JP2003315346A - マイクロウェルアレイと同マイクロウェルアレイを用いた液体の取り出し方法 - Google Patents

マイクロウェルアレイと同マイクロウェルアレイを用いた液体の取り出し方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 化学反応における試料の密閉・培養・取出し
を、試料を無駄にすることなく、高速にしかも低コスト
で実現することを目的とする。 【解決手段】 複数の独立したウェルがアレイ状に配置
された容器と、容器を覆うことができるカバーを具備
し、該ウェルごとに溶接によって密閉した後に、ウェル
内部の物質をウェルから取り出すことができる構造を備
えたことを特徴とするマイクロウェルアレイ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶液を密閉させる
場合に利用されるマイクロウェルアレイと、当該マイク
ロウェルアレイからの液体の取り出し方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多くの化合物の中から、選択的に必要な
化合物を選り分ける場合に使用される技術の一つとし
て、HTS(High Throughput Screening、ハイスルー
プットスクリーニング)技術がある。HTS技術は、大
量の生物学的情報を一度に取り扱うことができ、化学反
応や蛍光の検出を試験管などで一回ずつ行うよりも、コ
スト・時間の点で圧倒的に有利であるために、近年特に
注目されている技術である。
【0003】例えば、現在急速に普及しつつあるDNA
マイクロアレイは、遺伝子発現解析を目的としている
が、これもHTS技術から派生した技術であり、1枚の
スライドガラスの表面に数千から数万のプローブcDN
A(遺伝子)をスポットし、検体から取り出したmRN
Aを逆転写することにより得られたターゲットcDNA
とハイブリダイゼーションを行わせることにより、遺伝
子ごとの発現量を並列的に比較・処理することができる
有力な解析手段である。このDNAマイクロアレイで
は、ターゲットとなるcDNAとプローブとなるcDN
Aをバッファー溶液中でハイブリダイゼーション反応さ
せた後、スライドガラスを洗浄・乾燥し、各スポットか
ら発せられる蛍光を光スキャナーで測定しているが、ア
ッセイによっては、反応を溶液の状態で行わなければな
らない場合も多い。例えば、SNPタイピング(中村祐
輔編集 「SNP遺伝子多型の戦略」、p.93〜p.1
49、中山書店、2000年6月発行)に用いられるTa
qMan PCR法、Invader法、RCA法などではDNAと
酵素との反応を、溶液のままの状態で行わなければなら
ない。
【0004】Invader 法は、原理がV. Lyamichev et a
l., “Polymorphism identificationand quantitative
detection of genomic DNA by invasive cleavage o
f oligonucleotide probes”, Nature Biotechnology 1
7 (1999) 292-296. に記載されているが、この方法を用
いることにより、ゲノムDNA中の多型を選択的に検出
することができる。すなわち、実験方法として、ゲノム
DNA200ng程度を分注し、それに試薬20μL
(蛍光標識試薬+酵素+Invaderプローブの混合液)を混
合する。そして、溶液から発する蛍光強度を測定するこ
とにより、検出したいDNAの配列(いわゆる多型)が
ゲノムDNA中に存在するかどうかを判定(タイピン
グ)することができる。
【0005】現在、溶液の反応を大量に行う場合には、
一つのウェル当り数十から数百μLの容積を持つ96ウ
ェルマイクロタイタープレートあるいは384ウェルマ
イクロタイタープレートに反応試薬を分注し、サーマル
サイクラーで熱処理するのが一般的である。加熱する
際、液体が蒸発してウェルから出ていかないようにサン
プルを保持しているウェルを密閉する必要があり、通常
粘着剤の付いた可撓性のシートあるいはフィルムでウェ
ルを覆っている。特に、DNA を変性する場合には、
水の沸騰温度に近い95℃で加熱しなければならないた
め、シート(あるいはフィルム)にウェルの内側より大
きな圧力がかかる。この時、蒸発した溶液をウェルから
逃さないようにするために、ウェルを完全に密閉してい
る。
【0006】こうした熱処理を伴うアッセイを効率的に
行うために、96ウェルマイクロタイタープレートある
いは384ウェルマイクロタイタープレートの材質、形
状、化学的・物理的特性はこれまで用途に応じて種々の
工夫がなされてきた。例えば、特表平11−507508には、
マイクロプレートの各ウェルをシールする際、弾力圧縮
性のリッジがパッドの表面に形成されている可撓性を有
するパッドを、ウェルの開口部に押し当てることによっ
て、ウェル内部を液密な状態に保持し、加熱・攪拌工程
の後にパッドをウェルから剥がし易くすることを特徴と
する発明が示されている。米国特許第6,106,783号は、
各ウェルをシールする際のクロスコンタミネーションの
低減を目的とした構成を開示するものである。さらに、
米国特許第6,241,949号 では、容器に形成されたウェル
と類似の形状を有して各ウェルの内壁面にほぼフィット
する複数の蓋がカバーに形成されており、容器にカバー
を装着すると、蓋はそれぞれ対応するウェルに挿入さ
れ、容器の内壁面と蓋の該表面との間にわずかな空間を
形成して検査対象となる溶液をこの空間に収容すると共
に、容器が傾斜あるいは振動しても溶液が容易に溢れ出
ることを防止し、蓋の最下端部に形成された開口を通っ
て溶液へのアクセルを可能にしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】検体等から抽出できる
ゲノムDNAの量(20ccの血液から採取できるDN
Aは100〜200μg)が限られていることから、こ
れまで微量の検体からDNAの配列、疾患、遺伝などに
関する多くの情報を引き出すため、DNAを増幅する技
術が開発され、マイクロタイタープレート等の容器を使
って、増幅されてきた。
【0008】しかしながら、従来使われてきたマイクロ
タイタープレートを使うと、恒温水槽中で長時間ウェル
内の溶液をインキュベート(熱処理)したり、沸騰させ
たりすることはできない。このことは、たとえば水が9
5℃で沸騰して蒸気になると、常温(25℃)時の体積
の約1600倍になるため、密閉したウェルの内部か
ら、1600倍近くの圧力がかかることになり、従来の
シール方法ではウェルの密閉性を維持することができな
いことからも明らかである。
【0009】溶液を液密にシールする前者の発明によ
り、サーマルサイクラーで熱処理している間の溶液の減
少を最小限に抑えることができる。しかしながら、TaqM
an法やInvader法などの溶液反応を行わせる場合には、
これらの発明を利用しても、サーマルサイクラーを使う
限りにおいて、処理枚数は限られていた。その結果、マ
イクロプレートを利用する限り、検体試料を大量に増幅
し、並列的に大量のデータを取得することは難しい。
【0010】また近年、LAMP法やICAN法などが開発さ
れ、温度サイクルをかけず、一定の温度でインキュベー
ションを行うことによってDNAを増幅することができ
るようになってきている。そのため、電気機器による精
度の高い温度制御を必要としなくなってきているため、
サーマルサイクラー等の高価な装置を使わなくてもイン
キュベーションが可能であり、今後恒温水槽や一定温度
の乾燥機の中で、DNAの増幅が可能になると考えられ
る。また従来発明されたウェルのシール方法を使う限り
においては、恒温水槽中で、長時間ウェルを液密に維持
することが難しい。
【0011】このような実状のもとに本発明は創案され
たものであって、その目的は、溶液をウェルに密閉し、
かつ、ウェルを高密度に配置してアレイ化することによ
って、検体試料を並列的に処理して大量の情報を引き出
す事が出来るマイクロウェルアレイを提供することであ
る。また、マイクロウェルアレイを構成する容器、カバ
ーとしてプラスチック材料から成るものを使用すること
によって、低コストなマイクロウェルアレイを実現する
ことが可能である。
【0012】
【問題を解決するための手段】本発明に係るマイクロウ
ェルアレイの第1の好適な実施形態によれば、複数の独
立したウェルがアレイ状に配置された容器と、容器を覆
うことができるカバーを具備し、容器とカバーとを該ウ
ェルごとに溶接によって密閉した後に、ウェル内部の物
質をウェルから取り出すことができる構造を備えたこと
を特徴とするマイクロウェルアレイが提案される。
【0013】本発明に係るマイクロウェルアレイの第2
の好適な実施形態によれば、上述のマイクロウェルアレ
イであって、特に該マイクロウェルアレイのカバーのウ
ェル位置に対応する部分の厚さを局部的に薄くすること
を特徴とするマイクロウェルアレイが提案される。
【0014】本発明に係るマイクロウェルアレイの第3
の好適な実施形態によれば、前出のマイクロウェルアレ
イであって、特に該マイクロウェルアレイのカバーのウ
ェル位置に対応する部分を突起状にしたことを特徴とす
るマイクロウェルアレイが提案される。
【0015】本発明に係るマイクロウェルアレイの第4
の好適な実施形態によれば、前出のマイクロウェルアレ
イであって、特に該マイクロウェルアレイのウェルの底
あるいは側面の厚さを局部的に薄くすることを特徴とす
るマイクロウェルアレイが提案される。
【0016】本発明に係る物質の取り出し方法の第1の
好適な実施形態によれば、複数の独立したウェルがアレ
イ状に配置された容器と、容器を覆うことができるカバ
ーを具備し、容器とカバーとを該ウェルごとに溶接によ
って密閉した後に、カバーあるいは容器の一部を切断す
ることにより、ウェル内部の物質を取り出すようにした
ことを特徴とする物質の取り出し方法が提案される。
【0017】本発明にかかる物質の取り出し方法の第2
の好適な実施形態によれば、複数の独立したウェルがア
レイ状に配置された容器と、容器を覆うことができるカ
バーを具備し、該ウェルごとに溶接によって密閉した後
に、カバーあるいは容器の一部を振動により切断するこ
とにより、ウェル内部の物質を取り出すようにしたこと
を特徴とする物質の取り出し方法が提案される。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明の好適な実施の形態
を図面を参照しつつ説明する。図4は従来の発明のマイ
クロウェルアレイの斜視図である。この例では、384
個の独立したウェルがプラスチック容器の表面に、縦横
の間隔が4.5mmになるように形成されている。ここ
で「独立した」とは、別々のウェルに入っている液体が
混合することなく、完全に分離されている状態を指して
いる。カバーを上方からウェルに向けて押し付けること
により、液密に密閉することができる。またカバーと容
器の位置を確実に一致させるために四隅にスルーホール
とガイドピンを設けており、押し付けた時にカバーと容
器を簡便に接合するため、図のようにはめ込み部を形成
した。図5は図1のA−A’に沿った断面図であり、図
のようにウェルは、ウェルの開口部、隆起部から構成さ
れている。ここで隆起部はカバーと容器を溶接する際に
溶融し接着する部分である。
【0019】一般に、プラスチック材料どうし、あるい
はほかの材料との接着には溶接、溶剤、接着剤による方
法がある。溶接は、プラスチックなどを加熱溶融させて
接着する方法で、外部加熱式(ガスポットジェット、ヒ
ートシール、赤外線、インパルスシール法など)と内部
加熱式(高周波ウェルダー、ミシン、マイクロ波、超音
波シール法など)がある。また振動により溶着する振動
溶着法も溶接に含まれる。本発明の好適な実施例ではカ
バーと容器を超音波ウェルダーにより超音波溶着する
が、振動溶着、溶剤や接着剤を併用することももちろん
可能である。
【0020】ウェルの垂直断面形状は、液体を分注する
スポッティング装置のニードル(針)を入れ易くするた
め、台形の形状になっているが、高密度にウェルを配置
する際(例えば9600ウェル)には、台形にするだけ
のスペースが確保できない場合もあり、断面形状は長方
形でも構わない。従って、ウェルの密度とニードルのサ
イズ・形状によって、三角形、四角形などの多角形や、
半円形など、最適な断面形状を決めることが必要であ
る。
【0021】またこの例では、超音波のエネルギーを集
中させるための隆起部が容器の表面に形成されている
が、カバーの表面に設けられていても同様な効果が期待
できる。
【0022】図1は本発明のウェル周囲の垂直断面形状
の例を示す。図1では、容器に形成されたウェル周囲に
溶着用の隆起部が形成されており、ウェルに対応するカ
バーの部分は、薄肉状になっている。この薄肉部は、液
体を溶着によりウェルに密閉後、液体をウェルから取り
出す際に、切断しやすくするために形成されている。図
2には、図1のマイクロウェルアレイを用いた場合の液
体の分注、溶着による密閉、ウェル部分の切断による液
体の取り出しの工程を示す。
【0023】図3は、本発明の他のマイクロウェルアレ
イの垂直断面形状とそれぞれの形状に対し液体を取り出
す工程が示されている。図3(a)に示す実施形態では
ウェルに対応するカバーの肉厚の一部が他の部分より薄
くなっており、穴を開けやすくなっている。図3(b)
に示す実施形態では、カバーに設けた薄肉部がさらに上
方に凸状なので、当該部分に容易に穴をあけることがで
きる構造である。この突状部分の肉厚は必ずしも他の部
分に比較して薄肉である必要はない。また、図3(c)
に示す実施形態では、図3(b)と同様のマイクロウェ
ルアレイを用いているが、液体を密閉後、上下を逆さに
し、容器側に穴を形成することによって、液体を取り出
せるようになっている。このように上下逆さにして、容
器側に穴をあける場合には、必ずしもカバーが凸状部分
を有していることは必要でなく、平坦なカバーであって
もよい。図3(d)、(e)に示す実施形態では、容器
側のウェルの底にさらに突起状の構造が形成されてお
り、ウェルを密閉後、上下をさかさまにしてその突起部
分を切断することによって、ウェル内部の液体を取り出
せるようになっている。
【0024】上記例では、ウェルの外形を円形にし、超
音波のエネルギーが均等に印加されるように設計してい
るが、外形は四角や三角などの多角形やその他の形状で
も密閉できる構造になっていればもちろん構わない。
【0025】ここでカバーと容器は一般的な射出成形の
方法で形成することができる。材料としては、耐薬品
性、耐熱性に優れたポリカーボネート(PC)、ポリプ
ロピレン(PP)、ポリスチレン、メチルペンテンコポ
リマー(TPX)などのプラスチック材料が挙げられ、
特に紫外・可視・赤外光領域など、利用する波長領域で
光の透明性の高いメチルペンテンコポリマーやポリカー
ボネートが適しているが、ポリカーボネートは材料費が
ポリプロピレンの4倍近くになる。メチルペンテンコポ
リマーはポリカーボネートと比較すると柔らかく、材料
費も高いが、樹脂の流動性が良いため、射出成形の際、
肉厚の薄い成形品を作りやすいという長所を有してい
る。従って、求められる特性とコストに応じて、材料を
選択することが重要である。
【0026】容器の表面に形成されたウェルとカバーは
溶接により接着するが、各ウェルを液密に密閉する必要
があることから、カバーの形状は、反りのない平坦な形
であることが望ましい。カバーが反っている場合には、
カバーをウェルに押し付けた際に、ウェルに充填した溶
液と接触しない部分がカバー表面に生じ、カバーとウェ
ルの間に空気が介在することになる。その結果溶接する
際に、ウェル内に多量の空気が混入する可能性がある。
従って、カバーの厚さには、平坦性を維持できるだけの
最低限の厚みと、熱伝導性を確保できるだけの薄さが要
求され、0.15mm〜3.0mmのものが適してお
り、より好ましくは0.25mm〜1.5mmのものが
適している。
【0027】一方、容器の表面形状もカバー同様に平坦
でなければ、カバーとの溶接が容易でなくなり、液体の
密閉性が維持できないが、容器の裏面形状は必ずしも平
坦である必要はない。
【0028】本発明のマイクロウェルアレイでは、ウェ
ルごとに超音波溶着により液密に密閉されていることか
ら、たとえウェル内部の溶液が沸騰する温度に加熱され
ようとも十分に密閉性を維持することができ、ウェル内
の溶液が、ウェル外部に蒸発する危険性はない。すなわ
ち、DNAを変性させるために90〜100℃にマイク
ロウェルアレイを水槽中で加熱しても、ウェルの密閉性
を維持することが可能である。このような完全な密閉が
可能になるのは、マイクロウェルアレイを構成するカバ
ーの一部と容器の一部を摩擦熱により溶かして接合する
からである。そのため、溶着された各ウェルの密閉性、
すなわち、各ウェルの機械的な密閉強さは、マイクロウ
ェルアレイの材料であるプラスチックそのものの機械的
な強さと同等となる。この結果、従来実施されてきた粘
着剤による密閉の強さとは比較にならないほど強力な密
閉が、超音波溶着により実現できる。以上のことから、
マイクロウェルアレイを用いれば、ウェル内の溶液を、
加熱器等を使わずに、水槽中でインキュベート(熱処
理)することが可能である。また、何千枚ものマイクロ
ウェルアレイを、たとえば、恒温水槽中に入れて、同時
に大量に熱処理することができ、加熱器を何千台も備え
る必要なく、安価にしかも高速に処理することが可能と
なる。
【0029】
【実施例および比較例】以下に本発明の実施例および比
較例を示し、さらに詳細に説明を行う。
【0030】(実施例1) 実験 カバー及び容器は、金型を加工し、メチルペンテンコポ
リマー(ポリプロピレン)及びポリカーボネートをその
金型で射出成形することにより作製した。カバーのサイ
ズは、81mm×123mm×0.4mm、容器のサイ
ズは81mm×123mm×1.6mm である。容器
の表面に384個の断面が台形状のウェルを形成し、そ
の大きさは、開口部の直径1.3mm、底面部の直径
1.1mm、深さ0.8mm(容積0.9μL/well)、
また隆起部の高さは0.4mm、内径を1.4mm、外
径を2.4mm、逃げ溝の内径を3.0mm、外径を
4.0mm、深さを0.6mmとした。カバーに形成し
た液体押し出し部の高さは0.2mm、外径は0.9m
mである。
【0031】初めに、実験台の上に置いた容器の各ウェ
ルに、スポッティング装置により384種類のゲノムD
NA(10ng/μL)を0.7μLずつ分注した。容器を
大気中に放置して溶媒を蒸発させた後、波長570nm
に蛍光強度のピークを持つInvader法の試薬約0.7μLを
非接触式のスポッティング装置にて各ウェルに分注し
た。試薬を分注した後、カバーをウェルに押し当て、ウ
ェル内の液体を密閉した。そして各ウェルの開口部の隆
起部とカバーを超音波装置により溶着接合した。超音波
の周波数が20kHz、ホーンの振幅が36ミクロン、
最大発振出力が5.0kWの超音波溶着装置を使用し
た。恒温槽中、95℃で5分間DNAを変性した後、6
3℃の同様な恒温槽中で4時間反応させ、反応終了後プ
レートリーダーで蛍光強度を測定し、SNPの頻度を解
析(タイピング)した。ウェルの密閉状態は、溶着直後
においても、また4時間の反応終了後も共に液漏れが認
められず良好であった。解析後、密閉されたウェルに穴
をあけ、ウェル内部の反応液を取り出し、タイピングの
データが取得できたウェルと、できなかったウェルのD
NAの量を比較したり、蛍光物質の量を比較した。
【0032】(比較例1) 実験 384ウェルマイクロタイタープレートに、7ngの
ゲノムDNAを分注し、それぞれのウェルに20μLの
Invader法の試薬(波長570nmに蛍光強度のピーク
を持つ)を分注した。各ウェルを液密な状態にするた
め、ヒートシーラーにてカバーを溶着し、恒温槽中、9
5℃で5分間DNAを変性した後、同様な恒温槽中、6
3℃で4時間反応させ、反応終了後プレートリーダーで
蛍光強度を測定した。ウェルの密閉状態は、ヒートシー
ラーで密閉直後は良好であったが、4時間の反応終了
後、2割程度のウェルに恒温槽中の水が入り、ウェル内
の液体が汚染されていた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明のマイクロウェルアレイを説
明するための断面図である。
【図2】 図2は、本発明のマイクロウェルアレイを使
ってウェル内部の液体を取り出す方法を説明するための
図である。
【図3】 図3は、本発明の別のマイクロウェルアレイ
を説明するための断面図である。
【図4】 図4は、従来の発明によるマイクロウェルア
レイを説明するための斜視図である。
【図5】 図5は、従来の発明によるマイクロウェルア
レイを説明するための断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G052 AA28 AD26 AD46 CA03 CA18 DA06 DA12 DA13 DA22 EB01 EB11 EB12 GA11 JA16 2G058 BB02 BB09 BB15 CC02 CC11 CC14 CC19 EA01 EA06 GA02 4B024 AA11 CA01 CA09 CA11 HA12 4B029 AA07 BB20 CC02 FA12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の独立したウェルがアレイ状に配置
    された容器と、容器を覆うことができるカバーを具備
    し、容器とカバーとを該ウェルごとに溶接によって密閉
    した後に、ウェル内部の物質をウェルから取り出すこと
    ができる構造を備えたことを特徴とするマイクロウェル
    アレイ。
  2. 【請求項2】 該マイクロウェルアレイのカバーのウェ
    ル位置に対応する部分の厚さを局部的に薄くしたことを
    特徴とする請求項1に記載のマイクロウェルアレイ。
  3. 【請求項3】 該マイクロウェルアレイのカバーのウェ
    ル位置に対応する部分を突起状にしたことを特徴とする
    請求項1に記載のマイクロウェルアレイ。
  4. 【請求項4】 該マイクロウェルアレイのウェルの底あ
    るいは側面の厚さを局部的に薄くしたことを特徴とする
    請求項1に記載のマイクロウェルアレイ。
  5. 【請求項5】 複数の独立したウェルがアレイ状に配置
    された容器と、容器を覆うことができるカバーを具備
    し、容器とカバーとを該ウェルごとに溶接によって密閉
    した後に、カバーあるいは容器の一部を切断することに
    より、ウェル内部の物質を取り出すようにしたことを特
    徴とする物質の取り出し方法。
  6. 【請求項6】 複数の独立したウェルがアレイ状に配置
    された容器と、容器を覆うことができるカバーを具備
    し、容器とカバーとを該ウェルごとに溶接によって密閉
    した後に、カバーあるいは容器の一部を振動によって切
    断することにより、ウェル内部の物質を取り出すように
    したことを特徴とする請求項5に記載の物質の取り出し
    方法。
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