JP2003320221A - バイオガスの精製方法および精製装置 - Google Patents

バイオガスの精製方法および精製装置

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JP2003320221A
JP2003320221A JP2002131817A JP2002131817A JP2003320221A JP 2003320221 A JP2003320221 A JP 2003320221A JP 2002131817 A JP2002131817 A JP 2002131817A JP 2002131817 A JP2002131817 A JP 2002131817A JP 2003320221 A JP2003320221 A JP 2003320221A
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high pressure
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Kenji Sada
賢二 佐田
Rune Simonsson
シモンソン ルネ
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MALMBERG WATER AB
SANWA ENG
SANWA ENGINEERING KK
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MALMBERG WATER AB
SANWA ENG
SANWA ENGINEERING KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 各種施設から発生するバイオガスから、CH
4を安価にしかも効果的に分離精製するための簡単な方
法、およびそのためのコンパクトな装置を提供する。 【解決手段】 有機性廃棄物の嫌気性発酵によって発生
し、少なくともCH4、CO2、H2SおよびH2Oを含有
する混合ガスからCH4ガスを分離精製するに当たり、
前記混合ガスと水をガス吸収塔4において2気圧以上の
高圧状態で接触させ、この高圧水中に少なくともCO2
およびH2Sを溶解させることによって、混合ガス中の
CH4濃度を高めて回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下水処理場、屎尿
処理場、その他生ごみなどの有機性廃棄物の嫌気性発酵
処理施設等から発生する混合ガス(以下、「バイオガ
ス」と呼ぶことがある)中に含まれるメタン(CH4
を効果的に分離精製する方法、およびこうした精製に有
効に利用できる精製装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】都市ガス等として使用されている天然ガ
スは、メタンを主成分とするその性状から、CO2の排
出量も少なく、黒煙も発生しないクリーンな燃料である
とされている。こうした特徴を有する天然ガスは、自動
車用の燃料として有効に利用する試みがなされている。
天然ガスを燃料とした自動車(以下、単に「天然ガス自
動車」と呼ぶ)は現在国内で1万台以上に普及してお
り、こうした天然ガス自動車から排出される窒素酸化物
(NOx)はガソリン車の40〜70%、ディーゼル車
の60〜80%を削減することが可能であると言われて
いる。
【0003】一方、上記した各種嫌気性発酵処理施設か
ら排出されるバイオガスは、少なくともCH4,CO2
2SおよびH2O等を含んだものであるが、このバイオ
ガスは従来ではあまり利用されないまま放出され、或は
一部熱源として利用されるに留まっていた。ところが最
近に至って、このようなバイオガスからCH4を主成分
として分離精製し、これを上記天然ガスに代わり得る燃
料として有効に利用しようとする技術の開発が始められ
ている。
【0004】特に、上記天然ガス自動車では、クリーン
な燃料とされているものの、天然ガスを燃焼させたとき
に発生するCO2は地球温暖化の原因になるものであ
る。また、天然ガスはその大部分が液化天然ガスの状態
で、インドネシヤ、マレーシヤ、オーストラリア等の外
国から輸入されている。
【0005】これに対してバイオガスから精製されたメ
タンガスでは、燃焼時に発生するCO2はもともと生物
が大気中のCO2を固定したものであり、地球温暖化の
原因となるCO2の量を増やすことがなく、また上記の
ような嫌気性発酵処理施設は国内に多数存在するので、
こうした施設からのバイオガスを有効に利用してCH4
ガスを効果的に分離精製する技術の確立が望まれている
のが実状である。
【0006】バイオガスからCH4を精製する方法とし
ては、これまでにも様々提案されており、その技術は大
別して(1)膜分離方式、(2)圧力スイング方式(P
SA:Pressure Swing Adsorption)、および(3)ガ
ス吸収方式の3通りの方法が知られている。
【0007】膜分離方式は、発生バイオガスの或る種の
成分が薄い膜を透過し、残りのガス成分が保留する性質
を利用することによって、両者を分離させる方法であ
る。この方法では、膜の材質を適切に選定することによ
って、例えば或る種類の高分子膜の場合(アセテート・
セルローズ膜)には、CO2の透過性はCH4と比べて2
0倍以上であり、H2Sの透過性はCH4と比べて60倍
以上であり、これらの差によって分離するCH4の純度
を上げることができる。尚、この方法を実施するときの
系内の圧力は、25〜40気圧程度である。
【0008】しかしながらこの膜分離方式では、使用す
る膜が元々高価であり、また消耗品であるので、取り替
え作業と取替え膜の供給が必要になり、更に高価になる
という欠点がある。
【0009】一方、PSA方式は、合成ゼオライトや活
性炭でガス成分を物理的に吸着させ、脱着特性の違いに
よって特定成分を分離する方法である。そして、脱着操
作は圧力(減圧)を利用して行われる。この方法では、
吸着材が系内に固定された状態とされ、同一の吸着塔に
ついて吸着/脱着の再生サイクルを繰り返して行うもの
である。そして、この方法におけるプロセス全体として
は、複数の吸着塔を交互に操作して、連続的に分離操作
が行われている。
【0010】しかしながらこの方法では、使用する吸着
材がH2Sによる被害を受けやすく、その性能が急激に
低下する事態が発生するので、上記のようなバイオガス
にPSA方式を採用する場合には、バイオガス中のH2
Sを予め除去するための手段(例えば、脱硫装置)を設
ける必要があり、その装置構成が複雑になって高価にな
るという問題がある。
【0011】また、ガス吸収方式は、炭酸カリウム水溶
液などを用いて、低温で混合ガス中のCO2ガスを吸収
させ、高温で脱着(後処理)させる方式である。しかし
ながらこの方法においても、加熱、冷却操作に多量のエ
ネルギーを要するという問題があり、また後処理のため
の処理費が嵩むという問題もある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような状
況に鑑みてなされたものであって、その目的は、各種施
設から発生するバイオガスから、CH4を安価にしかも
効果的に分離精製するための簡単な方法、およびこうし
た方法を実施するためのコンパクト且つ簡易な構成を有
する分離精製装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明方法とは、有機性廃棄物の嫌気性発酵部から排出さ
れ、少なくともCH4、CO2、H2SおよびH2Oを含有
するバイオガスからCH4ガスを分離精製するに当た
り、前記バイオガスと水を2気圧以上の高圧状態で接触
させ、この高圧水中に少なくともCO2およびH2Sを溶
解させることによって、バイオガス中のCH4濃度を高
めて回収する点に要旨を有するものである。
【0014】上記精製方法においては、前記水は有機性
廃棄物の嫌気性発酵によって発生した排水を利用できる
が、この水は循環させつつ操業する構成や、適宜放出ま
たは後処理する構成も採用できる。
【0015】一方、上記目的を達成することのできた本
発明の分離精製装置とは、有機性廃棄物の嫌気性発酵部
から排出され、少なくともCH4、CO2、H2Sおよび
2Oを含有するバイオガスからCH4ガスを分離精製す
る装置であって、前記混合ガスを圧縮しつつ高圧状態に
するガス圧縮機と、水を高圧にするための高圧水ポンプ
と、前記混合ガスと水を2気圧以上の高圧状態で接触さ
せて、この高圧水中に少なくともCO2およびH2Sを溶
解させる吸収塔とを備え、混合ガス中のCH4濃度を高
めて回収するように構成したものである点に要旨を有す
るものである。
【0016】
【発明の実施の形態および実施例】本発明者らは、嫌気
性発酵部から排出されるバイオガスからメタンを効果的
に分離精製する手段について様々な角度から検討した。
そして、高圧の状態で水と混合ガスを接触させれば、該
混合ガス中に含まれるCO2やH2Sが水中に効果的に捕
捉されることになり、その結果として、混合ガス中のメ
タンガスが有効に分離精製できることを見出し、本発明
を完成した。
【0017】CH4等の炭化水素等の水に対する溶解度
は低く、一方CO2等は下記(1)式による反応が進行
しやすく、水に直ぐに溶け込むことは一般的に知られて
いることである。例えば、1気圧の状態で水1L(リッ
トル)に溶解するCO2とCH4の体積は、CO2が0.
8L、CH4が0.03Lであり、約25倍の差があ
る。また、水以外の他の溶液に対しては、ガスの溶解量
は大きくなるがCO2とCH4の差が水ほどでなくなり、
例えばメタノールではCO2とCH4の溶解比率(CO 2
/CH4)が23、炭酸プロピレンでは14程度とな
る。 H2O+CO2→H2CO3 ‥(1)
【0018】本発明者らは、上記のようなバイオガス中
に含まれるCH4を精度良く分離精製するには、上記の
原理を利用すれば良いとの着想を得た。即ち、バイオガ
ス中に含まれるCO2,H2SおよびH2O等の成分は水
に溶解し易い一方で、CH4は水に溶解し難いことか
ら、バイオガスと水とを接触させて、CH4以外の成分
を水中に捕捉することによって、バイオガス中に含まれ
るCH4を精度良く分離精製できるとの着想が得られ
た。
【0019】こうした着想の下で本発明者らが更に検討
したところによれば、CO2やH2Sの水に対する溶解量
は、常圧時と比べて高圧になるにつれて格段に大きくな
ることに着目し、上記の様に2気圧以上に高圧状態で水
とバイオガスを接触させるようにすれば、CO2やH2
を水中に効果的に捕捉して、その結果としてCH4を精
度良く分離精製できることが判明した。
【0020】図1は各ガス成分(CO2,H2SおよびC
4)における水に対する溶解度(モル分率)の圧力依
存性を示したグラフであり、図1(a)は水の温度が5
℃、図1(b)は10℃、図1(c)は20℃のときを
夫々示す。この結果から明らかなように、CO2やH2
等のガス成分は圧力が高くなるにつれて水に対する溶解
度が大きくなっていることが分かる。これに対してCH
4では、水に対する溶解度はそれほど圧力依存すること
なく、いずれの場合でもそれほど溶解しないことが分か
る。
【0021】本発明は上記のように雰囲気圧力を高くす
ることによって、上記した効果が得られたのであるが、
この圧力の上限については下記の理由から制限がある。
即ち、CO2は0℃のときに約12気圧、5℃のときに
約22気圧、10℃のときに約45気圧でシャーベット
状の包接化合物(クラスレート)を形成し、管内移送が
困難な状態になるので、クラスレートが形成しない範囲
を使用温度・圧力範囲とする。図2(H2O−CO2の相
平衡状態図:例えば「環境エネルギー工学」田中忠良
著)に、クラスレートが発生する領域(ハッチングで示
した領域)を示す。
【0022】低い温度で操業する場合には、使用圧力の
上限が下がることによる溶解量の低下は、温度が下がる
ことによる溶解量の増加によって相殺することができ
る。但し、0℃以下になると水の供給ラインが凍結する
ことになるので、操業ができないことになる。従って、
操業は0℃を超える任意の温度下で、上記のようなクラ
スレートが形成される直前の圧力で行なえば、水中への
CO2等の溶解量が最も大きくなって効率的である。こ
うしたことから、本発明を実施するに当たって、装置規
模や操業の安定性等を考慮すれば、温度:3〜25℃程
度、圧力:5〜40気圧(atm)程度であることが好
ましい。
【0023】次に、図面を用いて本発明方法について更
に具体的に説明する。図3は、本発明を実施するための
分離精製装置の一構成例を示す概略説明図であり、図中
1a,1bは凝縮トラップ、2a,2bはガス圧縮器、
3は冷却器、4はガス吸収塔、5はガス脱着塔、6a,
6bは高圧力ポンプ、7a,7bはフィルター、8a,
8bはガス乾燥器、9はガス分析器、10は貯蔵タン
ク、11は加熱器を夫々示す。
【0024】上記のような装置構成において、原料ガス
供給源(図示せず)から供給されてきたバイオガス(原
料ガス)Gは、流量調整弁V1によってその流量が調整
されつつ凝縮トラップ1aに送られ、この凝縮トラップ
1aにてガス中の水分が除去された後、ガス圧縮機2
a,2bに送られる。ガス圧縮機2a,2bでは、送ら
れてきたバイオガスGが所定の圧力まで昇圧(例えば、
約20気圧程度)される。このとき用いるガス圧縮機2
a,2bとしては、バイオガスを所定の圧力(50気圧
程度)まで昇圧できるものであれば、その形態について
は何ら限定するものではないが、ハイドロカーボンの発
生が無い無潤滑式であることが好ましい。
【0025】圧縮されたバイオガスGは、断熱圧縮によ
る圧縮熱を冷却器3で除去した後、ガス吸収塔4の下部
に送られる。このガス吸収塔4には、その上部から水W
が高圧水ポンプ6a,6bを介して昇圧された状態で供
給される。このとき用いる水としては、有機性廃棄物の
嫌気性発酵によって発生した排水を有効利用することが
できるが、フィルター7a,7bは、こうした排水を利
用するときにその中に含まれているゴミ等を除去するた
めに設けられたものである。
【0026】ガス吸収塔4では、バイオガスGと水Wと
を効率良く接触させるために、その内部にはラシヒリン
グ等、接触面積を増加させると共に均一化が図れる部材
が充填されている。このガス吸収塔4内で、バイオガス
Gと水とを2気圧以上の高圧雰囲気下で十分に接触させ
ることによって、バイオガスG中に含まれるCO2やH2
S等のガス成分が水Wに十分に吸収されると共に、微量
のCH4も水に吸収されることになる。尚、この装置構
成では、ガス圧縮機2a,2bによってバイオガスを高
圧状態にすると共に、高圧力ポンプ6a,6bによって
水Wを高圧状態にすることによって、吸収塔4内におい
てバイオガスGと水Wとの高圧状態での接触を実現する
ものである。
【0027】ガス吸収塔4内で、バイオガスGと水とを
高圧雰囲気下で十分に接触させることによって、バイオ
ガスG中に含まれるCO2やH2S等のガス成分が水Wに
十分に吸収されるのであるが、CO2やH2S等のガス成
分が吸収された水(CO2含有水)は、ガス吸収塔4の
下部から取り出され(開閉弁V2)、ガス脱着塔5に導
入される。
【0028】このガス脱着塔5では、塔内雰囲気が減圧
されており、水に僅かに溶解しているCH4がガス成分
として分離されてガス脱着塔5の上部から取り出され、
原料ガス(バイオガスG)に戻されてその後の回収に付
される。一方、CH4が分離回収された後のCO2含有水
は、その後ガス脱着塔5の下部から取り出されて(開閉
弁V3)、そのまま放出されるか後処理(例えば、CO
2回収処理)に付される。このガス脱着塔5において
も、前記ガス吸収塔4と同様に、CO2含有水と効率良
く接触させるために、その内部にはラシヒリング等、接
触面積を増加させると共に均一化が図れる部材が充填さ
れている。
【0029】一方、バイオガスGからCO2やH2Sが吸
収されて分離された後のCH4(精製ガス)は、水分を
含んだ状態で前記ガス吸収塔4の上部から取り出され、
その後凝縮トラップ1bによって水分が除去された後、
ガス乾燥器8a,8bに送られてガス中の水分が除去さ
れた後、開閉弁V4を介して貯蔵タンク10に回収され
る。尚、図3に示した装置では、一対のガス乾燥器8
a,8bを設けた構成を示したが、これは連続的に送ら
れてくるガスの乾燥を、開閉弁V5,V6の開閉操作に
よってガス乾燥器8a,8bに交互に振り分けて操業す
るためである。尚、ガス乾燥器8a,8bによって分離
された水分を含んだCH4は、開閉弁V8,V9の操作
によって、原料ガス(バイオガス)に戻される。また、
加熱器11は、ガス乾燥器8a,8bを加熱するために
設けられるものである。
【0030】CH4ガスを貯蔵タンク10に回収するに
際して、ガス乾燥器8a,8bから取り出された精製ガ
スは、ガス分析器9によってCH4、H2S,H2Oおよ
びCO2等の成分組成割合が随時分析され、CH4の純度
が所定の基準(例えば、自動車用燃料として使用される
ときには、95%以上)に達している場合には、貯蔵タ
ンク10側の前記開閉弁V4を開の状態にして(開閉弁
V7を閉の状態にして)、CH4を貯蔵タンクに回収す
る。また、CH4の純度が所定の基準に達していない場
合には、開閉弁V7を開の状態にして(開閉弁V4を閉
の状態にして)回収ガスを循環させて(ラインL1)原
料ガスに戻し、上記した処理を繰り返し行ってCH4
純度を上げる。即ち、しばらくの間、このラインL1で
CH4富化ガスを原料ガスに戻して上記処理を繰り返し
て行うことによって、ガス圧縮機2a,2b中のCH4
濃度が上昇するので、最終的に得られる回収ガスにおけ
るCH4純度を高めることができる。
【0031】こうした構成を採用することによって、バ
イオガスG中のCO2やH2Sについても効果的に除去で
きるので、従来技術で必要とされていた脱硫装置も不要
になって、装置構成が簡素化およびコンパクト化が図れ
るという利点もある。
【0032】尚、本発明で対象とするバイオガスG中に
含まれるH2Sは腐食性ガスであるので、こうしたバイ
オガスGが通過するガス圧縮機2a,2b、冷却器3、
ガス吸収塔4等の素材としては、耐食性材料(例えば、
ステンレス鋼製)で構成されていることが好ましい。ま
た、ガス脱着塔5、高圧水ポンプ6a,6b、凝縮トラ
ップ1a,1bについても水による腐食を防止するため
にステンレス鋼製であることが好ましい。
【0033】図4は、本発明を実施するための装置にお
ける他の構成例を示す概略説明図であり、その基本的な
構成は前記図3に示した構成と類似し、対応する部分に
は同一の参照符号を付すことによって重複説明を回避す
る。尚、開閉弁の操作については、説明の便宜上その詳
細は省略してあるが、基本的な操作は図3に示した装置
構成と同じである。
【0034】図4に示した装置では、前記図3に示した
装置に対して更にCO2分離塔13が設けられた構成と
なっている。そして、吸収塔4の下部から取り出された
CO 2含有水はガス脱着塔5に導入されて水に僅かに溶
解しているCH4ガスがガス成分として分離されて原料
ガス(バイオガスG)に戻されるのは前記図3に示した
装置構成と同様であるが、ガス脱着塔5でCH4が分離
回収された後のCO2含有水が、CO2分離塔13に送ら
れて水とCO2ガスに分離される様に構成されている。
即ち、分離塔13に送られてきたCO2含有水は、分離
塔13内で減圧状態に晒されることによって、CO2
水に分離されることになる。分離塔13で分離されたC
2は、凝縮トラップ1cによって水分が除去された後
(除去された水分は分離塔13に戻される)、ファンF
によって大気に放出される。このCO 2は、もともと生
物が大気中のCO2を固定したものであるので、そのま
ま大気中に放出されても、大気中のCO2バランスを崩
す原因とはならないものである。尚、CO2を回収した
い場合には、ファンFにCO2回収設備(例えば、活性
炭吸着方式による固定化)を接続することができる。
【0035】分離塔13にはフィルター7cを介して水
Wが供給され、この水はCO2含有水から分離された水
と混合され、ポンプP1によって分離塔13の下部から
取り出され、その一部は再び加圧されてガス吸収塔4の
上部に戻されて、バイオガスGの精製に利用される。即
ち、水Wは、分離塔13、ガス吸収塔4およびガス脱着
塔5の間を循環して使用されることになる。
【0036】尚、CO2含有水にはCO2と共にH2Sも
溶解しているが、このH2Sはイオン化して水に溶解し
ているので減圧すると一部CO2ガスと同伴するが、残
りは水に溶解したまま運転の継続によって循環水中に蓄
積していくことになる。従って、H2Sが蓄積された水
は、適宜放出(図4の15)されて入れ替えられるか、
後処理に付される。
【0037】尚、図4に示した装置構成においては、分
離塔13の下部から取り出された水の一部は、その後ク
ーラ14によって冷却された後、ガス圧縮機2c、冷却
器3a,3b等に送られてこれらの機器における冷媒と
して循環使用される。また、凝縮トラップ1b、ガス乾
燥器8a,8b、ガス分析器9付近の構成(回収ガスを
循環させるラインL1も含めて)は前記図3に示した構
成と同様である。こうした装置構成においても、CH4
ガスを高純度に回収できる。特に、この装置構成では、
水を循環使用するようにしたので、処理水の系外への排
出が少ないという効果も得られる。
【0038】前記図4に示した装置構成を用いて、バイ
オガスの処理を行い、CH4の精製分離を行った。この
とき用いたバイオガス(原料ガス)は、下水汚泥を嫌気
発酵することによって得られたものであり、下記の組成
を有するものである。尚、バイオガスは流量:260N
3/hで送り、ガス吸収塔4の容量:1.8m3とし
た。 (バイオガス組成) メタン(CH4):>55容積% 二酸化炭素(CO2):<45容積% 硫化水素(H2S):<200ppm 空気:<0.5容積% その他(H2O,NH3等):<0.5容積% 圧力:0.003〜0.04MPa(約0.03〜0.
4気圧)
【0039】その結果、95〜97容積%のCH4を含
有する精製ガスが得られており、この精製ガス中のCO
2およびH2Sの含有量は、夫々3%未満、10ppm以
下に低減していた。尚、このときの精製ガスは、水分含
有量が32mg/Nm3以下であり、圧力0.6〜1.
0MPa(約6〜10気圧)であった。
【0040】本発明で処理されるバイオガスの種類は特
に限定されず、例えば下水汚泥、屎尿、家畜屎尿、都市
ごみ等の有機性廃棄物を嫌気性発酵する際に排出される
ものであって、CH4を主体とし、CO2やH2Sを含む
ものであればいずれも採用できる。また、このバイオガ
スには、上記成分以外にも有機性廃棄物に由来する微量
の成分(例えば、NH3等)を含んでいても良く、これ
らの微量成分についても本発明方法によって効果的に低
減若しくは除去できることになる。
【0041】上記の様にして処理することによって、メ
タン濃度95%以上の精製ガスが得られるのであるが、
このような精製ガスは従来から燃料として用いられてい
る天然ガスと同等のメタン濃度を有していることから、
天然ガスに代わり得るクリーンな燃料として有用に利用
できることが期待できる。次に、本発明で得られる精製
ガスを燃料として利用するシステム例について説明す
る。
【0042】図5は、本発明で得られた精製ガスを自動
車(天然ガス自動車)などの燃料として供給するための
システムを示す概略説明図であり、図中20a,20b
は一対の圧縮機、21a〜21cはガス貯蔵設備、22
はガス充填設備の夫々を示す。
【0043】精製装置(図示せず)から送られてきた精
製ガスG1は、約15気圧程度に昇圧されており、この
精製ガスG1は圧縮機20a,20bに送られて250
気圧程度まで昇圧されることになる。その際、精製ガス
G1は循環されるように構成されており、圧縮機20
a,20bを循環させつつ通過させることによって、ガ
ス圧を上記の程度まで徐々に高めるようにされる。尚、
このとき用いる圧縮機20a,20bとしては、精製ガ
スG1の圧力を250気圧程度まで高めることができる
構成であれば如何なる形式のものも採用できるが、例え
ば油圧駆動の水平ピストン型増圧機式が好ましく使用で
きる。
【0044】ガス貯蔵設備21a〜21cは、圧縮機2
0a,20bによって昇圧された精製ガスG1を一次貯
蔵しておくために配置されるものであり、例えばボンベ
状の容器を多数並べて配管で結合して構成されるもので
あり、合計で10m3程度の容積を有するものである。
【0045】ガス充填設備22は、自動車に精製ガスを
充填するためのものであって、ガソリンスタンド等で一
般的に見かけるものであればよく、例えば2箇所の充填
機を有しており、同時に2台の自動車へのガス充填が行
えるものである。
【0046】上記のような構成のシステムにおいて、実
際に精製ガスG1を自動車に充填するには次のようにし
て行われる。まず、ガス圧縮機20a,20bを稼動し
てガス貯蔵設備21a〜21cへガスを送気し、ガス圧
が250気圧程度に達すると接続バルブ(図示せず)を
閉塞し、ガス圧縮機20a,20bを停止する。自動車
へのガスの充填は、ガス貯蔵設備21a〜21cと充填
設備22とを結ぶラインL3を形成することによって行
なう。
【0047】自動車へのガスの充填によって、ガス貯蔵
設備21a〜21cの圧力が所定の圧力まで下がると、
自動的にガス圧縮機20a,20bが稼動し、ガス貯蔵
設備21a〜21cへのガスの補充が行われる。尚、自
動車への充填中に所定圧力に下がった場合でも、圧縮機
20a,20bを稼動させて貯蔵設備21a〜21cか
らと同時にガスを送り込むように構成することもでき
る。また、ガス貯蔵設備21a〜21cのガスを全て自
動車に充填したい場合には、バルブを切り替えてガス貯
蔵設備21a〜21cのガスを圧縮機20a,20bの
吸い込み側に接続するラインL4を形成し、ガス圧縮機
20a,20bで直接的に自動車にガスを充填するよう
な構成も採用できる。
【0048】尚、圧縮天然ガス自動車(CNG車:Comp
ressed Natural Gas車)の燃料に、上記精製ガスを利用
すれば、バイオガス起因のCO2は地球温暖化規制のC
2発生量にカウントされないので、精製ガスを燃料と
した自動車からの燃料排ガス中のCO2の発生量が従来
の天然ガスを燃焼させたときに比べてゼロとなって、地
球環境温暖化防止に寄与できるものとなる。
【0049】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、各
種施設から発生するバイオガスから、CH4を安価にし
かも効果的に分離精製するための簡単な方法、およびそ
のためのコンパクトな装置が実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】各ガス成分における水に対する溶解度の圧力依
存性を示したグラフである。
【図2】H2O−CO2の相平衡状態図である。
【図3】本発明方法を実施するための装置の一構成例を
示す概略説明図である。
【図4】本発明方法を実施するための装置の他の構成例
を示す概略説明図である。
【図5】本発明で得られた精製ガスを自動車などの燃料
として供給するためのシステムを示す概略説明図であ
る。
【符号の説明】
1a,1b 凝縮トラップ 2a,2b,2c ガス圧縮機 3,3a,3b 冷却器 4 ガス吸収塔 5 ガス脱着塔 6a,6b 高圧力ポンプ 7a,7b,7c フィルター 8a,8b ガス乾燥器 9 ガス分析器 10 貯蔵タンク 13 分離塔 20a,20b 圧縮機 21a,21b,21c ガス貯蔵設備 22 ガス充填設備
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 11/04 B01D 53/34 120E 4H006 C07C 7/11 C10L 3/00 ZABB 9/04 B09B 3/00 D C10L 3/10 ZAB C (72)発明者 ルネ シモンソン スウェーデン国 エスイー−296 85 オ ーヒウス マルンベルグ ウォーター エ ービー内 Fターム(参考) 4D002 AA03 AA09 AC10 BA02 BA12 BA13 BA14 CA07 CA13 DA35 EA05 EA07 GA01 GB04 HA01 HA03 HA08 4D004 AA02 AA03 CA18 4D020 AA03 AA04 BA23 BB03 BC02 CB13 DA01 DA02 DB03 4D040 AA01 4D059 AA01 AA07 AA30 BA15 BA16 4H006 AA02 AD18 BB31 BC52 BD35 BD53

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機性廃棄物の嫌気性発酵部から排出さ
    れ、少なくともCH 4、CO2、H2SおよびH2Oを含有
    するバイオガスからCH4ガスを分離精製するに当た
    り、前記バイオガスと水を2気圧以上の高圧状態で接触
    させ、この高圧水中に少なくともCO2およびH2Sを溶
    解させることによって、バイオガス中のCH4濃度を高
    めて回収することを特徴とするバイオガスの精製方法。
  2. 【請求項2】 前記水は有機性廃棄物の嫌気性発酵によ
    って発生した排水である請求項1に記載の精製方法。
  3. 【請求項3】 前記水を循環させつつ操業する請求項1
    または2に記載の精製方法。
  4. 【請求項4】 前記水を適宜放出または後処理する請求
    項1〜3のいずれかに記載の精製方法。
  5. 【請求項5】 有機性廃棄物の嫌気性発酵部から排出さ
    れ、少なくともCH 4、CO2、H2SおよびH2Oを含有
    するバイオガスからCH4ガスを分離精製する装置であ
    って、前記混合ガスを圧縮しつつ高圧状態にするガス圧
    縮機と、水を高圧にするための高圧水ポンプと、前記混
    合ガスと水を2気圧以上の高圧状態で接触させて、この
    高圧水中に少なくともCO2およびH2Sを溶解させる吸
    収塔とを備え、混合ガス中のCH4濃度を高めて回収す
    るように構成したものであることを特徴とするバイオガ
    スの精製装置。
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