JP2003329091A

JP2003329091A - チェーンテンショナ

Info

Publication number: JP2003329091A
Application number: JP2002140231A
Authority: JP
Inventors: Seiji Sato; 誠二佐藤; Hisashi Hayakawa; 久早川
Original assignee: NTN Corp; NTN Toyo Bearing Co Ltd
Current assignee: NTN Corp
Priority date: 2002-05-15
Filing date: 2002-05-15
Publication date: 2003-11-19

Abstract

(57)【要約】【課題】ダンパ効果のバラツキの少ないチェーンテン
ショナを提供することである。【解決手段】ハウジング１にシリンダ室２と給油通路
３とを形成し、シリンダ室２内に摺動可能なプランジャ
４と、そのプランジャ４を外方向に押圧するプランジャ
スプリング７とを組込む。プランジャ４の外周面にリン
グ溝１０を形成し、そのリング溝１０にシールリング１
１を組込む。プランジャ４の背部に形成された圧力室５
内の圧力上昇時に、シリンダ室２とプランジャ４の摺動
面間に形成されたリークすきま９から外部にリークする
作動油のリーク量をシールリング１１により規制して、
圧力室５内の作動油によるダンパ効果を高める。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、自動車エンジン
のカム軸駆動用チェーン等のチェーンの張力を一定に保
持するチェーンテンショナに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】カム軸駆動用のチェーンの張力を一定に
保持するチェーンテンショナとして、図８に示したもの
が従来から知られている。このチェーンテンショナは、
エンジンブロックに取付けられるハウジング４０に一端
面で開口するシリンダ室４１を形成し、そのシリンダ室
４１内に摺動可能なプランジャ４２と、プランジャスプ
リング４３とを組込み、そのプランジャスプリング４３
の押圧によって外方向に突出性が付与された上記プラン
ジャ４２により摺動可能なチェーンガイド４４を介して
チェーン４５を押圧するようにしている。

【０００３】また、ハウジング４０にはプランジャ４２
の背部に形成された圧力室４６に連通する給油通路４７
を設け、その給油通路４７の油出口部にチェックバルブ
４８を組込み、上記プランジャ４２が外方向に移動して
圧力室４６内の作動油の圧力が低下したとき、チェック
バルブ４８を開放させ、給油ポンプの駆動により、給油
通路４７から圧力室４６内に作動油を流入させるように
している。

【０００４】上記の構成から成るチェーンテンショナに
おいては、チェーン４５の張力が増大してプランジャ４
２が押し込まれたとき、チェックバルブ４８を閉鎖さ
せ、圧力室４６内に封入された作動油によってプランジ
ャ４２に付与される押し込み力を緩衝するようにしてい
る。

【０００５】また、上記押し込みがプランジャスプリン
グ４３の弾性力より強い場合には、圧力室４６内の作動
油をシリンダ室４１とプランジャ４２の摺動面間に形成
されたリークすきま４９から外部にリークさせ、プラン
ジャスプリング４３の弾性力と押し込み力とが釣り合う
位置までプランジャ４２を後退させてチェーン４５の張
力を一定に保つようにしている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記チェー
ンテンショナにおいては、シリンダ室４１の内周面およ
びプランジャ４２の外周面の加工に際して加工誤差が生
じるため、リークすきま４９を一定に管理することがき
わめて困難である。このため、圧力室４６内の作動油の
外部へのリーク量が一定せず、チェーン４５の振動を抑
制するダンパ効果にバラツキが多いという不都合があっ
た。

【０００７】また、チェーンテンショナにおいては、軽
量化を図るため、ハウジング４０をアルミ材で形成する
ことが多い。この場合、ハウジング４０と鋼製プランジ
ャ４２の熱膨張係数の相違から、雰囲気温度の変化によ
ってリークすきま４９の大きさも変化し、安定したダン
パ効果を得ることができない。

【０００８】この発明の課題は、ダンパ効果のバラツキ
の少ないチェーンテンショナを提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明においては、ハウジングに一端面で開口
するシリンダ室と、そのシリンダ室の閉塞端部に連通す
る給油通路とを設け、前記シリンダ室内に後端面で開口
する中空室を有するプランジャを摺動自在に組込んでそ
の背部に圧力室を形成し、前記プランジャをプランジャ
スプリングにより外方向に向けて押圧し、プランジャに
付与される押し込み力を前記圧力室内の作動油によって
緩衝すると共に、上記押し込み力がプランジャスプリン
グの押圧力を超えた場合にシリンダ室とプランジャの摺
動面間に形成されたリークすきまから外部に作動油をリ
ークさせるようにしたチェーンテンショナにおいて、前
記プランジャの外周面にリング溝を形成し、そのリング
溝内に作動油の外部へのリーク量を規制する弾性を有す
るシールリングを組込んだ構成を採用している。

【００１０】上記のように、プランジャの外周面に形成
されたリング溝内にシールリングを組込んだことによっ
て、シリンダ室とプランジャの摺動面間に形成されるリ
ークすきまの大きさに関係なく作動油の外部へのリーク
量をほぼ一定とすることができ、ダンパ効果のバラツキ
の少ないチェーンテンショナを得ることができる。

【００１１】ここで、チェーンテンショナは、プランジ
ャの後退量を規制する後退量規制手段を有するチェーン
テンショナであってもよい。

【００１２】後退量規制手段は、シリンダ室の開口端部
の内周にクリップ収容溝を設け、そのクリップ収容溝内
に径方向に弾性変形可能なレジスタクリップを組込み、
プランジャの外周には前記レジスタクリップで締付けら
れる複数の円周溝を軸方向に等間隔に設け、各円周溝の
外周にプランジャの先端に向けて小径となるテーパ面
と、そのテーパ面の小径端部にレジスタクリップに対す
る係合によってプランジャの後退動を阻止する係合面と
を設けた構成から成るものであってもよい。

【００１３】あるいは、プランジャに形成された中空室
の開口端部の内周に雌ねじを設け、その雌ねじにスクリ
ュロッドの外周に形成された雄ねじをねじ係合し、その
スクリュロッドとプランジャの相互間に、両部材を離反
する方向に押圧するリターンスプリングを組込み、前記
雌ねじと雄ねじのねじ山をプランジャの押し込み力を受
ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフ
ランク角より大きい鋸歯状とし、その鋸歯状ねじ山に前
記リターンスプリングの弾力によってプランジャとスク
リュロッドが離反する方向に移動するリード角を設けた
構成から成るものであってもよい。

【００１４】この発明に係るチェーンテンショナにおい
て、前記給油通路の油出口部に、圧力室内の圧力が給油
通路に供給される作動油の供給圧力より高くなると給油
通路を閉じるチェックバルブを設けることにより、圧力
室内の作動油が給油通路がわに逆流するのを防止するこ
とができるため、良好なダンパ効果を得ることができ
る。

【００１５】また、前記ハウジングに圧力室と外部とを
連通させる排油路を設け、その排油路に前記圧力室内の
圧力が所定の圧力を超えると開弁して、圧力室内の作動
油を外部にリークさせて圧力室内の圧力を所定の圧力に
保持するリリーフバルブを設けることによって、前記リ
リーフバルブとプランジャの外径に設けられたシールリ
ングの設定を併用することによって、ダンパ効果のバラ
ツキがさらに小さいチェーンテンショナを得ることがで
きる。

【００１６】作動油のリーク量を規制するシールリング
として、大径端部がシリンダ室の内周面に接触し、小径
端部がリング溝の溝底面に弾性接触するテーパリングか
ら成るものを採用することにより、ハウジングおよびプ
ランジャが温度変化によって膨張し、あるいは収縮して
も、シリンダ室の内周面に対するシールリングの接触圧
が大幅に変化することが少なく、シール性およびプラン
ジャの摺動抵抗をほぼ一定に保持することができ、チェ
ーンの振動に対するプランジャの追従性の低下を抑制す
ることができる。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
１乃至図７に基づいて説明する。図１は、この発明に係
るチェーンテンショナの第１の実施の形態を示す。図示
のように、エンジンブロック等の固定部に取付けられる
ハウジング１には一端面で開口するシリンダ室２と、そ
のシリンダ室２の閉塞端部に連通する給油通路３とが設
けられている。

【００１８】シリンダ室２内には、プランジャ４が摺動
自在に組込まれ、その組込みによってプランジャ４の背
部に圧力室５が設けられている。

【００１９】プランジャ４は、その後端面で開口する中
空室６を有し、その中空室６の閉塞端と圧力室５の端面
間にプランジャスプリング７が組込まれている。プラン
ジャスプリング７は、プランジャ４を外方向に向けて押
圧している。

【００２０】前記給油通路３は圧力室５に連通し、その
給油通路３の油出口部にチェックバルブ８が組込まれて
いる。チェックバルブ８は圧力室５の作動油の圧力が給
油通路３に供給される作動油の圧力より高くなると、そ
の給油通路３を閉じるようになっている。

【００２１】プランジャ４とシリンダ室２の摺動面間に
は圧力室５と外部を連通させる微小なリークすきま９が
形成されている。また、プランジャ４の外周面にはリン
グ溝１０が形成され、そのリング溝１０にシールリング
１１が組込まれている。

【００２２】図２および図３に示すように、シールリン
グ１１はテーパリングから成っている。また、シールリ
ング１１は摺動抵抗の小さい合成樹脂を素材とし、弾性
を有している。合成樹脂として、ここでは、ポリテトラ
フルオロエチレン（ＰＴＦＥ）をベース樹脂として用
い、あるいは、ポリフェニレンサルファイド（ＰＰＳ）
あるいはポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）をベ
ース樹脂として、これにＰＴＦＥ樹脂を配合した樹脂を
用いるようにしている。

【００２３】上記シールリング１１は大径端が圧力室５
側に位置するようにしてリング溝１０に組込まれ、その
大径端部はシリンダ室２の内周面に接触していると共に
内周面にはリング溝１０の溝底との間にすきまをもって
いる。また、小径端部はリング溝１０の溝底に弾性接触
していると共に、外周面はシリンダ室２の内周面との間
にすきまをもっている。

【００２４】実施の形態で示すチェーンテンショナは上
記の構造から成り、このチェーンテンショナは、プラン
ジャスプリング７の押圧によって外方向への突出性が付
与されたプランジャ４により図８に示すチェーン４５を
押圧する取付けとされる。その取付け状態において、チ
ェーン４５が振動し、チェーン４５に弛みが生じると、
プランジャスプリング７の押圧によりプランジャ４が前
進してチェーン４５の弛みを吸収する。このとき、圧力
室５内の圧力は低下するため、チェックバルブ８が開放
し、給油通路３から圧力室５内に作動油が供給される。

【００２５】このため、プランジャ４は急速に外方に移
動してチェーン４５の弛みを直ちに吸収する。

【００２６】一方、チェーン４５の張力が増大してプラ
ンジャ４が押し込まれると、圧力室５内の圧力が高くな
るため、チェックバルブ８は閉鎖し、圧力室５内の作動
油によって上記押し込み力が緩衝される。

【００２７】このとき、圧力室５内の作動油は、シリン
ダ室２とプランジャ４の摺動面間に形成されたリークす
きま９に流れ、その作動油の圧力によってシールリング
１１の大径端がシリンダ室２の内周面に押し付けられ
る。

【００２８】このため、リークすきま９に流れる作動油
の外部へのリーク量は上記シールリング１１によって規
制され、リークすきま９の大きさに関係なくほぼ一定の
量とされると共に、そのリーク量も少ない。

【００２９】その結果、圧力室５内の作動油によってプ
ランジャ４には付与される押し込み力をきわめて効果的
に緩衝することができる。

【００３０】作動油を外部にリークさせるリークすきま
９は温度上昇によってハウジング１およびプランジャ４
が熱膨張した際に大きくなり、特に、ハウジング１がア
ルミ製とされ、プランジャ４が鋼製の場合、その熱膨係
数の相違によって上記リークすきま９は大きくなるが、
圧力室５内の圧力上昇時にシールリング１１の大径端部
がシリンダ室２の内周面に押し付けられるため、温度変
化に左右されずに作動油の外部へのリーク量を規制する
ことができる。

【００３１】作動油の外部へのリーク量を規制するシー
ルリング１１はテーパリングから成り、その大径端部の
外周部はシリンダ室２の内周面に接触されて内周部はリ
ング溝１０の溝底に対して隙間をもち、一方、小径端部
は内周部はリング溝１０の溝底に弾性接触して締め代を
もち、外周部はシリンダ室２の内周面間に対して隙間を
もつ取付けであるため、ハウジング１とプランジャ４の
材質間の熱膨張差を受けずにシール性を確保しつつ、摺
動抵抗も低く保つことになる。

【００３２】このため、プランジャ４の移動時による摺
動抵抗は小さく、チェーン４５の振動に対してプランジ
ャ４を良好に追従させることができる。

【００３３】図４（Ｉ）、（II）は、この発明に係るチ
ェーンテンショナの第２の実施形態を示す。この実施形
態で示すチェーンテンショナは、ハウジング１とプラン
ジャ４の相互間に、プランジャ４の後退量を規制する後
退量規制機構２０を設けた点で図１に示すチェーンテン
ショナと相違する。

【００３４】このため、図１に示すチェーンテンショナ
と同一の部品には同一符号を付して説明を省略する。

【００３５】後退量規制機構２０は、シリンダ室２の開
口端部の内周にクリップ収容溝２１を形成し、そのクリ
ップ収容溝２１内に径方向に弾性変形可能なレジスタク
リップ２２を設け、プランジャ４の外周には前記レジス
タクリップ２２で締付けられる複数の円周溝２３を軸方
向に等間隔に形成し、各円周溝２３の外周にプランジャ
４の先端に向けて小径となるテーパ面２３ａと、そのテ
ーパ面２３ａの小径端にレジスタクリップ２２に対する
係合によってプランジャ４の後退動を阻止する係合面２
３ｂを設けている。

【００３６】一般に、カム軸駆動用のチェーン４５にお
いては、エンジンを停止すると、カムの停止位置の関係
からチェーン４５が緊張状態に保持されることがある。

【００３７】このとき、図１に示すチェーンテンショナ
においては、チェーン４５によりプランジャ４が押し込
まれ、プランジャ４が大きく後退する。そして、エンジ
ンが再始動され、チェーン４５に大きな弛みが生じる
と、プランジャ４は外方向に急速に移動してチェーン４
５の弛みを吸収するが、このとき、給油ポンプは始動直
後であって吐出量が少ないため、圧力室５内に充分な油
を供給することができず、圧力室５内にエアが侵入して
ダンピング特性が低下するおそれが生じる。

【００３８】図４（Ｉ）、（II）に示すチェーンテンシ
ョナのように、ハウジング１とプランジャ４の相互間に
プランジャ４の後退量規制機構２０を設けておくことに
より、レジスタクリップ２２に対する係合面２３ｂの係
合によってプランジャ４の後退動が阻止されるため、エ
ンジン停止時に、プランジャ４が大きく押し込まれるの
を防止することができる。

【００３９】なお、図４（Ｉ）、（II）に示すチェーン
テンショナにおいては、チェーン４５に大きな伸びが生
じると、プランジャスプリング７の弾力によりプランジ
ャ４が前進してチェーン４５の伸びを吸収する。このと
き、レジスタクリップ２２はテーパ面２３ａで押圧され
て拡径し、プランジャ４の前進動を阻害することはな
く、次の円周溝２３がレジスタクリップ２２と対応する
位置までプランジャ４は前進動する。

【００４０】図５は、この発明に係るチェーンテンショ
ナの第３の実施形態を示す。この実施形態で示すチェー
ンテンショナは、プランジャ４の後退量を規制する後退
量規制機構２０の構成が図４に示すチェーンテンショナ
の後退量規制機構２０と相違している。

【００４１】このため、図４に示すチェーンテンショナ
と同一の部品には同一の符号を付して説明を省略する。

【００４２】図５に示す後退量規制機構２０は、プラン
ジャ４の中空室６における開口端部の内周に雌ねじ２５
を設け、その雌ねじ２５にスクリュロッド２６の外周に
形成された雄ねじ２７をねじ係合し、そのスクリュロッ
ド２６とプランジャ４をその対向部間に組込んだリター
ンスプリング２８によって離反する方向に押圧してい
る。

【００４３】また、前記雌ねじ２５と雄ねじ２７のねじ
山をプランジャ４の押し込み力を受ける圧力側フランク
２９のフランク角が遊び側フランク３０のフランク角よ
り大きい鋸歯状とし、その鋸歯状ねじ山に前記リターン
スプリング２８の弾力によってプランジャ４とスクリュ
ロッド２６が離反する方向に移動するリード角を設けて
いる。

【００４４】上記の構成から成る後退量規制機構２０に
おいては圧力側フランク２９の接触によってプランジャ
４が大きく後退動するのを防止するようになっている。

【００４５】図５に示すチェーンテンショナにおいて
は、プランジャ４がプランジャスプリング７とリターン
スプリング２８の押圧によって前進する。この時スクリ
ュロッド２６は、リターンスプリング２８の押圧によっ
て、チェックバルブ８に接触したまま回転する。

【００４６】図６（Ｉ）乃至（IV）は、シールリング１
１の他の例を示し、各例で示すシールリング１１は周方
向の一部に切り離し部１２を有するストレートリングか
ら成る。

【００４７】図６（Ｉ）に示すシールリング１１の切り
離し部１２を、その切り離し端に軸方向で対向する突片
１３が形成される形状としている。

【００４８】また、図６（II）に示すシールリング１１
の切り離し部１２を傾斜状としている。

【００４９】さらに、図６（III ）に示すシールリング
１１の切り離し部１２をＶ形としている。

【００５０】また、図６（IV）に示すシールリング１１
の切り離し部１２を、その切り離し端に軸方向で対向す
る突片１４と、その対向位置の突片１４の先端を受ける
受片１５とが形成される形状としている。

【００５１】上記各例で示すシールリング１１は、プラ
ンジャ４に形成されたリング溝１０への組込み状態にお
いて、軸方向へ移動自在とされ、その内側および外側に
隙間が形成される取付け状態とされる。

【００５２】上記のような取付け状態において、圧力室
５内の圧力が高くなると、シールリング１１は圧力室５
から離反する方向に移動して、その移動方向の先端面が
リング溝１０の端面に当接すると共に、切り離し部１２
に作用する圧力により拡径して外周面がシリンダ室２の
内周面に接触し、作動油の外部へのリーク量を規制す
る。

【００５３】図６（Ｉ）乃至（IV）で示すように、シー
ルリング１１に切り離し部１２を設けることによって、
そのシールリング１１を容易に拡径することができ、リ
ング溝１０への取付けの容易化を図ることができる。

【００５４】図７は、この発明に係るチェーンテンショ
ナの第４の実施形態を示す。この実施形態で示すチェー
ンテンショナは、ハウジング１に圧力室５と外部を連通
させる排油路３１を設け、その排油路３１に圧力室５内
の圧力が所定の圧力を超えると開弁して圧力室５内の作
動油を外部にリークさせるリリーフバルブ３２を設けた
点で図４に示す第２実施形態のチェーンテンショナと相
違する。

【００５５】このため、第２実施形態のチェーンテンシ
ョナと同一部品には同一符号を付して説明を省略する。

【００５６】図７に示すチェーンテンショナにおいて、
排油路３１は、ハウジング１の外周に設けられた突軸部
１ａに設けられている。この排油路３１は圧力室５の半
径方向に延びる段付き孔３１ａと、突軸部１ａの外周面
から段付き孔３１ａに連通する横孔３１ｂとから成る。

【００５７】リリーフバルブ３２は、閉塞端を有し、そ
の閉塞端に弁孔３４が形成された筒状のバルブスリーブ
３３と、そのバルブスリーブ３３内に組込まれた弁孔開
閉用の球形の弁体３５と、その弁体３５を弁孔３４に向
けて押圧するリリーフスプリング３６と、前記段付き孔
３１ａの開口端部内にねじ込まれてバルブスリーブ３３
を段付き孔３１ａ内に固定するバルブリテナ３７とから
成り、前記バルブスリーブ３３には前記横孔３１ｂと対
向する位置に半径方向の孔３８を設けている。

【００５８】上記の構成から成るリリーフバルブ３２に
おいては、圧力室５内の圧力がリリーフスプリング３６
の押圧力より低い場合、弁体３５は弁孔３４を閉じ、圧
力室５内の作動油が排油路３１から外部にリークするの
を防止する。

【００５９】圧力室５内の圧力がリリーフスプリング３
６の押圧力より高くなると、弁体３５が弁孔３４を開放
し、圧力室５内の作動油を排油路３１から外部にリーク
させて、圧力室５内の作動油の圧力が所定の圧力以上に
なるのを防止している。

【００６０】上記のように、圧力室５内の圧力が所定の
圧力以上に上昇するのを防止することによって、チェー
ンテンショナのダンピング能力が高くなり過ぎるのを防
止することができ、チェーンの張力が必要以上に高くな
るのを防止することができる。

【００６１】上記第４の実施形態で示すチェーンテンシ
ョナにおいては、リリーフバルブ３２とプランジャ４の
外径に設けたシールリング１１の設定を併用することに
よってダンパ能力のバラツキがさらに小さいチェーンテ
ンショナを得ることができる。

【００６２】なお、図１、図４及び図５に示すチェーン
テンショナに上記のリリーフバルブ３２を設けるように
してもよい。

【００６３】

【発明の効果】以上のように、この発明においては、プ
ランジャの外周面に形成されたリング溝にシールリング
を取り付けたことによって、シリンダ室とプランジャの
摺動面間に形成されるリーク隙間の大きさに関係なく作
動油の外部へのリーク量をほぼ一定とすることができ、
ダンパ効果のバラツキの少ないチェーンテンショナを得
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るチェーンテンショナの第１の実
施形態を示す縦断正面図

【図２】図１のシールリングの取付け部を拡大して示す
断面図

【図３】図１のシールリングを示す斜視図

【図４】（Ｉ）はこの発明に係るチェーンテンショナの
第２の実施形態を示す縦断正面図、（II）は（Ｉ）の一
部を拡大して示す断面図

【図５】この発明に係るチェーンテンショナの第３の実
施形態を示す縦断正面図

【図６】（Ｉ）乃至（IV）はシールリングの他の例を示
す斜視図

【図７】この発明に係るチェーンテンショナの第４の実
施形態を示す縦断正面図

【図８】従来のチェーンテンショナを示す縦断正面図

【符号の説明】

１ハウジング２シリンダ室３給油通路４プランジャ５圧力室６中空室７プランジャスプリング８チェックバルブ９リークすきま１０リング溝１１シールリング１２切り離し部２０後退動規制機構２１クリップ収容溝２２レジスタクリップ２３円周溝２３ａテーパ面２３ｂ係合面２５雌ねじ２６スクリュロッド２７雄ねじ２８リターンスプリング２９圧力側フランク３０遊び側フランク

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ハウジングに一端面で開口するシリンダ
室と、そのシリンダ室の閉塞端部に連通する給油通路と
を設け、前記シリンダ室内に後端面で開口する中空室を
有するプランジャを摺動自在に組込んでその背部に圧力
室を形成し、前記プランジャをプランジャスプリングに
より外方向に向けて押圧し、プランジャに付与される押
し込み力を前記圧力室内の作動油によって緩衝すると共
に、上記押し込み力がプランジャスプリングの押圧力を
超えた場合にシリンダ室とプランジャの摺動面間に形成
されたリークすきまから外部に作動油をリークさせるよ
うにしたチェーンテンショナにおいて、前記プランジャ
の外周面にリング溝を形成し、そのリング溝内に作動油
の外部へのリーク量を規制する弾性を有するシールリン
グを組込んだことを特徴とするチェーンテンショナ。
【請求項２】前記プランジャの後退量を規制する後退
量規制手段を有して成る請求項１に記載のチェーンテン
ショナ。
【請求項３】前記後退量規制手段が、前記シリンダ室
の開口端部の内周にクリップ収容溝を設け、そのクリッ
プ収容溝内に径方向に弾性変形可能なレジスタクリップ
を組込み、プランジャの外周には前記レジスタクリップ
で締付けられる複数の円周溝を軸方向に等間隔に設け、
各円周溝の外周にプランジャの先端に向けて小径となる
テーパ面と、そのテーパ面の小径端部にレジスタクリッ
プに対する係合によってプランジャの後退動を阻止する
係合面とを設けた構成から成る請求項２に記載のチェー
ンテンショナ。
【請求項４】前記後退量規制手段が、プランジャに形
成された中空室の開口端部の内周に雌ねじを設け、その
雌ねじにスクリュロッドの外周に形成された雄ねじをね
じ係合し、そのスクリュロッドとプランジャの相互間
に、両部材を離反する方向に押圧するリターンスプリン
グを組込み、前記雌ねじと雄ねじのねじ山をプランジャ
の押し込み力を受ける圧力側フランクのフランク角が遊
び側フランクのフランク角より大きい鋸歯状とし、その
鋸歯状ねじ山に前記リターンスプリングの弾力によって
プランジャとスクリュロッドが離反する方向に移動する
リード角を設けた構成から成る請求項２に記載のチェー
ンテンショナ。
【請求項５】前記給油通路の油出口部に、圧力室内の
圧力が給油通路に供給される作動油の供給圧力より高く
なると給油通路を閉じるチェックバルブを設けた請求項
１乃至４のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
【請求項６】前記ハウジングに圧力室と外部とを連通
させる排油路を設け、その排油路に前記圧力室内の圧力
が所定の圧力を超えると開弁して、圧力室内の作動油を
外部にリークさせて圧力室内の圧力を所定の圧力に保持
するリリーフバルブを設けた請求項１乃至５のいずれか
に記載のチェーンテンショナ。
【請求項７】前記シールリングがテーパリングから成
り、その大径端が圧力室側に配置されるようにしてリン
グ溝内に組込み、そのシールリングの大径端部をシリン
ダ室の内周面に接触させ、かつ小径端部をリング溝の溝
底に弾性接触させた請求項１乃至６のいずれかに記載の
チェーンテンショナ。
【請求項８】前記シールリングが、周方向の一部に切
り離し部を有して成る請求項１乃至６のいずれかに記載
のチェーンテンショナ。