JP2003321504A - 重合体ラテックスの製造方法 - Google Patents

重合体ラテックスの製造方法

Info

Publication number
JP2003321504A
JP2003321504A JP2002128156A JP2002128156A JP2003321504A JP 2003321504 A JP2003321504 A JP 2003321504A JP 2002128156 A JP2002128156 A JP 2002128156A JP 2002128156 A JP2002128156 A JP 2002128156A JP 2003321504 A JP2003321504 A JP 2003321504A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
monomer
polymerization
peroxide
added
polymer latex
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002128156A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiaki Aida
敏晶 会田
Sho Ryu
祥 劉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2002128156A priority Critical patent/JP2003321504A/ja
Publication of JP2003321504A publication Critical patent/JP2003321504A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スチレンのような高沸点の単量体または該単
量体を多量に含む単量体混合物を重合する場合であって
も、余分な単量体成分を添加して重合することなく、残
存未反応単量体量が低減された重合体ラテックスを効率
よく製造することができる重合体ラテックスの製造方法
を提供する。 【解決手段】 大気圧下での沸点が100℃以上の単量
体を単独で、または該単量体を含む単量体混合物を乳化
重合し、重合転化率が97重量%以上になった時点で、
10時間半減期温度(T1)が70〜170℃の過酸化
物を添加し、過酸化物を添加した時点から、重合系の均
一混合時間以上の時間が経過した後に、還元剤を添加し
て重合を継続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は重合体ラテックスの
製造方法に関し、さらに詳しくは、スチレンのような高
沸点の単量体を単独で、または該単量体を多量に含む単
量体混合物を重合する場合であっても、余分な単量体成
分を添加して重合することなく、未反応単量体量が低減
された重合体ラテックスを効率よく得ることができる製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車内装用カーペットには、加熱して
所望の形状に成形できること、車内が比較的高温になっ
ても形状を保持すること、剛性が十分にあることなどが
要求される。自動車内装用カーペットに用いる重合体ラ
テックスとしては、スチレンを多量に含む単量体混合物
を重合して得られる重合体ラテックスが用いられる。
【0003】このようなスチレンを多量に含む単量体混
合物を重合した場合、重合体ラテックス中に未反応のス
チレンが多量に残存して、不快な臭気を発生したり、最
終製品の品質に悪影響を及ぼす場合があるので、重合体
ラテックス中の残存スチレン量を低減する必要がある。
重合体ラテックス中に残存する未反応単量体量を低減す
るには、通常、単量体を重合した後、減圧下に未反応単
量体を除去する方法または水蒸気蒸留により未反応単量
体を除去する方法が採用される。
【0004】しかしながら、スチレンのような高沸点の
単量体を多量に含む単量体を重合した場合、重合体ラテ
ックス中に残存する未反応単量体を問題のない量以下ま
で除去するには、多大な時間を要したり、長時間にわた
り加熱された状態におくことにより、重合体が変質した
り、凝固物が発生したりする問題がある。そこで、未反
応単量体含有量が低減された重合体ラテックスを生成す
る重合方法が求められている。
【0005】特開平7−18003号公報には、共役ジ
エン単量体、シアン化ビニル単量体、エチレン性不飽和
単量体、芳香族ビニル単量体および共重合可能な他の単
量体からなる単量体混合物を乳化重合するに際し、全重
合体の重合転化率が70重量%以上に達した時、メタク
リル酸メチルやアクリロニトリルなどを添加して重合を
継続させて、未反応単量体含有量の低い重合体ラテック
スを得る方法が開示されている。また、特表平10−5
02948号公報には、過酸化物と特定構造を有する還
元剤を同時に添加し、重合を継続して残存単量体量の低
い重合体ラテックスを得る方法が開示されている。しか
しながら、前者の方法では、生成する重合体ラテックス
の性能に悪影響を与え得る余分な単量体成分を添加せざ
るを得ないという問題がある。また、いずれの方法にお
いても、残存単量体量の低減効果が確認されているの
は、スチレンを50重量%程度まで含む単量体混合物を
重合する場合にすぎず、50重量%をはるかに超える量
のスチレンを含む単量体混合物を重合するに際し有効な
方法が見い出されていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の事情に鑑み、スチレンのような高沸点の単量体または
該単量体を多量に含む単量体混合物を重合する場合であ
っても、余分な単量体成分を添加して重合することな
く、残存未反応単量体量が低減された重合体ラテックス
を効率よく製造することができる重合体ラテックスの製
造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、重合転化率が高い
水準に達した後、特定の過酸化物を添加し、さらに特定
時間が経過した後に還元剤を添加して重合を継続するこ
とにより上記の目的が達成されることを見出し、この知
見に基づき本発明を完成するに至った。
【0008】かくして、本発明によれば、大気圧下での
沸点が100℃以上の単量体を単独で、または該単量体
を含む単量体混合物を乳化重合し、重合転化率が97重
量%以上になった時点で、10時間半減期温度(T1)
が70〜170℃の過酸化物を添加し、過酸化物を添加
した時点から、重合系の均一混合時間以上の時間が経過
した後に、還元剤を添加して重合を継続することを特徴
とする重合体ラテックスの製造方法が提供される。
【0009】上記の重合を継続する際の重合温度は、下
記(1)式および(2)式を満足する重合温度(T2)
とすることが好ましい。 0℃≦T2≦120℃ (1) T1(℃)−90≦T2(℃) (2)
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の重合体ラテックス製造方
法において、対象となる単量体は大気圧下での沸点が1
00℃以上である高沸点単量体(以下、単に「高沸点単
量体」ということがある。)または該単量体を含む単量
体混合物である。高沸点単量体の具体例としては(カッ
コ内の数字は大気圧下での沸点〔℃〕を表わす)、スチ
レン(145.2)、α−メチルスチレン(165.
4)、2−ビニルピリジン(159〜160)、ジビニ
ルベンゼン(195)などの芳香族ビニル単量体;アク
リル酸(141.0)、ブチルアクリレート(147.
0)、2−エチルヘキシルアクリレート(230)、2
−ヒドロキシエチルアクリレート(211)、メタクリ
ル酸(161.0)、メチルメタクリレート(100.
8)、エチルメタクリレート(117)、ブチルメタク
リレート(163)、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート(226)、アリルメタクリレート(139.5)
などの(メタ)アクリル系単量体、ジエチルマレイン酸
(198.9)などが挙げられる。本発明の方法は、大
気圧下での沸点が120℃以上の高沸点単量体を用いる
場合に好ましく適用でき、該沸点が140℃以上の高沸
点単量体を用いる場合により好ましく適用できる。なか
でも本発明の方法は、芳香族ビニル単量体、特にスチレ
ンの重合に好適である。
【0011】本発明の方法は、高沸点単量体を単独で重
合する場合にも、これらの2種以上を共重合する場合に
も、また、該高沸点単量体の1種または2種以上と、こ
れらの単量体と共重合可能な大気圧下での沸点が100
℃未満の単量体の1種または2種以上と共重合する場合
にも適用できる。所望により共重合される大気圧での沸
点が100℃未満の単量体の具体例としては(カッコ内
の数字は大気圧下での沸点〔℃〕を表わす)、1,3−
ブタジエン(−4.41)、イソプレン(34.0
7)、クロロプレン(59.4)などの共役ジエン単量
体;アクリロニトリル(77.3)、メタクリロニトリ
ル(90.3)などのニトリル単量体;メチルアクリレ
ート(80.3)、エチルアクリレート(99.3)な
どの(メタ)アクリレート単量体、および塩化ビニル
(−13)、酢酸ビニル(72)などが挙げられる。
【0012】本発明の方法は、高沸点単量体を単独で、
または、該単量体を、重合に使用する単量体全量に対し
て、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重
量%以上、特に好ましくは60重量%以上含む単量体混
合物を乳化重合する場合に、好適に採用できる。単量体
混合物中の高沸点単量体の割合が多いほど、常法により
重合して得た重合体ラテックスと比較して生成重合体ラ
テックス中の残存未反応単量体量を低減させるという本
発明の効果は、顕著に発現する。本発明の重合体ラテッ
クスの製造方法において、高沸点単量体またはその混合
物を乳化重合するに際し、所定の重合転化率に達したと
きに特定の過酸化物を添加し、さらに所定時間後に還元
剤を添加して重合を継続するという方法が採られるが、
その他の乳化重合条件および方法は、従来公知の条件、
方法を採用できる。
【0013】乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルな
どの非イオン性乳化剤;ミリスチン酸、パルミチン酸、
オレイン酸、リノレン酸のような脂肪酸の塩、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼン
スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキ
ルスルホコハク酸塩などのアニオン性乳化剤;アルキル
トリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモ
ニウムクロライド、ベンジルアンモニウムクロライドな
どのカチオン性乳化剤;α,β−不飽和カルボン酸のス
ルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェー
トエステル、スルホアルキルアリールエーテルなどの共
重合性乳化剤などを挙げることができる。なかでも、ア
ニオン性乳化剤が好適に用いられる。これらの乳化剤は
単独でまたは2種以上を組合せて用いることができる。
乳化剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対し
て、通常、0.5〜10重量部、好ましくは1〜6重量
部である。
【0014】乳化重合を開始する際に使用する重合開始
剤としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウ
ム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水
素などの無機過酸化物;ジイソプロピルベンゼンハイド
ロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t
−ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テ
トラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジ
メチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−α−クミルパーオ
キサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパー
オキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸
化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4
−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチルな
どのアゾ化合物を挙げることができる。なかでも無機過
酸化物を用いると、ラテックスを安定して製造すること
ができるので好ましい。これらの重合開始剤は、それぞ
れ単独で、または2種以上を組み合わせて使用すること
ができる。重合開始剤の使用量は、その種類によって若
干異なるが、単量体混合物100重量部に対して、通
常、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜2重量部
である。
【0015】また、過酸化物は還元剤と組み合わせてレ
ドックス系重合開始剤として使用することができる。こ
の還元剤としては、例えば、硫酸第一鉄、ナフテン酸第
一銅などの還元状態にある金属イオンを含有する化合
物;メタンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸化合
物;ジメチルアニリンなどのアミン化合物;などが挙げ
られる。これらの還元剤は単独でまたは2種以上を組み
合わせて用いることができる。還元剤の使用量は、還元
剤の種類によって若干異なるが、過酸化物1重量部に対
して0.01〜10重量部である。
【0016】乳化重合を行うに際して、分子量調整剤を
使用してもよい。分子量調整剤としては、例えば、n−
ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどの
メルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィド、ジ
ペンタメチレンチウラムヘキサスルフィドなどのスルフ
ィド類、α−メチルスチレン2量体、四塩化炭素などが
挙げられる。なかでも、メルカプタン類が好ましく、t
−ドデシルメルカプタンがより好ましい。これらは一種
または二種以上組み合わせて使用することが可能であ
る。分子量調整剤の使用量は、単量体混合物100重量
部に対して、通常5重量部以下、好ましくは2重量部以
下である。
【0017】乳化重合する際に使用する水の量は、単量
体混合物100重量部に対して、通常、60〜600重
量部、好ましくは80〜200重量部である。さらに、
必要に応じて、粒径調整剤、キレート化剤、酸素捕捉剤
などの重合副資材を使用することができる。
【0018】単量体の添加方法は特に限定されず、単量
体を重合反応器に一括して仕込む方法、単量体を重合反
応器に連続的に供給する方法、単量体の一部を重合反応
器に仕込み、その残部を重合反応器に連続的に供給する
方法などのいずれを採用してもよい。乳化重合する際の
重合温度は、通常、0〜120℃、好ましくは30〜9
5℃である。重合時間は、2〜30時間程度である。
【0019】本発明の乳化重合プロセスにおいては、重
合転化率が97重量%以上、好ましくは98重量%以上
になった時点で、10時間半減期温度(T1)が70〜
170℃、好ましくは100〜170℃の過酸化物を添
加する。重合転化率が97重量%に達する前に上記過酸
化物を添加した場合および重合転化率が97重量%に達
した後T1が70℃未満の過酸化物を添加した場合には
生成重合体ラテックス中の残存未反応単量体が多くな
る。T1が170℃より高い過酸化物を添加した場合に
も、生成重合体ラテックス中の残存未反応単量体が多く
なる。
【0020】T1が70〜170℃の過酸化物の具体例
としては(カッコ内はT1〔℃〕を表わす)、クメンハ
イドロパーオキサイド(157.9)、t−ブチルハイ
ドロパーオキサイド(166.5)、ジイソプロピルベ
ンゼンハイドロパーオキサイド(145.1)などのハ
イドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイ
ド(119.5)などのジアルキルパーオキサイド、お
よびt−ブチルパーオキシアセテート(101.9)、
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(7
2.1)などのパーオキシエステルが挙げられる。ま
た、過酸化物としては、10時間半減期温度(T1)が
70〜170℃であるとともに、重合系へ添加した後の
重合温度における半減期時間が50時間以上のものが好
ましい。
【0021】過酸化物の添加量は、添加時の残留単量体
量に対するモル比として1/5〜1/50が好ましい。
過酸化物の添加モル比が1/50未満では、生成重合体
ラテックス中の残留未反応単量体量の減少効果が乏し
い。過酸化物の添加モル比が1/5を超えると残留過酸
化物や過酸化物の分解物の臭気が発生し、好ましくな
い。
【0022】本発明の乳化重合プロセスにおいては、T
1が70〜170℃の過酸化物を重合系へ添加した時点
から、重合系の均一混合時間以上の時間が経過した後に
還元剤を添加して重合を継続する。ここで「重合系の均
一混合時間」とは、乳化重合液の組成が混合によって実
質的に均一になるまでの時間を指すが、本発明において
は、過酸化物を添加する際の重合系内の乳化重合液と同
容積の水を貯留した同一重合反応器に、25℃、重合時
と同一攪拌条件下に攪拌しながら、適量の金属塩水溶液
を添加した時、重合反応器内の水の電気伝導度が均一に
なるまでの時間をいう。
【0023】T1が70〜170℃の過酸化物と還元剤
を同時に重合系に添加した場合および該過酸化物を重合
系に添加した時点から重合系の均一混合時間が経過しな
いうちに還元剤を添加した場合には、生成重合体ラテッ
クス中の残存単量体量を低減する効果がみられるものの
不十分である。これは、高沸点の残留単量体は、概して
水溶性が低く、重合系中ではラテックス粒子内に多割合
で存在しやすいにもかかわらず、還元剤の添加時期が早
いと、過酸化物が水相中で反応するためと考えられる。
【0024】T1が70〜170℃の過酸化物を重合系
に添加した時点から還元剤を添加するまでの許容時間の
上限は格別限定されないが、過酸化物を添加した後の重
合温度における、用いた過酸化物の半減期時間の1/1
00以下であることが好ましい。過酸化物を添加した
後、還元剤を添加するまでの時間が長過ぎると開始剤効
果が低下し、重合体ラテックス中の残留未反応単量体量
が減少し難い。これは、熱により過酸化物が分解し、余
剰ラジカルが発生することにより成長ラジカルの結合停
止が起こるためと推定される。
【0025】使用される還元剤の種類は格別限定される
ものではなく、一般に過酸化物と組合わせてレドックス
触媒として用いられるものの中から選ぶことができる。
還元剤の具体例としてはナトリウムホルムアルデヒドス
ルホキシレート(SFS)、ハイドロサルファイト、ジ
メチルアミン、アスコルビン酸、ショ糖、硫酸第一鉄な
どが挙げられる。これらの還元剤は単独でまたは2種以
上を組合せて用いることができる。また、これらの還元
剤を、鉄(III)とエチレンジアミン四酢酸との錯体と
組み合わせて用いることが好ましい。
【0026】還元剤の使用量は、過酸化物量に対するモ
ル比として1/1〜10/1であることが好ましい。還
元剤量が過少であると、残留未反応単量体が減少し難
い。逆に、還元剤量が過大であると残留還元剤による臭
気が発生したり、生成した重合体ラテックスから製造さ
れるフィルムの耐水性が低下し、その用途が制約される
ので好ましくない。
【0027】還元剤を添加して重合を継続する際の温度
は、下記(1)式および(2)式を満足する重合温度
(T2)とすることが好ましい。 0℃≦T2≦120℃ (1) T1(℃)−90≦T2(℃) (2) この重合温度T2が低過ぎても高過ぎても、残存未反応
単量体量の低減効果が得難くなる。この重合時間は、通
常30分〜10時間の間で適宜選ぶことができる。
【0028】重合体ラテックスは、上記の重合反応の
後、所望により重合停止剤を加えて反応を停止し、さら
に所望により残存する単量体を除去し、所定の固形分濃
度およびラテックスpHに調整して得られる。
【0029】得られた重合体ラテックスには、さらに、
ラテックス業界で通常使用される、老化防止剤、紫外線
吸収剤、防腐剤、抗菌剤、分散剤、増粘剤、顔料、充填
剤、軟化剤などを配合してもよい。
【0030】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明に
よる重合体ラテックスの製造方法を具体的に説明する。
実施例および比較例中における「部」および「%」は重
量基準である。
【0031】重合体ラテックス中の未反応スチレン量お
よび未反応メタクリル酸量は下記方法により測定した。 (未反応スチレン量)1%オレイン酸カリウム水溶液3
0mlに固形分濃度が40%の重合体ラテックス3g
と、内部標準としてトルエン20μlとを混合した。こ
の混合液をガスクロマトグラフィー分析して、重合体ラ
テックス固形分に対する未反応スチレン量(ppm)を
求めた。
【0032】(未反応メタクリル酸量)0.25%ノニ
オン界面活性剤水溶液100mlに固形分濃度が40%
の重合体ラテックス5gと、内部標準としてエチレング
リコール20μlとを混合し、さらに0.1規定塩酸水
溶液1mlを添加し、15分間攪拌した。この混合液を
ガスクロマトグラフィー分析して、重合体ラテックス固
形分に対する未反応メタクリル酸量(ppm)を求め
た。
【0033】実施例1 (均一混合時間の測定)(予備実験) 攪拌装置を備えた、内容積15mの重合反応器に、脱
イオン水を13m仕込み、25℃、40rpmで攪拌
した。攪拌しながら、5重量%塩化ナトリウム水溶液1
0リットルを重合反応器上部より添加した。塩化ナトリ
ウム水溶液添加後、20秒毎に、重合反応器下部および
攪拌上部表面から、各100mlの溶液を採取した。採
取した各溶液の電気伝導度を測定し、重合反応器下部お
よび攪拌上部表面から採取した溶液の電気伝導度が同一
の値になるまでの時間を求めた。その結果、この条件に
おいて、均一混合時間は、4分20秒であった。
【0034】(乳化重合)攪拌装置を備えた耐圧容器に
スチレン78部、アクリロニトリル20部、メタクリル
酸2部、t−ドデシルメルカプタン1.2部、アルキル
ベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、ナフタリンスルホ
ン酸ソーダ・ホルムアルデヒド重縮合物(NASF)
0.1部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.03
部および脱イオン水48部を仕込み、攪拌して単量体エ
マルジョンを調製した。
【0035】予備実験で用いた重合反応器に、脱イオン
水65部および上記単量体エマルジョンの20%を仕込
み、40rpmで攪拌しながら、80℃に昇温した後、
過硫酸アンモニウム0.3部を添加し、30分間反応さ
せた。その後、80℃を維持しながら、残部の単量体エ
マルジョンを4時間にわたり連続的に添加した。単量体
エマルジョンの添加終了後、過硫酸アンモニウム0.1
部を添加し、85℃に昇温して、重合転化率が98.2
%になるまで反応させた。この時の乳化重合液の容積は
13mであった。
【0036】次いで、85℃を維持したまま、クメンハ
イドロパーオキサイド(10時間半減期温度:157.
9℃)0.1部を添加し、1時間経過した後、さらに、
鉄−エチレンジアミン四酢酸錯塩0.0017部とナト
リウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.1部を添
加して、2時間反応を継続し、共重合体ラテックスを得
た。この共重合体ラテックスの未反応スチレン量は66
ppm、未反応メタクリル酸量は905ppmであっ
た。
【0037】実施例2 クメンハイドロパーオキサイドの代わりに、t−ブチル
パーオキサイド(10時間半減期温度:166.5℃)
0.06部を用い、重合転化率が98.4%の時にt−
ブチルパーオキサイドを添加した他は、実施例1と同様
に乳化重合を行なった。得られた共重合体ラテックスの
未反応スチレン量は70ppm、未反応メタクリル酸量
は920ppmであった。
【0038】比較例1 重合転化率が98.2%に達した後、クメンハイドロパ
ーオキサイド、鉄−エチレンジアミン四酢酸錯塩および
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートを添加せ
ずに、重合を3時間継続した他は、実施例1と同様に乳
化重合を行なった。得られた共重合体ラテックスの未反
応スチレン量は4550ppm、未反応メタクリル酸量
は8865ppmであった。
【0039】比較例2 クメンハイドロパーオキサイドの代わりに、1,1,
3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キサネート(10時間半減期温度:65.3℃)0.1
79部を用いた他は、実施例1と同様に乳化重合を行な
った。得られた共重合体ラテックスの未反応スチレン量
は2276ppm、未反応メタクリル酸量は4105p
pmであった。
【0040】比較例3 クメンハイドロパーオキサイドを添加する際の重合転化
率を96.5%に変更した他は、実施例1と同様に乳化
重合を行なった。得られた共重合体ラテックスの未反応
スチレン量は1550ppm、未反応メタクリル酸量は
2710ppmであった。
【0041】比較例4 クメンハイドロパーオキサイドを添加すると同時に、鉄
−エチレンジアミン四酢酸錯塩0.0017部とナトリ
ウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.1部を添加
して、3時間反応を継続した他は、実施例1と同様に乳
化重合を行なった。得られた共重合体ラテックスの未反
応スチレン量は650ppm、未反応メタクリル酸量は
2200ppmであった。
【0042】上記の実施例および比較例から以下のこと
がわかる。過酸化物および還元剤を添加せずに重合して
得た比較例1の共重合体ラテックスは、未反応単量体が
極めて多い。過酸化物および還元剤を添加するものの、
10時間半減期温度が本発明で規定する範囲より低い過
酸化物を用い重合して得た比較例2の共重合体ラテック
スは、未反応単量体が多い。本発明で規定する範囲より
低い重合転化率において過酸化物を添加して得た比較例
3の共重合体ラテックスは、未反応単量体が多い。
【0043】過酸化物および還元剤を添加するものの、
同時に両方を添加して得た比較例4の共重合体ラテック
スは、比較例1のものに比べ、残存未反応単量体量が減
少したものの、その効果は不十分である。これらの比較
例とは対照的に、本発明で規定する要件を満たす条件下
に製造して得られる共重合体ラテックスは、残存未反応
単量体量が非常に少なくなっている。
【0044】
【発明の効果】本発明に従って、高沸点単量体を乳化重
合し、重合転化率が97重量%以上になった時点で、1
0時間半減期温度(T1)が70〜170℃の過酸化物
を添加し、過酸化物を添加した時点から、重合系の均一
混合時間以上の時間が経過した後に、還元剤を添加して
重合を継続することによって、生成重合体ラテックス中
の残存未反応単量体量を著しく低減することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 AA02 AB01 AB02 BA02 BB02 BB07 BB09 KB02 KB07 KB09 KB14 KB22 KB29

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧下での沸点が100℃以上の単量
    体を単独で、または該単量体を含む単量体混合物を乳化
    重合し、重合転化率が97重量%以上になった時点で、
    10時間半減期温度(T1)が70〜170℃の過酸化
    物を添加し、過酸化物を添加した時点から、重合系の均
    一混合時間以上の時間が経過した後に、還元剤を添加し
    て重合を継続することを特徴とする重合体ラテックスの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 重合を継続する際の重合温度が、下記
    (1)式および(2)式を満足する重合温度(T2)で
    ある請求項1記載の重合体ラテックスの製造方法。 0℃≦T2≦120℃ (1) T1(℃)−90≦T2(℃) (2)
JP2002128156A 2002-04-30 2002-04-30 重合体ラテックスの製造方法 Pending JP2003321504A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002128156A JP2003321504A (ja) 2002-04-30 2002-04-30 重合体ラテックスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002128156A JP2003321504A (ja) 2002-04-30 2002-04-30 重合体ラテックスの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003321504A true JP2003321504A (ja) 2003-11-14

Family

ID=29542004

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002128156A Pending JP2003321504A (ja) 2002-04-30 2002-04-30 重合体ラテックスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003321504A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6444760B1 (en) Method of reducing the content of residual monomers in aqueous polymer dispersions
CA2232339A1 (en) Colloidally stabilized emulsion polymer
KR101450379B1 (ko) 그라프트 공중합체의 제조방법
JPH0723444B2 (ja) Hcfc耐性熱可塑性樹脂組成物の製法
NO164603B (no) Fremgangsmaate ved fremstilling av stabile, vandige polymerdispersjoner med en innpolymerisert alkenyl-aromatisk forbindelse, samt anvendelse av disse som bindemiddel.
JP6600438B1 (ja) 共役ジエン系共重合体ラテックスの製造方法
JPH09176212A (ja) 水性ポリマー分散液の製法
JP2003321504A (ja) 重合体ラテックスの製造方法
JP4784127B2 (ja) 共重合体ラテックスの製造方法
CN111801360B (zh) 含羧基腈橡胶的胶乳中包含的、未反应的α,β-烯属不饱和腈单体的回收方法
CN110431157B (zh) 含羧基腈橡胶的制造方法
JP2004131734A (ja) ラテックス及びそれを製造する方法
EP1329464B1 (en) Agglomeratable rubber latex
JP2006274144A5 (ja)
JP2001278905A (ja) 重合体の水分散液の製造方法
KR101737183B1 (ko) Abs 그라프트 공중합체의 제조방법
JP4056184B2 (ja) 超高分子量重合体の製造方法
JPH0531582B2 (ja)
JP5283049B2 (ja) 改良されたグラフト重合体ラテックスの製造方法
JP2002060440A (ja) グラフト共重合体ラテックス、製造方法およびその凝固粉状物
JPH08151417A (ja) 耐衝撃性高ニトリル系重合体及びその製造方法
JPH0586110A (ja) ラテツクスの製造方法
JPH06107743A (ja) グラフト共重合体の製造法
JP2005206753A (ja) ジエン系ゴム質重合体ラテックスの製造方法
WO2023126212A1 (en) Process of manufacturing graft polymer compositions