JP2002060440A - グラフト共重合体ラテックス、製造方法およびその凝固粉状物 - Google Patents

グラフト共重合体ラテックス、製造方法およびその凝固粉状物

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JP2002060440A
JP2002060440A JP2000253399A JP2000253399A JP2002060440A JP 2002060440 A JP2002060440 A JP 2002060440A JP 2000253399 A JP2000253399 A JP 2000253399A JP 2000253399 A JP2000253399 A JP 2000253399A JP 2002060440 A JP2002060440 A JP 2002060440A
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latex
graft copolymer
graft
copolymer latex
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JP2000253399A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Akatsuka
弘 赤塚
Takashi Kurata
貴志 蔵田
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Techno UMG Co Ltd
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Techno Polymer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (1)製造時にシアン化ビニル単量体の加水分
解を抑制し、凝固排水中に含まれる窒素化合物を少なく
し、かつ、単量体の重合率を高めたグラフト共重合体ラ
テックス、(2)このグラフト共重合体ラテックスの製造
方法、および、(3)このグラフト共重合体ラテックスの
凝固粉状物を提供すること。 【構成】 第1発明は、ゴム状重合体(A)ラテックスの
存在下、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体、
または、これらの単量体と(メタ)アクリル酸エステ
ル、酸無水物系化合物およびマレイミド系化合物の群か
ら選ばれた少なくとも1種とからなる単量体混合物成分
を、グラフト共重合させて得られるグラフト共重合体ラ
テックスであって、pHが8.5〜11.5であり、か
つ、水に可溶な窒素化合物の含有量が2000ppm以下
にされてなることを特徴とする。 【効果】 上記課題が解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラフト共重合体
ラテックス、製造方法およびその凝固粉状物に関する。
さらに詳しくは、グラフト共重合体を乳化重合法によっ
て製造する際に、シアン化ビニル単量体が変性して生じ
排水中に含まれる窒素化合物を低減したグラフト共重合
体ラテックス、その製造方法およびこのグラフト共重合
体ラテックスの凝固粉状物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ゴム強化熱可塑性樹脂の代表であ
るABS樹脂等は、ポリブタジエンに代表されるゴム状
重合体ラテックスの存在下、アクリロニトリルに代表さ
れるシアン化ビニル化合物とスチレンに代表される芳香
族ビニルとを、バッチ重合式、セミバッチ重合式、連続
重合式のいずれかの方式で、乳化重合法によってグラフ
ト重合させて製造される場合が多い。この乳化重合法
は、ゴム状重合体の量、マトリックス樹脂の分子量、シ
アン化ビニル化合物の含有量など、設計の自由度が高
く、重合温度のコントロールが容易で、高品質の樹脂を
容易に得ることができるなど、工業的に有利な特徴を有
している。
【0003】しかしながら、乳化重合法によってグラフ
ト共重合体を製造する際には、グラフト共重合反応終了
後に、酸または塩析剤でラテックスを凝固させてグラフ
ト共重合体を析出させ、グラフト共重合体は分離・洗浄
・乾燥の工程を経て凝固粉状物(クラム)とされ、さら
に溶融させて樹脂ペレットとされるなど、その工程が多
く繁雑である。さらにグラフト共重合工程と、後処理工
程において大量の水を使用するため、その排水対策が必
須となるなどの不利な点がある。特に、排水中には、グ
ラフト共重合時や後処理時に用いられた薬剤や分解物が
かなり混入しており、排水をそのまま廃棄すると、公共
水域を汚染する恐れが高い。近年、わが国の排水規制が
厳しくなっており、特に、排水中のCOD値の規制、そ
の原因物質と考えられる窒素量の規制、りん量の規制が
厳しくされている。そのため、グラフト共重合体を乳化
重合法によって製造している工場、製造所などでは、活
性汚泥処理などの高額の排水処理施設を設置して厳しく
された規制に対応しているのが現状である。
【0004】乳化法によってグラフト共重合体を製造す
る際には、以下に詳細を説明するように、油溶性有機物
質は重合体の凝固粉状物中に取り込まれて排水中には移
行し難いが、シアン化ビニル単量体の加水分解生成物は
排水中に混入する。従って、乳化重合法によってグラフ
ト共重合体を製造する際の排水には、主としてシアン化
ビニル単量体の加水分解生成物が混入し、排水のCOD
値や窒素量などに悪影響を与えるといえる。
【0005】共役ジエン系ゴムなどのゴム状重合体ラテ
ックスの存在下、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル
単量体を、乳化重合法によってグラフト共重合させる際
には、グラフト重合系のpHは9〜11のアルカリ領域
とされる場合が多い。これは、共役ジエン系ゴムラテッ
クスが乳化重合法で製造される際のpHに依存するとこ
ろが大である。その理由は、次のとおりである。(1)ア
ルカリ領域では、ゴム状重合体の乳化重合過程、および
乳化重合法によるグラフト共重合反応の遂行過程で、使
用される脂肪酸塩やロジン酸塩などの乳化剤の安定性が
よいこと。また、(2)乳化重合法によりゴム状重合体を
製造する過程で用いられる重合開始剤の過硫酸塩が、そ
の分解後に生成する硫酸根により、重合系のpHが酸性
領域に下がりすぎないように、意図的に緩衝液系でpH
をアルカリ領域に固定させていること。
【0006】このようなアルカリ領域において乳化法に
よってグラフト共重合を実施すると、単量体として使用
されるシアン化ビニルは加水分解をおこし、例えば、ア
クリロニトリルの場合はエチレンシアンヒドリン、ビス
(2シアノエチル)エーテルおよび、アクリルアミドな
どの窒素化合物を生じる。これらの窒素化合物は、乳化
グラフト重合過程で重合反応に関与することがなく、水
中にとどまり、その結果、乳化グラフト重合以降の脱水
工程で排水中に溶存し、排水中の窒素化合物の濃度を上
昇させる。このような窒素化合物の濃度が高い排水は、
前述の通り、公共水域に直接廃棄することができず、活
性汚泥処理などの排水処理施設において処理して、排水
中に含まれる窒素化合物濃度を低減させて廃棄しなけれ
ばならない。
【0007】さらに、近年、剛性の向上や耐薬品性の向
上を目的としてシアン化ビニル含有率の高いグラフト共
重合体が要求されており、このようにシアン化ビニル含
有率の高いグラフト共重合体を製造する際には、上記窒
素化合物を含んだ加水分解生成物の量も増加し、排水処
理に一層の負担がかかる。他方、グラフト共重合体を酸
性領域で製造した場合には、シアン化ビニル単量体は加
水分解をおこし、例えばアクリロニトリルの場合にはア
クリルアミドを生じ、上の場合と同様に好ましくない。
【0008】また、上記のようなシアン化ビニル単量体
の加水分解が生じると、必然的に重合体に転化する単量
体が減少し、重合体の収率が低下するばかりでなく、重
合体の組成、重合体の品質などに悪影響を与え、好まし
くない。このように、従来の技術では、グラフト共重合
体を乳化重合法によって製造した後の排水中に、シアン
化ビニル単量体の加水分解生成物である窒素化合物が多
量に混入し、排水処理の負担が大きくなるばかりでな
く、単量体の重合率(転化率)が低下するという欠点が
あった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
現状に鑑み、従来技術に存在する上記諸欠点を一挙に解
決する技術を提供すべく鋭意検討の結果、本発明に到達
した。すなわち、本発明の目的は、次のとおりである。 1.製造時にシアン化ビニル単量体の加水分解を抑制
し、排水中に含まれる窒素化合物の量を少なくしたグラ
フト共重合体ラテックスを提供すること。 2.単量体の重合率(転化率)が高いグラフト共重合体
ラテックスの製造方法を提供すること。 3.排水中の窒素化合物の濃度が少ないグラフト共重合
体の凝固粉状物(クラム)を提供すること。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の第1発明では、ゴム状重合体(A)ラテック
スの存在下に、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単
量体、または、これらの単量体と(メタ)アクリル酸エ
ステル、酸無水物系単量体およびマレイミド系化合物の
群から選ばれた少なくとも1種とからなる単量体混合物
成分を、グラフト共重合させて得られるグラフト共重合
体ラテックスであって、pHが8.5〜11.5の範囲
であり、かつ、水に可溶な窒素化合物の含有量が200
0ppm以下とされてなることを特徴とするグラフト共重
合体ラテックスを提供する。
【0011】また、第2発明では、グラフト共重合体ラ
テックスを製造する方法において、ゴム状重合体(A)ラ
テックスの存在下に、芳香族ビニル単量体とシアン化ビ
ニル単量体、または、これらの単量体と(メタ)アクリ
ル酸エステル、酸無水物系単量体およびマレイミド系化
合物の群から選ばれた少なくとも1種とからなる単量体
混合物成分を、グラフト共重合系のpHが8.5〜1
1.5の範囲とし、かつ、グラフト共重合反応時にこの
反応系に添加されるアルカリ金属の水酸化物の量を、ゴ
ム状重合体(A)ラテックスの固形分と単量体混合物成分
との和100重量部に対して0.01重量部以下とし
て、乳化重合法によってグラフト共重合反応を遂行する
ことを特徴とする、グラフト共重合体ラテックスの製造
方法を提供する。
【0012】さらに、第3発明では、ゴム状重合体(A)
ラテックスの存在下に、芳香族ビニル単量体とシアン化
ビニル単量体、または、これらの単量体と(メタ)アク
リル酸エステル、酸無水物系単量体およびマレイミド系
化合物の群から選ばれた少なくとも1種とからなる単量
体混合物成分を、グラフト共重合させて得られるグラフ
ト共重合体ラテックスの凝固粉状物であって、pHが
8.5〜11.5の範囲であり、かつ、水に可溶な窒素
化合物の含有量が2000ppm以下のグラフト共重合体
ラテックスを凝固させて得られたものであることを特徴
とする、グラフト共重合体ラテックスの凝固粉状物を提
供する。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいてゴム状重合体(A)とは、グラフト共重合体の基体
となるゴム状重合体をいう。具体的には、ポリブタジエ
ン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−
スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重
合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合
体、エチレン−ブテン−1−(非共役ジエン)共重合
体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリルゴ
ム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合
体、SEBSなどの水素添加ジエン系(ブロック、ラン
ダムおよびホモ)重合体、ポリウレタンゴム、シリコー
ンゴムなどが挙げられる。中でも好ましいのは、ポリブ
タジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−
プロピレン−(非共役ジエン)共重合体、水素添加ジエ
ン系ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどである。
シリコーンゴムは、ビニル基を含有するグラフト交叉剤
{例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラ
ン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキ
シシラン、2−(p−ビフェニル)エチレンメチルジメ
トキシシランなど}を、ポリオルガノシロキサンに共縮
合させたものが好ましい。ゴム状重合体(A)は、2種以
上を組み合わせることもできる。
【0014】本発明に係るグラフト共重合体ラテックス
は、上記のゴム状重合体(A)ラテックスの存在下に、芳
香族ビニル単量体(化合物)とシアン化ビニル単量体
(化合物)、または、これら単量体と(メタ)アクリル
酸エステル、酸無水物系単量体およびマレイミド系単量
体の群から選ばれた少なくとも1種とからなる単量体混
合物成分を、乳化重合法でグラフト共重合させることに
よって製造される。
【0015】単量体混合物成分を構成する芳香族ビニル
単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、ビニルトルエンなどが挙げられるが、
好ましくはスチレンである。また、シアン化ビニル単量
体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、
エタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなど
が挙げられるが、好ましくはアクリロニトリル、メタク
リロニトリルである。これら芳香族ビニル単量体、シア
ン化ビニル単量体は、ともに1種類でも2種類以上の混
合物であってもよい。
【0016】単量体混合物成分を構成する(メタ)アク
リル酸エステル単量体としては、(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸
ブチルなどが挙げられる。好ましくはメタアクリル酸メ
チル、アクリル酸ブチルである。酸無水物系単量体とし
ては無水マレイン酸が好ましく、マレイミド系単量体と
しては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェ
ニルマレイミドなどが挙げられる。好ましくは、N−フ
ェニルマレイミドである。
【0017】本発明に係るグラフト共重合体ラテックス
を製造する際には、ゴム状重合体(A)を除いた成分中に
占めるシアン化ビニル単量体の含有率を1〜50重量%
とすること必要である。シアン化ビニル単量体の割合が
50重量%を越えると流動性の低下、ゲル化の原因とな
り好ましくない。シアン化ビニル単量体の割合は、好ま
しくは20〜50重量%、特に好ましくは35〜50重
量%である。本発明は、シアン化ビニル単量体の割合が
高い範囲において、優れた効果を発揮する。
【0018】グラフト共重合体は、ゴム状重合体(A)ラ
テックスの存在下に、上記単量体混合物成分を乳化重合
法でグラフト共重合させることによって製造される。乳
化重合法によってグラフト共重合させる際のゴム状重合
体(A)は、固形分として10〜70重量%とするのが好
ましく、ゴム状重合体(A)固形分の量が10重量%未満
であると、ゴム強化熱可塑性樹脂組成物にした時のゴム
状重合体(A)の含有率が少なく、耐衝撃性が十分でな
く、また、70重量%を越えるとゴム状重合体(A)に対
する単量体混合物成分のグラフト量が不十分となるた
め、耐衝撃性が低下する。ゴム状重合体(A)は、上記範
囲の中で更に好ましいのは30〜65重量%である。ま
た、ゴム状重合体(A)の平均粒子径は0.05〜5μm
の範囲が好ましく、特に好ましいのは0.1〜0.6μ
mの範囲である。
【0019】本発明においては、シアン化ビニル単量体
の加水分解を抑制する観点から、乳化重合法によってグ
ラフト共重合体を製造する過程のラテックスのpHを、
8.5〜11.5に調整することが必要である。グラフ
ト重合体を製造する過程のラテックスのpHを8.5〜
11.5に調整する方法としては、(1)ゴム状重合体(A)
ラテックスのpHを8.5〜11.5の範囲に調整する
方法、(2)pHが8.5〜11.5の範囲のゴム状重合
体(A)ラテックスに、pHが6.0〜11.5の範囲の
界面活性剤を使用することによって調整する方法、など
を挙げることができる。
【0020】上記(1)のゴム状重合体(A)ラテックス製造
時にpHを8.5〜11.5に調整する方法としては、
(1-1)グラフト共重合系にpHが8.5〜11.5に固
定できるようなpH調整剤を一定量添加する方法、(1-
2)アルカリ金属の水酸化物の添加により調整方法、(1-
3)重合開始剤の分解によりラテックスのpHが変化しな
い重合開始剤を使用する方法、などが挙げられる。pH
調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
炭酸ナトリウム、硫酸カリウム、重炭酸ナトリウム、リ
ン酸二水素カリウム系などの緩衝系が挙げられる。アル
カリ金属水酸化物は、ゴム状重合体(A)ラテックスの固
形分と単量体混合物成分との和100重量部に対し、
0.01重量部以下とするのが好ましい。さらに好まし
くは、0.001重量部以下、特に好ましくは0.00
01以下である。pH調整剤のグラフト共重合系への添
加は、グラフト共重合反応開始前にゴム状重合体(A)ラ
テックスに添加するのが好ましい。
【0021】上記(2)の界面活性剤によってグラフト共
重合系のpHを調節するには、グラフト共重合開始前ま
たはグラフト共重合の途中で、pHが6.0〜11.5
の範囲の界面活性剤を添加する方法などがあげられる。
この目的に使用できる界面活性剤としては、ロジン酸塩
系アニオン性界面活性剤、オレイン酸塩、ラウリル酸
塩、ラウリン酸塩、ステアリン酸塩などの脂肪酸塩のア
ニオン性界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキ
ルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、
アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルジフェニル
エーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル硫酸塩などの硫酸塩系アニオン性界面
活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルカルボン
酸塩などのオキシエチレン鎖含有アニオン性界面活性
剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン性界
面活性剤などが挙げられる。これらの中で、ロジン酸塩
系アニオン性界面活性剤、オレイン酸塩、ラウリル酸
塩、ラウリン酸塩、ステアリン酸塩などの脂肪酸塩のア
ニオン性界面活性剤が好ましい。
【0022】ラテックスのpHを変化させない重合開始
剤としては、ハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化
物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤が
挙げられる。そして、硫酸第一鉄、キレート剤であるエ
チレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩(EDT
A)、還元剤であるナトリウムホルムアルデヒドスルホ
キシレート(SFS)などと有機過酸化物、無機過酸化
物を組み合わせたレドックス系重合開始剤などが挙げら
れる。
【0023】グラフト共重合反応を遂行する際には、重
合混合物に連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移
動剤としては、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカ
プタン類、四塩化炭素などのハロゲン化アルキル、α−
メチルスチレンダイマーが挙げられる。グラフト共重合
反応を遂行する際の温度は35〜80℃の範囲、好まし
くは35〜75℃、特に好ましくは35〜72℃であ
る。グラフト共重合反応は乳化重合法によって遂行する
が、バッチ重合式、セミバッチ重合式、連続重合式のい
ずれであってもよい。乳化重合法によってグラフト共重
合させて得られたグラフト共重合体ラテックスは、乳化
重合における一般的な方法で凝固、水洗、脱水、乾燥し
て凝固粉状物(クラム)とすることができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明するが、
本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定
されるものではない。以下に記載の実施例および比較例
において、「部」は重量部であり、各種測定・評価項目
は、以下に記載した方法で測定・評価したものである。
【0025】(a)ゴム状重合体(A)ラテックスの重量平均
粒子径(nm):ゴム状重合体(A)ラテックスをノニオン系
界面活性剤水溶液で希釈した分散液を試料とし、キャピ
ラリーハイドロダイナミックフラクショネーション法
(米国Matec Applied Science社製、CHDF200)
に準拠して測定した。 (b)単量体の重合率:乳化重合法によるグラフト共重合
終了後、ラテックスを1g採取し、重合禁止剤を添加
後、200℃としたホットプレートで乾燥させ、次式よ
り単量体の重合率(%)を計算した。単量体の重合率
(%)={(全仕込み部数×固形分)/(単量体の添加部
数)}×100。 (c)ラテックス中の未反応スチレン、アクリロニトリル
(ppm):ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、GC
−14B)を使用し、140℃で測定した。
【0026】(d)凝固排水中の窒素化合物(ppm):乳化重
合法によるグラフト共重合終了後のラテックス100部
(固形分)に対し、硫酸2.0部を添加し、ラテックス
を90℃に昇温し、2分間エージングした後凝固させ、
このスラリーの排水を採取した。採取した排水につき、
ガスクロマトグラフィー(HewlettPackard社製、5890 Se
riesII)を使用し、170℃で測定した。検出できる物
質は、アクリロニトリルと、エチレンシアンヒドリン、
ビス(2シアノエチル)エーテル、アクリルアミドなど
のアクリロニトリル変成物などである。 (e)凝固排水中の全窒素量(ppm):微量全窒素分析装置T
N−05型(三菱化学社製)を用い、凝固排水中の全窒
素量を測定した。
【0027】[製造例1]撹拌器、還流冷却器、温度
計、助剤連続添加装置を装備した容量が100リットル
のステンレス製オートクレーブを準備し、内部を窒素ガ
スで置換した。このオートクレーブに、1,3−ブタジ
エン100部、脱イオン水70部、乳化剤としての不均
化ロジン酸カリウムを2.0部、ステアリン酸カルシウ
ムを1.0部、分散剤としてのりん酸カルシウム1.0
部、水酸化カリウム0.2部を仕込み、さらに連鎖移動
剤としてのt−ドデシルメルカプタンを0.3部、重合
開始剤としての過硫酸カリウムを0.3部加えて、50
〜85℃の温度範囲で徐々に昇温し、30時間重合反応
を継続した。重合転化率は、90%であった。
【0028】この重合系に、重合禁止剤としてのN,N
−ジエチルヒドロキシルアミンを0.1部添加して重合
反応を停止させ、このラテックスにpH調節剤(0.0
05モル/リットルの硫酸水溶液)を添加したあと、オ
ートクレーブ内を減圧して1,3−ブタジエンを除去
し、固形分54.1%のポリブタジエンラテックス(A-
1)を得た。得られたポリブタジエンラテックス(A-1)の
pH、ゴムの重量平均粒子径を上記の方法で測定し、そ
の結果を表−1に記載した。
【0029】[製造例2〜製造例5]製造例1に記載の
例において、分散剤の種類、添加量などを表−1に記載
したように変更し、同例におけると同様の手順で重合
し、ポリブタジエンラテックス(A-2〜A-5)を得た。得ら
れたポリブタジエンラテックスのpH、ゴムの重量平均
粒子径を上記の方法で測定し、その結果を表−1に記載
した。
【0030】
【表1】
【0031】[実施例1]撹拌器、還流冷却器、温度
計、助剤連続添加装置を装備した容量が100リットル
のステンレス製オートクレーブを準備し、内部を窒素ガ
スで置換した。このオートクレーブに、上記の製造例で
得たポリブタジエン(A-1)60部(固形分基準)、脱イ
オン水158.2部、スチレン7部、アクリロニトリル
3部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、クメンハイ
ドロパーオキサイド0.05部、ピロリン酸ソーダ0.
2部、ブドウ糖0.3部、硫酸第一鉄0.004部をそ
れぞれ仕込み、撹拌下、内温を75℃に昇温し、この温
度で1時間グラフト共重合反応を遂行した。
【0032】オートクレーブの内温を75℃に保持しつ
つ、スチレン22部とアクリロニトリル8部、t−ドデ
シルメルカプタンを0.3部よりなる混合物と、脱イオ
ン水20部にクメンハイドロパーオキサイド0.2部、
不均化ロジン酸カリウム0.5部、水酸化カリウム0.
005部を溶解した水溶液を、それぞれ2時間かけて連
続的に添加しつつグラフト共重合反応を継続した。つい
で、脱イオン水1.64部にクメンハイドロパーオキサ
イド0.05部、ピロリン酸ソーダ0.04部、ブドウ
糖0.06部、硫酸第一鉄0.0008部を溶解した水
溶液を、一括添加し、添加後さらに1時間グラフト共重
合反応を継続した。
【0033】グラフト共重合反応終了後の単量体の重合
率は95%、グラフト共重合体ラテックスのpHは9.
8であった。得られたグラフト共重合体ラテックス中の
未反応物を、前記の方法で分析・定量し、結果を表−2
に示した。得られたグラフト共重合体ラテックスを、9
5℃に加温した4%硫酸マグネシウム水溶液に添加し
て、グラフト共重合体を凝固(塩析)し、凝固排水中の
窒素化合物、全窒素量などを、前記の方法で分析・定量
し、結果を表−2に示した。
【0034】[実施例2〜実施例4]実施例1に記載の
例において、ポリブタジエンラテックスの種類を、表−
2に記載したように変更したほかは、同例におけると同
様の手順でグラフト共重合反応を行なった。グラフト共
重合反応終了後の単量体の重合率、得られたグラフト共
重合体ラテックスのpH、グラフト共重合体ラテックス
中の未反応物、凝固排水中の窒素化合物、全窒素量など
を、前記の方法で分析・定量し、結果を表−2に示し
た。
【0035】
【表2】
【0036】[比較例1〜比較例4]実施例1に記載の
例において、ポリブタジエンラテックスの種類を、表−
3に記載したように変更したほかは、同例におけると同
様の手順でグラフト共重合反応を行なった。グラフト共
重合反応終了後の単量体の重合率、得られたグラフト共
重合体ラテックスのpH、グラフト共重合体ラテックス
中の未反応物、凝固排水中の窒素化合物、全窒素量など
を、前記の方法で分析・定量し、結果を表−2に示し
た。
【0037】
【表3】
【0038】表−2および表−3より、次のことが明ら
かとなる。 (1)グラフト共重合時に共重合系に添加する水酸化カリ
ウムの量が0.005部と少ないと、単量体の重合率が
高くなり、ラテックス中に残る未反応単量体が少なく、
グラフト共重合体の収率が高い(実施例1〜実施例4参
照)。 (2)また、実施例のものは凝固排水中の窒素化合物、全
窒素量などが少ない。 (3)これに対して、比較例1のものはpHが11.9と
高いポリブタジエンラテックスを使用したので、凝固排
水中の窒素化合物、全窒素量などが多い。 (4)また、グラフト共重合時に共重合系に添加する水酸
化カリウムの量が0.01より多いと、単量体の重合率
が低くなり、ラテックス中に残る未反応単量体が多く、
グラフト共重合体の収率が低い(比較例2〜比較例4参
照)。
【0039】
【発明の効果】本発明は、以上詳細に説明したとおりで
あり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業状
の利用価値は極めて大である。 1.本発明に係るグラフト共重合体ラテックスは、乳化
重合法によってグラフト共重合体を製造する際に、共重
合系のラテックスのpHを8.5〜11.5に調整する
ので、共重合過程でのシアン化ビニル単量体の加水分解
を抑制することができ、排水中に混入する窒素化合物の
含有量を2000ppm以下と少なくすることができる。 2.本発明に係るグラフト共重合体ラテックスの製造方
法によれば、シアン化ビニル単量体の変成を抑制するこ
とができるので、重合体への転化率が高いグラフト共重
合体が得られる。 3.本発明に係るグラフト共重合体ラテックスを凝固、
水洗、乾燥した凝固粉状物(クラム)は、排水中に混入
する窒素化合物の濃度が少ない。従って、凝固排水の処
理施設の負荷が軽減される。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA04 AA06 AA07 AA08 AB08 AE03 AE30 DA32 DA36 DA38 DC06 4J026 AA12 AA13 AA14 AA49 AA52 AA67 AA68 AA69 AB33 AB44 BA04 BA05 BA06 BA27 BA31 BA32 BB03 BB04 DA04 DB04 EA04 FA03 GA02 GA03 GA10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム状重合体(A)ラテックスの存在下
    に、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体、また
    は、これらの単量体と(メタ)アクリル酸エステル、酸
    無水物系単量体およびマレイミド系化合物の群から選ば
    れた少なくとも1種とからなる単量体混合物成分を、グ
    ラフト共重合させて得られるグラフト共重合体ラテック
    スであって、pHが8.5〜11.5の範囲であり、か
    つ、水に可溶な窒素化合物の含有量が2000ppm以下
    とされてなることを特徴とするグラフト共重合体ラテッ
    クス。
  2. 【請求項2】 グラフト共重合体ラテックスを製造する
    方法において、ゴム状重合体(A)ラテックスの存在下
    に、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体、また
    は、これらの単量体と(メタ)アクリル酸エステル、酸
    無水物系単量体およびマレイミド系化合物の群から選ば
    れた少なくとも1種とからなる単量体混合物成分を、グ
    ラフト共重合系のpHが8.5〜11.5の範囲とし、
    かつ、グラフト共重合反応時にこの反応系に添加される
    アルカリ金属の水酸化物の量を、ゴム状重合体(A)ラテ
    ックスの固形分と単量体混合物成分との和100重量部
    に対して0.01重量部以下として、乳化重合法によっ
    てグラフト共重合反応を遂行することを特徴とする、グ
    ラフト共重合体ラテックスの製造方法。
  3. 【請求項3】 ゴム状重合体(A)ラテックスの存在下
    に、芳香族ビニル単量体とシアン化ビニル単量体、また
    は、これらの単量体と(メタ)アクリル酸エステル、酸
    無水物系単量体およびマレイミド系化合物の群から選ば
    れた少なくとも1種とからなる単量体混合物成分を、グ
    ラフト共重合させて得られるグラフト共重合体ラテック
    スの凝固粉状物であって、pHが8.5〜11.5の範
    囲であり、かつ、水に可溶な窒素化合物の含有量が20
    00ppm以下のグラフト共重合体ラテックスを凝固させ
    て得られたものであることを特徴とする、グラフト共重
    合体ラテックスの凝固粉状物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008163130A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Jsr Corp 水性エマルジョンの製造方法及び水性エマルジョン
JP2012219147A (ja) * 2011-04-06 2012-11-12 Nippon Shokubai Co Ltd 微粒子の製造方法
KR101732230B1 (ko) * 2014-10-10 2017-05-02 주식회사 엘지화학 〔메타〕아크릴산 알킬에스테르 함유 abs 유화 그라프트 수지와 투명 열가소성 수지 조성물 및 이의 제조방법

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