JP2003320488A - モータ駆動式リンクプレス - Google Patents

モータ駆動式リンクプレス

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JP2003320488A
JP2003320488A JP2002129566A JP2002129566A JP2003320488A JP 2003320488 A JP2003320488 A JP 2003320488A JP 2002129566 A JP2002129566 A JP 2002129566A JP 2002129566 A JP2002129566 A JP 2002129566A JP 2003320488 A JP2003320488 A JP 2003320488A
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ram
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Masayuki Nagae
正行 長江
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Murata Machinery Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B30PRESSES
    • B30BPRESSES IN GENERAL
    • B30B1/00Presses, using a press ram, characterised by the features of the drive therefor, pressure being transmitted directly, or through simple thrust or tension members only, to the press ram or platen
    • B30B1/26Presses, using a press ram, characterised by the features of the drive therefor, pressure being transmitted directly, or through simple thrust or tension members only, to the press ram or platen by cams, eccentrics, or cranks
    • B30B1/268Presses, using a press ram, characterised by the features of the drive therefor, pressure being transmitted directly, or through simple thrust or tension members only, to the press ram or platen by cams, eccentrics, or cranks using a toggle connection between driveshaft and press ram

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Press Drives And Press Lines (AREA)
  • Punching Or Piercing (AREA)
  • Control Of Presses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 比較的小出力のモータを用いても、高いプレ
ス荷重による加工、および加工のサイクルタイムの向上
が可能で、制御性にも優れたモータ駆動式リンクプレス
の提供。 【解決手段】 回転動作を直線動作に変換するリンク機
構1と、ラム6とを備え、リンク機構1は、クランク部
材2と、揺動リンク5と、コネクティングロッド7と、
拘束リンク8とを有し、駆動伝達系14を介しサーボモ
ータ13にて駆動される。板材Wをラム6の下方で移動
させる板材移動手段29を設ける。ラム速度を制御する
ラム軸制御手段58と、並行同期制御手段59とを設け
る。並行同期制御手段59は、パンチ工具31が、板材
上面から離れる直後高さDPから上死点を経て板材上面
に近接する高さTPに至るまでの動作が、板材移動手段
29による板材移動の開始から次の加工点に至るまでの
板材移動と並行して行われるように制御指令を与えるも
のとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スライド駆動機
構としてリンク機構を用いたモータ駆動式リンクプレス
に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】機械式の
パンチプレスでは、モータの回転動作をラムの昇降動作
に変換するスライド駆動機構としてクランク機構が一般
に用いられている。また、フライホイールを用い、クラ
ッチの入切でフライホイールの回転の接・断によるラム
の駆動と停止の切換を行っている。クランク機構では、
ラムの昇降速度の曲線は、下降時と上昇時とで下死点に
対して対称であり、下降速度と上昇速度とが同じとな
る。しかし、パンチ加工など、プレス加工一般におい
て、ラムの下降時は静音化やプレス荷重の要求から、低
速とすることが好ましいが、上昇時は特に制限事項がな
いため、高速であることが望ましい。下降速度と上昇速
度とが同じとなるクランク機構では、上昇に必要以上の
時間を要し、パンチ加工のサイクルタイムが長くなる。
最近では、駆動源としてサーボモータを用い、フライホ
イールを設けずにクランク機構を介してラムを昇降させ
るようにしたものも提案されている。サーボモータを用
いると、ラムのストローク途中の速度変更が自在であ
り、下降時の速度を速く、上昇時の速度を遅くすること
も自在である。しかし、モータの能力は、回転速度によ
って変わり、モータの能力を最大に活かすには、モータ
特性に応じた最適なモータ回転速度の範囲で運転する必
要がある。モータ回転速度を制御することでラムの下降
時と上昇時の速度を変えるのでは、モータの能力を十分
に活かすことができず、必要なプレス荷重を得て上昇時
の速度も速めるには、大型のモータが必要となる。
【0003】そこで、本発明者は、適切なスライド機構
の選択によって、下降時に遅く、上昇時に速くなるもの
を種々研究した。従来、金属の冷間押出し,据え込み等
の塑性加工用のプレス装置に用いられるスライド機構と
して、リンクプレスが古くから用いられている(例え
ば、特公平3−42159号)。リンクプレスは、クラ
ンク機構のクランクピンに揺動リンクを連結し、揺動リ
ンクにコネクティングロッドを連結すると共に、揺動リ
ンクに拘束リンクを連結したものである。クランク軸の
駆動は、モータによりフライホイールを介して行う。リ
ンクプレスによると、拘束リンクの作用により、ラム速
度が下降時は遅くて上昇時は速いという動作特性が得ら
れる。
【0004】しかし、従来のリンクプレスは、その下死
点付近の非常に遅い下降動作を利用することで、冷間押
出し等の塑性加工の加工品質を上げるために使用される
ものであり、塑性加工とは異なる動作特性の要求される
パンチプレスへの適用例はない。また、モータ出力を慣
性エネルギとして蓄えるフライホイールを備えるため、
制御性に欠ける。
【0005】また、従来、パンチプレスにおけるパンチ
動作と板材送りとの制御において、NC装置では、通
常、板材が所定の加工位置に停止するのを待ってパンチ
動作を開始させるが、完全に停止するのを待つと、サイ
クルタイムが長くなり、ヒットレートが低下する。この
ため、板材移動の完了時刻を予測し、板材移動が停止す
るよりも所定時間だけ前にパンチ動作を開始させるよう
な制御を行うようにしたものも提案されている。しか
し、十分なサイクルタイムの短縮が難しく、またラムを
駆動するための急加速や急減速により、モータ駆動の消
費エネルギが多くなるという課題も残されている。な
お、クランク式のパンチプレスでは、クランク軸を往復
回転させることで、サイクルタイムを向上させることも
行われている。すなわち、クランク軸を上死点まで戻さ
ずに、パンチツールが板材から上方に抜けた後、所定の
待機高さで待機させ、次のパンチ動作は、クランク軸の
逆転動作で行う。このような往復動作を行わせること
で、上死点から待機高さまでの動作が不要となり、パン
チ加工のサイクルタイムの短縮が行える。しかし、リン
クプレスでは、正転時と逆転時とで速度特性が異なるた
め、クランク軸を往復動作させてサイクルタイムの短縮
を図ることが難しい。
【0006】この発明の目的は、比較的小出力のモータ
を用いても、高いプレス荷重による加工、および加工の
サイクルタイムの向上が可能で、制御性にも優れ、さら
に、クランク軸を往復動作させることなく、加工のサイ
クルタイムが短縮できるモータ駆動式リンクプレスを提
供することである。この発明の他の目的は、消費エネル
ギを節減することである。この発明のさらに他の目的
は、上記サイクルタイムの短縮の制御が簡単な演算処理
で行えるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の構成を実施形
態に対応する図1と共に説明する。このモータ駆動式リ
ンクプレスは、モータ(13)と、このモータ(13)
から駆動伝達系(14)を介して伝達された回転動作を
直線動作に変換するリンク機構(1)と、上記リンク機
構(1)の下方に設置されて上記直線動作によりプレス
加工のために昇降するラム(6)とを備える。上記リン
ク機構(1)は、クランク軸(3)および偏心軸部
(4)を有するクランク部材(2)と、回転自在な連結
を行う第1ないし第3の連結部(P1〜P3)をそれぞ
れ3角形の各頂点に位置するように有し、第1の連結部
(P1)が上記クランク部材(2)の偏心軸部(4)に
連結された揺動リンク(5)と、第2の連結部(P2)
と上記ラム(6)の上端とに両端が連結されたコネクテ
ィングロッド(7)と、基端がフレーム(9)に回動自
在に連結され先端が上記揺動リンク(5)の第3の連結
部(P3)に連結されて上記揺動リンク(5)の揺動を
規制する拘束リンク(8)とを備える。上記駆動伝達系
(14)は、モータ(13)の回転制御によりラム
(6)の昇降動作を制御可能に上記モータ(13)の回
転駆動を上記クランク軸(3)に伝達するものである。
この駆動伝達系(14)は、フライホイール等の慣性付
与を目的とした部品が介在しないものであり、減速機を
有していても、またモータの出力軸とクランク軸とを直
結するようにしても良い。また、このモータ駆動式リン
クプレスは、加工物である板材(W)をラム(6)の下
方で移動させる板材移動手段(29)と、上記モータ
(13)を1方向に回転させ回転速度の制御によりラム
速度を制御するラム軸制御手段(58)と、ラム(6)
で昇降駆動される工具(31)が、板材上面から離れる
直後高さ(DP)から上死点(TDC)を経て板材上面
に近接する高さ(TD)に至るまでの動作が、板材移動
手段(29)による板材移動の開始から次の加工点に至
るまでの板材移動と並行して行われるように、上記ラム
軸制御手段(58)に指令を与える並行同期制御手段
(59)とを備える。
【0008】この構成の作用を説明する。クランク軸
(3)の回転により、揺動リンク(5)は偏心軸部
(4)の軸心の旋回軌道に沿った公転動作と、拘束リン
ク(8)が連結されていることによって正逆に振られる
自転運動との複合動作を行う。揺動リンク(5)の上記
公転動作のため、これに連結されたコネクティングロッ
ド(7)が昇降するが、上記の自転運動を伴うため、コ
ネクティングロッド(7)の下端位置、つまりラム位置
の昇降速度曲線は、準サイン曲線とはならず、下降時と
上昇時とで非対称となる。下降時と上昇時とのいずれが
速くなるかは、拘束リンク(8)の支点位置や長さな
ど、各種の要素の組み合わせによって定まる。そこで、
各要素を適宜設計することで、クランク軸(3)を一方
向に一定速度で回転させたときのラム(6)の下降動作
が上昇速度よりも遅くなるように、拘束リンク(8)で
揺動リンク(5)の揺動を規制することができる。この
ように、下降時の速度を遅くすることで、比較的小出力
のモータ(13)を用いても、高いプレス荷重による加
工が行え、また上昇速度が速くなるため、加工のサイク
ルタイムが向上する。モータ速度は一定としたままで上
記の速度変化を与えるため、例えば適宜の減速比率の減
速機を介在させることで、モータ特性に応じ、モータ出
力が最大となるモータ回転速度で運転できる。これによ
っても、小出力のモータ(13)の使用が可能になる。
また、モータ(13)とクランク軸(3)とは、フライ
ホイール等の慣性付与系の介在しない駆動伝達系(1
4)を介して連結するため、例えば、モータ(13)の
回転速度制御によるラム速度変更等の制御性に優れる。
【0009】並行同期制御手段(59)は、ラム(6)
で昇降駆動される工具(31)が板材上面から離れて再
度上面近接高さ(TD)に戻るまでの動作が、板材移動
手段(29)による板材移動の開始から次の加工点に至
るまでの板材移動と並行して行われるように、上記ラム
軸制御手段(58)に指令を与える。すなわち、板材移
動の開始タイミングと工具(31)が板材上面から離れ
る直後のタイミングが一致し、板材(W)が次の加工点
に至ったときに、工具(31)が板材上面の近接位置
(TD)に達するように指令を与える。ラム軸制御手段
(58)は、上記指令に従い、上記モータ(13)を1
方向に回転させ回転速度の制御によりラム速度を制御す
る。このように、板材移動を行う間に、工具(31)が
板材(W)に接触しない範囲のラム動作を行わせるよう
に同期制御するため、無駄な待機時間が生じず、できる
だけサイクルタイムを短縮することができる。また、ク
ランク軸(3)を往復動作させることなくサイクルタイ
ムの短縮が行える。並行同期制御手段(59)は、板材
移動時間に対して、工具(31)が板材(W)に非接触
となる間のラム動作を同期させるものであるため、板材
移動時間の全体に対して、ラム(6)を駆動するモータ
(13)の速度パターン(VP)を設定することができ
て、速度パターン生成の自由度が高く得られる。このた
め、急加速や急停止をなくして加減速により消費される
エネルギの節減を図ることも容易である。
【0010】上記並行同期制御手段(58)は、上記板
材移動の開始から次の加工点に至るまでの板材移動に要
する時間が設定時間よりも短い場合に、上記モータ(1
3)の速度を零としないように制御するものとしても良
い。この制御により、モータ(13)の速度を零とせ
ず、できるだけラム(6)を停止させないので、省エネ
ルギを図ることができる。板材移動時間がある程度長く
なると、ラム(6)を停止させないようにするには、速
度パターン(VP)の演算を通常の場合と変える必要が
生じ、並行同期制御手段(59)が複雑な演算処理の必
要なものになったり、また却ってエネルギ消費が多くな
ることがある。そこで、適宜の時間を設定時間として定
め、その時間よりも長い場合だけ停止させるようにする
ことにより、複雑な制御を伴うことなく、省エネルギを
図ることができる。
【0011】上記同期制御手段(59)は、上記モータ
(13)の加速時および減速時の加速度を一定として速
度制御するものとしても良い。加減速時の加速度を一定
とすると、速度パターン(VP)の演算が簡単に行え、
並行同期制御手段(59)が簡単な構成のものとでき
る。
【0012】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態を図面と共
に説明する。図1に示すように、このモータ駆動式リン
クプレスは、機械部分であるリンクプレス本体51と、
このリンクプレス本体51を制御する制御装置52とで
構成される。リンクプレス本体51は、工具駆動用のラ
ム6を所定位置で昇降駆動させるラム駆動手段53と、
加工物である板材をラム6の下方で移動させる板材移動
手段29とを備え、ラム駆動手段53が、リンク機構1
を有するリンク式のものとされている。
【0013】図2,図3は、リンクプレス本体51の全
体の平面図,側面図をそれぞれを示す。本体フレーム2
2に、ラム駆動手段53と、工具支持手段28と、板材
移動手段29とが設置されている。本体フレーム22は
機体カバー30で覆われている。工具支持手段28は、
複数のパンチ工具31およびダイ工具32を搭載し、ラ
ム6によるプレス加工位置Qに任意の工具31,32
(図3)を割出可能としたのものである。工具支持手段
28は、それぞれパンチ工具31およびダイ工具32を
搭載した上下のタレット28a,28bからなる。板材
移動手段29は、テーブル33上の板材Wを、任意部分
がプレス加工位置Qに来るように直交2軸方向(X軸,
Y軸)に移動させる手段である。板材移動手段29は、
前後(Y軸方向)移動するキャリッジ34と、キャリッ
ジ34に搭載されて左右(X軸方向)移動するクロスス
ライド35とを有し、クロススライド35に設けられた
複数のワークホルダ36により板材Wを把持する。キャ
リッジ34は、Y軸用のサーボモータ42により進退駆
動され、クロススライド35はX軸用のサーボモータ4
1により進退駆動される。キャリッジ34の前後移動と
クロススライド35の左右移動とで、上記2軸方向の板
材Wの送りが行われる。
【0014】図4は、ラム駆動手段53の破断正面図で
ある。ラム駆動手段53は、モータ13と、このモータ
13から駆動伝達系14を介して伝達された回転動作を
直線動作に変換するリンク機構1と、このリンク機構1
の下方に設置されて上記直線動作によりプレス加工のた
めに昇降するラム6とを備える。リンク機構1は、クラ
ンク軸3の軸心に対して偏心した偏心軸部4を有するク
ランク部材2と、偏心軸部4に連結された揺動リンク5
と、コネクティングロッド7と、拘束リンク8とを有す
る。クランク軸3は、フレーム9に回転自在に設置され
ており、回転駆動力を受ける軸となる。偏心軸部4は、
クランク軸4よりも大径の軸部とされている。偏心軸4
は、上記のような大径のものとする代わりに、クランク
軸3よりも小径として、クランクアーム(図示せず)を
介してクランク軸4に一体化されたものとしても良い。
ラム6は、パンチ工具等のプレス加工の作用部の昇降を
行わせる部材であり、フレーム9に、ガイド部材10を
介して昇降自在に設置されている。ラム6は、クランク
軸2の真下である。
【0015】揺動リンク5は、第1ないし第3の連結部
P1〜P3を有し、第1の連結部P1でクランク部材2
の偏心軸部4に連結されている。各連結部P1〜3は、
いずれも回転自在な連結を行う連結部分であり、図10
に模式的に示すように、3角形Tの各頂点にそれぞれ位
置する。この三角形Tは、クランク軸3の軸心に垂直な
平面内における任意の三角形である。図4において、コ
ネクティングロッド7は、揺動リンク5の第2の連結部
P2に上端が連結され、下端がラム6の上端にピン11
を介して回転自在に連結される。拘束リンク8は、基端
がフレーム9に支点軸12を介して回動自在に支持さ
れ、先端が揺動リンク5の第3の連結部P3に連結され
ている。拘束リンク8は、その支点軸12の軸心である
揺動中心と第3の連結点P3とを、クランク軸3の両横
に振り分けて配置してある。上記両横は、クランク軸3
の軸心に対する垂直な平面内における両横であり、モー
タ駆動式リンクプレスの全体に対して、左右方向の両側
であっても、前後方向の両側であっても良い。
【0016】クランク軸3は、図7,図8に示すよう
に、モータ13の出力軸(図示せず)に駆動伝達系14
を介して連結されている。駆動伝達系14は、モータ1
3の回転制御によりラム6の昇降動作を制御可能にモー
タ13の回転駆動をクランク軸3に伝達可能なものとす
る。したがって、駆動伝達系14は、フライホイール等
の慣性付与を目的とした部品が介在せず、モータ13の
トルクを伝達する手段である。駆動伝達系14は、この
実施形態では、減速機15と、この減速機15の出力軸
をクランク軸3に連結するカップリング16とでなる。
モータ13にはサーボモータが用いられている。減速機
15とモータ13とは、互いに一体化されて減速機付き
モータを構成するもの等が用いられる。
【0017】図5は、リンク機構1の破断側面を示す。
クランク軸3は偏心軸部4の両側に延びており、両側で
ジャーナル軸受等の軸受17を介してフレーム9に回転
自在に支持されている。揺動リンク5は、第1の連結部
P1を構成する連結孔の内径面が、偏心軸部4の外周に
ライナ18を介して嵌合している。揺動リンク5の第2
の連結部P2とコネクティングロッド7とは、連結ピン
19により連結されている。
【0018】図8に示すように、フレーム9は、リンク
機構1を支持する独立のリンク部フレームとされ、本体
フレーム22の上フレーム部22aの先端に取付けられ
ている。リンク部フレーム9はボックス状とされてい
る。フレーム9は、取付基板9aの内面に設けた支持板
9bとこれに対向する対向板9cとで、クランク軸3の
両端を支持する。フレーム9には、モータ支持部材23
が設けられ、上記モータ13はモータ支持部材23に設
置されている。したがって、モータ9は、リンク機構1
を設置したリンク部フレーム9と共に、本体フレーム2
2に対して着脱可能に組み付けられる。本体フレーム2
2は、側面形状がC字状とされ、その喉部となる開口部
分24は、板材Wや工具支持手段28(図3)の入る空
間となる。本体フレーム22は一対の対向側板を有して
おり、図8には片方の対向側板のみを図示してある。上
フレーム部22aにおいて、両側の対向側板は、上フレ
ーム下面板25および中間補強板26により互いに接合
されている。
【0019】上記構成のラム駆動手段53の動作を説明
する。図4のリンク機構1は、図10の模式図を参照し
てわかるように、次の動作を行う。クランク軸3がモー
タ駆動により回転すると、クランク部材2の偏心軸部4
の中心は、図10に示すように、クランク軸3の軸心を
中心とする円周軌道C1を描く。揺動リンク5は、偏心
軸部4に第1の連結部P1で回転自在に連結されている
ため、上記円周軌道C1に沿った公転運動を行う。揺動
リンク5は、第3の連結部P3で拘束リンク8に連結さ
れていることにより動作が規制され、上記公転運動に伴
って、第1の連結部P1の回りに正逆に振られる自転運
動を行う。この公転運動と自転運動の複合動作のため、
揺動リンク5のコネクティングロッド7との連結部であ
る第2の連結部P2は、同図に示すように斜めの楕円状
の軌道C2を移動する。ラム6は昇降のみ自在に支持さ
れていて、コネクティングロッド7を介して揺動リンク
5の第2の連結部P2に連結されているため、第2の連
結部P2が楕円状の軌道を描くことによって昇降動作す
る。このラム6の昇降動作の速度は、図11に1周期の
クランク角度と変位の関係を曲線Hで示す示すように、
下降時と上昇時とで非対称となる。また、ラム6が下死
点BDCに達する時のクランク角度θBDC は180°か
らずれた位置となる。同図中に併記した曲線Jは、一般
的なクランク機構におけるラムの上下変位を示し、対称
となっている。
【0020】リンク機構1の動作に影響を与える要素
は、図10に示す次の8つの要素である。クランク長さ
(偏心量)r、拘束リンク8の長さw、コネクティング
ロッド7の長さL、揺動リンク5の連結部P2,P3間
の開き角度α、揺動リンク5の連結部P1と連結部P
2,P3間の各長さa,b、および拘束リンク8の支点
位置のX座標Ex,Y座標Eyである。なお、座標の中
心はクランク軸3の軸心とする。リンク機構1の成り立
つ条件として、クランク軸3の回転中心−連結部P1−
連結部P3−拘束リンク8の支点軸12を、各節間の連
結点として成り立つ4節回転連鎖が成立する必要があ
り、最短節をクランク長さrとして、次の各式を満たす
必要がある。 A=√(Ex^2+Ey^2)として、 r+a≦w+A r+w≦a+A r+A≦a+w これは、グラスホフの定理として知られており、この条
件を満たす範囲で上記各要素の値を適宜設計すること
で、ラム8の変位曲線を自由に設計することができる。
【0021】下降時と上昇時とのいずれが速くなるか
は、モータ回転方向と上記各要素の組み合わせによって
定まる。そこで、モータ回転方向が一定方向であるとし
て、各要素を適宜設計することで、モータ13が一定速
度で回転したときのラム6の下降速度が上昇速度よりも
遅くなる動作を行うものとできる。このように、下降時
の速度を遅くすることで、比較的小出力のモータ13を
用いても、高いプレス荷重による加工が行え、また上昇
速度が速くなるため、加工のサイクルタイムが向上す
る。図12にクランク式プレスとリンク式プレスとを比
較して示すように、サイクルタイムを「10」とした場
合、クランク式では同図(A)のように下降時間と上昇
時間が共に「5」となるが、リンク式では、例えば同図
(B)のように下降時間が「7」,上昇時間が「3」と
なるように設計することが可能である。このようにリン
ク機構1を設計した場合、クランク式に比べて、下降動
作のラム速度は5/7と遅くなり、その分、プレス荷重
は7/5と大きくなり、同じモータを用いても、40%
のプレス荷重の向上が図れる。ラム6の上昇時は特に仕
事を行わないため、力が弱くても加工に影響しない。
【0022】また、モータ速度は一定としたままで上記
の速度変化を与えるため、適宜の減速比率の減速機15
(図7)を介在させることで、モータ特性に応じ、モー
タ出力が最大となるモータ回転速度で運転できる。これ
によっても、小出力のモータ13の使用が可能になる。
また、モータ13とクランク軸3とは、フライホイール
等の慣性付与系の介在しない駆動伝達系14を介して連
結するため、モータ13の回転速度制御によるラム速度
変更等の制御性に優れる。
【0023】モータ13はサーボモータであるため、モ
ータ速度の自由な変更が行え、ラム6の昇降ストローク
中における速度を変化させることもでき、各種の要望に
応じた加工が行える。すなわち、モータ13を等速回転
させた場合の速度曲線として、クランク部材2や各揺動
リンク5,拘束リンク8等で構成されるリンク機構1の
動作に従った速度曲線を基本とし、モータ速度を変化さ
せることで、例えばパンチ工具31が板材Wに接すると
きの速度をより遅くしてより一層の静音化を図ったり、
また上昇時の速度をさらに速めることも可能である。ま
た、ラム6を任意高さで止めることもできる。さらに、
後述のように、板材移動に同期したラム動作を行わせる
ことができる。
【0024】このモータ駆動式リンクプレスにおいて、
パンチ加工を行う場合は、図11に示すように、板材W
の打ち抜きに使用する区間である打抜区間Mは、ラム昇
降ストロークの下降過程の中間区間とする必要がある。
この打抜区間Mとする中間区間は、ラム6のクランク角
度に対する変位の曲線Hが略直線状となる区間である。
打抜区間Mの下限位置H1 は、ダイハイトDHよりも若
干上方の位置にある。リンクプレスでは、モータ速度が
一定であると、同図のラム変位曲線Hからわかるよう
に、上死点TDC付近では緩やかな曲線となり、中間区
間で直線状となり、下死点BDCの付近で再度緩やかな
曲線となる。下死点BDC付近の速度が最も遅く、した
がって下死点BDC付近で最も大きなプレス荷重が得ら
れる。従来の成形加工のリンクプレスでは、この下死点
BDC付近の大きなプレス荷重を成形に用いる。しかし
パンチ加工の場合、打ち抜きカスを確実に落とすため
に、板材Wの下面よりも下方にストロークが必要とな
る。これに対して、ストロークの中間区間を打抜区間M
とすると、板材Wの下面の下方に十分なストロークを得
て、打ち抜きカスを確実に落とすことができ、中間区間
での本来小さなパンチ荷重をリンク機構1で補える。言
い換えれば、このため、大きなプレス荷重が得られる下
死点BDC付近を使用することはできないが、従来の対
称動作のクランク機構と比較して効率的に使うことがで
きる。パンチ加工では大きなプレス荷重と共に、加工の
高速化が要求される。また、パンチ加工では打ち抜き速
度が速い方が加工品質が良く、打抜区間Mを中間区間と
すると、加工品質上で要求される打ち抜き速度を無駄な
く得ることができる。このように、パンチプレスに適用
する場合に、従来の成形加工用のリンクプレスとは異な
る使用形態で、そのリンク機構1の作用を効果的に用い
ることができる。
【0025】図1において、制御装置52は、コンピュ
ータによる数値制御装置(NC装置)およびプログラマ
ブルコントローラで構成されるものであり、加工プログ
ラム55を解読して実行するプログラム制御式のもので
ある。制御装置52は、板材移動手段29を制御する板
材移動制御手段57と、ラム駆動手段53のモータ13
を制御するラム軸制御手段58と、両制御手段57,5
8の同期制御を行う並行同期制御手段59と、リンクプ
レス本体51の各種のシーケンス制御を行うシーケンス
制御手段(図示せず)と、加工プログラム55を解読し
て前記各制御手段57,58,59…に加工プログラム
55の指令を与える解読実行手段56とを備える。
【0026】加工プログラム55は、制御装置52の有
するプログラムメモリ(図示せず)に記憶され、または
外部から解読実行手段56に読み込まれる。加工プログ
ラム55は、NCコード等で記述されていて、板材移動
手段29にX軸方向およびY軸方向の移動をそれぞれ行
わせる板材移動指令であるX軸移動指令およびY軸移動
指令と、ラム駆動手段53に昇降動作の指令を与えるパ
ンチ指令と、リンクプレス本体51の各部のシーケンス
動作を制御するためのシーケンス指令(図示せず)等が
記述されている。上記各軸の移動指令とパンチ指令と
は、例えば一つのブロック指令として与えられる。ま
た、加工プログラム55は、その属性情報の記憶部に、
板厚の情報が記述されている。
【0027】板材移動制御手段57は、板材移動手段2
9のX軸およびY軸のサーボモータ41,42を制御す
る手段であり、各軸のサーボコントローラ61,62を
介してサーボモータ41,42を駆動する。板材移動制
御手段57は、図1(C)に示すように、板材移動速度
を、加速度一定の加速区間、定速区間、および加速度一
定の減速区間が生じる台形の速度曲線VWとなる台形制
御を行う。板材移動距離が短い場合は、定速移動の速度
に達せずに減速され、速度曲線VWは三角形状となる。
同図の板材移動速度曲線VWの台形部分ないし三角形部
分内の面積が板材移動距離である。板材移動制御手段5
7は、例えば、パルスの払出しによって移動指令を与え
るものとされ、速度の変更はパルス分配周波数の変更に
より行われる。その場合、サーボコントローラ61,6
2は、パルス列の入力に従ってモータ電流を制御するデ
ィジタルサーボとされる。
【0028】板材移動制御手段57は、具体的には図1
5に示すように、速度パターンの生成部57aと、パル
ス分配部57bとで構成される。速度パターン生成部5
7aは、予め設定された最高速度および加減速時定数に
従い、板材移動距離(換言すればテーブル位置決めピッ
チ)に応じて、上記台形ないし三角形の速度曲線VWと
なる速度パターンを生成する手段である。パルス分配部
57bは、その設定された速度曲線VWに従って、モー
タ駆動のためのパルプ分配を行う手段である。なお、図
15では、パルス分配周波数の変化をパルスの高さで示
している。板材移動制御手段57は、各軸X,Y毎に速
度パターンを生成するものとしてあるが、両軸X,Yの
移動を同期させるように速度パターンを生成するものと
しても良い。
【0029】図1のラム軸制御手段58は、ラム駆動手
段53のモータ13を制御する手段であり、サーボコン
トローラ63を介してモータ13を制御する。ラム軸制
御手段58は、モータ13を1方向に回転させ、回転速
度の制御によりラム速度を制御する。ラム軸制御手段5
8は、具体的には、図15に示すように、与えられたラ
ム回転速度パターンVPに従い、モータ駆動のためのパ
ルス分配を行う手段である。
【0030】図1において、並行同期制御手段59は、
ラム6で昇降駆動されるパンチ工具31が、板材上面か
ら離れる直後高さDP(図11)から上死点TDCを経
て板材上面に近接する高さTPに至るまでの動作が、板
材移動手段29による板材移動の開始から次の加工点に
至るまでの板材移動と並行して行われるように、ラム軸
制御手段58に指令を与えるものとされている。並行同
期制御手段59は、後に具体例を示すが、モータ13の
加速時および減速時の加速度を一定として速度制御する
ものとしてあり、また板材移動の開始から次の加工点に
至るまでの板材移動に要する時間が設定時間よりも短い
場合に、上記モータ13の速度を零としないように制御
するものとしてある。上記設定時間は、モータ13の最
高速度および加減速時定数が定まっている場合、これら
最高速度および加減速時定数によって定まる。
【0031】並行同期制御手段59は、具体的には図1
5に示すように、テーブル・ラム同期補間部59aと、
ラム軸モータ速度パターンVPの生成部59bとを有し
ている。テーブル・ラム同期補間部59aは、板材移動
制御手段57によって生成された板材移動の速度曲線V
Wから、板材移動手段29による板材移動の開始から次
の加工点に至るまでの板材移動時間を演算する手段であ
る。板材移動時間は、X,Y両軸の移動に要する時間で
あり、X軸とY軸とで移動時間が異なる場合は長い方の
時間てある。ラム軸モータ速度パターン生成部59b
は、クランク軸2が1回転する間のモータ13の速度パ
ターンVPを生成する手段である。このモータ速度パタ
ーンVPは、ラム6で昇降駆動されるパンチ工具31が
板材上面から離れる直後高さDP(図11)から上死点
TDCを経て板材Wの上面近接高さTPに至るまでの動
作に対応する板材非接触時のモータ速度パターンVP1
と、このモータ速度パターンVP1に続き、上面近接高
さTPから下死点BDCを経て上記離れ直後高さDPに
至る板材接触時のモータ速度パターンVP2とでなる。
【0032】ラム軸モータ速度パターン生成部59b
は、離れ直後高さDPから上死点TDCを経て上面近接
高さTPに至るまでの動作が、テーブル・ラム同期補間
部59aで得られた板材移動時間で丁度行われるよう
に、板材非接触時のモータ速度パターンVP1を生成す
る。すなわち、上記板材移動時間が、離れ直後高さDP
から上面近接高さTPに至るまでのラム動作を行う時間
となるように、モータ速度パターンVP1を生成する。
このモータ速度パターンVP1は、離れ直後高さDPで
最高速度Vm(図16)とし、その後次第に減速した
後、一定速度を維持し、再度加速して上面近接高さTP
で再び最高速度Vmとなるように生成する。この生成
は、予め定められた最高速度Vmおよび加減速時定数に
従って行う。加減速時定数は、例えば一定の値とされ
る。加減速時定数を一定とした場合、板材非接触時のラ
ム軸モータ速度パターンVP1は、基本的には逆台形と
なり、減速部分VPa,定速部分VPb,および加速部
分VPcからなる速度曲線となる。板材移動時間が短い
場合は、ラム動作時間が短くなるため、速度パターンV
P1は定速部分VPbが無くなってV字状となる。板材
接触時のラム軸モータ速度パターンVP2は、上記最高
速度Vmであり、一定速度とされる。この最高速度Vm
は、パンチ加工に適した速度に適宜設定される。
【0033】ラム軸モータ速度パターン生成部59bで
上記のようにモータ速度パターンVP1を生成する場合
に、板材移動時間が長いと、加減速時定数が一定である
ため、モータ速度は零まで低下する。この速度零の値を
維持した後、加速されることになる。この最高速度Vm
から零に低下するまでの時間が上記設定時間とされ、並
行同期制御手段59は、上記板材移動の開始から次の加
工点に至るまでの板材移動に要する時間が上記設定時間
よりも短い場合に、モータ13の速度を零としないよう
に制御することになる。
【0034】ラム軸モータ速度パターン生成部59b
は、ラム6が上死点等で停止している状態からパンチ加
工を開始するときは、最初の1回のラム動作につき、そ
の停止時のモータ回転角から上面近接高さTPおよび下
死点TDCを経て離れ直後高さDPに至るまでの速度パ
ターンを生成する。
【0035】また、並行同期制御手段59は、板材移動
手段29による板材移動の開始を、ラム動作に同期させ
る制御を行う。この同期は、パンチ工具31が板材Wを
加工した後、離れ直後高さDPに至ったときに、板材移
動を開始させるように、板材移動制御手段57に信号を
与えることで行う。この同期制御は、例えばテーブル・
ラム同期補間部59aにより行う。パンチ工具31が離
れ直後高さDPに至ったことは、リンク機構1やラム6
等に適宜の検出手段を設けることで検出することができ
る。
【0036】なお、離れ直後高さDP(図11)および
上面近接高さTDは、それぞれ板材Wの表面から設定余
裕距離だけ上方に離れた高さ位置であり、設定余裕距離
は任意に定められる。この設定余裕距離は、離れ直後高
さDPおよび上面近接高さTDとで異なる値としても良
い。板材Wの表面位置は、加工プログラム55に設定さ
れている板材厚さの情報から得られる。板材Wの表面位
置は、例えば、このモータ駆動式リンクプレスで加工す
る最も厚い板材の表面位置等として固定の値としてもよ
い。
【0037】板材移動制御手段57による板材移動の速
度パターンの生成、および並行同期制御手段59による
ラム軸モータ速度パターンの生成は、これらの手段5
7,59、または解読実行手段56に設けられた加工プ
ログラム55の先読み機能を用いて行われる。例えば、
板材移動制御手段57やラム軸制御手段58により加工
プログラム55における実行中ブロックのパルス分配を
行っている間に、加工プログラム55における先読みし
たブロックの指令に対して、板材移動の速度パターンの
生成およびラム軸モータ速度パターンの生成を行う。
【0038】図14は、加工プログラム55の構造例を
示す。加工プログラム55は、同図のように、順次実行
されるブロックBの並びとして構成される。各ブロック
Bに、板材移動指令Baや工具指令Bbなどの各種の指
令が、一つまたは複数記述される。板材移動指令Ba
は、移動方向を示す符号(XまたはY等の符号)に続け
て、移動量を記述したものとされる。パンチプレスで
は、板材移動指令Baは、その大部分が、板材のパンチ
加工を行う部位をラム位置に移動させる指令である。そ
のため、この例では、板材移動指令Baを含むブロック
Bは、板材移動後にパンチ動作をさせる意味を持つもの
とされ、板材移動後にパンチ動作を行わせないブロック
Bに、板材移動指令Baの後に、パンチ動作を行わせな
い指令をMコード等で付すようにしている。したがっ
て、図1の解読実行手段56において、加工プログラム
55における板材送り指令Ba(図14)を含むブロッ
クBは、非パンチ指令が付されていない限り、パンチ指
令を含むと解釈する。
【0039】なお、図1と共に説明した制御装置52の
板材移動制御手段57、ラム軸制御手段58、および並
行同期制御手段59は、図13に示すように、制御装置
52を構成するコンピュータ52Aと、このコンピュー
タ52Aで実行可能な板材移動・パンチ動作制御プログ
ラム70とで構成される。この板材移動・パンチ動作制
御プログラム70は、記憶媒体71に記録させ、この記
憶媒体71をコンピュータ52Aの記憶媒体読み出し装
置(図示せず)で読み出すようにしてもよい。記憶媒体
71は、例えばコンパクトディスクや、光磁気ディスク
等である。この他に、板材移動・パンチ動作制御プログ
ラム70は、このプログラム70を記憶した別のコンピ
ュータから、通信回線を介して上記コンピュータ52A
に与えるようにしても良い。
【0040】上記制御装置52による板材移動とラム動
作の関係を説明する。図16(A)における左端の速度
曲線VW1 で示す板材移動を行っている間に、先読みに
よって、図15のように加工プログラムのブロックBが
解読実行手段56(図1)で読み出されたとする。この
とき、ブロックBからテーブル位置決めピッチ、つまり
次の加工点までの板材移動距離が解読される。板材移動
制御手段57の位置決め速度パターン生成部57aは、
その解読された板材移動距離だけ移動する速度曲線VW
を、定められた最高速度および加減速時定数によって生
成する。速度曲線VWは、通常は台形となるが、移動距
離が短い場合は三角形となる。板材移動制御手段57
は、この後、生成された速度曲線VWに従い、所定のタ
イミングでパルス分配部57bによりパルス分配し、板
材移動手段29の移動を行う。この移動は、図16
(A)では、左から2番目の速度曲線VW2 による移動
である。上記所定のタイミングは、前回のラム6の昇降
動作による加工の後、パンチ工具31が板材Wから抜け
出す離れ直後高さDPに至ったことが検出手段(図示せ
ず)で検出された時点である。
【0041】位置決め速度パターン生成部57aで速度
曲線VW2 が生成されると、並行同期制御手段59は、
テーブル・ラム同期補間部59aにより、その板材移動
に要する時間を演算し、ラム軸モータ速度パターン生成
部59bにより、ラム軸のモータ速度パターンVPを生
成する。このモータ速度パターンVPは、パンチ工具3
1が板材上面から離れる直後高さDP(図11)から上
死点TDCを経て板材Wの上面近接高さTPに至るまで
の動作に対応する板材非接触時のモータ速度パターンV
P1と、このモータ速度パターンVP1に続き、上面近
接高さTPから下死点BDCを経て上記直後高さDPに
至る板材接触時のモータ速度パターンVP2とを合わせ
たパターンである。図16(B)で言うと、時間T1
間のモータ速度パターンである。
【0042】板材非接触時のモータ速度パターンVP1
は、直後高さDPから上面近接高さTPに至るまでの動
作が、板材移動時間で丁度行われるように生成する。こ
の生成は、定められた最高速度Vmおよび加減速時定数
に従って行う。このモータ速度パターンVP1は、直後
高さDPで最高速度Vm(図16)とし、その後次第に
減速した後、一定速度を維持し、再度加速して上面近接
高さTPで再び最高速度Vmとなるように生成する。板
材非接触時のラム軸モータ速度パターンVP1は、基本
的には逆台形となる。板材移動時間が短い場合は、ラム
動作時間が短くなるため、速度パターンVP1は定速部
分VPbが無くなってV字状となる。板材接触時のラム
軸モータ速度パターンVP2は、上記最高速度Vmであ
り、一定速度とされる。
【0043】このように生成されたラム軸モータ速度パ
ターンVPは、ラム軸制御手段58に出力される。ラム
軸制御手段58は、前回のパンチ動作におけるラム軸モ
ータ速度パターンVPの最終に続いて、今回生成のラム
軸モータ速度パターンVPによるパルス分配を行い、モ
ータ駆動する。前回のラム軸モータ速度パターンVP
は、パンチ加工後にパンチ工具31が板材Wから抜け出
る離れ直後高さDPに至った時点で終了するため、この
離れ直後高さDPに続いて今回のラム軸モータ速度パタ
ーンVPによる制御が行われることになる。このような
制御が、加工プログラム55のブロックBを順次先読み
しながら、繰り返し行われることになる。
【0044】このような制御により、次の動作が行われ
る。すなわち、ラム駆動用のモータ13は常に一方向に
回転させ、これによりリンク機構1のクランク軸2は図
1(B)に示すように常に一方向へ回転させられる。ラ
ム6は、上面近接高さTDから下死点BCDまで下降す
るときに、板材Wに孔明け加工等のパンチ加工を行う。
上面近接高さTDにあるときに、ラム速度はパンチ加工
のための好適速度に達していて、下死点BDCまでの下
降、および下死点BDCから離れ直後高さDPまでの
間、上記好適速度を維持する。またこの間は板材Wは停
止状態とされる。
【0045】離れ直後高さDPまでパンチ工具31が上
昇すると、板材移動手段29による板材Wの移動が開始
され、かつ板材移動が完了するときに、パンチ工具31
が上面近接高さTDに至る。このように、板材移動を行
う間に、工具が板材Wに接触しない範囲のラム動作を行
わせるように同期制御するため、無駄な待機時間が生じ
ず、できるだけサイクルタイムを短縮することができ
る。また、クランク軸3を往復動作させることなくサイ
クルタイムの短縮が行える。
【0046】また、ラム軸制御手段58はクランク軸3
を一方向に回転させ、離れ直後高さDPから上昇した
後、上面近接高さTDに至る間は、並行同期制御手段5
9で与えられる速度パターンVPにより、ラム6をでき
るだけ止めないようにする。すなわち、並行同期制御手
段59は、板材移動に要する時間が設定時間よりも短い
場合に、上記モータ13の速度を零としない速度パター
ンVPとする。このため、パンチ駆動用のサーボモータ
13の加減速負荷が小さく、加減速エネルギが少なくて
済む。これにより、サイクルタイムの短縮、つまり高ヒ
ットレートと、パンチ駆動の省エネルギを共に実現する
ことができる。例えば、図17(B)に比較例を示すよ
うに、板材移動が停止するよりも所定時間だけ前にパン
チ動作を開始させるような制御を行う場合に比べて、ラ
ムを駆動するための加速や減速が緩やかに行え、加減速
によってモータ駆動の消費エネルギが多くなることが回
避される。並行同期制御手段59は、モータ速度パター
ンVPの生成において、加速時および減速時の加速度を
一定とするため、制御装置52を構成するコンピュータ
52Aによりモータ速度パターンVPを演算する負荷が
軽くて済み、比較的簡単なコンピュータ52Aによって
も即座に演算することができる。また、モータ速度パタ
ーンVPは台形とされ、一定速度のパターン部分VPb
を有するため、急激な速度変化が生じず、非パンチ時の
ラム6の昇降動作を滑らかにすることができて、振動や
衝撃の緩和に優れたものとなる。
【0047】なお、上記実施形態は、モータ速度パター
ンVPを、直線加減速が行われる台形としたが、モータ
速度パターンVPは、曲線加減速(いわゆるS字加減
速)が行われる速度パターンとしても良い。
【0048】
【発明の効果】この発明のモータ駆動式リンクプレス
は、クランク部材,揺動リンク,コネクティングロッ
ド,および拘束リンクを有するリンク機構を採用したた
め、比較的小出力のモータを用いても、高いプレス荷重
による加工、および加工のサイクルタイムの向上が可能
である。また、リンク機構を採用しながら、モータの回
転駆動をリンク機構のクランク軸に伝達する駆動伝達系
として、モータの回転制御によりラムの昇降動作を制御
可能に伝達するものを用いたため、つまりフライホイー
ル等の慣性付与を目的とした部品の介在しない駆動伝達
系を用いたため、制御性にも優れたものとなる。また、
加工物である板材をラムの下方で移動させる板材移動手
段と、上記モータを1方向に回転させ回転速度の制御に
よりラム速度を制御するラム軸制御手段と、ラムで昇降
駆動される工具が、板材上面から離れる直後高さから上
死点を経て板材上面に近接する高さに至るまでの動作
が、板材移動手段による板材移動の開始から次の加工点
に至るまでの板材移動と並行して行われるように、上記
ラム軸制御手段に指令を与える並行同期制御手段とを設
けたため、クランク軸を往復動作させることなく、加工
のサイクルタイムを短縮することができる。上記並行同
期制御手段を、上記板材移動の開始から次の加工点に至
るまでの板材移動に要する時間が設定時間よりも短い場
合に、上記モータの速度を零としないように制御するも
のとした場合は、消費エネルギを節減することができ
る。上記同期制御手段を、上記モータの加速時および減
速時の加速度を一定として速度制御するものとした場合
は、サイクルタイムの短縮の制御が簡単な演算処理で行
える。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)はこの発明の一実施形態にかかるモータ
駆動式リンクプレスの概念構成を示す説明図、(B)は
同リンクプレスのクランク動作の説明図、(C)は同リ
ンクプレスの板材移動速度およびラム軸モータ速度のタ
イムチャートである。
【図2】同実施形態のモータ駆動式リンクプレスの全体
を示す平面図である。
【図3】同モータ駆動式リンクプレスの全体を示す側面
図に制御系のブロック図を組み合わせた説明図である。
【図4】この発明の一実施形態にかかるモータ駆動式リ
ンクプレスにおけるリンク機構の破断正面図である。
【図5】同リンク機構の破断側面図である。
【図6】(A),(B)はそれぞれ同リンク機構の正面
図および側面図である。
【図7】同リンク機構とモータとの連結状態を示す側面
図である。
【図8】同リンク機構とモータを本体フレームに設置し
た部分を示す斜視図である。
【図9】同リンク機構の斜視図である。
【図10】同リンク機構の動作モデルの説明図である。
【図11】(A),(B)はそれぞれ同リンク機構にお
けるモータ正回転時および逆回転時のクランク角度とラ
ム変位の関係を示すグラフである。
【図12】同リンク機構とクランク式プレスとのラム変
位過程を比較したグラフである。
【図13】同リンクプレスの制御装置とその制御プログ
ラムの関係を示すブロック図である。
【図14】同制御装置で実行する加工プログラムの構造
例の説明図である。
【図15】同制御装置における板材移動手段、ラム軸制
御手段、および並行同期制御手段の具体例の説明図であ
る。
【図16】同リンクプレスにおける板材移動速度および
ラム軸モータ速度のタイムチャートである。
【図17】同リンクプレスにおける板材移動速度および
ラム軸モータ速度を比較例と共に示すタイムチャートで
ある。
【符号の説明】
1…リンク機構 2…クランク部材 3…クランク軸 4…偏心軸部 5…揺動リンク 6…ラム 7…コネクティングロッド 8…拘束リンク 9…フレーム 10…ガイド部材 11…ピン 12…支点軸 13…モータ 14…駆動伝達系 15…減速機 51…リンクプレス本体 52…制御装置 53…ラム駆動手段 56…解読実行手段 57…板材移動制御手段 58…ラム軸制御手段 DP…離れ直後高さ TP…上面近接高さ VP,VP1,VP2…ラム軸モータ速度パターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B30B 1/14 B30B 1/14

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータと、このモータから駆動伝達系を
    介して伝達された回転動作を直線動作に変換するリンク
    機構と、上記リンク機構の下方に設置されて上記直線動
    作によりプレス加工のために昇降するラムとを備え、上
    記リンク機構は、クランク軸および偏心軸部を有するク
    ランク部材と、回転自在な連結を行う第1ないし第3の
    連結部をそれぞれ3角形の各頂点に位置するように有
    し、第1の連結部が上記クランク部材の偏心軸部に連結
    された揺動リンクと、第2の連結部と上記ラムの上端と
    に両端が連結されたコネクティングロッドと、基端がフ
    レームに回動自在に連結され先端が上記揺動リンクの第
    3の連結部に連結されて上記揺動リンクの揺動を規制す
    る拘束リンクとを備え、上記駆動伝達系は、モータの回
    転制御によりラムの昇降動作を制御可能に上記モータの
    回転駆動を上記クランク軸に伝達するものであり、 加工物である板材をラムの下方で移動させる板材移動手
    段と、上記モータを1方向に回転させ回転速度の制御に
    よりラム速度を制御するラム軸制御手段と、ラムで昇降
    駆動される工具が、板材上面から離れる直後高さから上
    死点を経て板材上面に近接する高さに至るまでの動作
    が、板材移動手段による板材移動の開始から次の加工点
    に至るまでの板材移動と並行して行われるように、上記
    ラム軸制御手段に指令を与える並行同期制御手段とを設
    けたモータ駆動式リンクプレス。
  2. 【請求項2】 上記並行同期制御手段は、上記板材移動
    の開始から次の加工点に至るまでの板材移動に要する時
    間が設定時間よりも短い場合に、上記モータの速度を零
    としないように制御するものとした請求項1記載のモー
    タ駆動式リンクプレス。
  3. 【請求項3】 上記並行同期制御手段は、上記モータの
    加速時および減速時の加速度を一定として速度制御する
    ものとした請求項1または請求項2記載のモータ駆動式
    リンクプレス。
JP2002129566A 2002-05-01 2002-05-01 モータ駆動式リンクプレス Pending JP2003320488A (ja)

Priority Applications (7)

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