JP2003324223A - 積層型圧電体素子 - Google Patents

積層型圧電体素子

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JP2003324223A
JP2003324223A JP2002130085A JP2002130085A JP2003324223A JP 2003324223 A JP2003324223 A JP 2003324223A JP 2002130085 A JP2002130085 A JP 2002130085A JP 2002130085 A JP2002130085 A JP 2002130085A JP 2003324223 A JP2003324223 A JP 2003324223A
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Japan
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piezoelectric
piezoelectric stack
stack
laminated
piezoelectric element
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JP2002130085A
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English (en)
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Taku Kaneko
金子  卓
Nobuaki Kawahara
伸章 川原
Masayuki Kobayashi
正幸 小林
Takashi Yamamoto
孝史 山本
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 駆動部と非駆動部との境界に応力が集中し難
く,応力集中による圧電スタックの応力破壊が生じ難
い,優れた耐久性と信頼性を備えた積層型圧電体素子を
提供すること。 【解決手段】 圧電スタック10の積層方向の両端面1
03,104には,該圧電スタック10に対し荷重を伝
達するよう構成した加圧部材21,22をそれぞれ設け
てなり,また上記加圧部材21,22は,上記駆動部1
51と上記非駆動部152との境界において圧電スタッ
ク10の両端面103,104にそれぞれ当接し,かつ
上記加圧部材21,22は,上記圧電スタック10の積
層方向と直交する面における内部電極層11,12の重
心位置を上記圧電スタック10の積層方向の両端面10
3,104にそれぞれ投影した投影点において圧電スタ
ック10の両端面103,104とそれぞれ当接しな
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,圧電アクチュエータ等に利用す
る積層型圧電体素子に関する。
【0002】
【従来技術】近年,各種の機械的駆動素子として,電磁
力を利用したアクチュエータに代わって,チタン酸ジル
コン酸鉛(PZT)などのセラミック系圧電材料を利用
した圧電アクチュエータが多用されている。圧電材料に
おける圧電効果による機械的変位は本質的に極めて小さ
い。このため,電気的に並列になるように,かつ電圧の
印加により厚さ方向にかかる伸び方向が一致するよう
に,数十枚から数百枚程度の圧電材料よりなる圧電層を
積層し,変位量を増やした積層型圧電体素子を構成し
て,これを圧電アクチュエータとして供することができ
る。
【0003】図15,図16に積層型圧電体素子9の一
例を記載する。図15に示すごとく,この積層型圧電体
素子9は,圧電層93と該圧電層93に対し部分電極構
成とした内部電極層91,92とを交互に積層した圧電
スタック90と,該圧電スタック90の側面901,9
02に露出した内部電極層91,92の端面を圧電層9
3一層おきに(すなわち内部電極層91のみ,及び92
のみを)電気的に導通するよう構成した外部電極94と
を有する。
【0004】また,上記積層型圧電体素子9は,上記圧
電層93における積層方向両面に内部電極層91,92
が接し,上記内部電極層91,92に対する通電により
伸縮する駆動部951と,上記圧電層93における積層
方向の一方の面にのみ内部電極層91,92が接し,上
記内部電極層91,92に対する通電により伸縮が実質
的に生じない非駆動部952とを有する。なお,符合9
31,932は伸縮しないダミー層である。
【0005】すなわち,図16(a)にかかる図面左側
に電極未形成部910を備えた圧電層93と,図16
(b)にかかる図面右側に電極未形成部920を備えた
圧電層93とを交互に積層することで,圧電スタック9
0の図面右側にあたる側面901に内部電極層91の端
面が露出し,図面左側にあたる側面902に内部電極層
92の端面が露出する。これらの露出した端面が各側面
901,902に設けた外部電極94によって電気的に
導通されるのである。上記外部電極94を介して所定の
電圧を印加することによって,駆動部951が伸縮し,
積層型圧電体素子9が変位を得ることができる。
【0006】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来構成
の積層型圧電体素子9には,次のような問題が生じる。
すなわち,電圧の引加により駆動部951は伸縮する
が,非駆動部952にかかる圧電層93は電圧が印加さ
れず,伸縮できない。そのため,駆動部951と非駆動
部952との境界950に応力が集中し,圧電スタック
90におけるクラック,割れ,破壊,デラミネーション
発生の原因となる。
【0007】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,駆動部と非駆動部との境界に応力が集中
し難く,応力集中による圧電スタックの応力破壊が生じ
難い,優れた耐久性と信頼性を備えた積層型圧電体素子
を提供しようとするものである。
【0008】
【課題の解決手段】第1の発明は,圧電層と該圧電層に
対し部分電極構成とした内部電極層とを交互に積層した
圧電スタックと,該圧電スタックの側面に露出した内部
電極層の端面を圧電層一層おきに電気的に導通するよう
構成した外部電極とを有し,かつ上記圧電層における積
層方向両面に内部電極層が接し,上記内部電極層に対す
る通電により伸縮する駆動部と,上記圧電層における積
層方向の一方の面にのみ内部電極層が接し,上記内部電
極層に対する通電により伸縮が実質的に生じない非駆動
部とよりなる積層型圧電体素子であって,上記圧電スタ
ックの積層方向の両端面には,該圧電スタックに対し荷
重を伝達するよう構成した加圧部材をそれぞれ設けてな
り,また上記加圧部材は,上記駆動部と上記非駆動部と
の境界において圧電スタックの両端面にそれぞれ当接
し,かつ上記加圧部材は,上記圧電スタックの積層方向
と直交する面における内部電極層の重心位置を上記圧電
スタックの積層方向の両端面にそれぞれ投影した投影点
において圧電スタックの両端面とそれぞれ当接しないこ
とを特徴とする積層型圧電体素子にある(請求項1)。
【0009】第1の発明にかかる積層型圧電体素子は圧
電スタックの積層方向両端面に加圧部材をそれぞれ設け
てある。この加圧部材によって,圧電スタック積層方向
かつ圧電スタック内部に向かう荷重を圧電スタックに印
加することができるが,該加圧部材と圧電スタックの両
端面に対する接触状態を次のように限定した。すなわ
ち,(1)圧電スタックの積層方向の両端面において加
圧部材は駆動部と非駆動部の境界に当接する。また,
(2)内部電極層の重心位置を圧電スタックの積層方向
両端面にそれぞれ投影した投影点において上記加圧部材
は両端面とそれぞれ当接しない
【0010】(1)及び(2)により,大きな応力が発
生する駆動部と非駆動部との境界に対し集中して加圧部
材より荷重をかけることができるため,圧電的に活性な
部分と不活性な部分との間に生じる歪みや応力の急激な
増加を低減することができる。
【0011】以上,本発明によれば,駆動部と非駆動部
との境界に応力が集中し難く,応力集中による圧電スタ
ックの応力破壊が生じ難い,優れた耐久性と信頼性を備
えた積層型圧電体素子を提供することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】上記第1の発明(請求項1)にお
いて,圧電スタックを構成する圧電層は各種の圧電材料
から構成し,内部電極層も各種の電極材料から構成する
ことができる。一例は後述する実施例1に記載したPZ
T(チタン酸ジルコン酸鉛)(圧電層)とAg・Pd
(内部電極層)である。その他,Ag,Pd,Cu,P
t,Ni,Au及びこれらの合金等からなる電極材料を用
いることができる。
【0013】また,加圧部材と圧電スタックとが駆動部
で当接しないことが好ましいが,非駆動部で当接するこ
とはありえる。この場合も第1の発明と同様の効果を得
ることができる。
【0014】また,加圧部材は境界以外の場所で対向す
る圧電スタックの端面に対してへこんだ状態に構成する
ことができる。例えば後述する実施例1に示すように,
外周から内周に向けてへこむすり鉢状の凹部を加圧部材
に設けて,加圧部材と圧電スタックの端面の外周とが当
接し,内周は圧電スタックと当接しないように構成し,
境界で加圧部材と当接し,投影点で当接しないように構
成することができる。
【0015】また,反対に圧電スタックの両端面にそれ
ぞれすりばち状の凹部を設けて,境界で加圧部材と当接
し,投影点で当接しないように構成することもできる
(図8参照)。また,加圧部材に凸部を設け,この凸部
が圧電スタックの端面における境界で当接するよう構成
することもできる(図9参照)。
【0016】また,1つの圧電スタックとその両端面に
設けた加圧部材から積層型圧電体素子を構成することも
できるが(実施例1など),複数個の圧電スタックを積
層し,それぞれの両端面に加圧部材を設けて積層型圧電
体素子を構成することもできる(後述する図12参
照)。
【0017】また,内部電極層の重心が複数個の場合
は,すべての内部電極層の重心位置にかかる投影点にお
いて加圧部材は圧電スタックの両端面と当接しない(図
3参照)。
【0018】また,上記圧電スタックは,積層方向の一
方の端面から他方の端面に向かって貫通する中空部を備
えることが好ましい(請求項2)。積層型圧電体素子は
駆動することで発熱するが,内部に中空部を設けること
でここから熱を外部に放出することができる。発熱によ
って,積層型圧電体素子の特性変化が発生するおそれが
あり,よって中空部から熱を外部に放出することで,特
性変化を抑制することができる(図11参照)。
【0019】次に,上記圧電スタックの積層方向の両端
面において,上記積層型圧電体素子を駆動する際に,上
記加圧部材と対面する上記圧電スタックの端面がなす傾
斜角θ(ラジアン)は, 0<θ≦{(圧電層1枚の厚さ)×(無荷重における圧
電層1枚あたりの歪み量)×(圧電層の積層枚数/2)
/(非駆動部の長さ)} の範囲内にあることが好ましい(請求項3)。これによ
り,応力発生箇所である駆動部と非駆動部との境界に対
して確実に荷重を与えることができ,圧電的に活性な部
分と不活性な部分との間に生じる歪みや応力の急激な増
加を低減することができる。
【0020】また,上の式の各値について説明すると,
『圧電層1枚の厚さ』は圧電層の平均厚み,『無荷重に
おける圧電層1枚あたりの歪み』は積層型圧電体素子の
駆動時に駆動部に生じる厚さ方向の歪みの平均量であ
る。
【0021】また,境界150上の任意の点P1から引
いた境界150に対する法線が,圧電スタックの外側
(外周)と交わる点をP2とすると,P1とP2との距
離を『非駆動部の長さ』とする。また,『傾斜角』は後
述する図6における寸法B,Cを用いて,0<|θ|≦
|C/B|とする。
【0022】仮に傾斜角θが,上記関係を満たさない場
合は,駆動部と非駆動部との境界に荷重がかからないお
それがあり,応力低減の効果がなくなる,または非常に
小さくなるおそれがある。
【0023】次に,上記圧電スタックの積層方向両端面
とそれぞれ対向する対向面を上記加圧部材は有してな
り,上記積層型圧電体素子を駆動する際に,圧電スタッ
クの変位が最も大となった状態での端面に対応する形状
を上記対向面が有することが好ましい(請求項4)。最
も変形が大となるときに,駆動部と非駆動部との境界で
の応力が最大となる。このときの形状に倣った形に加圧
部材の形状を設定することで,駆動部の圧電層のみに荷
重がかかることが回避され,駆動部と非駆動部との境界
に発生する応力を低減することができる(図7参照)。
【0024】次に,上記圧電スタックの積層方向両端面
と上記加圧部材との間にスペーサを設けることが好まし
い(請求項5)。これにより,応力発生箇所に集中して
荷重がかかるようにすることができ,応力を低減するこ
とができる(図12参照)。
【0025】次に,上記圧電スタックの積層方向両端面
と加圧部材との間に弾性充填材を充填することが好まし
い(請求項6)。また,上記圧電スタックの積層方向両
端面と加圧部材及びスペーサとの間に弾性充填材を充填
することが好ましい(請求項7)(図13参照)。これ
により,圧電スタック,加圧部材,スペーサとの間が固
定され,これらの部材の間での位置ズレが生じ難くな
る。
【0026】次に,上記外部電極と上記加圧部材との間
は電気的に絶縁することが好ましい(請求項8)。これ
により,電気的短絡による積層型圧電体素子の機能停止
を防止することができる。
【0027】
【実施例】以下に,図面を用いて本発明の実施例につい
て説明する。 (実施例1)本例の積層型圧電体素子について,図1〜
図6を用いて説明する。図1に示すごとく,本例の積層
型圧電体素子1は,圧電層13と該圧電層13に対し部
分電極構成とした内部電極層11,12とを交互に積層
した圧電スタック10と,該圧電スタック10の側面1
01,102に露出した内部電極層11,12の端面を
圧電層13の一層おきに電気的に導通するよう構成した
外部電極14とを有し,かつ上記圧電層13における積
層方向両面に内部電極層11,12が接し,上記内部電
極層11,12に対する通電により伸縮する駆動部15
1と,上記圧電層13における積層方向の一方の面にの
み内部電極層11,12が接し,上記内部電極層11,
12に対する通電により伸縮が実質的に生じない非駆動
部152とよりなる。
【0028】図1〜図5に示すごとく,上記圧電スタッ
ク10の積層方向の両端面103,104には,該圧電
スタック10に対し荷重を伝達するよう構成した加圧部
材21,22をそれぞれ設けて,また上記加圧部材2
1,22は,上記駆動部151と上記非駆動部152と
の境界150において圧電スタック10の両端面10
3,104にそれぞれ当接し,かつ上記加圧部材21,
22は,上記圧電スタック10の積層方向と直交する面
における内部電極層11,12の重心位置G1,G2を
上記圧電スタック10の積層方向の両端面103,10
4にそれぞれ投影した投影点G10,G20において圧
電スタック10の両端面103,104とそれぞれ当接
しない。
【0029】以下,詳細に説明する。本例の積層型圧電
体素子1は圧電アクチュエータである。図1〜図5に示
すごとく,本例の積層型圧電体素子1は,圧電スタック
10と該圧電スタック10の上下の端面103,104
に当接して配置した加圧部材21,22とよりなる。圧
電スタック10は,PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)よ
りなる圧電層13とAg・Pdよりなる内部電極層1
1,12とを交互に積層し,また積層方向の両端は圧電
スタック10に対する通電時に伸縮しないダミー層13
1,132を積層する。内部電極層11,12は部分電
極構成であり,内部電極層11,12の端面は圧電スタ
ック10の側面101に,内部電極層12の端面は側面
102に露出する。
【0030】また,上記積層型圧電体素子1は,上記圧
電層13における積層方向両面が内部電極層11,12
により挟持され,上記内部電極層11,12に対する通
電により伸縮する駆動部151と,上記圧電層13にお
ける積層方向の一方の面にのみ内部電極層11,12が
接し,上記内部電極層11,12に対する通電により伸
縮しない非駆動部152とを有する。
【0031】すなわち,図2(a)にかかる図面左側に
電極未形成部110を備えた圧電層13と,図2(b)
にかかる図面右側に電極未形成部120を備えた電極層
13とを交互に積層することで,図1に示すごとく,圧
電スタック10の図面右側にあたる側面101に内部電
極層11の端面が露出し,図面左側にあたる側面102
に内部電極層12の端面が露出する。これらの露出した
端面が各側面101,102に設けた外部電極14によ
って電気的に導通されるのである。
【0032】また,外部電極14には,図1,図5に示
すごとく,導電性接着剤140によりリード線145を
取り付け,このリード線145を外部電源149に接続
する。この外部電源149によって圧電スタック10に
電圧が印加されるのである。
【0033】次に加圧部材21,22は積層型圧電体素
子1に荷重を印加する目的から設けてある部材で,アル
ミナ製である。加圧部材21,22は,図4に示すごと
く,圧電スタック10の端面103,104に積層可能
な略直方体のブロックよりなり,圧電スタック10の端
面103,104との対向面は断面V字の凹部210を
有する。また,圧電スタック10の端面103を上から
見下ろすと図3に示すような状態となる。内部電極層1
1,12の形状から,端面103において両端に非駆動
部152が,非駆動部152の間が駆動部151とな
る。
【0034】そして,非駆動部152と駆動部151と
の境界150(境界150は内部電極層11,12と未
形成部110,120との境界を圧電スタック10の端
面103に投影した位置に相当する)及び非駆動部15
2に対して上記加圧部材21が当接する。すなわち,加
圧部材21の対向面は図4に示すごとく両端が盛り上が
り,真ん中がへこんでおり,盛り上がった両端におい
て,端面103と当接する。また,上記圧電スタック1
0において,各内部電極層11,12の重心位置G1,
G2を端面103に投影した点がG10やG20である
が,この部分で加圧部材21は接していない。なお,端
面104と加圧部材22も同様である。
【0035】次に,上記傾斜角θについて説明する。図
6は圧電スタック10の端面103近傍の駆動前,駆動
中の状態を図示した。図6(a)にかかるAは(圧電層
1枚の厚さ)×(圧電層の積層枚数/2)であり,Bは
(非駆動部の長さ)である。図6(b)にかかるCは
(圧電層1枚の厚さ)×(無荷重における圧電層1枚あ
たりの歪み)×(圧電層の積層枚数/2)である。そし
てθが傾斜角である。
【0036】そして,傾斜角θ(ラジアン)は,0<θ
≦{(圧電層1枚の厚さ)×(無荷重における圧電層1
枚あたりの歪み)×(圧電層の積層枚数/2)/(非駆
動部の長さ)}という条件を満たす値を有する。本例に
かかる積層型圧電体素子1は,圧電層13の厚さ100
μm,内部電極層11,12の厚さ約1μm,圧電層1
3の積層枚数50枚,無荷重における圧電層1枚あたり
の歪量0.1μmで,非駆動部の長さ500μm,傾斜
角θ(ラジアン)は5×107となり,上記条件を満た
す。
【0037】次に,本例の作用効果について説明する。
本例の積層型圧電体素子1は圧電スタック10の積層方
向両端面103,104に加圧部材21,22をそれぞ
れ設けてある。この加圧部材21,22によって,積層
方向で内部に向かう荷重を圧電スタック10に印加する
ことができるが,該加圧部材21,22と圧電スタック
10の両端面103,104に対する接触状態を次のよ
うに限定した。すなわち,(1)圧電スタック10の積
層方向の両端面103,104において加圧部材21,
22は駆動部151と非駆動部152の境界150に当
接する。また,(2)内部電極層11,12の重心位置
G1,G2を圧電スタック10の積層方向両端面10
3,104にそれぞれ投影した投影点G10,G20に
おいて両端面103,104とそれぞれ当接しない
【0038】(1)及び(2)により,大きな応力が発
生する駆動部151と非駆動部152との境界150に
対し集中して加圧部材21,22より荷重をかけること
ができるため,圧電的に活性な部分と不活性な部分との
間に生じる歪みや応力の急激な増加を低減することがで
きる。
【0039】さらに,上記積層型圧電体素子1を駆動す
る際に,上記加圧部材21,22と対面する上記圧電ス
タック10の端面103,104がなす傾斜角θ(ラジ
アン)が上述した関係を満たすため,応力発生箇所であ
る駆動部151と非駆動部152との境界150に対し
て確実に荷重を与えることができ,圧電的に活性な部分
と不活性な部分との間に生じる歪みや応力の急激な増加
を低減することができる。
【0040】以上,本例によれば,駆動部と非駆動部と
の境界に応力が集中し難く,応力集中による圧電スタッ
クの応力破壊が生じ難い,優れた耐久性と信頼性を備え
た積層型圧電体素子を提供することができる。
【0041】(実施例2)本例にかかる積層型圧電体素
子1は,図7に示すごとく,圧電スタック10の両端面
103,104にそれぞれ対面する加圧部材21,22
の対向面219,229の形状が圧電スタック10の駆
動中に両端面103,104がもっとも変形した状態で
の形状に対応する。つまり,本例の積層型圧電体素子1
は,図7には駆動前の状態を記載したが,駆動時には,
圧電スタック10と加圧部材21,22との間にある隙
間が埋まって,変形した圧電スタック10の両端面10
3,104と加圧部材21,22の対向面219,22
9とが全面的に当接する。その他詳細は実施例1と同様
の構成を有する。
【0042】このような形状の加圧部材21,22を用
いることで,最も変形が大となるときに,駆動部151
と非駆動部152との境界での応力が最大となる。この
ときの形状に倣った形に加工部材21,22の形状を設
定することで,駆動部151の圧電層13のみに荷重が
かかることが回避され,駆動部151と非駆動部152
との境界150に発生する応力を低減することができ
る。その他詳細は実施例1と同様の作用効果を有する。
【0043】(実施例3)本例にかかる積層型圧電体素
子1は,図8に示すごとく,圧電スタック10の両端面
103,104に外周から内周に向かってへこむような
すり鉢型の凹部105を有する。また圧電スタック10
の両端面103,104に配設する加圧部材21,22
の,端面103,104への対向面は平面状である。
【0044】よって,上記加圧部材21,22は,上記
駆動部151と上記非駆動部152との境界において圧
電スタック10の両端面103,104に当接し,かつ
上記加圧部材21,22は,内部電極層11,12の重
心位置を両端面103,104にそれぞれ投影した投影
点において当接しない。その他詳細は実施例1と同様の
構成を有する。また,実施例1と同様の作用効果を有す
る。
【0045】(実施例4)本例にかかる積層型圧電体素
子1は,図9,図10に示すごとく,圧電スタック10
の両端面103,104に設ける加圧部材21,22が
足つき形状を有する。すなわち,図9,10に示すごと
く,端面103,104と対向する面に駆動部151と
非駆動部152の境界に沿った形状の凸部210,22
0を設ける。これにより,上記駆動部151と上記非駆
動部152との境界150及びその外側で両端面10
3,104に当接し,かつ上記加圧部材21,22は,
内部電極層11,12の重心位置を両端面103,10
4にそれぞれ投影した投影点において積層方向両端面1
03,104と当接しない。
【0046】図9は凸部210,220を加圧部材2
1,22に別体として設けた,つまり同じ材料からなる
凸部用の部材を貼り付けて構成したものについて記載し
た。図10は凸部210,220を加圧部材21,22
と一体構成したものについて記載した。なお,図10に
かかる加圧部材21,22は,圧電セラミック10の側
面を覆うようなガイド部218,228も備えている。
その他詳細は実施例1と同様の構成を有する。また,本
例にかかる積層型圧電体素子1も実施例1と同様の作用
効果を有する。
【0047】(実施例5)本例の積層型圧電体素子1
は,積層方向に貫通する中空部109を備えた圧電スタ
ック10よりなる。図11(a),(b)に示すごと
く,圧電スタック10の中心に断面が円形の中空部10
9があり,圧電スタック10の両端面103,104に
この中空部109は開口する。また,加圧部材21,2
2の形状は実施例1と同様で,駆動部151と非駆動部
152との境界150に対して当接する状態も実施例1
と同様となる。その他詳細は実施例1と同様の構造を有
する。
【0048】積層型圧電体素子1は駆動することで発熱
するが,内部に中空部109を設けることでここから熱
を外部に放出することができる。発熱によって,積層型
圧電体素子1の特性変化が発生するおそれがあり,よっ
て中空部109から熱を外部に放出することで,特性変
化を抑制することができる。その他詳細は実施例1と同
様の作用効果を有する。
【0049】(実施例6)本例は複数の圧電スタック3
0の間にスペーサ33を挟んで,積層方向のもっとも端
部側にある圧電スタック30の端面303,304につ
いて加圧部材31,32を積層構成した積層型圧電体素
子3である。図12に示すごとく,加圧部材31と32
との間に,圧電スタック30をスペーサ33を介して3
つ積層した。圧電スタック30の外部電極34にはいず
れもリード線345が導電性接着剤340を用いて接着
され,通電により各圧電スタック30が積層方向に伸縮
するように直列に接続されている。各圧電スタック30
の構成は実施例1と同様である。
【0050】また,各圧電スタック30の両端面30
3,304に対する加圧部材31,32の当接状態も,
実施例1と同様に,駆動部151と非駆動部152との
境界150で当接し,内部電極層の重心位置を両端面3
03,304に投影した投影点に当接しないという状態
である。その他詳細は実施例1と同様の構成である。
【0051】本例にかかるような複数の圧電スタック3
0をスペーサーを介在して積層した積層型圧電体素子3
は,応力発生箇所に集中して荷重がかかるようにするこ
とができ,より応力を低減することができる。
【0052】なお,図13に示すごとく,圧電スタック
30と加圧部材31,32,圧電スタック30とスペー
サ33との間を樹脂製の弾性充填材36で埋めることも
できる。これにより,圧電スタック30,加圧部材3
1,32,スペーサ33との間が固定され,これらの部
材の間を確実に同軸上(それぞれの中心軸が一致するよ
うに配列する)に配置して,互いの位置ズレが生じ難く
なる。
【0053】(比較例)本例の積層型圧電体素子8は,
本例と同様に圧電層13と内部電極層11,12とを交
互に積層した圧電スタック10よりなる。ただし,圧電
スタック10の両端面103,104と対面する加圧部
材81,82の対向面が平らである。そのため,駆動時
には図14に示すごとく,両端面103,104が膨ら
んで,駆動前は加圧部材81,82の対向面と全面で接
触していた状態が,部分的な接触接触となってしまう。
また,駆動部151と非駆動部152との間で大きな応
力が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,積層型圧電体素子の説明
図。
【図2】実施例1における,内部電極層を設けた圧電層
の説明図。
【図3】実施例1における,圧電スタックの端面を示す
平面図。
【図4】実施例1における,加圧部材の斜視図。
【図5】図1にかかる積層型圧電体素子の駆動時の説明
図。
【図6】実施例1における,傾斜角θの説明図。
【図7】実施例2における,駆動時における圧電スタッ
ク端面の変形に沿った形状の対向面を有する加圧部材を
有する積層型圧電体素子の説明図。
【図8】実施例3における,圧電スタックの端面に凹部
を設けた積層型圧電体素子の説明図。
【図9】実施例4における,加圧部材の圧電スタックの
端面との対向面に別体の凸部を設けた積層型圧電体素子
の説明図。
【図10】実施例4における,加圧部材の圧電スタック
の端面との対向面に一体の凸部を設けた積層型圧電体素
子の説明図。
【図11】実施例5における,内部に中空部を備えた圧
電スタックよりなる積層型圧電体素子の説明図。
【図12】実施例6における,複数の圧電スタックを積
層した積層型圧電体素子の説明図。
【図13】実施例6における,複数の圧電スタックを積
層し,スペーサと圧電スタックの間,加圧部材と圧電ス
タックの間に弾性充填材を充填した積層型圧電体素子の
説明図。
【図14】比較例にかかる,加圧部材の圧電スタックと
対面する面が平面の積層型圧電体素子の説明図。
【図15】従来例にかかる,積層型圧電体素子の説明
図。
【図16】従来例にかかる,内部電極層を設けた圧電層
の説明図。
【符号の説明】
1...積層型圧電体素子, 10...圧電スタック, 103,104...端面, 11,12...内部電極層, 13...圧電層, 14...外部電極, 150...境界, 151...駆動部, 152...非駆動部, 21,22...加圧部材,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小林 正幸 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 山本 孝史 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電層と該圧電層に対し部分電極構成と
    した内部電極層とを交互に積層した圧電スタックと,該
    圧電スタックの側面に露出した内部電極層の端面を圧電
    層一層おきに電気的に導通するよう構成した外部電極と
    を有し,かつ上記圧電層における積層方向両面に内部電
    極層が接し,上記内部電極層に対する通電により伸縮す
    る駆動部と,上記圧電層における積層方向の一方の面に
    のみ内部電極層が接し,上記内部電極層に対する通電に
    より伸縮が実質的に生じない非駆動部とよりなる積層型
    圧電体素子であって,上記圧電スタックの積層方向の両
    端面には,該圧電スタックに対し荷重を伝達するよう構
    成した加圧部材をそれぞれ設けてなり,また上記加圧部
    材は,上記駆動部と上記非駆動部との境界において圧電
    スタックの両端面にそれぞれ当接し,かつ上記加圧部材
    は,上記圧電スタックの積層方向と直交する面における
    内部電極層の重心位置を上記圧電スタックの積層方向の
    両端面にそれぞれ投影した投影点において圧電スタック
    の両端面とそれぞれ当接しないことを特徴とする積層型
    圧電体素子。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記圧電スタック
    は,積層方向の一方の端面から他方の端面に向かって貫
    通する中空部を備えることを特徴とする積層型圧電体素
    子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において,上記圧電ス
    タックの積層方向の両端面において,上記積層型圧電体
    素子を駆動する際に,上記加圧部材と対面する上記圧電
    スタックの端面がなす傾斜角θ(ラジアン)は, 0<θ≦{(圧電層1枚の厚さ)×(無荷重における圧
    電層1枚あたりの歪み量)×(圧電層の積層枚数/2)
    /(非駆動部の長さ)} の範囲内にあることを特徴とする積層型圧電体素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,
    上記圧電スタックの積層方向両端面とそれぞれ対向する
    対向面を上記加圧部材は有してなり,上記積層型圧電体
    素子を駆動する際に,圧電スタックの変位が最も大とな
    った状態での端面に対応する形状を上記対向面が有する
    ことを特徴とする積層型圧電体素子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項において,
    上記圧電スタックの積層方向両端面と上記加圧部材との
    間にスペーサを設けることを特徴とする積層型圧電体素
    子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項において,
    上記圧電スタックの積層方向両端面と上記加圧部材との
    間に弾性充填材を充填することを特徴とする積層型圧電
    体素子。
  7. 【請求項7】 請求項5において,上記圧電スタックの
    積層方向両端面と加圧部材及びスペーサとの間に弾性充
    填材を充填することを特徴とする積層型圧電体素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項において,
    上記外部電極と上記加圧部材との間は電気的に絶縁する
    ことを特徴とする積層型圧電体素子。
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