JP2003334069A - アルコール脱水素酵素およびそれを用いた光学活性3−キヌクリジノールの製造法 - Google Patents
アルコール脱水素酵素およびそれを用いた光学活性3−キヌクリジノールの製造法Info
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Abstract
学活性3−キヌクリジノールあるいはその塩を製造する
に際し、新規なアルコール脱水素酵素酵素およびその作
用による光学活性3−キヌクリジノールあるいはその塩
を製造する方法を提供する。 【解決手段】 次の(1)および(2)に示す理化学的
性質を有するアルコール脱水素酵素。 (1) NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチド)を補酵素として、3−キヌクリジノンある
いはその塩を還元し、R−3−キヌクリジノールを生成
する。 (2) 3−キヌクリジノンを基質とした場合の至適p
Hが7.0〜9.0の範囲内にある。
Description
ルコール脱水素酵素酵素およびその作用による光学活性
3−キヌクリジノールあるいはその塩を製造する方法に
関する。これらの光学活性3−キヌクリジノールあるい
はその塩は種々の医農薬品等の原料として有用である。
リジノールは特開平10-243795、特開平11-196890および
特開2000-245495に微生物菌体を利用した方法が提案さ
れている。しかし、これらの方法で使用されている触媒
は、特開平10-243795では、ナカザワエア(Nakazawae
a)属、カンジダ(Candida)属、プロテウス(Proteu
s)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、シュー
ドモナス(Pseudomonas)属およびロドスポリジウム(R
hodosporidium)属の菌体のみであり、特開平11-196890
ではロドトルウラ(Rhodotorula)属、カンジダ(Candi
da)属、スポリジオボルウス(Sporidiobolus)属、ロ
ドスポリジウム(Rhodosporidium)属、スシゾサッカロ
マイセス(Schizosaccharomyces)属、クリプトコッカ
ス(Cryptococcus)属、トリコスポロン(Trichosporo
n)属、ゴルドナ(Gordona)属、ピキア(Pichia)属お
よびノカルデイア(Nocardia)属の菌体のみであり、ま
た、特開2000-245495ではアルアリゲネス(Alcaligene
s)属、コルネバクテリウム(Corynebacterium)属、
アースロバクター(Arthrobacter)属、フィロバシディ
ウム(Filobasidium)属、 ロドトルウラ(Rhodotorul
a)属、オウレオバシジウム(Aureobasidium)属および
ヤロウィア(Yarrowia)属の菌体のみを用いている。こ
れらの菌体での反応はそれ由来の不純物、あるいは他の
酵素による副反応等により、生成物の単離が煩雑になる
ことがしばしばある。
法として精製あるいは粗精製の酵素レベルでの本反応は
知られていない。本発明により提供されるような新規酵
素およびそれらを利用してのR−3−キヌクリジノール
あるいはその塩の有用な合成方法が望まれていた。
製法としては、これまでに、例えば、光学活性酒石酸等
を分割剤とする優先晶析法により光学活性3−キヌクリ
ジノール誘導体に導く方法( Acta. Pharm. Suec., 16,
281-3 (1979) )等が報告されている。微生物等の触媒
を利用する方法としては、3−キヌクリジノールの低級
脂肪酸エステルを酵素により不斉加水分解して光学活性
3−キヌクリジノールに分割する方法(米国特許5,215,
918、特開平10-136995、特開平10-210997および Life S
ic. 21, 1293-1302 (1977))が知られている。しかし、
これらの方法は、ラセミ体を出発原料とし、光学分割し
て目的の光学異性体を得る手法であり、目的としない対
掌体が残存するため、生産コストが高くなる傾向にあ
る。
を触媒として不斉還元により、3-キヌクリジノンか
ら、光学活性3-キヌクリジノールを製造する方法(特
開平9−194480)が報告されているが、この方法
は光学純度が低く、工業的に有利な製造方法とは言い難
い。従って、本発明のより提供されるような新規酵素に
よる有用な合成方法が望まれていた。
ルコール脱水素酵素を提供するとともに、医農薬合成中
間体として有用な光学活性3−キヌクリジノールあるい
はその塩を、その酵素による不斉還元反応により、工業
的に有利な製造方法を提供することである。
生物が3−キヌクリジノンあるいはその塩に作用し、そ
のR体へ立体選択的に還元し、R−3−キヌクリジノー
ルあるいはその塩を生成する能力を有することに着目
し、さらにその酵素を精製し、その酵素化学的性質につ
いて鋭意検討を行った結果、高い立体選択性でR体を優
先的に還元する性状を有することを見出し、本発明を完
成させるに至った。
(2)に示す性状を有するアルコール脱水素酵素であ
る。 (1)NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌク
レオチド)を補酵素として、3−キヌクリジノンあるい
はその塩を還元し、R−3−キヌクリジノールを生成す
る。 (2)3−キヌクリジノンを基質とした場合の至適pH
が7.0から9.0の範囲内にある。
する微生物または、形質転換微生物もしくはそれらの処
理物を3−キヌクリジノンあるいはその塩に作用させす
ることを特徴とするR−3−キヌクリジノールまたはそ
の塩の製造方法である。
発明であるアルコール脱水素酵素はNADH(還元型ニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチド)を補酵素とし
て、3−キヌクリジノンあるいはその塩を還元し、R−
3−キヌクリジノールを生成する能力を有する。補酵素
としては他にも、一般には数種類が知られているが、N
ADH以外のもであってもR−3−キヌクリジノールを
生成能が発揮できれば特に制限はないが、NADH依存
性であることが望ましい。
場合の至適pHが7.0から9.0の範囲内にある。この範囲
内に至適pHがあれば特に限定はないが、好ましくは至
適pHが7.5〜8.0であることが望ましい。
Eで測定した場合が約52,000。ゲル濾過(高速液体クロ
マトグラフィー)で測定した場合、約220,000であるこ
とが好ましい。
給源としては特に制限されるものではないが、微生物等
の生体細胞から得ることができる。そのような微生物と
しては、Microbacterium属等に属する微生物が挙げられ
る。好ましくは、Microbacterium estevoaromaticum IF
O 3751、Microbacterium arabinogalactanolyticum JCM
9171、Microbacterium luteolum JCM 9174が挙げられ
る。特に好ましくはMicrobacterium luteolum JCM 9174
が挙げられる。
株は公知で、それぞれ財団法人発酵研究所および理化学
研究所微生物系統保存施設から容易に入手することがで
きる。
による分画(有機溶媒による沈澱や硫安などによる塩析
など)や陽イオン交換、陰イオン交換、ゲルろ過、疎水
性クロマトグラフィーや、キレート、色素、抗体などを
用いたアフィニティークロマトグラフィーなどの公知の
方法を適当に組み合わせることにより精製することがで
きる。たとえば、菌体を破砕後、硫安沈澱、Blue-Sepha
rose カラム、DEAT-Toyopearl 、Hiload Superdex 200
pg FPLC カラム、HAP-C-BEADA hydroxyapatiteFPLC カ
ラム、Pros HQ/M FPLC カラム、BioAssistQ FPLCカラム
クロマトグラフィー等を行うことによりポリアクリルア
ミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)的にほぼ単一バ
ンドにまで精製することができる。
び3−キヌクリジノールの塩とは、その窒素原子を、有
機酸あるいは鉱酸等の塩を形成させたものを意図する。
具体的には鉱酸塩として塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸
塩、硝酸塩、リン酸塩等が例示できる。有機酸塩として
は酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、フマル酸、マロン
酸、シュウ酸等の脂肪族有機酸塩、安息香酸等の芳香族
有機酸塩等が例示される。本発明において、酵素とは、
精製酵素に限定されず、粗精製物、固定化物等も含まれ
る。また、本発明において、形質転換微生物とは本発明
の酵素をコードする遺伝子が導入され、該遺伝子が発現
した組換え微生物をいう。その宿主としては、例えば、
エシェリキア(Escherichia)属、バチルス(Bacillu
s)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ピキア(Pi
chia)属、カンジダ(Candida)属、アスペルギルス(A
spergillus)属などが挙げられる。さらに、形質転換微
生物処理物とは、アセトン乾燥微生物菌体、凍結乾燥微
生物菌体、機械的並びに酵素的方法により細胞壁を破砕
した無細胞抽出物、界面活性剤、有機溶媒などにより処
理したものあるいはそれらの固定化物などをいう。
3−キヌクリジノールあるいはその塩の生産は、以下の
方法で行うことができる。必要に応じて補酵素(NADH、
NADPH、NAD+、NADP+)あるいは/およびグルコース、シ
ュークロース、エタノール、メタノール等のエネルギー
源の存在下、水または緩衝液等の反応溶媒中で3−キヌ
クリジノンあるいはその塩に酵素、形質転換微生物、ま
たは該菌体処理物を接触させることにより行うことがで
きる。そして、反応温度、必要により反応液のpHを制御
しながら反応を行う。場合によっては反応の途中で反応
基質(3−キヌクリジノンあるいはその塩)あるいは/
および前記補酵素、エネルギー源を適宜加え、反応を継
続させることもある。
成するNAD+の、NADHへの再生は、微生物の持つ
NAD+還元能(解糖系など)を用いて行うことができ
る場合がある。これらNAD+還元能は、反応系にグル
コースやエタノールを添加することにより増強すること
が可能である。また、NAD+からNADHを生成する
能力を有する微生物やその処理物、酵素を反応系に添加
することによっても行うことができる。
%の間で特に制限はないが、生産性等を考慮すると0.
05〜30重量%の濃度で実施するのが好ましい。反応
液中の酵素等の触媒の濃度は、その形状およびその活性
により適宜決定され、特に制限はない。反応液のpHは用
いる酵素の至適pH等を考慮し、総合的に決定され、特に
制限はないが、好ましくはpH5〜10である。本酵素の
至適pH7.0から9.0の範囲で実施することがさらに好ま
しい。また、反応が進行するに従いpHが変化してくる
が、この場合は適当な中和剤を添加して最適pHに調整す
ることが望ましい。反応温度は0〜60℃が好ましく、
5〜50℃がより好ましい。
の水性媒体を使用するが、3−キヌクリジノンあるいは
その塩の溶解を促進させるために有機溶媒あるいは界面
活性剤を含んだ系でも反応を行うことができる。有機溶
媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノー
ル、t-ブチルアルコール、t-アミルアルコール等のアル
コール系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロ
ロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化
炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエ
ーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル
系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエ
ステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン等のケトン系溶媒、その他アセトニト
リル、N,N-ジメチルホルムアミド等を適宜使用できる。
剤を水への溶解度以上に加えて2層系で反応を行うこと
も可能である。有機溶媒を反応系に共存させることで、
選択率、変換率、収率などが向上することも多い。反応
時間は、通常、1時間〜1週間、好ましくは1〜72時間
であり、そのような時間で反応が終了する反応条件を選
択することが好ましい。尚、以上のような基質濃度、補
酵素濃度、酵素濃度、pH、温度、溶媒、反応時間および
その他の反応条件はその条件における反応収率等を考慮
して目的とする光学活性3−キヌクリジノールあるいは
その塩が最も多く採取できる条件を適宜選択することが
望ましい。
後、濃縮、抽出、カラム分離、結晶化等通常の公知の方
法によって行うことができる。例えば、pHをアルカリ
性に調整後、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ル等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;ヘキサ
ン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;塩化メチレン
等のハロゲン化炭化水素類; ブタノール、イソブタノ
ール、t-アミルアルコール等のアルコール系溶媒等一般
的な溶媒により抽出分離することができる。
るが、本発明の範囲はこれらの実施例の範囲に限定され
るものではない。
JCM 9174の培養 ペプトン1.5%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム0.5
%、L-グルタミン酸ナトリウム0.3%、スクロース1.0
%(pH7.0)を含む培地により、30℃で前培養を行
い、続いて本培養は同前培養培地に消泡剤0.1%添加し
た組成の培養液3リットルを使用し、30℃24時間実施し
た。
す。なお全工程を4℃にて行った。 1)粗酵素液の調製 前記培養方法により6リットルの培養液から菌体湿重量
33.8gを得た。170mlの1mM 2-メルカプトエタノール、
1mMMgCl2、プロテアーゼ阻害剤EDTA FREE(Ro
che社製;1 tablet/50ml)を含む20mMリン酸緩衝液p
H7.0で懸濁し、菌体破砕を超音波破砕装置(201M ultra
sonic oscillator,久保田製作所)を用いて180W、0℃
で8分間行った。破砕液を9000g、20分4℃で遠心を行
い、上清を粗酵素液として回収した。以後特に述べない
限りでは、緩衝液は1mM 2-メルカプトエタノール、1
mMMgCl2を含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)を使用
した。(以降、緩衝液A)
沈殿を回収した。得られら沈殿を緩衝液Aに溶解し、さ
らに同緩衝液にて透析した。
フィー 緩衝液Aで平衡化した Blue-Sepharose(φ2.5mm×24mm)
に酵素液を供し、同緩衝液にて非吸着成分を洗い流した
ところ、酵素活性は未吸着画分に溶出された。
フィー 緩衝液Aで平衡化したDEAT-Toyopearl 650M(東ソー、
φ20mm×210mm)に、酵素液を吸着させた後、同緩衝液
にてカラムを洗浄した後、NaClの0〜0.8M濃度勾配に
て、カラムに結合した酵素を溶出した。溶出パターンを
図1に示す。
クロマトグラフィー 活性画分を限外ろ過膜(旭化成ペンシル型モジュール;
分画分子量 6000)により濃縮後50mM NaClを含む緩衝
液A(pH7.5)で平衡化したHiload Superdex200 pg(P
hamacia Biotech、φ16mm×600mm)に吸着させた。酵素
液は流速2ml/minにて溶出を行い、4ml/fractionにて分
取した。溶出パターンを図2に示す。
ラムクロマトグラフィー 活性画分を5mM緩衝液A(pH7.7)で限外ろ過膜にて
濃縮および透析を行い、同緩衝液にて平衡化した HAP-C
-BEADS hydroxypatite(Sangi社製)クロマトグラフィー
(Sangi、φ16mm×100mm)に吸着させた。同緩衝液を流速
2ml/minで洗浄後、0〜1Mの緩衝液A(pH7.7)の直線濃度
勾配により溶出し、活性画分を集めた。溶出パターンを
図3に示す。
フィー 限外ろ過法によって濃縮透析した酵素液を10mM緩衝液
A(pH7.5)にて平衡化したPros HQ/M(PerSeptive Biosys
tems MA、USA、φ4.6mm×100mm)に吸着させた。カラム
を同緩衝液で洗浄後、0〜0.8M NaClの直線濃度勾配によ
り、タンパク質を溶出した(流速1ml/min、2ml/fractio
n)。活性画分を集め酵素液とした。溶出パターンを図4
に示す。
フィー 活性画分を限外ろ過膜(アミコン centriprep;分画分
子量 6000)により濃縮透析し、緩衝液A(pH7.0)にて平
衡化したBioAssistQ (東ソー、φ4.6mm×50mm)に吸着さ
せた。カラムを同緩衝液で洗浄後、0〜0.8M NaClの直線
濃度勾配により、タンパク質を溶出した(流速1ml/min、
1ml/fraction)。活性画分を集め酵素液とした。溶出パ
ターンを図5に示す。
クロマトグラフィー 活性画分を限外ろ過膜によりにより濃縮透析し、10mM緩
衝液A(pH7.5)にて平衡化したPros HQ/M (φ4.6mm×100
mm)に吸着させた。カラムを同緩衝液で洗浄後、0〜0.8M
NaClの直線濃度勾配により、たんぱく質を溶出した(流
速1ml/min、2ml/fraction)。活性画分を集め精製酵素と
した。溶出パターンを図6に示す。各精製の結果を表1
に示す。
又はProtein Assay Kit(Bio Rad)を用い算出した。な
お、3−キヌクリジノン還元酵素の活性測定は必要に応
じて以下の2法により適宜実施した。
ーを用いた活性測定 50mM リン酸緩衝液(pH7.0)に、10mM 3-キヌク
リジノン、ギ酸脱水酵素(FDH、Roche社製)0.02
U、ギ酸200mM、NADH0.5mM、酵素液を250μl
加え全量を1.0mlとした。25℃、6時間の反応の後、6
Nの水酸化ナトリウム30μlにより、pHを12.0にして
反応を停止し、1-ブタノールにより生成物を抽出した
後、硫酸ナトリウムで脱水し測定サンプルを調整した。
キラルカラムを用いたガスクロマトグラフィー(Hewlet
t Packard HP 6890 Series、CP-cyclodextrin-N19カラ
ム、0.25mmID×25m)により、生成したR-3-キヌクリジ
ノールを定量した。なお、1分間あたりに1nmolの3-
キヌクリジノンmMを生成する酵素活性量を1unitと定
義した。
性測定 50mM リン酸緩衝液(pH7.0)に、0.3mM NAD
H、酵素液20μlを加えブランク反応を確認した後、基
質である20mM 3-キヌクリジノンを添加して全量1.5m
lとした。NADHの340nmのおける吸収の減少を測
定し25℃で1分間あたりに1nmolのNADHをNAD
+に変換する酵素活性量を1unitと定義した。酵素の総
活性(U)は下記の計算式を用いて算出した。
定化剤の検討 本酵素の粗酵素を用い、図7に示す各種添加剤を1mM
になるように加え(一部濃度が異なる)、4℃中におけ
る0、12、24、48、60、216時間後の粗酵素の安定性を調
べた。酵素活性測定はA法により実施した。FAD、F
MN、Pyridoxal-5’-phosphateの3添加剤については
0.1mMになるよう加えた。その結果を図7に示す。
カエリス定数(Km)の測定 酵素量を一定にとし、NADHおよび3−キヌクリジノ
ン濃度を各々変化させて、それぞれにおける生成NAD
+の量を測定した。得られたデータについてLineweaver
-Burkの両逆数プロットを行うことでNADHおよび3
−キヌクリジノンに対するKm値を算出した(図8および
9を参照)。3−キヌクリジノンおよびNADHに対す
るKm値はそれぞれ7.5mMおよび9.0μMであった。
適pHの検討 本酵素活性の至適pHの測定はは各100mMの酢酸ナトリウ
ムpH5.0〜6.0リン酸カリウムpH6.0〜7.5、Tris-HCl pH
7.5〜9.0、グリシン-KOH pH 9.0〜10.0の各緩衝液を使
用した。なお活性測定は活性測定方法Aよって行った。
結果を図10に示す。本酵素の3−キヌクリジノンに対す
る至適pHは7.5〜8.0付近であることが示された。
子量およびポリアクリルアミドゲル電気泳動 本酵素の分子量は、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)を用い、以下の条件で検討した。カラムにTSK-GEL G
3000SW×X(東ソー株式会社)、溶離液に0.1M NaClを含
む0.1M リン酸緩衝液(pH7.0)を使用し、流速1.0ml/mi
n、で行った。溶出液を分別回収し、各画分における本
酵素の活性化のアッセイ結果によりR-3-キヌクリジノー
ルの溶出時間を求め、分子量マーカー(MW-Marker;オリ
エンタル酵母工業株式会社)の溶出時間と比較し分子量
を求めた。図11および12を参照。native 電気泳動は5〜
20%濃度勾配の電気泳動既製ゲルPAGEL(ATOO CORPORATI
ON)のを使用した。またSDS-PAGEは12.5%(w/v)ポリアク
リルアミドゲルを使用した。タンパク質の検出はクマジ
ーブリリアントブルーR-250を用いて行った。native-PA
GEおよびSDS-PAGEの結果をそれぞれ図13(A)および
(B)に示す。これらの結果から、本酵素の分子量は約2
20,000であることが示された。また、SDS-PAGEの結果よ
り、サブユニット分子量52,000の4量体と推定された。
属塩の影響 表2に示す各種金属化合物を反応液へ1mMになるよう
添加し、活性測定方法Aに従い、その影響を検討した。
ごくわずかであるがMgイオンにより活性化をうけた一
方、ZnSO4では強い阻害が見られた。
質特異性 表3に示す各種基質化合物を活性測定法Bに従い反応液
を調整し、その相対活性を検討した。
末端アミノ酸配列の解析 精製酵素を定法に従い、N末端アミノ酸配列を決定し
た。具体的には、SDS-PAGEにて分離した精製酵素を電気
的にポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜にブロッ
トした。PVDF膜に吸着した酵素蛋白質のN末配列をエド
マン分解法により、アプライドバイオシステム社製のPr
ocise491シ-ケンサを使用して決定した。その結果、以
下に示す配列が確認された。
VGLAMGSNLA
るR−3−キヌクリジノールの合成 50mM リン酸緩衝液(pH7.0)に、10mM 3-キヌク
リジノン、ギ酸脱水酵素(FDH、Roche社製)0.02
U、ギ酸200mM、NADH0.5mM、精製酵素液を250
μl加え全量を1.0mlとした。この反応液を25℃で反
応させた。経時的にR−3−キヌクリジノールの生成量
および光学純度を定量した。定量はキラルカラムを用い
たガスクロマトグラフィー(Hewlett Packard HP 6890
Series、CP-cyclodextrin-N19カラム、0.25mmID×25m)
により実施した。生成量の経時変化を図14に示す。尚、
光学純度はR体100%eeであった。
の溶出パターンを示す図である。
トグラフィーの溶出パターンを示す図である。
ロマトグラフィーの溶出パターンを示す図である。
溶出パターンを示す図である。
の溶出パターンを示す図である。
グラフィーカラムクロマトグラフィーの溶出パターンを
示す図である。
を示す図である。
に対するミカエリス定数(Km)の測定結果を示す図であ
る。
カエリス定数(Km)の測定結果を示す図である。
を示す図である。
ラフィー溶出パターンを示す図である。
質の検量線およびアルコール脱水素酵素の分子量測定結
果を示す図である。
PAGEにおけるパターンを示す図である。(B)は精製ア
ルコール脱水素酵素のSDS-PAGEにおけるパターンを示す
図である。レーン1は分子量マーカー、レーン2は精製
アルコール脱水素酵素を示す。
クリジノールの生成量の経時変化結果を示す図である。
重要なR−3−キヌクリジノールの製造能を有する有用
なアルコール脱水素酵素が提供されるとともに、それら
を利用してに効率的な生産が可能となる。
Claims (4)
- 【請求項1】 次の(1)および(2)に示す理化学的
性質を有するアルコール脱水素酵素。 (1) NADH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチド)を補酵素として、3−キヌクリジノンある
いはその塩を還元し、R−3−キヌクリジノールを生成
する。 (2) 3−キヌクリジノンを基質とした場合の至適p
Hが7.0から9.0の範囲内にある。 - 【請求項2】 分子量がSDS−PAGEで測定した場
合約52,000であり、ゲル濾過で測定した場合約220,000
である請求項1記載のアルコール脱水素酵素。 - 【請求項3】 ミクロバクテリウム(Microbacterium)
属に属する微生物より産生される請求項1または2記載
のアルコール脱水素酵素。 - 【請求項4】 請求項1〜3に記載の酵素、該酵素を産
生する微生物または、形質転換微生物もしくはそれらの
処理物を3−キヌクリジノンあるいはその塩に作用させ
することを特徴とするR−3−キヌクリジノールまたは
その塩の製造方法。
Priority Applications (1)
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