JP2003348611A - コンバージェンス補正装置、偏向ヨーク及び表示装置 - Google Patents

コンバージェンス補正装置、偏向ヨーク及び表示装置

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JP2003348611A
JP2003348611A JP2002155055A JP2002155055A JP2003348611A JP 2003348611 A JP2003348611 A JP 2003348611A JP 2002155055 A JP2002155055 A JP 2002155055A JP 2002155055 A JP2002155055 A JP 2002155055A JP 2003348611 A JP2003348611 A JP 2003348611A
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coils
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Kyosuke Aoki
恭介 青木
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画面の左側及び右側の各中間部に弓形の横ミ
スコンが発生する。 【解決手段】 両側2つのサイドビームを水平方向で互
いに接近又は離間する方向に変位させる第1の補正磁界
を形成する第1の補正コイル21Aと、この第1の補正
コイル21Aに並列に接続されかつ第1の補正磁界と逆
向きの第2の補正磁界を形成する第2の補正コイル21
Bと、並列接続をなす第1,第2の補正コイル21A,
21Bに対して水平偏向周期のパラボラ電流Ipを供給
するブリッジ回路22と、第1の補正コイル21Aに直
列に接続されたコイルL13と、第2の補正コイル21
Bに直列に接続されたコイルL14と、コイルL13,
L14にそれぞれ逆向きのバイアス磁界を与えるコイル
L15と、コイルL15に垂直偏向周期の略M字型波形
の電流を供給する手段とを有するコンバージェンス補正
装置を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画面上でのコンバ
ージェンスのずれを補正するコンバージェンス補正装置
とこれを備えた偏向ヨーク、さらに当該偏向ヨークを搭
載する陰極線管を用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】陰極線管を用いたテレビジョン受像機や
コンピュータ用ディスプレイ等の表示装置においては、
赤(R),緑(G),青(B)の各色に対応する3本の
電子ビームを画面上の一点に集束(コンバージェンス)
させ、かつそのビーム集束点(ビームスポット)を水平
及び垂直方向に走査させることにより、所望の色で画像
を表示し得るものとなっている。そのため、画面上で3
本の電子ビームが一点に集束しない、いわゆるミスコン
バージェンスが発生すると、色ずれなどの画質低下を招
くことになる。
【0003】一般に、3本の電子ビームをインライン状
の配列で出射する電子銃を備える表示装置では、両側2
つ(青色用、赤色用)のサイドビームの位置が画面上で
水平方向(左右)にずれるミスコンバージェンスが発生
する。即ち、画面の水平方向において、緑色用のセンタ
ービームGを基準に赤色用のサイドビームRが左側、青
色用のサイドビームBが右側にずれるミスコンバージェ
ンスが発生する。その際、サイドビームB,Rのずれ量
は画面の左右両端(水平軸端)で最も大きくなる。そこ
で従来においては、偏向ヨークの水平偏向磁界をピンク
ッション形とすることにより、サイドビームB,Rのず
れを補正する技術が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、画面の
水平方向におけるサイドビームB,Rのずれをピンクッ
ション形の水平偏向磁界で補正する場合は、サイドビー
ムB,Rのずれ量に対してピンクッション磁界による補
正量を適切に対応させることが難しい。そのため、画面
の左右端でサイドビームB,Rの位置が一致するように
調整すると、画面の右側及び左側の各中間部(以下、左
右中間部と総称)でサイドビームB,Rのずれが過剰に
補正されてしまう。その結果、図16に示すように、画
面の左右中間部でサイドビームBが左側、サイドビーム
Rが右側にずれた状態のミスコンバージェンス(以下、
横ミスコンとも記す)が発生する。この横ミスコンによ
るサイドビームB,Rのずれ量は、垂直方向のビーム走
査形状が弓形に歪んでいるために、画面のX軸上で最小
(ほぼゼロ)となり、このX軸から上下方向に離れる
(画面の上下端に近づく)にしたがって多くなる。この
ような弓形の横ミスコンを水平偏向磁界の分布調整によ
って補正しようとすると、他のコンバージェンス特性に
影響を与えるため、横ミスコンだけを独立に補正するこ
とはできない。
【0005】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたもので、その目的とするところは、他のコンバージ
ェンス特性に影響を与えることなく、画面の左右中間部
に発生する弓形の横ミスコンを独立に補正することが可
能なコンバージェンス補正装置をこれを用いた偏向ヨー
ク及び表示装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るコンバージ
ェンス補正装置は、インライン配列で進行する3本の電
子ビームのうち、両側2つのサイドビームを水平方向で
互いに接近又は離間する方向に変位させる第1の補正磁
界を形成する第1の補正コイルと、この第1の補正コイ
ルに並列に接続されるとともに、第1の補正コイルが形
成する第1の補正磁界と逆向きの第2の補正磁界を形成
する第2の補正コイルと、並列に接続された第1,第2
の補正コイルに対して水平偏向周期の略パラボラ状波形
の電流を供給する第1の電流供給手段と、第1の補正コ
イルに直列に接続された第1の電流可変コイルと、第2
の補正コイルに直列に接続された第2の電流可変コイル
と、これら第1の電流可変コイルと第2の電流可変コイ
ルにそれぞれ逆向きのバイアス磁界を与えるバイアス用
コイルと、このバイアス用コイルに垂直偏向周期の略M
字型波形の電流を供給する第2の電流供給手段とを有す
る構成となっている。また、本発明に係る偏向ヨークは
上記構成のコンバージェンス補正装置を備えたものとな
っており、本発明に係る表示装置は当該偏向ヨークを陰
極線管に搭載したものとなっている。
【0007】上記構成のコンバージェンス補正装置とこ
れを用いた偏向ヨーク及び表示装置においては、第1の
補正コイルが形成する第1の補正磁界と第2の補正コイ
ルが形成する第2の補正磁界とを合成した合成磁界が2
つのサイドビームに作用することになる。また、並列に
接続された第1,第2の補正コイルに対して水平偏向周
期の略パラボラ状波形の電流を供給すると、バイアス用
コイルにより与えられる磁気バイアスに応じて、第1,
第2の電流可変コイルのインダクタンスが変化(増加/
減少)し、さらにこのインダクタンスの変化に応じて、
第1,第2の補正コイルに流れる電流が変化する。その
際、第1,第2の補正コイルに流れる電流の差分に相当
する電流波形は、水平偏向周期の中で画面の左右中間部
に電流ピーク値をもち、かつその電流波形の振幅が垂直
偏向周期で変調されたものとなる。そのため、この電流
波形に対応した補正磁界(合成磁界)を2つのサイドビ
ームに作用させることにより、画面の左右中間部に発生
する弓形の横ミスコンを適切に補正することが可能とな
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0009】図1は本発明が適用される陰極線管の全体
像を示す概略斜視図である。図1において、陰極線管1
0の本体部(ガラスバルブ)は、パネル部11、ファン
ネル部12及びネック部13により構成されている。パ
ネル部11の内面には、赤,緑,青の各色蛍光体をパタ
ーン配列した蛍光面(不図示)が形成されている。一
方、ネック部13には、電子ビームの出射源となるイン
ライン形の電子銃14が内装されている。また、ネック
部13からファンネル部12に至るコーン部には、電子
ビームを偏向するための偏向ヨーク15が装着されてい
る。
【0010】上記構成の陰極線管10は、パネル部11
内面の蛍光面にカラー画像(又は白黒画像)を再現する
のに必要な各種の付属部品とともに図示せぬ筐体に組み
込まれ、これによってテレビジョン受像機やコンピュー
タ用ディスプレイ等の表示装置が構成される。
【0011】図2は本発明に係る偏向ヨークの一部破断
面を含む側面図である。図2において、偏向ヨーク15
には、水平偏向コイル16、垂直偏向コイル17、セパ
レータ18、コア19及びリングマグネット20等の部
品が装備されている。水平偏向コイル16はセパレータ
18の内周側にサドル形に巻装され、垂直偏向コイル1
8は、セパレータ18の外周側にサドル形に巻装されて
いる。
【0012】また、水平偏向コイル16は偏向ヨーク1
5の上下(垂直方向)に対をなして配置され、垂直偏向
コイル17は偏向ヨーク15の左右(水平方向)に対を
なして配置されている。そして、電子銃14からインラ
イン配列で出射される3本の電子ビームの軌道上におい
て、水平偏向コイル16は電子ビームを画面の左右方向
(水平方向)に偏向するピンクッション形の水平偏向磁
界を形成し、垂直偏向コイル17は電子ビームを画面の
上下方向(垂直方向)に偏向するバレル形の垂直偏向磁
界を形成する。なお、垂直偏向コイル18は、偏向ヨー
ク15の上下に対をなしてコア19にトロイダル形に巻
装される場合もある。
【0013】コア19はフェライト等の磁性材料からな
るもので、ヨーク中心軸(Z軸)方向の一方を他方より
も大きく開口した筒型構造をなしている。このコア19
は、水平偏向コイル16及び垂直偏向コイル17が発生
する磁界の効力をより高めるために、それらの偏向コイ
ル16,17を覆うように装着されている。リングマグ
ネット20は、電子銃14の組み立て誤差等による電子
ビームの軌道ずれを補正するために、偏向ヨーク15の
後端部に取り付けられている。さらに、偏向ヨーク15
の後端側には、本発明の実施形態に係るコンバージェン
ス補正装置の主要部となる補正コイル部21が設けられ
ている。
【0014】図3は本発明の実施形態に係るコンバージ
ェンス補正装置のコイル結線状態を示す回路図である。
図3において、一対の水平偏向コイル16は互いに並列
に接続されている。一対の水平偏向コイル16には、図
示しない水平偏向回路によって水平偏向周期の鋸歯状波
電流、即ち水平偏向電流Ihが供給される構成となって
いる。
【0015】一対の水平偏向コイル16に対しては、4
つのコイルL1,L2,L3,L4をブリッジ状に接続
してなるブリッジ回路22が接続されている。ブリッジ
回路22内においては、2つのコイルL1,L2が共通
の接続点Pをもって互いに直列に接続され、他の2つの
コイルL3,L4も共通の接続点Qをもって互いに直列
に接続されている。そして、直列接続の2つのコイルL
1,L2と、同じく直列接続の2つのコイルL3,L4
とが、共通の接続点R,Sをもって並列に接続されてい
る。
【0016】また、ブリッジ回路22におけるコイルL
1,L2の共通接続点Pには、第1の補正コイル21A
と第2の補正コイル21Bの各一端が、共通の接続点T
をもって接続されている。第1の補正コイル21Aは互
いに直列に接続された4つのコイルL5,L6,L7,
L8によって構成され、第2の補正コイル21Bも互い
に直列に接続された4つのコイルL9,L10,L1
1,L12によって構成されている。
【0017】第1の補正コイル21Aに対しては、コイ
ルL8の開放端において第1の電流可変コイル(以下、
単にコイルと記す)L13が直列に接続され、第2の補
正コイル21Bに対しては、コイルL9の開放端におい
て第2の電流可変コイル(以下、単にコイルと記す)L
14が直列に接続されている。コイルL13とコイルL
14とは、接続点Qにつながる共通の接続点Uを介して
接続されている。これにより、ブリッジ回路22の出力
端となる接続点P,Q間においては、第1の補正コイル
21AとコイルL13からなる直列接続のコイル回路
と、第2の補正コイル21BとコイルL14からなる直
接接続のコイル回路とが、共通の接続点T,Uをもって
並列に接続された構成となっている。
【0018】コイルL13は、第1の補正コイル21A
に流れる第1の補正電流I1を可変するインダクタンス
素子となるもので、コイルL14は、第2の補正コイル
21Bに流れる第2の補正電流I2を可変するインダク
タンス素子となるものである。コイルL13及びコイル
L14には、それぞれ共通のバイアス用コイル(以下、
単にコイルと記す)L15が磁気的に結合されている。
コイルL15は、コイルL13とコイルL14にそれぞ
れ逆向きのバイアス磁界(磁気バイアス)を与えるもの
である。コイルL15には後述するブリッジ回路によっ
て電流I3が供給され、この電流I3の供給によってコ
イル15がバイアス磁界を発生する構成となっている。
【0019】図4はブリッジ回路22を構成するコイル
L1〜L4を用いた可飽和リアクタの構成例を示す図で
ある。図4において、コイルL2,L3はドラム型のコ
ア(以下、ドラムコアと記す)23にバイファイラ巻き
によって巻装され、コイルL1,L4は他のドラムコア
24にバイファイラ巻きによって巻装されている。バイ
ファイラ巻きは、絶縁層を有する導線を2本同時に巻線
することにより、1回の巻線作業で2つのコイルを得る
巻線方式である。このバイファイラ巻きを採用すれば、
2つのコイルの巻線状態が等しくなるため、それら2つ
のコイルにほぼ等しい磁気的特性を持たせることができ
る。但し、2つのコイルを別個に巻線する場合でも、各
コイルの磁気的特性がほぼ等しくなるように巻線状態を
調整すればよいため、必ずしもバイファイラ巻きに限定
されるものではない。
【0020】コイルL2,L3及びコイルL1,L4
は、上述した接続点R,S間に水平偏向周期(以下、H
周期とも記す)の鋸歯状波電流(水平偏向電流)Ihが
流れたときに互いに逆向き(反対方向)の磁界を発生す
るよう、それぞれドラムコア23,24に対する巻線方
向が設定されている。各々のドラムコア23,24は、
互いに同様の形状をなすフェライト等の磁性体によって
構成されたものである。また、2つのドラムコア23,
24の間には永久磁石25が配置されている。永久磁石
25は2つのドラムコア23,24によって両側から挟
み込まれた状態で保持されている。また、永久磁石25
は、ドラムコア23側にN極を、ドラムコア24側にS
極を向けた状態で配置されている。これにより、各々の
ドラムコア23,24に巻装されたコイルL2,L3及
びL1,L4に対しては、それぞれ永久磁石25による
固定のバイアス磁界(図の左向きの磁界)が付与された
構成となっている。
【0021】なお、可飽和リアクタの構成としては、図
5に示すように、2つのドラムコア23,24に対して
上記同様にコイルL2,L3及びL1,L4を巻装する
とともに、2つのドラムコア23,24を互いに突き合
わせた状態で、一方のドラムコア23の外側に永久磁石
25AのS極、他方のドラムコア24の外側に永久磁石
25BのN極をそれぞれ突き合わせて配置することによ
り、上記同様にコイルL2,L3及びコイルL1,L4
に対して固定のバイアス磁界を付与することが可能であ
る。
【0022】図6は陰極線管の管軸(中心軸)方向から
見たときの補正コイル部21のコイル配置状態を示す概
略図である。図6において、第1の補正コイル21Aを
構成する4つのコイルL5,L6,L7,L8(4重極
コイル)は陰極線管のネック部13の周囲に配置され、
第2の補正コイル21Bを構成する4つのコイルL9,
L10,L11,L12(4重極コイル)も陰極線管の
ネック部13の周囲に配置されている。
【0023】コイルL5,L9は、ネック部13の円周
方向で水平軸(又は垂直軸)から一方向に約45°傾い
た軸線上の位置にバイファイラ巻きで巻装され、コイル
L7,L11は、ネック部13を介してコイルL5,L
9と反対側、つまりコイルL5,L9と約180°位相
をずらした位置にそれぞれバイファイラ巻きで巻装され
ている。また、コイルL6,L10は、ネック部13の
円周方向で水平軸(又は垂直軸)から他方向に約45°
傾いた軸線上の位置にバイファイラ巻きで巻装され、コ
イルL8,L12は、ネック部13を介してコイルL
6,L10と反対側、つまり、コイルL6,L10と約
180°位相をずらした位置にそれぞれバイファイラ巻
きで巻装されている。この場合も、上記同様の理由によ
り、2つのコイルの巻線形態がバイファイラ巻きに限定
されるものではない。また、各々のコイルを空芯コイル
で構成してもよいし、磁性体コアに巻き付けた構成とし
てもよい。
【0024】このようにコイルを配置することにより、
第1の補正コイル21A(L5〜L8)に第1の補正電
流I1が流れた場合、当該第1の補正コイル21Aは図
中実線矢印で示す第1の補正磁界を形成し、第2の補正
コイル21B(L9〜L12)に第2の補正電流I2が
流れた場合、当該第2の補正コイル21Bは図中破線矢
印で示す補正磁界を形成する。このとき、第1の補正磁
界は、サイドビームBを図中右側に、サイドビームRを
図中左側にそれぞれ偏向させるため、これら2つのサイ
ドビームB,Rを水平方向で互いに接近する方向に変位
させる4重極磁界となる。これに対して、第2の補正磁
界は、サイドビームBを図中左側に、サイドビームRを
図中右側にそれぞれ偏向させるため、これら2つのサイ
ドビームB,Rを水平方向で互いに離間する方向に変位
させる4重極磁界となる。また、第1,第2の補正電流
I1,I2の向き(極性)が反転した場合は、これに応
じて第1,第2の補正コイル21A,21Bが発生する
補正磁界の向きが反転することになる。
【0025】これら第1,第2の補正磁界は互いに逆向
きの4重極磁界となるため、実際の磁界形成では互いに
打ち消し合うように作用する。そのため、陰極線管のネ
ック部13内(電子ビームの軌道上)には、第1,第2
の補正磁界を合成したかたちの磁界が形成される。ま
た、第1の補正磁界の強度は第1の補正コイル21Aに
流れる第1の補正電流I1の電流量に対応し、第2の補
正磁界の強度は第2の補正コイル21Bに流れる第2の
補正電流I2の電流量に対応する。そのため、陰極線管
のネック部13内(電子ビームの軌道上)に形成される
実効的な補正磁界は、第1,第2の補正電流I1,I2
の差分に相当する電流波形に対応したものとなる。
【0026】図7はコイルL15の接続状態を示す回路
図である。図7において、一対の垂直偏向コイル17は
互いに直列に接続されている。一対の垂直偏向コイル1
7には、図示しない垂直偏向回路によって垂直偏向周期
の鋸歯状波電流、即ち垂直偏向電流Ivが供給される構
成となっている。
【0027】一対の垂直偏向コイル17に対しては、一
対のダイオードD1,D2と一対の抵抗R1,R2をブ
リッジ状に接続してなるブリッジ回路26が接続されて
いる。ブリッジ回路26内においては、一対のダイオー
ドD1,D2が共通の接続点Jをもって互いに直列に接
続されるとともに、一対の抵抗R1,R2が共通の接続
点Kをもって互いに直列に接続されている。そして、直
列接続の一対のダイオードD1,D2と、同じく直列接
続の一対の抵抗R1,R2とが、共通の接続点M,Nを
もって並列に接続されている。ダイオードD1のカソー
ドとダイオードD2のカソードは、それぞれ上記共通の
接続点Jに接続されている。また、ダイオードD1のア
ノードは接続点Mに接続され、ダイオードD2のアノー
ドは接続点Nに接続されている。そして、ブリッジ回路
26の出力端となる接続点J,K間にコイルL15が接
続されている。
【0028】かかる回路構成において、一対の垂直偏向
コイル17に垂直偏向電流Ivが供給されると、この垂
直偏向電流IVが、ブリッジ回路26の入力端となる接
続点M,N間に流れる。このとき、垂直偏向周期(以
下、V周期とも記す)の前半部分で図中矢印で示す右向
きに垂直偏向電流Ivが流れるものとすると、このV周
期の前半部分では、垂直偏向電流Ivがブリッジ回路2
6の接続点Mから流入して接続点Nから流出する。この
とき、垂直偏向電流Ivの方向に対して、ダイオードD
1が順方向(ダイオードD2は逆方向)となる。そのた
め、ブリッジ回路26の出力端(J,K)間では、ダイ
オードD1がオンしている間、コイルL15に図中実線
矢印で示す向きで電流が流れる。一方、V周期の後半部
分では、垂直偏向電流Ivがブリッジ回路26の接続点
Nから流入して接続点Mから流出する。このとき、垂直
偏向電流Ivの方向に対して、ダイオードD2が順方向
(ダイオードD1は逆方向)となる。そのため、ブリッ
ジ回路26の出端端(J,K)間では、ダイオードD2
がオンしている間、コイルL15に図中破線矢印で示す
向きで電流が流れる。
【0029】これにより、V周期全体で見た場合は、図
8に示すように、垂直偏向電流IvをダイオードD1,
D2で全波整流した波形の電流、即ちV周期に同期した
略M字型波形の電流が生成され、この電流がコイルL1
5に供給されることになる。この場合、一対の垂直偏向
コイル17に垂直偏向電流を供給した際に発生する垂直
偏向磁界で電子ビームを垂直方向に偏向するにあたり、
画面の上端に向けて電子ビームを偏向するタイミング
と、画面の下端に向けて電子ビームを偏向するタイミン
グで、それぞれコイルL15に同じ向き(極性)の電
流が流れるとともに、その電流量がV周期内で最大(ピ
ーク)となる。また、電子ビームの垂直偏向量がゼロと
なる画面の上下方向のセンター(X軸上位置)とその近
傍位置に電子ビームを偏向するタイミング(期間)で
は、コイルL15に流れる電流がゼロとなる。さらに、
タイミング→の間ではコイルL15に流れる電流量
が徐々に(連続的に)減少し、タイミング→の間で
はコイルL15に流れる電流量が徐々に増加する。
【0030】これに対して、コイルL15が発生するバ
イアス磁界の強度は、当該コイルL15に供給される電
流I3の電流量に対応して変化する。そのため、コイル
L15が発生するバイアス磁界の強度は、電流I3の波
形に応じて垂直偏向周期で変調されることになる。な
お、コイルL15に供給される電流波形は、ブリッジ回
路26に供給される垂直偏向電流の極性とダイオードD
1,D2の極性との相互関係により、逆M字型となるこ
ともあり得る。
【0031】図9はコイルL13,L14,L15の巻
線構造を示す図である。図示のようにコイルL13はド
ラムコア27に、コイルL14はドラムコア28に、コ
イルL15はドラムコア29にそれぞれ巻装されてい
る。ドラムコア29は、その両側を2つのドラムコア2
7,28によって挟み込まれている。即ち、ドラムコア
29の一端にはドラムコア27の一端が突き当てられ、
ドラムコア29の他端にはドラムコア28の一端が突き
当てられている。また、ドラムコア27に対するコイル
L13の巻線方向とドラムコア28に対するコイルL1
4の巻線方向は互いに逆方向に設定され、ドラムコア2
8に対するコイルL14の巻線方向とドラムコア29に
対するコイルL15の巻線方向は互いに同じ方向に設定
されている。さらに、コイルL15に電流I3が流れて
いない状態では、コイルL13とコイルL14のインダ
クタンスが互いに等しくなるように設定されている。
【0032】続いて、上記構成からなるコンバージェン
ス補正装置を用いたミスコンバージェンスの補正原理に
ついて説明する。先ず、H周期の鋸歯状波電流である水
平偏向電流Ihは、一対の水平偏向コイル16を介して
ブリッジ回路22の接続点R,S間に供給される。この
とき、水平偏向電流Ihが接続点R側から流入したとす
ると、図4に示す永久磁石25又は図5に示す永久磁石
25A,25Bによる固定のバイアス磁界に対し、コイ
ルL2,L3はバイアス磁界と反対方向の磁界を発生
し、コイルL1,L4はバイアス磁界と同一方向の磁界
を発生する。
【0033】その際、コイルL2,L3が巻装されたド
ラムコア23では、コイルL2,L3による磁界とバイ
アス磁界との相殺作用によって磁気飽和の傾向が弱まる
ため、それにしたがってコイルL2,L3のインダクタ
ンスが増加する。また、コイルL1,L4が巻装された
ドラムコア24では、コイルL1,L4による磁界とバ
イアス磁界との相乗作用によって磁気飽和の傾向が強ま
るため、それにしたがってコイルL1,L4のインダク
タンスが減少する。これに対して、ブリッジ回路22の
接続点Rから流入した電流は、インダクタンスの小さい
方のコイルにより多くの割合で流れる。そのため、ブリ
ッジ回路22内では、接続点Rから流入した電流の一部
がコイルL1を通して接続点Pから第1,第2の補正コ
イル21A,21Bへと流れ、さらに接続点Qからコイ
ルL4を通して接続点Sから流出する。
【0034】一方、水平偏向電流Ihが接続点S側から
流入した場合は、図4に示す永久磁石25又は図5に示
す永久磁石25A,25Bによる固定のバイアス磁界に
対し、コイルL2,L3はバイアス磁界と同一方向の磁
界を発生し、コイルL1,L4はバイアス磁界と反対方
向の磁界を発生する。
【0035】このとき、コイルL2,L3が巻装された
ドラムコア23では、コイルL2,L3による磁界とバ
イアス磁界との相乗作用によって磁気飽和の傾向が強ま
るため、それにしたがってコイルL2,L3のインダク
タンスが減少する。また、コイルL1,L4が巻装され
たドラムコア24では、コイルL1,L4による磁界と
バイアス磁界との相殺作用によって磁気飽和の傾向が弱
まるため、それにしたがってコイルL1,L4のインダ
クタンスが増加する。これに対して、ブリッジ回路22
の接続点Sから流入した電流は、インダクタンスの小さ
い方のコイルにより多くの割合で流れる。そのため、ブ
リッジ回路22内では、接続点Sから流入した電流の一
部がコイルL2を通して接続点Pから第1,第2の補正
コイル21A,21Bへと流れ、さらに接続点Qからコ
イルL3を通して接続点Rから流出する。
【0036】このような回路動作において、ブリッジ回
路22の接続点P,Q間には、当該ブリッジ回路22の
接続点R,S間に供給される電流の方向にかかわらず常
に同一方向の電流が流れる。したがって、接続点P,Q
間に接続された第1,第2の補正コイル21A,21B
に対して供給される電流Ipの波形は、図10に示すよ
うに、H周期に同期したパラボラ状波形に近いものとな
る。以上のことから、可飽和リアクタのコイルL1〜L
4によって構成されるブリッジ回路22は、当該ブリッ
ジ回路22に水平偏向電流Ihが供給されることでH周
期に同期した略パラボラ状波形の電流(以下、パラボラ
電流)Ipを生成するとともに、この生成したパラボラ
電流Ipを、並列接続をなす第1,第2の補正コイル2
1A,21Bに対して供給するように動作する。
【0037】このようにブリッジ回路22によって供給
されたH周期のパラボラ電流Ipは、接続点Tで二股状
に分流し、一方が第1の補正電流I1、他方が第2の補
正電流I2となる。そして、第1の補正電流I1は第1
の補正コイル21Aに流れ、第2の補正電流I2は第2
の補正コイル21Bに流れる。このとき、第1の補正コ
イル21AにはコイルL13が直列に接続され、第2の
補正コイル21BにはコイルL14が直列に接続されて
いる。そのため、第1の補正コイル21Aに流れる第1
の補正電流I1はコイルL13のインダクタンスに応じ
て変化し、第2の補正コイル21Bに流れる第2の補正
電流I2はコイルL14のインダクタンスに応じて変化
することになる。以下に、より具体的な説明を行う。
【0038】先ず、パラボラ電流Ipの極性を上記図1
0に示すように仮定し、このパラボラ電流Ipの極性が
正(+)のときは、第1の補正コイル21Aが図13
(A)に示す4重極の補正磁界を形成するとともに、第
2の補正コイル21Bが図13(B)に示す4重極の補
正磁界を形成するものとする。また、パラボラ電流Ip
の極性が負(−)のときは、第1の補正コイル21Aが
図13(B)に示す4重極の補正磁界を形成するととも
に、第2の補正コイル21Bが図13(A)に示す4重
極の補正磁界を形成するものとする。そうした場合、図
13(A)に示す補正磁界ではサイドビームB,Rが水
平方向で互いに接近する方向に変位し、図13(B)に
示す補正磁界ではサイドビームB,Rが水平方向で互い
に離間する方向に変位する。因みに、図13(A),
(B)はいずれも陰極線管の前面側(パネル側)から見
た場合を示している。
【0039】また、上記図9に示すコイル巻線構造にお
いて、パラボラ電流Ipの極性が正のときは、コイルL
13,L14にそれぞれ矢印の向きで補正電流I1,I
2が流れ、パラボラ電流Ipの極性が負のときは、コイ
ルL13,L14にそれれぞれ矢印の向きと逆向きで補
正電流I1,I2が流れるものとする。ちなみに、コイ
ルL15に流れるV周期の電流I3は、上記図8に示し
たように、ダイオードで全波整流した波形となる。その
ため、コイルL15に流れる電流I3の向きは常に一定
となる。
【0040】ここで、コイルL15に流れる電流I3が
ゼロとなるタイミング(図8参照)では、コイルL1
5によるバイアス磁界が発生しないため、コイルL1
3,L14のインダクタンスは互いに等しくなる。した
がって、第1の補正コイル21Aに流れる第1の補正電
流I1の波形と、第2の補正コイル21Bに流れる第2
の補正電流I2は、いずれもパラボラ電流Ipを均等に
二分したかたち、即ち図11に示すような波形の電流と
なる。この場合、各々の補正電流I1,I2の量が互い
に等しくなるため、第1の補正コイル21Aが発生する
補正磁界と第2の補正コイル21Bが発生する補正磁界
とが完全に打ち消し合うことになる。
【0041】一方、コイルL15に流れる電流I3が最
大となるV周期の開始タイミング及び終了タイミング
(図8参照)で、それぞれパラボラ電流Ipの極性が
正のときに、コイルL13に図中矢印の向きで補正電流
I1が流れた場合は図中左向きの磁界が発生し、コイル
L14に図中矢印で示す向きで補正電流I2が流れた場
合は図中右向きの磁界が発生する。また、コイルL15
に図中矢印で示す向きで電流I3が流れた場合は図中右
向きのバイアス磁界が発生する。この場合、コイルL1
5が発生するバイアス磁界は、コイルL13が発生する
磁界とは逆向きで、コイルL14が発生する磁界とは同
じ向きになる。そのため、ドラムコア27の磁気飽和の
傾向はバイアス磁界によって弱められ、ドラムコア28
の磁気飽和の傾向はバイアス磁界によって強められる。
【0042】これにより、コイルL13のインダクタン
スとコイルL14のインダクタンスとを相対的に比較す
ると、コイルL13のインダクタンスは増加し、コイル
L14のインダクタンスは減少する。そうすると、第1
の補正コイル21Aに電流が流れにくくなる一方、第2
の補正コイル21Bに電流が流れやすくなる。そのた
め、第1の補正コイル21Aに流れる第1の補正電流I
1と第2の補正コイル21Bに流れる第2の補正電流I
2とを相対的に比較した場合は、第2の補正コイル21
Bにより多くの割合で電流が流れることになる。
【0043】これに対し、コイルL15に流れる電流I
3が最大となるV周期の開始タイミング及び終了タイ
ミング(図8参照)で、それぞれパラボラ電流Ipの
極性が負のときに、コイルL13に図中矢印と反対の向
きで補正電流I1が流れた場合は図中右向きの磁界が発
生し、コイルL14に図中矢印と反対の向きで補正電流
I2が流れた場合は図中左向きの磁界が発生する。ま
た、コイルL15に図中矢印で示す向きで電流I3が流
れた場合は図中右向きのバイアス磁界が発生する。この
場合、コイルL15が発生するバイアス磁界は、コイル
L13が発生する磁界とは同じ向きで、コイルL14が
発生する磁界とは逆向きになる。そのため、ドラムコア
27の磁気飽和の傾向はバイアス磁界によって強めら
れ、ドラムコア28の磁気飽和の傾向はバイアス磁界に
よって弱められる。
【0044】これにより、コイルL13のインダクタン
スとコイルL14のインダクタンスとを相対的に比較す
ると、コイルL13のインダクタンスは減少し、コイル
L14のインダクタンスは増加する。そうすると、第1
の補正コイル21Aに電流が流れやすくなる一方、第2
の補正コイル21Bに電流が流れにくくなる。そのた
め、第1の補正コイル21Aに流れる第1の補正電流I
1と第2の補正コイル21Bに流れる第2の補正電流I
2とを相対的に比較した場合は、第1の補正コイル21
Aにより多くの割合で電流が流れることになる。
【0045】以上のことから、第1の補正コイル21A
に流れる第1の補正電流I1は図12(A)に示すよう
な波形となり、第2の補正コイル21Bに流れる第2の
補正電流I2は図12(B)に示すような波形となる。
ここで、陰極線管のネック部13内(電子ビームの軌道
上)に形成される実効的な補正磁界は、第1の補正コイ
ル21Aによる第1の補正磁界と第2の補正コイル21
Bによる第2の補正磁界とを合成した磁界となる。この
合成磁界は、第1,第2の補正電流I1,I2の差分
(I1−I2)に相当する電流波形、即ち図12(C)
に示す電流波形に対応したものとなる。
【0046】ここで、上記図12(C)に示す電流波形
は、第1の補正コイル21Aに流れる第1の補正電流I
1を基準にして、当該第1の補正電流I1から第2の補
正電流I2を差し引いた電流値で表している。そのた
め、図12(C)に示す電流波形に対応して形成される
補正磁界は、第1の補正コイル21Aが形成する第1の
補正磁界として捉えることができる。よって、図12
(C)に示す電流波形において、電流極性が正(+)の
ときは図13(A)に示す補正磁界(4重極磁界)が形
成され、電流極性が負(−)のときは図13(B)に示
す補正磁界(4重極磁界)が形成される。
【0047】また、上記図12(C)に示す電流波形で
は、H周期の中で画面の左側を水平走査するときの中間
部と画面の右側を水平走査するときの中間部でそれぞれ
電流極性が正極性の電流ピーク値をもち、画面の水平方
向の中央部(Y軸近傍)と水平軸端近傍ではそれぞれ電
流極性が負極性となっている。また、図12(C)に示
す電流波形の振幅は、上記図8に示す電流I3の波形に
対応して、画面の上端及び下端に向けて電子ビームを偏
向するタイミング,で最大になるとともに、画面の
上下方向のセンター(X軸上位置)とその近傍位置に向
けて電子ビームを偏向するタイミングで最小(ゼロ)
になる。
【0048】したがって、図12(C)に示す電流波形
に対応した補正磁界を電子ビームの軌道上に形成した場
合は、図14に示すように、画面の左側中間部と右側中
間部で、それぞれ画面の上側及び下側に向かうサイドビ
ームB,Rが図13(A)に示す補正磁界により互いに
接近する方向、即ちサイドビームBが右側でサイドビー
ムRが左側にずれた状態となり、画面の水平方向の中央
部と水平軸端近傍では、それぞれ画面の上側及び下側に
向かうサイドビームB,Rが図13(B)に示す補正磁
界により互いに離間する方向、即ちサイドビームBが左
側でサイドビームRが右側にずれた状態となる。
【0049】このようにサイドビームB,Rがずれた状
態で、画面の水平方向の中央部と水平軸端でサイドビー
ムB,Rの位置が一致するようにコンバージェンスを調
整すると、画面左側の中間部と画面右側の中間部ではそ
れぞれサイドビームB,Rの間隔が拡大する方向とな
る。そのため、図15に示すように、画面の左側及び右
側の各中間部で、サイドビームBが右側、サイドビーム
Rが左側にずれた状態のコンバージェンスパターンが得
られる。この場合、画面の左右中間部における各々のサ
イドビームB,Rのずれ量は、垂直方向における電子ビ
ームの走査位置が画面の上下端に近づくほど多くなる。
【0050】上記図15に示すコンバージェンスパター
ンにより、画面の左右中間部に現れる横ミスコン(サイ
ドビームB,Rのずれ)を独立に補正することができ
る。即ち、図15に示すコンバージェンスパターンは、
本発明で補正の対象とした図16に示す横ミスコンとの
比較で、サイドビームB,Rの位置関係が反転している
ことから、第1,第2の補正コイル21A,21Bによ
って形成される補正磁界(合成磁界)を用いたコンバー
ジェンス補正により、図16に示す横ミスコンを適切に
補正することが可能となる。
【0051】また、図3に示す回路構成において、ブリ
ッジ回路22内の接続点U,Q間に図示しないインダク
タンス可変コイルを直列に接続し、このインダクタンス
可変コイルによって第1,第2の補正コイル21A,2
1Bに供給されるパラボラ電流Ipの電流量を制御する
ことにより、第1,第2の補正コイル21A,21Bに
よるミスコンバージェンスの補正量を任意に調整するこ
とができる。
【0052】なお、上記実施形態においては、図16に
示す横ミスコンを図15に示すコンバージェンスパター
ンによって補正するとしたが、例えば、第1,第2の補
正コイル21A,21Bの巻線方向や、各々のコイルに
供給される補正電流I1,I2の方向などを変えること
により、第1,第2の補正コイル21A,21Bによる
補正磁界によって図16に示すコンバージェンスパター
ンを得ることも可能である。したがって、例えば図15
に示すパターンでミスコンバージェンスが発生した場合
は、これを図16に示すコンバージェンスパターンによ
って補正することも可能となる。
【0053】また、上記実施形態においては、4つのコ
イルL1〜L4によって構成されたブリッジ回路22に
対し、一対の水平偏向コイル16を介して水平偏向周期
の鋸歯状波電流(水平偏向電流)Ihを供給する構成と
したが、これ以外にも、個別の電源装置を用いて水平偏
向周期の鋸歯状波電流をブリッジ回路22に供給する構
成、或いは個別の電源装置を用いて生成した水平偏向周
期の略パラボラ状波形の電流を第1,第2の補正コイル
21A,21Bに対して供給する構成としてもよい。
【0054】また、上記実施形態においては、一対のダ
イオードD1,D2と一対の抵抗R1,R2によって構
成されたブリッジ回路26に対し、一対の垂直偏向コイ
ル17を介して垂直偏向周期の鋸歯状波電流(垂直偏向
電流Iv)を供給する構成としたが、本発明はこれに限
らず、個別の電源装置を用いて垂直偏向周期の鋸歯状波
電流をブリッジ回路26に供給する構成、或いは個別の
電源装置を用いて生成した垂直偏向周期の略M字型波形
の電流をコイルL15に供給する構成としてもよい。
【0055】但し、上記実施形態のように一対の水平偏
向コイル16に対してブリッジ回路22を直列に接続
し、このブリッジ回路22に一対の水平偏向コイル16
を介して水平偏向電流Ihを供給することにより、水平
偏向周期のパラボラ電流Ipを生成する構成とした方
が、製造コスト等の面で有利である。同様に、一対の垂
直偏向コイル17に対してブリッジ回路26を直列に接
続し、このブリッジ回路26に一対の垂直偏向コイル1
7を介して垂直偏向電流Ivを供給することにより、垂
直偏向周期の略M字形波形の電流I3を生成する構成と
して方が、製造コスト等の面で有利である。
【0056】また、本発明に係るコンバージェンス補正
装置は、偏向ヨーク15に搭載して用いる以外にも、偏
向ヨーク15とは独立した構成要素(例えば、ネックア
センブリ)として陰極線管に組み込むことも可能であ
る。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、第
1の補正コイルが発生する第1の補正コイルと第2の補
正コイルが発生する第2の補正磁界とを合成した合成磁
界を用いたコンバージェンス補正により、他のコンバー
ジェンス特性に影響を与えることなく、画面の左右中間
部に発生する弓形の横ミスコンを独立に補正することが
できる。その結果、色ずれを抑えた高品位な表示装置を
提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される陰極線管の全体像を示す概
略斜視図である。
【図2】本発明に係る偏向ヨークの一部破断面を含む側
面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るコンバージェンス補正
装置のコイル結線状態を示す回路図である。
【図4】可飽和リアクタの構成例を示す図である。
【図5】可飽和リアクタの他の構成例を示す図である。
【図6】補正コイル部のコイル配置状態を示す概略図で
ある。
【図7】バイアス用コイルの接続状態を示す回路図であ
る。
【図8】バイアス用コイルに供給される電流波形を示す
図である。
【図9】バイアス用コイルを含むコイル巻線構造を示す
図である。
【図10】補正コイルに対して供給される電流波形を示
す図である。
【図11】補正コイルに流れる電流波形を説明する図
(その1)である。
【図12】補正コイルに流れる電流波形を説明する図
(その2)である。
【図13】補正磁界の向きと電子ビームの動きを説明す
る図である。
【図14】補正磁界による電子ビームの位置変化を説明
する図である。
【図15】補正磁界によって得られるコンバージェンス
パターンを説明する図である。
【図16】補正対象のミスコンバージェンスを説明する
図である。
【符号の説明】
10…陰極線管、15…偏向ヨーク、16…水平偏向コ
イル、17…垂直偏向コイル、21…補正コイル部、2
1A…第1の補正コイル、21B…第2の補正コイル、
22,26…ブリッジ回路、23,24,27,28,
29…ドラムコア、25,25A,25B…永久磁石、
L1〜L15…コイル

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インライン配列で進行する3本の電子ビ
    ームのうち、両側2つのサイドビームを水平方向で互い
    に接近又は離間する方向に変位させる第1の補正磁界を
    形成する第1の補正コイルと、 前記第1の補正コイルに並列に接続されるとともに、前
    記第1の補正コイルが形成する前記第1の補正磁界と逆
    向きの第2の補正磁界を形成する第2の補正コイルと、 前記並列に接続された前記第1,第2の補正コイルに対
    して水平偏向周期の略パラボラ状波形の電流を供給する
    第1の電流供給手段と、 前記第1の補正コイルに直列に接続された第1の電流可
    変コイルと、 前記第2の補正コイルに直列に接続された第2の電流可
    変コイルと、 前記第1の電流可変コイルと前記第2の電流可変コイル
    にそれぞれ逆向きのバイアス磁界を与えるバイアス用コ
    イルと、 前記バイアス用コイルに垂直偏向周期の略M字型波形の
    電流を供給する第2の電流供給手段とを有することを特
    徴とするコンバージェンス補正装置。
  2. 【請求項2】 前記第2の電流供給手段は、垂直偏向コ
    イルに供給される垂直偏向電流をダイオードで全波整流
    することにより、前記バイアス用コイルに供給すべき前
    記略M字型波形の電流を生成することを特徴とする請求
    項1記載のコンバージェンス補正装置。
  3. 【請求項3】 インライン配列で進行する3本の電子ビ
    ームのうち、両側2つのサイドビームを水平方向で互い
    に接近又は離間する方向に変位させる第1の補正磁界を
    形成する第1の補正コイルと、 前記第1の補正コイルに並列に接続されるとともに、前
    記第1の補正コイルが形成する前記第1の補正磁界と逆
    向きの第2の補正磁界を形成する第2の補正コイルと、 前記並列に接続された前記第1,第2の補正コイルに対
    して水平偏向周期の略パラボラ状波形の電流を供給する
    第1の電流供給手段と、 前記第1の補正コイルに直列に接続された第1の電流可
    変コイルと、 前記第2の補正コイルに直列に接続された第2の電流可
    変コイルと、 前記第1の電流可変コイルと前記第2の電流可変コイル
    にそれぞれ逆向きのバイアス磁界を与えるバイアス用コ
    イルと、 前記バイアス用コイルに垂直偏向周期の略M字型波形の
    電流を供給する第2の電流供給手段とを有するコンバー
    ジェンス補正装置を備えることを特徴とする偏向ヨー
    ク。
  4. 【請求項4】 前記第2の電流供給手段は、垂直偏向コ
    イルに供給される垂直偏向電流をダイオードで全波整流
    することにより、前記バイアス用コイルに供給すべき前
    記略M字型波形の電流を生成することを特徴とする請求
    項3記載の偏向ヨーク。
  5. 【請求項5】 インライン配列で進行する3本の電子ビ
    ームのうち、両側2つのサイドビームを水平方向で互い
    に接近又は離間する方向に変位させる第1の補正磁界を
    形成する第1の補正コイルと、 前記第1の補正コイルに並列に接続されるとともに、前
    記第1の補正コイルが形成する前記第1の補正磁界と逆
    向きの第2の補正磁界を形成する第2の補正コイルと、 前記並列に接続された前記第1,第2の補正コイルに対
    して水平偏向周期の略パラボラ状波形の電流を供給する
    第1の電流供給手段と、 前記第1の補正コイルに直列に接続された第1の電流可
    変コイルと、 前記第2の補正コイルに直列に接続された第2の電流可
    変コイルと、 前記第1の電流可変コイルと前記第2の電流可変コイル
    にそれぞれ逆向きのバイアス磁界を与えるバイアス用コ
    イルと、 前記バイアス用コイルに垂直偏向周期の略M字型波形の
    電流を供給する第2の電流供給手段とを有するコンバー
    ジェンス補正装置を備える偏向ヨークを陰極線管に搭載
    してなることを特徴とする表示装置。
  6. 【請求項6】 前記第2の電流供給手段は、垂直偏向コ
    イルに供給される垂直偏向電流をダイオードで全波整流
    することにより、前記バイアス用コイルに供給すべき前
    記略M字型波形の電流を生成することを特徴とする請求
    項5記載の表示装置。
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