JP2003514962A - 多孔質架橋ポリマー材料の製法 - Google Patents
多孔質架橋ポリマー材料の製法Info
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Abstract
Description
nal Phase Emulsion;以下、単にHIPEとも略す)を重合して、表面も内部も
連通孔の形成されている連続気泡(open cell;以下、オープンセルとも称す)
を有する多孔質架橋ポリマー材料を製造するに際して、非常に短時間でHIPE
を後硬化させて当該多孔質架橋ポリマー材料を製造する方法に関するものである
。より詳しくは、本発明は、(1)液体吸収材;例えば、尿、血液などの体液
の吸収材としておむつのコア材などに利用できるほか、水、油、有機溶剤など
の吸収材として廃水、廃油処理剤、廃溶剤処理剤などに、また(2)エネルギー
吸収材;例えば、音、熱の吸収材として自動車、建築用の防音材、断熱材などに
、さらに、(3)薬剤含浸基材;例えば、芳香剤、洗浄剤、つや出し剤、表面保
護剤、難燃化剤などを含浸させた家庭用品などに幅広く利用できる連続気泡を有
する多孔質架橋ポリマー材料の製造方法に関するものである。
)が約3/1以上のエマルションをいう。このHIPEを重合させて、多孔質架
橋ポリマー材料を製造することは公知である。
ー材料(以下、単にフォームともいう)は、比較的大孔径の独立気泡のフォーム
が得られやすいのに比べ、HIPEから多孔質架橋ポリマー材料を製造する方法
(以下、単にHIPE法ともいう)は、孔径の微細な連続気泡の低密度のフォー
ムの製法として優れている。
昭57−198713号公報、WO97−27240号公報及び特表平7−50
7340号公報に記載されている。
剤を含んだHIPEを作製し、これを50℃あるいは60℃で8時間から72時
間加熱重合する方法が開示されている。また、WO97−27240号公報には
、HIPEを袋状のフィルムに入れて巻き取り硬化させてシート状多孔質架橋ポ
リマー材料を製造する方法、さらに特表平7−507340号公報には、65℃
未満の温度でエマルションから所定の動的剪断弾性率を有するゲルを形成させ、
その後に70℃以上の温度で重合させる方法が開示されている。特表平7−50
7340号公報においてゲルを形成させるのは、エマルションが高温では不安定
であるため、ゲルの形成によってエマルションの強度を確保し、次いで重合させ
るためである。更に、短時間で多孔質架橋ポリマー材料を得るために、重合触媒
を重合可能なモノマーの重量を基準として0.005〜15重量%配合し、この
エマルションをプレキュアーしてゲルを形成している。
報に開示されている方法は、重合時間が長く生産効率が良くない。また、特表平
7−507340号公報のように、65℃未満の温度でエマルションから所定の
動的剪断弾性率を有するゲルを形成させ、その後に70℃以上の温度で重合させ
ると比較的短時間で重合できるとするものの、なお数時間程度の重合時間を必要
とする。
方法が有効である。しかし、重合速度とポリマー分子量は反比例することが多く
、重合時間を短縮させるとHIPEに含まれるポリマー分子量の低下を伴い、こ
の低下によって吸収特性、機械的強度などの性能低下を生じることが多い。多孔
質架橋ポリマー材料の製造において、特に一時間以内という短時間で重合を完了
しようとすると、著しい性能の低下が生じる。そこで、本発明の目的は、上記技
術的課題を解決し、HIPEの安定性を損なわず、かつ非常に短時間でHIPE
を重合させる多孔質架橋ポリマー材料の製造方法を提供するものである。
造方法を開発すべく鋭意検討した結果、HIPEを臭素価が重合前の25%の値
以下になるまで重合させた後、活性エネルギー線の照射、または重合温度より高
温で後硬化して架橋を進めることにより、十分な機械的強度を有する多孔質架橋
ポリマー材料が短時間で得られ、その吸収特性も優れることを見出し、本発明を
完成させるに至ったものである。
HIPEの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後、得られた多孔
質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化する工
程を含む多孔質架橋ポリマー材料の製法。
できないような非常な短時間で、多孔質架橋ポリマー材料の後硬化することがで
き、吸収特性および機械的強度に優れた多孔質架橋ポリマー材料が効率よく製造
できる。
置の1つである連続重合装置を用いた多孔質架橋ポリマー材料の代表的な一実施
態様を表すフロー図である。
て、HIPEの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後、得られた
多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化す
る工程を含む多孔質架橋ポリマー材料の製法である。
たところ、HIPEの重合には、多孔質架橋ポリマー材料の骨格を形成する重合
性モノマーの重合段階と、次いで生ずる三次元架橋を形成するための架橋剤によ
る重合との二段階があり、特に後者の重合(後硬化と称す。)において前者より
高エネルギーの重合条件で処理すると、HIPEの安定性を損なわずに短時間で
重合でき、しかも得られた多孔質架橋ポリマー材料の機械的強度、吸収性などの
特性が向上することを見出したのである。更に、開始剤種と重合温度を選択する
事によって、所定重合時間(1時間以内)に分解する開始剤量、すなわち、発生
するラジカル量を単量体を実質的に消失させる量とする事によって、前段重合を
1時間以内と言う短時間で完了出来る事が明らかになった。なお、前段重合と後
硬化の目安は、HIPEの臭素価が重合前の25%以下になる時点であることも
判明した。なお、本発明における「油中水型エマルションの臭素価」は、後記す
る実子例の臭素価の測定の項に記載した方法によるものとする。本発明によれば
、HIPEの臭素価が重合前の25%以下になる時点を「HIPEを重合性モノ
マーの重合が完了した時点」とし、次い得られた多孔質架橋ポリマー材料を前段
重合よりも高エネルギーの重合条件で処理することで、たとえば30分〜1時間
という短時間で、機械的特性、吸収性などの特性に優れる多孔質架橋ポリマー材
料を得る事ができるのである。
例を、図1のフローを用いて説明する。図1に示すように、HIPE101をH
IPE供給部119から連続的にシート材203上に供給し、回転ローラー20
9の設定高さ調整により所定厚みのシート状に成形する。シート材203はコン
ベアベルト201と同期できるように巻出・巻取ローラーに208,212の回
転速度が制御される。シート材205はHIPE101の厚さが一定になるよう
にテンションをかけながら回転ローラー209,211と巻出・巻取ローラー2
07,213により回転速度を制御する。該コンベアベルト201の下部から温
水シャワーからなる加熱昇温手段219とコンベアベルト上方から熱風循環装置
からなる加熱昇温手段217によって、重合炉215内でHIPE101を重合
させて多孔質架橋重合体102を得る。次いで、上下のシート材203、205
をはがした後、活性エネルギー線照射装置501によって活性エネルギー線を多
孔質架橋重合体102に照射して後硬化を行う。該多孔質架橋重合体102’を
脱水装置303の回転ロールによる搬送用コンベア302によって回転するベル
ト上に載せ、ベルトの上下に設けた圧縮ロール301の間に挟んでロールを回転
しつつ脱水する。なお、脱水した多孔質架橋重合体102’は連続して設けたエ
ンドレスバンドナイフ式スライサー401に移送させ回転するバンドナイフ40
2により厚み方向にスライスすることもできる。
)界面活性剤を油相を構成する必須成分として含有し、(d)水を水相を構成す
る必須成分として含有するものであればよい。さらに、必要に応じて、(e)重
合開始剤、(f)塩類、(g)その他の添加剤を油相および/または水相を構成
する任意成分として含有するものであってもよい。
ればよく、分散または油中水滴型高分散相エマルション中で重合可能であって気
泡を形成できれば特に制限されるものではない。好ましくは少なくとも1部は(
メタ)アクリル酸エステルを含むものであり、より好ましくは(メタ)アクリル
酸エステルを20質量%以上を含むものであり、特に好ましくは(メタ)アクリ
ル酸エステルを35質量%以上を含むものである。重合性単量体として、(メタ
)アクリル酸エステルを含有することにより、柔軟性や強靭性に富む多孔質架橋
ポリマー材料を得ることができるため望ましい。
、エチルスチレン、アルファメチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルエチルベ
ンゼンなどのモノアルキレンアリレン単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブ
チル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル
、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アク
リル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸
エステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロメチルスチレン等の塩素含有単
量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリロニトリル化合物;そ
の他、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−オクタデシルアクリルアミド、エ
チレン、プロピレン、ブテン等が例示できる。これらは、1種を単独で使用する
他、2種以上を併用してもよい。
量体成分全体の質量に対し、10〜99.9質量%の範囲であることが好ましい
。この範囲で、微細な孔径の多孔質架橋ポリマー材料が得られるからである。よ
り好ましくは30〜99質量%、特に好ましくは30〜70質量%の範囲である
。重合性単量体の使用量が10質量%未満の場合には、得られる多孔質架橋ポリ
マー材料が脆くなったり吸水倍率が不充分となることがある。一方、重合性単量
体の使用量が99.9質量%を超える場合には、得られる多孔質架橋ポリマー材
料の強度、弾性回復力などが不足したり、充分な吸水量および吸水速度を確保で
きないことがある。
るものであればよく、上記重合性単量体と同様に、分散または油中水滴型高分散
相エマルション中で重合可能であって気泡を形成できれば特に制限されるもので
はない。
、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、p−エチル−ビニルベンゼン、ジビニ
ルナフタレン、ジビニルアルキルベンゼン類、ジビニルフェナンスレン、ジビニ
ルビフェニル、ジビニルジフェニルメタン、ジビニルベンジル、ジビニルフェニ
ルエーテル、ジビニルジフェニルスルフィド等の芳香族系単量体;ジビニルフラ
ン等の酸素含有単量体;ジビニルスルフィド、ジビニルスルフォン等の硫黄含有
単量体;ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン等の脂肪族単量体;エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1
,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(
メタ)アクリレート、オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(
メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ
)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)
アクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリアリルアミン、テトラアリロ
キシエタン、並びにヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ソルビトール
などの多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル化合物などが
例示できる。これらは、1種を単独で使用する他、2種以上を併用してもよい。
量体成分全体の質量に対し、0.1〜90質量%の範囲であることが好ましく、
より好ましくは1〜70質量%、特に好ましは30〜70質量%の範囲である。
上記架橋性単量体の使用量が0.1質量%未満では、得られる多孔質架橋ポリマ
ー材料の強度、弾性回復力などが不足したり、単位体積当たりまたは単位重量当
たりの吸収量が不十分となり、充分な吸水量および吸水速度を確保できないこと
がある一方、上記架橋性単量体の使用量が90質量%を越えると、多孔質架橋ポ
リマー材料が脆くなったり吸水倍率が不充分となることがある。
であれば特に制限はなく、従来公知のノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活
性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を使用することができる。
キサイド付加物;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロックポリマ
ー;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノミリスチレート、ソルビタンモ
ノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、
ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレ
エート、ソルビタンジステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセロー
ルモノステアレート、グリセロールモノオレエート、ジグリセロールモノオレエ
ート、自己乳化型グリセロールモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル
;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、
ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル
、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル等のポリオキシエチレンアルキル
エーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレン
アルキルアリールエーテル; ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタン
モノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキ
シエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオ
レエート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート等のポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸エステル;テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット
等のポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール
モノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリ
コールジステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシ
エチレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルアミン;ポリオキシエチ
レン硬化ヒマシ油;アルキルアルカノールアミド等があり、特にHLBが10以
下、好ましくは2〜6のものが好ましい。これらのうち2種以上のノニオン性界
面活性剤を併用してもよく、併用によりHIPEの安定性が改良される場合があ
る。
ド、ジタロウジメチルアンモニウムメチルサルフェート、セチルトリメチルアン
モニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、アルキル
ベンジルジメチルアンモニウムクロライド等の第四級アンモニウム塩;ココナッ
トアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウ
リルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルベタイン、ステアリルベタイ
ン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の
アルキルベタイン;ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイドが
ある。カチオン性界面活性剤を用いることにより、得られる多孔質架橋ポリマー
材料を吸水材等に利用する場合に優れた抗菌性等を付与することもできる。
安定性が改良される場合がある。
全体の質量100質量部に対し、1〜30質量部であることが好ましく、より好
ましくは3〜15質量部である。界面活性剤の使用量が1質量部未満の場合には
、HIPEの高分散性が不安定化することがあったり、界面活性剤本来の作用効
果が充分に発現できないことがある。一方、上記界面活性剤の使用量が30質量
部を超える場合には、得られる多孔質架橋ポリマー材料が脆くなり過ぎることが
あり、これを超える添加に見合うさらなる効果が期待できず、不経済である。
質架橋ポリマー材料を製造して得た廃水をそのまままたは所定の処理を行ったも
のを使用することができる。
えば、吸水材、吸油材、防音材、フィルターなど)等によって適宜選択すること
ができる。すなわち、水の使用量は、HIPEの水相/油相(W/O)比を変化
させることによって多孔質架橋ポリマー材料の空孔比率が決定されることから、
用途、目的に合致する空孔比率になるようにW/O比を選択すれば、自ずと決定
される。
合開始剤を用いることが好ましい。該重合開始剤としては、逆相乳化重合で使用
できるものであればよく、水溶性、油溶性の何れも使用することができる。
ミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;過酢酸カリウム、過酢酸ナトリウム、過炭
酸カリウム、過炭酸ナトリウム等の過酸化物等が挙げられる。
ルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ
−t−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p
−メンタンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペ
ルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド、ベン
ゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシドなどの過酸化物などが挙
げられる。これら重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用
してもよい。10時間で濃度が半分になるときの温度である10時間半減期温度
の異なる2種以上の重合開始剤を併用する事が好ましい。当然のことながら、水
溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とを併用してもよいことはいうまでもない。
重合開始剤の組み合わせにもよるが、重合性単量体と架橋性単量体からなる単量
体成分全体の質量100質量部に対し、0.05〜25質量部の範囲であること
が好ましく、より好ましくは1.0〜10質量部である。上記重合開始剤の使用
量が0.05質量部未満の場合には、未反応の単量体成分が多くなり、従って、
得られる多孔質架橋ポリマー材料中の残存単量体量が増加するので好ましくない
。一方、上記重合開始剤の使用量が25質量部を超える場合には、重合の制御が
困難となったり、得られる多孔質架橋ポリマー材料中の機械的性質が劣化するの
で好ましくない。
子量の重合性ポリマーの発生を防止するために、後記するHIPEの重合条件に
おいて、HIPEの前段重合の重合時間内に重合を完結し得る量のラジカルを発
生する添加量とすることが好ましい。重合開始剤は分解によってその性能を発揮
するものであり、分解が不十分では添加量の過多によらず優れた特性を有する高
分子ポリマーを得る事ができないからである。
を1時間以内で進行させるには、重合時間内に分解し終わる重合開始剤の量を単
量体成分に対して、0.05〜5.0モル%の範囲、より好ましくは1〜3モル
%とすることが好ましい。ただし、重合開始剤が分解して発生するラジカル数n
が、n>2の場合には、これらの重合開始剤量の値をn/2倍した範囲とするこ
とが好ましい。この値は、重合時間内に分解し終わる重合開始剤量であり、その
量がこの範囲に制御されている限り、使用される重合開始剤の総量は特に制限さ
れない。重合時間内に分解し終わる重合開始剤量が、0.05モル%未満の場合
には、重合時間内に重合が所定の臭素価まで進行しがたくなる。ただし、重合開
始剤が分解して発生するラジカル数nが、n>2の場合には、これらの重合開始
剤量の値をn/2倍した範囲とすることが好ましい。この値は、重合時間内に分
解し終わる重合開始剤量であり、その量がこの範囲に制御されている限り、使用
される重合開始剤の総量は特に制限されない。重合時間内に分解し終わる重合開
始剤量が、0.05モル%未満の場合には、重合時間内に重合が所定の臭素価ま
で進行しがたくなる。
系を使用しても良い。この場合、重合開始剤としては、水溶性、油溶性の何れも
使用することができ、水溶性レドックス重合開始剤系と油溶性レドックス重合開
始剤系とを併用してもよい。
亜硫酸水素カリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、L−アスコルビ
ン酸、第1鉄塩、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシレート、グルコース、
デキストロース、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。
また、油溶性還元剤としては、例えば、ジメチルアニリン、オクチル酸スズ、ナ
フテン酸コバルト等が挙げられる。これらレドックス重合開始剤系の還元剤は、
単独で用いてもよく、また、2種類以上を併用してもよい。
始剤(酸化剤)/還元剤=1/0.01〜1/10、好ましくは1/0.2〜1
/5程度である。
PEの重合時に存在していればよく、後述するように、油相および/または水
相中に予め添加してHIPEを形成しても良いほか、HIPEを形成させると
同時に、または形成させた後に、添加しても良い。また、レドックス重合開始
剤系の場合には、重合開始剤(酸化剤)と還元剤を別々のタイミングで添加させ
ても良い。
もよい。
リウム、硫酸マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属のハロゲン化
物、硫酸塩、硝酸塩などの水溶性塩が挙げられる。これらの塩類は、単独で用い
てもよく、また、2種類以上を併用してもよい。これらの塩類は、水相中に添加
することが好ましい。なかでも、重合時のHIPEの安定性の観点から多価金属
塩が好ましい。
ことが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。塩類の使用量が2
0質量部を超える場合には、HIPEから搾り出された廃水中に多量の塩類を含
むことになり、廃水を処理するコストがかさみ、これを超える添加に見合うさら
なる効果も期待できず不経済である。塩類の使用量が0.1質量部未満の場合に
は、塩類の添加による作用効果が十分に発現できないおそれがある。
製造条件や得られるHIPE特性や多孔質架橋ポリマー材料の性能の向上につな
がるものであれば適当に使用しても良く、例えば、pH調整のために、塩基およ
び/または緩衝剤を加えても良い。これらの他の添加剤の使用量については、そ
れぞれの添加の目的に見合うだけの性能・機能、さらには経済性を十分に発揮で
きる範囲内で添加すればよい。このような添加剤としては、活性炭、無機粉末、
有機粉末、金属粉末、消臭剤、抗菌剤、防かび剤、香料、各種高分子などが例示
できる。
のではなく、従来既知のHIPEの調製法を適宜利用することができる。以下に
その代表的な調製法につき、具体的に説明する。
び界面活性剤、さらに必要に応じて添加し得る油溶性重合開始剤(油溶性レドッ
クス重合開始剤系を含む)、その他の添加剤からなる油相を構成する成分を所定
温度で撹拌し均一の油相を調製する。
得る水溶性重合開始剤(水溶性レドックス重合開始剤系を含む)、塩類、その他
の添加剤からなる水相を構成する成分を加えながら撹拌し、30〜95℃の所定
温度に加温して均一の水相を調製する。
相と、水、水溶性塩などの混合物である水相とを合一し、以下に説明するHIP
Eの形成温度(乳化温度)にて、効率良く混合撹拌して適度のせん断力をかけ、
乳化することによってHIPEを安定に調製することができる。特に、HIPE
を安定に調製するための水相と油相の撹拌・混合法としては、油相の撹拌下、油
相に水相を数分ないし数十分に亘って連続的に添加する方法が好ましい。また、
水相成分の1部と油相成分とを撹拌・混合してヨーグルト状のHIPEを形成し
、その後に残りの水相成分を加えながら撹拌・混合して所望のHIPEを製造し
ても良い。
を有する多孔質架橋ポリマー材料の使用目的(例えば、吸水材、吸油材、防音材
、フィルターなど)等によって適宜選択することができるものであり、特に制限
されるものではなく、先に規定したとおり1/3以上のものであればよいが、好
ましくは10/1〜250/1、特には10/1〜100/1である。なお、W
/O比が3/1未満の場合には、多孔質架橋ポリマー材料の水やエネルギーを吸
収する能力が不充分で、開口度も低くなり、得られる多孔質架橋ポリマー材料の
表面の開口度が低くなり、十分な通液性能等が得られないおそれがある。但し、
W/O比を変化させることによって多孔質架橋ポリマー材料の空孔比率が決定さ
れる。したがって、用途、目的に合致する空孔比率になるようにW/O比を選択
することが望ましい。例えば、オムツや衛生材料等その他各種吸収材として使う
場合、W/O比は10/1〜100/1程度とするのが好ましい。なお、水相と
油相との撹拌・混合により得られるHIPEは、通常、白色、高粘度のエマルシ
ョンである。
造装置を利用することができる。例えば、水相と油相とを混合撹拌するために使
用する撹拌機(乳化器)としては、公知の撹拌機、混練機が使用できる。例えば
、プロペラ型、櫂型、タービン型などの羽根の撹拌機、ホモミキサー類、ライン
ミキサー、ピンミルなどが例示でき、これらの何れでもよい。
PEの安定性の点からは、好ましくは30〜95℃の範囲、より好ましくは40
〜95℃、特に好ましくは40〜85℃、最も好ましくは55〜70℃の範囲で
ある。HIPEの形成温度が20℃未満の場合には、硬化温度によっては加熱に
長持間を有する場合があり、一方、HIPEの形成温度が100℃を超える場合
には、形成したHIPEの安定性に劣る場合がある。なお、油相および/または
水相の温度を予め所定の形成温度(乳化温度)に調整しておいて撹拌・混合して
乳化し、所望のHIPEを形成することが望ましい。ただし、HIPEの調製(
形成)では、水相の分量が多いため、少なくとも水相の温度を所定の形成温度(
乳化温度)に調整することが好ましいといえる。また、乳化中に重合性単量体や
架橋性単量体の重合が開始され、重合体が生成するとHIPEが不安定になるこ
とがあるので、重合開始剤(レドックス重合開始剤系を含む)を予め含むHIP
Eを調製する場合は、HIPEの形成温度(乳化温度)は、重合開始剤(酸化剤
)が実質的に熱分解を起こさない温度とするのが好ましく、重合開始剤(酸化剤
)の半減期が10時間である温度(10時間半減期温度)より低温で乳化するの
がより好ましい。
剤を予め添加、混合するか、HIPEを形成させると同時に、またはHIP
Eを形成させた後に重合開始剤を添加させる。による場合にも、上記HIPE
の調製法において説明したと同様に、レドックス重合開始剤系を用いても良い
。
添加しておく方法が簡便である。また、水相に油溶性重合開始剤(酸化剤)また
は還元剤の乳化物を加える方法なども例示できる。
どの形態で使用することができる。HIPEを形成させると同時に、またはHI
PEを形成させた後に添加した場合、添加した重合開始剤は、単量体成分の不均
一な重合を回避するためにHIPEにすばやく均一に混合することが重要である
。さらに、重合開始剤を混合したHIPEは、速やかに重合装置である重合容器
あるいは連続重合機に導入する。かかる観点から、HIPEを調製する乳化器か
ら重合容器あるいは連続重合機への経路に、還元剤または酸化剤(重合開始剤)
導入経路を設けてHIPEに添加しラインミキサーで混合するなどの方法が推奨
される。
は、乳化温度が硬化温度に近く乳化中に重合性単量体や架橋性単量体の重合が開
始され、重合体が生成するとHIPEが不安定になることがあるので、同様にし
て還元剤または酸化剤(重合開始剤)を重合直前に加える方法(上記または
)が望ましい。
たと同様であり、変わるものではない。
分散してなる水滴構造が破壊されない条件下で静置重合法で重合する。この場合
、かかるHIPEをバッチごとに重合するバッチ重合でも、あるいは連続的にフ
ィードしながら、キャストして重合する連続重合でもよい。
バッチ重合より、後硬化工程に重合で熱せられた多孔質架橋ポリマー材料を供給
できる連続重合の方が好ましい。例えば、走行するベルト上にHIPEを連続的
にキャストして重合する連続重合法を採用することが好ましい。また、連続重合
法による場合は、均質化されていたHIPEの油相と液相とが上下方向に偏向分
離しやすく比較的脆性なHIPEの性状から勘案して、シート状ないしフィルム
状のHIPEを水平搬送しながら重合して、シート状ないしフィルム状の形態の
多孔質架橋ポリマー材料を形成することが望ましい。この場合にもブロック(ま
たはシート)状に重合してから、例えば、厚さ各5mmのシート状などに切断す
るなど任意の形態に加工することもできる。
し、次いでこれらを連続的に重合装置で硬化する場合をいい、「バッチ法」とは
、HIPEを所定の形状に賦形した後、賦形されたHIPEを適当な個数毎にま
とめて重合器中で重合および硬化させる操作を行うことをいう。
果と重合装置の短縮化とを最も有効に利用できるので好ましい方法である。具体
的には、シート状の多孔質架橋ポリマーの連続重合法としては、例えば、加熱装
置によってベルトコンベアーのベルト表面が加温される構造等の、走行するベル
ト上にHIPEを連続的に供給し、ベルトの上で平滑なシート状にHIPEを賦
形しつつ後硬化する方法がある。該コンベアーのエマルション接触面が平滑であ
れば、予備重合したHIPEを所定厚みでベルト上に供給することで所望の厚み
の連続したシート状物を得ることができる。
状のメス型に注入して重合および後硬化する方法、即ち注型重合を行うこともで
きる。なお、注型重合は上記のごとくバッチ法でもよく、型を連続して走行させ
る連続法でもよい。
Eの安定性、重合速度の観点から、好ましくは60〜120℃の範囲、より好ま
しくは75〜120℃、特に好ましくは85〜110℃の範囲である。重合温度
が常温未満では、重合に長時間を要し、工業的に好ましくない場合がある。他方
、重合温度が150℃を越える場合には、得られる多孔質架橋ポリマー材料の孔
径が不均一となったり、また多孔質架橋ポリマー材料の強度が低下するため好ま
しくない場合がある。また、重合温度は、重合中に2段階、さらには多段階に変
更させてもよく、こうした重合の仕方を排除するものではない。
5%以下、より好ましくは25〜10%、特に好ましくは15〜10%の範囲に
なるまでの時間をいう。本発明ではこの時間についての特別の制限はない。しか
しながら、本発明のHIPEの重合時間は、1時間以内の範囲である。好ましく
は30分以内、特に好ましくは1〜20分、特に好ましくは1〜10分の範囲で
ある。重合時間が1時間を超える場合には、生産性に劣り工業的に好ましくない
場合がある。なお、1分未満の場合には、多孔質架橋ポリマー材料の強度が十分
でない場合がある。勿論上記より長い重合硬化時間を採用することを排除するも
のではない。
、従来公知の化学装置から、それぞれの重合法に適したものを利用ないし改良し
て使用することができる。例えば、バッチ重合では、使用目的に応じた形状の重
合容器を、連続重合では水平に設置されたベルトコンベア、または所望の注型が
連結して走行するような連続重合機を利用することができ、さらにこれらには重
合法に適した加熱昇温手段や制御手段等、例えば、放射エネルギー等を利用でき
るマイクロ波や近赤外線などの活性熱エネルギー線、あるいは熱水や熱風などの
熱媒等により迅速に硬化温度まで加熱昇温し得るような加熱昇温手段が併設され
てなるものであるが、これらに限定されるものではない。また、バッチ重合する
場合に重合容器に注入されたHIPE表面や、連続重合する場合にコンベア等の
駆動搬送体上に成形されたHIPEの表面(上面及び下面の両方)部は、重合開
始時〜完了時まで空気(詳しくは空気中の酸素分)と非接触状態にすると、重合
を円滑に進行させ、表面をオープンセルにする効果もあるので、HIPE表面を
不活性ガス、またはフィルムやシートで覆うことが望ましい。また、これら重合
装置等の材質に関しては、特に限定されるものではなく、例えば、アルミニウム
、鉄、ステンレス鋼などの金属(合金を含む)製、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル樹脂などの合成樹脂製、
これらの合成樹脂をガラス繊維や炭素繊維などの繊維で補強した繊維強化樹脂製
(FRP)などを使用できる。
25%の値以下になるまで重合させた後、該多孔質架橋ポリマー材料を後硬化す
る。後硬化は重合に引き続いて工程を中断することなく、実施することがエネル
ギーロスが少ないので好ましい。好ましくは25%以下、より好ましくは25〜
10%、特に好ましくは15〜10%の値になるまで重合させた後、後硬化する
のがよい。後硬化の時期が25%を超える場合に後硬化を行ってもHIPEの多
孔質構造が破壊されたり、孔径が変化することがあり十分な性能を有する多孔質
架橋ポリマー材料が得られない。
重合させた後、多孔質架橋ポリマー材料に重合開始剤を添加してから後硬化して
もよい。この時、重合開始剤の添加方法は例えば、水溶性重合開始剤を含む水溶
液を該多孔質架橋ポリマー材料にシャワーする方法や該多孔質架橋ポリマー材料
を水溶性重合開始剤を含む水溶液に浸漬する方法をとるのが好ましい。
とせず、特に後硬化条件を重合条件よりも高エネルギーで処理することで極めて
短時間に架橋剤を重合させることができ、しかも得られた多孔質架橋ポリマー材
料が優れた特性を保持し得るのである。したがって、本発明における後硬化は、
活性エネルギー線または重合温度より高温で行う事が出来る。
と電磁的共鳴を起こして効果的に吸収されその温度を高めるとする熱作用)を利
用できる遠赤外線(可視光線の赤色端からマイクロ波のミリメートル波に至る赤
外線のうち、波長20μm〜1mmの電磁波)および近赤外線(可視光線の赤色
端からマイクロ波のミリメートル波に至る赤外線のうち、波長0.75μm〜2
0μmの電磁波)、高周波誘電加熱(高周波電場(数メガヘルツ〜数ギガヘルツ
)中で絶縁物が誘電損失により発熱する現象を利用したもので物体の内部から加
熱される利点がある)を利用できるマイクロ波(波長1メートル〜数ミリメート
ル、周波数300〜数十万メガヘルツの電磁波)、電子線、紫外線などが挙げら
れる。活性エネルギー線の多孔質架橋ポリマー材料への照射方法は特に限定され
ないが、本発明の特徴である短時間後硬化の効果をよりよく生かすために、重合
工程に引き続いて重合温度に保たれた多孔質架橋ポリマー材料に活性エネルギー
線を照射する事が好ましい。特に後硬化時間を短縮する観点からは、透過性が高
く熱損失が少なくエネルギー効率が高く、装置も簡易でコンベヤ方式(連続後硬
化)による生産に向く近赤外線を使用することが好ましい。
装置を用いて行う事が出来る。本発明の特徴である短時間後硬化の効果をよりよ
く生かすために、重合工程を終了後引き続きHIPEをより高温に加熱して後硬
化する事が好ましい。後硬化温度は通常、60〜170℃の範囲である。後硬化
時間の観点から、好ましくは80〜160℃の範囲、より好ましくは95〜16
0℃、特に好ましくは110〜150℃の範囲である。後硬化温度が60℃未満
では、後硬化に長時間を要し、工業的に好ましくない場合がある。他方、後硬化
温度が160℃を越える場合には、後硬化の温度まで昇温するのに長時間を要し
好ましくない。また、後硬化温度は、後硬化中に2段階、さらには多段階に変更
させてもよく、こうした後硬化の仕方を排除するものではない。また、高含水率
の多孔質架橋ポリマー材料を100℃より高い温度で後硬化する場合必要に応じ
て、例えばオートクレーブ等の装置を用いて大気圧より高い圧力を多孔質架橋ポ
リマー材料にかけてもよい。
できる。たとえば、図1に示す活性エネルギー線照射装置501を脱水ロール3
01による脱水処理工程の後段に配置するのである。すなわち、重合および後工
程を経て重合性モノマーの重合(前記する「前段重合」である)を完結した多孔
質架橋ポリマー材料は、通常、圧縮あるいは減圧吸引などで水相を除去する。脱
水すると多孔質架橋ポリマー材料の熱容量が小さくなり、または活性エネルギー
線の透過度が変化している場合がある。このため、後硬化が効率よく行えるので
ある。更に、脱水後に残存する水を乾燥させる工程を兼ねることができる。なお
、脱水すると水相に存在する重合開始剤が失われるので、脱水後の後硬化を行う
場合は、HIPEに配合する重合開始剤としては、油溶性開始剤を使用すること
が好ましい。すなわち、後硬化工程は、重合工程に引き続いて行うか、脱水工程
の後に行うことが好ましい。このような態様としては、たとえば、図1に示す活
性エネルギー線照射装置501を脱水ロール301による脱水処理工程の後段に
配置する。
法で重合を終了させた多孔質架橋ポリマー材料を個別に後硬化処理する方法であ
ってもよい。
となる範囲である。好ましくは後硬化時間として10秒〜30分、より好ましく
は10秒〜10分、特に好ましくは10秒〜5分の範囲である。後硬化時間が1
時間を超える場合には、生産性に劣り工業的に好ましくない場合がある。なお、
10秒未満の場合には、多孔質架橋ポリマー材料の強度が十分でない場合がある
。後硬化は、上記の方法と時間を適宜選択し、組み合わせて実施すればよいが、
後硬化によって多孔質架橋ポリマー材料の臭素価が10以下になるように方法と
時間を選択すると性能が顕著に改善されるので好ましい。
ず、重合された多孔質架橋ポリマー材料を冷却することなく、後述する脱水や圧
縮などの後処理工程に移行しても良い。
およびこれらの組み合わせによって脱水する。一般に、こうした脱水により、使
用した水の50〜98%の水が脱水され、残りは多孔質架橋ポリマー材料に付着
して残る。なお、前記のように、後硬化に先立って脱水することができる。
常、完全に乾燥した状態での多孔質架橋ポリマー材料1g当たり、1〜10gの
含水量、あるいは1〜5gの含水量となるように設定すればよい。
ることができる。圧縮したシート状などの形態は、元の多孔質架橋ポリマー材料
に比べて容積が小さく、輸送や貯蔵のコストを低減できる。圧縮形態の多孔質架
橋ポリマー材料は、多量の水に接すると吸水して元の厚みに戻る性質があり、吸
水速度は元の厚みのものより速くなる特徴がある。
マー材料を純水や任意の添加剤を含む水溶液、溶剤で洗浄してもよい。
クロ波などで加熱乾燥してもよく、また加湿して水分を調整してもよい。
、サイズに切断して各種用途に応じた製品に加工してもよい。
ることもできる。
いて、多孔質架橋ポリマー材料の性能は以下のようにして測定・評価した。
ポリマー材料の臭素価を測定した。
氷冷した溶液と、濃硫酸5±0.05gを氷酢酸10mlに入れ氷冷した溶液と
を混合する。この混合溶液に、臭素3.75±0.05gを氷酢酸10mlに入
れ氷冷した溶液を加え氷酢酸で全量を500mlとし褐色瓶に入れて冷暗所に保
管する。
に溶解し全量を500mlとする。調製後は一週間以内に使用する。
て全量を1000mlとして冷暗所に保管する。
00mlとする。
に0.01gの炭酸ソーダ(無水)を加え全量を水で1000mlとする。
ヨウ素酸カリウム(標準試薬、Mw=214.01)1.0〜1.5gを正しく
秤り、水250mlに溶解する。その25mlを共センフラスコにとり、ヨウ化
カリウム2gと硫酸(1+5)5mlを加え直ちに栓をして静かに振り暗所に5
分間放置した後、N/10チオ硫酸ソーダ標準液で滴定(指示薬:デンプン溶液
。ただし溶液が微黄色になってから加える)。式1によりfの値を求めた。
0/100)×25]/[滴定量(ml)/0.1] (7)臭素価測定操作方法: (i)多孔質架橋ポリマー材料約1gを純水で膨潤、脱水を2回行う。その後
1Lのプラスチック容器に入れ500mLの純水で1時間攪拌し洗浄する。硬化
物をろ紙(Whatman,GF/F,47mmΦ)でろ過する。
で3回洗浄を行う。3回目の洗浄は細かく砕かれた硬化物をえる為に終夜で攪拌
することが望ましい。なお、アセトンによる洗浄によって、臭素価の測定の対象
となる二重結合は、残存する重合性モノマーではなく、多孔質架橋ポリマー材料
に含まれる架橋剤となる。
N LHV-122)を用いて65℃で3時間減圧乾燥する。
り、アイスバスで0〜10℃に冷却する。
)してからヨウ素瓶に加える。次に、2.5%酢酸第二水銀水溶液25mlをメ
スシリンダーですばやく加え、栓をして振りまぜた後、0〜10℃のアイスバス
に浸し、正確に15分保管する(メスシリンダーで加える際、栓のすりあわせ部
分を充分しめらせる)。
25mlをのせ、アイスバス中にすりあわせ部まで浸けたまま栓をゆるめ、軽く
廻しながら徐々に流下させる。再び栓をして、約15秒間振りまぜた後、水10
0mlをメスシリンダーで栓の部分を洗いながら加える。
ったら1%デンプン指示薬を加え、ヨウ素デンプンの色が消えるまで滴定する(
Aml)。
する(Bml)。
燥した多孔質架橋ポリマー材料の代わりに、油相(モノマーと乳化剤の混合物)
を約0.1g用いて上記と同じ方法で測定する。
料を浸した。純水を吸収し膨張した試料を、直径120mm厚さ5mmのガラス
フィルター(#0:Duran社製)の上に30秒間放置して液切りを行なった
後、吸液した試料の重量を測定し、以下の式3で多孔質架橋ポリマー材料の自由
膨潤倍率(g/g)を求めた。
試料重量) <耐圧縮歪み性(RTCD)> 試料を厚さ5mm、直径2.87cmの円形状にカットする。カットした試料
を32度の生理食塩水につけ、つけた状態で死荷重厚さ計(小野測器製造のデジ
タルリニヤゲージ、モデルEG−225)を用いて無加圧時の厚さを測定する。
次に15分後試料に5.1kPaの荷重をかけ、厚さが平衡状態に達したときを
加圧時の厚さとして測定する。耐圧縮歪み性(RTCD)(%)を以下に示した
式4に従い算出する。
100 高含水率HIPEの調製例 高含水率HIPEを形成するための連続式乳化プロセスで使用する水相を、無
水塩化カルシウム36.3kgと過硫酸カリウム568gを純水378Lに溶解
して調製した。ついで、スチレン1600g、2−エチルヘキシルアクリレート
4800g、55%ジビニルベンゼン1600gの混合物にジグリセリンモノオ
レエート960gを添加し油相とした。水相は温度75度、流量56.5cm3
/s、油相は温度22℃、流量1.13g/sでそれぞれ別々に動的混合装置に
供給し、動的混合装置内で1800rpmで回転するピンインペラーによって完
全に混合、一部再循環し57.6cm3/sで油相の臭素価が120の高含水率
HIPEを得た。
けられたPETフィルムの間に流し込み、厚みを5mmに制御した後、帯状プレ
ート上で移動させ内部温度85℃に設定された硬化炉を移動速度20cm/mi
nで通過させて20分間で硬化させ臭素価が15の多孔質架橋ポリマー材料を得
た。得られた多孔質架橋ポリマー材料の自由膨潤倍率は47g/g、RTCDは
35%と高く加圧下でのひずみが大きく加圧下での性能が悪い物であった。
クエースに流し込み、窒素下で85℃に設定されたウォーターバスに20分間浸
けて硬化させて臭素価が15の多孔質架橋ポリマー材料を得た。得られた多孔質
架橋ポリマー材料の自由膨潤倍率は47g/g、RTCDは35%と高く加圧下
でのひずみが大きく加圧下での性能が悪い物であった。
に設定された比較例1と同じ硬化炉を移動速度10cm/minで通過させて4
0分間、重合と同じ温度で後硬化を行い臭素価が13の多孔質架橋ポリマー材料
を得た。得られた多孔質架橋ポリマー材料の自由膨潤倍率は47g/g、RTC
Dは25%と高く加圧下でのひずみが大きく加圧下での性能が悪い物であった。
けられたPETフィルムの間に流し込み、厚みを5mmに制御した後、帯状プレ
ート上で移動させ内部温度75℃に設定された硬化炉を移動速度20cm/mi
nで通過させて20分間で硬化させ臭素価が35の多孔質架橋ポリマー材料を得
た。得られた臭素価が35の多孔質架橋ポリマー材料にマイクロ波を1分間照射
すると水相の沸騰により多孔質架橋ポリマー材料が破壊され均一な多孔質架橋ポ
リマー材料を得ることができなかった。
イクロ波を1分間照射し臭素価が8の架橋密度の高い多孔質架橋ポリマー材料を
得た。得られた多孔質架橋ポリマー材料の自由膨潤倍率は47g/g、RTCD
は8%と低く加圧下でのひずみが小さく加圧下での性能が良い物であった。
間照射し臭素価が7の架橋密度の高い多孔質架橋ポリマー材料を得た。得られた
多孔質架橋ポリマー材料の自由膨潤倍率は47g/g、RTCDは7%と低く加
圧下でのひずみが小さく加圧下での性能が良い物であった。
間照射し臭素価が6の架橋密度の高い多孔質架橋ポリマー材料を得た。得られた
多孔質架橋ポリマー材料の自由膨潤倍率は47g/g、RTCDは7%と低く加
圧下でのひずみが小さく加圧下での性能が良い物であった。
製UV照射装置(メタルハライドランプ)で紫外線を3分間照射し臭素価が10
の架橋密度の高い多孔質架橋ポリマー材料を得た。得られた多孔質架橋ポリマー
材料の自由膨潤倍率は47g/g、RTCDは9%と低く加圧下でのひずみが小
さく加圧下での性能が良い物であった。
ージ社製EB照射装置(加速電圧300kv)で10Mradの電子線を片面ず
つ10回照射し臭素価が10の架橋密度の高い多孔質架橋ポリマー材料を得た。
得られた多孔質架橋ポリマー材料の自由膨潤倍率は47g/g、RTCDは9%
と低く加圧下でのひずみが小さく加圧下での性能が良い物であった。
水溶液に漬けた後近赤外線を3分間照射し臭素価が5の架橋密度の高い多孔質架
橋ポリマー材料を得た。得られた多孔質架橋ポリマー材料の自由膨潤倍率は47
g/g、RTCDは6%と低く加圧下でのひずみが小さく加圧下での性能が良い
物であった。
に入れ120℃で10分間加熱し臭素価が8の架橋密度の高い多孔質架橋ポリマ
ー材料を得た。得られた多孔質架橋ポリマー材料の自由膨潤倍率は47g/g、
RTCDは8%と低く加圧下でのひずみが小さく加圧下での性能が良い物であっ
た。
に入れ150℃で5分間加熱し臭素価が7の架橋密度の高い多孔質架橋ポリマー
材料を得た。得られた多孔質架橋ポリマー材料の自由膨潤倍率は47g/g、R
TCDは7%と低く加圧下でのひずみが小さく加圧下での性能が良い物であった
。
水溶液に漬けた後オートクレーブに入れ150℃で5分間加熱し臭素価が5の架
橋密度の高い多孔質架橋ポリマー材料を得た。得られた多孔質架橋ポリマー材料
の自由膨潤倍率は47g/g、RTCDは6%と低く加圧下でのひずみが小さく
加圧下での性能が良い物であった。
サノエート100gを添加しておく以外は比較例1と同じ方法で臭素価が13の
多孔質架橋ポリマー材料を得た。この多孔質架橋ポリマー材料に近赤外線を3分
間照射し臭素価が5の架橋密度の高い多孔質架橋ポリマー材料を得た。得られた
多孔質架橋ポリマー材料の自由膨潤倍率は47g/g、RTCDは6%と低く加
圧下でのひずみが小さく加圧下での性能が良い物であった。
含水率を5g/ポリマー1gに調製し、これに近赤外線を2分間照射して臭素価
が4の架橋密度の高い多孔質架橋ポリマー材料を得た。得られた多孔質架橋ポリ
マー材料の自由膨潤倍率は、47g/g、RTCDは5%と低く、加圧下でのひ
ずみが小さく、加圧下での性能がよいものであった。
含水率を5g/ポリマー1gに調製し、これく125℃で1.5分加熱して臭素
価が8の架橋密度の高い多孔質架橋ポリマー材料を得た。得られた多孔質架橋ポ
リマー材料の自由膨潤倍率は、47g/g、RTCDは7%と低く、加圧下での
ひずみが小さく、加圧下での性能がよいものであった。
含水率を5g/ポリマー1gに調製し、これに日新ハイボルテージ社製EB照射
装置(加速電圧300kv)で10Mradの電子線を片面づつ5回照射して、
臭素価が9の架橋密度の高い多孔質架橋ポリマー材料を得た。このもののRTC
Dは8%であった。
装置で95℃、5分間重合して臭素価が14の多孔質架橋ポリマー材料を得た。
この段階での多孔質架橋ポリマー材料を一部採取して性能をみたところ、自由膨
潤倍率は、47g/g、RTCDは20%であったが、引き続き120℃で2分
間硬化させて臭素価を8としたところ、RTCDが8%に向上した。
ート100gを添加しておく以外は、実施例14と同じ操作を繰り返して臭素価
が13の多孔質架橋ポリマー材料を得た。この段階での多孔質架橋ポリマー材料
を一部採取して性能をみたところ、自由膨潤倍率は、47g/g、RTCDは1
9%であった。これを圧縮脱水して含水量を4g/gとした多孔質架橋ポリマー
材料に日新ハイボルテージ社製EB照射装置(加速電圧300kv)で10Mr
adの電子線を片面づつ5回照射して架橋密度の高い多孔質架橋ポリマー材料を
得た。この多孔質架橋ポリマー材料の臭素価は7、RTCDは6であった。
断熱性、防音性などの特性を有するものである。本発明によれば、硬化途中の多
孔質架橋ポリマー材料を後硬化することで、吸収特性および機械的強度に優れた
多孔質架橋ポリマー材料を極めて短時間で、効率よく製造することができる。
好適な重合装置の1つである連続重合装置を用いた多孔質架橋ポリマー材料の代
表的な一実施態様を表すフロー図である。
Claims (10)
- 【請求項1】 油中水型エマルションを重合して多孔質架橋ポリマー材料を
製造する方法において、油中水型エマルションの臭素価が重合前の25%以下に
なるまで重合させた後、得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線ま
たは重合温度より高温で後硬化する工程を含む多孔質架橋ポリマー材料の製法。 - 【請求項2】 重合と後硬化を連続的に行う請求項1記載の製法。
- 【請求項3】 油中水型エマルションを加熱して、臭素価が加熱前油中水型
エマルションの臭素価の25%の値以下になるまで重合させた後、得られた多孔
質架橋ポリマー材料に重合開始剤を添加してから活性エネルギー線または重合温
度より高温で処理する請求項1または2記載の製法。 - 【請求項4】 異なる2種以上の重合開始剤を用いて油中水型エマルション
から多孔質架橋ポリマー材料を製造する請求項1〜3のいずれかに記載の製法。 - 【請求項5】 該油中水型エマルションを、コンベアーに連続的に供給して
シート状に賦形し、油中水型エマルションの臭素価が重合前の25%以下になる
まで重合させた後、得られた多孔質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または
重合温度より高温で後硬化するものである、請求項1記載の製造方法。 - 【請求項6】 該コンベアーの該油中水型エマルション接触面が平滑なシー
トであることを特徴とする、請求項3記載の製造方法。 - 【請求項7】 該コンベアーのエマルション接触面が、モールドを有し、該
モールドに該油中水型エマルションを供給して賦形することを特徴とする、請求
項5記載の製造方法。 - 【請求項8】 該油中水型エマルションをモールドに供給し、油中水型エマ
ルションの臭素価が重合前の25%以下になるまで重合させた後、得られた多孔
質架橋ポリマー材料を活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化するも
のである、請求項1記載の製造方法。 - 【請求項9】 油中水型エマルションの臭素価が重合前の25%以下になる
まで重合させ、得られた多孔質架橋ポリマー材料に含まれる水相の少なくも一部
を脱水し、次いで、これを活性エネルギー線または重合温度より高温で後硬化す
るものである、請求項1記載の製造方法。 - 【請求項10】 該油中水型エマルションが油溶性開始剤を含むものである
、請求項9記載の製造方法。
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