JP2003320663A - 液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクカートリッジ並びにインクジェット記録装置

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JP2003320663A
JP2003320663A JP2002130509A JP2002130509A JP2003320663A JP 2003320663 A JP2003320663 A JP 2003320663A JP 2002130509 A JP2002130509 A JP 2002130509A JP 2002130509 A JP2002130509 A JP 2002130509A JP 2003320663 A JP2003320663 A JP 2003320663A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐腐食性膜の形成によって振動板に撓みが生
じて、滴吐出特性にバラツキが発生する。 【解決手段】 流路形成部材1の全面に液に対して耐腐
食性を有する第1の耐腐食性膜21を形成し、振動板1
0を形成する振動板部材17の液室側表面に液に対して
耐腐食性を有する第2の耐腐食性膜22を形成し、流路
形成部材1と振動板部材17とを第1、第2の耐腐食性
膜21、22を介して接合した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド及びその
製造方法、インクカートリッジ並びにインクジェット記
録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プ
ロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いる
インクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズル
と、このノズルが連通するインク流路(吐出室、圧力
室、加圧液室、液室等とも称される。)と、このインク
流路内のインクを加圧する駆動手段とを備えた液滴吐出
ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したもので
ある。なお、液滴吐出ヘッドとしては例えば液体レジス
トを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料
を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以
下ではインクジェットヘッドを中心に説明する。
【0003】インクジェットヘッドとしては、インク流
路内のインクを加圧するエネルギーを発生するエネルギ
ー発生手段として、圧電素子を用いてインク流路の壁面
を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化
させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの
(特開平2−51734号公報参照)、或いは、発熱抵
抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発
生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆ
るサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参
照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対
向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によ
って振動板を変形させることで、インク流路内容積を変
化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6
−71882号公報参照)などが知られている。
【0004】ところで、インクジェット記録装置におい
ては、高速での特にカラー画像の高画質記録を達成する
ため、高画質化の面ではマイクロマシン技術を用いた高
密度加工が用いられ、ヘッド構成部材の材料も、金属、
プラスチックなどからシリコン、ガラス、セラミックス
などに移行し、特に微細加工に適した材料としてシリコ
ンが用いられようになっている。
【0005】また、カラー化の面では、インク及び記録
メディア(媒体)の開発が主であり、記録メディアにイ
ンクが付着した時の浸透性や発色性、混色防止性などの
面からの最適化や、印字したメディアの長期保存性、イ
ンク自身の保存性などを高めるために、インクの成分、
組成についても開発が進められている。
【0006】この場合、インクとヘッド構成部材の材料
の組み合わせによっては、インクによってヘッド構成部
材がインクに溶解してしまうことがある。特に、流路形
成部材をシリコンで形成した場合に、インクにシリコン
が溶出して、ノズル部に析出し、ノズルの目詰まりが発
生したり、インクの発色性を低下させて画質が劣化す
る。また、振動板を用いるヘッドにあっては、シリコン
薄膜振動板としたときにも同様に振動板を形成するシリ
コンが溶出すると、振動特性が変動したり、振動不能に
なる。
【0007】これに対して、ヘッド構成部材の材料の変
更で対応したのでは、高密度加工の実現が困難になった
り、加工精度の低下なども発生することが多い。また、
材料の変更は、加工プロセスの大幅な変更や、組立て工
程の工夫が必要になったりする結果、ノズル密度の低
下、ひいては印字品質の低下が引き起こされる。
【0008】一方、インク組成の調整で対応するので
は、もともとインクの成分、組成は印字品質を高めるた
めに記録メディアに対する浸透性、発色性が最適になる
ように、あるいは保存性が良くなるように調整している
ので、成分の変更調整は高画質化を損うことになりかね
ない。
【0009】そこで、従来のインクジェットヘッドにあ
っては、流路形成部材のインクに接する面に耐インク性
の薄膜を形成することが行われている。例えば、WO9
8/42513号公報にはインクに接する面に、チタン
又は、チタン化合物あるいは、酸化アルミニウムを形成
することが、特開平5―229118号公報にはインク
に接する面に酸化物膜を形成すること、特開平10−2
91322号公報には酸化シリコン膜の表面に耐インク
性を有する酸化物、窒化物、金属等の薄膜を形成するこ
と、特開2000−246895号公報には圧電材から
なるインク液室表面に有機樹脂膜を形成することが開示
されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のヘッドのうち、パラキシレン等の有機樹脂膜を
形成したヘッドにあっては、複雑な立体形状をしたイン
ク液室の側壁と振動板上に対してパラキシレン等の有機
樹脂膜を真空蒸着法によって形成するため、その成膜手
法の性質上、耐腐食性膜の被覆性が悪く、液室内部や振
動板上で大きな膜厚分布が発生する。
【0011】この場合、膜厚が薄い領域において長期間
にわたってインクが接した場合、耐腐食性薄膜が溶解
し、やがては下地部材を浸食するので、長期信頼性に大
きな問題を生じている。また、振動板上の有機樹脂膜の
膜厚分布に起因する内部応力の分布によって、振動板に
大きな撓みを生じ、インク噴射特性の大きなバラツキの
原因となっている。
【0012】また、メタル系の耐インク性薄膜をスパッ
タ法や蒸着法でインク液室側壁や振動板上に形成したヘ
ッドにあっても、上述した有機樹脂膜の場合と同様に、
耐腐食性膜の被覆性が悪く、場所によっては非常に薄く
形成される領域が発生し、前同様に、長期間にわたり、
このような領域にインクが接した場合、耐腐食性薄膜が
溶解し、やがては下地部材を浸食するので、長期信頼性
が確保できず、更に、振動板上のメタル系耐インク性薄
膜の膜厚分布に起因する内部応力分布によって振動板に
大きな撓みを生じ、インク噴射特性の大きなバラツキの
原因となる。
【0013】特に、静電型ヘッドにおいては、振動板が
大きく撓むことで、振動板と電極間との間隔が変化し、
駆動電圧が設計値と大きく異なってくるため、ピエゾ型
ヘッドよりも問題は大きなものとなる。
【0014】さらに、いずれのヘッドにおいても、振動
板とインク液室側壁の耐腐食性膜を同時に形成する関係
上、その材質は等しくなり気泡排出特性の観点から適切
な材料を部位毎に選択することができない。
【0015】また、上述したTiやTi化合物、Al
3や酸化シリコン膜を耐インク性薄膜としてヘッドの
振動板上に形成した場合、薄膜の内部応力により振動板
が変形するため、膜厚を厚く形成することが困難であ
る。そのため、表面に付着したゴミ等の影響によって膜
にピンホールが発生し、その箇所から液室部材であるシ
リコンがインクに溶解するといった不良が発生する。こ
の場合、過剰に溶解したシリコンはノズル部に析出しノ
ズル詰まりの問題を発生したり、本来のインク発色性を
損なわせ画質劣化を生じさせる。
【0016】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、低コストで液体による腐食を防止した信頼性の
高い液滴吐出ヘッド及びヘッド一体型のインクカートリ
ッジを提供するとともに、信頼性に優れたインクジェッ
ト記録装置を提供し、さらに、低コストで高い信頼性を
有する耐腐食性膜を形成する液滴吐出ヘッドの製造方法
を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液流路を形成する
流路形成部材の表面に液に対して耐腐食性を有する第1
の耐腐食性膜が形成され、振動板を形成する振動板部材
表面に液に対して耐腐食性を有する第2の耐腐食性膜が
形成されている構成としたものである。
【0018】ここで、第1の耐腐食性膜と第2の耐腐食
性膜とが異なる材質であることが好ましい。また、第2
の耐腐食性膜の内部応力は引張り応力であることが好ま
しい。さらに、第1の耐腐食性膜は酸化シリコン膜であ
り、第2の耐腐食性膜は有機樹脂系膜であることが好ま
しい。さらにまた、有機樹脂系膜はポリイミド又はポリ
ベンゾオキサゾールであることが好ましい。また、流路
形成部材はシリコンであることが好ましい。
【0019】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、本発明に係る液滴吐出ヘッドを製造する方法であっ
て、流路形成部材の表面に第1の耐腐食性膜を形成する
工程と、振動板部材上に第2の耐腐食性膜を形成する工
程と、流路形成部材と振動板部材とを第1の耐腐食性膜
と第2の耐腐食性膜を介して互いに接着する工程とを含
む構成としたものである。
【0020】本発明に係るインクカートリッジは、本発
明に係る液滴吐出ヘッドとこのヘッドにインクを供給す
るインクタンクを一体化したものである。
【0021】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出するインクジェットヘッドとして本発明
に係る液滴吐出ヘッド又は本発明に係るインクカートリ
ッジを搭載したものである。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。本発明の液滴吐出ヘッドの第
1実施形態に係るインクジェットヘッドについて図1及
び図2を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの断
面斜視説明図、図2は同ヘッドの液室長手方向に沿う断
面説明図である。
【0023】このインクジェットヘッドは、流路形成部
材1と、この流路形成部材1の下面に接合した振動板1
0を含むアクチュエータ基板2と、流路形成部材1の上
面に接合したノズル板3とを順次接着接合して構成し、
これらによってインク滴を吐出するノズル5が連通する
流路(インク液室)である加圧液室6、加圧液室6に流
体抵抗部7を介してインクを供給する共通液室8を形成
している。
【0024】流路形成部材1は、単結晶シリコン基板か
らなり、加圧液室6を形成する貫通部、流体抵抗部7と
なる溝部及び共通液室8を形成する貫通部を形成してい
る。流路形成部材1としてシリコン基板を用いること
で、高剛性の材料であるので隣接する加圧液室間のクロ
ストークの影響を防止でき、ノズル間の液滴噴射特性の
バラツキが低減し、また、微細加工性に優れるため、高
精度で液流路を形成できる。そして、この流路形成部材
1の表面にはインクに対して耐腐食性を有する第1の耐
腐食性膜21を形成している。
【0025】アクチュエータ基板2は、(100)面方
位のp型単結晶シリコン基板11上に酸化シリコン膜1
2を形成し、この酸化シリコン膜12上に駆動電極13
を形成し、これらの表面に更に酸化シリコン膜14を成
膜し、この酸化シリコン膜14を彫り込んでスペーサ部
15及びギャップ16を形成し、このギャップ16を介
して駆動電極13に対向する振動板10を形成する振動
板形成部材17をスペーサ部15上に設けたものであ
る。振動板形成部材17は例えばボロン原子を1E20
/cm含む厚さ2μmのシリコン薄膜で形成してい
る。なお、ここでは加圧液室6に対応する部分を「振動
板」と称し、各加圧液室6に対応する振動板を含む部材
を「振動板部材」と称する。
【0026】そして、この振動板部材17の表面には少
なくとも振動板10上にインクに対して耐腐食性を有す
る第2の耐腐食性膜22を形成している。
【0027】また、このアクチュエータ基板2は駆動電
極13を一端部側に引き出して対応する部分の酸化シリ
コン膜14を除去して電極パッド部18を形成し、この
電極パッド部18を介して駆動電極13にFPCやワイ
ヤーボンディングによる接続手段を接続してドライバI
C(駆動回路)を接続するようにしている。
【0028】ノズル板3は各加圧液室6に対応して直径
10〜30μmのノズル5を形成し、流路形成部材1に
接着剤接合している。このノズル板3としては、ステン
レス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィ
ルムなどの樹脂との組み合せ、、シリコン、及びそれら
の組み合わせからなるものを用いることができる。ま
た、ノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、インク
との撥水性を確保するため、メッキ被膜、あるいは撥水
剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を形成してい
る。
【0029】ここで、流路形成部材1には、上述したよ
うに加圧液室6の内壁面や共通液室8の内壁面などの液
が接する面を含む全ての表面に第1の耐腐食性膜21を
成膜している。ここでは、第1の耐腐食性膜21として
は酸化シリコン膜を用いている。この酸化シリコン膜は
熱酸化法によって膜厚1μmに形成している。
【0030】また、振動板部材17には振動板10の液
に接する面を含む表面全面に第2の耐腐食性膜22を成
膜している。ここでは、第2の耐腐食性膜22としては
有機樹脂薄膜であるポリペンゾオキサゾール膜を用いて
いる。このポリペンゾオキサゾール膜はスピンコート法
によって厚さ1μmに形成している。このような有機樹
脂膜を用いた場合、振動板10は膜が形成されても撓み
を発生しない。また、第2の耐腐食性膜としてポリイミ
ド又はポリベンゾオキサゾールなどの有機樹脂膜を用い
ることで、有機樹脂膜は耐腐食性に優れ、吐出する液の
種類や化学的性質に制限を設ける必要が無く、長期間に
わたり、あらゆる種類の液の吐出動作を信頼性良く行う
ことができる。
【0031】そして、これらの流路形成部材1とアクチ
ュエータ基板2の振動板部材17とは第1の耐腐食性膜
21及び第2の耐腐食性膜22を介して接着接合されて
いる。さらに、流路形成部材1に第1の耐腐食性膜21
を介してインクに対して耐腐食性を有する材料からなる
ノズル板3が接着接合されている。
【0032】このように構成したこのヘッドにおいて
は、例えば振動板部材17を電気的に接地し、電極パッ
ド部18を介して駆動電極13にパルス状駆動電圧を印
加すると、電圧を引加した駆動電極13と振動板10と
の間に静電引力が働き、振動板10が静電引力により駆
動電極13側に変形し、その結果、加圧液室6は十分に
引圧となり、流体抵抗部7を介して共通液室8から加圧
液室6にインクが供給され、この状態で駆動電極13へ
の駆動電圧の印加を停止すると、振動板10と駆動電極
13間の静電引力がなくなるので、振動板10が加圧液
室6側へ復元し、加圧液室6内のインクが加圧されるの
で、ノズル5からインク滴が矢印23方向に吐出され
る。
【0033】このとき、振動板10は第2の耐腐食性膜
22を形成したことによる撓みがなく平坦な振動板とな
るので、ノズル5間でのバラツキが少なく、また、設計
値通りの駆動電圧で液吐出特性が得られた。また、この
状態でインクによる信頼性試験を行った結果、振動板1
0上に形成した第2の耐腐食性膜22としての有機樹脂
膜であるポリベンゾオキサゾールは耐腐食性に優れてい
るため、動作特性の劣化が無いことが確認できた。
【0034】このように、流路形成部材に第1の耐腐食
性膜を設け、振動板部材に第2の耐腐食性膜を設けるこ
とによって、第1、第2の耐腐食性膜を独立に形成する
ことが可能となり、振動板上の第2の耐腐食性膜の膜厚
分布を均一に形成することができる。これによって、内
部応力分布が発生せず、振動板の撓みを抑制することが
でき、振動板撓みによる動作特性のバラツキを低減する
ことができる。また、耐腐食性膜の膜厚が均一であって
膜厚分布による局所的なピンホールや膜の溶解による部
材の侵食不良を防止することができる。
【0035】この場合、第1の耐腐食性膜と第2の耐腐
食性膜の材質を異ならせることで、液の濡れ性を独立に
制御することができるため、気泡排出性に適切な材料選
定を行なうことが可能となり、高歩留まりの液滴吐出ヘ
ッドが実現できる。また、第2の耐腐食性薄膜として内
部応力が引張り応力の膜を用いることにより、座屈によ
る振動板撓みが発生せず動作特性のバラツキを低減する
ことができる。さらに、第1の耐腐食性膜として酸化シ
リコン膜を用いることで、液の濡れ性が良く気泡排出性
に優れ、第2の耐腐食性膜として有機樹脂系膜を用いる
ことで、ピンホール等の膜欠陥による不良の発生が防止
できるため、高歩留まりの液滴吐出ヘッドが実現でき
る。
【0036】次に、同第2実施形態に係るインクジェッ
トヘッドについて本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方
法の第1実施形態とともに図3ないし図5を参照して説
明する。なお、各図はいずれも断面斜視図であるが、断
面ハッチングは省略している。このヘッドは静電型液滴
吐出ヘッドであって、図3(a)に示すように、流路形
成部材となる面方位(110)のシリコン基板31を準
備し、同図(b)に示すように、シリコン基板31に加
圧液室等の液流路となる貫通部32をKOHによるウェ
ットエッチングや高密度プラズマを用いたドライエッチ
ング等による異方性エッチングで形成する。そして、同
図(c)に示すように、このシリコン基板31の表面に
第1の耐腐食性膜21を形成する。
【0037】この第1の耐腐食性膜21は、熱酸化法に
よって形成されたシリコン酸化膜が好ましいが、ディッ
プ法やCVD法等によって形成された有機樹脂膜等の耐
腐食性膜であっても良い。また、第1の耐腐食性膜21
の膜厚は用いる液の性質によって適宜設定される。この
ようにして液に接する全ての表面に第1の耐腐食性膜2
1が形成された流路形成部材1が完成する。
【0038】一方、図4(a)に示すように、シリコン
基板41に酸化膜42を形成して、この酸化膜42に溝
43を彫り込んでスペーサ部45を形成するとともに、
溝43内に駆動電極44を配置して図示しない電極保護
膜を形成し、この駆動電極44にギャップ46を介して
対向する振動板10を形成する振動板部材47を接合
し、同図(b)に示すように、この振動板部材47表面
に第2の耐腐食性膜22を形成してアクチュエータ基板
2を完成する。
【0039】ここで、振動板10を形成する振動板部材
17は不純物をドープしたシリコンなどの導電性を有す
る部材、絶縁物表面に導電膜を形成した部材、例えば窒
化シリコン膜表面にメタルを形成して導電性を付与した
ものなどを用いることができる。また、駆動電極44は
不純物をドープしたシリコンやメタル等を用いることが
できる。
【0040】このとき振動板10は撓みが無く完全に平
坦になっている。この振動板10を形成する振動板部材
47の表面に形成する第2の耐腐食性膜22としては、
有機樹脂膜、例えばポリイミド或いはポリペンゾオキサ
ゾールが好ましい。この有機樹脂膜は、スピンコート法
やスプレー法、CVD法等によって厚さ0.1μm〜5
0μmの範囲内、より好ましくは0.5μm〜10μm
の範囲内で振動板部材47の全面にわたり形成する。こ
の膜厚範囲は、著しく薄い場合は振動板10上に存在す
るゴミ等が原因となって発生するピンホールを生じ、更
に著しく厚い場合には振動板10の剛性が高くなり噴射
特性が変化するという観点から定まる。
【0041】この第2の耐腐食性膜22の内部応力は引
張り応力を有している。有機系樹脂膜以外にメタル系の
膜を使用することも可能であって、液に対して耐腐食性
を有する引張り応力の膜であれば何れでも良い。このよ
うに平坦な振動板10上に第2の耐腐食性膜22を第1
の耐腐食性膜21と独立に前記手法によって形成するこ
とで、振動板10上の膜厚分布を均一にすることができ
る。結果として、内部応力の分布が無くなり耐腐食性膜
を振動板上に形成しても撓みの無い平坦な振動板が得ら
れる。
【0042】なお、振動板上に第2の耐腐食性膜を形成
せず、振動板を液に対して耐腐食性を有する材料、例え
ばアルカリ性の液であればニッケル等、酸性の液であれ
ばシリコン等で形成しても何ら問題はない。
【0043】その後、図5(a)に示すように、流路形
成部材1とアクチュエータ基板2の二つの基板を第1の
耐腐食性膜21と第2の耐腐食性膜22を介して互いに
アライメントして接着する。さらに、同図(b)に示す
ように、液流路形成部材1上に液滴吐出のためのノズル
5が形成された耐腐食性を有するノズル板3、例えばニ
ッケルやシリコン、或いは前記材料表面に耐腐食性膜で
被覆したノズル板を接着して、液滴吐出ヘッドを完成す
る。
【0044】次に、同第3実施形態に係るインクジェッ
トヘッドについて図6及び図7を参照して説明する。な
お、図6は同ヘッドの断面斜視説明図、図7は同ヘッド
の液室長手方向に沿う断面説明図である。
【0045】このインクジェットヘッドは、流路形成部
材51と、この流路形成部材51の下面に接合した振動
板60を含むアクチュエータ基板52と、流路形成部材
51の上面に接合したノズル板53とを順次接着接合し
て構成し、これらによってインク滴を吐出するノズル5
5が連通する流路(インク液室)である加圧液室56、
加圧液室56に流体抵抗部57を介してインクを供給す
る共通液室58を形成している。
【0046】流路形成部材51は、単結晶シリコン基板
からなり、加圧液室56を形成する貫通部、流体抵抗部
57となる溝部及び共通液室58を形成する貫通部を形
成している。流路形成部材51としてシリコン基板を用
いることで、高剛性の材料であるので隣接する加圧液室
間のクロストークの影響を防止でき、ノズル間の液滴噴
射特性のバラツキが低減し、また、微細加工性に優れる
ため、高精度で液流路を形成できる。そして、この流路
形成部材51の表面にはインクに対して耐腐食性を有す
る第1の耐腐食性膜71を形成している。
【0047】アクチュエータ基板52は、セラミックス
基板などの絶縁性基板61上に各加圧液室56に対応し
て圧電素子62を、各加圧液室56の隔壁間に対応して
支持部材63を設け、この圧電素子62及び支持部材6
3並びにフレーム部材66上に振動板60を形成する振
動板形成部材67を設けたものである。なお、圧電素子
62及び支持部材63は1枚の積層型圧電素子ブロック
にスリット加工を施して形成したものである。
【0048】圧電素子62としては、厚さ20〜50μ
m/層のPZT(=Pb(Zr・Ti)O3)などの圧電体
64と、厚さ数μm/層の銀・パラジューム(AgPd)
からなる内部電極65を交互に積層し、駆動電圧を与え
らることによって積層方向に電界が発生して、積層方向
の伸びの変位(電界と同方向のd33方向の変位)が生
じる積層型圧電素子を用いている。なお、圧電体64と
して用いる材料は上記に限られるものでなく、一般に圧
電素子材料として用いられるBaTiO3、PbTiO3
(NaK)NbO3等の強誘電体などを用いることもでき
る。
【0049】振動板部材67はニッケル電鋳で形成して
いる。なお、ここでも加圧液室56に対応する部分を
「振動板」と称し、各加圧液室56に対応する振動板を
含む部材を「振動板部材」と称する。
【0050】そして、この振動板部材67の表面には少
なくとも振動板10上にインクに対して耐腐食性を有す
る第2の耐腐食性膜72を形成している。
【0051】ノズル板53は各加圧液室56に対応して
直径10〜30μmのノズル55を形成し、流路形成部
材51に接着剤接合している。このノズル板53として
は、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミ
ド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合せ、、シリコン、
及びそれらの組み合わせからなるものを用いることがで
きる。また、ノズル面(吐出方向の表面:吐出面)に
は、インクとの撥水性を確保するため、メッキ被膜、あ
るいは撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を
形成している。
【0052】ここで、流路形成部材51には、上述した
ように加圧液室56の内壁面や共通液室58の内壁面な
どの液が接する面を含む全ての表面に第1の耐腐食性膜
71を成膜している。ここでは、第1の耐腐食性膜71
としては酸化シリコン膜を用いている。この酸化シリコ
ン膜は熱酸化法によって膜厚1μmに形成している。
【0053】また、振動板部材67には振動板60の液
に接する面を含む表面全面に第2の耐腐食性膜72を成
膜している。ここでは、第2の耐腐食性膜72としては
有機樹脂薄膜であるポリペンゾオキサゾール膜を用いて
いる。このポリペンゾオキサゾール膜はスピンコート法
によって厚さ1μmに形成している。このような有機樹
脂膜を用いた場合、振動板60は膜が形成されても撓み
を発生しない。また、第2の耐腐食性膜としてポリイミ
ド又はポリベンゾオキサゾールなどの有機樹脂膜を用い
ることで、有機樹脂膜は耐腐食性に優れ、吐出する液の
種類や化学的性質に制限を設ける必要が無く、長期間に
わたり、あらゆる種類の液の吐出動作を信頼性良く行う
ことができる。
【0054】そして、これらの流路形成部材51とアク
チュエータ基板52の振動板部材67とは第1の耐腐食
性膜71及び第2の耐腐食性膜72を介して接着接合さ
れている。さらに、流路形成部材51に第1の耐腐食性
膜71を介してインクに対して耐腐食性を有する材料か
らなるノズル板53が接着接合されている。
【0055】このように構成したこのヘッドにおいて
は、例えば圧電素子62に例えば30Vのパルス状駆動
電圧を印加すると、圧電素子62が変位して振動板60
が加圧液室56側へ押され、加圧液室56内のインクが
加圧されるので、ノズル55からインク滴が矢印73方
向に吐出される。
【0056】そして、インク滴の吐出に伴って加圧液室
56内の圧力が低下し、このときのインク流れの慣性に
よって加圧液室56内には若干の負圧が発生する。この
状態の下において、圧電素子62への電圧の印加をオフ
状態にすることによって、振動板60が元の位置に戻っ
て加圧液室56が元の形状になるため、さらに負圧が発
生する。このとき、共通液室58から流体抵抗部57を
通じて加圧液室56にインクが充填される。そこで、ノ
ズル5のインクメニスカス面の振動が減衰して安定した
後、次のインク滴吐出のために圧電素子62にパルス状
駆動電圧を印加する。なお、ここでは押し打ちで説明し
ているが、引き打ちで駆動することもできる。
【0057】このとき、振動板60は第2の耐腐食性膜
72を形成したことによる撓みがなく平坦な振動板とな
るので、ノズル55間でのバラツキが少なく、また、設
計値通りの駆動電圧で液吐出特性が得られた。また、こ
の状態でインクによる信頼性試験を行った結果、振動板
60上に形成した第2の耐腐食性膜72としての有機樹
脂膜であるポリベンゾオキサゾールは耐腐食性に優れて
いるため、動作特性の劣化が無いことが確認できた。
【0058】次に、この実施形態に係るインクジェット
ヘッドの製造工程について図8ないし図10を参照して
説明する。なお、各図はいずれも断面斜視図であるが、
断面ハッチングは省略している。このヘッドは静電型液
滴吐出ヘッドであって、図8(a)に示すように、流路
形成部材となる面方位(110)のシリコン基板81を
準備し、同図(b)に示すように、シリコン基板81に
加圧液室等の液流路となる貫通部82をKOHによるウ
ェットエッチングや高密度プラズマを用いたドライエッ
チング等による異方性エッチングで形成する。そして、
同図(c)に示すように、このシリコン基板81の表面
に第1の耐腐食性膜71を形成する。
【0059】この第1の耐腐食性膜71は、熱酸化法に
よって形成されたシリコン酸化膜が好ましいが、ディッ
プ法やCVD法等によって形成された有機樹脂膜等の耐
腐食性膜であっても良い。また、第1の耐腐食性膜71
の膜厚は用いる液の性質によって適宜設定される。この
ようにして液に接する全ての表面に第1の耐腐食性膜7
1が形成された流路形成部材51が完成する。
【0060】一方、図9(a)に示すように、絶縁性支
持基板91に積層型圧電素子ブロックを接合して、この
積層型圧電素子ブロックにスリット加工を施して圧電素
子92と支持部材93とに分割し、これらの圧電素子9
2及び支持部材93並びに図示しないフレーム部材上に
振動板60を形成する振動板部材97を接合し、同図
(b)に示すように、この振動板部材97表面に第2の
耐腐食性膜72を形成してアクチュエータ基板52を完
成する。
【0061】ここで、振動板60を形成する振動板部材
67はニッケル電鋳で形成しているが、圧電素子92の
変位をインクに対して十分に伝達できる部材であれば何
でも良く、絶縁材であってもメタル等の導電材であって
も良い。
【0062】このとき振動板60は撓みが無く完全に平
坦になっている。この振動板60を形成する振動板部材
97の表面に形成する第2の耐腐食性膜72としては、
有機樹脂膜、例えばポリイミド或いはポリペンゾオキサ
ゾールが好ましい。この有機樹脂膜は、スピンコート法
やスプレー法、CVD法等によって厚さ0.1μm〜5
0μmの範囲内、より好ましくは0.5μm〜10μm
の範囲内で振動板部材97の全面にわたり形成する。こ
の膜厚範囲は、著しく薄い場合は振動板60上に存在す
るコミ等が原因となって発生するピンホールを生じ、更
に著しく厚い場合には振動板60の剛性が高くなり噴射
特性が変化するという観点から定まる。
【0063】この第2の耐腐食性膜72の内部応力は引
張り応力を有している。有機系樹脂膜以外にメタル系の
膜を使用することも可能であって、液に対して耐腐食性
を有する引張り応力の膜であれば何れでも良い。このよ
うに平坦な振動板60上に第2の耐腐食性膜72を第1
の耐腐食性膜71と独立に前記手法によって形成するこ
とで、振動板60上の膜厚分布を均一にすることができ
る。結果として、内部応力の分布が無くなり耐腐食性膜
を振動板上に形成しても撓みの無い平坦な振動板が得ら
れる。
【0064】なお、振動板上に第2の耐腐食性膜を形成
せず、振動板を液に対して耐腐食性を有する材料、例え
ばアルカリ性の液であればニッケル等、酸性の液であれ
ばシリコン等で形成しても何ら問題はない。
【0065】その後、図10(a)に示すように、流路
形成部材51とアクチュエータ基板52の二つの基板を
第1の耐腐食性膜71と第2の耐腐食性膜72を介して
互いにアライメントして接着する。さらに、同図(b)
に示すように、液流路形成部材51上に液滴吐出のため
のノズル55が形成された耐腐食性を有するノズル板5
3、例えばニッケルやシリコン、或いは前記材料表面に
耐腐食性膜で被覆したノズル板を接着して、液滴吐出ヘ
ッドを完成する。
【0066】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドをイン
クタンクと一体にしたインクカートリッジ(インクタン
ク一体型ヘッド)について図11を参照して説明する。
このインクカートリッジ100は、ノズル孔101等を
有する上記各実施形態のいずれかのインクジェットヘッ
ド102と、このインクジェットヘッド102に対して
インクを供給するインクタンク103とを一体化したも
のである。
【0067】このように本発明に係る液滴吐出ヘッドで
あるインクジェットヘッドとインクタンクとを一体化す
ることにより、信頼性が高く、滴吐出特性のバラツキの
少ない液滴吐出ヘッドを一体化したインクカートリッジ
(インクタンク一体型ヘッド)が得られる。
【0068】次に、本発明に係るインクジェット記録装
置の一例について図12及び図13を参照して説明す
る。なお、図12は同記録装置の斜視説明図、図13は
同記録装置の機構部の側面説明図である。
【0069】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッ
ジ、キャリッジに搭載した本発明に係る液滴吐出ヘッド
からなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するイ
ンクカートリッジ等で構成される印字機構部112等を
収納し、装置本体111の下方部には前方側から多数枚
の用紙113を積載可能な給紙カセット(或いは給紙ト
レイでもよい。)114を抜き差し自在に装着すること
ができ、また、用紙113を手差しで給紙するための手
差しトレイ115を開倒することができ、給紙カセット
114或いは手差しトレイ115から給送される用紙1
13を取り込み、印字機構部112によって所要の画像
を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ116に
排紙する。
【0070】印字機構部112は、図示しない左右の側
板に横架したガイド部材である主ガイドロッド121と
従ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方
向(図22で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、この
キャリッジ123にはイエロー(Y)、シアン(C)、
マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を
吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェ
ットヘッドからなるヘッド124を複数のインク吐出口
を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方
向を下方に向けて装着している。またキャリッジ123
にはヘッド124に各色のインクを供給するための各イ
ンクカートリッジ125を交換可能に装着している。な
お、本発明に係るヘッド一体型ヘッド(インクカートリ
ッジ)を搭載するようにすることもできる。
【0071】インクカートリッジ125は上方に大気と
連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへイン
クを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多
孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジ
ェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持
している。
【0072】また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘ
ッド124を用いているが、各色のインク滴を吐出する
ノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0073】ここで、キャリッジ123は後方側(用紙
搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に
嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッ
ド122に摺動自在に載置している。そして、このキャ
リッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査
モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動
プーリ129との間にタイミングベルト130を張装
し、このタイミングベルト130をキャリッジ123に
固定しており、主走査モーター127の正逆回転により
キャリッジ123が往復駆動される。
【0074】一方、給紙カセット114にセットした用
紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給
紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ロ
ーラ131及びフリクションパッド132と、用紙11
3を案内するガイド部材133と、給紙された用紙11
3を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送
ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及
び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を
規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ1
34は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0075】そして、キャリッジ123の主走査方向の
移動範囲に対応して搬送ローラ134から送り出された
用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙
ガイド部材である印写受け部材139を設けている。こ
の印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙
113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送
コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排
紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車1
44と、排紙経路を形成するガイド部材145,146
とを配設している。
【0076】記録時には、キャリッジ123を移動させ
ながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動するこ
とにより、停止している用紙113にインクを吐出して
1行分を記録し、用紙113を所定量搬送後次の行の記
録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記
録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を
終了させ用紙113を排紙する。この場合、ヘッド12
4を構成する本発明に係るインクジェットヘッドはイン
ク滴噴射の制御性が向上し、特性変動が抑制されている
ので、安定して高い画像品質の画像を記録することがで
きる。
【0077】また、キャリッジ123の移動方向右端側
の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良
を回復するための回復装置147を配置している。回復
装置147はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手
段を有している。キャリッジ123は印字待機中にはこ
の回復装置147側に移動されてキャッピング手段でヘ
ッド124をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に
保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出す
ることにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、
安定した吐出性能を維持する。
【0078】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド124の吐出口(ノズル)を密封し、
チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに
気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等
はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復され
る。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された
廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のイ
ンク吸収体に吸収保持される。
【0079】このように、このインクジェット記録装置
においては本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジ
ェットヘッドを搭載しているので、高画質記録を高い信
頼性で行うことができる。
【0080】なお、上記実施形態においては、液滴吐出
ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明
したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドと
して、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴
吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐
出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッドにも適用できる。ま
た、マイクロポンプなどの液体を輸送するマイクロデバ
イスにも適用することができる。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドによれば、液流路を形成する流路形成部材の
表面に液に対して耐腐食性を有する第1の耐腐食性膜が
形成され、振動板を形成する振動板部材表面に液に対し
て耐腐食性を有する第2の耐腐食性膜が形成されている
ので、信頼性が高く、滴吐出特性のバラツキが低減す
る。
【0082】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、流路形成部材の表面に第1の耐腐食性膜を形成
する工程と、振動板部材上に第2の耐腐食性膜を形成す
る工程と、流路形成部材と振動板部材とを第1の耐腐食
性膜と第2の耐腐食性膜を介して互いに接着する工程と
を含む構成としたので、信頼性が高く、滴吐出特性のバ
ラツキが低減したヘッドが得られる。
【0083】本発明に係るインクカートリッジによれ
ば、本発明に係る液滴吐出ヘッドとこのヘッドにインク
を供給するインクタンクを一体化したので、信頼性が高
く、滴吐出特性のバラツキが低減したヘッド一体型カー
トリッジが得られる。
【0084】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、インク滴を吐出するインクジェットヘッドとして
本発明に係る液滴吐出ヘッド又は本発明に係るインクカ
ートリッジを搭載したので、高い信頼性で高画質記録を
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係る
インクジェットヘッドの断面斜視説明図
【図2】同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図3】同第2実施形態に係るインクジェットヘッドを
本発明に係る製造方法の実施形態ととも説明する流路形
成部材の製作工程の説明に供する斜視説明図
【図4】同じくアクチュエータ基板の製作工程の説明に
供する斜視説明図
【図5】同じくヘッド完成までの工程の説明に供する斜
視説明図
【図6】同第3実施形態に係るインクジェットヘッドの
断面斜視説明図
【図7】同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図8】同実施形態に係るインクジェットヘッドを本発
明に係る製造方法の実施形態ととも説明する流路形成部
材の製作工程の説明に供する斜視説明図
【図9】同じくアクチュエータ基板の製作工程の説明に
供する斜視説明図
【図10】同じくヘッド完成までの工程の説明に供する
斜視説明図
【図11】本発明に係るインクカートリッジの斜視説明
【図12】本発明に係るインクジェット記録装置の一例
を示す斜視説明図
【図13】同記録装置の機構部の側面説明図
【符号の説明】
1…流路形成部材、2…アクチュエータ基板、3…ノズ
ル板、5…ノズル、6…加圧液室、7…流体抵抗部、8
…共通液室、9…インク供給口、10…振動板、13…
駆動電極、16…ギャップ、21…第1の耐腐食性膜、
22…第2の耐腐食性膜、51…流路形成部材、52…
アクチュエータ基板、53…ノズル板、55…ノズル、
56…加圧液室、57…流体抵抗部、58…共通液室、
62…圧電素子、63…支持部材、60…振動板、67
…振動板形成部材、71…第1の耐腐食性膜、72…第
2の耐腐食性膜。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルが連通する液流路の液体を振動板
    を介して加圧して前記ノズルから液滴を吐出させる液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記液流路を形成する流路形成部
    材の少なくとも液が接する表面に液に対して耐腐食性を
    有する第1の耐腐食性膜が形成され、前記振動板を形成
    する振動板部材の少なくとも液が接する表面に液に対し
    て耐腐食性を有する第2の耐腐食性膜が形成されている
    ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記第1の耐腐食性膜と第2の耐腐食性膜とが異な
    る材質であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッド
    において、前記第2の耐腐食性膜の内部応力は引張り応
    力であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドにおいて、前記第1の耐腐食性膜は酸化シ
    リコン膜であり、前記第2の耐腐食性膜は有機樹脂系膜
    であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドにおいて、前記有機樹脂系膜はポリイミド
    又はポリベンゾオキサゾールであることを特徴とする液
    滴吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドにおいて、前記流路形成部材はシリコンで
    あることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の液
    滴吐出ヘッドを製造する製造方法であって、前記流路形
    成部材の表面に第1の耐腐食性膜を形成する工程と、前
    記振動板部材上に第2の耐腐食性膜を形成する工程と、
    前記流路形成部材と振動板部材とを前記第1の耐腐食性
    膜と第2の耐腐食性膜を介して互いに接着する工程とを
    含むことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 インクジェットヘッドとこのインクジェ
    ットヘッドにインクを供給するインクタンクを一体化し
    たインクカートリッジにおいて、前記インクジェットヘ
    ッドが前記請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐
    出ヘッドであることを特徴とするインクカートリッジ。
  9. 【請求項9】 インク滴を吐出するインクジェットヘッ
    ドを搭載したインクジェット記録装置において、前記イ
    ンクジェットヘッドが前記請求項1ないし6のいずれか
    に記載の液滴吐出ヘッド又は請求項8に記載のインクカ
    ートリッジであることを特徴とするインクジェット記録
    装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006264322A (ja) * 2005-02-23 2006-10-05 Fuji Xerox Co Ltd 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
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JP2009279830A (ja) * 2008-05-22 2009-12-03 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッドおよびそれを備えた液体噴射装置

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