JP2003313420A - 積層板用樹脂組成物、プリプレグ及び多層積層板 - Google Patents

積層板用樹脂組成物、プリプレグ及び多層積層板

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JP2003313420A
JP2003313420A JP2002121392A JP2002121392A JP2003313420A JP 2003313420 A JP2003313420 A JP 2003313420A JP 2002121392 A JP2002121392 A JP 2002121392A JP 2002121392 A JP2002121392 A JP 2002121392A JP 2003313420 A JP2003313420 A JP 2003313420A
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Naoki Ito
直樹 伊藤
Kiyotaka Komori
清孝 古森
Tatsuya Watanabe
達也 渡辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層板を製造する加熱加圧成形時において、
内層回路間に浸入してこの回路間を十分に充填すること
ができると共に適度な樹脂流れを確保することができる
積層板用樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリフェニレンオキサイド樹脂とポリイ
ミド樹脂の少なくとも一方と球状溶融シリカを含有する
積層板用樹脂組成物に関する。平均粒径1〜7μmの球
状溶融シリカを積層板用樹脂組成物全量に対して5〜2
0質量%含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線板の
製造に用いられる積層板用樹脂組成物、プリプレグ及び
多層積層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気機器、電子機器などに使用されるプ
リント配線板は、熱硬化性樹脂ワニスをガラスクロスな
どの基材に含浸してプリプレグを作製し、このプリプレ
グを所要枚数重ねると共にその両側に銅箔等の金属箔を
配置し、これを加熱加圧して積層成形することによって
金属箔張り積層板を作製し、表面の金属箔をプリント配
線加工して回路形成することによって、製造されてい
る。そしてこのプリント配線板を内層回路板とし、この
プリント配線板に所要枚数のプリプレグを重ねると共に
その外側に金属箔を配置し、これを加熱加圧して積層成
形した後に、外層の金属箔をプリント配線加工して回路
形成したりスルーホール加工したりすることによって、
多層プリント配線板を製造することができる。
【0003】そして近年の多層プリント配線板の高密度
化、高信頼性化の要求に伴って、プリプレグについては
成形性の向上、すなわち多層プリント配線板を製造する
際の内層回路板の内層回路間をプリプレグの樹脂で正確
に充填することができることと、低い線膨張係数(α
z)を確保することが重要な課題となっている。
【0004】そこで、上記のプリプレグとしては、例え
ば、硬化時のガラス転移温度(Tg)が190℃以上で
あって、かつ平均粒径0.5μmのシリカを5〜40質
量%含有する熱硬化性樹脂を用い、このワニスをガラス
クロスなどの基材に含浸して加熱乾燥することによって
半硬化状態(B−ステージ)にしたものが使用されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようにして作製したプリプレグにあっては、樹脂が流れ
難いという問題がある。すなわち、このようなプリプレ
グと内層回路板を使用して加熱加圧成形により積層板を
製造する場合、プリプレグの樹脂は流れ難くなっている
ので内層回路間に樹脂を十分に浸入させることができな
い。このような樹脂流れは、プリプレグの品質管理基準
の1つとして利用されており、適度な樹脂流れとなるよ
う樹脂の組成などについて改良が試みられているが、多
層プリント配線板の線膨張係数(αz)を低い値に維持
しつつ、多層プリント配線板を製造する際の内層回路板
の内層回路間をプリプレグの樹脂で正確に充填すること
は依然として、解決すべき課題として残されているもの
である。しかも、上記のようなプリプレグを使用して製
造した積層板にあっては、層間密着強度が弱くなるとい
う問題もある。
【0006】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、積層板を製造する加熱加圧成形時において、内層
回路間に浸入してこの回路間を十分に充填することがで
きると共に適度な樹脂流れを確保することができる積層
板用樹脂組成物を提供することを目的とし、また、積層
成形時においては適度な樹脂流れを確保することがで
き、積層成形後においては線膨張係数(αz)を低く、
かつ層間密着強度を高く得ることができるプリプレグを
提供することを目的とし、さらに信頼性の高い多層積層
板、特に層間密着強度が高く、線膨張係数(αz)が小
さい多層積層板を提供することを目的とするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
積層板用樹脂組成物は、ポリフェニレンオキサイド樹脂
とポリイミド樹脂の少なくとも一方と球状溶融シリカを
含有する積層板用樹脂組成物において、平均粒径1〜7
μmの球状溶融シリカを積層板用樹脂組成物全量に対し
て5〜20質量%含有して成ることを特徴とするもので
ある。
【0008】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、球状溶融シリカの粒径がすべて20μm未満である
ことを特徴とするものである。
【0009】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、粒径0.5μm以下の球状溶融シリカを積層板
用樹脂組成物全量に対して3質量%以下含有して成るこ
とを特徴とするものである。
【0010】また請求項4に係るプリプレグは、請求項
1乃至3のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物を基材
に含浸すると共に乾燥して成ることを特徴とするもので
ある。
【0011】また請求項5に係る多層積層板は、請求項
4に記載のプリプレグを複数枚積層すると共にこれを加
熱加圧成形して成ることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0013】本発明に係る積層板用樹脂組成物は、ポリ
フェニレンオキサイド(PPO)樹脂とポリイミド樹脂
の少なくとも一方と球状溶融シリカを含有するものであ
る。
【0014】本発明において球状溶融シリカとしては、
平均粒径が1〜7μmのものを用いるものである。これ
によって、積層板の層間密着強度を高く得ることができ
ると共に、積層板の表面の平滑性を高めることができ、
外観が向上するのはもちろん、積層板の表面に微細な回
路を形成するのが容易となり、より高密度に配線された
回路を形成することができるものである。しかし、平均
粒径が1μm未満である球状溶融シリカのみを用いる
と、積層板の層間密着強度が弱くなったり積層板の外観
が悪くなったりするものであり、逆に平均粒径が7μm
を超える球状溶融シリカのみを用いると、積層板の表面
の平滑性が低下し、外観が悪くなるものである。
【0015】上記の平均粒径1〜7μmの球状溶融シリ
カは、積層板用樹脂組成物全量に対して5〜20質量%
となるように、積層板用樹脂組成物に含有させるもので
ある。このように球状溶融シリカの含有量を設定するこ
とによって、積層板用樹脂組成物が成形時において、極
端に流れ易くなったりせず、また極端に流れ難くなった
りしないようにすることができ、適度な樹脂流れを確保
することができるものである。しかも、上記のように球
状溶融シリカの含有量を設定することによって、最終的
に積層成形して得られる積層板の線膨張係数(αz)を
70ppm以下という低い値にすることも可能である。
しかし、上記球状溶融シリカの含有量が5質量%未満で
あると、積層成形して得られる積層板の線膨張係数(α
z)が70ppmより大きくなり、熱衝撃性が悪くなる
ものであり、逆に上記球状溶融シリカの含有量が20質
量%を超えると、成形時における積層板用樹脂組成物の
粘度が著しく増加し、多層プリント配線板を製造する
際、内層回路間に積層板用樹脂組成物を十分に充填する
ことができなくなり、いわゆるボイドが発生し、プリン
ト配線板の信頼性が低下するものである。なお、積層板
用樹脂組成物を調製するにあたって有機溶剤等の溶剤を
用いる場合には、上記の平均粒径1〜7μmの球状溶融
シリカは、溶剤を除いた積層板用樹脂組成物全量に対し
て5〜20質量%となるように、積層板用樹脂組成物に
含有させるものである。
【0016】本発明においては、平均粒径が1μm未満
である球状溶融シリカや平均粒径が7μmを超える球状
溶融シリカを併用することもできるが、特に、粒径20
μm以上の球状溶融シリカを除外しておくのが好まし
い。すなわち本発明においては、球状溶融シリカの粒径
はすべて20μm未満であることが好ましい。このよう
に粒径が20μm未満である球状溶融シリカのみを用い
ると、積層板の表面の平滑性をさらに高めることがで
き、外観を確実に向上させることができるものである。
【0017】また本発明においては、粒径が0.5μm
以下である球状溶融シリカを積層板用樹脂組成物全量に
対して3質量%以下含有するのが好ましい。このように
微細な球状溶融シリカの含有量を減少させることによっ
て、積層板用樹脂組成物の粘度を低下させて、樹脂を流
れ易くすることができ、樹脂流れを調整することができ
ると共に、積層板の層間密着強度をさらに高く得ること
ができるものである。粒径0.5μm以下の球状溶融シ
リカの含有量が3質量%を超えると、樹脂が流れ難くな
ったり層間密着性が悪くなったりするおそれがある。な
お、粒径0.5μm以下の球状溶融シリカの含有量の実
質上の下限は0質量%である。
【0018】そして、PPO樹脂やポリイミド樹脂と上
記球状溶融シリカとを配合することによって、本発明に
係る積層板用樹脂組成物を得ることができるものであ
る。
【0019】具体的には、例えば、PPO樹脂と球状溶
融シリカとから積層板用樹脂組成物を調製するにあたっ
ては、以下のようにして行うことができる。まずトルエ
ン等の有機溶媒を80〜90℃に加熱し、この有機溶媒
にPPO樹脂を入れる。次に、これを撹拌してPPO樹
脂を完全に溶解させた後に、日本化成株式会社製「TA
IC」等のトリアリルイソシアヌレートと日本油脂株式
会社製「パーブチルP」等のラジカル重合開始剤を入れ
て冷却する。そしてこの混合物を撹拌しながら球状溶融
シリカを投入することによって、積層板用樹脂組成物を
調製することができるものである。
【0020】一方、ポリイミド樹脂と球状溶融シリカと
から積層板用樹脂組成物を調製するにあたっては、N,
N−ジメチルアセトアミドにビスマレイミドとポリアミ
ンとを溶解させ、50〜100℃で150〜350分間
反応させることによって行うことができるものである。
上記のようにして得られた積層板用樹脂組成物が液状で
あればそのまま樹脂ワニスとして使用することができる
が、溶剤で希釈することによって樹脂ワニスとして使用
することもできる。
【0021】そして上記樹脂ワニスを基材に含浸し、乾
燥機中で140〜190℃程度の温度範囲で、5〜20
分程度乾燥することによって、半硬化状態(B−ステー
ジ)のプリプレグを作製することができるものである。
ここで基材としては、ガラスクロス、ガラスペーパー、
ガラスマットなどのガラス繊維布のほか、クラフト紙、
リンター紙、天然繊維布、有機繊維布などを用いること
ができる。またプリプレグは樹脂分の含有量が50〜5
5質量%になるように作製するのが好ましい。
【0022】上記のようにして作製したプリプレグを所
要枚数重ね、これを130〜200℃、2〜8MPa、
120〜360分の条件で加熱加圧して積層成形するこ
とによって、積層板を製造することができる。この際
に、所要枚数重ねたプリプレグの片側又は両側に金属箔
を重ねて積層成形することによって、プリント配線板に
加工するための金属箔張り積層板を製造することができ
る。この金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔、ステ
ンレス箔などを用いることができる。
【0023】また、内層回路板の片側又は両側に所要枚
数のプリプレグを重ねると共にその外側に金属箔を配置
し、これを加熱加圧して積層成形することによって、多
層プリント配線板に加工するための多層積層板を製造す
ることができる。このとき、プリプレグの樹脂流れが適
度に確保されているので、たとえ高密度に内層回路が配
線されていても、内層回路間にプリプレグの樹脂を十分
に浸入させることができると共に、内層回路間を正確に
充填することができるものである。しかも、プリプレグ
の樹脂による密着性が確保され、層間密着強度を高く得
ることができるものであり、それによって信頼性の高い
多層積層板を製造することができるものである。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0025】PPO樹脂として日本ジーイープラスチッ
クス株式会社製「ノリル640−111(ポリフェニレ
ンオキサイド)」を、トリアリルイソシアヌレートとし
て日本化成株式会社製「TAIC」を、ラジカル重合開
始剤として日本油脂株式会社製「パーブチルP」を、有
機溶媒として試薬ナカライテスク株式会社製のトルエン
を用いた。
【0026】また、ビスマレイミドとしてN,N′−メ
チレンビス(N−フェニルマレイミド)を、ポリアミン
として4,4′−ジアミノジフェニルメタンを、有機溶
媒としてダイセル化学工業株式会社製のN,N−ジメチ
ルアセトアミドを用いた。
【0027】また、球状溶融シリカとして以下のものを
用いた。
【0028】シリカA:株式会社マイクロン製「SCO
X88」(平均粒径7μm) シリカB:電気化学工業株式会社製「FB−1SDX」
(平均粒径1.6μm) シリカC:電気化学工業株式会社製「FB−5SDX」
(平均粒径4.5μm、粒径20μm以上のものを除外
したもの) シリカD:株式会社マイクロン製「SCOX88」(平
均粒径7μm)を処理したもの(すなわち、シリカA2
00gを水1L中に入れてディスパーで2時間撹拌した
後、上澄み液を廃棄し、残ったものを100℃以上で乾
燥させ、これを乳鉢で粉砕した) シリカE:電気化学工業株式会社製「FB−5SWX」
(平均粒径4.5μm、粒径20μm以上のもの及び粒
径0.5μm以下のものを除外したもの) シリカF:株式会社アドマテックス製「アドマファイン
SO−C2」(平均粒径0.5μm) シリカG:電気化学工業株式会社製「FB15S」(平
均粒径12.5μm) さらに、タルクとして富士タルク工業株式会社製「LM
K−100」(平均粒径5.7μm)を用いた。
【0029】そして、実施例1,3〜7及び比較例1〜
4については、以下のようにして積層板用樹脂組成物の
樹脂ワニスを調製した。まず、撹拌装置と撹拌羽根を付
けた2000mlのフラスコにトルエンを入れ、このフ
ラスコを90℃に加熱したオイルバスに浸して80℃に
加熱した。トルエンが80℃になったら、このトルエン
にPPO樹脂を入れ、これを撹拌してPPO樹脂を完全
に溶解させた。その後、日本化成株式会社製「TAI
C」と日本油脂株式会社製「パーブチルP」を入れて冷
却し、この混合物をホモディスパーで撹拌しながら球状
溶融シリカあるいはタルクを投入することによって、積
層板用樹脂組成物の樹脂ワニスを調製した。
【0030】また実施例2については、N,N−ジメチ
ルアセトアミドにビスマレイミドとポリアミンとを溶解
させ、90℃で180分間反応させることによって、積
層板用樹脂組成物の樹脂ワニスを調製した。
【0031】次に、上記樹脂ワニスを日東紡績株式会社
製「116E」のガラスクロスに含浸し、乾燥ゾーンで
120℃、10分間の加熱処理をすることによって、プ
リプレグを作製した。このプリプレグの樹脂量を表1に
示す。
【0032】そして、上記プリプレグを用いて以下のよ
うな試験を行った。
【0033】(樹脂流れ)試験片としてプリプレグを1
0cmに切断したものを用い、総量が20g程度になる
ように秤量した。次いで、予め170±3℃に調整した
試験用プレスに試験片を入れ、1.37±0.137M
Pa(14±1.4kgf/cm2)の圧力で15分間
加圧した後、流れ出た樹脂を取り除き、再び試験片を秤
量した。そして、下記計算式によって樹脂流れを求め
た。その結果を表1に示す。
【0034】樹脂流れ(%)=((プレス前の試験片質
量−プレス後の試験片質量)/プレス前の試験片質量)
×100 (層間密着性)プリプレグを2枚重ねて成形することに
よって試験片(100mm×10mm)を得た。この試
験片からプリプレグを引き剥がし、その一端を引っ張り
試験機に固定し、他端を引き剥がし面に対して90°に
なる方向に引っ張ることによって、層間密着強度を測定
した。その結果を表1に示す。
【0035】(銅箔エッチング後基板外観)プリプレグ
を2枚重ね、その両側に厚さ18μmの銅箔を配し、加
熱加圧して積層成形することによって、銅張り積層板を
得た。この銅張り積層板の表面の銅箔をエッチングして
除去し、積層板の外観を観察した。長さ50μm以上の
突起が10cm角の積層板10枚中に全く存在しないも
のを「○」、長さ50μm以上の突起が10cm角の積
層板10枚中に2個以内存在するものを「△」、長さ5
0μm以上の突起が10cm角の積層板10枚中に2個
より多く存在するもの又は長さ100μm以上の突起が
10cm角の積層板10枚中に1個以上存在するものを
「×」として、表1に示す。
【0036】(Tg)プリプレグを5枚重ね、その両側
に厚さ18μmの銅箔を配し、加熱加圧して積層成形す
ることによって、銅張り積層板を得た。この銅張り積層
板の表面の銅箔をエッチングして除去し、昇温速度を5
℃/minとしてDMAによって、ガラス転移温度(T
g)を測定した。その結果を表1に示す。
【0037】(線膨張係数(αz))プリプレグを8枚
重ね、その両側に厚さ18μmの銅箔を配し、加熱加圧
して積層成形することによって、銅張り積層板を得た。
この銅張り積層板の表面の銅箔をエッチングして除去
し、昇温速度を10℃/minとしてTMAによって、
線膨張係数(αz)を測定した。その結果を表1に示
す。
【0038】
【表1】
【0039】なお、表1において比較例3の「シリカの
平均粒径(μm)」とはタルクの平均粒径(μm)を示
し、また「溶剤を除いた組成物中のシリカの含有量(質
量%)」とは溶剤を除いた組成物中のタルクの含有量
(質量%)を示す。
【0040】表1にみられるように、実施例1〜7のも
のは樹脂流れが10〜23%であって良好であり、また
層間密着性の結果も良好であり、さらに積層板の外観も
概ね良好であることが確認される。
【0041】これに対して、平均粒径1μm未満の球状
溶融シリカを用いた比較例1のものは層間密着強度が他
のものより著しく低いことが確認される。また、同じく
平均粒径1μm未満の球状溶融シリカを用いた比較例2
のものは層間密着強度は高いものの、積層板の外観が悪
いことが確認される。さらに、球状溶融シリカではなく
タルクを用いた比較例3のものは、樹脂流れが0%であ
って樹脂の流れが悪いことが確認される。
【0042】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係る積
層板用樹脂組成物は、ポリフェニレンオキサイド樹脂と
ポリイミド樹脂の少なくとも一方と球状溶融シリカを含
有する積層板用樹脂組成物において、平均粒径1〜7μ
mの球状溶融シリカを積層板用樹脂組成物全量に対して
5〜20質量%含有しているので、積層板を製造する加
熱加圧成形時において、回路間に浸入してこの回路間を
十分に充填することができると共に、適度な樹脂流れを
確保することができるものである。
【0043】また請求項2の発明は、球状溶融シリカの
粒径がすべて20μm未満であるので、積層板の表面の
平滑性を高めることができ、外観を確実に向上させるこ
とができるものである。
【0044】また請求項3の発明は、粒径0.5μm以
下の球状溶融シリカを積層板用樹脂組成物全量に対して
3質量%以下含有しているので、積層板用樹脂組成物の
粘度を低下させて、樹脂流れを調整することができると
共に、積層板の層間密着強度をさらに高く得ることがで
きるものである。
【0045】また請求項4に係るプリプレグは、請求項
1乃至3のいずれかに記載の積層板用樹脂組成物を基材
に含浸すると共に乾燥しているので、積層成形時におい
ては樹脂の流出を防止することができると共に、積層成
形後においては低い線膨張係数(αz)を確保しつつ層
間密着強度を高く得ることができるものである。
【0046】また請求項5に係る多層積層板は、請求項
4に記載のプリプレグを複数枚積層すると共にこれを加
熱加圧成形しているので、低い線膨張係数(αz)を確
保しつつ層間密着強度を向上させて信頼性を高く得るこ
とができるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 達也 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 Fターム(参考) 4F072 AA04 AA08 AB03 AB09 AB28 AB29 AD42 AD45 AG03 AH02 AH31 AK05 AL09 AL12 4J002 CH07W CM04X DJ016 FA086 GF00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリフェニレンオキサイド樹脂とポリイ
    ミド樹脂の少なくとも一方と球状溶融シリカを含有する
    積層板用樹脂組成物において、平均粒径1〜7μmの球
    状溶融シリカを積層板用樹脂組成物全量に対して5〜2
    0質量%含有して成ることを特徴とする積層板用樹脂組
    成物。
  2. 【請求項2】 球状溶融シリカの粒径がすべて20μm
    未満であることを特徴とする請求項1に記載の積層板用
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 粒径0.5μm以下の球状溶融シリカを
    積層板用樹脂組成物全量に対して3質量%以下含有して
    成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層板用
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の積層
    板用樹脂組成物を基材に含浸すると共に乾燥して成るこ
    とを特徴とするプリプレグ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のプリプレグを複数枚積
    層すると共にこれを加熱加圧成形して成ることを特徴と
    する多層積層板。
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