JP2003346646A - 表示装置の蛍光面の形成方法 - Google Patents

表示装置の蛍光面の形成方法

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JP2003346646A
JP2003346646A JP2002154621A JP2002154621A JP2003346646A JP 2003346646 A JP2003346646 A JP 2003346646A JP 2002154621 A JP2002154621 A JP 2002154621A JP 2002154621 A JP2002154621 A JP 2002154621A JP 2003346646 A JP2003346646 A JP 2003346646A
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film
forming
phosphor
black matrix
phosphor screen
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JP2002154621A
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English (en)
Inventor
Kazunori Hosomi
和徳 細見
Kota Hirakawa
幸太 平川
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Noritake Co Ltd
Noritake Electronics Ltd
Original Assignee
Noritake Co Ltd
Noritake Electronics Ltd
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  • Formation Of Various Coating Films On Cathode Ray Tubes And Lamps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】金属薄膜の十分な固着強度を得ることのできる
蛍光面の形成方法を提供する。 【解決手段】2〜20Rzの比較的粗いブラック・マトリク
ス26の上にフィルミング膜78およびメタル・バック
34が設けられるので、フィルミング膜78は凹凸のあ
るブラック・マトリクス26の凸部42上を避けた孔明
き形状で形成されることから、その上に蒸着されるメタ
ル・バック34もそのような孔明き形状で形成される。
そのため、焼成工程においてフィルミング膜78が焼失
させられる際には、そのフィルミング膜78から生成さ
れたガスがそのメタル・バック34の孔を通して速やか
に抜け出る。したがって、フィルミング膜78の焼失に
伴ってメタル・バック34がブラック・マトリクス26
から浮き上がらされることが無いので、メタル・バック
34の固着強度が高められる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平板型表示装置の
蛍光面の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、陰極線管(Cathode Ray Tube:
CRT)や電界電子放出型表示装置(Field Emission Dis
play:FED)或いはその一種である表面伝導型電子放
出表示装置(Suface Conductive Emmision Display:S
ED)等の電子で蛍光体を励起発光させる表示装置にお
いては、その蛍光面に設けられた複数色(通常はRGB
三原色)の蛍光体で構成される発光画素相互間および蛍
光面の外周縁部に、それらの分離性や鮮明性を高める目
的で黒色層すなわちブラック・マスクが設けられてい
る。ここで、黒色とは、例えば波長が300〜800(nm)程度
の可視光の透過率および反射率が共に十分に低いことを
意味するものである。
【0003】上記のブラック・マスクには、蛍光面に負
電荷が蓄積して画像の歪みや揺れ等の表示品位低下が生
じることのないように十分な導電性を要求される。その
ため、その構成材料としては、例えば、クロム等の金属
材料、鉄黒(Fe3O4)、酸化クロム、チタン黒等の無機顔
料、或いはカーボン・ブラック(微粉のカーボンすなわ
ちコロイダル・カーボン)等が用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
な表示装置では、蛍光体層で発生した光が電子発生源側
に戻ることを抑制して蛍光面の裏面側から観察される光
を可及的に多くする目的で、蛍光体層および黒色層が金
属薄膜(メタルバック)で覆われている。この金属薄膜
は、例えば100〜200(nm)程度の厚さ寸法を備えたもので
あって、例えば以下のような工程を経てアルミニウムの
真空蒸着等によって形成される。すなわち、まず、蛍光
面となる一面に黒色層を所定の格子状或いは縞状等で形
成する。次いで、その格子内或いは縞の空白部分に蛍光
体層を色毎に塗り分けて塗着する。続いて、これら黒色
層および蛍光体層を覆う樹脂膜を例えば0.1〜7(μm)程
度の厚さ寸法で形成する。そして、その樹脂膜上に金属
薄膜を蒸着し、最後に、樹脂膜を焼失させる焼成処理を
施す。これにより、その樹脂膜を介して積層されていた
金属薄膜が蛍光体層および黒色層の上に直接設けられる
こととなる。
【0005】しかしながら、上記の工程を経て形成され
る金属薄膜は必ずしも十分な固着強度を備えておらず、
黒色層および蛍光体層上から容易に剥離する問題があっ
た。本発明者等は、この問題について種々研究を重ねた
ところ、樹脂膜の焼失機構および黒色層の表面粗さがそ
の原因であることを見出した。すなわち、金属薄膜に大
きな凹凸があると、電子放出源との間隔が局所的に小さ
なその凸部分に電界が集中してそれらの間で放電が生じ
得るが、このような放電は蛍光面や電子放出源を破壊す
るので金属薄膜は平坦であることが望まれる。そのた
め、極めて薄いことから形成面に倣う樹脂膜および金属
薄膜の表面が平坦になるように、黒色層は平坦であるこ
とが望まれるが、黒色層の表面粗さを小さくすると金属
薄膜が孔欠陥の無い連続膜で形成される。樹脂膜が焼失
させられる際に発生したガスは、金属薄膜の孔を通して
抜け出るので、連続膜になると、抜け道の無いガスで金
属薄膜が黒色層から浮き上がらされて固着強度が低くな
るものと考えられるのである。なお、樹脂膜および金属
膜の形成面は黒色層および蛍光体層で構成されるが、蛍
光体層は、その蛍光体粒子の大きさが発光効率や寿命等
の観点で定められるものであって比較的粗大なものが用
いられ且つガラス成分を含まないことから、比較的粗い
表面形状となっても蛍光体粒子相互の結合力が極めて小
さいため金属薄膜の固着強度には殆ど寄与しない。
【0006】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、金属薄膜の十分な固着強
度を得ることのできる蛍光面の形成方法を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、複数個の蛍光体層が
所定位置に配置され且つ残部に黒色層が配置されると共
にそれら蛍光体層および黒色層が金属薄膜で覆われた蛍
光面を備え、その蛍光面に向かって電子放出源から発生
させられた電子で前記蛍光体層を励起発光させてその蛍
光面の裏面側からその発光を観察する形式の表示装置を
製造するに際して、その蛍光面を形成する方法であっ
て、(a)前記黒色層を2乃至20Rzの表面粗さで形成する
黒色層形成工程と、(b)前記蛍光体層および前記黒色層
を覆う樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、(c)前記樹
脂膜上に前記金属薄膜を形成する薄膜形成工程と、(d)
前記樹脂膜を焼失させる焼成工程とを、含むことにあ
る。
【0008】
【発明の効果】このようにすれば、2〜20Rzの比較的粗
い黒色層の上に樹脂膜および金属薄膜が設けられるの
で、樹脂膜は凹凸のある黒色層の凸部上を避けた孔明き
形状で形成されることから、その上に蒸着される金属薄
膜もそのような孔明き形状で形成される。そのため、焼
成工程において樹脂膜が焼失させられる際には、樹脂か
ら生成されたガスがその金属薄膜の孔を通して速やかに
抜け出る。したがって、樹脂膜の焼失に伴って金属薄膜
が黒色層から浮き上がらされることが無いので、金属薄
膜の固着強度が高められる。なお、2Rzよりも滑らかに
なると、樹脂膜が連続膜で形成されるので金属薄膜に孔
欠陥が生じ難くなるため固着強度を高めることができな
い。一方、20Rzよりも粗くなると、十分な固着強度が得
られる反面で金属薄膜表面の凹凸が大きいため、蛍光面
と電子放出源との間の放電が低電圧で生じ得るようにな
る。但し、この上限値は蛍光面と電子放出源との間に印
加され得る電圧の上限値に応じて20Rz以下の適宜の値に
定めることが望ましい。なお、上記表面粗さは、JIS B
0601に定義された十点平均粗さであり、例えば触針式表
面粗さ計で測定される。
【0009】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記黒色層はガ
ラスおよび黒色顔料を主成分とするものであり、前記焼
成工程の後にそのガラスの軟化点よりも高い所定温度で
熱処理を施す軟化処理工程が実施されるものである。こ
のようにすれば、熱処理によって黒色層が軟化させられ
るとその表面の凹凸が緩和され延いては金属薄膜の表面
粗さが改善される。そのため、金属薄膜の形成時には高
い固着強度が得られるように黒色層の表面粗さを比較的
粗くしながら、表示装置の使用時においては無用な放電
が低電圧では生じ難い程度に金属薄膜の表面粗さを滑ら
かにすることができる。
【0010】また、好適には、前記電子放出源は、前記
蛍光面に対向して平行に配置され且つ一面から電子を放
出する電子放出面である。このような電子放出源が蛍光
面に平行な電子放出面で構成される平板型表示装置で
は、CRTのような電子放出源を一点に備えた表示装置
に比較して蛍光面と電子放出面との間隔が極めて小さく
設定されることから、その蛍光面の凹凸に起因する放電
が一層生じ易い。そのため、黒色層の表面粗さを20Rz以
下とする効果は、このような平板型表示装置で一層顕著
に得ることができる。
【0011】また、上記のように電子放出面が備えられ
る場合において、好適には、その電子放出面の表面粗さ
が20Rz以下である。このようにすれば、蛍光面に対向し
て配置される電子放出面の表面粗さが十分に小さくされ
ているので、その電子放出面の凹凸に起因して蛍光面と
の間隔が局部的に小さい部分が生じ延いてはそれらの間
の放電が生じることが一層抑制される。
【0012】また、好適には、前記樹脂膜形成工程は、
樹脂またはその前駆体を所定の溶剤に溶解した樹脂溶液
を前記黒色層および蛍光体層の表面に塗布して乾燥処理
を施すものである。このようにすれば、樹脂溶液はその
表面が略平坦になるように広がることから凹凸のある黒
色層の凸部分が露出させられる傾向があるため、乾燥処
理によって溶剤が除去されるとその凸部分に孔を有する
樹脂膜が容易に得られる。一層好適には、樹脂溶液の塗
布は、その塗布面をその法線回りに回転させつつ塗布す
るスピン・コーティングによって行われる。
【0013】また、好適には、前記の黒色層は、5Rz以
上の表面粗さ、一層好適には10Rz以上の表面粗さで設け
られる。また、好適には、その黒色層は、18Rz以下の表
面粗さ、一層好適には、15Rz以下の表面粗さで設けられ
る。例えば、前記の放電開始電圧は25(kV)以上であるこ
とが望まれるが、5Rz以上或いは18Rz以下であれば、そ
のような放電開始電圧を実現できる。また、10Rz以上或
いは15Rz以下にすれば、更に放電開始電圧を高めること
ができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して詳細に説明する。
【0015】図1は、本発明の蛍光面の形成方法を適用
して製造されたFED10の構成を一部を切り欠いて示
す斜視図である。図において、FED10は、それぞれ
の略平坦な一面12,14が向かい合うように所定間隔
を隔てて互いに平行に配置された相互に同様な寸法・形
状の前面板(蛍光面基板)16および背面板(電子源基板)
18と、それらの間に配置されたスペーサ22とを備え
ている。それら前面板16、背面板18、およびスペー
サ22は、例えばフリット・ガラスによって互いに気密
に封着されており、それらによってFED10の外囲器
である気密容器が構成されている。気密容器内は例えば
6.7×10-5(Pa)[=5×10-7(Torr)]程度の真空になってい
る。
【0016】上記の前面板16および背面板18は、例
えばそれぞれ1〜2(mm)程度の均一な厚さを備えて透光性
を有する軟化点が600(℃)程度の高歪点ガラス、例え
ば、ソーダライム・ガラス等から成るものである。ま
た、前記のスペーサ22は、例えば、前面板16および
背面板18と同様な外形寸法を有する矩形枠状或いは格
子状を成すものである。このスペーサ22は、例えばガ
ラスや表面に硼珪酸ガラス等から成る絶縁ガラス層が設
けられた426合金等で構成されたものであり、1〜5(m
m)程度、例えば4(mm)程度の高さ寸法を備えている。こ
のため、前面板16と背面板18との間隔すなわち気密
空間の高さ寸法は、例えば3.9(mm)程度である。
【0017】また、前面板16の一面12には、格子状
或いは縞(ストライプ)状のブラック・マトリクス26が
固着されており、その一面12のうちブラック・マトリ
クス26が設けられていない部分には蛍光体層28が固
着されている。このブラック・マトリクス26は、導電
性を備えた黒色顔料を例えば12〜13(%)程度の質量割合
で、フィラーを2〜3(%)程度の質量割合でそれぞれ含む
ガラスから成る黒色層であり、例えば20(μm)程度の厚
さ寸法で設けられている。上記黒色顔料は、例えば平均
粒径0.2(μm)程度の酸化クロムや酸化鉄を主成分とする
ものであり、フィラーは平均粒径0.5(μm)程度のアルミ
ナ等から成るものである。黒色顔料は、ブラック・マト
リクス26に導電性を付与すると共に可視光の反射率お
よび透過率を低くするために添加されたものであり、ブ
ラック・マトリクス26のそれらは例えば何れも3(%)以
下である。また、ガラスは、例えば軟化点が400(℃)程
度のSi−B−Pb系ガラスである。
【0018】また、上記の蛍光体層28は、例えば、Zn
O:Zn,ZnS:Ag+In2O3、Y2O2等の電子線励起で可視光を発
する材料から構成されたものであって、10〜20(μm)程
度の範囲内、例えば15(μm)程度の厚さ寸法で設けられ
ている。この蛍光体層28は、例えば図2に前面板16
の断面を拡大して示すように、R(赤),G(緑),B(青)
の3つの発光色にそれぞれ対応するものが順次に繰り返
されて配置されている。
【0019】図3に前面板16の内面12全体を模式的
に示すように、上記のブラック・マトリクス26の周囲
には、前面板16よりも僅かに小さい外形寸法を備えた
枠状の外周電極30が設けられている。この外周電極3
0は、導体として銀を含む厚膜導体材料(厚膜銀)で幅寸
法が1(mm)程度、厚さ寸法が15(μm)程度に構成され、高
い導電性を備えたものである。また、外周電極30の図
における下端部には、取出電極32がその一端において
これに重なるように設けられ或いはこれと一体に設けら
れている。図3において一点鎖線で囲んだ領域A近傍を
拡大した図4に示すように、前記のブラック・マトリク
ス26は、その外周縁が上記の外周電極30の内周縁に
例えば50(μm)程度の僅かな幅で重ねられている。ブラ
ック・マトリクス26は、前記のような導電性材料を含
む厚膜材料で構成されていることから、面積抵抗率で10
12(Ω/□)以下の僅かな導電性を備えるため、このブラ
ック・マトリクス26によって前面板16の内周部から
外周電極30を介して取出電極32に至る通電経路が形
成され、その取出電極32から接地される。なお、図
3,4においては、ブラック・マトリクス26が格子状
を成す場合について示しており、蛍光体層28は、図4
に示すようにその格子の開口部に発光単位毎に断続した
マトリクス状に設けられている。ブラック・マトリクス
26がストライプ状に設けられる場合には、蛍光体層2
8は、その相互間にストライプ状に設けられることとな
る。何れの場合にも、蛍光体層28の幅寸法は例えば0.
1〜0.5(mm)程度である。
【0020】図1および図2に戻って、ブラック・マト
リクス26および蛍光体層28は、一面12の略全面に
設けられたメタル・バック34に覆われている。上記の
図3,図4においてはこのメタル・バック34を省略し
て示した。メタル・バック34は、例えば蒸着形成され
た厚さ寸法が100(nm)程度のアルミニウム薄膜から成
り、比較的滑らかな表面を有するものである。図5に、
このメタル・バック34の一部を拡大して示す。図1,
図2においてはメタル・バック34を平坦な連続膜に描
いているが、実際には多数の貫通孔(ピンホール)36が
存在しており、後述するように樹脂が容易に燃え抜ける
程度の多孔質に構成されている。この貫通孔36の大き
さは、例えば直径で5(μm)以下程度であり、500〜1000
(個/mm2)程度の密度で分布している。本実施例におい
ては、このメタル・バック34が金属薄膜に相当する。
【0021】図6は、前面板16の表面12近傍を拡大
して示す図である。ブラック・マトリクス26の表面3
8は、巨視的には略平坦面であるが、微視的には図に示
すように例えば11Rz程度の凹凸面になっている。メタル
・バック34はこのブラック・マトリクス26の表面に
倣った形状でそこに固着されており、その表面粗さも11
Rz程度である。また、メタル・バック34は、ブラック
・マトリクス26の凹部40内にはその全体に略密着し
て設けられているが、凸部42上では途切れている。前
記の貫通孔36は、この凸部42上の途切れた部分に形
成されているのである。但し、上記凹凸はブラック・マ
トリクス26の表面38に沿った微小なものに過ぎず、
そのブラック・マトリクス26の表面38から凸になっ
た膨れ等は全く存在しない。
【0022】図1に戻って、前記の背面板18の一面1
4には、互いに直交する二方向(列方向すなわちY方
向、および行方向すなわちX方向)に沿ってそれぞれ伸
びる複数本の列方向(Y方向)配線44および行方向(X
方向)配線46が、層間絶縁層48を介して重ねて備え
られている。これら配線44,46は、ブラック・マト
リクス26の格子の一方および他方にそれぞれ沿って設
けられており、それらの中心間隔は蛍光体層28と同様
である。また、これらは何れも例えば厚膜銀等の厚膜導
体から成るものであり、列方向配線44は、例えば幅寸
法が100(μm)程度で厚さ寸法が15(μm)程度であり、行
方向配線46は、例えば幅寸法が300(μm)程度で厚さ寸
法が20(μm)程度である。
【0023】また、内面14上には、その列方向配線4
4に沿った方向においては行方向配線46と同様な一定
の中心間隔を以てその行方向配線46相互間に位置する
ように並び、且つその行方向配線46に沿った方向にお
いては列方向配線44と同様な一定の中心間隔を以てそ
の列方向配線44相互間に位置するように並ぶ複数個の
矩形のY電極50が備えられている。列方向配線44
は、それら複数個のY電極50に一部が重なる位置に設
けられており、Y電極50はその列方向配線44に電気
的に接続されている。また、複数個のY電極50の各々
とそれが接続されたものに隣接する列方向配線44との
間には、その列方向配線44に沿って伸び且つそれとは
電気的に絶縁させられた長手状のX電極52がそれぞれ
備えられている。
【0024】上記のY電極50は、例えば列方向配線4
4に沿った方向における長さ寸法が数(μm)〜数百(μm)
程度に形成されたものであり、上記のX電極52は、相
対的に近い方に位置するY電極50との間隔が例えば数
百(nm)〜数百(μm)程度、例えば0.5〜20(μm)程度の小
さな値になるように形成されたものである。行方向配線
46はX電極52の端部に重なる位置に設けられてお
り、X電極52はその行方向配線46に電気的に接続さ
れている。これら両電極50,52は、何れも厚さ寸法
が数(μm)以下、例えば100(Å)程度の白金を主成分とす
る合金から成るものである。
【0025】また、Y電極50およびX電極52間に形
成されている隙間には、平面形状が略円形を成し一部が
それらに重なる電子放出膜54が備えられている。電子
放出膜54は、例えば酸化パラジウム(PdO)を主成分と
し、例えば100(Å)程度の厚さ寸法を備えたものであ
る。この電子放出膜54は、フォーミングと称される通
電処理が施されて局所的に破壊、変形、若しくは変質さ
せられることにより、Y電極50およびX電極52間の
隙間内にナノメートル・オーダの亀裂56を有してい
る。したがって、Y電極50とX電極52とは、電子放
出膜54が両者に重なるように設けられているが、その
電子放出膜54が電気的には極めて高抵抗であるため、
実質的に接続されてはいない。なお、図1において、亀
裂56は左端に位置する一つだけに示した。
【0026】また、列方向配線44および行方向配線4
6の間に設けられた前記の層間絶縁層48は、例えば30
(μm)程度の厚さ寸法を備えて、その行方向配線46に
沿って伸びる長手状を成すものである。但し、その長手
方向の一辺(行方向配線46とX電極52とが重なって
いる側の一辺)の形状は波状に形成されていることか
ら、その幅寸法は一様ではない。層間絶縁層48の相対
的に細幅の部分はX電極52に対応する位置に設けられ
ていてその行方向配線46との重なり延いては電気的接
続を許容するが、相対的に幅広の部分は列方向配線44
上に対応する位置に設けられていてその行方向配線46
との間を絶縁している。なお、このような配線44,4
6や層間絶縁層48等を備えた背面板18の表面14
は、例えば20Rz程度以下である。
【0027】以上のように構成されるFED10を駆動
するに際しては、前記取出電極32を介してメタル・バ
ック34に例えば5〜25(kV)程度の一定の加速電圧を定
常的に印加した状態で、例えば、複数本の行方向配線4
6に負電圧(走査電圧)を順次に印加して走査すると共
に、複数本の列方向配線44のうちの所望のものにその
走査に同期して正電圧(信号電圧)を印加すると、列方向
配線44および行方向配線46を介してそれぞれ電圧を
印加されたY電極50およびX電極52間の大きな電圧
勾配に基づいて生じる電界放出(Field Emission)によっ
て、それらの間に設けられた電子放出膜54から電子が
放出される。この電子は、前面板16上のメタル・バッ
ク34に印加された加速電圧で加速され、その裏側に位
置する蛍光体層28に電子が衝突させられることによ
り、その蛍光体層28を発光させる。この際、上述した
25(kV)以下の加速電圧では、前面板16と背面板18と
の間の無用な放電は全く見られなかった。このような良
好な駆動結果が得られたのは、メタル・バック34の表
面粗さが前述したように11Rz程度の実質的に平坦と言い
うる程度に留められており、且つそこに膨れ等が存在し
ないためと考えられる。
【0028】なお、蛍光体層28はメタル・バック34
で覆われているが、そのメタル・バック34は極めて薄
く且つ多孔質であるため、電子はそのメタル・バック3
4を透過して蛍光体層28に入射して蛍光体に衝突す
る。また、蛍光体層28で発生した光は、前面板16側
だけでなく背面板18側にも向かうが、その背面板18
側に向かう光はメタル・バック34で前面板16側に反
射される。したがって、発生した光の殆どが前面板16
を透過して射出されることとなるため、実質的な発光効
率が高められる。FED10は、このように前面板16
側から蛍光体層28を透過した光を観察する所謂透過型
の表示装置に構成されている。なお、FED10には、
気密容器内から排気するための排気穴等が備えられてい
るが、図においては省略した。
【0029】上記のFED10は、例えば、図7に示さ
れる工程に従って製造される。図において、背面板18
の処理工程においては、先ず、電極形成工程58におい
て前記のX電極52およびY電極50を形成する。この
工程では、例えば、背面板18を構成するためのガラス
基板の一面14上に例えば真空蒸着法やスパッタ法等の
薄膜プロセスを用いて白金(Pt)等を主成分とする電極材
料を成膜し、その全面に感光性樹脂溶液をコーティング
して露光および現像の後、ドライ・エッチングにてパタ
ーニングして、感光性樹脂膜を剥離液で剥離することで
上記のX電極52およびY電極50が得られる。
【0030】次いで、列方向配線形成工程60において
は、例えば銀を主成分とする厚膜導体ペーストを厚膜ス
クリーン印刷法で背面板18上にストライプ・パターン
で塗布し、120(℃)程度の乾燥処理および大気雰囲気中
での480(℃)程度の焼成処理を施すことにより、前記の
列方向配線32を一部がY電極50に重なるように形成
する。これら印刷、乾燥、および焼成処理は、前述した
膜厚が得られるように例えば2回程度繰り返される。上
記の厚膜導体ペーストは、例えば、銀粉末およびガラス
粉末を樹脂成分と共に溶剤に分散させたものであり、例
えば、銀粉末が75(%)程度の質量割合で含まれている。
【0031】続く層間絶縁層形成工程62では、例えば
厚膜スクリーン印刷法等を利用して厚膜絶縁体ペースト
を列方向配線32と垂直なストライプ・パターンで塗布
することにより、前記の層間絶縁層48を形成する。こ
の工程においても、前述した膜厚が得られるように例え
ば印刷乃至焼成処理が5回程度繰り返される。上記の厚
膜絶縁体ペーストは、例えばガラス粉末を樹脂成分と共
に溶剤に分散させたものであり、乾燥処理や焼成処理の
条件は例えば列方向配線形成工程60と同様である。
【0032】続いて、行方向配線形成工程64では、例
えば厚膜スクリーン印刷法等を利用して厚膜導体ペース
トを絶縁層48と平行なストライプ・パターンで塗布す
ることにより、前記の行方向配線34を形成する。この
工程においても、前述した膜厚が得られるように例えば
印刷乃至焼成処理が3回程度繰り返される。なお、上記
の厚膜導体ペーストは、例えば列方向配線32の形成に
用いたものと同じものが用いられる。
【0033】電子放出膜形成工程66では、Y電極50
およびX電極52間に、それらに跨るように酸化パラジ
ウムから成る前記の電子放出膜54を形成する。この工
程では、例えば有機パラジウム・ペーストをインクジェ
ット印刷等によって塗布し、70(℃)程度の乾燥処理およ
び大気雰囲気中で400(℃)程度の焼成処理を施すことに
より、有機パラジウムを分解および酸化して酸化パラジ
ウム膜を生成する。上記の有機パラジウム・ペースト
は、例えば、パラジウムの金属有機化合物を溶媒に分散
させたものが用いられる。
【0034】一方、前面板16の処理工程においては、
先ず、外周電極形成工程68において、前面板16を構
成するためのガラス基板を純水にて洗浄、乾燥した後、
その一面12に前記の外周電極30および取出電極32
を形成する。この工程では、例えば厚膜スクリーン印刷
法等を用いて銀粉末を導体成分として含む厚膜導体ペー
ストを所定パターンで塗布し、120(℃)程度の温度で10
分間程度の乾燥処理および450(℃)程度の温度で10分間
程度の焼成処理を施すことにより、外周電極30および
取出電極32が順次に或いは同時に形成される。上記の
厚膜導体ペーストは、例えば銀粉末80(%)程度、ガラス
粉末10(%)程度、樹脂5(%)程度、有機溶剤5(%)程度(何れ
も質量割合)を混練したものである。銀粉末は例えば粒
径0.2(μm)程度のフレーク状のものが用いられ、ガラス
粉末は粒径0.4(μm)程度で軟化点が400(℃)程度のZn-Pb
系ガラスが用いられる。また、樹脂は例えば粘度測定法
による重合度が100程度のエチルセルロースが用いら
れ、有機溶剤は例えばターピネオールが用いられる。
【0035】次いで、ブラック・マトリクス形成工程7
0においては、一面12上に例えば厚膜スクリーン印刷
法等を用いて黒色顔料粉末を含む厚膜ペーストを印刷
し、例えば120(℃)程度の温度で10分間程度の乾燥処理
および450(℃)程度の温度で10分間程度の焼成処理を施
すことにより、前記のブラック・マトリクス26を形成
する。この工程では、例えばガラス粉末65(%)程度、黒
色顔料粉末10(%)程度、フィラー2(%)程度、樹脂8(%)程
度、有機溶剤15(%)程度(何れも質量割合)から成る厚膜
ペーストが用いられる。ガラス粉末は、例えば軟化点が
400(℃)程度、平均粒径が0.8(μm)程度のSi-B-Pb系ガラ
スであり、黒色顔料粉末は例えば平均粒径が0.2(μm)程
度の酸化クロムおよび酸化鉄を主成分とするものであ
る。また、フィラーは平均粒径が0.5(μm)程度のアルミ
ナであり、樹脂は例えば粘度測定法による重合度が100
程度のエチルセルロースであり、有機溶剤は例えばブチ
ルカルビトールアセテート(BCA)である。なお、ペー
ストの混練には、例えば3本ロールミルを用いた。
【0036】次いで、蛍光体層形成工程72において
は、上記ブラック・マトリクス26の格子(開口)内に、
RGB3色に対応する3種の蛍光体ペーストを色毎に定
められた所定位置に厚膜スクリーン印刷法等を用いて塗
布・乾燥し、例えば450(℃)程度の温度で焼成処理を施
すことにより、前記の蛍光体層28を設ける。蛍光体ペ
ーストは、例えば蛍光体粉末75(%)程度、エチルセルロ
ース等のセルロース樹脂20(%)程度、およびBCA等の
有機溶剤5(%)程度(何れも質量割合)を混合したものが用
いられる。蛍光体粉末はZnSやY2O2等を主成分とするも
のであり、その平均粒径は例えば5(μm)程度である。ま
た、上記の塗布・乾燥処理は蛍光体ペースト毎に実施さ
れるが、焼成処理は一括して実施される。
【0037】次いで、メタル・バック形成工程74で
は、先に形成したブラック・マトリクス26および蛍光
体層28の全面を覆うように前記のメタル・バック34
を設ける。図8は、この工程を更に詳細に示す工程図で
ある。図8において、フィルミング工程76では、前面
板16の一面12にフィルミング溶液を塗布する。この
工程では、例えばスピン・コーティング法を用いて前面
板16をその一面12の法線回りに200(rpm)程度の回転
速度で回転させて塗布し、例えば60(℃)程度の温度で12
0分間程度保持して乾燥し、更に、120(℃)程度の温度で
60分間程度保持してベークすることにより、アクリル樹
脂等から成るフィルミング膜78を形成した。ベーク後
のフィルミング膜78の厚さ寸法は、例えば4(μm)程度
である。フィルミング溶液は、例えばアクリル樹脂の前
駆体をトルエン等の溶剤に溶解した溶液を、界面活性剤
と共に純水に分散・懸濁させたエマルジョン溶液であ
る。本実施例においては、フィルミング膜78が樹脂膜
に相当する。
【0038】図9(a)〜(c)は、上記のメタル・バック
形成工程74の実施時における前面板16の断面の要部
を示す図である。(a)は、ブラック・マトリクス26が
形成された段階を示している。ブラック・マトリクス2
6を形成するための厚膜ペーストには、前述したように
平均粒径0.8(μm)程度の比較的粗いガラス粉末が用いら
れると共に、平均粒径0.2(μm)程度のフィラーが2(%)程
度含まれる。そのため、その表面38は全体としては平
坦であるが、微視的には表面粗さが11Rz程度の凹凸面に
なる。すなわち、ブラック・マトリクス26を形成する
ために用いられるガラス粉末およびフィラーは、上記の
ような表面粗さが得られるように選定されている。
【0039】また、(b)は、フィルミング膜78の形成
された段階を示している。フィルミング膜78は、十分
に粘度の低いフィルミング溶液を上記のようにスピン・
コーティング法を用いて塗布することによって形成され
るため、その底面80はブラック・マトリクス26の表
面38に倣い、且つその表面82は略平坦になる。この
とき、表面38の表面粗さは11Rz程度と比較的粗くなっ
ているが、フィルミング膜78の膜厚はそれに対して十
分に薄い4(μm)程度であるため、フィルミング膜78
は、ブラック・マトリクス26の凸部42で途切れた孔
明き形状で形成されることとなる。なお、フィルミング
膜78の膜厚は、その最大厚みすなわち表面82から最
も深い位置にある底面80までの寸法である。
【0040】図8に戻って、蒸着工程84では、真空容
器内で圧力1×10-4(Pa)程度、成膜速度0.6(nm/sec)程度
にて純度が99.999(%)のアルミニウムを用いて、上記の
フィルミング膜78上に前記メタル・バック34を構成
するためのアルミニウム薄膜86を成膜する。上記処理
条件は、前述したようなメタル・バック34の膜厚が得
られるように定められている。このとき、アルミニウム
はフィルミング膜78上すなわちこれが形成されている
部分だけに蒸着され、ブラック・マトリクス26が露出
させられているその凸部42には蒸着されない。そのた
め、アルミニウム薄膜86も、フィルミング膜78と同
様な孔明き形状で形成されることとなる。図9(c)はア
ルミニウム薄膜86の形成後の段階を示している。
【0041】そして、焼成工程88においては、アルミ
ニウム薄膜86が形成されたガラス基板(前面板16)に
加熱処理を施す。これにより、フィルミング膜78が分
解され且つ除去されると共に、アルミニウム薄膜86が
ブラック・マトリクス26および蛍光体層28上に密着
させられることにより、前記のメタル・バック34が形
成される。なお、焼成条件は、フィルミング膜の分解温
度等に応じて定められるものであるが、例えば昇降温速
度を5(℃/min)として430(℃)程度で20分間程度保持する
ものとした。
【0042】このとき、フィルミング膜78はアルミニ
ウム薄膜86で覆われているが、そのアルミニウム薄膜
86はブラック・マトリクス26の凸部42に上におい
て貫通孔を備えた孔明き形状で形成されている。そのた
め、フィルミング膜78が分解されることによりアルミ
ニウム薄膜86の下側で生成されたガスは、図9(c)に
矢印で示すようにその貫通孔を通してアルミニウム薄膜
86の上側に脱出させられる。この結果、メタル・バッ
ク34は、前記の図6に示されるように、そのガスの脱
出に伴う膨れ等が何ら生成されることなく、ブラック・
マトリクス26に略密接した状態で形成されることとな
る。すなわち、そのブラック・マトリクス26と略同様
な11Rz程度の適度な表面粗さに形成される。
【0043】図7に戻って、接合工程90においては、
上記のようにしてそれぞれ処理した背面板18および前
面板16を、別途用意したスペーサ22を介して一面1
2、14が向かい合うように積み重ね、加熱処理を施す
ことにより、例えばスペーサ22の上下端面等に予め塗
布された鉛ガラスから成る図示しないフリット・ガラス
等の封着剤で気密に接合すると共に、図示しない排気穴
に排気管を取り付ける。なお、加熱処理温度はその封着
剤の種類等に応じて定められるが、例えば470〜500(℃)
程度である。
【0044】次いで、排気・フォーミング工程92にお
いて、上記の排気管から排気しつつ、列方向配線32お
よび行方向配線34間に電圧を印加して電子放出膜54
のフォーミング処理を行う。これにより、前記亀裂56
が生成される。フォーミング条件は、例えば、昇降圧10
秒間程度、最大振幅電圧±5(V)程度の三角波を断続的に
10パルス印加するものとした。そして、封着工程94に
おいては、更に真空排気を行いつつ排気管を溶断して封
着する。この後、図示しないゲッタの加熱処理を行って
真空管を構成し、更に、列方向配線32および行方向配
線34にそれぞれ外部配線を接続すると共に、駆動回路
基板を接続等することにより、前記図1に示されるFE
D10が得られる。
【0045】ここで、前記のブラック・マトリクス26
の表面粗さを種々変更して形成されるメタル・バック3
4の特性延いてはFED10の特性を評価した実験につ
いて説明する。なお、以下の説明において、特に示した
もの以外の条件は、上述した製造方法と共通である。
【0046】下記の表1に、この実験に用いたブラック
・マトリクス形成用ペーストの組成を示す。これらのペ
ーストを用いてブラック・マトリクス26を形成し、更
に、前述の図7、図8に示される工程に従ってメタル・
バック34等を形成して前記の前面板16と同様な蛍光
面基板を作製した。なお、前記のフィルミング工程76
においては、界面活性剤や純水を含むフィルミング溶液
を用いたが、この実験では、これに代えて単にアクリル
樹脂前駆体を有機溶剤に溶解させた溶液を塗布した。そ
のため、フィルミング工程76に先立ってガラス基板の
表面全面を純水で濡らすウェッティング処理を施した。
ウェッティング処理は、例えばスピン・コーティング法
を用いて、ガラス基板を250(rpm)程度にて30秒間程度回
転させつつ純水を塗布することで行った。また、この実
験では、焼成工程88における430(℃)での保持時間は3
0分間程度とした。
【0047】 (表1)番号 ガラス粉末 黒色顔料 フィラー 樹脂、溶剤 1 粒径0.1(μm) 粒径0.05(μm) 粒径0.1(μm) 軟化点370(℃) ジルコン 70(%) 10(%) 2(%) 18(%) 2 粒径0.5(μm) 粒径0.1(μm) 粒径0.5(μm) 軟化点370(℃) ジルコン 70(%) 10(%) 2(%) 18(%) 3 粒径1.2(μm) 粒径0.2(μm) 粒径1(μm) 軟化点400(℃) アルミナ 60(%) 13(%) 2(%) 25(%) 4 粒径2(μm) 粒径0.2(μm) 粒径1(μm) 軟化点430(℃) アルミナ 60(%) 15(%) 4(%) 21(%)
【0048】以上のようにして作製した蛍光面基板の表
面粗さ、メタル・バックの膨れの有無、および電子源基
板(背面板18)との間の放電開始電圧を評価した結果を
表2に示す。なお、表面粗さは、触針式表面粗さ計を用
いてJIS B 0601に従って測定した。本実施例において特
に重要な表面粗さは十点平均粗さ(Rz)であるが、算術平
均粗さ(Ra)および最大高さ(Rmax)も参考までに併記し
た。また、膨れの有無は、メタル・バック表面を拡大鏡
で観察することで確認した。また、放電開始電圧は、図
10に示すように真空容器96内に蛍光面基板および平
板電極98を対向して配置し、1×10-4(Pa)程度の真空
下においてそれらの間に電流が流れるまで直流電圧を次
第に高めつつ印加することで測定した。なお、上記平板
電極98は、電子源基板の品質が蛍光面の凹凸評価に影
響を与え得るため、これに代えて用いたものであり、例
えば燐青銅から成るものである。
【0049】
【0050】上記の表2に示されるように、表面粗さが
2Rzに満たない番号1のサンプルでは多数の膨れが存在
したが、2.9Rz以上のサンプルでは何れも膨れが全く見
られなかった。メタル・バック34の固着強度は、実質
的にブラック・マトリクス26への密着状態で決定され
るので、膨れが無ければ固着強度は十分に高いものと推
定される。一方、放電開始電圧は、番号1のサンプルで
は1〜6(kV)程度、番号4のサンプルでは8〜12(kV)程度
と比較的低い不十分な値であったが、番号2,3のサン
プルでは16〜30(kV)程度、或いは13〜32(kV)程度の十分
に高い値が得られた。なお、表2には掲げていないが、
前述した通り、表面粗さが11Rz程度の場合にも膨れは全
く見られず、放電開始電圧は25(kV)以上であった。ま
た、表面粗さが2Rzの試料においても膨れは全く見られ
なかった。番号1のサンプルでは、膨れが生じたために
放電開始電圧が低下したものと考えられる。すなわち、
膨れの部分で平板電極98との間隔が局所的に小さくな
るため、そこに電界が集中して低電圧で放電するのであ
る。また、番号4のサンプルでは、表面粗さが24Rzと極
めて粗いため、凹凸の大きな表面の凸部に電界が集中し
て低電圧で放電するものと考えられる。これらに対し
て、番号2,3のサンプルでは、メタル・バックの焼成
時に膨れが生じることもなく、且つ表面粗さが比較的小
さい値に留められているのでその表面の凸部に著しい電
界集中が生じることが無いため、放電開始電圧が高くな
ったものと考えられる。
【0051】図11は、上記の実験において表面粗さと
放電開始電圧との関係を表したグラフである。このグラ
フにおいて、表面粗さが2Rz以上になると、前述したよ
うに膨れが生じ難くなるので放電開始電圧が著しく高め
られ、一方、表面粗さが20Rzを越えると、メタル・バッ
ク表面の凹凸が放電特性上は無視できない程度まで大き
くなるので放電開始電圧が急激に低下することが明らか
である。放電開始電圧は、最も表層に位置するメタル・
バック34の表面粗さに依存するのであるが、前述した
製造工程からも明らかなように、そのメタル・バック3
4の表面粗さは、ブラック・マトリクス26の表面粗さ
以下となる。すなわち、ブラック・マトリクス26の表
面粗さを20Rz以下に留めれば、メタル・バック34の表
面粗さを放電が生じ難い20Rz以下に留めることができ
る。このため、表面粗さを2〜20Rzの範囲とすれば、十
分に放電開始電圧の高いFED10を得ることができ
る。なお、上記表2および図11に示される表面粗さ
は、メタル・バック34表面の値であるが、メタル・バ
ック34はブラック・マトリクス26上にその表面38
に沿って形成されているため、ブラック・マトリクス2
6の表面粗さも略同様な値である。
【0052】因みに、表面粗さが2Rz未満のときに膨れ
が生じる理由はフィルミング膜78の焼失時のガスに起
因するものと考えられる。すなわち、図12(a)に示さ
れるようにブラック・マトリクス26が比較的平坦な表
面38に形成されると、その上に形成されるフィルミン
グ膜78は、その表面38を完全に覆って図12(b)に
示されるように略一様な厚さ寸法で欠陥の無い連続膜に
形成される。そのため、この上にアルミニウムを蒸着す
ると、図12(c)に示されるようにアルミニウム薄膜8
6も貫通孔36等の存在しない連続膜で形成される。こ
のような連続膜の形成された状態で前記の焼成工程88
を実施すると、フィルミング膜78が分解されることに
より生成したガスの脱出経路が無いため、そのガスがア
ルミニウム薄膜86のうち比較的薄い部分を押し上げ、
膨れ100を形成するのである。そして、このような膨
れ100が生ずる結果として、メタル・バック34とブ
ラック・マトリクス26との固着強度が低下することと
なる。
【0053】要するに、本実施例によれば、2〜20Rzの
適度に粗いブラック・マトリクス26の上にフィルミン
グ膜78およびメタル・バック34が設けられるので、
フィルミング膜78は凹凸のあるブラック・マトリクス
26の凸部42上を避けた孔明き形状で形成されること
から、その上に蒸着されるメタル・バック34もそのよ
うな孔明き形状で形成される。そのため、焼成工程88
においてフィルミング膜78が焼失させられる際には、
そのフィルミング膜78から生成されたガスがそのメタ
ル・バック34の孔を通して速やかに抜け出る。したが
って、フィルミング膜78の焼失に伴ってメタル・バッ
ク34がブラック・マトリクス26から浮き上がらされ
ることが無いので、メタル・バック34の固着強度が高
められる。
【0054】しかも、本実施例においては、メタル・バ
ック34が上記の範囲内の表面粗さで形成され且つ膨れ
100等が存在しないことから、その表面の凹凸に起因
する電界集中延いては背面板18との間の放電が低電圧
では生じ難い利点がある。特に、FED10のような平
板型表示装置では、メタル・バック34の表面と背面板
18表面との間隔が極めて小さい値にされているため、
表面の凹凸が比較的小さくても電界集中が生じ易く且つ
無用な放電が生じ易い傾向があるが、本実施例のFED
10では、そのような不都合が殆ど生じない。
【0055】また、本実施例においては、背面板18の
表面14もその表面粗さが20Rz以下であるため、その表
面14の凹凸に起因する電界集中延いては前面板内面1
2との間の放電が一層抑制される。
【0056】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の実施例において、前述の実施例と共通する部
分は説明を省略する。
【0057】図13は、前記の図7に示される製造工程
において、前面板16の処理工程の一部を変更したもの
である。本実施例においては、ブラック・マトリクス形
成工程70において用いられる厚膜ペーストの組成が異
なること、およびメタル・バック形成工程74に次いで
軟化処理工程102が実施されること以外は、図7に示
される場合と同様な製造工程で前面板16が製造され
る。
【0058】上記ブラック・マトリクス形成工程70に
おいて用いられる厚膜ペーストは、例えば、以下のよう
な組成である。すなわち、平均粒径が0.4(μm)程度で軟
化点が440(℃)程度のSi-B-Pb系ガラス粉末45(%)程度、
平均粒径が0.1(μm)程度で酸化クロムおよび酸化鉄を主
成分とする黒色顔料15(%)程度、平均粒径が0.1(μm)程
度のアルミナから成るフィラー15(%)程度、粘度測定法
による重合度が100程度のエチルセルロースから成る樹
脂15(%)程度、および有機溶剤15(%)程度を混練して調製
した。有機溶剤は前述の実施例と同様なBCAである。
このような厚膜ペーストを用いてブラック・マトリクス
26を20(μm)程度の膜厚で形成したところ、表面粗さ
は13Rz程度であった。
【0059】一方、上記の軟化処理工程102は、メタ
ル・バック34が形成された後に実施されるものであっ
て、例えば、前面板16を480(℃)程度の温度で10分間
程度の時間だけ保持する熱処理工程である。この工程に
おける保持温度は、ブラック・マトリクス26を構成す
るガラス成分の軟化点よりも十分に高い値に設定されて
いる。そのため、この熱処理によってブラック・マトリ
クス26は軟化させられ、その表面38の凹凸が緩和さ
れることから、その表面38に固着されているメタル・
バック34の表面104の凹凸も緩和される。図14
は、この熱処理後の断面を表しており、メタル・バック
34の形成直後には図6に示される程度に大きな凹凸が
極めて小さくなっていることが判る。軟化処理後のメタ
ル・バック34の表面粗さは5Rz程度であった。
【0060】なお、前記の図7、図8から明らかなよう
に、ブラック・マトリクス26の形成後には蛍光体層2
8形成のための焼成処理、およびアルミニウム薄膜86
蒸着後にフィルミング膜78を焼失させるための焼成処
理が施されるが、これらの工程は、前述したようにそれ
ぞれブラック・マトリクス26の軟化点よりも十分に低
い430(℃)程度の温度で実施される。そのため、上記軟
化処理以前には、ブラック・マトリクス26が軟化させ
られ延いてはその表面粗さが変化させられることはな
い。
【0061】このようにして製造された前面板16を用
いて前記のFED10と同様なFEDを製造したとこ
ろ、背面板18との間で放電が生じる電圧は例えば30(k
V)程度と極めて高く、前記の製造工程による場合に比較
して一層高い耐電圧を有することが確かめられた。
【0062】すなわち、本実施例においては、ガラスお
よび黒色顔料を主成分とするブラック・マトリクス26
が、焼成工程88の後にそのガラスの軟化点よりも高い
480(℃)程度の温度で熱処理を施す軟化処理工程102
で軟化させられることから、その表面38の凹凸が緩和
され延いてはメタル・バック34の表面粗さが改善され
る。そのため、メタル・バック34の形成時には高い固
着強度が得られるようにブラック・マトリクス26の表
面粗さを比較的粗くしながら、FED10の使用時にお
いてはメタル・バック34の表面粗さを無用な放電が低
電圧では生じ難い程度に滑らかにすることができる利点
がある。
【0063】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は、更に別の態様でも実施で
きる。
【0064】例えば、実施例においては、平板型表示装
置であるFED10の蛍光面の形成方法に本発明が適用
された場合について説明したが、電子で励起発光させら
れる蛍光体層が備えられる蛍光面にブラック・マトリク
ス26(黒色層)が備えられる表示装置であれば、CRT
等の蛍光面の形成方法にも本発明が同様に適用される。
【0065】また、実施例においては、ブラック・マト
リクス26が厚膜スクリーン印刷法を用いて形成されて
いたが、その形成方法は特に限定されず、例えば、サン
ド・ブラスト法やリフト・オフ法等の種々の方法で形成
することができる。
【0066】また、実施例においては、フィルミング膜
78がスピン・コーティング法によって形成されていた
が、厚膜印刷法やディッピング処理によって形成しても
差し支えない。
【0067】また、実施例においては、アルミニウム薄
膜86が蒸着法によって形成されていたが、所望の特性
のメタル・バック34を得ることができる方法であれ
ば、スパッタ法や厚膜印刷法、或いは化学溶液法等の種
々の方法を用い得る。
【0068】また、ブラック・マトリクス26等の構成
材料の材質や平均粒径等は実施例で示したものに限られ
ず、所望の特性を実現し得る適宜の材料が用いられる。
【0069】その他、一々例示はしないが、本発明はそ
の主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の蛍光面の形成方法がその製
造工程に適用されるFEDの構成を一部を切り欠いて示
す斜視図である。
【図2】図1のFEDの前面板の断面を拡大して示す図
である。
【図3】図1のFEDの前面板の内面全体を模式的に示
す図である。
【図4】図3におけるA部を拡大して説明する図であ
る。
【図5】図1のFEDの前面板に備えられているメタル
・バックを拡大して示す図である。
【図6】図2の断面の要部を更に拡大して示す図であ
る。
【図7】図1のFEDの製造工程を説明する工程図であ
る。
【図8】図7の製造工程におけるメタル・バック形成工
程を詳しく説明する工程図である。
【図9】(a)〜(c)は、図8のメタル・バック形成工程
の適宜の段階における前面板断面の状態を示す図であ
る。
【図10】前面板の放電開始電圧を測定するための試験
方法を説明する図である。
【図11】表面粗さと放電開始電圧との関係を説明する
グラフである。
【図12】(a)〜(c)は、メタル・バックの膨れの生成
機構を説明する図である。
【図13】本発明の他の実施例の蛍光面の形成方法を説
明する工程図である。
【図14】図13に示される軟化処理工程の実施後の蛍
光面を示す図である。
【符号の説明】
10:FED 16:前面板 26:ブラック・マトリクス(黒色層) 34:メタル・バック(金属薄膜) 38:表面 42:凸部 78:フィルミング膜
フロントページの続き (72)発明者 細見 和徳 福岡県朝倉郡夜須町大字三並字八ツ並2160 番地 ノリタケ電子工業株式会社夜須工場 内 (72)発明者 平川 幸太 福岡県朝倉郡夜須町大字三並字八ツ並2160 番地 ノリタケ電子工業株式会社夜須工場 内 Fターム(参考) 5C028 AA01 AA08 CC02 CC06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個の蛍光体層が所定位置に配置され
    且つ残部に黒色層が配置されると共にそれら蛍光体層お
    よび黒色層が金属薄膜で覆われた蛍光面を備え、その蛍
    光面に向かって電子放出源から発生させられた電子で前
    記蛍光体層を励起発光させてその蛍光面の裏面側からそ
    の発光を観察する形式の表示装置を製造するに際して、
    その蛍光面を形成する方法であって、 前記黒色層を2乃至20Rzの表面粗さで形成する黒色層形
    成工程と、 前記蛍光体層および前記黒色層を覆う樹脂膜を形成する
    樹脂膜形成工程と、 前記樹脂膜上に前記金属薄膜を形成する薄膜形成工程
    と、 前記樹脂膜を焼失させる焼成工程とを、含むことを特徴
    とする表示装置の蛍光面の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記黒色層はガラスおよび黒色顔料を主
    成分とするものであり、前記焼成工程の後にそのガラス
    の軟化点よりも高い所定温度で熱処理を施す軟化処理工
    程が実施されるものである請求項1の表示装置の蛍光面
    の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記電子放出源は、前記蛍光面に対向し
    て平行に配置され且つ一面から電子を放出する電子放出
    面である請求項1または請求項2の表示装置の蛍光面の
    形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106200035A (zh) * 2015-05-26 2016-12-07 三星显示有限公司 显示装置和修复显示装置的方法

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