JP2003505841A - 真空バルブの接触子装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 遮断器の真空バルブにおいて接触圧力を減少する。そのために、真空バルブの各接触子（１、２）が、短絡電流を遮断するために用意された外側接触部位（７）の内部に内側接触部位（９）が配置されるように形成され、その内側接触部位が、ピッチ円上に並べて配置された複数の接触舌片（１１）から成っている。これら接触舌片のばね定数を相応に定めることにより、接触子装置の閉状態において全ての接触部位が同じ接触圧力を受けるよう、接触舌片を互いに機械的に切り離すことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、電気構成要素の分野に関するものであって、両接触子の少なくとも
片方が内側接触部位を有し、この内側接触部位がアーク消弧に使用する外側接触
部位より軸方向に突出している真空バルブを形成する際に利用可能である。

【０００２】 冒頭に述べた形式の接触子装置を備える真空バルブは公知である。両接触子の
うち、通常一方の接触子だけが他方の接触子に対して相対移動する。両接触子は
各々円形接触面あるいは僅かに円錐形をした接触面を備え、これら両接触面は互
いに対向している。所謂「羽根車形電極」ないし「スパイラル接触子」として形
成された接触子は、作動電流を開閉するために用意された内側接触部位と、内側
接触部位を同心的に包囲し短絡電流を遮断するために用意され、回転アークの走
行面として作用する外側接触部位とを有している。内側接触部位は、外側接触部
位からさほど大きくない或る距離だけ突出している（米国特許第３１５８７１９
号および第３８０９８３６号明細書参照）。

【０００３】 作動電流を開閉するために用意された接触部位が、短絡電流を遮断するために
用意された接触部位と一致する真空バルブも知られている。接触子はポット状に
形成され、そのポット側壁、場合によっては更にポット縁に設けられた接触リン
グに、接触子装置の軸線に対し傾斜して延びる複数のスリットが設けられる。こ
れらのスリットによって、接触面が複数の接触部分面に分割される（ドイツ特許
出願公開第２３２１７５３号および第２９１２８２３号明細書参照）。

【０００４】 真空バルブにおいて溶着した接触部位を簡単に分離できるようにするため、各
接触子に多数の接触面を形成し、これら接触面を、主接触体に弾性的に保持する
ことが知られている。そのために管状主接触子に、半径方向内側に突出する接触
面用支持アームが設けられる（米国特許第３８６９５８９号明細書参照）。

【０００５】 低電圧範囲の気中遮断器において、接触圧力を減少するため、可動接触子を互
いに平行に配置した複数の接触フィンガに分割することが知られている（米国特
許第５２１０３８５号明細書参照）。

【０００６】 遮断器、特に低電圧範囲の遮断器の真空バルブ（米国特許第５６６１２８１号
明細書）では、大電流に基づき、接触子を相互に引き離そうとする大きな力が生
ずる。接触子の開離は接触子の溶着を招く恐れがあり、これを防止するため、そ
の電磁力を適当な処置により補償せねばならない。真空バルブを備えた開閉器の
場合、この問題は、従来、永続的に与えられる静的な接触子押圧力に加えて、一
時的に、即ち短絡電流発生中に、大きな動的磁力を発生させる補助的な電流ルー
プを採用することで解決されていた。これにより、一時的に必要な全接触子押圧
力を機械的に与える必要がなくなる。しかし、そのような電流ループは非常に高
価であるため、永続的に与えるべき機械的接触圧力は、依然として非常に大きく
、特に５０ｋＡより大きな電流の場合、極当たり数ｋＮとなる。それに応じて開
閉装置において大きな機械的経費を必要とする。

【０００７】 本発明の課題は、請求項１の上位概念部分に記載の接触子装置から出発し、そ
の接触子装置を、機械的接触個所を所定のばね定数を持つ複数の個々の接触子に
分け、それにも係らずアークの回転ができるよう改良することにある。

【０００８】 この課題は、本発明に基づき、内側接触部位を、ピッチ円上に並べて配置した
複数の接触部分部位から構成し、その各部位を、接触子装置の軸線に対し傾斜し
た弾性接触舌片の自由端により形成することで解決される。

【０００９】 接触子装置をこのように形成することで、作動電流を開閉するために用意した
接触部位を、例えば３〜１０個の部分部位に分割し、これら部位を、対向接触子
が対向して位置する弾性接触舌片として形成し、接触舌片のばね定数を相応に定
めることによって、接触子装置の閉状態において全ての部分部位が同じ大きさの
接触圧力を受けるように、接触舌片を互いに機械的に切り離すことができる。そ
の弾性接触舌片は、接触子装置の開閉中における摩擦運動とこれに伴う金属削り
屑の形をした破片の発生が避けられるように配置する。

【００１０】 接触舌片のばね定数の決定に際し、十分な形成区域を持たせるため、接触舌片
を平らな円錐状殻で作り、その殻壁に軸方向に複数のスリットを入れる。その場
合、ばね定数を、特に殻壁の厚さとスリット数ないし接触舌片の幅によって変化
させる。これと同じことは、接触舌片を平坦な、中空裁頭円錐状体で作り、その
周壁に軸方向に複数のスリットを入れることによっても得られる。

【００１１】 所謂ポット形接触子のスリット付き接点ホルダの形状に模して、接触舌片は管
部材で作ることができ、その管壁に傾斜して延びる複数のスリットを設ける。

【００１２】 接触舌片の上述の構造的形成は、スパイラル接触子並びにポット形接触子に利
用できる。接触舌片に利用する物体は、分散強化銅、特殊銅合金あるいは低クロ
ム銅・クロム合金で作る。この物体を別個に作り、各接触子の中央にある凹所の
中に配置し、残りの接触体にろう付けする。

【００１３】 図１〜７は、本発明に基づいて形成した接触子装置の幾つかの実施例を示す。

【００１４】 図１における接触子装置は、上側接触子１と下側接触子２からなり、上・下両
接触子１、２の接触面は、軸線Ａの方向において互いに対向している。その一方
の接触子は、（詳細は図示しないが公知のように）軸方向に移動可能である。両
接触子１、２は各々電極３、４を備えている。

【００１５】 図２において、各接触子は、ヨーロッパ特許第０３３２５１３号明細書に基づ
き、所謂「スパイラル接触子」として形成されている。各スリット５は２つの部
分から成る。即ち、第１スリット部分は円形凹所６の外周に接する接線に対し平
行に延び、第２スリット部分は孔から成っている。該孔は、第１スリット部分の
内側端の範囲で、第１スリット部分と円形凹所との間の接触面を突破している。
接触子の凹所６の外側にある部位は、外側接触部位７を形成している。この部位
７は、短絡電流を遮断すべく用意され、回転アークの走行面として使われる。

【００１６】 凹所６は、内側接触部位９を形成する補助接触体８を収容するような深さを持
っている。その内側接触部位９は動作電流を開閉するために用意されている。内
側接触部位９は、この部位９に対し同心的に配置された外側接触部位７より軸方
向に或る長さａだけ突出している。その長さａは、例えば２ｍｍである。

【００１７】 図１、２において、接触体８は平らな円錐状殻の形をしている。その殻壁に軸
方向に複数のスリットが入っている。このスリット１２によって、複数の接触部
分部位１０が形成されている。接触子１ないし２にろう付けされた殻状接触体８
の底に、スリットは入っていない。従って、スリットの形成によって、接触子装
置の軸線Ａに対して傾斜した複数の弾性接触舌片１１が形成され、それらの弾性
接触舌片１１の自由端は、各々接触部分部位１０を形成している。

【００１８】 図３における接触子装置の場合、内側接触部位を形成する接触体１３は、平ら
な中空裁頭円錐状体として形成され、その周壁に軸方向に複数のスリットが入れ
られている。しかしスリットは、接触体を全体として各接触子にろう付けできる
ようにするため、裁頭円錐状体の底迄は達していない。

【００１９】 図４の実施例において、接触子１、２の凹所６内に、内側接触部位に対する接
触体として、中空円筒状の管部材１４がはめ込まれている。この中空円筒に、図
５に基づき、接触子装置の軸線に対し傾斜して延びるスリット１５が設けられ、
これに伴い、弾性接触舌片１６が形成されている。上側接触子１の管部材１４の
内部に、補助接触部材１７が配置されている。この部材１７は、両接触子１、２
が閉状態のとき機械的支持台を形成する。作動電流が流れる間、この接触部材も
電流を案内し、これに伴い、最小の接触抵抗が得られる。短絡電流の発生時、補
助接触部材１７が浮き上がり始めた際、即ち接触抵抗が僅かに増大した際、管状
接触体１４の弾性接触部位が電流の案内を引き受け、その結果、接触子装置の完
全な浮き上がりと溶着を防止する。

【００２０】 図６および７の実施例はポット形接触子１８を示す。ポット形接触子１８の側
壁にスリットが入れられ、ポット端は環状接触板１９で覆われている。この接触
板１９は接触子の外側接触部位を形成する。ポット形接触子の内部に接触体２０
が配置されている。この接触体２０は、図４および５の接触体１４と同様に形成
され、側壁に斜めに延びる複数のスリット２１を設けた管部材から成っている。
ポット形接触子１８の内側接触部位を形成する接触体２０は、接触板１９より軸
方向に長さｂだけ突出している。その長さｂは約２ｍｍである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 内側接触部位が殻状接触体によって形成されている、第１実施例に係る接触子
装置の断面図。

【図２】 図１における接触子装置の下側接触子の平面図。

【図３】 中空裁頭円錐状体として形成された内側接触部位を備える、第２実施例に係る
接触子装置の断面図。

【図４】 スリット付き管部材として形成された内側接触部位を備える、第３実施例に係
る接触子装置の断面図。

【図５】 図４における内側接触部位の概略側面図。

【図６】 スリット付き管部材として形成された内側接触部位を備える、第４実施例に係
る接触子装置の下側接触子の平面図。

【図７】 図６における接触子の側面図。

【符号の説明】

１、２ 接触子 ７ 外側接触部位 ８ 円錐状殻 ９ 内側接触部位 １０ 接触部分部位 １１ 接触舌片 １２、１５ スリット １３ 中空裁頭円錐状体 １４ 管部材 １８ ポット形接触子 １９ 環状接触板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ハーン、ミヒァエル ドイツ連邦共和国 デー‐12357 ベルリ ン エフォイヴェーク 14アー (72)発明者 レンツ、ロマーン ドイツ連邦共和国 デー‐12355 ベルリ ン ノイホーファー シュトラーセ 78 (72)発明者 ハルトマン、ヴェルナー ドイツ連邦共和国 デー‐91091 グロ− センゼーバッハ ノイエ シュトラーセ 28 Ｆターム(参考） 5G026 CA01 CB05 CB06 CB07 CC04 DA09 5G027 AA03 BA02 BB09

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸方向に相対移動しかつ互に対向する接触面を備えた２つの
   接触子から成り、各接触子が作動電流を開閉すべく用意された内側接触部位と、
   内側接触部位を同心的に包囲し短絡電流を遮断するために用意され回転アークの
   走行面として作用する外側接触部位とを有し、内側接触部位が外側接触部位から
   軸方向に突出する真空バルブの接触子装置において、 内側接触部位（９）が、ピッチ円上に並べて配置された複数の接触部分部位（
   １０）から成り、各接触部分部位（１０）が、接触子装置の軸線（Ａ）に対し傾
   斜した弾性接触舌片（１１）の自由端により形成されたことを特徴とする真空バ
   ルブの接触子装置。
2. 【請求項２】 内側接触部位が平らな円錐状殻（８）から成り、その殻壁に
   軸方向に延びる複数のスリット（１２）が入れられたことを特徴とする請求項１
   記載の接触子装置。
3. 【請求項３】 内側接触部位が平らな中空裁頭円錐状体（１３）から成り、
   その周壁に軸方向に延びる複数のスリットを有することを特徴とする請求項１記
   載の接触子装置。
4. 【請求項４】 内側接触部位が管部材（１４）から成り、その管壁に傾斜し
   て延びる複数のスリット（１５）を有することを特徴とする請求項１記載の接触
   子装置。
5. 【請求項５】 外側接触部位（７）が、スパイラル接触子（１、２）のアー
   ムから成ることを特徴とする請求項１ないし４の１つに記載の接触子装置。
6. 【請求項６】 外側接触部位が、ポット形接触子（１８）の接触面（１９）
   から成ることを特徴とする請求項１ないし４の１つに記載の接触子装置。