JP2003501779A - 高温超電導複合体における超電導要素の減結合 - Google Patents

高温超電導複合体における超電導要素の減結合

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JP2003501779A JP2000600469A JP2000600469A JP2003501779A JP 2003501779 A JP2003501779 A JP 2003501779A JP 2000600469 A JP2000600469 A JP 2000600469A JP 2000600469 A JP2000600469 A JP 2000600469A JP 2003501779 A JP2003501779 A JP 2003501779A
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Abstract

(57)【要約】 延性のそして電導性の金属マトリックス内に包入された少なくとも1本の酸化物超電導体フィラメントを含む複数のストランドにして、ストランドの少なくとも一つは更にそれを実質上取り巻く密着した、実質上連続した高抵抗の被覆を備えている複数のストランドを具備する酸化物超電導体ケーブルが提供される。ストランドはケーブルを形成するように配置されそして配列される。ケーブルは、(a)各々延性のそして電導性の金属マトリックス内に包入される少なくとも1本の酸化物超電導体フィラメント若しくはそれへの先駆物質から成る複数のストランドに延性の先駆材料被覆を被覆する段階と、(b)前記複数のストランドをケーブルに組立てる段階と、(c)前記延性の先駆材料被覆を高抵抗の材料に変換する段階(但し、段階(a)および(b)は任意の順序で行いうる)により作製される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、酸化物超電導要素を電気的に互いに減結合した酸化物超電導組立体
に関係する。本発明は更に、高い横断マトリックス抵抗を有する酸化物超電導体
およびその作製方法に関係する。
【0002】発明の背景 高温酸化物電導体の多くの用途は、非常に厳格なAC損失要件を伴う時間変動
磁界中での電導体性能と関与する。電導性酸化物におけるAC損失の大きさは、
フィラメント寸法、電導体マトリックス寸法、磁界に垂直なマトリックス抵抗(
横断抵抗)および臨界電流に関するコントロールと関与する。
【0003】 AC損失は、ヒステリシス損失、渦流損失および結合損失という3種の異なっ
た現象に由るものである。ヒステリシス損失は、ヒステリシス磁化による超電導
フィラメントへの磁界の影響を指定する。渦流損失は、印加磁界における変化と
は反対向きの磁界を創出するマトリックスにおける電流ループを表す。結合損失
は、電流ループの主たる部分が多フィラメント複合体における2本以上の超電導
フィラメント内部で損失が少ない場合の渦電流損失に類似している。
【0004】 ヒステリシス損失は超電導フィラメントにおいてのみ発生しそしてフィラメン
ト寸法に主として比例する。従って、ヒステリシス損失を低減するために、フィ
ラメント直径を減少することが所望される。140μm以下のオーダのフィラメ
ント直径が、酸化物超電導複合体におけるヒステリシス損失の低減に最少限有効
であると考えられる。
【0005】 渦流は、マトリックス内においてのみ発生しそして結合電流が多フィラメント
複合体においてマトリックスを通して接続される2本以上のフィラメント間の電
流ループと関与する。渦流損失および結合損失はともに、マトリックス抵抗率に
反比例する。結合電流に対して、関連する抵抗は、フィラメント軸線に対して横
断方向にある。加えて、結合損失は、超伝導体フィラメント臨界電流密度および
多フィラメント複合体におけるフィラメントの捩りピッチに依存する。従って、
結合および渦電流によるAC損失は、超電導フィラメントの捩りピッチを減少し
そしてマトリックスの抵抗率(特に横断抵抗率)を増大することにより低減され
うる。
【0006】 損失は、電導体複合体の直径に対して短い捩りピッチに対してのみ効果的に低
減されうる。捩りピッチは、フィラメントが電導体周囲に沿ってその回転角度始
点まで戻っての1回転において進行する長手方向距離として定義される。捩りピ
ッチがワイヤ直径に近づくにつれ、フィラメントの角度は、捩り歪みと同じく、
急速に増加し、そして捩りピッチへの損失の依存性は弱くなる。
【0007】 有効横断抵抗は、異常な酸化物超電導体粒モルホロジーにより複雑化される。
代表的に、複合体全体および複合体中の超電導フィラメント両方が、10以上の
オーダにおける断面幅、w対厚さd比(w/d)のアスペクト比を有するものと
される。電力損失は、電場配向に依存してフィラメント厚さ(1/dとして)若
しくは幅に反比例する。10のアスペクト比を有する複合体中で同じ損失水準を
達成するためには、マトリックス抵抗率はアスペクトづけられない電導体におけ
るより少なくとも100倍大きくなければならない。
【0008】 従って、高いマトリックス抵抗率を有する酸化物超電導複合体においては微細
寸法の捩りフィラメントを使用することが所望される。捩りは電導体の断面寸法
に近い捩りピッチに対しては有効性を失いそしてフィラメント歪みを導入するの
で、AC損失を低減する最も有効な手段はマトリックスの横断抵抗を増大するこ
とである。
【0009】 高いマトリックス抵抗率を有する酸化物超電導複合体を製作する試みは先行技
術において報告されてきた。報告された複合体の多くは、マトリックスの全体電
導率を減じるように選択された元素で合金化されたマトリックス、例えばAg−
X(ここで、XはAu、Al等である)を使用する。米国特許第5,296,4
56号において、志賀等はセラミック超電導体を貴金属内に包入した酸化物超電
導複合体を記載している。貴金属はZn、In、Cd、Cu、Mg、Be、Ni
、Fe、Co、Cr、Ti、Mn、Zr、Al、Ga、および希土類元素のよう
な金属と合金化されて低抵抗層を形成する。しかし、こうした合金は、電力損失
の低減に有効と考えられる水準までマトリックスの電導率を減じるのに有効では
ない。更に、マトリックスの長手方向および横断方向抵抗率の両方共が減少され
る。これでは、万一超電導行路が破損したなら、高い電導率の電気的なシャント
即ち電流バイパスが阻止されるから不利益である。
【0010】 住友電気工業に関わるEP638,942号は、個々のフィラメントストラン
ドが銀マトリックスより高い抵抗率を有する10wt%Au/Ag合金層により
取り巻かれているような、捩り多フィラメント酸化物超電導複合体を記載する。
こうした複合体は幾つかの不利益を受ける。第1に、Au−Ag合金は多くの用
途で関心のある0.1−0.2Tの磁界においてAC損失を低減するには不十分
の抵抗率しか持たない。第2に、高い抵抗層が直接超電導フィラメントを取り巻
き、電導度の高い銀マトリックスがフィラメントが超電導性を失った場合に長手
方向の電気的シャントとして機能することを阻んでいる。加えて、生成するケー
ブルは作製にきわめて高価である。
【0011】 米国特許第4,990,491号において、Wagner等は、外側NiO被覆を有
する多フィラメント低温超電導(LTS)ワイヤ(Nb3Sn)を開示する。銅
乃至青銅クラッドフィラメントが金属ニッケル層でメッキされ、これがその後N
3Snを形成するのに使用される熱処理においてNiOに変換される。このケ
ーブルの構造は、多フィラメントの各々を互いに絶縁することを許容するが、結
合損失を低減するのに必要とされるようには各超電導フィラメントを減結合しな
い。更に、酸化物超電導体複合体におけるAC損失は、低温超電導体(LTS)
複合体におけるのとは全く異なっている。酸化物超電導体フィラメントは、LT
S複合体におけるより通常大きくそしてマトリックス抵抗率は小さい。高いTc
超電導粒の弱い結合と異方性は、局所的なフィラメント組成および結晶粒配向と
ともに変化する臨界電流密度(Jc)を発生させる。従って、LTS分野で有用
である複合体寸法形態特性は、酸化物超電導体複合体にそのまま応用しうるとは
限らない。
【0012】 他の文献は、多フィラメント酸化物超電導体複合体の構成において絶縁層若し
くはシートの使用を報告する。EP503,525号は、CuNiのような高抵
抗金属から成る中間層を複合体を構成する多フィラメントテープ間に配置する多
フィラメント複合体を記載する。低水準の損失の減少が実現されただけである。
これは多フィラメントテープ間の結合を減少したが、各テープ内部での減少を満
足のいくほどに減じていない。
【0013】 同様の方式で、EP650,205号は、ケーブルフォーム上に螺旋状に巻か
れた多数のテープ層から作製された多フィラメント酸化物超電導体複合体を記載
する。多フィラメントテープ間の結合によるAC損失を減じるために、個々のテ
ープ巻き層間に中間絶縁層が巻かれる。EP503,525号におけるように、
この構造は多フィラメントテープ間の結合を減じることはできるが、各テープ内
部の損失を減少しない。
【0014】 このように、AC損失の低減のため個々の超電導フィラメント間の抵抗率を増
大せんとする従来からの試みは、満足しえなかった。AC電力損失を減じるため
に十分の横断マトリックス抵抗率を具備し、しかも電導性シャントとして機能し
うるよう超電導フィラメントと接触状態で十分に低い長手方向抵抗を保持する酸
化物超電導体複合体を提供することへの必要性がまだなお存在している。更に、
そうした複合体はコストを節減できる、作製条件下で作製されねばならない。
【0015】発明の概要 本発明の目的は、高い横断マトリックス抵抗を具備し、しかも電導性シャント
として機能しうるよう超電導フィラメントと接触状態で十分に低い長手方向抵抗
を保持する酸化物超電導体複合体を提供することである。
【0016】 本発明のまた別の目的は、上述した特性を具備しそしてケーブルに組立てるに
十分の靱性と可撓性を具備する超電導複合体を提供することである。
【0017】 本発明の更に別の目的は、酸化物超電導体複合体内に高抵抗率層を作製するこ
とである。
【0018】 本発明の更にまた別の目的は、酸化物超電導体複合体ケーブルの各ストランド
上に超電導フィラメントを電気的に減結合するように高抵抗率層を作製すること
である。
【0019】 本発明のこれら目的並びに他の目的は以下に続く本発明についての記述を参照
して明らかとされる。
【0020】 本発明の一様相において、延性のそして電導性の金属マトリックス内に包入さ
れる少なくとも一つの酸化物超電導体から成る複数のストランドを具備し、スト
ランドの少なくとも半分が当該少なくとも半分のストランドを実質上取り巻く、
密着した、実質上連続した高抵抗の被覆を更に含むような酸化物超電導ケーブル
が提供され、この場合ストランドはケーブルを形成するように配置されそして配
列される。本発明のまた別の様相において、複数のストランドを具備し、ストラ
ンドの各々が延性のそして電導性の金属マトリックス内に包入される酸化物超電
導体への先駆物質から成る少なくとも1本のフィラメントから構成される。スト
ランドの少なくとも半分は更に、当該少なくとも半分のストランド外面上の、密
着した、実質上連続した、高抵抗材料に変換しうる金属被覆を更に含み、この場
合ストランドはケーブルを形成するように配置されそして配列される。
【0021】 本発明のまた別の様相において、複数のストランドを具備し、ストランドの各
々が銀マトリックス内に包入される酸化物超電導体への先駆物質から成る少なく
とも1本のフィラメントから構成されるようなケーブルが提供される。ストラン
ドの少なくとも一つは、その外面に密着した、実質上連続した、そして高抵抗材
料に変換されうる銀基金属間化合物材料被覆を更に含む。この場合も、ストラン
ドはケーブルを形成するように配置されそして配列される。
【0022】 本発明のまた別の様相は、延性のそして電導性の金属マトリックス中に包入さ
れた少なくとも一本の酸化物超電導フィラメントおよび挿入されたフィラメント
の外面を実質上取り巻く密着した高抵抗被覆を具備する酸化物超電導ストランド
を含む。本発明の酸化物超電導ケーブルは、0.1Trmsの交番磁界における
AC損失が約10mW/A−m未満である点で特徴づけられる。ストランドは約
0.4の超電導酸化物容積分率を有している。
【0023】 ここで使用するものとしての、「フィラメント」とは、単一の、実質上連続し
た長尺の酸化物超電導体ドメインを言及する。更に、「超電導フィラメント」若
しくは「酸化物超電導フィラメント」等への言及は、所望の酸化物超電導体への
先駆物質から構成されるフィラメントをも含む。ここで使用されるものとしての
用語「超電導体先駆物質」とは、適当な条件の下での熱処理により所望の酸化物
超電導体に変換されうる任意の材料(例えば、金属、塩、若しくは酸化物)を意
味するものである。「マトリックス」は、展延性と低抵抗を有することにより、
超電導酸化物若しくはそれらの先駆物質を内部に若しくは周辺に支持しまた結合
する単一の材料若しくは複数の材料の均質混合物を言及する。ここで使用するも
のとしての用語「電導性金属マトリックス」とは、長手方向の電気的シャントし
て機能しうるよう十分に電導性である金属マトリックスを意味する。従って、電
導性金属マトリックスは好ましくは約5μΩ−cmを超える抵抗率を有しない。
ここで使用するものとしての用語「高抵抗」とは、100μΩ−cmを超える抵
抗率、好ましくは約1mΩ−cm〜1Ω−cmの範囲の抵抗率を意味する。
【0024】 「ストランド」とは、金属マトリックスにより支持されまた実質上取り巻かれ
る単数乃至複数のフィラメントを意味する。「単フィラメント」ストランドは、
単一のフィラメント(単繊維)を含むストランドを意味する。「多フィラメント
ストランド」は、同じ金属マトリックス中に埋設されそして支持される2本以上
のフィラメントを含むストランドを言及する。ここで使用するものとしての、用
語「ケーブル」、「ケーブル状電導体」若しくは「ケーブル複合体」は、従来形
式のケーブル構造においてストランドを転位若しくは別様に配列することにより
創出される、単フィラメントまたは多フィラメントであるストランドの集合体を
意味する。
【0025】 好ましい具体例において、ケーブルの各ストランドは、高抵抗の被覆により実
質上取り巻かれそして好ましくは拡散結合される。各ストランドは隣り合うスト
ランドに拡散結合されうる。ストランドは、単フィラメント、多フィラメント、
若しくは予備集合ケーブルでありうる。
【0026】 他の好ましい具体例において、ケーブルの高抵抗率被覆は、金属酸化物、好ま
しくは錫、ビスマス、ガリウム、アンチモン、亜鉛、鉄、ニッケル、ニオブ、タ
ンタル、ジルコニウムおよびインジウム、これら相互の合金、並びに銀との合金
の酸化物から成る群から選択される金属酸化物から構成される。被覆の厚さは、
約1μm〜約5μmの範囲そして好ましくは約2μm〜約3μmの範囲にある。
好ましい具体例において、高抵抗率被覆は、約10μΩ−cmを超える、そして
好ましくは約1mΩ−cmを超えるが約1Ω−cm未満の抵抗値を有する。
【0027】 他の好ましい具体例において、フィラメント直径は、250μm未満、好まし
くは140μm未満、一層好ましくは100μm未満である。他の好ましい具体
例において、ケーブルストランドは、同心ケーブル、束ケーブルおよびロープ撚
りケーブル、およびそれらからのもっと高次のケーブル形態から成る群から選択
されるケーブルを形成するように配置されそして配列される。
【0028】 他の好ましい具体例において、高抵抗率層は、間に電導性金属層を配置した2
つの実質上連続した層を含む。高抵抗率材料の非連続ドメインが電導性金属マト
リックス内に電導性金属マトリックスの抵抗率を著しく増大するには不十分な量
において配置されうる。他の具体例において、ケーブルは1を超えるアスペクト
比を有する。
【0029】 本発明のまた別の様相において、高い横断マトリックス抵抗率を有する超電導
物品を製造するための方法が提供される。高抵抗材料に変換しうる延性の先駆材
料被覆が、各々延性でありそして電導性の金属マトリックス中に包入される少な
くとも1本の酸化物超電導フィラメント若しくはそれへの先駆物質から成る複数
のストランドに被覆し、複数のストランドをケーブルに組立てそして延性の先駆
材料を高抵抗材料に変換する。この場合、第1および第2段階は任意の順序で行
いうる。フィラメントおよびフィラメントの一体性、完全性を維持する高抵抗層
を含む超電導物品の製造方法が提供され、高抵抗層の一体性、完全性が製造プロ
セス全体を通して維持される。
【0030】 本発明のまた別の様相において、高い横断マトリックス抵抗を有する酸化物超
電導ケーブルが、各電導性金属マトリックス中に包入された少なくとも1本の酸
化物超電導体フィラメント若しくはそれへの先駆物質から成る複数のストランド
をケーブル形成し、ケーブルストランドに高抵抗材料に変換しうる延性の先駆材
料層を形成するようにケーブルを延性の先駆材料と接触しそして延性の先駆材料
を高抵抗材料に変換することにより作製される。
【0031】 好ましい具体例において、延性の先駆材料は金属を相当する金属酸化物に酸化
することにより高抵抗材料に変換される。他の好ましい具体例において、延性の
先駆材料層はフィラメントを溶融した若しくは液体形態の延性の先駆材料と接触
することにより、或いは電気メッキ、イオン打ち込み、物理的蒸着、無電解メッ
キにより被覆される。
【0032】 好ましい具体例において、変換段階は、延性先駆材料を高抵抗材料に変換する
に十分の超大気圧酸素圧力および温度において実施され、この場合好ましくは酸
素圧力は15〜3000psiの範囲にありそして好ましくは全圧は約15〜6
0,000psiの範囲にある。温度は約400〜700℃の範囲にある。他の
好ましい具体例において、変換段階は、酸化物超電導体先駆物質を酸化物超電導
体に変換するに追加的に十分な条件下で実施される。
【0033】 また別の好ましい具体例において、ケーブルは、酸化物超電導体先駆物質を酸
化物超電導体に変換するに追加的に十分な温度および圧力下で追加加熱される。
また別の好ましい具体例において、ケーブルは、酸化物超電導体若しくはそれへ
の先駆物質をテキスチャーづけるために十分の変形処理に供せられる。変形処理
は延性先駆材料を高抵抗材料に変換する変換段階前に行われる。変形処理の例と
しては、圧延、プレス、タークスヘディング、絞り加工、押し出しおよび捻り加
工を挙げることができる。他の好ましい具体例において、ストランドは、ケーブ
ル形成前に捩られる。他の好ましい具体例においては、高抵抗被覆付きケーブル
は、酸化物超電導体における微少クラックを修復するよう選択された熱処理を施
される。
【0034】発明の詳細な記述 本発明は、電導性金属マトリックスに酸化物超電導体フィラメントを埋設して
成る酸化物超電導体複合体物品を提供する。酸化物超電導体物品は、電導性金属
より著しく高い抵抗を有する密着した被覆を具備している。高抵抗層は、金属マ
トリックスに拡散結合され、靭性のあるスポーリング耐性の被覆をもたらす。本
発明の好ましい具体例が図1に示され、ここでは酸化物超電導体もしくはそれへ
の先駆物質フィラメント12から成る酸化物超電導体ストランド10が電導性の
、延性の金属マトリックス14内に埋入される。ストランド10は、1本以上の
フィラメント12を含みうる。ストランド10は更に、その外面を実質上連続的
に被覆する密着した高抵抗層16を含む。フィラメント寸法が微細であるほどヒ
ステリシス損失を減じることが確証されているから、物品が微細なフィラメント
を有することが好ましい。特に、最長断面積フィラメント寸法が250μm未満
、好ましくは140μm未満そしてもっとも好ましくは100μm未満であるこ
とが好ましい。これらは最終フィラメント寸法であって、加工中はもっと大きい
場合もある。他の好ましい具体例において、電導性ジャケット18が高抵抗層1
6を取り巻いている。ストランドはワイヤもしくはテープもしくは他のアスペク
ト付けした寸法形態のものでありうる。
【0035】 可撓的にケーブル形成される、即ち捩られた、螺旋巻き、編組あるいは別様に
転位された、機械的にそして電気的に隔離された導体ストランドの束から構成さ
れる導体が、コイル、回転機械および長尺ケーブルを含めて多くの電気的用途に
おいて所望される。従って、本発明の別の様相において、電気的に減結合された
超電導酸化物ドメインを有するケーブル形成導体が提供される。多フィラメント
複合体ケーブルは、複数のストランドを備え、各ストランドは電導性金属マトリ
ックス中に埋入された少なくとも1本の酸化物超電導体フィラメントを含んでい
る。少なくとも1本のそして好ましくは、各ストランドは、各ストランド間に配
置されそして各ストランドを実質上取り巻く高抵抗の金属酸化物層により他のス
トランドから電気的に減結合される。高抵抗層はケーブル複合体全体を通して延
在する「ウエブ」を形成する。
【0036】 図2に例示されるように、酸化物超電導体ケーブル20は、複数の転位された
ストランド22を含み、ここでは各ストランドは、電導性金属マトリックス26
内に埋入される1本以上の酸化物超電導体フィラメント24を内蔵している。点
線27は、ケーブル内でのストランド22の転位若しくは撚架状態を示す。各ス
トランド22は、隣り合うストランド間に配置されそしてストランドの外面を実
質上覆う、電導性金属マトリックスより著しく高い抵抗の密着した被覆28を有
する。外側被覆28の一層高い抵抗は、各酸化物超電導体ストランドをその隣り
合うストランドから電気的に減結合する。ストランドが単フィラメントストラン
ドであるとき、ケーブルの各フィラメントは電気的に減結合される。好ましい具
体例において、高抵抗被覆28は、そのストランドに冶金技術的に結合されそし
て好ましくは隣り合うストランドに充分に密着される。他の好ましい具体例にお
いては、電導性ジャケット30がケーブル20を取り巻く。
【0037】 本発明の好ましい具体例において、ストランドは、単フィラメントでありそし
て単一の電導性金属ドメイン内に単一の酸化物フィラメントを内蔵している。従
って、フィラメント寸法より格段に大きな寸法にわたって誘起電流のための電導
性行路は存在しない。AC損失目的のために、個々のストランドおよび/又はケ
ーブルが捩られることが好ましい。
【0038】 また別の好ましい具体例において、ケーブル形成導体のストランドは、撚架さ
れるか、螺旋巻きされるか、編組されるか、ケーブルを形成するように別様に転
位された個々のストランドから構成される(即ち「ケーブル集合体のケーブル」
)。少なくとも一つのそして好ましくは各ケーブル形成ストランドは、各ストラ
ンド間にそして各ストランドを実質上取り巻いて配置される高抵抗の金属酸化物
層により他のケーブル形成ストランドから電気的に減結合される。個々のケーブ
ル形成ストランドの各々は単一のケーブルに対して上述したような高抵抗層を具
備する。かくして、所望なら、各酸化物フィラメントが他のフィラメントの各々
から電気的に減結合される複合的な高次のケーブルが提供されうる。
【0039】 好ましい具体例において、密着した被覆は、約100μΩ−cmを超える範囲
におけるそして好ましくは約10mΩ−cm〜1Ω−cmの範囲における抵抗率
を有する。約15のアスペクト比(巾/厚さ)でもって0.1Tの磁界(B⊥ア
スペクト付けフィラメント)において渦電流および結合損失を軽減するに有効で
あるためには約100μΩ−cmのオーダにおける抵抗率が効果的であることが
認められた。更に、工業規模の導体断面に対して2cmの撚りピッチおよび10
のアスペクト比に対して、500μΩ−cmのオーダにおける隣り合うフィラメ
ント間の有効抵抗率が本発明により実現されうる。この抵抗率の値は、銀に対し
て報告された値(0.3μΩ−cm)、貴金属−銀合金に対して報告された値(
<10μΩ−cm)および酸化物分散銀に対しての値(ODS、1.5〜2μΩ
−cm)より著しく大きい。酸化物分散銀は、銀マトリックス全体を通して分散
される小さな酸化物粒子を含んでおり、これらはマトリックスの硬さおよび機械
的強度を増大する。酸化物ドメインは小さくそして非連続であるから、これらは
銀マトリックスの抵抗率を著しくは増大しない。
【0040】 被覆層は、所望の抵抗率を生み出すに十分厚くなければならない。しかし、フ
ィラメント欠陥の場合にフィラメント間での電流を分担する能力を保持するため
に層を完全に絶縁性とする程に厚くてはならない。こうして、超電導ドメインは
隣り合うドメインから実質上電気的に減結合されうる。約1〜5μm厚さの範囲
のそして好ましくは約2〜3μmの範囲における被覆厚さが適当である。高抵抗
被覆がストランドの外面を実質上完全に覆いそして被覆が実質上連続しているこ
とが好ましい。他の好ましい具体例において、高抵抗被覆はストランドの外面に
拡散結合される。
【0041】 高抵抗率被覆は、材料が所要の抵抗率を有する限り、金属酸化物、金属炭化物
、金属窒化物、金属硫化物等でありうる。高抵抗率被覆は好ましくは金属酸化物
である。好ましい具体例において、高抵抗被覆は、錫、インジウム、ビスマス、
ガリウム、アンチモン、亜鉛、鉄、ニッケル、ニオブ、タンタル、もしくはジル
コニウムの1種以上の酸化物から構成される。高抵抗被覆層として使用される特
定の材料は、酸化物超電導体物品の予想される使用状況並びにその製造方法に依
存する。幾つかの好ましい具体例においては、この層は酸化錫もしくは酸化イン
ジウムである。
【0042】 ストランドは、任意の所望される酸化物超電導体を含むことができる。ここで
使用するものとしての、用語「所望される酸化物超電導体」とは、仕上がり製品
においての最終的使用に対して意図される酸化物超電導体を意味する。代表的に
、所望される酸化物超電導体は、高い臨界温度あるいは臨界電流密度のようなそ
の優れた電気的性質に対して選択される。フィラメントは、もちろん、例示目的
のみで挙げれば、希土類元素−バリウム−銅酸塩系列の超電導体(REBCO)
、ビスマス−ストロンチウム−カルシウム−銅酸塩系列の超電導体(BSCCO
)、タリウム−ストロンチウム−カルシウム−バリウム−銅酸塩(TBSCCO
)および水銀−バリウム−ストロンチウム−カルシウム−銅酸塩(HBSCCO
)系列の超電導体の酸化物超電導体の任意のものでありうる。好ましい具体例に
おいて、爾後の熱処理において所望される酸化物超電導体(Bi,Pb)2Sr2 Ca2Cu3y(BSCCO2223)に変換されうる酸化物超電導体先駆物質
(Bi,Pb)2Sr2Ca1Cu2y(BSCCO2212)の単フィラメント
を使用する方法が実施される。また別の好ましい具体例において、所望される酸
化物超電導体として、Re1Ba2Cu3y(ReBCO123)もしくはRe2
Ba4Cu7y(ReBCO247)を使用する方法が実施される。
【0043】 フィラメントは、爾後の処理段階において所望される酸化物超電導体相に変換
される所望の酸化物伝導体への先駆物質を含みうる。先駆物質は、元素、金属、
塩、酸化物、亜酸化物、所望される酸化物超電導体への中間段階にある酸化物超
電導体、もしくは所望される酸化物超電導体の安定領域において酸素の存在下で
反応せしめられるとき当該超電導体を生成する他の化合物の任意の組合せを含み
うる。例えば、希土類系列の酸化物超電導体に対しては銅、イットリウム、ネオ
ジム乃至他の種の希土類元素およびバリウムの元素、塩、もしくは酸化物を含み
うる。BSCCO系列の超電導体に対しては銅、ビスマス、ストロンチウム、お
よびカルシウムおよび随意的に鉛の元素もしくは酸化物を含みうる。TBSCC
O系列の超電導体に対しては銅、タリウム、カルシウム、およびバリウム乃至ス
トロンチウム、および随意的にビスマスおよび鉛の元素もしくは酸化物を含みう
る。HBSCCO系列の超電導体に対しては銅、水銀、カルシウム、バリウム乃
至ストロンチウム、および随意的にビスマスおよび鉛の塩もしくは酸化物を含み
うる。ビスマスおよび希土類系列の酸化物超電導体が、本発明の動作のためには
もっとも好ましい。
【0044】 フィラメントは、超電導酸化物中間体を含みうる。超電導酸化物中間体の形成
は、中間体の望ましい加工性質、例えば所望される酸化物超電導体により同等に
処理し得ない雲母状の組織構造あるいは先駆物質酸化物乃至塩からの一層完全な
相変換を活用するために幾つかの状況において所望されよう。
【0045】 B2Sr2Ca2Cu3yもしくは(Bi,Pb)2Sr2Ca2Cu3yのような
BSCCO系列の酸化物超電導体(BSCCO2223)の3層の高Tc相が、
本発明の動作に対してもっとも好ましい所望の超電導酸化物である。BSCCO
2223、ReBCO123およびReBCO247を含む複合体が、充分にテ
キスチャー化されるとき長尺において優れた機械的操作および電気的性能に対し
て有益性を示し従って本発明においての使用によく適合するはずである。超電導
酸化物複合体の電流搬送能力は、複合体製造作業において誘起される「テキスチ
ャーリング(集合組織等特定の結晶配列の形成)」として共に知られる、結晶配
列および酸化物粒の粒間結合の程度に著しく依存する。例えば、BSCCO22
12およびBSCCO2223の2層および3層の相をテキスチャー形成するた
めの既知技術が、Tenebrink、Wilhelm、HeineおよびKrauth著「Development of
Technical High-Tc Superconductor Wires and Tapes」論文MF-1、Applied Supe
rconductivity Conference、シカゴ(8月23−28、1992)並びにMateri
als Research Society meeting(1993年4月12−15)において発表され
た、Motowidlo、Galinski、Hoehn,Jr.およびHaldar著「Mechanical and Elect
rical Properties of BSCCO Multifilament Tape Conductors」に記載されてい
る。ケーブル形成導体におけるBSCCO2223相の整列は、1995年11
月7日付で出願された、「Cabled Conductors Containing Anisopropic Superco
nducting Compounds and Method for Making Them」と題する米国特許出願番号
08/554,814号に記載されている。これは引用することにより本明細書
の一部となす。
【0046】 ここで使用するものとして用語「マトリックス」は、内部に又は周囲に配置さ
れた超電導酸化物もしくはそれらの先駆物質を担持しまた結合する、展延性およ
び低抵抗特性が故に選択された単一の材料又は複数の材料の均質混合物を意味す
る。多層マトリックスもまた包括される。金属が代表的にマトリックスとして使
用される。銀および他の種の貴金属が好ましいマトリックス材料であるが、OD
S銀を含めて貴金属を実質上含む合金が使用されうる。ここで使用するものとし
ての「貴金属」という用語は、酸化物超電導体および先駆物質に対してまた製造
および使用における予想される条件(温度、圧力、雰囲気)の下で酸素に対して
実質上非反応性である金属を意味する。好ましい貴金属としては、銀(Ag)、
金(Au)、白金(Pt)およびパラジウム(Pd)を挙げることができる。こ
れら材料のうちコストにおいて一番安い銀およびその合金が大規模製造のために
もっとも好ましい。
【0047】 「A Novel Structure and Method of Manufacture for Minimizing Filamant
Coupling Losses in Superconducting Oxide Composite Articles」と題する、
現在出願中の、1995年、5月19日付出願の米国特許出願番号第08/44
4,564号は、金属マトリックス中に担持される酸化物超電導ドメインが金属
マトリックス内に減結合層の配置により電気的に減結合される超電導複合体を記
載している。各超電導ドメインは、1本以上の酸化物超電導フィラメントから構
成される。減結合層は、最初、金属シートもしくは箔として複合体中に配置され
そして後減結合層として機能する、対応する金属酸化物、硫化物、窒化物もしく
は金属間化合物に変換される。AC損失軽減のため米国特許出願番号第08/4
44,564号に記載される幾何学的特性即ち寸法配列形態(超電導ドメインに
対する減結合層の位置づけ)は複雑である。個々の酸化物超電導フィラメントを
電気的に減結合することが所望される場合にはそれだけ多く複雑である。最終複
合体物品中へのこれら複雑な幾何学的特性について加工処理中複合体の機械的破
損が生じないことを保証するためには、減結合層は金属マトリックスに対して充
分に密着していなければならない。しかし、米国特許出願番号第08/444,
564号にに開示される複合体は、所要の強力な減結合層/金属マトリックス界
面を提供しない。
【0048】 現在出願中の米国特許出願番号第08/554,814号は、担持用金属マト
リックス内でフィラメントを含む転位ストランドからなるケーブル形成導体を記
載する。フィラメントを構成する酸化物粒は、それらが実質上一方向にありそし
てケーブル形成導体におけるストランドおよびフィラメントの回転配向に影響を
受けないように結晶学的に整列されている。ここで記載される、そうした一方向
配向をうるのに使用されるテキスチャー形成技術の多くは、本発明に従って作製
されたケーブルにも応用でき、そしてここに引用することにより本明細書の一部
となす。米国特許出願番号第08/554,814号はまた、仕上がりケーブル
におけるストランドが電気的に隔離されるようにケーブル形成前に各ケーブルス
トランドが絶縁層で被覆されうることを開示する。適当な絶縁材料として、酸化
マグネシウム、酸化錫、窒化硼素および炭化珪素のような金属酸化物、窒化物お
よび炭化物を挙げることができる。こうした被覆ケーブル形成導体は、ここに記
載される制約、即ちケーブル形成作業前に脆性の被覆で被覆されたストランドは
、容認し得ないクラック発生やスポーリング発生なしに製造プロセスを通して加
工できない。従って、製品ケーブル形成導体の高抵抗被覆は充分に密着されてい
ない。
【0049】 本発明は、この問題を高抵抗被覆とストランドとの間に被覆のスポーリングや
破損に耐性のある冶金技術的結合を形成することにより克服する。ケーブルは、
超電導酸化物ストランドを爾後の段階で高抵抗層に変換される延性の先駆材料の
薄い層で被覆することにより作製される。先駆材料層は、その延性に故に、酸化
物超電導体複合体の製造において使用される多くの機械的変形段階を通して加工
されうる。ストランドは、延性材料の高抵抗材料への変換前の任意の時点でケー
ブル形成できるが、延性材料層の被覆前にフィラメントをケーブルに組立てるこ
とが好ましい。
【0050】 本発明は、フィラメントへの被覆のために適当な特定された延性の先駆材料を
有する。適当な材料は望ましくは転位された多フィラメント集合体(ケーブル)
内での加工処理を可能ならしめそしてフィラメント臨界電流密度(Jc)あるい
は複合体臨界電流密度(Je)への著しい悪影響無くフィラメント間の非常に高
い抵抗層に変換されるべきである。Jeは、複合体全体の単位断面積当たりの臨
界電流として定義され、他方Jcは酸化物超電導体相の単位断面積当たりの臨界
電流として定義される。追加的に、この延性の被覆材料は、次の属性の幾つか又
はすべてを具備しうる:(1)被覆されたままの状態での高い延性、(2)一様
で且つ制御可能な厚さ、(3)フィラメントの劣化を促進しないよう酸化物超電
導体との化学的両立性、適合性、(4)Jeを減じないよう最小断面積、および
(5)容認されうる高い抵抗を有する材料への変換性。
【0051】 被覆は望ましくは、ケーブルが加工処理中受ける可能性のある多くの取扱操作
や変形に耐えうるよう延性である。先駆材料は望ましくは、テキスチャー形成を
促進しそしてフィラメントを捩り転位するために充分に延性である。加えて、延
性先駆材料の機械的性質は望ましくは銀マトリックスに類似する。これは両者が
加工処理に際して同様の態様で応答するようにするためである。
【0052】 発明の背景において述べたように、金属もしくは金属合金は充分の抵抗率を有
するだけでは適当な被覆であるとして定義されなかった。他方で、セラミック酸
化物は代表的に絶縁体でありそして密着層としての所要の抵抗を有するはずであ
る。しかし、セラミック酸化物は脆性でありそして銀マトリックスと同時に変形
するに充分の延性を欠く。本発明は、被覆としての延性と同時変形能力要件を満
足しそして爾後に高抵抗の金属酸化物に変換されうる金属および金属合金を適当
な被覆として定義した。
【0053】 本発明の一具体例において、延性の先駆材料は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni
)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)およびジルコニウム(Zr)のような、
マトリックス銀に不混和性である金属から調製することができる。これら金属は
それらが高い加工処理温度において銀中に拡散しない点で有益である。しかし、
これら金属の各々は、先駆物質酸化物ストランドより高い焼鈍降伏強さおよび高
い加工硬化速度を有し、これは複合体中でのこれら材料の薄い、密着した層の加
工を困難ならしめる。この具体例は特に、各フィラメントそしてすべてのフィラ
メントではなく、フィラメント束の減結合が充分であるストランドやケーブル複
合体に対して適切である。そうした場合に、同時変形歪みは低くなりうると予測
される。
【0054】 本発明のまた別の具体例において、延性の先駆材料被覆は、銀マトリックスに
混和しうるが、フィラメントの超電導性質に悪影響を与えないかもしくは介在す
る銀により超電導フィラメントから物理的に隔離して維持されうるかのいずれか
である金属から調製されうる。この状況においては、延性の金属被覆からセラミ
ック酸化物への変換は、金属酸化物への酸化と金属の銀マトリックス中への拡散
との間での反応速度上の競合となろう。この基準に見合う適当な金属の例として
、錫(Sn)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、ビスマス(Bi)、ア
ンチモン(Sb)、およびそれら間での合金および/又は銀との合金を挙げるこ
とができる。低融点金属、SnおよびIn並びにSnおよびInの銀との共晶合
金がもっとも好ましい。ステイブライト(staybrite)として工業的に知られる、
SnおよびAgの共晶合金(Tm221℃;96.5wt%Sn)が特に好まし
い。ステイブライトは、優れた延性、純錫より高い強度を与え、そして低い加工
硬化速度を有する。インジウム−銀共晶合金(Tm144℃;96wt%In)
もまた好ましい具体例である。
【0055】 金属層は、限定されるわけではないが、メッキ、原子および分子状での付着技
術およびはんだ付け技術を含めて多くの従来からの方法に従って被覆されうる。
延性金属がストランド表面上の電導性金属中に混和性の金属から調製される場合
にははんだ付け技術が好ましい。しかし、そうした技術は、電導性金属と不混和
性の金属に対しては適当でない場合がある。それは、2種の材料の不混和性が溶
融金属のビード形成をもたらしそしてストランド表面の被覆を乏しくするからで
ある。不混和性金属被覆を使用する場合には、電気化学的付着、および/又は物
理的メッキ技術が好ましい。
【0056】 図3を参照すると、はんだ付け技術が、ストランド又は超電導ストランドの集
合ケーブルを従来型式のはんだ付けポットを通すことにより個々のストランド上
に金属層を形成する。ストランドあるいはケーブル32は、スプール33から繰
り出されそして随意的にフラックス充填浴34を通して送り出される。その後、
ストランド32は、はんだ浴35を通して送給されそして巻き取りスプール36
周囲に巻き取られる。被覆の厚さは、ステーション37において、ストランドが
溶融金属を収蔵するはんだポットを離れるに際してストランド上の余剰溶融金属
を払拭することにより容易に制御されうる。はんだの浸透は、恐らくは溶融金属
はんだの混和性により例えばはんだ浴への浸漬後約数秒以内に急速に起こる。表
面張力がストランド上での薄い一様な被覆を維持する。溶融金属と銀との接触は
、銀と被覆金属層との間に冶金技術的な結合を形成して密着した被覆を形成する
。酸化物超電導物品の加工処理におけるこの早期の段階での強力な密着した被覆
の形成は、被覆つきケーブル形成物品に対してこれまで可能であるとは考えられ
てなかった変形加工プロセスを受けることを可能ならしめる。
【0057】 本発明の方法に従えば、フィラメントストランドは、ケーブル形成作業中の幾
つかの時点の任意の時点において被覆されうる:(1)ケーブル形成作業前、(
2)ケーブル形成作業後、しかし引き抜き前、(3)組立ケーブルを引き抜いた
後、(4)ロール変形後。
【0058】 被覆作業がケーブル形成前に実施されるときストランドは効果的に被覆されう
る。個々のストランドは、各フィラメントを個別に溶融金属浴と接触することに
より被覆されうる。加えて、より多くの被覆技術、即ち溶液付着、メッキ、物理
的注入等が単一のストランドの被覆に順応でき、したがってプロセスが極めて融
通性に富むものとなる。しかしながら、被覆ストランドはケーブル形成後それら
の隣り合うストランドに決して結合されないから、爾後の変形加工処理中ストラ
ンドの所望されざるずれや滑りが起こりうる。これは変形応力の大きさを調整す
ることにより対処しうる。
【0059】 ケーブル形成後の組立体の被覆は、転位ストランドを効果的に被覆する被覆方
法がほとんど得られない点で個々のストランドの被覆に比べて不利益を有する。
しかし、ケーブル形成後のストランドはケーブルを溶融金属はんだ浴中へ浸積す
ることにより効果的に被覆されうることが実証された。毛管作用と灯心作用(表
面張力)が溶融金属を組立てられたストランドを通して吸い上げて、一様な厚さ
の実質上連続した被覆を形成する。更に、被覆が隣り合うストランドを結合しう
るので、ケーブルは爾後の変形加工中一層強固である。
【0060】 超電導フィラメント被覆する特に好ましい方法は、ケーブルを先ずより小さな
断面まで引き伸ばし、その後溶融金属柱で被覆することである。個々のケーブル
ストランド間に冶金技術的金属結合が存在しないので、毛管作用が各ストランド
の周囲に一様でそして連続した金属被覆を吸引する。被覆前のケーブルの引き抜
きはケーブル内のボイドスペースを減じ、従ってこれらボイドスペース内に溶融
金属が溜まるのを最小限とする。ボイドスペースは、存在するなら、不均一な被
覆層をもたらすことになる。
【0061】 1回以上の引き抜き(伸線、延伸)段階が考慮される。好ましい具体例におい
て、単一の大きな減縮度の引き抜き段階ではなく、一段階当たり好ましくは約2
0%未満の、小さな減縮度の、一連の引き抜き段階が使用される。プロセスにお
けるこの時点において、個々のストランドはまだ互いに冶金技術的に結合されて
おらず、従ってストランドが滑ったりまた不均一に集束する傾向が存在する。一
連の小さな減縮度を適用することにより、滑りの傾向が減少される。ケーブルが
ダイスを通過する際に逆張力をかけることにより不均一な引き抜きが更に回避さ
れる。逆張力は、ストランドを圧縮しそしてゆがみを最小限とする。加えて、引
き抜き段階中ケーブルが捩られ(捩り組織を誘起したりそして/またはAC損失
を減じる)ことが考えられる。ケーブルは、各引き抜きパス中、交互してのパス
中あるいは設定された増分のパスにおいて捩られ可能性がある。好ましい具体例
において、ケーブルは2回のパスを通して引き抜かれ、焼鈍されて銀マトリック
スを軟化し、そして第3の引き抜きパスにおいて捩り/引き抜きされる。この3
回パスプロセスが必要に応じて繰り返されうる。代表的な作業において、ケーブ
ル直径は直径において1/2以下まで減縮される。
【0062】 被覆前にケーブルを圧延、タークス−ヘッド圧延もしくはプレスすることも本
発明の範囲内で考慮される。これは、ケーブル形成状態もしくは引き抜きケーブ
ルについて実施できる。約3までのアスペクト比がこのプロセス段階で容認され
うる。生成する矩形状の形態は、上述した円形形態より一層大きな表面積を有し
そして生成する被覆は一層多量の材料を保持しうる。矩形断面ダイスあるいはケ
ーブルから余剰の被覆層を一層効率的に除去する他の改良払拭機構を使用するこ
とは本発明の範囲内である。
【0063】 図4は、ステイブライトはんだ浴中への浸漬による被覆後のケーブル断面の顕
微鏡写真である。ケーブルは、はんだ被覆前に引き抜かれそして個々のストラン
ド60はボイドスペースを減じる平坦表面形態をとっている。ステイブライト被
覆62は、各単フィラメントストランド60を完全に覆いそしてケーブル形成複
合体全体を通して連続した金属ウエブを形成している。明色の層64は銀マトリ
ックスでありそして暗色の中央部66は超電導酸化物フィラメントである。
【0064】 本発明は、任意の形態の複合体ストランド、例えば多フィラメントワイヤ、単
フィラメントワイヤ、ケーブル形成ワイヤあるいはサンドイッチ成層体を使用し
て実施できる。ストランドは、スパッタリングもしくはイオンビーム援助付着(
IBAD)のような物理的被膜形成技術、化学蒸着(CVD)のような化学的被
膜形成方法、あるいは周知のチューブ内粉末充填(powder-in-tube; PIT)方法を
含めて任意の従来手段により調製することができる。
【0065】 フィラメント寸法が小さいほどヒステリシス損失を減じることが確証されてい
るから、本発明の実施において微細なフィラメントを有するワイヤストランドを
使用することが好ましい。特に、最終物品における最大断面のフィラメント寸法
が250μm未満、好ましくは140μm未満そしてもっとも好ましくは100
μm未満であることが好ましい。これらは最終フィラメント寸法であることを銘
記されたい。フィラメント寸法は、押出しおよび引抜き作業により著しく減少さ
れうる。従って、大きめの寸法のフィラメントを有するストランドを作製しそし
て加工中にフィラメント寸法を減じることも本発明の範囲内である。
【0066】 減縮スケジュールとダイス角度の組合せが細線機械上での単フィラメント材料
の多数ダイス加工処理を可能ならしめることが見いだされた。「フル−スリップ
」型式の多数ダイス引抜きが使用され、ここではワイヤは、第1回転ドラムから
送給され、第1ダイスを通り、そして第2回転ドラム周囲にそして第1回転ドラ
ムに戻って進みそして第2ダイスに通る。このプロセスは、所望のワイヤ細さが
実現されるまで順次するダイスを通して続けられる。このプロセスは、ワイヤが
伸びるに際してワイヤ速度を変更するようドラム直径が補償されていないから「
フル−スリップ」と呼ばれる。「ハーフ−スリップ」および「ノースリップ」引
き抜きもまた考慮される。銀マトリックスを軟化させるため約300℃で5−3
0分における焼鈍を間に組み込むことが好ましい。最終フィラメント寸法は、以
下に論議されるように、複合体の加工中行われる対称および非対称変形により格
段に小さい(ca.100μm)ことを銘記すべきである。ストランド転位に先
立っての、ストランドの部分アスペクト化、フィラメントの部分テキスチャー形
成のいずれかもしくは両方も本発明の範囲内である。
【0067】 調製された状態のフィラメントストランドは、被覆状態であれ、未被覆状態で
あれ、従来型式のケーブル形成方法を使用してケーブル形成される。こうした丸
形標準組立体が従来からのワイヤおよびケーブル業界では一般的でありそして同
心標準ケーブルと呼ばれる。ストランドは、マサチューセッツ州、ハドソンのエ
ントホイッスル・カンパニー(Entwhistle Company)により供給される設備の
ような従来型式のケーブル形成設備において高い充填係数にあるケーブルであり
うる。遊星式のあるいは固定式のケーブル形成設備が使用されうる。加えて、ケ
ーブル形成作業においてケーブル自体がストランドとして使用される複雑なケー
ブルが形成されうる。ストランドは、設備の特定部分に対して一般に指定される
ケーブル形成パラメータに従って作製することができる。
【0068】 標準的なケーブル形成設備を使用してのケーブル組立が図5に例示される。転
位されるべきストランド40が、N個のスプール42周囲に等量ずつ巻回されて
いる。ここでNは、ケーブル44内に含まれるべきストランドの数である。これ
らスプールは、図5に概略示されるケーブル形成機械46上に搭載されている。
各スプールは、繰り出しに際して一様な張力制御を与えるように独立した張力付
与装置を具備している。適用されるストランド張力は好ましくは、ストランドの
引張強さの0.2未満である。スプールは、共通の回転軸線48を中心として一
斉に回転する。図5に示した機械では、遊星式制御が、回転軸線に平行な軸線を
中心としてスプールをその中心を通しての回転能を与える。この形態において、
ストランドの同じ側が常にケーブルにおける同じ方向に面する。ケーブルはまた
固定式のケーブル形成機械上でも形成することができる。
【0069】 スプールの各々は、マンドレル50から一定位置にある「集合地点」までスト
ランドを繰り出し、これはマンドレルを中心としてほぼ周囲対称である。マンド
レルは、非回転式でありそして共通の回転軸線上に配置されるスペード状工具で
ある。ストランドは、ケーブル巾と太さを定義する集合点52に繰り出す。共通
軸線を中心としての回転速度に対する集合点を通してケーブルを引っ張る速度が
ケーブル撚りピッチを定義する。
【0070】 ケーブルは様々の別の形態で形成されうる。例えば、丸形フィラメントは、同
心的にあるいは束としてないしロープ撚りとして撚ることができる。同心撚りは
撚り方向と層間の撚り長さに対して幾つかの異なった撚り方を有している。束撚
りは、個々のストランドの幾何学的配列に関係なく多数のストランドに適用され
る共通の撚り方向および撚り長さを有している。ロープ撚りは、束もしくは同心
標準部材いずれかの高次のケーブルである。個々のストランドをケーブル形成し
そしてこれらケーブルを第2のケーブル形成作業において使用することによりも
っと高次のケーブルを創出する(ケーブルのケーブル化)こともまた本発明の範
囲内である。これら高次のケーブル複合体もまた本発明に従って被覆されうる。
【0071】 図6は、同心ケーブル断面を例示し、ここでは薄く影を付けた領域72と濃く
影を付けた領域74が異なった撚りピッチ長さおよび撚りピッチ方向を有するス
トランド層を表す。緻密ケーブルは、短い撚りピッチを指定しそして組立状態の
ケーブルの総直径より小さなダイスを通してケーブルを整寸することにより形成
することができる。組立ケーブルは、個々のストランド間の冶金的結合なしにも
っと小さな直径に更に引き抜き延伸されうる。こうした引き抜きは、ストランド
間のボイドを排除しそして捩り形態において六角形断面状のストランドを束ねる
より完全密度を実現するのにはるかに簡単なやり方である。引き抜きケーブルは
その後、上述したようにケーブルのフィラメントストランドを被覆するべくはん
だ浴に浸漬されそして後組立体全体が延性先駆材料のほぼ融点において加熱され
てケーブルストランドを互いに結合する。
【0072】 所望される酸化物超電導体の組成に応じて、物品を変形テキスチャー形成する
ことが所望されよう。所望される超電導体酸化物がBSCCO2223であり(
そして中間酸化物がBSCCO2212である)とき、変形テキスチャー形成が
所望される。所望される酸化物超電導体がBSCCO2212もしくはReBC
O酸化物であるとき、反応誘起技術(RIT)を使用するテキスチャー形成が好
ましい。
【0073】 被覆されたケーブル形成物品はその後、酸化物超電導体先駆物質粒を一様な方
向に結晶学的に揃えるために非対称的にそして/または対称的に変形されうる。
ストランドを被覆ケーブルにまず組立てそして後必要に応じてこうした変型段階
を行ってテキスチャーを誘起することが所望される。既に十分にテキスチャー形
成されたストランドはその後、最善のJcおよび最少限の曲げ歪みのための磁界
でもって適正な配向を維持する態様で互いに転位されえない。テキスチャー形成
がケーブル形成作業後行われる場合には、テキスチャー形成されたフィラメント
は印加磁界とともに転位および適正な配向両方を有している。ケーブル形成導体
をテキスチャー形成することについてのこれ以上詳細な論議に対しては米国特許
出願番号第08/554,814号を参照されたい。これは、引用することによ
り本明細書の一部となす。
【0074】 既知の方法に従えば、AC損失を更に減じるためにまた捩りテキスチャーを誘
起するためにケーブルを捩ることが所望されようし、また変形誘起テキスチャー
形成作業もまた、ケーブルを先駆物質酸化物を所望される酸化物導体に変換しそ
して/また酸化物超電導体相の電流搬送能力を改善するために熱処理に供するこ
と共に所望されよう。
【0075】 変形処理加工および捩り作業はいずれも、もっとも好ましくは、延性層を金属
酸化物に変換するに先立って実施されるべきである。延性金属被覆は、複合体と
同時変形されそして変形段階全体を通して密着した被覆を保持する。ケーブルを
十分にテキスチャー形成するために、ケーブルは、非軸対称技術により、好まし
くは高いアスペクト比と少なくとも75%そして好ましくは少なくとも85%の
充填係数を実現しそしてフィラメント材料をテキスチャー形成するに十分の条件
において1回以上の段階で機械的に変形されうる。後ケーブル変形は、圧延或い
は追加的なタークス−ヘッド圧延により達成される。冷間圧延および粉末状ター
クス−ヘッド加工が好ましい。90%までの全歪みが1〜25パスにおいて適用
されることが好ましい。マトリックス材料の歪み硬化を減じるために中間焼鈍を
行いうるが、高抵抗酸化物への変換が行われる時点まで延性の先駆材料被覆の融
点未満に熱処理を維持することが所望される。
【0076】 その後、延性金属層は、別個の反応段階において或いは酸化物超電導体の通常
の熱処理スケジュール中いずれかで高抵抗層に変換されうる。変換は、テキスチ
ャー形成変形後の任意の時点において行いうる。変換は、適当な雰囲気において
被覆物品を加熱することにより達成されうる。例えば、物品は、金属窒化物層を
形成することが所望されるときには窒素化雰囲気中で加熱されうる。同様に、物
品は、金属炭化物若しくは硫化物を形成するためには炭化若しくは硫化雰囲気中
で加熱されうる。
【0077】 高抵抗層が金属酸化物である場合には、延性の金属層は、酸化が複合体におけ
る主たる反応機構であるに十分急速に(拡散に比較して)起こるような条件の下
で酸化物超電導体フィラメントの分解なしに酸化されるべきである。高い酸素分
圧が酸化を急速に進行せしめるが、但し、酸素分圧は酸化物超電導体相を不安定
にするほど高くてはならない。温度の増大もまた酸化を促進するが、反面高温は
また拡散にも都合がよい。従って、温度および酸素分圧は超電導酸化物組成を保
存し金属酸化を促進しそして元素の拡散を抑制するようにバランスされることが
望ましい。
【0078】 一具体例において、延性金属被覆のそのそれぞれの金属酸化物への変換は先駆
物質酸化物BSCCO2212のBSCCO2223への変換のために設定され
た熱処理の酸化性環境において行われる。そうした変換もまた、酸化物超電導体
相をテキスチャー形成しそして配向づける(反応誘起テキスチャー;RIT)た
めの全体プロセスの一部でありうるが、しかしそうしたテキスチャー形成反応は
実質上すべての機械的に誘起されたテキスチャーが完了するまで、代表的に行わ
れるべきではない。BSCCO2212からBSCCO2223への変換は代表
的に、約800〜830℃の範囲の温度においてそして低酸素分圧(0.01〜
10atmそして好ましくは0.75atm)において起こる。これら条件は代
表的に、金属を相当する金属酸化物に変換するのに有効である。金属から金属酸
化物への変換反応は、金属被覆の酸化と金属およびストランド金属マトリックス
(代表的に銀)の相互拡散との間での反応速度の競合である。昇温下での加熱中
、金属元素の易動度は増大しそして外側被覆の金属は、隣り合う銀マトリックス
中に拡散する可能性があり、別個の酸化物層の形成を妨げそして酸化物超電導フ
ィラメントの化学的および物理的一体性、完全性を損なう危険がある。昇温下で
の加熱は、金属マトリックスへの拡散速度の低い金属の金属酸化物への変換に特
に有益でありうる。しかし、高温酸化はまた、関連する元素、例えば銀、先駆材
料および酸素の相対的拡散速度を制御することにより、金属マトリックス中への
高い拡散率を有する金属に対して適当である。
【0079】 相対拡散速度および酸素速度が拡散に比べて金属の相当する金属酸化物への効
率的な酸化に都合よくない状況においてさえ、酸化条件の適正な選択により金属
の酸化が促進されそして金属拡散は抑制されうる。本発明の一具体例において、
金属層の酸化物への変換は、超大気圧酸素分圧(Po2)のような高い酸素活量
および低減された温度の条件の下で達成される。温度の低減は金属元素の易動度
を減少し、他方高い酸素活量は金属層への酸素の質量輸送を増大することにより
金属酸化物への変換を促進する。金属層の金属酸化物への変換のための適当な高
い酸素圧力は、約10〜200atmO2そしてより好ましくは約50〜200
atmO2そしてもっとも好ましくは80〜120atmO2の範囲にある。総
気体圧力は、約4000atmO2までの範囲となしえ、この場合気体の残部は
窒素やアルゴンのような不活性気体である。酸化プロセスと関連する容積変化に
よる超電導ケーブルの局所的な歪み/応力割れ乃至裂けを防止するのに増大せる
総圧力が有用である。適当な酸化温度は約400〜700℃の範囲にある。高圧
酸化反応についてのこれ以上の詳細は、必要なら、米国特許第5,472,52
5号を参照されたい。この文献もここに引用することにより本明細書の一部とな
す。
【0080】 上述した原理および方法を使用して他の金属/金属酸化物系も同様に処理しう
ると考えられる。被覆の酸化物への変換後、追加的な小さな非対称変形歪み(約
40%まで)が酸化物層の損傷(連続性の破壊)を生じることなく可能である。
【0081】 テキスチャー形成および変換熱処理が完了した後、最終熱処理をフィラメント
材料における歪み誘起クラックを修復するに適当な条件の下で行いうる。大半の
酸化物超電導複合体に対しては、臨界電流は、複合体に適用される引張歪みの量
には、歪みが閾値に達するまでは無関係である。閾値を超えると、臨界電流は、
フィラメント材料における局所的な微少クラックの形成により引張歪みの増加と
ともに非対照的に減少する。Kase等により「IEEE Trans. Mag. 27(2):1254(1991
)」において記載されたような融体テキスチャー形成成長技術がBSCCO22
12におけるクラック修復のために使用できる。BSCCO2223のための適
当な最終熱処理プロセスが、例えば、1993年4月1日に出願された、「Impr
oved Processing for Oxide Superconductors」と題する、現在出願中の米国特
許出願番号第08/041,822号、1994年2月17日に出願された、「
Improved Processing for Oxide Superconductors」と題する、現在出願中の米
国特許出願番号第08/198,912号、および1995年11月7日に出願
された、「Processing of Oxide Superconducting Cables」と題する、現在出願
中の米国特許出願番号第08/553,184号に記載されている。これらはこ
こに引用することにより本明細書の一部となす。
【0082】 本発明のケーブルを交番磁界におけるAC損失に対して試験した。サンプルは
、Jeにおける増加に伴ってAC損失の減少を示した。更に、近接した酸化物フ
ィラメントを有する複合体に対してAC損失は見込み通り低い(0.1Trms
に対して<10mW/A−m)。
【0083】 本発明を次の例を参照して記載する。これら例は例示目的で提示されるもので
あって、本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、ここで特定
的に記載した本発明の特定具体例に対する多くの均等物を認識し通常の日常試験
を用いて確認することができるであろう。こうした均等物は次の請求の範囲に包
括されることを意図するものである。
【0084】 細線単フィラメントの形成 先駆物質粉末を、1.8:0.3:1.9:2.
0:3.1(Bi:Pb:Sr:Ca:Cu)の公称組成を有する適当な金属窒
化物の凍結乾燥先駆物質の固態反応から調製した。対応する金属酸化物粉末もま
た容易に使用できた。粉末を適当な比率で完全混合後、仮焼(800℃±10℃
合計15時間)の多段階処理(代表的に3〜4段階)並びに中間粉砕を残留炭素
を除去し、材料を均質化しそしてBSCCO2212酸化物超電導体相を発現さ
せるために行った。
【0085】 粉末を0.850”(2.16cm)の内径および8”(20.32cm)高
さおよび1.25”(3.18cm)の外径を有する銀製の外装体(鞘)中に充
填してビレットを形成した。このビレットを一連の段階において0.05”(1
.27mm)のチッ系にまで引き抜いた。このワイヤを更に多ダイス、フル−ス
リップ式の線引き作業において所望の微細ワイヤ寸法に線引きした。約12度ダ
イス角における、パス当たり約10%断面積減縮での加工(公称逆張力を伴って
)がyaku0.62mmのフィラメント寸法を有する単フィラメントストラン
ドを生成した。約300℃での5〜30分間の焼鈍を銀マトリックスを軟化させ
るために時々行った。
【0086】 例1 本例は、ケーブル形成前に単フィラメントストランドを被覆することにより銀
マトリックス中でBSCCO2223酸化物超電導体を使用する被覆ケーブル形
成組成物の調製を例示する。
【0087】 BSCCO2223への先駆物質酸化物(銀外装体内でのBSCCO2212
+第2相)の単フィラメントストランドを上述したようにして0.62mm直径
の細いワイヤまで線引きした。このワイヤを洗浄し、フラックス260−Hf(
Alpha Metals 社製)を使用して約3分間フラックスに漬け、溶融ステイブライ
トはんだを充填したはんだ付け用ポットを通しそして浴を出るに際して余剰分を
払拭した。その結果として、被覆条件に応じて単フィラメントの表面上に公称1
〜4μmのステイブライトの一様な被覆が生成した。この被覆ワイヤを7つの等
長部分に切断し、そして公称1.7mmの直径において「6around1」形態にケ
ーブル形成した。ケーブルを更に、1.45mmの直径まで線引きし、はんだポ
ットを再度通しそして再度余剰分を払拭してストランドを互いに結合した。浴は
、短フィラメントを結合するに理想的な高熱容量、制御された一様な温度および
雰囲気を与えた。
【0088】 結合フィラメントを更に0.9mmまで線引きした。ステイブライト被覆は単
フィラメントともに同時変形されそして一様な、1〜2μm厚さのステイブライ
ト層が単フィラメントと複合体表面上に残った。ケーブルを線引きプロセスに耐
えるに十分の強度を有した。
【0089】 複合体その後、ステイブライト被覆をBSCCO2212をBSCCO222
3に変換するための熱処理中SnO2に変換するべく加熱した。この熱処理は、
7.5%酸素中で827℃において24時間の第1熱処理と、続いてca.0.
0153”の厚さまでの圧延、そして後の827℃(40時間)、808℃(4
0時間)、724℃(30時間)からなった。すべて0.075atm酸素(残
部窒素)とした。この熱処理は、図7に示すような酸化物層を生成した。
【0090】 薄い酸化錫層の形成は、ξ相として示される中間相の中間的な形成を通して進
行する。ステイブライト共晶合金が銀の余剰部に結合されるとき、ξ相が銀−ス
テイブライト界面に発生する。(ξ相は容易に発生しそして物品はその形成を回
避するために例えば210℃未満の、低温に維持される。)ステイブライト層は
、827℃(0.75atmO2)における第1の熱処理後ξ相−銀界面におい
てSnO2層に変換される。図7は、本発明のケーブルにおける3本の単フィラ
メントの断面の光学顕微鏡写真である。これら条件の下で、錫は、ξ相から出て
その両側に面する銀相にすぐに拡散し、図7に示されるように銀82により分離
される2つの明確に判別しうる酸化錫相80をもたらす。被覆単フィラメントの
空隙が81において示される。生成した酸化物層80は密着性でありそして連続
性である。酸化物フィラメント85を金属酸化物層80から分離する幅広い銀の
バンド84が存在し、かくしてフィラメントに隣り合っての電気的シャントおよ
びフィラメントの汚染を防止する物理的障壁の両方を保証する。エネルギー分散
X−線解析は、銀層82、84において錫を全く検出せずそしてSnO2層80
において銀を全く検出しなかった。しかし、酸化錫のごく僅かの領域が時として
銀マトリックス中に観察された。ξ相からの錫は銀中に拡散しうるが、報告され
た、銀中への錫の拡散度はきわめて低い。ξ相のAgおよびSnO2への酸化は
昇温下での銀への錫の拡散よりはるかに急速に起こると考えられる。酸化は、銀
マトリックスを通しての急速な酸素の拡散により助成されそしてフィラメント−
Ag界面への制限されたSnの拡散を伴ってSnのSnO2への完全な変換が行
われる。
【0091】 例2 本例は、ケーブル形成複合体を被覆することにより銀マトリックス中でBSC
CO2223酸化物超電導体を使用する被覆ケーブル形成組成物の調製を例示す
る。
【0092】 BSCCO2223への先駆物質酸化物(銀外装体内でのBSCCO2212
)の単フィラメントストランドを0.62mm直径の細いワイヤまで線引きした
。このワイヤを7つの等長部分に切断しそして「6 around 1」形態(0.7
45”撚りピッチ、設定ダイス00679”Φ)にケーブル形成して公称1.7
mmの直径を有するケーブル複合体を生成した。ケーブルを2回のダイスパスを
通して1.45mmの直径まで更に引き抜き、300℃において15分焼鈍し、
そして後捩りそして1.3mm(0.0523”)直径まで線引きした。ケーブ
ルは密に捩られてフィラメントの一様性の劣化なくフィラメントを転位させた。
複合体を2.8mmまでの捩りピッチでもって捩り(約1の捩り歪み)、これは
、最終テープの圧延変形における伸びが実際の撚りピッチの長さの2倍以上と考
えられるけれども、予定された要求に十分以上であった。
【0093】 ケーブル複合体を、ヘキサン中で洗浄し(ca.3分)、フラックス260−
Hf(Alpha Metals 社製)を使用して約3分間フラックスに漬けることにより
被覆のために準備した。ケーブルを溶融ステイブライトはんだを充填したはんだ
付け用ポットを通しそして浴を出るに際して余剰分を払拭した。その結果として
、図6に示すように、被覆条件に応じて、ケーブル内の各ストランドの表面上に
公称1〜4μmのステイブライトの一様な被覆が生成した。
【0094】 被覆ケーブルを動力タークスヘッドを使用して約0.9mm×1.4mm(0
.035”×0.053”)の断面に更に変形しそして約0.45mm(0.0
18”)の厚さに圧延した。ステイブライト被覆は単フィラメントともに同時変
形されそして一様な、公称1〜2μm厚さのステイブライト層が各ストランド間
と複合体表面上に残った。
【0095】 複合体をその後、ステイブライト被覆をBSCCO2212をBSCCO22
23に変換するための熱処理中SnO2に変換するべく加熱した。この熱処理は
、7.5%酸素中で827℃において24時間の第1熱処理と、続いてca.0
.4mm(0.0153”)の厚さまでの圧延、そして後の827℃(40時間
)、808℃(40時間)、724℃(30時間)からなった。すべて0.07
5atm酸素(残部窒素)とした。この熱処理は、図8に示すような酸化物層を
生成した。SnO2層は密着性でありそして連続していると思われた。表面上で
のSnO2のスポーリングは観察されなかった。
【0096】 例3 本例は、ケーブル形成複合体を被覆することによりそして高酸素分圧酸化段階
により銀マトリックス中でBSCCO2223酸化物超電導体を使用する被覆ケ
ーブル形成組成物の調製を例示する。
【0097】 BSCCO2223への先駆物質酸化物(銀外装体内でのBSCCO2212
)の単フィラメントストランドを0.62mm直径の細いワイヤまで線引きした
。このワイヤを7つの等長部分に切断しそして「6 around 1」形態(0.7
45”撚りピッチ、設定ダイス00679”Φ)にケーブル形成して公称1.7
mmの直径を有するケーブル複合体を生成した。ケーブルを2回のダイスパスを
通して1.45mmの直径まで更に引き抜き(逆張力を伴って)、300℃にお
いて15分焼鈍し、そして後捩りそして1.3mm(0.0523”)直径まで
線引きした。
【0098】 ケーブル複合体を、ヘキサン中で洗浄し(ca.3分)、フラックス260−
Hf(Alpha Metals 社製)を使用して約3分間フラックスに漬けることにより
被覆のために準備した。ケーブルを溶融ステイブライトはんだを充填したはんだ
付け用ポットを通しそして浴を出るに際して余剰分を払拭した。その結果として
、被覆条件に応じて、ケーブル内の各ストランドの表面上に公称1〜4μmのス
テイブライトの一様な被覆が生成した。
【0099】 被覆ケーブルを動力タークスヘッドを使用して約0.9mm×1.4mm(0
.035”×0.053”)の断面に更に変形しそして約0.45mm(0.0
18”)の厚さに圧延した。ステイブライト被覆は単フィラメントともに同時変
形されそして一様な、公称1〜2μm厚さのステイブライト層が各ストランド間
と複合体表面上に残った。
【0100】 複合体をその後、600℃において100atmの純酸素下で3時間の高圧酸
素熱処理を使用してステイブライト被覆をSnO2に変換するべく加熱した。そ
の後、BSCCO2212をBSCCO2223に変換するためフィラメント酸
化物を加熱した。この熱処理は、7.5%酸素中で827℃において24時間の
第1熱処理と、続いてca.0.4mm(0.0153”)の厚さまでの圧延、
そして後の827℃(40時間)、808℃(40時間)、724℃(30時間
)からなった。すべて0.075atm酸素(残部窒素)とした。この熱処理は
、酸化物層を生成した。
【0101】 600℃において100atmの純酸素中で熱処理した被覆ケーブルの断面の
光学顕微鏡写真を図8に示す。高酸素圧条件の下で酸化錫層90の形成もまたξ
相を通して進行する。しかし、一層高い酸素活量と一層低い温度において、銀相
92中への錫の拡散は著しく減少する。図8に示されるように、酸化錫層90は
、十分に明瞭でありそして元々の金属層と実質上同じ位置に形成されたように思
われる。図9においては単一の金属酸化物層が形成されたように見えるが、2つ
の近接した隣り合う金属酸化物層がしばしば観察された。生成した酸化物層90
は密着性でありそして連続性である。エネルギー分散X−線解析は、銀中に錫を
全く検出せずそしてSnO2中に銀を全く検出しなかった。しかし、酸化錫のご
く僅かの領域が時として銀マトリックス中に観察された。酸化物フィラメント9
5を金属酸化物層から分離する幅広い銀のバンド92が存在し、かくしてフィラ
メントに隣り合っての電気的シャントおよびフィラメントの汚染を防止する物理
的障壁の両方を保証する。
【0102】 例4 本例は、予備的なAC損失測定を提示する。最終の熱処理されたケーブルを1
μvolt/cmの電圧基準において77K(O)における臨界電流(Ic)に対し
て測定した。JeをIcをケーブル断面積により割ることにより確定した。隣り
合うサンプルを公称1”長さの部分に区分した。各1”区分の端を1200グリ
ットまで順次小さなグリット寸法のサンドペーパで乾燥研磨した。サンドペーパ
により研磨は切断による損傷の結果としてフィラメントがフィラメント間に物理
的係絡を有していないことを保証するためであった。
【0103】 測定した各サンプルに対して、2つの部片の周囲にピックアップコイルを、コ
イルが2つの部片の各々を通しての断面にほぼ同等の有効断面積を持つよう配置
した。この測定断面は、ケーブルの幅寸法方向に直交しそしてケーブルの長手軸
線に平行な面により表される。サンプルおよびピックアップコイルを77Kにお
いて交番磁界中に置いた。コイル中に誘起された電圧をサンプルにおける損失に
関連づけた。AC損失を図9にプロットした。
【0104】 結果は予備的であるけれども、mW/A−m目盛(工業的な測定単位)におけ
るAC損失がJeの増加とともに減少することがわかる。また、工業用途に対す
る磁界である、0.1Trmsに対するAC損失(<10mW/A−m)は、こ
のように近接されたフィラメントを有する複合体(超電導体の分率は公称0.4
0)に対して予想通り低い。
【0105】 本発明の他の具体例は、ここに開示した本発明の明細或いは実施についての考
慮から当業者には明らかであろう。明細書の説明および実施例は例示的なもので
あって、本発明の範囲および精神は添付請求の範囲によってのみ示すことを意図
するものである。
【図面の簡単な説明】
本発明は、例示目的のみで呈示されそして決して本発明を限定することを意図
しない図面を参照して理解されよう。
【図1】 本発明に従う酸化物超電導体物品を示す斜視図である。
【図2】 本発明に従う酸化物超電導体ケーブルを示す斜視図である。
【図3】 本発明の実施において使用される被覆作業の概略例示図である。
【図4】 被覆に先立ってボイドスペースを減じるべく引き抜かれたAgSn被覆ケーブ
ル断面の光学顕微鏡写真である。
【図5】 本発明の実施において使用される被覆作業の概略例示図である。
【図6】 同心ケーブル断面の概略例示図である。
【図7】 AgSn層をSnO2に変換するための熱処理後のケーブル断面の光学顕微鏡
写真である。
【図8】 AgSn層をSnO2に変換するための熱処理後のケーブル断面の光学顕微鏡
写真である。
【図9】 Jcを変化するケーブルに対してAC損失(電力/[長さ*Ico])対交番
磁界強さ(HOe、エールステッド)をプロットするグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クレイグ ジェイ.クリストファソン アメリカ合衆国 01560 マサチューセッ ツ、サウス グラーフトン、クロス スト リート 21、アパートメント 3エル (72)発明者 グレゴリー エル.スニッチラー アメリカ合衆国 01545 マサチューセッ ツ、シュローズベリー、アイルタ ロード 64 (72)発明者 ウィリアム エル.バーンズ アメリカ合衆国 02401 マサチューセッ ツ、ブロックトン、スタドリー アベニュ ー 11 (72)発明者 ケニス デモランビル アメリカ合衆国 01522 マサチューセッ ツ、ジェファソン、ノース ストリート 157 Fターム(参考) 5G321 AA01 BA01 CA09 CA32 CA36 CA39 CA42 DA02 DB46 DB47

Claims (57)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延性のそして電導性の金属マトリックス内に包入された少な
    くとも1本の酸化物超電導体フィラメントを含む複数のストランドにして、スト
    ランドの少なくとも半分は更に該ストランドの少なくとも半分を実質上取り巻く
    密着した、実質上連続した高抵抗の被覆を備えている複数のストランドを具備し
    、前記ストランドがケーブルを形成するように配置されそして配列されているこ
    とを特徴とする酸化物超電導ケーブル。
  2. 【請求項2】 ストランドの各々が高抵抗の被覆により実質上取り巻かれて
    いる請求項1の酸化物超電導ケーブル。
  3. 【請求項3】 高抵抗の被覆がストランドの各々に拡散結合されている請求
    項2の酸化物超電導ケーブル。
  4. 【請求項4】 ストランドの各々の高抵抗被覆が隣り合うストランドに拡散
    結合されている請求項2の酸化物超電導ケーブル。
  5. 【請求項5】 高抵抗の被覆が金属酸化物を含む請求項2の酸化物超電導ケ
    ーブル。
  6. 【請求項6】 金属酸化物が錫、ビスマス、ガリウム、アンチモン、亜鉛、
    鉄、ニッケル、ニオブ、タンタル、ジルコニウムおよびインジウム、これら相互
    の合金、並びに銀との合金の酸化物から成る群から選択される請求項5の酸化物
    超電導ケーブル。
  7. 【請求項7】 被覆が約1μm〜約5μmの範囲における厚さを有する請求
    項2の酸化物超電導ケーブル。
  8. 【請求項8】 ストランドが単フィラメントである請求項2の酸化物超電導
    ケーブル。
  9. 【請求項9】 ストランドが予備組立ケーブルである請求項2の酸化物超電
    導ケーブル。
  10. 【請求項10】 高抵抗の被覆が約10μΩ−cmを超える抵抗率を有する
    請求項2の酸化物超電導ケーブル。
  11. 【請求項11】 酸化物超電導体フィラメントが250μm未満の直径を有
    する請求項2の酸化物超電導ケーブル。
  12. 【請求項12】 ストランドが同心、束およびロープ撚りケーブル並びにそ
    れらのもっと高次のケーブルから成る群から選択されるケーブルを形成するよう
    に配置されそして配列される請求項2の酸化物超電導ケーブル。
  13. 【請求項13】 0.1Trmsの交番磁界におけるAC損失が約10mW
    /A−m未満であることを特徴とする請求項2の酸化物超電導ケーブル。
  14. 【請求項14】 ストランドが約0.1〜0.5の超電導酸化物容積分率を
    有する請求項13の酸化物超電導ケーブル。
  15. 【請求項15】 ストランドが約0.25〜0.4の超電導酸化物容積分率
    を有する請求項13の酸化物超電導ケーブル。
  16. 【請求項16】 高抵抗層が間に電導性金属層を配置した2つの実質上連続
    した層を含む請求項2の酸化物超電導ケーブル。
  17. 【請求項17】 高抵抗材料の非連続ドメインが電導性金属マトリックス内
    に該電導性金属マトリックスの抵抗を著しく増加するには不十分な量において分
    散される請求項2乃至16の酸化物超電導ケーブル。
  18. 【請求項18】 ケーブルが1を超えるアスペクト比を有する請求項2の酸
    化物超電導ケーブル。
  19. 【請求項19】 各々延性のそして電導性の金属マトリックス内に外装され
    た酸化物超電導体への先駆物質から成る少なくとも1本のフィラメントを含む複
    数のストランドにして、該ストランドの少なくとも半分は更に該ストランドの少
    なくとも半分上の密着した、実質上連続した、高抵抗の材料に変換しうる金属被
    覆を備えている複数のストランドを具備し、前記ストランドがケーブルを形成す
    るように配置されそして配列されていることを特徴とするケーブル。
  20. 【請求項20】 ケーブルが1を超えるアスペクト比を有する請求項19の
    ケーブル。
  21. 【請求項21】 金属被覆が錫、ビスマス、ガリウム、アンチモン、亜鉛、
    鉄、ニッケル、ニオブ、タンタル、ジルコニウムおよびインジウム、これら相互
    の合金、並びに銀との合金から成る群から選択される請求項19のケーブル。
  22. 【請求項22】 各々銀合金マトリックス内に包入された酸化物超電導体へ
    の先駆物質から成る少なくとも1本のフィラメントを含む複数のストランドにし
    て、該ストランドの少なくとも一つは更に該ストランドの外面上に密着した、実
    質上連続した、高抵抗の材料に変換しうる銀基金属間化合物材料被覆を備えてい
    る複数のストランドを具備し、前記ストランドがケーブルを形成するように配置
    されそして配列されていることを特徴とするケーブル。
  23. 【請求項23】 ケーブルが1を超えるアスペクト比を有する請求項22の
    ケーブル。
  24. 【請求項24】 金属間化合物が錫、ビスマス、ガリウム、アンチモン、亜
    鉛、鉄、ニッケル、ニオブ、タンタル、ジルコニウムおよびインジウムから成る
    群から選択される銀−金属化合物である請求項22のケーブル。
  25. 【請求項25】 延性のそして電導性の金属マトリックス内に包入される少
    なくとも1本の酸化物超電導体フィラメントと、前記包入されたフィラメントの
    外面を実質上取り巻く密着した高抵抗の被覆とを具備する酸化物超電導ストラン
    ド。
  26. 【請求項26】 高抵抗の被覆が包入フィラメントの外面に拡散結合されて
    いる請求項25の酸化物超電導ストランド。
  27. 【請求項27】 高抵抗の被覆が錫、ビスマス、ガリウム、アンチモン、亜
    鉛、鉄、ニッケル、ニオブ、タンタル、ジルコニウムおよびインジウム、これら
    相互の合金、並びに銀との合金から成る群から選択される金属の酸化物である請
    求項25の酸化物超電導ストランド。
  28. 【請求項28】 被覆が約1μm〜約5μmの範囲における厚さを有する請
    求項25の酸化物超電導ストランド。
  29. 【請求項29】 ストランドが単フィラメントである請求項25の酸化物超
    電導ストランド。
  30. 【請求項30】 ストランドが多フィラメントである請求項25の酸化物超
    電導ストランド。
  31. 【請求項31】 高抵抗の被覆が約100μΩ−cm〜1Ω−cmの範囲に
    ある抵抗率を有する請求項25の酸化物超電導ストランド。
  32. 【請求項32】 酸化物超電導体フィラメントが250μm未満の直径を有
    する請求項25の酸化物超電導ストランド。
  33. 【請求項33】 高い横断マトリックス抵抗率を有する酸化物超電導ケーブ
    ルを作製する方法であって、 (a)各々延性のそして電導性の金属マトリックス内に包入される少なくとも1
    本の酸化物超電導体フィラメント若しくはそれへの先駆物質から成る複数のスト
    ランドに延性の先駆材料被覆を被覆する段階と、 (b)前記複数のストランドをケーブルに組立てる段階と、 (c)前記延性の先駆材料被覆を高抵抗の材料に変換する段階と を包含する(但し、段階(a)および(b)は任意の順序で行いうる)酸化物超
    電導ケーブル作製方法。
  34. 【請求項34】 高い横断マトリックス抵抗率を有する酸化物超電導ケーブ
    ルを作製する方法であって、 (a)各々延性のそして電導性の金属マトリックス内に包入される少なくとも1
    本の酸化物超電導体フィラメント若しくはそれへの先駆物質から成る複数のスト
    ランドをケーブル形成する段階と、 (b)前記ケーブルを延性の高抵抗の材料に変換しうる先駆材料と接触してケー
    ブルストランド上に延性の先駆材料層を形成する段階と、 (c)前記延性の先駆材料を高抵抗の材料に変換する段階と を包含する酸化物超電導ケーブル作製方法。
  35. 【請求項35】 延性の先駆材料が金属若しくは金属合金である請求項34
    の方法。
  36. 【請求項36】 金属が錫、インジウム、ガリウム、ビスマス、鉄、ニッケ
    ル、ニオブ、タンタル、ジルコニウムおよびこれら相互の合金、並びに銀との合
    金から成る群から選択される請求項35の方法。
  37. 【請求項37】 延性の先駆材料を高抵抗の材料に変換する段階が金属を対
    応する金属酸化物に酸化することから成る請求項35の方法。
  38. 【請求項38】 延性の先駆材料層がフィラメントを溶融若しくは液体形態
    における延性の先駆材料と接触することにより被覆される請求項35の方法。
  39. 【請求項39】 延性の先駆材料層が電気メッキ、イオン注入、物理的蒸着
    、無電解メッキから成る群から選択される技術により被覆される請求項35の方
    法。
  40. 【請求項40】 ストランドが単フィラメント酸化物超電導体若しくはそれ
    への先駆物質を含む請求項35の方法。
  41. 【請求項41】 フィラメントが250μm未満の直径を有する請求項35
    の方法。
  42. 【請求項42】 ストランドを互いに密着するためにケーブル組立後被覆ケ
    ーブルを加熱することを更に包含する請求項35の方法。
  43. 【請求項43】 段階(c)が延性先駆材料を高抵抗の材料に変換するに十
    分の超大気圧酸素圧力および温度において実施される請求項35の方法。
  44. 【請求項44】 酸素分圧が15〜3000psiの範囲にある請求項43
    の方法。
  45. 【請求項45】 酸素分圧が15〜60,000psiの範囲にある請求項
    43の方法。
  46. 【請求項46】 温度が約400〜700℃の範囲にある請求項43の方法
  47. 【請求項47】 段階(c)が酸化物超電導体先駆物質を酸化物超電導体に
    変換するに追加的に十分の条件の下で実施される請求項35の方法。
  48. 【請求項48】 高抵抗の被覆を酸化物超電導体先駆物質を酸化物超電導体
    に変換するに十分の条件の下で加熱する段階を更に含む請求項35の方法。
  49. 【請求項49】 高抵抗の被覆を有するケーブルを酸化物超電導体先駆物質
    を酸化物超電導体に変換するに十分の条件の下で加熱する段階を更に含む請求項
    43の方法。
  50. 【請求項50】 層が約1μm〜約5μmの範囲における厚さを有する請求
    項35の方法。
  51. 【請求項51】 高抵抗の材料が約100μΩ−cm〜1Ω−cmの範囲に
    ある抵抗率を有する請求項35の方法。
  52. 【請求項52】 ケーブルを酸化物超電導体もしくはそれへの先駆物質をテ
    キスチャー形成するに十分の変形か高処理段階に共し、その場合該変形加工処理
    が延性の先駆材料を高抵抗の材料に変換する段階(c)に先だって行われる請求
    項35の方法。
  53. 【請求項53】 変形加工処理が圧延、プレス、タークスヘッド形成、引き
    抜き、および捩りから成る群から選択される請求項52の方法。
  54. 【請求項54】 ケーブル形成段階(a)に先立ってストランドを捩る段階
    を更に含む請求項35の方法。
  55. 【請求項55】 高抵抗の被覆ケーブルを酸化物超電導体における微少クラ
    ックを修復するよう選択された熱処理に供する段階を更に含む請求項35の方法
  56. 【請求項56】 高抵抗の被覆ケーブルを酸化物超電導体における微少クラ
    ックを修復するよう選択された熱処理に共する段階を更に含む請求項52の方法
  57. 【請求項57】 請求項1のケーブルから作製された超電導コイル。
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