JP2003332537A - 磁気メモリ素子及びそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリ - Google Patents

磁気メモリ素子及びそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリ

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JP2003332537A
JP2003332537A JP2002137597A JP2002137597A JP2003332537A JP 2003332537 A JP2003332537 A JP 2003332537A JP 2002137597 A JP2002137597 A JP 2002137597A JP 2002137597 A JP2002137597 A JP 2002137597A JP 2003332537 A JP2003332537 A JP 2003332537A
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magnetic memory
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JP2002137597A
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Atsushi Kamijo
敦 上條
Noriko Takewaki
紀子 武脇
Hisao Matsudera
久雄 松寺
Hisanao Tsuge
久尚 柘植
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NEC Corp
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NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】セル選択性を犠牲にすることなく、フリー層の
磁化反転が外部磁場変化に追随し、反転後の磁化の指向
性が高く、かつ高集積化を図ることが可能な磁気メモリ
素子及びそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリを提
供することにある。 【解決手段】少なくとも2層の強磁性体層が非磁性中間
層を介して積層され、該非磁性中間層を挟む少なくとも
一方の強磁性層の磁化方向を変化させることによって情
報を記録し、磁気抵抗効果によってその状態を読み出す
磁気メモリ素子において、該磁気メモリ素子の形状を、
磁化容易軸ならびに磁化困難軸に関し対称であって、少
なくとも形状の一部に、磁化容易軸方向の中心線を基線
とするサイクロイドないしはサイクロイド状の曲線を含
んだものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果を用
いた磁気メモリ素子と、それを用いた磁気ランダムアク
セスメモリに関し、特にスイッチング磁場を低減できる
素子形状を有する磁気メモリ素子、及びそれを用いた磁
気ランダムアクセスメモリに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高速書き込みが可能な不揮発性固
体記憶素子として、強磁性トンネル接合(MTJ)素子
あるいは巨大磁気抵抗(GMR)素子などの磁気抵抗効
果素子をメモリ素子として用いた磁気ランダムアクセス
メモリ(MRAM)が注目されている。このメモリは、
磁性層の磁化の向きを変化させることによって情報を書
き込み、トンネル磁気抵抗(TMR)効果あるいは巨大
磁気抵抗(GMR)効果を利用して、書き込まれた情報
を読み出すものであり、記録情報を半永久的に保持でき
ること、ほとんど無限回の情報書き換えが可能であるこ
と、従来の不揮発メモリに比べ高速の書き込みが可能で
あること、等の特長を有するために、例えば、携帯端末
の情報記録素子等への利用が期待されている。
【0003】MTJ素子は、少なくとも2つの強磁性体
電極が絶縁層を介して積層された構成を有する。この絶
縁層の膜厚は、2つの強磁性体電極間に適当な電圧が印
加されたとき、電子がトンネル効果を起こすのに十分な
薄さでなければならない。トンネル電流の大きさは、絶
縁層で隔てられた2つの強磁性体電極の磁化の相対角に
よって変化し、両者の磁化が平行であるときトンネル電
流は最大(抵抗は最小)に、逆に反平行であるときは最
小(抵抗は最大)となる。例えば、両者の磁化が「平
行」である状態を“0”、「反平行」である状態を
“1”とすればメモリ素子として利用することができ
る。2つの強磁性体電極の磁化が平行時の素子抵抗値R
と反平行時のそれRAPの差(=RAP−R)をR
で除した値を磁気抵抗変化率(MR比)と呼び、この
値が大きいほど大きな出力が得られるので、応用上好ま
しい。MR比の大きさは、絶縁層を挟む強磁性体電極の
スピン分極率の積に比例することから、スピン分極率の
大きな強磁性体電極材料を用いることが、大きなMR比
の観点から重要になる。一方、MTJ素子を磁気メモリ
素子として用いるにあたっては、「平行」と「反平行」
の状態は、外乱磁場に対しては安定であるが、(消費電
力の観点から)十分低い外部磁場(反転磁場)により書
き換えられなければならない。このために、強磁性体電
極材料としてはFe、Ni、Coなどの遷移金属合金が
主に用いられている。
【0004】一方、GMR素子はMTJ素子と類似の積
層構造を持つが、トンネル絶縁層のかわりにCuなどの
非磁性金属層を用いる。積層面内に電流を流したとき、
抵抗が、非磁性金属層を挟む2つの強磁性体層の磁化が
平行のとき低く、反平行のとき高くなる。磁気抵抗の物
理的起源はTMRとは異なるものの、両者の磁化が「平
行」である状態を“0”、「反平行」である状態を
“1”とすればメモリ素子として利用することができ
る。GMRにおけるMR比を大きくするには、スピン依
存散乱の大きな磁性体層を用いること、電子の反射を助
ける反射層を設けることが有効である。MTJ素子と同
様、強磁性体層の材料としてはFe、Ni、Coなどの
遷移金属合金が主に用いられている。
【0005】さて、MTJ素子あるいはGMR素子をM
RAMのような磁気メモリ素子として用いるには、2つ
の強磁性電極の磁化配列が「平行」あるいは「反平行」
の双安定状態がとれるようにMTJ素子あるいはGMR
素子を設計すると同時に、外部磁場によってこの2つの
状態を可逆的に書き換える「記録」の仕組みと、書き込
まれた状態を抵抗値の違いとして判別して読み出す「再
生」の仕組みが不可欠である。以下では、MTJ素子も
GMR素子も基本となる動作に大きな違いはないので、
特に断らない限り、MTJ素子を用いた磁気メモリ素子
について説明する。
【0006】図19と図20は、それぞれ、MTJ素子
を用いた磁気メモリ素子の構造を示す平面図と断面図で
ある。素子形状に加工されたMTJ素子100は、互い
に直交する上部配線101と下部配線102の交点位置
に配置される。MTJ素子を挟む1組の上部配線と下部
配線に、(後述する)MTJ素子の磁化状態を反転させ
るに十分な電流を流し、このMTJ素子の状態を書き換
えて情報を記録することができるとともに、(素子の状
態に影響を及ぼさない)微弱な電流により素子抵抗を読
み出して素子に記録された状態を再生することができ
る。
【0007】MTJ素子100は、下部配線102上
に、下地層105、反強磁性体層106、下部強磁性電
極層107、トンネル絶縁層108、上部強磁性電極層
109、キャップ保護層110、より成る。なお、下地
層105は、密着性や反強磁性体層106の配向性制御
のために、バッファー層、シード層、結晶制御層という
ような複数の層より構成されるのが一般的である。ま
た、下地層105を下部配線102として用いても構わ
ない。上部配線101、下部配線102の間や隣接する
MTJ素子間は、層間絶縁層111によって電気的に分
離される。
【0008】下部強磁性電極の磁化107’は常に一定
方向を向くように固定され、上部配線101と下部配線
102の作る磁場によって、上部強磁性電極層の磁化1
09’を下部強磁性電極のそれの向きに対して、(後述
する方法で)「平行」あるいは「反平行」に書き換える
ことができる。下部強磁性電極の磁化を一定方向に固着
するには、下部強磁性電極の保磁力を上部強磁性電極の
それより大きくするという手法もあるが、図20に示さ
れているように、下部強磁性電極107に隣接し、トン
ネル絶縁層108と反対側の面に反強磁性体層106を
設けた、いわゆる交換バイアス型MTJ素子がより好ま
しい。磁化の動きに対応させて、上部強磁性電極層をフ
リー層、下部強磁性電極層をピン層と呼んでいる。な
お、上部強磁性体電極層にピン層、下部強磁性体電極層
にフリー層の役割を持たせても磁気メモリ素子としての
動作に何ら問題は生じない。したがって以下では、トン
ネル絶縁層に対する上、下という位置関係で強磁性体電
極層を区別するのではなく、それらの役割を明示して、
フリー層、ピン層と呼ぶことにする。
【0009】さて、MTJ素子を磁気メモリ素子として
用いるには、フリー層とピン層の磁化配列が「平行」あ
るいは「反平行」の2つの双安定状態を外部磁場印加に
よって切り替えられなければならない。この2つの双安
定状態は、MTJ素子に一軸磁気異方性を付与すること
によって実現する。一般的には、強磁性体の外形によっ
て誘導される「形状異方性」すなわち、長軸、短軸を持
つ2回対称性の形状(例えば、長方形、扁平な六角形、
平行四辺形、等)となるように強磁性体層をパターン化
すると、長軸が磁化容易軸、短軸が磁化困難軸となる。
形状異方性によって、フリー層の磁化は磁化容易軸に沿
って正方向あるいは負方向を向いた、いずれかの状態し
か取れなくなる。一方、ピン層の磁化は、成膜時あるい
は熱処理時に、磁化容易軸方向と平行になるように磁場
を印加することによって、一方向(例えば正方向)に固
定される。というのは、ピン層と反強磁性体層との間に
働く交換結合はフリー層磁化が反転するのに必要な磁場
に比べ十分に大きいからである。(図19では、上部配
線に沿う方向がMTJ素子の長軸方向、すなわち磁化容
易軸方向と平行になっている。このとき、ピン層は、磁
化容易軸の正方向を向き、フリー層は正、あるいは負方
向を向いている。)ピン層の磁化の向きは、常に一方向
に固定されているから、フリー層の向きによって、フリ
ー層の磁化とピン層のそれが、「平行」と「反平行」に
なった2つの状態が双安定に実現でき、2つの状態は、
外部磁場によって可逆的に変化させることができるよう
になる。
【0010】次に、外部磁場によって上記の2つの状態
を可逆的に書き換える「記録」の仕組み、すなわち、磁
気メモリ素子の書き込み動作について説明する。まず単
磁区化した長方形の形状を持つ強磁性体の磁化の反転に
ついて考える。簡単のため強磁性体の結晶磁気異方性を
無視し、形状異方性に由来する一軸異方性磁場をH
する。(異方性磁場Hとは、一軸磁気異方性定数Ku
を磁場の大きさに換算したもので、強磁性体の飽和磁化
をMとすると、H=2Ku/Mで与えられる。)
長方形の長軸方向をX軸、これに直交する短軸方向をY
軸とするならば、形状異方性によりX軸方向がこの強磁
性体膜の磁化容易軸となって、磁化は+X方向、あるい
は−X方向のいずれかを向いた状態が安定となる。−X
方向を向いている磁化を反転させるためには、+X方向
あるいは+Y(または−Y)方向に1軸性の磁場を印加
するか、+Xと+Y(あるいは+Xと−Y)の2方向に
分解できる合成磁場を印加することによって磁化を反転
させることができる。一方、磁化が+X方向を向いてい
る場合は、上記と対称的に磁場印加を行えばよい。図2
1は磁化反転を生じさせるのに必要な外部磁場領域を示
したものである。この図の斜線部の外部磁場(H,H
)を印加することによって、強磁性体の磁化の向きを
反転させることができる。磁化反転が可能/不可能の磁
場境界を与える曲線はアステロイド曲線と呼ばれ、H
2/3+H 2/3=H 2/3で表わされる。強磁性体の磁化
方向を反転させるには、図21の矢印で示したように、
アステロイド曲線の外側に相当する外部磁場が必要であ
るが、その大きさは、1軸性磁場112よりも2軸性磁
場113の方が小さい、という特徴がある。これは、磁
気メモリ素子における書き込み動作で重要となる「選択
性」の基本概念となる。以下に、MTJ素子を集積化し
た磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)の書き込み
動作と選択性について説明する。
【0011】図22は図19のMTJ素子を集積化した
MRAMの平面図である。MTJ素子100は、ワード
線101’とビット線102’の各交点位置に挟まれて
いる。動作原理は、単一のMTJ素子と変わらないが、
一つ一つのMTJ素子(セル)を選択するために各セル
は、(図示していない)選択用のトランジスタあるいは
ダイオードを有している。図22を用いて書き込み選択
性を説明する。
【0012】今、図22の中心にあるMTJ素子を選択
して、このセルの情報を書き換えること、すなわち、こ
の素子のフリー層磁化の向きを反転させることを考え
る。この素子は、フリー層とピン層の磁化が反平行にな
っている(フリー層の磁化が負方向を向いている)と仮
定して、フリー層磁化の向きを反転させて(正方向に向
けて)フリー層とピン層の磁化を平行にすることを考え
る。もし、ビット線102’bに流す電流で発生する一
軸性の磁場で、このセルを反転させようとすると、11
5の矢印方向に、図21の一軸性磁場112を発生させ
るのに必要な電流を流さなければならない。この場合、
ビット線102’b上にあるすべてのセルに同じ磁場が
発生してしまうので、ビット線102’b上の全セルの
フリー層が正方向を向いてしまうことになる。(ワード
線101’bに流す電流で発生する1軸性の磁場でセル
を反転させようとする場合も同様であり、114の矢印
方向に、図21の一軸性磁場112’を発生させるのに
必要な電流を流さなければならならず、この時もこのワ
ード線上にあるすべてのセルに同じ磁場が発生し、この
ワード線上の全セルのフリー層が正方向に反転してしま
うことになる。)すなわち、1軸性の磁場ではセル選択
性が全く生じないことになる。これに対して、ワード線
101’bとビット線102’bの両方にそれぞれ、1
14、115方向に電流を流し、これによって発生する
合成磁場116で反転させる場合は、上述したように、
図21の2軸性磁場113を発生させるのに必要な電流
を流せばよい。このとき、ワード線101’b、ビット
線102’bに流す電流114、115によって発生す
る磁場は、選択されたセル以外では、1軸性磁場であ
り、かつ、図21のアステロイド曲線の内側に相当する
小さいものであるから、選択されたセルを除く、ワード
線101’b、ビット線102’b上にあるセルの磁化
を反転させることはできない。すなわち、ワード線とビ
ット線の両方に電流を流すことによってセル選択を行う
と同時に、両者の電流で発生した合成磁場によって書き
込みができることになる。
【0013】上記では単磁区化した強磁性体パターンを
仮定して理想的な磁化反転プロセスについて説明した。
しかしながら実際のMTJ素子のフリー層は、必ずしも
単磁区しているわけではなく、このためにアステロイド
曲線の形状も変化する。2000年9月、アイ・イー・
イー・イー・トランザクションズ・オン・マグネティッ
クス、第36巻、第5号、2752〜2757ページ
(IEEE Transactions onMagnetics 36, No.5, SEPTEMBE
R (2000) 2752)には、MTJ素子パターンの端部に発
生するエンドドメイン(end domain)が単磁区化を妨げ
る原因の一つあると記載されている。エンドドメイン
は、困難軸方向の磁場に反応しないので、容易軸方向の
外部磁場を大きくしないと反転できなくなる。この場合
アステロイド曲線は、典型的には、図23のようになっ
て、セル選択性が低下するという問題が生じる。上記の
文献では、エンドドメインは、長方形などのような角を
持っているようなパターン形状の場合に発生しやすく、
楕円形のような角のないパターン形状では発生しにくい
とされ、このため困難軸方向の磁場に反応しやすくな
り、選択性が増すことが記載されている。(これは、楕
円形素子の方が、より理想に近いアステロイド曲線を示
すということを意味している。)
【0014】このように磁気メモリ素子の平面形状は、
多磁区構造を防ぎ、選択性を高めるために重要な設計パ
ラメータとなる。これまでに、磁気メモリ素子の平面形
状に関しいくつかの提案が開示されている。米国特許4
731757には、扁平な六角形あるいは扁平なひし形
のような、端部を徐々に狭くした形状の磁気メモリセル
が、また米国特許6205053には、アルファベット
のH型(あるいはI型)形状の磁気メモリ素子が開示さ
れている。これらの平面形状の素子は、長軸方向の長さ
(L)と短軸方向の長さ(W)の比(アスペクト比)が
大きくなって、MRAMの大容量化の観点からは不利で
ある。また、アスペクト比が大きくなると磁化反転に必
要な磁場が大きくなるために、書き込み時に必要とされ
る消費電流が増大してしまうという問題もある。
【0015】また、米国特許6104633号公報、特
開平11−273337号公報には、磁気的に非対称な
形状(平行四辺形、磁化容易軸がワード線あるいはビッ
ト線から傾いた長方形など)にした磁気メモリセルが開
示されている。あるいは、米国特許6005800号公
報には、互いに鏡像関係にある2つの形状を有するセル
を、チェッカーボード状に交互に配列した磁気メモリア
レイが開示されている。これらも、メモリ素子の集積度
を高める上では不利な平面形状である。
【0016】一方、米国特許5757695号公報に
は、滑らかにカーブした端部を持ち、長辺(L)が幅
(W)よりも大きな形状を有する磁気メモリ素子におい
て、Lは少なくともWの2倍以上で、端部が長(楕)円
形である磁気メモリ素子が開示されている。この平面形
状は、メモリ集積度を大きく犠牲にすることなく、書き
込み時のセル選択性が保たれている点で、これまでに開
示されている磁気メモリ素子の中では、最も好ましいと
考えられている。
【0017】しかしながら、上述の滑らかにカーブした
楕円形の端部を持ち、長辺(L)が幅(W)より大きな
形状を有する磁気メモリ素子に対し、「平行」状態と
「反平行」状態を交互に反復して書き込む動作を高速で
行ってみると、誤書き込みの確率が大きくなるという問
題が生じることが明らかになった。これは、磁化反転の
速度が大きくなってくると、例えば、「平行」状態に書
き込んだ後、「反平行」に書き込もうとしても、フリー
層の磁化を反転できなくなってしまうということ、すな
わち、情報蓄積層であるフリー層の磁化反転が外部磁場
変化にきちんと追随できなくなってしまうことを意味し
ている。
【0018】上記の説明と関連して、特開平11−12
6933号公報には、円形又は楕円形の形状の強磁性層
を有する磁気抵抗効果素子が述べられている。また、特
開平11−163439号公報には、矩形形状を有する
強磁性層を有する磁気抵抗効果素子が述べられている。
【0019】特開2001−53354号公報には、円
板体の形状の強磁性体を有する巨大磁気抵抗効果素子が
述べられている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、セル
選択性を犠牲にすることなく、高速の書き込み動作を行
ったとしても、正しく書き込みを行うことができる、す
なわち、情報蓄積層であるフリー層の磁化反転が外部磁
場変化に追随でき、かつ反転後の磁化の指向性の高い磁
気メモリ素子ならびにそれを用いた磁気ランダムアクセ
スメモリを提供することにある。さらに、より高集積化
を図ることができる磁気メモリ素子ならびにそれを用い
た磁気ランダムアクセスメモリを提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】磁気メモリ素子の反転特
性や選択性は、上述したように平面素子形状に強く依存
する。そこで、本発明者らは、ランダウ・リフシッツ・
ギルバート(Landau-Lifshits-Gilbert)方程式に基づ
くマイクロマグネティックスシュミレーション(以下L
LGシュミレーションと記す)により、強磁性パターン
の磁化反転挙動に及ぼす強磁性パターン形状の影響を調
べると同時に、形状を変えたMTJ素子について高速書
き込み試験を行って、セルの高選択性と、(フリー層の
磁化反転が外部磁場変化に追随できる)高速の書き込み
性を備えた磁気メモリ素子の最適形状を見出し、本発明
をなすに至った。
【0022】本発明の磁気メモリ素子は、少なくとも2
層の強磁性体層が非磁性中間層を介して積層され、該非
磁性中間層を挟む少なくとも一方の強磁性層の磁化方向
を変化させることによって情報を記録し、磁気抵抗効果
によってその状態を読み出す磁気メモリ素子であって、
少なくとも該磁気メモリ素子の平面形状の一部にサイク
ロイドないしはサイクロイド状の曲線を含むことを特徴
としている。
【0023】あるいは、該磁気メモリ素子の平面形状
が、磁化容易軸または磁化困難軸に関し対称であって、
少なくとも形状の一部に、サイクロイドないしはサイク
ロイド状の曲線を含むことを特徴としている。
【0024】あるいは、該磁気メモリ素子の平面形状
が、磁化容易軸または磁化困難軸に関し対称であって、
少なくとも形状の一部に、磁化容易軸方向の中心線を基
線とするサイクロイドないしはサイクロイド状の曲線を
含むことを特徴としている。
【0025】ここで、上記磁気メモリ素子の形状におい
て、磁化容易軸方向の長さと磁化困難軸方向の長さの比
(アスペクト比)が、1より大きく、かつ、1.57以
下であって、サイクロイドないしはサイクロイド状の曲
線から構成されていること特徴としている。
【0026】あるいは、磁化容易軸方向の長さと磁化困
難軸方向の長さの比(アスペクト比)が1.57より大
きく、磁化容易軸方向の端部をサイクロイドないしはサ
イクロイド状の曲線で、磁化困難軸方向の端部を直線で
構成した形状を有することを特徴としている。
【0027】上述したサイクロイド状の曲線には、厳密
なサイクロイドはもちろんであるが、ひし形とサイクロ
イド、およびサイクロイドと楕円の間を数学的に補間し
てできる曲線も含まれる。図15に示すように、ある一
定のアスペクト比L/Wが与えられると、面積が小さい
順に、ひし形、サイクロイド、楕円を描くことができる
が、それぞれの曲線は、極座標(r,θ)を使って一意
に記述することができる。方位角θを固定したとき、ひ
し形、サイクロイド、楕円の動径がそれぞれ、r、r
、rであるとすると、r<r<r、望ましく
は、(r+r)/2<r<r、の範囲内にある曲
線群をサイクロイド状の曲線と称している。なお、本発
明の磁気メモリ素子に用いられる非磁性中間層は、非磁
性金属を用いたGMR素子においても適用できることは
いうまでもない。
【0028】さらに、本発明の磁気ランダムアクセスメ
モリは、複数のワード線と複数のビット線の交点位置に
磁気メモリ素子をアレイ状に集積したことを特徴とし、
該磁気メモリ素子が、少なくとも2層の強磁性体層が非
磁性中間層を介して積層され、該非磁性中間層を挟む少
なくとも一方の強磁性層の磁化方向を変化させることに
よって情報を記録し、磁気抵抗効果によってその状態を
読み出す磁気メモリ素子であって、該磁気メモリ素子の
平面形状の一部に、サイクロイドないしはサイクロイド
状の曲線を含んでいることを特徴としている。
【0029】あるいは、該磁気メモリ素子の平面形状
が、磁化容易軸または磁化困難軸に関し対称で、かつ、
少なくとも平面形状の一部に、サイクロイドないしはサ
イクロイド状の曲線を含んでいることを特徴とした磁気
ランダムアクセスメモリである。
【0030】あるいは、該磁気メモリ素子の平面形状
が、磁化容易軸または磁化困難軸に関し対称で、かつ、
少なくとも平面形状の一部に、磁化容易軸方向の中心線
を基線とするサイクロイドないしはサイクロイド状の曲
線を含んでいることを特徴とした磁気ランダムアクセス
メモリである。
【0031】滑らかにカーブした(楕円形の)端部を持
ち、長辺(L)が幅(W)より大きな平面形状を有する
磁気メモリ素子において、高速の反復書き換え操作を行
ったとき、書き込み速度が大きくなるにつれ、きちんと
書き込めなくなるのは、磁化反転後の指向性が低いこと
に由来すると考えられる。ある形状を持つ強磁性体パタ
ーンの磁化反転は、理想的な単磁区構造を持った強磁性
体として扱うことはできず、ミクロなスピンの集合体と
みなして考える必要がある。図1の模式図に示したよう
に、全体としては右向きの磁化を持っている状態であっ
ても、ミクロに見ると、パターンの周辺部分のスピン
は、反磁場の影響を受けて傾いている。周辺部分のスピ
ンがパターンの中心部分に比べ大きく傾くと、その領域
がエンドドメインとなる。周辺部のスピンの傾き具合
は、パターンの形状ならびに大きさによって強く影響を
受けることになる。
【0032】強磁性体パターンの磁化反転過程における
ミクロなスピンの動きは、LLG方程式に基づく計算か
ら予測することができる(これをLLGシミュレーショ
ンと呼んでいる)。フリー層の磁化の向きが、図1のよ
うな「右向き」であるとして、この磁化状態を反転させ
て、「左向き」にする過程を、LLGシュミレーション
により計算した。強磁性パターンの平面形状としては、
アスペクト比L/W=2で、サイクロイド形、楕円形、
2つの半円と矩形よりなる競技場トラック形について計
算した。材料としては5nmのNiFeを想定した。な
お、パターンの長軸方向をX軸、短軸方向をY軸として
おく。図1に示すように、反転外部磁場1は−X軸と4
5°の角度をなす方向に印加した。図2、図3は、それ
ぞれ、サイクロイド形、競技場トラック形について、反
転磁場を切った後、各スピンのX軸方向の成分(cosθ
成分)とY軸方向の成分(sinθ成分)について、全ス
ピンの平均をとったものを経過時間に対してプロットし
たものである。(ここでいう経過時間は、シミュレーシ
ョンに用いるパラメータによって変化するので厳密な時
間ではないが、相対的な時間としては意味がある。)楕
円形は、図示していないが、競技場トラック形とサイク
ロイド形の中間的な挙動を示した。明らかに、競技場ト
ラック形や楕円形に比べサイクロイド形の方が、反転終
了後の磁化のx成分が大きく、y成分が小さい。つま
り、サイクロイド形の方が磁化の指向性が良好で、か
つ、反転が終了するまでの時間(反転緩和時間)が短い
ことが分かる。サイクロイド形磁気メモリ素子は、「反
転後の指向性が高く」、「反転緩和時間が短い」ため
に、高速の反復書き換え操作に対しても安定な書き込み
が行えるものと考えられる。
【0033】さらに、サイクロイド形状が、任意の滑ら
かなカーブを持つパターンの中で最も磁化の指向性が高
いことが、LLGシミュレーションから示される。長軸
長L=0.4μm、短軸長W=0.32μm、アスペク
ト比L/W=1.25の場合について、ひし形、サイク
ロイド、楕円と形状を連続的に変化させた時、磁化反転
の状態をLLGシミュレーションで調べた。(上述した
LLGシミュレーションより、競技場トラック形は楕円
形よりも反転後の磁化の指向性が低いことが判明してい
たので計算を省いた。)ひし形とサイクロイド、サイク
ロイドと楕円の間の曲線形状については、数学的に補間
して定義した。
【0034】まず、数学的補間の手続きについて説明す
る。図15に示すように、ある一定のアスペクト比L/
Wが与えられると、面積が小さい順に、ひし形、サイク
ロイド、楕円競技場トラック形を描くことができるが、
それぞれの曲線は、極座標(r,θ)を使って一意に記
述することができる。方位角θを固定したとき、動径を
任意の割合で補間することによって、ひし形から競技場
トラック形まで、連続的に曲線を変形させることができ
る。例えば、ひし形、サイクロイド、楕円の動径がそれ
ぞれ、r、r、r、rであるとすると、ひし形
とサイクロイドを1:1に補間した曲線は、動径r=
(r+r)/2で、サイクロイドと楕円を2:1に
補間した曲線は、r=(r+2r)/3で、与えら
れる。
【0035】さて、初期状態として、磁化は図1のよう
に全体としては「右向き」であるとし、これを図1と同
様の−X軸と45°の角度をなす外部反転磁場を印加
し、磁化を「左向き」にする過程を各平面形状パターン
について計算した。図4には、形状をひし形、サイクロ
イド、楕円と連続的に変化させた時の反転磁場の大きさ
をプロットした。横軸の0、1、2の位置がそれぞれ、
ひし形、サイクロイド、楕円に相当する。ひし形とサイ
クロイド、サイクロイドと楕円の間のプロット点は、上
記の数学的補間操作により定義した曲線形状に対する計
算結果を示している。ひし形では、反転磁場が大きい
が、サイクロイド、楕円ではこれが半減する。図5、図
6には、それぞれ、形状をひし形、サイクロイド、楕円
と連続的に変化させた時の、磁化の向きとその標準偏差
をラジアン単位でプロットした。磁化反転後は、ひし形
とサイクロイドで磁化の指向性が高く、楕円ではそれが
低いことが分かる。
【0036】磁気メモリ素子のフリー層特性としては、
反転磁場は小さく、反転後の磁化の向きは180°(π
ラジアン)に近く、反転後の磁化の向きのばらつき、す
なわち標準偏差は小さい方がよいので、これら3つの指
標を合わせて表現するために次の性能指数Aを次のよう
に定義する。
【0037】
【数1】 (1)ここで、Hmaxはひし形における反転磁場(=
60Oe)、H45は45°方向に印加した外部磁場の
大きさ、σは磁化の向きの標準偏差、θは磁化の平均の
向きである。性能指数が大きいほどよいセル形状である
ことを表す。図7に性能指数のセル形状依存性を示す。
性能指数はサイクロイド付近にピークをもつ関数になっ
ており、サイクロイド状セルの方が、ひし形、楕円形セ
ルよりも良い形状であることが分かる。任意の滑らかな
カーブを持つパターンの中でも、サイクロイドないしは
サイクロイド状の形が、磁化反転磁場が小さく、かつ磁
化の指向性が高い形状であるといえる。性能指数のブロ
ードなピーク部分に対応する形状がサイクロイド状の曲
線に相当する。
【0038】上述のLLGシミュレーションから予測で
きるように、磁気メモリ素子の平面形状を、磁化容易軸
または磁化困難軸に関し対称で、かつ、少なくとも平面
形状の一部を、磁化容易軸方向の中心線を基線とするサ
イクロイド状の曲線によって構成することによって、多
磁区構造が抑制されるとともに、楕円形あるいは円形の
端部を持った形状の磁気メモリ素子に比べ、磁化反転後
の指向性がより高まるために、外部磁場に対する情報蓄
積層であるフリー層の磁化反転の応答性が良好になる。
この結果、本発明の磁気モリ素子では、書き込みを高速
で行った場合においても正常な書き込みを行うことがで
きる。楕円形や円形のみならず、任意の滑らかにカーブ
した曲線の中で、本発明のサイクロイド状の曲線が、最
も磁化反転後の指向性が高い形状である。
【0039】また、磁化容易軸方向の長さ(L)とこれ
と直交する磁化困難軸方向の長さ(W)の比(アスペク
ト比)を、従来の楕(円)形の端部形状を有する磁気メ
モリ素子のそれより小さくしたとしても、本発明の磁気
モリ素子では、フリー層の磁化反転後の指向性が高いた
めに、従来の磁気メモリ素子よりも大容量化することが
可能となる。
【0040】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
を参照して詳細に説明する。図8は、本発明の磁気メモ
リ素子の実施の形態の構成をあらわす平面図である。図
9は、図8のA−A’線に沿った断面図、図10〜図1
3は図8のMTJ素子10の形状例を示した平面図(拡
大図)である。
【0041】素子形状に加工されたMTJ素子10は、
図8のように、互いに直交するワード線11とビット線
12の交点位置に配置される。ワード線11とビット線
12は、書き込み回路(図示してない)に連結され、選
択されたMTJ素子10の状態を書き換えることができ
る。一方、MTJ素子10は、図9のように、(ビアホ
ール14を介して)ワード線11とセンス線13によ
り、(図示してない)読み出し回路に連結される。読み
出し時のセル選択は各セルに接続された選択トランジス
タやダイオードにより行う。
【0042】MTJ素子10は、書き込み回路部、読み
出し回路部、選択トランジスタ部などを含む半導体回路
を作り込んだ基板上に、該半導体回路とMTJ素子10
の接続配線や、ビット線12の配線層ならびにこれらの
配線層間の絶縁を取るための層間絶縁層21を形成し、
平坦化処理を行った後、形成される。MTJ素子10
は、まず、層間絶縁層21上に(下記に詳述する)MT
J積層膜をスパッタ装置により成膜する。そして光学露
光プロセスにより、素子形状を規定するレジストパター
ンをMTJ積層膜上に形成し、イオンミリングあるいは
ドライエッチングにより、所望の形状、大きさに微細加
工する。その後、層間絶縁膜21’によって隣接するM
TJ素子間を電気的に分離し、MTJ素子10上の層間
絶縁膜21’にビアホール14を開口し、最後にワード
線11を形成する。
【0043】MTJ素子10は、下地層15、反強磁性
体層16、下部強磁性電極層(ピン層)17、トンネル
絶縁層18、上部強磁性電極層(フリー層)19、キャ
ップ保護層20、より成る。なお、下地層15は、密着
性や反強磁性体層の配向性制御のために、バッファー
層、シード層、結晶制御層というような複数の層より構
成されるのが一般的である。また、下地層15によりセ
ンス線13を形成しても構わない。
【0044】下地層15を構成するバッファー層として
は、Ta、Zr、Ti、Pd、Hf、Cr等、シード層
としては、Al、Cu、あるいはこれらを主成分とする
合金、結晶制御層としては、NiFe、CoFe等の強
磁性合金やNiFeCr、NiFeTa、Cu、Ta、
Zr、Ti、Pd、Cr等、この上に積層される反強磁
性体層16に合わせて使い分けられる。反強磁性体層1
6には、FeMn、IrMn、RhMn等の不規則系合
金や、NiMn、PtMn、PdMn等の規則合金系合
金を用いる。ピン層17には、Co、CoFe、NiF
e等の強磁性体合金、フリー層19には、軟磁気特性に
優れたNiFe、NiFeCo、CoFe/NiFe
(積層膜)等を用いる。トンネル絶縁膜18は、Alを
プラズマ酸化あるいはラジカル酸化して形成したAlO
や、プラズマ窒化して形成したAlN等を用いること
によって良好なバリア特性がえられる。MTJ素子の接
合抵抗は、磁気メモリ素子の設計パラメータであるの
で、半導体回路とのマッチングを図る必要がある。なお
接合抵抗はトンネル絶縁層の膜厚に対して指数関数的に
増大するので、接合抵抗の調整にあたっては、Al膜厚
ならびに酸化条件の制御が非常に重要である。キャップ
保護層20は、微細加工プロセス工程で生じうるフリー
層19の酸化を防止するための保護層であるとともに、
ワード線をMTJ素子と連結するビアホールを形成する
時のエッチングストッパーとしての役割を担っており、
Ta、Pt等を用いる。層間絶縁膜21、21’には、
SiOやSiN、Al等の絶縁体膜を用い
る。ワード線11、ビット線12、センス線13には、
Al、あるいはこれを主成分とし少量の添加元素(C
u、Si、Mg等)を加えたAl合金、またはCuが用
いられる。
【0045】下部強磁性電極の磁化17’は、これに隣
接する反強磁性体層16からの交換結合によって、常に
一定方向を向くように固定される。(下部強磁性体層の
磁化は外部磁場に対してその向きを変えることがないた
め、下部強磁性体層をピン層あるいは固定層と呼ぶ。)
一方、上部強磁性電極層の磁化19’は、ワード線11
とビット線12に流す電流22、23によって生ずる磁
場によって、下部強磁性電極のそれの向きに対して、
「平行」あるいは「反平行」に書き換えることができ
る。ピン層と反強磁性層間に十分大きな交換結合を生じ
させるために、磁化容易軸方向に平行に外部磁場を印加
しながら熱処理を行うのが一般的である。用いる反強磁
性体のブロッキング温度以上の温度で数10分間から数
時間の熱処理を行なう。なお、ピン層の磁化を一定方向
に固着するには、(反強磁性体層を用いずに)ピン層の
保磁力をフリー層のそれより大きくするという手法もあ
るが、図9に示したように、ピン層17に隣接し、トン
ネル絶縁層18と反対側の面に反強磁性体層16を設け
た、いわゆる交換バイアス型MTJ素子が素子動作上よ
り好ましい。なお、トンネル絶縁層を挟んで上部にピン
層と反強磁性体層を、下部にフリー層を配置した、図9
と逆積層のMTJ素子を用いても磁気メモリ素子として
の動作上、何ら問題は生じない。
【0046】図10〜図13を用いて、本発明の磁気メ
モリ素子の形状について詳細に説明する。フォトリソグ
ラフィー、エッチングの工程を経て出来上がったMTJ
素子パターンの形状を原子間力顕微鏡(AFM)により
観察してみると、数学的に厳密に定義されたパターンは
ほとんどない。例えば、長方形や六角形では、角部分が
丸まっている。あるいは、サイクロイド形、楕円形、競
技場トラック形については、確かに形の違いは判別でき
るものの、数学的な厳密性は失われている。特にサイズ
が小さくなってくると、パターンの数学的な意味での厳
密性の低下は避けられない。以下の記述では、説明のた
めに数学的に厳密な取り扱いをして形状を記述するが、
実際にできるパターン形状は、例えばサイクロイド状の
形、楕円状の形であることを強調しておく。(ここで
は、形の違いは判別できるものの、数学的な厳密性は失
われたパターン形状を、「……状」の形と称してい
る。)本発明の磁気メモリ素子の平面形状は、磁化容易
軸(図10〜図13の長軸、ないしはX軸)または磁化
困難軸(図10〜図13の短軸、ないしはY軸)に関し
て対称であり、少なくとも平面形状の一部に、磁化容易
軸方向の中心線を基線とするサイクロイドないしはサイ
クロイド状の曲線で構成されていることを特徴としてい
る。サイクロイド曲線とは、基線上を転がる半径aの円
周上の一点が描く軌跡である。以下、磁化容易軸方向
(長軸)の長さをL、磁化困難軸方向(短軸)の長さを
Wとする。長軸長の短軸長に対する比L/Wをアスペク
ト比と定義する。アスペクト比、ならびにサイクロイド
曲線の大きさを決めるa(基線上を転がる円の半径)に
よって、本発明の磁気メモリ素子の形状が変わってく
る。
【0047】まず、磁化困難軸方向の長さ(短辺長)W
が4aに等しい(W=4a)場合について説明する。こ
のとき、アスペクト比が1.57(=π/2)以上の場
合、長辺L、短辺Wの長方形と微分の不連続点を持たず
に内接するサイクロイド形状パターンとなる。(微分の
不連続点を持たないということは、角が全くないという
ことである。)アスペクト比が1.57(=π/2)の
場合の形状を図10に示す。このときの形状パターン
は、4つの等価なサイクロイド曲線より構成され、各サ
イクロイドは、長軸(X軸)上、短軸(Y軸)上で微分
の不連続点を持たずに交差する。(長辺L(=2π
a)、短辺W(=4a)の長方形とも微分の不連続点を
持たずに内接する。)図10A上部、A下部、B上部、
B下部の各領域の形状曲線は、基線y=0を転がる半径
aの円周上の一点の軌跡として表されるサイクロイド曲
線であり、局所座標(x,y)、(x,y)を
用いると、 A上部:
【0048】
【数2】
【0049】
【数3】A下部:
【0050】
【数4】
【0051】
【数5】 B上部:
【0052】
【数6】
【0053】
【数7】 B下部:
【0054】
【数8】
【0055】
【数9】 で与えられる。ここで、θは助変数で円の回転角を表
し、0<θ<πの間の値をとり、サイクロイドのちょう
ど1/2周期分に相当する。
【0056】図11は、アスペクト比が1.57(=π
/2)より大きい場合の形状パターンであり、図10の
A部分とB部分の間に、長軸方向の長さが、L−2a
π、短軸方向の長さが4aの矩形Cを挿入した形状にな
っている。すなわち、上述した4つのサイクロイド曲線
と長軸(X軸)に平行な直線より構成されるパターンで
ある。したがってこの場合も、長辺L、短辺W(=4
a)の長方形と微分の不連続点を持たずにサイクロイド
が内接する。
【0057】次に、磁化困難軸方向の長さ(短辺長)W
が4aより小さい(W<4a)場合について説明する。
このときは、アスペクト比によって、不連続点が2つ、
ないしは4つ現れる形状パターンとなる。(W<4aで
あることから、θ=πになる前にサイクロイドの基線
(長軸)からの距離がW/2に達してしまう場合に相当
する。)アスペクト比が、1より大きくかつ1.57
(=π/2)より小さい場合の形状パターンを図12に
示す。図10で述べた4つのサイクロイド曲線の助変数
θが、0<θ<πの間の値をとる(ちょうど1/2周期
分)のに対して、図12の場合は、0<θ<π(1/2
周期に達しない)であるために、短軸に平行な中心線
(Y軸)上で鈍角をなして交わった形状となっている。
なお、アスペクト比が1.0の場合は、Y軸上での交点
が明らかな不連続点となってしまう(すなわち、ここで
角が生じる)ため、X軸方向で磁化反転が生じにくくな
る。したがって、X軸を磁化容易軸として磁化反転を生
じさせるには、1より大きなアスペクト比、望ましくは
(短軸に平行な中心線(Y軸)上で鈍角をなして交わっ
た形状となる)1.1以上のアスペクト比が必要であ
る。
【0058】アスペクト比が1.57(=π/2)より
大きい場合の形状パターンを図13に示す。この場合
は、ちょうど図12のA’部分とB’部分の間に、矩形
C’を挿入した形状になっていて、サイクロイド曲線の
助変数θが、0<θ<πである(1/2周期に達しない
部分的な)4つのサイクロイド曲線と長軸(X軸)に平
行な直線より構成されるパターンである。この部分的な
サイクロイドと直線とは、やはり微分の不連続点で、両
者は鈍角に交差している。
【0059】図14は、アスペクト比が2の場合につい
て、本発明の磁気メモリ素子の平面形状である(a)サ
イクロイド形状パターンに対し、(b)円形を含む競技
場トラック型パターン(2つの半円と矩形を合わせた
形)や、(c)紡錘状パターン(2つの円弧より成るパ
ターン)、ならびに(d)楕円形パターン、そして
(e)六角形パターンとを並べて比較したものである。
角のない競技場トラック型パターンや楕円形パターンに
比べると、サイクロイド形状パターンは、長軸方向に向
かってパターンが絞られていることが分かる。このため
に磁化反転後の磁化の指向性が高まるという効果が生じ
る。これに対し、紡錘状パターンは、本発明のサイクロ
イドパターンより長軸方向に向かうパターンの細りが顕
著であり、磁化反転後の磁化の指向性は高くなるが、そ
の反面、反転に必要となる反転磁場が大きくなってしま
うという問題が発生する。一方、六角形パターンは、角
のあるパターンであるために、従来の技術で説明したよ
うに、エンドドメインによる多磁区構造が発生しやす
く、選択性に問題がある。アスペクト比が1.57以上
の場合、本発明のサイクロイド形状パターンは、微分の
不連続点が存在しない(角がない)ため、エンドドメイ
ンのような多磁区構造をとることはない。アスペクト比
が1と1.57(=π/2)の間(微分の不連続点を持
つ)にある場合であっても、(図14に示すように)鈍
角的に緩やかであるために、同じアスペクト比の六角形
パターンに比較すると、エンドドメインによる多磁区構
造の発生確率は著しく低くなる。
【0060】図15はアスペクト比が1.25の場合に
ついて、ひし形、サイクロイド、楕円を兼ね合わせて示
したものである。3つの形状の違いは明らかで、サイク
ロイドがひし形の持つ高指向性と、楕円の持つ低反転磁
場性を兼ね備えた形であることが分かる。
【0061】以上本発明の実施の形態をMTJ素子につ
いて説明したが、本発明はGMR素子についても適用で
きることはいうまでもない。
【0062】次に、具体的な実施例を用いて本実施の形
態の動作を説明する。
【0063】(実施例1)図16に示すように、MTJ
積層膜の微小パターンをアレイ状に多数個(約10
個)並べた試料を作製し、集団状態での反転特性がM
TJ積層膜の微小パターン形状によってどう変化するか
を調べた実施例について説明する。まず本実施例に用い
た試料の作製方法について説明する。本実施例に用いる
試料は、半導体回路部を必要としないために、6インチ
φの熱酸化膜付シリコン基板上にMTJ積層膜を成膜し
た後、これを一定の形状を有する微小パターンアレイを
作るためのフォトリソグラフィー工程と、イオンミリン
グ工程を経て作製した。MTJ積層膜は、DCマグネト
ロンスパッタ源を備えた成膜チャンバーと、トンネルバ
リア形成を行う酸化チャンバー、ウェハーの出し入れを
行うロードロックチャンバーの3室より構成されるスパ
ッタ装置を用いて成膜した。各チャンバー間はゲートバ
ルブを介して接続されており、ウェハーは、搬送機構に
よって真空を破ることなくチャンバー間を移動できる。
成膜手順は以下のとおりである。ウェハーをスパッタ成
膜室に搬送し、3nmのTaバッファー層、3nmのN
iFe結晶制御層、10nmのIrMn反強磁性体層、
2nmのCo90Fe10ピン層、2nmのAl層を成
膜後、ウェハーを酸化チャンバーに搬送し、プラズマ酸
化源によりAlを酸化し、トンネル絶縁膜を形成する。
再度、ウェハーをスパッタ成膜チャンバーに戻し、3n
mのNi80Fe20フリー層、10nmのTaキャッ
プ保護層を積層し、MTJ積層膜の成膜を完了する。こ
こで、MTJを構成する各金属層は、アルゴンガス圧
0.5〜4×10−1Pa、成膜速度0.06〜0.5
nm/sの条件で成膜した。なお、成膜時にはウェハー
面内の一定方向に50Oeの磁場を印加した。トンネル絶
縁膜の形成に用いたプラズマ酸化条件は、酸素ガス圧1
×10−2Pa、50Wであり、3分間の酸化処理を行
なった。最後に、成膜時の磁場印加方向と平行に3kO
eの磁場を印加しながら、250℃で30分間の磁場中
熱処理を行い、MTJ積層膜に交換バイアスを付与し
た。ちなみに、本実施例とは別に作製したMTJ素子に
よれば、上記の酸化条件では、10kΩ・μmの規格
化接合抵抗を示し、磁気抵抗変化率(MR比)は43%
であった。
【0064】次に、MTJ積層膜上に50nmのSiO
膜をスパッタ成膜した後、i線ステッパーを用い、後
述する形状のドット(点状パターン)が格子状に配列し
たレジストマスクを作る。CFガスによるドライエッ
チングにより、レジストパターンが転写されたSiO
のハードマスクを作製する。最後に、このハードマスク
をマスクとして、MTJ積層膜をイオンミリング加工す
る。この際、最下層のTaバッファー層まで切り込ん
で、一つ一つの形状を独立させる。作製した形状は、磁
化容易軸方向(長軸)の長さをL、磁化困難軸方向(短
軸)の長さをWとしたとき、L=0.5μm、W=0.
25μm、アスペクト比L/W=2で、サイクロイド
形、楕円形、競技場トラック形、紡錘形、長方形、六角
形の6種類である。各形状とも、1cmの区画内に同
一形状の約10個のドットパターンが含まれている。
なお、一つ一つのドットパターンはお互いに静磁結合し
ないよう、2μmの間隔をとってある。
【0065】出来上がったパターンの形状を原子間力顕
微鏡(AFM)により観察してみると、数学的に厳密に
定義されたパターンは多くない。直線で囲まれるべき長
方形や六角形あるいは鋭角的な角のある紡錘形において
は、角部分が丸まっているし、滑らかな曲線で囲まれて
いるサイクロイド形、楕円形、競技場トラック形につい
ては、確かに形の違いは判別できるものの、数学的な厳
密性は失われている。これは、露光マスクが厳密にでき
ていたとしても、フォトリソグラフィーやパターン加工
のプロセスを経ることによって、パターンの数学的な意
味での厳密性は低下することは避けられないことによ
る。したがって、実際にできる形状は、サイクロイド
状、楕円状、競技場トラック状、紡錘形状、長方形状、
六角形状、のパターンである。以下の記述では、特に断
ることなく、サイクロイド形、楕円形、競技場トラック
形、等と記すが、これらは厳密な図形を示すわけではな
く、実際にできた、サイクロイド状の形、楕円状の形、
競技場トラック状の形、等をさすものとする。
【0066】上記のプロセスを経て作製したウェハーよ
り試料を切り出し、振動試料型磁力計により磁化測定を
行なった。磁化困難軸方向に20Oeの一定磁場を印加
しながら、磁化容易軸方向に磁場を掃引した。シャープ
な磁化曲線(M−H曲線)を示す素子を集団で評価する
ため、図17(a)に示すように、反転磁場には分布が
生じる。そこで、磁化反転部分について、磁化曲線の微
分(dM/dH)を磁場Hに対してプロットすると、図
17(b)に示すように、ガウス分布曲線がえられる。
このガウス分布曲線より、素子形状に対して、平均反転
磁場Hおよび反転磁場の分散σを求めると表1に示す
ようになった。明瞭な角のない形状である、サイクロイ
ド形、楕円形、競技場トラック形では、明瞭な角のある
紡錘形、長方形、六角形に比べ、平均反転磁場Hが小
さい。一方、反転磁場のバラツキの指標となる分散σ
は、サイクロイド形、紡錘形、六角形のように、磁化の
指向性が高い形状で小さく、楕円形、競技場トラック
形、長方形のように、磁化の指向性の低い形状で大き
い。サイクロイド形状は、反転磁場が小さく、かつ磁化
指向性が高いために、磁気メモリ素子の形状として、楕
円形や競技場トラック形よりも優れている。
【0067】
【表1】
【0068】(実施例2)MTJ素子部の形状を変えた
磁気メモリ素子を作製し、反転特性に及ぼす素子形状の
効果を調べた実施例について説明する。まず本実施例に
用いた試料の作製方法について説明する。本実施例に用
いる試料は、半導体回路部を必要としないために、6イ
ンチφの熱酸化膜付シリコン基板上に作製した。本実施
例で用いたMTJ積層膜の成膜手順は、以下のとおりで
ある。実施例1で用いた成膜装置を用いて、熱酸化膜付
きシリコン基板上に、3nmのTaバッファー層、30
0nmのCu下地層、1.5nmのTaバッファー層、
3nmのNiFe結晶制御層、30nmのPtMn反強
磁性体層、2nmのCo90Fe10ピン層、2nmの
Al層を成膜し、プラズマ酸化源によりAlを酸化し、
トンネル絶縁膜を形成する。この上に、3nmのNi
80Fe20フリー層、10nmのTaキャップ保護層
をつけ、MTJ積層膜の成膜を完了する。
【0069】MTJ積層膜を構成する各金属層は、アル
ゴンガス圧0.5〜4×10−1Pa、成膜速度0.0
6〜0.5nm/sの条件で成膜した。なお、成膜時に
はウェハー面内の一定方向に50Oeの磁場を印加した。
トンネル絶縁膜の形成に用いたプラズマ酸化条件は、酸
素ガス圧2×10−2Pa、60Wであり、5分間の酸
化処理を行なった。最後に、成膜時の磁場印加方向と平
行に3kOeの磁場を印加しながら、270℃で5時間
の磁場中熱処理を行い、MTJ積層膜に交換バイアスを
付与した。磁化容易軸方向をX軸、磁化困難軸方向をY
軸とする。
【0070】次に、フォトリソグラフィ、エッチングプ
ロセスによりMTJ素子加工を行う。まず、MTJ素子
形状を規定するレジストパターンを形成し、イオンミリ
ングによりトンネルバリアまでエッチングする。ミリン
グ装置にとりつけた質量分析器により、ミリングされた
2次イオンを分析してエッチングの終点検出を行った。
次に、MTJ積層膜を、以下のフォトリソグラフィ工程
で用いられる現像液から保護するため、全面に50nm
のSiO保護層を形成する。次に、下部電極(本実施
例では、3nmのTaバッファー層、300nmのCu
下地層、1.5nmのTaバッファー層、3nmのNi
Fe結晶制御層、30nmのPtMn反強磁性体層、2
nmのCo90Fe10ピン層より成る)を規定するレ
ジストパターンを形成し、イオンミリングによりTaバ
ッファー層までエッチングする。この後、300nmの
SiOを前面にスパッタ成膜し、MTJ素子間を電気
的に絶縁する層間絶縁膜を形成する。次に、CFガス
を用いたドライエッチングによりMTJ素子上にビアホ
ールを開口し、500nmのAl合金(Al−Si−C
u)をスパッタ成膜し、上部電極パターンを形成する。
なお、下部電極は磁化困難軸(Y軸)に平行、上部電極
は磁化容易軸(X軸)に平行となるようにした。
【0071】実施例1によれば、紡錘形、長方形、六角
形は、サイクロイド形、楕円形、競技場トラック形に比
べ、反転磁場が2倍程度大きいために、磁気メモリ素子
への応用を念頭に置くならば、消費電力の観点から不利
な形状であるといえる。そこで本実施例では、後者の3
つの形状のみを作製した。大きさは、磁化容易軸方向
(X軸方向)の長さをL、磁化困難軸方向(Y軸方向)
の長さをWとしたとき、L=0.25〜1μm、W=
0.25μm、アスペクト比L/W=1〜4である。
【0072】MTJ素子形状を規定するエッチングが終
わったウェハーを抜き取り、素子形状を原子間力顕微鏡
(AFM)により観察した。サイクロイド形、楕円形、
競技場トラック形の違いは判別できるものの、数学的な
厳密性は失われている。これは、露光マスクが厳密にで
きていたとしても、フォトリソグラフィーやパターン加
工のプロセスを経ることによって、パターンの数学的な
意味での厳密性は低下することは避けられないことによ
る。したがって、実際にできる形状は、サイクロイド
状、楕円状、競技場トラック状のパターンである。以下
の記述では、特に断ることなく、サイクロイド形、楕円
形、競技場トラック形、と記すが、これらは厳密な図形
を示すわけではなく、実際にできた、サイクロイド状の
形、楕円状の形、競技場トラック状の形、をさすものと
する。
【0073】本実施例では、互いに直交する下部電極な
らびに上部電極に流す電流によって生じる合成磁場によ
って間に挟まれるMTJ素子の磁化方向を反転させる、
いわゆる書き込み動作を行なった後、MTJ素子の磁化
状態に影響を及ぼさない十分小さな電流で電気抵抗を測
定する、いわゆる読み出し動作を行ない、一つ一つのM
TJ素子の反転特性を調べた。なお、作製された磁気メ
モリ素子は、素子の形状やサイズにほとんど依存せず、
規格化接合抵抗が0.8〜1.1MΩ・μm、磁気抵
抗変化率(MR比)が36〜42%の範囲に入る特性を
示した。
【0074】本実施例では、多数個のMTJ素子につい
て、パルス状の反転磁場を印加して書き込み、その抵抗
を読み出すという操作を行い、書き込みがきちんと行わ
れたかを調べた。測定の手順は以下のとおりである。ま
ず、十分大きな磁場を印加して、初期状態を低抵抗状態
(フリー層の磁化が+X方向を向いているとする)にす
る。その後、磁化困難軸方向に磁場H、磁化容易軸方
向に磁場−Hのパルス磁場を同時に印加してフリー層
の磁化を反転させる。もちろん、この合成磁場の大きさ
は、図21の2軸性外部磁場113に相当するものであ
る。実際には、上部電極と下部電極にピーク電流値が5
mA、パルス幅5nsのパルス電流を流した。この後、
素子の抵抗を測定した。以上の書き込み、読み出し操作
を100個のMTJ素子について行い、抵抗値の分布状
態を調べた。えられた抵抗値の分布には、MTJ素子間
の抵抗分布も含むことになるが、この素子抵抗間の分布
は、同一形状、同一サイズの素子においては±5%以内
であった。図18は、アスペクト比L/W=1.25に
おける、(a)サイクロイド形、(b)楕円形、(c)
競技場トラック形の各素子についての抵抗値の分布曲線
である。サイクロイド形では、高抵抗状態のみが安定に
書き込まれているのに対し、楕円、競技場トラック形と
なるにつれ、高抵抗状態に書き込まれる確率が減り、高
抵抗でもなく、低抵抗でもないという中間の状態になる
確率が増えていることが分かる。本実施例の結果は、サ
イクロイド形が、楕円形、競技場トラック形に比べ、磁
化の指向性が高いために、磁化反転磁場に追随して書き
込み動作が行なえる形状であることを示している。
【0075】(実施例3)1kビットの磁気ランダムア
クセスメモリを作製し、反転特性に及ぼすMTJ素子部
の形状の効果を調べた実施例について説明する。まず本
実施例に用いた試料の作製方法について説明する。
【0076】まずMTJ素子より下層の半導体回路なら
びに下層配線層を形成する。具体的には、書き込み回路
部、読み出し回路部、選択トランジスタ部などを含む半
導体回路が作り込まれたシリコン基板上に、該半導体回
路とMTJ素子の接続配線や、ビット線等の配線層なら
びにこれらの配線層間の絶縁を取るための層間絶縁層を
形成する。この層間絶縁膜上に、センス線、MTJ積層
膜を順じ積層してゆき、書き込み時の電流を小さくする
ために、MTJ素子とビット線の距離はできる限り近い
方が望ましいことから、CMP(化学的機械研磨)法に
より層間絶縁膜の平坦化処理を行ない、MTJ素子とビ
ット線の距離を200nmにした。
【0077】次に、実施例1あるいは実施例2で用いた
スパッタ装置によりMTJ積層膜を成膜する。本実施例
のMTJ積層膜の成膜手順は、以下のとおりである。3
nmのTaバッファー層、300nmのAl下地層(本
実施例ではセンス線を兼ねる)、1.5nmのTaバッ
ファー層、3nmのNiFe結晶制御層、10nmのI
rMn反強磁性体層、2nmのCo90Fe10ピン
層、2nmのAl層を成膜後、プラズマ酸化源によりA
lを酸化し、トンネル絶縁膜を形成する。この上に、3
nmのNi80Fe20フリー層、10nmのTaキャ
ップ保護層を積層し、MTJ積層膜の成膜を完了する。
【0078】MTJを構成する各金属層は、アルゴンガ
ス圧0.5〜4×10−1Pa、成膜速度0.06〜
0.5nm/sの条件で成膜した。なお、成膜時にはウ
ェハー面内の一定方向に50Oeの磁場を印加した。トン
ネル絶縁膜の形成に用いたプラズマ酸化条件は、酸素ガ
ス圧2×10−2Pa、50Wであり、3分間の酸化処
理で規格化接合抵抗は30kΩ・μmであった。
【0079】次に、フォトリソグラフィ、エッチングプ
ロセスによりMTJ素子加工を行う。まず、MTJ素子
形状を規定するレジストパターンを形成し、イオンミリ
ングによりIrMnまでエッチングする。ミリング装置
にとりつけた質量分析器により、ミリングされた2次イ
オンを分析してエッチングの終点検出を行った。
【0080】MTJ素子形状を規定するエッチングが終
わったウェハーを抜き取り、素子形状を原子間力顕微鏡
(AFM)により観察した。サイクロイド形、楕円形、
競技場トラック形の違いは判別できるものの、数学的な
厳密性は失われている。これは、露光マスクが厳密にで
きていたとしても、フォトリソグラフィーやパターン加
工のプロセスを経ることによって、パターンの数学的な
意味での厳密性は低下することは避けられないことによ
る。したがって、実際にできる形状は、サイクロイド
状、楕円状、競技場トラック状のパターンである。以下
の記述では、特に断ることなく、サイクロイド形、楕円
形、競技場トラック形、と記すが、これらは厳密な図形
を示すわけではなく、実際にできた、サイクロイド状の
形、楕円状の形、競技場トラック状の形、をさすものと
する。
【0081】次に、MTJ積層膜を、以下のフォトリソ
グラフィ工程で用いられる現像液から保護するため、全
面に50nmのSiO保護層を形成する。次に、下部
電極(本実施例では、これがセンス線を兼ね、3nmの
Taバッファー層、300nmのAl下地層、1.5n
mのTaバッファー層、3nmのNiFe結晶制御層よ
り成る)を規定するレジストパターンを形成し、イオン
ミリングによりTaバッファー層までエッチングする。
この後、500nmのSiOを前面にスパッタ成膜
し、MTJ素子間を電気的に絶縁する層間絶縁膜を形成
する。次に、CF ガスを用いたドライエッチングによ
りMTJ素子上にビアホールを開口し、500nmのA
l合金(Al−Si−Cu)をスパッタ成膜し、ワード
線パターンを形成する。最後に、成膜時の磁場印加方向
と平行に3kOeの磁場を印加しながら、250℃で3
0分間の磁場中熱処理を行い、MTJ素子に交換バイア
スを付与した。(ワード線に平行に一軸異方性(磁化容
易軸)をつける。)本実施例におけるMTJ素子の形状
は、サイクロイド、楕円、競技場トラック形の3種類、
大きさは、磁化容易軸方向(X軸方向)の長さをL、磁
化困難軸方向(Y軸方向)の長さをWとしたとき、L=
0.5μm、W=0.4μm、アスペクト比L/W=
1.25、ならびにL=0.8μm、W=0.4μm、
アスペクト比L/W=2.0、の2種類である。
【0082】本実施例においては、すべてのビット(1
kビット)に対して“0”あるいは“1”書き込みを行
った後、各ビットの情報を読み出し、誤書き込みの確率
を調べた。表2から分かるように誤書きこみ確率は、サ
イクロイド形では0%であるのに対し、楕円形、競技場
トラック形となるにしたがって増大する。楕円形、競技
場トラック形における誤書き込み確率は、アスペクト比
が小さい場合の方が大きく、アスペクト比が小さいとこ
ろでのサイクロイドの優位性が顕著であることが分か
る。
【0083】
【表2】 なお、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の技
術思想の範囲内において、各実施例は適宜変更され得る
ことは明らかである。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
少なくともMTJ素子あるいはGMR素子の形状の一部
にサイクロイドないしはサイクロイド状の曲線を含んだ
形状とすることで、選択性を犠牲にすることなく、フリ
ー層の磁化反転が外部磁場に追随し、かつ反転後の磁化
の指向性の高い磁気メモリ素子及びそれを用いた磁気ラ
ンダムアクセスメモリを提供することができる。さら
に、本発明の形状は、従来の楕円形や競技場トラック形
に比べ、アスペクト比が小さいところにおいても、フリ
ー層の反転に必要な反転磁場が小さく、かつ反転後の磁
化の指向性が高いために、より集積度の高い磁気メモリ
素子及びそれを用いた磁気ランダムアクセスメモリを提
供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の作用を説明するための模式図である。
【図2】本発明の作用を説明するための模式図である。
【図3】本発明の作用を説明するための模式図である。
【図4】本発明の作用を説明するための模式図である。
【図5】本発明の作用を説明するための模式図である。
【図6】本発明の作用を説明するための模式図である。
【図7】本発明の作用を説明するための模式図である。
【図8】本発明の実施の形態の構造を示す平面図であ
る。
【図9】本発明の実施の形態の構造を示す断面図であ
る。
【図10】本発明の実施の形態の構造を示す平面図であ
る。
【図11】本発明の実施の形態の構造を示す平面図であ
る。
【図12】本発明の実施の形態の構造を示す平面図であ
る。
【図13】本発明の実施の形態の構造を示す平面図であ
る。
【図14】本発明の実施の形態の構造と従来のそれを比
較した平面図
【図15】本発明の実施の形態の構造と従来のそれを比
較した平面図
【図16】本発明の第1の実施例に用いた試料の模式図
である。
【図17】本発明の第1の実施例を説明するための模式
図である。
【図18】本発明の第2の実施例の結果を示す図であ
る。
【図19】従来の磁気メモリ素子の構造を示す平面図で
ある。
【図20】従来の磁気メモリ素子の構造を示す断面図で
ある。
【図21】磁気メモリ素子の動作原理を説明するための
図である。
【図22】磁気メモリ素子の動作原理を説明するための
図である。
【図23】従来の磁気メモリ素子の特性を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 反転外部磁場 10 磁気メモリ素子 11 ワード線 12 ビット線 13 センス線 14 ビアホール 15 下地層 16 反強磁性層 17 下部強磁性電極層(ピン層) 18 トンネル絶縁層 19 上部強磁性電極層(フリー層) 20 キャップ保護層 21,21’ 層間絶縁層 112 一軸性磁場 113 2軸性磁場
フロントページの続き (72)発明者 松寺 久雄 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 (72)発明者 柘植 久尚 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気株 式会社内 Fターム(参考) 5F083 FZ10 GA09 GA11 JA02 JA36 JA37 JA38 JA39 JA40 PR04 PR40

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2層の強磁性体層が非磁性中
    間層を介して積層され、該非磁性中間層を挟む少なくと
    も一方の強磁性層の磁化方向を変化させることによって
    情報を記録し、磁気抵抗効果によってその状態を読み出
    す磁気メモリ素子において、少なくとも該磁気メモリ素
    子の平面形状の一部に、サイクロイドないしはサイクロ
    イド状の曲線を含むことを特徴とする磁気メモリ素子。
  2. 【請求項2】 少なくとも2層の強磁性体層が非磁性中
    間層を介して積層され、該非磁性中間層を挟む少なくと
    も一方の強磁性層の磁化方向を変化させることによって
    情報を記録し、磁気抵抗効果によってその状態を読み出
    す磁気メモリ素子において、該磁気メモリ素子の平面形
    状が、磁化容易軸または磁化困難軸に関し対称であっ
    て、少なくとも形状の一部に、サイクロイドないしはサ
    イクロイド状の曲線を含むことを特徴とする磁気メモリ
    素子。
  3. 【請求項3】 少なくとも2層の強磁性体層が非磁性中
    間層を介して積層され、該非磁性中間層を挟む少なくと
    も一方の強磁性層の磁化方向を変化させることによって
    情報を記録し、磁気抵抗効果によってその状態を読み出
    す磁気メモリ素子において、該磁気メモリ素子の平面形
    状が、磁化容易軸または磁化困難軸に関し対称であっ
    て、少なくとも平面形状の一部に、磁化容易軸方向の中
    心線を基線とするサイクロイドないしはサイクロイド状
    の曲線を含むことを特徴とする磁気メモリ素子。
  4. 【請求項4】 少なくとも2層の強磁性体層が非磁性中
    間層を介して積層され、該非磁性中間層を挟む少なくと
    も一方の強磁性層の磁化方向を変化させることによって
    情報を記録し、磁気抵抗効果によってその状態を読み出
    す磁気メモリ素子において、一部にサイクロイドないし
    はサイクロイド状の曲線を含むマスクパターンを用いて
    該磁気メモリ素子の平面形状が形成されたことを特徴と
    する磁気メモリ素子。
  5. 【請求項5】 磁化容易軸方向の長さと磁化困難軸方向
    の長さの比(アスペクト比)が、1より大きく、かつ、
    1.57以下であることを特徴とする請求項1乃至4の
    いずれか一項に記載の磁気メモリ素子。
  6. 【請求項6】 磁化容易軸方向の長さと磁化困難軸方向
    の長さの比(アスペクト比)が1.57より大きく、磁
    化容易軸方向の端部を磁化容易軸方向の中心線を基線と
    するサイクロイドないしはサイクロイド状の曲線で、磁
    化困難軸方向の端部を直線で構成した形状を有すること
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の磁
    気メモリ素子。
  7. 【請求項7】 前記非磁性中間層が、トンネル絶縁層あ
    るいは、非磁性金属層である、請求項1乃至6のいずれ
    か一項に記載の磁気メモリ素子。
  8. 【請求項8】 複数のワード線と複数のビット線の交点
    位置に、少なくとも2層の強磁性体層が非磁性中間層を
    介して積層され、該非磁性中間層を挟む少なくとも一方
    の強磁性層の磁化方向を変化させることによって情報を
    記録し、磁気抵抗効果によってその状態を読み出す磁気
    メモリ素子を介在させた構成を有する磁気ランダムアク
    セスメモリにおいて、少なくとも該磁気メモリ素子の平
    面形状の一部にサイクロイドないしはサイクロイド状の
    曲線を含むことを特徴とする磁気ランダムアクセスメモ
    リ。
  9. 【請求項9】 複数のワード線と複数のビット線の交点
    位置に、少なくとも2層の強磁性体層が非磁性中間層を
    介して積層され、該非磁性中間層を挟む少なくとも一方
    の強磁性層の磁化方向を変化させることによって情報を
    記録し、磁気抵抗効果によってその状態を読み出す磁気
    メモリ素子を介在させた構成を有する磁気ランダムアク
    セスメモリにおいて、該磁気メモリ素子の平面形状が、
    磁化容易軸または磁化困難軸に関し対称であって、少な
    くとも平面形状の一部に、サイクロイドないしはサイク
    ロイド状の曲線を含むことを特徴とする磁気ランダムア
    クセスメモリ。
  10. 【請求項10】 複数のワード線と複数のビット線の交
    点位置に、少なくとも2層の強磁性体層が非磁性中間層
    を介して積層され、該非磁性中間層を挟む少なくとも一
    方の強磁性層の磁化方向を変化させることによって情報
    を記録し、磁気抵抗効果によってその状態を読み出す磁
    気メモリ素子を介在させた構成を有する磁気ランダムア
    クセスメモリにおいて、該磁気メモリ素子の平面形状
    が、磁化容易軸または磁化困難軸に関し対称であって、
    少なくとも平面形状の一部に、磁化容易軸方向の中心線
    を基線とするサイクロイドないしはサイクロイド状の曲
    線を含むことを特徴とする磁気ランダムアクセスメモ
    リ。
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