JP2003346650A - プラズマディスプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方法、無機蛍光体分散物の製造方法及びプラズマディスプレイパネル用蛍光体ペースト - Google Patents

プラズマディスプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方法、無機蛍光体分散物の製造方法及びプラズマディスプレイパネル用蛍光体ペースト

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JP2003346650A
JP2003346650A JP2002155387A JP2002155387A JP2003346650A JP 2003346650 A JP2003346650 A JP 2003346650A JP 2002155387 A JP2002155387 A JP 2002155387A JP 2002155387 A JP2002155387 A JP 2002155387A JP 2003346650 A JP2003346650 A JP 2003346650A
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JP
Japan
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phosphor
dispersion
producing
inorganic phosphor
plasma display
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JP2002155387A
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English (en)
Inventor
Yusuke Kawahara
雄介 川原
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機蛍光体分散性が向上した、プラズマディ
スプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方法、無機蛍光
体分散物の製造方法及び、良好な発光輝度を示すプラズ
マディスプレイパネル用蛍光体ペーストを提供する。 【解決手段】 液相法で合成した無機蛍光体を湿式分散
処理する工程を有することを特徴とするプラズマディス
プレイパネル用蛍光体ペーストの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマディスプ
レイパネル用蛍光体ペーストの製造方法、無機蛍光体分
散物の製造方法及び、プラズマディスプレイパネル用蛍
光体ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、無機蛍光体を使用する製品の種類
は益々多くなり、その多くはその製造過程で無機蛍光体
を水や有機溶媒またはそれらの混合物に懸濁させた無機
蛍光体スラリーや無機蛍光体分散物の形態を経由するも
のが多い。カラーブラウン管、プラズマディスプレイパ
ネル等のディスプレイ装置や蛍光灯等における蛍光膜作
製時の塗布液等がその例であり、更に最近では様々な目
的でインクジェット記録用インク等の色材にも無機蛍光
体を含有する技術が提案されている。
【0003】無機蛍光体のスラリーや分散物は、焼成を
施し蛍光体粒子を形成した後に必要に応じて湿式分散処
理を行って製造されるが、蛍光体の分散性や輝度特性
は、蛍光体を含むスラリーの諸特性、またはその後必要
に応じて施される表面改質処理の諸特性、更にはそれを
使用して製造された最終製品の諸性能に大きな影響を与
えるので特に重要である。
【0004】蛍光体の分散性を向上させる方法としては
様々な方法が提案されており、焼成後の蛍光体に必要に
応じて水篩・水洗等の処理を施した後、液体媒体中に蛍
光体と、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ、ガラスビ
ーズ等の固体粒子の分散媒体(本発明では、これらを総
称して「メデイア」ということもある)とを混合し、メ
ディア分散機を用いて機械的に湿式分散処理する方法は
よく知られている。
【0005】従来から、メディア分散機による機械的分
散の分散性を向上させるためには、メディアの直径を小
さくし、メディアの硬度を硬くし、メディアの比重を大
きくし、また、遠心加速したり、周速(回転数)を早め
たり、且つ、分散時間を長くして分散機のベッセル中の
滞留時間を長くしたり、メディアの充填量を多くするな
どして分散性を向上させる試みがなされてきた。このよ
うに、メディアの種類や直径及び充填量等によっても分
散状態が大きく変わるため、処理液スラリーの内容と、
目的とする分散状態により、メディアの種類や直径及び
充填量を種々選択することになる。
【0006】ここで、蛍光体を液体媒体中に分散させる
ために、メディア分散機による機械的分散を適用する
と、蛍光体の分散性は向上するものの、蛍光体結晶の破
砕や摩砕により表面の結晶性が損なわれ、それに起因す
ると思われる発光輝度の低下が起こりやすいという問題
点があった。また、機械的エネルギーの供給により湿式
分散処理を施している最中の液温度は上昇しやすく、特
に多量のメディアを併用するメディア分散機を使用する
際は温度上昇が特に顕著で、無機蛍光体分散物の諸特
性、更にはそれを使用して製造された最終製品の諸性能
に大きな影響を与える場合があった。
【0007】ところで、近年、プラズマディスプレイパ
ネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ
(FED)、エレクトロルミネッセンス(EL)パネル
のようなフラットパネルディスプレイ(FPD)が次世
代のディスプレイ装置として注目されている。その中で
も、特にPDPでは今後更に高い解像度が要求され、そ
のためにはより緻密で複雑なリブ構造を形成し、特性と
効率を高めるためには微粒子(0.1μm〜2.0μ
m)の蛍光体を有する薄い蛍光層が求められている。
【0008】輝度特性を維持したまま粒径が小さい蛍光
体が得られれば薄い蛍光層を形成することが可能になる
ことから、輝度等の諸特性を低下することなく蛍光体粒
子を微粒化することが重要になる。また、粒径が小さけ
れば充填密度を高めることができ、膜を基板に付着させ
るのに必要なバインダ量の低減が可能となる。
【0009】上記の問題を解決する技術として、特開平
11−61111号には、真比重が1〜2.2という比
較的比重の小さいメディアを全メディアの50質量%以
上使用して湿式分散処理を行い、分散性を向上させ、発
光輝度の低下を抑制する技術が開示されている。
【0010】また、特開2000−345091には、
粒径1.0mm以下のジルコニアビーズを使用したり、
または分散時間を3時間以下にするなどの分散条件でプ
ラズマディスプレイパネル用蛍光体インキを分散し、微
細なセル構造に精度良く均一に蛍光層を形成する技術が
開示されている。
【0011】しかしながら、前記2つの公報に開示され
ている技術では、分散性の向上と輝度低下の抑制を両立
するには未だ満足できるものではなく、特にプラズマデ
ィスプレイパネル用蛍光体ペーストとして適用する際に
は不十分で、更に改良された分散処理方法を確立が要望
されていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、無機
蛍光体の分散性に優れる、プラズマディスプレイパネル
用蛍光体ペーストの製造方法、無機蛍光体分散物の製造
方法及び、良好な発光輝度を示すプラズマディスプレイ
パネル用蛍光体ペーストを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の構成1〜14により達成された。
【0014】1.液相法で合成した無機蛍光体を湿式分
散処理する工程を有することを特徴とするプラズマディ
スプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方法。
【0015】2.湿式分散処理にメディア分散機を用い
ることを特徴とする前記1に記載のプラズマディスプレ
イパネル用蛍光体ペーストの製造方法。
【0016】3.湿式分散処理を施した後、得られた無
機蛍光体の平均粒径が1.0μm以下であり、且つ、粒
径分布の変動係数が100%以下であることを特徴とす
る前記1または2に記載のプラズマディスプレイパネル
用蛍光体ペーストの製造方法。
【0017】4.無機蛍光体に第1の分散処理を施す工
程、その後、第2の分散処理を施す工程を有することを
特徴とするプラズマディスプレイパネル用蛍光体ペース
トの製造方法。
【0018】5.第2の分散処理に湿式のメディア分散
機を用いることを特徴とする前記4に記載のプラズマデ
ィスプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方法。
【0019】6.無機蛍光体が液相法で合成したもので
あることを特徴とする前記4または5に記載のプラズマ
ディスプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方法。
【0020】7.湿式分散処理を施した後、得られた無
機蛍光体の平均粒径が1.0μm以下であり、且つ、粒
径分布の変動係数が100%以下であることを特徴とす
る前記4〜6のいずれか1項に記載のプラズマディスプ
レイパネル用蛍光体ペーストの製造方法。
【0021】8.無機蛍光体に湿式分散処理を施して無
機蛍光体分散物を製造する方法において、該湿式分散処
理にメディア分散機を用い、該メディア分散機に印加す
る単位質量当たりの積算動力を0.1kWh/kg〜1
0kWh/kgに調整しながら、分散処理を施す工程を
有することを特徴とする無機蛍光体分散物の製造方法。
【0022】9.無機蛍光体に湿式分散処理を施して無
機蛍光体分散物を製造する方法において、該湿式分散処
理の開始〜終了までの間、処理温度が70℃以下になる
ように調整することを特徴とする無機蛍光体分散物の製
造方法。
【0023】10.湿式分散処理にメディア分散機を用
いることを特徴とする前記8または9に記載の無機蛍光
体分散物の製造方法。
【0024】11.湿式分散処理を施す前に、第1の分
散処理を施す工程を有することを特徴とする前記8〜1
0のいずれか1項に記載の無機蛍光体分散物の製造方
法。
【0025】12.無機蛍光体が液相法で合成されたこ
とを特徴とする前記8〜11のいずれか1項に記載の無
機蛍光体分散物の製造方法。
【0026】13.湿式分散処理を施した後、得られた
無機蛍光体の平均粒径が1.0μm以下であり、且つ、
粒径分布の変動係数が100%以下であることを特徴と
する前記8〜12のいずれか1項に記載の無機蛍光体分
散物の製造方法。
【0027】14.前記1〜7のいずれか1項に記載の
プラズマディスプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方
法、または前記8〜13のいずれか1項に記載の無機蛍
光体分散物の製造方法により作製されたことを特徴とす
るプラズマディスプレイパネル用蛍光体ペースト。
【0028】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
らは鋭意検討の結果、(1)液相法により合成した小粒
径かつ分布の良好な蛍光体を分散する、(2)第1の分
散を施す、(3)分散機に印加する単位質量当たりの積
算動力を制御する、(4)分散中の液温度を制御する、
または(5)上記4つの構成のいずれか2つ以上を併用
するという、5つの手段を選択することによって、無機
蛍光体の分散性向上と輝度低下抑制の両立を達成するこ
とができ、特にプラズマディスプレイパネルの蛍光層形
成に適した蛍光体ペーストを得ることができた。
【0029】この理由としては、上記5つの内いずれか
の構成を施すことによって、第2の分散処理工程を比較
的小さなエネルギーで施すことが可能で、機械的分散に
よる蛍光体表面結晶の摩砕を抑制しながらより微細な蛍
光体固体分散物を調製できたことによるものと推定して
いる。
【0030】上記記載の5つの手段のいずれか1つを有
する無機蛍光体分散物の製造方法として、請求項6〜1
0のいずれか1項に記載の本発明の無機蛍光体分散物の
製造方法や、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラ
ズマディスプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方法等
が挙げられる。
【0031】また、請求項11に記載のように、上記記
載の無機蛍光体分散物は、本発明のプラズマディスプレ
イパネル用蛍光体ペーストとして用いられる。
【0032】《無機蛍光体分散物の製造方法》請求項8
〜13のいずれか1項に記載の本発明の無機蛍光体分散
物の製造方法や、請求項1〜7のいずれか1項に記載の
プラズマディスプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方
法について説明する。
【0033】本発明の無機蛍光体の分散物の製造方法、
更にはプラズマディスプレイ用蛍光体ペーストの製造方
法は、必須の工程として分散処理工程を有する。本発明
で言う分散処理工程とは、湿式、乾式を問わず、分散後
の無機蛍光体粒子の平均粒径を小さくし、且つ、平均粒
径の粒径分布を出来るだけ狭くするために十分なエネル
ギーを付与する分散を示し、いわゆるスターラー撹拌、
攪拌棒による攪拌や混練とは区別される。
【0034】ここで、スターラー攪拌、攪拌棒による攪
拌が、本発明に係る分散処理と区別される理由は、攪拌
時に無機蛍光体に対して実質的に剪断力が付与されない
ことである。
【0035】分散処理工程で使用する分散機としては、
従来公知の様々な分散機を使用することができる。
【0036】具体的には、高速攪拌型のインペラー型の
分散機、コロイドミル、ローラーミル、またボールミ
ル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボールミ
ル、サンドミルなど媒体メディアを装置内で運動させて
その衝突(crush)及び剪断力の両方により微粒化
するメディア分散機、またはカッターミル、ハンマーミ
ル、ジェットミル等の乾式型分散機、超音波分散機、高
圧ホモジナイザ等が挙げられる。
【0037】これらの中でも、本発明では特に媒体(メ
ディア)を使用する湿式のメディア分散機を使用するこ
とが好ましく、連続的に分散処理が可能な連続式湿式メ
ディア分散機を使用することが更に好ましい。
【0038】ここで言う「連続的に分散処理が可能」と
は、少なくとも無機蛍光体及び分散媒体を単位時間当た
り一定の量比で途切れることなく分散機に供給しながら
分散処理すると同時に、前記分散機内で製造された分散
物を供給に押し出される形で途切れることなく分散機よ
り排出する形態を指す。
【0039】本発明の無機蛍光体分散物の製造方法で、
分散処理工程として湿式メディア分散機を用いる場合、
その分散室容器(ベッセル)は縦型でも横型でも適宜選
択することが可能である。更には複数の連続式湿式メデ
ィア分散機を直列に接続する態様等も適用できる。
【0040】使用するメディアの粒径としては0.2m
m以上2mm以下であることが好ましく、0.3mm以
上1mm以下であることが更に好ましい。また、使用す
るメディアの比重や硬度は、大きいほど衝撃力が大きく
剪断力も大きいと推測され、分散効率及び分散速度の向
上が期待されるので、蛍光体表面結晶の摩砕を著しく起
こさない程度に両者とも高い方が好ましい。具体的に
は、比重は2.5〜10であることが好ましく、3.5
〜6であることが更に好ましい。また、使用するメディ
アの材質としては、ガラス、ジルコニア、アルミナ、シ
リカ、チタニア等、種々の材質のメディアを使用するこ
とができるが、比重や硬度の観点からジルコニアビーズ
が特に好ましい。
【0041】また、本発明では、分散機のメディアと接
触する部材が、実質的にジルコニア又はアルミナを主成
分とするセラミック、ポリウレタン、テフロン(R)、
ポリエチレンから選ばれる素材からなることが特徴であ
り、より好ましくは、ジルコニア強化アルミナである。
本発明に用いられる分散機の撹拌部(ディスク、ピンな
ど)は、ジルコニア、ポリウレタン、テフロン(R)、
ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン又はABSの
樹脂から選ばれる素材よりなることが好ましい。
【0042】湿式メディア分散機のベッセル中のメディ
アの充填量としては、50容積%〜90容積%の範囲と
するのが好ましく、60容積%〜80容積%の範囲とす
るのが更に好ましい。メディアの充填量が50容積%を
下回ると無機蛍光体の分散が不十分となり、また、90
容積%を上回るとベッセル内でのメディアの分布が不均
一になって局部的に分散が進行するため好ましくない。
湿式メディア分散機を用いる際の周速は特に制限は無い
が、3m/s〜20m/sであることが、実用上好まし
い。
【0043】本発明の無機蛍光体分散物の製造方法、更
にはプラズマディスプレイ用蛍光体ペーストの製造方法
においては、得られる無機蛍光体分散物、更にはのプラ
ズマディスプレイ用蛍光体ペーストに含まれる無機蛍光
体の分散が非常に良好になり、粒径分布の再現性に優れ
たものを得る観点から、メディア分散機を用いて分散す
る場合、該メディア分散機に印加する単位質量当たりの
積算動力を0.1kWh/kg〜10kWh/kgとす
ることが好ましく、更に好ましくは、0.1kWh/k
g〜5kWh/kgの範囲に調整することである。
【0044】無機蛍光体分散物の分散の程度は分散機に
印加した単位質量当たりの積算動力と相関関係があるこ
とから、該単位質量当たりの積算動力を特定の範囲とし
て分散工程を管理することにより、分散機の種類や使用
するメディアの種類及び充填量、撹拌部の周速、分散物
の粘度等の液物性や分散物処理量などに依存することな
く、単位量当たりの無機蛍光体分散物に与える機械的エ
ネルギー量を適切に制御することが可能になる。
【0045】本発明の無機蛍光体分散物、更にはプラズ
マディスプレイ用蛍光体ペーストの製造方法は、無機蛍
光体の輝度等の諸特性の劣化を防止する観点から、分散
開始から終了までの該分散物温度が70℃を超えないよ
うに制御しながら分散処理を施すことが好ましく、50
℃を超えないように制御しながら分散処理を施すことが
更に好ましい。
【0046】分散処理工程中の分散物温度を70℃以下
に制御する方法としては、メディア分散機本体において
粉砕室の周囲に冷却水ジャケットを具備したり、または
後述する循環型の分散システムにおいては、送液ライン
の途中に熱交換器を配置する等、様々な手段を適用する
ことができる。
【0047】本発明の無機蛍光体分散物、更にはプラズ
マディスプレイ用蛍光体ペーストの製造方法は、分散処
理工程として、少なくとも1工程以上の第1の分散処理
工程、第2の分散処理工程を施すことが好ましい。
【0048】第1の分散処理工程と第2の分散処理工程
は工程を行う順番は特に限定されず、第1の分散処理工
程の後に、第2の分散処理工程を行っても良いし、ま
た、第2の分散処理工程を先に施してから、第1に分散
処理工程を行っても良い。
【0049】第1の分散処理工程と第2の分散処理工程
の違いは、分散時に分散質に付与されるエネルギーが異
なることである。
【0050】ここで、分散時に付与するエネルギーが異
なるとは、例えば、分散力の弱い(エネルギー付与の小
さい)分散機を用いて粗分散を行い、続いて、分散力の
強い(エネルギー付与が大きい)分散機を用いて固体微
粒子分散物を作製する等が一態様としてあげられる。
【0051】(第1の分散処理工程)第1の分散処理工
程としては、焼成を施した無機蛍光体の乾燥粉体と分散
媒体とを連続的に混合し分散するタイプ、または分散媒
体に懸濁させた無機蛍光体を回分式で分散するタイプ
等、様々なタイプの分散手段を適宜選択し用いることが
可能である。即ちその手段として具体的には、高速ミキ
サ、ホモジナイザ、高速衝撃ミル、バンバリーミキサ、
ホモミキサ、ニーダー、ピンミキサ、ボールミル、振動
ボールミル、遊星ボールミル、アトライタ、サンドミ
ル、ビーズミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラ
ーミル、トロンミル、高速ストーンミル等を挙げること
ができる。また、いわゆるダイナミックミキサ方式また
はスタチックミキサ方式のいずれも好ましく用いること
ができる。更に機械的に分散する以外にも、pHコント
ロールすることで溶媒中に粗分散し、その後、分散助剤
の存在下でpHを変化させて微粒子化させても良い。こ
のとき、粗分散に用いる溶媒として有機溶媒を使用して
も良く、その場合には通常有機溶媒は微粒子化終了後除
去される。
【0052】上記第1の分散工程は、例えば上記に挙げ
た方法を用いた1工程でも良く、または上記に挙げた方
法から選ばれる2種類以上の工程を組み合わせて用いて
も良い。ここで1工程とは、例えば上記に挙げた手段を
用い、同一条件下で第1の分散工程を行うことを指し、
2工程以上とは、例えば上記に挙げた手段から選択され
る2種類以上の手段を用いる、または同一手段であって
も処理条件を2種類以上変更して第1の分散処理を行う
ことを指す。
【0053】第1の分散終了時点での無機蛍光体の粒径
は、余りに大きいと第2の分散処理工程での多大なエネ
ルギーが必要となり蛍光体表面結晶を破壊することに起
因する輝度の低下を起こすことになり、また、粒径を必
要以上に小さくしようとすると実質的に第1の分散工程
にて分散処理を行うこととなり、充分微粒化しない粒子
を含んだ分散安定性に劣る分散物になってしまう。そこ
で、第1の分散終了時点での平均粒径としては、1μm
以上30μm以下であることが好ましく、1μm以上1
0μm以下であることが更に好ましい。
【0054】(第2の分散処理工程)本発明の無機蛍光
体分散物の製造方法として、分散処理工程が第1の分散
処理工程、第2の分散処理工程を有する場合、第2の分
散処理工程に用いる分散手段としては主に高圧ホモジナ
イザ、湿式メディア分散機、連続式高速撹拌型分散機、
超音波分散機等が挙げられ、具体的にはマントンゴーリ
ンホモジナイザ、ソノレータ(同栄商事)、マイクロフ
ルイタイザ(みずほ工業)、ナノマイザ(月島機械)、
アルティマイザ(伊藤忠産機)、パールミル、アジテー
ターミル(アシザワ)、ダイノーミル(シンマルエンタ
ープライゼス)、グレンミル、トルネード(浅田鉄
鋼)、ビスコミル(アイメックス)、マイティーミル、
RSミル、SGミル(井上製作所)、荏原マイルダー
(荏原製作所)、ファインフローミル、キャビトロン
(大平洋機工)等が挙げられる。上記分散手段の中で
も、媒体(メディア)を使用する湿式メディア分散機を
使用することが好ましく、連続的に分散処理が可能な湿
式メディア分散機を使用することが更に好ましい。
【0055】以下に、本発明に係る分散方法の一例を図
面を用いて説明する。本発明の無機蛍光体分散物、更に
はプラズマディスプレイ用蛍光体ペーストの製造方法
は、例えば、図1、図2で示すような構造を有する分散
機を用いて好適に実施することができる。
【0056】図1は、本発明の無機蛍光体分散物の製造
方法に用いられる分散機の一例を示す概略図である。図
1において、1は粉砕機本体、2は冷却水ジャケット、
3は回転主軸4に取り付けた分散用撹拌子である。撹拌
子は、ディスク、ピン付きディスク、偏心ディスク、ピ
ンなどであってよい。7はスラリー(無機顔料スラリ
ー)の取り入れ口であり、スラリーはメディアを充填し
た粉砕室9に導入されて、分散用撹拌子3とメディアに
より微細に粉砕される。8は微粉砕スラリーの取り出し
口であり、スクリーン5は8を覆っており分散容器内に
突出している。6は主軸4に取り付けられた最も出口側
のディスクに取り付けられた棒状の撹拌部材(オーバー
キャップ)であり、メディア分離室10の中に位置し、
スクリーン5の出口側側面付近まで伸びており、スクリ
ーン5の全面を覆っている。6の撹拌部材は回転により
メディア分離室に入ったメディアに遠心力を与え、メデ
ィアを粉砕室に戻す機能があり、分散中はメディア分離
室には実質的にメディアが存在しない。したがって、ス
クリーンの目つまりを防止できる。撹拌部材は、上記機
能を有していればどのような形でもよく、例えば、羽根
型、籠型でもよい。このような分散機の具体的な例とし
ては、アシザワ株式会社製アジテータミルLMKを挙げ
ることができる。
【0057】図2は、本発明の無機蛍光体分散物の製造
方法に用いられる分散機の一例を示す概略図である。図
2において、11は冷却水ジャケット、12は粉砕機本
体、14は回転主軸15に取り付けたピンである。撹拌
子はディスク、ピン付きディスク、偏心ディスク、ピン
などであってよい。13はスラリーの取り入れ口であ
り、スラリーはメディアを充填した粉砕室18に導入さ
れて、分散用撹拌子14とメディアにより微細に粉砕さ
れる。16はセントリーセパレーターと呼ばれるメディ
ア分離室であり、この例では主軸に固定されたディスク
2枚とこれらに挟まれたブレード20からなっている。
この回転によりメディア分離室がインペラーとして働
き、入ってきたメディアに遠心力を与え、メディアを粉
砕室に戻す機能があり、分散中はメディア分離室には実
質的にメディアが存在しない。微粒子化スラリーは、円
盤の間の取り込み口からはいり、セントリーセパレータ
を通って主軸の中心のスラリーの導路17を通って取り
出される。メディア分離室の構造は、入ってきたメディ
アがインペラーにより排出されるような機構であればど
のようなものでもよい。たとえば上下2枚のディスクは
回転せず、中のインペラーが別途あって、これが回転し
てもよい。このような分散機の例としては、コトブキ技
研工業株式会社製SAMを挙げることができる。
【0058】図3は、本発明の無機蛍光体分散物の製造
方法に適用される分散システムの一例である。より具体
的には、循環型の分散システムを示す概略図である。
【0059】図3において、タンク21に投入された蛍
光体と溶媒の混合物は切替弁A1を通り、ポンプ23に
より湿式メディア分散機22に送られ、メディア分散さ
れる。必要に応じて、切替弁A1と切替弁A2の設定に
より、分散物は図3に示された矢印の方向に送られ、繰
り返し湿式メディア分散機22により分散され、調製さ
れた分散物は切替弁A2により、タンク24に送られ
る。
【0060】本発明の無機蛍光体分散物の製造方法にお
いて湿式で分散処理を施す際は、その分散媒としては
水、または種々有機溶媒、またはそれらの混合物を適宜
使用することができ、無機蛍光体をこれら分散媒中に懸
濁させてスラリーを調製し、湿式分散処理を施す。この
時の分散質としての無機蛍光体の濃度は、無機蛍光体固
体分散物のその後の用途により任意に調製可能である
が、5質量%〜60質量%の範囲であることが好まし
く、10質量%〜50質量%の範囲であることが更に好
ましい。
【0061】本発明の無機蛍光体分散物の製造方法にお
いて、その分散処理に際しては必要に応じてアニオン性
界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活
性剤等の種々界面活性剤や、高分子分散剤等を適宜使用
することが可能である。
【0062】(無機蛍光体)次に、本発明の無機蛍光体
分散物、更にはプラズマディスプレイパネル用蛍光体ペ
ーストの製造方法に適用される無機蛍光体について説明
する。
【0063】本発明に係る無機蛍光体は、従来から公知
の固相法、液相法等、種々の製法で製造された無機蛍光
体を適用することができるが、分散処理工程に至る前に
予め平均粒径が小さく、更には粒径分布の狭い無機蛍光
体を適用することが有利であることから、液相法によっ
て製造された無機蛍光体を適用することが好ましい。
【0064】(液相法)液相法とは、共沈法、反応晶析
法、ゾルゲル法などの一般的な液相中での反応方法を称
して表しており、本発明では適宜選択することが可能で
ある。
【0065】ここで、ゾルゲル法によって無機蛍光体を
製造する方法について、具体的に説明する。ゾルゲル法
とは、例えば、母体または賦活剤または共賦活剤に用い
る元素(金属)として、例えば、金属アルコキシド(例
えば、Si(OCH34等)や金属錯体(例えば、Eu
3+(CH3COCH=C(O−)CH33等)またはそ
れらの有機溶媒溶液に金属単体を加えて作るダブルアル
コキシド(例えば、Al(OBu)3の2−ブタノール
溶液に金属マグネシウムを加えて作るMg[Al(OB
u)32等)、金属ハロゲン化物、有機酸の金属塩を反
応容器中で必要量混合し、熱的または化学的に加水分解
及び重縮合することによって合成する製造方法である。
【0066】ゾルゲル法を適用する際の溶媒は反応原料
が溶解すれば何を用いてもよいが、環境面の観点からエ
タノールが好ましい。また、反応開始剤としては酸でも
塩基でもよいが、加水分解速度の観点から塩基の方が好
ましい。塩基の種類としては反応が開始すればNaO
H、アンモニア等一般的なものを用いることができる
が、除去しやすさの観点からアンモニアが好ましい。反
応開始剤の混合方法としては、先に母液に添加されてい
てもよく、原料と同時に添加してもよく、予め原料に加
えていてもよいが、均一性を高めるために、先に母液に
添加されている方法が好ましい。複数の反応原料を用い
る場合は、原料の添加順序は同時でも異なってもよく、
活性によって適切な順序を適宜組み立てることができ、
場合によってはダブルアルコキシドを形成してもよい。
【0067】また、共沈法や反応晶析法を適用する際の
溶媒は反応原料が溶解すれば何を用いてもよいが、過飽
和度制御のしやすさの観点から水が好ましい。複数の反
応原料を用いる場合は、原料の添加順序は同時でも異な
ってもよく、活性によって適切な順序を適宜組み立てる
ことができる。
【0068】液相法で前駆体を合成する場合、どの方法
の場合でも反応中は温度、添加速度、攪拌速度、pHな
どを制御してもよく、反応中に超音波を照射してもよ
い。粒径制御のために界面活性剤やポリマーなどを添加
してもよい。原料を添加し終ったら必要に応じて液を濃
縮、及び/または熟成することも好ましい態様の1つで
ある。
【0069】液相法で前駆体を合成した後、必要に応じ
てろ過、蒸発乾固、遠心分離等の方法で回収した後に好
ましくは洗浄を行い、更に乾燥、焼成等の諸工程を施し
てもよく、分級してもよい。
【0070】乾燥温度は特に制限は無いが、乾燥温度は
使用した溶媒が気化する温度付近以上の温度であること
が好ましく、具体的には50〜300℃の範囲であるこ
とが好ましい。焼成温度についても特に制限は無いが、
一般に600〜1500℃の範囲を好ましく使用でき
る。乾燥温度が高い場合は乾燥と同時に焼成が施される
ことがある。焼成は還元雰囲気下、酸化雰囲気下、また
は硫化物存在下、不活性ガス等のどの条件下でも良く、
適宜選択することができる。焼成方法は現在知られてい
るあらゆる方法を用いてもよいが、回転型のキルンを用
いることが好ましい。更に、必要に応じて焼成の後に還
元処理または酸化処理等を施しても良い。また、無機蛍
光体の組成や反応条件等によっては焼成を行う必要が無
い場合があり、その場合は焼成工程を省いても構わな
い。
【0071】本発明に係る無機蛍光体は、種々の目的で
吸着・被覆等の表面処理を施すことが好ましい。どの時
点で表面処理を施すかはその目的によって異なり、適宜
適切に選択するとその効果がより顕著になる。例えば、
分散処理工程前のいずれかの時点でSi、Ti、Al、
Zr、Zn、In、Snから選択される少なくとも1種
の元素を含む酸化物で蛍光体の表面を被覆すると、分散
処理時における蛍光体の結晶性の低下を抑制でき、更に
蛍光体の表面欠陥に励起エネルギーが捕獲されることを
防ぐことにより、発光輝度及び発光強度の低下を抑制で
きる。また、分散処理工程後のいずれかの時点で有機高
分子化合物等で蛍光体の表面を被覆すると、耐候性等の
特性が向上し、耐久性に優れた無機蛍光体を得ることが
できる。これら表面処理を施す際の被覆層の厚さや被覆
率等は、適宜任意に制御することができる。
【0072】本発明に係る無機蛍光体はその組成に特に
制限は無く、例えば特開昭50−6410号、同61−
65226号、同64−22987号、同64−606
71号、特開平1−168911号等に記載されている
公知の種々の組成を適用することが可能である。具体的
には、Y23、Zn2SiO4等に代表される金属酸化
物、Ca5(PO43Cl等に代表されるリン酸塩、Z
nS、SrS、CaS等に代表される硫化物等を蛍光体
結晶母核とし、これら母核にCe、Pr、Nd、Pm、
Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b等の希土類金属イオンやAg、Al、Mn、Sb等の
金属イオンを賦活剤または共賦活剤として組み合わせた
ものが好ましい。
【0073】結晶母体の好ましい例を以下に列挙する。 ZnS、SrS、GaS、(Zn,Cd)S、SrGa
24、YO3、Y22S、Y23、Y2SiO3、Sn
2、Y3Al512、Zn2SiO4、Sr4Al1425
CeMgAl1019、BaAl1219、BaMgAl10
17、BaMgAl1423、Ba2Mg2Al1222、B
2Mg4Al818、Ba3Mg5Al183 5、(Ba,
Sr,Mg)O・aAl23、(Ba,Sr)(Mg,
Mn)Al1 017、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Z
n,Mn)Al1017、Sr227、(La,Ce)
PO4、Ca10(PO46(F,Cl)2、(Sr,C
a,Ba,Mg)10(PO46Cl2、GdMgB
510、(Y,Gd)BO3等が挙げられる。
【0074】結晶母体及び賦活剤または共賦活剤は、特
に元素の組成に制限はなく、同族の元素と一部置き換え
たものでも使用可能で、紫外領域の励起光を吸収して可
視光を発するものであればどのような組み合わせでも使
用可能であるが、無機酸化物蛍光体、または無機ハロゲ
ン化物蛍光体を使用することが好ましい。以下に本発明
に使用される無機蛍光体の具体的な化合物例を示すが、
本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0075】[青色発光無機蛍光体化合物] BL1 :Sr227:Sn4+ BL2 :Sr4Al1425:Eu2+ BL3 :BaMgAl1017:Eu2+ BL4 :SrGa24:Ce3+ BL5 :CaGa24:Ce3+ BL6 :(Ba,Sr)(Mg,Mn)Al1017
Eu2+ BL7 :(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46
2:Eu2+ BL8 :ZnS:Ag BL9 :CaWO4 BL10:Y2SiO5:Ce BL11:ZnS:Ag,Ga,Cl BL12:Ca259Cl:Eu2+ BL13:BaMgAl1423:Eu2+ BL14:BaMgAl1017:Eu2+,Tb3+,Sm
2+ BL15:BaMgAl1423:Sm2+ BL16:Ba2Mg2Al1222:Eu2+ BL17:Ba2Mg4Al818:Eu2+ BL18:Ba3Mg5Al1835:Eu2+ BL19:(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn,Mn)
Al1017:Eu2+ [緑色発光無機蛍光体化合物] GL1 :(Ba,Mg)Al1627:Eu2+,Mn2+ GL2 :Sr4Al1425:Eu2+ GL3 :(Sr,Ba)Al2Si28:Eu2+ GL4 :(Ba,Mg)2SiO4:Eu2+ GL5 :Y2SiO5:Ce3+,Tb3+ GL6 :Sr227−Sr225:Eu2+ GL7 :(Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:E
2+ GL8 :Sr2Si38−2SrCl2:Eu2+ GL9 :Zr2SiO4,MgAl1119:Ce3+,T
3+ GL10:Ba2SiO4:Eu2+ GL11:ZnS:Cu,Al GL12:(Zn,Cd)S:Cu,Al GL13:ZnS:Cu,Au,Al GL14:Zn2SiO4:Mn GL15:ZnS:Ag,Cu GL16:(Zn,Cd)S:Cu GL17:ZnS:Cu GL18:Gd22S:Tb GL19:La22S:Tb GL20:Y2SiO5:Ce,Tb GL21:Zn2GeO4:Mn GL22:CeMgAl1119:Tb GL23:SrGa24:Eu2+ GL24:ZnS:Cu,Co GL25:MgO・nB23:Ce,Tb GL26:LaOBr:Tb,Tm GL27:La22S:Tb GL28:SrGa24:Eu2+,Tb3+,Sm2+ [赤色発光無機蛍光体化合物] RL1 :Y22S:Eu3+ RL2 :(Ba,Mg)2SiO4:Eu3+ RL3 :Ca28(SiO462:Eu3+ RL4 :LiY9(SiO462:Eu3+ RL5 :(Ba,Mg)Al1627:Eu3+ RL6 :(Ba,Ca,Mg)5(PO43Cl:E
3+ RL7 :YVO4:Eu3+ RL8 :YVO4:Eu3+,Bi3+ RL9 :CaS:Eu3+ RL10:Y23:Eu3+ RL11:3.5MgO,0.5MgF2GeO2:Mn RL12:YAlO3:Eu3+RL13:YBO3:Eu
3+ RL14:(Y,Gd)BO3:Eu3+ 本発明に係る無機蛍光体は、その粒径に特に制限は無い
が、予め平均粒径は小さい方が後に分散処理を施すに当
たって有利である。具体的には、平均粒径は1.0μm
以下が好ましく、更に好ましくは、0.8μm以下であ
り、特に好ましくは、0.01μm〜0.8μmの範囲
に調整することである。
【0076】ここで、無機蛍光体の粒径は、球換算粒径
を意味する。球換算粒径とは、粒子の体積と同体積の球
を想定し、該球の粒径をもって表わした粒径である。ま
た、粒径分布も上記と同様の理由から予め狭い方が有利
であり、具体的には、粒径分布の変動係数が100%以
下であることが好ましく、70%以下であることが更に
好ましい。ここで粒径分布の変動係数(粒子分布の広
さ)とは、下式によって定義される値である。
【0077】粒径分布の広さ(変動係数)[%]=(粒
子サイズ分布の標準偏差/粒子サイズの平均値)×10
0 本発明の無機蛍光体分散物の製造方法によって得られた
無機蛍光体分散物は、様々な用途に適用することができ
る。その適用方法は、例えば、他の溶液や固体分散物等
の液状の材料と混合させ液状の蛍光性材料としたり、無
機蛍光体分散物または、それを含む混合物を基材に塗布
したりするなど、多様な方法で適用できる。
【0078】本発明に係る無機蛍光体分散物の用途は特
に制限は無く、例えばプラズマディスプレイパネル、フ
ィールドエミッションディスプレイ、エレクトロルミネ
ッセンス装置、能動発光型液晶装置、陰極線管(CR
T)等の種々の画像表示装置の無機蛍光層、インクジェ
ットプリンター用インク、レーザプリンター用インク、
その他オフセット印刷や転写リボン等の印刷様式に適し
た各種インク、電子写真用トナー、または各種塗料や筆
記具等に用いる色材、更には電子記録媒体用色材、ハロ
ゲン化銀写真材料、増感紙等、様々な用途を挙げること
ができる。
【0079】特に上記各種インク、各種色材に適用する
場合は、主に色補正等を目的として本発明の無機蛍光体
分散物を染料や顔料等の着色剤を含む溶液や固体分散物
に混合したり、着色剤を含有せずに無機蛍光体を主成分
とする蛍光性材料として適用することも可能である。
【0080】本発明の無機分散物の製造方法は、特に、
後述するプラズマディスプレイパネル用蛍光体ペースト
の製造方法として特に好ましく用いられる。その理由と
しては、これを用いて背面基盤のリブ構造に蛍光層を形
成すると、輝度特性を維持したまま薄い蛍光層形成が可
能になるからである。
【0081】《プラズマディスプレイパネル用蛍光体ペ
ースト》本発明の無機蛍光体分散物の製造方法は、本発
明のプラズマディスプレイパネル用蛍光体ペーストの作
製に好ましく用いられる。
【0082】プラズマディスプレイ用蛍光体ペースト
は、各色の蛍光体粒子が、バインダ、溶剤、分散剤など
の混合物に分散され、適度な粘度に調整されたものであ
る。蛍光体粒子としては、一般的にPDPの蛍光体層に
使用されているものを用いることができるが、その具体
例としては、 青色蛍光体:BaMgAl1017:Eu2+ 緑色蛍光体:BaAl1219:MnあるいはZn2Si
4:Mn2+ 赤色蛍光体:(YxGd1-x)BO3:Eu3+(ここでX
は0≦X≦1) 等を挙げることができる。
【0083】塗布方法として、後述するインクジェット
法を適用する場合は、ノズルの目づまりや吐出不良、蛍
光体粒子の沈殿を抑制し、更に精度良く均一に薄い蛍光
体層を形成するために、蛍光体粒子の平均粒径は、2μ
m以下とするのが好ましく、1μm以下とするのが更に
好ましい。蛍光体ペースト中の蛍光体の含有量としては
30質量%〜60質量%の範囲にするのが好ましい。
【0084】また、蛍光体粒子の分散性を向上させるた
めに、以下のようにして、蛍光体粒子の表面に酸化物や
フッ化物を付着あるいはコーティングすることが有効で
ある。蛍光体粒子の表面に付着あるいはコーティングさ
せる金属酸化物の例としては、酸化マグネシウム(Mg
O)、アルミニウム酸化物(Al23)、酸化珪素(S
iO2)、酸化インジウム(InO3)、酸化亜鉛(Zn
O)、酸化イットリウム(Y23)が挙げられる。この
中で、SiO2は負に帯電する酸化物として知られ、一
方、ZnO、Al23、Y23は正に帯電する酸化物と
して知られており、特にこれらの酸化物を付着あるいは
コーティングさせることは有効である。
【0085】付着させる酸化物の粒径は蛍光体粒子の粒
径に対してかなり小さく、これらの酸化物の蛍光体粒子
表面ヘの付着量は蛍光体粒子に対して0.05質量%〜
2.0質量%の範囲とするのが適当である。これは、こ
の範囲より少なすぎると効果が少なく、多すぎるとプラ
ズマ中で発生する真空紫外線を吸収していまい、パネル
輝度が低下するためである。蛍光体粒子の表面に付着あ
るいはコーティングさせるフッ化物の例としては、フッ
化マグネシウム(MgF2)やフッ化アルミニウム(A
lF3)が挙げられる。
【0086】(バインダ)蛍光体粒子を良好に分散させ
るのに適したバインダとしては、エチルセルロースある
いはポリエチレンオキサイド(エチレンオキサイドのポ
リマ)が挙げら、特に、エトキシ基(−OC25)の含
有率が49〜54%のエチルセルロースを用いるのが好
ましい。また、バインダとして光感光性樹脂を用いるこ
とも可能である。バインダの含有量としては0.15質
量%〜10質量%の範囲内が好ましい。尚、隔壁間に塗
布される蛍光体ペーストの形状を整えるため、バインダ
の含有量は、ペースト粘度が高くなり過ぎない範囲内で
多い方に設定するのが好ましい。
【0087】(溶剤)溶剤としては、水酸基(OH基)
を有する有機溶剤を混合したものを用いるのが好まし
く、その有機溶剤の具体例としては、ターピネオール
(C1018O)、ブチルカルビトールアセテート、ペン
タンジオール(2,2,4−トリメチルペンタンジオー
ルモノイソブチレート)、ジペンテン(Dipente
ne、別名Limonen)、ブチルカルビトール等が
挙げられる。これらの有機溶剤を混合した混合溶剤は、
上記のバインダを溶解させる溶解性に優れており、蛍光
体ペーストの分散性が良好になり好ましい。
【0088】(界面活性剤)蛍光体ペースト中の蛍光体
粒子の分散安定性を向上させるために、蛍光体ペースト
が界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤の
含有量としては、分散安定性の向上効果あるいは後述す
る除電効果等を効果的に得る観点から、0.05質量%
〜0.3質量%が好ましい。
【0089】界面活性剤の具体例としては、下記のよう
なものを挙げることができる。 (a)アニオン性界面活性剤:脂肪酸塩、アルキル硫
酸、エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ア
ルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸ポリ
カルボン酸高分子等が挙げられる。
【0090】(b)カチオン性界面活性剤:アルキルア
ミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、ア
ミンオキサイド等が挙げられる。
【0091】(c)ノニオン性界面活性剤:ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導
体、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられ
る。
【0092】プラズマディスプレイ用蛍光体ペーストに
は、更に、除電物質を添加するのも好ましい。上記挙げ
た界面活性剤は、一般的に蛍光体ペーストの帯電を防止
する除電作用も有しており、除電物質に該当するものが
多い。但し、蛍光体、バインダ、溶剤の種類によって除
電作用も異なるので、色々な種類の界面活性剤について
試験を行って、結果の良好なものを選択するのが好まし
い。
【0093】除電物質としては、界面活性剤の他に、導
電性の材料からなる微粒子も挙げることができる。導電
性微粒子としては、カーボンブラックをはじめとするカ
ーボン微粉末、グラファイトの微粉末、Al、Fe、M
g、Si、Cu、Sn、Agといった金属の微粉末、並
びにこれらの金属酸化物からなる微粉末が挙げられる。
このような導電性微粒子の添加量は、蛍光体ペーストに
対して0.05〜1.0質量%の範囲とするのが好まし
い。
【0094】蛍光体ペーストに除電物質を添加すること
によって蛍光体ペーストの帯電が防止されるが、これ
は、PDPの生産において次のような効果を奏する。蛍
光体ペーストに除電物質が添加されていない場合には、
作製されたパネルを駆動したときに筋むらが発生しやす
いという問題があるが、蛍光体ペーストに除電物質が添
加されることによって筋むらの発生が抑えられる。ま
た、蛍光体ペーストに除電物質を添加しない場合には、
蛍光体ペーストの帯電によってパネル中央部におけるア
ドレス電極の切れ目において蛍光体層が盛り上がるとい
う問題も生じやすいが、蛍光体ペーストに除電物質を添
加することによってこれも抑えることができる。これら
は、蛍光体ペースト(特に有機溶剤を用いたもの)が塗
布時に帯電することによって、各溝に塗布される蛍光体
ペーストの量や溝への付着状態に若干のばらつきを生じ
るが、蛍光体ペーストに除電物質を添加することによっ
てこの帯電が防止されるためと考えられる。また、帯電
を抑えることによって、液適の飛散による混色も防止で
きる。
【0095】また、上記のように除電物質として界面活
性剤やカーボン微粉末を用いた場合には、蛍光体ペース
トに含まれている溶剤やバインダを除去する蛍光体焼成
工程において除電物質も蒸発あるいは焼失されるので、
焼成後の蛍光体層中には除電物質が残存しない。従っ
て、蛍光体層中に除電物質が残存することによってPD
Pの駆動(発光動作)に支障が生じる可能性も無い。
【0096】プラズマディスプレイ(PDP)用蛍光体
ペーストの粘度(25℃でせん断速度が100sec-1
における粘度)は、2Pa・s以下、好ましくは0.0
1Pa・s〜0.5Pa・sの範囲内に調整することが
好ましい。また、蛍光体粒子の表面には必要に応じて上
述したように酸化物やフッ化物等を付着させることも好
ましい態様の1つである。
【0097】本発明のプラズマディスプレイ用蛍光体ペ
ーストの製造方法としては、上述した無機蛍光体分散物
製造方法を適用することによって好適に製造することが
可能である。このとき、プラズマディスプレイ用蛍光体
ペーストとしてより相応しい上述した界面活性剤やバイ
ンダ存在下で湿式分散処理を施しても、湿式分散処理を
終了した後でこれらを添加しても、どちらの態様でも構
わない。
【0098】
【発明の実施の形態】本発明のプラズマディスプレイ用
蛍光体ペーストを用いて作製される、PDP(プラズマ
ディスプレイ)の一態様を図4を用いて説明する。
【0099】図4は、実施の形態に係る交流面放電型P
DPを示す斜視図であり、図5は、このPDPに回路ブ
ロックを実装した表示装置の構成図である。図4におい
て、このPDPは、前面ガラス基板110上に放電電極
120(走査電極120a,維持電極120b)、誘電
体層130、保護層140が配されてなる前面パネル1
00と、背面ガラス基板210上にアドレス電極22
0、誘電体層230が配された背面パネル200とが、
電極120a、120bとアドレス電極220とを対向
させた状態で間隔をおいて互いに平行に配されて構成さ
れている。
【0100】そして、前面パネル100と背面パネル2
00との間隙は、ストライプ状の隔壁300で仕切られ
ることによって放電空間400が形成され、当該放電空
間400内には放電ガスが封入されている。
【0101】また、この放電空間400内において、背
面パネル200側には、蛍光体層310が配設されてい
る。この蛍光体層310は、赤、緑、青の順で繰返し並
べられている。放電電極120及びアドレス電極220
は、共にストライプ状であって、放電電極120は隔壁
300と直交する方向に、アドレス電極220は隔壁3
00と平行に配されている。
【0102】尚、図5に示すように、各放電電極120
は、パネルの端から端まで連続して横切っているが、各
アドレス電極220は、パネルの中央部で分割されデュ
アルスキャン方式で駆動できるようになっている。放電
電極120、アドレス電極220は、銀、金、銅、クロ
ム、ニッケル、白金等の金属単独で形成してもよいが、
放電電極12については、ITO、SnO2、ZnO等
の導電性金属酸化物からなる幅広の透明電極の上に幅細
の銀電極を積層させた組み合わせ電極を用いることが、
セル内の放電面積を広く確保する上で好ましい。
【0103】そして、放電電極120とアドレス電極2
20が交差するところに、赤、緑、青の各色を発光する
セルが形成されたパネル構成となっている。誘電体層1
30は、前面ガラス基板110の放電電極120が配さ
れた表面全体を覆って配設された誘電物質からなる層で
あって、一般的に、鉛系低融点ガラスが用いられている
が、ビスマス系低融点ガラス、或は鉛系低融点ガラスと
ビスマス系低融点ガラスの積層物で形成しても良い。
【0104】保護層140は、酸化マグネシウム(Mg
O)からなる薄層が好ましく、誘電体層130の表面全
体を覆っている。誘電体層230は、可視光反射層とし
ての働きも兼ねるように、TiO2粒子が混合されてい
る。隔壁300は、ガラス材料からなり、背面パネル2
00の誘電体層230の表面上に突設されている。
【0105】本発明に用いられるプラズマディスプレイ
においては、上記蛍光体層310を、本発明のプラズマ
ディスプレイ用蛍光体ペーストを用いて形成する。
【0106】尚、蛍光体層310の形成に当たっては従
来から公知の種々の方法が用いてもよく、例えば、プラ
ズマディスプレイパネルの背面基盤のリブ(隔壁ともい
う)構造に蛍光体ペーストを塗布して蛍光層を形成する
方法としては、スクリーン印刷法、フォトレジストフィ
ルム法、インクジェット法など種々の方法が挙げられる
が、中でも、高精細なリブ構造では隔壁のピッチも細か
くなり、その隔壁間に低コストで容易に精度良く均一に
蛍光層を形成する塗布方法として、特にインクジェット
法を適用するのが好ましい。
【0107】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれらに限定されない。
【0108】実施例1 《蛍光体1(液相法)の作製》水1000mlをA液と
した。水500mlにイットリウムのイオン濃度が0.
4659モル/リットル、ガドリニウムのイオン濃度が
0.2716モル/リットル、ユーロピウムのイオン濃
度が0.0388モル/リットルとなるように硝酸イッ
トリウム六水和物、硝酸ガドリニウム、硝酸ユーロピウ
ム六水和物を溶解しB液とした。水500mlにホウ素
のイオン濃度が0.7763モル/リットルとなるよう
にホウ酸を溶解しC液とした。
【0109】反応容器にA液を入れ温度を40℃に保
ち、攪拌翼を用いて攪拌を行った。その状態で同じく4
0℃に保ったB液、C液をA液の入った反応容器下部ノ
ズルより100ml/分の速度で等速添加を行った。添
加後10分間熟成を行い、蛍光体前駆体1を得た。
【0110】蛍光体前駆体1を濾過乾燥した後、乾燥し
た蛍光体前駆体1を1400℃酸化条件下で2時間焼成
し、蛍光体1を得た。
【0111】以下、蛍光体1を用いたプラズマディスプ
レイパネル用蛍光体ペーストとしての無機蛍光体分散物
各試料の作製方法を示す。各分散方法とも事前に実験を
行い最適な分散時間、分散条件を検討した上で試料の作
製を行った。
【0112】また、各試料の作製に用いた蛍光体は、赤
色蛍光体であり、その蛍光体組成は、(Y0.60
0.35)BO3:Eu3+ 0.05である。
【0113】《試料1−1の作製方法と測定結果》:比
較例 下記の組成で無機蛍光体懸濁液を調合して組成物1と
し、組成物1をスターラーで撹拌したものを試料1−1
とする。
【0114】尚、スターラー攪拌を無機蛍光体懸濁液に
対して適用しても、実質的に無機蛍光体に剪断力を付与
することはできない。
【0115】 蛍光体1 45質量% ターピネオール、ペンタンジオールの1:1混合液 54.5質量% エチルセルロース(エトキシ基の含有率50%) 0.3質量% ポリオキシエチレンアルキルエーテル 0.2質量% 試料1−1の平均粒径(体積粒径)をMalvern社
製粒径測定器を用いて測定したところ1290nm、分
布は73%であった。また、発光強度を蛍光光度計で測
定し、試料1−1の発光強度を相対発光強度100%と
する。
【0116】《試料1−2の作製方法と測定結果》:本
発明 試料1−1の作製に用いた組成物1を横型連続式メディ
ア分散機(VMA−GETZMANN社製DISPER
MATT SL−C5)を用い、下記の分散条件にて分
散処理を施し、試料1−2を得た。
【0117】(分散条件) ディスク回転数:5,520rpm ビーズ種 :ジルコニア ビーズ径 :0.3mm ビーズ充填率 :70% 流量 :120ml/分 分散時間 :3分間 試料1−2の平均粒径(体積粒径)を同様に測定したと
ころ156nm、分布は33%であった。また発光強度
を蛍光光度計で測定したところ相対発光強度は285%
であった。
【0118】《試料1−3の作製方法と測定結果》:本
発明 試料1−1の作製に用いた組成物1をIKA JAPA
N社製ホモジナイザを用いて第1の分散処理を行った。
分散の条件は以下の通りである。
【0119】(第1の分散処理) 翼径 :20mm 回転数 :8,000rpm 分散時間 :2分 続いて横型連続式メディア分散機(VMA−GETZM
ANN社製DISPERMATT SL−C5)を用
い、下記の条件下にて第2の分散処理を施し、試料1−
3を得た。
【0120】(第2の分散処理) ディスク回転数:5,520rpm ビーズ種 :ジルコニア ビーズ径 :0.3mm ビーズ充填率 :70% 流量 :120ml/分 分散時間 :3分間 試料1−3の平均粒径(体積粒径)を同様に測定したと
ころ137nm、分布は29%であった。また発光強度
を蛍光光度計で測定したところ相対発光強度は、392
%であった。
【0121】得られた結果を表1に示す。
【0122】
【表1】
【0123】表1から、比較に比べて本発明の試料は平
均粒径が小さく、また、粒径分布が小さいことから分散
性が良好であり、且つ、蛍光体表面結晶の分散時の摩砕
が極めて小さく分散物の輝度が高いことが明らかであ
る。
【0124】実施例2 《PDP(プラズマディスプレイ)の作製》実施例1で
作製した試料1−1〜1−3の各試料をプラズマディス
プレイパネル(PDP)用蛍光体ペーストとして使用
し、実施の形態に基づいて、下記に記載のようにして図
4に示すようなPDPを各々製造し、パネル輝度を測定
した結果、比較の試料1−1を使用したパネルに比べ
て、本発明の試料1−2、1−3を用いたパネルは高輝
度を示す測定結果が得られた。
【0125】《PDPの製造及びパネル輝度の測定》ノ
ズル径50μmのノズルを用い、ノズル先端と背面ガラ
ス基板と距離を1mmに保って走査しながら電極材イン
キを吐出して、電極幅60μmの電極(走査電極120
a、維持電極120b、アドレス電極220)を形成し
た。隔壁の間隔(セルピッチ)は0.15mmに、高さ
は0.15mmに設定した。放電ガスは、10%のキセ
ノン(Xe)ガスを含むネオン(Ne)ガスを用い、封
入圧力66.7mPaとした。パネル輝度については、
PDPを放電維持電圧150V周波数30KHzで駆動
し、パネル輝度計で測定した。
【0126】実施例3 《試料2−1〜試料2−4の作製方法と測定結果》実施
例1に記載の試料1−3の作製方法において、第2の分
散処理時のメディア分散機の回転数及び分散時間を変え
ることによってメディア分散機に印加する単位質量当た
りの積算動力を表2に示すように変化させた以外は同様
にして、試料2−1〜試料2−4を各々作製した。その
後、実施例1と同様に平均粒径、粒径分布、更に試料1
−1に対する相対発光強度を測定し、得られた結果を表
2に示した。
【0127】
【表2】
【0128】表2から、湿式メディア分散機にて分散処
理を施す際に印加する単位質量当たりの積算動力として
は、10kWh/kgを超えると蛍光体分散物に与える
機械的エネルギーが過剰になり、蛍光体表面の結晶性が
損なわれ輝度が劣化するのに対し、本発明の試料では与
える機械的エネルギーが適切で、高い輝度を維持してい
ることが判る。尚、今回の実施例のように、事前に、第
1回目の分散処理を施している方が第2回目において、
メディア分散機を使用する際の積算動力を少なくするこ
とが可能で、より効果的であることもわかった。
【0129】実施例4 《試料3−1〜試料3−4の作製方法と測定結果》実施
例1で作製した試料1−3の作製方法において、メディ
ア分散機に具備した冷却水ジャケット及び循環経路中に
配置した熱交換器の水温を制御し、第2の分散処理時の
分散液温度を表3に示すように変化させた以外は同様に
して、試料3−1〜試料3−4を各々作製した。その
後、実施例1と同様に平均粒径、粒径分布の測定を行
い、更に、試料1−1に対する相対発光強度を測定し
た。得られた結果を表3に示す。
【0130】
【表3】
【0131】表3から、分散処理を施す際の分散物の温
度は、平均粒径や分布には大きな影響は無いが、70℃
を超えると相対輝度が著しく劣化しやすくなるのに対
し、そうでない試料では高い輝度を発現していることが
判る。
【0132】
【発明の効果】本発明により、無機蛍光体の分散性が向
上した、無機蛍光体分散物の製造方法及び、良好な発光
輝度を示すプラズマディスプレイパネル用蛍光体ペース
トを提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無機蛍光体分散物の製造方法に用いら
れる分散機の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の無機蛍光体分散物の製造方法に用いら
れる分散機の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の無機蛍光体分散物の製造方法に適用さ
れる分散システムの一例を示す概略図である。
【図4】本発明のプラズマディスプレイ用蛍光体ペース
トを用いて作製されたプラズマディスプレイの一態様を
示す斜視図である。
【図5】本発明に用いられるPDPに回路ブロックを実
装した表示装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1、12 粉砕機本体 2 冷却水ジャケット 3 分散用撹拌子 4 回転主軸 5 スクリーン 6 棒状のオーバーキャップ 7 スラリーの取り入れ口 8 スラリーの取り出し口 9 粉砕室 10 メディア分離室 11 冷却水ジャケット 13 スラリーの取り入れ口 14 ピン 15 回転主軸 16 セントリーセパレータ 17 主軸の中心のスラリーの導路 18 粉砕室 19 取り込み口 20 ブレード 21、24 タンク 22 湿式メディア型分散機 23 ポンプ M モータ A1、A2 分散物流路切替弁 100 前面パネル 200 背面パネル 210 背面ガラス基板 300 隔壁 310 蛍光体層

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液相法で合成した無機蛍光体を湿式分散
    処理する工程を有することを特徴とするプラズマディス
    プレイパネル用蛍光体ペーストの製造方法。
  2. 【請求項2】 湿式分散処理にメディア分散機を用いる
    ことを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレ
    イパネル用蛍光体ペーストの製造方法。
  3. 【請求項3】 湿式分散処理を施した後、得られた無機
    蛍光体の平均粒径が1.0μm以下であり、且つ、粒径
    分布の変動係数が100%以下であることを特徴とする
    請求項1または2に記載のプラズマディスプレイパネル
    用蛍光体ペーストの製造方法。
  4. 【請求項4】 無機蛍光体に第1の分散処理を施す工
    程、その後、第2の分散処理を施す工程を有することを
    特徴とするプラズマディスプレイパネル用蛍光体ペース
    トの製造方法。
  5. 【請求項5】 第2の分散処理に湿式のメディア分散機
    を用いることを特徴とする請求項4に記載のプラズマデ
    ィスプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方法。
  6. 【請求項6】 無機蛍光体が液相法で合成したものであ
    ることを特徴とする請求項4または5に記載のプラズマ
    ディスプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方法。
  7. 【請求項7】 湿式分散処理を施した後、得られた無機
    蛍光体の平均粒径が1.0μm以下であり、且つ、粒径
    分布の変動係数が100%以下であることを特徴とする
    請求項4〜6のいずれか1項に記載のプラズマディスプ
    レイパネル用蛍光体ペーストの製造方法。
  8. 【請求項8】 無機蛍光体に湿式分散処理を施して無機
    蛍光体分散物を製造する方法において、 該湿式分散処理にメディア分散機を用い、該メディア分
    散機に印加する単位質量当たりの積算動力を0.1kW
    h/kg〜10kWh/kgに調整しながら、分散処理
    を施す工程を有することを特徴とする無機蛍光体分散物
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 無機蛍光体に湿式分散処理を施して無機
    蛍光体分散物を製造する方法において、 該湿式分散処理の開始〜終了までの間、処理温度が70
    ℃以下になるように調整することを特徴とする無機蛍光
    体分散物の製造方法。
  10. 【請求項10】 湿式分散処理にメディア分散機を用い
    ることを特徴とする請求項8または9に記載の無機蛍光
    体分散物の製造方法。
  11. 【請求項11】 湿式分散処理を施す前に、第1の分散
    処理を施す工程を有することを特徴とする請求項8〜1
    0のいずれか1項に記載の無機蛍光体分散物の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 無機蛍光体が液相法で合成されたこと
    を特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の無
    機蛍光体分散物の製造方法。
  13. 【請求項13】 湿式分散処理を施した後、得られた無
    機蛍光体の平均粒径が1.0μm以下であり、且つ、粒
    径分布の変動係数が100%以下であることを特徴とす
    る請求項8〜12のいずれか1項に記載の無機蛍光体分
    散物の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    プラズマディスプレイパネル用蛍光体ペーストの製造方
    法、または請求項8〜13のいずれか1項に記載の無機
    蛍光体分散物の製造方法により作製されたことを特徴と
    するプラズマディスプレイパネル用蛍光体ペースト。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008016218A (ja) * 2006-07-03 2008-01-24 Advanced Pdp Development Corp プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2009259436A (ja) * 2008-04-11 2009-11-05 Hitachi Ltd プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法
JP2010144175A (ja) * 2008-12-19 2010-07-01 Samsung Sdi Co Ltd ナノ蛍光体、ナノ蛍光体の製造方法及びこれを備える表示素子

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