JP2003321717A - 高品位ロジウム粉の回収方法 - Google Patents

高品位ロジウム粉の回収方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 白金族元素を含有する難溶性残渣からロジウ
ムを回収する際に、還元焙焼に用いた鉄を簡単に除去で
き、酸素やナトリウム等の不純物の含有量が低い高純度
のロジウム粉を回収する方法を提供する。 【解決手段】 難溶性残渣の還元焙焼物の溶解液から、
大部分の鉄をジブチルカルビトールで抽出する。ロジウ
ム精製工程で得られたロジウムブラックは、不活性ガス
雰囲気中600〜800℃で第1段の加熱焙焼を行い、
湿式粉砕によりナトリウム及び塩素などの不純物を洗浄
除去した後、900〜1100℃で第2段の加熱焙焼を
行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニッケル・銅原料
中の貴金属元素を回収する工程において発生する王水に
も不溶の難溶性残渣から、白金族元素精製工程における
微粉のロジウムブラックを経て、高純度のロジウム粉を
回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】白金族元素は空気中で酸化され難く、酸
化された状態になったとしても還元されやすいという特
徴があるため、古くは宝飾品類として取扱われてきた。
また、近年では単体以外の用途が拡大され、触媒や電極
などの化学工業に欠くことのできない存在となってきて
いる。
【0003】白金族元素のなかでロジウム(Rh)は、
装飾品メッキの用途以外にも、熱電対(R系)や電気接
点、自動車排ガス触媒(三元触媒)等として広く使用さ
れている。また、これらの用途におけるロジウムには、
ますます高純度の品質が要求されている。
【0004】従来、ニッケル・銅原料からの貴金属元素
回収工程で発生する難溶性残渣中のロジウムを回収する
には、白金族元素を高濃度で含有する難溶性残渣を鉄粉
と共に還元焙焼して可溶性とし、還元焙焼物から硫酸で
鉄を浸出した後、その浸出残渣を塩酸と過酸化水素水で
溶解し、得られた溶解液をロジウム精製工程に供給して
処理していた。
【0005】ロジウム精製工程では、上記溶解液から不
純物を分離した後、化学的手段又は電気的手段により還
元してロジウムブラックを得、これを真空乾燥すること
で製品としていた。真空乾燥する方法としては、真空乾
燥機にて1週間から2週間程度乾燥する方法や、ロジウ
ムブラックを乾燥後に水素気流中にて還元焙焼する方法
等が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のロジウ
ム回収方法においては、難溶性残渣を鉄粉と還元焙焼し
た後、鉄を硫酸で浸出除去するが、それでも多くの鉄が
還元焙焼物中に残っている。そのため、還元焙焼物を塩
酸と過酸化水素水で溶解した溶解液は、各種の面倒な化
学的処理により更に鉄を除去しなければ、ロジウム精製
工程にて処理することが困難であった。
【0007】また、従来のロジウム精製工程から産出し
たロジウムブラックは、真空乾燥することにより製品ロ
ジウムとされるが、酸素やナトリウムの品位が高く、ま
た粒子の大きさが非常に小さいため、酸化されやすいと
いう問題があった。
【0008】一方、ロジウムブラックを乾燥後、水素気
流中にて還元焙焼する方法は、乾燥時にロジウムが酸化
することや、水素を取扱うため水素爆発の危険性がある
という問題があった。また、得られる還元焙焼物が融着
して固まるため製品化が困難である、またロジウムブラ
ックに付着していたナトリウム分が高温脱ガス時に石英
の反応管を侵食するという問題があった。
【0009】本発明は、このような従来の問題点に鑑
み、白金族元素を高濃度で含有する難溶性残渣からロジ
ウムを回収するにあたり、還元焙焼に用いた鉄を簡単に
効率良く除去することができ、また、酸素等のガス成分
やナトリウム等の不純物の含有量を低く抑え、酸化され
難い程度の粒度で高純度のロジウム粉を、簡単な操作で
且つ工業的実施に有利な方法で回収することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本願請求項1の発明は、白金族元素を含有する難溶
性残渣を鉄と共に焙焼還元し、硫酸で鉄を浸出した後、
浸出残渣を塩酸と過酸化水素水で溶解した溶解液をロジ
ウム精製工程に供給し、得られたロジウムブラックから
ロジウム粉を回収する方法において、前記溶解液中の大
部分の鉄をジブチルカルビトールで抽出し、その抽出残
液をロジウム精製工程に供給することを特徴とする高品
位ロジウム粉の回収方法を提供する。
【0011】本願請求項2の発明は、白金族元素を含有
する難溶性残渣を鉄と共に焙焼還元し、硫酸で鉄を浸出
した後、浸出残渣を塩酸と過酸化水素水で溶解した溶解
液をロジウム精製工程に供給し、得られたロジウムブラ
ックからロジウム粉を回収する方法において、前記ロジ
ウムブラックを不活性ガス雰囲気中で第1段の加熱焙焼
を行い、湿式粉砕した後、第1段の加熱焙焼よりも高温
で更に第2段の加熱焙焼を行うことを特徴とする高品位
ロジウム粉の回収方法を提供する。
【0012】上記本願請求項2の発明においては、前記
第1段の加熱焙温度は600〜800℃、及び第2段の
加熱焙焼温度は900〜1100℃であることが好まし
い。また、前記第1段の加熱焙焼と第2段の加熱焙焼の
間で、焙焼物を湿式粉砕し、ナトリウム及び塩素などの
不純物を洗浄除去することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】白金族元素を高濃度に含有する難
溶性残渣からロジウムを回収するには、まず鉄粉と混合
して還元焙焼することにより可溶性の鉄合金とし、塩酸
と過酸化水素水に溶解させる。この溶解液中にはロジウ
ムと合金化していた鉄が多量に溶解しているため、その
ままではロジウム精製工程で処理することは出来ない。
【0014】本発明方法では、この溶解液中の鉄をジブ
チルカルビトール(DBC)で抽出することにより、大
部分の鉄を分離除去することが可能である。DBCでの
抽出条件としては、塩酸濃度4〜6N、酸化還元電位8
00〜900mV以上であることが、鉄の抽出率が高く
望ましい。また、DBCは金も抽出するため、同時に除
去することが出来る。この前処理を行うことにより、ロ
ジウム精製工程にて処理可能な組成の液を簡単に得るこ
とが出来る。
【0015】また、本発明方法においては、ロジウム精
製工程で得られたロジウムブラックを、湿潤な状態で又
は真空乾燥した後アルミナボートに詰め、窒素やアルゴ
ン等の不活性ガス雰囲気中で第1段の加熱焙焼を行い、
次に第1段の加熱焙焼よりも高温で更に第2段の加熱焙
焼を行う。このとき、第1段の加熱焙焼と第2段の加熱
焙焼の間で焙焼物を湿式粉砕し、付着していたナトリウ
ム及び塩素などの不純物を洗浄除去することが好まし
い。
【0016】第1段の加熱焙焼では焙焼温度を600〜
800℃とし、ロジウムの微粒子を凝集させ粒成長させ
る。焙焼温度が600℃未満では粒成長が起こらず活性
なロジウム微粉となり、酸化されやすいためハンドリン
グに問題が生じる。また、焙焼温度が800℃を超える
と過剰な粒成長が起こると共に、ナトリウム分の揮発が
始まり、焙焼時に使用している石英の反応管を侵食する
恐れがある。この焙焼後は、長時間かけて徐冷すること
で再酸化を防止することが好ましい。これらの操作によ
り、従来の問題点であった真空乾燥前後での空気酸化を
抑制することが可能である。
【0017】上記第1段の焙焼後、湿式にて粉砕するこ
とで、凝集や焼結により粒径がある程度大きくなったも
のを解砕すると共に、付着していたナトリウム及び塩素
などの不純物を洗浄除去する。この湿式粉砕による洗浄
操作は何回も繰り返すほど効果が高く、通常は3回程度
が好ましい。尚、ナトリウム及び塩素などの不純物を除
去するには、第1段の焙焼前に洗浄しても粒径が細かく
凝集したロジウム粒子内部に取り込まれているため十分
除去できず、後の第2段の焙焼後に湿式粉砕して除去す
ると、更に乾燥工程を加える必要があるため好ましくな
い。
【0018】湿式粉砕により得られた粉砕物は、第2段
の加熱焙焼を行うことにより、脱ガスと乾燥を行う。こ
の際の焙焼温度は900〜1100℃が好ましい。90
0℃未満の温度では脱ガスが不十分であり、また110
0℃を超えると焼結を起こすため後の取り扱いが困難と
なる。焙焼後は、長時間かけて徐冷することで再酸化を
防止することが好ましい。尚、第2段の加熱焙焼におけ
る雰囲気は、特に限定されるものではないが、窒素やア
ルゴン等の不活性ガスが好ましい。
【0019】上記第1段及び第2段の焙焼温度を決定す
るにあたっては、ロジウムの酸化反応が重要である。即
ち、ロジウムの酸化反応は下記化学式1であり、逆に酸
素の解離反応は下記化学式2又は3であると考えられ
る。
【0020】
【化1】Rh+O→RhO
【0021】
【化2】RhO→RhO+1/2O
【0022】
【化3】RhO→Rh+1/2O
【0023】ロジウム精製工程より得たロジウムブラッ
クは、相当量の気体を含んでおり、その表面は必ず酸化
されている。ロジウムブラックを真空中又は酸素中で加
熱していくと更に酸化が進み、ある一定温度で急な重量
増加を伴う酸化ロジウムの生成が起こる。
【0024】また、文献「白金族と工業的利用」(産業
図書株式会社刊)によれば、「ロジウム塩を水素気流中
で加熱還元して得たロジウムは、水素を吸収しているか
ら、空気中に出せば空気中の酸素と吸収された水素とは
触媒ロジウムの助けによって化合し、水分をロジウムの
粒子面に凝縮生成している。もし水素で還元した後、空
気のないところに置けば水分は生じない。つまり酸化し
ないといえる。」とある。
【0025】本発明のロジウムブラックからロジウム粉
を回収する工程は、このようなロジウムの酸化及び分解
の挙動に基づいて、酸化ロジウムが600〜1100℃
まで加熱されると酸素を解離し、これを不活性ガス雰囲
気中で徐冷すると再酸化が起こらない反応を利用して、
2段階に温度を変えて加熱焙焼することによって、粒成
長を促進すると共に、酸素及び塩素を分離するものであ
る。
【0026】即ち、ロジウムブラックを不活性ガス雰囲
気中にて600〜800℃で2時間程度焙焼し、徐冷の
後、好ましくは、得られた焙焼物を湿式粉砕して解砕す
ると共に、ロジウムブラックに付着して持ち込まれたナ
トリウム等を除去する。湿式粉砕したものは900〜1
000℃にて再度焙焼することにより、更に脱ガスを行
い、酸素品位の低いロジウム粉を得ることができる。
【0027】
【実施例】実施例1 難溶性残渣の溶解液から、共存する鉄を抽出により除去
する基礎試験を実施した。原料としては、下記表1に示
す組成の難溶性残渣を使用した。
【0028】
【表1】
【0029】この難溶性残渣50gと鉄粉150gをナ
イロン袋に入れてシール封印し、良く混合した後、混合
粉を黒鉛ルツボに装入した。この黒鉛ルツボを小型の電
気炉にて1000℃まで加熱し、昇温後2時間保持した
後、放冷した。
【0030】取り出した還元焙焼物をステンレスの乳鉢
にて細かく粉砕し、1.5リットルの純水に薄硫酸(7
9%)を0.25リットル加えた溶液に加え、余分な鉄
分を溶解させた。鉄溶解液(液量2リットル)の分析結
果を下記表2に示す。添加した150gの鉄粉の約6割
を除去でき、ロジウムのロスは殆どなかった。
【0031】
【表2】
【0032】続いて、鉄溶解後の溶解残渣をビーカーに
装入し、これに濃塩酸1リットルを添加し、70℃まで
昇温した後、過酸化水素水0.3リットルを徐々に添加
した。このとき液温は100℃近くまで上昇した。過酸
化水素水の添加後は冷却し、溶解残渣を濾過した。
【0033】得られた溶解残渣は2gであった。得られ
た溶解液(液量1.6リットル)の組成を下記表3に示
す。ロジウム浸出率は約99%であり、Ir及びRu等
の浸出率も95%を越えるという良好な結果を得た。
【0034】
【表3】
【0035】硫酸による鉄溶解で取り切れなかった鉄は
ロジウム等と合金化しているものと考えられ、上記溶解
液中の鉄濃度は非常に高い。これを更に除去するため
に、溶媒抽出を実施した。
【0036】即ち、溶解残渣を濾過した溶解液に、濃塩
酸を0.5リットル添加することで塩酸濃度を6Nとし
た後、再度昇温し、過酸化水素を添加することで酸化処
理を実施した。このときの酸化還元電位は約900mV
となった。
【0037】次に、酸化処理後の溶解液を50ml採取
し、150mlのDBCと混合し、撹拌することで鉄を
抽出分離した。この操作を3回繰り返した後、得られた
抽残液(48ml)の分析結果を下記表4に示す。鉄及
び金ともに十分抽出できており、ロジウム等のロスは比
較的少なく、良好な結果であった。
【0038】
【表4】
【0039】実施例2 難溶性残渣から高濃度の白金族溶解液を得る実施例1の
スケールアップ試験を行った。下記表5に示す組成の難
溶性残渣2.5kgと、鉄粉7.5kgをロッドミルにて
混合し、混合粉を黒鉛ルツボに入れて蓋をし、電気炉に
て1000℃まで加熱した。昇温後3時間保持し、その
後15時間程度放冷した。この還元焙焼を3バッチ行
い、合計30kgの焙焼物を確保し、これを全量粉砕機
にて粉砕した。
【0040】
【表5】
【0041】次に、脱鉄するために希硫酸にて溶解し
た。即ち、溶解槽に水120リットルと薄硫酸(70
%)40リットルを張り、得られた粉砕物を徐々に添加
した。こうして粉砕物30kgを装入した後、2時間撹
拌した。鉄溶解液(液量300リットル)の分析結果を
下記表6に示す。添加した鉄22.5kgの約60%
(13.7kg)を除去できた。尚、鉄溶解後の溶解残
渣は容易に空気酸化するため、濾過後は直ちに槽内に戻
し、湿潤な状態を保った。
【0042】
【表6】
【0043】槽内に脱鉄後の溶解残渣を装入した後、濃
塩酸150リットルを添加し、撹拌しながら70℃まで
昇温した後、過酸化水素水30リットルを徐々に添加し
た。このとき液温は100℃近くまで上昇した。過酸化
水素水の添加後は冷却し、溶解残渣を濾過した。得られ
た溶解液(液量150リットル)の分析結果を下記表7
に示す。ロジウム浸出率は約96%であり、Irは87
%及びRuは83%の浸出率であり、実施例1と同様の
良好な結果が得られた。
【0044】
【表7】
【0045】表7に示す組成の溶解液には、前工程で脱
鉄したものの約60g/リットルの鉄を含んでいる。こ
の鉄を除去し、ロジウム精製工程にて処理可能とするた
めに溶媒抽出による脱鉄を実施した。溶媒はDBCを使
用し、ミキサセトラにて処理を実施した。得られた鉄抽
出後の抽残液(320リットル)の分析結果を下記表8
に示す。溶解液中の鉄は、60g/リットルから0.0
3g/リットルまで除去することができた。
【0046】
【表8】
【0047】実施例3 真空乾燥したロジウムブラック各10gを、アルゴン気
流中にて、600℃、700℃、800℃、900℃ま
でそれぞれ昇温し、1時間保持した後、徐冷した。得ら
れた各焙焼物について、酸素、ナトリウム、塩素の分析
結果、並びに灼熱減量、比表面積の測定結果を下記表9
に示す。また、真空乾燥品についても併せて結果を示
す。
【0048】
【表9】
【0049】上記焙焼によりナトリウムと塩素について
は若干減少し、特に酸素が大幅に減少した。酸素品位
は、焙焼前の真空乾燥品では1.90%と高いが、焙焼
温度に反比例するように減少し、焙焼物では0.04〜
0.65%の間であった。これは、焙焼温度が高いほど
ロジウムからの酸素の解離反応が進み、また高温ほど粒
成長が進むことで酸化が防止されるためである。しか
し、900℃で焙焼したものは過剰に粒成長し、硬く焼
結してしまったため、酸素品位は低いものの製品とする
ことは困難であった。
【0050】また、比較のために、同じロジウムブラッ
ク10gを大気中にて900℃で焙焼したところ、焙焼
物の酸素品位は12.0%と非常に高く、且つ硬く焼結
してしまったため、比表面積などの測定は不可能であっ
た。
【0051】実施例4 ロジウムブラックの焙焼物について、湿式にて粉砕を実
施し、洗浄によるナトリウムの除去率を求めた。即ち、
ロジウムブラック10gをアルゴン雰囲気中にて600
℃及び800℃で焙焼した後、その粉砕物についてナト
リウムを分析し、粉砕前の焙焼物のナトリウム濃度と共
に下記表10に示す。
【0052】
【表10】
【0053】湿式粉砕によるナトリウムの除去は、焙焼
温度により若干差があり、600℃よりも800℃で焙
焼した焙焼物の方が高いナトリウム除去率が得られた。
【0054】実施例5 ロジウムブラックを900℃以上で焙焼すると硬く固ま
ってしまうため、二段階に温度を変化させて焙焼を行っ
た。焙焼時の雰囲気は窒素、炭酸ガス、アルゴンガス、
大気と窒素の混合気の4種類について実施した。これら
の2段階焙焼により得られた焙焼物の酸素品位を下記表
11に示す。
【0055】
【表11】
【0056】この結果から分るように、窒素あるいはア
ルゴン雰囲気において、第1段の焙焼温度を800℃と
し、第2段の焙焼温度を1000℃としたとき、凝集が
少なく比較的小さい粒径を維持しながら、酸素品位も低
い良好な焙焼物が得られた。
【0057】次に、ロジウムブラックを、アルゴンガス
雰囲気中で焙焼する際に、800℃と1000℃で2段
階焙焼した(湿式粉砕無し)試料1と、800℃と10
00℃で2段階焙焼し、その間に湿式粉砕を行った試料
2について、それぞれ酸素品位を求めた。また、比較例
として、同じロジウムブラックを真空乾燥した試料3に
ついても、同様に酸素品位を求め、これらの結果を下記
表12に示す。
【0058】
【表12】
【0059】表12の結果から、真空乾燥品の試料3
は、乾燥後の取り出し時に空気中で酸化されるため、酸
素量が非常に高くなっている。これに対し、アルゴン気
流中で焙焼した試料1及び2は、いずれも100ppm
と低い酸素品位を示した。
【0060】また、2段階焙焼で湿式粉砕無しの試料1
のケイ素品位が高いのは、ロジウムブラックに付着した
ナトリウムが1000℃焙焼時に揮発することにより、
石英の反応管が侵食され、ケイ酸ソーダが製品に混入し
たものである。このため、ナトリウム品位については真
空乾燥品よりも低下している。
【0061】2段階焙焼で間に湿式粉砕した試料2で
は、湿式粉砕の効果によりナトリウムが低減できてお
り、このためケイ素の混入も低く抑えられている。湿式
粉砕は同時に塩素の低減についても効果が見られた。最
終的な純度は、試料2の2段階焙焼品(800℃+10
00℃、湿式粉砕有り)が99.95%以上と最も高
く、次いで試料1の2段階焙焼品(800℃+1000
℃、湿式粉砕無し)、試料3の真空乾燥品の順であっ
た。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、白金族元素を含有する
難溶性残渣からロジウムを回収するにあたり、還元焙焼
に用いた鉄を溶媒抽出により簡単に効率良く除去して、
ロジウム精製工程に供給可能な溶解液を得ることができ
る。また、ロジウム精製工程で得られたロジウムブラッ
クから、簡単な操作で且つ工業的実施に有利な方法によ
って、酸素等のガス成分やナトリウム等の不純物の含有
量が低く、酸化され難い程度の粒度で高純度のロジウム
粉を効率良く回収することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B09B 3/00 304J (72)発明者 橋川 隆至 愛媛県新居浜市西原町3−5−3 住友金 属鉱山株式会社別子事業所内 Fターム(参考) 4D004 AA50 AB03 BA05 CA04 CA22 CA32 CA34 CA36 CA40 CA41 CA42 CC01 CC04 CC11 CC12 DA06 4K001 AA41 BA16 CA16 DB03 DB26

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白金族元素を含有する難溶性残渣を鉄と
    共に還元焙焼し、硫酸で鉄を浸出した後、浸出残渣を塩
    酸と過酸化水素水で溶解した溶解液をロジウム精製工程
    に供給し、得られたロジウムブラックからロジウム粉を
    回収する方法において、前記溶解液中の大部分の鉄をジ
    ブチルカルビトールで抽出し、その抽出残液をロジウム
    精製工程に供給することを特徴とする高品位ロジウム粉
    の回収方法。
  2. 【請求項2】 白金族元素を含有する難溶性残渣を鉄と
    共に還元焙焼し、硫酸で鉄を浸出した後、浸出残渣を塩
    酸と過酸化水素水で溶解した溶解液をロジウム精製工程
    に供給し、得られたロジウムブラックからロジウム粉を
    回収する方法において、前記ロジウムブラックを不活性
    ガス雰囲気中で第1段の加熱焙焼を行い、更に第1段の
    加熱焙焼よりも高温で第2段の加熱焙焼を行うことを特
    徴とする高品位ロジウム粉の回収方法。
  3. 【請求項3】 前記第1段の加熱焙温度が600〜80
    0℃、及び第2段の加熱焙焼温度が900〜1100℃
    であることを特徴とする、請求項2に記載の高品位ロジ
    ウム粉の回収方法。
  4. 【請求項4】 前記第1段の加熱焙焼と第2段の加熱焙
    焼の間で、焙焼物を湿式粉砕し、ナトリウム及び塩素な
    どの不純物を洗浄除去することを特徴とする、請求項2
    又は3に記載の高品位ロジウム粉の回収方法。
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KR100881595B1 (ko) 2007-05-08 2009-02-03 주식회사 지엠에스 21 Mg(혹은 Ca)금속과의 합금생성에 의한 로듐금속 정제및 회수 방법
JP2011038165A (ja) * 2009-08-13 2011-02-24 Sumitomo Metal Mining Co Ltd 高品位ロジウム粉の回収方法
CN109082520A (zh) * 2018-07-25 2018-12-25 华南理工大学 一种从报废电触头中回收银的方法

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