JP2003327490A - 酸化物単結晶の製造方法および該製造方法に用いられる製造装置 - Google Patents
酸化物単結晶の製造方法および該製造方法に用いられる製造装置Info
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- JP2003327490A JP2003327490A JP2002140057A JP2002140057A JP2003327490A JP 2003327490 A JP2003327490 A JP 2003327490A JP 2002140057 A JP2002140057 A JP 2002140057A JP 2002140057 A JP2002140057 A JP 2002140057A JP 2003327490 A JP2003327490 A JP 2003327490A
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 本発明にかかる酸化物単結晶の製造方法
は、チョクラルスキー法またはTSSG(Top-Seeded Solut
ion Growth)法により、酸化物単結晶を製造する方法に
おいて、略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通し
た開口部を有する邪魔板からなるリフレクターを上方に
備えた育成炉内で酸化物単結晶インゴットを育成するこ
とを特徴としている。 【効果】 本発明によれば、冷却中の均熱状態が保てる
ため、育成結晶における熱応力に伴うクラック、転位の
増殖等が抑制され、結晶品質が良く製品歩留まりの高い
酸化物単結晶を製造する方法およびこれに用いられる製
造装置を提供できる。
は、チョクラルスキー法またはTSSG(Top-Seeded Solut
ion Growth)法により、酸化物単結晶を製造する方法に
おいて、略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通し
た開口部を有する邪魔板からなるリフレクターを上方に
備えた育成炉内で酸化物単結晶インゴットを育成するこ
とを特徴としている。 【効果】 本発明によれば、冷却中の均熱状態が保てる
ため、育成結晶における熱応力に伴うクラック、転位の
増殖等が抑制され、結晶品質が良く製品歩留まりの高い
酸化物単結晶を製造する方法およびこれに用いられる製
造装置を提供できる。
Description
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、酸化物単結晶の製造方法
およびこの製造方法に用いられる製造装置に関する。よ
り詳しくは、本発明は、チョクラルスキー法またはTSSG
(Top-Seeded Solution Growth)法による酸化物単結晶
の製造の際の温度分布を制御した酸化物単結晶の製造方
法およびこの製造方法に用いられる製造装置に関する。
およびこの製造方法に用いられる製造装置に関する。よ
り詳しくは、本発明は、チョクラルスキー法またはTSSG
(Top-Seeded Solution Growth)法による酸化物単結晶
の製造の際の温度分布を制御した酸化物単結晶の製造方
法およびこの製造方法に用いられる製造装置に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】酸化物単結晶の製造方法として
は、チョクラルスキー法、あるいはTSSG(Top-Seeded S
olution Growth)法と呼ばれる方法が一般に知られてい
る。チョクラルスキー法は、原料融液に種結晶を一旦浸
漬した後、これを回転させながら引き上げ、原料融液中
から種結晶先端に種結晶と一定の関係を有する結晶面お
よび結晶方位を有する単結晶を析出成長させつつ引き上
げる方法である。
は、チョクラルスキー法、あるいはTSSG(Top-Seeded S
olution Growth)法と呼ばれる方法が一般に知られてい
る。チョクラルスキー法は、原料融液に種結晶を一旦浸
漬した後、これを回転させながら引き上げ、原料融液中
から種結晶先端に種結晶と一定の関係を有する結晶面お
よび結晶方位を有する単結晶を析出成長させつつ引き上
げる方法である。
【0003】また、TSSG(Top-Seeded Solution Growt
h)法は、カイロポーラス法とも呼ばれ、原料組成物を
融剤(フラックス)に溶解して溶液とし、種結晶を溶液
表面に浸漬させ、かつ、種結晶を回転させながら溶液を
徐冷し、過飽和状態として種結晶上に単結晶を成長させ
る方法である。このようなチョクラルスキー法やTSSG法
においては、育成する結晶に合わせて適切な温度分布を
実現しなければ品質のよい結晶が得られない。すなわ
ち、温度分布が適切でない場合には、所定サイズの単結
晶インゴットを成長させた後、融液から切り離し、育成
炉内で室温まで冷却する途中で、単結晶インゴットにク
ラックや白濁が入ってしまうことがある。
h)法は、カイロポーラス法とも呼ばれ、原料組成物を
融剤(フラックス)に溶解して溶液とし、種結晶を溶液
表面に浸漬させ、かつ、種結晶を回転させながら溶液を
徐冷し、過飽和状態として種結晶上に単結晶を成長させ
る方法である。このようなチョクラルスキー法やTSSG法
においては、育成する結晶に合わせて適切な温度分布を
実現しなければ品質のよい結晶が得られない。すなわ
ち、温度分布が適切でない場合には、所定サイズの単結
晶インゴットを成長させた後、融液から切り離し、育成
炉内で室温まで冷却する途中で、単結晶インゴットにク
ラックや白濁が入ってしまうことがある。
【0004】従来、このように冷却時にクラックなどが
入らないよう適切な温度勾配、温度揺らぎを育成炉内で
形成するために炉内に構造物を設けて、育成炉の構造形
状を変えたり、加熱ヒーターを多段に分割してそれぞれ
を独立に制御したりして、目的の結晶にあった温度分布
を形成しようと試みられてきた。しかしながら、炉内の
構造物のみで温度分布を制御しようとする方法は、ある
特定の温度水準でしか温度分布を制御することができ
ず、比較的温度が高い結晶育成中と、温度が低い冷却中
の温度とを独立に制御することは困難であった。また、
多段の加熱ヒーターを用いて温度分布を制御する方法で
も、雰囲気ガスの対流により、所望する高い精度での温
度分布の制御は困難であった。
入らないよう適切な温度勾配、温度揺らぎを育成炉内で
形成するために炉内に構造物を設けて、育成炉の構造形
状を変えたり、加熱ヒーターを多段に分割してそれぞれ
を独立に制御したりして、目的の結晶にあった温度分布
を形成しようと試みられてきた。しかしながら、炉内の
構造物のみで温度分布を制御しようとする方法は、ある
特定の温度水準でしか温度分布を制御することができ
ず、比較的温度が高い結晶育成中と、温度が低い冷却中
の温度とを独立に制御することは困難であった。また、
多段の加熱ヒーターを用いて温度分布を制御する方法で
も、雰囲気ガスの対流により、所望する高い精度での温
度分布の制御は困難であった。
【0005】その一方で、近年では、目的とする単結晶
の大型化の傾向が顕著であり、大型単結晶育成では温度
分布の制御が難しくなるため、このような問題の解決が
特に望まれていた。本発明者らは、このような事情に鑑
み鋭意検討した結果、チョクラルスキー法またはTSSG法
による酸化物単結晶の製造において、単結晶育成炉内上
方に特定形状のリフレクターを備えた装置を用いて酸化
物単結晶インゴットを育成することにより、さらにこの
育成した酸化物単結晶インゴットを冷却する際に、育成
炉の下方から雰囲気ガスを導入することにより、育成炉
内の温度分布を高い精度で制御できることを見出して本
発明を完成するに至った。
の大型化の傾向が顕著であり、大型単結晶育成では温度
分布の制御が難しくなるため、このような問題の解決が
特に望まれていた。本発明者らは、このような事情に鑑
み鋭意検討した結果、チョクラルスキー法またはTSSG法
による酸化物単結晶の製造において、単結晶育成炉内上
方に特定形状のリフレクターを備えた装置を用いて酸化
物単結晶インゴットを育成することにより、さらにこの
育成した酸化物単結晶インゴットを冷却する際に、育成
炉の下方から雰囲気ガスを導入することにより、育成炉
内の温度分布を高い精度で制御できることを見出して本
発明を完成するに至った。
【0006】
【発明の目的】本発明は、新規な酸化物単結晶の製造方
法および製造装置を提供することを目的としている。よ
り詳しくは、チョクラルスキー法またはTSSG法による酸
化物単結晶の製造において、良好な温度分布の制御を行
うことができる酸化物単結晶の製造方法および製造装置
を提供することを目的としている。
法および製造装置を提供することを目的としている。よ
り詳しくは、チョクラルスキー法またはTSSG法による酸
化物単結晶の製造において、良好な温度分布の制御を行
うことができる酸化物単結晶の製造方法および製造装置
を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明にかかる酸化物単結晶の製造方法
は、チョクラルスキー法またはTSSG(Top-Seeded Solut
ion Growth)法により、酸化物単結晶を製造する方法に
おいて、略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通し
た開口部を有する邪魔板からなるリフレクターを上方に
備えた育成炉内で酸化物単結晶インゴットを育成するこ
とを特徴としている。
は、チョクラルスキー法またはTSSG(Top-Seeded Solut
ion Growth)法により、酸化物単結晶を製造する方法に
おいて、略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通し
た開口部を有する邪魔板からなるリフレクターを上方に
備えた育成炉内で酸化物単結晶インゴットを育成するこ
とを特徴としている。
【0008】さらに、本発明にかかる酸化物単結晶の製
造方法は、チョクラルスキー法またはTSSG(Top-Seeded
Solution Growth)法により、酸化物単結晶を製造する
方法において、略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する
貫通した開口部を有する邪魔板からなるリフレクターを
上方に備えた育成炉内で酸化物単結晶インゴットを育成
し、この酸化物単結晶インゴットを原料融液または原料
溶液から切り離して冷却する際に、該育成炉の下方から
雰囲気ガスを導入することを特徴としている。
造方法は、チョクラルスキー法またはTSSG(Top-Seeded
Solution Growth)法により、酸化物単結晶を製造する
方法において、略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する
貫通した開口部を有する邪魔板からなるリフレクターを
上方に備えた育成炉内で酸化物単結晶インゴットを育成
し、この酸化物単結晶インゴットを原料融液または原料
溶液から切り離して冷却する際に、該育成炉の下方から
雰囲気ガスを導入することを特徴としている。
【0009】本発明では、前記雰囲気ガスは、O2を含
有していることが好ましい。本発明にかかる酸化物単結
晶の製造方法では、前記酸化物単結晶が、ニオブ酸カリ
ウムまたはニオブ酸リチウムであってもよい。本発明に
かかる酸化物単結晶の製造装置は、チョクラルスキー法
またはTSSG(Top-Seeded Solution Growth)法により酸
化物単結晶を製造する方法に用いられる酸化物単結晶の
製造装置であって、育成炉と、その外周部に巻装された
抵抗加熱式ヒーターと、該育成炉内の上方に配設された
略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通した開口部
を有する邪魔板からなるリフレクターとを備えることを
特徴としている。
有していることが好ましい。本発明にかかる酸化物単結
晶の製造方法では、前記酸化物単結晶が、ニオブ酸カリ
ウムまたはニオブ酸リチウムであってもよい。本発明に
かかる酸化物単結晶の製造装置は、チョクラルスキー法
またはTSSG(Top-Seeded Solution Growth)法により酸
化物単結晶を製造する方法に用いられる酸化物単結晶の
製造装置であって、育成炉と、その外周部に巻装された
抵抗加熱式ヒーターと、該育成炉内の上方に配設された
略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通した開口部
を有する邪魔板からなるリフレクターとを備えることを
特徴としている。
【0010】さらに、本発明にかかる酸化物単結晶の製
造装置は、チョクラルスキー法またはTSSG(Top-Seeded
Solution Growth)法により酸化物単結晶を製造する方
法に用いられる酸化物単結晶の製造装置であって、育成
炉と、その外周部に巻装された抵抗加熱式ヒーターと、
該育成炉内の上方に配設された略中央部に雰囲気ガス流
通口を構成する貫通した開口部を有する邪魔板からなる
リフレクターと、該育成炉内の下方に配設された雰囲気
ガス導入口とを備え、前記雰囲気ガス導入口から導入さ
れた雰囲気ガスが、前記リフレクターに接触し整流する
ように構成したことを特徴としている。
造装置は、チョクラルスキー法またはTSSG(Top-Seeded
Solution Growth)法により酸化物単結晶を製造する方
法に用いられる酸化物単結晶の製造装置であって、育成
炉と、その外周部に巻装された抵抗加熱式ヒーターと、
該育成炉内の上方に配設された略中央部に雰囲気ガス流
通口を構成する貫通した開口部を有する邪魔板からなる
リフレクターと、該育成炉内の下方に配設された雰囲気
ガス導入口とを備え、前記雰囲気ガス導入口から導入さ
れた雰囲気ガスが、前記リフレクターに接触し整流する
ように構成したことを特徴としている。
【0011】本発明では、前記リフレクターは、複数の
前記邪魔板が所定間隔離間して配置されてなるものであ
ることが好ましい。本発明では、前記邪魔板は、連続し
た略らせん状であってもよく、環状であってもよく、略
円弧状であってもよい。
前記邪魔板が所定間隔離間して配置されてなるものであ
ることが好ましい。本発明では、前記邪魔板は、連続し
た略らせん状であってもよく、環状であってもよく、略
円弧状であってもよい。
【0012】
【発明の具体的説明】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明は、チョクラルスキー法(以下、単にCZ法と
もいう。)またはTSSG法により、原料融液または原料溶
液から酸化物単結晶インゴットを製造する方法におい
て、略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通した開
口部を有する邪魔板からなるリフレクターを上方に配設
した育成炉を使用して、この育成炉内で酸化物単結晶イ
ンゴットを育成する酸化物単結晶の製造方法およびこれ
に用いられる製造装置であり、さらに詳しくは、前記育
成した酸化物単結晶インゴットを原料融液または原料溶
液から切り離して冷却する際に、育成炉の下方から雰囲
気ガスを導入することを特徴とする酸化物単結晶の製造
方法およびこれに用いられる製造装置である。
る。本発明は、チョクラルスキー法(以下、単にCZ法と
もいう。)またはTSSG法により、原料融液または原料溶
液から酸化物単結晶インゴットを製造する方法におい
て、略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通した開
口部を有する邪魔板からなるリフレクターを上方に配設
した育成炉を使用して、この育成炉内で酸化物単結晶イ
ンゴットを育成する酸化物単結晶の製造方法およびこれ
に用いられる製造装置であり、さらに詳しくは、前記育
成した酸化物単結晶インゴットを原料融液または原料溶
液から切り離して冷却する際に、育成炉の下方から雰囲
気ガスを導入することを特徴とする酸化物単結晶の製造
方法およびこれに用いられる製造装置である。
【0013】本発明は、従来、炉内雰囲気の酸化還元や
保護などにしか利用されていなかった雰囲気ガスを積極
的に利用して、育成炉内の温度分布、特に育成結晶を冷
却する際の温度分布を高精度に制御するものである。こ
のように、育成結晶の冷却の際に均熱状態を達成するこ
とによって、該結晶の熱応力に伴うクラック、転位の増
殖を抑制し、クラックや白濁のない高品質の酸化物単結
晶を得ることができる。
保護などにしか利用されていなかった雰囲気ガスを積極
的に利用して、育成炉内の温度分布、特に育成結晶を冷
却する際の温度分布を高精度に制御するものである。こ
のように、育成結晶の冷却の際に均熱状態を達成するこ
とによって、該結晶の熱応力に伴うクラック、転位の増
殖を抑制し、クラックや白濁のない高品質の酸化物単結
晶を得ることができる。
【0014】以下、本発明にかかる酸化物単結晶の製造
方法および製造装置について、本発明の実施の形態に基
づき、図を参照しつつ詳細に説明する。本発明にかかる
酸化物単結晶の製造方法により製造される酸化物単結晶
の種類および本発明にかかる酸化物単結晶の製造装置を
適用することができる酸化物単結晶の種類としては、CZ
法またはTSSG法により製造し得る酸化物単結晶であれ
ば、特に限定されるものではなく、従来公知の各種の酸
化物単結晶に適用することができる。このような酸化物
単結晶としては、具体的には、たとえば、ニオブ酸カリ
ウムまたはニオブ酸リチウムなどを挙げることができ
る。
方法および製造装置について、本発明の実施の形態に基
づき、図を参照しつつ詳細に説明する。本発明にかかる
酸化物単結晶の製造方法により製造される酸化物単結晶
の種類および本発明にかかる酸化物単結晶の製造装置を
適用することができる酸化物単結晶の種類としては、CZ
法またはTSSG法により製造し得る酸化物単結晶であれ
ば、特に限定されるものではなく、従来公知の各種の酸
化物単結晶に適用することができる。このような酸化物
単結晶としては、具体的には、たとえば、ニオブ酸カリ
ウムまたはニオブ酸リチウムなどを挙げることができ
る。
【0015】本発明にかかる酸化物単結晶の製造方法で
は、CZ法またはTSSG法に基づき、酸化物単結晶の製造を
行うが、上方に特定形状のリフレクターを配設した育成
炉内で、酸化物単結晶インゴットを育成すること、より
具体的には、その後の育成結晶の冷却工程において、単
結晶育成炉の下方から雰囲気ガスを導入し、該育成炉内
の雰囲気ガスの流れを制御することによって、該育成炉
内の温度分布を制御する。
は、CZ法またはTSSG法に基づき、酸化物単結晶の製造を
行うが、上方に特定形状のリフレクターを配設した育成
炉内で、酸化物単結晶インゴットを育成すること、より
具体的には、その後の育成結晶の冷却工程において、単
結晶育成炉の下方から雰囲気ガスを導入し、該育成炉内
の雰囲気ガスの流れを制御することによって、該育成炉
内の温度分布を制御する。
【0016】すなわち、育成結晶の冷却の際に、育成炉
の下方に設けた雰囲気ガス導入口から雰囲気ガスを導入
し、育成炉下部から上部に達した雰囲気ガスを、育成炉
内上方に設けた特定形状のリフレクターに接触させるこ
とにより、これに沿って流れるようにする。このリフレ
クターは、略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通
した開口部を有する邪魔板からなり、雰囲気ガスは、該
邪魔板に接触するとともに、その開口部や、複数の邪魔
板の間を通過することによって、整流される。なお、前
記育成炉内の加熱は、抵抗加熱式ヒーターによって行わ
れることが望ましい。
の下方に設けた雰囲気ガス導入口から雰囲気ガスを導入
し、育成炉下部から上部に達した雰囲気ガスを、育成炉
内上方に設けた特定形状のリフレクターに接触させるこ
とにより、これに沿って流れるようにする。このリフレ
クターは、略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通
した開口部を有する邪魔板からなり、雰囲気ガスは、該
邪魔板に接触するとともに、その開口部や、複数の邪魔
板の間を通過することによって、整流される。なお、前
記育成炉内の加熱は、抵抗加熱式ヒーターによって行わ
れることが望ましい。
【0017】図1は、本発明にかかる単結晶製造方法に
用いることができる単結晶製造装置の使用状態における
構成を示す概略縦断面図である。図1に示すように、こ
の単結晶製造装置11には、実質的に外部と遮蔽された
空間を形成し得る育成炉6が備えられ、その育成炉6内
の略中央部に、原料融液ないし原料溶液3を内部に保持
してなるルツボ2が配置されている。また、育成炉6内
の上方、より具体的には、ルツボ2の上方には、邪魔板
12からなる連続した略らせん状のリフレクター8が上
部から吊り下げられて配設されている。さらに、育成炉
6の下方、より具体的にはルツボ2の下方には、雰囲気
ガス導入口9が配設されている。
用いることができる単結晶製造装置の使用状態における
構成を示す概略縦断面図である。図1に示すように、こ
の単結晶製造装置11には、実質的に外部と遮蔽された
空間を形成し得る育成炉6が備えられ、その育成炉6内
の略中央部に、原料融液ないし原料溶液3を内部に保持
してなるルツボ2が配置されている。また、育成炉6内
の上方、より具体的には、ルツボ2の上方には、邪魔板
12からなる連続した略らせん状のリフレクター8が上
部から吊り下げられて配設されている。さらに、育成炉
6の下方、より具体的にはルツボ2の下方には、雰囲気
ガス導入口9が配設されている。
【0018】このリフレクター8は、略中央部に雰囲気
ガス流通口を構成する貫通した開口部13を有する邪魔
板12からなり、該邪魔板自体の形状がリフレクターを
構成する図1および図2に示した連続した略らせん状の
ほか、図3および図4に示したように複数の邪魔板が所
定間隔離間して配置されてなるものも好ましい。リフレ
クターが連続した略らせん状の邪魔板からなる場合に
は、らせんを構成する各層の数およびその離間距離は育
成炉の形状、大きさによって変化するため、一概に規定
できないが、少なくとも2層以上、たとえば3〜10層
とすることができる。また、各層の離間間隔は、通常3
0〜80mmの範囲、冷却効率と雰囲気ガスの流れの点
を考慮すると好ましくは40〜60mmの範囲である。
ガス流通口を構成する貫通した開口部13を有する邪魔
板12からなり、該邪魔板自体の形状がリフレクターを
構成する図1および図2に示した連続した略らせん状の
ほか、図3および図4に示したように複数の邪魔板が所
定間隔離間して配置されてなるものも好ましい。リフレ
クターが連続した略らせん状の邪魔板からなる場合に
は、らせんを構成する各層の数およびその離間距離は育
成炉の形状、大きさによって変化するため、一概に規定
できないが、少なくとも2層以上、たとえば3〜10層
とすることができる。また、各層の離間間隔は、通常3
0〜80mmの範囲、冷却効率と雰囲気ガスの流れの点
を考慮すると好ましくは40〜60mmの範囲である。
【0019】前記複数の邪魔板が所定間隔離間して配置
されてなるリフレクターの形状としては、具体的には、
図3に示したように略円弧状の邪魔板12が複数連なっ
たらせんの一部が欠如した断続的な形状、または、図4
に示したように環状の邪魔板12が複数連なったリング
状などが挙げられる。このように複数の邪魔板を所定間
隔離間して配置してリフレクターを構成する場合には、
使用する邪魔板の個数は、育成炉の形状、大きさによっ
て好ましい数が変化するため、一概に規定できないが、
少なくとも2個以上、たとえば3〜10個使用すること
ができる。また、各邪魔板の配置間隔は、通常30〜8
0mmの範囲、冷却効率と雰囲気ガスの流れの点を考慮
すると好ましくは40〜60mmの範囲である。
されてなるリフレクターの形状としては、具体的には、
図3に示したように略円弧状の邪魔板12が複数連なっ
たらせんの一部が欠如した断続的な形状、または、図4
に示したように環状の邪魔板12が複数連なったリング
状などが挙げられる。このように複数の邪魔板を所定間
隔離間して配置してリフレクターを構成する場合には、
使用する邪魔板の個数は、育成炉の形状、大きさによっ
て好ましい数が変化するため、一概に規定できないが、
少なくとも2個以上、たとえば3〜10個使用すること
ができる。また、各邪魔板の配置間隔は、通常30〜8
0mmの範囲、冷却効率と雰囲気ガスの流れの点を考慮
すると好ましくは40〜60mmの範囲である。
【0020】前記邪魔板12の開口部13の大きさは、
育成炉の形状、大きさによって変化するため、一概に規
定できないが、たとえば、育成炉6の芯管内径が120
mmの場合には、雰囲気ガス流通口を構成する点から、
開口部13の直径は、通常40〜100mmの範囲、好
ましくは60〜90mmの範囲である。また開口部13
の大きさは、リフレクター全体を通じて、同じであって
もよく、異なっていてもよい。たとえば、環状の邪魔板
を複数用いてリング状のリフレクターを構成する場合を
例に挙げると、開口部の大きさの異なる環状の邪魔板を
複数連ねて、リフレクターを構成することも可能であ
る。
育成炉の形状、大きさによって変化するため、一概に規
定できないが、たとえば、育成炉6の芯管内径が120
mmの場合には、雰囲気ガス流通口を構成する点から、
開口部13の直径は、通常40〜100mmの範囲、好
ましくは60〜90mmの範囲である。また開口部13
の大きさは、リフレクター全体を通じて、同じであって
もよく、異なっていてもよい。たとえば、環状の邪魔板
を複数用いてリング状のリフレクターを構成する場合を
例に挙げると、開口部の大きさの異なる環状の邪魔板を
複数連ねて、リフレクターを構成することも可能であ
る。
【0021】前記邪魔板は、プラチナ、イリジウムなど
の貴金属からなることが好ましく、全体の大きさ、厚み
などは、育成炉の容量、形状などによって適宜調整する
ことができ、雰囲気ガスの流れを制御し、整流すること
ができれば特に限定されない。このリフレクター8を育
成炉内に配設する高さは、前述したように育成炉6内の
上方であって、ルツボ2の上方であればよく、育成炉の
大きさなどに応じて適宜調整することができるが、ルツ
ボ上面からリフレクター底部までの距離が0〜100m
mの範囲が概ねの目安である。また、リフレクター8
は、育成炉の中央、すなわち、後述する引き上げ軸7
が、前記邪魔板の開口部13の中央を通るように上部か
ら吊り下げられ、育成炉内に配設されることが好まし
い。
の貴金属からなることが好ましく、全体の大きさ、厚み
などは、育成炉の容量、形状などによって適宜調整する
ことができ、雰囲気ガスの流れを制御し、整流すること
ができれば特に限定されない。このリフレクター8を育
成炉内に配設する高さは、前述したように育成炉6内の
上方であって、ルツボ2の上方であればよく、育成炉の
大きさなどに応じて適宜調整することができるが、ルツ
ボ上面からリフレクター底部までの距離が0〜100m
mの範囲が概ねの目安である。また、リフレクター8
は、育成炉の中央、すなわち、後述する引き上げ軸7
が、前記邪魔板の開口部13の中央を通るように上部か
ら吊り下げられ、育成炉内に配設されることが好まし
い。
【0022】なお、前記リフレクター8と育成炉の側壁
との距離は、リフレクターを構成する邪魔板の大きさと
育成炉の形状や大きさによって変わるため、一概に規定
できないが、通常0〜10mmの範囲が概ねの目安であ
る。前記雰囲気ガス導入口9にはポンプ(図示せず)が
接続されており、冷却の際には該ポンプから圧送される
雰囲気ガスを育成炉内に導入する。なお、この雰囲気ガ
ス導入口9は、開閉自在に設けられており、冷却工程前
は、育成炉6内は実質的に外部と遮蔽された空間を形成
し得る。この雰囲気ガス導入口9を配設する位置は、前
述したように育成炉6内下方であって、ルツボ2の下方
であればよいが、具体的には、育成炉底面の中央部が好
ましく挙げられる。
との距離は、リフレクターを構成する邪魔板の大きさと
育成炉の形状や大きさによって変わるため、一概に規定
できないが、通常0〜10mmの範囲が概ねの目安であ
る。前記雰囲気ガス導入口9にはポンプ(図示せず)が
接続されており、冷却の際には該ポンプから圧送される
雰囲気ガスを育成炉内に導入する。なお、この雰囲気ガ
ス導入口9は、開閉自在に設けられており、冷却工程前
は、育成炉6内は実質的に外部と遮蔽された空間を形成
し得る。この雰囲気ガス導入口9を配設する位置は、前
述したように育成炉6内下方であって、ルツボ2の下方
であればよいが、具体的には、育成炉底面の中央部が好
ましく挙げられる。
【0023】さらに、育成炉6の外周部には、このルツ
ボ2が配置された高さ位置近傍に、抵抗加熱式ヒーター
4が巻装されている。この抵抗加熱式ヒーター4は、独
立して制御可能な複数のヒーターからなる多段式ヒータ
ーであることが好ましい。本発明では、酸化物単結晶の
育成は、CZ法またはTSSG法に基づき行われる。すなわ
ち、まず、プラチナ、イリジウムなどの貴金属製のルツ
ボ内に原料融液もしくは原料溶液を形成した後、上方よ
り垂下された引き上げ軸7先端に取り付けられた種結晶
(図示せず)の先端を原料融液もしくは原料溶液3に一
旦浸漬する。その後、CZ法では、引き上げ軸7を昇降装
置(図示せず)によって、所定の速度で種結晶ごと原料
融液から引き上げることで、種結晶先端に所望の酸化物
単結晶インゴット1を育成していく。一方、TSSG法で
は、種結晶を浸漬した状態で原料溶液を徐冷すること
で、種結晶先端に所望の酸化物単結晶インゴット1を育
成していく。このような単結晶育成工程においては、リ
フレクター8は、反射板として、抵抗加熱ヒーター4か
らの熱輻射をルツボ周辺部に伝える役割を担う。
ボ2が配置された高さ位置近傍に、抵抗加熱式ヒーター
4が巻装されている。この抵抗加熱式ヒーター4は、独
立して制御可能な複数のヒーターからなる多段式ヒータ
ーであることが好ましい。本発明では、酸化物単結晶の
育成は、CZ法またはTSSG法に基づき行われる。すなわ
ち、まず、プラチナ、イリジウムなどの貴金属製のルツ
ボ内に原料融液もしくは原料溶液を形成した後、上方よ
り垂下された引き上げ軸7先端に取り付けられた種結晶
(図示せず)の先端を原料融液もしくは原料溶液3に一
旦浸漬する。その後、CZ法では、引き上げ軸7を昇降装
置(図示せず)によって、所定の速度で種結晶ごと原料
融液から引き上げることで、種結晶先端に所望の酸化物
単結晶インゴット1を育成していく。一方、TSSG法で
は、種結晶を浸漬した状態で原料溶液を徐冷すること
で、種結晶先端に所望の酸化物単結晶インゴット1を育
成していく。このような単結晶育成工程においては、リ
フレクター8は、反射板として、抵抗加熱ヒーター4か
らの熱輻射をルツボ周辺部に伝える役割を担う。
【0024】このようにして、酸化物単結晶インゴット
1が所望長のものとなったら、引き上げ軸7の引き上げ
速度および/または原料融液もしくは原料溶液3の温度
を高めることにより、育成した酸化物単結晶インゴット
1を原料融液もしくは原料溶液3の界面より切り離し、
原料融液もしくは原料溶液3の界面より上方空間に保持
して、所定温度まで冷却する。このときの育成結晶の位
置は、特に限定されないが、冷却効率の点からは、原料
融液または原料溶液の界面から酸化物単結晶インゴット
底部までの距離は、通常5〜30mm程度である。
1が所望長のものとなったら、引き上げ軸7の引き上げ
速度および/または原料融液もしくは原料溶液3の温度
を高めることにより、育成した酸化物単結晶インゴット
1を原料融液もしくは原料溶液3の界面より切り離し、
原料融液もしくは原料溶液3の界面より上方空間に保持
して、所定温度まで冷却する。このときの育成結晶の位
置は、特に限定されないが、冷却効率の点からは、原料
融液または原料溶液の界面から酸化物単結晶インゴット
底部までの距離は、通常5〜30mm程度である。
【0025】前記の製造工程において、本発明では、酸
化物単結晶インゴットを原料融液もしくは原料溶液から
切り離した後、育成炉の下方、具体的にはルツボよりも
下方から雰囲気ガスを導入する。前記雰囲気ガスの組成
は、育成する酸化物単結晶の種類によって、変えること
ができ、特に限定されないが、種結晶引き上げ時の育成
炉内の雰囲気ガスと同じ組成を有することが好ましい。
このような酸化物単結晶製造の際の雰囲気ガスとして
は、通常、O2を含有していることが好ましく、具体的
には、たとえば、標準組成の空気などが挙げられる。
化物単結晶インゴットを原料融液もしくは原料溶液から
切り離した後、育成炉の下方、具体的にはルツボよりも
下方から雰囲気ガスを導入する。前記雰囲気ガスの組成
は、育成する酸化物単結晶の種類によって、変えること
ができ、特に限定されないが、種結晶引き上げ時の育成
炉内の雰囲気ガスと同じ組成を有することが好ましい。
このような酸化物単結晶製造の際の雰囲気ガスとして
は、通常、O2を含有していることが好ましく、具体的
には、たとえば、標準組成の空気などが挙げられる。
【0026】図1に示す実施態様では、前記製造工程の
うち、冷却工程において雰囲気ガスを導入した状態を示
している。育成炉6下方に設けられた雰囲気ガス導入口
9から雰囲気ガスを流すと、該雰囲気ガスは、育成した
単結晶酸化物インゴット1に到達するまでの間に、ヒー
ターからの放熱およびルツボを熱源とするホットゾーン
を通過し、上方のリフレクター8に接触し、開口部など
を通過して整流されつつ、上方からの冷気と混合される
ため、育成炉内の均熱性が高まると考えられる。
うち、冷却工程において雰囲気ガスを導入した状態を示
している。育成炉6下方に設けられた雰囲気ガス導入口
9から雰囲気ガスを流すと、該雰囲気ガスは、育成した
単結晶酸化物インゴット1に到達するまでの間に、ヒー
ターからの放熱およびルツボを熱源とするホットゾーン
を通過し、上方のリフレクター8に接触し、開口部など
を通過して整流されつつ、上方からの冷気と混合される
ため、育成炉内の均熱性が高まると考えられる。
【0027】前記雰囲気ガス導入口9から導入される前
記雰囲気ガスの好ましい導入量は、育成炉の形状、容積
等によっても異なるため一概には規定できないが、流量
は、たとえば、通常0.1〜10リットル/分程度、好ましく
は1〜5リットル/分程度とすることができ、育成される
単結晶インゴットの大きさ、経時的変化などに基づき、
適時流量制御される。
記雰囲気ガスの好ましい導入量は、育成炉の形状、容積
等によっても異なるため一概には規定できないが、流量
は、たとえば、通常0.1〜10リットル/分程度、好ましく
は1〜5リットル/分程度とすることができ、育成される
単結晶インゴットの大きさ、経時的変化などに基づき、
適時流量制御される。
【0028】導入された雰囲気ガスは、育成炉内上方に
配設された排気口10から排気される。なお、この排気
口10は、開閉自在に設けられており、冷却工程前は、
育成炉6内は実質的に外部と遮蔽された空間を形成し得
る。このように、リフレクター8によって、導入された
雰囲気ガスの流れを制御することにより、育成結晶の冷
却の際における温度分布を制御することができ、育成結
晶の冷却の際に均熱状態を達成できる。これによって、
育成結晶の熱応力に伴うクラック、転位の増殖を抑制
し、高品質の酸化物単結晶を製造することができる。
配設された排気口10から排気される。なお、この排気
口10は、開閉自在に設けられており、冷却工程前は、
育成炉6内は実質的に外部と遮蔽された空間を形成し得
る。このように、リフレクター8によって、導入された
雰囲気ガスの流れを制御することにより、育成結晶の冷
却の際における温度分布を制御することができ、育成結
晶の冷却の際に均熱状態を達成できる。これによって、
育成結晶の熱応力に伴うクラック、転位の増殖を抑制
し、高品質の酸化物単結晶を製造することができる。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、育成結晶の冷却中の均
熱状態が保てるため、育成結晶における熱応力に伴うク
ラック、転位の増殖等が抑制され、結晶品質が良く製品
歩留まりの高い酸化物単結晶を製造する方法およびこれ
に用いられる製造装置を提供できる。また、本発明によ
れば、特に大型結晶を製造する場合において、単にヒー
ターなどの熱源を制御する従来法と比較して、得られる
結晶品質が格段に向上する。
熱状態が保てるため、育成結晶における熱応力に伴うク
ラック、転位の増殖等が抑制され、結晶品質が良く製品
歩留まりの高い酸化物単結晶を製造する方法およびこれ
に用いられる製造装置を提供できる。また、本発明によ
れば、特に大型結晶を製造する場合において、単にヒー
ターなどの熱源を制御する従来法と比較して、得られる
結晶品質が格段に向上する。
【0030】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0031】
【実施例1】φ100mm、深さ100mmのPt製ル
ツボを使用して、ニオブ酸カリウム多結晶体と、融剤と
してK2Oを用い、TSSG法にてKN(ニオブ酸カリ
ウム)単結晶を育成した。その際、邪魔板として、外径
110mm、内径90mm、厚さ0.5mmの環状のプ
ラチナ板を使用し、育成炉上方に50mm間隔で3枚設
置し、リフレクターとした。KN単結晶インゴットが4
0mm×40mm、厚さ15mmに達した時点で原料溶
液より結晶を引き離し、原料溶液界面からKN単結晶イ
ンゴットの底部までの距離が10mmとなる位置に保持
するとともに、育成炉下方の雰囲気ガス導入口からエア
ーを毎分1〜5リットル導入し、室温まで冷却した。
ツボを使用して、ニオブ酸カリウム多結晶体と、融剤と
してK2Oを用い、TSSG法にてKN(ニオブ酸カリ
ウム)単結晶を育成した。その際、邪魔板として、外径
110mm、内径90mm、厚さ0.5mmの環状のプ
ラチナ板を使用し、育成炉上方に50mm間隔で3枚設
置し、リフレクターとした。KN単結晶インゴットが4
0mm×40mm、厚さ15mmに達した時点で原料溶
液より結晶を引き離し、原料溶液界面からKN単結晶イ
ンゴットの底部までの距離が10mmとなる位置に保持
するとともに、育成炉下方の雰囲気ガス導入口からエア
ーを毎分1〜5リットル導入し、室温まで冷却した。
【0032】得られたKN単結晶を目視で観察した結
果、育成した結晶にはクラックは見られなかった。冷却
時における結晶の位置の温度分布を、冷却位置の周辺に
複数の熱電対を設置して測定したところ、鉛直方向、水
平方向の温度分布はそれぞれ0.2℃/cm、0℃/cm
となり均熱状態になっていた。また、温度の揺らぎは±
3℃以下におさまっていた。
果、育成した結晶にはクラックは見られなかった。冷却
時における結晶の位置の温度分布を、冷却位置の周辺に
複数の熱電対を設置して測定したところ、鉛直方向、水
平方向の温度分布はそれぞれ0.2℃/cm、0℃/cm
となり均熱状態になっていた。また、温度の揺らぎは±
3℃以下におさまっていた。
【0033】
【実施例2】実施例1と同様にして、φ100mm、深
さ100mmのPt製ルツボを使用してTSSG法にて
KN単結晶を育成した。その際、外径110mm、内径
90mm、厚さ0.5mmの連続したらせん状のプラチ
ナ製邪魔板からなるリフレクターを育成炉上方に設置し
た。らせんは約3層からなり、らせんを構成する各層の
間隔は50mmであった。KN単結晶インゴットが40
mm×40mm、厚さ15mmに達した時点で溶液より
結晶を引き離し、原料溶液界面からKN単結晶インゴッ
トの底部までの距離が5mmとなる位置に保持するとと
もに、育成炉下方の雰囲気ガス導入口からエアーを毎分
1〜5リットル導入し、室温まで冷却した。得られたKN
単結晶を目視で観察した結果、育成した結晶にはクラッ
クは見られなかった。冷却時における結晶の位置の温度
分布を、冷却位置の周辺に複数の熱電対を設置して測定
したところ、鉛直方向、水平方向の温度分布はそれぞれ
1℃/cm、0℃/cmとなり均熱状態になっていた。ま
た、温度の揺らぎは±2℃以下におさまっていた。
さ100mmのPt製ルツボを使用してTSSG法にて
KN単結晶を育成した。その際、外径110mm、内径
90mm、厚さ0.5mmの連続したらせん状のプラチ
ナ製邪魔板からなるリフレクターを育成炉上方に設置し
た。らせんは約3層からなり、らせんを構成する各層の
間隔は50mmであった。KN単結晶インゴットが40
mm×40mm、厚さ15mmに達した時点で溶液より
結晶を引き離し、原料溶液界面からKN単結晶インゴッ
トの底部までの距離が5mmとなる位置に保持するとと
もに、育成炉下方の雰囲気ガス導入口からエアーを毎分
1〜5リットル導入し、室温まで冷却した。得られたKN
単結晶を目視で観察した結果、育成した結晶にはクラッ
クは見られなかった。冷却時における結晶の位置の温度
分布を、冷却位置の周辺に複数の熱電対を設置して測定
したところ、鉛直方向、水平方向の温度分布はそれぞれ
1℃/cm、0℃/cmとなり均熱状態になっていた。ま
た、温度の揺らぎは±2℃以下におさまっていた。
【0034】
【比較例1】育成炉内にリフレクターを設置しないほか
は、実施例1と同様にして、φ100mm、深さ100
mmのPt製ルツボを使用してTSSG法にてKN単結
晶を育成した。KN単結晶インゴットが40mm×40
mm、厚さ15mmに達した時点で溶液より結晶を引き
離し、原料溶液界面からKN単結晶インゴットの底部ま
での距離が10mmとなる位置に保持して室温まで冷却
した。エアーの導入は行わなかった。
は、実施例1と同様にして、φ100mm、深さ100
mmのPt製ルツボを使用してTSSG法にてKN単結
晶を育成した。KN単結晶インゴットが40mm×40
mm、厚さ15mmに達した時点で溶液より結晶を引き
離し、原料溶液界面からKN単結晶インゴットの底部ま
での距離が10mmとなる位置に保持して室温まで冷却
した。エアーの導入は行わなかった。
【0035】得られたKN単結晶を目視で観察した結
果、育成した結晶にはクラックと白濁が見られた。冷却
時における結晶の位置の温度分布を、冷却位置の周辺に
複数の熱電対を設置して測定したところ、鉛直方向、水
平方向の温度分布はそれぞれ3℃/cm、2℃/cmとなっ
ていた。また、温度の揺らぎは±5℃程度となってい
た。
果、育成した結晶にはクラックと白濁が見られた。冷却
時における結晶の位置の温度分布を、冷却位置の周辺に
複数の熱電対を設置して測定したところ、鉛直方向、水
平方向の温度分布はそれぞれ3℃/cm、2℃/cmとなっ
ていた。また、温度の揺らぎは±5℃程度となってい
た。
【図1】図1は、本発明にかかる単結晶製造方法に用い
られる製造装置の使用状態における構成を示す概略縦断
面図である。
られる製造装置の使用状態における構成を示す概略縦断
面図である。
【図2】図2は、本発明に用いられるリフレクターの一
例を示す概略図である。
例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明に用いられるリフレクターの一
例を示す概略図である。
例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明に用いられるリフレクターの一
例を示す概略図である。
例を示す概略図である。
1 単結晶インゴット
2 ルツボ
3 原料融液または原料溶液
4 抵抗加熱式ヒーター
5 雰囲気ガス
6 育成炉
7 引き上げ軸
8 リフレクター
9 雰囲気ガス導入口
10 雰囲気ガス排気口
11 単結晶製造装置
12 邪魔板
13 開口部
Claims (14)
- 【請求項1】 チョクラルスキー法またはTSSG(Top-Se
eded Solution Growth)法により、酸化物単結晶を製造
する方法において、 略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通した開口部
を有する邪魔板からなるリフレクターを上方に備えた育
成炉内で酸化物単結晶インゴットを育成することを特徴
とする酸化物単結晶の製造方法。 - 【請求項2】 チョクラルスキー法またはTSSG(Top-Se
eded Solution Growth)法により、酸化物単結晶を製造
する方法において、 略中央部に雰囲気ガス流通口を構成する貫通した開口部
を有する邪魔板からなるリフレクターを上方に備えた育
成炉内で酸化物単結晶インゴットを育成し、 この酸化物単結晶インゴットを原料融液または原料溶液
から切り離して冷却する際に、該育成炉の下方から雰囲
気ガスを導入することを特徴とする酸化物単結晶の製造
方法。 - 【請求項3】 前記雰囲気ガスが、O2を含有している
ことを特徴とする請求項2に記載の酸化物単結晶の製造
方法。 - 【請求項4】 前記リフレクターが、複数の前記邪魔板
が所定間隔離間して配置されてなるものであることを特
徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物単結晶
の製造方法。 - 【請求項5】 前記邪魔板が、連続した略らせん状であ
ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸
化物単結晶の製造方法。 - 【請求項6】 前記邪魔板が、環状であることを特徴と
する請求項4に記載の酸化物単結晶の製造方法。 - 【請求項7】 前記邪魔板が、略円弧状であることを特
徴とする請求項4に記載の酸化物単結晶の製造方法。 - 【請求項8】 前記酸化物単結晶が、ニオブ酸カリウム
またはニオブ酸リチウムであることを特徴とする請求項
1〜7のいずれかに記載の酸化物単結晶の製造方法。 - 【請求項9】 チョクラルスキー法またはTSSG(Top-Se
eded Solution Growth)法により酸化物単結晶を製造す
る方法に用いられる酸化物単結晶の製造装置であって、 育成炉と、 その外周部に巻装された抵抗加熱式ヒーターと、 該育成炉内の上方に配設された略中央部に雰囲気ガス流
通口を構成する貫通した開口部を有する邪魔板からなる
リフレクターとを備えることを特徴とする酸化物単結晶
の製造装置。 - 【請求項10】 チョクラルスキー法またはTSSG(Top-
Seeded Solution Growth)法により酸化物単結晶を製造
する方法に用いられる酸化物単結晶の製造装置であっ
て、 育成炉と、 その外周部に巻装された抵抗加熱式ヒーターと、 該育成炉内の上方に配設された略中央部に雰囲気ガス流
通口を構成する貫通した開口部を有する邪魔板からなる
リフレクターと、 該育成炉内の下方に配設された雰囲気ガス導入口とを備
え、 前記雰囲気ガス導入口から導入された雰囲気ガスが、前
記リフレクターに接触し整流するように構成したことを
特徴とする酸化物単結晶の製造装置。 - 【請求項11】 前記リフレクターが、複数の前記邪魔
板が所定間隔離間して配置されてなるものであることを
特徴とする請求項9または10に記載の酸化物単結晶の
製造装置。 - 【請求項12】 前記邪魔板が、連続した略らせん状で
あることを特徴とする請求項9または10に記載の酸化
物単結晶の製造装置。 - 【請求項13】 前記邪魔板が、環状であることを特徴
とする請求項11に記載の酸化物単結晶の製造装置。 - 【請求項14】 前記邪魔板が、略円弧状であることを
特徴とする請求項11に記載の酸化物単結晶の製造装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002140057A JP2003327490A (ja) | 2002-05-15 | 2002-05-15 | 酸化物単結晶の製造方法および該製造方法に用いられる製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002140057A JP2003327490A (ja) | 2002-05-15 | 2002-05-15 | 酸化物単結晶の製造方法および該製造方法に用いられる製造装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003327490A true JP2003327490A (ja) | 2003-11-19 |
Family
ID=29701028
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002140057A Pending JP2003327490A (ja) | 2002-05-15 | 2002-05-15 | 酸化物単結晶の製造方法および該製造方法に用いられる製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003327490A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102965731A (zh) * | 2012-11-16 | 2013-03-13 | 福建福晶科技股份有限公司 | 一种解决铌酸钾晶体退火开裂的方法 |
KR101274539B1 (ko) | 2011-10-24 | 2013-06-13 | 한국생산기술연구원 | 사파이어 단결정 성장로 가열 장치 |
JP2014001125A (ja) * | 2012-05-23 | 2014-01-09 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 多層型熱反射板およびこれを用いた酸化物単結晶育成装置 |
JP2014065639A (ja) * | 2012-09-26 | 2014-04-17 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | サファイア単結晶の製造装置 |
JP2015191960A (ja) * | 2014-03-27 | 2015-11-02 | 株式会社ニューフレアテクノロジー | 成膜装置、成膜方法及びリフレクタユニット |
-
2002
- 2002-05-15 JP JP2002140057A patent/JP2003327490A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101274539B1 (ko) | 2011-10-24 | 2013-06-13 | 한국생산기술연구원 | 사파이어 단결정 성장로 가열 장치 |
JP2014001125A (ja) * | 2012-05-23 | 2014-01-09 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | 多層型熱反射板およびこれを用いた酸化物単結晶育成装置 |
JP2014065639A (ja) * | 2012-09-26 | 2014-04-17 | Sumitomo Metal Mining Co Ltd | サファイア単結晶の製造装置 |
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JP2015191960A (ja) * | 2014-03-27 | 2015-11-02 | 株式会社ニューフレアテクノロジー | 成膜装置、成膜方法及びリフレクタユニット |
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