JP2003335567A - セメント硬化体及びその製造方法 - Google Patents
セメント硬化体及びその製造方法Info
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- Y02W30/91—Use of waste materials as fillers for mortars or concrete
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Abstract
取り付けなどの取り扱いに際しての端部や角部の欠損、
不充分な強度、特に曲げ強度に起因するトラブルを解消
することが可能となる、主として土木・建築分野におい
て使用される炭酸化されたセメント硬化体及びその製造
方法を提供すること。 【解決手段】 高炉徐冷スラグ粉末を含有してなるセメ
ントコンクリート組成物と水とを混練してセメントコン
クリートを調製し、成形し、炭酸化してなるセメント硬
化体、セメントコンクリートが、さらに、高分子化合物
を含有してなる該セメント硬化体、高炉徐冷スラグ粉末
が、非硫酸態イオウとして存在するイオウを0.5%以上
含む該セメント硬化体、高炉徐冷スラグ粉末のガラス化
率が30%以下である該セメント硬化体、並びに、該セメ
ント硬化体の製造方法を構成とする。
Description
築分野において使用される炭酸化されたセメント硬化体
及びその製造方法に関する。なお、本発明のセメントコ
ンクリートとは、セメントペースト、モルタル、及びコ
ンクリートを総称するものである。また、本発明におけ
る部や%は特に規定しない限り質量基準である。
圧縮強度に比べ、曲げ強度が小さいという課題があっ
た。特に、大型の建築物に使用される板材等は横持ちと
いう面から充分な強度を必要とし、運搬中や施工中に端
部や角部が破損しないよう、かなりの強度を必要として
いる。
メント硬化体を製造するためには、蒸気養生又はオート
クレーブ養生等の高温高圧養生を行ったり、水/セメン
ト比を低くするなどの方法を行っていた。しかしなが
ら、高温高圧のもとで養生を行うと、セメントにマイク
ロクラックが入りやすくなり、高い圧縮強度が得られて
も、曲げ強度を顕著に増大するものではなかった。ま
た、水/セメント比を低くする方法は、作業性が非常に
悪く、運搬や取り扱いが不便なため実用性において課題
があった。
討を行った結果、特定のセメントコンクリートを炭酸化
することにより、前記課題が解消できることを知見して
本発明を完成するに至った。
冷スラグ粉末を含有してなるセメントコンクリート組成
物と水とを混練してセメントコンクリートを調製し、成
形し、炭酸化してなるセメント硬化体であり、セメント
コンクリートが、さらに、高分子化合物を含有してなる
該セメント硬化体であり、高炉徐冷スラグ粉末が、非硫
酸態イオウとして存在するイオウを0.5%以上含有して
なる該セメント硬化体であり、高炉徐冷スラグ粉末のガ
ラス化率が30%以下である該セメント硬化体であり、該
セメント硬化体の製造方法である。
下、徐冷スラグ粉という)は、鉄鋼所から排出される産
業廃棄物であり、高炉徐冷スラグの粉末であって、徐冷
されて結晶化した密度3.00g/cm3程度の高炉スラグ粉末
である。高炉徐冷スラグの成分は高炉水砕スラグと同様
の組成を有しており、具体的には、SiO2、CaO、Al2O3、
及びMgOなどを主要な化学成分とし、その他の成分とし
て、TiO2、MnO、Na2O、S、P2O5、及びFe2O3などが挙げ
られる。
レナイト2CaO・Al2O3・SiO2とアケルマナイト2CaO・MgO・2S
iO2の混晶である、いわゆる、メリライトを主成分とす
るもので、その他、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO
2、ランキナイト3CaO・2SiO2、及びワラストナイトCaO・S
iO2などのカルシウムシリケート、メルビナイト3CaO・Mg
O・2SiO2やモンチセライトCaO・MgO・SiO2などのカルシウ
ムマグネシウムシリケート、アノーサイトCaO・Al2O3・2S
iO2、リューサイト(K2O、Na2O)・Al2O3・SiO2、スピネルM
gO・Al2O3、マグネタイトFe3O4、並びに、硫化カルシウ
ムCaSや硫化鉄FeSなどの硫化物等を含む場合がある。
ば、硫化物、多硫化物、イオウ、チオ硫酸、及び亜硫酸
等のように非硫酸態イオウとして存在するイオウ(以
下、単に非硫酸態イオウという)を0.5%以上含むものを
粉末化した徐冷スラグ粉を用いることが好ましく、0.7
%以上がより好ましく、0.9%以上が最も好ましい。非
硫酸態イオウが0.5%未満では、本発明の効果、即ち、
流動性の保持性能や六価クロム還元性能が充分に得られ
ない場合がある。非硫酸態イオウ量は、全イオウ量、単
体イオウ量、硫化物態イオウ量、チオ硫酸態イオウ量、
及び硫酸態イオウ(三酸化イオウ)量を山口と小野の方法
で定量することによって、また、硫酸態イオウ量(三酸
化イオウ)と硫化物態イオウ量については、JIS R 5202
に定められた方法で定量することによっても求めること
ができる(「高炉スラグ中硫黄の状態分析」、山口直
治、小野昭紘:製鉄研究、第301号、pp.37-40、1980参
照)。
好ましく、10%以下がより好ましい。ガラス化率が30%
を超えると水和熱が大きくなる場合がある。ガラス化率
(X)は、X(%)=(1−S/S0)×100として求められ
る。ここで、Sは粉末X線回折法により求められる徐冷
スラグ粉中の主要な結晶性化合物であるメリライトのメ
インピークの面積であり、S0は徐冷スラグ粉を1,000℃
で3時間加熱し、その後、5℃/分の冷却速度で冷却し
たもののメリライトのメインピークの面積を表す。
ブレーン値という)は特に限定されるものではないが、
4,000cm2/g以上が好ましく、4,500〜8,000cm2/gがより
好ましく、5,000〜8,000cm2/gが最も好ましい。ブレー
ン値が4,000cm2/g未満では、材料分離抵抗性が得られな
かったり、中性化の抑制効果が充分でない場合があり、
8,000cm2/gを超えるように粉砕するには、粉砕動力が大
きくなり不経済であり、また、徐冷スラグ粉が風化しや
すくなって品質の経時的な劣化が大きくなる場合があ
る。
イトの格子定数aが7.73〜7.82の範囲にあるものが特に
中性化の抑制効果が顕著であることから好ましい。
に対して、10部以上が好ましく、40部以上がより好まし
い。10部未満では炭酸化による強度増強が顕著に現れな
い場合がある。
ラグ粉を含有するセメントコンクリート組成物と水とを
混練してセメントコンクリートを調製する。
通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトラ
ンドセメント、これらポルトランドセメントに、高炉ス
ラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合
セメント、並びに、石灰石微粉末を混合したフィラーセ
メントなどが挙げられ、そのうち、普通、早強、及び低
熱のポルトランドセメントが好ましい。
されるものではなく、一般に市販されているポリマー混
和剤が使用可能である(「コンクリート混和剤の開発技
術」、シーエムシー、240〜262頁、1998年発行参照)。
具体的にはポリアクリル酸エステル(PAE)、スチレン
アクリル酸エステル(SAE)、スチレンブタジエンゴム
(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びポリ酢
酸ビニル(PVAC)などが挙げられ、粉末状でも水溶液
でも使用可能である。高分子化合物の使用量は、セメン
ト100部に対して、5〜15部が好ましい。5部未満では
高分子化合物添加による強度増進効果が小さい場合があ
り、15部を超えると高分子化合物を併用しても強度増進
につながらない場合がある。
分子化合物、及び砂や砂利等の骨材、さらに、目的に応
じてその他各種の添加剤を配合してセメントコンクリー
ト組成物とし、それを比較的高い水/セメント比で混練
し、作業生の良い状態で所定の形状に成形する。
部に対して、40〜60部が好ましく、45〜55部がより好ま
しい。40部未満では本発明の効果が得られにくく、60部
を超えると徐冷スラグや高分子化合物を併用しても強度
増進につながらない場合がある。
が、通常の常温養生の他に蒸気養生等の加温養生等も可
能であり、炭酸化と同時に行うことも可能である。養生
期間は水/セメント比や配合などにより異なるが、加温
養生で2〜24時間程度であり、常温養生では3〜28日程
度である。
なくとも脱型可能な硬さに達した後、炭酸化することが
必要である。セメント硬化体の炭酸化とは、セメントの
水和反応により生成した水酸化カルシウム(Ca(OH)2)
と、浸透してきた炭酸ガス(CO2)とが反応することによ
り炭酸カルシウム(CaCO3)と水になる反応である。この
際、セメント硬化体が高アルカリ性から中性側に漸次移
行するので、セメント硬化体の切断面にフェノールフタ
レイン溶液を噴霧し、呈色の変化から容易に炭酸化の程
度を確認できる。炭酸化条件は、空気中より炭酸ガス濃
度が高い雰囲気、例えば、炭酸ガス濃度1〜30%が好ま
しく、5〜10%がより好ましい。また、高圧容器中で炭
酸化することは生産性向上の面からさらに有効である。
炭酸化の程度としては、少なくともセメント硬化体の表
面から2〜3mmが炭酸化されていれば、曲げ強度が著し
く向上する。さらに、セメント硬化体の全体にわたって
炭酸化された場合はこの効果が一層顕著になる。一般に
は、炭酸化は無筋のセメント硬化体に施すことが効果的
である。
性向上の面から好ましい。蒸気養生やオートクレーブ養
生等における温度は、30〜180℃が好ましく、40〜160℃
がより好ましい。30℃未満では生産性が不充分であり、
180℃を超えると温度応力によりマイクロクラックが多
く入り、耐久力が低下する場合がある。
明する。
メント/砂比が1/2、水/セメント比50%のモルタルを
調製した。調整したモルタルを形枠に詰め、温度20℃、
相対湿度80%の試験室で8時間養生を行った後、昇温速
度15℃/時間、最高温度50℃、保持時間4時間の条件で
蒸気養生し、材齢24時間で脱型して供試体を作製した。
この供試体を炭酸ガス濃度10%、温度40℃、及び相対湿
度60%の環境で材令7日まで促進炭酸化養生を行い、中
性化深さと曲げ強度を測定した。その結果を表1に併記
する。なお、比較のため、20℃の水中で材齢7日まで標
準養生を行ったものも同様に行った。結果を表1に併記
する。
断面に、フェノールフタレインの1%水溶液を塗布し、
赤色に呈色しなかった部分の表面からの深さを測定、4
点平均値 曲げ強度 :4×4×16cmの供試体を作製し、JIS A 11
06に準じて測定
10%以上使用して、促進炭酸化したものは、高い曲げ強
度発現性を示す。
0部に対して10部の高分子化合物を使用し、表2に示
す炭酸ガス濃度で促進炭酸化養生を行ったこと以外は実
験例1と同様に行った。結果を表2に併記する。
販品
〜30%の雰囲気下で促進炭酸化養生したものは、高い曲
げ強度発現性を示す。
メント100部に対して10部の高分子化合物を用いて、
炭酸ガス濃度10%で促進炭酸化養生したこと以外は実験
例2と同様に行った。結果を表3に併記する。
ドセメント、ブレーン4,500cm2/g、密度3.12g/cm3 セメントγ:電気化学工業株式会社製、低熱ポルトラン
ドセメント、ブレーン3,500cm2/g、密度3.15g/cm3
によらず、本発明のセメント硬化体は高い曲げ強度発現
性を示す。
炭酸ガス濃度10%で促進炭酸化養生したこと以外は実験
例2と同様に行った。結果を表4に示す。
ガラス化率が30%以下の場合、優れた曲げ強度発現性を
示す。
促進炭酸化養生したこと以外は実験例2と同様に行っ
た。結果を表5に併記する。
E)、市販品 高分子化合物:スチレンブタジエンゴム(SBR)、市
販品 高分子化合物:ポリビニルアルコール(PVA)、市販
品 高分子化合物:ポリ酢酸ビニル(PVAC)、市販品
ト硬化体は、高分子化合物の種類によらず、優れた強度
発現性を示す。
ント硬化体は優れた曲げ強度発現性を示す。そして、本
発明のセメント硬化体は、カーテンウォール、コンクリ
ート製埋設型枠、及びALCなどの建材等、コンクリー
ト二次製品に好ましく使用される。特に、90×180cm以
上の板状製品において、横持ち運搬や取り付けなどの取
り扱いに際しての端部や角部の欠損、不充分な強度、特
に曲げ強度に起因するトラブルを解消することが可能と
なる。
Claims (5)
- 【請求項1】 高炉徐冷スラグ粉末を含有してなるセメ
ントコンクリート組成物と水とを混練してセメントコン
クリートを調製し、成形し、炭酸化することを特徴とす
るセメント硬化体。 - 【請求項2】 セメントコンクリートが、さらに、高分
子化合物を含有してなることを特徴とする請求項1に記
載のセメント硬化体。 - 【請求項3】 高炉徐冷スラグ粉末が、非硫酸態イオウ
として存在するイオウを0.5%以上含有してなることを
特徴とする請求項1又は請求項2に記載のセメント硬化
体。 - 【請求項4】 高炉徐冷スラグ粉末のガラス化率が30%
以下であることを特徴とする請求項1〜3のうちの一項
に記載のセメント硬化体。 - 【請求項5】 請求項1〜4のうちの一項に記載のセメ
ント硬化体の製造方法。
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