JP2003342199A - 腸管吸収性改善用sh残基修飾剤及び経口吸収用医薬組成物ならびに新規チアミン誘導体 - Google Patents

腸管吸収性改善用sh残基修飾剤及び経口吸収用医薬組成物ならびに新規チアミン誘導体

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JP2003342199A
JP2003342199A JP2002147522A JP2002147522A JP2003342199A JP 2003342199 A JP2003342199 A JP 2003342199A JP 2002147522 A JP2002147522 A JP 2002147522A JP 2002147522 A JP2002147522 A JP 2002147522A JP 2003342199 A JP2003342199 A JP 2003342199A
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residue
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methyl
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JP2002147522A
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English (en)
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Ikuzo Nishiguchi
郁三 西口
Goro Tsukamoto
悟郎 塚本
Tetsuo Uchida
哲郎 内田
Hiroshi Maekawa
博史 前川
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University of Tokyo NUC
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University of Tokyo NUC
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Abstract

(57)【要約】 【課題】腸管吸収性を有し、生体内で代謝されてもとの
化合物を再生し、代謝産物の人体に対する影響が少な
い、例えば新規チアミン誘導体を提供することである。 【解決手段】下記一般式(1)で表わされる1,3−ジ
オキソレン−2−オン誘導体からなる、腸管吸収性改善
用SH残基修飾剤,及びそれによって修飾した化合物を
含む経口吸収用医薬組成物,並びに新規チアミン誘導体
又はその酸付加塩である。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腸管吸収性を改善
するためのSH残基修飾剤であって、被修飾化合物の腸管
吸収性を向上させるとともに、吸収後は容易に加水分解
によって遊離される修飾剤に関するものである。また、
本発明は、かかる修飾剤によって修飾された化合物を含
む、経口吸収用医薬組成物に関するものである。更に本
発明は、かかる修飾剤によって修飾された新規チアミン
誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、化合物の腸管吸収性を改善す
る目的で、各種の誘導体が製造されてきた。中でも一般
式(1)で表わされる化合物を保護基として用い、カル
ボン酸類,チオカルボン酸類,フェノール類等と反応さ
せて得られるエステル型又はエーテル型化合物は、腸液
に相当するアルカリ性媒質下では比較的安定である一
方、生体内酵素の存在下では、容易に加水分解されるこ
とが知られている(特公昭60−19908号公報参
照)。しかも、この一般式(1)で表わされる化合物に
よって修飾された化合物は、加水分解後、当該修飾剤に
由来する代謝物の人体に対する影響が少ない点で好まし
い。
【0003】しかしながら、一般式(1)で表わされる
化合物を、SH残基を持つ化合物のS原子を介して結合
させた薬物は、知られていない。SH残基を持つ化合物
のS原子を介して結合させるものとしては、保護基とし
てメチル基やエチル基等の単純なアルキル基を有するも
のが知られているが、これらの化合物は、スルフィドと
言って、簡単には切れず、生体内酵素の存在下でも分解
されないと一般に考えられている。
【0004】一方、チアミンは、生体に必須なビタミン
(B1)であるが、腸管からの吸収が良くないことが知ら
れている。そのため、チオール型チアミン誘導体が幾つ
か開発されてきた。すなわち、大別すると、ジスルフィ
ド型チアミン類(下記一般式(4))とS−アシル型チ
アミン類(下記一般式(5))の2種類である。なお、
ジスルフィド型チアミン類には、対称型チアミンジスル
フィドも含まれる。
【0005】
【化4】
【0006】
【化5】
【0007】(式中のRは、アルキル基又はヘテロ原
子を有するアルキル基を表わす。Rはアリール基又は
アルコキシ基を表わす。Rは水素原子,燐酸や硫酸の
エステル残基,アシル基,又はアルコキシカルボニル基
を表わす。)
【0008】そしてこの一般式(4)で表わされる誘導
体は、腸管から吸収されて生体内のシステインやグルタ
チオン等の化合物によって還元され、チアミンとして再
生されることが知られている。また、一般式(5)で表
わされる誘導体も、生体内の加水分解酵素で分解され、
チアミンとして再生されることが知られている。
【0009】しかし、これらの一般式(4),(5)の
様な誘導体が生体内で代謝されると、チアミン以外に
も、生体内で異物と認識される代謝産物が生成する。こ
れらの異物は、人体に悪影響を及ぼす可能性がある。特
に、チアミン誘導体を長期に亘って投与する場合には、
その影響が一層大きい。
【0010】そのため、チアミン誘導体を製造するため
の修飾剤は、可能な限り当該修飾剤に由来する代謝物の
人体に対する影響が少ないことが望ましい。
【0011】本発明者等は、一般式(1)で表わされる
化合物を、プロモエティとして用いて、例えばチオール
型チアミンのような化合物のSH残基を修飾すると、中
性及び酸性条件下では安定であり、他方塩基性条件下で
は加水分解されるにも拘わらず、腸液中では比較的安定
であり、腸管から吸収された後、生体内酵素[アリール
エステラーゼ(EC 3.1.1.2)]によって容易に加水分解
されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
とするところは、腸管吸収性を付与でき、生体内で代謝
されてもとの化合物を再生することができ、しかも当該
修飾剤に由来する代謝物の人体に対する影響が少ない腸
管吸収性改善用SH残基修飾剤を提供することにある。
また、本発明のもう一つの目的は、かかる腸管吸収性改
善用SH残基修飾剤によって修飾された化合物を含む、
経口吸収用医薬組成物を提供することにある。更に、本
発明の他の目的は、腸管吸収性を有し、生体内で代謝さ
れてもとの化合物を再生することができ、しかも当該修
飾剤に由来する代謝物の人体に対する影響が少ない、新
規チアミン誘導体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本件における第一の発明
は、下記一般式(1)で表わされる1,3−ジオキソレ
ン−2−オン誘導体からなる、腸管吸収性改善用SH残
基修飾剤である。
【0014】
【化6】
【0015】(Xは、ハロゲン原子を表わす。)
【0016】本件における第二の発明は、薬学的に許容
される担体中に、有効量の下記一般式(2)で表わされ
る化合物又はその酸付加塩を含むことを特徴とする、経
口吸収用医薬組成物である。
【0017】
【化7】
【0018】(Aは、脂肪族化合物残基,芳香族化合物
残基あるいは複素環式化合物残基である。)
【0019】本件におけるA−S−残基に、水素原子が
結合したA−S−H化合物は、腸管吸収性の改善を要す
る薬物であるかあるいは、薬理活性を有する化合物に転
換される化合物である。
【0020】本件における第三の発明は、下記一般式
(3)で表わされるチアミン−(2−オキソ−5−メチ
ル−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル−スルフ
ィド又はその酸付加塩である。
【0021】
【化8】
【0022】(式中、Rは水素原子,又はアシル基を
表わす。)
【0023】また本件における第四の発明は、Rが、
炭素数3乃至5の脂肪族アシル基,又は芳香族アシル基
である、上記(3)のチアミン−(2−オキソ−5−メ
チル−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル−スル
フィド又はその酸付加塩である。
【0024】
【発明の実施の形態】まず、本件における第一の発明に
ついて説明する。
【0025】本発明において、SH残基修飾剤とは、S
H残基と反応し、ハロゲン化水素の脱離を伴う縮合生成
物を与える試薬を意味する。本件の第一の発明に用いら
れる、1,3−ジオキソレン−2−オン誘導体は、医薬
品のプロドラッグ用修飾剤として公知の化合物であり、
その製造方法は、例えば特公昭60−19908号公
報、特公平2−31076号公報等に記載されている。
【0026】Xのハロゲン原子としては、塩素原子や臭
素原子、沃素原子等が挙げられる。中でも、塩素が製造
的観点から好ましい。なお、ハロゲン原子が沃素のもの
は、Xが塩素原子や臭素原子である一般式(1)の化合
物に、沃化ナトリウム又は沃化カリウムを作用させるこ
とによって製造することが好ましい。
【0027】本件の第一の発明に用いられる、1,3−
ジオキソレン−2−オン誘導体としては、具体的には、
4−クロロメチル−5−メチル−1,3−ジオキソレン
−2−オン、4−ブロモメチル−5−メチル−1,3−
ジオキソレン−2−オン、4−ヨードメチル−5−メチ
ル−1,3−ジオキソレン−2−オン等が挙げられる。
【0028】これらの化合物は、いずれも、SH残基を
有する化合物と容易に反応して、対応するチオエーテル
型化合物を生成する。そして、生成したチオエーテル型
化合物は、中性及び酸性溶媒中では安定であり、アルカ
リ加水分解条件下では容易に加水分解される。また、腸
管から吸収された後、生体内酵素によって容易に加水分
解される。
【0029】次に、本件における第二の発明について説
明する。
【0030】本件の第二の発明に用いられるAは、脂肪
族化合物残基,芳香族化合物残基あるいは複素環式化合
物残基である。
【0031】ここで、脂肪族化合物としては、飽和のア
ルカン類,不飽和のアルケン類,アルカジエン類,アル
キン類等が挙げられる。また、鎖状,環状を問わないた
め、シクロアルカン類等も挙げられる。
【0032】芳香族化合物としては、ベンゼン骨格を有
するもの,フェニル基を有するもの、ピリジン,ピリミ
ジン,キノリン,イソキノリン等の基を有するもの等が
挙げられるが、具体的には6−メルカプトプリン等が挙
げられる。
【0033】複素環式化合物としては、環状骨格に、S
原子を有するもの,N原子を有するもの,O原子を有す
るもの等が挙げられる。具体的には、チオール型チアミ
ン(のSH残基以外の部分)が、代表的なものとして挙
げられる。
【0034】本件におけるA−S−H化合物は、腸管吸
収性の改善を要する薬物であるかあるいは、薬理活性を
有する化合物に転換される化合物である。
【0035】A−S−H化合物の具体例としては、チオ
ール型チアミン等が挙げられる。
【0036】本件における第二の発明の、経口吸収用医
薬組成物は、次のようにして製造される。
【0037】まず、一般式(1)で表わされる修飾剤
を、A−S−M(Mは、水素又はアルカリ金属)ととも
に、塩基性条件下で、例えば−10〜30℃で反応させるこ
とによって、一般式(2)の化合物を製造する。
【0038】アルカリ金属としては、ナトリウム,カリ
ウム等が挙げられるが、安定かつ安価であることから、
ナトリウムが好ましい。
【0039】次に、薬学的に許容される担体中に、有効
量の上記一般式(2)で表わされる化合物又はその酸付
加塩を含有させる。
【0040】薬学的に許容される担体は、目的とする経
口吸収用医薬組成物の投与形態に応じて、選択すること
ができる。
【0041】これらの製剤は、薬学的に許容される担体
として、賦形剤,滑沢剤,結合剤,崩壊剤,安定剤,矯
味矯臭剤,希釈剤等の添加剤を用いて周知の方法で製造
することができる。
【0042】ここに、賦形剤としては、有機系賦形剤及
び無機系賦形剤等が挙げられる。
【0043】有機系賦形剤としては、例えば乳糖,白
糖,ぶどう糖,マンニット,ソルビットのような糖誘導
体;トウモロコシデンプン,バレイショデンプン,α−
デンプン,デキストリン,カルボキシメチルデンプンの
ような澱粉誘導体;結晶セルロース,低置換度ヒドロキ
シプロピルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース,カルボキシメチルセルロース,カルボキシメチ
ルセルロースカルシウム,内部架橋カルボキシメチルセ
ルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;アラビ
アゴム;デキストラン;プルラン;等が挙げられる。
【0044】無機系賦形剤等としては、軽質無水珪酸,
合成珪酸アルミニウム,メタ珪酸アルミン酸マグネシウ
ムのような珪酸塩誘導体;燐酸カルシウムのような燐酸
塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;硫酸カルシウムの
ような硫酸塩;等が挙げられる。
【0045】滑沢剤としては、例えばステアリン酸,ス
テアリン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウムのよ
うなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビ
ーガム,ゲイ蝋のようなワックス類;硼酸:アジピン
酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマ
ル酸;安息香酸ナトリウム;DL−ロイシン;脂肪酸ナ
トリウム塩;ラウリル硫酸ナトリウム,ラウリル硫酸マ
グネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸,珪酸水
和物のような珪酸類;及び、上記澱粉誘導体等が挙げら
れる。
【0046】結合剤としては、例えば前記賦形剤と同様
の化合物等が挙げられる。
【0047】崩壊剤としては、例えば前記賦形剤と同様
の化合物及びクロスカルメロースナトリウム,カルボキ
シメチルスターチナトリウムのような化学修飾されたデ
ンプン・セルロース類等が挙げられる。
【0048】安定剤としては、例えばメチルパラベン,
プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル
類;塩化ベンザルコニウム;デヒドロ酢酸;及びソルビ
ン酸等が挙げられる。
【0049】矯味矯臭剤としては、例えば通常使用され
る、甘味料,酸味料,香料等が挙げられる。
【0050】本発明の医薬組成物は、経口投与するため
のものであるが、具体的には、例えば錠剤,カプセル
剤,顆粒剤,散剤もしくはシロップ剤等の形態で、経口
投与される。
【0051】本発明の経口吸収用医薬組成物の使用量
は、症状,年齢,医薬組成物の形態等によって異なる
が、例えば、有効成分である一般式(2)で表わされる
化合物の量が、成人に対して1日あたり、下限として
0.01mg(好ましくは0.1mg),上限として、
2000mg(好ましくは500mg,より好ましくは
100mg)となるように、1回又は数回に分けて、症
状に応じて投与することが望ましい。
【0052】例えば、一般式(3)で示される化合物又
はその酸付加塩を含む本発明の経口吸収用医薬組成物
は、食欲不振,疲労感,体重減少,脚気等のビタミン欠
乏症等の治療等に特に有用である。
【0053】更に、本件における第三及び第四の発明に
ついて説明する。
【0054】本発明の一般式(3)で表わされる新規チ
アミン誘導体において、Rとは、水素原子,又はアシ
ル基を表わす。
【0055】人体への影響が最も少ないという点から
は、Rが水素であることが好ましい。Rが水素の場
合、生体での代謝産物の全てが、安全性の高い天然物
(本発明の修飾剤)と薬理活性を有する化合物(ビタミ
ンB)になり人体に対する影響が少ない点で特に好ま
しいからである。この場合、本発明の新規チアミン誘導
体は、長期投与にも特に有利となる。
【0056】更に腸管吸収性を付与する点からは、R
がアシル基であることが好ましい。ビタミンBの水酸
基の水素原子を無くすことで、より水溶性が低下し、分
子全体の脂溶性が、より向上するからである。アシル基
には、脂肪族アシル基と芳香族アシル基等がある。
【0057】脂肪族アシル基の中では、炭素数3乃至5
のものが好ましい。これはチアミンに脂溶性を付与で
き、しかも天然物だからである。またその中でも特に、
ブチロイル基が最も好ましい。
【0058】芳香族アシル基としては、ベンゾイル基や
ニコチノイル基が挙げられる。生体由来成分である点で
は、ニコチノイル基が好ましく、製造が容易であるとい
う点では、ベンゾイル基が好ましい。
【0059】これら新規チアミン誘導体の酸付加塩に用
いられる酸としては、塩酸,臭化水素酸,ヨウ化水素
酸,硫酸等の無機酸のほか、クエン酸,酒石酸等の有機
酸が挙げられる
【0060】次に、本発明の一般式(3)で表わされる
新規チアミン誘導体の製造方法を、2種類下記に示す。
【0061】(製造方法)本発明の一般式(3)で表
わされるチアミン誘導体の原料は、下記一般式(6)で
表わされるチオール型チアミンと、下記一般式(1)で
表わされる化合物(本件第一の発明である修飾剤)であ
る。
【0062】
【化9】
【0063】(式中のRは、水素原子,又はアシル基
を表わす。Mは水素原子,又はアルカリ金属である。)
【0064】アルカリ金属としては、ナトリウム,カリ
ウム等が挙げられるが、安定かつ安価であることから、
ナトリウムが好ましい。
【0065】上記一般式(6)で表わされるチオール型
チアミンは、チアミン酸付加塩に、アルカリを作用させ
てチアゾール環を開環させたものである。
【0066】
【化10】
【0067】(式中のXは、ハロゲン原子を表わす。)
【0068】ハロゲン原子としては、塩素原子や臭素原
子,沃素原子等が挙げられる。
【0069】本発明の一般式(3)で表わされるチアミ
ン誘導体は、上記一般式(6)で表わされるチオール型
チアミンに、上記一般式(1)で表わされる化合物を、例
えば塩基性条件下、−10〜30℃で反応させることによっ
て、製造することができる。
【0070】使用される溶媒は、反応に関与するもので
なければ、特に制限はない。例えば、N,N−ジメチル
ホルムアミド,ジメチルスルホキサイド,アセトニトリ
ル,テトラヒドロフラン,水等が挙げられる。
【0071】塩基性条件にするための塩基としては、水
酸化ナトリウム,水酸化カリウム,重炭酸ナトリウム等
が挙げられる。
【0072】反応温度は、−10〜30℃が好ましいが、更
に好ましくは、−5〜25℃である。
【0073】得られた新規チアミン誘導体は、鉱酸(塩
酸,硫酸等)又は有機酸(酒石酸,クエン酸,コハク酸
等)と処理することによって、酸付加塩とすることがで
きる。
【0074】(製造方法)本発明の一般式(3)で表
わされるチアミン誘導体のRがアシル基である場合
は、上記一般式(3)で表わされるチオール型チアミン
(Rは水素原子)と、下記一般式(7)で表わされるカ
ルボン酸を脱水縮合させることにより、製造することが
できる。
【0075】
【化11】
【0076】(式中、Rは、アシル基である。)
【0077】当該縮合反応は、常法に従い、例えばカル
ボン酸(7)を酸クロリドに誘導した後反応させる(酸
クロリド法)か、カルボン酸(7)とクロロ炭酸エチル
等を反応させ混合酸無水物とした後反応させる(混合酸
無水物法)ことにより可能である。
【0078】不活性溶媒としては、反応に関与するもの
でなければ、何でも良い。例えば、ピリジン,N,N−
ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキサイド,アセ
トニトリル,テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0079】塩基性条件にするための塩基としては、ピ
リジン,トリエチルアミン,トリメチルアミン等が挙げ
られる。
【0080】反応温度は、−10〜80℃であるが、好まし
くは、−5〜50℃である。
【0081】得られた新規チアミン誘導体は、製造方法
と同様、鉱酸(塩酸,硫酸等)又は有機酸(酒石酸,
クエン酸,コハク酸等)と処理することによって、酸付
加塩とすることができる。
【0082】
【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明する。なお、実施例に先立って、本発明の効果を裏付
けるための試験方法を説明する。
【0083】(塩基性溶媒中での加水分解性試験方法)
試験化合物を80%エタノール水溶液に溶解したものに、
同量の水酸化ナトリウム80%エタノール水溶液を、20℃
条件下で滴下する。30分後に、試験化合物の消失を確認
し、10%メタノール塩酸を滴下し、酸性とする。反応溶
液を減圧濃縮する。得られた残渣から、含水エタノール
による再結晶化を行い、チアミン塩酸塩を得る。このチ
アミン塩酸塩の収率が高いほど、加水分解性に優れ、プ
ロドラッグとしての利用価値が高いことを意味する。
【0084】実施例1[チアミン−(2−オキソ−5−
メチル−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル−ス
ルフィドの製造例] チアミン塩酸塩(30.0g)を、水(50ml)に溶解し、20%
水酸化ナトリウム溶液(56.4g)を0〜5℃下で滴下し
た。次いで、これに一般式(1)で表わされる化合物の
一種である(2−オキソ−5−メチル−1,3−ジオキ
ソレン−4−イル)メチルクロリド(19.8g)を、室温
(20℃)下で滴下した。反応液を30分間撹拌した後に、
析出した結晶を濾取し、水(100ml),2−プロパノー
ル(100ml)の順に洗浄し、一般式(3)で表わされる
本発明の新規チアミン誘導体の一種である、チアミン−
(2−オキソ−5−メチル−1,3−ジオキソレン−4
−イル)メチル−スルフィドを得た(23.9g)。
【0085】得られた化合物の性質を下記に示す。
【0086】融点;152〜153℃
【0087】H−NMR(270MHz,TMS,CDOD,δ:
ppm);2.05(6H,−CH),2.38(3H,−CH),2.6
5(2H,−CH−),3.51(2H,−CH−),3.71(2
H,−CH−),4.52(2H,−CH−),7.82(1H,Ar
−H),7.95(1H,−CHO)
【0088】IR(KBr,cm−1);1820付近(カルボ
ニル)
【0089】上記のデータから、得られた化合物は、下
記一般式(8)で表わされるものであることが証明され
た。
【0090】
【化12】
【0091】(塩基性条件下での加水分解性試験結果)
実施例1で得られた化合物0.94g(2.38mmol),及び水
酸化ナトリウム0.33g(8.25mmol)各々を80%エタノー
ル水溶液に溶解したもの各20mlを用い、上述の試験方法
に従って、加水分解性試験を行った。得られたチアミン
塩酸塩は、0.75g(収率93%)であり、実施例1の化合物
が、高い収率で加水分解されていることがわかった。こ
の結果は、本発明の1,3−ジオキソレン−2−オン誘
導体が、腸管吸収性改善用SH残基修飾剤として機能し
ていることを示すものであり、更に、かかる修飾を施し
た本発明のチアミン−(2−オキソ−5−メチル−1,
3−ジオキソレン−4−イル)メチル−スルフィドが、
塩基性条件下で、高い加水分解性を有し、プロドラッグ
として機能し得ることを示すものである。
【0092】実施例2[O−ベンゾイルチアミン−(2
−オキソ−5−メチル−1,3−ジオキソレン−4−イ
ル)メチル−スルフィドの製造例] O−ベンゾイルチアミン塩酸塩(10.0g)を、水(50m
l)に溶解し、20%水酸化ナトリウム溶液(56.4g)を0〜
5℃下で滴下した。次いで、これに一般式(1)で表わ
される化合物の一種である(2−オキソ−5−メチル−
1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルクロリド(5.
05g)を、室温(20℃)下で滴下した。反応液を30分間
撹拌した後に、クロロホルム(500ml)を加え、有機層
を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。シリ
カゲルを充填したカラムクロマトグラフィー(クロロホ
ルム−エタノール)によって、得られた残渣を精製し、
2−プロパノールによる再結晶化を行い、一般式(3)
で表わされる本発明の新規チアミン誘導体の一種であ
る、O−ベンゾイルチアミン−(2−オキソ−5−メチ
ル−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル−スルフ
ィドを得た(6.1g)。
【0093】融点;154〜155℃
【0094】H−NMR(270MHz,TMS,CDOD,δ:
ppm);2.05(3H,−CH),2.09(3H,−CH),2.3
8(3H,−CH),2.39(2H,−CH−),3.59(2H,
−S−CH−),4.45(2H,Ar−CH−N−),4.51(2
H,−CH−),7.47−7.86(5H,−Ph),8.00(1H,Ar
−H),8.02(1H,−CHO)
【0095】IR(KBr,cm−1);1820・1710付近
(カルボニル)
【0096】上記のデータから、得られた化合物は、下
記一般式(9)で表わされるものであることが証明され
た。
【0097】
【化13】
【0098】実施例3[O−ベンゾイルチアミン−(2
−オキソ−5−メチル−1,3−ジオキソレン−4−イ
ル)メチル−スルフィドの製造例] 実施例1で得られたチアミン−(2−オキソ−5−メチ
ル−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル−スルフ
ィド(10g)を、ピリジン(100ml)に溶解し、これに、
−5〜0℃条件下で、ベンゾイルクロリド(6g)を滴下し
た。滴下後1時間撹拌し、反応液を濃縮し、得られた残
渣を0.5%塩酸水に溶解した。これをエーテルで洗浄し、
更に重炭酸ナトリウムを加えて中和した。この水溶液か
ら、クロロホルムで抽出した液を、実施例2と同様に、
硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮し、その残渣をシリ
カゲル・カラムクロマトグラフィーにより精製し、2−
プロパノールから再結晶し、一般式(3)で表わされる
本発明の新規チアミン誘導体の一種である、O−ベンゾ
イルチアミン−(2−オキソ−5−メチル−1,3−ジ
オキソレン−4−イル)メチル−スルフィドを得た(6.
5g)。
【0099】融点;154〜155℃
【0100】
【発明の効果】本発明の修飾剤である1,3−ジオキソ
レン−2−オン誘導体は、SH残基を持つ化合物の腸管吸
収性を改善する。即ち、かかる修飾剤で修飾した本発明
の誘導体は、中性及び酸性条件下では安定であり、他方
塩基性条件下では加水分解されるにも拘わらず、腸液中
では比較的安定であり、腸管から吸収された後、生体内
酵素[アリールエステラーゼ(EC 3.1.1.2)]によって
容易に加水分解されることから、腸管吸収性と生体内で
のもとの化合物への復帰を両立することができるため、
プロドラッグ等の経口用医薬組成物として有用である。
また、本発明の新規チアミン誘導体は、腸管吸収性が高
く、プロドラッグとしてのみならず、肝臓疾患の診断等
にも応用することが可能である。しかも代謝産物が人体
に対する影響が少ないため、長期投与に適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内田 哲郎 新潟県長岡市上富岡町2−1864−7 プレ オハイツA302号 (72)発明者 前川 博史 新潟県長岡市深沢町1769−1 深沢町宿舎 2−506 Fターム(参考) 4C063 AA01 BB07 CC81 DD29 EE01 4C076 CC23 CC42 FF34 FF36 4C086 AA01 BC42 GA02 GA07 MA01 MA04 MA52 NA11 NA15 ZC25

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表わされる1,3−
    ジオキソレン−2−オン誘導体からなる、腸管吸収性改
    善用SH残基修飾剤。 【化1】 (Xは、ハロゲン原子を表わす。)
  2. 【請求項2】 薬学的に許容される担体中に、有効量の
    下記一般式(2)で表わされる化合物又はその酸付加塩
    を含むことを特徴とする、経口吸収用医薬組成物。 【化2】 (Aは、脂肪族化合物残基,芳香族化合物残基あるいは
    複素環式化合物残基である。)
  3. 【請求項3】 下記一般式(3)で表わされるチアミン
    −(2−オキソ−5−メチル−1,3−ジオキソレン−
    4−イル)メチル−スルフィド又はその酸付加塩。 【化3】 (式中、Rは水素原子,又はアシル基を表わす。)
  4. 【請求項4】 Rが、炭素数3乃至5の脂肪族アシル
    基,又は芳香族アシル基である、請求項3記載のチアミ
    ン−(2−オキソ−5−メチル−1,3−ジオキソレン
    −4−イル)メチル−スルフィド又はその酸付加塩。
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