JP2003327844A - 熱可塑性重合体組成物およびその組成物からなる床タイル - Google Patents

熱可塑性重合体組成物およびその組成物からなる床タイル

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JP2003327844A
JP2003327844A JP2002138597A JP2002138597A JP2003327844A JP 2003327844 A JP2003327844 A JP 2003327844A JP 2002138597 A JP2002138597 A JP 2002138597A JP 2002138597 A JP2002138597 A JP 2002138597A JP 2003327844 A JP2003327844 A JP 2003327844A
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ethylene
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Kazuyoshi Kaneko
子 和 義 金
Tomohiko Kimura
村 友 彦 木
Satoru Moriya
屋 悟 守
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の熱可塑性重合体組成物は、熱可塑
性重合体成分100重量部に対し、充填材を900重量部以下
の量で含有してなる。該重合体成分は、ビニル芳香族化
合物を主体とする重合体ブロックを少なくとも1個と共
役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを少なくと
も1個有するブロック共重合体および/またはその水添
物(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、極性基含有エチレン系
共重合体(C)および任意にタッキファイヤー(D)、PTF
E系樹脂(E)、アクリル系樹脂(F)を特定割合で含有して
いる。本発明の床タイルは上記組成物からなる。 【効果】上記組成物は従来のPVC床タイル用樹脂組成
物と同等ないしそれ以上の優れたシート成形加工性を有
する。上記床タイルは耐傷付き性、形状変化性、下地接
着性、施工性、ワックスとの密着性および柔軟性に優
れ、PVC床タイルの代替品として十分使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、熱可塑性重合体組成物お
よびその組成物からなる床タイルに関し、さらに詳しく
は、床タイル用シート成形加工性(加工温度領域でのシ
ート強度および平面平滑性、あるいは一旦作製したシー
トを粉砕して調製したチップを加熱圧延して形成したシ
ートの表面平滑性)に優れる樹脂組成物からなり、耐傷
付き性、形状変化性(タイル伸びの突き上げに対する応
力緩和性)、ワックスの塗布性、コンクリート下地との
接着性(下地接着性)および施工性(コンクリート下地
に対する追従性(下地追従性))に優れる、塩化ビニル
系樹脂等のハロゲン含有樹脂および可塑剤等を含まない
非塩化ビニル系床タイルを提供することが可能な熱可塑
性重合体組成物およびその床タイルに関する。
【0002】本明細書中、特段の記載が無い限り、上記
の「加工温度領域でのシート強度」は、床タイル用樹脂
組成物からシートを作製し、このシートから直接床タイ
ルを調製する場合には、このシートの成形加工温度領域
でのシート強度を指し、また、一旦作製したシートを粉
砕し、得られたチップを加熱圧延して床タイル用シート
を調製し、さらに、このシートから床タイルを調製する
場合には、この粉砕前のシート成形加工温度領域でのシ
ート強度、および粉砕後のシート成形加工温度領域での
シート強度をも意味するものとする。
【0003】
【発明の技術的背景】塩化ビニル樹脂(PVC)は、成
形性に優れ、多彩な着色ができ、種々の意匠を施すこと
が可能であり、PVCを床タイルとした場合、シート成
形加工性、施工性、耐薬品性、防汚性に優れていること
などから、PVC床タイルが、従来のリノリュームタイ
ル、石材からなるタイル等に代わり広く用いられてい
る。
【0004】しかしながら、PVC床タイルは、燃焼な
いし焼却時に塩素系のガスを発生するため、最近は、塩
素系のガスを発生しない非塩化ビニル系床タイルが検討
されている。また、近年、軟質PVCで使用されている
可塑剤を含まないことも検討されており、環境に優しい
材料の開発が急速に伸びている。
【0005】たとえば特開平9−32258号公報に
は、GPCにより測定された重量平均分子量(Mw)と
数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.2〜
4の範囲内にあり、Mnが10,000〜2,000,
000の立体規則性に優れたポリオレフィン(A)10
0重量部と、このポリオレフィン(A)と相溶性のある
極性樹脂(B)10〜50重量部と、必要に応じて炭酸
カルシウム、タルク、シリカ等の充填材(C)500重
量部以下の量とを含有するポリオレフィン系床材が開示
されている。この床材は、揮発成分が少なく、軽量で且
つハロゲンを含まず、PVC床材と同等の基本物性すな
わち耐水性、防汚性、耐傷付き性を有するとされてい
る。
【0006】また、特開2000−53822号公報に
は、熱流速示差走査熱量測定(DSC)において、10
℃/分の昇温速度としたときに観察される融解ピークT
mが90〜110℃である炭素数4〜8のα- オレフィ
ンとエチレンとの共重合体(A)、上記融解ピークTm
が120〜140℃であるプロピレン系樹脂(B)、軟
化点が90〜150℃である石油樹脂(C)、および必
要に応じて充填材等の添加剤を含有するポリオレフィン
系樹脂組成物からなる床材が開示されている。この公報
に記載されている発明の床材は、(A)、(B)、
(C)の各成分よりなる組成物を混練し、シート状に成
形した後、複数枚のラミネートしたシート状ないしはこ
れをさらに切断したタイル状床材として提供される。こ
の積層される床材は、同一組成物からなるシート状物を
複数枚積層してもよいし、組成の異なるシート状物を表
層、下層および必要に応じて中間層として積層してもよ
い。また、この公報に記載されている発明の床材は、床
としての耐凹み性等を向上させることができるともに耐
汚染性の問題も解決できるし、しかも、接着剤との親和
性に優れているため、施工上の問題も解決することがで
きるし、また充填材も多量に配合することができるとさ
れている。
【0007】しかしながら、従来の非塩化ビニル床タイ
ルないし床材に用いられる樹脂組成物は、上記のシート
成形加工性の点でPVC床タイル用樹脂組成物よりも劣
っている。また、従来の非塩化ビニル床タイルは、形状
変化性(タイル伸びの突き上げに対する応力緩和性)、
耐傷付き性、下地接着性の点で、PVC床タイルよりも
劣っている。
【0008】また、一般的に、極性基を有するオレフィ
ン系樹脂、たとえばエチレン・酢酸ビニル共重合体(E
VA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EE
A)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EM
A)、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(EMM
A)などに充填材を配合した樹脂組成物では、シート成
形加工温度領域が狭く、加工温度領域でのシート強度の
点などから、PVC床タイル用樹脂組成物の代替品とし
ては十分なものでなかった。
【0009】また、従来のPVC床タイルあるいは非塩
化ビニル床タイルでは、温度に対する柔軟性が変わり易
く、感温性が非常に大きい欠点を持っており、季節に応
じて処方の調整が必要であった。したがって、従来のP
VC床タイル用樹脂組成物と同等ないしそれ以上の優れ
たシート成形加工性を有する非塩化ビニル系床タイル用
樹脂組成物の出現、さらにはこの樹脂組成物からなり、
耐傷付き性、形状変化性(タイル伸びの突き上げに対す
る応力緩和性)、下地接着性、施工性(下地追従性)お
よび感温性を制御して柔軟性に優れ、PVC床タイルの
代替品として十分使用できる非塩化ビニル系床タイルの
出現が望まれている。
【0010】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、従来のPVC床
タイルと同等ないしそれ以上の優れたシート成形加工性
を有する非塩化ビニル系床タイル用樹脂組成物を開発
し、耐傷付き性、形状変化性、下地接着性、施工性およ
び柔軟性に優れ、PVC床タイルの代替品として十分使
用できる非塩化ビニル系床タイルを提供することを目的
としている。
【0011】
【発明の概要】本発明に係る熱可塑性重合体組成物は、
熱可塑性重合体成分[I]100重量部に対し、充填材
[II]を900重量部以下の量で含有してなり、該熱可
塑性重合体成分[I]が、ビニル芳香族化合物を主体と
する重合体ブロックXを少なくとも1個と共役ジエン化
合物を主体とする重合体ブロックYを少なくとも1個有
するブロック共重合体および/またはその水添物(A)
5〜90重量%と、ポリオレフィン樹脂(B)5〜90
重量%と、極性基を含有するエチレン系共重合体(C)
5〜90重量%とを含有していることを特徴としてい
る。
【0012】前記熱可塑性重合体成分[I]中に、タッ
キファイヤー(D)が10重量%以下の量で含有されて
いてもよい。また、前記熱可塑性重合体成分[I]中
に、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂(E)が10重
量%以下の量で含有されていてもよい。また、前記熱可
塑性重合体成分[I]中に、アクリル系樹脂(F)が1
0重量%以下の量で含有されていてもよい。
【0013】本発明に係る床タイルは、本発明に係る熱
可塑性重合体組成物からなることを特徴としている。
【0014】
【発明の具体的説明】以下に、本発明に係る熱可塑性重
合体組成物およびその組成物からなる床タイルについて
具体的に説明する。本発明に係る熱可塑性重合体組成物
は、熱可塑性重合体成分[I]と充填材[II]とを含有
してなり、この重合体成分[I]は、特定のブロック共
重合体および/またはその水添物(A)、ポリオレフィ
ン樹脂(B)、極性基を含有するエチレン系共重合体
(C)、および必要に応じてタッキファイヤー(D)、
ポリテトラフルオロエチレン系樹脂(E)、アクリル系
樹脂(F)を含有している。
【0015】熱可塑性重合体成分[I] [ブロック共重合体および/またはその水添物(A)]
本発明で用いられるブロック共重合体および/またはそ
の水添物(A)の内、ブロック共重合体は、ビニル芳香
族化合物を主体とする重合体ブロックXを少なくとも1
個と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックY
を少なくとも1個有している。
【0016】ビニル芳香族化合物から誘導される構成単
位含量(ビニル芳香族化合物含量)が5〜80重量%の
範囲にあるブロック共重合体が好ましい。ビニル芳香族
化合物から誘導される構成単位含有量が上記範囲内にあ
ると、他の成分との相溶性が良好で、しかも、得られる
熱可塑性重合体組成物からなるタイルの剛性が良好であ
るため、好ましい。
【0017】上記ビニル芳香族化合物としては、具体的
には、スチレン、α- メチルスチレン、o、m、p- メ
チルスチレン、2,4-ジメチルスチレンなどが挙げられ、
中でも、スチレン、α- メチルスチレンが好ましく用い
られる。上記共役ジエン化合物としては、具体的には、
イソプレン、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3- ブタ
ジエン、1,3-ペンタジエン、イソプレン−ブタジエンな
どが挙げられ、中でも、イソプレン、1,3-ブタジエン、
イソプレン−ブタジエンが好ましく用いられる。
【0018】より好ましくは重合体ブロックYがイソプ
レンまたはイソプレン−ブタジエンブロックであり、イ
ソプレンまたはイソプレン−ブタジエンブロック部分が
ビニル結合を含有していることが好ましい。イソプレン
またはイソプレン−ブタジエンブロック部分のビニル結
合含有量は特に限定されない。このような重合体ブロッ
クYとしては、たとえばイソプレンまたはイソプレン−
ブタジエンブロック部分のビニル結合含有量が10%以
上の重合体ブロック(100%であってもよい)が挙げ
られる。
【0019】上記ブロック共重合体は、水添されていて
もよい。水添物としては、たとえばブロックYの炭素−
炭素二重結合の35%以上が水添されているブロック共
重合体を挙げることができる。得られる熱可塑性重合体
組成物からなる床タイルの耐熱性、耐候性の面からは、
この水添率は高い方がより好ましい。ブロック共重合体
のブロック構造は、線状あるいは分岐状のいずれであっ
てもよい。たとえば、X(YX)n 、あるいは(XY)
n なるブロック構造を示すことができる。このブロック
構造におけるXはビニル芳香族化合物からなるブロッ
ク、Yは共役ジエンからなるブロックを示し、nは1以
上の整数である。
【0020】ブロック共重合体のメルトフローレート
(MFR;ASTM D1238、190℃、2.16
kg荷重)は、好ましくは0.01〜50g/10分、
より好ましくは0.1〜10g/10分の範囲である。
このようなブロック共重合体としては、たとえばポリス
チレン・ビニル−ポリイソプレン共重合体またはスチレ
ン・ブタジエンブロック共重合体などを挙げることがで
きる。
【0021】上記のようなブロック共重合体は、公知の
方法、たとえば特開平2−300250号公報、特許第
2703288号公報等に記載の方法により製造するこ
とができる。また、ブロック共重合体の水素添加処理
は、不活性溶媒中で公知の水素添加触媒の存在下に行な
うことができる。
【0022】成分(A)のブロック共重合体またはその
水添物として、たとえば、ハイブラー(クラレ(株)
製、商標)、セプトン(クラレ(株)製、商標)、ダイ
ナロン(日本合成ゴム(株)製、商標)、クレイトン
(シェル化学(株)製、商標)等の商品名で市販されて
いるものを用いることもできる。ブロック共重合体およ
び/またはその水添物(A)は、熱可塑性重合体成分
[I]の合計重量100重量%に対して、5〜90重量
%、好ましくは15〜70重量%、さらに好ましくは2
0〜60重量%の割合で用いられる。成分(A)を上記
範囲内の割合で用いると、良好なシート成形加工温度領
域が広い熱可塑性重合体組成物が得られ、しかも、この
組成物から、後加工性(たとえばカレンダー加工におけ
る面直し工程)に優れる床タイル用シートを調製するこ
とができ、このシートから下地追従性および柔軟性に優
れる床タイルを調製することができる。
【0023】[ポリオレフィン樹脂(B)]本発明で用
いられる熱可塑性重合体成分[I]を構成するポリオレ
フィン樹脂(B)としては、従来公知のポリオレフィン
樹脂のいずれも使用することができるが、後述の極性基
たとえばエステル基を含有するエチレン系共重合体
(C)よりも高融点であり、かつ、エチレン系共重合体
(C)との相溶性が比較的良好なポリオレフィン樹脂が
好ましく用いられる。
【0024】このようなポリオレフィン樹脂(B)とし
ては、ブロック共重合体および/またはその水添物
(A)と比較的相溶性が良好なポリエチレン、特に線状
低密度ポリエチレン(L−LDPE)が好ましい。中で
も、メタロセン系オレフィン重合用触媒を用いてエチレ
ンと炭素原子数3〜20のα- オレフィンとを共重合し
た線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)は、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求
められる分子量分布(Mw/Mn)が狭く、カレンダー
加工における塑性変形を阻害する過剰の高融点成分が排
除されているため、より好ましい。上記メタロセン系オ
レフィン重合用触媒は、特に制限はなく、従来公知のメ
タロセン系オレフィン重合用触媒を用いることができ
る。
【0025】上記の炭素原子数3〜20のα- オレフィ
ンとしては、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ヘ
キセン、1-ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、1-ヘキセ
ン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-
ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセ
ン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセ
ン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセンなど
が挙げられる。これらのα- オレフィンは、単独でまた
は組み合わせて用いられる。中でも、特にプロピレン、
1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1- ペン
テン、1-オクテンが好ましい。
【0026】L−LDPEの組成は、通常10mmφの
試料管中で約200mgのL−LDPEを1mlのヘキ
サクロロブタジエンに均一に溶解させた試料の13C−N
MRスペクトルを、測定温度120℃、測定周波数2
5.05MHz、スペクトル幅1500Hz、パルス繰
返し時間4.2sec.、パルス幅6μsec.の条件下で測定
して決定される。
【0027】また、このL−LDPEのメルトフローレ
ート(MFR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)は、
通常0.3〜100g/10分、好ましくは0.5〜5
0g/10分であり、密度(ASTM D 1505)は、通常
0.90〜0.94g/cm3、好ましくは0.90〜
0.93g/cm3である。上記のようなポリオレフィ
ン樹脂(B)は、1種単独で、あるいは2種以上組み合
わせて用いることができる。
【0028】ポリオレフィン樹脂(B)は、熱可塑性重
合体成分[I]の合計重量100重量%に対して、5〜
90重量%、好ましくは10〜70重量%、さらに好ま
しくは20〜50重量%の割合で用いられる。ポリオレ
フィン樹脂(B)を上記範囲内の割合で用いると、PV
Cに似た感温性を有する非塩化ビニル系床タイル用樹脂
組成物が得られ、加工温度領域でのシート強度のある床
タイル用シートが得られる。
【0029】熱可塑性重合体成分[I]がブロック共重
合体および/またはその水添物(A)だけでは、感温性
が高く、加工温度領域でのシート強度が弱くなり加工し
にくいという欠点がある。本発明では、比較的融点の低
いポリオレフィン樹脂(B)をブロック共重合体および
/またはその水添物(A)にブレンドすることにより、
PVCに似た感温性を得ることができる。すなわち、樹
脂組成物のシート成形加工温度領域を広げることがで
き、加工温度領域でのシート強度を上げることができ
る。
【0030】[エチレン系共重合体(C)]本発明で用
いられるエチレン系共重合体(C)は、エチレンと、極
性基を含有するモノマーとを共重合して得られる極性基
含有エチレン共重合体たとえば、エチレンと、エステル
基(−CO−O−)を含有するモノマーとを共重合して
得られるエステル基含有エチレン共重合体(C1)であ
る。
【0031】エステル基含有モノマーとしては、具体的
には、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸ペンチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタ
クリル酸ペンチルなどが挙げられる。本発明でエチレン
系共重合体(C)として用いられるエステル基含有エチ
レン共重合体(C1)としては、従来公知のエステル基
含有エチレン系共重合体を用いることができ、具体的に
は、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレ
ン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・
アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・メタ
クリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・アク
リル酸エチル・無水マレイン酸共重合体などが挙げられ
る。
【0032】共重合体(C)のメルトフローレート(M
FR;ASTM D 1238,190℃、荷重2.16kg)は、通常0.
3〜100g/10分、好ましくは0.5〜50g/1
0分である。共重合体(C)のエステル基等の極性基含
有モノマーから誘導される構成単位含量(極性基含有モ
ノマー含量)は、エチレン系共重合体(C)100重量
%に対して、通常50〜80重量%、好ましくは55〜
80重量%、さらに好ましくは60〜75重量%、特に
好ましくは55〜70重量%である。
【0033】本発明では、特に酢酸ビニル含量が55〜
80重量%であるEVAが好ましく用いられる。このよ
うな酢酸ビニル含量が高いEVAを用いると、ポリオレ
フィン樹脂(B)を主成分としたタイル状樹脂の反発が
無くなり、コンクリート下地とのなじみ性(下地追随
性)が改善され、可撓性を適度に調整することができ、
タイルの施工性および下地との接着強度(下地接着性)
を向上させることができる。
【0034】また、オレフィン系樹脂系床タイルは、溶
剤系接着剤でなければ、十分な対下地接着強度を有しな
いが、極性基含有エチレン系共重合体(C)を用いるこ
とにより、環境に配慮した水系接着剤でも十分な接着強
度を発現させることができる床タイルが得られる。ま
た、この床タイルは、床タイルのメンテナンスとして必
要なワックスとの密着性を上げることができる。
【0035】エステル基含有エチレン系共重合体(C
1)のような極性基含有エチレン系共重合体(C)は、
ポリオレフィン樹脂(B)との相溶性を高めることがで
き、この共重合体(C)を含有する非塩化ビニル系床タ
イル用熱可塑性重合体組成物から、床タイル用シートを
形成することができる。上記のようなエチレン系共重合
体(C)は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせ
て用いることができる。
【0036】エチレン系共重合体(C)は、熱可塑性重
合体成分[I]の合計重量100重量%に対して、5〜
90重量%、好ましくは10〜50重量%、さらに好ま
しくは15〜40重量%の割合で用いられる。共重合体
(C)を上記範囲内の割合で用いると、施工性(下地追
従性)および下地接着性に優れる非塩化ビニル系床タイ
ルを調製することができる熱可塑性重合体組成物が得ら
れる。
【0037】[タッキファイヤー(D)]本発明で必要
に応じて用いられるタッキファイヤー(D)としては、
粘着テープ、塗料、ホットメルト接着剤の分野に用いら
れるタッキファイヤー(粘着性付与剤)のいずれも用い
ることができ、好ましくは固体非晶性ポリマー系タッキ
ファイヤーである。
【0038】本発明で用いられるタッキファイヤー
(D)は、GPCにより求めた重量平均分子量(Mw)
が通常1,000〜3,000、好ましくは1,200
〜2,500であることが望ましい。このようなタッキ
ファイヤー(D)としては、たとえば石油、ナフサなど
の分解によって得られるC4留分、C5留分、これらの
混合物、あるいはこれらの任意の留分、例えばC5留分
中のイソプレンおよび1,3-ペンタジエンなどを主成分と
する脂肪族系炭化水素樹脂;石油、ナフサなどの分解に
よって得られるC9留分中のスチレン誘導体およびイン
デン類を主原料とする芳香族系炭化水素樹脂;C4留分
およびC5留分の任意の留分とC9留分とを共重合した
脂肪族・芳香族共重合炭化水素樹脂;芳香族炭化水素樹
脂を水素添加した脂環族系炭化水素樹脂;脂肪族、脂環
族および芳香族炭化水素樹脂を含む構造を持つ合成テル
ペン系炭化水素樹脂;テレビン油中のαβ−ピネンを原
料とするテルペン系炭化水素樹脂;コールタール系ナフ
サ中のインデンおよびスチレン類を原料とするクマロン
インデン系炭化水素樹脂;低分子量スチレン系樹脂;ロ
ジン系炭化水素樹脂などが挙げられる。
【0039】これらのタッキファイヤー(D)の中で
も、脂肪族系炭化水素樹脂および芳香族系炭化水素樹脂
を水素添加した脂環族系炭化水素樹脂が、ブロック共重
合体および/またはその水添物(A)への分散性が良い
ので好ましく用いられる。さらに軟化点(環球法)が1
05〜150℃、好ましくは110〜140℃であり、
芳香族核への水素添加率が80%以上、好ましくは85
%以上である脂環族系炭化水素樹脂が特に好ましく用い
られる。
【0040】上記のようなタッキファイヤー(D)は、
1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いること
ができる。タッキファイヤー(D)は、必要に応じて、
熱可塑性重合体成分[I]の合計重量100重量%に対
して、10重量%以下の量、通常は0.1〜10重量
%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは
2〜8重量%の割合で用いられる。タッキファイヤー
(D)を上記範囲内の割合で用いると、形状変化性(タ
イル伸びの突き上げに対する応力緩和性)に優れ、さら
にワックスとの密着性、下地接着強度特性、加工性およ
びカレンダー圧延での食い込み性が向上した非塩化ビニ
ル系床タイルを調製することができる熱可塑性重合体組
成物が得られる。
【0041】[ポリテトラフルオロエチレン系樹脂
(E)]本発明で必要に応じて用いられるポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)系樹脂(E)としては、具
体的には、テトラフルオロエチレンホモポリマー、テト
ラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエー
テル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチ
レン共重合体などのテトラフルオロエチレンを主体とし
た共重合体単独あるいはそれらの混合物が挙げられる。
【0042】本発明で用いられるポリテトラフルオロエ
チレン系樹脂(E)は、一部または全部が不飽和カルボ
ン酸またはその誘導体(以下、不飽和カルボン酸等と称
する場合がある)でグラフト変性されていてもよい。こ
のグラフト変性されたポリテトラフルオロエチレン系樹
脂は、グラフト変性する際に用いられるポリテトラフル
オロエチレン系樹脂の一部が未変性であってもよい。ま
た、グラフト変性ポリテトラフルオロエチレン系樹脂
は、いわゆるマスターバッチで調製してもよい。
【0043】グラフト変性ポリテトラフルオロエチレン
系樹脂において、未変性のポリテトラフルオロエチレン
系樹脂を含む場合、未変性のポリテトラフルオロエチレ
ン系樹脂は、グラフト変性したポリテトラフルオロエチ
レン系樹脂と未変性のポリテトラフルオロエチレン系樹
脂との合計量100重量部に対して、50重量部以下、
通常は0〜30重量部の割合で含有していることが望ま
しい。
【0044】本発明で用いられることがあるグラフト変
性ポリテトラフルオロエチレン系樹脂における不飽和カ
ルボン酸等のグラフト量は、グラフト変性前のポリテト
ラフルオロエチレン系樹脂100重量%に対して、0.
01〜30重量%、好ましくは0.05〜10重量%、
さらに好ましくは0.1〜5重量%の範囲である。上記
不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、
マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタ
コン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、
ナジック酸TM(エンドシス- ビシクロ[2,2,1]ヘプト-
5-エン-2,3- ジカルボン酸)などが挙げられる。
【0045】また、不飽和カルボン酸の誘導体として
は、たとえば上記のような不飽和カルボン酸の酸ハライ
ド化合物、アミド化合物、イミド化合物、酸無水物、エ
ステル化合物などが挙げられる。具体的には、塩化マレ
イル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン
酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリ
シジルマレエートなどが挙げられる。
【0046】上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂の
不飽和カルボン酸等によるグラフト変性は、従来公知の
グラフト重合方法を用いて行なうことができる。たとえ
ば上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂を溶融させて
不飽和カルボン酸等を添加してグラフト重合を行なう方
法、上記ポリテトラフルオロエチレン系樹脂を溶媒に溶
解させて不飽和カルボン酸等を添加してグラフト重合を
行なう方法がある。
【0047】これらの方法において、ラジカル開始剤の
存在下にグラフト重合を行なうと、上記不飽和カルボン
酸等のグラフトモノマーを効率よくグラフト重合させる
ことができる。この場合、ラジカル開始剤は、上記ポリ
テトラフルオロエチレン系樹脂100重量部に対して、
通常は0.001〜1重量部の量で用いられる。このよ
うなラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、アゾ
化合物などが用いられる。このようなラジカル開始剤と
しては、具体的には、ベンゾイルペルオキシド、ジクロ
ルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ
-t- ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ(ペル
オキシドベンゾエート)ヘキシン-3、1,4-ビス(t-ブチ
ルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペル
オキシド、t-ブチルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,5
- ジ-(t-ブチルペルオキシド)ヘキシン-3、2,5-ジメ
チル-2,5- ジ(t-ブチルペルオキシド)ヘキサン、t-ブ
チルペルベンゾエート、t-ブチルペルフェニルアセテー
ト、t-ブチルペルイソブチレート、t-ブチルペル-sec-
オクトエート、t-ブチルペルピバレート、クミルペルピ
バレート、t-ブチルペルジエチルアセテート;アゾビス
イソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなど
が挙げられる。
【0048】これらのうちでは、ジクミルペルオキシ
ド、ジ-t- ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ
(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5
- ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(t-ブ
チルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキ
ルペルオキシドが好ましく用いられる。上記のようなラ
ジカル開始剤を使用したグラフト重合反応、あるいはラ
ジカル開始剤を使用せずに行なうグラフト重合反応の反
応温度は、通常0〜150℃、好ましくは30〜100
℃の範囲内に設定される。
【0049】上記のようなポリテトラフルオロエチレン
系樹脂(E)は、1種単独で、あるいは2種以上組み合
わせて用いることができる。ポリテトラフルオロエチレ
ン系樹脂(E)は、必要に応じて、熱可塑性重合体成分
[I]の合計重量100重量%に対して、10重量%以
下の量、通常は0.1〜10重量%、好ましくは0.5
〜10重量%、さらに好ましくは2〜8重量%の割合で
用いられる。ポリテトラフルオロエチレン系樹脂(E)
を上記範囲内の割合で用いると、耐熱性、耐アルカリ
性、耐酸性、耐溶媒性、耐薬品性などの特性に優れた非
塩化ビニル系床タイルを調製することができる熱可塑性
重合体組成物が得られる。
【0050】[アクリル系樹脂(F)]本発明で必要に
応じて用いられるアクリル系樹脂(F)は、アクリル酸
エステルの重合体(ポリアクリレート)、メタクリル酸
エステルの重合体(ポリメタクリレート)、およびそれ
らの共重合体樹脂などが挙げられる。ポリアクリレート
としては、具体的には、ポリメチルアクリレート、ポリ
エチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリ2-
エチルヘキシルアクリレート、ポリイソブチルアクリレ
ート、ポリn−ヘキシルアクリレート、ポリn−オクチ
ルアクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリステ
アリルアクリレートなどが挙げられる。
【0051】ポリメタクリレートとしては、具体的に
は、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレ
ート、ポリブチルメタクリレート、ポリラウリルメタク
リレート、ポリステアリルメタクリレート、ポリイソブ
チルメタクリレート、ポリn−ヘキシルメタクリレー
ト、ポリn−オクチルメタクリレートなどが挙げられ
る。上記のようなアクリル系樹脂(F)は、1種単独
で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0052】アクリル系樹脂(F)は、必要に応じて、
熱可塑性重合体成分[I]の合計重量100重量%に対
して、10重量%以下の量、通常は0.1〜10重量
%、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは
2〜8重量%の割合で用いられる。アクリル系樹脂
(F)を上記範囲内の割合で用いると、耐摩耗性、耐衝
撃性、樹脂とフィラーとの混和性、カレンダー成形性、
プレス成形性、製品平滑性、二次加工性などの特性に優
れた非塩化ビニル系床タイルを調製することができる熱
可塑性重合体組成物が得られる。
【0053】充填材[II] 本発明で用いられる充填材[II]としては、具体的に
は、炭酸カルシウム(沈降性炭酸カルシウム、重質炭酸
カルシウム、砂状炭酸カルシウム等)、タルク、シリ
カ、クレー、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸
化アルミニウム、ガラス繊維などが挙げられる。これら
の充填材[II]は、脂肪酸およびそのエステル、シラン
カップリング剤、石油樹脂、樹脂酸、クマロン酸、AB
S樹脂、パラフィンなどで表面処理されていてもよい。
【0054】充填材[II]としては、平均粒子径が0.
5〜250μmである微粒子状の充填材、または繊維長
が200〜700μmである繊維状の充填材、たとえば
セルロース等の有機繊維、サントウェブ、ウオラストナ
イト、ロックウール、およびセピオライト系の充填材が
望ましい。上記のような充填材[II]は、1種単独で、
あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0055】充填材[II]は、熱可塑性重合体成分
[I]100重量部に対して、900重量部以下の量、
通常は0.1〜900重量部、好ましくは10〜800
重量部、さらに好ましくは200〜700重量部の割合
で用いられる。充填材[II]を多量に配合した場合に
は、いわゆるコンポジション床タイルが得られ、一方充
填材[II]を少量配合した場合には、いわゆるホモジニ
アス床タイルが得られる。充填材[II]を上記範囲内の
割合で用いると、耐傷付き性に優れる非塩化ビニル系床
タイルを調製することができる樹脂組成物が得られる。
【0056】熱可塑性重合体組成物 本発明に係る熱可塑性重合体組成物は、熱可塑性重合体
成分[I]を構成するブロック共重合体および/または
その水添物(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、極性基
を含有するエチレン系共重合体(C)、および必要に応
じてタッキファイヤー(D)、ポリテトラフルオロエチ
レン系樹脂(E)、アクリル系樹脂(F)と、充填材
[II]とを上述した特定の割合で含有している。
【0057】本発明に係る熱可塑性重合体組成物中に、
熱可塑性重合体成分[I]および充填材[II]の他に、
必要に応じて、その他の成分[III]として従来から樹
脂系床タイルに配合されている通常の加工助剤、酸化防
止剤、光安定剤、顔料、耐熱安定剤、帯電防止剤、難燃
剤、染料、滑剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわ
ない範囲で配合することができる。これらの添加剤は、
ハロゲン特に塩素を含んでいないことが好ましい。
【0058】本発明に係る熱可塑性重合体組成物は、上
記のブロック共重合体および/またはその水添物
(A)、ポリオレフィン樹脂(B)、極性基を含有する
エチレン系共重合体(C)、充填材[II]、および必要
に応じてタッキファイヤー(D)、ポリテトラフルオロ
エチレン系樹脂(E)、アクリル系樹脂(F)、添加剤
を、種々の従来公知の方法で溶融混合することにより調
製される。
【0059】すなわち、本発明に係る熱可塑性重合体組
成物は、上記各成分を同時に、または逐次的に、たとえ
ばヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーミ
キサー、リボンブレンダー等に装入して混合した後、単
軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー
等で溶融混練することによって得られる。これらの内で
も、多軸押出機、ニーダー、バンンバリーミキサー等の
混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一
に分散された高品質の熱可塑性重合体組成物が得られ
る。
【0060】また、これらの任意の段階で必要に応じて
前記添加剤、たとえば酸化防止剤などを添加することも
できる。床タイル 本発明に係る床タイルは、上記のようにして得られる、
本発明に係る熱可塑性重合体組成物からなる。
【0061】本発明に係る床タイルは、この熱可塑性重
合体組成物をペレットあるいは粉体の状態で用い、従来
の床シートや床タイルの製造装置であるカレンダー成形
機、押出機、加熱プレス機、ラミネーターなどを用いて
シート状もしくはタイル状に成形することができ、通常
のPVC加工設備で調製することが可能である。本発明
においては、単色タイプ、多色チップタイプ、フィルム
ラミネートタイプなど塩化ビニル樹脂製床タイルで製造
している方法を応用して種々の意匠を有する床タイルを
製造することができる。本発明に係る床タイルの構成と
しては、単層でも2以上の複層でもよく、表面の透明層
下に印刷層を設けることも可能である。
【0062】
【発明の効果】本発明に係る熱可塑性重合体組成物は、
ブロック共重合体および/またはその水添物(A)、ポ
リオレフィン樹脂(B)、極性基を含有するエチレン系
共重合体(C)、および必要に応じてタッキファイヤー
(D)、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂(E)、ア
クリル系樹脂(F)を特定割合で含有する熱可塑性重合
体成分[I]と、充填材[II]とを特定割合で含有して
なるので、従来のPVC床タイル用樹脂組成物と同等な
いしそれ以上の優れたシート成形加工性(加工温度領域
でのシート強度、一旦作製したシートを粉砕して調製し
たチップを加熱圧延して形成したシートの表面平滑性)
を有する。
【0063】本発明に係る床タイルは、上記熱可塑性重
合体組成物からなるので、耐傷付き性、形状変化性(タ
イル伸びの突き上げに対する応力緩和性)、下地接着
性、施工性(下地追従性たとえばコンクリート下地に対
する追従性)、ワックスとの密着性および柔軟性に優
れ、PVC床タイルの代替品として十分使用できる。
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これら実施例により何ら限定されるものではな
い。なお、実施例等における樹脂組成物シート(床タイ
ル用)の物性等の評価は、下記の方法に従って行なっ
た。 (1)弾性率の比 周波数1Hz、温度−10℃および25℃の温度条件下
で測定した貯蔵弾性率E'(−10℃)、E'(25℃)
の比を取って評価する。この比が小さいほど、弾性率の
温度依存性が小さく、広範囲での柔軟性を保持している
ことになる。 <弾性率の比の評価基準> 弾性率の比=E'(−10℃)/E'(25℃) ここでは、この比が、1.5≦E'(−10℃)/E'
(25℃)≦15を満足していることが望ましい。 (2)シートの形状変化性(床タイル伸びの突き上げに
対する応力緩和性) エポキシ系またはアクリルエマルジョン系接着剤でタイ
ルを5℃で合板上に施行し、6時間経過後、25℃に昇
温しタイルの突き上げ量を測定した。
【0065】<形状変化性の評価基準> ○ ・・・・ 突き上げ量が0のもの。 △ ・・・・ 突き上げ量が0を超え、2mm以下のもの。 × ・・・・ 突き上げ量が2mmを超えるもの。 (3)シートの下地接着性(床タイルの接着強度) JIS A 5536に従って、シートの下地接着強度
を測定した。 <下地接着性の評価基準> ○ ・・・・ エポキシ樹脂接着剤を使用した場合に下地接着
強度が80N/cm2以上であり、かつ、アクリルエマ
ルジョン接着剤を使用した場合に下地接着強度が20N
/cm2 以上のもの。 △ ・・・・ エポキシ樹脂接着剤を使用した場合に下地接着
強度が80N/cm2未満で50N/cm2 以上である
もの。 × ・・・・ エポキシ樹脂接着剤を使用した場合に下地接着
強度が50N/cm2未満であり、かつ、アクリルエマ
ルジョン接着剤を使用した場合に下地接着強度が20N
/cm2 未満のもの。
【0066】(4)シートへのワックス塗布性(床タイ
ルのワックス塗布性) 既存のメンテナンス用ワックスを塗布し硬化後、碁盤目
テープ剥離法(100升中何升剥離するか)で評価す
る。なお、升目は2mm角とする。 <ワックスとの密着性の評価基準> ○ ・・・・ 全く剥離しないもの。 △ ・・・・ 剥離した升目の数が15未満のもの。 × ・・・・ 剥離した升目の数が15以上のもの。
【0067】(5)シートの下地追従性(床タイルの下
地追随性) 厚さの異なるスレート板で表面に2mmの不陸を設け、
スレート板上に、常温でエポキシ系接着剤をくし刷毛に
より均一に塗布し、その上にシートを載置してローラー
で押さえ、その後接着剤を乾燥硬化させて接着強度を得
た後、シート外観から不陸追従性を下地追従性として評
価する。
【0068】その結果は以下の基準でランク付けした。 <下地追従性の評価基準> ○ ・・・・ 下地不陸に追従してシートが完全に下地に密着
しているもの。 △ ・・・・ 下地不陸のため、シートと下地にわずかに隙間
ができたもの。 × ・・・・ 下地不陸のため、シート縁がはね上がったも
の。
【0069】
【実施例1】ポリスチレン・ビニル−ポリイソプレン共
重合体[SIS(1);商品名 ハイブラー5127
(VS−1)、(株)クラレ製、スチレン含量=20重
量%、MFR(ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重)=5
g/10分]30重量部と、線状低密度ポリエチレン
[L−LDPE(1);MFR(ASTM D 1238,190℃、
2.16kg荷重)=4g/10分、密度(ASTM D 1505)=
0.902g/cm3、ビカット軟化点(ASTM D 1525)
=90℃、融点=93℃]40重量部と、エチレン・酢
酸ビニル共重合体[EVA(1);酢酸ビニル含量=6
0重量%、MFR(ASTM D 1238,190℃、2.16kg荷重)
=5g/10分]30重量部と、充填材として砂状炭酸
カルシウム80重量部と、酸化防止剤[商品名 Irg
anox 1010およびIrgafos 168、チ
バスペシャリティー(株)製]0.5重量部と、滑剤
[商品名 ステアリン酸亜鉛SZ−2000、堺化学工
業(株)製]2.5重量部とを、バンバリーミキサーを
用い、180〜200℃で混練し、熱可塑性重合体組成
物(1)を得た。
【0070】次いで、この重合体組成物(1)をカレン
ダーロール温度100℃でカレンダー加工し、厚さ2.
0mmのシートを得た。上記のようにして得られたシー
トは、一般に床タイルと呼ばれ、この床タイルの弾性率
の比、形状変化性、下地接着性、ワックス塗布性および
下地追従性を、上記の方法に従って、評価した。
【0071】これらの結果を第1表に示す。
【0072】
【実施例2】実施例1において、ポリスチレン・ビニル
−ポリイソプレン共重合体[SIS(1)]の配合量を
25重量部に変更し、さらに、タッキファイヤー[商品
名ハーコタック1149、ハーキュリーズ社製]を5重
量部用いて熱可塑性重合体組成物を調製した以外は、実
施例1と同様に行なった。
【0073】結果を第1表に示す。
【0074】
【実施例3】実施例1において、ポリスチレン・ビニル
−ポリイソプレン共重合体[SIS(1)]の配合量を
50重量部、線状低密度ポリエチレン[L−LDPE
(1)]の配合量を17.5重量部にそれぞれ変更し、
さらに、ポリテトラフルオロエチレン−アクリル酸変性
樹脂[商品名 メタブレンA−3000、三菱レイヨン
(株)製]を2.5重量部用いて熱可塑性重合体組成物
を調製した以外は、実施例1と同様に行なった。
【0075】結果を第1表に示す。
【0076】
【実施例4】実施例1において、ポリスチレン・ビニル
−ポリイソプレン共重合体[SIS(1)]の配合量を
40重量部、線状低密度ポリエチレン[L−LDPE
(1)]の配合量を30重量部、エチレン・酢酸ビニル
共重合体[EVA(1)]の配合量を20重量部にそれ
ぞれ変更し、さらに、ポリメチルメタクリレート[商品
名 メタブレンP−530A、三菱レイヨン(株)製]
を10重量部用いて熱可塑性重合体組成物を調製した以
外は、実施例1と同様に行なった。
【0077】結果を第1表に示す。
【0078】
【比較例1】実施例1において、線状低密度ポリエチレ
ン[L−LDPE(1)]145重量部、充填材として
砂状炭酸カルシウム340重量部、タッキファイヤー1
5重量部、酸化防止剤0.5重量部および滑剤2.5重
量部のみを用いて熱可塑性重合体組成物を調製した以外
は、実施例1と同様に行なった。
【0079】結果を第1表に示す。
【0080】
【比較例2】実施例1において、エチレン・酢酸ビニル
共重合体[EVA(1)]100重量部、充填材として
砂状炭酸カルシウム395重量部、ポリメチルメタクリ
レート5重量部、酸化防止剤0.5重量部および滑剤
2.5重量部のみを用いて熱可塑性重合体組成物を調製
した以外は、実施例1と同様に行なった。
【0081】結果を第1表に示す。
【0082】
【比較例3】実施例1において、ポリスチレン・ビニル
−ポリイソプレン共重合体[SIS(1)]50重量
部、線状低密度ポリエチレン[L−LDPE(1)]4
5重量部、充填材として砂状炭酸カルシウム400重量
部、タッキファイヤー5重量部、酸化防止剤0.5重量
部および滑剤2.5重量部のみを用いて熱可塑性重合体
組成物を調製した以外は、実施例1と同様に行なった。
【0083】結果を第1表に示す。
【0084】
【表1】
【0085】
【実施例5〜8および比較例4】第2表に示す割合で原
料を配合して熱可塑性重合体組成物を調製した以外は、
実施例1と同様に行なった。結果を第2表に示す。な
お、スチレン・ブタジエンブロック共重合体としては、
市販のニポール2057S(商品名)[日本ゼオン
(株)製]を使用した。その他の原料は、第1表に示し
たものと同じである。
【0086】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 27:18) C08L 33:00 (C08L 101/00 33:00) (72)発明者 守 屋 悟 千葉県市原市千種海岸3 三井化学株式会 社内 Fターム(参考) 4J002 AF024 BA004 BB03X BB06Y BB07Y BB09Y BD154 BG034 BP01W DE076 DE146 DE236 DG046 DJ006 DJ036 DJ046 DL006 FA046 FD016 GL00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性重合体成分[I]100重量部に
    対し、充填材[II]を900重量部以下の量で含有して
    なり、 該熱可塑性重合体成分[I]が、 ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックXを少
    なくとも1個と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブ
    ロックYを少なくとも1個有するブロック共重合体およ
    び/またはその水添物(A)5〜90重量%と、 ポリオレフィン樹脂(B)5〜90重量%と、 極性基を含有するエチレン系共重合体(C)5〜90重
    量%とを含有していることを特徴とする熱可塑性重合体
    組成物。
  2. 【請求項2】前記(A)成分のブロック共重合体が、ポ
    リスチレン・ビニル−ポリイソプレン共重合体またはス
    チレン・ブタジエン共重合体であることを特徴とする請
    求項1に記載の熱可塑性重合体組成物。
  3. 【請求項3】前記ポリオレフィン樹脂(B)が、ポリエ
    チレンであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑
    性重合体組成物。
  4. 【請求項4】前記エチレン系共重合体(C)が、エチレ
    ン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリ
    ル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸
    メチル共重合体(EMA)、エチレン・メタクリル酸メ
    チル共重合体(EMMA)およびエチレン・アクリル酸
    エチル・無水マレイン酸共重合体から選ばれる少なくと
    も1種以上の共重合体であることを特徴とする請求項1
    に記載の熱可塑性重合体組成物。
  5. 【請求項5】前記熱可塑性重合体成分[I]中に、タッ
    キファイヤー(D)を10重量%以下の量で含有してい
    ることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性重合体組
    成物。
  6. 【請求項6】前記熱可塑性重合体成分[I]中に、ポリ
    テトラフルオロエチレン系樹脂(E)を10重量%以下
    の量で含有していることを特徴とする請求項1に記載の
    熱可塑性重合体組成物。
  7. 【請求項7】前記熱可塑性重合体成分[I]中に、アク
    リル系樹脂(F)を10重量%以下の量で含有している
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性重合体組成
    物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の熱可塑性
    重合体組成物からなることを特徴とする床タイル。
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