JP2018091634A - 試料の処理方法、および試料処理用キット - Google Patents

試料の処理方法、および試料処理用キット Download PDF

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Abstract

【課題】熱溶融性フィルムに接着した試料を、処理液が揮発性または不揮発性に関係なく、処理する試料の処理方法を提供する。【解決手段】熱溶融性フィルムに接着した試料を処理する処理方法であって、該処理方法は、試料の処理液を充填したウェルが形成されたマイクロタイタープレートに、試料が接着している熱溶融性フィルム面を押し付けて密着する、熱溶融性フィルムとマイクロタイタープレートの密着工程、前記試料を前記処理液で処理する試料処理工程、を少なくとも含む、処理方法。【選択図】図5

Description

本発明は、試料の処理方法、および試料処理用キットに関する。
近年、生命科学の研究では、ある分子が生体試料のどの場所に存在しているのか、又、生体試料中の興味のある場所にどのような分子が存在しているのかを精度よく分析することが求められている。
また、生体試料を分析する際には、試料を取り出して単に分析するのではなく、顕微鏡により観察している試料にどの様な分子が含まれているのかを併せて表示する質量分析イメージングが要望されている。
上記要望を満たす質量イメージ装置(方法)としては、
(1)試料移動機構および/又は熱溶融性フィルム移動機構の駆動を制御する駆動制御部を設けたレーザーマイクロダイセクション装置(以下、「LMD」と記載することがある。)を用い、
(2)採取すべき試料の位置座標と採取した試料を貼り付ける熱溶融性フィルムの位置座標を予め設定し、採取した試料を熱溶融性フィルムに貼り付ける間隔を、元の試料の間隔より広くすることで、試料を分析する際の空間分解能を向上できること、
(3)試料を貼り付けた熱溶融性フィルムを直接質量分析することにより、生体組織上のある部分から網羅的に位置情報を持った試料を切り出すことができ、余計なものが混じったピークを抑制した高感度な質量分析が可能となること、
(4)採取すべき試料の位置座標と採取した試料を貼り付ける熱溶融性フィルムの位置座標から、連続する組織切片間の位置情報を正確に再現でき、3次元での質量分析イメージングも実現できること、
が知られている(特許文献1参照)。
国際公開2016/163385号
上記特許文献1には、熱溶融性フィルムに接着した試料をLC−MSで分析する方法として、以下の点が記載されている。
(1)市販されている熱溶融性フィルムは、仕切り等のない平面状のフィルムであるため、試料が接着した熱溶融性フィルムに分析用試薬液を滴下した場合、熱溶融性フィルム上で分析用試薬液が拡散し、コンタミのおそれがある。
(2)そのため、熱溶融性フィルムの表面を親水度の異なる領域で形成し、親水度の高い領域が親水度の低い領域で囲まれるように形成することで、分析用試薬液が熱溶融性フィルム上でコンタミしない。
ところで、熱溶融性フィルムに接着した試料を抽出するための抽出液として、揮発性の抽出液を用いる場合がある。その場合、熱溶融性フィルムに接着した多数の試料に順に抽出液を滴下すると、最初に滴下した抽出液が蒸発してしまうという問題がある。
本願は、上記問題を解決するためになされたものであり、鋭意研究を行ったところ、試料の処理液を充填したウェルが形成されたマイクロタイタープレートに、試料が接着している熱溶融性フィルム面を押し付けて密着することで、処理液が揮発性または不揮発性に関係なく、試料の処理をできることを新たに見出した。
すなわち、本願の目的は、試料の処理方法、および試料処理用キットを提供することである。
本願は、以下に示す、試料の処理方法、および試料処理用キットに関する。
(1)熱溶融性フィルムに接着した試料を処理する処理方法であって、該処理方法は、
試料の処理液を充填したウェルが形成されたマイクロタイタープレートに、試料が接着している熱溶融性フィルム面を押し付けて密着する、熱溶融性フィルムとマイクロタイタープレートの密着工程、
前記試料を前記処理液で処理する試料処理工程、
を少なくとも含む、処理方法。
(2)前記熱溶融性フィルムが基板上に形成され、
前記密着工程と前記試料処理工程の間、又は、前記試料処理工程の後に、前記基板と前記熱溶融性フィルムを剥離する基板剥離工程、
を含む、上記(1)に記載の処理方法。
(3)前記密着工程の前に、熱溶融性フィルムに試料を接着させる試料採取工程を含む、上記(1)又は(2)に記載の処理方法。
(4)前記試料採取工程が、レーザーマイクロダイセクション装置を用いて行われ、
前記レーザーマイクロダイセクション装置は、
試料片を移動する試料移動機構および熱溶融性フィルムを移動する熱溶融性フィルム移動機構、並びに、
前記試料移動機構および前記熱溶融性フィルム移動機構の駆動を制御する駆動制御部、
を少なくとも含み、
前記試料採取工程において、前記駆動制御部は、熱溶融性フィルムに接着した試料の位置が、前記マイクロタイタープレートの各ウェルの位置に対応するように、前記試料移動機構および前記熱溶融性フィルム移動機構を制御する、
上記(3)に記載の処理方法。
(5)前記処理方法が、試料の抽出方法、試料の前処理方法、又は、試料の分析方法の何れかである、上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の処理方法。
(6)上記(1)〜(4)の何れか一に記載の処理方法が、試料の抽出方法、又は、試料の前処理方法であり、
前記試料の抽出方法により抽出した試料、又は、前記試料の前処理方法により処理した試料を分析する分析工程を含む、
試料の分析方法。
(7)熱溶融性フィルム、および、ウェルが形成されたマイクロタイタープレート、
を含む、試料処理用キット。
(8)前記ウェルの開口部と開口部の連結部は、段差の無い平面である、
上記(7)に記載の試料処理用キット。
(9)前記熱溶融性フィルムが、基板上に形成されている上記(7)又は(8)に記載の試料処理用キット。
(10)前記熱溶融性フィルムの大きさが、前記マイクロタイタープレートのウェルが形成されている領域、又は、前記ウェルが形成されている領域およびウェルの外周に形成された外周部で形成された領域を、等分割した大きさの一つと同じである、
上記(7)〜(9)のいずれか一つに記載の試料処理用キット。
(11)前記マイクロタイタープレートの形状が正方形又は長方形であり、
前記熱溶融性フィルムが、前記マイクロタイタープレートに並行に配置できる形状である、
上記(9)又は(10)に記載の試料処理用キット。
(12)前記マイクロタイタープレートの外周部の少なくとも一部に、前記熱溶融性フィルムと前記マイクロタイタープレートを密着する際の位置決め用の当接部が形成されている、
上記(7)〜(11)のいずれか一つに記載の試料処理用キット。
本願に記載の処理方法により、熱溶融性フィルムに接着した試料を処理できる。
図1は、試料処理用キットの実施形態の一例を示す図である。 図2(A)は基板上に形成した熱溶融性フィルムの一例を表す側面図で、図2(B)は図2(A)のa−a断面図である。図2(C)は基板上に形成した熱溶融性フィルムの他の実施形態を表す側面図で、図2(D)は図2(C)のb−b断面図である。 図3は、プレート20の断面図である。 図4(A)は試料処理用キットの実施形態の一例を表す図である。図4(B)は、試料処理用キットのその他の実施形態を表す図である。 図5(A)〜(C)は試料処理用キットのその他の実施形態を表す図である。 図6は、LMDの一例の概略を示す図である。 図7(A)および(B)は、LMDを用いた試料の採取方法を説明するための概略図である。 図8(A)および(B)は、ダイセクションレーザー光を照射する箇所の試料の位置座標と採取試料が接着する熱溶融性フィルムの位置座標の関係、および駆動制御部による駆動制御を説明するための図である。 図9(A)は、図面代用写真で、実施例2において、熱溶融性フィルムをプレートに密着した写真である。図9(B)は、図面代用写真で、処理液が試料の接着した箇所で留まっている様子を表す写真である。 図10は、実施例2、比較例1及び2の定量結果を表すグラフである。
以下に、試料の処理方法(以下、単に「処理方法」と記載することがある。)、試料処理用キット(以下、単に「キット」と記載することがある。)について詳しく説明する。
図1は、キット1の実施形態の一例を示す図である。キット1は、熱溶融性フィルム10、およびマイクロタイタープレート(以下、単に「プレート」と記載することがある。)20を少なくとも含んでいる。プレート20には少なくとも2以上のウェル21が形成されている。ウェル21の個数は、特に制限はない。一般的な、6、24、96、384個等、目的に応じて適宜決めればよい。また、ウェル21の開口部の形状も特に制限はなく、円形、略正方形等、適宜決めればよい。熱溶融性フィルム10は単独で用いてもよいが、取り扱いの利便性を向上するため基板上に形成してもよい。
図2(A)は基板11上に形成した熱溶融性フィルム10の一例を表す図で、図2(B)は図2(A)のa−a断面図である。図2(A)および(B)に示す実施形態では、熱溶融性フィルム10と基板11の大きさは同じである。図2(C)は基板11上に形成した熱溶融性フィルム10の他の実施形態を表す図で、図2(D)は図2(C)のb−b断面図である。図2(C)および(D)に示す実施形態では、基板11の一部に熱溶融性フィルム10が形成されている。なお、後述するように、熱溶融性フィルム10の大きさは、プレート20を等分割した大きさとすることが好ましい。図2(C)および(D)に示す実施形態の場合、基板11の方が大きいことから、取扱の際には、熱溶融性フィルム10が形成されていない基板11aの部分を挟むことができる。したがって、採取した試料が接着している熱溶融性フィルム10を手等で触る可能性を少なくできる。
熱溶融性フィルム10は、プレート20と密着できれば特に制限はなく、例えば、エチルビニルアセテート(EVA)、ポリオレフィン、ポリアミド、アクリル、ポリウレタン等が挙げられる。熱溶融性フィルム10は、試料を接着した後にプレートに密着させる。密着性を高めるために、熱溶融性フィルム10を加熱してプレートにより強固に密着してもよいが、熱溶融性フィルム10を高温で加熱すると、採取した試料が熱変性する恐れがある。また、LMDを用いて試料を採取する場合も、試料が熱変性しない温度で実施することが好ましい。したがって、熱溶融性フィルム10の材料としては融点が低い方が好ましく、例えば、融点が約50〜70℃程度のものが好ましい。
また、試料の採取にLMDを用いる場合、熱溶融性フィルム10には、ダイセクションレーザー光源の波長域のスペクトルを選択的に吸収するため、ナフタレンシアニン染料等の有機染料を添加してもよい。用いるダイセクションレーザー光源の波長域に応じて好適な有機染料を選択すればよい。熱溶融性フィルム10は、上記材料および有機染料を適宜配合して作製してもよいし、市販の熱溶融性フィルムを用いることもできる。市販されている熱溶融性フィルムとしては、例えば、熱溶融性トランスファフィルム(エレクトロシール社製)、熱溶融性EVAフィルム(シグマ−アルドリッチジャパン社製)等が挙げられる。
基板11は、熱溶融性フィルム11を積層できるものであれば特に制限はないが、試料の採取にLMDを用いる場合は、ダイセクションレーザー光が通過できることが好ましく、例えば、ガラスや光透過性樹脂で作製すればよい。熱溶融性フィルム10は基板11の上にスピンコート等を用いて積層すればよい。なお、試料を熱溶融性フィルム10にピペット等で載置する場合は、基板11は光不透過性であってもよく、例えば、不透明なガラス又は樹脂、金属等で形成すればよい。なお、ピペット等で試料を載置する場合は、載置した試料の位置とウェル21の位置が対応するようにするため、図2(A)に示すように、熱溶融性フィルム10上に試料を載置する位置を示すマーカー12を形成してもよい。
図3は、プレート20の断面図である。熱溶融性フィルム10の試料が接着している面は、プレート20に押し付けられることで密着する。その際、プレート20の任意のウェル21の開口部22と隣接するウェル21の開口部22との連結部23に段差があると、熱溶融性フィルム10とプレート20の間に隙間ができてしまい、夫々のウェル21に充填した処理液がコンタミするおそれがある。したがって、少なくとも隣り合うウェル21の開口部22と開口部22の連結部23は段差の無い平面とすることが好ましい。なお、本願において「段差の無い平面」とは、連結部23が略同一平面となることを意味する。ただし、「段差の無い平面」とは、プレート20の連結部23の全てが略同一平面となることが好ましいが、例えば、ウェル21をブロックに分け、各ブロックの連結部23が「段差の無い平面」となるようにしてもよい。
また、連結部23以外であれば、プレート20には段差を形成しても良い。例えば、最も外側のウェル21の外側に外周部24を形成し、外周部24の端部の一部に熱溶融性フィルム10の当接部25を形成してもよい。当接部25を形成することで、熱溶融性フィルム10をプレート20に密着する際の位置合わせが容易になる。
プレート20の形状は、ウェル21を形成できれば特に制限はない。例えば、円形、多角形等の様々な形状が可能であるが、操作性等を考慮すると、正方形、又は長方形が好ましい。ウェル21の底面の形状も試料処理または反応工程に支障がなければ特に制限がない。例えば、平底、U底、V底等の様々な形状が可能であるが、操作性等を考慮するとU底またはV底が好ましい。
熱溶融性フィルム10の形状は、単一の熱溶融性フィルム10を用いる場合、プレート20の少なくともウェル21が形成されている領域より大きければよい。なお、LMDを用いて試料を採取する場合、熱溶融性フィルム10が大きすぎるとLMDの熱溶融性フィルム移動機構も大きくなり、LMDが大型化してしまう。そのため、熱溶融性フィルム10はウェル21が形成されている領域より小さくしても良い。その場合、操作性を考慮すると、熱溶融性フィルム10の大きさは、ウェル21が形成されている領域、又は、ウェル21および外周部24が形成されている領域(以下、2つの領域を「分割領域」と記載することがある。)を等分割した大きさの一つとすることが好ましい。等分割は、分割線が分割領域上で交差するように分割しても良いし、分割線が並行となるように分割しても良い。等分割であれば、2分割、3分割、4分割、5分割、6分割等、任意の数で分割すれば良い。
図4(A)はキット1の実施形態の一例を表す図で、熱溶融性フィルム10を、分割線が分割領域上で交差するように4分割した例を示している。図4(A)に示す実施形態では、熱溶融性フィルム10を密着する際の位置合わせを容易にするために、プレート20の外周部24の端部の全てに熱溶融性フィルム10の当接部25を形成した例を示している。この場合、分割領域は当接部25の内側とすればよい。なお、当接部25は外周部24の一部に形成しても良いし、形成しなくても良い。図4(B)は、熱溶融性フィルム10を基板11上に形成した場合の好ましい実施形態を示しており、最後に密着した熱溶融性フィルム10から基板11を剥離し易くするため、基板11の少なくとも一辺に相当する部分には、当接部25は形成されていない。換言すると、基板11の少なくとも一辺の長さに相当する部分以外には、外周部24に当接部25を形成しても良い。なお、図4(A)および(B)に示す実施形態は、熱溶融性フィルム10およびプレート20の何れも長方形であるが、プレート20は、正方形、多角形、円形とし、熱溶融性フィルム10は、プレート20(分割領域)を等分割した形状としてもよい。
図5(A)はキット1のその他の実施形態を表す図で、プレート20は正方形又は長方形に形成され、分割領域上で熱溶融性フィルム10が平行に配置される大きさに分割されている。換言すれば、熱溶融性フィルム10の形状も、長方形又は正方形である。図5(A)に示す実施形態では、熱溶融性フィルム10を密着する際の位置合わせを容易にするために、プレート20の外周部24の端部の全てに熱溶融性フィルム10の当接部25を形成した例を示しているが、当接部25は外周部24の一部に形成しても良いし、形成しなくても良い。図5(B)は、熱溶融性フィルム10を基板11の全面に形成した場合の好ましい実施形態を示しており、最後に密着した熱溶融性フィルム10から基板11を剥離し易くするため、外周部24の基板11の少なくとも一辺に相当する部分には、当接部25は形成されていない。換言すると、外周部24の基板11の少なくとも一辺の長さに相当する部分以外には、当接部25を形成しても良い。図5(C)は、図2(C)および(D)に示す基板11の一部に形成された熱溶融性フィルム10を用いる場合に好適なプレート20の実施形態を表す図である。図5(C)に示す実施形態では、プレート20の3辺に当接部25が形成されている。熱溶融性フィルム10をプレート20に密着させた後、基板11aの部分を指で挟んで、熱溶融性フィルム10を基板11から剥離すれば良い。なお、基板11aを形成する場合、作業性を向上するためには、基板11aは熱溶融性フィルム10の一辺側のみに形成されていればよい。換言すると、基板11の大きさは、熱溶融性フィルム10の一辺側のみを延伸した大きさである。
なお、プレート20には、ウェル21の位置を特定するためにアルファベットや数字を記載する場合がある。アルファベットや数字を段差により作製する場合は、連結部23と同一平面とならないようにするため、当接部25上に形成してもよい。外周部24にアルファベットや数字を形成する場合は、熱溶融性フィルム10の密着に影響を与えない距離を設けた位置に形成、または、段差を生じないように印刷をすればよい。なお、外周部24にアルファベットや数字を形成する場合、熱溶融性フィルム10を等分割する際には、ウェル21を形成する領域に加え、外周部24も含めた領域で等分割してもよい。その場合、等分割した分割線がウェル21の間を通らないように、外周部24の大きさを調整すればよい。
ウェル21には、採取した試料の処理液が充填される。処理液は採取した試料を処理することができ、熱溶融性フィルム10が溶けないものであれば特に制限はない。熱溶融性フィルム10から試料を抽出する場合は、処理液として試料の抽出液を用いればよい。抽出した試料を変性させる場合は、抽出液と変性液を混合、あるいは、抽出液に変性試薬を添加すればよい。抽出した試料を分析する場合は、抽出液と分析試薬液を混合、あるいは、抽出液に分析試薬を添加すればよい。一方、熱溶融性フィルム10に接着した試料を抽出せずに、熱溶融性フィルム10上で試料を分析する場合は、処理液として分析試薬液を用いればよい。また、熱溶融性フィルム10上で試料を変性させる場合は、処理液として変性液を用いればよい。
抽出液としては、例えば、アセトニトリルと水の混合液;メタノール、エタノール等のアルコール類;等が挙げられる。また、変性液(変性試薬)としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)等の界面活性剤;酸・アルカリ;グアニジン塩;尿素;有機溶媒;アルキル化剤等の化学修飾薬;酵素等が挙げられる。分析試薬液(分析試薬)としては、酵素、酵素反応用の基質、必要に応じて標識された抗原又は抗体、ハイブリダイゼーション用試薬等が挙げられる。
プレート20は、充填した処理液により溶解しない材料で作製すればよい。例えば、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂が挙げられるが、その他の樹脂でも良い。また、ガラス等の非樹脂材料で作製しても良い。
試料としては、生体から採取した血液、唾液、尿等の液状サンプル、筋肉、骨、脳、臓器等の生体組織、食品、土壌、細菌・ウィルス等が挙げられる。
次に、熱溶融性フィルムに接着した試料の処理方法の実施形態について説明する。処理方法は、
(1)試料の処理液を充填したウェルが形成されたマイクロタイタープレートに、試料が接着している熱溶融性フィルム面を押し付けて密着する、熱溶融性フィルムとマイクロタイタープレートの密着工程、
(2)前記試料を前記処理液で処理する試料処理工程、
を少なくとも含んでいる。
また、処理方法の他の実施形態として、必要に応じて、
(3)熱溶融性フィルム10を基板11上に形成し、密着工程と試料処理工程の間、又は、試料処理工程の後に、基板11と熱溶融性フィルム10を剥離する基板剥離工程、
および/又は、
(4)密着工程の前に、試料片から試料を切り出して熱溶融性フィルム10に接着させる試料採取工程、
を更に含んでも良い。
処理液として試料の抽出液を用いた場合、処理方法は試料の抽出方法ということができる。抽出液により抽出したタンパク、ペプチド、核酸等の試料は、後述する分析装置(方法)で分析すればよい。
処理液として試料の抽出液と変性液(変性試薬)の混合液を用いた場合、処理方法は試料の分析前処理方法ということもできる。例えば、抽出液により抽出したタンパク、ペプチド、核酸等の試料を、変性液(変性試薬)で変性(核酸の一本鎖化、タンパク質の立体構造の解除等)する前処理を行い、その後、所期の分析装置(方法)により分析することができる。
処理液として試料の抽出液と分析試薬液(分析試薬)の混合液を用いた場合、処理方法は試料の分析方法ということもできる。例えば、抽出液により抽出したタンパク、ペプチド、核酸等の試料を、酵素反応、ハイブリダーゼンショーン等により、ウェル21中で分析することができる。
処理液として試料の変性液を用いた場合、処理方法は試料の分析前処理方法ということもできる。例えば、熱溶融性フィルム10上でヌクレオソームを変性させて核酸を露出する前処理を行い、その後、in situ LCR(PCR)等の分析をすることができる。
処理液として試料の分析試薬液を用いた場合、処理方法は試料の分析方法ということもできる。例えば、熱溶融性フィルム10上の試料を、酵素反応、ハイブリダイゼーション等により、分析することができる。
密着工程は、手動で行っても良いし、自動化しても良い。また、密着工程では、熱溶融性フィルム10が連結部23により強固に密着するため、熱溶融性フィルム10を加熱してもよい。加熱処理は、熱溶融性フィルム10をホットプレート等で加熱すれば良い。
試料処理工程は、処理液で試料を処理できれば特に制限はない。例えば、熱溶融性フィルム10をプレート20に密着させた後、熱溶融性フィルム10を下側にすることで処理液と試料が接触するようにすればよい。また、必要に応じて、処理液と試料が接触した状態でプレート20を振盪しても良い。
基板剥離工程は、プレート20に密着している熱溶融性フィルム10がプレート20から剥がれないように、基板11から熱溶融性フィルム10を剥離できれば特に制限はない。
試料採取工程は、図2(A)に示す熱溶融性フィルム10を用いる場合は、マーカー12の位置に、試料をマニュアル又は自動でスポットすれば良い。また、試料採取工程は、LDMを用いることもできる。
図6は、LMDの一例の概略を示す図である。図6に示すLMD30は、熱溶融性フィルム移動機構40、試料移動機構50、レーザー照射部60、図示しない駆動制御部を少なくとも含んでいる。
熱溶融性フィルム移動機構40は、熱溶融性フィルム10(熱溶融性フィルム10を形成した基板11)を載置することができる熱溶融性フィルム載置台41と、熱溶融性フィルム載置台41を水平方向(X,Y軸方向)に移動するための図示しない駆動源および該駆動源の駆動力を熱溶融性フィルム載置台41に伝達する駆動力伝達機構を含んでいる。駆動源としては、パルスモーター、超音波モーター等を用いればよい。また、駆動力伝達機構は、例えば、倒立顕微鏡等に使われている駆動力伝達機構等、公知のものを用いればよい。
試料移動機構50は、試料片51を一端に載置することができ他端はアーム支柱に取り付けることができるアーム52、該アーム52を水平方向(X,Y軸方向)に回転および垂直方向(Z軸方向)に移動することができるアーム支柱53、アーム52を水平方向に回転および垂直方向に移動するための図示しない駆動源および該駆動源の駆動力を伝達してアーム52を回転および移動するための駆動力伝達機構を含んでいる。駆動源としては、パルスモーター、超音波モーター等を用いればよい。また、駆動力伝達機構は、例えば、自動分析装置の試料移動用のアーム機構等、水平方向に回転および垂直方向に移動することができる公知のアーム機構を用いればよい。なお、試料移動機構50は、図6に例示した実施形態に限定されず、試料を水平方向および垂直方向に移動することができれば特に制限は無い。
レーザー照射部60で用いられるダイセクションレーザー光源としては、照射スポットを最小にするためにシングルモードファイバー出力のレーザー光を用いることが好ましく、また、集光の為の近赤外用高NA長焦点対物レンズを用いることが好ましい。また、パルス幅は0.1ミリ秒〜100ミリ秒、好ましくは5ミリ秒、波長は785ナノメートル〜900ナノメートル、好ましくは808ナノメートル、出力は0.2ワット〜0.3ワット、照射レーザーパワーは0.1%〜100%、好ましくは80%〜100%のパルスレーザー光を発生できるものが好ましく、具体的には、Z−808−200−SM(ルシール社製)等が挙げられる。なお、図6に示すLMDは、レーザー照射部60がLMDの試料移動機構50より上側に配置されているが、下側に配置しても良い。また、図示しない光学系を用いて、レーザー照射部60とは反対側からレーザー光を照射しても良い。
図7は、LMDを用いた試料の採取方法を説明するための概略図である。図7(A)は試料片51と熱溶融性フィルム10を当接する前の状態を表し、試料片51を熱溶融性フィルム10に押圧するための押圧手段である枠体54を用いた例を示している。枠体54は断面が略凸状になっており、アーム52の先端に形成された枠体挿入孔に摺動可能となるように挿入されている。枠体54の下方部は、試料片51を載置したスライド55を着脱自在に取り付け可能となっており、例えば、係止溝、係止バネ機構等が形成されている。一方、LMD30の熱溶融性フィルム移動機構40には、基板11および該基板11上に形成された試料を転写するための熱溶融性フィルム10が載置されている。
図7(A)に示す押圧前の状態では、枠体54の上部541は枠体挿入孔より大きく形成することで、枠体54はアーム52に係止される。そして、図7(B)に示すように、アーム52を下方に下げることで枠体54も下がり、試料片51が熱溶融性フィルム10に当接した後でもアーム52を下げることで、枠体54の重量により試料片51を熱溶融性フィルム10に圧着することができる。そして、圧着した状態で、ダイセクションレーザー光を照射することで、照射した箇所の試料片から試料を切り出し、アーム52を上方に移動することで、切り出した試料を熱溶融性フィルム10に接着することができる。
試料片51と熱溶融性フィルム10の圧着の程度は、枠体54の重量で調整すればよい。枠体54は金属で作製すればよい。また、枠体54を通してダイセクションレーザー光を照射する場合は、枠体54を中空にする、又は、ガラス等で作製しても良い。枠体54の形状は、アーム52に摺動可能に挿入できれば特に制限は無く、試料片51を載置するスライドの形状に応じて円形、正方形、長方形等、適宜調整すればよい。なお、枠体54は必須ではなく、例えば、アーム52の先端に試料片51を貼り付け、アーム52を下げることで、試料片51と熱溶融性フィルム10を密着しても良い。
なお、図6および7に示す実施形態では、試料片51が上側、熱溶融性フィルム10が下側となるように、熱溶融性フィルム移動機構40および試料移動機構50を設けているが、上下逆に設けてもよい。
図8は、ダイセクションレーザー光を照射することで切り出す試料の位置座標と採取試料が接着する熱溶融性フィルム10の位置座標の関係、および駆動制御部による駆動制御を説明するための図である。例えば、図8(A)の試料片51から、a、b、cのように試料を連続的に切り出す場合、(i)熱溶融性フィルム移動機構40により、熱溶融性フィルム10をダイセクションレーザー光が照射される位置に移動する。(ii)次に、試料移動機構50により、試料片51のaに示す位置の試料が図8(B)に示す熱溶融性フィルム10の採取試料aが接着する箇所a′に重なる位置に移動し、アーム52を垂直方向に下げることで試料片51を熱溶融性フィルム10に圧着させる。(iii)ダイセクションレーザー光を照射することで、試料片51のaの箇所から採取した試料を熱溶融性フィルム10のa′の位置に接着し、次いで、アーム52を垂直方向に上げることで試料片51を熱溶融性フィルム10から離し、熱溶融性フィルム10の予め決められた箇所に、採取試料aを接着する。採取試料b、cについても、上記(i)〜(iii)の手順を繰り返すことで、採取試料b、cを、熱溶融性フィルム10のb′、c′に接着することができる。
図8に示すとおり、試料片51から採取した個々の試料を、採取する前の試料の位置とは異なる位置で熱溶融性フィルム10に接着できる。そのため、熱溶融性フィルム10に接着する試料の位置(a′、b′、c′)を、ウェル21に対応する位置となるように駆動制御部で熱溶融性フィルム移動機構40と試料移動機構50の駆動を制御することで、熱溶融性フィルム10をプレート20に密着させた際に、採取した個々の試料とウェル21を一対一の対応関係で密着することができる。また、採取する前の個々の試料の間隔(Aμm)より熱溶融性フィルム10に接着する試料の間隔(ウェル21の間隔:Bμm)を大きくした場合、分析の空間分解能を向上することができる。なお、図8では、「間隔」(Bμm)はウェル21の中心と隣接するウェル21の中心間距離としているが、採取した個々の試料とウェル21が一対一に対応すれば、間隔は適宜調整してもよい。
LMD30にはメモリ等の記憶部を備えていても良い。採取する前の試料の位置座標と採取した試料を接着する熱溶融性フィルム10の位置座標(ウェル21の番号)とを関連付けて記憶部に記憶しておくことで、処理した試料を分析した後、3次元イメージングを作成することができる。また、ウェル21の間隔が異なるプレート20を用いる場合は、各プレート20のウェル21の間隔(熱溶融性フィルム10に接着する試料の間隔)を記憶しておくこともできる。更に、LMD30は試料を撮影するためのCCDカメラ等の撮像装置、撮像装置で撮像した画像や記憶部に記憶した情報を表示するための表示部を備えても良い。
本願の処理方法は、熱溶融性フィルム10がプレート20に密着することで蓋の役割をする。したがって、処理液が揮発性の場合であっても、処理液が気化することを防止できる。処理液により処理した試料は、必要に応じて、各種分析装置(分析方法)を用いて分析することができる(分析工程)。分析工程の際には、熱溶融性フィルム10をプレート20から剥がして各種分析装置(分析方法)で分析すればよい。処理液として抽出液を用いる場合は、オートサンプラーのシリンジ等で熱溶融性フィルム10を突き刺して、ウェル21から抽出した試料を吸い出して分析しても良い。
分析装置(分析方法)としては、抽出(処理)した試料を分析できれば特に制限はない。例えば、LC−MS、HPLC−蛍光分光機、HPLC−電気化学的検出器等のクロマトグラフィーを含む分析装置;電子線マイクロアナライザ;X線光電子分光装置等の元素分析装置;PCRまたはLCRで遺伝子を増幅しシークエンサーを用いて試料に含まれるDNA配列の解析を行う核酸配列分析装置;試料に含まれる核酸を鋳型にDNAをハイブリダイズするDNAチップ、タンパク質に抗体を反応させる抗体チップ等のマイクロチップ分析装置;等が挙げられる。
以下に実施例を掲げ、実施形態を具体的に説明するが、本願で開示する発明の範囲を限定、あるいは制限することを表すものではない。
[キットの作製]
<実施例1>
熱溶融性フィルムとしてEVA(東洋アドレ社製)を用い、スライドガラス上にスピンコートすることで、ガラス基板上に熱溶融性フィルム層を形成した。熱溶融性フィルム層の厚さは、100μmであった。
プレートは384ウェルのマイクロタイタープレートを用いた。プレートはポリプロピレンで作製した。なお、ウェルとウェルの連結部は略平面状となるように形成した。
以上の手順により、キットを作製した。
[サンプルの処理(抽出)]
<実施例2>
1.試料片の作製
試料片は、以下の手順で取得したC57BL6マウス(10ヶ月齢、約25g)の脳を用いた。
(1)マウスをジエチルエーテルで麻酔後、仰臥位にし、四肢を固定した。
(2)開腹後、横隔膜を切開し、左右の肋骨を頭部方向へ切開した。
(3)剣状突起をつまんで頭部方向へ反転し、鉗子で固定し、心臓を露出させた。
(4)左心室に翼状針を刺し、1×PBS溶液(生理食塩水)を注入した。
(5)剪刀で右心耳を切開し、約70mlの生理食塩水で脱血・灌流した。
(6)灌流後、頭部を切断し、開頭後脳を摘出した。
(7)摘出した脳は矢状断で半切し切断面を下面(切削面)に配置後、包埋剤(OCTコンパウンド)に入れ凍結し、凍結ブロックを作製した。
(8)凍結ブロックから10μmの厚さで切片を作製した。なお、スライドガラスはコートなしのものを使用した。
(9)凍結切片を凍結乾燥機(EYELA社製 FDU−2200)で乾燥させた。
2.LMDの作製
正立顕微鏡をベースに、駆動源としてステッピングモータ(Bio Precision;ルードル社製)、駆動制御部として3D−A−LCSソフトウエア(ルシール社製)、ダイセクションレーザー光源としてZ−808−200−SM(ルシール社製)を取り付けることで、LMDを作製した。また、押圧手段は、中空状のステンレスで作製した。中空部分の直径は約9mmで、重量は約33gであった。また、中空部分の外側に凹部を設け、ゴム製の滑り止めを挿入した。
3.切片から試料の切り出しおよび熱溶融性フィルムへの接着
以下の手順により、作製した凍結切片から設定した箇所の試料を採取し、熱溶融性フィルムに接着させた。
(1)LMDの電源を入れ、熱溶融性フィルム移動機構の初期化を行った後、基板上に形成した熱溶融性フィルムを熱溶融性フィルム移動機構にセットした。また、作製した押圧手段を試料移動機構のアームの先端の孔に挿入した後、押圧手段の先端に試料切片が付着しているスライドガラスを、試料面を下に向けて取付けた。
(2)凍結切片の画像をLMDの表示部に表示し、試料切片のダイセクションレーザー光を照射する位置座標を設定した。
(3)採取した試料が熱溶融性フィルムの所定の位置(各ウェルの間隔と同じ、4.5mm)に接着するように、熱溶融性フィルムの位置座標を設定した。
(4)Live Cell Imaging System V7(ルシール社製)のプログラムに従い、上記(2)および(3)の位置座標にしたがって、試料切片にダイセクションレーザー光(出力:300mA、照射時間:5msec、照射径:30μm)を照射し、切り出した試料を熱溶融性フィルムの予め設定した箇所に接着・回収した。当該実施例で採取した試料の直径は60μmとなるようにレーザー強度を調節した。
4.試料の処理(抽出)
各ウェルには、処理液を20μl充填した。処理液として抽出液(アセトニトリルおよび水を、1:1に混合した混合液)を用いた。上記3.で得られた、試料が接着した熱溶融性フィルム面を、プレートに押し付けた。熱溶融性フィルムとプレートをより強く密着させるため、熱溶融性フィルムを下側にして、80℃に加熱したホットプレートで1分加熱した。加熱終了後は、熱溶融性フィルムを下側にすることで処理液と採取した試料が常に接触するようにし、1時間静置した。図9(A)は、熱溶融性フィルムをプレートに密着した状態を表す写真である。なお、試料処理工程の様子をわかり易くするため、ウェルに充填する処理液の一部には、色素(クリスタルバイオレット)を加えた。
5.処理(抽出)した試料の定量
試料処理工程で処理した試料5μlを、質量分析計(AB Sciex社製;API4000)を用いて処理液中に含まれる試料の定量を行った。定量は、異なるウェルの処理液を用いて3回行った。結果を図10に示す。
<比較例1>
実施例2の「3.切片から試料の切出しおよび熱溶融性フィルムへの接着」で得られた試料が接着した熱溶融性フィルムを、4.5mm角で切断した。切断した熱溶融性フィルムおよび実施例2と同量の処理液をエッペンドルフチューブに投入し、VORTEX(Scientific Industries社製Vortex Genie2)を用いて10秒間攪拌した。攪拌後、15,000gで10分間、遠心分離することで処理液を作製した。処理液を用い、実施例2の「5.処理(抽出)した試料の定量」と同様の手順で定量を行った。結果を図10に示す。
<比較例2>
実施例1で作製した熱溶融性フィルム層の上に、インクジェットプリンターを用いて撥水性インキ(東洋アドレ社製:SS25)を印刷することで、採取した試料を接着させる部分以外を疎水化処理した。
次に、実施例2の「3.切片から試料の切出しおよび熱溶融性フィルムへの接着」と同様の手順で熱溶融性フィルムに試料を接着し、試料が接着した箇所に実施例2と同様の処理液をピペットで5μl滴下した。図9(B)は、処理液が試料の接着した箇所で留まっている様子を表す写真である。処理液を滴下して約5秒経過した後、ピペットで処理液を回収した。処理液の滴下と回収は、4回繰り返した。
次に、回収した処理液を用い、実施例2の「5.処理(抽出)した試料の定量」と同様の手順で定量を行った。結果を図10に示す。
図10から明らかなように、実施形態に示すキットを用いることで、比較例1のvortexを用いた場合よりやや高めの処理(抽出)効率が得られた。ところで、比較例1の方法では熱溶融性フィルムを切断し、個々の試料毎に処理(抽出)工程を行う必要があるため処理(抽出)作業に時間がかかる。また、比較例2の方法も個々の試料毎にピペッティングにより試料を処理(抽出)する必要があるため処理(抽出)作業に時間がかかるとともに、揮発性の処理(抽出)液の場合は処理(抽出)作業中に処理(抽出)液が揮発してしまう。実施形態に示すキットを用いることで、処理(抽出)効率を高くできるという効果に加え、熱溶融性フィルムをプレートに接着して静置するだけで試料を処理(抽出)できるので、作業効率を効率化できる。更に、熱溶融性フィルムが蓋の役割をすることから、試料を保存することができる。
実施形態に示す処理方法および試料処理用キットを用いることで、試料を効率よく処理できる。したがって、試料の分析に有用である。

Claims (12)

  1. 熱溶融性フィルムに接着した試料を処理する処理方法であって、該処理方法は、
    試料の処理液を充填したウェルが形成されたマイクロタイタープレートに、試料が接着している熱溶融性フィルム面を押し付けて密着する、熱溶融性フィルムとマイクロタイタープレートの密着工程、
    前記試料を前記処理液で処理する試料処理工程、
    を少なくとも含む、処理方法。
  2. 前記熱溶融性フィルムが基板上に形成され、
    前記密着工程と前記試料処理工程の間、又は、前記試料処理工程の後に、前記基板と前記熱溶融性フィルムを剥離する基板剥離工程、
    を含む、請求項1に記載の処理方法。
  3. 前記密着工程の前に、熱溶融性フィルムに試料を接着させる試料採取工程を含む、
    請求項1又は2に記載の処理方法。
  4. 前記試料採取工程が、レーザーマイクロダイセクション装置を用いて行われ、
    前記レーザーマイクロダイセクション装置は、
    試料片を移動する試料移動機構および熱溶融性フィルムを移動する熱溶融性フィルム移動機構、並びに、
    前記試料移動機構および前記熱溶融性フィルム移動機構の駆動を制御する駆動制御部、
    を少なくとも含み、
    前記試料採取工程において、前記駆動制御部は、熱溶融性フィルムに接着した試料の位置が、前記マイクロタイタープレートの各ウェルの位置に対応するように、前記試料移動機構および前記熱溶融性フィルム移動機構を制御する、
    請求項3に記載の処理方法。
  5. 前記処理方法が、試料の抽出方法、試料の前処理方法、又は、試料の分析方法の何れかである、請求項1〜4の何れか一項に記載の処理方法。
  6. 請求項1〜4の何れか一項に記載の処理方法が、試料の抽出方法、又は、試料の前処理方法であり、
    前記試料の抽出方法により抽出した試料、又は、前記試料の前処理方法により処理した試料を分析する分析工程を含む、試料の分析方法。
  7. 熱溶融性フィルム、および、ウェルが形成されたマイクロタイタープレート、
    を含む、試料処理用キット。
  8. 前記ウェルの開口部と開口部の連結部は、段差の無い平面である、
    請求項7に記載の試料処理用キット。
  9. 前記熱溶融性フィルムが、基板上に形成されている請求項7又は8に記載の試料処理用キット。
  10. 前記熱溶融性フィルムの大きさが、前記マイクロタイタープレートのウェルが形成されている領域、又は、前記ウェルが形成されている領域およびウェルの外周に形成された外周部で形成された領域を、等分割した大きさの一つと同じである、
    請求項7〜9のいずれか一項に記載の試料処理用キット。
  11. 前記マイクロタイタープレートの形状が正方形又は長方形であり、
    前記熱溶融性フィルムが、前記マイクロタイタープレートに並行に配置できる形状である、
    請求項9又は10に記載の試料処理用キット。
  12. 前記マイクロタイタープレートの外周部の少なくとも一部に、前記熱溶融性フィルムと前記マイクロタイタープレートを密着する際の位置決め用の当接部が形成されている、
    請求項7〜11のいずれか一項に記載の試料処理用キット。
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