JP2003305549A - 金属薄帯鋳造装置 - Google Patents

金属薄帯鋳造装置

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JP2003305549A JP2002106490A JP2002106490A JP2003305549A JP 2003305549 A JP2003305549 A JP 2003305549A JP 2002106490 A JP2002106490 A JP 2002106490A JP 2002106490 A JP2002106490 A JP 2002106490A JP 2003305549 A JP2003305549 A JP 2003305549A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 下端にスリット付きノズルを備えたルツボ型
溶湯容器の外周側に誘導加熱コイルを巻装し、これらを
ハウジング内に収容したタンディッシュにおいてスリッ
トを除くタンディッシュの底面部が気密にシールされた
金属薄帯鋳造装置を提供すること。 【解決手段】 BN製のノズル61の外周部と断熱用外
套62を支持するグラファイトの内周側環状支持体73
と、同支持体73の外周部を支持する銅製で水冷の中間
環状支持体74と、同支持体74の外周部を支持するS
US製で水冷の外周側環状支持体76とによってタンデ
ィッシュ15の底面部72を構成すると共に、各環状支
持体の接触面には可撓性グラファイト78を介装し、外
周側環状支持体76の外周部は側壁71の下端部と一体
的に接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属薄帯鋳造装置に
関するものであり、更に詳しくは、隔壁で画成された上
方の溶解室のタンディッシュのノズルから下方の回転す
る冷却ロールへ差圧によって溶湯をキャストして金属薄
帯を鋳造する装置において、鋳造時にタンディッシュの
底面部が膨張変形することなく差圧が維持される金属薄
帯鋳造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属の溶湯を急冷して薄帯状、または粉
末状やフレーク状の鋳造物を製造することは既に行われ
ているところであり、これに関しては多くの技術が提案
され一部で実用化されている。例えば図4は特公昭59
−42586号公報に例示されている連続ストリップ製
造装置100の斜視図であり、誘導加熱コイル109を
備え、溶融金属を保持する溜め108と冷却ロール10
7とからなる。溜め108はスロット付きノズル110
と繋がっており、このノズル110は冷却ロール107
の表面に極めて近接して取り付けられている。また図示
されていないが溜め108には圧力をかけて溶融金属を
ノズル110から排出させる手段が設けられている。す
なわち、この連続ストリップ製造装置100において
は、溜め108に圧力をかけることにより内部の溶融金
属がノズル110から例えば0.15mmの間隔を開け
て回転する冷却ロール107の表面へ排出され、直ちに
冷却固化されて厚さ0.05mmの連続ストリップ11
1が形成されるようになっている。この溜め108は内
部を加圧するものであり、溜め108の内部に真空シー
ルを要する箇所はなく、事実、真空シールに付いての記
述はない。
【0003】その他、特開平5−47538号公報、特
開平5−123835号公報、特開平8−229641
号公報にも、溶融金属を冷却ロールによって急冷して金
属薄帯または金属鋳片を得る製造方法が開示されてい
る。特開平5−47538号公報は、図5に示すような
金属薄帯鋳造装置200が示されている。すなわち、真
空チャンバー201内に冷却ロール202、冷却ロール
202に近接して石英ノズル203が配置されており、
石英ノズル203の回りには高周波誘導コイル204が
巻装されている。また石英ノズル203の上端部はノズ
ル位置制御部205に接合されており、その途中にはガ
ス加圧部206が設けられている。ガスは調圧タンク2
10から調整弁207を経て供給される。この方法にお
いてもノズル203内での真空シールは不要であると思
われ、当然のことながら、それに関する記述はない。ま
た、特開平5−123835号公報には、ノズルの本体
(タンディッシュ)からノズルを経て冷却ロールの表面
へ注湯する場合に、発熱体を埋め込んだノズルを使用す
ることが開示されている。この場合、ノズルおよび本体
内に真空シールを要する箇所はなく、真空シールについ
ての言及はない。更にまた、特開平8−229641号
公報にも、溶解炉からタンディッシュへ出湯された溶融
金属をタンディッシュのノズルから冷却ロールへ注湯し
金属鋳片を製造する方法が開示されているが、同様にタ
ンディッシュの真空シールについての記述はない。
【0004】他方、本願出願人の出願による特願200
0−234957号には、溶解室への加圧力とタンディ
ッシュ内の溶湯のヘッドとの和を一定にして溶解室の圧
力とし、この溶解室の圧力とロール室の圧力との差圧に
よってノズルのスリットからから溶湯を冷却ロールの外
周冷却面へキャストする方法を開示している。また、冷
却ロールの軸心方向に長いスリットは例えば長辺の寸法
が50mmであるに対し短辺の寸法は0. 5mmと狭
く、ともすれば溶湯の温度が低下し粘度が上昇すること
によってノズル詰まりを生起し易い。これに対して本願
出願人の出願による特願2000−264140号に
は、ノズル詰まりを全く発生させないものとして、タン
ディッシュ(またはルツボ)本体および下端側のノズル
の外周に誘導加熱コイルを巻装した鋳造装置、更には熱
伝導性の大きい窒化ホウ素からなるノズルを備えた鋳造
装置を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特願2000−2
34957号による溶解室とロール室との差圧によって
溶湯をノズルから注湯する方法は均一な厚さの金属薄帯
を製造するには欠くべからざる方法であり、特願200
0−264140号によるダンディッシュとそのノズル
に誘導加熱コイルを巻装することはノズル詰まりを防ぐ
には回避し難い手法である。そして両者を単純に組合せ
た場合には図6の断面図に示すような構成の金属薄帯鋳
造装置300となる。
【0006】すなわち、金属薄帯鋳造装置300は隔壁
304によって、タンディッシュ315が設けられてい
る溶解室310と、冷却ロール321が設けられている
ロール室320とに画成されている。そして、タンディ
ッシュ315は隔壁304に形成された挿通開口306
からロール室320側へ吊り下げるように挿入されてお
り、上端のフランジ315fと隔壁304との間に溶解
室310とロール室320との間の差圧をシールするシ
ールリング319が介装されている。そして、タンディ
ッシュ315内には温度1000〜1600℃の溶湯M
が収容され、タンディッシュ315とノズル316の外
周には、内部を冷却水が流れる中空の誘導加熱コイル3
18が巻装されており、溶湯Mを加熱し保温する。そし
て溶解室310の圧力をロール室320の圧力よりも高
くし、その差圧によって溶湯Mをタンディッシュ315
のノズル316に形成されたスリット317から回転す
る冷却ロール321の外周冷却面へキャストされる。
【0007】ロール室320には、ノズル316の直下
に位置して例えば水冷で直径400mmの冷却ロール3
21が設置されており、ノズル316の下端と冷却ロー
ル321の外周冷却面との間隔は例えば0.5mmとさ
れ、冷ロール321は回転速度1500〜2000rp
mとし矢印で示す方向へ回転され、注湯された溶湯を急
冷して金属薄帯を形成させる。
【0008】然るに、図6に示した金属薄帯鋳造装置3
00においては、次に示すような問題点を有している。 1) 冷却が行われるロール室320内に高温度のタンデ
ィッシュ315を吊り下げることは好ましいことではな
く、タンディッシュ315からの輻射熱が冷却ロールお
よびその近傍を加熱し冷却能を阻害する。 2)誘導加熱コイル318内に水を流しても、タンディ
ッシュ315からの輻射熱によって水温が上昇し気泡を
発生するなどして誘導加熱コイル318の温度上昇を十
分に防ぎ得ない。 3)吊り下げられたタンディッシュ315は振動され易
く、それによってノズル316のスリット317と冷却
ロール321の外周冷却面との間隙が変動することを避
け難い。
【0009】本発明は上述の問題に鑑みてなされ、金属
薄帯鋳造装置の本体内が隔壁によって、タンディッシュ
の設置された溶解室と冷却ロールの設置されたロール室
とに画成されており、溶解室の圧力をロール室より高く
し、その差圧によって溶湯をタンディッシュのノズルか
ら冷却ロールの外周冷却面へキャストする装置におい
て、タンディッシュは、少なくとも、スリット付きノズ
ルを有するルツボ型溶湯容器と、その外周に巻装された
誘導加熱コイルと、コイル支持部材と、それらを収容す
る有底の筒状ハウジングとからなるものとして、タンデ
ィッシュの下端部を隔壁の挿通穴からロール室側へ挿通
し、ノズルの直下に冷却ロールを位置させる構成におい
て、鋳造時にタンディッシュの底面部が膨張変形するこ
となくスリットを除いて気密にシールされ、同時にタン
ディッシュの外周面と隔壁との間が気密にシールされて
おり、金属薄帯の鋳造時に溶解室とロール室との差圧が
シール漏れせず、かつノズル下端と冷却ロールの間隔が
常に一定に維持される金属薄帯鋳造装置を提供すること
を課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題は請求項1の
構成によって解決されるが、その解決手段を説明すれ
ば、次の如くである。
【0011】請求項1の金属薄帯鋳造装置は、真空また
は不活性ガスの雰囲気下に、高速回転する冷却ロールの
外周冷却面へ、タンディッシュの下端部に設けられ、冷
却ロールの軸心方向に長いスリットを備えたノズルから
金属の溶湯を供給し急冷して金属薄帯を形成させる金属
薄帯鋳造装置において、金属薄帯鋳造装置内で隔壁を介
してタンディッシュが上方の溶解室に設置され、冷却ロ
ールが下方のロール室に設置されており、隔壁の挿通穴
を挿通されるタンディッシュの下端部のノズルが冷却ロ
ールの外周冷却面の直上に配置されており、溶解室の圧
力をロール室の圧力よりも高くし、その差圧によって溶
湯がノズルから冷却ロールの外周冷却面へキャストされ
るように構成されている場合に、タンディッシュが、下
端にスリットを備えたノズルを有するルツボ型溶湯容器
と、ルツボ型溶湯容器の外周に若干の間隔をあけて設け
られた断熱用外套と、断熱用外套の外側に巻装された誘
導加熱コイルと、誘導加熱コイルの支持部材と、これら
の要素を収容する有底筒形状のハウジングとからなり、
少なくともノズルの外周部を支持するハウジングの底面
部が鋳造時に膨張変形することなくスリット部分を除い
て気密にシールされると共に、ハウジングの外周面と隔
壁とが気密にシールされている装置である。
【0012】このような金属薄帯鋳造装置は、隔壁の挿
通穴を挿通されるタンディッシュのハウジングの底面
部、およびタンディッシュの外周面と隔壁との間がシー
ルされているので、溶解室とロール室との間の差圧が一
定に維持され、タンディッシュ内の溶湯には常に一定の
圧力がかかることから、ノズルのスリットから冷却ロー
ルの外周冷却面へ溶湯が定量的にキャストされ、冷却さ
れて形成される金属薄帯の厚さを一定化させる。
【0013】請求項1に従属する請求項2の金属薄帯鋳
造装置は、ハウジングの底面部が、同心の複数(n個)
の環状支持体から構成されており、少なくともノズルの
外周部を支持する第1環状支持体と、第1環状支持体の
外周部を支持し冷却するための内部水路を備えた第2環
状支持体と、同様な繰り返しの環状支持体に続いて、第
(n−1)環状支持体の外周部を支持し冷却するための
内部水路を備えた第n環状支持体と、各環状支持体間に
介装された耐熱性のシート状シール材とからなり、第n
環状支持体の外周部はハウジングの側壁の下端部に一体
的に接続されている装置である。
【0014】このような金属薄帯鋳造装置は、高温度の
ノズルを支持する第1環状支持体、第1環状支持体を支
持する第2環状支持体、同様な繰り返しの環状支持体に
続いて、第(n−1)環状支持体を支持する第n環状支
持体は、第1環状支持体以外の環状支持体は水冷されて
熱膨張が抑制されているほか、各環状支持体間は固定さ
れておらず、シート状シール材を介して面接触している
だけであるので、仮に多少の熱膨張があるとしても面接
触箇所でズレを生じるのみであり、底面部が膨張し変形
してシール漏れを生ずるようなトラブルを発生させな
い。
【0015】請求項2に従属する請求項3の金属薄帯鋳
造装置は、ハウジングの底面部が、ノズルの外周部およ
び断熱用外套の下端を支持する内周側環状支持体と、内
周側環状支持体の外周部を支持し冷却するための内部水
路を備えた中間環状支持体と、中間環状支持体の外周部
および要すればコイル支持部材の下端を支持し冷却する
ための内部水路を備えた外周側環状支持体とからなり、
内周側環状支持体、中間環状支持体、外周側環状支持体
は何れも内周部が低く外周部が高い段差付き形状とされ
ており、ノズルを支持する内周側環状支持体の外周部の
下面に中間環状支持体の内周部の上面が接して支持し、
中間環状支持体の外周部の下面に外周側環状支持体の内
周部の上面が接し支持して、各環状支持体間の面接触箇
所にはシート状シール材が介装されており、かつ外周側
環状支持体の外周部はハウジングの側壁の下端部と一体
的に接続されている装置である。
【0016】このような金属薄帯鋳造装置は、高温度の
ノズルを支持する内周側環状支持体を支持する中間環状
支持体および外周側環状支持体が水冷されて熱膨張を抑
制されているほか、中間環状支持体は内周側環状支持体
および外周側環状支持体とは固定されず面接触している
だけであるので、内周側環状支持体や中間環状支持体が
多少熱膨張しても面接触箇所に生じるズレによって、底
面部の直径が大になるようなことはなく、底面部の変形
によるトラブルを発生させない。
【0017】請求項3に従属する請求項4の金属薄帯鋳
造装置は、ノズルが窒化ホウ素からなり、ノズルを支持
する内周側環状支持体がグラファイトからなり、中間環
状支持体が銅または銅合金からなり、外周側環状支持
体、コイル支持部材、およびハウジングの側壁がステン
レス鋼からなり、シート状シール材が可撓性グラファイ
トからなる装置である。
【0018】このような金属薄帯鋳造装置は、内周側環
状支持体に耐熱性が大でモース硬さの小さいグラファイ
トを使用することによりノズルと内周側環状支持体との
間のシール性が保たれ、中間環状支持体として熱伝導性
に優れた銅または銅合金によるものを水冷して使用する
ことにより内周側環状支持体から中間環状支持体に至る
熱が除去され、外周側環状支持体としてハウジングの側
壁と同一のステンレス鋼からなるものを水冷して使用す
ることにより、外周側環状支持体は温度上昇が抑制され
て底面部は殆ど熱膨張が抑制されると共に、外周側環状
支持体の外周部はハウジングの側壁と一体化が可能であ
る。そして内周側環状支持体と中間環状支持体との面接
触箇所、および中間環状支持体と外周側環状支持体との
面接触箇所には可撓性グラファイトかシート状シール材
として使用されているので、ハウジングの底面部すなわ
ちタンディシュの底面部はスリットを除いて気密にシー
ルされ溶解室とロール室との差圧が維持される。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の金属薄帯鋳造装置は、上
述したように、真空または不活性ガスの雰囲気下に、高
速回転する冷却ロールの外周冷却面へ、タンディッシュ
の下端部に設けられ、冷却ロールの軸心方向に長いスリ
ットを備えたノズルから金属の溶湯を供給し急冷して金
属薄帯を形成させる金属薄帯鋳造装置において、金属薄
帯鋳造装置内で隔壁を介してタンディッシュが上方の溶
解室に設置され、冷却ロールが下方のロール室に設置さ
れており、隔壁の挿通穴を挿通されるタンディッシュの
下端部のノズルが冷却ロールの外周冷却面の直上に配置
されており、溶解室の圧力をロール室の圧力よりも高く
し、その差圧によって溶湯がノズルから冷却ロールの外
周冷却面へキャストされるように構成されている場合
に、タンディッシュが、下端にスリット付きノズルを備
えたルツボ型溶湯容器と、ルツボ型溶湯容器の外周に若
干の間隔をあけて設けられた断熱用外套と、断熱用外套
の外側に巻装された誘導加熱コイルと、誘導加熱コイル
の支持部材と、これらの要素を収容する有底筒形状のハ
ウジングとからなり、少なくともノズルの外周部を支持
するハウジングの底面部が鋳造時に膨張変形することな
くスリット部分を除いて気密にシールされると共に、ハ
ウジングの外周面と隔壁とが気密にシールされている装
置である。
【0020】本発明におけるタンディッシュとは、上述
したように、下端にスリット付きのノズルを備えたルツ
ボ型溶湯容器と、ルツボ型溶湯容器を囲うように設けら
れた断熱用外套と、断熱用外套の外側に巻装された誘導
加熱コイルと、誘導加熱コイルの支持部材と、これらを
収容する有底筒形状のハウジングとから構成されている
ものである。ルツボ型溶湯容器のスリット付きノズルは
窒化ホウ素(BN)からなるものが使用される。また、
ルツボ型溶湯容器はアルミナ(Al23 )からなるも
のが使用されるが、アルミナ以外のセラミックス、例え
ば窒化ホウ素からなるものとしてもよい。そして、ルツ
ボ型溶湯容器内の溶湯が温度低下して粘度が上昇すると
ノズル詰まりを生起して冷却ロールの外周冷却面への円
滑なキャスティングが期待できなくなるので、後述する
ように、ルツボ型溶湯容器とその下端のノズルの外周に
は誘導加熱コイルを巻装して加熱し溶湯の温度を一定に
保持することを要する。この誘導加熱コイルは内部に水
路を備えた水冷の誘導加熱コイルとされる。そして、少
なくともスリット付きノズルはハウジングの底面部で支
持することを要する。
【0021】更には、温度が1000〜1600℃にな
るルツボ型溶湯容器の輻射熱によって誘導加熱コイル中
の冷却水に気泡を生じ冷却効果が低下することを避ける
ために、また誘導加熱コイル以外に、例えばハウジング
の側壁の温度上昇も抑制する要があることから、ルツボ
型溶湯容器の外周には若干の間隔をあけて断熱用外套を
設けることを要する。この断熱用外套もアルミナ等のセ
ラミックスによるものが使用される。そして、この断熱
用外套の外周側に所要のターン数の誘導加熱コイルが巻
装される。また誘導加熱コイルはハウジング内で支える
ことを要するが、コイル支持部材としてはハウジングの
底面部にコイル支柱を立設し、誘導加熱コイルを支持す
るように、コイル支柱からハウジングの中心部へ向けて
支持梁を設けてもよく、また同様な支持梁をハウジング
の内壁面に設けるようにしてもよい。このようなコイル
支持部材は通常はハウジングの側壁と同様にSUS(ス
テンレス鋼)製とされる。
【0022】上記のような構成において、ハウジングの
底面部はノズルを支持する部分では高温度となるが、ハ
ウジングの側壁の下端部と接続される外周部ではシール
用ゴムリングが使用可能な温度に低下させること、また
底面部が熱膨張し変形してトラブルとなることを防ぐこ
とが必要であり、かつスリット部分を除くハウジングの
底面部は溶解室とロール室との間の差圧をシールするも
のであること要する。更には、タンディッシュの下端部
が隔壁の挿通穴へ挿通されていることから、タンディッ
シュの外周面であるハウジングの側壁と隔壁との間も気
密にシールされていなければならない。
【0023】タンディッシュの底面部に付いての上記の
ような要請に対して、本発明のタンディッシュは、スリ
ット付きノズルを備えたルツボ型溶湯容器、断熱用外
套、誘導加熱コイル、およびコイル支持部材を収容する
有底筒形状のハウジングの底面部を同心でサイズの異な
る複数の環状支持体から構成されるものとしている。す
なわち、ノズルの外周部を支持する第1環状支持体、第
1環状支持体の外周部を支持する第2環状支持体、一般
化して第(n−1)環状支持体の外周部を支持する第n
環状支持体からなるものとし、高温度のノズルの第1環
状支持体を除く各環状支持体は水冷可能なものとして、
各環状支持体が面接触する箇所には耐熱性のシート状シ
ール材を介装させている。そして、第n環状支持体の外
周部はハウジングの側壁に一体的に接合されたものとさ
れる。すなわち、底面部は各環状支持体間の面接触によ
って底面部の上方と下方とが気密にシールされるので、
各環状支持体間で熱膨張の度合いに違いがあっても面接
触箇所でズレを生じ、底面部が膨張し変形してシール漏
れを生ずるようなトラブルには至らない。上記におい
て、nは2以上の整数であるが、5以上としても底面部
が複雑化するだけで、複雑化に見合う効果は得られない
ので、通常的には3ないし4とされる。
【0024】そして、nが3である実質的な場合の一例
を説明すると、底面部はノズルの外周部および断熱用外
套の下端を支持する内周側環状支持体と、内周側環状支
持体の外周部を支持し冷却するための内部水路を備えた
中間環状支持体と、中間環状支持体の外周部および要す
ればコイル支持部材の下端を支持し冷却するための内部
水路を備えた外周側環状支持体とし、かつ内周側環状支
持体、中間環状支持体、外周側環状支持体は何れも内周
部が低く外周部が高い段差付き形状として、ノズルを支
持する内周側環状支持体の外周部の下面に中間環状支持
体の内周部の上面が接して支持し、中間環状支持体の外
周部の下面に外周側環状支持体の内周部の上面が接して
支持しするものとし、内周側環状支持体と中間環状支持
体とが面接触する箇所、および中間環状支持体と外周側
環状支持体とが面接触する箇所には耐熱性のシート状シ
ール材を介装したものとしている。そして、外周側環状
支持体の外周部はハウジングの側壁の下端部と一体的に
接続したものとしている。
【0025】スリット付きノズルには、耐熱性が大で熱
伝導性が良好な窒化ホウ素からなるものが好適に使用さ
れる。そして、ノズルの外周部を支持する内周側環状支
持体には耐熱性が大でモース硬さの小さいグラファイト
によるものが好適に使用される。また、水冷の中間環状
支持体には熱伝導性に優れている銅(Cu)または銅合
金によるものが使用される。この銅系で水冷の中間環状
支持体によって、内周側環状支持体から伝達されるノズ
ルの熱は効果的に除去される。勿論、熱伝導性が良好な
銅系金属以外の金属類の使用を排除するものではない。
そして外周側環状支持体としては、通常はハウジングの
側壁と同一材料で水冷のSUSからなるものとすること
により、外周側環状支持体は温度上昇が抑制されると共
に、ハウジングの側壁と一体化させたシーリングが可能
となる。勿論、SUS以外のものとしてもよい。そし
て、各環状支持体間の接触面に介装する耐熱性のシート
状シール材としては、グラファイトを酸処理し熱膨張さ
せた可撓性グラファイトが耐熱性、シール性に優れてい
るので好適に使用される。
【0026】上述したように、高温度のノズルを支持す
るタンディッシュの底面部すなわちハウジングの底面部
が、同心でそれぞれ異なる特性に応じた好適な材料によ
る環状支持体によって構成され、中間環状支持体と外周
側環状支持体とは水冷としていること、および高温度の
ルツボ型溶湯容器の外周側に断熱用外套を設けることに
より、タンディッシュの外周面すなわちハウジングの側
壁はゴム製シーリング材の使用が可能な温度となり、タ
ンディッシュの下端部の外周面と、タンディッシュの挿
通穴が形成された隔壁との間は一般的なゴム製リングに
よって隔壁の上下の差圧がシールされるようになる。
【0027】
【実施例】次に、本発明の金属薄帯鋳造装置を実施例に
より図面を参照して具体的に説明する。
【0028】図1は実施例の金属薄帯鋳造装置1の全体
の内部構成を示す正面図であり、図2は図1における
[2]−[2]線方向の同様な側面図である。図1、図
2を参照して、金属薄帯鋳造装置1は型鋼のフレーム2
で囲われた本体3内に隔壁4を介して上下に溶解室10
とロール室20が画成されており、溶解室10には溶解
炉11とタンディッシュ15が設置され、ロール室20
には冷却ロール21が移動台車31に設置された状態で
挿入されている。なお、移動台車31は走行用モータ3
7と車輪38を有する自走式とされており、冷却ロール
21はメンテナンス時には引き出される。
【0029】図2を参照し、溶解室10においては、誘
導加熱用ケーブル14を備えた溶解炉11が両側の傾動
軸12によって支持されており、本体3の外側の図示を
省略した傾動機構の軸、図1においてフレーム2に固定
された傾動軸受13に軸支された傾動軸12の回りに傾
動されて内部の溶湯をタンディッシュ15へ出湯する。
また、同様に誘導加熱用ケーブル17を備えた図2に示
すタンディッシュ15は、図1に示すように、スリット
付きのノズル16を備えた下端部が隔壁4の挿通穴6か
らロール室20へ挿通された状態とされている。そし
て、タンディッシュ15の下端部の外周面と隔壁4との
間は気密にシールされており、タンディッシュ15内の
溶湯のヘッドを含む溶解室10の圧力を下方のロール室
20の圧力より高くし、その差圧によってタンディッシ
ュ15内の溶湯が下端のスリット付きのノズル16から
キャストされるようになっている。なお詳細は省略する
が、タンディッシュ15はジャッキ91によって上下方
向(Z方向)の移動が可能とされ、クロス・リニアガイ
ド51によって図1で左右の方向(Y方向)および図2
で左右の方向(X方向)の位置調整が可能とされてい
る。そのほか、機構の図示は省略するが、図1において
タンディッシュ15のZ方向の中心軸のZY面内(紙面
内)における傾きの調整も可能とされている。
【0030】図1は冷却ロール21が移動台車31によ
って本体3の側壁3wに形成された挿入開口5からロー
ル室20内へ挿入されている状態を示すが、挿入開口5
は移動台車31に取り付けられた蓋板35によって挿入
と同時に密閉される。そして、冷却ロール21の挿入端
側の回転軸22はロール室20内へ挿入される移動台車
31の片持梁33に立設されたサポート34上の軸受2
3によって支持され、移動台車31側の回転軸22は移
動台車31に固定されて回転軸22を気密に回転させる
回転軸受25によって支持されている。そして、冷却ロ
ール21は挿入された時点で、移動台車31において本
体3の外側となる部分に設置された駆動モータ27によ
り、回転軸22上のプーリー24と駆動モータ27のプ
ーリー28とに巻装されたタイミングベルト29によっ
てベルト駆動されて回転する。なお、冷却ロール21は
直径400mmφの水冷であり、1600rpmの回転
速度で回転される。
【0031】図3は図1においてタンディッシュ15と
冷却ロール21が隔壁4を介してセットされている部分
において本発明の要部を説明するに必要な構成要素を拡
大して示す図である。なお図3では、スリット付きのノ
ズル61の下端と冷却ロール21の外周冷却面とは接触
しているように描かれているが、実際には例えば0.5
mm程度の間隙があけられる。図3に示すように、タン
ディッシュ15は、冷却ロール21の軸心方向に長いス
リット(開口サイズ50mm×0.4mm)を備えたノ
ズル61を下端に有するルツボ型溶湯容器60と、若干
の間隔をあけてルツボ型溶湯容器60を囲うように設け
られた断熱用外套62と、断熱用外套62の外周側に所
定の巻き(ターン)数で巻装された誘導加熱コイル63
と、後述の底面部72と同心円の円周上に90度の等角
度間隔に設けられ、それぞれから中心へ向かう水平方向
の支持梁65によって誘導加熱コイル63を支持する4
本のコイル支柱64と、これらの構成要素を収容するハ
ウジングク70、すなわち側壁71と底面部72とから
なる有底円筒形状のハウジング70とからなっている。
なお、断熱用外套はルツボ型溶湯容器の高温が誘導加熱
コイル、その他に影響することを防ぐものであるが、ル
ツボ型溶湯容器を保温する効果もあることは言うまでも
ない。
【0032】底面部72は、ルツボ型溶湯容器60の下
端のBNからなるスリット付きノズル61の外周部の下
面および断熱用外套62の下端を支持するグラファイト
の内周側環状支持体73と、内周側環状支持体73の外
周部を支持し内部に冷却水路75を有する銅製の中間環
状支持体74と、中間環状支持体74の外周部を支持し
内部に冷却水路77を有し、コイル支柱65の下端を支
持するSUS製の外周側環状支持体76とからなってい
る。そして、図3に示すように、内周側環状支持体7
3、中間環状支持体74、外周側環状支持体76は、何
れも内周部が低く外周部が高い段差付きの形状とされて
おり、スリット付きノズル61の外周部の下面に内周側
環状支持体73の内周部の上面が接してノズル61を支
持し、内周側環状支持体73の外周部の下面に中間環状
支持体74の内周部の上面が接して内周側環状支持体7
3を支持し、中間環状支持体74の外周部の下面に外周
側環状支持体76の内周部の上面が接して中間環状支持
体74を支持しており、内周側環状支持体73と中間環
状支持体74との接触面、および中間環状支持体74と
外周側環状支持体76との接触面にはシート状の可撓性
グラファイト78がシール材として介装されている。そ
して、外周側環状支持体76の外周部は同じSUS製の
側壁71の下端部と一体的に接続されている。
【0033】また、実施例のタンディッシュ15は、図
3に示すように、下端部が隔壁4の挿通穴6へ挿通され
ているが、タンディッシュ15のハウジング70の側壁
71と隔壁4とは気密にシールされている。すなわち、
隔壁4上に固定されたクロス・リニアガイド51の下板
52の上面に接し、ハウジング70の側壁71に接する
断面がL字形の環状中間部材81を設け、側壁71と環
状中間部材81との間にO−リング82a、クロス・リ
ニアガイド51の下板52の上面との間にO−リング8
2bを介装して、下板52と一体的な隔壁4とハウジン
グ70の側壁71との間をシールするが、環状中間部材
81の浮き上がりを防ぐために、90度の等角度間隔に
配置した押圧機構83により、コロ保持部材87に転動
可能に保持されたコロとしての球体88介して環状中間
部材81により押圧するように構成されている。そし
て、O−リング82bを押圧する力は、図3に示したタ
ンディッシュ支持板80、および一点鎖線で示すクロス
・リニアガイド51を上下に遊挿する押圧棒84の周囲
のコイルバネ86に依っている。すなわち、タンディッ
シュ支持板80の下面と、押圧棒84に螺着された鍔材
85との間のコイルバネ86によって押圧棒84は下方
へ付勢されており、コロ保持部材87に保持された球体
88を介して環状中間部材81を押圧して、O−リング
82bによるシールが行われている。
【0034】上記において球体88を使用するのは、溶
湯のキャストを開始する前の、タンディッシュ15のX
方向、Y方向、Z方向の位置を調整し、タンディッシュ
15の中心軸の傾きを垂直にする段階で、環状中間部材
81をタンディッシュ15の移動、傾きの修正に追従さ
せるために、環状中間部材81を強く押圧しない状態で
隔壁4と一体的な下板52の上面を摺動させることを要
するからである。
【0035】そして図1、図2を参照し、溶解炉11に
おいて溶解した鉄/ネオジウム系合金の温度1400℃
の溶湯をタンディッシュ15内の予熱されたルツボ型溶
湯容器60内へ出湯し、ロール室20の圧力を1×10
-1Paとして、溶解室10への加圧力とルツボ型溶湯容
器60内の溶湯Mのヘッドとの和である溶解室10の圧
力をロール室20の圧力より常に5kPa高く保持し、
その差圧によって溶湯Mをノズル61のスリットから回
転する冷却ロール21の外周冷却面へキャストして金属
薄帯を鋳造した。この時、図3を参照して、タンディッ
シュ15のノズル61の下端と冷却ロール21の外周冷
却面との間隔0.5mmは変化せず、また、溶解室10
とロール室21との差圧はタンディッシュ20のハウジ
ング70の底面部72においてシール漏れすることな
く、またハウジング70の側壁71と隔壁4との間にお
いてもシールされていることにより所定通りに維持さ
れ、溶湯Mがノズル61から冷却ロール21へ定量的に
キャストされることにより、金属薄帯は常に一定の厚さ
(約10μm)で鋳造された。
【0036】以上、本発明の金属薄帯鋳造装置を実施例
によって説明したが、勿論、本発明はこれによって限定
されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の
変形が可能である。
【0037】例えば本実施例においては、タンディッシ
ュ15を構成するハウジング70の側壁71や外周側環
状支持体73、コイル支持柱65をSUS製としたが、
SUS以外の金属、例えばニッケル(Ni)系合金によ
るものとしてもよい。また本実施例においては、内周側
環状支持体としてグラファイトからなるものを使用した
が、これに換えて、内周側環状支持体をモリブデン(M
o)、タンタル(Ta)、またはタングステン(W)の
ような高融点金属によるものとしてもよい。
【0038】また本実施例においては、シーリング材と
してゴム製のシールリングを使用したが、これに換えて
例えばアルミニウムの中空リングのようなシールリング
を使用してもよい。また本実施例においては、各環状支
持体間の接触面に介在させるシール材として可撓性グラ
ファイトを使用したが、これに換えてアルミナ・ペーパ
ーと称されるものも使用し得る。また本実施例において
は、ルツボ型溶湯容器を支持する内周側環状支持体に耐
熱用外套支持させるようにしたが、中間環状支持体に支
持させるようにしてもよい。
【0039】また本実施例においては、内周側環状支持
体、中間環状支持体、外周側環状支持体を何れも内周部
が低く外周部が高い段差付きの環状体としたが、段差を
持たない環状体としてもよい。また本実施例において
は、ルツボ型溶湯容器は予め予熱しておき、溶解炉で溶
解された金属の溶湯が出湯される容器として説明した
が、誘導加熱コイルを備えているので、溶解炉として使
用することも可能である。また本実施例においては、鉄
/ネオジウム系合金による金属薄帯の鋳造を例示した
が、本発明の金属薄帯鋳造装置は、上記以外の金属薄
帯、例えば鉄/ニッケル/燐/ホウ素の合金などの鉄系
合金、銅合金、またはアルミニウム合金による金属薄帯
の鋳造にも適用され得る。
【0040】
【発明の効果】本発明の金属薄帯鋳造装置は以上に説明
したような形態で実施され、次に記載するような効果を
奏する。
【0041】請求項1の金属薄帯鋳造装置によれば、ス
リット付きノズルを備えたルツボ型溶湯容器と、断熱用
外套と、断熱用外套の外側に巻装された誘導加熱コイル
と、誘導加熱コイルの支持部材と、これらの要素を収容
する有底筒形状のハウジングとからなるタンディッシュ
の下端部が、タンディッシュの設置された溶解室と、溶
解室より圧力が低く冷却ロールの設置されたロール室と
を上下に画成する隔壁の挿通穴を挿通される系におい
て、少なくともスリット付きノズルの外周部を支持する
ハウジングの底面部がスリットを除いて気密にシールさ
れていると共に、ハウジングの外周面と隔壁とが気密に
シールされており、かつハウジングの底面部のノズルの
下端と冷却ロールとの間隔も変化せず所定通りに維持さ
れることから、ルツボ型溶湯容器内の溶湯はスリットか
ら冷却ロールの外周冷却面へ定量的にキャストされ、金
属薄帯を常に一定の厚さに形成させる。
【0042】請求項2の金属薄帯鋳造装置によれば、ハ
ウジングの底面部が、同心の複数(n個)の環状支持体
から構成されており、少なくともノズルの外周部を支持
する第1環状支持体と、第1環状支持体の外周部を支持
し冷却するための内部水路を備えた第2環状支持体と、
同様な繰り返しの環状支持体に続いて、第(n−1)環
状支持体の外周部を支持し冷却するための内部水路を備
えた第n環状支持体と、各環状支持体間に介装された耐
熱性のシート状シール材とからなり、第n環状支持体の
外周部がハウジングの側壁の下端部に接続されているの
で、高温度のノズルを支持する第1環状支持体を除い
て、各環状支持体は水冷されて熱膨張が抑制されている
ほか、各環状支持体間は固定されずシート状シール材を
介して面接触しているだけであり、仮に多少の熱膨張が
あるとしても面接触箇所でのズレとなるのみであり、底
面部が膨張し変形してシール漏れを生じるようなトラブ
ルを招かない。
【0043】請求項3の金属薄帯鋳造装置によれば、ハ
ウジングの底面部が、ノズルの外周部および断熱用外套
の下端を支持する内周側環状支持体と、内周側環状支持
体の外周部を支持し冷却するための内部水路を備えた中
間環状支持体と、中間環状支持体の外周部および要すれ
ばコイル支持部材の下端を支持し冷却するための内部水
路を備えた外周側環状支持体とからなり、内周側環状支
持体、中間環状支持体、外周側環状支持体は何れも内周
部が低く外周部が高い段差付き形状とされて、ノズルを
支持する内周側環状支持体の外周部の下面に中間環状支
持体の内周部の上面が接して支持し、中間環状支持体の
外周部の下面に外周側環状支持体の内周部の上面が接し
て支持し、外周側環状支持体の外周部はハウジングの側
壁の下端部と一体的に接続されており、面接触箇所には
耐熱性のシート状シール材が介装されているので、高温
度のノズルを支持する内周側状支持部材を除く中間環状
支持体、外周側環状支持体は水冷されて熱膨張を抑制さ
れているほか、中間環状支持体は内周側環状支持体およ
び外周側環状支持体とは固定されず面接触しているだけ
であるので、内周側環状支持体、中間環状支持体が多少
熱膨張することはあっても面接触箇所にズレを生ずるの
みであり、底面部の直径等が大になり変形してシールが
漏れるようなトラブルを招かない。
【0044】請求項4の金属薄帯鋳造装置によれば、ノ
ズルが窒化ホウ素からなり、ノズルを支持する内周側環
状支持体が耐熱性大でモース硬さの小さいグラファイト
からなり、水冷の中間環状支持体が熱伝導性に優れた銅
または銅合金からなり、水冷の外周側環状支持体、コイ
ル支持部材、およびハウジングの側壁がステンレス鋼か
らなり、耐熱性のシート状シール材が可撓性グラファイ
トからなっているので、高温度のノズルの熱は内周側環
状支持体から中間環状支持体に至って大部が除去され、
中間環状支持体および外周側環状支持体は温度上昇が抑
制されると共に、外周側環状支持体はハウジングの側壁
と一体化が可能である。そして内周側環状支持体と中間
環状支持体との面接触箇所、および中間環状支持体と外
周側環状支持体との面接触箇所には可撓性グラファイト
かシート状シール材として使用されているので、ハウジ
ングの底面部すなわちタンディシュの底面部において、
仮に中間環状支持体と外周側環状支持体が多少熱膨張す
ることがあっても面接触箇所でのズレとなって底面部の
径を増大させず、溶解室とロール室との間の所定の差圧
は常に一定に維持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の金属薄帯鋳造装置の内部構成を示す正
面図である。
【図2】図1における[2]−[2]線方向の同様な側
面図である。
【図3】図1におけるタンディシュと冷却ロール、およ
びそれらの近傍を示す拡大図である。
【図4】従来例の金属薄帯鋳造装置である連続ストリッ
プにおける溶湯の溜めと冷却ロールとを示す斜視図であ
る。
【図5】他の従来例の金属薄帯鋳造装置の構成要素を示
す断面図である。
【図6】第3の従来例の金属薄帯鋳造装置の構成要素を
示す断面図である。
【符号の説明】
1 金属薄帯鋳造装置 4 隔壁 6 挿通穴 10 溶解室 15 タンディッシュ 20 ロール室 21 冷却ロール 51 クロス・リニアガイド 60 ルツボ型溶湯容器 61 スリット付きノズル 62 断熱用外套 63 誘導加熱コイル 65 コイル支柱 70 ハウジング 71 側壁 72 底面部 73 内周側環状支持体 74 中間環状支持体 76 外周側環状支持体 78 可撓性グラファイト 81 環状中間部材 83 押圧機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B22D 23/00 B22D 23/00 B 41/015 41/015 (72)発明者 冨田 守彦 神奈川県茅ヶ崎市萩園2500番地 株式会社 アルバック内 Fターム(参考) 4E014 AA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空または不活性ガスの雰囲気下に、高
    速回転する冷却ロールの外周冷却面へ、タンディッシュ
    の下端部に設けられ前記冷却ロールの軸心方向に長いス
    リットを備えたノズルから金属の溶湯を供給し急冷して
    金属薄帯を形成させる金属薄帯鋳造装置において、 前記金属薄帯鋳造装置内で隔壁を介して前記タンディッ
    シュが上方の溶解室に設置され、前記冷却ロールが下方
    のロール室に設置されており、前記隔壁の挿通穴を挿通
    される前記タンディッシュの下端部の前記ノズルが前記
    冷却ロールの外周冷却面の直上に配置されており、前記
    溶解室の圧力を前記ロール室の圧力よりも高くし、その
    差圧によって溶湯が前記ノズルから前記冷却ロールの外
    周冷却面へキャストされるように構成されている場合
    に、 前記タンディッシュが、下端に前記スリットを備えたノ
    ズルを有するルツボ型溶湯容器と、前記ルツボ型溶湯容
    器の外周に若干の間隔をあけて設けられた断熱用外套
    と、前記断熱用外套の外側に巻装された誘導加熱コイル
    と、前記誘導加熱コイルの支持部材と、前記各要素を収
    容する有底筒形状のハウジングとからなり、少なくとも
    前記ノズルの外周部を支持する前記ハウジングの底面部
    が鋳造時に膨張、変形することなく前記スリット部分を
    除いて気密にシールされると共に、前記ハウジングの外
    周面と前記隔壁とが気密にシールされていることを特徴
    とする金属薄帯鋳造装置。
  2. 【請求項2】 前記ハウジングの底面部が、同心の複数
    (n個)の環状支持体から構成されており、少なくとも
    前記ノズルの外周部を支持する第1環状支持体と、前記
    第1環状支持体の外周部を支持し冷却するための内部水
    路を備えた第2環状支持体と、同様な繰り返しの環状支
    持体に続いて、第(n−1)環状支持体の外周部を支持
    し冷却するための内部水路を備えた第n環状支持体と、
    各環状支持体間に介装された耐熱性のシート状シール材
    とからなり、第n環状支持体の外周部は前記ハウジング
    の側壁の下端部に一体的に接続されていることを特徴と
    する請求項1に記載の金属薄帯鋳造装置。
  3. 【請求項3】 前記ハウジングの底面部が、前記ノズル
    の外周部および前記断熱用外套の下端を支持する内周側
    環状支持体と、前記内周側環状支持体の外周部を支持し
    冷却するための内部水路を備えた中間環状支持体と、前
    記中間環状支持体の外周部および要すれば前記コイル支
    持部材の下端を支持し冷却するための内部水路を備えた
    外周側環状支持体とからなり、前記内周側環状支持体、
    前記中間環状支持体、前記外周側環状支持体は何れも内
    周部が低く外周部が高い段差付き形状とされており、前
    記ノズルを支持する前記内周側環状支持体の外周部の下
    面に前記中間環状支持体の内周部の上面が接し支持し
    て、前記各環状支持体間の面接触箇所には前記シート状
    シール材が介装されており、かつ前記外周側環状支持体
    の外周部は前記ハウジングの側壁の下端部と一体的に接
    続されていることを特徴とする請求項2に記載の金属薄
    帯鋳造装置。
  4. 【請求項4】 前記ノズルが窒化ホウ素からなり、前記
    ノズルを支持する前記内周側環状支持体がグラファイト
    からなり、前記中間環状支持体が銅または銅合金からな
    り、前記外周側環状支持体と前記ハウジングの側壁がス
    テンレス鋼からなり、前記シート状シール材が可撓性グ
    ラファイトからなることを特徴とする請求項3に記載の
    金属薄帯鋳造装置。
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