JP2003335574A - 貫通孔を有する球状リン酸カルシウム系セラミックス及びその用途 - Google Patents

貫通孔を有する球状リン酸カルシウム系セラミックス及びその用途

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貫通孔を有するリン酸カルシウム系セラミッ
クスビーズ、その集合体、及びその新しい利用形態等を
提供する。 【解決手段】 所定の空間に充填して集合体を構築した
ときに完全又は部分的連通孔多孔体を形成する機能を有
するリン酸カルシウム系セラミックス成形体であって、
(1)上記成形体は1つ以上の貫通孔を有する、(2)
上記成形体は凝集体又は焼結体である、(3)上記成形
体の形状はビーズ状である、ことを特徴とするリン酸カ
ルシウム系セラミックスビーズ、その製造方法、上記ビ
ーズを最小構成ユニットとして構築されたビーズ集合
体、ビーズの貫通孔を一定方向に配向させて集積したビ
ーズ集積体、及びそれらの完全又は部分的連通孔多孔体
としての機能を利用した各種担体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の方法で調製
した特定の形態を有するリン酸カルシウム系生体適合性
材料の、人工的な骨形成術の分野における新しい利用形
態に関するものである。更に詳しくは、本発明は、所定
の空間に充填して集合体を構築したときに完全又は部分
的連通孔多孔体を形成する機能を有するリン酸カルシウ
ム系セラミックスビーズに係るものであり、当該ビーズ
は、1つ以上の貫通孔を有し、集合状態において、骨形
成を目的とした場合の理想とされる完全又は部分的連通
孔多孔体を形成する機能を発揮する。本発明の上記リン
酸カルシウム系セラミックスビーズは、骨再生を目的と
した骨欠損部・骨折部補修用、骨粗鬆症・骨延長部位に
対する注入剤、金属製人工材料と骨母床間の間隙充填用
の充填剤、薬剤担体、細胞培養担体等として好適に利用
し得るものとして有用である。
【0002】
【従来の技術】従来より、水酸アパタイト、β−TCP
等のリン酸カルシウム系材料は、自家骨との生着・置換
を期待できる骨代替物として利用されている。それらの
利用形態としては、緻密体、多孔体及び自己硬化型ペー
スト等が知られている。これらの内、上記緻密体は、所
望のリン酸カルシウムの圧粉成形体を焼結することによ
って得られる、孔の無い焼結体である(例えば、非特許
文献1〜3参照)。
【0003】また、上記多孔体は、所望のリン酸カルシ
ウム粉体を、適宜選択したポリマーロストワックス等と
混合し、作製した成形体を焼結するか、所望のリン酸カ
ルシウム内にバブリングにより孔を作った成形体を焼結
することによって得られる、空隙、細孔を含む焼結体で
ある(例えば、非特許文献4〜5参照)。
【0004】更に、上記自己硬化型ペーストは、硬化が
期待できる組み合わせの2種類以上のリン酸カルシウム
混合物を、適宜選択された練和液と混合し、ペースト状
にした物である(例えば、非特許文献6参照)。しかし
ながら、前述の緻密体は、自家骨と置換されることがほ
とんど期待できない。また、骨代替物は、生涯を通して
破損しない機械的特性が要求されるが、上記緻密体は、
セラミックスの宿命ともいえる脆性を改善することは困
難である。また、自家骨に比べて高強度な緻密体は、周
囲の自家骨と機械的に調和せず、しばしば、自家骨の二
次的な骨折や、骨吸収の原因となる。
【0005】近年、早期の自家骨との置換を期待して、
リン酸カルシウム多孔体を骨代替物として用いるケース
が増えている。しかし、現行の多孔体は、その孔径が、
骨形成に関して適した設計ではなく、また、多くの密閉
気孔を含むため、期待通りの骨置換が実現できない。こ
の多孔体を、金属製人工材料と骨母床間の間隙充填剤と
して用いる場合、多孔体は、不定形に砕かれて間隙に充
填されるが、この際にできる粉には細胞毒性が懸念され
る。また、注入療法によって低侵襲に骨欠損を充填する
目的で、アパタイトセメント等の利用が検討されてい
る。しかし、これらは、体液・血液存在下では硬化が良
好でない。
【0006】最近、自家骨との早期置換を期待したリン
酸カルシウム系セラミックス多孔体の使用について、歯
科及び整形外科分野で検討が進められている。骨代替物
としての多孔体においては、孔径が骨芽細胞のイングロ
ースに適した大きさ(直径200〜600μm以上)を
持ち、かつ、すべての孔が1つのネットワークを作る連
通孔であることが望ましい。また、多孔体を金属製人工
材料と骨母床間の間隙充填剤として用いる場合、細胞毒
性の懸念される粒径の粉を出すことなく、創傷に緻密に
充填できる形状及びハンドリング特性が望まれている。
リン酸カルシウムを用いた注入療法においては、注入剤
が創傷内で十分な強度を保つことが期待されている。多
孔体を培養担体として用いる場合、所望の細胞が侵入・
分化・増殖できる孔径と連通孔構造が必要である。しか
し、これらの条件を満たす多孔体は未だ開発されておら
ず、当技術分野においては、上記条件を満たす新しい多
孔体材料の開発が強く要請されていた。
【0007】
【非特許文献1】K. de Groot, "Ceramics of Calcium
Phosphates: Preparation and Properties," in Biocer
amics of Calcium Phosphate, ed. K. de Groot (CRC P
ress, Boca Raton, FL., 1983) pp. 100-114
【非特許文献2】H. Denissen, Dental Root Implants
of Apatite Ceramics. Experimental Investigations
and Clinical Use of Dental Root Implants Made of A
patite Ceramics (Ph. D. Thesis, Vrije Universiteit
te Amsterdam, 1979)
【非特許文献3】H. Denissen et al.. Hydroxylapatit
e Implants (India: Piccin Nuova Libraria, S. P.
A., 1985)
【非特許文献4】W. Hubbard, Physiological Calcium
Phosphates As Orthopedic Biomaterials, (Ph. D. The
sis, Marquette University, 1974)
【非特許文献5】C. Klein et al., "Macroporous Calc
ium Phosphate Bioceramics in Dog Femora: A Histolo
gical Study of Interface and Biodegradation," Biom
aterials10 (1989) 59-62
【非特許文献6】P. D. Costantino et al., "Hydroxya
patite Cement: I. Basic Chemistry and Histologic P
roperties," Arch Otolaryngol Head Neck Surg 117 (1
991) 379-384
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術
における諸問題を確実に解消することができる新しいリ
ン酸カルシウム系生体適合性材料とその新しい利用形
態、その製品及び投与方法等を、多角的な視点から検討
し、開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結
果、1つ以上の貫通孔を有するリン酸カルシウム系セラ
ミックスビーズ及びその集合体等を利用することにより
所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成さ
せるに至った。
【0009】すなわち、本発明は、1つ以上の貫通孔を
有するリン酸カルシウム系セラミックスビーズを提供す
ることを目的とする。また、本発明は、所定の空間に充
填して集合体を構築したときに、当該集合体として完全
又は部分的連通孔多孔体を形成する機能を発揮するリン
酸カルシウム系セラミックスビーズを提供することを目
的とする。また、本発明は、上記ビーズを、その貫通孔
の一部又は全部を一方向に配向させて、所定の空間に充
填することにより構築されたビーズ集積体を提供するこ
とを目的とする。また、本発明は、上記ビーズを含む生
体用注入・充填剤、上記ビーズの多孔体としての機能を
利用した各種担体等の上記ビーズの用途を提供すること
を目的とする。更に、本発明は、骨代替物、間隙充填剤
及び細胞培養担体等の所望の用途に応じて適宜選択した
貫通孔形状、及び強度を持つリン酸カルシウム系セラミ
ックスビーズを最小単位として、それらを所定の空間に
集合させることにより、当該集合体として完全又は部分
的連通孔多孔体を形成する機能を発揮させる技術を提供
すること目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)所定の空間に充填して集合体を構築したときに完
全又は部分的連通孔多孔体を形成する機能を有するリン
酸カルシウム系セラミックス成形体であって、(a)上
記成形体は1つ以上の貫通孔を有する、(b)上記成形
体は凝集体又は焼結体である、(c)上記成形体の形状
はビーズ状である、ことを特徴とするリン酸カルシウム
系セラミックスビーズ。 (2)長軸直径が200μm〜6mmの範囲である前記
(1)記載のビーズ。 (3)貫通孔径が100μm〜3mmであり、かつ長軸
直径の70%以下である前記(1)記載のビーズ。 (4)上記リン酸カルシウム系セラミックスの原料が、
水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ素アパタイト、
塩素アパタイト、β−TCP、α−TCP、メタリン酸
カルシウム、リン酸4カルシウム、リン酸水素カルシウ
ム、リン酸水素カルシウム2水和物の群から選択された
1種、あるいは2種以上の混合物である前記(1)記載
のビーズ。 (5)上記原料が、上記原料に薬学的に許容される成分
を適量混合したものである前記(4)記載のビーズ。 (6)前記(1)記載のビーズを製造する方法であっ
て、所定の原料を用いて作製した凝集体に貫通孔を形成
し、これをそのまま又は焼結した後、適宜、所定の形状
に加工することを特徴とするリン酸カルシウム系セラミ
ックスビーズの製造方法。 (7)前記(1)から(5)のいずれかに記載のビーズ
を、最小構成ユニットとして集合体を構築し、当該集合
体として完全又は部分的連通孔多孔体を形成する機能を
有するリン酸カルシウム系セラミックスビーズ集合体と
したことを特徴とするリン酸カルシウム系セラミックス
ビーズ集合体。 (8)前記(1)から(5)のいずれかに記載のビーズ
を、その貫通孔の一部又は全部を一方向に揃えて、集積
体を構築し、当該集積体として完全又は部分的連通孔を
形成する機能を有するリン酸カルシウム系セラミックス
ビーズ集積体としたことを特徴とするリン酸カルシウム
系セラミックスビーズ集積体。 (9)前記(1)から(5)のいずれかに記載のビーズ
を、その貫通孔の一部又は全部を一方向に揃えて、集積
することにより、集積体として完全又は部分的連通孔を
形成する機能を有するビーズ集積体を構築することを特
徴とするリン酸カルシウム系セラミックスビーズ集積体
の構築方法。 (10)ビーズの任意の貫通孔に、貫通孔直径以下の太
さを持つ単線、複線又は撚り線を通して、その貫通孔の
一部又は全部を一方向に揃えて、集積する前記(9)記
載のビーズ集積体の構築方法。 (11)前記(1)から(5)のいずれかに記載のビー
ズを含むことを特徴とする生体用注入・充填剤。 (12)ビーズとマトリックスを含む前記(11)記載
の注入・充填剤。 (13)ビーズを1粒/1000ml以上含有する前記
(11)記載の注入・充填剤。 (14)マトリックスが、コラーゲン、ヒアルロン酸、
コンドロイチン硫酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム
無水物、フィブリン、フィブリノーゲン、フィブリン
糊、生理食塩水、血液、体液、骨髄、骨髄液の群から選
択された1種、あるいは2種以上の混合物である前記
(12)記載の注入・充填剤。 (15)生体の骨欠損部、骨折部、又は金属製人工材料
と骨母床間の間隙に注入・充填するための前記(11)
記載の注入・充填剤。 (16)前記(11)記載の注入・充填剤をシリンジに
充填したことを特徴とするシリンジ充填物。 (17)前記(1)から(5)のいずれかに記載のビー
ズから構成されることを特徴とする細胞培養用担体。 (18)前記(17)記載の細胞培養担体と細胞から成
ることを特徴とする細胞−担体複合体。 (19)細胞が、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細
胞、幹細胞、象牙芽細胞、セメント芽細胞、歯根膜細胞
の群から選択された1種、あるいは2種以上の混合物で
ある前記(18)記載の複合体。 (20)前記(1)から(5)のいずれかに記載のビー
ズから構成されることを特徴とする薬剤成分用担体。 (21)前記(20)記載の薬剤成分用担体と任意の薬
剤成分から成ることを特徴とする薬剤成分−担体複合
体。 (22)上記(11)記載の生体用注入・充填剤を、経
皮又は直接的に生体内、例えば、骨欠損部、骨折部、又
は金属製人工材料と骨母床間の間隙に注入・充填するこ
とを特徴とする、上記注入・充填剤の生体への注入・充
填方法。 (23)上記(22)記載の方法により生体の創傷部を
治療する方法。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明においては、リン酸カルシウム系セラミック
ス原料として、例えば、水酸アパタイト、炭酸アパタイ
ト、フッ素アパタイト、塩素アパタイト、β−TCP、
α−TCP、メタリン酸カルシウム、リン酸4カルシウ
ム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム2水
和物、が例示される。しかし、これらに制限されるもの
ではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれ
らと類似のものであれば同様に使用することができる。
本発明では、これらの中から選択された1種、あるいは
2種以上の混合物が使用される。
【0012】これらの原料は、自家骨との生着・置換性
及び低い細胞毒性の点で好適である。この場合、必要に
応じて、これらの原料に、薬学的に許容される任意の成
分を適量混合することができる。これらの例として、例
えば、亜鉛含有アパタイト、マグネシウム含有β−TC
Pが例示される。しかし、これらに制限されるものでは
ない。上記リン酸カルシウム系セラミックス(以下、リ
ン酸カルシウムと記載する)は、天然鉱物であってもよ
く、あるいは各種湿式法、乾式法で合成された物であっ
てもよい。これらは、BET値が1〜300m2 /g程
度の粉体であることが望ましい。しかし、これらに制限
されるものではない。
【0013】本発明において、上記リン酸カルシウム
は、1つ以上の貫通孔を有するセラミック形成体として
用いられる。リン酸カルシウムの成形方法としては、好
適には、例えば、球体成形用割型を用いて1〜3000
kg/cm2 程度で一軸加圧成形することによって成形
する方法、また、1000〜10000kg/cm2
度で冷間静水圧プレス(CIP)した圧粉体を摩滅する
ことによって成形する方法、等が使用される。更に、所
望のリン酸カルシウム粉をアルギン酸ナトリウムに懸濁
させたものを、多価金属イオンを含有する凝固液に滴下
して球状に成形する方法を用いてもよい。この場合、リ
ン酸カルシウム粉及びアルギン酸ナトリウムの濃度は、
それぞれ5〜90wt%、1〜50wt%であることが
望ましい。
【0014】ビーズに貫通孔を形成する方法としては、
好適には、例えば、上記割型に貫通孔作製用の突起を設
けて形成する方法、また、CIP後の成形体もしくはア
ルギン酸ナトリウムの凝固により成形されたビーズに所
望の径のニードルで貫通孔を形成する方法、等が使用さ
れる。これらの方法を用いて、割型内の突起やニードル
によって貫通孔を作製することが簡便である。この場
合、割型やニードルは、選択したリン酸カルシウムとの
反応性の低い物であることが望ましい。しかし、本発明
は、これらに制限されるものではなく、適宜の手段を使
用することができる。
【0015】貫通孔の孔径は、用途(骨形成、骨細胞培
養担体等)に合わせて適宜選択される。例えば、骨欠損
部・骨折部充填には直径200〜600μm、金属製人
工材料と骨母床間の間隙充填には直径100〜300μ
m、骨延長部位に対する注入剤としては直径200〜1
000μm、細胞培養担体としては直径200〜100
0μm、薬剤担体としては直径100〜150μmが好
適である。本発明において、「ビーズ」とは、基本的に
は、アスペクト比(長軸/短軸)が1〜3の塊状物のこ
とを意味するが、これらと実質的に均等もしくは同等の
ものも包含される。
【0016】リン酸カルシウムセラミックスビーズの焼
結は、用いたリン酸カルシウムに応じた焼結温度で実施
される。焼結後のリン酸カルシウムセラミックスビーズ
は、切削等により、所望の大きさ、真球度に整えてもよ
いし、整えなくてもよい。また、アルギン酸ナトリウム
の凝固により成形された貫通孔付きビーズにおいては、
用途に応じて、適宜、焼結せずに用いてもよい。ビーズ
の直径は、用途(骨形成、骨細胞培養担体等)に合わせ
て適宜選択される。例えば、骨欠損部・骨折部充填には
直径1〜3mm、金属製人工材料と骨母床間の間隙充填
には直径200〜2000μm、骨延長部位に対する注
入剤としては直径500〜3000μm、細胞培養担体
としては直径300〜3000μm、薬剤担体としては
直径200〜1000μmが好適である。
【0017】本発明により得られる1つ以上の貫通孔を
有するリン酸カルシウム系セラミックスビーズは、適宜
加工条件を選択することにより、200〜6000μm
の直径、及び100〜3000μmの貫通孔(ただし、
ビーズ直径の70%以下)を持ち得る。また、成形体の
調製方法により、0.05〜500MPaの圧縮強度を
持ち得る。これらの要件を具備した本発明のビーズは、
基本的には、所定の原料を用いて作製した凝集体に貫通
孔を形成し、これをそのまま又は焼結した後、適宜、必
要に応じて、所定の形状に加工することにより作製され
る。
【0018】すなわち、上記ビーズは、好適には、例え
ば、球体成形用割型を用いて一軸加圧により成形する工
程、これにφ400μmのドリルで貫通孔を作製する工
程、これを1000℃で1時間焼成する工程、得られた
1.3mm程度の大きさのアパタイトセラミックスを、
600番のダイヤモンド砥粒を電着した円形チャンバー
内で、内圧1kg/cm2 で30分間加工する工程、に
より作製される。これにより、直径1mm、貫通孔径2
50μm、圧縮強度500MPaのアパタイトセラミッ
クスビーズが得られる。しかし、本発明は、これらの方
法に制限されるものではない。
【0019】本発明により得られる1つ以上の貫通孔を
有するリン酸カルシウム系セラミックスビーズは、ビー
ズ集合体の最小構成単位(ユニット)と成り得るもので
あり、その集合状態において完全又は部分的連通孔多孔
体を形成する機能を発揮する。本発明において、「完全
又は部分的連通孔」とは、多孔体内の所望の孔径を有す
る全部又は一部の孔が連結して形成する貫通孔ネットワ
ークのことを意味する。このネットワークを形成する連
通孔は、多孔体の全域に渡る円滑な物質輸送を高効率で
実現する場である。それにより、血流、細胞、細胞のグ
ロースファクター、酸素等を多孔体の全域に高効率で供
給することが実現できる。
【0020】本発明において、1つ以上の貫通孔を有す
るリン酸カルシウム系セラミックスビーズ集積体は、上
記ビーズ集合体の所望の作用効果を効率よく発揮するよ
うに、ビーズの貫通孔を所定の方向に規則的に配向させ
たものである。具体的には、ビーズの貫通孔の一部又は
全部を一方向に揃えて、最小構成要素として所定の空間
に集積することにより構築されたものである。これによ
り、上記ビーズは、所定の空間に充填された状態で、集
積体として完全又は部分的連通孔多孔体を形成する機能
を発揮する。
【0021】本発明のリン酸カルシウム系セラミックス
ビーズ集積体は、ビーズを所定の空間に充填することに
より構築されるが、その構築方法として、例えば、ビー
ズの任意の貫通孔をナイロンワイヤー等の単線、複線又
は撚り線等で連結したものを所定の空間に充填すること
により構築する方法が例示される。しかし、これらに制
限されるものではなく、適宜の方法が使用される。貫通
孔が一定の方向に配向したビーズ集積体においては、貫
通孔ネットワーク内の物質輸送を所望の方向に限定でき
るため、その作用効果が一層高効率で発揮される。
【0022】本発明のリン酸カルシウム系セラミックス
成形体は、完全な貫通孔と、注射器等により創傷に注入
可能であり、任意形状の間隙を破損することなく充填で
きる形状を有する。すなわち、本発明のセラミックスビ
ーズは、多孔体の最小構成要素であり、経皮的な注入又
は外科的な手法により、任意形状の骨欠損部・骨折部及
び金属製人工材料と骨母床間の間隙に注入・充填するこ
とで、完全又は部分的連通孔多孔体を形成することがで
きる。また、上記ビーズは、骨粗鬆症部や骨延長術に伴
う比較的大きな骨欠損部の骨形成を助けるための注入剤
となり得る。また、細胞培養や薬剤の担体と成り得る。
貫通孔の径は、補綴部位の骨形成に適した径や、培養対
象細胞の大きさにすることができる。更に、リン酸カル
シウム系セラミックスビーズの強度は、ビーズ成形時の
圧粉及び焼結によって適宜制御することができる。
【0023】本発明のビーズは、これを滅菌梱包して製
品化される。例えば、上記ビーズを適宜の袋やパッケー
ジの空間にパックして充填物を調製し、これを滅菌、梱
包して所定の製品とすることができる。この場合、上記
ビーズ集合体や貫通孔の一部又は全部を一方向に配向さ
せたビーズ集積体を対象とすることができる。また、本
発明では、上記ビーズを含む生体用注入・充填剤をシリ
ンジに充填し、シリンジ充填物とすることができる。こ
の場合、ビーズの詰まったシリンジを滅菌する方法、上
記注入・充填剤を滅菌後、シリンジに充填する方法等が
採用されるが、これらに制限されるものではない。ま
た、本発明では、上記ビーズに任意の薬剤成分を担持さ
せて薬剤成分−担持複合体を作製することができる。こ
れらの複合体として、例えば、抗ガン剤、制ガン剤、抗
炎症剤、BMPなどが例示される。しかし、これらに制
限されるものではなく、適宜の薬剤成分を担持させるこ
とができる。
【0024】
【作用】本発明においては、1つ以上の貫通孔を有する
リン酸カルシウム系セラミックスビーズを最小構成単位
(ユニット)としてビーズ集合体が構築される。それに
より、完全又は部分的連通孔を形成する機能を有する多
孔体を構築することができる。本発明のリン酸カルシウ
ム系セラミックスビーズ集合体が形成する完全又は部分
的連通孔多孔体の連通孔内においては、物質輸送が円滑
である。そのために、多孔体内における細胞の分化・増
殖が円滑に行われる。特に、これを人工骨として用いた
場合、連通孔内には早期の骨形成が起こり、速やかに自
家骨と置換される。ビーズの貫通孔の一部又は全部が一
方向に配向した貫通孔を有するリン酸カルシウム系セラ
ミックスビーズ集積体においては、貫通孔ネットワーク
内の物質輸送を所望の方向に限定できる。そのため、連
通孔の作用が一層高効率化される。
【0025】本発明のビーズは、注射器を使用して注入
可能な形状・強度を持つ。そのため、外科的方法に比べ
低侵襲な経皮的な注入が可能である。それにより、骨欠
損部に、リン酸カルシウムの完全連通孔多孔体を形成す
ることができる。また、経皮的に骨延長部位にリン酸カ
ルシウムセラミックスを注入することにより、骨粗鬆症
部位及び骨延長術後の骨形成を助けることができる。ビ
ーズ注入直後に、所望の強度が得られる。最小構成要素
であるビーズ径を適宜選択することにより、任意形状の
骨欠損部・骨折部及び金属製人工材料と骨母床間の間隙
を充填することができる。生体内への充填に伴うビーズ
の破損が無いため、細胞毒性が懸念される粒径の粉体が
残らない。貫通孔径を適宜選択することにより、貫通孔
内に、所望の薬剤成分を担持・除放することができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるもの
ではない。 実施例1 0.5wt%のアルギン酸ナトリウム水溶液に、粒径1
50μm以下に調製した水酸アパタイト(HA)粉を1
0wt%になるように混合し、均一なスラリーとした。
このスラリーを50mlシリンジに充填し、1 wt%の
塩化カルシウム水溶液に滴下することによりHAをビー
ズ状に成形した。HAビーズが乾燥する前に、HAビー
ズの中心を通り、互いに直行する3本の貫通孔をφ40
0μmのカーボンシャフトにより形成した。貫通孔形成
後のHAビーズを100℃で12時間乾燥した後、12
00℃で1時間焼結した。焼結後、HAビーズを、80
0番のダイヤモンド砥粒を内壁にコーティングした円形
チャンバー内で移動・摩滅することにより、直径1mm
の球状に成形した。このような成形により、互いに直行
するφ250μmの貫通孔を3本有する直径1mmのH
Aセラミックスビーズが作製された。上記ビーズ一個の
圧縮試験における最大点荷重は50Nであった。図1
に、貫通孔を有するHAセラミックスビーズ模式図を示
す。上記方法で作製したビーズを1×1×1cmの空間
に充填することにより、完全連通孔多孔体を形成するこ
とができた。また、上記方法で作製したHAビーズ10
0個をコラーゲンゲル50mlに懸濁させて懸濁物を調
製した。この懸濁物は、破損することなく16Gの針を
装着したシリンジで吐出することができた。図2に、上
記HAビーズをシリンジに充填した充填物の模式図を示
す。
【0027】実施例2 市販のHA粉体をジェットミルによって1μm以下に粉
砕した。これを、φ1mm×10mmのロストワックス
と共にφ5×10mmの円柱形に一軸加圧成形した。ロ
ストワックスの位置は円柱の長軸と一致していることが
望ましい。この圧粉体を1200℃で1時間焼結した
後、3mm程度の長さに切断し、400番のダイヤモン
ド砥粒を内壁にコーティングした円形チャンバー内を1
kg/cm2 の空気圧で回転させて、直径1mmのビー
ズに成形した。このような成形により、圧縮強度100
MPa(強度は貫通孔のない円柱状態で測定)で、φ6
00μmの貫通孔を1つ有するHAビーズが作製され
た。上記方法で作製したHAビーズの貫通孔にφ300
μmのナイロンワイヤーを通して複数ビーズを拘束する
ことにより、貫通孔が配向したHAビーズ集積体を構築
した。図3に、上記HAビーズを、最小構成ユニットと
して構築した、集積体として完全連通孔多孔体を形成す
る機能を有するビーズ集積体の模式図(ワイヤーは図示
せず)を示す。
【0028】実施例3 1wt%のアルギン酸ナトリウム水溶液に、粒径100
μm以下に調製したβ−TCP粉を60wt%になるよ
うに混合し、均一なスラリーとした。このスラリーを5
0mlシリンジに充填し、5wt%の塩化カルシウム水
溶液に滴下することによりβ−TCPをビーズ状に成形
した。塩化カルシウム水溶液中において、φ300μm
のカーボンシャフトによりβ−TCPビーズに互いに直
交し、かつビーズの中心を通るようなφ300μmの貫
通孔を2つ形成した。貫通孔形成後のβ−TCPビーズ
を塩化カルシウム水溶液から取り出し、超純水で十分す
すいだ後、超純水中で保存した。このような成形によ
り、φ250μmの貫通孔を2つ有する直径1mm以下
β−TCPビーズが作製された。上記方法で作製したβ
−TCPビーズ100個をヒアルロン酸50mlと混合
し懸濁物を調製した。この懸濁物は、破損することなく
16Gの針を装着したシリンジで充填・吐出することが
できた。
【0029】実施例4 0.3mol/lの水酸化カルシウム懸濁液に、0.5
mol/lのリン酸水溶液を滴下することにより湿式合
成したHA粉体を、φ16×6mmの円柱形に一軸加圧
成形した。この圧粉体を3mm程度の大きさに砕き、そ
れぞれの破片のほぼ中心に直径400μmの貫通孔を形
成した。貫通孔の形成にはφ400μmのドリルを使用
した。貫通孔付きHA粒を1200℃で1時間焼結し
た。この焼結体は、圧縮強度300MPaであった。焼
結した貫通孔付きHA粒を、400番のダイヤモンド砥
粒を内壁にコーティングした円形チャンバー内を1kg
/cm2 の空気圧で回転させて、直径1mmのビーズに
成形した。このような成形により、φ250μmの貫通
孔を1つ有するHAビーズが作製された。上記方法で作
製したHAビーズを模擬骨と人工股関節チタン製ステム
の間隙に充填した。それにより、模擬骨に人工股関節を
強固に固定することができた。
【0030】実施例5 2wt%のアルギン酸ナトリウム水溶液に、粒径200
μm以下に調製したHA粉を60wt%になるように混
合し、均一なスラリーとした。このスラリーをシリンジ
に充填し、1wt%の塩化カルシウム水溶液に滴下する
ことによりHAをビーズ状に成形した。HAビーズが乾
燥する前に、φ300μmのカーボンシャフトによりH
Aビーズの中心にφ300μmの貫通孔1つを形成し
た。貫通孔形成後のHAビーズを凍結乾燥した後、12
00℃で1時間焼結した。焼結後、HAビーズを、80
0番のダイヤモンド砥粒を内壁にコーティングした円形
チャンバー内で移動・摩滅することにより、直径1mm
の球状に成形した。このような成形により、φ300μ
mの貫通孔を1つ有するHAセラミックスビーズが作製
された。上記ビーズ一個の圧縮試験における最大点荷重
は100Nであった。上記方法で作製したHAビーズを
φ25mmのポリスチレン製カルチャーディッシュに敷
き詰めその上で骨芽細胞の培養を試みた。その結果、骨
芽細胞がビーズ表面及び貫通孔内で付着、増殖すること
が分かった。
【0031】実施例6 1wt%のアルギン酸ナトリウム水溶液に、遊星ボール
ミルで1時間粉砕した水酸アパタイト(HA)粉を30
wt%になるように混合し、均一なスラリーとした。こ
のスラリーをデジタルピペットに充填し、4μlずつ
2.5wt%の塩化カルシウム水溶液に滴下することに
より、球状HA凝集体とした。球状HA凝集体が乾燥す
る前に、φ500μmのステンレスワイヤーを用いて、
球状HA凝集体の中心を通る貫通孔を形成した。貫通孔
形成後の球状HA凝集体を60℃で12時間乾燥した
後、1250℃で1.5時間焼結し、HAビーズを得
た。焼結後、HAビーズの貫通孔を、φ300μmの電
着ダイヤモンドバーでトリミングした。このような成形
により、HAビーズの中心を通るφ300μmの貫通孔
を1つ有する直径1±0.2mmのHAビーズが作製さ
れた(図4)。上記ビーズ一個の圧縮試験における最大
点荷重は40Nであった。上記方法で作製したHAビー
ズ100個を、12週齢の健康雄SPFウサギの脛骨近
位端に作製した径5mm、深さ5mmの骨欠損孔に埋植
し、骨欠損孔に多孔体を形成した。多孔体形成後、骨膜
・皮下組織及び皮膚を縫合し、術部を閉じた。ビーズ埋
植後7日目に、動物をSodium pentbarbital 約50mg
/kg(i.v.)麻酔下に放血により安楽死させ、脛
骨埋植部を摘出し、10%の中性緩衝ホルマリンに固定
した。固定後、埋植部をイオン交換樹脂法により脱灰
後、厚さ約3μmの切片を作製し、Hematoxylin ・eosi
n 染色を施し、形態学的な評価を実施した。上記評価に
より、貫通孔に浸入する新生骨組織、新生血管、骨梁形
成を伴う骨芽細胞の浸入が認められた(図5A)。ビー
ズ間隙にも新生骨形成が認められた(図5B)。上記新
生組織により各ビーズは連結されており、ビーズの埋入
部位からの移動は無かった。また、ビーズ内部に細胞の
浸入が認められた(図5C)。
【0032】実施例7 実施例6で作製したHAビーズ100個を、12週齢の
健康雄SPFウサギの脛骨近位端に作製した径5mm、
深さ5mmの骨欠損孔に埋植し、骨欠損孔に多孔体を形
成した。多孔体形成後、骨膜・皮下組織及び皮膚を縫合
し、術部を閉じた。ビーズ埋植後30日目に、動物をSo
dium pentbarbital 約50mg/kg(i.v.)麻酔
下に放血により安楽死させ、脛骨埋植部を摘出し、10
%の中性緩衝ホルマリンに固定した。固定後、埋植部を
イオン交換樹脂法により半脱灰状態にした後、厚さ約3
μmの切片を作製し、Hematoxylin ・eosin 染色を施
し、形態学的な評価を実施した。上記評価においては、
緻密骨レベルにあるビーズの貫通孔及びビーズ間隙が、
血管や髄腔を伴う新生骨組織により充填されており、骨
欠損治癒がほぼ完了していることが認められた(図
6)。
【0033】比較例1 実施例1で用いたHA粉にポリエチレンビーズを30w
t%混合し、φ16×6mmの円柱形に一軸加圧成形
後、1200℃で1時間焼結してHA多孔体を得た。こ
の多孔体の開放気孔率は60%であった。上記方法で作
製した多孔体を1mm程度の小片に破砕して、模擬骨と
人工股関節チタン製ステムの間隙に充填した。その結
果、破砕に伴ってできた多孔体の小突は充填作業により
圧砕され、模擬骨に人工股関節を強固に保持することが
できなかった。
【0034】比較例2 リン酸4カルシウム粉とリン酸水素カルシウム粉を等モ
ルずつ混合して混合物を調製した。この混合物を超純水
でペースト状にし、経皮的に骨欠損部に注入した。しか
し、注入物は完全に硬化しなかった。
【0035】参考例1 実施例1で作製したHAビーズを、1×1×1cmの骨
欠損部に充填した。それにより、骨欠損部に完全連通孔
多孔体を形成することができた。その結果、骨欠損部の
強度を上げることができた。
【0036】参考例2 実施例2で作製した貫通孔が配向したHAビーズ集積体
にBMPを含浸した後、骨欠損部に埋入した。それによ
り、皮質骨側にBMPを徐放することができた。
【0037】参考例3 実施例4で作製したHAビーズを、骨とチタン製インプ
ラントの間隙に充填する事により、骨にチタン製インプ
ラントを強固に固定することができた。
【0038】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、1つ以
上の貫通孔を有するリン酸カルシウム系セラミックスビ
ーズ及びその生体適合材料としての新しい利用形態に係
るものである。本発明により、以下のような格別の作用
効果が奏される。 (1)1つ以上の貫通孔を有するリン酸カルシウム系セ
ラミックスビーズが得られる。 (2)上記セラミックスビーズを最小構成要素としたビ
ーズ集合体は、当該集合体として完全又は部分的連通孔
多孔体を形成する機能を有する (3)上記セラミックスビーズの貫通孔の一部又は全部
を一定方向に配向させたビーズ集積体が得られる。 (4)上記ビーズ集積体は、当該集積体として完全連通
孔ネットワークを形成する機能を有する。 (5)上記完全又は部分的連通孔内においては、物質輸
送が円滑であるため、上記ビーズ集合体、及びビーズ集
積体を、例えば、人工骨として用いた場合、骨形成に係
る細胞の分化・増殖が円滑に行われる。 (6)上記ビーズ集積体では、貫通孔ネットワーク内の
物質輸送を所望の方向に特定できるため、一層高い作用
効果が奏される。 (7)上記ビーズ、ビーズ集合体及びビーズ集積体は、
注射器を使用して生体内に注入・充填可能な形状・強度
を有するため、生体用注入・充填剤として有用である。 (8)また、これらは、完全又は部分的連通孔を形成す
る多孔体としての機能を有するため、例えば、細胞培養
担体、薬剤成分担体などとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、HAビーズの中心を通り、互いに直行
するφ250μmの貫通孔を3本有する直径1mmのH
Aセラミックスビーズの模式図を示す。
【図2】図2は、HAセラミックスビーズを充填したシ
リンジの模式図を示す。
【図3】図3は、貫通孔を3本有するHAセラミックス
ビーズを1×1×1cmの空間に充填したときに構築さ
れる完全連通孔多孔体の一例を示す。
【図4】図4は、実施例6において作製されたφ300
μmの貫通孔を1つ有する直径1mmのHAセラミック
スビーズの一例を示す。
【図5】図5は、実施例6の動物実験結果の一例を示
す。 a:貫通孔に新生骨組織、新生血管、骨梁形成を伴う骨
芽細胞の浸入が認められる。 b:ビーズ間隙にも新生骨形成が認められる。 c:ビーズ内部に細胞の浸入が認められる。
【図6】図6は、実施例7の動物実験結果の一例を示
す。緻密骨レベルにあるビーズの貫通孔及びビーズ間隙
が、血管や髄腔を伴う新生骨組織により充填されてお
り、骨欠損治癒がほぼ完了していることが認められる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 11/14 C12N 5/00 B 4G030 Fターム(参考) 4B033 NA01 NA16 NB02 NB12 NB27 NB62 NB68 NC04 ND12 4B065 AA90X BC01 BC42 CA43 CA44 4C076 DD26 FF03 4C081 AB04 BA12 CD072 CD082 CD112 CD122 CD34 CF011 DA11 DB03 4G019 GA04 4G030 AA08 AA41 BA34 BA35 CA09 GA09 GA11 GA32

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の空間に充填して集合体を構築した
    ときに完全又は部分的連通孔多孔体を形成する機能を有
    するリン酸カルシウム系セラミックス成形体であって、
    (1)上記成形体は1つ以上の貫通孔を有する、(2)
    上記成形体は凝集体又は焼結体である、(3)上記成形
    体の形状はビーズ状である、ことを特徴とするリン酸カ
    ルシウム系セラミックスビーズ。
  2. 【請求項2】 長軸直径が200μm〜6mmの範囲で
    ある請求項1記載のビーズ。
  3. 【請求項3】 貫通孔径が100μm〜3mmであり、
    かつ長軸直径の70%以下である請求項1記載のビー
    ズ。
  4. 【請求項4】 上記リン酸カルシウム系セラミックスの
    原料が、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ素アパ
    タイト、塩素アパタイト、β−TCP、α−TCP、メ
    タリン酸カルシウム、リン酸4カルシウム、リン酸水素
    カルシウム、リン酸水素カルシウム2水和物の群から選
    択された1種、あるいは2種以上の混合物である請求項
    1記載のビーズ。
  5. 【請求項5】 上記原料が、上記原料に薬学的に許容さ
    れる成分を適量混合したものである請求項4記載のビー
    ズ。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のビーズを製造する方法で
    あって、所定の原料を用いて作製した凝集体に貫通孔を
    形成し、これをそのまま又は焼結した後、適宜、所定の
    形状に加工することを特徴とするリン酸カルシウム系セ
    ラミックスビーズの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から5のいずれかに記載のビー
    ズを、最小構成ユニットとして集合体を構築し、当該集
    合体として完全又は部分的連通孔多孔体を形成する機能
    を有するリン酸カルシウム系セラミックスビーズ集合体
    としたことを特徴とするリン酸カルシウム系セラミック
    スビーズ集合体。
  8. 【請求項8】 請求項1から5のいずれかに記載のビー
    ズを、その貫通孔の一部又は全部を一方向に揃えて、集
    積体を構築し、当該集積体として完全又は部分的連通孔
    を形成する機能を有するリン酸カルシウム系セラミック
    スビーズ集積体としたことを特徴とするリン酸カルシウ
    ム系セラミックスビーズ集積体。
  9. 【請求項9】 請求項1から5のいずれかに記載のビー
    ズを、その貫通孔の一部又は全部を一方向に揃えて、集
    積することにより、集積体として完全又は部分的連通孔
    を形成する機能を有するビーズ集積体を構築することを
    特徴とするリン酸カルシウム系セラミックスビーズ集積
    体の構築方法。
  10. 【請求項10】 ビーズの任意の貫通孔に、貫通孔直径
    以下の太さを持つ単線、複線又は撚り線を通して、その
    貫通孔の一部又は全部を一方向に揃えて、集積する請求
    項9記載のビーズ集積体の構築方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から5のいずれかに記載のビ
    ーズを含むことを特徴とする生体用注入・充填剤。
  12. 【請求項12】 ビーズとマトリックスを含む請求項1
    1記載の注入・充填剤。
  13. 【請求項13】 ビーズを1粒/1000ml以上含有
    する請求項11記載の注入・充填剤。
  14. 【請求項14】 マトリックスが、コラーゲン、ヒアル
    ロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コハク酸二ナ
    トリウム無水物、フィブリン、フィブリノーゲン、フィ
    ブリン糊、生理食塩水、血液、体液、骨髄、骨髄液の群
    から選択された1種、あるいは2種以上の混合物である
    請求項12記載の注入・充填剤。
  15. 【請求項15】 生体の骨欠損部、骨折部、又は金属製
    人工材料と骨母床間の間隙に注入・充填するための請求
    項11記載の注入・充填剤。
  16. 【請求項16】 請求項11記載の注入・充填剤をシリ
    ンジに充填したことを特徴とするシリンジ充填物。
  17. 【請求項17】 請求項1から5のいずれかに記載のビ
    ーズから構成されることを特徴とする細胞培養用担体。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の細胞培養担体と細胞
    から成ることを特徴とする細胞−担体複合体。
  19. 【請求項19】 細胞が、骨細胞、骨芽細胞、破骨細
    胞、軟骨細胞、幹細胞、象牙芽細胞、セメント芽細胞、
    歯根膜細胞の群から選択された1種、あるいは2種以上
    の混合物である請求項18記載の複合体。
  20. 【請求項20】 請求項1から5のいずれかに記載のビ
    ーズから構成されることを特徴とする薬剤成分用担体。
  21. 【請求項21】 請求項20記載の薬剤成分用担体と任
    意の薬剤成分から成ることを特徴とする薬剤成分−担体
    複合体。
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