JP3174106B2 - ローラミルにおける振動を予測する方法および同予測に基づくローラミルによる粉粒体製造方法 - Google Patents

ローラミルにおける振動を予測する方法および同予測に基づくローラミルによる粉粒体製造方法

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JP3174106B2 JP26654191A JP26654191A JP3174106B2 JP 3174106 B2 JP3174106 B2 JP 3174106B2 JP 26654191 A JP26654191 A JP 26654191A JP 26654191 A JP26654191 A JP 26654191A JP 3174106 B2 JP3174106 B2 JP 3174106B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ローラミルにおける振
動を予測する方法および同予測に基づくローラミルによ
る粉粒体製造方法に係り、特に小型のテストミルにより
粉砕原料の特性を測定して実用ローラミルにおける振動
状況を予測し、これに基づき振動を抑制するように運転
条件を調整して行なうローラミルにおける振動を予測す
る方法および同予測に基づくローラミルによる粉粒体製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】石炭、セメント原料、新素材原料などの
塊状物を細かく粉砕するミルのひとつのタイプとして、
回転するテーブルと複数個のローラで粉砕を行なわせる
竪型のローラミルが広く用いられるようになり、最近で
は代表機種のひとつとしての地位を固めつつある。本発
明は、このローラミルで振動を起こす原料を識別する技
術に関するものであるが、ここではまず、ローラミルの
全体について構成を概説する。図13は、ローラミルの
中心軸を通る縦断面図として構造を示したものである。
【0003】この種のローラミルは、円筒型のハウジン
グ1311の下部にあって図示していないモータで駆動
され減速機を介して低速で回転する円形の回転テーブル
1309と、その回転テーブル1309の外周部の上面
において円周方向へ等分する位置へ加圧用スプリング1
307(または油圧)で圧加されて回転する複数個の粉
砕ローラ1303を備えている。回転テーブル1309
の中心部へ原料供給管(センターシュート)1302か
ら供給された粉砕原料1301は、回転テーブル上にお
いて遠心力によりうず巻状の軌跡を描いて回転テーブル
の外周へ移動し、回転テーブル上面に設けた粉砕レース
1318と粉砕ローラの間にかみ込まれて粉砕される。
ハウジングの下部には、図示していないダクトを通じて
熱風1312が導かれており、この熱風1312が、回
転テーブルとハウジングの間にあるエアスロートから吹
き上がっている。粉砕されて生じた粉粒体は、エアスロ
ートから吹き上がる熱風1312によってハウジング内
を上昇しながら乾燥される。ハウジングの上方へ輸送さ
れた粉粒体は、粗いものから重力により落下し(1次分
級)、粉砕部で再粉砕される。この1次分級部を貫通し
たやや細かな粉粒体は、ハウジングの上部に設けた回転
分級機1315(または固定式のサイクロン分級機)で
再度分級される。所定の粒径より小さな微粉は気流によ
り製品微粉排出ダクト1316から搬送され、ボイラで
は微粉炭バーナまたは微粉貯蔵ビンへと送られる。回転
分級機1315を貫通しなかった所定粒径以上の粗粉
は、回転テーブルへ重力により落下し、ローラミル内へ
供給されたばかりの粉砕原料とともに再粉砕される。こ
のようにしてローラミル内では粉砕が繰り返され、製品
微粉ができ上がっていく。
【0004】ボイラの広域負荷運用に応じるべくローラ
ミルを低負荷域で運用しようとする場合、問題となるの
がローラミルの振動である。この振動現象は複雑であ
り、詳細なメカニズムまで明らかにされているわけでは
ないが、炭層に影響されて粉砕ローラ1303がすべる
ことによる一種の摩擦振動(不連続・非線形振動の代表
として知られるスティック・スリップ運動)であると考
えられる。振動のタイプとしては、励振源をはっきりと
特定できない(回転数に同期しない)こと、また振動波
形がスパイク状になる(正弦波ではない)ことから、自
励振動の一種といえる。この振動の発生は、石炭の性質
に依存する。振動の発生しやすい石炭は、図12に示す
ように、低負荷運用時(ミル内における石炭ホールドア
ップの少ない条件)に振動が激しくなるが、石炭種によ
っては高負荷時にも頻繁に振動が発生することがある。
【0005】本発明の目的の一つは、振動を起こしやす
い原料をいかにして予測するかを示し、そしてその識別
技術を提供することにある。この目的を達成するために
は、振動発生時における粉砕ローラの挙動を明らかにし
ておく必要がある。図14と図15は、粉砕ローラの動
きを、粉砕ローラの断面図として示したものである。ロ
ーラブラケット(図13の1304)を介して、ローラ
ピボット1402を支軸として粉砕ローラ1401が首
振り可能なように支持される。この首振り機能は大変に
重要であり、粉砕ローラ1401が鉄片等粉砕されにく
い異物をかみ込んだ場合、粉砕ローラ1401は首を振
ることによって衝撃を回避することができる。また、粉
砕ローラ1401や粉砕レース1408が摩耗したとき
には、適切な押圧位置(粉砕ローラ1401と粉砕レー
ス1408との位置関係)を自動調心的に見つけだす作
用も、この首振り機能にはある。
【0006】粉砕ローラ1401が激しく自励振動する
場合には、図14に示すように、粉砕ローラ1401は
外側へ横ずれし(図14のβ)、ついで上下に振動
(γ)する。以上から、ローラミルが振動するかどうか
は、粉砕ローラ1401が横ずれ状に首を振るかどう
か、つまり粉砕ローラ1401の下において粉層が崩壊
するかどうかによって決まると考えられる。このよう
に、トリガとして粉層が一部崩壊したときに、その原料
の粉層がそれに対してどのように応答するか、つまり粉
砕ローラ1401がスティック・スリップ運動を続ける
ような「自励系」をつくるかどうかも重要な特性といえ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ある原料(例えば石
炭)が、実用機のローラミルにおいて振動を起こすか否
かを調べるために、一般的には試験用の小型のローラミ
ルの利用が思い浮かぶ。しかし小型のミルは、大型機と
比べて粉砕ローラの回転慣性が著しく小さく、また機械
部品同士の摩擦やガタが構造上支配的になって減衰がは
やく、自励振動を起こしかけても結局は消滅してしま
う。つまり、粉層上で粉砕ローラにすべりが生じても、
すぐに安定回転へと回復してしまうわけである。したが
って、ローラミルが小型になるほど振幅が増幅しにくく
なるために、振動を再現させることが難しい。一方、原
料(石炭)の物性を調べていく方法もあるが、現時点で
は、どのような性状が振動発生に関与するか不明な点が
多く、物性測定のみに頼る予測は信頼性が乏しいといえ
る。
【0008】本発明の目的は、粉砕したい原料がローラ
ミルにおいて、振動を起こすか否かを、簡単に識別する
技術を、すなわちバッチ式ローラミルを用いて強制的に
付与するトリガに対する応答を調べる方法を提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、上記方法により粉砕原
料を実用ローラミルで粉砕する際に、所定水準以上の振
動を起こすと認定された場合は、ローラミルの運転条件
を調整して振動を抑制して粉粒体を製造する方法を提供
するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本願の第1の発明は、テストミルの容器内に形成された
粉砕レース上に、ローラホルダにて回転可能に支持され
た複数個のローラを配置し、粉砕レース上に被粉砕物試
料を供給し、ローラホルダを介してローラを試料上に加
圧しつつ回転トルクを与えて試料を粉砕しながら、ロー
ラホルダの一部にトリガ加圧力を加え、ローラホルダの
回転トルクの変動を測定し、この測定値と、予め求めた
トルク変動の最大値とローラミルの振幅との相関関係に
基いて実用ローラミルにおける振動を予測する方法に関
する。
【0010】第2の発明は、回転テーブル上面の環状溝
内に配置された複数個の粉砕ローラを、ローラブラケッ
トにより回転可能に支持し、加圧フレームによりローラ
ブラケットを介して粉砕ローラを回転テーブル溝内に押
付け、原料を回転テーブルに供給して粉砕するローラミ
ルによる粉粒体製造方法において、あらかじめテストミ
ルの容器内に形成された粉砕レース上にローラホルダに
て回転可能に支持された複数個のローラを配置し、粉砕
レース上に被粉砕物試料を供給し、ローラホルダを介し
てローラを試料上に加圧しつつ回転トルクを与えて上記
試料を粉砕しながら、ローラホルダの一部にトリガ加圧
力を加え、ローラホルダの回転トルクの変動を測定し、
この測定値と、予め求めたトルク変動の最大値とローラ
ミルの振幅との相関関係に基いて前記ローラミルにおけ
る振動を予測し、所定以上の振動発生が予測された場合
は、ローラミルに供給する原料の摩擦抵抗特性を調節す
るか、ミル内の被粉砕物の湿度を調節することを特徴と
する振動予測に基づくローラミルによる粉粒体製造方法
に関する。
【0011】第3の発明は、回転テーブル上面の環状溝
内に配置された複数個の粉砕ローラを、ローラブラケッ
トにより回転可能に支持し、加圧フレームによりローラ
ブラケットを介して粉砕ローラを回転テーブル溝内に押
付け、原料を回転テーブルに供給して粉砕するととも
に、粉砕された粉粒体をミルに供給された空気により分
級機に搬送して分級したのち搬出するローラミルによる
粉粒体製造方法において、あらかじめテストミルの容器
内に形成された粉砕レース上にローラホルダにて回転可
能に支持された複数個のローラを配置し、粉砕レース上
に被粉砕物試料を供給し、ローラホルダを介してローラ
を試料上に加圧しつつ回転トルクを与えて上記試料を粉
砕しながら、ローラホルダの一部にトリガ加圧力を加
え、ローラホルダの回転トルクの変動を測定し、この測
定値と、予め求めたトルク変動の最大値とローラミルの
振幅との相関関係に基いて前記ローラミルにおける振動
を予測し、所定以上の振動発生が予測された場合は、ミ
ルへの供給空気量、分級機による分級の程度、加圧フレ
ームの加圧力、回転テーブルの回転数のいずれか一つ以
上を調節することを特徴とする振動予測に基づくローラ
ミルによる粉粒体製造方法に関する。
【0012】
【作用】上記した方法で、粉層にせん断力を与えて、粉
砕トルクの変動に注目して応答を調べる。ある石炭は、
与えられたせん断トリガにより粉層の内部構造が崩壊
し、粉砕ローラが粉層上でスティック・スリップ運動
(摩擦振動)を起こしやすくなる。ローラのすべりがき
っかけとなり、粉砕トルクの変動が増幅すれば、スティ
ック・スリップ運動を連続して繰り返し、その激しさが
増すことがある。したがってこの石炭は、実用機ローラ
ミルにおいても振動を起こしやすいと考えられる。実用
機ローラミルでは、人為的にせん断トリガが加わること
はないが、粉層上における粉砕ローラの横すべり動作
が、実質的なせん断トリガとなる。
【0013】一方、別の石炭では、パルス状にせん断ト
リガを与えても、粉砕トルクにほとんど変化がなかった
り、粉砕トルクの変動が一度増幅しかけてもすぐに減衰
してしまう。このような石炭では、実用機ローラミルに
おいて振動が起きにくいか、起きても振動が微弱ですぐ
に減衰すると考えられる。実用機のローラミルでは、粉
砕ローラの横すべりが起きにくい。
【0014】このような炭層の応答特性に基づいて、ロ
ーラミルの振動発生を予測し、対策しようというのが本
発明の主旨である。
【0015】
【実施例】図1は、ローラミルにおける各種原料(例え
ば石炭)の粉層の流動摩擦特性を調べるために具体化し
たバッチ式のテスト用ローラミルの構造図である。図2
には、このミルの粉砕部を上方からの視図として示す。
基本的な構成は、ハードグローブミル(図11)と類似
しており、バッチ式で粉砕試料(原料)4を粉砕しなが
ら圧縮粉層5の流動性つまり摩擦特性を調べる。このミ
ルは、粉砕媒体として、ハードグローブミルのようにボ
ールではなく、タイヤ型の粉砕用ローラ1を用いる点に
特徴がある。ミル容器2内へ仕込まれた粉砕試料(原
料)4は、ローラホルダ6に回転(自転)可能なごとく
設けられた3個のローラ1により、ミル容器2の底部に
成形された粉砕レース3内において圧縮粉砕される。ロ
ーラホルダ6には、これを回転駆動するシャフト10を
介して、上方から粉砕荷重15が付与される。また、シ
ャフト10にはトルクセンサを設ける。上記粉砕圧縮荷
重15は、ローラホルダ6を経て各ローラ1へ伝わり、
粉砕試料(原料)4を圧縮粉砕する。図2に示すよう
に、ローラ1は、ローラホルダ6に対し、ミル容器2の
円周方向120°間隔に設置されている。ローラホルダ
6の上方部は、上方に広がる平坦状の逆円錐形状をして
おり、この部分の上面にはすべり発生用部材先端すべり
面8が円周形に刻設されている。このすべり発生用部材
先端すべり面8の断面形状は略円孤形である。ローラホ
ルダ6におけるこのすべり面8には、円形棒状で先端が
略球形に丸めてあるすべり発生用部材7を上方から押し
つけるようになっている。すべり発生用部材7は、操作
しない場合は、スプリング9により上方へ持ち上がって
おり、ローラホルダ6のすべり面8とは接触しないよう
になっている。このすべり発生用部材7は、ミル容器2
の上ブタ16に設けられている。上ブタ16の中央に
は、スリーブ軸受11があり、ここでシャフト10が支
えられて回転する。
【0016】このバッチ式ローラミルにおける粉砕中
に、つまりシャフト10に駆動されてローラホルダ6に
設置されたローラ1が自転しながら粉砕レース3上を循
環運動をして粉砕試料(原料)4を粉砕しているとき
に、すべり発生用部材7でローラホルダ6の上面のすべ
り面8を押しつけると(これは手動で行なってもよ
い)、ローラホルダ6が瞬間的に傾く。このような傾き
を許すように、シャフト10とスリーブ軸受11の間に
は適切な隙間を設けてある。つまり、図6(a)に示す
ように、すべり発生用部材603に最も近い位置にきた
ローラ601は、上方から強制的に押圧され傾いて60
1′のようになる(図では誇張して描いてあるが最大で
も1°程度)。ローラ601′下の圧縮粉層607に
は、過渡的に強い力が加わり、圧縮粉層607を構成す
る粒子は瞬時に粉砕されるか、またはローラ601′の
下からはじきだされる。したがって、図6(a)に示す
ように粉砕ローラ601が601′のようになった場合
には、圧縮粉層607は他の部分の粉層よりも薄くな
る。このようにして、円周形の粉砕レース606上の粉
層には厚みのむらが生じる。すべり発生用部材603か
ら最も遠い箇所では、図6(b)に示すように、ローラ
が601″のように圧縮粉層607から浮き上がるよう
に傾く。この場合、圧縮粉層607に上方から加わる力
は弱く圧縮粉層は厚くなる。
【0017】ここで説明を再び図1へ戻す。すべり発生
用部材7は、そのように名付けたごとく、すべり面8を
押圧しながらすべる。これと同時に、ローラ1は、圧縮
粉層5上を回転しながらすべることになる。本発明の骨
子は、このようにして、上方から圧力を受けた状態で、
ローラ1のすべりによるせん断力を受ける圧縮粉層の応
答性を調べることにある。
【0018】押圧されて傾いたローラは、粉層上におい
てすべりだす。図5(a)に示すように、ローラ501
はすべると、粉層504をかみ込まないために、ローラ
501の前側に粉層504が堆積する。このように粉層
504が堆積し過ぎると、図5(b)に示したごとくロ
ーラ501は、粉層504上に乗り上げる(5c)よう
にして回転を開始する(5b)。対象とする原料の粉層
が内部崩壊しやすく摩擦抵抗が弱い場合、ローラは図5
(a)と図5(b)のような動作を繰り返しやすくな
る。つまり粉層が容易に内部崩壊する原料では、ローラ
のかみ込み転動(5b)と、ローラが厚い粉層をかみ込
んだことによるリフト(5c)によってシャフト10
(図1)の粉砕トルクは激しく変動しやすくなる。ま
た、かみ込み転動5bとリフト5cの繰り返しによっ
て、粉砕レース503上の粉層504が「波を打ち」始
め、これが自励系を形成し、これによって粉砕トルクの
変動は、振動現象に置き換えれば「自励振動」のように
発振を開始する。これに対し、粉層の摩擦抵抗の強い原
料の場合には、図5(a)の5aのようなすべりは生じ
にくく、すべり発生部材によるトリガを与えても、粉層
の内部摩擦の強い抵抗によって粉層のかく乱はすみやか
に減衰しローラはすぐに粉層上で安定に自転を始める。
したがって、自励振動のような粉砕トルクの発振現象は
生じにくいか、生じたとしてもすぐに消滅してしまう。
【0019】図3は、粉層の内部摩擦抵抗の弱い原料に
おける粉砕トルクの応答性を示した一例である。粉砕中
に、すべり発生用部材7によりトリガを与えると、粉砕
トルクTの変動は急に増大(これを発振と呼ぶ)する。
トリガを取り去っても、粉砕トルクTの発振がある一定
時間継続することもある。この場合粉砕トルクTの変動
の最大値δTM はかなり大きくなる。これは、ローラの
すべりによって生じた粉層の乱れが自励系を作りやすく
なっているためと考えられる。これに対し、図4は、粉
層の内部摩擦抵抗の強い原料の例である。トリガの付与
に対して、粉砕トルクTの変動は減衰しやすい。図3の
例に比べると、粉砕トルクTの変動の最大値δTM もか
なり小さいことがわかる。
【0020】以上のような、原料の内部摩擦特性に着目
する簡単な方法により、対象とする原料における粉層の
厚み等の状態変化とローラの動きの応答性を知ることが
できる。粉砕性指数HGI(ハードグローブ粉砕性指
数)の異なる数多くの石炭を対象に、HGIに対する上
記したバッチ式ローラミルにおける粉砕トルク変動の最
大値δTM の関係をまとめた結果を図7に示す。ただし
縦軸のδTM は、粉砕性基準(HGI≒50)の基準石
炭におけるδTM * で割られて無次元化されている。こ
の基準石炭は、すべり発生のトリガによっても、粉砕ト
ルクTの変動は増幅しにくい性質をもつ。バッチ式ロー
ラミルにおける粉砕トルクの変動特性がδT M /δTM
* >2となれば、粉砕トルクの変動は増幅し、いわば粉
砕トルクTが発振しやすい石炭と判断されるが、HGI
に対するδTM の値はかなりばらつく。したがって、粉
層のすべり摩擦による粉砕トルク変動の増幅のしやすさ
は、石炭の粉砕性とはあまり関係がないといえる。
【0021】外部からのすべり発生トリガによりローラ
がすべり、粉砕トルクの変動が急増するという現象は、
粉層の内部摩擦と強い相関があるであろうという想定に
もとづくものである。ここでは、図8に示すような粉層
の内部摩擦測定用せん断試験装置(例えば、綱川、三
枝;「粉粒体の流れの性質の測定」粉体工学会誌、vo
l.15、No. 6(1978)、P.342〜)におい
て得られる内部摩擦特性と、粉砕トルクの変動の大きさ
の関係を調べた。せん断試験装置より得られる粉層の内
部摩擦特性は単軸崩壊応力fにより評価する。このfの
値は、垂直応力とせん断応力を同時に受けた粉層が内部
崩壊する限界を表わす指標である。単軸崩壊応力fは、
大きいほどその粉層は内部崩壊しにくい。すなわち、摩
擦抵抗が強いと判断される。図9は、数多くの石炭に対
して、単軸崩壊応力fとバッチ式ローラミルにおけるト
ルク変動の最大値δTM の変化をまとめたものである。
縦軸のδTM は、図7と同様にして、基準炭のδTM *
によって割られて無次元化されている。横軸の単軸崩壊
応力fも基準炭の値f* で無次元表記されている。ばら
つきはあるものの、f/f* が大きな方が、バッチ式ロ
ーラミルにおける粉砕トルクの変動特性δTM /δTM
* が減少することがわかる。すなわち内部崩壊しにくい
石炭の方が、粉砕トルクの変動が小さく粉砕トルクの発
振現象も起こしにくいということになる。
【0022】つぎに、δTM /δTM * とパイロットス
ケールのローラミル(構造は図13の例と同様)におけ
る振幅δOCの相関をまとめた。この結果を図10に示
す。各石炭使用時におけるミルの振幅δOCも、基準炭粉
砕時の値δOC * によって割られて無次元化されている。
バッチ式ローラミルにおける粉砕トルクの変動の最大値
δTM /δTM * が大きいほど、パイロットミルの振幅
δOC/δOC * が大きくなる傾向のあることがわかる。一
方、図9と図10を比べると、粉層の単軸崩壊応力f/
* の大きな石炭ほどミルの振幅δOC/δOC * が小さく
なることも理解される。
【0023】以上の結果から、バッチ式ローラミルにお
いてすべり発生トリガに応答する粉砕トルクの変動特性
を評価することによって、ローラミルの振動特性を予測
可能なことが実証されたといえる。以上のような手段に
より、ローラミルにおいて振動が起きやすかったり、激
しい自励振動が高い確率で起こる原料を識別できるわけ
であるが、この結果にもとづいて、実際のミルで振動を
回避することが可能になる。図10が、いわば評価基準
となる実験結果であるが、石炭の場合には、δTM /δ
M * >1.0の石炭でもδTM /δTM * <1.0の
石炭と混炭することによりローラミルの振動を抑制する
ことが可能である。これは、混炭により粉層の内部摩擦
抵抗を強めるといった考え方にもとづいている。また、
ミルで粉砕したい石炭を調べた結果、δTM /δTM *
≫1.0という結果が得られた場合には、振動を起こし
やすい石炭と予測されるため、図12に示す振動発生域
を回避するように、ミルの運用条件を設定しなければな
らない。例えば、ミル内の石炭ホールドアップWを減ら
すことによって振動発生域を回避するためには、 (i)サイクロン分級機のベーン開度大 (または回転分級機(図13の1315)の回転速度
減) (ii) 空気流量増 (iii)加圧力増強 (iv) 回転テーブル(図13の1309)の回転速度増
のいずれか、または組み合わせる操作とする。
【0024】逆に、ミル内の石炭ホールドアップWを増
やして振動発生域を回避しようとする場合には、上と逆
の操作すなわち (i)サイクロン分級機のベーン開度小 (または回転分級機の回転速度増加) (ii) 空気流量減 (iii)加圧力低減 (加圧力の低減は、粉砕能力を犠牲にしないよう配慮す
る必要があるため、定格の1/2まで下げれば振動低減
に十分な効果がある。) (iv) 回転テーブルの回転速度減少(回転テーブルの速
度は10%程度変更するだけでもかなり効果的である。
これはホールドアップの変化のみならず、振動している
場合には「自励系」を切断する効果があるからである)
のいずれかまたはこれらを組み合わせる操作をすればよ
い。
【0025】一方、給炭機からミル内へ給水(石炭へ散
水、給炭量の0.5〜3.0%が効果的であり、多量に
散水すると逆効果になるし粉砕能力も衰える。)した
り、ミル内への熱風の温度を下げて石炭の湿分を確保す
る手法も、前述した混炭法と同様に、粉層の内部摩擦抵
抗を強めるというメカニズムから、ミルの振動抑制に効
果的である。
【0026】ローラミルが振動を起こす固体原料は、本
文中で述べた石炭に限らない。同じ固体燃料でも、各種
あるオイルコークスには、振動を起こしやすいものがあ
る。この他、ローラミルで微粉砕される工業原料(石灰
石、セメントクリンカ、鉱石、各種スラグ、セラミック
スの原料他)の中にも、特定の石炭と同様に激しい振動
を起こすものがあるため、本発明になる方法および装置
は、石炭以外の固体原料に対してもほぼ直接適用するこ
とができる。
【0027】
【発明の効果】本発明による効果をまとめると以下のよ
うになる。 (1)ローラミルにおいて振動を起こしやすい石炭を識
別できる。また発生した振動のレベル(振幅や加速度)
を相対比較としてではあるが、予測できるようになる。 (2)あらかじめ振動の発生を予知できれば、加圧力、
分級機やテーブルの回転速度を調整したり、混炭等によ
る操作条件のコントロールにより、できるだけ振動を抑
制した状態でミルを運用できるようになる。 (3)また、各石炭種に対し、適切な(振動発生に関す
る問題のない)負荷範囲を設定できる。したがって、ミ
ルを合理的に運用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明になる粉粒層流動摩擦抵抗評価
用テストミルの構造図である。
【図2】図2は、図1のテストミルのAA方向視図であ
る。
【図3】、
【図4】図3と図4は、図1のテストミルで得られる粉
砕トルク特性図である。
【図5】、
【図6】図5(a)、(b)、図6(a)、(b)は、
それぞれ本テストミルにおける動作の模式図である。
【図7】図7は、試験結果を示す図である。
【図8】図8は、従来のせん断試験装置の粉層セル部の
構造図である。
【図9】、
【図10】図9および図10は、試験結果を示す図であ
る。
【図11】図11は、従来のハードグローブ粉砕性試験
装置を示す図である。
【図12】図12は、実用ローラミルにおける振動特性
図である。
【図13】図13は、実用ローラミルの構造図である。
【図14】、
【図15】図14と図15は、振動時における粉砕ロー
ラの動きの模式図である。
【符号の説明】
1…ローラ、2…テストミル容器、3…粉砕レース、4
…粉砕試料、6…ローラホルダ、7…すべり発生用(ト
リガ)部材、8…すべり発生用部材先端すべり面、10
…シャフト、11…スリーブ軸受、14…ローラ回転
軸、15…粉砕荷重、1303…粉砕ローラ(実用ミル
用)、1304…ローラブラケット、1305…ローラ
ピボット、1306…加圧フレーム、1309…回転テ
ーブル、1311…ハウジング、1312…熱風、13
14…原料、1315…回転分級機。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金本 浩明 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日 立株式会社 呉工場内 (72)発明者 田岡 善憲 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日 立株式会社 呉工場内 (72)発明者 長谷川 忠 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日 立株式会社 呉工場内 (56)参考文献 特開 平1−307460(JP,A) 特開 昭62−286558(JP,A) 特開 平2−157053(JP,A) 特開 昭63−171651(JP,A) 特開 昭63−65956(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B02C 15/04,25/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テストミルの容器内に形成された粉砕レ
    ース上に、ローラホルダにて回転可能に支持された複数
    個のローラを配置し、粉砕レース上に被粉砕物試料を供
    給し、ローラホルダを介してローラを試料上に加圧しつ
    つ回転トルクを与えて試料を粉砕しながら、ローラホル
    ダの一部にトリガ加圧力を加え、ローラホルダの回転ト
    ルクの変動を測定し、この測定値と、予め求めたトルク
    変動の最大値とローラミルの振幅との相関関係に基いて
    実用ローラミルにおける振動を予測する方法。
  2. 【請求項2】 回転テーブル上面の環状溝内に配置され
    た複数個の粉砕ローラを、ローラブラケットにより回転
    可能に支持し、加圧フレームによりローラブラケットを
    介して粉砕ローラを回転テーブル溝内に押付け、原料を
    回転テーブルに供給して粉砕するローラミルによる粉粒
    体製造方法において、あらかじめテストミルの容器内に
    形成された粉砕レース上にローラホルダにて回転可能に
    支持された複数個のローラを配置し、粉砕レース上に被
    粉砕物試料を供給し、ローラホルダを介してローラを試
    料上に加圧しつつ回転トルクを与えて上記試料を粉砕し
    ながら、ローラホルダの一部にトリガ加圧力を加え、ロ
    ーラホルダの回転トルクの変動を測定し、この測定値
    と、予め求めたトルク変動の最大値とローラミルの振幅
    との相関関係に基いて前記ローラミルにおける振動を予
    測し、所定以上の振動発生が予測された場合は、ローラ
    ミルに供給する原料の摩擦抵抗特性を調節するか、ミル
    内の被粉砕物の湿度を調節することを特徴とする振動予
    測に基づくローラミルによる粉粒体製造方法。
  3. 【請求項3】 回転テーブル上面の環状溝内に配置され
    た複数個の粉砕ローラを、ローラブラケットにより回転
    可能に支持し、加圧フレームによりローラブラケットを
    介して粉砕ローラを回転テーブル溝内に押付け、原料を
    回転テーブルに供給して粉砕するとともに、粉砕された
    粉粒体をミルに供給された空気により分級機に搬送して
    分級したのち搬出するローラミルによる粉粒体製造方法
    において、あらかじめテストミルの容器内に形成された
    粉砕レース上にローラホルダにて回転可能に支持された
    複数個のローラを配置し、粉砕レース上に被粉砕物試料
    を供給し、ローラホルダを介してローラを試料上に加圧
    しつつ回転トルクを与えて上記試料を粉砕しながら、ロ
    ーラホルダの一部にトリガ加圧力を加え、ローラホルダ
    の回転トルクの変動を測定し、この測定値と、予め求め
    たトルク変動の最大値とローラミルの振幅との相関関係
    に基いて前記ローラミルにおける振動を予測し、所定以
    上の振動発生が予測された場合は、ミルへの供給空気
    量、分級機による分級の程度、加圧フレームの加圧力、
    回転テーブルの回転数のいずれか一つ以上を調節するこ
    とを特徴とする振動予測に基づくローラミルによる粉粒
    体製造方法。
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