JP2003322470A - 電気炉の炉壁構造 - Google Patents

電気炉の炉壁構造

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JP2003322470A
JP2003322470A JP2002124201A JP2002124201A JP2003322470A JP 2003322470 A JP2003322470 A JP 2003322470A JP 2002124201 A JP2002124201 A JP 2002124201A JP 2002124201 A JP2002124201 A JP 2002124201A JP 2003322470 A JP2003322470 A JP 2003322470A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炉蓋の密閉性を損なうことなく、且つヒート
クラックの発生やバーンアウトの発生を防止した電気炉
の炉壁構造を提供する。 【解決手段】 炉底2及び炉壁3で構成される電気炉本
体4に炉蓋5を備えてなる電気炉1において、前記炉壁
3の上方部を耐火物9に代えて鉄製水冷パネル7と特に
熱負荷の掛かる部位には炉壁内周面の曲率よりも大きい
曲率を有する銅製水冷パネル8を取付けてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気炉の炉壁構造
に関し、詳細には炉壁の上方部の耐火物に代えて金属製
水冷パネルを用いた電気炉の炉壁構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に電気炉は高電流、高電力での操業
と併せて、溶鋼を扱うことから、炉壁の保全が非常に重
要である。従来は耐火物煉瓦が使用されていたが、近年
は特開昭51−97506号公報等に提案されているよ
うに、また特開平8−327249号公報の従来技術の
項で説明されているように、水冷パネルが用いられつつ
ある。
【0003】上記水冷パネルを用いる優れた点は、耐火
物に比べて(1)水冷パネルと隣り合う耐火物の長寿命
化、(2)耐火物原単位の低減、(3)修理に要する休
止時間の低減、などが挙げられる。また、水冷パネルの
材質としては、特公昭58−7908号公報に述べられ
ているように、高熱伝導性であることから銅が一般的で
ある。更に、近年ではこの水冷パネルを耐火煉瓦のよう
な分割式に形成することで、分割交換が可能となり、ま
た更に、表面に耐火物を吹き付けて使用することで、損
傷が発生しても、その部分に新たに耐火物を吹き付ける
ことで、連続安定操業を可能にしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水冷パ
ネルを銅製にすると、非常に高価となり投資効果の観点
からみてあまり現実的ではなく、また大型の電気炉にな
ると、炉体が非常に重くなるため、十分な厚さを持たす
ことができず、また銅は強度が必ずしも高いというわけ
ではないため、溶解原料などとの衝突による変形、ある
いは天蓋(炉蓋)近傍に使用すると、炉蓋の開閉時に銅
が変形し、炉蓋が完全に閉まらず炉内の保温性が低下す
るなどの問題が生じる。
【0005】また一方で、安価で強度のある鉄やステン
レス製の水冷パネルにすると、変形に対する問題は解消
されるが、ヒートクラックの発生や局部的なアークフレ
イヤーの集中、溶鋼の付着によるバーンアウトといった
現象が起こる可能性があるため、寿命の低下が問題にな
る。
【0006】本発明は、上記の問題点を解消するために
なしたものであって、その目的は、炉蓋の密閉性を損な
うことなく、且つヒートクラックの発生やバーンアウト
の発生を防止した電気炉の炉壁構造を提供するものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成するために鋭意検討、研究を行った結果、炉壁
の熱負荷の比較的小さな部分、具体的には炉蓋との合わ
せ目周辺部には鉄製水冷パネルを使用し、熱負荷の大き
い電極付近には銅製の水冷パネルを使用することで、上
述の問題を同時に解決し得ることを見出した。しかし、
鉄製水冷パネルと銅製水冷パネルでは、熱膨張率及び熱
伝導性が異なるため、両者を隣り合わせに施工すると脱
落のおそれがある。そこで、本発明者等は、銅製水冷パ
ネルの曲率を鉄製水冷パネルや炉壁内周面の曲率より大
きく形成して設置することで、熱による膨張時の変形を
炉壁外側へ逃がすことができること、また同時に銅と鉄
との密着性を損なうことなく、更に脱落や隙間への溶鋼
の差込みといった水冷パネルに起こりがちな問題を解決
し、熱負荷の大きな部分に冷却効率の良い銅製水冷パネ
ルと鉄製水冷パネルを使用することが可能なることを見
出し、本発明の鉄製及び銅製を組合せた水冷パネルの炉
壁構造に到達した。
【0008】すなわち、本発明(請求項1)に係る電気
炉の炉壁構造は、炉底及び炉壁で構成される電気炉本体
に炉蓋を備えてなる電気炉において、前記炉壁の上方部
を耐火物に代えて鉄製水冷パネルと特に熱負荷の掛かる
部位には炉壁内周面の曲率よりも大きい曲率を有する銅
製水冷パネルを取付けたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、本発明に係る電気炉の炉壁
構造の展開図、図2は、図1のX−X断面図である。な
お、展開図においては炉底と炉蓋を省略し炉壁のみその
内周面を展開して示す。
【0010】電気炉1は、炉底2及び炉壁3で構成され
る電気炉本体4に炉蓋5を備えるとともに、炉内中央に
は電極6(本例では3本)が設けられて構成されてい
る。そして、炉蓋5の下の炉壁3の上部の内周には、鉄
製水冷パネル7が設けられるとともに、特に本例で熱負
荷の大きい2番電極6付近に鉄製水冷パネル7に隣り合
わせに、詳細を後記する銅製水冷パネル8が設けられて
いる。なお、図において、9は炉壁耐火物である。ま
た、10はスラグライン(破線で示す)で、このスラグ
ライン10上に作業孔11、出鋼孔12がそれぞれ設け
られている。
【0011】銅製水冷パネル8は、図3に示すように、
周方向中央部の前後面13,14が大きく湾曲してお
り、その曲率は鉄製水冷パネル7や炉壁3の外壁(鉄
皮)15の曲率よりも大きく形成されている。そして、
本例の形態は、鉄製水冷パネル7の下部の一部凹形状に
形成された凹部16内に嵌め込まれるようにして設けら
れている。また、図示省略するが、銅製水冷パネル8及
び鉄製水冷パネル7は、いずれも背面の周方向の端部に
冷却水の給水管と排水管、及び外壁15への取付けボル
トが設けられ、前者の給排水管を外壁15に貫通させる
とともに、取付けボルトを外壁15にナットにより固定
して設けられている。
【0012】上記の電気炉1においては、鉄製水冷パネ
ル7を炉蓋5の下の炉壁3の上部の内周に沿わせて設け
ているので、溶解原料などとの衝突による変形に耐え、
炉蓋5を閉めた際に密閉性が確保でき炉内の保温性が得
られる。しかも、銅製水冷パネル8を、特に熱負荷の大
きい2番電極6付近の鉄製水冷パネル7及び炉壁耐火物
9の間に設けているので、操業中に当該2番電極6付近
に大きな熱負荷が掛かっても、その熱は、銅製水冷パネ
ル8の水冷により抜熱されて外部に放熱でき、熱負荷が
軽減される。また一方、銅製水冷パネル8が熱により膨
張する変形は、図3bに二点鎖線で示すように中央部が
後方に膨出して吸収されるので、変形力が起因しての銅
製水冷パネル8の脱落を防止することができる。また、
熱負荷の大きい2番電極6付近に前記のような特性を有
する構造で銅製水冷パネル8を用いているので、ヒート
クラックの発生が無くなると同時に、バーンアウトの発
生が防止できる。
【0013】因みに、今までの操業履歴から(A):図
1に示す水冷パネルの使用構造で、銅製水冷パネル8の
部分も鉄製水冷パネル7で構成した場合(従来例)、
(B):図1に示す水冷パネルの使用構造で、銅製水冷
パネル8の部分の銅製水冷パネル8を鉄製水冷パネル7
と同様の構造に形成して構成した場合(比較例)、
(C):上記図1に示す本発明の構成とした場合(本発
明例)における炉壁耐火物9の寿命を調査した結果、図
4に示す結果が得られた。すなわち、(A)の構成にお
ける炉壁耐火物9の寿命を1とした場合に(B)の構成
では2倍に、更に(C)の本発明の構成では2.5倍に
向上することが分かる。なお、この例における炉壁3の
曲率は曲率半径で2900〜3500mmである。ま
た、銅製水冷パネル8は、寸法が横650mm×縦30
0mm×奥行き150mmで、その曲率は曲率半径で1
500〜1550mmである。
【0014】なお、上記の例では、銅製水冷パネル8
を、3本の電極の内の、特に熱負荷の大きい2番電極6
付近に鉄製水冷パネル7に隣り合わせて設けた例を説明
したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、電
極近傍は一般に熱負荷が高くなることから、図1に二点
鎖線で示すように、他の1番電極6、3番電極6のいず
れか一方、又は両方に設けるようにしてもよい。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る電気
炉の炉壁構造によれば、電気炉の炉壁の熱負荷の大きい
部分に銅製の水冷パネルを使用しているので、当該部分
に大きな熱負荷が掛かっても、その熱は、銅製水冷パネ
ルの水冷により軽減されると同時に、その熱により膨張
して変形力が生じても、曲率の大きな中央部が後方に膨
出して吸収するので、変形力が起因しての銅製水冷パネ
ルや鉄製水冷パネルの脱落が防止できる。また、ヒート
クラックの発生が無くなると同時に、バーンアウトの発
生が防止でき、安定した操業を実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気炉の炉壁構造の展開図であ
る。
【図2】図1のX−X断面図である。
【図3】本発明に係る銅製水冷パネルの説明図であっ
て、aは炉内側から見た正面図、bはaのY−Y断面図
である。
【図4】(A):図1に示す水冷パネルの使用構造で、
銅製水冷パネルの部分も鉄製水冷パネルで構成した場合
(従来例)、(B):図1に示す水冷パネルの使用構造
で、銅製水冷パネルの部分の銅製水冷パネルを鉄製水冷
パネルと同様の構造に形成して構成した場合(比較
例)、(C):図1に示す本発明の構成とした場合(本
発明例)における炉壁耐火物の寿命を比較して示すグラ
フ図である。
【符号の説明】
1:電気炉 2:炉底
3:炉壁 4:電気炉本体 5:炉蓋
6:電極 7:鉄製水冷パネル 8:銅製水冷パネル
9:炉壁耐火物 10:スラグライン 11:作業孔 1
2:出鋼孔 13、14:前後面 15:外壁(鉄皮) 1
6:凹部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉底及び炉壁で構成される電気炉本体に
    炉蓋を備えてなる電気炉において、前記炉壁の上方部を
    耐火物に代えて鉄製水冷パネルと特に熱負荷の掛かる部
    位には炉壁内周面の曲率よりも大きい曲率を有する銅製
    水冷パネルを取付けてなることを特徴とする電気炉の炉
    壁構造。
  2. 【請求項2】 銅製水冷パネルが、特に熱負荷の掛かる
    部位として電極近傍に取付けてなる請求項1に記載の電
    気炉の炉壁構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108680005A (zh) * 2018-07-05 2018-10-19 中冶京诚工程技术有限公司 一种电炉

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