JP2003501035A - 安定性に関して改変されたサイトカイン - Google Patents

安定性に関して改変されたサイトカイン

Info

Publication number
JP2003501035A
JP2003501035A JP2001500772A JP2001500772A JP2003501035A JP 2003501035 A JP2003501035 A JP 2003501035A JP 2001500772 A JP2001500772 A JP 2001500772A JP 2001500772 A JP2001500772 A JP 2001500772A JP 2003501035 A JP2003501035 A JP 2003501035A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cytokine
protein
folding
peptide
helix
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001500772A
Other languages
English (en)
Inventor
ヘレナ ドミングース,
ハルトムート オシュキナート,
ルイス ゼラーノ,
ヨルク ペータース,
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Europaisches Laboratorium fuer Molekularbiologie EMBL
Original Assignee
Europaisches Laboratorium fuer Molekularbiologie EMBL
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Europaisches Laboratorium fuer Molekularbiologie EMBL filed Critical Europaisches Laboratorium fuer Molekularbiologie EMBL
Publication of JP2003501035A publication Critical patent/JP2003501035A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/52Cytokines; Lymphokines; Interferons
    • C07K14/54Interleukins [IL]
    • C07K14/5406IL-4
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P37/00Drugs for immunological or allergic disorders
    • A61P37/08Antiallergic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01KANIMAL HUSBANDRY; AVICULTURE; APICULTURE; PISCICULTURE; FISHING; REARING OR BREEDING ANIMALS, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; NEW BREEDS OF ANIMALS
    • A01K2217/00Genetically modified animals
    • A01K2217/05Animals comprising random inserted nucleic acids (transgenic)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、サイトカインの安定化のための方法、およびこのような方法により生成されるサイトカインに関する。本発明の方法は、溶媒に曝露される疎水性残基を除去するように、サイトカインのアミノ酸配列を変異させる工程、および/または分子内の1つ以上の二次構造エレメントを安定化するように、サイトカインのアミノ酸配列を変異させる工程を包含する。これらの工程は、天然にフォールディングされた状態におけるサイトカインの安定性と比較して、フォールディングプロセスの間に形成される中間体を不安定化する効果を有し、これによって、インビトロで生成される場合のサイトカインの収率を増加させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、サイトカインの安定化の方法およびこのような方法によって生成さ
れるサイトカインに関する。特に、本発明の方法は、サイトカインのフォールデ
ィングの間に形成される中間体を、その天然にフォールディングされた状態にお
けるサイトカインの安定性に比較して、不安定化する工程を包含する。これは、
インビトロで産生される場合、サイトカインの収量を増大させる効果を有する。
【0002】 サイトカインは、約8と80kDaとの間の小タンパク質であり、免疫反応の
正および負の調節の両方において、ならびにこれらの反応を内分泌系および造血
系のようなその他の生理学的区画と一体化することにおいて、中心的な役割を有
する。
【0003】 100を優に超える異なるヒトサイトカインが今や同定されており、これらは
、広汎な種々の異なる機能を有する。これらの分子は、細胞膜において特異的な
レセプターに結合し、そして多数のサイトカイン調節遺伝子の誘導、増強、また
は阻害に至るシグナリングカスケードを開始することによって作用する。種々の
異なる型のサイトカインが存在し、それらには、インターロイキン、インターフ
ェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子、成長因子、およびケモカインが含ま
れる。これらのサイトカインは、複雑なネットワークにおいて共同して機能し、
そのネットワークにおいて、1つのサイトカインの産生は、一般に、いくつかの
その他のサイトカインの産生またはそれらに対する応答に影響を与える。
【0004】 臨床的に、サイトカインは、医学のいくつかの領域において重要な役割を有す
る(抗炎症剤としての用途、および多数の癌(非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄
腫、メラノーマ、および卵巣癌を含む)を処置するために使用される薬剤として
の用途を含む)。サイトカインはまた、HIV、多発性硬化症、喘息、およびア
レルギー性疾患の処置における適用を有する。
【0005】 サイトカインの活性は、特異的なサイトカインとそのレセプター系との相互作
用を妨げ、それにより、そのサイトカインの生物学的効果を担う細胞内シグナル
を抑制することによって阻害され得る。サイトカイン−レセプター相互作用を遮
断するために利用可能であるストラテジーは、一般的に、サイトカインまたはそ
のレセプターに対するモノクローナル抗体の使用を含む。さらに、可溶性レセプ
ターおよびサイトカインレセプターアンタゴニストが使用され得る(Finke
lmanら、1993;Rose−John Heinrich,1994を参
照のこと)。レセプターアンタゴニストは、サイトカインレセプターに高親和性
で結合し得るが、シグナル伝達を誘導し得ず、そしてそのため生物学的応答を生
成しない、野生型サイトカインの変異体である。IL−4の場合、IL−4レセ
プターαに、野生型タンパク質のKdと同様なKdで結合するが、第二のレセプタ
ー成分を動員できない、2つの効率的なアンタゴニストが、文献に報告されてい
る。
【0006】 しかし、可溶性レセプターおよびモノクローナル抗体の治療能は、必要とされ
る高用量、およびこれらのタンパク質が免疫原性である可能性に起因してかなり
限定されることが示されている(Finkelmanら、1993;Malis
zewskiら、1994)。
【0007】 これらの理由のために、かなりの注目が、サイトカインに由来するアンタゴニ
ストの、治療的分子としての利用可能性に注がれている。この新世代の生物学的
製剤は、他の物質と比較して毒性が低いことが予想される(Buckel,19
96)。
【0008】 E.coliのような細菌におけるサイトカイン(およびサイトカインアンタ
ゴニスト)の産生を最適化することに興味が存在するためのいくつかの実際的な
理由が存在する。いくつかの真核生物発現系(昆虫、真菌、酵母、および哺乳動
物細胞株を含む)が、ここ何年かにわたって開発されているが、細菌の相対的な
単純さが、この生物を多くの場合において有利な宿主にする。例えば、E.co
liは、迅速な増殖率を有し(代表的な倍化時間は、20分である)、操作、な
らびにタンパク質発現および変異のスクリーニングが容易であり、比較的安価な
培地で増殖する。これらの利点の結果、現在市場で利用可能であるほとんどのタ
ンパク質薬物は、目的の遺伝子を保有するE.coliの大規模な発酵によって
産生される(Stevenら、1998)。これらの高い細胞密度培養系は、E
.coliについてかなり十分に確立されているが、他の宿主でのそれらの効率
および生存性についてはほとんど知られていない。
【0009】 E.coliおよびその他の原核生物発現系一般の利用に関連する不利な点に
は、この生物が、異種タンパク質を封入体中に産生する傾向、翻訳後修飾の非存
在、細菌リボザイムによるヒトmRNAの非効率的翻訳、特徴的なコドン使用頻
度、および細胞質においてジスルフィド結合を形成し得ないことが含まれる。こ
れらの事実は、発現されたタンパク質のフォールディングおよび安定性を条件化
し、そして凝集を引き起こし得る。
【0010】 E.coliにおいて封入体を形成することに影響を及ぼす因子には、細胞増
殖温度、シャペロンとの同時発現、融合タンパク質の使用、タンパク質の周辺質
への分泌、異なる発現系統の使用、およびそのプロ配列を含むタンパク質の発現
が含まれる。しかし、これらの方法の操作は、この問題を解決するにおいて、も
しあるとしても、部分的に有効であるに過ぎない。
【0011】 封入体の形成が、決して、E.coliに限定される異常な現象でないことに
注意すべきである。これは、Saccharomyces cerevisia
eのような真核生物発現系およびさらには哺乳動物細胞について、(固有のタン
パク質および異種タンパク質の両方で)報告されている(BowdenおよびG
eorgiou、1990)。
【0012】 タンパク質の封入体からの回収における義務的な工程は、尿素のようなカオト
ロピックな変性剤、またはGudmHCl(塩化グアニジン)界面活性剤、また
は極端なpHを使用して凝集体を不溶化することを含む。不運にも、再生プロト
コルは、滅多に、簡単ではなく、そして封入体からのタンパク質の相当な収量で
の精製は、一般に、著しい挑戦の代表である。しばしば、目的のタンパク質は、
リフォールディングの間に沈降するか、または変性剤の存在に起因して、不可逆
的化学的修飾を受け得る。
【0013】 タンパク質の商業的な産生のためのストラテジーを考案するときには、小規模
増殖試験に見出される条件はまた、そのプロセスが大規模発酵にまでスケールア
ップされる時に有効であるべきことを心に留めておかなければならない。例えば
、所定の標的のシャペロンとの同時過剰発現が、1リットルの振盪フラスコにお
けるその可溶性を増大するという事実は、同じことが、100,000リットル
の発酵の間に観察されることを保証しない。従って、複雑な封入体の問題に対す
る簡単な解決を見出すことが望ましい。
【0014】 サイトカインのようなジスルフィド結合タンパク質の場合、還元型タンパク質
から酸化型タンパク質への変換は、ネイティブでない分子間ジスルフィド架橋に
よって特徴づけられる一連の中間体種を介して進行することが、示されている(
Creighton、1997;De Felippisら、1993;You
ngmanら、1995)。種々の薬剤が、それらのネイティブな対形成のため
のジスルフィド結合の形成およびリシャッフリングの触媒に利用可能であるが、
完全で正確な酸化的リフォールディングのための最適な条件は、滅多に見出すこ
とができない。従って、サイトカインのようなほとんどのジスルフィド含有タン
パク質のインビトロフォールディングの間、一連のアイソフォームが得られる。
これらのアイソフォームのいくつかは、沈降し、そしてそのネイティブのアイソ
フォーム(しばしば少量の種である)は、HPLCによって他の全てのものから
分離されなければならない。頻繁に、封入体中に蓄積するタンパク質は、所望の
量の純粋なタンパク質を得るために十分であるようであるが、封入体の調製およ
びそのタンパク質のリフォールディングの間に被る損失は、非常に大きく、その
ため、わずかな量の活性タンパク質しか回収され得ない。
【0015】 従って、サイトカイン由来のアンタゴニストの治療的可能性は、これらのタン
パク質が、費用節約的に大量に産生することは困難であるという事実によって減
少する。これは、それらがE.coliにおいて過剰発現された場合、封入体を
形成する傾向があり、そしてそれらがインビトロにおいて非常に低収率でリフォ
ールディングするからである。
【0016】 従って、サイトカインアンタゴニストのより効率的な産生を可能にするストラ
テジーおよびサイトカインとそれらのレセプターとの間の相互作用をブロックす
るための代替方法を考案することは非常に重要である。理想的には、そのレセプ
ターへの結合について、サイトカインと競合し得る小分子を設計することが望ま
しい。
【0017】 従って、本発明の目的は、細菌中の可溶性タンパク質としてか、またはインビ
トロで効率的にフォールディングするタンパク質としてのいずれかで生成され得
る変異体サイトカインを設計することである。このようなストラテジーは、サイ
トカインアンタゴニストの工業的な産生をより手頃な値段にし、そして労力のよ
りかからないものにする。
【0018】 (発明の要旨) 本発明に従って、以下の工程の一方または両方を包含する、サイトカインを安
定化する方法が提供される: a)サイトカインのアミノ酸配列を変異させて溶媒に曝露される疎水性残基を除
去する工程;および b)そのサイトカインのアミノ酸配列を変異させてそのサイトカインにおける1
つ以上の二次構造エレメントを安定化する工程; その結果、そのサイトカインのフォールディングの間、サイトカインのフォール
ディングの間に形成される中間体は、そのフォールディングされた状態のそのサ
イトカインと比較して、不安定化される。これは、サイトカインのインビトロの
フォールディング収量を改善する効果を有する。
【0019】 本発明の方法は、サイトカインの安定化を可能にし、その結果、それらが低コ
ストでかつ大量に組換え産生され得ることが示されている。この方法は、従って
、これらの分子の使用を多数の重要な疾患のための主流の治療に導く、これらの
分子の安価な産生についての道を開く。
【0020】 インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子、成
長因子、およびケモカインを含む任意のサイトカインが、本発明に従って安定化
され得る。
【0021】 本発明に従う安定化のための好ましいサイトカインは、造血またはクラスIサ
イトカインスーパーファミリーに属する「4ヘリックスバンドル」サイトカイン
である。これらのタンパク質の3次元構造は、3つのジスルフィド架橋を含む、
「アップアップダウンダウン」トポロジーを有する4ヘリックスバンドルからな
る。
【0022】 そのポリペプチド鎖の長さおよび構造的特徴に基づいて、2つの主要なサブフ
ァミリーがこのスーパーファミリーにおいて同定され得る。さらに、インターフ
ェロンは、しばしば、4ヘリックスバンドルサイトカインの第3のサブファミリ
ーを構成すると考えられる。
【0023】 このスーパーファミリーのメンバーには、とりわけ、ヒト成長ホルモン(HG
H)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニ
ー刺激因子(G−CSF)、白血病阻害因子(LIF)、エリスロポエチン(E
PO)、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL
−9、IL−13、毛様体神経栄養因子(CNTF)、オンコスタチン(OSM
)、およびインターフェロンが含まれる。IL−4に類似の構造を有する、これ
ら3つのサブファミリーの公知のメンバーのいくつかは、以下の表Iに列挙され
ている。
【0024】 造血サイトカインスーパーファミリーの驚くべき特徴は、それらの共通の形態
にも拘わらず、そのファミリーメンバーは、配列相同性をほとんどか全く有して
いないことである。しかし、これらのタンパク質が全て細胞外シグナリング分子
であるという事実、それらが同じ独特な4ヘリックスバンドルトポロジーおよび
類似の遺伝子構成を共有するという事実は、それらが全て、分岐進化のプロセス
において関連しているということを示唆する。
【0025】 4つのヘリックスバンドルサイトカインは、ヘマトポエチンレセプタースーパ
ーファミリーまたはI型サイトカインレセプタースーパーファミリーとして公知
のレセプターのクラスに結合する。これらのレセプターは、そのファミリー内で
高度に相同な細胞外サイトカイン結合ドメイン、単一の膜貫通ドメイン、および
固有のチロシンキナーゼ活性を欠失する細胞内ドメインを含む。その細胞外ドメ
インは、4つの保存されたシステイン、および、効率的なレセプターフォールデ
ィングに重要であると考えられている特徴的なトリプトファン−セリン−X−ト
リプトファン−セリン(いわゆるトリプトファンボックス)モチーフを有する(
総説については、Bazan,1990およびGullbergら、1995を
参照のこと)。
【0026】
【表1】 最も広汎に特徴づけられているサイトカインレセプター系は、ヒト成長ホルモ
ンのものである。同じレセプターの2つの鎖に結合したこのタンパク質の3次元
構造の決定(de Vosら、1992)は、4つのヘリックスバンドルのサイ
トカインおよびそれらのレセプターによる分子認識およびシグナル伝達に関与す
る原理を理解するための基礎を敷くことになった。その他のサイトカインレセプ
ター系に関する文献において利用可能であるデータから、そのリガンドにより誘
導されるレセプターホモまたはヘテロオリゴマー形成が、造血性サイトカインフ
ァミリーのメンバーによって使用される一般的なストラテジーであることは明ら
かである。
【0027】 本発明を完全に理解するために、タンパク質のフォールディングを支配する原
理のいくつかを理解することは重要である。この分野における現在の理論は、フ
ォールディングの中間体が、ほとんどの天然に存在するタンパク質についてのフ
ォールディング経路に存在することを示す。これらの中間体のいくつかは、ネイ
ティブタンパク質への生産的なフォールディング経路を規定するが、一方、その
他は、凝集体を形成し得る経路外の種を代表し、そのタンパク質を不可逆的に非
ネイティブコンホメーションに指向する(Baldwin、1996を参照のこ
と)。これらのフォールディング中間体のいくつかは安定であり、ネイティブコ
ンホメーションの特徴である三次相互作用を欠失するが、有意な量のネイティブ
様二次構造を含んでいる。ネイティブな状態は、これらの中間体における特異的
相互作用の「ファインチューニング」からのみ生み出される。これに鑑みて、凝
集の発生は、フォールディング反応が起こる環境に関して、フォールディング中
間体の可溶性および安定性の特性の関数として観察される。
【0028】 温度感受性置換に関連するフォールディングの欠陥を軽減する効果を有する変
異が導入された研究から、成熟タンパク質の活性および安定性を変更せずに、フ
ォールディング経路を最適化することが可能であることが明らかになった。タン
パク質フォールディングの問題に関連する文献の詳細な議論は、Helena
Domingues(1999)のPh.D.論文(「Rational de
sign strategies to improve cytokine
foldabiilty and minimisation of a fu
nctional motif:the IL−4 case」Univers
ity of Utrecht,ISBN 90−393−2081−0)に見
出され得る。
【0029】 この分野における背景文献から、インビトロおよびインビボの両方での凝集は
、会合する高い傾向を有し(Fink,A.L.1998)、そしてタンパク質
を不活性なコンホメーションに導く非ネイティブ相互作用を確立する(Boot
hら、1997)フォールディング中間体の蓄積から、主に、生じることが導か
れる。タンパク質の独特の3D構造へのフォールディングは、図1に示される。
フォールディング中間体は、それらと遷移状態との間に高いエネルギー障壁が存
在するために、および/またはフォールディング状態と遷移状態との間のエネル
ギー障壁が低いことから、蓄積し得る。この図に示される最初の場合には、フォ
ールディングは、遅く、そしてフォールディング中間体の濃度は、高い。第二の
場合には、フォールディング状態は、頻繁に、生理学的条件下でアンフォールデ
ィングし、その結果として、フォールディング中間体の有意な濃度が存在し得る
。従って、フォールディング遷移状態に関して、フォールディング中間体の相対
的な不安定化および/またはフォールディング状態の安定化は、タンパク質がよ
り効率的にフォールディングすることを助け得る(Munozら、1994a)
【0030】 本発明は、サイトカインについてのフォールディング経路において任意の認識
可能な中間体を選択的に不安定化するアミノ酸置換の操作を組み込む方法に関す
る。このように得られる変異体は、発現の間に可溶性のままで、および/または
インビトロでより効率的にリフォールディングするかのいずれかである。同時に
、これらの変異体は、野生型タンパク質と類似の活性を有するものである。
【0031】 本発明の方法の第1の局面は、サイトカインのアミノ酸配列を変異し、そうし
て、溶媒に曝露された疎水性残基を除去することを包含する。作製されたアミノ
酸置換は、疎水性残基(例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルア
ラニン、トリプトファン、メチオニン、プロリン)を、より極性の残基(例えば
、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミ
ン酸、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン)に置換することを含む。
【0032】 この方法のこの局面は、フォールディング中間体が、しばしば、疎水性相互作
用によって安定化される有意な量の二次構造および不良に規定された三次構造の
存在によって特徴づけられるという観察に基づいている。従って、フォールディ
ング状態に曝露された疎水性残基は(三次フォールディングの結果として)、フ
ォールディング中間体に包埋されることが最もらしいようである。このような残
基のより極性のアミノ酸への変異は、フォールディング状態と比較して中間体を
、いわゆる逆疎水性効果へ不安定化する効果を有する。逆疎水性効果の模式図を
図2に示す。より親水性の残基による疎水性残基の置換は、変性された集団と中
間体との両方を、ネイティブの状態に比較して不安定化するはずである。これは
、フォールディング速度を増大し、そして中間体の蓄積から生じる動力学的凝集
プロセスを減少する。
【0033】 溶媒に曝露された残基の同定のために利用可能な種々の方法が存在し、これら
には、標準的な分子グラフィックコンピュータプログラム(例えば、RasMo
l(http://www.umass.edu/microbio/rasm
ol/getras.htmで入手可能)、QUANTATM(Molecula
r Simulations Inc.,9685 Scranton Roa
d San Diego,CA 92121)およびSybylTM(Tripo
s Inc.,1699 South Hanley Rd.,St.Loui
s Missouri,63144,USA))の使用が含まれる。さらに、タ
ンパク質の3次元構造が公知であることは必ずしも本質的ではない。多数の洗練
されたコンピュータプログラムおよびバイオインフォーマティックスプラットフ
ォームが、今や、利用可能になっており、これは、アミノ酸配列のみからタンパ
ク質構造がいくらかの正確性を有して予想されることを可能にする。その構造が
相同性モデリングまたはトレッディング法を使用して(Jones,D.T.1
997を参照のこと)入手可能である相同なオーソロガスまたは密接に関連する
サイトカインから未知の構造のサイトカインについて溶媒に曝露された残基の位
置を推定することもまた可能であり得る。その方法のこの工程において変異すべ
き残基を選択するときに、溶媒に曝露された疎水性残基は、理想的には、目的の
サイトカインとその他の相同なまたは密接に関連するサイトカインとの間で保存
されていないものが選択されるべきである。
【0034】 例えば、IL−4の場合には、トリプトファン23およびロイシン91が、ヒ
ト配列において溶媒に曝露された残基であり;IL−4ファミリーのその他のメ
ンバーのほとんどにおいて、セリン残基(親水性)は、この位置に見出される。
従って、1つまたは好ましくは両方のこれらの残基が、変異についての良好な選
択を提供する。この場合には、セリンは、置換残基として勧められる選択である
。なぜなら、この残基は親水性であるばかりか、密接に関連するIL−4タンパ
ク質におけるこの位置でのその存在は、この位置でのその存在が、おそらく、活
性に対して有害ではなく、そして有利でさえあり得ることを示唆することについ
ての支持を提供するからである。
【0035】 その方法の第二の局面は、サイトカインのアミノ酸配列を変異させることを含
み、それにより、サイトカインにおける1つ以上の二次構造エレメントを安定化
させる。本発明のこの実施形態の好ましい局面において、ヘリックス安定化残基
は、そのタンパク質の配列に導入される。この方法のこのエレメントは、二次構
造エレメントが、近接する残基間の局所的相互作用のセットによって安定化され
るという観察に基づいている。二次構造エレメントにより、αヘリックスおよび
βシート、ループ、およびβターンを意味するが、好ましくは、αヘリックスで
ある。
【0036】 好ましいαヘリックス促進アミノ酸残基には、アラニン、アスパラギン、シス
テイン、グルタミン、グルタミン酸、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン
、トリプトファン、またはチロシンが含まれる。ヘリックスの構造を破壊するヘ
リックス破壊残基、例えば、プロリンおよびグリシンは、避けられるべきである
【0037】 安定化した二次構造エレメントを含むタンパク質の合理的な設計を可能にする
多数の利用可能な技術が存在する。βシート構造の形成および安定性のもとにな
る原理は、今出現しようとしているところにすぎない。しかし、αヘリックスの
場合には、これらの原理は、特に十分に理解されている(Chakrabart
tyおよびBaldwin、1995を参照のこと)。この知識は、モデル合成
ペプチドでの研究から生じており、そしてまたそれらのαヘリックスにアミノ酸
置換を保有する変異タンパク質の熱力学および動力学的特性の分析からもまた生
じている。
【0038】 重要な寄与は、ヘリックス構造の1つ以上のセグメント(いわゆるヘリックス
バンドル)(KohnおよびHodges、1998を参照)を有する新規なタ
ンパク質を設計するという意図から生じている。より頻繁には、設計されたタン
パク質は、フォールディングされたタンパク質に特徴的な特異的な三次相互作用
を欠くが、ヘリックスセグメントは、通常十分に規定されている。
【0039】 これらの異なるタイプの研究から集められた情報は、水溶液中のペプチドのヘ
リックスの含有量を予想することができるアルゴリズムを開発しそして最適化す
るために使用されている。AGADIRと呼ばれるアルゴリズムは、これらの方
法の1つであり(Munozら、1994b、c、d;Munozら、1997
;Lacroixら、1998)、高含量のヘリックス構造を有するペプチドの
設計において有用な道具であることが証明されている。
【0040】 その方法のこのエレメントにおいて、構成アミノ酸配列のヘリックスの性向を
増大するために変異され得る残基を同定する場合、残基間の長距離相互作用は、
理想的には影響されないままであるべきである。標的残基は、理想的には、溶媒
に曝露されるべきであり、αヘリックス内での局所的な接触のみをなすべきであ
り、そしてその分子の残りとの広汎な相互作用に関与すべきではない。
【0041】 所定のタンパク質のフォールディング動力学および安定性に対する改善された
局所的相互作用の効果は、フォールディング経路における最終的な中間体の熱力
学的および構造的特徴ならびにネイティブおよび変性状態のものに依存する。二
次構造のエレメントが遷移状態においてフォールディングされているが、フォー
ルディング中間体ではそうでない場合、有利なネイティブ様相互作用の導入を介
するその安定化は、フォールディングの遷移状態のエネルギー障壁を低くするべ
きであり、そのようにして、フォールディング反応を加速する(図3を参照)。
有利な静電対はまた、導入され得る。
【0042】 サイトカインに変異するために適切なヘリックス(helix)の選択におい
て、いくつかの基準が検討され得る。第一に、密接に関連するサイトカインファ
ミリーのメンバーの中で保存されていないヘリックスを選択することは有利であ
る。第二に、例えば、IL−4の場合、このサイトカインのヘリックスCのN末
端における残基のような、レセプター結合に関与しない残基が選択されるべきで
ある。第三に、構造上可撓性のヘリックスを選択することは有利であり得る。し
かし、これは必要な事例ではなく、そしてしばしば特定のヘリックスが可撓性で
あるか否かは公知ではない。特定のヘリックスまたはその一部が非常に可撓性で
あることが公知であり、次いで特にこの可撓性部分が機能的部位に対応していな
い場合、この部位は変異誘発による安定に明らかによい標的である。このことは
、関連するサイトカイン核磁気共鳴(nuclear magnetic re
sidence)での15N緩和および水素交換の研究により予期され得る。
【0043】 低い平均ヘリックス含量を有するタンパク質の範囲において、この領域の平均
ヘリックス含量を増加する変異は、導入され得る。これらの変異は、置換する残
基よりよいヘリックス形成物である残基を含む(Chakrabartty 1
995;Mun〜ozおよびSerrano、1994eを参照のこと)。変異
もまた、好都合な静電対の形成を可能にするように導入され得る。
【0044】 ヘリックス形成アミノ酸置換を設計しサイトカインの安定性を改善するために
サイトカインに組み込む場合、天然にフォールディングされたタンパク質に存在
する以外に、αヘリックスはまたフォールディング問題を引き起こす中間体に存
在する場合には、その安定化はフォールディング状態および中間状態の両方に同
程度影響し、従って、少なくとも低濃度の変性剤の下では、リフォールディング
における顕著な効率は、見られないことを心に留めておくべきである。中程度の
濃度または高濃度の変性剤において、中間体は、天然の状態に関して不安定であ
り、そしてフォールディングは、より速く進行する。
【0045】 αヘリックスが中間体には存在しないが遷移状態において存在する場合、その
安定化は、中間体と遷移状態との間に低いエネルギー障壁を生じ、そして引き続
きフォールディング速度を増加する。従って、タンパク質フォールディング実験
において用いたものと同様に、中程度の濃度の変性剤の下で、αヘリックスの安
定化は、常にフォールディング反応を加速し、より生産的なフォールディングプ
ロセスを導く。
【0046】 ヘリックスCは、本発明者らによって本発明に従うサイトカインの安定化に好
ましいヘリックスであると考えられる。このヘリックスの安定化は、フォールデ
ィング中間体によって媒介されるタンパク質凝集を阻止することによって働くと
考えられ、おそらくは、フォールディング反応の加速および付随する優勢なフォ
ールディング中間体の濃度の減少に起因する。
【0047】 IL−4の特定の例において、ヘリックスCは、IL−4ファミリーのメンバ
ーの中であまり保存されていない。さらに、N末端の第一残基はレセプターへの
結合に関与しないことが公知であり(Wangら、1997)、そしてIL−4
における核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance
)での15N緩和および水素交換の研究は、ヘリックスCのこの領域が非常に可撓
性であることを示した(Redfieldら、1992;Redfieldら、
1994a;Redfieldら、1994b)。これらの観察のさらなる支持
として、アルゴリズムAGADIRls−2はこのヘリックスについて低い平均
ヘリックス含量(4%)を予想する。
【0048】 IL−4についてのヘリックス安定化変異の例は、以下の変異である:スレオ
ニン69からセリンへ;グルタミン71からアラニンへ;グルタミン72からグ
ルタミン酸へ;フェニルアラニン73からアラニンへ;ヒスチジン74からアス
パラギンへ。次いで、配列SAAEANは、IL−4アミノ酸配列全長の69〜
74位に導入されTAQQFHを置換し得る。
【0049】 IL−4のヘリックスCを変異させる場合、よりよいヘリックス形成物である
アミノ酸残基を導入すると同時に、野生型タンパク質に存在するNキャッピング
ボックスモチーフ(T−X−X−Q)は、ヘリックスの形成を促進すると同時に
よりよい対象物(S−X−X−E)によって置換され得る。本発明のこの実施形
態において、野生型IL−4ヘリックス配列:
【0050】
【化1】 は、配列
【0051】
【化2】 によって置換され得る:下線を引いた残基はこれらの変異である。
【0052】 IL−4機能的レセプターは、高親和性成分であるIL−4Rα、および標的
細胞に依存してIL−2共通γ鎖(Russelら、1993)またはIL−1
3Rα(Matthewsら、1995)のいずかであり得る低親和性サブユニ
ットを含むヘテロダイマーとして示された。Matthewsら、1995に報
告されたデータは、IL−4は、2型IL−4レセプターと呼ばれる異なるレセ
プターに結合し得ることを示唆する。このレセプターは、IL−4Rα鎖および
IL−13の低親和性結合レセプター(IL−13Rα)から構成される。これ
らのデータは、IL−2およびIL−13が特定の型の細胞におけるIL−4に
類似して生物学的応答を誘発し得ることの理由を説明する。従って、IL−4の
特定の場合において、本発明者らは、IL−4Rαへのサイトカインの結合を可
能にするがIL−13Rαおよび/またはγc鎖へのサイトカインの結合を妨げ
るようにサイトカインを変異することは有利であると考える。2つのサイトカイ
ンを同時に阻害する可能性は、アレルギー性疾患に関連する徴候を阻止するに有
効な手段を実証し得る;この理由によって、これらのIL−4アンタゴニストは
、治療的関心が高い。
【0053】 本発明に従う変異誘発が実施されると同時に天然のタンパク質のフォールディ
ングを安定にする目的の変異以外に、変異を導入することはまた有利であり得る
。例えば、IL−4の2つの有効なアンタゴニストは、すでに文献に報告されて
いる。これらは、IL−4Y124D(Y)(Kruseら、1992)および
IL−4R121DY124D(RY)(Kruseら、1993;Tonyら
、1994)である。これらのIL−4変異体は、野生型タンパク質のKdに類
似するKdでIL−4Rαに結合するが、第二のレセプター成分を集め得ない(
Duschlら、1995)。これは、IL−4Rαとの非生産的な複合体の形
成を生じ、検出可能な生物学的活性を有さない。IL−4アンタゴニストもまた
、IL−13を阻害することが示されている(Grunewaldら、1998
;Tonyら、1994)。なぜなら、このサイトカインのレセプター系は、シ
グナル伝達のためにIL−4Rαを必要とするからである(Smerz−Ber
tlingら、1995;Tonyら、1994)。従って、1つの局面におい
て、本発明は、IL−4アミノ酸配列全長における121位および/または12
4位のアスパラギン酸残基の置換に関する。
【0054】 本明細書中に示された発見は、タンパク質中のαヘリックス配列がタンパク質
の最大安定性のために必ずしも最適化されない知見を支持する。タンパク質が合
成されそしてそれらの天然の環境において作用し、それらの生物学的役割を果た
すように発展する場合、これは、何ら問題を示さない。しかし、フォールディン
グ経路において天然のタンパク質の安定性および他の種の安定性を調整し得る異
種性環境においてタンパク質が合成されそして操作される場合、状況は異なる。
この場合、αヘリックスの安定性における改善は、天然の状態の安定性およびフ
ォールディング反応の速度の両方を増加し得る。
【0055】 さらに、AGADIRのような特定のアルゴリズムは、増強された安定性を有
するヘリックス配列の合理的な設計のための優れた道具として見出された。
【0056】 本発明のさらなる局面に従って、この方法は、そのN末端においてサイトカイ
ンのプロ配列を含むさらなる工程c)を包含する。種々のプロテアーゼ、増殖因
子、ポリペプチドホルモン、神経ペプチドおよび血漿タンパク質を含む多くのタ
ンパク質が、プレプロタンパク質の形態でインビボで合成されることは公知であ
る。プレ配列は、タンパク質を小胞体(ER)内へ輸送するためおよび細胞外へ
分泌するためにタンパク質を標的化する。プロ配列は、通常プレ配列に続いてN
末端に付加されるが、C末端または両方の組合せにおいてもまた見出され得る。
タンパク質フォールディングにおけるプロ配列の役割は、異なるプロテアーゼを
用いる研究から示唆された(総説に関してはShindeら、1993;Ede
rおよびFersht、1995を参照のこと)。
【0057】 プロ配列媒介性フォールディングの最も広範に調査された事例は、サブチリシ
ン(subtilisin)(Ederら、1993)およびαリチック(α−
lytic)プロテアーゼ(Bakerら、1992)のものである。プロペプ
チドの非存在下で、これらのタンパク質は、安定で部分的にフォールディングさ
れたモルテングロビュール状態の特性を有するが酵素活性を欠く中間体にフォー
ルディングされる。プロ配列の添加は、フォールディングについての遷移状態の
安定化か非天然の中間体の不安定化のいずれかによってフォールディング反応の
活性化エネルギー障壁を低くし、天然のコンホメーションの形成を生じる(図4
を参照のこと)。
【0058】 本発明のさらなる局面に従って、この方法は、フォールディング酵素および/
またはシャペロンタンパク質と関連して宿主細胞中にサイトカインを発現するさ
らなる工程d)を包含する。
【0059】 近年、細胞におけるタンパク質のフォールディングがフォールディング酵素お
よびシャペロンとして公知の異なる2つのクラスのアクセサリータンパク質によ
って媒介されることが明らかになってきた。フォールディング酵素は、ジスフィ
ルド結合の形成および異性化、およびプロリン残基の前方にあるペプチド結合の
異性化のような工程を触媒する。多くの研究において、フォールディング酵素の
同時発現は、E.coliのペリプラズム内に分泌されたタンパク質のフォール
ディングを促進することが見出された(総説に関してはGeorgiouおよび
Valax 1996;Hockney、1994を参照のこと)。
【0060】 2つの最も広範に特徴付けられたシャペロンのファミリーは、Hsp70(D
naKならびにそのヘルパータンパク質であるDnaJおよびGrpEを含む)
およびHsp60である。後者はまた、シャペロニンファミリーとして公知であ
り、そして細菌性GroEL/GroES系ならびにミトコンドリアおよび葉緑
体において見出されるいくつかのアナログを含む(総説に関してはHartlら
、1994;MartinおよびHartl、1994)。GroEL/Gro
ES系は、構造的(Braigら、1994;Mandeら、1996)にも機
構的にも(CorralesおよびFersht、1996)両方とも深く研究
された。GroELは、互いの先端に2つの七量体環を含み、その先端に蓋を有
する2重のドーナッツを形成する(GroES)。実験的証拠は、Hsp70お
よびHsp60が連続的に関連するE.coliの細胞質におけるタンパク質フ
ォールディングについてのモデルを指摘する(Langerら、1992)。H
sp70ファミリーのメンバーは、タンパク質が合成され、そしてモルテングロ
ビュール様状態に達するまで第一のフォールディング工程を通して先導するよう
に同時翻訳的にタンパク質を結合する。次いで、これらの中間体の表面上に曝露
された疎水性の斑は、フォールディングの能力のある状態にこれらを維持するG
roEL/GroES系によって認識される。ポリペプチド鎖のフォールディン
グは、GroELのハロ構造の内側に生じ、そしてこのタンパク質はATP加水
分解の際に開放される。1サイクルが適切なフォールディングに十分でない場合
、正確にフォールディングされた状態が達成されるまで手順は反復される(He
yrovskaら、1998)。
【0061】 シャペロン関連タンパク質の発現を実施するために、細菌は2つの異なるプラ
スミドで形質転換されるべきである。1つは目的のタンパク質をコードする遺伝
子を含み、そして他方はシャペロンをコードする遺伝子を含む。これらのプラス
ミドは、異なる複製起点を有し、その結果、これらは同一の細菌細胞内に安定的
に維持され得る。さらに、これらのプラスミドは、両方のプラスミドが同時に存
在するための選択を可能にするために異なる抗生物質耐性マーカーを保有すべき
である。プロモーターは通常これら2つのプラスミドについて同一であり、その
結果、標的タンパク質およびシャペロニンの発現は付随して誘導され得る。いく
つかの場合において、異なるプロモーターを使用することは、シャペロニンをよ
り早く誘導し得るために有用であり得る。次いで、シャペロニンのレベルがフォ
ールディングを効率的に媒介するためにすでに十分高い場合、標的タンパク質の
発現は、後期で誘導される(Cole、1996)。
【0062】 GroEL/GroESまたはDnaK/Jのオペロンの同時発現が可溶性タ
ンパク質の量を増加することが報告された文献において十分に証明された、いく
つかの事例が存在する。ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)は、GroEL
/Sの非存在下で封入体として産生されるタンパク質の1つである。このシャペ
ロニン系はタンパク質と同時発現される場合、可溶性画分に存在するタンパク質
の量は劇的に増加し、1リットルの細菌培養当たり3〜5mgの活性な酵素の精
製を可能にする(Daleら、1994)。同様の効果が、GroEL/Sまた
はDnaKといくつかのチロシンキナーゼとの同時発現について観察された(A
mreinら、1995)。DnaKの同時産生はまた、hG−CSF(Per
ez−Perezら、1995)およびhGH(Blumら、1992)、IL
−4ファミリーの2つのサイトカインの改善された溶解度を示した。
【0063】 好ましくは、工程d)において使用されるシャペロニンは、GroEL/ES
系またはチオレドキシンである。しかし、特定のタンパク質のインビボにおける
フォールディング特性を改善するために選択されるシャペロンとしての一般的な
役割はない。凝集しがちな中間体に結合し得るシャペロンは、最も適切なもので
あるが、実験を行うことによってのみこの答えが見出され得る。さらに、いくつ
かのタンパク質について、シャペロンの発現は、可溶性タンパク質を得るに十分
ではなく、そして上述されたいくつかの因子を連結するアプローチがより適切で
あり得る。ウシピルビン酸デヒドロゲナーゼホスファターゼの触媒サブユニット
に関して、可溶性で活性なタンパク質を得るために増殖温度を30℃まで低下さ
せることが必要であることが見出された(Lawsonら、1993)。考慮に
入れられるべき別の因子は、シャペロンとの同時発現は標的タンパク質の発現レ
ベルを減少させ得るということである。おそらくは、この効果は、リボソーム、
アミノ酸またはt−RNAのようなタンパク質合成に要求される成分について、
シャペロンとタンパク質との間の競争から生じる(Daleら、1994)。さ
らに、高レベルのシャペロン発現は、E.coliに有害であり得(Blumら
、1992)そして、生物薬剤学の大スケール産生に使用される醗酵槽において
シャペロンを過剰発現する細胞の挙動についでほとんど知られていない(Geo
rgiouおよびValax、1996)。
【0064】 本発明のさらなる局面に従って、上述された本発明の局面のいずれか1つに従
う方法によって作製された変異サイトカインおよびそのフラグメント、そしてそ
の機能的に等価な改変体が提供される。このようなサイトカインは、インターロ
イキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子、増殖因子または
ケモカインであり得る。好ましくは、本発明に従って安定化されたサイトカイン
は、例えば、造血系またはクラスIのサイトカインスーパーファミリーに属する
「4ヘリックスの束」のサイトカインであり、HGH、GM−CSF、G−CF
C、LIF、EPO、IL−2、IL−4、IL−5およびIL−6が挙げられ
る。哺乳動物についての薬物の商業的価値を向上させるために、哺乳動物(特に
ヒト)由来のサイトカインは、本発明に従う安定化についての好ましい標的であ
る。
【0065】 用語「機能的に等価な」とは、変異サイトカインタンパク質が野生型のタンパ
ク質が有する生物学的機能の1つ以上を維持することを意味する。IL−4の場
合、このような機能は、免疫細胞の増殖および分化の制御、駆虫大寄生虫に対す
る防御、特定の腫瘍の拒絶およびIgE抗体の特異的な誘導のような機能を含む
。他のサイトカインの生物学的機能は、当業者に明らかである。用語「改変体」
は、例えば、天然の生物学的改変体(例えば、サイトカイン分子が由来した種に
おける対立遺伝子改変体または地理的な改変)と同様に、野生型のサイトカイン
の配列からのアミノ酸の置換、挿入または欠失をふくむ変異体を含む。野生型の
配列の機能から改善された機能を有する改変体は、タンパク質配列における特定
の残基の組織的または方向性を有する変異を通じて設計され得る。この用語もま
た、野生型サイトカインに構造的に類似する分子、または類似もしくは同一の三
次構造を含む分子をいう。
【0066】 上述の分子の誘導体、改変体および機能的等価物はまた、本発明のこの局面の
実施形態として含まれる。このような誘導体は、改変されたサイトカインのアミ
ノ末端またはカルボキシ末端に融合される1つ以上のさらなるペプチドまたはポ
リペプチドを含み得る。さらなるペプチドまたはポリペプチドの目的は、タンパ
ク質の検出、発現、分離または精製を補助することであり得るか、あるいはこの
タンパク質に所望のさらなる特性を与え得る。潜在的な融合パートナーの例とし
ては、βガラクトシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、ルシフェ
ラーゼ、ポリヒスチジンタグ、T7ポリメラーゼフラグメント、分泌シグナルペ
プチドまたは別のサイトカインもしくはサイトカインレセプターが挙げられる。
このような誘導体は、遺伝的にかまたは化学的にかのいずれかでペプチドを融合
することによって調製され得る。
【0067】 好ましくは、本発明の方法によって産生された変異サイトカインは、少なくと
も2倍のフォールディング収率の増加を示し、好ましくは、5倍以上、またはよ
り好ましくは10倍以上である。
【0068】 本発明の1つの好ましい実施形態において、サイトカインはIL−4またはそ
の誘導体である。IL−4は非常に重要な免疫調節サイトカインであり、種々の
型の免疫細胞の増殖および分化を制御し、これは、駆虫大寄生虫に対する防御、
および特定の腫瘍の拒絶に関する。おそらくは、IL−4の最も重要な臨床的役
割は、代表的には、アレルギー性反応に関与する症例の発達に関与するIgE抗
体の特異的な誘導である。IL−4がアレルギー性応答において優勢な役割を有
することは、B細胞がIgEまたは他の型の抗体を惹起するかをこのタンパク質
が決定するように、現在明白である。従って、IL−4の活性を妨害し得る薬物
は、IgEレベルを減少する補助をし、そしてアレルギー性反応を薬学的コント
ロールに反応するようにする。このような薬物の設計の必須条件は、IL−4の
そのレセプター系への結合を決定する原理の詳細な理解である。全長配列におい
て23位、91位または23位と91位の両方が変異されたヒトIL−4、およ
びその機能的に等価なフラグメントまたは改変体は、本発明の特に好ましい局面
を形成する。有利なことに、これらの部位に導入されたいずれの変異も、セリン
残基であり得る。あるいは、またはさらに、IL−4タンパク質は、以下の変異
の1つ以上を含み得る:69位のスレオニンからセリンへ;71位のグルタミン
からアラニンへ;72位のグルタミンからグルタミン酸へ;73位のフェニルア
ラニンからアラニンへ;74位のヒスチジンからアスパラギンへ。次いで、配列
SAAEANは、全長のIL−4アミノ酸配列の69〜74位に導入され、TA
QQFHを置換し得る。
【0069】 本発明のなおさらなる局面に従って、全長のアミノ酸配列の68〜95位に配
列ASAAEANRHKQLIRFLKRLDRNLWGLAGを含むヒトIL
−4、およびその機能的に等価なフラグメントまたは改変体が提供される。
【0070】 本発明の方法によって作製されたIL−4タンパク質およびその誘導体は、I
L−4Rαの精製に使用され得る。従って、本発明は、IL−4Rαタンパク質
の調製のための方法を提供する。この方法は、IL−4Rαを含む組成物を変異
IL−4タンパク質が結合するアフィニティカラムに通す工程、そのカラムを洗
浄する工程、そしてそのカラムからIL−4Rαを溶出する工程を包含する。好
ましくは、変異IL−4タンパク質は、全長配列の23位、91位または23位
および91位の両方において変異され、最も好ましくは、これらの位置のいずれ
かまたは両方においてセリンに変異される。あるいは、またはさらに、IL−4
タンパク質は、1つ以上の以下の変異を含み得る:スレオニン69からセリンへ
;グルタミン71からアラニンへ;グルタミン72からグルタミン酸へ;フェニ
ルアラニン73からアラニンへ;ヒスチジン74からアスパラギンへ。
【0071】 現在、IL−4Rαは、IL−4WTでパックされる非常に高価な精製カラム
でアフィニティクロマトグラフィーによって精製される。上述の方法によって産
生された安定化された変異IL−4タンパク質は、大量に産生するにさほど高価
ではなく、従って、精製カラムを低価格で作製することを可能にし、治療用の使
用のためのIL−4Rαタンパク質の調製の費用を減少させる。
【0072】 本発明のなおさらなる局面に従って、上述の本発明の局面のいずれか1つに従
って変異されたサイトカインの使用が提供され、サイトカインに対する抗体が作
製される。特に、上述のような変異IL−4タンパク質は、本発明のこの局面に
使用され得る。本方法によって作製された抗体は、診断道具および治療道具とし
て重要な用途を有する。
【0073】 本発明のなおさらなる局面に従って、上述のような変異サイトカインのフラグ
メントを含むペプチド、またはその機能的等価物が提供される。
【0074】 このようなペプチドは、野生型サイトカイン由来であり得るか、または合成的
にかもしくは遺伝子操作の技術を使用して調製され得る。特に、サイトカインの
3次構造または活性部位を模倣するように設計される合成分子は、有利であると
見なされる。ペプチドは理想的な治療薬物ではないが、化学合成法によって容易
に入手され得るという事実は、ペプチドの本質的な安定性およびタンパク質分解
に対する耐性を増加し得る、非天然のアミノ酸、改変ペプチド結合または化学基
の組込みを可能にする。さらに、活性ペプチドは、コンビナトリアルスクリーニ
ングを通してさらに最適化され得る導入化合物として使用され得、そして治療用
薬物に要求される生物安定性および生物学的利用能を示す小さな有機骨組みによ
って競い合い得る(Emmosら、1997を参照のこと)。
【0075】 重要な問題は、最も効率的な方法で所望の生物学的効果を媒介し得る最も可能
性のあるペプチド候補をいかにして見出すかである。分子力学(MD)シュミレ
ーションは、フォールディングに関して最も見込みのある候補の選択において合
理的な設計を補助し得る1つの方法を提供する(Cregutら、1999を参
照のこと)。従って、合理的なストラテジーを多様な機能的特性を有する化合物
のライブラリーをスクリーニングすることによって最良のペプチドリガンドが選
択される非合理的なアプローチと結合することは、しばしば都合がよい。ファー
ジディスプレイ技術は膨大なペプチドライブラリーの作製およびスクリーニング
において役立ってきた(Cwirlaら、1990;Smithら、1985)
。この方法論は、首尾よく使用され、エリスロポイエチン(EPO)のペプチド
模倣物が単離された(Wrightonら、1996)。これらのペプチドの1
つは、推定0.2μMのKdでEPOレセプターを結合し得、そしてEPOレセ
プターとの複合体におけるこのペプチドの3次元構造もまた、決定された(Li
vnahら、1996)。小ペプチド(20残基)は二量体化して、2つのEP
Oレセプター分子に結合し得る4重鎖の逆平行βシートを形成し、そしてインビ
ボにおける細胞増殖およびマウスにおける赤血球生成を刺激することが示されて
いる(Wrightonら、1996)。
【0076】 スクリーニング法の主要な不利益は、標的への結合のためにライブラリーをパ
ンするに長時間を要することである。次いで、最良のヒットを特徴付けそして時
間を浪費する選択の別の周回を開始することが必要である。従って、構造的デー
タおよび突然変異誘発のデータを統合する合理的なストラテジーを考案すること
が重要である。この方法で設計された分子模倣物は、コンビナトリアルスクリー
ニング研究の第一の周回において(代表的には高いμMの範囲において)見出さ
れたものと比較し得る親和性を有する確実な開始点を提供するようである。ファ
ージディスプレイおよび合理的な設計を結合するアプローチは、以前使用され、
プロテインAの3ヘリックスZドメインの2ヘリックス誘導体の安定性および親
和性を改善する。この59残基の3ヘリックスの束は、免疫グロブリンG(Ig
G)のFc部分と10nMのKdで結合する。結合ドメインは、野生型タンパク
質と実質的に同様の親和性でIgGと結合し得る33残基のペプチドにまで減少
した(Braistedら、1996)。
【0077】 本発明のさらなる局面に従って、上述のような本発明の局面のいずれか1つに
従う変異サイトカインまたはペプチドをコードする核酸分子を提供する。本発明
はまた、サイトカインまたはペプチドをコードする核酸を宿主細胞(例えば、E
.coli細菌)に導入する工程を包含する、上記のようなサイトカインおよび
ペプチドの産生の方法を含む。
【0078】 本発明のなおさらなる局面に従って、本発明の上記の局面のいずれか1つに従
う変異サイトカインまたはペプチドが、製剤としての使用のために提供される。
本発明のさらなる局面は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける疾患の処置または
予防のための医薬の製造におけるこのようなサイトカインまたはペプチドの使用
を提供する。有利なことに、疾患は、アレルギー関連状態であり得る。本発明は
また、上記のような変異サイトカインまたはペプチドを患者に投与する工程を包
含するアレルギーを予防または処置する方法を提供する。
【0079】 本発明のなおさらなる局面に従って、本発明の上述の局面のいずれか1つに従
う変異サイトカインまたはペプチドを、必要に応じて薬学的に受容可能な塩とし
て、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含む薬学的組成物が提供される
。本発明はまた、このような薬学的組成物を調製するためのプロセスを提供する
。ここで、このような変異サイトカインまたはペプチドは、薬学的に受容可能な
キャリアと一体にされる。
【0080】 本発明のなおさらなる局面に従って、本発明の上記の局面のいずれか1つに従
う変異サイトカインまたはペプチドを含む診断キットが提供される。
【0081】 本発明はまた、本発明の上記の局面のいずれか1つに従う変異サイトカインま
たはペプチドをコードする導入遺伝子を保有するトランスジェニック非ヒト哺乳
動物を提供する。本発明のさらなる局面は、非ヒト哺乳動物、好ましくはマウス
の胚に変異サイトカインまたはペプチドをコードする核酸分子を導入する工程を
包含する、このようなトランスジェニック動物を作製するためのプロセスを提供
する。
【0082】 本発明の種々の局面および実施形態は、特にIL−4の安定化のための方法に
関して、実施例の目的でより詳細に記載される。細部の改変が本発明の範囲を逸
脱せずになされ得ることが明らかである。
【0083】 (実施例1:hIL−4の凝集を妨害するように合理的に設計された変異誘発
) インターロイキン4は、E.coliにおける過剰発現の際に封入体を形成し
、そしてこのタンパク質のインビトロでのリフォールディングは、非常に非効率
であり、非常に少量の活性タンパク質しか得られない。インビトロおよびインビ
ボの両方における凝集は、会合する傾向が高いフォールディング中間体の蓄積か
ら主に生じ(Filimonovら、1993)、そしてこのタンパク質を不活
性なコンホメーションに指向させる非ネイティブ相互作用を確立する(Boot
hら、1997)と考えられる。
【0084】 本発明者らは、IL−4のフォールディング経路における任意の推定の中間体
を選択的に不安定化するために、2つの異なるストラテジーを用いた。
【0085】 (1.1 方法) (クローニング) IL−4遺伝子を、PCRによって、以前に記載されたプ
ラスミドRtsprC109/IL4(Kruseら,1991)から得た。Nc
oIおよびBamHIを、以下のオリゴヌクレオチドを用いて、それぞれ5’末
端および3’末端に導入した:Oligo5’:CTG GAG ACT G C ATG G AT CAC AAG TGC GAT;Oligo3’:A
CGC GGA TCC TTA TCA GCT CGA ACA。野生型I
L−4をコードする遺伝子および変異タンパク質をコードする遺伝子を、Nco
Iクローニング部位とBamHIクローニング部位との間でPBAT4(Per
aenenら、1996)中に挿入した。5’末端でのNcoI部位の導入に起
因して、野生型IL−4タンパク質およびIL−4変異タンパク質は、さらなる
アミノ酸(Asp)をN末端に伴って発現される。
【0086】 (部位特異的変異誘発) 変異体IL−4W91SおよびIL−4BChel
ixを、PCR(Hoら、1989)によって、オリゴ5’およびオリゴ3’を
隣接配列として用いて、そして以下の変異誘発プライマー(5’から3’)を用
いて得た:IL−4L23Sa:CAG AGC AGA AGA CTA G
TT GCA CCG AGT TGA CCG:IL−4L23Sb:CGG
TCA ACT CGG TGC AAC TAG TCT TCT GCT
CTG。IL−4W91Sa:AGG AAC CTC AGT GGC C
TG GCG GGC TTG;IL−4−W91Sb:CAA GCC CG
C CAG GCC ACT GAG GTT CCT。IL−4BCheli
xa:CTG GGT GCG AGT GCA GCA GAA GCA A
AC AGG CAC AAG C。IL−4BChelixb:G CTT
GTG CCT GTT TGC TTC TGC TGC ACT CGC
ACC CAG。二重変異体IL−4L23S W91Sを、IL−4L23S
をPCR反応のためのテンプレートとして用い、そして上記に列挙したIL−4
W91Sプライマーを用いて作製した。
【0087】 (ペプチド合成) ペプチドを、連続フロー装置中でポリオキシエチレン−ポ
リスチレングラフト樹脂上で合成した。ペプチド鎖のアセンブリーを、Fmoc
化学(Carpinoら、1972)およびPyBOPによるアミノ酸基本骨格
のインサイチュ活性化(Costeら、1990)を用いて行った。このペプチ
ドを逆相HPLCによって精製し、そしてレーザーデソープション質量分析法(
MALDI)によって特徴付けた。
【0088】 (1.2 極性残基による、フォールディング状態で露出した疎水性残基の置
換) フォールディング中間体はしばしば、顕著な量の二次構造および不明確な三次
構造の存在によって特徴付けられ、疎水性相互作用によって安定化されている。
それゆえ、三次フォールディングの結果としてフォールディング状態で露出して
いる疎水性残基が、フォールディング中間体内に埋もれていることが極めて最も
らしい。極性アミノ酸へのこれらの残基の変異は、いわゆる逆の疎水性効果(P
akulaおよびSauer、1990)を通して、中間体をフォールディング
状態に対して不安定化するに違いない。
【0089】 2つの非保存的な、溶媒露出アミノ酸残基がIL−4において同定された:T
rp 91およびLeu L23。IL−4ファミリーの他のメンバーの大部分
では、セリンが、対応する位置に見出され、それゆえ、このアミノ酸を選択して
、ヒトタンパク質においてW91およびL23を置換した。このようにして得ら
れた2つの点変異体は、IL−4W91SおよびIL−4L23Sと命名し、そ
して両方の変異を保有する変異体をIL−4L23SW91Sと命名する。
【0090】 (1.3 二次構造エレメントの安定化) 二次構造エレメントは、隣接残基間の局所相互作用のセットによって安定化さ
れる。
【0091】 (1.3.1 AGADIRを用いたα−ヘリックスの安定化) AGADIRは、溶液中のモノマーペプチドのコンホメーション研究に由来す
る経験的データに基づく。このアルゴリズムは、この情報を用い、ヘリックス−
コイル遷移理論に基づいて、所定のヘリックスセグメントの自由エネルギー(Δ
helix)を算出する。この自由エネルギーは、このヘリックス内の種々の相互
作用の寄与を反映し、そしてランダムコイル状態とヘリックス状態との間での自
由エネルギーの差に対応する。最新のバージョンのアルゴリズム(AGADIR
1s−2,Lacroixら,1998)では、ヘリックスセグメントの自由エ
ネルギーは、以下に従って記載される: ΔGhelix=ΔGint+ΔGHbond+ΔGSD+ΔGnonH+ΔGdipole+ΔGelec t ここで、ΔGintは、所定のアミノ酸がヘリックスコンホメーションにある固有
の傾向であり(Mun〜ozら、1994e)、そしてアミノ酸をヘリックス二
面角に固定する際に生じるコンホメーションエントロピーの損失を表す。ΔGH bond は、i,i+4主鎖−主鎖水素結合のエンタルピーの寄与(enthalp
ic contribution)であり;ΔGSDは、ヘリックスセグメントに
おけるi,i+3およびi,i+4の位置での側鎖−側鎖非荷電相互作用の寄与
を表す。イオン化可能な側鎖を有するアミノ酸残基については、これらの型の相
互作用のpH依存性を考慮する。ΔGdipoleは、ヘリックスセグメント内または
ヘリックスセグメント外の荷電した基間の、ヘリックス巨大双極子(helix
macrodipole)による相互作用を反映する。荷電した基の存在とは
独立している別の型の相互作用は、イオン強度の増加に伴って観察されるα−ヘ
リックスの安定性における増加を伴って行われなければならない(Scholt
zら,1991)。α−ヘリックスはランダムコイルよりもずっと大きな双極子
モーメントを有するので、イオン強度の増加は好ましくは、α−ヘリックスを安
定化して、平衡をこのコンホメーションの方にシフトさせる。この効果もまた、
所定のイオン強度を有する溶液中および純水中での特定のα−ヘリックスのフォ
ールディングの自由エネルギーの差を考慮することにより、AGADIR1s−
2によって考慮される。ΔGelectは、ヘリックス巨大双極子に関する、ヘリッ
クスセグメントの内側および外側の2つの荷電した残基(NcapおよびこのN
capの前にある残基、ならびにCcapおよびこのCcapの次にある残基)
およびヘリックス内の残基の全ての静電相互作用を含む。この静電相互作用は、
イオン強度の増加に対する荷電スクリーニングの効果を考慮して算出される。そ
して2つの相互作用する荷電した基の間の平均距離は、データベースの統計学的
分析から誘導された。ランダムコイルおよびヘリックスのコンホメーションにお
ける個々のアミノ酸の荷電は、それらのpKaを算出し、そしてpH依存性を考
慮することによって決定される。AGADIR1s−2はまた、N末端ブロック
基およびC末端ブロック基の効果を考慮する。N末端でのアセチル基の次の残基
またはC末端のアミド基の前の残基は、キャッピング残基の役割を果たす、アセ
チル基およびアミド基とのヘリックス角をとらせられる。
【0092】 (1.3.2 IL−4のヘリックスCの安定化) IL−4のα−ヘリックスをいくつかの理由から標的として選択した。このヘ
リックスは、IL−4ファミリーのメンバー間でさほど保存的ではない;N末端
の最初の残基はそのレセプターへの結合に関与しないことが公知である(Wan
gら、1997);そしてIL−4についての核磁気共鳴15N緩和および水素交
換研究により、ヘリックスCのこの領域が非常に可撓性であることが示されてい
る(Redfieldら、1992;Redfieldら、1994a;Red
fieldら、1994b)。事実、AGADIR1s−2は、このヘリックス
についての低い平均ヘリックス含量(4%)を予測する。
【0093】 AGADIR1s−2を使用して、本発明者らは、平均ヘリックス含量を20
%まで増加させ、そしてα−ヘリックスの安定性を約1.8Kcal/モルだけ
増加させた、3つの異なるタイプの変異を設計した。本質的に、本発明者らは、
野生型タンパク質に存在するN−キャッピングボックスモチーフ(T−X−X−
Q)をより良好な対応物(S−X−X−E)により置換した。より良好なヘリッ
クス形成物(Chakrabarttyら、1995;Munozら、1994
e)が、ヘリックスの配列中に導入されている:Q71およびF73はアラニン
に変異され;そしてH74はアスパラギンによって置換された。H74を置換す
るにアスパラギンがアラニンより好ましい理由は、この位置でなお別のアラニン
の導入が、そのタンパク質の溶解度を減じ、そして凝集を生成し得る、5つのア
ラニン残基を含むN末端で疎水性クラスターを生じるからである。最後に、本発
明者らは、2つの好適な静電対(E−X−X−RおよびE−X−X−X−H)を
導入した。
【0094】 ヘリックスのC末端には変異を設計しなかった。なぜなら、C末端は、機能的
なIL−4エピトープの部分を含むからである(Wangら、1997)。さら
に、93位のロイシン残基と88位のアルギニンとの間のSchellmanモ
チーフ(Schellmanら、1980)が野生型配列に存在する。このモチ
ーフは、これら2つの残基の間の2つの主鎖/主鎖水素結合の形成に関与するは
ずであり、そしてヘリックスの安定性に約1Kcal/モル寄与すると予測され
る(Vigueraら、1995)。安定化されたヘリックスCを有する変異体
を、本明細書中でIL−4BChelixと呼ぶ。
【0095】 円偏光二色性により、変異体ペプチドのヘリックス含量の明らかな増加が示さ
れる。野生型および変異体ペプチドのヘリックス含量についてAGADIR1s
−2により推定される値は、222nmにおける楕円形性値から実験的に決定さ
れるものと見事に一致する(図5を参照)。
【0096】 野生型(IL4Ch_wt)および変異体ペプチド(IL4BCh)の核磁気
共鳴研究を実施した(図6を参照)。IL4Ch_wtについては、ヘリックス
構造の形成を示すNOEのいずれも見出し得なかった。他方、IL4BChの場
合、本発明者らは、ペプチドの全体配列を通じて、長いレンジのdαβ(i,i
+3)NOE(Wutrichら、1996)を一義的に割り当てることが可能
であった。NOEデータにより、IL4BChのN末端(S2とE5との間)で
のキャッピングボックスモチーフおよび残基S2〜F15にわたる十分に規定さ
れたヘリックス領域の形成が明らかになる。残基F15〜D20の間の領域はあ
まり十分に規定されておらず、そしてC末端ではR21〜W24とW24〜A2
7を連結する2つの長いレンジのNOEが観察される。
【0097】 Hαプロトンの配座シフト(図7)は、変異ペプチドにおけるα−ヘリックス
の形成のさらなる証拠を提供する。残基I13、L16、R18およびL19は
、スペクトル中の他の共鳴との重複のために、一義的に割り当てられ得ない。L
23はαプロトン化学シフトの、トリプトファン残基が近いことに起因してより
高い場への大きな偏位を示す。
【0098】 (実施例2:IL−4改変体のインビボフォールディング) 設計された変異体および野生型タンパク質を、3つの異なるE.coli株に
おいて、多くの異なる条件で過剰発現させた。
【0099】 DE3株のみを使用してT7に基づく発現プラスミを用いる発現を可能にした
。これらの株は、lacUV5制御下に、T7 RNAポリメラーゼ遺伝子の染
色体コピーを含む。増殖培地へのIPTGの添加が、T7 RNAポリメラーゼ
の転写を誘導する。T7 RNAポリメラーゼは、次いで、発現プラスミドにお
けるT7プロモーターの制御下での標的遺伝子の転写を媒介し得る(Furlo
ngら、1992)。
【0100】 野生型タンパク質および変異体の両方を、異なる株において高レベルまで発現
させて、合計、総細胞タンパク質の60%にした。IL−4WTは、試験したす
べての条件下で、3つの株においていつも封入体を形成した。しかし、変異体(
IL−4L23S、IL−4W91S、IL−4L23SW91S、およびIL
−4BChelix)をAD494(チオレドキシンレダクターゼ欠損株:tr
xB-)において過剰発現させた場合、生成したタンパク質の約50%が上清中
に見出された(図8)。
【0101】 AD494は主要な還元経路のうちの1つを欠くので、ジスルフィド結合は、
原則的には、E.coliの細胞質中で形成されことが可能なはずである(De
rmanら、1993)。確かに、この株は、BL21のようなより通常の発現
株において作成される場合には封入体を形成するいくつかのタンパク質の溶解度
を改善するために既に使用されている。BL21におけるIL−4変異体の発現
はまたタンパク質凝集を生じた。さらに、このタンパク質の溶解度は、GroE
L/ESシャペロニン系またはチオレドキシンとの同時発現の際には、増大しな
かったが、発現レベルは有意に減少した。
【0102】 これら株のいずれにおいても、より低い温度(15℃〜30℃)でのこのタン
パク質の発現は、可溶性産物の量に対して何らの効果も有さないことが見出され
、また発現を開始するために使用された濃度のインデューサーも同様であった。
【0103】 上記の結果を下記の表2にまとめる。
【0104】 表2 IL−4封入体(IB)の形成を減少させるために使用されたストラテ
ジーのまとめ。600nmでの細胞の光学密度をIODで示し、プロ配列が有り
または無しの発現を、それぞれ+pro/−proで示す。
【0105】
【表2】 (実施例3:可溶性IL−4変異体の特徴付け) (3.1 方法) (溶解度試験) Escherichia coli AD494(DE3)
、BL21(DE3)およびW3110(DE3)を、IL−4WTおよび変異
体タンパク質をコードするプラスミドで形質転換した。それぞれの場合において
、LB培地を含む1Lフラスコに単一コロニーを接種し、振盪機上で15〜37
℃の範囲の温度にて100mg/lのアンピシリンの存在下でインキュベートし
た。タンパク質発現をOD600 0.4〜1.0で、異なる温度にて、0.1〜
1mMの範囲のIPTG濃度を使用して誘導した。BL21(DE3)およびW
3110(DE3)の場合、培養物を誘導後3時間インキュベートし、そして細
胞を遠心分離により採集した。AD494(DE3)の場合、タンパク質発現を
一晩誘導した。全ての場合で、採集した細胞を25mM Tris−HCl p
H8.0中に再懸濁した。細胞破壊を、細胞を1mM MgCl2、20ug/
mlリゾチームおよび10ug/ml DNAseと共にインキュベートするこ
とにより開始し、次いでFrench Pressure Cellを使用して
完了させた。可溶性画分を、40000rpmにて1時間の超遠心により細胞残
渣から分離した。可溶性画分および不溶性画分からのサンプルを回収し、12%
ポリアクリルアミドゲル上でのSDS−PAGEにより分析した。可溶性産物お
よび不溶性産物の定量を、ゲルのデンシトメータ分析により行った。
【0106】 (GroEL/Sおよびとチオレドキシンとの同時発現) このタンパク質を
GroEL/ESシャペロニンおよびチオレドキシンと共に過剰発現させるため
に、PT−groEまたはPT−Trxを有するBL21のコンピテント細胞を
、それぞれのムテインをコードするプラスミドおよびIL−4野生型をコードす
るプラスミドで形質転換した。LBを含む振盪中の1Lフラスコにおいて、30
〜37℃の範囲の温度にて100mg/lのアンピシリンおよび50mg/lの
クロラムフェニコールの存在下で単一コロニーから細菌を増殖させた。一旦OD
600mmが0.7に達したら、IPTGを増殖培地へ0.16mMの最終濃度ま
で添加してIL−4改変体とシャペロンとの発現を同時に誘導した。
【0107】 (AD494における可溶性タンパク質の発現) Escherichia
coli AD494(DE3)を、IL−4WTおよび変異体タンパク質をコ
ードするプラスミドで形質転換した。LB培地を含む1Lフラスコに単一コロニ
ーを接種し、振盪機上で37℃にてインキュベートした。OD600が0.7〜0
.8に達したら、IPTGを、0.16mMの最終濃度が得られるよう添加した
。培養物を一晩インキュベートして、そして細胞を遠心分離により採集した。
【0108】 (可溶性タンパク質の精製) 採集した細胞を25mM NaH2PO4 pH
6.5中に再懸濁し、そして氷上で1時間、1mM MgCl2、20ug/m
lリゾチームおよび10ug/ml DNAseと共にインキュベートし、次い
でさらにFrench Pressure Cellを使用して溶解させた。可
溶性画分を、40000rpmにて1時間の超遠心により細胞残渣から分離した
。可溶性画分および不溶性画分からのサンプルを、12%ポリアクリルアミドゲ
ル上でのSDS−PAGEにより分析した。可溶性産物および不溶性産物の定量
を、ゲルのデンシトメータ分析により行った。
【0109】 タンパク質精製をPharmaciaのFPLCシステムにて行った。細胞上
清を最初に、25mM NaH2PO4 pH6.5で予め平衡化したSepha
rose Sカラム(Pharmacia)に流した。タンパク質の溶出を、0
〜0.5M NaClの線形塩グラジエントを流すことにより行った。4つのI
L−4改変体が120mM NaClで溶出した。次いで、回収した画分をサイ
ズ排除クロマトグラフィーに供し、そしてタンパク質を90%の均質性まで精製
した。精製工程の収率は、1リットルの細胞培養物あたり、1mgのIL−4L
23S、IL−4W91S、IL−4L23SW91Sが得られ、そして約2m
gのIL−4BChelixが得られるような収率であった。
【0110】 (AD494における封入体としてのタンパク質発現) この発現を、タンパク質発現を0.5のOD600で誘導したことを除いて、可
溶性タンパク質の作成について上記したように行った。
【0111】 (10L規模および100L規模での醗酵) より大量のタンパク質を生成す
るため、10lのバイオリアクター中での醗酵を行った。これらの醗酵のために
、プラスミドをE.coli W3110(DE3)中に形質転換した。その細
胞を、複合培地(30g/L ダイズペプトン、20g/L 酵母抽出物、20
g/L グリセロール、5g/L KH2PO4、1g/L MgSO4、100
mg/l アンピシリン)における37℃でのバッチ醗酵により、OD600が3
.0になるまで増殖させた。この段階で、組換えタンパク質の発現を、0.4m
M IPTGの添加により誘導した。4時間の誘導期の後、遠心分離により細胞
を採集した。
【0112】 (封入体からのタンパク質精製) 採集した細胞を25mM Tris−HC
l pH8.0中に再懸濁した。細胞破壊をリゾチーム(1gの細胞乾燥重量あ
たり1mg)の添加および室温での30分間のインキュベーションにより酵素的
に行った。放出された封入体を8000g(30分間)での遠心分離により採集
した。ペレットを、0.1M Tris−HCl/1mM EDTA/0.1%
zwittergent 3−14緩衝液pH8中への再懸濁および遠心分離(
8000g、15分間)により4回洗浄した。洗浄した封入体を、8M Gdn
HCl/0.1M Tris−HCl(pH9)中に可溶化した。(Kella
ら1988;Kellaら、1985)に記載されるように、過剰のスルファイ
トおよびテトラチオネートの添加により、SH基をS−SO3に改変した。
【0113】 5つの容量の50mM Na2HPO4 pH7、1mM EDTA、0.4m
M L−システイン、0.6mMアルギニンに対する5時間(1容量交換/時間
)のクロスフロー限外濾過により、リフォールディングを200〜300mg/
Lのタンパク質濃度にて行った。トリフルオロ酢酸−アセトニトリルの線形グラ
ジエントを適用するVydac C4樹脂でのRP−HPLCによりプロセス期
間中の分析を行った。全ピーク面積(総タンパク質)に対する、正確にフォール
ディングされたイソフォームのピーク面積のパーセント比を比較することにより
、リフォールディング収率を得た。
【0114】 (円偏光二色性) Jasco−710装置にて2mmの光路を有するキュベ
ット中で遠UV CDスペクトルを記録した。2秒の応答時間および1nmの帯
域幅で50nm/分の走査速度にて測定を0.1nmごとに行った。本明細書中
に示されたスペクトルは20回の走査の平均を表す。280nmの吸光度から算
出された(Paceら、1995)タンパク質濃度は10μMであった。実験は
25mM Na2HPO4(pH6.5)中5℃にて行った。
【0115】 (熱変性) 222nmにおけるシグナルの変化を、6〜90℃の温度範囲に
わたって、2mmの経路を有するキュベット内でモニタリングすることにより、
熱変性を測定した。測定を、0.5℃の増分で、2秒の応答時間および1nmの
帯域幅を用いて、50℃/時間の温度勾配で行った。280nmにおける吸光度
から算出したタンパク質濃度は、10μMであり(Paceら、1995)、そ
して測定を、25mM NaH2PO4(pH6.5)中で実施した。曲線を、中
点温度(Tm)、この中点温度におけるエンタルピー変化(ΔHm)および過剰熱
容量変化(ΔCp)を、当てはめパラメータとして使用して、以下の等式に従っ
て、2状態モデルに当てはめた:
【0116】
【数1】 ここで、Fumfは、アンフォールディングされたタンパク質の、温度(T)の関
数としての画分を表し、そしてFNおよびFUは、それぞれ、遷移領域に先行する
ベースラインおよび遷移領域に続くベースラインの直線当てはめにより得られる
、完全にネイティブなタンパク質および完全にアンフォールディングされたタン
パク質の画分を表す。
【0117】 (化学的安定性) 化学的な変性および再生の実験を、25℃で、50mM
Na2HPO4(pH6.5)中で実施した。使用したタンパク質濃度は、IL−
4野生型およびIL−4W91Sについては7μMであり、そしてIL−4BC
helixについては5μMであった。Jasco自動滴定システムを使用して
、変性剤およびタンパク質を混合した。GdnHCl濃度を、Paceら(19
90)により記載されるように、この溶液の屈折率を測定することにより、算出
した。このタンパク質のアンフォールディングおよびりフォールディングを、2
22nmにおけるCDシグナルの変化を追跡して、モニタリングした。楕円性読
み取りを、以下の標準的な等式を使用して、アンフォールディングした画分につ
いて標準化した: Funf=(θ−θN)/(θD−θN) Eq.2 ここで、θは、特定の濃度の変性剤における楕円率値であり、そしてθNおよび
θDは、各変性剤濃度における完全にネイティブな種および完全にアンフォール
ディングした種の楕円率を表し、そしてこれらは、フォールディング前後のベー
スラインの直線回帰から、算出した。2状態モデルを仮定して、各変性剤濃度に
おける、変性のための平衡定数は、以下の等式を使用して、算出され得る: KD=(FN−F)/(F−FU) Eq.3 ここで、FNおよびFUは、それぞれ、遷移領域に先行するベースラインおよび遷
移領域に続くベースラインの、直線当てはめにより得られる、完全にネイティブ
なタンパク質および完全にアンフォールディングされたタンパク質の画分を表す
。GdnHClの存在下でのアンフォールディングの自由エネルギーは、変性剤
の濃度に直線的に関係することが、実験的に見出された(Pace、1986)
【0118】
【数2】 mおよび
【0119】
【数3】 (変性剤の非存在下でのアンフォールディングの見かけの自由エネルギー)の値
は、以下から算出され得る: ΔGD=−RTlnKD Eq.5 比例定数mは、遷移の協同性を反映し、そしてネイティブな状態と変性された状
態との間での、溶媒に曝露される疎水性表面の差異に関係すると考えられる。こ
れら全ての依存性を考慮する場合に、楕円率の、変性剤の濃度の関数としての変
化は、以下の等式に当てはめられ得る:
【0120】
【数4】 ここで、内因性の楕円率の、変性剤濃度への依存は、ネイティブ状態と変性状態
との両方において、それぞれa[GdnHCl]およびb[GdnHCl]の項
により、考慮される(直線近似、SantoroおよびBolen、1988)
【0121】 (NMR分光法) IL−4および変異タンパク質のNMRサンプルを、凍結
乾燥したタンパク質を45mMの変性酢酸ナトリウム(NaOAcd4)(pH
5.3、10% D2O、0.1mM TSP、0.2% NaN3)に溶解して
500μMのタンパク質濃度を得ることにより、調製した。スペクトルを、標準
的なパルス系列および位相サイクリングを使用して、303Kで記録した。
【0122】 (レセプター結合アッセイ) 結合親和性を、BIAcore 2000(P
harmacia Biosensor)を使用して、表面プラスモン共鳴によ
り測定した。レセプターα鎖の組換え細胞外ドメイン([C182A、Q206
C]IL4−BP)を、Shenら、(1996)により記載されるように、バ
イオセンサーCM5で、1500〜2000pg/mm2の密度に固定化した。
結合を、25℃で、HBS緩衝液(10mM Hepes、psH 7.4/1
50mM NaCl/3.4mM EDTA/0.005% 界面活性剤P20
)プラス0.5M NaClによる50μl/分の流速での潅流により分析した
【0123】 (3.2 結果) 可溶性細胞画分に存在する産物を、IL−4の高いpPI(9.2)を利用し
て、陰イオン(action)交換クロマトグラフィーにより精製し、続いてゲ
ル濾過工程を行った。約1mgのIL−4L23S、IL−4W91Sおよび二
重変異体IL−4L23SW91Sを、1Lの細胞培養物から得た。
【0124】 収率は、Cヘリックス変異体であるLI−4BChelixについて、わずか
に高く、1リットルの培養物あたり1.6mgが精製された。IL−4L23S
、およびより低い程度までIL−4L23SW91Sは、精製の間に大いに分解
し、そして1mg/mlに濃縮した場合に、沈殿した。しかし、IL−4W91
SおよびIL−4BChelixは、より良好に挙動し、そして1mg/mlに
濃縮した場合に、沈殿しなかった。
【0125】 これら2つのタンパク質がフォールディングされたか否かを調査するために、
遠UV CDスペクトルを、精製したサンプルにおいて記録し、そして野生型タ
ンパク質のスペクトルと比較した(データは示さない)。IL−4W91Sおよ
びIL−4BChelixの両方のCDスペクトルは、高含有量のαヘリックス
を有するタンパク質について予測した形状を示すが、特に210〜225nmの
間の波長範囲において、IL−4WTのスペクトルと異なる。両方の変異体が、
野生型タンパク質のように、208nmにおいて十分に規定された極小値を示し
たが、IL−4BChelixの場合には、222nmにおけるシグナルは、予
測したほど負ではなかった。この効果は、ランダムコイルシグナルからのより強
い寄与から生じるようではない。なぜなら、このタンパク質は、Tmが54℃で
ある、協同的な温度アンフォールディング遷移を示すからである。222nmに
おいて観察される楕円性の減少は、恐らく、さほど構造を保っていないかもしれ
ないタンパク質のいくらかの部分の寄与を反映する。
【0126】 協同的な温度誘導遷移はまた、IL−4W91Sにおいて観察され(データは
示さない)、両方の変異体における三次相互作用の存在を示唆した。この場合に
は、208〜220nmの間の楕円性値は、野生型タンパク質における値より負
であり、そして222nmにおける極小値が、218nmにシフトする。これら
の差異は、トリプトファン残基の除去に起因して、解釈が困難である。芳香族残
基は、遠UV CDシグナルに寄与するが、この寄与は、その残基が位置する環
境に依存し、そして予測が困難である。
【0127】 しかし、温度誘導遷移は、両方の変異体に対して完全には可逆的ではなく、9
0℃から5℃に戻してのサンプルの冷却後に、シグナルの50%のみが回復し、
そしてサンプルの一部が、この実験の間に、キュベット内に沈殿した。さらに、
サンプルは不安定であり、そして凍結−解凍の際に沈殿した。質量分析およびS
DS−PAGE分析は、両方のサンプルにおいて、分解を示す、いくらかの低分
子量の種を同定した。IL−4W91SもIL−4BChelixもいずれも、
プラスモン共鳴実験において実証されたように、IL−4Rαを結合し得なかっ
た。
【0128】 (3.2.1 IL−4W91SおよびIL−4BChelixのインビトロ
特徴付け) E.coliに可溶の、産生されたIL−4変異体がIL−4レセプターを結
合し得なかったという事実は、これらのタンパク質が恐らくフォールディングさ
れていないことを示唆する。しかし、本発明者らは、これらの変異体のインビト
ロでのリフォールディング挙動を調べることが興味深いと考えた。本発明者らの
考えは、上清に存在するタンパク質は活性ではないが、封入体内の画分は依然と
して、野生型タンパク質よりさらに効率的に、インビトロでリフォールディング
し得るということであった。
【0129】 IL−4WTならびに2つの変異体であるIL−4W91SおよびIL−4B
Chelixを、AD494中で過剰発現させた。このとき、発現条件を、溶解
度ではなくタンパク質産生の最大化に対して、最適化した。より高い発現レベル
は、細胞を、0.16mM IPTGを用いて0.4〜0.5の光学密度におい
て誘導する場合に、得られた。タンパク質の、封入体からの精製およびインビト
ロリフォールディングを、以前に記載された手順に従って、実施した(Kato
ら、1985;Weigelら、1989)。
【0130】 (3.2.2 リフォールディング収率および活性アッセイ) 本発明者らは、不溶性細胞画分から再生したIL−4W91SおよびIL−4
BChelixの、IL−4Rαレセプターに対する結合定数を測定した(表3
を参照のこと)。
【0131】
【表3】 IL−4WTおよび変異タンパク質法フォールディング収率を、表4に示す。
これらの値は、正しくリフォールディングされたタンパク質の量を表し、そして
4つの独立した実験において得られたデータの平均である。これらの実験のうち
の2つにおいて、タンパク質を、方法に記載するように、1Lの振盪フラスコ中
で過剰発現させた。別の2つの実験において、IL−4WTおよび2つの変異タ
ンパク質を、10L〜100Lのスケールでの低細胞密度醗酵の後に得られた細
胞から単離した(方法を参照のこと)。これら4つの実験において、IL−4B
Chelixは、IL−4WTの収率の約2倍の収率でリフォールディングし、
一方でIL4Rαについてのkdは、野生型タンパク質のkdと同じままである。
IL−4の酸化的リフォールディングについての予備的なデータは、IL−4B
Chelixのリフォールディング収率の観察される増加が、野生型タンパク質
のリフォールディングの間に蓄積する、非ネイティブなアイソフォームの不安定
化から生じることを示唆する(図9を参照のこと)。他方で、セリンによるW9
1の置換は、このタンパク質のリフォールディングを改善しない。さらに、この
変異は、IL4Rαの結合親和性の2倍の減少をもたらし、このことは、以前の
研究と良好に一致し、レセプター結合におけるW91の小さな役割を示唆する(
Wangら、1997)。
【0132】 (3.2.3 タンパク質の熱力学および構造的特徴付け) IL−4W91SおよびIL−4BChelixの精製したサンプルは、野生
型のNMRスペクトルと類似のNMRスペクトルを示す(図10)。
【0133】 設計した変異体の、タンパク質の安定性に対する効果を調査するために、本発
明者らは、平衡熱的変性研究(図11a)および化学的変性研究(図11b)を
実施した。IL−4は、非常に安定なタンパク質であるので、0〜100℃の範
囲の温度により変性しない。従って、完全なアンフォールディング遷移を観察す
るために、熱的変性実験を、2M GdmHClの存在下で実施した。これらの
条件下で、全遷移が観察され得る。興味深いことに、低温変性が、WTタンパク
質に対して観察され得る(20℃未満)。より高いGdmHCl濃度においては
、これらのタンパク質は高温で完全に変性するが、これらは低温では完全にはフ
ォールディングしない。その結果、作成した曲線から正確な熱力学的データを得
ることは不可能であるが、タンパク質の半分が変性する温度Tmが、合理的な正
確さで決定され得る(表4)。
【0134】
【表4】 2つの変異体の、これらの酸化形態での安定性を決定し、そして野生型タンパ
ク質と比較した。4.3kcal/molのアンフォールディング自由エネルギ
ーが、IL−4WTに対して得られた。この値は、以前に公開された研究におい
て見出された値より1.6kcal/mol低い(Windsorら、1991
)。しかし、後者の研究のデータの当てはめは正確ではなく、そして誤差が提供
されていない。そこに提示されるデータのより面密な調査は、IL−4WTにつ
いての約4.5kcal/molのアンフォールディングの自由エネルギーを示
唆し、これは本発明者らの結果と一致する。
【0135】 溶媒に曝露される疎水性残渣の除去は、「逆疎水性効果」によって、標的タン
パク質を安定化するべきである(PakulaおよびSauer、1990)。
本発明者らの場合において、セリンによるW91の置換は、野生型タンパク質を
1.4kcal/mol安定化し、そしてTm値の8℃のシフトを引き起こす。
観察された安定化は、アンフォールディングプロセスの急勾配の増加から生じ、
これは、m値の増加に反映される。この急勾配の増加は、フォールディング中間
体の不安定化、変性状態、または両方に起因し得る(わかりやすい総説について
は、Shortle D.1996を参照のこと)。類似の効果(ΔGの1.4
kcal/molの増加およびm値の1.6から1.9への増加)が、溶媒に曝
露されるPhe残基(F14)をAsnで置換した場合に、走化性タンパク質C
heYにおいて見出された(Mun〜ozら、1994a;Lopez−Her
nandezら、1997)。この場合には、勾配の変化は、フォールディング
中間体の相対的不安定化に起因し、これは、速度論的にのみ検出され得る。本発
明者らは、3状態モデルを仮定して、IL−4の平衡状態の変性曲線と再生曲線
とを当てはめることを試みた。Che Yに対してと同様に、本発明者らは、こ
れらの曲線の当てはめの際に、有意な改善を何も検出し得なかった。従って、現
在、本発明者らは、mの変化を、酸化されたタンパク質のフォールディングに存
在する平衡状態のフォールディング中間体の不安定化に割り当て得ない。
【0136】 ヘリックス安定化が考慮される限り、これは、タンパク質安定性の増加を常に
もたらし、そしていくつかの場合においては、熱安定性タンパク質を生成し得る
ことが示された(Villegasら、1996、第2章を参照のこと)が、安
定性の増加は常に、理論的予測から予測されるより低い。このことは、ネイティ
ブな条件下での変性状態の同時の安定化に起因する。ヘリックスCに導入される
変異は、より低い程度まで(0.5kcal/mol)タンパク質を安定化し、
そしてIL−4WYのTmにおいて、より小さなシフト(6℃)を誘導する。こ
の場合には、この安定化効果は、遷移の急勾配の増加(m値)と、タンパク質の
半分が変性するために必要とされるGdnHClの濃度[GdnHCl]1/2
わずかな増加との組合せから生じる。この変異体に対して観察されたm値の増加
は大きくないが、2つの独立した変性および再生の実験において、一致して観察
された。
【0137】 この研究において得られたm値(表1)がIL−4の大きさ(15kDa)の
タンパク質については非常に小さいことに注目することは、価値がある。このこ
とは、アンフォールディングおよびリフォールディングの実験が、還元剤の非存
在下で実施されたという事実に起因し得る。従って、3つのジスルフィド架橋が
、変性状態において形成され、これは、何らかの残余の構造の存在を導き得る。
【0138】 (参考文献)
【0139】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、アミノ酸の直線状配列(アンフォールディング状態−U)から独特の
三次構造(フォールディング状態−F)へのタンパク質のフォールディングの概
略図である。これは、通常、エネルギー障壁(‡)によってアンフォールディン
グ状態およびフォールディング状態から分離される、安定なフォールディング中
間体(I)の形成を含む、複雑なプロセスである。これらの中間体は、フォール
ディング反応中に高濃度まで蓄積してタンパク質の凝集を導き得る。中間体の蓄
積は、この中間体とフォールディングのための遷移状態(‡*)との間の高エネ
ルギー障壁、またはフォールディング状態と遷移状態との間の低エネルギー障壁
に起因し得る。従って、フォールディング中間体の選択的不安定化(I’)およ
び/またはフォールディング状態の安定化(F’)は、タンパク質のフォールデ
ィングをより効率的に助け得る。
【図2】 図2は、逆疎水性効果の概略図である。UおよびUmは、野生型タンパク質お
よび変異体における、アンフォールディングなコンホメーションの集団(ens
emble)を示す。IおよびF、ImおよびFmは、それぞれ、野生型における
中間体およびフォールディング状態ならびに変異体における中間体およびフォー
ルディング状態を示す。KuおよびKfは、アンフォールディング反応速度定数お
よびフォールディング反応速度定数であり、そして‡は、遷移状態を象徴する。
疎水性残基の、より親水性な残基での置換は、原則として、ネイティブな状態に
関して、変性集団および中間体の両方を不安定化するはずである。これは、フォ
ールディング速度を上昇させ、そして中間体の蓄積に起因する速度論的凝集プロ
セスを低下させる。
【図3】 図3は、局所的相互作用の最適化によるフォールディング反応の加速である。
Uは、アンフォールディングなコンホメーションの集団を示す。IおよびF、I m およびFmは、それぞれ、野生型タンパク質における中間体およびフォールディ
ング状態ならびに変異体における中間体およびフォールディング状態を示す。K u およびKfは、アンフォールディング反応速度定数およびフォールディング反応
速度定数であり、そして‡は、遷移状態を象徴する。
【図4】 図4は、分子内シャペロンがタンパク質のフォールディングを媒介する、可能
な経路である。タンパク質が、そのプロ配列の非存在下でフォールディングする
場合、モルテングロビュール状態のコンホメーションになる。モルテングロビュ
ール状態のコンホメーションは、ネイティブ様の二次構造を有するが、生物学的
活性に必要な三次相互作用を欠失する。このモルテングロビュールは安定であり
、そしてモルテングロビュールをフォールディング状態と分離する、エネルギー
障壁を突破し得ない。このペプチドの増加は、モルテングロビュール状態と遷移
状態との間のエネルギー障壁を低下させ、ネイティブな状態へのフォールディン
グの進行を可能にする。
【図5】 図5は、5℃で25mM Na2HPO4、pH6.5におけるIL−4のヘリ
ックスCの野生型ペプチド(黒丸)および変異体(黒菱形)ペプチドのFar−
UV CDスペクトルである。このペプチドのヘリックス含量についてAGAD
IR1s−2によって予測された値、および実験的に決定された値を挿入する。
【図6】 図6は、野生型(IL4Ch_Wt)ペプチドおよび変異体ペプチド(IL4
BCh)の2D NOESYスペクトルの比較である。このスペクトルを、14
0msの混合時間で得た。このペプチドの配列の下のバーの太さは、NOEデー
タに基づいたIL4BChにおけるヘリックスの編成を示す。
【図7】 図7は、変異体ペプチドのHαプロトンの化学シフト値とランダムコイル値(
Merutkaら、1995)との間の差異である。負の値は、ヘリックス構造
の形成を示す。Hαが、明白に割り当てられ得ない残基は、アステリスク(*
によってマークされる。
【図8】 図8は、IL−4 WTタンパク質および変異体タンパク質を発現するE.c
oli AD494から得られた細胞画分である。レーン1:IL−4L23S
W91Sの不溶性画分。レーン2:IL−4L23SW91Sの可溶性画分。レ
ーン3:IL−4L23Sの可溶性画分。レーン4:IL−4W91Sの可溶性
画分。レーン5:IL−4BChelixの可溶性画分。レーン6:野生型タン
パク質の可溶性画分。SDSゲルの濃度分析によって決定したとき、変異体タン
パク質の50%〜60%とは対照的に、野生型タンパク質は、ごくほんの少しの
画分(10%未満)しか、細胞上清において見出されない。
【図9】 図9は、野生型IL−4(パネルA)タンパク質および変異体IL−4BCh
elix(パネルB)タンパク質のHPLCである。
【図10】 図10は、IL−4 WT、IL−4W91S、およびIL−4BCheli
xの一次元NMRスペクトルである。NMRシグナルの優れた分散は、タンパク
質がフォールディングされていることを示す。
【図11】 図11Aは、CDによるIL−4WT(黒丸)ならびに設計した変異体IL−
4W91S(黒菱形)およびIL−4BChelix(白丸)の温度変性プロフ
ィールである。この変性プロセスは、IL4Wtおよび2つの変異体タンパク質
の両方について可逆的である。図11Bは、CDによるIL4WT(+)ならび
に2つの改変体IL−4W91S(白丸)およびIL−4BChelix(黒丸
)の化学変性プロフィールである。この実験データは、散乱したシンボルによっ
て表され、そして実線は、実験データとの最良の適合を示し、これは式6に従う
2状態転移モデルを仮定する。この適合から得られた熱力学的パラメーターは、
温度変性データとともに、表4に要約される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12P 21/02 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR ,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU, ZA,ZW (72)発明者 オシュキナート, ハルトムート ドイツ国 デー−10315 ベルリン, ア フレッドコヴァルクシュトラーセ 4 (72)発明者 ゼラーノ, ルイス ドイツ国 デー−69126 ハイデルベルグ, ツェーリンガーシュトラーセ 19 (72)発明者 ペータース, ヨルク ドイツ国 デー−42096 エルプエアフェ ルト, ビルディング ナンバー 46 ペ ーハー−オーペー−エルプ−ベーテー Fターム(参考) 4B024 AA01 BA26 CA02 DA06 HA01 4B064 AG03 CA02 CA19 CC24 DA01 4C084 AA02 AA06 AA07 BA44 DA01 DA16 NA03 ZB132 4H045 AA10 AA20 AA30 CA40 DA02 EA22 FA74

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サイトカインを安定化する方法であって、以下の工程: a) 溶媒に曝露される疎水性残基を除去するように、該サイトカインのアミ
    ノ酸配列を変異させる工程;および b) 該サイトカイン中の1つ以上の二次構造エレメントを安定化するように
    、該サイトカインのアミノ酸配列を変異させる工程、 のうちの一方または両方を包含し、 その結果、該サイトカインのフォールディングの間に、該サイトカインのフォ
    ールディングの間に形成される中間体が、該サイトカインのフォールディングさ
    れた状態における該サイトカインと比較して不安定化される、方法。
  2. 【請求項2】 工程b)が、ヘリックス安定化残基を導入するように、前記
    サイトカインのアミノ酸配列を変異させる工程を包含する、請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 前記変異させる工程が、前記サイトカインのヘリックスCに
    適用される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記サイトカインがIL−4である、請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記IL−4がヒトIL−4である、請求項4に記載の方法
  6. 【請求項6】 工程a)が、セリン残基を、全長IL−4アミノ酸配列の2
    3位および/または91位に導入することを包含する、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 全長IL−4アミノ酸配列の69位にセリン残基を導入し、
    そして71〜74位に配列Ala−Glu−Ala−Asnを導入することを包
    含する、請求項5に記載の方法。
  8. 【請求項8】 さらに、以下の工程: c) 前記サイトカインのN末端において、プロ配列を含める工程; を包含する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記サイトカインがIL−4Rαに結合することを可能にす
    るが、該サイトカインがIL−13Rαおよび/またはγc鎖に結合することを
    阻止するように、該サイトカインがさらに変異される、請求項1〜8のいずれか
    1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 全長IL−4アミノ酸配列において、121位および/ま
    たは124位のアスパラギン酸残基の置換を含む、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法により改変さ
    れた、サイトカイン。
  12. 【請求項12】 全長配列において、23位、91位、もしくは23位およ
    び91位の両方において変異された、ヒトIL−4、ならびにその機能的等価フ
    ラグメントまたは改変体。
  13. 【請求項13】 全長配列の23位、91位、もしくは23位および91の
    両方における前記変異が、セリン残基に対する変異である、請求項12に記載の
    ヒトIL−4。
  14. 【請求項14】 スレオニン69の、セリンへの変異;グルタミン71の、
    アラニンへの変異;グルタミン72の、グルタミン酸への変異;フェニルアラニ
    ン73の、アラニンへの変異;ヒスチジン74の、アスパラギンへの変異、のう
    ちの1つ以上を含む、ヒトIL−4。
  15. 【請求項15】 前記全長アミノ酸配列の68〜95位において配列ASA
    AEANRHKQLIRFLKRLDRNLWGLAGをコードする、ヒトIL
    −4、およびその機能的等価フラグメントまたは改変体。
  16. 【請求項16】 請求項11〜15のいずれか1項に記載のサイトカインの
    フラグメントを含むペプチド、またはその機能的等価物。
  17. 【請求項17】 請求項11〜15のいずれか1項に記載のサイトカイン、
    または請求項16に記載のペプチドの産生のための方法であって、該サイトカイ
    ンまたはペプチドをコードする核酸を、宿主細胞に導入する工程を包含する、方
    法。
  18. 【請求項18】 前記宿主細胞が、E.coli細菌である、請求項17に
    記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記サイトカインのN末端において、該サイトカインのプ
    ロ配列を含めることをさらに包含する、請求項17または18のいずれか1項に
    記載の方法。
  20. 【請求項20】 さらに、以下の工程: d) 前記サイトカインを、前記宿主細胞において、シャペロンタンパク質と
    ともに発現させる工程、 を包含する、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 【請求項21】 シャペロニンが、GroEL/ES系またはチオレドキシ
    ンである、請求項20に記載の方法。
  22. 【請求項22】 製剤としての使用のための、請求項11〜15のいずれか
    1項に記載のサイトカイン、または請求項16に記載のペプチド。
  23. 【請求項23】 哺乳動物、好ましくはヒトにおける、アレルギーの処置ま
    たは予防のための医薬の製造における、請求項11〜15のいずれか1項に記載
    のサイトカイン、または請求項16に記載のペプチドの使用。
  24. 【請求項24】 請求項11〜15のいずれか1項に記載のサイトカイン、
    または請求項16に記載のペプチドを、必要に応じて薬学的に受容可能な塩の形
    態で、薬学的に受容可能なキャリアと組み合わせて含有する、薬学的組成物。
  25. 【請求項25】 請求項11〜15のいずれか1項に記載のサイトカイン、
    または請求項16に記載のペプチドが、薬学的に受容可能なキャリアと会合され
    る、請求項24に記載の薬学的組成物を調製するためのプロセス。
  26. 【請求項26】 アレルギーを予防または処置する方法であって、患者に、
    請求項11〜15のいずれか1項に記載のサイトカイン、または請求項16に記
    載のペプチドを投与する工程を包含する、方法。
  27. 【請求項27】 請求項11〜15のいずれか1項に記載のサイトカイン、
    または請求項16に記載のペプチドを含む、診断キット。
  28. 【請求項28】 請求項1〜15のいずれか1項に記載のサイトカイン、ま
    たは請求項16に記載のペプチドをコードする、導入遺伝子を保有する、トラン
    スジェニック非ヒト哺乳動物。
  29. 【請求項29】 トランスジェニック動物を作製するためのプロセスであっ
    て、請求項11〜15のいずれか1項に記載のサイトカイン、または請求項16
    に記載のペプチドをコードするDNAを、非ヒト哺乳動物、好ましくはマウスの
    胚に導入する工程を包含する、プロセス。
  30. 【請求項30】 IL−4Rαタンパク質の調製のための方法であって、I
    L−4Rαを含有する組成物を、変異IL−4タンパク質が結合したアフィニテ
    ィーカラムに通す工程、該カラムを洗浄する工程、および該カラムからIL−4
    Rαを溶出する工程を包含する、方法。
JP2001500772A 1999-05-26 2000-05-23 安定性に関して改変されたサイトカイン Pending JP2003501035A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
GB9912350.7 1999-05-26
GBGB9912350.7A GB9912350D0 (en) 1999-05-26 1999-05-26 Modified cytokine
PCT/IB2000/000769 WO2000073460A2 (en) 1999-05-26 2000-05-23 Modified cytokine for its stabilisation

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003501035A true JP2003501035A (ja) 2003-01-14

Family

ID=10854271

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001500772A Pending JP2003501035A (ja) 1999-05-26 2000-05-23 安定性に関して改変されたサイトカイン

Country Status (9)

Country Link
US (1) US7112660B1 (ja)
EP (1) EP1183360B1 (ja)
JP (1) JP2003501035A (ja)
AU (1) AU4943200A (ja)
CA (1) CA2372566A1 (ja)
DE (1) DE60038737T2 (ja)
ES (1) ES2304957T3 (ja)
GB (1) GB9912350D0 (ja)
WO (1) WO2000073460A2 (ja)

Families Citing this family (45)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1314739A1 (en) 2001-11-22 2003-05-28 Bayer Ag Process for renaturation of recombinant, disulfide containing proteins at high protein concentrations in the presence of amines
US8143210B2 (en) 2002-02-14 2012-03-27 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Enzyme treatment of foodstuffs for celiac sprue
DK1572127T4 (da) 2002-02-14 2014-11-24 Univ Leland Stanford Junior Enzymbehandling af fødevarer til cøliaki
DK1563300T3 (da) 2002-11-20 2012-07-23 Univ Leland Stanford Junior Diagnostisk fremgangsmåde til cøliaki
US7579313B2 (en) 2003-11-18 2009-08-25 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Transglutaminase inhibitors and methods of use thereof
US10059756B2 (en) * 2006-11-02 2018-08-28 Acceleron Pharma Inc. Compositions comprising ALK1-ECD protein
TW201940502A (zh) * 2007-02-02 2019-10-16 美商艾瑟勒朗法瑪公司 衍生自ActRIIB的變體與其用途
EP2136833B1 (en) * 2007-03-16 2019-05-01 The Board of Trustees of the Leland Stanford Junior University Combination enzyme therapy for digestion of dietary gluten
US8148105B2 (en) * 2007-03-16 2012-04-03 The Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior University Scaleable manufacturing process for cysteine endoprotease B, isoform 2
CN102216323B (zh) * 2008-11-17 2016-08-03 哥本哈根大学 用于调节慢性炎症反应和治疗自身免疫性疾病的源自il-4的肽
US9688735B2 (en) * 2010-08-20 2017-06-27 Wyeth Llc Designer osteogenic proteins
WO2013106485A2 (en) * 2012-01-09 2013-07-18 The Scripps Research Institute Ultralong complementarity determining regions and uses thereof
US9301971B2 (en) 2013-03-08 2016-04-05 Novartis Ag Peptides and compositions for treatment of joint damage
UY35368A (es) 2013-03-08 2014-10-31 Irm Llc Péptidos y composiciones para el tratamiento de daño articular
WO2014197535A1 (en) * 2013-06-04 2014-12-11 Virginia Commonwealth University Recombinant cancer therapeutic cytokine
AU2014296107B2 (en) * 2013-07-31 2018-07-26 Amgen Inc. Growth differentiation factor 15 (GDF-15) constructs
US11072647B2 (en) * 2013-12-19 2021-07-27 Onsejo Nacional DE Investigation Cientiticay Tecnica TGF-receptor II isoform, fusion peptide, methods of treatment and methods in vitro
EP3673915A1 (en) 2014-06-30 2020-07-01 Altor BioScience Corporation Il-15-based molecules and methods of use thereof
GB201412290D0 (en) 2014-07-10 2014-08-27 Cambridge Entpr Ltd Novel use
CR20170027A (es) * 2014-07-30 2017-05-09 Ngm Biopharmaceuticals Inc Composiciones y métodos de uso para tratar trastornos metabólicos
TWI703161B (zh) * 2014-10-31 2020-09-01 美商Ngm生物製藥公司 用於治療代謝病症之組合物及方法
ITMI20150558A1 (it) * 2015-04-16 2016-10-16 Univ Politecnica Delle Marche Irisina per la cura e la prevenzione dell'osteoporosi
WO2016186071A1 (ja) * 2015-05-20 2016-11-24 国立大学法人大阪大学 炎症性サイトカイン分泌抑制活性を有するオリゴペプチド
WO2016196429A1 (en) * 2015-06-03 2016-12-08 The Medical College Of Wisconsin, Inc. An engineered ccl20 locked dimer polypeptide
US11571462B2 (en) * 2015-06-03 2023-02-07 The Medical College Of Wisconsin, Inc. Engineered CCL20 locked dimer polypeptide
US10940200B2 (en) * 2015-09-28 2021-03-09 East Carolina University Aluminum based adjuvants for tolerogenic vaccination
AU2016361461B2 (en) * 2015-11-26 2020-10-22 Hudson Institute of Medical Research Inhibin analogs
JP6946304B2 (ja) * 2015-12-22 2021-10-06 ノバルティス アーゲー 増殖分化因子15(gdf−15)を使用して代謝障害を処置するまたは軽快させる方法
WO2017176938A1 (en) * 2016-04-06 2017-10-12 Acceleron Pharma, Inc. Bmprii polypeptides and uses thereof
PT3496739T (pt) * 2016-07-15 2021-06-21 Acceleron Pharma Inc Composições compreendendo polipéptidos actriia para uso no tratamento de hipertensão pulmonar
WO2018018082A1 (en) * 2016-07-26 2018-02-01 The Australian National University Immunostimulatory compositions and uses therefor
AU2017302282A1 (en) * 2016-07-27 2019-02-07 Acceleron Pharma Inc. Methods and compositions for treating myelofibrosis
IL247369B (en) * 2016-08-18 2018-08-30 B G Negev Tech And Applications Ltd Polypeptides derived from CSF-m and their uses
EP3606562A4 (en) * 2017-04-03 2020-11-11 Acceleron Pharma Inc. COMPOSITIONS AND METHODS OF TREATMENT OF SPINAL MUSCLE ATROPHY
EP3512874A2 (en) * 2017-11-30 2019-07-24 Grifols Diagnostic Solutions Inc. Immunoassays and engineered proteins for monitoring antibody treatments to the immune checkpoint inhibitors pd1 and pd-l1
TWI724392B (zh) * 2018-04-06 2021-04-11 美商美國禮來大藥廠 生長分化因子15促效劑化合物及其使用方法
EP3553081A1 (en) * 2018-04-12 2019-10-16 Bayer Aktiengesellschaft Atrial natriuretic peptide engrafted antibodies
CN112638406A (zh) * 2018-06-22 2021-04-09 科优基因公司 白介素-2变体及其使用方法
TW202027794A (zh) 2018-10-03 2020-08-01 瑞士商諾華公司 血管生成素樣3多肽之持續遞送
CN112638935A (zh) * 2019-01-27 2021-04-09 中国医药大学 一种类风湿性关节炎自体抗体结合的肽及其应用
CA3137512A1 (en) * 2019-05-14 2020-11-19 Werewolf Therapeutics, Inc. Separation moieties and methods and use thereof
US11851490B2 (en) * 2019-08-15 2023-12-26 Northwestern University Methods and compositions for treating, inhibiting, and/or preventing heterotopic ossification
JP2023548045A (ja) 2020-10-23 2023-11-15 アッシャー バイオセラピューティクス, インコーポレイテッド 免疫細胞機能をモジュレートするためのcd8抗原結合分子を有する融合物
WO2022144836A1 (en) * 2020-12-31 2022-07-07 Sanofi Multifunctional natural killer (nk) cell engagers binding to nkp46 and cd123
IL308609A (en) * 2021-05-19 2024-01-01 Asher Biotherapeutics Inc IL-21 polypeptides and target constructs

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU643427B2 (en) * 1988-10-31 1993-11-18 Immunex Corporation Interleukin-4 receptors
US5596072A (en) * 1992-08-21 1997-01-21 Schering Corporation Method of refolding human IL-13

Non-Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6010031982, PNAS, 1997, Vol.94, pp.1657−1662 *
JPN6010031984, FEBS Lett., 1991, Vol.286, No.1,2, pp.58−60 *
JPN6010031987, PNAS, 1986, Vol.83, No.16, pp.5894−5898 *
JPN6010032002, Nature, 1990, Vol.344, pp.363−364 *

Also Published As

Publication number Publication date
EP1183360B1 (en) 2008-04-30
GB9912350D0 (en) 1999-07-28
WO2000073460A3 (en) 2001-10-18
US7112660B1 (en) 2006-09-26
ES2304957T3 (es) 2008-11-01
DE60038737T2 (de) 2009-07-02
AU4943200A (en) 2000-12-18
CA2372566A1 (en) 2000-12-07
DE60038737D1 (de) 2008-06-12
WO2000073460A2 (en) 2000-12-07
EP1183360A2 (en) 2002-03-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003501035A (ja) 安定性に関して改変されたサイトカイン
JP2021019595A (ja) 非天然コンセンサスアルブミン結合ドメイン
JP6388408B2 (ja) アゴニストおよびアンタゴニストとしての循環置換により修飾されるリガンド
KR101098897B1 (ko) 원핵생물 숙주 내 il-21 생산
US20040014948A1 (en) Single-chain antagonist polypeptides
US20090221477A1 (en) Linkers
EP2215113B1 (en) Cytokine muteins
JP3946638B2 (ja) 生体内エリスロポエチン活性が増強された融合蛋白質
EA002349B1 (ru) Очистка нейротрофинов
JP2009501517A (ja) Il−6結合タンパク質
CN108912221A (zh) 用于生产重组融合蛋白的辅助蛋白、编码基因、重组融合蛋白、重组表达载体及制备方法
US20040030097A1 (en) Peptide mimetics
EP1222203A1 (en) Method of altering polypeptide aggregation
RU2391353C2 (ru) Полипептид со свойствами агониста рецептора гормона роста, кодирующая его нуклеиновая кислота, вектор для его экспрессии и продуцирующая его клетка
Proudfoot et al. The carboxy-terminal region of human interleukin-5 is essential for maintenance of tertiary structure but not for dimerization
KR20240035847A (ko) 인간 파이브로넥틴 유형 iii 단백질 스캐폴드
CN116964213A (zh) 融合蛋白的制造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070523

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20070523

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20070523

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100608

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100909

A072 Dismissal of procedure [no reply to invitation to correct request for examination]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A072

Effective date: 20110111

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110426

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20110608

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110608