JP2003327372A - エレベータのピットはしご装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業員がはしごを利用してエレベータホール
からピットに安全かつスムーズに移動できるようにし、
なおかつ昇降路内の省スペース化が図れるようにする。 【解決手段】 ピットはしご装置のはしご９は、エレベ
ータの昇降路２の下部に設けられたピットとエレベータ
ホール４との間の昇降に使用される。このはしご９は、
一対の縦棒のうち、一方の縦棒を中心として９０°回転
移動できるようになっている。はしご９を回転させる
と、昇降路２壁に近くて、はしご未使用時の保管に便利
な位置と、昇降路２壁から離れてエレベータホール４か
ら昇降しやすい使用に便利な位置とに移動することにな
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エレベータのピッ
トはしご装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、エレベータにおいて、点検や補
修等のメンテナンス作業を行うために、昇降路の最下部
に設置されているピットにエレベータホールから下りる
ことがあり、この場合には、ピットはしご装置が使用さ
れる。

【０００３】従来、ピットはしご装置は、昇降路とかご
室との間が狭いためにエレベータホールの出入り口から
少し離れた場所に設けられている。例えば、図９に示す
ように、かご室１が昇降する昇降路２内の下部のピット
において、かご室１の昇降を案内する一対のガイドレー
ル３がエレベータホール４に対して平行に位置して立設
されているので、このガイドレール３を利用して取付腕
５を設け、この取付腕５を介してエレベータホール４か
ら少し離れた位置に、はしご６を設置している。

【０００４】メンテナンス作業を行うためにピットに下
りる場合には、かご室１を最下階より上の階に停止さ
せ、作業員が最下階のエレベータホール４から多少身を
乗り出すようにしてはしご６に乗り込んでピットに下り
ることになる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
エレベータのピットはしご装置は、はしご６が昇降路２
内の空いたスペースに置かれており、省スペースになっ
ているが、作業員がエレベータホール４から身を乗り出
さなければはしご６に手が届かないことから、はしご６
を利用してピットに移動する作業性が悪いという問題が
あった。

【０００６】そこで、本発明は、上述の問題点を除去す
るためになされたもので、作業員がはしごを利用してエ
レベータホールからピットに安全かつスムーズに移動で
きるようにし、なおかつ省スペース化できるエレベータ
のピットはしご装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するために、はしごを回転またはスライド等により移
動させて未使用時の保管に便利な位置から使用に便利な
位置まで移動できるように構成したことを特徴とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図１及び図２に本発明の第１実施の形態に係わる
エレベータのピットはしご装置を示す。エレベータは昇
降路２内をかご室１と釣り合い７がそれぞれガイドレー
ル３，８により案内されて昇降する。かご室１と釣り合
い７は昇降路２の頂部に設けられた巻上機（図示せず）
によりロープを介して駆動され、互いに相反する方向に
昇降する。

【０００９】エレベータの点検や補修等のメンテナンス
を行うために、作業員が昇降路２の最下部に設けられた
ピットに降りるには、はしご９を主体としたピットはし
ご装置が使用される。このピットはしご装置のはしご９
は図２（ａ）及び（ｂ）に示すように、一対の縦棒９
ａ，９ｂに対して多数のステップ９ｃを間隔をおいて取
り付けたものであるが、はしご９を構成する一対の縦棒
９ａ，９ｂのうち、一方の縦棒９ｂをエレベータホール
４のホール敷居部４ａとピット床１０に回転自在に支持
させており、この縦棒９ｂを中心としてはしご９が昇降
路２の壁に近付いた位置（はしご未使用時の状態）と昇
降路２の壁から離れた位置（はしご使用時の状態）とに
９０°回転移動できるようになっている。

【００１０】すなわち、はしご未使用時の状態では、一
方の縦棒９ｂの両端部がホール敷居部４ａとピット床１
０に嵌め込まれて回転自在に支持され、他方の縦棒９ａ
がピット床１０の固定穴１０ａに嵌め込まれて、はしご
９が固定された状態にある。この状態からはしご使用時
の状態にするには、はしご９の縦棒９ａを軽く持ち上
げ、縦棒９ａの下端部をピット床１０の固定穴１０ａよ
り外し、次に縦棒９ｂを中心にしてはしご９を９０°回
転移動させて昇降路２の壁から離れた位置の使用時の状
態に位置させ、ピット床１０の固定穴１０ｂに差し込み
固定させる。なお、１１はトーガードである。

【００１１】作業員は、まずかご室１を最下階より上の
階に停止させてから最下階に移動し、最下階のホールド
アを開く。未使用時のはしご９は、昇降路２の壁に近付
いた位置にあり、はしご９を持ち上げて９０°回転移動
させて固定する。これにより、はしご９は、エレベータ
ホール４のホール敷居部４ａの手前まで移動させてくる
ことができるので、作業者は身を乗り出すことなく楽に
はしご９に手が届き、安全かつスムーズに昇り降りの作
業を行うことができる。またはしご９の未使用時は、昇
降路２内の空きスペースに位置しているので、省スペー
ス化を図ることもできる。

【００１２】図３及び図４に本発明の第２実施の形態に
係わるエレベータのピットはしご装置を示す。本実施の
形態では、ホール敷居部４ａの下部とピット部１０にそ
れぞれ案内溝１２，１３を設け、この案内溝１２，１３
によりはしご１４をホール敷居部４ａの長手方向に沿っ
てスライド移動させるようにしたところに特徴がある。

【００１３】はしご１４は、一対の縦棒１４ａ，１４ａ
にステップ１４ｃを取り付けたものであるが、さらに背
後に案内腕１４ｄ，１４ｅを介してそれぞれ車輪１４
ｆ，１４ｇが取り付けられ、これら車輪１４ｆ，１４ｇ
が案内溝１２，１３内をスライドするようになってい
る。

【００１４】はしご１４は、未使用時の状態ではホール
敷居部４ａの長手方向の片隅に位置し、使用時にはホー
ル敷居部４ａの長手方向の中央部に位置し、それぞれ一
対の縦棒１４ａ，１４ａがピット床１０の固定穴１０ａ
に嵌め込まれることにより固定された状態に保持され
る。

【００１５】従って作業員がピットに降りる際に、はし
ご１４を使用する場合には、図４（ｂ）に示すように、
はしご１４を軽く引き上げてピット床１０の固定穴１０
ａから外し、図４（ａ）に示すように、案内溝１２，１
３に沿ってはしご１４をホール敷居部４ａの長手方向に
沿う左右方向にスライドさせることにより、ホール敷居
部４ａ中央の出入り口の前まで移動させ、固定穴１０ａ
に差し込み、はしご１４を固定させる。

【００１６】このように構成しても、作業者は身を乗り
出すことなく楽にはしご１４に手が届き、安全かつスム
ーズに昇り降りの作業を行うことができる。またはしご
１４の未使用時は、昇降路２内の空きスペースに位置し
ているので、昇降路２内の省スペース化を図ることもで
きる。

【００１７】図５及び図６に本発明の第３実施の形態に
係わるエレベータのピットはしご装置を示す。本実施の
形態では、第１及び第２実施の形態で使用するはしご９
または１４の移動部にバネ等により弾性支持された車輪
１５または１６を取付け、車輪１５または１６自体の進
退動作を利用して、はしご９または１４の移動をよりス
ムーズにしたところに特徴を有する。

【００１８】図５は第１実施の形態に係るピットはしご
装置において、はしご９の一対の縦棒９ａ，９ｂのう
ち、円弧を描いて移動する側の縦棒９ａの下部にバネ等
により弾性支持されて上下方向に進退自在に車輪１５が
取付けられ、一方、ピット床１０には、はしご９の縦棒
９ｂが円弧を描いて移動する軌跡に沿って傾斜面を有す
る案内溝１０ｂが形成されている。

【００１９】この構成により、縦棒９ｂを中心にして、
はしご９が回転移動させられると、縦棒９ａの移動に伴
い、車輪１５が案内溝１０ｂの傾斜面の変化に合わせて
上下方向に移動し、移動先である、はしご未使用時の位
置あるいは使用時の位置に到達すると、その個所に設け
られた固定穴に落ち込んで固定されることになる。

【００２０】図６は第２実施の形態に係るピットはしご
装置において、はしご１４の一対の縦棒１４ａ，１４ａ
の下部にバネ等により弾性支持されて上下方向に進退自
在に車輪１６が取付けられる一方、ピット床１０には、
はしご１４の縦棒１４ａ，１４ａ下部の車輪１６がスラ
イド移動する摺動面に沿った傾斜面を有する案内溝１０
ｂが形成されている。

【００２１】この構成により、はしご１４がスライド移
動させられると、縦棒１４ａ，１４ａの移動に伴い、車
輪１６が案内溝１０ｂの傾斜面の変化に合わせて上下方
向に移動し、移動先である、はしご未使用時の位置ある
いは使用時の位置に到達すると、その個所に設けられた
固定穴に落ち込んではしご１６が固定されることにな
る。

【００２２】このように、はしご９または１４の移動部
である縦棒９ｂまたは１４ａの下部に車輪１５または１
６を弾性支持して設け、これを案内溝１０ｂで案内させ
るようにすることにより、はしごを持ち上げる等の作業
を行うことなく、はしご９または１４の移動をよりスム
ーズに行わせることができる。

【００２３】図７に本発明の第４実施の形態に係わるエ
レベータのピットはしご装置を示す。本実施の形態で
は、第１及び第２実施の形態で使用するはしごを長手方
向に伸縮自在に構成したところに特徴を有する。

【００２４】はしご１７は第１のはしご１８と第２のは
しご１９からなり、各はしご１８，１９は一対の縦棒１
８ａ，１８ａあるいは１９ａ，１９ａに多数のステップ
１８ｃあるいは１９ｃを設けた構成を有し、第１のはし
ご１８の縦棒１８ａに第２のはしご１９の縦棒１９ａが
スライド可能に保持されている。

【００２５】第２のはしご１９には、縦棒１９ａにバネ
により常時外側に押圧されている突没自在な三角形状の
ストッパ２０が設けられており、第１のはしご１８の縦
棒１８ａに形成された開口部に突出してロックされてい
る。第２のはしご１９にはストッパ２０を引っ込めてロ
ックを解除するロック解除機構２１が設けられており、
このロック解除機構２１を操作することで、図示しない
ワイヤーを介してストッパ２０が引き込まれてロックが
解除されるようになっている。

【００２６】従ってはしごの長さが短い状態からロック
解除機構２１を操作してロックを外し、第２のはしご１
９を引き上げると、第２のはしご１９における最上段の
ステップの位置は、ホール敷居部４ａの面より上方の位
置になり、作業者は楽に第２のはしご１９に手が届き昇
り降りがしやすくなる。

【００２７】またはしご１９の未使用時にはロック解除
機構２１を操作して最も長さの短い状態にして、第１あ
るいは第２実施の形態のように回転移動あるいはスライ
ド移動させて未使用時の位置に保管することで、昇降路
２内の省スペース化を図ることができる。

【００２８】図８（ａ）及び（ｂ）に本発明の第５実施
の形態に係わるエレベータのピットはしご装置を示す。
本実施の形態では、第１及び第２実施の形態で使用する
はしご９または１４がエレベータ可動時に移動しないよ
うに固定装置２２または２３を設けることで、はしご１
を昇降路内に固定させるようにしたものである。

【００２９】図８（ａ）は磁石等を利用した固定装置２
２を設けた場合であり、図8（ｂ）はフック等を利用し
た固定装置２３を設けた場合で、それぞれはしご９また
は１４を昇降路２の壁に固定させる。

【００３０】このように構成すれば、エレベータ稼動時
にはしご９または１４が移動しないよう昇降路２内に固
定できるので安全である。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のエレベー
タのピットはしご装置によれば、はしごを回転またはス
ライド等により移動させて未使用時の保管に便利な位置
から使用に便利な位置まで移動できるように構成したこ
とにより、作業員がはしごを利用してエレベータホール
からピットに安全かつスムーズに移動できるようにな
り、なおかつ省スペース化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施の形態に係るエレベータのピ
ットはしご装置を示す平面図である。

【図２】（ａ）及び（ｂ）は第１実施の形態の主要部を
示す正面図及び側面図である。

【図３】本発明の第２実施の形態に係るエレベータのピ
ットはしご装置を示す平面図である。

【図４】（ａ）及び（ｂ）は第２実施の形態の主要部を
示す正面図及び側面図である。

【図５】本発明の第１実施の形態を利用した第３実施の
形態に係るエレベータのピットはしご装置の異なる状態
を示す説明図である。

【図６】本発明の第２実施の形態を利用した第３実施の
形態に係るエレベータのピットはしご装置の異なる状態
を示す説明図である。

【図７】（ａ）及び（ｂ）は本発明の第４実施の形態に
係るエレベータのピットはしご装置を示す正面図及び側
面断面図である。

【図８】（ａ）及び（ｂ）は本発明の第５実施の形態に
係るエレベータのピットはしご装置の例を示す側面図で
ある。

【図９】従来のエレベータのピットはしご装置を示す平
面図である。

【符号の説明】

１…かご室 ２…昇降路 ３，８…ガイドレール ４…エレベータホール ５…取付腕 ６，９，１４，１７…はしご ７…釣り合い重り １０…ピット床 １０ａ…固定穴 １１…トーガード １２，１３…案内溝 ９ａ，９ｂ，１４ａ，１８ａ，１９ａ…縦棒 ９ｃ，１４ｃ，１８ｃ，１９ｃ…ステップ １４ｄ，１４ｅ…案内腕 １４ｆ，１４ｇ…車輪 １５，１６…車輪 １８…第１のはしご １９…第２のはしご ２０…ストッパ ２１…ロック解除機構 ２２，２３…固定装置

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エレベータの昇降路の下部に設けられた
   ピットとエレベータホールとの間の昇降に使用されるピ
   ットはしご装置において、はしごを構成する一対の縦棒
   のうち、一方の縦棒を中心として当該はしごを前記昇降
   路壁に近付けた未使用時の位置と前記昇降路壁から離れ
   た使用時の位置とに回転移動できるように構成したこと
   を特徴とするエレベータのピットはしご装置。
2. 【請求項２】 エレベータの昇降路の下部に設けられた
   ピットとエレベータホールとの間の昇降に使用されるピ
   ットはしご装置において、はしごをエレベータホールか
   ら離れた未使用時の位置と前記エレベータホールに近付
   く使用時の位置とにスライド移動できるように構成した
   ことを特徴とするエレベータのピットはしご装置。
3. 【請求項３】 前記はしごの移動部に上下方向に弾性支
   持された車輪を設けたことを特徴とする請求項１または
   ２に記載のエレベータのピットはしご装置。
4. 【請求項４】 前記はしごを、その縦棒の長手方向に沿
   って伸縮自在に構成したことを特徴とする請求項１ない
   し３のいずれかに記載のエレベータのピットはしご装
   置。
5. 【請求項５】 前記はしごを、その未使用時の位置で前
   記昇降路に固定できるように構成したことを特徴とする
   請求項１ないし４のいずれかに記載のエレベータのピッ
   トはしご装置。