JP2003335707A - 有機ハロゲン化合物の分解処理方法および処理装置 - Google Patents

有機ハロゲン化合物の分解処理方法および処理装置

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JP2003335707A
JP2003335707A JP2002140664A JP2002140664A JP2003335707A JP 2003335707 A JP2003335707 A JP 2003335707A JP 2002140664 A JP2002140664 A JP 2002140664A JP 2002140664 A JP2002140664 A JP 2002140664A JP 2003335707 A JP2003335707 A JP 2003335707A
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organic halogen
halogen compound
decomposing
catalyst
solvent
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JP2002140664A
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English (en)
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Hiroshi Suzumura
鈴村  洋
Kenji Inoue
井上  健治
Munehiko Endo
宗彦 遠藤
Kazuhide Kanehara
和秀 金原
Kozo Sakai
晃三 酒井
Kazuhide Kamimura
一秀 上村
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Railway Technical Research Institute
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 触媒反応を効率よく進めるために触媒を予め
最適な温度に加温し、触媒反応が終了した有機ハロゲン
化合物は冷却過程でダイオキシンなどが発生しないよう
にしする有機ハロゲン化合物の分解処理装置を提供す
る。 【解決手段】 有機ハロゲン化合物を加熱する加熱手段
16を有する底部と、加熱されて蒸発した有機ハロゲン
化合物に空気を供給する供給手段17と、有機ハロゲン
化合物と空気との反応を促す触媒層14と、触媒層にお
いて生成した反応ガスを冷却するために、反応ガスに溶
剤を接触させるためのガス洗浄手段19とを含む有機ハ
ロゲン化合物の分解処理装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機ハロゲン化合
物の分解処理装置および処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】化学的に合成された物質は様々であり、
その物質中には難分解性の物質が含まれ、その処理法が
確立されていないものが多い。難分解性の物質の中に
は、自然環境を破壊する恐れがあるものや、人体への影
響が、心配されているものも多く存在し、それらの安全
な処理法の確立が早急の課題となっている。
【0003】難分解性化合物として代表的なものに、有
機ハロゲン化合物があり、特に、含塩素系有機化合物が
ある。従来、種々の含塩素系有機化合物が農薬などに使
用されている。例えば、難分解性化合物として、殺虫剤
であるDDTや、その類似化合物であるディルドリン、
ヘキサクロロシクロヘキサンなどが知られている。
【0004】また、含塩素系有機化合物の溶剤として広
く使用されているのが、テトラクロロエチレンやトリク
ロロエチレンであり、ドライクリーニング工場で洗剤と
して、あるいはマイクロチップ製造などでグリースの除
去のために用いられている。また、クロロホルム、四塩
化炭素、塩化メチレンなども工業的に用いられている。
さらに、絶縁油、熱媒体、感圧紙などに使用されていた
ポリ塩化ビフェニル(ポリ塩素化ビフェニルともいう。
以下、「PCB」と示す)や、トリクロロベンゼン(以
下、「TCB」と示す)などがある。
【0005】これらの含塩素系有機化合物は、一般に、
環境中の細菌類により容易に分解されないで、長く残留
するものが多い。そして、これらは難分解性で処理が困
難であるだけでなく、燃焼すると一部分に有害な物質を
発生するという問題がある。例えば、含塩素系有機化合
物を低温で燃やすと、極めて毒性の強いダイオキシンが
大量に生成することが知られている。したがって、含塩
素系有機化合物の処理に当たっては、厳しい環境汚染の
規制のもとで、ダイオキシンなどの有害物質が系外に排
出されないように、有害廃棄物専門の高温燃焼炉での燃
焼処理が行われる。
【0006】このような背景から、近年、例えばPCB
(ポリ塩素化ビニル)等の含塩素系有機化合物を触媒で
分解する「含塩素系有機化合物を含有する排ガスの処理
方法」(特開平7−88329号公報)が提案されてい
る。この方法では、図3の有機ハロゲン化合物分解処理
装置100に示すように、含塩素系化合物を、焼却炉1
01において、空気109とともに燃焼することによ
り、排ガスを生成する。生成した排ガスを、廃熱ボイラ
102によって500℃から350℃まで冷却し、触媒
機能付蓄熱式熱交換器103内で350℃から200℃
まで冷却しながら、含塩素系有機化合物を分解する。つ
いで、集塵器104において、排ガス中から粒子を除去
し、粒子除去後の排ガスを煙突105から大気中に放出
している。
【0007】この有機ハロゲン化合物分解処理装置10
0の特徴としては、次に述べる通りである。(1)触媒
層が、触媒機能付蓄熱式熱交換器103の蓄熱体として
設置されている点、(2)触媒層で用いられている触媒
が、窒素酸化物除去触媒である点、(3)触媒機能付蓄
熱式熱交換器103は、冷却側媒体として空気を用い、
加熱された空気を燃焼用空気として用いている点、
(4)触媒層である蓄熱体は、貫通孔の相当直径が2m
m以上で、かつ開口率が50%以上のハニカム構造体で
ある点、(5)触媒機能付蓄熱式熱交換器103は、蓄
熱体を通る排ガスと冷却媒体の空気が向流で流れる点、
(6)触媒機能付蓄熱式熱交換器103では、排ガス温
度を300℃〜450℃から、150℃〜250℃まで
減温している点である。ここで、有機ハロゲン化合物分
解処理装置100において、例えば、PCBを完全に燃
焼することにより(酸化することにより)、分解すると
きの反応式を示すと、
【化1】 である。生成物として、二酸化炭素と、水と、装置の腐
食をする可能性がある塩酸とを生成する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の
有機ハロゲン化合物分解処理装置における触媒反応の場
合には、所定温度にならないと反応を促進する効果を示
さないという問題がある。例えば、前述の特開平7−8
8329号公報の例では200℃〜350℃の間である
が、焼却炉の温度が瞬間的に上昇するわけではない。こ
のため、焼却炉の温度が上昇するまでの時間は、含塩素
系有機化合物などの有機ハロゲン化合物を、完全に燃焼
処理することができないという問題がある。また、触媒
機能付蓄熱式交換器103では、350℃のガスを、空
気との熱交換により、200℃まで冷却することになっ
ている。しかし、この冷却法は比較的緩慢なものであ
る。したがって、この緩慢な冷却過程において、ダイオ
キシンが発生することが考えられ、急速に冷却すること
が必要であると考えられる。
【0009】さらに、触媒機能付蓄熱交換器103で
は、加熱された蓄熱材を空気と接触させて、熱交換する
構造である。熱交換する構造としてユングストローム式
空気予熱器を用いた場合、円柱状の触媒層を回転させる
必要があり、触媒層(蓄熱材)が大量の場合、回転させ
るのに必要な電力コストが多大であるという問題があ
る。
【0010】また、省エネルギーのために、触媒機能付
蓄熱式熱交換器103を用いており、350℃から20
0℃の限られた温度範囲で触媒を使っているため、触媒
の最適な温度が使えない。したがって、必要以上の触媒
量を充填しなければならないので、触媒の添加によるコ
ストがかかるという問題がある。さらには、生成物とし
て、塩酸のようなハロゲン化水素が発生するので、装置
の材料の腐食対策を要し、維持コストがかかったり、特
開平7−88329号公報の装置では、ハロゲン化物を
処理する機能がないので、塩酸等が大気に放出するとい
う問題が考えられる。
【0011】以上のような問題点を解決するために、触
媒反応を効率よく進めるために触媒を予め触媒活性のた
めの最適な温度に加温し、触媒反応が終了した有機ハロ
ゲン化合物は冷却過程でダイオキシンなどが発生しない
ようにし、かつ、系外に有機ハロゲン化合物を排出しな
い有機ハロゲン化合物の分解処理装置を提供することを
本発明の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処理方法
は、有機ハロゲン化合物を加熱する加熱ステップと、加
熱されて蒸発した該有機ハロゲン化合物に空気を供給す
る空気供給ステップと、該有機ハロゲン化合物と空気と
の反応を触媒によって促進する触媒ステップと、該触媒
によって反応が促進されて生成した反応ガスを冷却する
ために、該反応ガスに溶剤を接触させるガス洗浄ステッ
プとを含む。
【0013】本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処
理方法は、前記ガス洗浄ステップ後の前記溶剤にアルカ
リを添加するアルカリ添加ステップをさらに含むことが
好適である。本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処
理方法は、前記溶剤を、水性相と、疎水性相とに分ける
分離ステップと、該疎水性相を蒸発させ、固形分を得る
固形分生成ステップと、該固形分に付着する有機ハロゲ
ン化合物を生物処理する生物処理ステップとをさらに含
むことが好適である。
【0014】本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処
理装置は、前記触媒の温度を均一に保つように、前記触
媒を加温するヒータの温度と、前記触媒に供給する前記
空気の量とを調節する調節ステップをさらに含むことが
できる。前記触媒の温度は、150℃〜350℃好まし
くは150℃〜250℃の範囲で均一に保つことが好適
である。
【0015】前記有機ハロゲン化合物が、ポリ塩化ビフ
ェニルと、p,p'−ダイオキシンと、ジクロロジフェニル
トリクロロエタンと、ディルドリンと、ヘキサクロロシ
クロヘキサンと、テトラクロロエチレンやトリクロロエ
チレンと、クロロホルムと、四塩化炭素と、塩化メチレ
ンと、トリクロロベンゼンとから成る一群から選択され
る一以上の化学物質であることができる。
【0016】本発明は別の側面として、有機ハロゲン化
合物の分解処理装置を提供し、有機ハロゲン化合物を加
熱する加熱手段を有する底部と、加熱されて蒸発した有
機ハロゲン化合物に空気を供給する空気供給手段と、該
有機ハロゲン化合物と空気との反応を促す触媒層とを有
する反応塔と、該触媒層において生成した反応ガスを冷
却するために、該反応ガスに溶剤を接触させるためのガ
ス洗浄手段とを含む。
【0017】本発明の有機ハロゲン化合物の分解処理装
置は、前記ガス洗浄手段の下部に設けられて、該溶剤を
捕集し、該溶剤にアルカリを添加するための溶剤槽をさ
らに含むことができる。なお、ガス洗浄手段は、ガス中
に浮遊する固体または液体の微粒子を水滴(または他の
液体)または水膜(薄膜)によって捕捉する気体洗浄装
置であり、スクラバーとも呼ばれ、スプレー塔、サイク
ロンスクラバー、ベンチュリスクラバー、タイゼンウォ
ッシャーがある。ガス洗浄手段の一例としてベンリュス
クラバーの一般的な構造は、ベンチュリ管のスロート部
への水を噴射させるだけで、流量測定用のベンチュリ計
に比し、スロート部の長さを長くして、高速気流と水滴
との接触時間を長くする。ベンチュリ管は、管径を25
度前後の角度で縮小した後、6〜8度の角度で元の径ま
で拡大させた管をいう。縮小部と、拡大部の間の最小管
径の部分をスロートという。
【0018】本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処
理装置は、前記溶剤槽に接続し、前記溶剤を、水性相
と、疎水性相とに分離する二相分離槽と、該疎水性相を
蒸発させ、固形分を得るための蒸発手段と、該固形分に
付着する有機ハロゲン化合物を生物処理する生物処理手
段とをさらに含むことができる。本発明に係る有機ハロ
ゲン化合物の分解処理装置は、前記触媒層を加温するヒ
ータと、該ヒータの温度を調節する温度調節手段と、前
記触媒層に供給する前記空気の量を調節する空気量調節
手段とをさらに含むことができる。
【0019】前記触媒層の温度は、150℃〜350℃
の範囲、好ましくは150℃〜250℃の範囲内の温度
に均一に保つことが好ましい。前記有機ハロゲン化合物
が、ポリ塩化ビフェニルと、p,p'−ダイオキシンと、ジ
クロロジフェニルトリクロロエタンと、ディルドリン
と、ヘキサクロロシクロヘキサンと、テトラクロロエチ
レンやトリクロロエチレンと、クロロホルムと、四塩化
炭素と、塩化メチレンと、トリクロロベンゼンとから成
る一群から選択されることが好適である。
【0020】
【実施の形態】次に、本発明に係る有機ハロゲン化合物
の分解処理装置の実施の形態を図面を参照しながら、例
示的に説明する。但し本実施の形態に記載される製品の
寸法、形状、材質、その相対配置等は特に特定的な記載
がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨
ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0021】[実施の形態1]まず、本発明に係る有機ハ
ロゲン化合物の分解処理装置の一実施の形態を図1を用
いて説明する。図1は、有機ハロゲン化合物の分解処理
装置の一実施の形態を示す概念図である。
【0022】本実施の形態の有機ハロゲン化合物の分解
処理装置1では、PCBの分解を例にして説明する。こ
こで、PCBは有機ハロゲン化合物の含塩素系有機化合
物の一例にすぎず、本発明はPCBに限定されるもので
はない。
【0023】有機ハロゲン化合物の分解処理装置1の主
な構成は、蒸発缶11と、混合部13ならびに触媒層1
4から成る反応部と、反応部のまわりのヒータ15と、
ベンチュリスクラバー19と、溶剤槽22と、溶剤貯槽
26と、アルカリ貯槽27と、熱交換器29と、二相分
離槽31と、水酸化ナトリウム水溶液相33とを含む。
【0024】次に、有機ハロゲン化合物の分解処理装置
1の作用を説明する。この作用の説明をもって、本発明
に係る有機ハロゲン化合物の分解処理方法の一実施の形
態を説明するものとする。
【0025】有機ハロゲン化合物の分解処理装置1の初
段を構成する反応塔21では、まず、有機ハロゲン化合
物の供給口であり、蒸発缶11に有機ハロゲン化合物を
注げるように蒸発缶11の上部に設けてあるバルブ12
を開け、蒸発缶11の底部に対して、PCBを図1の
「A」の部分から注入する。
【0026】次に、混合部13と触媒層14から成る反
応部のまわりに設けているヒータ15の温度を予め触媒
の活性が最も高くなる温度T1に上げておく。制御する
温度調節手段によって、ヒータ15は、常に、触媒層1
4の温度を、触媒の活性が最も高い温度に一定(例え
ば、T1)に保つようにする。例えば、PCBなどの有
機ハロゲン化合物の例でいえば、チタン−ヴァナジン−
タングステン系(Ti−V−W系)という触媒が適当で
あり、この触媒の活性が最も高い温度T1は、200℃
から240℃である。
【0027】その後、蒸発缶11の底部のまわりのヒー
タ16の温度を上げる。ヒータ16は、バルブ12より
注がれた分解する物質のPCBを蒸発させるためにあ
る。ヒータ16の温度を所定温度T2にする。所定温度
2とは、PCBが蒸発するための温度であり、常圧下
では200℃程度(150℃から250℃まで、より好
ましくは、180℃から220℃)が好ましく、100
Torr(13.3kPa)から200Torr(2
6.7kPa)のような常圧より低い減圧下では、15
0℃から160℃までが好ましい。ヒータ16の温度を
所定温度T2にしたのと同時に、触媒層14の出口の温
度計18を所定の温度T3(例えば、250℃)以下に
なるように、反応部13、14のまわりのヒータ15の
負荷を下げ、かつ空気量調節手段であるバルブ17の開
度を変えて、B部より空気を流入させる。T3以下にし
たり、空気Bを流入させる理由は、反応温度が高くなり
すぎて触媒層14が劣化するのを防ぐためであり、発生
したガスを希釈して、触媒層14の出口の温度を一定値
以下にするためのものである。
【0028】さらに、温度調節手段によって調節される
ヒータ16の温度が定常温度T4(例えば、200℃)
になると同時に、温度調節手段によって調節される反応
器まわりのヒータ15を切り、「B」部からの空気量を
調節して、触媒層14の出口の温度(センサ)18を所
定の温度T3以下になるように制御する。
【0029】蒸発缶11から蒸発したPCBを含むガス
は、蒸発缶11の上部に設けた混合器13へ送られる。
混合器13では、PCBを含むガスと空気Bを混合させ
る。混合器13は、10mmピッチハニカムを30cm
程度充填したものである。
【0030】次に、混合器13において混合したガス
を、触媒層14へ送り、温めることによって、PCBを
化学式2のように酸化し、分解する。触媒層14の温度
は、200℃程度(150℃から350℃、好ましくは
150℃〜250℃)であり、ダイオキシンを生成する
400℃以上の温度ではない。使用する触媒は、ダイオ
キシン分解用触媒であり、Ti−V−W系の4mmピッ
チ程度のハニカムであることが好ましい。使用する触媒
の他の例としては、白金系触媒やパラジウム系触媒があ
る。
【化2】
【0031】反応塔21の反応部(混合部13、触媒層
14)において、化学式2のように反応したガスを、ベ
ンチュリスクラバー19へ送る。ベンチュリスクラバー
19は、溶剤によってガスを冷却し、未反応物や反応副
生成物を溶剤に吸収するためのガス洗浄手段である。ベ
ンチュリスクラバー19の一般的な構造は、ベンチュリ
管のスロート部へ溶剤を噴射させるだけで、流量測定用
のベンチュリ計に比し、スロート部の長さを長くして、
高速気流と溶剤の液滴との接触時間を長くする。ベンチ
ュリ管は、管径を25度前後の角度で縮小した後、6〜
8度の角度でもとの径まで拡大させた管をいう。縮小部
と拡大部の間の最小管径の部分をスロートという。
【0032】ベンチュリスクラバー19では、このスロ
ートにおける円周方向の2個所20Aと20Bから、溶
剤を注入し、溶剤を触媒層14から流れてくるガスに接
触させる。この結果、溶剤によってガスを急激に冷却
し、触媒層14において反応が起きなかった未反応物や
反応副生成物を溶剤中に吸収する。このガスを急激に冷
却するとは、好ましくは1回の液との接触当たり800
〜900℃で急激に冷却することを示す。
【0033】一方、ベンチュリスクラバー19の下部に
は、溶剤槽22がある。溶剤槽22は、溶剤貯槽26と
アルカリ貯槽27とに接続している。溶剤槽22には、
未反応のPCBを溶解させる働きがあるIPA(イソプ
ロピルアルコール)や、エタノールのようなアルコール
などの溶剤を溶剤貯槽26より注入する。さらに、アル
カリ貯槽27から、アルカリ性の液を、溶剤槽22に供
給する。液がアルカリ性である理由は、生成する塩酸を
中和することによって、装置を劣化させないようにする
ためである。アルカリ性の液の例としては、水酸化ナト
リウム水溶液などの一般的なアルカリ溶液でよい。
【0034】活性炭でのPCB吸着量を多くするため
に、冷却したガスを、さらに、冷却塔23で、40℃以
下、好ましくは20℃くらいまで冷却する。冷却された
ガスは、未反応のPCBを放出しないように活性炭塔2
4を通って、大気に処理ガス25として放出される。こ
こで、活性炭塔24に吸着したPCBが飽和して、PC
Bを吸着する場所がなくなることがないように、時折、
活性炭塔24を水蒸気42で脱着し、脱着したPCB
を、配管43を経由して、溶剤槽22に流して再利用す
ることが好ましい。
【0035】溶剤槽22中の溶剤は高温ガスと接触した
ため、その一部は配管28を通り、熱交換器29へ送ら
れて温度が下げられる。熱交換器29を通過した溶剤
は、ノズル20A、20Bへ送られ、ノズル20A、2
0Bから微粒子としてベンチュリスクラバー19へ供給
される。
【0036】また、溶剤槽22中の一部の溶剤が抜き出
された後、配管30を通って、二相分離槽31に送られ
る。二相分離槽31では、水に溶解した水酸化ナトリウ
ムの作用により、上側のイソプロピルアルコール相(疎
水性相)と、下側に水酸化ナトリウム水溶液相(水性
相)に分かれる。
【0037】イソプロピルアルコール相(溶剤槽32)
を蒸発させると、ガス側にはイソプロピルアルコールと
若干の水があり、固相側には水酸化ナトリウムと未反応
のPCBが存在する。イソプロピルアルコール相(疎水
性相)32の液を、配管34を経由して、蒸発缶39に
送り、蒸発缶39において蒸発させる。このとき、溶剤
成分は、ガスとなり凝縮器40で冷却され、溶剤貯槽2
6に戻され、再利用される。蒸発缶39に析出した固化
物41は、環境上の規制値以下を満足していることを確
認後、産業廃棄物として処理する。凝縮器40により、
ガスとなったイソプロピルアルコールと水を液体にす
る。
【0038】二層分離槽31の下部の水酸化ナトリウム
水溶液相33は、水酸化ナトリウム、食塩および水を含
んでおり、配管35を経て濃縮器36に送られて、水3
8のみが分離される。脱水濃縮された水酸化ナトリウム
水溶液は、配管37を経て、塩フィルタ44に送られ
る。この塩フィルタ44においては、飽和溶解度以上で
水酸化ナトリウム水溶液に溶解しきれない塩が除去され
る。塩フィルタ44において除去・捕集された塩45
は、溶剤で洗浄溶解した後に、廃棄する。一方、塩45
を除去後の水酸化ナトリウム水溶液はアルカリ貯槽27
へ送り戻され、再使用される。
【0039】[実施の形態2]次に、本発明に係る有機
ハロゲン化合物の分解処理装置の他の実施の形態を説明
する。本実施の形態の有機ハロゲン化合物の分解処理装
置10を図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態
に係る有機ハロゲン化合物の分解処理装置10の概念図
である。本実施の形態の有機ハロゲン化合物の分解処理
装置10は、上述した有機ハロゲン化合物の分解処理装
置1と比べて、中和槽50と、生物処理槽51を設けた
点で異なる。したがって、有機ハロゲン化合物の分解処
理装置10中において、分解処理装置1と同じ参照番号
が付いている装置は、上述したように同じ機能があるも
のとし、説明を省略する。
【0040】図2に示すように、本実施の形態の有機ハ
ロゲン化合物の分解処理装置10は、蒸発缶39の下部
に中和槽50と生物処理槽51を設ける。蒸発缶39の
下部の固化物41を中和槽50に配管41を経て送る。
中和槽50においては、固化物41中の水酸化ナトリウ
ムを中和する。そして、中和された固化物41を生物処
理槽51に供給する。
【0041】さらに、濃縮器36で、水酸化ナトリウム
水溶液相33を濃縮することによって得た水38も生物
処理槽51に供給する。また、塩フィルタ44において
捕集した塩45も、生物処理槽51に供給する。
【0042】生物処理槽51は、さらなるPCB処理の
仕上げをするものである。蒸発缶39の下部の固化物4
1と塩フィルタ44で捕集された塩45にはPCBが含
まれているが、濃縮器36で濃縮された水38には、P
CBが含まれていない。
【0043】生物処理装置51において使用される生物
は、特開2001−46060号公報に開示したグラム
陰性のPCB分解菌であるComamonas Tes
tsteroni TK102株やRhodococc
us属に分類される微生物であるTSP203株と命名
したものである。これらの菌によって、水中のPCBを
1ppm程度の濃度のものを0.3ppm程度まで分解
しうる。
【0044】
【発明の効果】上記したところから明らかなように、本
発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処理装置および分
解処理方法によれば、触媒を予め触媒活性のための最適
な温度に加温したため触媒反応を効率よく進行できる。
また、触媒反応が終了した有機ハロゲン化合物は冷却過
程でダイオキシンなどを発生しないようにし、系外に有
機ハロゲン化合物を排出しないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処理装
置の一実施の形態を示す概念図である。
【図2】本発明に係る有機ハロゲン化合物の分解処理装
置の他の実施の形態を示す概念図である。
【図3】従来の有機ハロゲン化合物の分解処理装置の実
施の形態を示す概念図である。
【符号の説明】
1 有機ハロゲン化合物分解処理装置 10 有機ハロゲン化合物分解処理装置 11 蒸発缶 12 バルブ 13 混合部 14 触媒層 15 ヒータ 16 ヒータ 17 バルブ 18 温度計 19 ベンチュリスクラバー 20A ノズル 20B ノズル 21 反応塔 22 溶剤槽 23 冷却器 24 活性炭塔 25 処理ガス 26 溶剤貯槽 27 アルカリ貯槽 28 配管 29 熱交換器 30 配管 31 二相分離槽 32 溶剤槽 33 水酸化ナトリウム水溶液相 34 配管 35 配管 36 濃縮器 37 配管 38 水 39 蒸発缶 40 凝縮器 41 固化物 42 水蒸気 43 配管 44 塩フィルタ 45 塩 50 中和槽 51 生物処理槽
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 19/04 C07C 19/041 19/041 21/10 21/10 21/12 21/12 23/12 23/12 25/10 25/10 25/18 25/18 C07D 319/24 C07D 319/24 B01D 53/36 G (72)発明者 井上 健治 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 遠藤 宗彦 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三 菱重工業株式会社内 (72)発明者 金原 和秀 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人 鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 酒井 晃三 神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目3 番1号 菱和エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 上村 一秀 兵庫県神戸市兵庫区小松通五丁目1番16号 株式会社神菱ハイテック内 Fターム(参考) 2E191 BA12 BA13 BA15 BD13 4D048 AA11 AB01 AC10 BA07X BA23X BA27X CC53 CD02 CD10 DA01 DA10 DA13 4H006 AA05 AC13 AC26 BA10 BA12 BA14 BC10 BD84 BE10 BE30 EA02 EA03 EA21 EA22

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機ハロゲン化合物を加熱する加熱ステ
    ップと、 加熱されて蒸発した該有機ハロゲン化合物に空気を供給
    する空気供給ステップと、 該有機ハロゲン化合物と空気との反応を触媒によって促
    進する触媒ステップと、 該触媒によって反応が促進されて生成した反応ガスを冷
    却するために、該反応ガスに溶剤を接触させるガス洗浄
    ステップとを含む有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  2. 【請求項2】 前記ガス洗浄ステップ後の前記溶剤にア
    ルカリを添加するアルカリ添加ステップをさらに含む請
    求項1に記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  3. 【請求項3】 前記溶剤を、水性相と、疎水性相とに分
    ける分離ステップと、 該疎水性相を蒸発させ、固形分を得る固形分生成ステッ
    プと、 該固形分に付着する有機ハロゲン化合物を生物処理する
    生物処理ステップとをさらに含む請求項2に記載の有機
    ハロゲン化合物の分解処理方法。
  4. 【請求項4】 前記触媒の温度を均一に保つように、前
    記触媒を加温するヒータの温度と、前記触媒に供給する
    前記空気の量とを調節する調節ステップをさらに含むこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の有機ハ
    ロゲン化合物の分解処理方法。
  5. 【請求項5】 前記触媒の温度を、150℃〜350℃
    の範囲で均一に保つことを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  6. 【請求項6】 前記触媒の温度を、150℃〜250℃
    の範囲で均一に保つことを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理方法。
  7. 【請求項7】 前記有機ハロゲン化合物が、ポリ塩化ビ
    フェニルと、p,p'−ダイオキシンと、ジクロロジフェニ
    ルトリクロロエタンと、ディルドリンと、ヘキサクロロ
    シクロヘキサンと、テトラクロロエチレンやトリクロロ
    エチレンと、クロロホルムと、四塩化炭素と、塩化メチ
    レンと、トリクロロベンゼンとから成る一群から選択さ
    れる一以上の化学物質であることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理
    方法。
  8. 【請求項8】 有機ハロゲン化合物を加熱する加熱手段
    を有する底部と、加熱されて蒸発した該有機ハロゲン化
    合物に空気を供給する供給手段と、該有機ハロゲン化合
    物と空気との反応を促す触媒層とを有する反応塔と、 該触媒層において生成した反応ガスを冷却するために、
    該反応ガスに溶剤を接触させるためのガス洗浄手段とを
    含む有機ハロゲン化合物の分解処理装置。
  9. 【請求項9】 前記ガス洗浄手段の下部に設けられて、
    該溶剤を捕集し、該溶剤にアルカリを添加するための溶
    剤槽をさらに含む請求項8に記載の有機ハロゲン化合物
    の分解処理装置。
  10. 【請求項10】 前記溶剤槽に接続し、前記溶剤を、水
    性相と疎水性相とに分離する二相分離槽と、 該疎水性相を蒸発させ、固形分を得るための蒸発手段
    と、 該固形分に付着する有機ハロゲン化合物を生物処理する
    生物処理手段とをさらに含む請求項9に記載の有機ハロ
    ゲン化合物の分解処理装置。
  11. 【請求項11】 前記触媒層を加温するヒータと、 該ヒータの温度を調節する温度調節手段と、 前記触媒層に供給する前記空気の量を調節する空気量調
    節手段とをさらに含む請求項8〜10のいずれかに記載
    の有機ハロゲン化合物の分解処理装置。
  12. 【請求項12】 前記触媒層の温度を、150℃〜35
    0℃の範囲で均一に保つことを特徴とする請求項8〜1
    1のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理装
    置。
  13. 【請求項13】 前記触媒層の温度を、150℃〜25
    0℃の範囲で均一に保つことを特徴とする請求項8〜1
    1のいずれかに記載の有機ハロゲン化合物の分解処理装
    置。
  14. 【請求項14】 前記有機ハロゲン化合物が、ポリ塩化
    ビフェニルと、p,p'−ダイオキシンと、ジクロロジフェ
    ニルトリクロロエタンと、ディルドリンと、ヘキサクロ
    ロシクロヘキサンと、テトラクロロエチレンやトリクロ
    ロエチレンと、クロロホルムと、四塩化炭素と、塩化メ
    チレンと、トリクロロベンゼンとから成る一群から選択
    されることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記
    載の有機ハロゲン化合物の分解処理装置。
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WO2007010698A1 (ja) * 2005-07-22 2007-01-25 Riken 微粒子計数器

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