において、本方法において使用するための化合物は、室温での水
溶解度を増大することができる。水溶解度の増大は、(i)溶媒温度を増大させ
る、(ii)共同溶媒(co−solvent)を加える、そして(iii)溶
媒pHを変化させる、ことからなる群から選ばれた条件に応答している。
【0013】 本発明のリポソームは1つの態様において、直径において約60〜約1000
nmである。他の態様において、リポソーム寸法は、約60〜約1000nmの
選ばれた寸法間隔で取り込まれた化合物を有するリポソームを造ることにより達
成される。造られたリポソームは、顕微鏡的に、又は別の方法において、分光器
の使用により、もしくは、沈殿した化合物の存在又は不存在について、延長され
たx線吸収微細構造のような、光散乱技術を介して分析されることができる。
【0014】 他の態様において、選ばれた化合物は、医薬溶液を用いて脂質の溶液を水和す
ることによりリポソーム中にカプセル化される。他の態様において、選ばれた化
合物は、濃縮された医薬溶液を用いて、乾燥脂質フイルムを水和することにより
取り込まれる。
【0015】 追加の態様において、リポソームは、ポリエチレングリコール(PEG)のよ
うな、親水性重合体で誘導化された脂質をさらに含むことができる。他の態様に
おいて、脂質二重層を形成するために選ばれた脂質は、硬質(rigid)脂質
二重層を形成するために有効である。
【0016】 追加の態様において、本発明の方法は、室温溶解度限界以上に医薬を維持する
ために選ばれた条件を、外部リポソーム懸濁媒体から取り出すことを包含する。
【0017】 他の面において、化合物が過飽和状態でリポソーム中心区画中に取り込まれて
いる、上記方法に従って造られたリポソームを包含する。この面において、リポ
ソーム組成物は、小胞(vesicle)形成性脂質及びリポソームに取り込ま
れた治療化合物を含むリポソームの懸濁液を含有し、しかも1種の化合物はリポ
ソームの中心区画において沈殿医薬の形成を阻止するのに有効なリポソーム寸法
の選択を介して、過飽和状態でリポソーム中に維持される。
【0018】 リポソーム中に使用するために選ばれた化合物は、1つの態様において、水性
溶解度において少なくとも2倍増大化が可能である。水性溶解度におけるこの増
大は;(i)溶媒温度を増大させること、(ii)共同溶媒を加えること、そし
て(iii)溶媒pHを変化させること、からなる群から選ばれた条件に応答す
る。
【0019】 本発明のなお他の態様において、過飽和状態で内部水性区画に取り込まれた化
合物を有するリポソームを造る方法が記載される。その方法は、(i)室温での
水溶液中のその溶解度以上の濃度で化合物がその溶液中に存在するその化合物の
水溶液を造り;(ii)その濃縮された医薬溶液を用いて脂質フイルム又は脂質
溶液を水和してリポソームを形成し;そして(iii)沈殿化合物の形成を阻止
するようにリポソームを寸法調節し、それにより過飽和溶液に取り込まれた化合
物を維持することを包含する。
【0020】 他の態様において、選ばれた化合物は、約37℃の温度で水溶液中でのその溶
解度以上の濃度でその化合物がその水溶液中に存在するように造られる。
【0021】 本発明のこれらの及び他の態様は、本発明の以下の詳細な記載を考慮して、一
層十分に認識されるだろう。
【0022】発明の詳細な記載 I.リポソームの調製 1つの面において、本発明は、過飽和条件でリポソーム中に取り込まれた化合
物を有するリポソーム組成物を造るための方法を包含する。本明細書において用
いられるものとして、“過飽和”とは、同じ条件下で飽和を達成するために通常
必要であるより多くの溶質を溶液が含有する条件を包含する。即ち、その溶液は
、その溶解されていない溶質との平衡を生ずるのに必要とされるより多くの溶解
化された溶質を保っている。
【0023】 他の面において、リポソームは、取り込まれるべき化合物を選択し、そして室
温での水中の化合物の飽和濃度以上である、化合物の濃度を有する溶液を造るこ
とにより形成される。化合物を含有し、そして室温での水中の飽和濃度以上の濃
度を有する溶液は、多くの方法中の任意の方法により造られることができる。例
えば、その方法は溶媒中の化合物の溶解度を増大させるために溶液を加熱するこ
とにより、水性溶媒に共同溶媒を加えることにより、又は水性溶媒のpHを変化
させることによる。
【0024】 この溶液は本明細書において“濃縮溶液”として称される。濃縮溶液を造るた
めに用いられる方法は、好ましい態様において、室温での水性溶媒中の化合物の
溶解度より約2倍、好ましくは約3倍、さらに好ましくは約4倍に水性溶媒中の
化合物の溶解度を増大させるために有効である。
【0025】 したがって、本発明の組成物及び方法において使用するために意図される化合
物は、(i)溶媒温度を増大させることにより、(ii)共同溶媒を加えること
により、又は(iii)溶媒のpHを変化させることにより、室温(20〜25
℃)での水性溶解度において、少なくとも約2倍、好ましくは少なくとも約3倍
、さらに好ましくは少なくとも約4倍増大することができる化合物を包含する。
好ましい化合物は温度における増大と共に、溶解度において実質的に増大を受け
る、室温で水中において限られた溶解度を有する化合物である。本発明をサポー
トするものとして行われた研究において、シスプラチンがモデル化合物として用
いられた。シスプラチンは1〜2mg/mlの水または塩水中の室温での溶解度
を有する。約60〜65℃で、その溶解度は約8〜10mg/mlまで増大する
。したがって、リポソームの製造のための医薬の濃縮された溶液を造るための手
段として温度が用いられた。
【0026】 本発明において使用するための意図された他の化合物は、アシクロビル、ガン
シクロビル、taxol(パクリタキセルの商標名)、カルボプラチン、及び他
の白金化合物、そしてドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン及びイダ
ルビシン(idarubicin)のようなアントラキノン(anthraqu
inones)、ならびに貧弱な水溶性の抗生物質、たんぱく質類及びペプチド
類を包含する。
【0027】 脂質小胞を造るための方法の記載に続けて、別の容器において所望の脂質小胞
組成物を提供するために脂質が選ばれ、そして適当な溶媒中に溶解されることが
できる。脂質小胞の形成のために適当な脂質は当業者に知られている。例えば、
米国特許第5,013,556号、第9欄、第34行〜第62行、及び同第5,
891,468号、第7欄第5行〜第8欄第48行参照。リポソームの形成にお
いて用いられる脂質成分は、種々の小胞形成性脂質から選ばれ、そして典型的に
は燐脂質類及びステロール類である。脂質類は比較的に不飽和であり、それによ
り一層硬い二重層よりも、取り込まれた化合物への比較的に高い浸透性を有する
脂質二重層を達成させるアシル鎖を有する脂質の選択により、一層流動性(fl
uidic)の脂質二重層を達成させるために選ばれることができる。より硬い
脂質二重層は取り込まれた化合物の一層低い浸透性を有する脂質二重層を形成す
るために、高度に飽和された燐脂質を用いて形成される。本発明の他の態様にお
いて、ポリエチレングリコール又は他の重合体のような親水性重合体鎖で誘導化
された脂質を含有するリポソームは、例えば米国特許第5,013,556号及
び同第5,631,018号において記載されている。
【0028】 脂質二重層の組成は、取り込みのために選ばれた医薬に従って選択的に変えら
れる。脂質二重層においてより高い浸透性を有する医薬は、飽和された又は脂質
硬化性成分を用いて脂質二重層を形成することによりリポソーム中に一層良好に
維持される。脂質二重層において脂質成分中に容易に浸透できない医薬は、流動
性脂質成分を用いて形成されたリポソーム中に取り込まれることができる。
【0029】 上記のとおりにして選ばれた脂質成分は、適当な溶媒中に溶解されることがで
きる。脂質は医薬の濃縮された溶液を用いて水和されてリポソームを形成する。
本明細書での全体にわたって記載された詳細な研究において、シスプラチンの濃
縮された溶液は、脂質のエタノール溶液を水和するために使用された(例1)。
濃縮された医薬溶液はまた、脂質を溶解化している溶媒が除去されて水和のため
の乾燥された脂質フイルムを残す、その乾燥された脂質フイルムを水和するため
に用いられることができる(例えば、米国特許第5,013,556号、第10
欄、第60行〜第65行参照)。水和の後に、脂質−医薬混合物はリポソーム形
成のために十分な時間混合される。
【0030】 リポソームは、超音波処理、均質化又は押し出しのような当業界において知ら
れている幾つかの方法の1つにより、特定の寸法に寸法調節される。典型的には
、リポソームの寸法は、リポソーム組成物の条件が濃縮された溶液中の医薬の溶
解度を減少させるように変更される場合にリポソームの中心区画中に沈殿の形成
を阻止するように選ばれる。そのような寸法は、異なる寸法を有する幾つかのリ
ポソーム組成物を造り、増大された医薬濃度を維持する条件を変化させ、そして
医薬沈殿物の存在についてリポソームを分析することにより決定される。本明細
書において用いられるものとして、“沈殿物”又は“沈殿”は、結晶形、半固体
形または無定形の医薬のような任意の形の医薬を包含することが意図される。医
薬沈殿物が存在しないような寸法を有するリポソームは本発明の範囲である。
【0031】 典型的には、約60〜1,000nmの寸法を有するリポソームが適当であり
、約70〜500nmの寸法が好ましい。医薬沈殿物の存在についてのリポソー
ムの分析は、例えば顕微鏡(電子顕微鏡又は高解像度極低温電子顕微鏡)により
視覚化することにより、又は例えばIR、ラマン、NMRを包含する種々の分光
学技術により、又は延長化x線吸収微細構造(Extended x−ray
absorption fine structures)(EXAFS)のよ
うな光散乱技術により行われることができる。
【0032】 リポソームは典型的には沈殿医薬の形成を阻止するために選ばれた寸法に寸法
調節される。これは、典型的には室温での水中の医薬の溶解度以上の濃度で医薬
を維持する条件がリポソームの懸濁液の外部相で変更されるときに起こる。例え
ばもし温度における増大が濃縮された医薬溶液の製造のための医薬の溶解度を増
大させるために用いられたならば、リポソーム懸濁液の温度は低下される。もし
pHにおける増大又は減少が医薬溶解度を増大させるために用いられたならば、
pHは最終の所望のpHに調節される。もし医薬溶解度を増大させるために共同
溶媒が濃縮された医薬溶液に加えられたならば、ダイアフイルトレーション(d
iafiltration)、密度勾配遠心分離、透析、蒸留、真空除去、等の
ような選ばれた方法により共同溶媒は外部リポソーム相から除去される。
【0033】 II.リポソームの特徴化 上に記載されたように、本発明は、室温で限られた水溶解度を有する医薬の効
率のよい且つ安定なカプセル化を提供する。そのような化合物は治療のために有
用な医薬−対−脂質の比でリポソーム中に取り込まれることが困難であることが
知られている。本発明をサポートするものとして行われた研究において、抗癌剤
シスプラチンが例示医薬として用いられた。しかしながら、本発明の組成物及び
方法は室温で限られた水溶解度を有する、種々の化合物を用いて使用するために
意図されることが認識されるべきであり、そして他の例示医薬は上に記載されて
いる。
【0034】 シスプラチン(cis−ジアミンジクロロ白金(II))はcis−位置で2
つの塩素原子及び2つのアンモニア分子により囲まれた白金の中心原子を含有す
る重金属錯体である。シスプラチンは、精巣腫瘍、頭頸腫瘍、及び肺腫瘍を包含
する、種々の充実性腫瘍を治療するために広く使用されている。他の癌化学療法
剤と同様に、シスプラチンは高度に毒性の医薬である。シスプラチンの主な欠点
は、主要な投与量限定要因であるその極度の腎毒性、ほんの2、3分の循環半減
期を有する腎臓を経てのその迅速な排出及び血漿たんぱく質への強い親和性であ
る(Freise,J.等によるArch.Int.Pharmacodyn.
258第180頁〜第192頁(1982))。例えば、Abra等による米
国特許第5,945,122号;Gondal,J.A.等によるEur.J.
Cancer,29A(11)第1536頁〜第1542頁(1993);Su
r,B.等によるOncology,40第372頁〜第376頁(1983)
;Weiss,R.B.等によるDrugs 46(3)第360頁〜第377
頁(1993)において、毒性を克服するための方法としてリポソーム中へのシ
スプラチンのカプセル化が記載されて来た。しかしながら、シスプラチンは、そ
の医薬の水への低い溶解度(室温で約1〜2mg/ml)及び低い親油性(この
両方は、低い医薬/脂質の比を与える)の故に、リポソーム中に有効に取り込む
ことは典型的に困難である。
【0035】 本発明に従えば、過飽和状態でのシスプラチン含有リポソームは、例1におい
て記載されているとおりにして造られた。要するに、医薬の水溶液は、pH=7
で、約20〜25℃の室温で溶液中のその溶解度限界以上の濃度での医薬を用い
て造られた。この場合において、医薬の溶解度は溶液の温度を加熱することによ
り増大された。上に論じられたとおりの、室温での水溶液中の医薬の溶解度を増
大するための他の方法がまた適当である。造られた溶液は、次に、リポソーム脂
質二重層の形成のために選ばれた脂質を水和するために用いられ、それによりリ
ポソームの中心コア区画中に過飽和医薬溶液を含有するリポソームを形成する。
さらに特定的には、そしてシスプラチンを用いて特定の場合において、リポソー
ムは室温でのシスプラチンの溶解度(1〜2mg/ml)以上の約4倍である約
8mg/mlの濃度で取り込まれたシスプラチンを含有した。リポソームは押し
出されることにより106nmの平均粒子直径に寸法調節された。
【0036】 8mg/mlでシスプラチンを含有するリポソームは、今記載されようとして
いるとおりにしてNMRにより及び延長化x線吸収微細構造(extended
X−ray absorption fine structure)(EXA
FS)により特徴づけられた。
【0037】 A.NMRによる特徴づけ 脂質二重層内の分子運動の異方性の性質および膜構造の異方性がNMRの技術
により評価されることができるので、NMRはリポソーム配合物の評価のために
強力な手段である〔Fenske,P.B.によるChem.Phys.Lip
ids 64:143(1993);Tilcock,C.P.S.によるCh
em.Phys.Lipids 40:109(1986)〕。シスプラチン装
入リポソームについてNMRは、リポソーム燐脂質(物理状態、運動の速度)に
ついて及び白金錯体(酸化状態及び配位球)についての両方の情報を提供する。
NMRと原子吸収分光測定との組み合わせは、リポソーム配合物中の可溶性白金
の量を定量化するために用いられることができる。
【0038】 15N−標識化シスプラチンを含有するリポソームは、例2おいて記載されてい
るとおりにして造られた。医薬装入は、約8mg/mlまでにシスプラチンの溶
解度を増大させるために60〜65℃の温度で行われた。大きな単積層小胞の形
成後に、リポソーム懸濁液の温度を4℃に低下させ、この温度でその医薬の溶解
度は約1〜2mg/mlである。
【0039】 1. 195PtNMRによる分析 195PtNMR分光学は、金属の酸化状態についておよび白金の第1配位球(
coordination sphere)における4つの配位子の種類につい
ての情報を提供する。これはPt錯体の化学シフト範囲が数千ppmにわたる事
実、そして化学シフトがPt(II及びIV)の酸化状態に対しておよびPtに
結合される原子の種類に対しての両方に感受性である事実に起因する。
【0040】 例2Aにおいて記載されたとおりにして造られたcis−Pt(15NH32
2は、195PtNMR分光学により特徴づけられ、そしてそのスペクトルは図1
A〜図1Bに示される。図1Aにおいて見られるように、広いバンドのデカップ
リングされたスペクトルは、2つの等しい15N原子のカップリングに起因する予
期された三重項を示す。広いバンドのデカップリングが分かれたとき、3つの19 5 Pt共鳴の各々は、図1Bにおいて見られるように、6個の等しい水素により
七重項に分割された。
【0041】 シスプラチン含有リポソームの195PtNMR測定は図2において見られる様
に−2139.7ppmで単一の化学シフト(範囲−1350〜−2700pp
m)を明らかに示す。このことはシスプラチンが元のままのシスプラチンである
主として(>90%)1つの種のPt(II)であることを示している。たとえ
大きな分子のPt(II)の付加物が195PtNMRにより観察されないとして
も、他の白金種、即ち、白金トリアミン又は白金テトラアミンが形成されなかっ
たことを示す追加の白金ピークは検出されなかった。Pt(II)は特にそれら
が非酸性溶液中で加熱されたときに、2−電子不均化反応を受けて固形Pt(0
)及び可溶性Pt(IV)錯体を与えることができる。黒い沈殿物はサンプル中
に検出されず、Pt(0)が存在しなかったことを示唆し、そして+1000〜
−500ppmの領域における195PtNMRにおいてピークは観察されず、P
t(IV)錯体が溶液中に存在しなかったことを示している。
【0042】 2. 31P NMRによる分析 31P NMRは脂質小胞における燐脂質の状態を確認するために、ならびに寸
法分布および薄層の数に関してリポソーム製剤の均質性を確認するために用いら
れた。表1に記載されている195PtNMRによりサンプルがまた測定された、
リポソーム配合物の31P NMRスペクトルが測定された;それらは燐脂質小胞
の典型的な僅かな非対称ピークを示した。同じサンプルがそれらの白金含有量を
確認するために195PtNMRにより測定された。室温で観察された31Pピーク
は非常に広かった。これはマトリックス脂質の液体へのゲルの結晶相転移温度(
Tm)(水素添加ホスファチジルコリンについてTm=52.5℃)以下の飽和
燐脂質及びコレステロールからなる小胞の以前のデータと一致している(ニュー
ヨークのWiley発行D.Glick監修Lichtenberg,D.等に
よる、METHODS OF BIOCHEMICAL ANALYSIS, Vol.23第337頁(1998))。図3A〜図3Bにおいて見られるよう
に、Tm以上の60℃でシャープな31Pスペクトルは、白金含有リポソーム(図
3A)及び対照リポソーム(図3B)の両方について観察された。60℃で、約
10の走査は高いシグナル−対−ノイズの比を有する信頼できるデータを生成す
るために十分であった。ピーク分析は燐脂質小胞について予期されるように、両
方について若干の非対称のピーク(垂直に対しての非対称)を示した。高さの半
分での線幅(linewidths)の測定はその配合における燐脂質との白金
の相互作用についての基準として役に立ち得る。高さの半分での線幅(Δν1/2
)は60℃で測定され、そして対照リポソームについて6.3ppmの値が得ら
れ、シスプラチン−リポソームについて4.2ppmの値が得られた。Pt−含
有リポソームと対照リポソームとの間の比較は、白金と燐脂質との間の小さな相
互作用を示した。両方の小胞は同様な寸法の小胞であるけれども、弱い相互作用
は、Δν1/2Pt−リポソーム<Δν1/2対照として起こるだろう。そのデータは
、100−200nm直径LUV(即ち、エッグPC/DSPG 85/15Δ
ν1/2について〜5ppm)の31P測定と良好に一致している〔Tilock,
C.P.S.によるChem.Phys.Lipids 40第109頁(19
86)〕。線幅はMLVでの主要な汚染がないことを示唆している。したがって
31P NMRは六角形タイプII状態での燐脂質が存在しないことをピークの
形により示した。
【0043】
【0044】 3.異核単量子干渉(HSQC)による分析 195PtNMR分光学は、Pt錯体の酸化状態について及び第1配位球おける
原子の種類について情報を提供するけれども、水配位子、カルボキシ配位子又は
ホスフェート配位子はすべて酸素原子を介して酸素に結合するので、195Pt
NMR分光学は水配位子、カルボキシ配位子又はホスフェート配位子の間で区別
することができない。15N NMR分光学は195PtNMRと一緒に用いられて
欠けている情報を提供した(ニューヨークのPlenum Press発行の、
Pinedo H.M.等の監修、Barnham,K.J.著PLATINU
M AND OTHER METAL COORDINATION IN CA
NCER CHEMOTHERAPY 2,第1頁〜第16頁(1996);B
erners−Price,S.J.によるJ.Am.Chem.Soc.11 第8649頁(1993))。15N化学シフト及び15N−195Ptカップリ
ング定数は15Nに対してtransである配位子に対して感受性である〔App
leton,T.G.等によるInorg.Chem.24第4685頁(19
85)〕。14Nの欠如は195Pt共鳴をシャープであるようにさせ、そしてプリ
ング定数(195Pt−15N、195Pt−1H)が得られることができる。15N標識
化シスプラチン〔cis−Pt(15NH32Cl2〕は、例2において記載され
ているとおりにして容易に造られるが、しかしながら、15N NMRの低い感受
性は、これらの実験においてそのPt錯体を監視するためのその使用を妨げる。
【0045】 逆検出実験(inverse detection experiments
)は、15Nにカップリングされているプロトンを検出し、従ってPtの第1配位
球における配位子に依存し且つその酸化状態に依存する15Nの化学シフト及びカ
ップリング定数についての情報を提供する。15N−標識化シスプラチンを使用す
ることの主な利点は異核単量子干渉(heteronuclear singl
e quantum coherence)(HSQC)NMR技術及び異核多
量子干渉(heteronuclear multiple quantum
coherence)(HMQC)NMR技術を適用するためのその能力である
。HSQC及びHMQCは一つの軸上のプロトン化学シフト及び第2の軸上の15 N化学シフトを有する二−次元逆検出実験である。15N−標識化Pt錯体のHS
QC及びHMQCは、Pt錯体のミクロモル濃度を検出するために首尾よく用い
られた。本発明の支持において行われた研究において、HSQCはHMQCより
も狭い線およびより良好な解像度を与えるので、HSQCが用いられた。定形的
なHSQC実験において、約20分でミクロモル濃度のシスプラチンが観察され
た。感度における非常に大きな利益に加えてHSQCは15Nにカップリングされ
たプロトンだけを選択的に検出し、(リポソームからの)溶液中の他のプロトン
のすべてを無視し且つデータの解釈を簡単にする。
【0046】 水中のcis−Pt(15NH32Cl2のHSQCが図4A〜図4Bに描かれ
ている。Pt(II)錯体の特徴である相関ピークは、領域Iに配置されている
。Pt(IV)ピークが予期される領域IIにはピークが存在しない(ニューヨ
ークの、Plenum Press発行、Pinedo,H.M.等監修、Ba
rnham,K.J.著によるPLATINUM AND OTHER MET
AL COORDINATION COMPOUNDS IN CANCER
CHEMOTHERAPY 2,第1頁〜第16頁(1996))。領域Iの拡
大が図4Bにおいて示され、この図は3つのピーク(A、BおよびC)が存在し
、そして各々のピークは追加の衛星ピーク(A1’、A1”、A2’及びA2”
)を有していることを示している。ピークAは2つの等しい窒素が単一ピークを
生じさせているcis−Pt(15NH32Cl2に属している。ピークB及びC
は、ピークBが水配位子にtransである窒素に帰因しており、そしてピーク
Cが塩素配位子にtransである窒素に帰因している、cis−〔Pt(15
32Cl(H2O)〕+の単一錯体に属している。195Pt−15Nカップリング
定数はA1’とA1”との間の距離から測定されることができ、そして195Pt
1Hカップリング定数はA1”とA2”との間の距離から測定されることがで
きる。水溶液中で起こることが知られているシスプラチンの加水分解反応は、19 5 PtNMRによって容易に観察されないがしかしHSQCにより容易に観察さ
れる。
【0047】 〜100nm LUVの水性相中に受動的にカプセル化されたcis−Pt( 15 NH32Cl2のHSQCスペクトルは本来のその医薬のスペクトルとほとん
ど同一であると思われる。しかしながら1つの小さな差がある、即ち衛星ピーク
間の距離は親化合物におけるよりも若干小さい。これは脂質とのcis−Pt( 15 NH32Cl2の相互作用に関連しているか、又はリポソーム内の水のかなり
低い“活性”に関連している可能性がある。後者は、本来の医薬のスペクトルに
おいて明瞭に視ることができる、水性種に帰因するピークの欠如により支持され
る。さらに図5において見られるように、シスプラチンカプセル化リポソームの
スペクトルがPt(IV)領域においてまったくピークを有しておらず、リポソ
ーム中への、cis−Pt(15NH32Cl2のカプセル化の処理がシスプラチ
ンの不均化反応を起こさなかったことを示している。また、スペクトルにおける 15 NH4 +ピークの欠如は脱アミノ化(15N配位子の損失)が起こらなかったこと
を示唆し、そしてすべてのPt(II)錯体が、HSQC実験により説明される
ことができることを示唆している。したがって、カプセル化されたリポソーム中
の唯一のPt種はシスプラチン及び若干のcis〔Pt(15NH32Cl(H2
O)〕+であると結論することが安全である。(‘X’としてマークされた)確
認されていないピークがスペクトルにおいて見ることが出来、そしてこれらのサ
ンプルのHPLCクロマトグラムは非常に少量の不純物(<5%)(結果は示さ
ず)だけを検出した。
【0048】 シスプラチンを有する最終配合物はヒスチジン緩衝剤を包含した。1H−15
−HSQC NMRはサンプル中の最も少ない不純物でさえ検出するのに十分に
感受性である。そのような不純物は、リポソーム製造と同一であるが脂質の不存
在(カプセル化なし)下の処理中にヒスチジン緩衝剤が存在した場合に、又はリ
ポソーム中への白金カプセル化の処理においてヒスチジン緩衝剤が存在した場合
に、観察された。図6において見られるように、測定された1H−15N−HSQ
Cスペクトルは、15N−標識化化合物のピークに追加のピークを示した。検出さ
れたすべてのシスプラチン−ヒスチジン種はリポソーム中にカプセル化の間の水
性シスプラチンに帰因している。アミノ酸ヒスチジンの既知の量を用いての追加
実験は、これらの外部のピークがカプセル化処理中に緩衝剤におけるヒスチジン
への医薬の結合に帰因することができることを示した。これらの会合は不可逆で
あり、したがって、いったん結合したならば、これらの医薬を利用できないよう
にする。生物学的緩衝剤に対する15N−標識化シスプラチンの反応性はヒスチジ
ンアミノ基の寄与を評価するために、N−アセチル−ヒスチジンのカルボキシ基
を用いて調べられた。1:1のモル比の15N−シスプラチンとN−アセチルヒス
チジンとの、24時間インキュベーション後に、図7において見られるように、
恐らくはシスプラチン−ヒスチジン種に属する、種々の新しいピークが現れた。
これらの結果はHPLCの手段によりさらに確認された;事実、得られたクロマ
トグラムはシスプラチン−ヒスチジン種の存在(検出された白金の約20〜30
%)を確認した(結果は示さず)。同様な研究はN−BOC−メチオニンを用い
て行われた。この研究は、例1において記載されたとおりにして、カプセル化が
、ヒスチジン緩衝剤の不存在下に行われ、そしてカプセル化が終わった後にヒス
チジンが加えられた、シスプラチンカプセル化リポソーム(図5)において、ヒ
スチジン緩衝剤と15N−シスプラチンとの接触がなく、漏れのない且つ非常に安
定であるリポソームを生ずることを示唆している。この研究は、シスプラチン−
ヒスチジン種に属するピークが観察されなかったので、リポソームからの15N−
標識化シスプラチンの漏れがなかったことをさらに示した。
【0049】 4. 195PtNMRによる白金含有量の定量化 リポソーム中にカプセル化されている白金に関して、決定されるべき他のパラ
メータは、医薬−対−脂質の比を包含し、そしてリポソームの医薬のどのくらい
の多くの量が水溶性シスプラチンのように行動しているかを包含する。シスプラ
チンの場合において、リポソーム内の白金の可溶性部分のみが放出され、そして
細胞DNAに働くことができることが予期され;すべての白金沈殿物は、利用さ
れることができない医薬として考えられることができる。したがって、K2Pt
Cl4の内部基準を用いて行われた比較研究は、原子吸収分光学と異なって可溶
性シスプラチンだけを選択的に定量化し、したがってリポソーム中に含有される
白金の物理的状態に関して明瞭な表示を得るために195PtNMRを用いること
が可能であった。固体状態において(即ち沈殿物において、又は非常に微細な粒
子の懸濁液においてさえも)のすべての白金は検出されないだろう;そのT2
、非常に短く、それらが基本線中に見えなくなるような程度まで線が広がるだろ
う。
【0050】 リポソームサンプルは、リポソームにおける白金の溶解度に対する温度上昇の
影響を観察するために、37℃と60℃との両方で測定された。温度における上
昇は、観察されたピーク面積を増大させなかった;しかしながら、水性種の非常
に小さなピークが60℃で検出された。このことは、上記のHSQC NMR測
定において得られたデータと一致している。
【0051】 この部分において用いられた4種のリポソームサンプルが、表2において記載
され、そしてサンプルの寸法及び脂質濃度を幾らか変化させているサンプルであ
る。これらのファクターはサンプルの粘度に影響し得、それ故に、NMRスペク
トルにおけるより広い線幅に寄与している。水中の可溶性シスプラチンのサンプ
ルと、リポソームシスプラチンサンプルとの間の有意義な差は、観察されなかっ
た。60℃で測定したときに、線は一層広く、これはより短いT及び迅速に
消滅するシグナルと一致している。リポソームの寸法とシスプラチンピークの線
幅との間に直接の相関関係が見い出され;リポソームの寸法が増大するにつれて
、シスプラチンのピークの幅も増大した。脂質濃度とシスプラチンピークの幅と
の間に逆相関関係が存在し;脂質濃度が減少するにつれて線幅が増大した。
【0052】
【0053】 この研究において使用するためのリポソームは、リポソーム配合の第1段階中
にエタノールの存在下に造られ、そしてシスプラチンの溶解度に対するエタノー
ルの影響を決定するために研究が行われた。したがって、0.9%NaClにお
いて及び0.9%NaCl中20%エタノール中において室温で及び65℃で、
1mg/ml及び8mg/mlのシスプラチンの溶解度が調べられた。1mg/
mlでシスプラチンはすべての条件下に溶解性である一方、8mg/mlで室温
においてほとんどのシスプラチンが沈殿し、なお65℃ではほとんど可溶性であ
った。20%エタノールの不存在下に及び存在下に、その両方において、温度を
低下させて室温に戻すと、シスプラチンの8mg/mlのほとんどの沈殿に導い
た。したがって、20%エタノールの存在はシスプラチンの溶解度を改良しなか
ったことを結論づけることができる。NMR測定は、水性相中の遊離のシスプラ
チンの溶解度が〜2mg/mlに限定され、そして60℃までに温度を上昇させ
た際に増大されることを示している。NMR実験は、集積化が〜2mg/mlに
比例しているピークの検出を示しているのに対して、不溶性白金沈殿物は事実、
検出されない。リポソームの場合において、原子吸収により明らかにされたほと
んどすべてのシスプラチンは、リポソーム内水性相において可溶性であり、この
ことは、リポソーム内濃度が室温での溶解度である2mg/mlより高いことを
示唆している。リポソーム製造中シスプラチン濃度が室温(又は4℃)での溶解
度以上であった事実にもかかわらず、リポソーム中のほとんどすべてのシスプラ
チンがリポソーム内水性相において、まるで可溶性であるかのように行動したこ
とが見い出された。溶解度の研究から、エタノールが、予期された医薬−対−脂
質の比よりも一層高いことの原因ではあり得ないことは明らかである。
【0054】 NMR研究は、シスプラチンがリポソームに装入中、元のままの状態にあり、
そしてカプセル化されたシスプラチンが水性中に溶解された親化合物と、小さな
差を有して、親化合物に類似していることを示した。リポソーム中に存在するす
べてのシスプラチンは水溶性医薬のように行動し、そして不溶性医薬らしい様子
がない。リポソーム内の医薬は沈殿しない。この事実は下に記載されたEXAF
S研究によりさらに確認される。
【0055】 B.延長されたX−線吸収微細構造(EXAFS)による特徴づけ 延長されたX−線吸収微細構造(Extended X−ray Absor
ption Fine Structures)(EXAFS)は、サンプル中
の選ばれた原子の局所構造についての情報を提供する。その方法において、X−
線光効果の方法において発せられた光電子の散乱は、即時の原子近辺を精査する
ために開発された。散乱から生ずる干渉パターンは、エネルギー又は光電子波数
スケール上にX線吸収共同作因の小さな振動として解像される。その効果はゆっ
くりとした光電子についてのみ、即ち任意のX線吸収端の直上についてのみ、解
像される。したがって、その方法の選択度は標的原子に関している。データのフ
ーリエ変換により最も容易に引き出された振動の振幅、位相及び期間から近辺原
子の数、種および距離が推定される。追加の分析は、種々の無定形状態だけでな
く、結晶状態での物質が研究できるように、熱及び(又は)構造の不規則の程度
をまた提供できる。
【0056】 白金について、L3吸収端は、シンクロトロン放射線についてのモノクロメー
ター(単色光器)の最良の解像が期待されるエネルギー領域に入る。したがって
、サンプルにおけるPt原子の周りの局所構造を調べるために、リポソームカプ
セル化シスプラチンについて、Pt L3−端EXAFSスペクトルが測定され
た。そのシステムは、液体状態、凍結状態及び凍結乾燥状態における研究であっ
た。比較のために、固体形及び溶解された形における遊離医薬のPt L3−端
EXAFSがまた測定された。
【0057】 結晶及び溶解されたシスプラチンについて、そして例3において記載されたと
おりにして造られた3種のリポソームカプセル化シスプラチンサンプル(液体、
凍結及び凍結乾燥)について、Pt L3端での標準のk2−加重化EXAFS
スペクトルχ(k)が図8において示される。
【0058】 図8〜図13は、図8において示される各々のサンプルについてk間隔3Å-1 〜12Å-1において計算されたフーリエ変換k2−加重EXAFSスペクトルで
ある。スペクトルにおけるピークは、Pt電子に近辺の原子の連続シェルに相当
する。構造パラメータはFEFF6プログラムコードを用いて近辺原子の一時的
空間分布における光電子の散乱路のセットから、初めから組み立てられた、モデ
ルシグナルと測定シグナルとを比較することにより、これらのスペクトルから定
量的に解像される〔Rehr,J.J.等によるPhys.Rev.Lett. 69 :3397(1992)〕。同じ方法で、近辺の原子種がその特定の散乱位
相シフトにより認められる。
【0059】 初期の段階において、結晶のシスプラチンサンプルのシグナルが分析される。
それは、カプセル化効果の研究のために直接に関連がないが、その高い品質のシ
グナルは、達成可能な解像の基準として役に立つ。最も重要なことには、結晶学
的データはPt原子の近辺のモデルを造るために用いられることができる(Mi
lburn,G.H.W.等によるJ.Chem.Soc.A.JCSIA,第
1609頁(1966))。事実、2.05Åでの第1シェルN近辺及び2.3
3Åでの第1シェルCl近辺、のシグナルについて完全な一致が見い出される。
両方の種は、2のそれらの占有数(occupation number)と一
緒に、あいまいでなく確認される。
【0060】 2.4〜4.0ÅのFTスペクトルにおける追加の構造は、結晶学的データ(
Milburn,G.H.W.等によるJ.Chem.Soc.A.JCSIA
第1609頁(1966))により示唆されているように、3.37Åでの2つ
のPtを含む、近辺の第1シェル近辺上の高い程度の散乱の、そして近辺の第2
シェル上の散乱の、助けにより完全に説明されることができる。しかしながら、
結晶学的モデルにより予期されるほぼ同じ距離での追加のCl及びN近辺の寄与
は伴なわない。
【0061】 明らかに、測定及びモデルは異なる結晶変形に言及している。この方法で、シ
スプラチン分子自体の最も近い近辺のN及びCl原子及び隣接分子の最も近いP
t原子は、それらの予測された位置に見い出され、一方では、結晶内の分子の特
定の積み重ねによりPt原子の周辺にもたらされた追加の近辺には見い出されな
いだろう。このようにして、3Å-1〜12Å-1のk領域及び1.1Å〜4.1Å
のR領域におけるデータの最良の適合で作成され且つ純化された近辺についてパ
ラメータが、表3に示される。
【0062】 a:略語:近辺原子のタイプ、N=数、R=距離、 σ2=Debye−Waller因子。 b:最後の数字の不確かさがカッコ内に与えられる。 c:適合の良好性の測定としてFit r−因子が最後の欄に与えられる (Stern,E.A.等によるPhysica B 208,209: 117(1995))
【0063】 その十分に規定された近辺を有する結晶サンプルはまた他のパラメータ、Pt
原子についてのEXAFSシグナルの振幅減少因子S0 2を決定するために用いら
れることができる。この数は同様な化学(原子価、配位)状態においての中心原
子との異なるサンプル間で転換可能である。結果(S0 2=0.77±0.03)
は理論推定値と良好に一致しており〔Roy,M.等によるJ.Phys. I
V France :C2−151〜C2−152(1997)〕、そして次
のシスプラチンの分析において用いられる。
【0064】 図10において示されたシスプラチンの飽和水溶液のFTスペクトルはカプセ
ル化されたサンプルのPt原子近辺の確認のための他の、多分一層近いテンプレ
ートである。結晶シスプラチンとの比較は、3.5Åの距離まですべての細部に
おいて顕著な類似性を示す。したがって、Pt近辺のモデルは、結晶サンプルに
おけるように分子の2N原子及び2Cl原子の最も近いシェルに基づいている。
誤差間隔内で、結晶サンプルのパラメータと同一のモデルパラメータを用いて、
1.1Åから2.5Åまでの間隔について、非常に良好な適合性(表3)が得ら
れる。同じシェルからの高い程度の散乱の寄与は、4Åまでのモデルの有効性ま
でに延び、領域内の小さな二重ピークの説明を提供する。結晶サンプルにおいて
確認されたような一層大きな距離でPt原子近辺の存在は該適合性により完全に
排除される。正反対の発見(結論)は、もし真実ならば、物理化学的データ(浸
透圧、凝固点降下)から確実に知られていたはずである、溶液中のシスプラチン
の凝集に対する点である。基本的な最も近い近辺モデルの想像できる拡大の中に
、データにより支持された唯一のものはO原子の大きな拡散シェルである。明ら
かにそれは分子の水和シェルを記載している。強い相互関係に付されるそのパラ
メータは満足できる正確さで決定されることができない。しかしながら、重要な
点は、それが中心Pt原子の直ぐ近くまで内方に向けて延びないことである。
【0065】 図11〜13(それぞれ、液体、凍結および凍結乾燥)において示されるカプ
セル化シスプラチンの3つのサンプルのスペクトルは、かなり多くのノイズがあ
るけれども、k−空間において、ならびにγ−空間において、シスプラチン溶液
のパラメータと完全に一致している。1.1Åから2.5ÅまでのR空間におけ
る定量分析は、この観察を確認している(表3)。第2−シェルPt原子近辺は
また排除され、その結果、カプセル化シスプラチン分子の凝集は示されない。水
和シェルの痕跡的寄与はノイズによって閉ざされている。
【0066】 Pt原子の近辺における結晶構造の決定は、凝集状態を決定するための助けと
なるばかりでなく、その化学構造をまた解明し、したがって化学安定性を解明す
ることができる。Pt原子の第1近辺、直接に結合されたCl及びN原子は、す
べてのサンプルにおいて変化していない距離及び配位数で見い出され、このこと
はシスプラチン分子がシステムの物理的状態により認識できる程度に影響されな
いことを示す。
【0067】 第1配位シェルにおける2つのN原子及び2つのCl原子の観察は、カプセル
化されたシスプラチン分子が化学的に安定であり、そして加水分解しない、即ち
1つ又は2つのCl原子が水と交換されないことを示している。このことは、そ
のような錯体および希薄なシステムの他の分析がサンプル製造中に化学的及び物
理的変化に導く可能性があるけれども、それは乱されていないサンプルから直接
に得られることができるので、重要な観察である。
【0068】 Pt原子の3.37ÅでのPt近辺の不存在は、リポソーム内のシスプラチン
の溶液が結晶化しないことを明瞭に示している。さらに特定的であることは、そ
れは、結晶サンプルの変性において結晶化しない〔Milburn,G.H.W
.等によるJ.Chem.Soc.A.JCSIA第1609頁(1966);
Moeller,M.等によるCurr.Op.Cooo.Interf.Sc
i.:第177頁〜第187頁(1997)〕。しかしながら、シスプラチン
の他の結晶変性が知られている〔Milburn,G.H.W.等によるJ.C
hem.Soc.A.JCSIA第1609頁(1669)〕。それは水和され
たシスプラチンであり、それにおいて、2.03Åの距離の各々のPt原子に2
つのO近辺を与える介在水分子のために、最も近いPt近辺が4Åを超える距離
に移動される〔Kuroda,R.等によるInorganic Chemis
try 22:第3620頁(1983):Faggiani,R.等によるC
anadian Journal of Chemistry 60第529頁
(1982)〕。カプセル化サンプルも、またシスプラチン溶液でさえも、中心
Ptにそのように近いO原子を示さない。それ故に水和された結晶構造リポソー
ムの形成がまた排除される。
【0069】 EXAFSの結果は、シスプラチンがホスファチジルコリン二重層上に吸収さ
れないことを示した脂質二重層への医薬の広範囲にわたる吸収の研究により、支
持されている〔Speelmans,G.等によるBiochem.Bioph
ys.Acta 1283:第60頁(1996)〕。さらに、同じシステムの 195 PtNMR研究は線が広がるのを全く示さなかった、そしてすべてのP
tシグナルは遊離医薬溶液においてまた特徴づけられる迅速に回転している医薬
の狭い等方性シグナルに起因しているだろう。
【0070】 凍結、及び凍結乾燥リポソームのサンプルは、液体サンプルに類似している。
表3におけるデータは、凍結も、また凍結乾燥も、医薬結晶化を誘発しないこと
を示している。これは、リポソーム内部に匹敵する寸法の細孔(<200nm)
中の水が、大量の水のように振る舞わない事実と一致している。凍結及び溶融の
ような性質は水分子をカプセル化するために大きな表面積の、容量に対する比に
より影響され、そしてそれは溶質を結晶化することなしに単にガラス状態に凍結
することができる〔Holly,R.等によるJ.Chem.Phys.108 :第4183頁(1998)〕。
【0071】 上に示されたデータ及びNMR観察は、リポソーム内部におけるシスプラチン
が過飽和溶液を形成していることを示唆している。リポソームの寸法に依存して
、典型的には1000〜3000の医薬分子が取り込まれる。この研究において
、リポソーム寸法、そして脂質および医薬濃度から、各々のリポソームは平均し
て約3000のシスプラチン分子を含有していると概算することが理にかなって
いる。各々のシスプラチン分子について、60Å3の分子容積を想定して、沈殿
の際に形成するこれらの分子の仮定結晶の寸法を計算することができる。もしそ
の分子が固体立方体に会合されたならば、その内部は55〜60Åであろう。
【0072】 何ら特定の理論に縛られることを意図しないけれども、上記観察についての1
つの説明は、区画に分けられた(compartmentalized)分子の
数が、単に結晶の芽(核)から実際の結晶までのエネルギー障壁を横切ることを
可能にするためにはあまりにも小さいことである(即ち、小さくてエネルギー障
壁を横切ることができない)。そうして、カプセル化されたシスプラチン分子は
絶えず結晶核に会合しつつあり、そして結晶化開始に対する障壁を克服するため
に十分な分子がないので、凝集物は絶えず解離している。これは、分子の区画分
け及びそれらの小さな数、及び(小さな)寸法が、安定な熱力学的平衡に達成さ
せるのをこれらに防止させるので、“失敗化システム(frustrated
system)”の例であろう。
【0073】 リポソーム中の過飽和された化合物の現象は、医薬送り出し以外の分野での用
途を見い出すことが認識されるだろう。例えば、反応速度論のような薬剤の高い
濃度が要求に応じて必要とされる適用は、使用のために用意ができている高い濃
度の化合物を維持するための方法から、利益を受けるだろう。使用の他の領域は
、診断キット、又はたんぱく質及びペプチドのための貯蔵手段を包含する。
【0074】 (発明を実施するための最良の形態)III.例 以下の例は、本明細書に記載された本発明を例示し、そして本発明の範囲を限
定することが決して意図されない。
【0075】例 1: シスプラチンを含有するリポソームの製造 A.工程1:医薬溶液調製 滅菌水を、TEFLON−裏張り加圧容器中で63〜67℃に加熱し、そし
て塩化ナトリウム(0.9%)を加えた。シスプラチンを8.5mg/mlの濃
度で加え、そして溶解するまで約15〜25分混合した。
【0076】 B.工程2:脂質溶解 257.0gのPEG−DSPE、719.4gのHSPC及び308.4g
のコレステロール(50.6/44.3/5.1のモル比)を60〜65℃で、
脱水エタノールの900mlに加え、そして溶解するまで約2時間混合した。溶
解した脂質を7670gの医薬溶液に加えて、約150mg/mlの合計脂質濃
度を得た。
【0077】 C.工程3:脂質水和/医薬装入 混合しながら、温かい脂質溶液を温かい(63〜67℃)の医薬溶液に迅速に
加えて、不均質な寸法を有するリポソームの懸濁液を形成した。その懸濁液を、
63〜67℃で1時間混合した。水和混合物中のシスプラチンの濃度は、7.2
mg/mlであり、そしてこの段階で、医薬の約30%がリポソーム中にカプセ
ル化された。合計溶液容量の10%がエタノールであり、そして合計脂質濃度は
150mg脂質/mlであった。
【0078】 D.工程4:押し出し テフロン(登録商標)−裏張りステンレススチール容器に入れられたポリカー
ボネートフイルターカートリッジ中に通過させての制御された押し出しにより、
リポソームは所望の平均粒子直径に寸法調節された。6〜8時間の期間押し出し
処理中ずーっとリポソーム懸濁液を63〜65℃に維持した。
【0079】 E.工程5:低級濾過 寸法調節後リポソーム懸濁液を室温(20〜25℃)に冷却し、そして1.2
μmの、142−mm Gelman Versaporフイルター(ナイロン
66支持体上のアクリル共重合体)中に通過させ、濾過して、沈殿医薬を除去し
た。この段階で約50%の医薬がカプセル化された。
【0080】 F.工程6:ダイアフイルトレーション 滅菌水中にスクロース(100mg/ml)及び塩化ナトリウム(0.058
mg/ml)を溶解することによりスクロース/塩化ナトリウム溶液を造った。
2NのHCl又はNaOHを用いて、溶液のpHを約5.5に調節した。その溶
液を0.22μmのDuraporeフイルター中に通過させて濾過した。
【0081】 該リポソーム懸濁液は、該スクロース/塩化ナトリウム溶液を用いて約1:1
(容量/容量)に希釈され、そしてポリスルホン中空繊維限外濾過器中に通過さ
せてダイアフイルトレーションが行われた(diafiltrated)。エタ
ノール及びカプセル化されていない医薬を除去するために8回の容量交換がスク
ロース/塩化ナトリウム溶液に対して行われた。処理液体温度を約20〜30℃
に維持した。合計のダイアフイルトレーション時間は約4.5時間であった。
【0082】 次に、リポソーム懸濁液を限外濾過によりシスプラチンの約1.2mg/ml
に濃縮した。ダイアフイルトレーション後の処理液をHPLCによりシスプラチ
ン含有量について分析した。リポソームは0.9%塩化ナトリウム中の8.5m
g/mlのシスプラチンの内部相及びスクロース/塩化ナトリウム溶液の外部相
を有した。
【0083】 G.工程7:希釈 スクロース/塩化ナトリウム(10%スクロース/1mMのNaCl)溶液中
にヒスチジン(10mM)を溶解することにより希釈液を造って、最終混合物中
1.55mg/mlの目的ヒスチジン濃度にした。該ヒスチジン希釈液を用いて
該リポソーム懸濁液を希釈し、1.05mg/mlの目的シスプラチン濃度にし
た。2NのNaOH又はHClを用いて懸濁液のpHを6.5に調節した。
【0084】 H.工程8:滅菌濾過 リポソーム懸濁液を33〜38℃に加熱し、そして0.2μmのGelman
Suporポリエーテルスルホンフイルター中に通過させて濾過した。合計の濾
過時間は約10分であった。
【0085】例 2: NMR分析 A. 15N−標識化シスプラチン〔cis−Pt(15NH32Cl2〕の調製及び
特徴づけ Boreham等によるAust.J.Chem.34第659頁(1989
)により記載された方法に従って、cis−15N−ジアミンジクロロ白金(II
)(シスプラチン)が合成された。その生成物は195PtNMR分光学により及
びチオ尿素試験により、その両方によって特徴づけられた。チオ尿素を15N−標
識化シスプラチンの水溶液に加え、そしてその溶液を40〜50℃に加熱した。
黄色の外観は生成物がcis形態にあったことの表示であり、それに対して無色
溶液の外観はtrans異性体の存在を示した。cis−15N−DDPをDMF
に溶解し、そして195PtNMRにより分析した。
【0086】 B.シスプラチン含有リポソームの調製 初期の195PtNMR測定は2000PEG−DSPE〔ポリエチレングリコール
(平均分子量約2000)誘導化ジステアロイルホスファチジル−エタノールア
ミン〕、コレステロール、大きな単積層リポソーム(1.64mg/mlのPt
を含有する99mg/ml合計脂質、78mM=2.40mg/mlのPを有す
る)を用いて行われた。
【0087】 1.立体的に安定化されたリポソーム中にカプセル化された15N−シスプラチ の調製 8.5mg/mlの15N−標識化シスプラチンを65℃で0.9%1NaCl
中に溶解し、そして1時間この温度で放置した。脂質(HSPC/コレステロー
ル/2000PEG−DSPE(51:44:5))をエタノール中に溶解した。こ
のエタノール溶液中に溶解した。このエタノール溶液を医薬混合物に加えること
により該脂質を水和した。最終の脂質濃度は65℃で10%エタノール中150
mg/ml(15%)であった。その混合物を60℃で1時間かき混ぜ続け、次
に、Lipofastシリンジ押し出し器を用いて、100nm及び200nm
の細孔寸法のポリカーボネートフイルター中に通過させて65℃で押し出した。
寸法調節されたリポソーム(〜100nm)を放置して室温に冷却させた。冷却
中に濃い黄色の沈殿物が形成した。上澄み液を集めそして室温で追加の時間放置
した。さらに沈殿が起こり、そして再び上澄み液を集めた。サンプルを2倍に希
釈し、そして室温でNaClの1mMを含有する10%スクロースの100容量
に対して5回透析した。この条件下、1mMのNaClを含有する10%スクロ
ースとの完全な平衡が起こっている筈である。最後に、ヒスチジン緩衝液(pH
6.5)を10mMの最終濃度に加えた。最終リポソーム分散液は半透明の白色
であった。リポソームのアリコート及び両方の沈殿物のアリコートは、30℃で
異核単量子干渉(heteronuclear syngle quantum
coherence)(HSQC)により分析された。
【0088】 2.HSQC実験のためのサンプル調製 15N−シスプラチンを65℃で0.9%NaCl中か、又は10%スクロース
中のいずれかに溶解した(8.5mg/ml)。シスプラチンなしの対照のサン
プルを造り、そして同じ方法に従って処理した。冷却後シスチジン緩衝液(10
mM、pH=6.5)を加えた。処理されたサンプルは4℃で又は(−20)℃
で貯蔵された。
【0089】 C.NMR測定 1. 195PtNMR 195PtNMR測定は、5mmのコンピュータースイッチ切り換え可能なプロ
ーブを備えた7.05T磁石を用いてVarian VXR−300S分光計上
で行われた。白金化学シフトは−1624ppmで設定されたK2PtCl4の外
部基準シグナルに対して測定された。100.0kHzスペクトル幅、0.01
0秒の取得時間を用いて、プロトンの広いバンドデカップリングを有し、そして
それを有せずにの、データが集められた。通常、350,000パルス又はそれ
以上が取得され、そして300Hzの線拡がりが適用された。37℃及び60℃
でスピニング(spinning)なしで、サンプルを測定した。既知濃度の内
部基準として2mg/ml(4.82x10-3M)のK2PtCl4を含有する毛
細管をNMRチューブに加えた。処理および統合のまえに、(Hzでの)自然の
線幅に等しい線拡がりを用いてデータはアポディゼーションが行われた(apo
dized)。
【0090】 2. 31P NMR 31P測定は、5mmコンピュタースイッチ切り換え可能なプローブを用いて室
温で及び60℃で行われた。31P化学シフトは0ppmで設定された燐酸に対し
て測定された。10000Hzスペクトル幅及び1.6秒の取得時間を用いて、
プロトンの広いバンドデカップリングを有するデータが集められた。通常250
パルス又はそれ以上が取得され、そして20.0Hzの線拡がりが適用された。
プラシーボ(対照)およびシスプラチン装入リポソームを31P NMRにより研
究した。リポソームは大きな単積層小胞(LUV)を含有しそして55:40:
5のモル比で水素添加ホスファチジルコリン(HPC)、コレステロール、及び 2000 PEG−DSPEからなっていた。元のリポソームサンプルの700μlを
2Oの70μlと混合することによりサンプルが造られた。
【0091】 3.HSQC NMR測定 5mmの多核逆検出プローブを備えたBruker DXR 400MHz
NMR分光計を用いて、すべての〔1H、15N〕HSQCデータが得られた。そ
の2Dデータは、INVIGSTP(取得中にデカップリングを有するTPPI
を用いて二重INEPT転移位相感知を介しての逆検出2D1H−X相関関係)
のBrukerシーケンス(sequence)を用いて記録された。15Nスピ
ンは、GARP−1シーケンスを用いての取得時間中に照射された。15N化学シ
フトは、1MのHCl中の1.5MのNH4Clに外部的に基準化された:1H化
学シフトは、TSP(Me3Si(CD22CO2Na)に外部的に基準化された
。0.251秒の取得時間、f2及びf1の両方の次元において2KHzのスペク
トル幅及びt1の256増分を用いて2〜8の過度応答(transients
)が取得された。すべてのスペクトルは3000K(27℃)で取得された。約
20分でスペクトルを集め、そしてBrukerソフトウエアを用いてデータを
処理し、線拡がりはなかった。
【0092】 4. 195PtNMRにより白金含有量の定量化2PtCl4は、化学シフト(−1624ppm)がシスプラチンの化学シフ
ト(−2100ppm)に近く、なお重なりを避けるのに十分な距離である安定
な化合物であるので、K2PtCl4は内部基準として選ばれた。K2PtCl4
2mg/ml、4.82mM)を毛細管に封入し、そしてその加水分解を防止す
るために濃塩酸を加えた。サンプルを含有している5mmNMRチューブ中にそ
の毛細管を挿入し、そして上に記載されているとおりにして195PtNMRスペ
クトルを取得した。
【0093】 方法の精度を試験するために、濃度を変化させて(1.54、2.0及び2.
31mg/ml)の3つのシスプラチンのサンプルを37℃で該毛細管の存在下
に測定した。曲線下の面積は基準ピーク下の面積に関して積分され、そして元素
白金濃度を計算した。計算された数値を確認するために、原子吸収(AA)測定
が行われた。
【0094】5.原子吸収分光学 原子吸収測定はVarian SpectrAA Zeeman 300分
光計上で行われた。白金の濃度はK2PtCl4原料溶液の既知の濃度(250n
g/ml、6.02x10-7M)の基準曲線に従って計算された。
【0095】例 3: EXAFS分析 A.リポソーム調製 1.材料 カリフォルニア、FullertonのCrodaからのコレステロール(C
H);ドイツLudwigshfenのLipoidからの水素添加大豆ホスフ
ァチジルコリン(HSPC);スイス、LiestalのSygenaからのN
−カルボニル−(メトキシポリエチレングリコール2000)−1,2−ジアス
テロイル−sn−グリセロホスホエタノールアミンナトリウム塩(MPEG−D
SPE)、ドイツ、HanauのHaraeus GmbHからのシスプラチン
(98%未満の純度のUSP級)。
【0096】 2.リポソーム調製 多積層小胞が65℃で医薬溶液中にエタノール性脂質溶液を注入し、次に冷却
且つ透析することにより形成された、例1において記載されたとおりにしてリポ
ソームカプセル化シスプラチンは造られた。リポソームの脂質組成は51:44
:5のモル比でHSPC/CH/MPEG−DSPEであった。シスプラチン濃
度は1.1mg/mlであり、そしてゲル−エクスクルージョン(gel−ex
clusion)クロマトグラフイにより測定されたとき、医薬のカプセル化は
、98%であった。合計脂質濃度は、118mMであり、平均粒子直径は動的レ
ーザー光散乱(フロリダ州マイアミのCoulterのモデルN4MB)により
106nmと決定された。カプセル化シスプラチンを0.9%(重量/容量)の
NaCl溶液中に溶解し、そしてリポソームを0.9%NaCl溶液(10mM
ヒスチジン、pH6.5)の水性相中に懸濁させた。
【0097】 プラシーボリポソームをシスプラチンリポソームと全く同じに造ったが、しか
し医薬を含有しなかった。プラシーボリポソームは101nmの平均粒子直径お
よび73mMの合計脂質濃度を有した。
【0098】 凍結乾燥シスプラチンリポソームは、次のとおりにして造られた。シスプラチ
ン含有リポソームのサンプルは、室温で12時間にわたって、分子量カットオフ
14,000透析チューブ及び10%(重量/容量)スクロース溶液の4つの1
2容量交換を用いて透析された。次に10%スクロース溶液中の得られたリポソ
ーム懸濁液をドライアイス/イソプロパノール混合物を用いて迅速に凍結させ、
そして高い真空(100mTorr)で一夜、凍結乾燥させた。
【0099】 B.EXAFS測定 サンプルの白金L3−端EXAFSスペクトルは、ドイツエレクトロネン−シ
ンクロトロンDESY(ドイツのハンブルグ)でのHamburger Syn
chrotronstrahlungslabor HASYLABにおいて、
x線ビーム線ROEMO2(X1.1)での透過方式において測定された。12
keVで2eV解像度を有するSi(311)固定された口の二重−結晶単色計
が用いられた。安定化フィードバックコントロールを用いて単色計結晶を離調す
ることにより倍振動が有効に排除された。1バールでアルゴンを充たしたイオン
化セルは、サンプルを通過する単色のx線ビームの入射し且つ透過したフラック
スを検出するために用いられた。吸収スペクトルは、1秒/照準の集積時間を用
いて、x線光量子エネルギーの関数として記録された。端上の1000eV領域
内の標準の階動進行(stepping progression)が採用され
た。
【0100】 KAPTONTM窓を有する変化可能な長さの液体吸収セル中において、液体、
凍結及び凍結乾燥リポソームカプセル化シスプラチンのサンプル、およびシスプ
ラチンの水溶液が造られた。サンプル中のPtの非常に低い濃度に起因して、液
体サンプルの5mm厚さの層及び凍結乾燥サンプルの2mm層を用いて、最適の
吸収厚さが分かった。得られたPt L3端ジャンプは、2の合計吸収厚さでリ
ポソームカプセル化サンプルについてほんの0.04であり、そして水溶液につ
いて0.1であった。シグナルの、ノイズに対する比を改良するために、実験操
作は重ねて行われた。基準スペクトルは空のリポソームの水溶液の5mm厚さの
層上で取られた。粉末化結晶サンプルは、約1の端ジャンプを有する、接着剤テ
ープの多重層上に造られた。基準スペクトルは空のテープ上で測定された。
【0101】 本発明は、特定の態様に関して記載されたけれども、本発明から離れることな
しに、種々の変更及び修正が行われることができることは当業者に明らかであろ
う。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 広いバンドのデカップリングを有するcis−Pt(15NH32Cl2195
tNMRスペクトルである。
【図1B】 広いバンドのデカップリングを有しないcis−Pt(15NH32Cl2195 PtNMRスペクトルである。
【図2】 リポソームに取り込まれたシスプラチンの195PtNMRスペクトルである。
【図3A】 シスプラチン含有リポソームの、31P NMRスペクトルである。
【図3B】 対照のプラシーボリポソームの、31P NMRスペクトルである。
【図4A】 水中のcis−Pt(15NH32Cl2の異核単量子干渉分光学により得られ
たスペクトルである。
【図4B】 図4Aの、領域l(b)の拡大である。
【図5】 リポソームにカプセル化後にcis−Pt(15NH32Cl2の異核単量子干
渉分光学により得られたスペクトルである;“x”により示されるピークは確認
されていない。
【図6】 ピーク1〜7がcis−Pt(15NH32Cl2−ヒスチジン種に起因してい
る、ヒスチジン緩衝剤の存在下に取り込まれた後のcis−Pt(15NH32
2の、異核単量子干渉分光学により得られたスペクトルである。
【図7】 N−アセチル−ヒスチジンと共にインキュベーション後のシスプラチンの異核
単量子干渉分光学により得られたスペクトルである。
【図8】 結晶シスプラチン、溶解化シスプラチン、及び3種のリポソームカプセル化シ
スプラチンサンプル(液体、凍結及び凍結乾燥)のk2−加重PtL3−端延長
化x線吸収微細構造(EXAFS)スペクトルである。そのスペクトルは、透明
に対して垂直に移動され、そして(点線により表される)データの最良が実線に
より表される。
【図9】 実線が実験データを表し、そして最良適合化モデル関数が破線によりて表され
る、結晶シスプラチンのEXAFSスペクトルのk2−加重フーリェ変換である
【図10】 図9におけると同じ表記法を用いて、水中に溶解されたシスプラチンのEXA
FSスペクトルのk2−加重フーリェ変換である。
【図11】 図9におけると同じ表記法を用いて、リポソームに取り込まれたシスプラチン
の液体サンプルのEXAFSスペクトルのk2−加重フーリェ変換である。
【図12】 図9におけると同じ表記法を用いて、リポソームに取り込まれたシスプラチン
の凍結サンプルのEXAFSスペクトルのk2−加重フーリェ変換である。
【図13】 図9におけると同じ表記法を用いて、リポソームに取り込まれたシスプラチン
の凍結乾燥サンプルのEXAFSスペクトルのk2−加重フーリェ変換である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,UZ,VN, YU,ZA,ZW (72)発明者 ラジック、ダニロ、ディー アメリカ合衆国 カリフォルニア、ニュー アーク、バークデイル ドライブ 7512 (72)発明者 ペレグ − シュルマン、タル イスラエル国 ギヴァタイム、アクデュッ ト ハヴァダ ストリート 1 Fターム(参考) 4C076 AA19 CC27 DD37 DD63 DD70 EE23 FF15 FF16 FF43 GG46 4C086 AA10 HA12 HA24 HA26 MA02 MA03 MA05 MA24 NA02 NA05 ZB26 4G005 AA07 AB03 BB20 BB24 DB02X DB12X DB22X DC15W DC18W DD24Y EA03

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 条件に応答して少なくとも2倍増大を示すことができる室温
    水溶性を有する化合物を選択し; リポソーム中に取り込まれたときの該化合物の沈殿を阻止するのに有効な寸法
    のリポソームを選択し;そして 過飽和状態でリポソーム中に該化合物を取り込む; ことからなるリポソームを製造する方法。
  2. 【請求項2】 該化合物を選択することが、(i)溶媒温度を増大させる、
    (ii)共同溶媒を添加する、そして(iii)溶媒pHを変化させる、ことか
    らなる群から選ばれた条件に応答して周囲の温度で増大した水溶解度を有する化
    合物を選択することを包含する、請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 リポソームを選択することが、約60nm〜約1000nm
    のリポソーム寸法を有するリポソームを選択することを包含する、請求項1の方
    法。
  4. 【請求項4】 リポソームを選択することが、約60nm〜約1000nm
    のリポソーム寸法間隔で、取り込まれた化合物を有するリポソームを造り、そし
    て沈殿した化合物の存在及び不存在についてリポソームを分析することを包含す
    る、請求項1の方法。
  5. 【請求項5】 リポソームを選択することが、約60〜約1000nmのリ
    ポソーム寸法間隔で、取り込まれた化合物を有するリポソームを造り、そして沈
    殿した化合物の存在及び不存在についてリポソームを分析することを包含する、
    請求項1の方法。
  6. 【請求項6】 取り込みが脂質の溶液を調製することを包含する、請求項1
    の方法。
  7. 【請求項7】 調製が親水性重合体で誘導された脂質を含む脂質の溶液を調
    製することを包含する、請求項6の方法。
  8. 【請求項8】 調製が硬質脂質二重層を形成するために有効な脂質の溶液を
    調製することを包含する、請求項6の方法。
  9. 【請求項9】 室温溶解度限界以上に医薬を維持するために選ばれた条件を
    、外部リポソーム懸濁液媒体から取り出すことをさらに包含する、請求項1の方
    法。
  10. 【請求項10】 化合物が過飽和条件でリポソームの中心区画に取り込まれ
    ている、請求項1に記載の組成物。
  11. 【請求項11】 小胞形成性脂質からなるリポソームの懸濁液、及び リポソーム中に取り込まれた化合物、 を含み、取り込まれる前の該化合物が過飽和状態でリポソーム中に維持されてい
    る、リポソーム組成物。
  12. 【請求項12】 化合物が、(i)溶媒温度を増大させる、(ii)共同溶
    媒を加える、及び(iii)溶媒のpHを変化させる、ことからなる群から選ば
    れた条件に応答して、水性溶解度において2倍の増大を示す、請求項11の組成
    物。
  13. 【請求項13】 リポソームが約60nm〜約1000nmのリポソーム寸
    法を有する、請求項11の組成物。
  14. 【請求項14】 リポソームが親水性重合体鎖で誘導化された脂質をさらに
    含む、請求項1の組成物。
  15. 【請求項15】 リポソームが飽和された小胞形成性燐脂質を含む、請求項
    1の組成物。
  16. 【請求項16】 リポソーム内部水性区画に取り込むために適した化合物の
    水性濃縮液を造り; 化合物の濃縮された溶液を用いて、脂質フイルム又は脂質溶液をリポソームを
    形成するために水和し;そして 沈殿した化合物の形成を阻止するのに有効な寸法にリポソームを寸法調節し、
    それにより過飽和状態で取り込まれた化合物を維持する、 ことを含むリポソームを調製するための方法。
  17. 【請求項17】 リポソームの寸法の選択が、内部リポソーム区画に沈殿し
    た医薬の形成を阻止するのに有効なリポソーム寸法を包含する、請求項11の組
    成物。
  18. 【請求項18】 親水性重合体鎖がポリエチレングリコールである、請求項
    14の組成物。
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