JP2004066571A - 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ及び画像記録装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ及び画像記録装置 Download PDF

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安住 純一
Kaihei Itsushiki
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Abstract

【課題】流路形成部材や振動板が液体に溶出する。
【解決手段】加圧液室6、流体抵抗部7、共通液室8を形成する第1基板1のシリコンからなる主基板11のインクに接する面の全面とノズル板3との接合面及び振動板10の絶縁性薄膜12上の全面には、液に対して耐腐食性及び親液性と電気導電性とを兼ね備えた保護膜である導電性薄膜13を形成した。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ及び画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通するインク流路(吐出室、圧力室、加圧液室、液室等とも称される。)と、このインク流路内のインクを加圧する駆動手段とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したものである。なお、液滴吐出ヘッドとしては例えば液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明する。
【0003】
インクジェットヘッドとしては、インク流路内のインクを加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段として、圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどが知られている。
【0004】
ところで、インクジェット記録装置においては、高速での特にカラー画像の高画質記録を達成するため、高画質化の面ではマイクロマシン技術を用いた高密度加工が用いられ、ヘッド構成部材の材料も、金属、プラスチックなどからシリコン、ガラス、セラミックスなどに移行し、特に微細加工に適した材料としてシリコンが用いられようになっている。
【0005】
また、カラー化の面では、インク及び記録メディア(媒体)の開発が主であり、記録メディアにインクが付着した時の浸透性や発色性、混色防止性などの面からの最適化や、印字したメディアの長期保存性、インク自身の保存性などを高めるために、インクの成分、組成についても開発が進められている。
【0006】
この場合、インクとヘッド構成部材の材料の組み合わせによっては、インクによってヘッド構成部材がインクに溶解してしまうことがある。特に、流路形成部材をシリコンで形成した場合に、インクにシリコンが溶出して、ノズル部に析出し、ノズルの目詰まりが発生したり、インクの発色性を低下させて画質が劣化する。また、振動板を用いるヘッドにあっては、シリコン薄膜振動板としたときにも同様に振動板を形成するシリコンが溶出すると、振動特性が変動したり、振動不能になる。
【0007】
この場合、ヘッド構成部材の材料の変更で対応したのでは、高密度加工の実現が困難になったり、加工精度の低下なども発生することが多い。また、材料の変更は、加工プロセスの大幅な変更や、組立て工程の工夫が必要になったりする結果、ノズル密度の低下、ひいては印字品質の低下が引き起こされる。
【0008】
一方、インク組成の調整で対応するのでは、もともとインクの成分、組成は印字品質を高めるために記録メディアに対する浸透性、発色性が最適になるように、あるいは保存性が良くなるように調整している。そのインク成分、組成を変更することは、記録紙に対するインク浸透性や発色性、印字品質、長期間の保存性といった単独又はいくつかのインク特性低下を引き起こす原因になり、高画質化を損うことになりかねない。
【0009】
そこで、従来のインクジェットヘッドにあっては、流路形成部材のインクに接する面に耐インク性の薄膜を形成することが行われている。例えば、特開平6−2397号公報には圧電型(ピエゾ型)ヘッドにおいて、パリレン膜と無機酸化膜との積層構造を用いた例が記載されている。また、WO98/42513号公報には、静電型ヘッドにおいて、インクに接する面に、チタン又は、チタン化合物あるいは、酸化アルミニウムを形成することが記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようにパリレン膜と無機酸化膜との積層膜を用いた場合、絶縁膜であるパリレン膜は極めて高い撥液性を示すためインク、特に水性インクの注入が非常に困難であり、また、注入時にインクとパリレン膜間に空気が混入され、駆動源となる圧電体の変位による圧力が緩和され、発生した圧力がインク流体に充分伝播せず、インクの不安定吐出の大きな原因となる。
【0011】
そこで、この対策としてパリレン膜の表面をプラズマ処理や親水性モノマーによるグラフト重合処理によってインクに対して親液性にする方法も提案されてはいるが、この方法では親液性の長期安定性が必ずしも充分ではないという問題がある。そのため、パリレン膜の表面へ無機酸化膜を形成しインクと接する面を親水化している。
【0012】
しかし、無機の酸化膜は概ね圧縮応力を示す膜が多く、例えば上記公報に挙げられているシリコン酸化膜も圧縮応力の膜である。圧縮応力の膜を数ミクロンから数十ミクロンの薄い振動板に形成した場合、振動板は座屈してしまい、安定した振動特性が得られないという課題がある。
【0013】
また、上述したTi、Ti化合物やAl薄膜を耐インク性膜を使用した場合、窒化チタン膜はアルカリ性液体であるインクに接触しても変化がないことが確認できているが、窒化チタン膜は結晶粒界を通して液体が染み込み浸食することも本発明者らの実験で確認している。
【0014】
また、Ti、Ti化合物やAl薄膜などの無機薄膜は、下地基板にゴミがあった場合、形成方法(スパッタ法、CVD法など)の特徴で材料源から見たとき影になる領域で膜厚が薄くなる、もしくは膜が形成されないことになる。そのような領域ではピンホールとなり液体が染み込み下地基板の浸食が発生してしまうという課題がある。
【0015】
さらに、静電型ヘッドでは予め振動板へ直流駆動バイアス若しくはパルス駆動バイアスを印加しておき、液滴が吐出しない程度に振動板を変位させておき、液滴を吐出させる際に静電ギャップ内電極間へ電圧を印加駆動させる駆動方式を採る場合に、ノズル板や液室形成部材に導電性材料を用いるときには、振動板が安定した動作を行うようにノズル板や液室形成部材をグランドに落としているので、そのグランドに落としたノズル板や液室形成部材と電位を有する振動板との間には電位差が生じ、電界が発生する。この電界は液体(インク)中にも生じるため、液体(インク)の電気分解の発生や電気泳動により液体(インク)の流れが発生するという課題が生じる。
【0016】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、安定した吐出特性の長期信頼性を確保し、効率的な滴吐出特性が得られ液滴吐出ヘッド及び信頼性に優れた画像記録装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液流路の少なくとも一部の液体に接する面に液体に対して耐腐食性及び濡れ性を有する導電性薄膜を含む保護層が設けられている構成としたものである。
【0018】
ここで、保護層は液体に対して耐腐食性を有する有機樹脂薄膜と導電性薄膜とを含む積層膜であることが好ましい。また、保護膜の導電性薄膜は引張り応力であることが好ましく、例えば窒化チタン又はITO膜であることが好ましい。さらに、保護膜の有機樹脂薄膜は引張り応力であることが好ましく、例えばポリイミド、ポリペンゾオキサドールを主成分とする膜、フッ素含有樹脂膜のいずれかであることが好ましい。
【0019】
また、保護膜のうち導電性薄膜が液体に接する最表面に設けられていることが好ましい。さらに、保護膜の導電性薄膜の表面電位がグランド電位にされることが好ましい。
【0020】
さらにまた、保護膜が設けられる液体に接する面が液流路の壁面を構成する振動板の流路側面であることが好ましい。この場合、振動板に対向する電極を有し、振動板と電極との間で生じる静電力で振動板を変形させる構成が好ましい。
【0021】
本発明に係るインクカートリッジは、本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドとこのヘッドにインクを供給するインクタンクが一体化されている構成としたものである。
【0022】
本発明に係る画像記録装置は、インク滴を吐出するインクジェットヘッドが本発明に係る液滴吐出ヘッドである、あるいは、インクカートリッジが本発明に係るインクカートリッジである構成としたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドについて図1ないし図4を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの平面説明図、図2は図1のA−A線に沿う断面説明図、図3は図1のB−B線に沿う断面説明図、図4は図1のC−C線に沿う断面説明図である。
【0024】
このインクジェットヘッドは、流路形成部材である第1基板1と、この第1基板1の下側に設けた電極基板である第2基板2と、第1基板1の上側に設けた第3基板でもあるノズル板3とを備え、これらによりインク滴を吐出する複数のノズル5が連通する液流路である加圧液室6、加圧液室6に流体抵抗部7を介してインクを供給する共通液室8などを形成し、インクは第2基板2に形成した裏面流路(インク供給口)9から供給されて、共通液室8、流体抵抗部7、加圧液室6を経て、ノズル5より液滴として噴射される。
【0025】
第1基板1は、例えば面方位(110)のシリコン基板からなる主基板(流路形成基板)11に加圧液室6を形成する凹部、流体抵抗部7となる溝部、共通液室8を形成する凹部などを形成し、加圧液室6の底壁面を形成する変形可能なシリコン振動板10を設けている。この振動板10と液室側表面には絶縁性薄膜12を形成している。この絶縁性薄膜12としては引っ張り応力の膜が適しており、例えば窒化シリコン膜等が適している。
【0026】
そして、これらの加圧液室6、流体抵抗部7、共通液室8を形成する第1基板1のシリコンからなる主基板11のインクに接する面の全面とノズル板3との接合面及び振動板10の絶縁性薄膜12上の全面には、液に対して耐腐食性及び親液性(濡れ性)と電気導電性とを兼ね備えた保護膜である導電性薄膜13を形成している。
【0027】
導電性薄膜13としては、好ましくは、引っ張り応力を有する窒化チタン膜、引っ張り応力を有するITO(インジウム錫酸化物)膜を用いる。ここで、引っ張り応力を有する窒化チタン膜はチタンを多く含む膜にすることで得られる。
【0028】
この窒化チタン膜やITO膜は、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法によって数十nmから数百nm、好ましくは、10nmから100nmの厚みに、全面にわたり形成する。
【0029】
導電性薄膜13の膜厚が著しく薄い場合は、振動板10(絶縁膜12)上に存在するゴミ等が原因となって発生するピンホールが多発し電気シールド層としての効果が失われ、他方著しく厚い場合には、振動板10の剛性が高くなり噴射特性が変化するので、上記の膜厚範囲が好ましい。
【0030】
なお、第1基板1には振動板10に外部から電圧を印加するFPCやワイヤーボンディング等の実装を行うための振動板電極パッド15を形成している。この振動板電極パッド15としては、Au、Al、Pt、TiN、Ni等の金属を用いることができる。また、振動板電極パッド15は駆動電極から数μmの高さで離れた位置にせり出した振動板10上から第1基板1にかけて覆うように形成されている。
【0031】
第2基板2には面方位(100)の単結晶シリコン基板を用いているが、プロセスに応じて(110)又は(111)の単結晶シリコン基板を用いることもでき、また、単結晶シリコン基板以外にガラス基板、セラミックス基板などをも用いることができる。
【0032】
そして、第2基板2にはHTO、LTO、熱酸化法、CVD法、スパッタ法等により酸化シリコンである絶縁膜22を形成し、この絶縁膜22をフォトリソグラフィ、エッチングにより加工して電極形成用溝24を形成し、この電極形成用溝24の底面に振動板10にギャップ26をおいて対向する駆動電極25を形成し、これらの振動板10と対向する駆動電極25とによって振動板10を静電力で変形させる静電型マイクロアクチュエータを構成している。
【0033】
なお、絶縁膜22の膜厚はインクジェットヘッド駆動電圧等の動作特性を左右する設計パラメータであるので、インクジェットヘッドの動作仕様に応じて適切に選択される。この絶縁膜22の電極形成用溝24以外の部分はギャップ26を規定するギャップスペーサ部となる。
【0034】
駆動電極25は、リンやボロンなどの不純物原子を多量に含有する多結晶シリコン、TiN、WSi等の高融点金属、或いはそれらの化合物、或いはそれらの積層構造、Al、ポリシリコン等を用いることができる。
【0035】
そして、この駆動電極25の表面(少なくとも振動板10側表面)には絶縁保護膜(ギャップ膜)27を成膜している。この絶縁保護膜27としては、HTO、LTO、熱酸化法、CVD法、スパッタ法等により形成したシリコン酸化膜等を用いることができる。
【0036】
また、駆動電極25は外部に引き出して外部駆動回路(駆動IC)から電圧を印加するFPCやワイヤーボンディング等の実装を行うための電極パッド部28を一体に設けている。前述した振動板電極パッド15と駆動電極25とは数μmの段差であり、電極引出しをFPCやワイヤーボンディング等で同時に行なうことができる。FPCの場合は1枚のFPCで異方性導電膜を介して接続することができ、ワイヤボンディングの場合は駆動電極25と振動板電極パッド15とで高さ調整をすることなく連続でボンディングすることができる。
【0037】
さらに、第2基板2には共通液室8に外部のバッファタンク(図示しない)からインクを取り入れるためのスリット状貫通穴からなるインク供給口9を形成している。このインク供給口9は液体(インク)の流れに澱みが生じにくい構成にしてある。また、インク供給口9の開口部は二列の千鳥配列からなるノズル5の各列の中央部にノズル列と平行に形成している。そして、このインク供給口9の開口部はノズル列長以上の長さを有しており、インク供給口9の開口部から吐出用ノズル5までの距離が同じになるようにしている。
【0038】
ノズル板3にはインク滴を吐出する複数のノズル5を二列千鳥状に配置形成している。このノズル板3としては、エレクトロフォーミング法により製作したニッケルプレートを用いているが、この他ステンレスなどの金属、ポリイミド樹脂フィルム等の樹脂、シリコンウエハ等及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。また、ノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、インクとの撥水性を確保するため、メッキ被膜、あるいは撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を形成している。
【0039】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、振動板10を共通電極とし、電極25を個別電極として、振動板10と電極25との間に、例えば0V〜+電圧のパルス電圧を印加し、駆動電極25の表面が+電位に帯電すると、対応するシリコン振動板10は−電位に帯電する。したがって、シリコン振動板10は静電気の吸引作用により電極25側に撓む。これによって、加圧液室6の内容積が増加して共通液室8からインクが補充される。
【0040】
そこで、駆動電極25へのパルス電圧の印加を停止する(OFFにする)と、シリコン振動板10は自身の復元力によって元の状態に復元するので、加圧液室6の圧力が急激に上昇し、加圧液室6内のインクが加圧されてノズル5より液滴が記録紙に向けて吐出される。
【0041】
このような振動板を有する静電型アクチュエータを備えた静電型ヘッドにおいては、印字の高画質化に伴なってノズル密度が高くなり、ノズル列方向での液室の幅も狭くなり、振動板の幅も狭くなるが、振動板の幅を狭くしても同じ液滴量を吐出するためにはより大きな振動板変位が必要になってくる。
【0042】
ここで、より大きな変位をするには、広い静電ギャップと高いバイアス駆動電圧印加が要求される。特に、静電型アクチュエータでは静電ギャップの電極間に働く力Fは、次の(1)式で示すように、電極間距離dの2乗に反比例、印加電圧の2乗に正比例しているので、電極間距離を広くしても同じ電極間に働く力を得るためには印加電圧を高くする必要がある。
【0043】
【数1】
Figure 2004066571
【0044】
なお、(1)式において、F:電極間に働く力、ε:誘電率、S:電極の対向する面の面積、d:電極間距離、V:印加電圧である。
【0045】
また、静電型アクチュエータは振動板の復元力をもって液滴を吐出させるため、振動板にはある程度の剛性が要求され、さらに振動板は振動板周辺が固定された構成になるため、振動板幅が狭くなるに従って変形し難くなる。
【0046】
そこで、予め振動板に直流駆動バイアス若しくはパルス駆動バイアスを印加して液滴が吐出しない程度に振動板を変位させておき、液滴を吐出させるときに静電ギャップ内電極間へ電圧を印加駆動させる駆動方式を採用することがある。
【0047】
この場合、発振回路には、上記のように0V〜+電圧間をON/OFFさせるものや交流電源等が用いられているが、ノズル板3(ノズル形成部材)や加圧液室6を形成する部材(流路形成部材)に導電性材料を用いた場合、振動板10が安定した動作をするためには、ノズル形成部材や流路形成部材をグランド電位に落とすことが好ましい。
【0048】
ここで、このインクジェットヘッドにおいては、シリコン基板からなる主基板(流路形成部材)11及び振動板10の液に接する全ての表面には窒化チタン膜、ITO(インジウム錫酸化物)膜などの導電性薄膜13を形成しているので、吐出する液の性質によらずヘッドは長期にわたって動作をし続けることが確認された。
【0049】
また、窒化チタン膜、ITO(インジウム錫酸化物)膜などの導電性薄膜13をグランド電位に落とすことで、グランドに落としたノズル形成部材や流路形成部材と−電位に帯電するシリコン振動板10との間に電位差が生じないように電気シールド膜として作用するので、インクの電気分解や電気泳動によるインクの流れが発生しないことが確認された。
【0050】
このように、駆動に関与する駆動信号を付与する振動板上の保護膜として、液体に対する耐腐食性に優れ、濡れ性が良い導電性薄膜を用いたので、液流路と振動板から溶出する部材によるノズルの目詰まりを抑制でき、板厚の薄い振動板に対しては腐食による 板厚減少を抑制できるので、滴吐出特性の経時変化が抑制でき、安定した滴吐出特性を長期に亘って信頼性良く得ることができる。
【0051】
また、保護膜となる導電性薄膜は濡れ性が良いので、液中に浮遊する気泡を澱みなく排出できるため、液滴を吐出するために発生させる圧力を効率良く液滴吐出エネルギーとして伝えることができ、高い滴吐出効率が得られる。
【0052】
さらに、保護膜が導電性の膜であることから、振動板上に駆動バイアスを印加したとき液体の電気分解や液中に発生する電気泳動を抑制することができる。
【0053】
この場合、導電性薄膜が引っ張り応力を有していることにより、耐腐食性、濡れ性、液体への電界印加遮蔽性に優れるばかりでなく、振動板上に均一に形成することができる。また、内部応力の制御性が良いため、種々の振動板に応じて応力を適宜設定することにより、種々の振動板に合わせて挫屈変形のないヘッドが得られる。
【0054】
そして、引っ張り応力を有する導電性薄膜として、窒化チタン膜、ITO(インジウム錫酸化物)膜を用いることで、次のような特に優れた効果を得ることができる。
【0055】
すなわち、これらの膜は、導電性を有し、中性ないしアルカリ性液体に対してエッチングレートが極めて小さく、水溶性液体に対して接触角を小さくできるので、吐出室、液流路と振動板から溶出する部材による液滴吐出口の目詰まりを抑制でき、板厚の薄い振動板に対しては腐食による板厚減少を抑制できるので、液滴吐出特性の経時変化を抑制でき、振動板に対して座屈変形を発生させない。
【0056】
また、液中に浮遊する気泡を澱みなく排出できるため液滴を吐出するために、発生させる圧力を効率良く液滴吐出エネルギーとして伝えられる。さらには、静電型ヘッドの場合、振動板上へ駆動バイアスを印加したとき液中に発生する電界による液体の電気分解や電気泳動を抑制することができる。そして、静電型ヘッドとすることにより低消費電力で小型のヘッドを構成することができる。
【0057】
さらに、透明なITO(インジウム錫酸化物)膜を用いた場合、工程内検査、信頼性試験等のあらゆる検査で検査がしやすく、工程の信頼性を上げることができる。
【0058】
次に、本発明の液滴吐出ヘッドの第2実施形態に係るインクジェットヘッドについて図5ないし図8を参照して説明する。なお、図5は同ヘッドの平面説明図、図6は図5のD−D線に沿う断面説明図、図7は図5のE−E線に沿う断面説明図、図8は図5のF−F線に沿う断面説明図である。
【0059】
この実施形態では、加圧液室6、流体抵抗部7、共通液室8を形成する第1基板1のシリコンからなる主基板11のインクに接する面の全面及び振動板10の絶縁性薄膜12上の全面には、液に対して耐腐食性を有する有機樹脂膜34と液に対して耐腐食性及び親液性(濡れ性)と電気導電性とを兼ね備えた導電性薄膜33とからなる保護膜である積層膜35を形成している。この場合、積層膜35に含まれる導電性薄膜33を液に接する面、すなわち最表面に形成する。なお、その他の構成は前記第1実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0060】
有機樹脂膜34としては、好ましくはポリイミド或いはポリペンゾオキサゾール、フッ素含有樹脂膜(TFPAを主成分とした膜等、製品例としては例えば旭硝子製サイトップ樹脂:商品名)を用いる。これらをスプレー法、真空蒸着重合法等によって厚さ1000Åから50μm、好ましくは0.5μmから10μmの膜厚で形成する。有機樹脂膜34の膜厚が著しく薄い場合は振動板10上に存在するゴミ等が原因となって発生するピンホールを生じ、他方著しく厚い場合は振動板10の剛性が高くなり噴射特性が変化するので、上記の膜厚範囲が好ましい。
【0061】
この有機樹脂膜34として引張り応力の膜を用いることにより、振動板の座屈変形を防止することができる。
【0062】
導電性薄膜33としては、前述したように、好ましくは、引っ張り応力を有する窒化チタン膜、引っ張り応力を有するITO(インジウム錫酸化物)膜を用いる。ここで、引っ張り応力を有する窒化チタン膜はチタンを多く含む膜にすることで得られる。
【0063】
この窒化チタン膜やITO膜は、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法によって数十nmから数百nm、好ましくは、10nmから100nmの厚みに、全面にわたり形成する。導電性薄膜33の膜厚が著しく薄い場合は、振動板10(絶縁膜12)上に存在するゴミ等が原因となって発生するピンホールが多発し電気シールド層としての効果が失われ、他方著しく厚い場合には、振動板10の剛性が高くなり噴射特性が変化するので、上記の膜厚範囲が好ましい。
【0064】
このように、保護膜を有機樹脂膜と導電性薄膜との積層膜とすることにより、上述した導電性薄膜を用いる作用効果に加えて、導電性薄膜の粒界からの浸食やピンホールが発生しても、結晶粒界が存在せず、形状へ追従性良く形成できる有機樹脂膜でブロックするので、耐腐食性が更に向上する。
【0065】
ここで、有機樹脂膜として、ポリイミド、ポリペンゾオキサゾールを主成分とした膜、或いは、フッ素含有樹脂膜を用いることにより、耐腐食性に優れ、液体の性質によらず、窒化チタン膜、ITO(インジウム錫酸化物)膜の粒界浸食から振動板を確実に保護することができる。しかも、これらの膜は容易に膜厚を厚く形成することができるので、ゴミ等が原因となっていたピンホールを防止でき信頼性が向上する。更には、複雑な形状にも追従した形成が可能なため、信頼性の高い形成ができ、欠陥が発生しにくく不良品を低減できる。
【0066】
次に、本発明の液滴吐出ヘッドの第3実施形態に係るインクジェットヘッドについて図9を参照して説明する。なお、同図は同ヘッドの液室部分の拡大断面説明図である。
【0067】
この実施形態では、振動板10表面(液に接する面のすべての面を含む)に上述した第2実施形態と同様に、導電性薄膜33と有機樹脂薄膜34とからなる保護膜である積層膜35を形成し、また、シリコン基板からなる主基板(液室形成部材あるいは流路形成部材)11の表面(液に接するすべての面及びノズル板3との接合面を含む)には液に対して耐腐食性を有する酸化シリコン膜37を形成している。
【0068】
この場合も、積層膜35に含まれる導電性薄膜33を液に接する面、すなわち最表面に形成する。
【0069】
前述したように、有機樹脂膜34としては、好ましくはポリイミド或いはポリペンゾオキサゾール、フッ素含有樹脂膜(TFPAを主成分とした膜等、製品例としては例えば旭硝子製サイトップ樹脂:商品名)を用いる。これらをスプレー法、真空蒸着重合法等によって厚さ1000Åから50μm、好ましくは0.5μmから10μmの膜厚で形成する。有機樹脂膜34の膜厚が著しく薄い場合は振動板10上に存在するゴミ等が原因となって発生するピンホールを生じ、他方著しく厚い場合は振動板10の剛性が高くなり噴射特性が変化するので、上記の膜厚範囲が好ましい。
【0070】
この有機樹脂膜34として引張り応力の膜を用いることにより、振動板の座屈変形を防止することができる。
【0071】
導電性薄膜33としては、前述したように、好ましくは、引っ張り応力を有する窒化チタン膜、引っ張り応力を有するITO(インジウム錫酸化物)膜を用いる。ここで、引っ張り応力を有する窒化チタン膜はチタンを多く含む膜にすることで得られる。引張り応力の膜を用いることにより、振動板の座屈変形を防止することができる。
【0072】
この窒化チタン膜やITO膜は、スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法によって数十nmから数百nm、好ましくは、10nmから100nmの厚みに、全面にわたり形成する。導電性薄膜33の膜厚が著しく薄い場合は、振動板10(絶縁膜12)上に存在するゴミ等が原因となって発生するピンホールが多発し電気シールド層としての効果が失われ、他方著しく厚い場合には、振動板10の剛性が高くなり噴射特性が変化するので、上記の膜厚範囲が好ましい。
【0073】
酸化シリコン膜37は液室形成部材である主基板(シリコン基板)11を熱酸化することで形成したシリコン熱酸化膜である。シリコンは導電性を有する材料であり、保護膜には耐腐食性、親液性の効果のみを持たせるだけで良く、シリコン熱酸化膜は十分にその性質を有しており、本構造に適している材料である。
【0074】
なお、この場合、シリコン熱酸化膜の代わりに、振動板10上に形成した耐腐食性を有する有機樹脂膜34と耐腐食性と親液性と電気導電性とを兼ね備えた導電性膜33との積層膜35を形成することもできる(材料、形成方法、膜厚などは上記の説明と同様である)。この場合、第2実施形態との違いは、振動板10上に積層膜35を形成し、主基板11表面に積層膜35を形成した後振動板10と主基板11とを接合固定する(本実施形態)か、振動板10と主基板11とを接合固定した後積層膜35を形成する(第2実施形態)かの違いである。
【0075】
このように、振動板10表面に耐腐食性膜の保護膜(積層膜35)を形成し、液室形成部材(主基板)11表面に耐腐食性膜の保護膜(シリコン酸化膜37)を形成した後、接着層(図中省略)をもって固定する。このような構成にすることで、振動板10表面に形成する保護膜の膜厚の均一化を図ることができ、第1、第2実施形態に比べて、薄い振動板の撓みは抑制でき、より薄膜の振動板を用いることができる。
【0076】
特に、静電型ヘッドの場合、振動板と対向する電極と振動板との距離は数ミクロンメートルないし数百ナノメートルと非常に狭いので、小さな振動板撓みが生じてもアクチュエータ特性(滴吐出特性)に大きく影響するため、振動板の撓みを発生させない本実施形態の構成は極めて有効である。
【0077】
次に、本発明に係るインクカートリッジの一例について図10の斜視説明図を参照して説明する。
このインクカートリッジ210は、ノズル211等を有する上記各実施形態のいずれかの液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッド212と、このインクジェットヘッド212に対してインクを供給するインクタンク213とを一体化したものである。
【0078】
このようにインクタンク一体型ヘッドであるインクカートリッジの場合、ヘッドの不良は直ちにインクカートリッジ全体の不良につながるので、ヘッド構成部材がインクによって腐食する不良が低減することで、インクカートリッジの信頼性が向上する。
【0079】
次に、本発明に係る画像記録装置であるインクジェット記録装置の一例について図11及び図12を参照して説明する。なお、図11は同記録装置の斜視説明図、図12は同記録装置の機構部の側面説明図である。
【0080】
このインクジェット記録装置は、記録装置本体281の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発明を実施したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部282等を収納し、装置本体281の下方部には前方側から多数枚の用紙283を積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)284を抜き差し自在に装着することができ、また、用紙283を手差しで給紙するための手差しトレイ285を開倒することができ、給紙カセット284或いは手差しトレイ285から給送される用紙(インク滴が付着するものの意味であり、紙に限定されるものではない。)283を取り込み、印字機構部282によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ286に排紙する。
【0081】
印字機構部282は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド291と従ガイドロッド292とでキャリッジ293を主走査方向(図12で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ293にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する本発明に係るインクジェットヘッドからなるヘッド294を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。またキャリッジ293にはヘッド294に各色のインクを供給するための各インクタンク295を交換可能に装着している。
【0082】
インクタンク295は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド294を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。さたに、記録ヘッドとして搭載するインクジェットヘッドとしては前記各実施形態で説明したような各種のインクジェットヘッドを用いることができる。また、前述した本発明に係るインクカートリッジを用いることもできる。
【0083】
ここで、キャリッジ293は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド291に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド292に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ293を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ297で回転駆動される駆動プーリ298と従動プーリ299との間にタイミングベルト300を張装し、このタイミングベルト300をキャリッジ293に固定しており、主走査モーター297の正逆回転によりキャリッジ293が往復駆動される。
【0084】
一方、給紙カセット284にセットした用紙283をヘッド294の下方側に搬送するために、給紙カセット284から用紙283を分離給装する給紙ローラ301及びフリクションパッド302と、用紙23を案内するガイド部材303と、給紙された用紙283を反転させて搬送する搬送ローラ304と、この搬送ローラ304の周面に押し付けられる搬送コロ305及び搬送ローラ304からの用紙23の送り出し角度を規定する先端コロ306とを設けている。搬送ローラ304は副走査モータ307によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0085】
そして、キャリッジ293の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ304から送り出された用紙23を記録ヘッド294の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材309を設けている。この印写受け部材309の用紙搬送方向下流側には、用紙283を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ311、拍車312を設け、さらに用紙283を排紙トレイ286に送り出す排紙ローラ313及び拍車314と、排紙経路を形成するガイド部材315,316とを配設している。
【0086】
記録時には、キャリッジ293を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド294を駆動することにより、停止している用紙283にインクを吐出して1行分を記録し、用紙283を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙283の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙283を排紙する。
【0087】
また、キャリッジ293の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド294の吐出不良を回復するための回復装置317を配置している。回復装置317はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ293は印字待機中にはこの回復装置317側に移動されてキャッピング手段でヘッド294をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0088】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド294の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0089】
このように、このインクジェット記録装置においては本発明を実施したインクジェットヘッド或いはインクカートリッジを搭載しているので、インクによる流路形成部材の腐食が防止されて、長期的にインク滴吐出不良がなく、安定したインク滴吐出特性が得られて、画像品質が向上する。
【0090】
なお、上記実施形態においては、本発明に係る液滴吐出ヘッドをインクジェットヘッドに適用したが、インク以外の液体の滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッド、遺伝子分析試料を吐出する液滴吐出ヘッドなどにも適用することできる。
【0091】
また、上記実施形態においては、流路内のインク(液体)を加圧するためのエネルギーを発生する圧力発生手段(アクチュエータ部)として静電型アクチュエータを用いる静電型ヘッドに適用した例で説明したが、圧電素子などの電気機械変換素子(圧電型アクチュエータ)を用いるヘッド、電気熱変換素子を用いるサーマル型ヘッドにも同様に適用することができる。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、液流路の少なくとも一部の液体に接する面に液体に対して耐腐食性及び濡れ性を有する導電性薄膜を含む保護層が設けられている構成としたので、安定した吐出特性の長期信頼性を確保し、効率的な滴吐出特性が得らる。
【0093】
本発明に係るインクカートリッジによれば、本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドとこのヘッドにインクを供給するインクタンクを一体化したので、安定した吐出特性の長期信頼性を確保し、効率的な滴吐出特性が得らるヘッド一体型のインクカートリッジが得られる。
【0094】
本発明に係る画像記録装置によれば、本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッド或いはインクカートリッジを搭載したので、信頼性、安定性に優れた記録を行うことができ、画像品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの第1実施形態に係るインクジェットヘッドの平面説明図
【図2】図1のA−A線に沿う断面説明図
【図3】図1のB−B線に沿う断面説明図
【図4】図1のC−C線に沿う断面説明図
【図5】本発明の液滴吐出ヘッドの第2実施形態に係るインクジェットヘッドの平面説明図
【図6】図5のD−D線に沿う断面説明図
【図7】図5のE−E線に沿う断面説明図
【図8】図5のF−F線に沿う断面説明図
【図9】本発明の液滴吐出ヘッドの第3実施形態に係るインクジェットヘッドの液室部分の要部拡大断面説明図
【図10】本発明に係るインクカートリッジの説明に供する斜視説明図
【図11】本発明に係る画像記録装置としてのインクジェット記録装置の一例を示す斜視説明図
【図12】同記録装置の機構部の側面説明図
【符号の説明】
1…流路形成基板、2…振動板、3…ノズル板、5…ノズル、6…加圧液室、7…インク供給路、8…共通液室、9…インク供給口、10…振動板、11…主基板、12…絶縁膜、13…導電性薄膜(保護層)、25…電極、33…導電性薄膜、34…有機樹脂薄膜、35…積層膜(保護層)、37…シリコン酸化膜、210…インクカートリッジ、212…インクジェットヘッド、213…インクタンク、293…キャリッジ、294…ヘッド。

Claims (13)

  1. ノズルが連通する液流路内の液体を加圧して前記ノズルから液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前記液流路の少なくとも一部の液体に接する面に液体に対して耐腐食性及び濡れ性を有する導電性薄膜を含む保護層が設けられていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記保護層は液体に対して耐腐食性を有する有機樹脂薄膜と前記導電性薄膜とを含む積層膜であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記保護膜の導電性薄膜は引張り応力であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 請求項3に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記導電性薄膜が窒化チタン又はITO膜であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 請求項2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記保護膜の有機樹脂薄膜は引張り応力であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  6. 請求項5に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記有機樹脂膜がポリイミド、ポリペンゾオキサドールを主成分とする膜、フッ素含有樹脂膜のいずれかであることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記保護膜のうち前記導電性薄膜が前記液体に接する最表面に設けられていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記保護膜の導電性薄膜の表面電位がグランド電位にされることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記保護膜が設けられる液体に接する面が前記液流路の壁面を構成する振動板の流路側面であることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  10. 請求項9に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板に対向する電極を有し、前記振動板と電極との間で生じる静電力で前記振動板を変形させることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  11. インク滴を吐出するインクジェットヘッドとこのヘッドにインクを供給するインクタンクとを一体化したインクカートリッジにおいて、前記インクジェットヘッドが請求項1ないし10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするインクカートリッジ。
  12. インク滴を吐出するインクジェットヘッドを搭載する画像記録装置において、前記インクジェットヘッドが請求項1ないし10のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とする画像記録装置。
  13. インク滴を吐出するインクジェットヘッドとこのヘッドにインクを供給するインクタンクとを一体化したインクカートリッジを搭載する画像記録装置において、前記インクジェットヘッドが請求項11に記載のインクカートリッジであることを特徴とする画像記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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