JP2003313052A - Hud用コンバイナー付き車両用ガラス板、およびその製造方法 - Google Patents
Hud用コンバイナー付き車両用ガラス板、およびその製造方法Info
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- JP2003313052A JP2003313052A JP2002227043A JP2002227043A JP2003313052A JP 2003313052 A JP2003313052 A JP 2003313052A JP 2002227043 A JP2002227043 A JP 2002227043A JP 2002227043 A JP2002227043 A JP 2002227043A JP 2003313052 A JP2003313052 A JP 2003313052A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 斜め入射光の反射を抑えた低反射膜を有し、
しかもHUD用コンバイナーを備えた車両用ガラス板の
提供を目的とする。 【解決手段】 一主表面に2層からなる低反射膜が形成
されている車両用ガラス板であって、前記低反射膜は、
第1層の屈折率n1が1.75〜2.40で物理膜厚d1
が90〜130nm、第2層の屈折率n2が1.4〜
1.47で物理膜厚d2が80〜110nmであり、所
定領域において前記第2層を形成しないようにして前記
第1層を露出させることにより増反射膜とし、前記領域
をHUD用コンバイナーとしたことを特徴とするHUD
用コンバイナー付き車両用ガラス板である。
しかもHUD用コンバイナーを備えた車両用ガラス板の
提供を目的とする。 【解決手段】 一主表面に2層からなる低反射膜が形成
されている車両用ガラス板であって、前記低反射膜は、
第1層の屈折率n1が1.75〜2.40で物理膜厚d1
が90〜130nm、第2層の屈折率n2が1.4〜
1.47で物理膜厚d2が80〜110nmであり、所
定領域において前記第2層を形成しないようにして前記
第1層を露出させることにより増反射膜とし、前記領域
をHUD用コンバイナーとしたことを特徴とするHUD
用コンバイナー付き車両用ガラス板である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘッドアップディ
スプレイ(HUD)用コンバイナーが設けられた車両用
ガラス板、およびその製造方法に関する。特に自動車の
ウインドシールドガラスに適用され、低反射膜が設けら
れている車両用ガラス板のHUD用コンバイナーに関す
る。
スプレイ(HUD)用コンバイナーが設けられた車両用
ガラス板、およびその製造方法に関する。特に自動車の
ウインドシールドガラスに適用され、低反射膜が設けら
れている車両用ガラス板のHUD用コンバイナーに関す
る。
【0002】
【従来の技術】(1)特開平6−305775号には、
「ガラス板状体の表面に形成した低反射薄膜において、
該低反射薄膜を構成する薄膜のうち、ガラス面から第1
層目の薄膜が所定領域で少なくとも露出するようにし、
該所定領域が最外表層薄膜の比較的低い屈折率より高い
屈折率の薄膜でなるようにすることを特徴とする車輌用
の窓ガラス」なる技術が開示されている。
「ガラス板状体の表面に形成した低反射薄膜において、
該低反射薄膜を構成する薄膜のうち、ガラス面から第1
層目の薄膜が所定領域で少なくとも露出するようにし、
該所定領域が最外表層薄膜の比較的低い屈折率より高い
屈折率の薄膜でなるようにすることを特徴とする車輌用
の窓ガラス」なる技術が開示されている。
【0003】また「前記低反射薄膜が、異なる屈折率を
有する薄膜を2層または3層に被覆積層してな」り、
「前記構成の車輌用の窓ガラスを、ヘツドアツプデイス
プレイ用コンバイナーガラスとして用いること」が示さ
れている。
有する薄膜を2層または3層に被覆積層してな」り、
「前記構成の車輌用の窓ガラスを、ヘツドアツプデイス
プレイ用コンバイナーガラスとして用いること」が示さ
れている。
【0004】(2)特開平6−340450号には、
「ガラス板状体の表面に形成した低反射薄膜において、
該低反射薄膜上の所定領域に、あるいは該低反射薄膜を
構成する薄膜のうち、ガラス面から第1層目の薄膜を所
定領域で少なくとも露出させ、該所定領域が最外表層薄
膜の比較的低い屈折率より高い屈折率の薄膜でなるよう
にし、該所定領域の全域または部分域に、少なくとも1
層の積層薄膜を被覆して成ることを特徴とする車輌用の
窓ガラス」なる技術が開示されている。
「ガラス板状体の表面に形成した低反射薄膜において、
該低反射薄膜上の所定領域に、あるいは該低反射薄膜を
構成する薄膜のうち、ガラス面から第1層目の薄膜を所
定領域で少なくとも露出させ、該所定領域が最外表層薄
膜の比較的低い屈折率より高い屈折率の薄膜でなるよう
にし、該所定領域の全域または部分域に、少なくとも1
層の積層薄膜を被覆して成ることを特徴とする車輌用の
窓ガラス」なる技術が開示されている。
【0005】また、「前記低反射薄膜上に少なくとも1
層の積層薄膜を被覆した所定領域が、波長選択反射性膜
で」あり、「前記低反射薄膜でガラス面から第1層目の
薄膜を少なくとも露出した所定領域が、非波長選択反射
性膜で」あるとされる。
層の積層薄膜を被覆した所定領域が、波長選択反射性膜
で」あり、「前記低反射薄膜でガラス面から第1層目の
薄膜を少なくとも露出した所定領域が、非波長選択反射
性膜で」あるとされる。
【0006】(3)上記(1)と(2)を基礎出願とす
る米国特許であるUS5,496,621では、第1層が
屈折率が1.80〜2.10で膜厚が70〜230n
m、第2層の屈折率が1.40〜1.50で膜厚が11
0〜130nm等の数値限定がされている。
る米国特許であるUS5,496,621では、第1層が
屈折率が1.80〜2.10で膜厚が70〜230n
m、第2層の屈折率が1.40〜1.50で膜厚が11
0〜130nm等の数値限定がされている。
【0007】(4)実用新案登録第2500821号で
は、HUDコンバイナーとして、「屈折率が1.8〜
2.3の金属酸化物からなる透明な増反射幕を400〜
1500Å(40〜150nm)の光学膜厚で形成」す
る技術が示されている。
は、HUDコンバイナーとして、「屈折率が1.8〜
2.3の金属酸化物からなる透明な増反射幕を400〜
1500Å(40〜150nm)の光学膜厚で形成」す
る技術が示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)では、低反
射膜の膜厚や屈折率は何もクレームされておらず、2層
構成の低反射膜としては、第1層目の薄膜の屈折率n1
が1.8〜2.1で物理膜厚d1が700〜2300Å
(70〜230nm)、第2層の薄膜の屈折率n2が
1.4から1.5で物理膜厚d2が1100〜1300
Å(110〜130nm)の数値が、例示されているだ
けである。
射膜の膜厚や屈折率は何もクレームされておらず、2層
構成の低反射膜としては、第1層目の薄膜の屈折率n1
が1.8〜2.1で物理膜厚d1が700〜2300Å
(70〜230nm)、第2層の薄膜の屈折率n2が
1.4から1.5で物理膜厚d2が1100〜1300
Å(110〜130nm)の数値が、例示されているだ
けである。
【0009】上記(2)でも、低反射膜の膜厚や屈折率
は何もクレームされておらず、2層構成の低反射膜とし
ては、同様の数値範囲が例示されているだけである。
は何もクレームされておらず、2層構成の低反射膜とし
ては、同様の数値範囲が例示されているだけである。
【0010】また上記(1)や(2)では、低反射膜を
ガラス板の片面にのみ形成する必要があるので、「ガラ
ス板の片面のみを全面マスキングテープで覆」う必要が
ある。
ガラス板の片面にのみ形成する必要があるので、「ガラ
ス板の片面のみを全面マスキングテープで覆」う必要が
ある。
【0011】さらに、「第1層目の薄膜を所定領域で少
なくとも露出させ」る方法としては、まず浸漬法にて低
反射膜を形成し、その後アルコキシド分解ペーストを2
層目の不要な領域にスクリーン印刷し焼成する。焼成に
より焼き付いたアルコキシド分解ペーストを、水酸化ナ
トリウムと硫酸の水溶液にて除去する剥離処理方法が示
されている。
なくとも露出させ」る方法としては、まず浸漬法にて低
反射膜を形成し、その後アルコキシド分解ペーストを2
層目の不要な領域にスクリーン印刷し焼成する。焼成に
より焼き付いたアルコキシド分解ペーストを、水酸化ナ
トリウムと硫酸の水溶液にて除去する剥離処理方法が示
されている。
【0012】上述した(1)や(2)の剥離処理方法で
は、2層目のみをきれいに除去することが困難である。
またきれいに除去できたとしても、工程が多いためコス
トアップとなり、好ましくない。また上記(3)も、
(2)と同様の方法である。
は、2層目のみをきれいに除去することが困難である。
またきれいに除去できたとしても、工程が多いためコス
トアップとなり、好ましくない。また上記(3)も、
(2)と同様の方法である。
【0013】例えば、2層からなる低反射膜をある領域
においてすべて切り欠いて、その部分に上記(4)で示
された膜をコーティングする方法も考えられる。しか
し、工程が増えてコストアップとなり、好ましくない。
においてすべて切り欠いて、その部分に上記(4)で示
された膜をコーティングする方法も考えられる。しか
し、工程が増えてコストアップとなり、好ましくない。
【0014】そこで本発明は上述した状況を鑑み、特に
斜め入射光の反射を抑えた低反射膜を有し、しかもHU
D用コンバイナーを備えた車両用ガラス板の提供を目的
とする。さらに本発明は、低反射膜の形成工程でHUD
用コンバイナー付き低反射膜を得ることができる製造方
法の提供を目的とする。
斜め入射光の反射を抑えた低反射膜を有し、しかもHU
D用コンバイナーを備えた車両用ガラス板の提供を目的
とする。さらに本発明は、低反射膜の形成工程でHUD
用コンバイナー付き低反射膜を得ることができる製造方
法の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】まず、本発明によるHU
D用コンバイナー付き車両用ガラス板は、2層からなる
低反射膜を構成する第1層目を、HUD用コンバイナー
とするべく増反射膜となるように、屈折率および物理膜
厚を特定したことを特徴としている。もちろん第1層目
の屈折率および物理膜厚は、低反射膜の第1層目の役割
も果たすものである。さらに、第2層の屈折率および物
理膜厚を特定することによって、良好な低反射膜を得ら
れるようにしている。
D用コンバイナー付き車両用ガラス板は、2層からなる
低反射膜を構成する第1層目を、HUD用コンバイナー
とするべく増反射膜となるように、屈折率および物理膜
厚を特定したことを特徴としている。もちろん第1層目
の屈折率および物理膜厚は、低反射膜の第1層目の役割
も果たすものである。さらに、第2層の屈折率および物
理膜厚を特定することによって、良好な低反射膜を得ら
れるようにしている。
【0016】すなわち、本発明によるHUD用コンバイ
ナー付き車両用ガラス板は、請求項1に記載の発明とし
て、一主表面に2層からなる低反射膜が形成されている
車両用ガラス板であって、前記低反射膜は、第1層の屈
折率n1が1.75〜2.40で物理膜厚d1が90〜1
30nm、第2層の屈折率n2が1.4〜1.47で物
理膜厚d2が80〜110nmであり、所定領域におい
て前記第2層を形成しないようにして前記第1層を露出
させることにより増反射膜とし、前記領域をHUD用コ
ンバイナーとしたことを特徴とするHUD用コンバイナ
ー付き車両用ガラス板である。
ナー付き車両用ガラス板は、請求項1に記載の発明とし
て、一主表面に2層からなる低反射膜が形成されている
車両用ガラス板であって、前記低反射膜は、第1層の屈
折率n1が1.75〜2.40で物理膜厚d1が90〜1
30nm、第2層の屈折率n2が1.4〜1.47で物
理膜厚d2が80〜110nmであり、所定領域におい
て前記第2層を形成しないようにして前記第1層を露出
させることにより増反射膜とし、前記領域をHUD用コ
ンバイナーとしたことを特徴とするHUD用コンバイナ
ー付き車両用ガラス板である。
【0017】請求項2に記載の発明として、請求項1に
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板におい
て、前記低反射膜の60°入射における膜面可視光線反
射率が11%以下で、コンバイナー部の膜面可視光線反
射率が少なくとも15%であるHUD用コンバイナー付
き車両用ガラス板である。
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板におい
て、前記低反射膜の60°入射における膜面可視光線反
射率が11%以下で、コンバイナー部の膜面可視光線反
射率が少なくとも15%であるHUD用コンバイナー付
き車両用ガラス板である。
【0018】請求項3に記載の発明として、請求項1ま
たは2に記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス
板において、前記ガラス板は合わせガラスであるHUD
用コンバイナー付き車両用ガラス板である。
たは2に記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス
板において、前記ガラス板は合わせガラスであるHUD
用コンバイナー付き車両用ガラス板である。
【0019】請求項4に記載の発明として、請求項3に
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板におい
て、前記合わせガラスは、2枚のグリーンガラスを中間
膜を介して接着しているHUD用コンバイナー付き車両
用ガラス板である。
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板におい
て、前記合わせガラスは、2枚のグリーンガラスを中間
膜を介して接着しているHUD用コンバイナー付き車両
用ガラス板である。
【0020】請求項5に記載の発明として、請求項1に
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板におい
て、前記低反射膜の第1層はTiO2とSiO2が混合さ
れたあるいはTiO2のみからなる層であり、第2層は
SiO2を主成分とする層であるHUD用コンバイナー
付き車両用ガラス板である。
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板におい
て、前記低反射膜の第1層はTiO2とSiO2が混合さ
れたあるいはTiO2のみからなる層であり、第2層は
SiO2を主成分とする層であるHUD用コンバイナー
付き車両用ガラス板である。
【0021】請求項6に記載の発明として、請求項5に
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板におい
て、前記第1層はゾル−ゲル法に形成されており、Ti
O2とSiO2のモル比がTiO2:SiO2=40:60
〜100:0であり、前記第2層はSiO2の層である
HUD用コンバイナー付き車両用ガラス板。
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板におい
て、前記第1層はゾル−ゲル法に形成されており、Ti
O2とSiO2のモル比がTiO2:SiO2=40:60
〜100:0であり、前記第2層はSiO2の層である
HUD用コンバイナー付き車両用ガラス板。
【0022】請求項7に記載の発明として、請求項5に
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板におい
て、前記第1層はスパッタリング法に形成されており、
TiO2とSiO2のモル比がTiO2:SiO2=31:
69〜100:0であり、前記第2層はSiO2の層で
あるHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板である。
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板におい
て、前記第1層はスパッタリング法に形成されており、
TiO2とSiO2のモル比がTiO2:SiO2=31:
69〜100:0であり、前記第2層はSiO2の層で
あるHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板である。
【0023】請求項8に記載の発明として、一主表面に
2層からなる低反射膜を形成した車両用ガラス板の製造
方法であって、前記低反射膜は、第1層の屈折率n1が
1.75〜2.20で物理膜厚d1が90〜130n
m、第2層の屈折率n2が1.4〜1.47で物理膜厚
d2が80〜110nmとなるように、ゾル−ゲル溶液
を用いてフレキソ印刷法にて形成し、前記低反射膜の第
1層は前記一主表面の全面に塗布形成し、前記第2層
は、所定領域に対応する部分を凹部としたフレキソ版を
用いて塗布形成し、前記所定領域に第2層を塗布しない
ようにして増反射膜とし、前記領域をHUD用コンバイ
ナーとしたことを特徴とするHUD用コンバイナー付き
車両用ガラス板の製造方法である。
2層からなる低反射膜を形成した車両用ガラス板の製造
方法であって、前記低反射膜は、第1層の屈折率n1が
1.75〜2.20で物理膜厚d1が90〜130n
m、第2層の屈折率n2が1.4〜1.47で物理膜厚
d2が80〜110nmとなるように、ゾル−ゲル溶液
を用いてフレキソ印刷法にて形成し、前記低反射膜の第
1層は前記一主表面の全面に塗布形成し、前記第2層
は、所定領域に対応する部分を凹部としたフレキソ版を
用いて塗布形成し、前記所定領域に第2層を塗布しない
ようにして増反射膜とし、前記領域をHUD用コンバイ
ナーとしたことを特徴とするHUD用コンバイナー付き
車両用ガラス板の製造方法である。
【0024】請求項9に記載の発明として、請求項8に
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板の製造
方法において、前記低反射膜の第1層をTiO2とSi
O2が混合されたあるいはTiO2のみからなる層とし、
第2層をSiO2を主成分とする層としたHUD用コン
バイナー付き車両用ガラス板の製造方法である。
記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板の製造
方法において、前記低反射膜の第1層をTiO2とSi
O2が混合されたあるいはTiO2のみからなる層とし、
第2層をSiO2を主成分とする層としたHUD用コン
バイナー付き車両用ガラス板の製造方法である。
【0025】請求項10に記載の発明として、請求項9
に記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板の製
造方法において、前記第1層をモル比でTi:Si=4
0:60〜100:0であるTiO2とSiO2が混合さ
れた層とし、前記第2層はSiO2の層としたHUD用
コンバイナー付き車両用ガラス板の製造方法である。
に記載のHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板の製
造方法において、前記第1層をモル比でTi:Si=4
0:60〜100:0であるTiO2とSiO2が混合さ
れた層とし、前記第2層はSiO2の層としたHUD用
コンバイナー付き車両用ガラス板の製造方法である。
【0026】まず車両用ガラス板、特にウインドシール
ドガラスの用途に好ましく適用される低反射膜について
検討しておく。
ドガラスの用途に好ましく適用される低反射膜について
検討しておく。
【0027】一般に透明基板に形成される低反射膜は、
その層の数によりいくつかのグループに分けられる。す
なわち、単層構成、2層構成、3層構成、多層構成であ
る。
その層の数によりいくつかのグループに分けられる。す
なわち、単層構成、2層構成、3層構成、多層構成であ
る。
【0028】まず単層構成の低反射膜は、例えば透明基
板としてガラス板上に、該ガラス板の屈折率より低い屈
折率の膜を形成している。実用的な低屈折率材料として
は、MgF2やSiO2が挙げられる。
板としてガラス板上に、該ガラス板の屈折率より低い屈
折率の膜を形成している。実用的な低屈折率材料として
は、MgF2やSiO2が挙げられる。
【0029】このような単層構成では、反射防止の効果
が十分でないので、ガラス板の屈折率より高い屈折率層
と低い屈折率層の2層を組み合わせた2層構成の低反射
膜が用いられている。
が十分でないので、ガラス板の屈折率より高い屈折率層
と低い屈折率層の2層を組み合わせた2層構成の低反射
膜が用いられている。
【0030】さらに、2層構成でも反射防止の効果が十
分でない場合は、低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層
からなる3層構成としたり、さらに4層以上の構成から
なる低反射膜も用いられる。
分でない場合は、低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層
からなる3層構成としたり、さらに4層以上の構成から
なる低反射膜も用いられる。
【0031】なおいずれにせよ、低反射膜の最上層に
は、透明基板の屈折率より低い屈折率層を形成すること
になる。例えば、ガラス板に対する低屈折率材料は、上
述したMgF2やSiO2のみが実用的である。しかしM
gF2では、耐久性や耐候性が悪く、ガラス板の曲げ工
程における加熱には耐えられないので、このような用途
に適用可能な材料はSiO2のみとなる。
は、透明基板の屈折率より低い屈折率層を形成すること
になる。例えば、ガラス板に対する低屈折率材料は、上
述したMgF2やSiO2のみが実用的である。しかしM
gF2では、耐久性や耐候性が悪く、ガラス板の曲げ工
程における加熱には耐えられないので、このような用途
に適用可能な材料はSiO2のみとなる。
【0032】ここで、車両用の曲げガラス板への低反射
膜を適用する場合を考えると、膜厚の均一性などから、
平板の状態で低反射膜を形成し、その後加熱してガラス
板を曲げるのが好ましい。本発明のHUD用コンバイナ
ー付き車両用ガラス板は、曲げ加工されていることが好
ましい。
膜を適用する場合を考えると、膜厚の均一性などから、
平板の状態で低反射膜を形成し、その後加熱してガラス
板を曲げるのが好ましい。本発明のHUD用コンバイナ
ー付き車両用ガラス板は、曲げ加工されていることが好
ましい。
【0033】また、広い面積にSiO2を安価にコーテ
ィングするには、好ましい方法の一つとして、ロールコ
ート法を挙げることができる。さらにこの場合、SiO
2層はゾル−ゲル法によるものが好ましい。またSiO2
層を多孔質状として、見かけ上の屈折率を下げてもよ
い。さらにSiO2層に、低屈折率の無機微粒子を混入
させて、屈折率を下げてもよい。第2層の屈折率を下げ
ると、反射防止の効果が大きくなる。なお第2層はSi
O2を主成分とするが、B2O3やAl2O3を含ませても
よい。
ィングするには、好ましい方法の一つとして、ロールコ
ート法を挙げることができる。さらにこの場合、SiO
2層はゾル−ゲル法によるものが好ましい。またSiO2
層を多孔質状として、見かけ上の屈折率を下げてもよ
い。さらにSiO2層に、低屈折率の無機微粒子を混入
させて、屈折率を下げてもよい。第2層の屈折率を下げ
ると、反射防止の効果が大きくなる。なお第2層はSi
O2を主成分とするが、B2O3やAl2O3を含ませても
よい。
【0034】比較的簡単な膜構成で、反射防止の効果が
大きな2層構成の低反射膜において、低屈折率材料であ
るn2=1.46のSiO2に組み合わせられる高屈折率材料
の屈折率n1を算出してみる。n1とn2の関係の一例と
しては、ガラスの屈折率(=1.52)をng、空気の屈折率(=
1.0)をn0とすると、次式で与えられる。
大きな2層構成の低反射膜において、低屈折率材料であ
るn2=1.46のSiO2に組み合わせられる高屈折率材料
の屈折率n1を算出してみる。n1とn2の関係の一例と
しては、ガラスの屈折率(=1.52)をng、空気の屈折率(=
1.0)をn0とすると、次式で与えられる。
【数1】
n1=[(n2)2×ng/n0]1/2
この式からn1を求めると、n1=1.80となる。
【0035】ゾル−ゲル法にて成膜可能な単一材料にお
いて、n1=1.80付近の屈折率を有する適当な材料はな
い。そこでいずれもゾル−ゲル法にて成膜可能な、n=
2.2のTiO2とn=1.46のSiO2とを混合した層を適用
することが考えられる。さらにn=1.95のZrO2や、C
eO2、Bi2O3などを含ませて、高屈折率層を形成し
てもよい。
いて、n1=1.80付近の屈折率を有する適当な材料はな
い。そこでいずれもゾル−ゲル法にて成膜可能な、n=
2.2のTiO2とn=1.46のSiO2とを混合した層を適用
することが考えられる。さらにn=1.95のZrO2や、C
eO2、Bi2O3などを含ませて、高屈折率層を形成し
てもよい。
【0036】本発明に用いられる2層からなる低反射膜
は、斜めからの入射光に対する反射低減機能を持たせる
べく、設計されている。しかも、2層からなる低反射膜
を構成する第1層目を、HUD用コンバイナーとしても
活用できるように屈折率および物理膜厚を特定してい
る。
は、斜めからの入射光に対する反射低減機能を持たせる
べく、設計されている。しかも、2層からなる低反射膜
を構成する第1層目を、HUD用コンバイナーとしても
活用できるように屈折率および物理膜厚を特定してい
る。
【0037】さらに、第2層の屈折率および物理膜厚
も、第1層目の屈折率および物理膜厚を考慮して、低反
射膜としても機能するように設計されている。しかも低
反射膜として、ニュートラルな色調が得られるようにも
考慮されている。
も、第1層目の屈折率および物理膜厚を考慮して、低反
射膜としても機能するように設計されている。しかも低
反射膜として、ニュートラルな色調が得られるようにも
考慮されている。
【0038】また、本発明によるHUD用コンバイナー
付き車両用ガラス板は、低反射膜の60°入射における
膜面可視光線反射率が11%以下となるようにしてい
る。このような反射率であれば、ウインドシールドの用
途における反射低減の効果を得ることができる。
付き車両用ガラス板は、低反射膜の60°入射における
膜面可視光線反射率が11%以下となるようにしてい
る。このような反射率であれば、ウインドシールドの用
途における反射低減の効果を得ることができる。
【0039】さらに、本発明によるHUD用コンバイナ
ー付き車両用ガラス板は、コンバイナー部の膜面可視光
線反射率を少なくとも15%であるようにしている。こ
のような反射率であれば、当該部分をコンバイナーとし
て機能させることができる。
ー付き車両用ガラス板は、コンバイナー部の膜面可視光
線反射率を少なくとも15%であるようにしている。こ
のような反射率であれば、当該部分をコンバイナーとし
て機能させることができる。
【0040】上述のような斜め入射光の反射を低減させ
る低反射膜について、本出願人は、特開2000−25
6042にて、請求項1の発明として、「透明ガラス基
体の少なくとも片側表面に、ガラス面側から数えて第1
層の膜の屈折率(n1)が1.65〜2.20で、かつ膜
厚が110〜150nmである薄膜層であり、次いで該
第1層薄膜上に、第2層として屈折率(n2)が1.3
7〜1.49でかつ膜厚が81〜100nmであるシリ
カを主成分とする薄膜層を被覆積層してなり、可視光を
膜面側から12度および60度の入射角でそれぞれ入射
したときの反射光がそれぞれ22%以下および10%以
下の刺激純度を有する自動車用低反射ガラス物品」なる
技術を開示している。
る低反射膜について、本出願人は、特開2000−25
6042にて、請求項1の発明として、「透明ガラス基
体の少なくとも片側表面に、ガラス面側から数えて第1
層の膜の屈折率(n1)が1.65〜2.20で、かつ膜
厚が110〜150nmである薄膜層であり、次いで該
第1層薄膜上に、第2層として屈折率(n2)が1.3
7〜1.49でかつ膜厚が81〜100nmであるシリ
カを主成分とする薄膜層を被覆積層してなり、可視光を
膜面側から12度および60度の入射角でそれぞれ入射
したときの反射光がそれぞれ22%以下および10%以
下の刺激純度を有する自動車用低反射ガラス物品」なる
技術を開示している。
【0041】さらに、斜めからの入射光に対する反射低
減機能を持たせたガラスとして、特開平8−15250
1号には、「フロントガラスとして用いた際、反射を低
減し干渉色の呈色が少なくかつ高耐久性の薄膜で以て、
ダッシュボードもしくはその周辺部の映り込み現象と人
や環境に対するギラツキ感を低減し、ドライバーの透視
性を高め、誤認や眼の疲労等を防いで安全性を向上し、
人や環境等に優しいガラスを得る」ことを目的として、
以下の技術が開示されている。
減機能を持たせたガラスとして、特開平8−15250
1号には、「フロントガラスとして用いた際、反射を低
減し干渉色の呈色が少なくかつ高耐久性の薄膜で以て、
ダッシュボードもしくはその周辺部の映り込み現象と人
や環境に対するギラツキ感を低減し、ドライバーの透視
性を高め、誤認や眼の疲労等を防いで安全性を向上し、
人や環境等に優しいガラスを得る」ことを目的として、
以下の技術が開示されている。
【0042】すなわち、「透明ガラス基板の少なくとも
片側表面に、ガラス面から第1層目に屈折率1.7 〜1.8
、膜厚90〜110nm 、第2層目に屈折率1.4〜1.5 、膜厚
105〜130nm の薄膜層を被覆積層してなり、該表面の垂
直線に対し入射角50〜70°で入射し反射する反射率がガ
ラス面の反射率に比し、4.5 〜6.5 %低減するようにせ
しめ、しかも前記50〜70°の入射光に対する反射光の刺
激純度を18%以下としたことで成る車輌用反射低減ガラ
ス」である。
片側表面に、ガラス面から第1層目に屈折率1.7 〜1.8
、膜厚90〜110nm 、第2層目に屈折率1.4〜1.5 、膜厚
105〜130nm の薄膜層を被覆積層してなり、該表面の垂
直線に対し入射角50〜70°で入射し反射する反射率がガ
ラス面の反射率に比し、4.5 〜6.5 %低減するようにせ
しめ、しかも前記50〜70°の入射光に対する反射光の刺
激純度を18%以下としたことで成る車輌用反射低減ガラ
ス」である。
【0043】なお本発明に用いるグリーンガラスは、F
e2O3換算で、少なくとも0.5質量%の酸化鉄を、よ
り好ましくは少なくとも0.52質量%の酸化鉄を含む
ソーダライムガラス組成からなるガラスである。また本
明細書でいうクリアガラスは、Fe2O3換算で、0.2
質量%未満の酸化鉄を含むソーダライムガラス組成から
なるガラスである。
e2O3換算で、少なくとも0.5質量%の酸化鉄を、よ
り好ましくは少なくとも0.52質量%の酸化鉄を含む
ソーダライムガラス組成からなるガラスである。また本
明細書でいうクリアガラスは、Fe2O3換算で、0.2
質量%未満の酸化鉄を含むソーダライムガラス組成から
なるガラスである。
【0044】
【発明の実施の形態】(塗布溶液の調整)まず、低反射
膜を形成するための塗布溶液の調整について説明する。
エチルシリケート40 500gを、エチルセロソルブ
410gおよび0.1mol/Lの塩酸 90gにて
加水分解し、さらに撹拌して、溶液Aを調整した。
膜を形成するための塗布溶液の調整について説明する。
エチルシリケート40 500gを、エチルセロソルブ
410gおよび0.1mol/Lの塩酸 90gにて
加水分解し、さらに撹拌して、溶液Aを調整した。
【0045】つぎに、チタニウムテトライソプロポキシ
ド 65.5gとアセチルアセトン64.1gとを混合
し、溶液Bを調整した。
ド 65.5gとアセチルアセトン64.1gとを混合
し、溶液Bを調整した。
【0046】この溶液Aと溶液Bを1:2.4の割合で
混合し、さらにエチルセロソルブ溶媒にて適宜希釈し
て、塗布溶液Cを調整した。
混合し、さらにエチルセロソルブ溶媒にて適宜希釈し
て、塗布溶液Cを調整した。
【0047】さらに溶液Aを、エチルセロソルブ溶媒に
て適宜希釈し調整したものを、塗布溶液Dとした。
て適宜希釈し調整したものを、塗布溶液Dとした。
【0048】TiO2とSiO2の比率を、モル比でTi
O2:SiO2=40:60〜100:0となるように調
整すれば、TiO2とSiO2が混合された層の屈折率n
1を1.75〜2.20とすることができる。
O2:SiO2=40:60〜100:0となるように調
整すれば、TiO2とSiO2が混合された層の屈折率n
1を1.75〜2.20とすることができる。
【0049】なおゾル−ゲル法において、TiO2とS
iO2は、出発原料であるそれぞれのアルコキシドを、
種々の混合比で混ぜ合わせることが可能であり、その結
果得られる混合膜の屈折率を自由に制御することができ
るので、好適である。また、この混合膜は耐久性に優れ
ているので、好ましい。さらにTiO2とSiO2の出発
原料であるアルコキシドは、共に安定であり成膜性もよ
く、均質な膜が得られやすいので、好適である。さらに
必要に応じて、ゾル−ゲル法にて成膜可能なZrO
2(n=1.95)を、TiO2やSiO2と適宜混合さ
せてもよい。
iO2は、出発原料であるそれぞれのアルコキシドを、
種々の混合比で混ぜ合わせることが可能であり、その結
果得られる混合膜の屈折率を自由に制御することができ
るので、好適である。また、この混合膜は耐久性に優れ
ているので、好ましい。さらにTiO2とSiO2の出発
原料であるアルコキシドは、共に安定であり成膜性もよ
く、均質な膜が得られやすいので、好適である。さらに
必要に応じて、ゾル−ゲル法にて成膜可能なZrO
2(n=1.95)を、TiO2やSiO2と適宜混合さ
せてもよい。
【0050】チタンアルコキシドとしては、チタンメト
キシド、チタンエトキシド、チタンn-プロポキシド、チ
タンイソプロポキシド、チタンn-ブトキシド、チタンイ
ソブトキシド、チタンメトキシプロポキシド、チタンス
テアリルオキシド、チタン2-エチルヘキシオキシドなど
を例示することができる。チタンアルコキシド塩化物と
しては、チタンクロリドトリイソプロポキシド、チタン
ジクロリドジエトキシドなどが挙げられる。
キシド、チタンエトキシド、チタンn-プロポキシド、チ
タンイソプロポキシド、チタンn-ブトキシド、チタンイ
ソブトキシド、チタンメトキシプロポキシド、チタンス
テアリルオキシド、チタン2-エチルヘキシオキシドなど
を例示することができる。チタンアルコキシド塩化物と
しては、チタンクロリドトリイソプロポキシド、チタン
ジクロリドジエトキシドなどが挙げられる。
【0051】シリコンアルコキシドとしては、シリコン
メトキシド、シリコンエトキシドあるいはそれらのオリ
ゴマー体などを挙げることができる。
メトキシド、シリコンエトキシドあるいはそれらのオリ
ゴマー体などを挙げることができる。
【0052】スパッタリング法などの真空成膜法を適用
する場合は、ThO2(n=1.8)、SnO2(n=
1.9)、SiO(n=1.7〜2.0)、ZrO
2(n=2.1)、CeO2(n=2.2)、TiO
2(n=2.4)、などの材料を用いるとよい。なお、
上述したゾル−ゲル法によるTiO2では、n=2.2
程度の膜しか得られないが、このスパッタリング法によ
るTiO2では、n=2.4程度の膜が得られる。
する場合は、ThO2(n=1.8)、SnO2(n=
1.9)、SiO(n=1.7〜2.0)、ZrO
2(n=2.1)、CeO2(n=2.2)、TiO
2(n=2.4)、などの材料を用いるとよい。なお、
上述したゾル−ゲル法によるTiO2では、n=2.2
程度の膜しか得られないが、このスパッタリング法によ
るTiO2では、n=2.4程度の膜が得られる。
【0053】なお増反射膜の屈折率が1.7未満である
と、コンバイナーとして必要な反射率が得られない。ま
た屈折率が2.4を越える増反射膜を得ることは、工業
的に困難である。
と、コンバイナーとして必要な反射率が得られない。ま
た屈折率が2.4を越える増反射膜を得ることは、工業
的に困難である。
【0054】(実施例1)まず、上述した塗布溶液C
を、所定の寸法に切断され洗浄されたフロート法による
ソーダライム珪酸塩ガラス板(グリーンガラス板:約
0.53質量%の酸化鉄(Fe2O3換算)を含む)上に、
フレキソ印刷法にて塗布した。塗布に用いた印刷装置の
模式的説明図を、図2に示した。また、このとき用いた
フレキソ版81を図3(a)に模式的に示した。この塗
布されたガラス板を、約300℃にて乾燥した。このよ
うにして、第1層目を形成した。
を、所定の寸法に切断され洗浄されたフロート法による
ソーダライム珪酸塩ガラス板(グリーンガラス板:約
0.53質量%の酸化鉄(Fe2O3換算)を含む)上に、
フレキソ印刷法にて塗布した。塗布に用いた印刷装置の
模式的説明図を、図2に示した。また、このとき用いた
フレキソ版81を図3(a)に模式的に示した。この塗
布されたガラス板を、約300℃にて乾燥した。このよ
うにして、第1層目を形成した。
【0055】つぎに、このガラス板の全面に、塗布溶液
Dを、同様にフレキソ印刷法にて塗布した。このとき、
フレキソ版82のコンバイナーとなる領域84には、塗
布溶液Dが塗布されないように、切り欠きを設けておい
た。フレキソ版82を図3(b)に模式的に示した。塗
布後、約300℃にて乾燥した。このようにして、第2
層目を形成した。この結果、塗布溶液Dはコンバイナー
となる領域を除き、印刷面83を介して、ガラス板の主
表面全面に塗布された。
Dを、同様にフレキソ印刷法にて塗布した。このとき、
フレキソ版82のコンバイナーとなる領域84には、塗
布溶液Dが塗布されないように、切り欠きを設けておい
た。フレキソ版82を図3(b)に模式的に示した。塗
布後、約300℃にて乾燥した。このようにして、第2
層目を形成した。この結果、塗布溶液Dはコンバイナー
となる領域を除き、印刷面83を介して、ガラス板の主
表面全面に塗布された。
【0056】このガラス板を620〜630℃にて焼成
し、さらに自動車用ガラスとして曲げ成形を行った。曲
げ成形は、前記ガラス板と、同様の形状に加工された別
のガラス板(グリーンガラス板)を積み重ねて自重曲げ
型上に載せ、加熱炉内にて自重により行った。
し、さらに自動車用ガラスとして曲げ成形を行った。曲
げ成形は、前記ガラス板と、同様の形状に加工された別
のガラス板(グリーンガラス板)を積み重ねて自重曲げ
型上に載せ、加熱炉内にて自重により行った。
【0057】このようにして、第1層には屈折率n1=
約1.9、物理膜厚d1=約110nm、第2層には屈
折率n2=約1.44、物理膜厚d2=約90nmの2層
構成の低反射膜が形成されたガラス板を得た(図1参
照)。またHUD用コンバイナー部は第2層がコーティ
ングされず、前記第1層のみからなる膜となっている。
このコンバイナー部の断面の模式図を図4に示した。な
お、低反射膜面におけるコンバイナー部の境界部分は、
所定の位置に正確に形成されており、しかも外観も良好
であった。
約1.9、物理膜厚d1=約110nm、第2層には屈
折率n2=約1.44、物理膜厚d2=約90nmの2層
構成の低反射膜が形成されたガラス板を得た(図1参
照)。またHUD用コンバイナー部は第2層がコーティ
ングされず、前記第1層のみからなる膜となっている。
このコンバイナー部の断面の模式図を図4に示した。な
お、低反射膜面におけるコンバイナー部の境界部分は、
所定の位置に正確に形成されており、しかも外観も良好
であった。
【0058】この低反射膜付きガラス板の低反射膜の膜
面側を車内側とし、前記別のガラス板を車外側として、
さらに中間膜であるPVB膜を用いて、通常の合わせ工
程を経て、低反射膜付きの曲げ合わせガラス板である、
HUD用コンバイナー付き車両用ガラス板を得た(図1
参照)。得られた合わせガラスの光学性能を表1に示
す。なお透過率は0°入射の測定値であり、反射率は6
0°入射の測定値である。ただし、コンバイナー部につ
いては膜面のみの反射率である。なお反射色調は、La
b表色系により表した。
面側を車内側とし、前記別のガラス板を車外側として、
さらに中間膜であるPVB膜を用いて、通常の合わせ工
程を経て、低反射膜付きの曲げ合わせガラス板である、
HUD用コンバイナー付き車両用ガラス板を得た(図1
参照)。得られた合わせガラスの光学性能を表1に示
す。なお透過率は0°入射の測定値であり、反射率は6
0°入射の測定値である。ただし、コンバイナー部につ
いては膜面のみの反射率である。なお反射色調は、La
b表色系により表した。
【0059】
【表1】
【0060】表1から明らかなように、コンバイナー部
の反射率が増加しており、第1層は増反射膜となってい
ることがわかる。その結果、この部分はコンバイナーと
して機能させることができる。また低反射膜部分の日射
透過率は53%であった。
の反射率が増加しており、第1層は増反射膜となってい
ることがわかる。その結果、この部分はコンバイナーと
して機能させることができる。また低反射膜部分の日射
透過率は53%であった。
【0061】本発明によれば、HUD用コンバイナー付
き低反射膜を、低反射膜の形成工程のみで得ることがで
きる。これは、2層の低反射膜をフレキソ印刷法で塗布
し、第2層の塗布工程時にコンバイナー部を塗布しない
ようにしたためである。
き低反射膜を、低反射膜の形成工程のみで得ることがで
きる。これは、2層の低反射膜をフレキソ印刷法で塗布
し、第2層の塗布工程時にコンバイナー部を塗布しない
ようにしたためである。
【0062】(実施例2)上述の溶液Aと溶液Bを1:
10.8の割合で混合し、さらにエチルセロソルブ溶媒
にて適宜希釈して、塗布溶液C2を調整した。それ以外
は実施例1と同様にして、第1層には屈折率n1=約
2.1、物理膜厚d1=約110nm、第2層には屈折
率n2=約1.44、物理膜厚d2=約90nmの2層構
成の低反射膜が形成されたガラス板を得た。その結果を
表2に示す。また低反射膜部分の日射透過率は52.5
%であった。
10.8の割合で混合し、さらにエチルセロソルブ溶媒
にて適宜希釈して、塗布溶液C2を調整した。それ以外
は実施例1と同様にして、第1層には屈折率n1=約
2.1、物理膜厚d1=約110nm、第2層には屈折
率n2=約1.44、物理膜厚d2=約90nmの2層構
成の低反射膜が形成されたガラス板を得た。その結果を
表2に示す。また低反射膜部分の日射透過率は52.5
%であった。
【0063】
【表2】
【0064】(比較例1)この比較例1は、上述の溶液
Aと溶液Bを1:4.8の割合で混合し、さらにエチル
セロソルブ溶媒にて適宜希釈して、塗布溶液cを調整し
た。
Aと溶液Bを1:4.8の割合で混合し、さらにエチル
セロソルブ溶媒にて適宜希釈して、塗布溶液cを調整し
た。
【0065】まず塗布溶液cにて第1層を形成し、つぎ
に塗布溶液Dにて第2層を形成した。なお、第1層は屈
折率n1=約2.0、物理膜厚d1=約60nm、第2層
は屈折率n2=約1.44、物理膜厚d2=約90nmと
した場合である。その他は、実施例に示した工程に準じ
て、HUD用コンバイナー付き車両用ガラス板を作製し
た。得られた合わせガラスの光学性能を表3に示す。な
お測定条件は、上述の実施例と同様である。また低反射
膜部分の日射透過率は52.2%であった。
に塗布溶液Dにて第2層を形成した。なお、第1層は屈
折率n1=約2.0、物理膜厚d1=約60nm、第2層
は屈折率n2=約1.44、物理膜厚d2=約90nmと
した場合である。その他は、実施例に示した工程に準じ
て、HUD用コンバイナー付き車両用ガラス板を作製し
た。得られた合わせガラスの光学性能を表3に示す。な
お測定条件は、上述の実施例と同様である。また低反射
膜部分の日射透過率は52.2%であった。
【0066】
【表3】
【0067】(比較例2)この比較例2は、上述の比較
例1において、第1層目の膜厚を140nmとしたもの
である。その結果を表4に示す。また低反射膜部分の日
射透過率は52.3%であった。
例1において、第1層目の膜厚を140nmとしたもの
である。その結果を表4に示す。また低反射膜部分の日
射透過率は52.3%であった。
【0068】
【表4】
【0069】(変形例)コンバイナーの存在を目立たな
くするために、その周辺部にグラデーションドットを形
成した例を図5に示す。
くするために、その周辺部にグラデーションドットを形
成した例を図5に示す。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によるHU
D用コンバイナー付き車両用ガラス板では、2層式の低
反射膜を構成する第1層の屈折率および物理膜厚をそれ
ぞれ、n1=1.75〜2.40、d1=90〜130n
mとした。このため、第2層を形成しない領域は、反射
率が増加しており、コンバイナーとして機能させること
ができる。
D用コンバイナー付き車両用ガラス板では、2層式の低
反射膜を構成する第1層の屈折率および物理膜厚をそれ
ぞれ、n1=1.75〜2.40、d1=90〜130n
mとした。このため、第2層を形成しない領域は、反射
率が増加しており、コンバイナーとして機能させること
ができる。
【0071】また本発明によれば、HUD用コンバイナ
ー付き低反射膜を、第1層と第2層コート用のフレキソ
版を用意さえすれば、通常の低反射膜形成の工程のみで
得ることができる。つまり、工程の増加がないので、H
UD用コンバイナー付き車両用ガラス板を低コストで提
供することができる。
ー付き低反射膜を、第1層と第2層コート用のフレキソ
版を用意さえすれば、通常の低反射膜形成の工程のみで
得ることができる。つまり、工程の増加がないので、H
UD用コンバイナー付き車両用ガラス板を低コストで提
供することができる。
【0072】さらに、本発明によるHUD用コンバイナ
ー付き車両用ガラス板は、斜め入射光の反射を抑えた低
反射膜を有しており、自動車のウインドシールドガラス
に適用された場合、ダッシュボードの写り込みを抑える
ことができる。
ー付き車両用ガラス板は、斜め入射光の反射を抑えた低
反射膜を有しており、自動車のウインドシールドガラス
に適用された場合、ダッシュボードの写り込みを抑える
ことができる。
【0073】またこの車両用ガラス板を、2枚のグリー
ンガラスと中間膜からなる合わせガラスとした場合、グ
リーンガラスによる日射透過率が55%以下という優れ
た日射遮蔽性を有しつつ、70%以上という可視光線透
過率の規格を満足できる。さらにHUD用コンバイナー
を併せて備えた車両用ガラス板である。
ンガラスと中間膜からなる合わせガラスとした場合、グ
リーンガラスによる日射透過率が55%以下という優れ
た日射遮蔽性を有しつつ、70%以上という可視光線透
過率の規格を満足できる。さらにHUD用コンバイナー
を併せて備えた車両用ガラス板である。
【図1】本発明によるHUD用コンバイナー付き車両用
ガラス板の概略図である。
ガラス板の概略図である。
【図2】本発明で用いたフレキソ印刷法を説明する概略
図である。
図である。
【図3】フレキソ版の形状を模式的に説明する図であ
る。
る。
【図4】本発明によるHUD用コンバイナー付き車両用
ガラス板において、コンバイナー部の断面構造を模式的
に説明する図である。
ガラス板において、コンバイナー部の断面構造を模式的
に説明する図である。
【図5】コンバイナーのの周辺部にグラデーションドッ
トを形成した例を説明する図である。
トを形成した例を説明する図である。
1:HUD用コンバイナー付き車両用ガラス板、10:
ガラス板、2:低反射膜、21:高屈折率層(TiO2
+SiO2)、22:低屈折率層(SiO2)、3:コン
バイナー部、5:フレキソ印刷装置、6:ディスペン
サ、71:ドクターロール、72:アニックスロール、
73:プリンターロール、8、81、82:フレキソ
版、83:(フレキソ版の)印刷面、84:コンバイナ
ー形成対応部分、9:搬送テーブル、
ガラス板、2:低反射膜、21:高屈折率層(TiO2
+SiO2)、22:低屈折率層(SiO2)、3:コン
バイナー部、5:フレキソ印刷装置、6:ディスペン
サ、71:ドクターロール、72:アニックスロール、
73:プリンターロール、8、81、82:フレキソ
版、83:(フレキソ版の)印刷面、84:コンバイナ
ー形成対応部分、9:搬送テーブル、
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 4G059 AA01 AB05 AC04 AC05 AC30
EA04 EA05 EB07 GA01 GA05
GA12
Claims (10)
- 【請求項1】 一主表面に2層からなる低反射膜が形成
されている車両用ガラス板であって、 前記低反射膜は、第1層の屈折率n1が1.75〜2.
40で物理膜厚d1が90〜130nm、第2層の屈折
率n2が1.4〜1.47で物理膜厚d2が80〜110
nmであり、 所定領域において前記第2層を形成しないようにして前
記第1層を露出させることにより増反射膜とし、前記領
域をHUD用コンバイナーとしたことを特徴とするHU
D用コンバイナー付き車両用ガラス板。 - 【請求項2】 請求項1に記載のHUD用コンバイナー
付き車両用ガラス板において、 前記低反射膜の60°入射における膜面可視光線反射率
が11%以下で、コンバイナー部の膜面可視光線反射率
が少なくとも15%であるHUD用コンバイナー付き車
両用ガラス板。 - 【請求項3】 請求項1に記載のHUD用コンバイナー
付き車両用ガラス板において、 前記ガラス板は合わせガラスであるHUD用コンバイナ
ー付き車両用ガラス板。 - 【請求項4】 請求項3に記載のHUD用コンバイナー
付き車両用ガラス板において、 前記合わせガラスは、2枚のグリーンガラスを中間膜を
介して接着しているHUD用コンバイナー付き車両用ガ
ラス板。 - 【請求項5】 請求項1に記載のHUD用コンバイナー
付き車両用ガラス板において、 前記低反射膜の第1層はTiO2とSiO2が混合された
あるいはTiO2のみからなる層であり、第2層はSi
O2を主成分とする層であるHUD用コンバイナー付き
車両用ガラス板。 - 【請求項6】 請求項5に記載のHUD用コンバイナー
付き車両用ガラス板において、 前記第1層はゾル−ゲル法に形成されており、TiO2
とSiO2のモル比がTiO2:SiO2=40:60〜
100:0であり、前記第2層はSiO2の層であるH
UD用コンバイナー付き車両用ガラス板。 - 【請求項7】 請求項5に記載のHUD用コンバイナー
付き車両用ガラス板において、 前記第1層はスパッタリング法に形成されており、Ti
O2とSiO2のモル比がTiO2:SiO2=31:69
〜100:0であり、前記第2層はSiO2の層である
HUD用コンバイナー付き車両用ガラス板。 - 【請求項8】 一主表面に2層からなる低反射膜を形成
した車両用ガラス板の製造方法であって、 前記低反射膜は、第1層の屈折率n1が1.75〜2.
20で物理膜厚d1が90〜130nm、第2層の屈折
率n2が1.4〜1.47で物理膜厚d2が80〜110
nmとなるように、ゾル−ゲル溶液を用いてフレキソ印
刷法にて形成し、 前記低反射膜の第1層は前記一主表面の全面に塗布形成
し、 前記第2層は、所定領域に対応する部分を凹部としたフ
レキソ版を用いて塗布形成し、 前記所定領域に第2層を塗布しないようにして増反射膜
とし、前記領域をHUD用コンバイナーとしたことを特
徴とするHUD用コンバイナー付き車両用ガラス板の製
造方法。 - 【請求項9】 請求項8に記載のHUD用コンバイナー
付き車両用ガラス板の製造方法において、 前記低反射膜の第1層をTiO2とSiO2が混合された
あるいはTiO2のみからなる層とし、第2層をSiO2
を主成分とする層としたHUD用コンバイナー付き車両
用ガラス板の製造方法。 - 【請求項10】 請求項9に記載のHUD用コンバイナ
ー付き車両用ガラス板の製造方法において、 前記第1層をモル比でTi:Si=40:60〜10
0:0であるTiO2とSiO2が混合された層とし、前
記第2層はSiO2の層としたHUD用コンバイナー付
き車両用ガラス板の製造方法。
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-
2002
- 2002-08-05 JP JP2002227043A patent/JP2003313052A/ja not_active Withdrawn
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