JP2010064946A - ハイドロキャスティングによるセラミックス精密球の製造方法及びその装置 - Google Patents

ハイドロキャスティングによるセラミックス精密球の製造方法及びその装置 Download PDF

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Abstract

【課題】セラミックス粉体を精密な球形状に成形、固定したセラミックス、又はセラミックス前駆体のセラミックス精密球の製造方法、及びその装置を提供する。
【解決手段】セラミックス原料と、ゲル化剤、及び凝固液中で凝固する凝固剤を含む水系スラリーを調製し、当該スラリーを、静置した成形液中に定量吐出、分注することにより、表面張力に任せた精密球形状の球形状に成形し、かつ同時にゲル化することにより、精密球形状を保形し、保形された球状スラリーゲルを、凝固液に浸漬することにより、精密球形状を固定することからなる、セラミックス精密球の製造方法、及びセラミックス精密球の製造装置。
【効果】形の揃ったセラミックス精密球を、簡便、省原料、かつ低予算で製造することを可能とするセラミックス精密球の製造方法、及びその装置を提供する。
【選択図】図4

Description

本発明は、セラミックス精密球の製造方法及びその装置に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、セラミックス原料と、ゲル化剤と、凝固剤とを含む水系スラリーを調製し、該スラリーを、静置した成形液−凝固液の多段の反応系の成形液中に定量吐出、分注することにより、成形液中で表面張力に任せた球形状に成形し、かつ成形された球形状スラリーを同時的にゲル化して保形し、当該球状スラリーゲルを上記反応系の凝固液中に浸漬して、多段階で凝固させることにより、精密な球形状に固定した、セラミックス精密球を製造する方法及びセラミックス精密球の製造装置に関するものである。本発明は、精密かつ粒径の揃ったセラミックス又はセラミックス前駆体のセラミックス精密球を、簡便な工程及び手段で、高精度に大量に製造することを可能とする、ハイドロキャスティングによる新しいセラミックス精密球の製造に関する新技術・新製品を提供するものである。
一般に、精密球の用途は、多種多様であり、例えば、軸受、ポンプバルブ、各種弁、着色表示球、フロートボール、撹拌・粉砕メディア、医療器具等の多様の用途があげられる。精密球の製造方法としては、落下液滴法と、切削研摩法が、一般的に利用されている。これらのうち、落下液滴法は、溶融状態もしくはスラリー状態の材料を落下させ、落下中の微少重力環境下で、材料を表面張力に任せた形状とし、凝固させる方法である(図1)。
落下材料の凝固は、落下中の落下材料の乾燥や、落下材料の凝固液への着水により行う。この方法では、理想的な条件下において、落下中の材料が、精密な球形をとることが特徴である。この方法に関しては、先行技術として、例えば、セラミックス粒子をゲル粒子経由で製造する場合に、ゲル粒子製造用原液の小滴を落下させると共に、落下中の小滴を誘電加熱してゲル化し、マイクロ波電源を用いて、小滴の内部ゲルに必要な温度上昇を与え、且つ共振器の共振状態の微調製を行う、ゲル粒子の製造方法(特許文献1)、が提案されている。
また、切削研摩法は、材料を、圧造機(ヘッダーマシン)により、粗方球形に成形して球(バリ付)にした後、各種研摩法により、真球状の球(バリ無)に整える方法である(図2)。この方法は、特に、緻密で、高強度な球を得る方法として有効であり、例えば、ボールベアリングの製造に利用される。
この方法に関しては、先行技術として、例えば、アルミニウムを主成分とする材料から成る棒状素材を切断して得られる切断片を、半密閉型の型鍛造により鍛造してアルミボールに成形し、バリを除去して、アルミボールを製造する方法(特許文献2)、が提案されている。
しかしながら、落下液滴法においては、落下中の液滴は、球形状でピッタリ止まっているわけではなく、常に振動しているので、真球となることはまれである。落下材料は、凝固液に着水する時に扁平化したり、凝固液中に沈み込む時に、液滴の一部が凝固液面に拘束されて、涙型の凝固物となることを避けることが困難である。
また、材料が、落下直前、すなわち、材料吐出ノズルを離れる瞬間に、意図しない飛沫を形成することが頻繁であるため、製造時の材料ロスと、得られた凝固物の選別が不可避である。更に、この方法は、極端に微量ずつ材料を落下させること、すなわち材料吐出ノズルから切り離すことは、不可能であり、小さい精密球の製造には、不向きである。
また、他の方法として、材料吐出ノズルを振動させることにより、強制的に微量の材料をノズルから切り離す方法もあるが、ノズル状態の維持に関して、特段の配慮が必要であり、かつその方法自体が、言外のノウハウに支配されるところが多く、簡便に、科学的に、再現性を以て利用するには、問題がある。
また、この方法では、ヘッダーマシンや、研磨機等の比較的大型の機器が必要であり、この方法を、例えば、厳しい基準に縛られた生体材料の製造工程に導入することは、現実的ではない。また、切削研摩法は、研磨行程で、材料ロスが不可避であり、また、材料に特有な研磨方法が必要であり、更に、切削研摩法は、一般的に、微小球を製造することには適用できないとされている。
射出成形技術の成熟により、微小、かつ精密な成型品を製造することもできるが、一般的に、生産性が悪く、バインダーの選定が難しく、かつ精密な型は、高価である。例えば、直径1ミリのセラミックス精密球を作るために、12個/1ショット(1分)で作れる射出成形の精密型は、かなり高価である。
また、他の方法として、オイル中に、スラリーを吐出し、強撹拌することによりオイル中の原料滴を乾燥して、球状粒子を得るエマルション法等の方法も利用されている(図3)。この方法に関しては、先行技術として、例えば、油中で製造した、油を内包するポリアミド酸球の液滴を撹拌手段により分散させて、エマルジョンを形成させ、当該ポリアミド酸球を化学イミド化することにより、ポリイミド球を製造する、真球状のポリイミドの製造方法(特許文献3)、が提案されている。
しかし、この種の方法においては、球状粒子の粒径制御の方法が、撹拌回転数であり、高回転数で撹拌するほど、スラリーが小さくちぎれて、小さな球状粒子を狙えるが、明確な粒径との相関を樹立することが困難である。また、粒子同士、粒子と容器、粒子と撹拌子(撹拌棒)の衝突が、粒子形状の変形につながり、更に、スラリーの球形状を固定する手段に乏しい。従って、この種の方法では、結果的に、玉石混交な球状粒子群を得るのみであって、粒子の変形、選別、材料ロス等を免れない。
特許3462562号公報 特開2003−145247号公報 特開2002−265625号公報
このような状況の中で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術における諸問題を確実に解消することができる新しいセラミックス精密球の製造方法と、セラミックス精密球の製造装置を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた。
その結果、本発明者は、セラミックス原料粉スラリー(以下、単にスラリーと記載することがある。)と、ゲル化剤、及び凝固剤とを含む水系スラリーを、静置した成形液−凝固液の多段の反応系の成形液中に定量吐出、分注し、当該成形液中で表面張力に任せてできる形状(球形状)となったスラリーを、成形−ゲル化−保形の工程と、凝固による固定の工程に供し、これらの反応を多段で行うことにより、所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、上記成形液からなる液体自体を型として用いた射出成形的な手法により、セラミックス精密球状を製造する方法、及び当該セラミックス精密球の製造装置を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)精密かつ粒径の揃ったセラミックス又はその前駆体のセラミックス精密球を製造する方法であって、
1)セラミックス原料と、ゲル化剤と、凝固液中で凝固する凝固剤とを含む水系スラリーを調製し、当該スラリーを、静置した成形液−凝固液の多段の反応系の成形液中に定量吐出、分注することにより、当該成形液中で表面張力に任せた精密球形状の球形状に成形し、かつ成形された球形状スラリーを同時的にゲル化することにより、精密球形状を保形する工程、及び、
2)保形された球状スラリーゲルを、上記反応系の凝固液に浸漬することにより、精密球形状を固定し、精密球にする工程、
を含むことを特徴とするセラミックス精密球の製造方法。
(2)上記成形液−凝固液の多段の反応系として、同一容器に層状に形成されている多層構造の成形液−凝固液からなる多段の反応系を用いて、上記スラリーを、静置した成形液−凝固液の多段の反応系の上層の成形液中に定量吐出、分注することにより、当該成形液中で表面張力に任せた精密球形状に成形し、かつ成形された球形状スラリーを、同時的にゲル化することにより、精密球形状を保形し、次いで、保形された球状スラリーゲルを、沈降するに任せて上記反応系の凝固液に浸漬することにより、精密球形状を固定し、精密球にする、前記(1)に記載のセラミックス精密球の製造方法。
(3)セラミックス原料が、リン酸カルシウム粉体である、前記(1)又は(2)に記載のセラミックス精密球の製造方法。
(4)リン酸カルシウムが、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ素アパタイト、塩素アパタイト、β−TCP、α−TCP、メタリン酸カルシウム、リン酸4カルシウム、リン酸水素カルシウム、又はリン酸水素カルシウム2水和物の群から選択された1種、あるいは2種以上の混合物である、前記(3)に記載のセラミックス精密球の製造方法。
(5)ゲル化剤が、1)温度感受性のゲル化剤である、又は、2)アガロース、ゼラチン、ペクチン、もしくは界面活性剤又はこれらの混合物である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
(6)凝固剤が、1)多価金属イオン感受性の凝固剤である、又は2)アルギン酸ナトリウムである、前記(1)〜(5)のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
(7)成形液が、1)鉱物油、植物油、又は合成油である、2)流動パラフィンである、又は、3)コラーゲン水溶液である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
(8)凝固液が、多価金属イオン水溶液である、前記(1)〜(7)のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
(9)成形液中に定量吐出したスラリーを、温度降下でゲル化する、前記(1)〜(8)のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
(10)定量吐出が、エアパルス方式ディスペンサー、プランジャー方式ディスペンサー、デジタルピペット、又はシリンジにより行われる、前記(1)〜(9)のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
(11)前記(1)〜(10)のいずれかに記載の方法で得られるセラミックス前駆体のセラミックス精密球を、乾燥、焼結、もしくは乾燥後に焼結することを特徴とするセラミックス精密球の製造方法。
(12)セラミックス原料と、ゲル化剤と、凝固液中で凝固する凝固剤とを含む水系スラリーを、静置した成形液の反応系の成形液中に定量吐出、分注する手段と、定量吐出、分注されたスラリーを、表面張力に任せた精密球形状の球形状に成形及びゲル化して保形するための成形液を成形液層として収容する第1反応装置と、及び、精密球形状の球形状に成形及びゲル化して保形された球状スラリーを、浸漬して固定するための凝固液を凝固液層として収容する第2反応装置と、を具備していることを特徴とするセラミックス精密球の製造装置。
(13)上記第1反応装置に収容する成形液の成形液層と、第2反応装置に収容する凝固液の凝固液層とからなる多段の反応系を、同一容器に層状に収容して、比重差を利用して上層の成形液−下層の凝固液を形成することにより、上記第1反応装置に収容する成形液の成形液層と、第2反応装置に収容する凝固液の凝固液層とを、多層状に形成して、1段の反応装置で、多層構造の成形液−凝固液からなる多段の反応を行うようにした、前記(12)記載のセラミックス精密球の製造装置。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、精密かつ粒径の揃ったセラミックス又はその前駆体のセラミックス精密球を製造する方法であって、セラミックス原料と、ゲル化剤と、凝固液中で凝固する凝固剤とを含む水系スラリーを調製し、当該スラリーを、静置した成形液−凝固液の多段の反応系の成形液中に定量吐出、分注することにより、当該成形液中で表面張力に任せた精密球形状の球形状に成形し、かつ成形された球形状スラリーを同時的にゲル化することにより、精密球形状を保形する工程、及び、保形された球状スラリーゲルを、上記反応系の凝固液に浸漬することにより、精密球形状を固定し、精密球にする工程、を含むことを特徴とするものである。
本発明では、上記成形液−凝固液の多段の反応系として、同一容器に層状に形成されている多層構造の成形液−凝固液からなる多段の反応系を用いて、上記スラリーを、静置した成形液−凝固液の多段の反応系の上層の成形液中に定量吐出、分注することにより、当該成形液中で表面張力に任せた精密球形状に成形し、かつ成形された球形状スラリーを、同時的にゲル化することにより、精密球形状を保形し、次いで、保形された球状スラリーゲルを、沈降するに任せて上記反応系の凝固液に浸漬することにより、精密球形状を固定し、精密球にすること、を好ましい実施の態様としている。
また、本発明は、上記セラミックス精密球を製造する方法で使用するセラミックス精密球の製造装置であって、セラミックス原料と、ゲル化剤と、凝固液中で凝固する凝固剤とを含む水系スラリーを、静置した成形液の反応系の成形液中に定量吐出、分注する手段と、定量吐出、分注されたスラリーを、表面張力に任せた精密球形状の球形状に成形及びゲル化して保形するための成形液を成形液層として収容する第1反応装置と、及び、精密球形状の球形状に成形及びゲル化して保形された球状スラリーを、浸漬して固定するための凝固液を凝固液層として収容する第2反応装置と、を具備していることを特徴とするものである。
本発明では、上記第1反応装置に収容する成形液の成形液層と、第2反応装置に収容する凝固液の凝固液層とからなる多段の反応系を、同一容器に層状に収容して、上層の成形液−下層の凝固液を形成することにより、上記第1反応装置に収容する成形液の成形液層と、第2反応装置に収容する凝固液の凝固液層とを、多層状に形成して、1段の反応装置で、多層構造の成形液−凝固液からなる多段の反応を行うようにしたこと、を好ましい実施の態様としている。
本発明においては、スラリーとして、セラミックス粉体原料と、ゲル化剤と、凝固剤を含む水系スラリーが用いられる。セラミックス粉体は、ボールミルや、ジェットミル等、適宜の粉砕手段及び方法で、粒径が、平均粒径0超〜40μm以下、好ましくは、平均粒径7μm程度又はそれ以下、より好ましくは、平均粒径1.4μm程度又はそれ以下に調整されていることが望ましい。しかし、スラリー吐出ノズルや、吐出方法を、適宜選択することにより、各種粒径に粉砕した粉体を用いることができる。
本発明では、セラミックス粉体として、リン酸カルシウム及びそれと同等又は類似の成分が好適に用いられ、リン酸カルシウムとしては、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ素アパタイト、塩素アパタイト、β−TCP、α−TCP、メタリン酸カルシウム、リン酸4カルシウム、リン酸水素カルシウム、又はリン酸水素カルシウム2水和物、等が好適なものとして例示される。
しかし、セラミックス粉体は、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。本発明では、これらの中から選択された1種、あるいは2種以上の混合物を使用することができる。
ゲル化剤としては、例えば、所定の温度以下でゲル化する性質を有する温度感受性のゲル化剤が用いられる。具体的には、アガロース、ゼラチン、ペクチン、もしくは界面活性剤又はこれらの混合物、を用いることが好適である。また、ペクチン、界面活性剤は、アガロース、ペクチンへ添加して用いることも可能である。例えば、2%アガロース水溶液を添加したスラリーは、40℃のリザーバー内で液体状態であり、これを40℃以下の成形液に吐出すると、温度降下で緩徐にゲル化の反応を進めることができる。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。本発明において、ゲル化剤とは、温度降下でゲル化するもので、スラリーが球形状になるまでの時間を稼ぐことが可能で、ゲル化が緩徐なものを意味する。
凝固剤としては、例えば、多価金属イオンと反応して凝固する多価金属イオン感受性の性質を持つ凝固剤が用いられるが、特に、アルギン酸ナトリウムを用いることが好適である。例えば、1%アルギン酸ナトリウム水溶液を添加したスラリーは、1%塩化カルシウムの多価金属イオン水溶液により凝固させることができる。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。アルギン酸ナトリウム水溶液の濃度は、適宜調製することが可能である。本発明において、凝固剤とは、凝固が早く、スラリーの、かりそめの形状を固定できるものを意味する。
スラリーの球形状への成形は、スラリーと容易に混ざらない静置した液体(成形液)中に、スラリーを定量吐出、分注することにより行う。成形液は、成形対象のスラリーの性質に合わせて、適宜のものを選択して使用することができるが、スラリーを水系とした場合、成形液として、鉱物油、植物油等のオイルを用いることが、成形のし易さの観点から好適である。成形液としては、例えば、鉱物油、植物油、合成油、流動パラフィン、コラーゲン水溶液、等が例示される。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。
成形液中にスラリーを分注すると、スラリーは、間もなく、成形液中で、表面張力に任せた球形状となる。成形液に、スラリーに添加したゲル化剤のゲル化条件を与えることで、成形と同時的にゲル化することができる。ゲル化剤を、アガロースとした場合、成形液温度を40℃以下にすればゲル化するので、通常、室温程度の成形液を用いることが好適である。成形液を極端に冷却すると、スラリーのゲル化が、球状化に先んじて生じてしまい、精密な球形状を得ることができない。
成形液で成形された精密球状ゲルは、凝固液により、その精密球形状が固定される。凝固液としては、多価金属イオン水溶液、特に、カルシウムイオンを含む水溶液が用いられる。この凝固液は、選定した凝固剤の種類に合わせて、適宜のものを選択して使用することができるが、セラミックス粉体を、リン酸カルシウム、凝固剤を、アルギン酸ナトリウムとした場合、塩化カルシウム水溶液を凝固液とすることが、簡便さの観点から好適である。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。
上記精密球形状の固定は、スラリーの成形と、別の反応容器で行うことも可能であるが、簡便には、凝固液として、成形液より高比重で、かつ成形液と混ざらないものを使用し、同一反応容器内において、成形液の下層に凝固液を配置して、成形液層−凝固液層の多層構造の反応系で行うことが好適である。この場合、精密球状ゲルを、沈降に任せて、下層の凝固液に浸漬することができる。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。
上記のように調製したセラミックス前駆体の凝固物を、用途に応じて、乾燥、焼結することにより、セラミックス精密球を得ることができるが、当該凝固物を、乾燥、焼結せず、湿潤状態で利用することも適宜可能である。このとき、セラミックス原料が、水和硬化を期待できるセラミックス粉体、例えば、α−TCP、TTCPとDCPDの混合物、等を用いる場合、湿潤状態のまま保存することにより、焼結することなく、高強度の精密球を得ることができる。
本発明において、ゲル化剤と凝固剤は、ゲル化と凝固の仕組みの本質的な違いを言い分けているのではなく、それらの役目により言い分けているものである。ゲル化剤と凝固剤の役目は、それぞれ、ゲル化剤は、スラリーを凝固剤と反応させたときに起こる変形を抑制して保形すること、凝固剤は、保形されたスラリーをハンドリング可能な堅さに、しっかり固めて固定すること、である。ゲル化剤には、スラリー吐出ノズルを詰まらせないために、成形液と反応することがなく、ゲル化が緩徐なものが用いられる。凝固剤には、速やかな凝固で、球状粒子の回収作業や、自重による変形に耐える凝固強度が得られるものが用いられる。
本発明において、スラリーには、セラミックス粉体と、ゲル化剤と、凝固剤を含む水系スラリーが用いられる。当該スラリーの球形状への成形は、スラリーを、スラリーと容易に混ざらない静置した液体(成形液)中に定量吐出、分注することにより行う。成形液には、ゲル化剤をゲル化させる条件を与えることで、成形液中に分注されたスラリーは、当該成形液中で、表面張力に任せた精密球形状のゲルとなる。ゲル化したスラリーを、凝固液に浸漬することで、その精密球形状を固定することにより、精密球が得られる。
スラリーを、静置した成形液層−凝固液層中に定量吐出、分注することは、球形状の形態限定の射出成形と云えるが、本発明の場合、通常の射出成形の様な高価な型や、ランナーとして無駄になる材料の必要がない。本発明のセラミックス精密球の製造方法及びその装置は、形の揃ったセラミックス精密球を、簡便、省原料、かつ低予算で製造するための手段として好適に利用し得るものとして有用である。
本発明のセラミックス精密球の製造法においては、スラリーを、静置した多層液体の成形液(上層)と凝固液(下層)の反応系の成形液中に、所定の容量ずつ吐出、分注することにより、球形状に成形する。成形液中で吐出、分注されたスラリーは、成形液に拘束され、吐出ノズルから引き離すことができる精密なソルダーベンダー、すなわち吐出物をノズルから引き離すために拘束面が必要なタイプのベンダー、等を用いて、微量ずつ吐出、分注することができる。本発明では、スラリー飛散等による材料ロスがなく、得られる球状粒子径及びその分散性を確度よく高精度に制御することができる。
吐出、分注されたスラリーは、成形液中で、比較的微少重力環境に置かれ、成形液中における表面張力の効果で、精密な球形状となり、徐々にゲル化する。成形層の厚さやスラリー吐出量に応じた所定の時間の後、ゲル化した球状スラリーは、凝固層に突入し、球状凝固物となる。このとき、ゲル化の作用で、精密な球形状を維持した精密球を得ることができる。本発明のセラミックス精密球の製造方法は、精密に粒径及び形の揃ったセラミックス精密球を、簡便、省原料、かつ低予算で製造するための手段として、好適に利用し得るものである。
本発明のセラミックス精密球の製造装置は、セラミックス原料と、ゲル化剤と、凝固液中で凝固する凝固剤とを含む水系スラリーを、静置した成形液−凝固液の反応系の成形液中に定量吐出、分注する手段と、定量吐出、分注されたスラリーを、表面張力に任せた精密球形状の球形状に成形及びゲル化して保形するための成形液を成形液層として収容する第1反応装置と、及び、精密球形状の球形状に成形及びゲル化して保形された球状スラリーを、浸漬して固定するための凝固液を凝固液層として収容する第2反応装置と、を具備している。
本発明では、成形液を収容した第1の反応容器で成形を行い、凝固液を収容した第2の反応容器で凝固を行うバッチ方式を用いることができる。また、成形液を収容した反応容器で成形を行った後に、成形液を凝固液と置換することで凝固を行う方式を用いることができる。この場合、成形液と凝固液を適宜置換して成形及び凝固の反応が行われる。また、成形液と凝固液の比重差を利用して、上層の成形液と下層の凝固液を同一反応容器に多層に形成し、成形及び凝固を連続的に行う連続方式を用いることができる。この場合、オイル系の成形液と、それと比重の異なる水系の凝固液を利用することにより、一つの反応容器内に多層の反応系を容易、かつ簡便に形成することが可能となる。
本発明では、上記第1反応装置に収容する成形液の成形液層と、第2反応装置に収容する凝固液の凝固液層とからなる多段の反応系を、同一容器に層状に収容して、成形液と凝固液との比重差を利用して上層の成形液層−下層の凝固液層を形成することにより、上記第1反応装置に収容する成形液の成形液層と、第2反応装置に収容する凝固液の凝固液層とを、多層構造に形成して、1段の反応装置で、多層構造の成形液層−凝固液層からなる多段の反応を行うようにした装置を用いること、が好適である。
本発明は、静置した成形液−凝固液の多段の反応系や、同一容器に層状に形成されている多層構造の成形液層−凝固液層からなる多段の反応系を用いて、セラミックス原料スラリーを上記成形液中に定量・吐出、分注する工程と、それを、上記凝固液に浸漬する工程と、を含む多段工程で、セラミックス精密球を作製できることを実証したものである。
本発明の、精密かつ粒径の揃ったセラミックス又はその前駆体のセラミックス精密球において、精密とは、粒子の粒径や形が精密で、ビーズ製造時にできがちなツノや、バリが無いこと、を意味するものとして定義される。粒径の揃ったとは、集積時にできる間隙率と間隙構造の再現性を保証するために、ビーズに求められる仕様を満たすものであり、経験的には、長軸長分布の標準偏差が平均長軸長の5%以下であることを意味するものである。セラミックス前駆体とは、焼成、焼結によりセラミックス化する前のセラミックス材料のことである。本発明で得られるセラミックス精密球とは、自己組織化的な、最密充填に近い、集積状態を許す球形状であることで特徴付けられる高品質のものであることを意味する。
本発明により、次のような格別の作用効果が奏される。
(1)セラミックス原料スラリーを、静置した成形液層と凝固液層の層構造からなる多層液の反応系の成形液中に定量吐出することにより、当該成形液中で精密な球形状に成形し、球状になったスラリーを変形させることなく、凝固液中で凝固させることで、セラミックス精密球を製造することを可能とする、新しいセラミックス精密球の製造方法及びその装置を提供することができる。
(2)セラミックス原料スラリーと混ざらない成形液中に、当該スラリーを定量吐出することにより、得られる球状粒子の容量を、正確に均等にすることができる。
(3)セラミックス原料スラリーが、液中で作る、表面張力に任せた精密球形状のセラミックス球を、成形液−凝固液の多段の反応系で凝固させることにより、液中でのスラリー球形状を保持したセラミックス精密球を製造し、提供することができる。
(4)セラミックス原料スラリーを、静置した成形液層−凝固液層中に定量吐出することにより、球形状の形態限定の射出成形を行うことが可能であり、しかも、通常の射出成形の様な、高価な型や、ランナー等の無駄になる材料が必要とされない利点を有する。
(5)本発明のセラミックス精密球の製造方法及びその装置は、形の揃ったセラミックス精密球を、簡便、省原料、かつ低予算で製造するための手段として、好適に利用することができる。
(6)本発明により製造される精密球は、自己組織化的な、最密充填に近い、集積状態を許す球形状であり、例えば、間隙構造の揃った多孔質人工骨や、触媒担体の製造に、好適に利用することができる。
(7)本発明による精密球の製造方法は、切削研磨法等のバルクダウン的な球状粒子の製造に用いる材料のプレ成形に用いた場合、切削研磨による、無駄になる材料を減量化することが可能となる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
セラミックス原料として、市販のα−TCP粉体を使用し、当該α−TCP粉体を、更に、乾式ジェットミル(粉砕圧力:1.5 MPa)で粉砕することにより、粒度D50:1.67μm、Top:6μmとした、粉砕α−TCP粉体のセラミックス粉体原料を調製した。上記粉砕α−TCP粉体4gと、凝固剤の1%アルギン酸ナトリウム水溶液3g、及び、ゲル化剤の2%アガロース水溶液3gとを、10分間、混合し、40%α−TCPスラリーを調製した。このα−TCPスラリーの使用前の凝固を防ぐために、当該α−TCPスラリーを、40℃で湯浴した。
一方、上記スラリーを成形するための成形液から構成される成形液層と、スラリーゲルを固定するための凝固液から構成される凝固液層の層構造から構成される成形液−凝固液からなる多段の反応系の多層液を同一容器に形成した。この多層液では、上記成形液として、流動パラフィンを使用し、また、上記凝固液として、1%塩化カルシウム水溶液を使用して、これらの成形液層と凝固液層の層構造からなる多層液を、φ80×60のガラス容器内に形成することで調製した。このとき、成形液層、及び凝固液層の厚さは、それぞれ30mm、及び20mmとした。
次に、α−TCPスラリーを、プランジャー方式ディスペンサーにより、4μlずつ成形層内に吐出、分注した。吐出したα−TCPスラリーは、成形層の成形液で表面張力に任せた精密球形状の球形状に形成し、同時的にゲル化して保形し、次いで、保形された球状スラリーを、沈降するに任せて上層の凝固層の凝固液に浸漬することにより、精密球形状を凝固、固定し、精密球状粒子(湿潤)を得た。図4に、セラミックス精密球を作製する手順を示す。また、図5に、精密球形状に成形された湿潤状態のα−TCP精密球を示す。このとき、球状粒子の平均長軸長、標準偏差、及びアスペクト比(長軸長/短軸長)は、それぞれ、1.9567mm、0.0278、及び1.0118であった。軸長は、光学顕微鏡画像から、画像解析により計測した。
上記精密球状粒子(湿潤)を、超純水で洗浄した後、一昼夜、60℃で乾燥することにより、精密かつ粒径の揃った精密球状粒子(乾燥)を得た。図6に、精密球形状に成形された乾燥状態のα−TCP精密球を示す。このとき、球状粒子の平均軸長、及び標準偏差は、それぞれ、1.325mm、及び0.026(平均の約2%)であった。軸長は、ノギスにより、直接計測した。
上記精密球状粒子(乾燥)を、1400℃で焼結することにより、精密かつ粒径の揃った精密球状セラミックスを得た。このとき、精密球状セラミックスの平均軸長、及び標準偏差は、それぞれ、1.119mm、及び0.011(平均の約1%)であった。軸長は、ノギスにより、直接計測した。
セラミックス原料として、市販の水酸アパタイト(HA)粉体を使用し、当該水酸アパタイト(HA)粉体2gを、30分間、湿式粉砕し、この粉砕HA粉体と、1%アルギン酸ナトリウム水溶液3.5gと、2%アガロース水溶液3.5gとを、超純水1gと、10分間、混合し、20%水酸アパタイト(HA)スラリーとした。このHAスラリーの使用前の凝固を防ぐために、該HAスラリーを、40℃で湯浴した。多層液は、実施例1と同様の方法で調製した。
HAスラリーを、プランジャー方式ディスペンサーにより、4μlずつ成形層の成形液に吐出、分注した。吐出したHAスラリーは、成形層で精密球形状の球形状となり、凝固層で凝固、固定し、精密球状粒子(湿潤)を得た。図7に、精密球形状に成形された湿潤状態のHA精密球を示す。このとき、球状粒子の平均長軸長、標準偏差、及びアスペクト比(長軸長/短軸長)は、それぞれ、1.9567mm、0.0327、及び1.0118であった。軸長は、光学顕微鏡画像から、画像解析により計測した。
上記精密球状粒子(湿潤)を、超純水で洗浄した後、一昼夜、60℃で乾燥することにより、精密かつ粒径の揃った精密球状粒子(乾燥)を得た。図8に、精密球形状に成形された乾燥状態のHA精密球を示す。このとき、球状粒子の平均軸長、及び標準偏差は、それぞれ、1.153mm、及び0.027(平均の約2.4%)であった。軸長は、ノギスにより、直接計測した。
上記精密球状粒子(乾燥)を、1250℃で焼結することにより、精密かつ粒径の揃った精密球状セラミックスを得た。このとき、精密球状セラミックスの平均軸長、及び標準偏差は、それぞれ、0.845mm、及び0.014(平均の約1.7%)あった。軸長は、ノギスにより、直接計測した。
実施例1で調製したα−TCPスラリーを、エアパルス式ディスペンサーにより、実施例1と同様の多層液中に吐出することにより、精密球状粒子(湿潤)を作製した。図9に、エアパルス式ディスペンサーと卓上ロボットにより製造した、精密球形状に成形された湿潤状態のα−TCP精密球を示す。エアパルス式ディスペンサーの吐出条件は、air press:0.03MPa、Dispense Time:0.02 sec.とした。
エアパルス式ディスペンサーは、卓上ロボットにマウントされており、5mm間隔で、10×10=100粒の吐出を、リザーバー内スラリーがなくなるまで、自動的に繰り返すことができる。このとき、精密球状粒子(湿潤)のアスペクト比(長軸長/短軸長)は、1.0134であった。軸長は、光学顕微鏡画像から、画像解析により計測した。
実施例1と同様の方法で調製した40%α−TCPスラリーを、デジタルピペットで、流動パラフィンの成形層の成形液の表層に4μlずつ吐出、分注することにより、球状スラリー滴を形成した。球状スラリー滴を、流動パラフィンを入れた容器ごと氷冷し、球状スラリー滴同士が接触しても、一体化しない程度にゲル化させた。上記作業の後、成形液の流動パラフィン層を、1%塩化カルシウム水溶液で置換し、ゲル化した球状スラリーを、凝固、固定することにより、湿潤状態のα−TCP精密球を得た。
比較例1
実施例1、2で調製したスラリーを、凝固液のみに滴下して、球状粒子製造を試みた。その結果、滴下スラリーの着水時の扁平や、沈降する際の変形(ツノの形成)を避けることができず、得られる粒子は、碁石状であったり、涙滴状であった。また、スラリー滴下時にできる、飛沫の混入が不可避であり、それらを、滴下後に除去する必要があった。この方法の問題を解決すべく、スラリー吐出ノズルを、凝固液中に入れて、スラリー吐出を試みたが、ノズル内でのスラリー凝固により、ノズル詰まりとなった。
比較例2
実施例1、2で調製したスラリーを、成形液のみで球状ゲルとした。その結果、容器内でのスタックや、回収時のダメージが深刻であり、精密な球状粒子を得ることができなかった。
以上詳述したように、本発明は、スラリーを、静置した成形液中に定量吐出することにより、精密な球形状に成形し、液中で球状になったスラリーを、変形させることなく、凝固液中で凝固させることからなる、セラミックス精密球の製造方法、及びその装置に係るものであり、本発明により、セラミックス原料スラリーを、スラリーと混ざらない成形液中に定量吐出、分注することにより、得られる球状粒子の容量を正確に揃えた、セラミックス精密球を作製することが可能である。スラリーが液中で作る表面張力に任せた精密球形状のセラミックス粒子を、多段の反応系で、成形、保形、固定、凝固させることにより、成形液中でのスラリー球形状を保持したセラミックス精密球を作製することが可能となる。
本発明では、スラリーを、静置した成形液層−凝固液層の成形液中に定量吐出、分注して、球形状の形態限定の射出成形を行うことが可能であり、しかも、通常の射出成形の様な高価な型や、ランナーとして無駄になる材料が必要とされない利点が得られる。本発明は、形の揃ったセラミックス精密球を、簡便、省原料、かつ低予算で製造するための手段として、好適に利用し得る、セラミックス精密球の製造方法、及びその装置を提供するものとして有用である。
落下液滴法の模式図を示す。 切削研磨法の模式図を示す。 エマルション法の模式図を示す。 本発明のハイドロキャストの模式図を示す。 精密球形状に成形された湿潤状態のα−TCP精密球を示す。 精密球形状に成形された乾燥状態のα−TCP精密球を示す。 精密球形状に成形された湿潤状態のHA精密球を示す。 精密球形状に成形された乾燥状態のHA精密球を示す。 エアパルス式ディスペンサーと卓上ロボットにより製造した、精密球形状に成形された湿潤状態のα−TCP精密球を示す。

Claims (13)

  1. 精密かつ粒径の揃ったセラミックス又はその前駆体のセラミックス精密球を製造する方法であって、
    1)セラミックス原料と、ゲル化剤と、凝固液中で凝固する凝固剤とを含む水系スラリーを調製し、当該スラリーを、静置した成形液−凝固液の多段の反応系の成形液中に定量吐出、分注することにより、当該成形液中で表面張力に任せた精密球形状の球形状に成形し、かつ成形された球形状スラリーを同時的にゲル化することにより、精密球形状を保形する工程、及び、
    2)保形された球状スラリーゲルを、上記反応系の凝固液に浸漬することにより、精密球形状を固定し、精密球にする工程、
    を含むことを特徴とするセラミックス精密球の製造方法。
  2. 上記成形液−凝固液の多段の反応系として、同一容器に層状に形成されている多層構造の成形液−凝固液からなる多段の反応系を用いて、上記スラリーを、静置した成形液−凝固液の多段の反応系の上層の成形液中に定量吐出、分注することにより、当該成形液中で表面張力に任せた精密球形状に成形し、かつ成形された球形状スラリーを、同時的にゲル化することにより、精密球形状を保形し、次いで、保形された球状スラリーゲルを、沈降するに任せて上記反応系の凝固液に浸漬することにより、精密球形状を固定し、精密球にする、請求項1に記載のセラミックス精密球の製造方法。
  3. セラミックス原料が、リン酸カルシウム粉体である、請求項1又は2に記載のセラミックス精密球の製造方法。
  4. リン酸カルシウムが、水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ素アパタイト、塩素アパタイト、β−TCP、α−TCP、メタリン酸カルシウム、リン酸4カルシウム、リン酸水素カルシウム、又はリン酸水素カルシウム2水和物の群から選択された1種、あるいは2種以上の混合物である、請求項3に記載のセラミックス精密球の製造方法。
  5. ゲル化剤が、1)温度感受性のゲル化剤である、又は、2)アガロース、ゼラチン、ペクチン、もしくは界面活性剤又はこれらの混合物である、請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
  6. 凝固剤が、1)多価金属イオン感受性の凝固剤である、又は2)アルギン酸ナトリウムである、請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
  7. 成形液が、1)鉱物油、植物油、又は合成油である、2)流動パラフィンである、又は、3)コラーゲン水溶液である、請求項1〜6のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
  8. 凝固液が、多価金属イオン水溶液である、請求項1〜7のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
  9. 成形液中に定量吐出したスラリーを、温度降下でゲル化する、請求項1〜8のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
  10. 定量吐出が、エアパルス方式ディスペンサー、プランジャー方式ディスペンサー、デジタルピペット、又はシリンジにより行われる、請求項1〜9のいずれかに記載のセラミックス精密球の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の方法で得られるセラミックス前駆体のセラミックス精密球を、乾燥、焼結、もしくは乾燥後に焼結することを特徴とするセラミックス精密球の製造方法。
  12. セラミックス原料と、ゲル化剤と、凝固液中で凝固する凝固剤とを含む水系スラリーを、静置した成形液の反応系の成形液中に定量吐出、分注する手段と、定量吐出、分注されたスラリーを、表面張力に任せた精密球形状の球形状に成形及びゲル化して保形するための成形液を成形液層として収容する第1反応装置と、及び、精密球形状の球形状に成形及びゲル化して保形された球状スラリーを、浸漬して固定するための凝固液を凝固液層として収容する第2反応装置と、を具備していることを特徴とするセラミックス精密球の製造装置。
  13. 上記第1反応装置に収容する成形液の成形液層と、第2反応装置に収容する凝固液の凝固液層とからなる多段の反応系を、同一容器に層状に収容して、比重差を利用して上層の成形液−下層の凝固液を形成することにより、上記第1反応装置に収容する成形液の成形液層と、第2反応装置に収容する凝固液の凝固液層とを、多層状に形成して、1段の反応装置で、多層構造の成形液−凝固液からなる多段の反応を行うようにした、請求項12記載のセラミックス精密球の製造装置。
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