JP2003321262A - セメント混和材及びそれを用いたセメント組成物 - Google Patents

セメント混和材及びそれを用いたセメント組成物

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JP2003321262A JP2002124232A JP2002124232A JP2003321262A JP 2003321262 A JP2003321262 A JP 2003321262A JP 2002124232 A JP2002124232 A JP 2002124232A JP 2002124232 A JP2002124232 A JP 2002124232A JP 2003321262 A JP2003321262 A JP 2003321262A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度に関係なく良好な作業性を保持し、か
つ、良好な作業性を保持したままで高強度を発現できる
セメント混和材及びセメント組成物を提供すること。 【解決手段】 ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性
能減水剤とポリプロピレングリコールを主成分とするセ
メント混和材。さらに、ポリビニルアルコールや石膏類
及び/又は炭酸カルシウムやポゾラン物質を含有してな
る該セメント混和材。また、セメントと、該セメント混
和材からなるセメント組成物であり、セメント100質
量部に対してポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能
減水剤は固形分換算で0.5〜4.0質量部、ポリプロ
ピレングリコール0.05〜1.0質量部、ポリビニル
アルコールは0.01〜0.3質量部、石膏類及び/又
は炭酸カルシウムは15質量部以下、ポゾラン物質は3
0質量部以下の該セメント組成物を構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフローの低下やスラ
ンプロスを改善した良好な作業性を有し、かつ、高強度
を発現するセメント混和材及びそれを用いたセメント組
成物に関し、一般の土木建築構造物やコンクリート二次
製品に使用されるものである。
【0002】
【従来技術】従来、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系
高性能減水剤は、リグニンスルホン酸塩系やポリオール
系、オキシカルボン酸塩系などの一般的な減水剤と比較
して減水率が大きく、また、ポリカルボン酸塩系の高性
能AE減水剤と比較して比較的多量に添加しても凝結硬
化に対する遅延性が小さく、かつ、空気連行性も小さい
ので高強度モルタル又はコンクリートの製造に好適な減
水剤である。しかしながら、フローの低下やスランプロ
スが大きいために、生コンプラントで練混ぜて運搬して
打設する現場打ちのモルタルやコンクリートには使用さ
れないという課題を有しているため、ポリアルキルアリ
ルスルホン酸塩系高性能減水剤は、コンクリートの処理
時間が15分程度と短いコンクリート製品の製造のみに
使用されているが、製品工場においてもトラブルが発生
して30分以上放置されると成形できない場合があると
いう課題を有する。さらに、15℃前後以下の低温時で
はフローの低下やスランプロスがより大きくなるなどの
温度依存性にも課題がある。一方、ポリプロピレングリ
コールは、平均分子量が大きいほど水に難溶性となり、
平均分子量の低い領域の100〜800の範囲のものが
コンクリートの収縮低減剤として提案(特開昭59−1
52253号公報)されているが、特定の減水剤にポリ
プロピレングリコールを併用することにより低温時のフ
ローの低下やスランプロスを改善する効果については知
られていない。ポリビニルアルコールの完全鹸化タイプ
は水に難溶性であるので、通常モルタルやコンクリート
には使用されないが、部分鹸化タイプは壁用モルタルの
コテ延び性の改善などに多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、高性能
減水剤とポリビニルアルコールの併用でフロー低下やス
ランプロスの改善効果について提案(特開2002−1
04852号公報、特開2002−104853号公
報)しているが、ポリビニルアルコールだけでは低温時
のフロー低下やスランプロスを改善する効果が十分でな
いという課題がある。セメントには既に石膏類が、凝結
を正常化するためコンクリートが膨張しない範囲(セメ
ントの種類によりJIS規格値が設定されており、添加
される石膏の種類は一般には二水石膏である)で添加さ
れている。また、炭酸カルシウムは、増量材としてセメ
ントに対して5%以下であれば添加しても良いことにな
っているが、本発明のように、さらに多くの石膏類及び
/又は炭酸カルシウムを配合してもポリアルキルアリル
スルホン酸塩系高性能減水剤を添加したモルタルやコン
クリートのフロー低下やスランプロスを改善する効果は
ないが、ポリプロピレングリコール又はポリプロピレン
グリコールとポリビニルアルコールを併用した系に対し
てはフローの低下やスランプロスを改善する効果を助長
することは知られていない。一般にポゾラン物質は、セ
メントの水和反応によって生成する水酸化カルシウムと
反応してCaO−SiO2−H2O水和物を生成して強度
を高めるが、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能
減水剤を添加した場合のスランプロスを促進するという
課題を有する。ポリプロピレングリコール又はポリプロ
ピレングリコールとポリビニルアルコールを併用するこ
とにより、これらも改善できることは知られていない。
本発明者らは、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性
能減水剤の前記課題を解決するに当たり鋭意研究した結
果、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤と
ポリプロピレングリコールを主成分とするセメント混和
材を使用することにより、さらにポリビニルアルコール
や石膏類及び/又は炭酸カルシウムやポゾラン物質を併
用することにより、温度に関係なく良好な作業性を保持
し、かつ、良好な作業性を保持したままで高強度を発現
できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、(1)
ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤とポリ
プロピレングリコールを主成分とするセメント混和材で
あり、(2)ポリビニルアルコールを含有してなる
(1)のセメント混和材であり、(3)石膏類及び/又
は炭酸カルシウムを含有してなる(1)又は(2)のセ
メント混和材であり、(4)ポゾラン物質を含有してな
る(1)〜(3)のセメント混和材であり、(5)セメ
ントと、(1)〜(4)のいずれかのセメント混和材か
らなるセメント組成物であり、(6)セメント100質
量部に対してポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能
減水剤は固形分換算で0.5〜4.0質量部、ポリプロ
ピレングリコール0.05〜1.0質量部、ポリビニル
アルコールは0.01〜0.3質量部、石膏類及び/又
は炭酸カルシウムは15質量部以下、ポゾラン物質は3
0質量部以下とする(5)のセメント組成物である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
【0006】本発明のポリアルキルアリルスルホン酸塩
系高性能減水剤(以下、高性能減水剤と略記する。)と
は、アルキルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アントラセン
スルホン酸ホルマリン縮合物、芳香族アミノスルホン酸
ホルマリン縮合物などがあり、市販品としては電気化学
工業(株)商品名「FT−500」とそのシリーズ、花
王(株)商品名「マイティ−100(粉末)」や「マイ
ティ−150」とそのシリーズ、第一工業製薬(株)商
品名「セルフロ−110P(粉末)」、竹本油脂(株)
商品名「ポールファイン510N」など、山陽国策パル
プ(株)社商品名「サンフローPS」とそのシリーズな
ど、及び藤沢薬品(株)商品名「パリックFP200
H」などが挙げられ、これらの一種以上が使用される。
これらはリグニンスルホン酸塩系などの一般的な減水剤
やポリカルボン酸塩系の高性能AE減水剤とは異なるカ
テゴリーの減水剤であり、その他の高性能減水剤として
分類されているメラミンホルマリン樹脂スルホン酸塩系
とも異なる減水剤である。本発明の高性能減水剤は、セ
メント100質量部に対して固形分換算で0.5〜4.
0質量部となるように比較的多量に配合することが好ま
しい。ポリプロピレングリコールを併用した場合におい
て高性能減水剤量が0.5質量部以上で特に低温時のモ
ルタルやコンクリートのフローの低下及びスランプロス
(以下、単にスランプロスと略記する。)を改善する効
果が示され、4.0質量部を超えて配合してもスランプ
ロスはそれ以上改善されないので好ましくない。好まし
くは0.6〜3.0質量部、より好ましくは0.8〜
2.0質量部である。
【0007】本発明のプロピレングリコール(以下、P
PGと略記する。)は、特に低温時のスランプロスを改
善する作用を有する。通常、平均分子量が大きいほど難
溶性となるが液体であれば使用可能である。収縮低減剤
など特殊目的に使用される平均分子量の小さいものの他
に、平均分子量1000、2000、3000のものが
市販されておりいずれも使用可能であり、平均分子量の
高い方がスランプロスの改善効果が大きくなるのでより
好ましい。PPGは、セメント100質量部に対して
0.05〜1.0質量部配合され、好ましくは0.07
〜0.7質量部、より好ましくは0.1〜0.5質量部
である。0.05質量部未満ではスランプロスの改善効
果は小さく、同様に1.0質量部を超えて配合してもス
ランプロスの改善効果は小さくなるので好ましくない。
なお、PPGは、平均分子量や配合量に関係なく温度が
25℃以上になるとスランプロスの改善効果は小さくな
る傾向を示す。
【0008】本発明のポリビニルアルコール(以下、P
VAと略記する。)は、鹸化度や重合度に関係なく使用
可能である。鹸化度が95mol%以上の完全鹸化物の
PVAは、難溶性となるが高流動コンクリートを製造す
るのに適し、鹸化度が95mol%未満の部分鹸化物で
は易溶性となって同一スランプを得るのに単位水量は増
加するが高性能減水剤特有の粘性を低減し、斜面に施工
してもダレ難くなるものである。PVAはPPGの低温
時のスランプロス改善効果に影響を与えなく、反対にP
PGはPVAの高温時のスランプロス改善効果に影響を
与えないので両成分を高性能減水剤に配合すると、低温
から高温領域まで安定したスランプロスの改善効果が得
られる。なお、鹸化度や重合度の異なったPVAを適宜
併用することは、溶解性(スランプロス改善効果に関
係)や材料分離抵抗性及びダレ性の調節に好ましい。市
販のPVAは、鹸化度が80〜99mol%のものがあ
り、その用途に応じて選択される。また、市販のPVA
は、重合度が200〜4500の範囲のものがあり、い
ずれも使用可能であるが、溶解性と関連してより好まし
い重合度は500〜2000である。PVAの配合量
は、セメント100質量部に対して0.01〜0.3質
量部となるように配合する。0.01質量部未満では高
性能減水剤やPPGの配合量を変えてもスランプロスを
改善する効果は小さく、0.3質量部を超えて配合する
と、強度低下が大きくなるので好ましくない。好ましく
は0.02〜0.2質量部、より好ましくは0.03〜
0.15質量部である。
【0009】本発明において、石膏類及び/又は炭酸カ
ルシウム(以下、石膏類等と略記する。)は、PPG又
はPPGとPVA(以下、PPG等と略記する。)の有
するスランプロスの改善効果を助長する。石膏類として
は、II型の無水石膏、二水石膏、半水石膏、III型無水
石膏が使用され、特にII型の無水石膏は、PPG等によ
るスランプロス改善効果を助長する作用が大きく、高強
度も得られるので好ましい。II型の無水石膏は、天然産
のものやフッ酸発生時に副生するフッ酸石膏、他の形態
の石膏類を350℃以上の温度で熱処理したものが使用
され、粉末度はセメントと同等以上で有れば特に限定さ
れない。石膏類は、セメント100質量部に対して多く
ても無水物換算で15質量部配合され、これを超えると
PPG等のスランプロスを改善する効果を助長する作用
が低下するので好ましくない。好ましくは1〜10質量
部、より好ましくは2〜8質量部である。
【0010】炭酸カルシウムは、石灰石を粉砕した重質
のもの、沈降法による軽質のもののいずれも使用可能で
あるが、石灰石を粉砕した重質のものが安価でより好ま
しい。炭酸カルシウムは、セメント100質量部に対し
て多くても15質量部配合されるが、これを超えるとP
PG等のスランプロスを改善する効果を助長する作用は
低下するので好ましくない。好ましくは1〜10質量
部、より好ましくは2〜8質量部である。なお、粉末度
などはセメントと同等以上で有れば特に限定されない。
【0011】また、石膏類と炭酸カルシウムを併用して
配合する場合は、それぞれ任意の割合で、合量で15質
量部以下であるが、石膏を2〜8質量部として残りを炭
酸カルシウムとするのがより好ましい。
【0012】本発明において、スランプロスを改善した
良好な作業性とより高強度を得るためのセメント混和材
やセメント組成物を提供するためにポゾラン物質を配合
する。ポゾラン物質とは、セメントの水和によって生成
するCa(OH)2と反応してCaO−SiO2−H2Oを生
成させる無機物質であり、金属シリコンやシリコン合金
を電気炉で製造するときに発生するシリカフュームや
稲、藁、竹、葦などのケイ化木の焼成灰、人工のアエロ
ジル(以上、いずれも非晶質SiO2を主成分とする超微
粉)及びアルミノケイ酸塩の粘土鉱物を焼成したもの
(例:メタカオリン)や麦飯石や珪藻土の粉砕品及び酸
性白土、活性白土、人工の高炉スラグ粉末やフライアッ
シュなどであり、この中の一種又は二種以上を配合す
る。ポゾラン物質の中でもフライアッシュと高炉スラグ
粉末は、スランプロスの改善効果を助長する作用があ
り、比較的短期間に高強度を発現するシリカフュームや
稲、藁、竹、葦などのケイ化木の焼成灰、人工のアエロ
ジル及び粘土鉱物の焼成物の一種以上とフライアッシュ
や高炉スラグ粉末を併用することは、スランプロスの改
善と高強度発現を同時に達成できるので好ましい。さら
にII型無水石膏との併用はより好ましい。ポゾラン物質
は、セメント100質量部に対して多くても30質量部
配合され、30質量部を超えて配合してもそれ以上の強
度やスランプロスを改善する効果は増強されないので、
経済的にも好ましくない。好ましくは20質量部以下、
より好ましくは3〜15質量部である。
【0013】以上、本発明のセメント混和材やそれを用
いたセメント組成物を使用することにより、スランプロ
スの小さい高流動性の又はダレ性を改善したモルタルや
コンクリートの製造が可能となり、かつ、高強度を発現
させることが出来る。
【0014】本発明におけるセメントとは、普通ポルト
ランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポ
ルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、超早
強ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、
耐硫酸塩ポルトランドセメントなどの各種ポルトランド
セメントの他、シリカ粉末や高炉スラグ粉末及びフライ
アッシュを混合した混合セメントである。普通ポルトラ
ンドセメントと比較して早強ポルトランドセメント及び
超早強ポルトランドセメントの使用は、現場打ちでは早
期開放が必要な道路舗装やポーラスコンクリートによる
道路舗装及び常圧蒸気養生を行うコンクリート二次製品
の超高強度化に有利となり、より長時間のスランプロス
防止を行う場合はアルミン酸三カルシウム含有量の少な
い中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメ
ント、耐硫酸塩ポルトランドセメントや混合セメントの
高炉セメントやフライアッシュセメントの使用がより好
ましい。
【0015】本発明において、モルタルやコンクリート
を練混ぜるに際し、特別な方法は必要ではなく、各成分
を別々に、あるいは各成分を予め混合、または混合した
ものを粉砕してセメント混和材としたも及びそれらをセ
メントに混合してセメント組成物として、他のコンクリ
ート材料と一緒にミキサに投入して常法にて練混ぜるこ
とができる。そして、常法による運搬、打設を行えばよ
い。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、
これらに限られるものではない。
【0017】実施例で使用する材料と試験項目とその方
法を以下にまとめて示す。
【0018】「使用材料」 (1)セメント:電気化学工業(株)製の普通ポルトラ
ンドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉セメン
ト(C種、スラグ配合率70%)、フライアッシュセメ
ント(B種、フライアッシュ配合率20%) (2)砂:新潟県姫川産川砂(5mm下) (3)砕石:新潟県姫川産砕石(13〜5mm) (4)高性能減水剤:ポリアルキルアリルスルホン酸塩
系高性能減水剤、第一工業製薬(株)商品名「セルフロ
ー110P(粉末)」 (5)PPG:市販一級試薬 イ:平均分子量1000 ロ:平均分子量2000 ハ:平均分子量3000 (6)PVA:電気化学工業(株)製PVA a:品種名「K-05」、平均重合度500、鹸化度98
〜99mol%(完全鹸化物) b:品種名「K-17」、平均重合度1700、鹸化度9
8.5〜99.5mol%(完全鹸化物) c:品種名「B-05」、平均重合度500、鹸化度80
mol%(部分鹸化物) d:品種名「B-20」、平均重合度2000、鹸化度8
8mol%(部分鹸化物) (7)石膏類等 A:フッ酸発生無水石膏:粉末度5000cm2/g B:石灰石(炭酸カルシウム)粉末:粉末度6000c
2/g (8)ポゾラン物質 I:シリカフューム(BET比表面積23m2/g) II:フライアッシュ:粉末度4000cm2/g(分級
しないもの) III:高炉スラグ粉末:粉末度4500cm2/g
【0019】「試験項目とその方法」 (1)モルタルフロー:JIS R 5201による。
但し、高性能減水剤のみやPVAの完全鹸化物との併用
では抜き上げたときのフローを測定し、部分鹸化物のP
VAとの併用(部分鹸化物と完全鹸化物の混用も同様)
では規定通り15回叩いた後のフローを測定する。な
お、モルタルフローの経時変化はモルタルを静置した状
態とし、測定時間毎に練り返して測定する。 (2)モルタルの成形と強度測定:JIS R 520
1に準ずる。 (3)コンクリートのスランプ:JIS A 1101
に準ずる。スランプの経時変化はコンクリートを静置し
た状態とし、測定時間毎に練り返して測定する。 (4)コンクリート強度:JIS A 1132により
φ10×20cmの型枠に成形し、JIS A 110
8により強度測定する。
【0020】実施例1 普通ポルトランドセメント800g、砂1400gを配
合し、抜き上げフロー又は15回規定通り叩いた後のフ
ローを200±10mmに設定したモルタルに、セメン
ト100質量部に対して外割で、高性能減水剤(表中W
RAと略記)の添加量及びPPGの種類と添加量を変え
た場合のフローの経時変化を温度を変えて測定し、同様
の温度条件で成形したモルタル供試体を2日間その温度
で養生した後に脱型して、20℃で水中養生した材齢2
8日の圧縮強度を測定した。その結果を用いた水量と共
に表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】表1より、高性能減水剤単独では低温の方
がフローの低下が大きい(例えば実験No.1-5、No.1-2
9、No.1-33の比較)。PPGを併用すると特に低温時の
フローの低下が少なくなる(例えば、実験No.1-20、No.
1-32、No.1-36の比較)が、高性能減水剤量が0.5質
量部以上でフローの低下を改善する効果が顕著となり、
高性能減水剤の配合量が多くなるほどその改善効果も大
きくなるものの、4.0質量部を超えてもそれ以上改善
されないので、好ましくは0.6〜3.0質量部、より
好ましくは0.8〜2.0質量部である(実験No.1-1〜
No.1-8とNo.1-9〜No.1-16の比較)。PPGは、通常平
均分子量が大きい方がフローの低下を改善する効果が大
きくなる(例えば、実験No.1-13、No.1-20、No.1-26、N
o.1-30〜No.1-32、No.1-34〜No.1-36の比較)。また、
PPGは、0.05質量部以上でフローの低下を改善す
る効果が顕著となるが多すぎると逆転現象が生じ、1.
0質量部を超えて添加しても効果は示されなくなる。好
ましくは0.07〜0.7質量部、より好ましくは0.
1〜0.5質量部である(実験No.1-17〜No.1-23)。
【0023】実施例2 実施例1の実験No.1-5、No.1-26、及び実験No.1-31、実
験No.1-36の配合とそれぞれの温度条件下で、表2に示
すようにPVAの種類と配合量を変えて同様の試験を行
った。その結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】表2より、PVAはPPGを併用しない場
合は低温でのフローの低下を防止する効果を示さない
(実験No.2-1〜No.2-5)が、PPGと併用することによ
り温度に関係なくフローの低下を防止する(実験No.2-6
〜No.2-35)。PVAは、0.01質量部からフローの
低下を防止し、配合量が多くなるほどその効果も大きく
なるが0.3質量部を超えて多くなりすぎると強度低下
がより急に大きくなることが予測され、好ましくは0.
02〜0.20質量部、より好ましくは0.03〜0.
15質量部である(実験No.2-6〜No.2-15、No.2-22〜N
o.2-31)。
【0026】実施例3 実施例1の実験No.1-33、実験No.1-36と実施例2の実験
No.2-33について、表3に示すように石膏類等の配合量
を変えて同様の試験を行った。その結果を表3に示す。
【0027】
【表3】
【0028】表3より、石膏類等は、PPG又はPPG
とPVAの有するフローの低下防止効果を助長する(実
験No.3-4〜No.3-16、No.3-17〜No.3-23)。石膏類等
は、1質量部よりフローの低下防止の助長効果を示し、
配合量が多くなると助長効果も大きくなるが、多くなり
すぎると逆転現象が生じ、15質量部を超えると助長効
果を示さなくなると予測される。石膏類の場合は、添加
量を多くして行くと強度も高くなり、多くしすぎると低
下してくるが、これらの両面から好ましくは1〜10質
量部、より好ましくは2〜8質量部である(実験No.3-4
〜No.3-10、No.3-17〜No.3-23)。また、石膏類と炭酸
カルシウムを併用する場合は、フローの低下防止効果と
強度の両面から、合量で15質量部以下、より好ましく
は石膏を2〜8質量部として残りを炭酸カルシウムとす
るのがより好ましい(実験No.3-24〜No.3-30)。
【0029】実施例4 実施例1の実験No.1-33、No.1-36と実施例2の実験No.2
-33及び実施例3の実験No.3-7、実験No.3-20にポゾラン
物質(表4中、Poz.と略記する。)の種類と配合量を変
えて同様の試験を行った。その結果を表4に示す。
【0030】
【表4】
【0031】表4より、シリカフュームなどの超微粉は
フローの低下を防止する効果はないが、PPGやPPG
とPVA及び石膏類のフローの低下を防止又は助長する
効果を大きく阻害せず、添加量を多くするほど強度を高
める一方15質量部を超えると頭打ちとなり、30質量
部では僅かに強度は低下する(実験No.4-5〜No.4-1
1)。フライアッシュと高炉スラグ粉末は、3質量部か
らフローの低下を防止する効果を示し、添加量を多くす
るほどフローの低下防止効果をより助長し、多すぎると
助長効果は低下し、30質量部を超えると助長効果を示
さなることが予測される(実験No.4-12〜No.4-17、No.4
-31〜No.4-37)。したがって、ポゾラン物質は、強度又
はフローの低下防止助長効果の両面から多くても30質
量部、好ましくは20質量部以下、より好ましくは3〜
15質量部である。強度増進効果の大きいシリカフュー
ムとフロー低下を防止する効果のあるフライアッシュや
高炉スラグを併用すると、良作業性を維持しながら高強
度を発現させることが出来るのでより好ましい(例え
ば、実験No.4-7、No.4-9とNo.4-18、No.4-19、実験No.4
-34とNo.4-40、No.4-41の比較)。
【0032】実施例5 実施例4の実験No.4-38のモルタルに、最大寸法13m
mの粗骨材を単位量で1000kg/m3配合して、空
気量を2%として1m3となるようにセメントの種類を
変えてコンクリートを配合して練混ぜ、そのスランプの
経時変化と標準養生材齢28日及び供試体成形後6時間
前置き養生してから80℃まで3時間で昇温してそのま
ま5時間保持してから翌日まで養生槽の中で放置して脱
型した材齢1日の圧縮強度を測定した(実験No.5-3〜N
o.5-6)。その結果を表5に示す。なお、比較として実
施例4の実験No.4-1のモルタルを用いて同様に配合した
コンクリートも一部加えた(実験No.5-1、No.5-2)。
【0033】
【表5】
【0034】表5より、本発明のセメント混和材を用い
ることによりセメントの種類に関係なく良作業性の高強
度コンクリートが容易に製造できることが判る。
【0035】
【発明の効果】本発明の高性能減水剤とPPG又はPP
GとPVAを主成分とするセメント混和材及びこの混和
材を配合したセメント組成物を用いると、 スランプロスやダレを改善した良作業性のコンクリー
トを容易に製造することが出来る。 石膏類及び/又は炭酸カルシウムを併用することによ
り、スランプロスをより改善した良作業性の高強度コン
クリートを容易に製造することが出来る。 さらに、ポゾラン物質を併用することにより、良作業
性を保ちながらより高強度なコンクリートを容易に製造
でき、耐久性の高い土木建築構造物やコンクリート二次
製品用のコンクリートを製造することが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 22/14 C04B 22/14 B 24/26 24/26 B 24/32 24/32 28/02 28/02 // C04B 103:32 103:32

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性
    能減水剤とポリプロピレングリコールを主成分とするセ
    メント混和材。
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコールを含有してなる請
    求項1のセメント混和材。
  3. 【請求項3】 石膏類及び/又は炭酸カルシウムを含有
    してなる請求項1又は2のセメント混和材。
  4. 【請求項4】 ポゾラン物質を含有してなる請求項1〜
    3のセメント混和材。
  5. 【請求項5】 セメントと、請求項1〜4のいずれかの
    セメント混和材とからなるセメント組成物。
  6. 【請求項6】 セメント100質量部に対して、ポリア
    ルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤を固形分換算
    で0.5〜4.0質量部、ポリプロピレングリコールを
    0.05〜1.0質量部、ポリビニルアルコールを0.
    01〜0.3質量部、石膏類及び/又は炭酸カルシウム
    を15質量部以下、ポゾラン物質を30質量部以下を配
    合することを特徴とする請求項5のセメント組成物。
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