JP7186042B2 - チェーンテンショナ - Google Patents

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Description

この発明は、チェーンの張力保持に用いられるチェーンテンショナに関する。
自動車等のエンジンに使用されるチェーン伝動装置として、例えば、クランクシャフトの回転をカムシャフトに伝達するもの、クランクシャフトの回転をオイルポンプ等の補機に伝達するもの、クランクシャフトの回転をバランサシャフトに伝達するもの、あるいは、ツインカムエンジンの吸気カムと排気カムを互いに連結するもの等がある。これらのチェーン伝動装置のチェーンの張力を適正範囲に保つために、チェーンテンショナが使用される。
チェーンテンショナは、一般的に、エンジンからのオイル供給により油圧ダンパを発生させて、チェーンの張力の変動を一定に保っている。しかし、エンジン停止時はオイル供給が止まっているため、エンジン始動後、チェーンテンショナ内部の圧力室にオイルが充填されるまでの間は、所定の油圧ダンパを発生させることができない場合がある。このような場合、チェーンテンショナが大きく押し込まれて、チェーンのばたつきや異音が発生するという問題がある。そこで、多くのチェーンテンショナでは、ノーバック機構と呼ばれる機構を備え、プランジャが一定量を超えて押し込まれないようにしている。
また、チェーンテンショナ内部でオイルを循環することで、チェーンテンショナの外部へのオイルの流出を抑制するとともに、そのオイルをチェーンテンショナ内部に貯留させることで、エンジン始動直後から油圧ダンパを発生できるようにしたチェーンテンショナもある(例えば、特許文献1,2参照)。
例えば、図8に示すチェーンテンショナ40は、一端が開口し、他端が閉じた筒状のシリンダ9と、そのシリンダ9の内周で軸方向へ摺動可能に支持されたプランジャ10と、プランジャ10の内部に形成されたリザーバ室27と、シリンダ9内においてプランジャ10の他端側に形成されプランジャ10の軸方向移動に伴って容積が変化する圧力室18と、を備えている。
シリンダ9は、オイルポンプによって供給されるオイルを導入する給油通路31を有し、その給油通路31が、プランジャ10の外周とシリンダ9の内周との間に形成されたオイル供給空間28に開口している。また、プランジャ10の外周とシリンダ9の内周の間にはリーク隙間が形成され、リーク隙間及びオイル供給空間28とリザーバ室27とは、連通路30で連通している。
特公平3-010819号公報 特開2015-183767号公報 特開2015-172435号公報
チェーンテンショナ40において、外部へ流出するオイルの量を抑制するには、リーク隙間は小さいほうが好ましい。
一方、チェーンテンショナ40の減衰力調整を行うには、リーク隙間の寸法の大小で調整する必要がある。このため、例えば、高い減衰力を必要としないエンジンにおいては、圧力室18からオイル供給空間28に至る第1リーク隙間19の寸法を拡大する必要がある。しかし、第1リーク隙間19の寸法を拡大すると、オイル供給空間28からシリンダ9の一端に至る第2リーク隙間29の寸法も拡大されるため、第2リーク隙間29から外部へ流出するオイルの増加につながってしまう。
この点、特許文献3には、シリンダの内面とプランジャの外面との間にシールリングを配置し、リーク隙間の寸法の大きさに関係なく、チェーンテンショナの外部へのオイルの流出が一定になるようにしている。しかし、シリンダの内面とプランジャの外面との間にシールリングを配置すると、シリンダとプランジャとの間の摺動抵抗が増加してしまうという問題がある。摺動抵抗の増加はチェーンの弛みに対する追従性を悪化させるので好ましくない。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、チェーンの弛みに対する追従性に優れるとともに、オイルの流出量が少ない好適なチェーンテンショナを提供することである。
上記課題を解決するため、この発明は、一端が開口し他端が閉じた筒状のシリンダと、シリンダの内周で軸方向に摺動可能に支持され前記シリンダ内への挿入端が開口し前記シリンダからの突出端が閉塞した筒状のプランジャと、前記プランジャを前記シリンダから突出する方向に付勢するリターンスプリングと、前記プランジャの軸方向移動に伴って容積が変化するように前記シリンダ内に形成された圧力室と、前記プランジャの内部から前記圧力室へのオイルの流れのみを許容するチェックバルブと、前記プランジャの外周と前記シリンダの内周の間に形成され、前記圧力室の容積が縮小するときに前記圧力室からオイルをリークさせるリーク隙間と、前記シリンダの外側から内側へオイルを導入する給油通路と、前記リーク隙間と前記プランジャの内部とを連通する連通路と、前記給油通路よりも一端側で前記プランジャの外周に設けられる周方向のシール溝と、前記シール溝に配置され前記リーク隙間をシールするシールリングと、を備え、前記シールリングの外周と前記シリンダの内周との間にシール隙間が設定されているチェーンテンショナを採用した。
ここで、前記シール隙間は、温度変化による前記シールリングの膨張によって前記リーク隙間以下となる構成を採用することができる。
また、前記シールリングは周方向へ分断された合い口を備え、前記合い口の対向面間の周方向への隙間が前記シールリングの温度変化に応じて変化する構成を採用することができる。
このとき、前記対向面間の周方向への隙間は、80℃以上120℃以下の範囲のいずれかの温度でゼロになるように設定されている構成を採用することができる。
また、前記対向面はそれぞれ軸心に平行な方向に対して同じ側へ傾斜しており、前記対向面同士が当接しながら前記シールリングの温度変化に応じて軸方向へスライド可能である構成を採用することができる。
これらの各態様において、前記シールリングは前記プランジャ及び前記シリンダの線膨張係数よりも大きな線膨張係数を有している構成を採用することができる。
さらに、前記プランジャの外周と前記シリンダの内周の間に前記リーク隙間に連通するオイル供給空間が形成されている構成を採用することができる。
この発明は、チェーンの弛みに対する追従性に優れるとともに、オイルの流出量が少ない好適なチェーンテンショナを提供することができる。
チェーンテンショナを組み込んだチェーン伝動装置を示す全体図 (a)は図1のチェーンテンショナの右側面図、(b)はその背面図 この発明の実施形態のチェーンテンショナを示す縦断面図 (a)は図3の要部Aの拡大図、(b)(c)はさらにその詳細図 図3のプランジャの正面図 図5の要部Bを示し、(a)は隙間が開いた状態を示す拡大図、(b)は隙間を閉じた状態を示す拡大図、(c)は隙間を閉じてさらに隙間を挟んで両側から押圧されて軸方向へスライドした状態を示す拡大図 図6の変形例を示し、(a)は隙間が大きく開いた状態を示す拡大図、(b)は隙間がやや縮小した状態を示す拡大図 従来例のチェーンテンショナを示す縦断面図
図1に、この発明の実施形態のチェーンテンショナ1を組み込んだチェーン伝動装置を示す。このチェーン伝動装置では、エンジンのクランクシャフト2に固定されたスプロケット3と、2本のカムシャフト4にそれぞれ固定されたスプロケット5とがチェーン6を介して連結されている。チェーン6がクランクシャフト2の回転をカムシャフト4に伝達してカムシャフト4が回転することにより燃焼室のバルブが開閉する。
エンジンが作動しているときのクランクシャフト2の回転方向は一定(図1では右回転)であり、このときチェーン6は、クランクシャフト2の回転に伴ってスプロケット3に引き込まれる側(図1の右側)の部分が張り側となり、スプロケット3から送り出される側(図1の左側)の部分が弛み側となる。そして、チェーン6の弛み側の部分には、支点軸7を中心として揺動可能に支持されたチェーンガイド8が接触している。チェーンテンショナ1は、チェーンガイド8を介してチェーン6を押圧している。
図2及び図3に示すように、チェーンテンショナ1は、一端が開口し、他端が閉じた筒状のシリンダ9と、シリンダ9の内周で軸方向に摺動可能に支持されたプランジャ10とを有する。シリンダ9の一端から突出するプランジャ10の突出端17は、チェーンガイド8を押圧している。
シリンダ9は、金属(例えば、アルミ合金)で一体成形されている。シリンダ9は、シリンダ9の外周に一体に形成された複数の取付片11の孔11a(図2(b)参照)に挿通されたボルト12を締め込むことによって、エンジン壁面に固定されている。また、シリンダ9は、プランジャ10のシリンダ9からの突出方向が上向きとなるように、エンジン壁面に取り付けられている。
プランジャ10は、その他端のシリンダ9内への挿入端が開口し、一端のシリンダ9からの突出端17が閉塞する筒状に形成されている。プランジャ10の材質は、鉄系材料(例えば、SCM(クロームモリブデンン鋼)又はSCr(クローム鋼)等の鋼材)である。
シリンダ9内の他端には、プランジャ10の軸方向移動に伴ってその容積が変化する圧力室18が形成されている。圧力室18の容積は、プランジャ10が突出方向に移動したときに拡大し、プランジャ10が押し込み方向に移動したときに縮小する。
プランジャ10の最大径部の外周15、32は円筒面であり、シリンダ9の内周14も円筒面である。プランジャ10の最大径部の外周15、32とシリンダ9の内周14の間の隙間の大きさは微小であり、半径差で0.005~0.10mmの範囲に設定されている。このプランジャ10の最大径部の外周15、32とシリンダ9の内周14の間の隙間は、圧力室18の容積が縮小するときに、圧力室18からオイルをリークさせるリーク隙間c0である。
プランジャ10の外周とシリンダ9の内周の間には、リーク隙間c0に連通するオイル供給空間28が形成されている。オイル供給空間28は、プランジャ10の外周全周に形成された凹部16と、シリンダ9の内周14との間に環状に形成されている。
オイル供給空間28を形成するための凹部16は、プランジャ10の軸方向中央部に設けられ、その凹部16を挟んで一端側と他端側にそれぞれプランジャ10の最大径部の外周15、32が存在する。以下、凹部16を挟んで他端側、すなわち圧力室18側のリーク隙間c0を第1リーク隙間19と称し、凹部16を挟んで一端側、すなわちプランジャ10の突出端17側のリーク隙間c0を第2リーク隙間29と称する。
オイル供給空間28の他端側の端部には、第1リーク隙間19に接続される段部22が形成されている。また、オイル供給空間28の一端側の端部には、第2リーク隙間29に接続される段部23が形成されている。
段部22、23は、プランジャ10の進退位置にかかわらず、常にシリンダ9内に位置する。すなわち、第1リーク隙間19を構成するプランジャ10の最大径部の外周15は、その全体が常にシリンダ9内に収容されている。このため、チェーン6の張力変動に応じてプランジャ10が軸方向に移動したときに、第1リーク隙間19の軸方向長さが変化しない。したがって、プランジャ10の軸方向への進退位置によらず、一定したダンパ力を発揮することができる。
プランジャ10のシリンダ9内への挿入端には、プランジャ10の内部から圧力室18側へのオイルの流れのみを許容し、圧力室18からプランジャ10の内部へのオイルの流れを規制するチェックバルブ20が設けられている。チェックバルブ20は、バルブシート21と、チェックボール25と、リテーナ26とを有している。バルブシート21は、プランジャ10のシリンダ9内への挿入端に設けられている。バブルシート21には、軸方向に貫通する弁孔21aが設けられている。チェックボール25は、その弁孔21aを圧力室18の側から開閉する球状の弁体である。リテーナ26は、チェックボール25の移動範囲を規制する。
プランジャ10の内部空間は、チェックバルブ20の弁孔21aの径よりも大径のリザーバ室27である。
圧力室18には、リターンスプリング33が組み込まれている。リターンスプリング33は、他端がシリンダ9の底部13で支持され、一端がプランジャ10を押圧し、その押圧によって、プランジャ10をシリンダ9からの突出方向に付勢している。この実施形態では、リターンスプリング33は、チェックバルブ20のバルブシート21を介してプランジャ10を押圧しているが、リターンスプリング33がプランジャ10を直接押圧する構成としてもよい。
プランジャ10には、オイル供給空間28とリザーバ室27との間を連通する連通路30が設けられている。連通路30は、オイル供給空間28を通じて、第1リーク隙間19及び第2リーク隙間29とも連通している。
連通路30は、シリンダ9の取付片11をエンジン壁面に固定した状態で、プランジャ10の上側の半周に位置するように設けられている。具体的には、連通路30は、プランジャ10の径方向上側部分で、且つ、プランジャ10の外周寸法の半分に相当する範囲内に設けられ、特に、この実施形態では、連通路30は、プランジャ10の外周の頂上に位置するように設けられている。このため、リザーバ室27の内部に空気が存在するときに、その空気を連通路30から円滑に排出することが可能である。
また、図3に示すように、シリンダ9には、シリンダ9の外側から内側にオイルを導入する給油通路31が設けられている。給油通路31は、シリンダ9を半径方向に貫通する貫通孔である。給油通路31の入口34(図2(b)参照)は、エンジン壁面側のオイル供給口に接続される。給油通路31の出口は、シリンダ9の内周の円筒面に開口して、オイル供給空間28に臨んでいる。この給油通路31によって、エンジンのオイルポンプから供給されるオイルが、シリンダ9の外側から内側へ導入される。
プランジャ10が押し込み方向の荷重入力を受けた際は、圧力室18内のオイルが第1リーク隙間19、オイル供給空間28、連通路30を通じてリザーバ室27へ流入する。このため、プランジャ10が突出方向へ動くように圧力室18内にオイル供給が必要となった際は、そのリザーバ室27内のオイルを、圧力室18への供給用のオイルとしてすぐに使用できる。したがって、第2リーク隙間29からチェーンテンショナ1の外部へのオイル流出量を抑制することができ、その結果、チェーンテンショナ1は、エンジンの始動直後にもダンパ力を発生することができる。
次に、この発明のチェーンテンショナ1の動作例を説明する。
エンジン作動中にチェーン6の張力が大きくなると、そのチェーン6の張力によって、プランジャ10がシリンダ9内への押し込み方向へ移動し、チェーン6の緊張を吸収する。プランジャ10の移動に応じて圧力室18の容積が縮小するので、圧力室18の圧力がプランジャ10の内部のリザーバ室27の圧力より高くなり、チェックバルブ20は閉じる。そして、圧力室18から第1リーク隙間19を通ってオイル供給空間28にオイルが流れる。このとき、第1リーク隙間19を流れるオイルの粘性抵抗によってダンパ力が発生し、プランジャ10はゆっくりと移動する。また、オイル供給空間28から連通路30を通ってリザーバ室27へオイルが戻っていく。
第1リーク隙間19、オイル供給空間28、連通路30を通る経路を通じて、圧力室18内のオイルがリザーバ室27へ戻るので、その戻ったオイルの分、第2リーク隙間29からシリンダ9の外部に流出するオイルの量が抑えられる。
一方、エンジン作動中にチェーン6の張力が小さくなると、リターンスプリング33の付勢力によって、プランジャ10が突出方向に移動し、チェーン6の弛みを吸収する。このとき、プランジャ10の移動に応じて圧力室18の容積が拡大するので、圧力室18の圧力がリザーバ室27の圧力より低くなり、チェックバルブ20が開く。そして、チェックバルブ20の弁孔21aを通じてリザーバ室27から圧力室18にオイルが流入するので、プランジャ10は速やかに移動する。このとき、オイルポンプの圧力によって、シリンダ9の外側から、給油通路31、オイル供給空間28、連通路30を通じて、リザーバ室27へオイルが導入される。このため、リザーバ室27内の圧力低下が生じにくく、チェーン6の弛みに対する追従性に優れている。
また、このチェーンテンショナ1は、プランジャ10の内部に、チェックバルブ20の弁孔21aの径よりも大径のリザーバ室27が形成されているので、プランジャ10の内部に貯留するオイルの量を多く確保することができる。このため、エンジン始動直後で、エンジンからチェーンテンショナ1へのオイルの供給が無い状態においても、プランジャ10の内部に貯留されたオイルを用いてダンパ力を発生することができる。
ここで、プランジャ10の最大径部の外周15、32は同一径であり、シリンダ9の内周14はその全長に亘って同一径で連続している。すなわち、第1リーク隙間19と第2リーク隙間29は、その隙間の間隔が同一の寸法である。このため、チェーンテンショナ1の減衰力調整のため、例えば、第1リーク隙間19の間隔を拡大しようとすると、第2リーク隙間29の間隔も拡大される。第2リーク隙間29が拡大されると、その第2リーク隙間29からチェーンテンショナ1の外部へ流出するオイルが増大してしまう。
そこで、この発明においては、図3及び図4(a)に示すように、給油通路31よりも一端側で、プランジャ10の外周に周方向のシール溝35を設け、そのシール溝35内に、プランジャ10の外周32とシリンダ9の内周14の間のリーク隙間c0(第2リーク隙間29に相当)をシールするシールリング36を備えている。また、図4(b)に示すように、そのシールリング36の外周36dとシリンダ9の内周14との間にシール隙間c1を設定している。このため、チェーンテンショナ1の減衰力調整のためにリーク隙間c0を拡大しても、そのシールリング36及びシール隙間c1によって、リーク隙間c0からチェーンテンショナ1の外部へのオイルの流出を抑制できる。これにより、チェーン6の弛みに対する追従性に優れるとともに、オイルの流出量が少ないチェーンテンショナ1とすることができる。
シールリング36の素材としては、樹脂材料を採用することができる。また、シールリング36は、プランジャ10及びシリンダ9の線膨張係数よりも大きな線膨張係数を有している。シールリング36を構成する素材としては、例えば、フッ素系樹脂材料を採用することができる。
シール隙間c1は、低温時、例えば、シール溝35にシールリング36を組み付ける作業の際やチェーンテンショナ1のエンジン壁面への取り付け前、あるいは、エンジンの始動前や始動直後の冷間時等、予め設定される所定温度未満の常温下の環境において、リーク隙間c0よりも大きくなるように設定される。図4(b)は、このような低温時の状況を示している。
また、シール隙間c1は、高温時、例えば、エンジンの暖機運転後の温間時等、予め設定される所定温度以上の高温下の環境において、シールリング36の熱膨張によりリーク隙間c0以下になるように設定される。図4(c)は、このような高温時の状況を示しており、図中では、高温下で縮小したシール隙間c1を、縮小シール隙間として符号c1’で示している。また、シールリング36の径方向への肉厚d1に関しても、図4(c)では、高温下で膨張した肉厚d1を、膨張後肉厚として符号d1’で示している。
なお、シリンダ9とプランジャ10はともに金属素材であるので、低温下、高温下に関わりなく、リーク隙間c0の寸法にほぼ変わりがないものとしている。
ここで、シールリング36の熱膨張によって低温時よりも縮小した縮小シール隙間c1’は、リーク隙間c0と同一の隙間としてもよいし、その隙間がゼロにならない限りリーク隙間c0よりも小さい隙間としてもよい。ただし、チェーンテンショナ1の減衰力特性を阻害しない程度の縮小シール隙間c1’とすることが望ましい。シールリング36の軸方向への幅b1(図4(b)参照)は、プランジャ10の軸方向全長に対して充分に小さいので、仮に、縮小シール隙間c1’がリーク隙間c0よりも小さくても、チェーンテンショナ1の減衰力設定に及ぼす影響は小さく抑えられる。また、高温時は、オイルの粘度が小さくなっていることから、高温時のシール隙間c1を、低温時のシール隙間c1よりも小さい縮小シール隙間c1’とすることが、オイルの流出量を少なくする上で有効である。
図4(b)に示すように、シールリング36の軸方向への幅b1は、シール溝35の幅b0よりも小さく設定されている。これは、高温下を示す図4(c)における熱膨張後のシールリング36においても同様である。図4(c)では、熱膨張後のシールリングの軸方向への幅b1を、膨張後幅として符号b1’で示している。膨張後幅b1’もシール溝35の幅b0よりも小さく設定されている。シールリング36の軸方向への幅b1が、温度条件に関わらず常にシール溝35の幅b0よりも小さいので、そのシールリング36の端面36e、36fと、シール溝35の側面35b、35cとの間に、常に隙間b2、b3(図4(c)では、シールリング36の熱膨張後の隙間b2、b3を、膨張後隙間b2’、b3’と表示)が介在する。このため、その隙間b2、b3の介在によってオイル溜まりを形成することができ、オイルの流出量の抑制に寄与し得る。
また、図4(b)の低温時及び図4(c)の高温時において、シールリング36の内周36cは、常にシール溝35の底面35aに当接している。また、シールリング36の外周36dと側面36e、36fとの間の稜線部には、面取り部やアール部等のコーナ処理部36gが設けられているので、プランジャ10をシリンダ9内に挿入される際に、シールリング36が損傷しないようにしている。
また、図5に示すように、シールリング36は、環状を成す部材の周方向1箇所で、その部材が周方向へ分断された合い口37を備えている。合い口37を備えたことにより、シールリング36は、その合い口37の対向面36a、36b間の周方向への隙間w1がシールリング36の温度変化に応じて変化することで、素材の熱膨張を吸収することができる。これにより、温度条件に関わらず、常に安定したシール性能を発揮することができる。
例えば、図6(a)に示すように、シールリング36の合い口37は、常温下等の低温時において、部材の周方向への対向面36a、36b間に隙間w1(w1>0)が設定されている。高温時には、図6(b)に示すように、プランジャ10とシールリング36との線膨張係数の差(プランジャ10の線膨張係数<シールリングの線膨張係数)により、シールリング36がプランジャ10よりも大きく熱膨張して、対向面36a、36b間の隙間w1は縮小する。図6(b)では、その縮小後の隙間w1を、縮小隙間w1’(図ではw1’=0)で示している。このような対向面36a、36b間の隙間w1の縮小により、エンジンの運転中における第2リーク隙間29からのオイルの流出をさらに抑制できる。
また、対向面36a、36b間の隙間w1は、シールリング36の温度上昇に伴い徐々に縮小して、ある温度で対向面36a、36b同士が当接してゼロとなる。対向面36a、36b間の周方向への隙間w1がゼロになる温度は、80℃以上120℃以下の範囲のいずれかの温度に設定することが望ましい。ここで、隙間w1がゼロになる設定温度は、チェーンテンショナ1を構成する部材がとり得る温度範囲の上限(この実施形態では、通常の自動車のエンジンの使用状態における油温の上限温度に合わせて120℃)と、エンジンの暖機運転の終了温度(この実施形態では、通常の自動車のエンジンの使用状態における暖機終了時の油温に合わせて80℃)との間のいずれかの温度としている。
また、合い口37の対向面36a、36bは、図5及び図6に示すように、その対向面
36a、36bの面方向が、それぞれプランジャ10の軸心に平行な方向に対して同じ側へ、すなわち、図中では一端側が上方へ向くように傾斜している。
このため、対向面36a、36b同士が当接してゼロになった後、さらにシールリング36の温度が上昇すると、図6(c)に示すように、対向面36a、36b同士が当接しながら軸方向へスライド可能である。図中では、この対向面36a、36b同士の軸方向へのスライド量を符号w2で示している。このため、高温時に対向面36a、36b同士が当接した後さらに温度上昇しても、その対向面36a、36b(合面)同士は、シール溝35内で軸方向へスライドできるため、シールリング36が必要以上に外径側へ膨らんで、プランジャ10の軸方向への動作を阻害することがない。図6(c)に示すように、シールリング36の軸方向の幅b1が、シール溝35の幅b0よりも小さいため、このような作用を実現できる。
また、シールリング36は、そのシールリング36の体積が熱膨張後においてもシール溝35内の容積よりも大きくならないように、その軸方向への幅b1、肉厚d1等の寸法が設定されていることが望ましい。これにより、シリンダ9に対するプランジャ10の摺動抵抗を増加させることを、さらに確実に防止できる。
また、低温時、特に常温下において、外力を受けない自由状態でのシールリング36の外径寸法は、シリンダ9の内周14の内径寸法よりも大きな寸法に設定しておくことが望ましい。これにより、プランジャ10をシリンダ9内に組み込んだ状態で、シールリング36の弾性によってシリンダ9の内周14へのシール性を向上させることができる。
図7に、シールリング36の変形例を示す。この変形例のシールリング36は、対向面36a、36bをそれぞれ階段状に形成して、所謂ステップカット状の合い口37としたものである。
合い口37の一方の対向面36aは、シールリング36の軸方向の幅b1の中央を挟んで、軸方向両側にそれぞれ互いに周方向位置がずれた箇所に形成されている。その2箇所の対向面36a、36aは、それぞれ、プランジャ10の軸方向と平行な方向の面となっているが、この2箇所の対向面36a、36aを、それぞれプランジャ10の軸方向と平行な方向に対して傾斜した方向としてもよい。
周方向位置がずれている2箇所の対向面36a、36aは、周方向に沿って伸びる連結面36iで繋がっている。連結面36iは、プランジャ10の軸方向と直交する面であるが、これをプランジャ10の軸方向と直交する面に対して傾斜させた構成も考えられる。
合い口37の他方の対向面36bは、同じく、シールリング36の軸方向の幅b1の中央を挟んで、軸方向両側にそれぞれ互いに周方向位置がずれた箇所に形成されている。その2箇所の対向面36b、36bは、それぞれ、プランジャ10の軸方向と平行な方向の面となっているが、この2箇所の対向面36b、36bを、同じく、それぞれプランジャ10の軸方向と平行な方向に対して傾斜した方向としてもよい。
周方向位置がずれている2箇所の対向面36b、36bは、周方向に沿って伸びる連結面36hで繋がっている。連結面36hは、プランジャ10の軸方向と直交する面であるが、これをプランジャ10の軸方向と直交する面に対して傾斜させた構成も考えられる。
図7(a)は、対向面36a、36b同士の隙間が大きく開いた状態を示し、図7(b)は対向面36a、36b同士の隙間がやや縮小した状態を示している。このように、合い口37の対向面36a、36b間の周方向への隙間w3がシールリング36の温度変化に応じて変化することで、素材の熱膨張を吸収することができる。
例えば、図7(a)では、シールリング36の合い口37は、常温下等の低温時において、部材の周方向への対向面36a、36b間に隙間w3(w3>0)が設定されている。高温時には、図7(b)に示すように、プランジャ10とシールリング36との線膨張係数の差(プランジャ10の線膨張係数<シールリングの線膨張係数)により、シールリング36がプランジャ10よりも大きく熱膨張して、対向面36a、36b間の隙間w3は縮小する。図7(b)では、その縮小後の隙間w3を、縮小隙間w3’で示している。対向面36a、36b間の隙間w3が、シールリング36の温度上昇に伴い徐々に縮小して、ある温度で対向面36a、36b同士が当接してゼロとなるようにしてもよい点は、前述の実施形態と同様である。
なお、連結面36iと連結面36hとは、温度条件に関わらず互いに接触しない位置関係としているが、これらを互いに接触する位置関係としてもよい。また、ある温度で対向面36a、36b同士が当接して隙間w3がゼロとなった後、さらに温度が上昇した際には、連結面36iと連結面36hとの間に隙間が介在することによって、その後の熱膨張を連結面36iと連結面36hとの間の隙間で吸収することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 チェーンテンショナ
9 シリンダ
10 プランジャ
14 内周
18 圧力室
20 チェックバルブ
28 オイル供給空間
30 連通路
31 給油通路
32 外周
33 リターンスプリング
35 シール溝
36 シールリング
36a、36b 対向面
36d 外周
37 合い口
c0 リーク隙間
c1 シール隙間
w1、w3 隙間

Claims (4)

  1. 一端が開口し他端が閉じた筒状のシリンダ(9)と、
    前記シリンダ(9)の内周で軸方向に摺動可能に支持され前記シリンダ(9)内への挿入端が開口し前記シリンダ(9)からの突出端が閉塞した筒状のプランジャ(10)と、
    前記プランジャ(10)を前記シリンダ(9)から突出する方向に付勢するリターンスプリング(33)と、
    前記プランジャ(10)の軸方向移動に伴って容積が変化するように前記シリンダ(9)内に形成された圧力室(18)と、
    前記プランジャ(10)の内部から前記圧力室(18)へのオイルの流れのみを許容するチェックバルブ(20)と、
    前記プランジャ(10)の外周(32)と前記シリンダ(9)の内周(14)の間に形成され、前記圧力室(18)の容積が縮小するときに前記圧力室(18)からオイルをリークさせるリーク隙間(c0)と、
    前記シリンダ(9)の外側から内側へオイルを導入する給油通路(31)と、
    前記リーク隙間(c0)と前記プランジャ(10)の内部とを連通する連通路(30)と、
    前記プランジャ(10)の外周と前記シリンダ(9)の内周の間に形成され前記リーク隙間(c0)、前記給油通路(31)及び前記連通路(30)に連通するオイル供給空間(28)と、
    前記オイル供給空間(28)よりも一端側で前記プランジャ(10)の外周(32)に設けられる周方向のシール溝(35)と前記シール溝(35)に配置され前記リーク隙間(c0)をシールするシールリング(36)と、
    を備え、
    前記シールリング(36)の外周(36d)と前記シリンダ(9)の内周(14)との間にシール隙間(c1)が設定され、前記シールリング(36)は前記プランジャ(10)及び前記シリンダ(9)の線膨張係数よりも大きな線膨張係数を有し、前記シール隙間(c1)は、予め設定される所定温度未満の環境において前記リーク隙間(c0)より大きく設定され、前記所定温度以上の環境において前記シールリング(36)の膨張によって前記リーク隙間(c0)よりも小さくなるチェーンテンショナ。
  2. 前記シールリング(36)は周方向へ分断された合い口(37)を備え、前記合い口(37)の対向面(36a、36b)間の周方向への隙間(w1、w3)が前記シールリング(36)の温度変化に応じて変化する請求項に記載のチェーンテンショナ。
  3. 前記対向面(36a、36b)間の周方向への隙間(w1、w3)は、80℃以上120℃以下の範囲のいずれかの温度でゼロになるように設定されている請求項に記載のチェーンテンショナ。
  4. 前記対向面(36a、36b)はそれぞれ軸心に平行な方向に対して同じ側へ傾斜しており、前記対向面(36a、36b)同士が当接しながら前記シールリング(36)の温度変化に応じて軸方向へスライド可能である請求項2又は3に記載のチェーンテンショナ。
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