JP2015213451A - メッシュプレート付針状治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】剣山形状をもった針状治具にメッシュプレートを挿着することができ、かつ針状治具の針に保持された細胞をメッシュプレートにより押出すことができるメッシュプレート付針状治具の提供。【解決手段】メッシュプレート付針状治具20Aは、針15を含み互いに積層された複数の針状部材10と、針状部材10間に設けられたスペーサ部材50とを有する針状治具と、針状治具に挿着されたメッシュプレート20とを備えている。針状部材10は針15の両側に針15より高さが高いガイド柱16を有している。メッシュプレート20は針状治具の針15が挿入される開孔21と、ガイド柱16が挿入されるガイド孔22とを有する。【選択図】図1
Description
本発明は、針状治具と、この針状治具に挿着されるメッシュプレートとを備えたメッシュプレート付針状治具に関する。
従来より、多数の針を有し、微細構造の剣山形状をもった針状治具が、細胞培養分野で用いられている。
すなわち、細胞培養分野において、針状治具の針に細胞を予め突き刺して保持しておき、この針状治具を培養液内に配置することにより、針に保持された細胞を培養している。
そして、細胞を培養した後、針から培養された細胞を引き抜いている。
このような場合、針状治具の針に保持された培養された細胞をプレートを用いて引き抜くことができれば都合が良い。
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、剣山形状をもった針状治具にメッシュプレートを挿着することができ、かつ針状治具の針に保持された細胞をメッシュプレートにより押出すことができるメッシュプレート付針状治具を提供することを目的とする。
本発明は、平板状の基部と、この基部から一体的に突出する複数の針とを含む針状部材を複数有する針状治具と、前記針状治具に挿着され、前記複数の針状部材の前記針に挿入される溝又は開孔を有するメッシュプレートとを備え、少なくとも1つの針状部材は、その基部の両端に設けられ、いずれの針よりも高い高さをもつガイド柱を有し、前記メッシュプレートに、前記ガイド柱が挿入されるガイド孔を設けたことを特徴とするメッシュプレート付針状治具である。
本発明は、少なくとも外側に位置する一対の針状部材は、その基部の両端に設けられ、いずれの針より高いガイド柱を有することを特徴とするメッシュプレート付針状治具である。
本発明は、各針状部材は、その基部の両端に設けられ、いずれの針より高いガイド柱を有することを特徴とするメッシュプレート付針状治具である。
本発明は、各ガイド柱は、その先端に先細状のテーパ部を有し、このテーパ部の基端は針の高さより高い位置にあることを特徴とするメッシュプレート付針状治具である。
本発明は、前記メッシュプレートは、前記複数の針状部材の前記針の基端に配置され、前記針に突き刺された培養細胞を除去するために前記針から引き抜かれることを特徴とするメッシュプレート付針状治具である。
本発明は、前記針状治具は、前記針状部材の基部間に設けられたスペーサ部材を有することを特徴とするメッシュプレート付針状治具である。
本発明によれば、針状治具に対してメッシュプレートを挿着する際、まず針状治具のガイド柱をメッシュプレートのガイド孔に挿入する。次に針状治具の針がメッシュプレートの溝又は開孔内に挿入される。この場合、メッシュプレートのガイド孔に挿入されたガイド柱がメッシュプレートを案内するガイドとして機能し、針状治具の針をスムースにメッシュプレートの溝又は開孔内に挿入することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する形態に限定されることはなく、技術思想を逸脱しない範囲において種々変形を行なって実施することが可能である。また、添付の図面においては、説明のために上下、左右の縮尺を誇張して図示することがあり、実際のものとは縮尺が異なる場合がある。また、描かれている針の本数は、一例であり、図面によってその表示されている本数が異なる場合がある。
次に図1乃至図9により、本発明の実施の形態について説明する。
まず図1および図5により、本発明によるメッシュプレート付針状治具20Aについて説明する。図1および図5に示すように、メッシュプレート付針状治具20Aは、互いに積層された平板状の複数の針状部材10と、針状部材10間に介在されたスペーサ部材50とを有する針状治具1と、針状治具1に装着されたメッシュプレート20とを備えている。
このうち針状治具1の各針状部材10は平板状の基部11と、この基部11から一体的に突出する複数の針15とを含んでいる。またメッシュプレート20は、針状部材10の針15が挿入される開孔21を有する。
また各針状部材10は、針15の両側に設けられ針15より高い高さをもつ一対のガイド柱16を有している。
各針状部材10の一対のガイド柱16は、針15よりも高い高さをもち、先端に先細状のテーパ部16aを有する。ガイド柱16のテーパ部16aの基端は、針状部材10の針15よりも高い位置にある。
またメッシュプレート20には、針状部材10のガイド柱16が挿入されるガイド孔22が形成されている。
このような構成からなるメッシュプレート付針状治具20Aは、細胞培養分野において用いられる。すなわち、まず針状治具1に予めメッシュプレート20を挿着しておき、針状治具1の針15に細胞を突き刺し保持する。その後メッシュプレート付針状治具20Aを培養液中におき、細胞を培養させた後、メッシュプレート20を針状治具1から引き抜く。
このようにして針状治具1の針15に保持された培養細胞をメッシュプレート20により針15から外部に取出すようになっている。
次に図1乃至図6により、メッシュプレート付針状治具20Aの針状治具1について更に述べる。
針状治具1は、上述のように針状部材10とスペーサ部材50を、例えば、図4に示されるごとく交互に複数配置し、これらを積層した状態で固定することによって構成される(図5参照)。なお、スペーサ部材50は省略することができる。
針状部材10とスペーサ部材50とは交互に配置することが好ましいが、必ずしも交互配置に限定されるものではない。例えば、積層方向に部分的にスペーサ部材50を介在させない箇所が存在するようにしてもよいし(針状部材10同士が重なる箇所が存在する)、積層方向に部分的に針状部材10を介在させない箇所が存在するようにしてもよい(スペーサ部材50同士が重なる箇所が存在する)。例えば、針状部材10とスペーサ部材50とを積層して針状治具1を形成する際に、針状治具1の基台2の端部に、スペーサ部材50を多く配置するようにすることができる。これにより針状治具1の基台2の端部に平坦なスペースを確保することができ、かつ針状治具1の載置の安定性を向上させることができる。
また上述のように針状部材10は、図1に示されるように平板状の基部11と、基部11の上面11aから一体的に突出形成された複数の針15を有している。ここでいう、「一体的に突出形成された」とは、基部11と針15とが同一材質から構成されており、かつ基部11と針15とが一度も分離された状態で存在したことがない状態を言う。一例として、1枚の金属板状体を被加工ベース体として、この被加工ベース体を本発明で用いる針状部材10の所定形状に、エッチング加工若しくはプレス加工、あるいはプラズマやアーク等の熱による切断加工や、レーザや高圧流体や超音波等のエネルギーによる切断加工を行い、針状部材10を得た場合に、上記の「一体的に突出形成された」状態が作り出される。針15の側面は、直線性を持たせることが通常であるが、例えば、突き刺された物が重力に従い下方に落下することをくい止めるストッパーの役割として、適宜、突起を形成しても良い。
本実施形態において、平板状の基部11は、前述した複数の針15が突出する上面11aと、組み合わせ使用される後述のスペーサ部材50の平面と当接することのできる2つの並行な側面11b、11cと、上面11aの反対面である下面11dと、図1において複数の針15が配列される方向の端部に位置する2つの端面11e、11fとを有している。
本実施形態において、スペーサ部材50は、図1に示されるように針状部材10の基部11と同様な形態の平板状の板体51を有し、板体51は、針状部材10の基部11の側面11b、11cと当接することができる2つの並行な側面51b、51cと、上面51aと、上面51aの反対面である下面51dと、長手方向の端部に位置する2つの端面51e、51fとを有している。スペーサ部材50は、主として、針状部材10とスペーサ部材50との積層方向αにおける針15の配列ピッチP2を規定する役割と(図6(A)(B)(C)(D)参照)、針状部材10の基部11とともに、針状治具1の土台を構成する役割を有する。
図1に示すように、針状部材10の平板状の基部11は、その厚さT(側面11bと11cとで規定)は、50〜250μm、高さH(上面11aと下面11dとで規定)は、2〜30mm、幅L(両端面11e、11fで規定)は、5〜50mmとなっている。
また針状部材10の針15の大きさおよび配列等の仕様について説明すると、針15の幅W1は、50〜250μm、針15の厚みW2は、前述した基部11の厚さTと同程度、針15の高さH1は、2〜20mm、針15の配列ピッチP1は、75〜500μmとなっている。
図1に示される針15の先端形状は、針の先端を尖らすための2つのテーパ面15aを有し、これらのテーパ面15aが先端で合流した箇所が針先端の稜線15bを形成する。図1で示される針先角度θは、15〜120°となっている。
しかしながら、針15の先端形状は、この形状に限定されるものではなく、対象物が穿刺可能な形態であればよい。円錐形状の先端や、多角錐形状の先端や、鋸歯形状の先端や、針15の先端の肉厚が半分程度に欠けた状態の形態のもの(ハーフエッチング形状)であってもよい。
また、針状部材10の基部11の両端に設けられた一対のガイド柱16は、他の針15と同一材料で一体に形成されており、その幅W3は針15の幅W1よりも大きく、例えば針15の幅W1の2倍の大きさをもつ。このため一対のガイド柱16は針15に比べて大きな剛性をもつ。また一対のガイド柱16の厚みは、針15の厚みW2と同様の大きさをもつ。
また、一対のガイド柱16の高さH2は針15の高さH1より高くなっている。さらに一対のガイド柱16の先端に形成されたテーパ部16の基端は、針15の高さH1より高い位置にある。このため後述のようにメッシュプレート20を針状治具1に挿着する際、針15がメッシュプレート20の開孔21内に挿入されるまで、メッシュプレート20をガイド柱16に沿ってスムースに針状治具1に挿着することができる。
次にスペーサ部材50について述べる。図1に示されるスペーサ部材50の板体51の大きさについて説明すると、その厚さT’(側面51bと51cとで規定)は、50〜250μm、高さH’(上面51aと下面51dとで規定)は、2〜30mm、幅L’(両端面51e、51fで規定)は、5〜50mmとなっている。
針状部材10の平板状の基部11の大きさと、スペーサ部材50の板体51の大きさとの関係について説明すると、両者は、対応する厚さTおよびT’の寸法を除いて、対応する他の寸法(HとH’の大きさ、LとL’の大きさ)は同じとすることが望ましい。繋ぎ目部分に凹凸が少ない針状治具1の基台2を形成するためである。なお、針状治具1の基台2は、針状部材10の基部11と、スペーサ部材50の板体51との積層体から形成される。TおよびT’の寸法を独立させるのは、基部11の厚さTは、針15の厚さと直接関連しており針仕様を定める上で独自性が必要であり、また、スペーサ部材50の板体51の厚さT’は、積層方向αの針15の配列ピッチP2を定める上で独自性が必要となるからである。もちろん、TおよびT’の寸法は結果として同じになってもよい。積層方向αの針の配列ピッチP2は、図8に示されるごとく針の配列によっても、異なるが、通常、上記の針の配列ピッチP1と同程度とすればよく、例えば、75〜500μm程度とされる。
また図1に示されるように、針状部材10の基部11の片方の端部11e、およびスペーサ部材50の板体51の片方の端部51eに、それぞれ、位置合わせ用の切り欠き溝13、53が形成されている。切り欠き溝13、53の形状は、図示のごとくV溝形状が好ましいが、この形状に限定されることなく例えばU溝形状、円弧溝形状等であってもよい。これらの切り欠き溝13、53は、図4に示されるように、針状部材10とスペーサ部材50との積層体の位置合わせに用いられる。例えば、図4に示される細長い三角柱の位置合わせ用部材60を用いて、この位置合わせ用部材60が、位置合わせ用の切り欠き溝13、53の中に収納されるように位置合わせを行うことによって、極めて簡易にかつ迅速に針状物部材10とスペーサ部材50との積層体の位置合わせができる(図4参照)。
また、針状物部材10の基部11およびスペーサ部材50の板体51には、それぞれ、積層方向αに貫通された2つの貫通孔17,56が形成されている。ただしこの貫通孔は2つに特定する必要はなく、2つ以上であれば、複数の貫通孔を持つことが可能である。これらの2つの貫通孔17、56は、同一の大きさでかつ同一のピッチで形成されている。貫通孔17、56は、針状物部材10とスペーサ部材50とを積層させて集合体を形成した時に、積層方向αに貫通したトンネル状の穴が形成され、このトンネル状の穴に棒状の固定棒(例えば、ピン、ボルト等)を挿入することによって、針状物部材10とスペーサ部材50との積層体を固定させ一体化させることができる(図6(B)参照)。また、このような貫通孔17、56を針状物部材10とスペーサ部材50との積層体の位置合わせに用いるようにしてもよい。すなわち、貫通孔17、56に挿通可能な棒状体を準備してこの棒状体に、針状物部材10とスペーサ部材50の貫通孔17、56を順次、挿通するようにすればよい。
また、他の位置合わせ手法として、貫通孔17、56の径を積層順に徐々に小さく形成しておき、これらを積層した時にできるトンネル状の穴を積層体の片端から見たときに、テーパー状に視認できるようにしておくこともできる。
次に各部の材料について述べる。
針状部材10は、例えば、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、コバルト合金、クロム合金、モリブデン合金、タングステン合金等の金属から構成され、スペーサ部材50は、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、コバルト合金、クロム合金、モリブデン合金、タングステン合金等の金属、あるいはシリコン、リン酸カルシウム等のセラミックスから構成される。
好ましい態様として、針状部材10およびスペーサ部材50は共に同種の金属材料から構成され、しかもこれらが容易に拡散接合できる金属材料から構成されるのがよい。同種の金属材料から構成することにより、以下のメリット、すなわち、異種金属同士の接続により両者の使用環境での自然電位の違いにより局部電池が形成され、卑な金属が腐食してしまうという危惧がなくなる。また、拡散接合できれば、接着剤フリーの接続となり、溶液中や特殊な温度条件でも不都合なく使用することが可能となる。また、固定のための部品を用いる必要なく、生産性も向上する。拡散接合とは、接合する材料同士を密着させ、真空や不活性ガス中などの制御された雰囲気中で、加圧・加熱し、接合面に生じる原子の拡散を利用して接合する方法である。このような好適な材料として、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト合金等及び、セラミックスを例示することができる。
図6(A)〜(D)にはそれぞれ、針状部材10とスペーサ部材50との積層体を形成した後、積層体を種々の方法で固定させ一体化させた状態の模式的断面図が示される。
図6(A)は、積層体を固定させ一体化させる手法として、拡散接合の手法を用いた場合であって、針状物部材とスペーサ部材との積層体を形成した後、積層体の接合界面を拡散接合し、積層体を固定させ一体化させている。
図6(B)は、積層体を固定させ一体化させる手法として、積層体の積層方向αに形成されたトンネル状の穴の中に棒状の固定棒(例えば、ピン、ボルト等)を挿入する手法を用いた場合であって、トンネル状の穴を形成するための貫通孔を有する針状物部材10とスペーサ部材50との積層体を形成した後、積層体の積層方向αに形成されたトンネル状の穴の中に棒状の固定棒を挿入して積層体を固定させ一体化させている。固定させ一体化させる手法は、図示のごとくナット94とボルト93の使用によって両端部から締め付けるように行ってもよいし、単純に、棒状の固定棒を圧入するだけで固定を行なうようにしてもよい。
図6(C)は、積層体を固定させ一体化させる手法として、クランプ部材95を用いた場合であって、針状物部材10とスペーサ部材50との積層体を形成した後、積層体の積層方向αの両端部をクランプ部材95を用いて挟持し、固定させ一体化させている。
図6(D)は、積層体を固定させ一体化させる手法として、いわゆるスポット溶接やアーク溶接手法を用いた場合であって、針状物部材10とスペーサ部材50との積層体を形成した後、積層体の積層方向αの両端部を挟持した状態で積層体を溶接することによって固定させ一体化させている。接合状態は拡散接合に類似する形態となる。
なお、図6(B)や図6(C)示されるような形態では、使用後に積層体をばらして、個々の部材を洗浄したり、積層部品の一部を交換したりした後に、再度、積層体として組み合わせて使用することも可能となる。
また、メッシュプレート20は、針状部材10およびスペーサ部材50と同種の金属材料から構成され、その厚みT1は、50〜250μmとなっている。
(針状治具1の製造方法)
次に針15とガイド柱16とを有する針状部材10と、スペーサ部材50とを備えた針状治具の製造方法について述べる。針状治具1は、好適には、以下の工程を経て製造される。すなわち、(1)原材料となる金属薄板の主平面にマスクを形成した後、金属薄板の露出部分をエッチングして平板状の基部とその基部から一体的に突出した複数の針およびガイド柱を備える針状部材を形成する針状部材形成工程と、(2)スペーサ部材を準備する工程と、(3)前記針状部材形成工程により形成された針状部材と、準備されているスペーサ部材とを、積層して積層物を形成し、当該積層物を固定させ一体化させてなる工程を有し構成される。
次に針15とガイド柱16とを有する針状部材10と、スペーサ部材50とを備えた針状治具の製造方法について述べる。針状治具1は、好適には、以下の工程を経て製造される。すなわち、(1)原材料となる金属薄板の主平面にマスクを形成した後、金属薄板の露出部分をエッチングして平板状の基部とその基部から一体的に突出した複数の針およびガイド柱を備える針状部材を形成する針状部材形成工程と、(2)スペーサ部材を準備する工程と、(3)前記針状部材形成工程により形成された針状部材と、準備されているスペーサ部材とを、積層して積層物を形成し、当該積層物を固定させ一体化させてなる工程を有し構成される。
図7(A)〜(F)を参照しつつ、本発明の針状治具1を構成する針状部材10を(ウエット)エッチング法で形成する場合について説明する。
まず、図7(A)に示されるように、原材料となる金属薄板19が準備される。図7(A)において、金属薄板19の主平面19aは図面の奥行き方向となり、図面では金属薄板の厚さtが表示されている。金属薄板の厚さtは、そのまま針状物部材の基部11の厚さTおよび針15およびガイド柱の厚みW2となる(図1参照)。金属薄板19は、予め脱脂洗浄処理しておくことが望ましい。次工程におけるフォトレジスト膜の密着性を向上させ、品質・仕上がりを向上させるためである。
次いで、図7(B)に示されるように、金属薄板の両主平面19aにそれぞれマスク形成のためのフォトレジスト膜80が形成される。フォトレジスト膜80は塗布形成してもよいし、フィルム状のフォトレジスト膜80を貼り付けるようにしてもよい(いわゆるラミネート)。2つの主平面19aのうち片側にのみフォトレジスト膜80を形成することも可能であるが、加工精度を担保するためには、図示のごとく両主平面19aにそれぞれフォトレジスト膜80を形成することが望ましい。フォトレジスト膜80はネガ型、ポジ型、いずれであってもよい。
次いで、図7(C)に示されるように、フォトレジスト膜80の上に、露光用のパターンが形成されたパターンフィルム原版81を配置し、露光処理が行われる。図7(C)の断面図で示される露光のパターンは、例えば、図2のA−A線矢視断面の針15およびガイド柱の断面図に対応する。フォトレジスト膜80がネガ型の場合、露光部分が現像液に対して不溶解性となり、現像後に露光部分が残る。フォトレジスト膜80がポジ型の場合、露光部分が現像液に対して溶解し、現像後に未露光部分が残る。図7における図示例では、ネガ型の場合が示されている。
次いで、図7(D)に示されるように、フォトレジストの現像処理が行われ、現像後、露光部分が所定のパターンの(レジスト)マスク85として残り、露光されていない箇所は、レジストが除去されて金属薄板19の表面が露出する。
次いで、図7(E)に示されるように、エッチング処理が行われる。すなわち、マスキングされた金属薄板にエッチング液を付けることによって、上記の現像操作で露出された金属薄板19の部分だけがエッチングされて、所望の形状に金属薄板が加工される。エッチング液は、使用する金属薄板の種類に応じて適宜選定するようにすればよい。
次いで、図7(F)に示されるように、エッチング処理後に金属薄板19に残っているレジスト(マスク)85を除去し、洗浄・乾燥することによって、針状部材10が形成される(例えば、図2に示されるごとく針状部材10が形成される)。なお、このエッチング処理によって、位置合わせ用の切り欠き溝13および2つの貫通孔17も同時に形成することが好ましい。このようにして、基部11と、基部11に設けられた複数の針15と、針15の両側に設けられた一対のガイド柱16とを有する針状部材10が得られる。
なお、上記の針状物部材形成工程におけるエッチングは、好適例としてウエットエッチングを挙げて説明したが、金属薄板の肉厚が極めて薄いものであれば、反応性気体やイオン、ラジカルを用いたドライエッチングを採用することもできる。
(スペーサ部材を準備する工程)
スペーサ部材50は、針状物部材10に比べれば、形状が複雑でないために、特にその製法に限定はない。しかしながら、スペーサ部材50は、針状部材10と一体化使用されるため高い寸法精度が要求され、上記の針状物部材形成工程に準じてエッチング法で形成することが好ましい。その際、位置合わせ用の切り欠き溝53および2つの貫通孔56も同時に形成することが好ましい。
スペーサ部材50は、針状物部材10に比べれば、形状が複雑でないために、特にその製法に限定はない。しかしながら、スペーサ部材50は、針状部材10と一体化使用されるため高い寸法精度が要求され、上記の針状物部材形成工程に準じてエッチング法で形成することが好ましい。その際、位置合わせ用の切り欠き溝53および2つの貫通孔56も同時に形成することが好ましい。
(針状物部材と、スペーサ部材とからなる積層物を固定させる工程)
図4に示されるように、前記針状物部材形成工程により形成された針状部材10と、準備されたスペーサ部材50とを、複数枚積層して積層物を形成し、この積層物を、例えば、前述した図6(A)〜図6(D)に示される種々の方法で固定させ一体化させて、図5に示されるごとく本発明の複数の突出した針を備える針状治具1を得る。
図4に示されるように、前記針状物部材形成工程により形成された針状部材10と、準備されたスペーサ部材50とを、複数枚積層して積層物を形成し、この積層物を、例えば、前述した図6(A)〜図6(D)に示される種々の方法で固定させ一体化させて、図5に示されるごとく本発明の複数の突出した針を備える針状治具1を得る。
次に針状治具1の針15の配列例を図8を参照しつつ説明する。図8(A)および(B)は、それぞれ、針体治具に配置された針の配列例を示す平面図であり、図8(A)には正方形ピッチ配列の状態が示され、図8(B)には三角形ピッチ配列の状態が示される。例えば、針体治具1をフィルター立体構造として用いる場合、従来技術で説明のごとく金属基板をエッチングにより孔を形成した後、積層して形成した従来のフィルター構造と比べ、積層ずれを懸念することなく、エッチング加工精度のみに依存した構造を得ることができる。図8(A)に示される正方形ピッチ配列(P1=P2)が好ましいが、必ずしもこの形態に限定されるものではない。なお、図8(B)に示される三角形ピッチ配列が正三角形ピッチ配列(P1:P2=2:√3)の場合、針体治具1をフィルター立体構造として用いた場合、圧力損失の異なる高密度なフィルター立体構造を形成できる。
(メッシュプレートの挿着方法)
次に針状治具1に対してメッシュプレート20を挿着する方法について説明する。
次に針状治具1に対してメッシュプレート20を挿着する方法について説明する。
まず、上述のようにして得られた針状治具1を準備し、針状治具1上からメッシュプレート20を降下させる。この場合、まず針状治具1の針状部材10の両端に設けられた一対のガイド柱16がメッシュプレート20のガイド孔22内に挿入される。この際、ガイド柱16の先端部にはテーパ部16aが形成されているため、テーパ部16aを介してガイド柱16をメッシュプレート20のガイド孔22内にスムースに挿入することができる。次にメッシュプレート20を更に降下させることにより、ガイド柱16に沿ってスムースにメッシュプレート20を針状治具1に挿着することができる。
この場合、ガイド柱16のテーパ部16aの基端は針15の高さより高くなっているため、ガイド柱16をメッシュプレート20のガイド孔22内に挿入し、メッシュプレート20を針状治具1に対して精度良く位置決めした後、メッシュプレート20の開孔21内に針状部材10の針15を挿入することができる。
このため、針状部材10の針15がメッシュプレート20の開孔21周辺に引掛ったり、針15の先端が破損したりすることを確実に防止することができる。
また針状部材10のガイド柱16の幅W3は、針15の幅W1の2倍の大きさをもつため、ガイド柱16に大きな剛性をもたせることができ、大きな剛性をもつガイド柱16により、メッシュプレート20をスムースに下方へ案内することができる。
このようにしてメッシュプレート20は針15の基端まで降下し、図9に示すように、針状治具1とメッシュプレート20とによりメッシュプレート付針状治具20Aが得られる。
このようにして得られたメッシュプレート付針状治具20Aは、細胞培養分野で用いられる。
具体的には、針状治具1の針15に細胞が突き刺されて保持される。その後メッシュプレート付針状治具20Aが培養液中に置かれて、針15に保持された細胞が培養液中で培養される。
培養期間経過後に、培養液からメッシュプレート付針状治具20Aが取出される。次にメッシュプレート付針状治具20Aのメッシュプレート20が針状治具1から引き抜かれる。この際、針15に保持された培養細胞がメッシュプレート20により外方へ押出される。
以上のように本実施の形態によれば、針状治具1に対してメッシュプレート20を挿着する際、針状治具1のガイド柱16がメッシュプレート20のガイド孔22内に挿入され、このガイド柱16がメッシュプレート20を案内するガイドとして機能する。このため針状治具1に対してメッシュプレート20を精度良く位置決めしながら、スムースに針状治具1の針15をメッシュプレート20の開孔21内に挿入することができる。
なお、上記実施の形態において、メッシュプレート20の針状治具1の針15が挿入される開孔21を設けた例を示したが、これに限らず、メッシュプレート20に開孔21の代わりに針15が挿入される細長状の溝21A(図10参照)を設けてもよい。
また、図11に示すように、針状治具1のうち手前側と奥側の針状部材10のみが針15の両側に設けられた一対のガイド柱16を有し、他の針状部材10はガイド柱16を有しない構造となっていても良い。この場合、メッシュプレート20はその4隅にガイド柱16が挿入される開孔22を持つ。
図11において、手前側と奥側の針状部材10は、他の針状部材10と異なるパターンを用いて、他の針状部材10と同一の材料および同一の工程で作製される。
1 針状治具
2 基台
10 針状部材
11 基部
15 針
16 ガイド柱
16a テーパ部
20 メッシュプレート
21 開孔
22 ガイド孔
50 スペーサ部材
2 基台
10 針状部材
11 基部
15 針
16 ガイド柱
16a テーパ部
20 メッシュプレート
21 開孔
22 ガイド孔
50 スペーサ部材
Claims (6)
- 平板状の基部と、この基部から一体的に突出する複数の針とを含む針状部材を複数有する針状治具と、
前記針状治具に挿着され、前記複数の針状部材の前記針に挿入される溝又は開孔を有するメッシュプレートとを備え、
少なくとも1つの針状部材は、その基部の両端に設けられ、いずれの針よりも高い高さをもつガイド柱を有し、前記メッシュプレートに、前記ガイド柱が挿入されるガイド孔を設けたことを特徴とするメッシュプレート付針状治具。 - 少なくとも外側に位置する一対の針状部材は、その基部の両端に設けられ、いずれの針より高いガイド柱を有することを特徴とする請求項1記載のメッシュプレート付針状治具。
- 各針状部材は、その基部の両端に設けられ、いずれの針より高いガイド柱を有することを特徴とする請求項1または2記載のメッシュプレート付針状治具。
- 各ガイド柱は、その先端に先細状のテーパ部を有し、このテーパ部の基端は針の高さより高い位置にあることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載のメッシュプレート付針状治具。
- 前記メッシュプレートは、前記複数の針状部材の前記針の基端に配置され、前記針に突き刺された培養細胞を除去するために前記針から引き抜かれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載のメッシュプレート付針状治具。
- 前記針状治具は、前記針状部材の基部間に設けられたスペーサ部材を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載のメッシュプレート付針状治具。
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