JP2003311171A - ミルおよびその運用方法 - Google Patents

ミルおよびその運用方法

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JP2003311171A JP2003122294A JP2003122294A JP2003311171A JP 2003311171 A JP2003311171 A JP 2003311171A JP 2003122294 A JP2003122294 A JP 2003122294A JP 2003122294 A JP2003122294 A JP 2003122294A JP 2003311171 A JP2003311171 A JP 2003311171A
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Kazunori Sato
一教 佐藤
Nobuyasu Meguri
信康 廻
Kazunori Shoji
一紀 正路
Hiroaki Kanemoto
浩明 金本
Yoshinori Taoka
善憲 田岡
Tadashi Hasegawa
忠 長谷川
Hiroshi Yuasa
博司 湯浅
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Mitsubishi Power Ltd
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Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミルにおける自励振動発生の徴候をつかみ、
発生を確実に予測できるミルおよびその運用方法を提供
すること。 【解決手段】 振り子運動を行う粉砕ローラ又はリング
ボールを加圧手段で加圧しながら原料を粉砕して、その
粒度に応じて回転式分級機の回転数又はサイクロン式分
級機により一次空気流により分級するミルを運用するに
際して、加圧手段の変位量が所定値に達したら回転式分
級機の回転数又はサイクロン式分級機のベーン開度、加
圧手段の加圧量、一次空気量、一次空気温度または粉砕
原料への注水量の少なくともいずれかを制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は固体状の燃料や原料を微
粉砕するミルに係わり、特に自励振動発生の徴候を判断
するための監視装置をそなえたミル、およびこの監視結
果に基づいて自励振動の発生を回避するミルの運転方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】石炭焚きボイラにおいても、他の燃料と
同様に低公害燃焼(低NOx、高効率燃焼)やフレキシ
ブル運用(給炭量の変化幅拡大)が実施され、それに伴
い微粉炭機(以下、石炭に代表される固体原料粉砕機を
ミルと略称することがある。)も高性能化が要求される
ようになった。石炭、セメント原料あるいは新素材原料
などの塊状物を細かく粉砕するミルのひとつのタイプと
して、回転する粉砕テーブルと複数のローラとを備えた
堅型のローラミルが用いられ、最近では代表機種の一つ
としての地位を固めつつする。
【0003】この種のミルは円筒型のハウジングの下部
にあって減速機を有するモータで駆動され、水平面上で
低速回転する略円板状の粉砕テーブルと、その上面外周
部を円周方向へ等分する位置へ油圧あるいはスプリング
などで圧加されて回転する複数個の粉砕ローラを備えて
いる。粉砕テーブルの中心部へ供給管(シュート)より
供給される被粉砕物は、粉砕テーブルの回転と遠心力と
によってテーブル上をうず巻状の軌跡を描いて外周部へ
移動し、粉砕テーブルの粉砕レース面と粉砕ローラの間
にかみ込まれて粉砕される。ミルハウジングの基底部に
は、ダクト内から送られてきた熱風(一次空気)が導か
れており、この熱風が粉砕テーブルの外周部とミルハウ
ジングの内周部との間のエアスロートから吹き上がって
いる。粉砕されて生成した粉粒体はエアスロートから吹
き上がる熱風によってミルハウジング内を上昇しながら
乾燥される。ミルハウジングの上部へ輸送された粉粒体
は、粗いものから重力により落下し(一次分級)、落下
しないで、そこを貫通したやや細かな粉粒体はミルハウ
ジングの上部に設けたサイクロンセパレータあるいは回
転分級機で再度分級され、所定の粒径以下の微粉は熱風
によって搬送され、ボイラの場合、微粉炭バーナあるい
は微粉貯蔵ビンへと送給される。分級機を貫通すること
のない所定粒径以上の粗粉は粉砕テーブル上に落下し、
ミル内へ供給されたばかりの原料とともに再度粉砕され
る。このようにして、粉砕ローラによって粉砕が繰り返
される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ローラミルを広域負荷
で運用しようとする場合、負荷の切り下げにおいて問題
となるのはミルの振動である。この振動現象は複雑であ
り、詳細なメカニズムまで明らかにされているわけでは
ないが、炭層とローラのすべりに起因する一種の摩擦振
動(不連続・非線形振動の代表として知られるスティッ
ク・スリップ運動)であると考えられる。振動のタイプ
としては、励振源をはっきりと特定できないことから、
また振動波形がスパイク状になることから、自励振動の
一種といえる。通常の石炭では、低負荷運用時(ミル内
における石炭ホールドアップの少ない条件)に、この自
励振動が激しくなるが、石炭種によっては、かなりの高
負荷時にも発生することがある。
【0005】さて、この自励振動の問題として、振動そ
のものにともなう影響の他に、その発生の徴候がなかな
かつかみにくいこと、つまり振動発生ポテンシャルの監
視方法が無いことが上げられる。例えば、減速機に加速
度計や振幅を測定する振動計を設けても、自励振動発生
の徴候をつかむことは難しい。自励振動発生の確率が高
い条件は「ミル内石炭ホールドアップが少なくなる特定
の領域にてミルを運用している場合」であるという特性
は分かっていても、自励振動の発生が確率的な現象であ
り、その条件に合致するからといって自励振動は必ずし
も発生するわけでない。また、自励振動の発生はミル内
粉砕部における石炭ホールドアップのみならず、炭種や
石炭粉層の粒度、あるいは粉層の乾燥状態の影響を受け
るため、振動発生の予測は容易ではない。
【0006】ローラミルにおける自励振動の発生は3個
の粉砕ローラがほぼ同時に、図6あるいは図7に例示し
たように、横ずれするように首を振り、間をおかず、同
期して(同位相で)上下方向に振動する現象であるた
め、振動発生はかなり突発的なものといえる。したがっ
て、他の自励振動によくあるような「発生限界に近づく
ほど、次第に卓越成分が増幅していく」といったような
特徴は見られない。ローラミルにおける自励振動発生ポ
テンシャルの監視は、上述したように、粉砕ローラが横
ずれするように首を振りやすくする条件を見つけるべ
く、ローラミルの様々な器材の動作の中から特に重要な
ものを見つけ出し、それを監視パラメータとして利用す
ることが肝要であると考えられる。
【0007】図18には従来技術の例(特開昭63−2
42356号)として、粉砕ローラのリフト量を油圧シ
リンダの動きをもとに検知する方法を示す。図18のミ
ルの制御システムは、油圧ポンプ1201、油タンク1
202、油圧シリンダ1203、ソレノイド弁120
4、ロールリフト検出器1205、制御器1206、ロ
ール1207、バウル1208、セグメント1209、
ロール荷重レバー1210、油圧ピストン棒1211、
ロール荷重レバー回転軸1212等から構成される。そ
して、ロール1207とバウル1208に載せたセグメ
ント1209をメタルタッチさせず、ロール1207を
浮かせる構造となっている。そのため、ロール1207
の原料の炭相1213に対するかみ込みが不十分な場合
には、ロール1207の上下方向の動作が激しくなり、
結局ミルが振動することになる。このようなロール12
07の動作を検知するのが、この従来技術の骨子であ
る。この従来技術においては、ロール1207を単なる
片持ち梁として支持しているため、ロール1207の下
の炭層1213の厚さの変化が、ロールリフト検出器1
205より検知される。
【0008】一方、本発明の対象となるローラミル(例
えば図1)では、粉砕ローラ1を振り子運動の支軸とな
るローラピボット4を介して、正三角形をした(図2参
照)加圧フレーム5において集中支持される。したがっ
て、本発明におけるテンションロッド8の上下方向動作
は、粉砕ローラ1の下の単なる炭層の厚さのみならず、
粉砕ローラの振り子運動を表していることになる。この
ような粉砕ローラの振り子運動を図19および図20に
示す。自励振動の始まる前のいわゆる前徴時には、これ
らの図に示すように、加圧フレーム1906(もしくは
2006)とスプリングフレーム1907(もしくは2
007)が120°ピッチ(ローラが3個ありテンショ
ンロッドも3本あるので、360°/3=120°にな
る)で周期的に振れまわる現象が生じる。この際に、粉
砕ローラ1901(もしくは2001)が周期的に大き
く振り子運動する(図中の(c)と(d)。このような
運動が生じる際に、結果的に、テンションロッド(19
08(I)と1908(II)、あるいは2008(I)と
2008(II))が大きく上下方向に動く(図中の
(a)と(b))。ちなみに、このような自励振動発生
の徴候としての周期的な振れまわり動作は、比較的ゆっ
たりとしたものであるが、粉砕ローラの振り子動作(図
中の(c))が限界に近づくと、粉砕ローラは突然外側
へ横ずれするように急加速度で動き、自励振動が急成長
する。図18に示した従来技術との基本的相違は、粉砕
ローラの支持構造が根本的に異なることにある。したが
って、見かけ上同じように観測される変位計からの結果
は、粉砕ローラの全く異なった動作を表していることに
なる。
【0009】一方、回転テーブル上で、上方のリングに
よりはさみつけるように加圧しながら複数のボールを転
動させるタイプのいわゆるリングボールミル(機種名と
して「Eミル」と呼ばれることが多い。)においても、
炭層の摩擦に起因する自励振動が発生する。このリング
ボールミルの場合は、上記したローラミルとは自励振動
の発生条件が異なり、ミル内石炭ホールドアップの多い
高負荷粉砕時に発生しやすい。高負荷粉砕時には、ボー
ル同士が接触したまま、スムーズに自転することなく回
転テーブル上を転動(公転)するため、ボールは、回転
とすべりを交互に繰り返す摩擦振動が激しくなる。この
リングボールミルの自励振動でも、原料粉層の摩擦特性
の影響を強く受けることは、ローラーミルの場合と同様
である。すなわち、テーブル上において、ボールの下あ
るいはボールの間にある原料の粉層が細かく、あるいは
粉層が乾いた状態において振動レベルが上昇する。
【0010】上記従来技術は粉砕ローラが片持ち支持で
あるのに対して、本発明のミルは振り子運動を行う粉砕
ローラの支持機構を持つもの、または複数の加圧リング
ボールを転動させる機構からなるものであり、本発明の
対象とするローラミルまたはリングボールミルの自励振
動の原因とその対策は従来全く知られていなかった。そ
こで、本発明の課題はミルにおける自励振動発生の徴候
をつかみ、発生を確実に予測できるミルおよびその運用
方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は次の
解決手段によって達成される。すなわち、振り子運動を
行う粉砕ローラ又はリングボールを用いて原料を粉砕す
るための粉砕手段と、該粉砕手段に荷重をかける加圧手
段と、供給される原料を受け、前記粉砕手段による荷重
を支える原料の受け部と、粉砕された原料をその粒度に
応じて空気流により分級する回転式分級機又はサイクロ
ン式分級機からなる分級手段を備えたミルにおいて、加
圧手段の変位量を検出する検出手段と、該検出手段の変
位量の検出結果に基づき回転式分級機の回転数又はサイ
クロン式分級機のベーン開度、加圧手段の加圧量、一次
空気量、一次空気温度または粉砕原料への注水量の少な
くともいずれかを制御する制御手段を備えたミル、また
は振り子運動を行う粉砕ローラ又はリングボールを粉砕
手段として加圧手段を介して原料に荷重をかけながら粉
砕し、粉砕された原料をその粒度に応じて空気流により
分級するミルにおいて、加圧手段の変位量が所定値に達
したら、回転式分級機の回転数又はサイクロン式分級機
のベーン開度、加圧手段の加圧量、一次空気量、一次空
気温度または粉砕原料への注水量の少なくともいずれか
を制御するミルの運用方法である。
【0012】ここで、(1)上記ミルがローラミルであ
る場合は、 粉砕手段が粉砕ローラであり、加圧手段が粉砕ローラ
を上方から押圧保持する加圧フレームと該加圧フレーム
に上端部を連接し、下方へ引っ張ることにより、原料を
粉砕する荷重を粉砕ローラへ伝達し、加圧媒体の圧力を
付与するシリンダロッドと該シリンダロッドに対し、そ
の下端部で連接するテンションロッドからなり、原料受
け部が回転テーブルに設けられた粉砕レースからなり、
加圧手段の変位量を検出する検出手段は前記テンション
ロッドの上下方向の変位を検出する変位計である構成、 制御手段はテンションロッドの上下方向変位が、粉砕
ローラ直径の少なくとも1.2%以上に達する条件を、
自励振動発生警戒を要する条件として判別し、テンショ
ンロッドの上下方向変位が上記しきい値1.2%以上に
至った時点において、回転式分級機の回転数又はサイク
ロン式分級機のベーン開度、シリンダロッドの加圧力、
一次空気量、一次空気温度あるいは粉砕原料への注水量
のうちの少なくともいずれかを、テンションロッドの上
下方向変位を減少させる運用へと切り換える構成
【0013】(2)上記ミルがリングボールミルである
場合は、次のような構成とする。 粉砕手段はリングボールであり、加圧手段はリングボ
ールを上方から押圧保持する上部リングと該上部リング
の一体的に接続したリングレバーと該リングレバーに連
接してこれを下方へ押圧して、原料を粉砕する荷重をリ
ングボールへ伝達し、加圧媒体の圧力を付与するハイド
ロリックシリンダからなり、原料受け部は回転テーブル
に設けられた下部リングからなり、加圧手段の変位量を
検出する検出手段はリングレバーの上下方向の変位を検
出する変位計である構成、 制御手段はリングレバーの上下方向変位が、リングボ
ール直径の少なくとも1.2%以上に達する条件を、自
励振動発生警戒を要する条件として判別し、リングレバ
ーの上下方向変位が上記しきい値1.2%以上に至った
時点において、回転式分級機の回転数又はサイクロン式
分級機のベーン開度、シリンダロッドの加圧力、一次空
気量、一次空気温度あるいは粉砕原料への注水量のうち
の少なくともいずれかを、リングレバーの上下方向変位
を減少させる運用へと切り換える構成とすることができ
る。
【0014】
【作用】振動発生の監視対象となるテンションロッド
(ローラミルの場合)またはリングレバー(リングボー
ルミルの場合)の上下方向不安定動作は、ローラミルの
場合には粉砕ローラの首振り、またはリングボールミル
の場合は上部リングの傾き、すなわち、粉砕ローラ下の
炭層の崩壊により粉砕ローラの支軸を中心にレース上で
横ずれする動作により起こる。自励振動に至る前の段階
では、粉砕ローラにおける首振りは同期していない。つ
まり粉砕ローラの首振りの位相が異なっている。このよ
うな粉砕ローラの首振りは、粉砕ローラの下部にあって
粉砕ローラと粉砕レースの間にはさまれている圧縮粉層
の崩壊に起因する。つまり自励振動が起きやすくなって
いるということは、圧縮粉層が崩れ易く粉砕ローラが横
滑り気味に転動している状態を示すことなる。
【0015】このように、圧縮粉層が崩れ易くなるの
は、粉砕部の圧縮粉層において、(1)特定の薄さにな
る、(2)乾燥している、(3)粒子が細かい、という
いずれかの条件のうちの少なくとも一つ以上が揃った場
合である。この他、粉砕ローラまたはリングボール下の
条件(厚みや乾燥の状態等)が同一であっても、粉砕ロ
ーラまたはリングボールのかみ込み部(前面すなわち、
回転テーブルの中心軸側)に、細かな粒子が局所的に流
入した場合、これがきっかけとなって、かみ込み時に粉
層が崩れやすくなることもある。
【0016】したがって、テンションロッド(ローラミ
ルの場合)またはリングレバー(リングボールミルの場
合)の上下方向の不安定動作から粉層が崩れやすくなっ
ており、自励振動が発生する可能性有と判断された場合
には、粉砕部における粉砕ローラまたはリングレバー下
の圧縮層に対し、前記(1)、(2)、(3)とは逆と
なる運用、すなわち、(a)粉層を厚くするかあるいは
ずっと薄くする、(b)わずかに湿度を確保する、
(c)粒度を粗くする、のうち少なくとも一つ以上の対
策を実施する。
【0017】この対策は、前述したように、分級機の操
作条件(回転式の場合は回転数、サイクロン式の場合は
ベーン開度)、加圧手段の加圧量、一次空気量、一次空
気温度または粉砕原料への注水量などの操作により行
う。同様のことがリングボールミルでも可能であり、こ
の場合はリングボールミルの上部リングの傾きを監視し
ながら、分級機の前記操作条件、加圧手段の加圧量、一
次空気量、一次空気温度、または粉砕原料への注水量な
どの調整を行う。
【0018】
【実施例】本発明の一実施例を図面と共に説明する。図
1および図2は、本実施例の炭層監視法およびこれに基
づく運用法を採用するローラミルの構造を示したもので
ある。図1は、ローラミルの構造を中心軸を通る断面で
表したものであり、図2の略A−A線断面図である。ま
た、図2は、ローラミルの粉砕部を上方からの視図とし
て示したものであり、図1のB−B線より下方向を見た
図である。本発明の特徴は、炭層の監視法すなわちロー
ラミルにおける粉砕部の機構にあるため、まずそれを概
説し、ローラミル全体の構成と機能については後述す
る。図1に示すように、粉砕ローラ1のローラシャフト
6の端部は、軸受(図では省略)を介して、ローラブラ
ケット2によって支持される。ローラブラケット2にお
いては、粉砕ローラ1の上部すなわち鉛直軸の延長上に
は、ローラピボット4がピボットボックス3を介して加
圧フレーム5の間に装着されている。このローラピボッ
ト4が加圧フレーム5からローラブラケット2への、最
終的には粉砕ローラ1への加圧力伝達点となる。また、
このローラピボット4は粉砕ローラ1の首振り動作(矢
印1α)における回転支軸となる。
【0019】粉砕ローラ1は、回転テーブル12の円周
方向120度間隔に3個搭載されている。図2に示すよ
うに、加圧フレーム5は、正三角形をしており、3個の
粉砕ローラ1を上方からいっしょに一体構造で加圧支持
する役割を果たす。正三角形の加圧フレーム5の各々の
「角」に相当する箇所からは、フレームアーム7が延設
されている。このフレームアーム7を下方へ引っ張るこ
とにより、粉砕荷重がミルの外部から伝達される。フレ
ームアーム7の先端には、テンションロッド8が連接し
ている。テンションロッド8は、油圧シリンダ9におけ
るピストン(図示せず)と同軸でつながっており、荷重
は油圧がこのピストンを押し下げることによって生み出
される。粉砕ローラ1の下部にある圧縮粉層の状態によ
って、同じ油圧力を加えている場合でも、テンションロ
ッド8は上下方向に動く。本実施例では、このような上
下方向へのテンションロッド8の動きを変位計26(差
動トランス式あるいはポテンショスタット式)により測
定する。油圧シリンダ9のケースはアンカーに固定され
ているため、変位計26の本体部分をここに固定する。
一方、変位計26のロッド(差動トランス式)あるいは
ワイヤ(ポテンショスタット式)は、上下方向へ動くテ
ンションロッド8へ固定する。
【0020】ここで、ローラミルにおける全体の構成と
機能について説明する。原料23は、ミル上部の中心軸
にある原料供給管(センターシュート)22から供給さ
れ、ミルの下部で回転する回転テーブル12上に落下す
る。回転テーブル12上の粉砕原料18には遠心力が働
き、回転テーブル12の外周にある粉砕リング13上に
供給されて、この粉砕リング13の上面に刻設され断面
が略円弧型をした粉砕レース上で、粉砕ローラ1により
圧縮粉砕され、圧縮粉層19が形成される。粉砕されて
生成した粉体は、スロートベーン14の間を貫通して、
ミル内へ吹き込まれる熱風(一次空気)15により乾燥
されながら、ミルの上方へと輸送される。粗い粒子は重
力により回転テーブル12上へ落下し(一次分級)、粉
砕部で再粉砕される。この一次分級部を貫通した粒子群
は、回転分級機21により遠心分級される(二次分
級)。比較的粗い粒子は、遠心力でミルハウジング20
の内壁へと飛ばされ、重力により落下し再粉砕される。
細かな粒子は、回転分級機21の羽根の間を貫通し、製
品微粉として製品微粉排出ダクト24から排出される。
石炭の場合は、微粉炭バーナへ直接送られるか(熱風1
5が燃焼用一次空気となる)もしくは貯蔵ビンへと回収
される。
【0021】図3は、加圧力発生部の機構が、図1の例
と異なるローラミルへ、テンションロッド207の上下
動作変位を測定する装置を適用した例である。ハウジン
グ212内の粉砕ローラ201はローラブラケット20
2によって支持され、ローラブラケット202にはロー
ラピボット204がピボットボックス203を介して加
圧フレーム205の間に装着されている。図3の例で
は、加圧フレーム205にフレームアーム206を介し
て接続されるテンションロッド207がストッパブロッ
ク211と一体になっている。このストッパブロック2
11はストッパロッド210に沿って、テンションロッ
ド207と一体化して上下動する。差動トランス式の変
位計209がストッパロッド210に設置されており、
ストッパブロック211の上下方向振幅が測定されるよ
うになっている。変位計209からの信号は、ローラミ
ルの各操作条件を設定する制御回路へと送られる。粉砕
ローラ201が圧縮粉層217の崩壊によって横ずれす
るように首を振ると(矢印β)、ローラピボット204
の位置も変動し、テンションロッド207も不安定に上
下運動する(矢印γ)。
【0022】図4に示す実施例においては、加圧力発生
部および変位計の設置方法は図3に示したそれと同一で
あり、ハウジング320内の粉砕ローラ301、ローラ
ブラケット302、ピボットボックス303、ローラピ
ボット304、加圧フレーム305は図3の各々の対応
する部材と同一の機能を持つものである。しかし、図4
の例では、加圧フレーム305の上部に加圧用スプリン
グ306と加圧用スプリング306を上方から押しつけ
るためのスプリングフレーム307が設けられている。
スプリングフレーム307にフレームアーム308を介
して接続されるテンションロッド309がスプリングフ
レーム307を下方へ押しつけるように引っ張り、粉砕
荷重を粉砕ローラ301に伝達し、粉砕原料316を粉
砕する。この実施例では加圧力発生用に加圧用スプリン
グ306を並用しているが、粉砕ローラ301の横ずれ
状の首振り動作(矢印β)によるテンションロッド30
9の不安定な上下運動(矢印γ)は図3の場合と同様で
ある。
【0023】図5は、変位計で得られた信号をもとに、
振動を回避するためにローラミルの操作条件を変更する
ための系統の概略を示すものである。変位計によりテン
ションロッドの上下方向動作を測定した多くの経験か
ら、上下方向動作の両振り振幅(ストローク)が、石炭
種によっても幾分異なるものの粉砕ローラの直径の少な
くとも1.2%以上に達すると自励振動の発生する確率
が高くなることが分かっている。したがって、この1.
2%を自励振動発生基準のしきい値として、ローラミル
の操作条件を変更することにする。変更対象となる操作
項目は、加圧力、分級機の操作条件(回転式の場合は回
転数、サイクロン式の場合はベーン開度)、一次空気
量、一次空気温度あるいは給炭機などにおける原炭への
注水量である。どの操作項目を変更するかは、ミルがど
のような状態において運用されているかの情報に従って
判断される。前記情報は別途入力されるプロセス入力か
らのミル差圧や粉砕動力をもとに判断する。図5では省
略しているが、粉砕動力やミル差圧(炭層差圧)をプロ
セス入力として判断することになる。
【0024】図6と図7には、圧縮粉層の崩壊による粉
砕ローラの横ずれ状の首振り動作の例を示す。図6は、
粉砕ローラ401の首振り動作(矢印4α)における横
ずれ量lの少ない例を示したものである。この場合、ロ
ーラピボット403の下降量も少ない。したがって、テ
ンションロッド(図示せず)の上下方向動作の両振り振
幅(ストローク)も小さなものである。図7は、逆に粉
砕ローラ501の首振り動作が激しく、横ずれ量lの大
きくなる例を示したものである。このようなときには、
図6の例に比べて、ローラピボット503の下降量も多
く、テンションロッドもかなり大きい振幅で不安定に上
下動する。
【0025】図8と図9は、図6と図7に示したような
粉砕ローラの首振り動作がきっかけとなって起きる粉砕
ローラ601、701の上下方向振動状態を示したもの
である。図8の例は、上下方向振動(矢印6γ)の振幅
が小さい例である。一般に、首振り時の横ずれ量が少な
い場合には、この振動の振幅も小さい。逆に図9の例で
は、粉砕ローラ701が大きな振幅で上下方向に振動す
る(矢印7γ)。図8や図9のように、粉砕ローラ60
1、701が上下方向に自励振動する場合、テンション
ロッド(図示せず)は横揺れを起こし、上下方向にはあ
まり動かない。粉砕ローラ601、701の首振りに伴
うテンションロッドの上下方向動作は、比較的ゆっくり
としたものであり、その周波数は1Hz未満である。こ
れに対し、図8や図9に示したような粉砕ローラ60
1、701の上下方向の自励振動の周波数は、少なくと
も10Hz以上であり、かなり激しいものである。
【0026】図10は、自励振動発生時とその直前にお
けるテンションロッドの変位とギヤボックスにおける振
幅のトレンドを示したものである。時間の進む方向は、
左から右である。ミル内の粉砕部における炭層の状態が
変化し、まず、テンションロッドの上下方向動作が始ま
り、次第にその振幅が増幅していく。この状態におい
て、ミル内の3個の粉砕ローラは、同期はしないもの
の、各々の独立に活発に首振り動作をしている。テンシ
ョンロッドの動作の振幅が、自励振動発生基準としての
しきい値、すなわち、粉砕ローラの直径のほぼ1.2%
に達した後もテンションロッドの上下方向不安定動作の
振幅は増加し続ける。この過程で、突然激しい自励振動
が発生し、ギヤボックスの振幅が急増する。3個の粉砕
ローラの位相が揃い、粉砕ローラは同期して激しく上下
方向に振動する。自励振動が生じている最中は、テンシ
ョンロッドの上下方向動作の振幅は小さい。自励振動発
生の前ぶれとして、テンションロッドが活発に上下動し
ているときでさえも、ギヤボックスにおける振幅はかな
り小さい。ちなみに前述したように、テンションロッド
の動きに着目しなければ、自励振動は突然発生するかの
ような印象を与える性質のものである。自励振動を回避
するために運用条件を変更すると、自励振動は消滅す
る。次第に、テンションロッドの上下方向動作も沈静化
していく。これは、粉砕ローラ下における圧縮粉層が安
定化し、粉砕ローラの首振りが起きにくくなったためで
ある。
【0027】図11は自励振動発生直前におけるテンシ
ョンロッドの上下方向動作の振幅δ Lと、この上下方向
動作に続いて粉砕ローラに自励振動が発生したときのギ
ヤボックスの振幅δOCの関係を示したものである。横軸
のδLは粉砕ローラの直径Dr olで割られて無次元表記さ
れている。δL/Drol〜0.012を境にδOCが増加す
ることが分かる。このことはδL/Drol>0.012と
なったとき、対策せずそのまま放置してδL/Drolが大
きくなればなるほど、より激しい自励振動の発生するこ
とを示している。逆にδL/Drol<0.012であれ
ば、δOCは極めて小さく、実質的に自励振動は発生しな
いことを示している。δL/Drol>0.012付近から
δL/Drolが大きくなると、δOCのばらつきが非常に大
きくなるが、これは炭種による違いである。粉層の崩れ
にくい石炭では、自励振動が発生してもさほど激しくは
なく、δOCはあまり大きくならない。
【0028】表1に代表的なミルの運用パターンにおけ
るテンションロッドの変位と自励振動発生の有無を例と
して示す。
【表1】
【0029】次に、テンションロッドが上下方向に不安
定に変動した際に、ミルの操作条件をどのように変更す
るかについて具体例を述べる。図12は、ミル内石炭ホ
ールドアップHuと振幅δOCの関係でローラミルにおけ
る振動特性を概念図として示したものである。縦軸の振
幅δOCは、ローラとレースがメタルタッチする空回転時
(Hu=0)の振幅を基準として無次元表記されてい
る。振動対策を実施しない場合には、振動特性は図中の
破線のようになる。この例において、ミル内石炭ホール
ドアップHuが(A)点にあり、テンションロッドが上
下方向に不安定に動いていると考えてみよう。そこで、
給炭機への注水(供給石炭量の0.2〜5%(重量
比))あるいはミル入口熱風(一次空気)温度を低下さ
せる(定格入口温度、例えば250℃に対して最大50
℃低下させる)操作(図中矢印(a))を実施する。こ
のようにすれば、ミルの粉砕部にある炭層の湿度がわず
かながらでも確保され、炭層は崩れにくくなる。すなわ
ち激しい自励振動は発生しにくくなる。したがって、た
とえ自励振動が発生しても、図中の破線のカーブの上の
点(A)から実線上の点(A')へとシフトすること
になる。
【0030】図13に示す例は、回転分級機の操作によ
る振動回避運用を示したものである。振動特性として石
炭の粒度をパラメータとし、振幅δOCとミル内石炭ホー
ルドアップHu関係でまとめたものである。振動特性は
ミル内石炭ホールドアップHu炭層の粒径の影響を受け
る。より具体的には、振動特性は粉砕ローラ下における
圧縮粉層の厚みと、粉砕ローラのかみ込み部に局所的に
集まる微粉の粒度の影響を受ける。まず、はじめに、ミ
ル内石炭ホールドアップHuが(A)となる低負荷運用
域でミルが操業している場合を考えてみる。この場合、
分級機の回転数を低減すれば、Huは(A)→(C)へ
と変化し、振動の振幅も減少する。逆に、ここで分級機
の回転数を増加させる操作をしてHu(A)→(D)へ
と増やそうとしても必ずしもうまくいかない。これは、
ミルの分級部からの循環粒子が粉砕ローラのかみ込み部
すなわち前面(回転テーブルの中心軸側)に局所的に集
まりやすくなると、粉砕ローラがこの微粉をかみ込んだ
場合、粉砕ローラ下の圧縮粉層が崩壊することがあるか
らである。
【0031】図中の振動特性カーブでは、D点のδOC
が低くなっており、これが一般的な傾向であるが、D点
の条件においても自励振動の発生する確率は必ずしも低
くないことに問題がある。ミルの分級部から循環して粉
砕部へ戻る粒子は、粉砕ローラへはかみ込まれにくい。
すなわち、分級機の回転数を増加させる場合には、粉砕
ローラ下の圧縮粉層は厚くなりにくいことになる。した
がって、「粉砕に寄与する実質的(粉砕ローラにかみ込
まれる)」Huは図中の(D)よりはずっと(A)に近
い条件、すなわち、自励振動発生確率の最も高くなる条
件(例えば(D')に近い条件になると考えられる。初
期条件としてHuが(B)となる高負荷域でミルが操業
している場合も、上記内容と同様の理由で、分級機回転
数を低減させてHuが(C)となるように操作する方
が、回転数を増加させてHuを(D)へとシフトする操
作よりは、自励振動抑止に有効である。
【0032】図14は、加圧力を低減させる操作による
振動抑止運用例を示したものである。ミルが低負荷で運
用され、ミル内石炭ホールドアップHuが(A)の場
合、まず加圧力を増加させると、Huは(C)へと減少
し、振動の振幅も減少する。一方、加圧力を減少させる
と、粉砕能力が低下することでHuも増加し(D)とな
るが、同時に粉砕ローラ下の圧縮粉層も厚くなる。この
ような厚い粉層は崩壊しにくいため、自励振動が起きに
くくなり、振幅も低下する。次に、高負荷操業下で、H
uが(B)の状態にある場合を考えてみよう。このケー
スでは、加圧力を増加させる操作は、振動抑止対象上好
ましくない。Huの減少と同時に粉砕ローラ下の圧縮粉
層が薄くなり、炭層が崩壊しやすくなって、激しい自励
振動が起こる可能性が高まる(振動特性カーブ上のE
点)。したがって、このような高負荷操業化にある場合
は、加圧力を軽減し、振動特性曲線上のD点へシフトす
るような操作が好ましいと言える。
【0033】図15は、一次空気量の増減操作によっ
て、振動を回避した例を概念図として示したものであ
る。ミル内石炭ホールドアップHuが(I')の場合、一
次空気量を増加させると、Huが減少し粉砕ローラのか
み込み部における炭層の粒度が粗くなることから、自励
振動が起きる場合、無対策に相当するαカーブ上のI点
からβカーブ上のJ点へと振幅が減少する。ここでαカ
ーブは、粉砕ローラにかみ込まれる炭層の粒度の細かい
場合の振動特性を想定した場合である。一方、βカーブ
は、粒度が粗くなった場合の振動特性を表す。2つのタ
イプ(カーブαおよびβ)に分類することは、粉砕部に
おける粉砕ローラかみ込み部の炭層の粒度はHuととも
に変化するし、必ずしも完全混合ではなく局部的に細か
な粒子群が偏在したりする場合があることから正確な分
類法ではない。しかし、炭層の粒度が振動に及ぼす影響
を説明するため、ここでは便宜上2つのタイプ(カーブ
αおよびβ)として分類する。ここで2つのカーブαと
βは炭層の粒度によって、ミル内石炭ホールドアップH
uに基づく振動発生域の大きさや振動のレベル(振幅な
ど)が影響を受ける(粒度が細かければ拡大し、粗けれ
ば縮小する)ことを示している。
【0034】ミルが高負荷で運用され、Huが(K')に
ある場合を想定してみよう。この場合にも、一次空気量
を増加させるとHuが減少し、粉砕部における石炭の粒
度も粗くなることで、αカーブ上のK点からβカーブ上
のL点へとシフトし、自励振動発生時の振幅は減少す
る。同じように、ミルが高負荷運用状態にあり、Hu
(M')の条件にある場合を考えてみる。ここでは、一
次空気量を減少させる操作を試みる。その場合はHu
増加し、粉砕部にある石炭の粒度が細かくなるために、
βカーブ上のM点からαカーブ上のN点へと移行する。
すると、自励振動発生時の振幅δOCはやや増加してしま
う。したがって、この程度の石炭ホールドアップの状態
にミルがあるとき、一次空気量の減少操作はふさわしく
ないといえる。さらに、Huの多い状態にある(O')の
条件において一次空気量を減少させると、βカーブ上の
O点からαカーブ上のP点へと平行移動することとな
り、振幅はあまり変化しない。したがって、効果は乏し
いといえる。
【0035】本発明になるミルの炭層監視法とその結果
をもとにするミル運用方法は、ここまで実施例を述べて
きたローラミルに限らず、粉砕媒体としてローラミルで
はなくボールを用いるリングボールミル(大型機ではE
タイプミルと呼ばれることが多い)へもほぼそのまま適
用することができる。このミルでも、激振条件に近づく
と、ボールに対して上方から粉砕荷重を伝える上部リン
グを押圧する油圧あるいは窒素シリンダの動作がきわめ
て不安定になりうる。このリングボールミルでは、ミル
内の石炭ホールドアップが増加すると振動が激しくなる
ことから、石炭ホールドアップを低減させる操作が要求
される。一方、ミル内への注水や一次空気温度の低減
も、ローラミルの場合と同様に、ボールがすべりにくい
状態となるため、粉砕部にある石炭粉層を改質すること
で有効である。図16と図17には、それぞれリングボ
ールミルに本発明を具体化して適用した粉層監視装置と
振動軽減方法を示す。
【0036】図16にはリングボールミルにおける全体
の構成と機能の概略について説明する。原料1314
は、ミル上部の中心軸にある原料供給管(センターシュ
ート)1315から供給され、ミルの下部で回転する回
転テーブル1303上に落下する。回転テーブル130
3上の粉砕原料1311には遠心力が働き、回転テーブ
ル1303の外周にある上部リング1302と下部リン
グ1304の間に供給されて、リングボール1301に
より圧縮粉砕される。粉砕されて生成した粉体は、リン
グノズル1305からミル内へ吹き込まれる熱風(一次
空気)1306により乾燥されながら、ミルの上方へと
輸送される。粗い粒子は重力により回転テーブル130
3上へ落下し、粉砕部で再粉砕される。この一次分級部
を貫通した粒子群は、サイクロン分級機1312により
遠心分級される(二次分級)。比較的粗い粒子は、遠心
力でミルハウジング1307の内壁へと飛ばされ、重力
により落下し再粉砕される。細かな粒子は図中で(α)
として示すようにサイクロン分級機1312内を上方へ
貫通し、製品微粉として製品微粉排出ダクト1313か
ら排出される。
【0037】図16における粉層監視装置は上部リング
1302のリングレバー1302aの上下変動(矢印
γ)をリングレバー1302aに接続されるハイドロリ
ックシリンダ1308内の加圧媒体(油あるいは窒素)
1309で検出する装置である。加圧媒体1309の前
記上下変動量は変位計1310で測定し、増幅器131
6、信号処理器1317を介してミル制御回路1318
に送られる。ミル制御回路1318では図5に示す操作
出力操作ユニットと同様に、加圧力、分級機のベーン開
度、一次空気量、一次空気温度、原炭への注水量等の操
作を行う。図17は前記操作ユニットの操作で振動抑制
対策として分級機のベーン開度を変化させて振動を抑制
した場合の振幅と給炭量の関係を示したグラフである。
振幅と給炭量はそれぞれ無次元化した値である。図17
に示す通り、リングボールミルを本発明が有効に適用で
きることが分かる。
【0038】上記実施例の効果をまとめると以下のよう
になる。 (1)テンションロッドの上下方向不安定動作を監視す
ることで、自励振動発生の徴候を適確に把えることがで
きる。このようにして得られる「前徴」を判断し、振動
回避運用の操作に切り換えることにより、ミルの自励振
動の発生を未然にしかも確実に抑制することができる。 (2)ミルの自励振動を防止することが可能になるた
め、ミル自体を含む各種周辺機器類の耐久性が向上す
る。その結果ミルが使用される、例えば火力プラント全
体の信頼性が高まる。 (3)低負荷運用が可能となり、ミルの最低負荷をさら
に切り下げることができる。これによってミルが使用さ
れる、例えばボイラの運用範囲が拡大する。低負荷運用
においても石炭専焼が可能になることから、助燃用燃料
油の消費量を低減できる。したがって、火力プラント全
体をより経済的に運用することができる。 (4)急速負荷上昇および負荷降下の操作が、振動にわ
ずらわされることなく可能になる。これによって、結果
的にミルが使用される、例えばボイラ全体の応答性が格
段に向上する。 (5)無対策の場合、振動発生の状況は、使用する石炭
種によって大いに異なるが、本実施例によれば、いかな
る石炭でも振動問題を起こすことなくミルを安定に運用
することが可能になる。このようにして、ミルが使用さ
れる、例えば石炭火力プラントへ適用可能な石炭の種類
が大幅に拡大する。 (6)本実施例の計測システムは、シンプルで耐久性に
すぐれるため、長期間にわたりメインテナンスフリーで
使用可能である。
【0039】
【発明の効果】本発明によればミルの自励振動発生の徴
候を適確に把えることができるため、自励振動の発生を
未然にしかも確実に抑制することができる。そのため、
ミル自体を含む各種周辺機器類の耐久性が向上すること
のみならず、低負荷運用が可能となり、また、急速負荷
上昇および負荷降下の操作が、振動にわずらわされるこ
となく可能になる。これらの効果に基づき、ミルが使用
されるプラント全体の信頼性、応答性が格段に向上す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例のローラ動作すなわち粉層
の監視装置を設置したローラミルの全体構成図(略断面
図)。
【図2】 本発明の一実施例のローラ動作すなわち粉層
の監視装置を設置したローラミルの全体構成図(視
図)。
【図3】 本発明の一実施例(ローラミルへの適用例)
の監視装置の測定部を示す概略図。
【図4】 本発明の一実施例の監視装置の測定部を示す
概略図。
【図5】 本発明の一実施例のローラミルの振動抑止法
の制御系統を示すブロック図。
【図6】 本発明の一実施例のローラの動き(横ずれ)
を模式的に示す図。
【図7】 本発明の一実施例のローラの動き(横ずれ)
を模式的に示す図。
【図8】 本発明の一実施例のローラの動き(上下方向
振動)を模式的に示す図。
【図9】 本発明の一実施例のローラの動き(上下方向
振動)を模式的に示す図。
【図10】 本発明の一実施例のローラの動きの測定結
果の例を示す図。
【図11】 本発明の一実施例のローラ動作の測定結果
とローラミルの振動発生の関係を示す図。
【図12】 本発明の一実施例のローラミルの振動抑止
操作(注水、ミル入口温度)の説明図。
【図13】 本発明の一実施例のローラミルの振動抑止
操作(分級機回転数)の説明図。
【図14】 本発明の一実施例のローラミルの振動抑止
操作(加圧力)の説明図。
【図15】 本発明の一実施例のローラミルの振動抑止
操作(一次空気量)の説明図。
【図16】 本発明の他の実施例(リングボール(Eタ
イプミル)への適用例)の概略図。
【図17】 本発明の他の実施例であるリングボールミ
ルの給炭量と振動レベルの関係を示す図。
【図18】 従来技術になるローラ動作の監視装置を示
す概略図。
【図19】 粉砕ローラの振り子運動を示す図。
【図20】 粉砕ローラの振り子運動を示す図。
【符号の説明】
1、201、301、401、501、601、701
…粉砕ローラ、5、205、305…加圧フレーム、
8、207、309…テンションロッド、12、21
3、317、407、507、607、707、130
3…回転テーブル、18、216、316、411、5
11、611、711、1311…粉砕原料、21…回
転式分級機、1301…リングボール、1302a…リ
ングレバー、1304…下部リング、1312…サイク
ロン式分級機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 正路 一紀 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 金本 浩明 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉事業所内 (72)発明者 田岡 善憲 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉事業所内 (72)発明者 長谷川 忠 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉事業所内 (72)発明者 湯浅 博司 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉事業所内 Fターム(参考) 4D063 EE03 EE06 EE12 EE17 EE25 GA07 GA08 GC12 GC19 GC29 GC32 GD01 GD11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振り子運動を行う粉砕ローラ又はリング
    ボールを用いて原料を粉砕するための粉砕手段と、該粉
    砕手段に荷重をかける加圧手段と、供給される原料を受
    け、前記粉砕手段による荷重を支える原料の受け部と、
    粉砕された原料をその粒度に応じて空気流により分級す
    る回転式分級機又はサイクロン式分級機からなる分級手
    段を備えたミルにおいて、 加圧手段の変位量を検出する検出手段と、該検出手段の
    変位量の検出結果に基づき回転式分級機の回転数又はサ
    イクロン式分級機のベーン開度、加圧手段の加圧量、一
    次空気量、一次空気温度または粉砕原料への注水量の少
    なくともいずれかを制御する制御手段とを備えたことを
    特徴とするミル。
  2. 【請求項2】 粉砕手段が振り子運動を行う粉砕ローラ
    であり、加圧手段が粉砕ローラを上方から押圧保持する
    加圧フレームと該加圧フレームに上端部を連接し、下方
    へ引っ張ることにより、原料を粉砕する荷重を粉砕ロー
    ラへ伝達し、加圧媒体の圧力を付与するシリンダロッド
    と該シリンダロッドに対し、その下端部で連接するテン
    ションロッドからなり、原料受け部が回転テーブルに設
    けられた粉砕レースからなり、加圧手段の変位量を検出
    する検出手段は前記テンションロッドの上下方向の変位
    量を検出する変位計であることを特徴とする請求項1記
    載のミル。
  3. 【請求項3】 制御手段はテンションロッドの上下方向
    変位が、粉砕ローラ直径の少なくとも1.2%以上に達
    する条件を、自励振動発生警戒を要する条件として判別
    し、テンションロッドの上下方向変位が上記しきい値
    1.2%以上に至った時点において、回転式分級機の回
    転数又はサイクロン式分級機のベーン開度、シリンダロ
    ッドの加圧力、一次空気量、一次空気温度あるいは粉砕
    原料への注水量のうちの少なくともいずれかを、テンシ
    ョンロッドの上下方向変位を減少させる運用へと切り換
    えることを特徴とする請求項2記載のミル。
  4. 【請求項4】 粉砕手段はリングボールであり、加圧手
    段はリングボールを上方から押圧保持する上部リングと
    該上部リングの一体的に接続したリングレバーと該リン
    グレバーに連接してこれを下方へ押圧して、原料を粉砕
    する荷重をリングボールへ伝達し、加圧媒体の圧力を付
    与するハイドロリックシリンダからなり、原料受け部は
    回転テーブルに設けられた下部リングからなり、加圧手
    段の変位量を検出する検出手段はリングレバーの上下方
    向の変位量を検出する変位計であることを特徴とする請
    求項1記載のミル。
  5. 【請求項5】 制御手段はリングレバーの上下方向変位
    が、リングボール直径の少なくとも1.2%以上に達す
    る条件を、自励振動発生警戒を要する条件として判別
    し、リングレバーの上下方向変位が上記しきい値1.2
    %以上に至った時点において、回転式分級機の回転数又
    はサイクロン式分級機のベーン開度、シリンダロッドの
    加圧力、一次空気量、一次空気温度あるいは粉砕原料へ
    の注水量のうちの少なくともいずれかを、リングレバー
    の上下方向変位を減少させる運用へと切り換えることを
    特徴とする請求項4記載のミル。
  6. 【請求項6】 振り子運動を行う粉砕ローラ又はリング
    ボールを粉砕手段として加圧手段を介して原料に荷重を
    かけながら粉砕し、粉砕された原料をその粒度に応じて
    空気流により分級するミルにおいて、 加圧手段の変位量が所定値に達したら、回転式分級機の
    回転数又はサイクロン式分級機のベーン開度分級操作条
    件、加圧手段の加圧量、一次空気量、一次空気温度また
    は粉砕原料への注水量の少なくともいずれかを制御する
    ミルの運用方法。
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